JP2016113305A - 疎水性シリカ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】疎水化処理後、M値やDBA吸着量であらわされる疎水化度を目的とする値に維持しつつ、遊離、溶出する、シリカ表面のシラノール基と未反応のシリコーンオイルの低減化が可能な疎水性シリカを提供する。【解決手段】湿式法合成シリカをシリコーンオイルで表面処理した疎水性シリカ。前記疎水性シリカは、 (i)トルエンへのシリコーンオイル溶出量が、疎水性シリカ質量に対して0.2%未満である、但し、前記溶出量は、トルエンに2%の濃度で分散し、20℃で24時間経過後の分散前と対比したシリコーンオイル溶出率である。湿式法合成シリカをシリコーンオイルで表面処理した疎水性シリカの製造方法。強酸強塩基型中性塩化合物を存在させた湿式法合成シリカの表面にシリコーンオイルを被覆し、次いで、被覆したシリコーンオイルと湿式法合成シリカのシラノール基とがシロキサン結合を形成する条件に供して、疎水性シリカを得ることを含む。【選択図】なし

Description

本発明は、疎水性シリカ及びその製造方法に関する。より具体的には、シリコーンオイルの遊離が抑制された疎水性シリカ及びその製造方法に関する。
親水性の粉体顔料の表面を疎水性のジメチルポリシロキサン化合物(以下「シリコーンオイル」と記載)で被覆し、表面を疎水化した顔料は広く知られている。とりわけ、表面をシリコーンオイルで疎水化した疎水性の湿式法合成性シリカ(以下「疎水性シリカ」と記載)は、消泡剤、塗料の艶消し剤、フィルムのアンチブロッキング剤等として広く利用されている。
疎水性シリカを塗料用途に用いた場合、従来の艶消し性能も加えて塗膜表面の撥水性が向上し、防汚機能や耐アルカリ機能、耐薬品機能を付与する事が可能になるばかりか塗膜表面の耐キズ特性を向上することが可能になる。このような特性から、最近では特に家電や電子機器の表面に塗装するためのプラスチック塗料用艶消し剤用途への疎水性シリカの使用が増えている。
また、疎水性シリカの平均粒子径を微粒子化することにより、透明フィルムやガラス表面コーティング剤用途では上記機能に加え、防眩性の付与を目的に使用されている(例えば特許文献1)。
また、樹脂やフィルム材料に充填した場合、未処理の湿式法合成シリカに比べて吸着水分が少ないため加工が容易である点や、透明性が向上する等の利点があり、注目されている。
原料の湿式法合成性シリカとシリコーンオイルを混合するだけも疎水性機能を持った疎水性シリカを製造することは出来るが、疎水性能の向上を目的に様々な方法が検討されている。
例えば、特許文献2では、50センチストークス(単位:cSt)の粘度を持ったシリコーンオイルを湿式法合成ケイ酸に噴霧し、250〜350℃の温度で約1/2〜2時間加熱して疎水性シリカを得ている。
さらに、より高度の疎水性シリカを得る方法として、特許文献3に、湿式法合成シリカにアルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム)を加え、触媒として利用する方法が記載されている。さらに、特許文献4ではアンモニアまたはアミン等を触媒として利用し、比較的低温の60〜150℃で熱処理を行う方法が提案されている。特許文献5では、SiO2 100重量部に対し、Al2O3換算で0.5重量部以上のアルミニウムを含有したシリカを用い、常温〜100℃程度の低温で疎水化する方法が提案されている。
親水性の湿式法シリカへの疎水性能の付与、向上を目的とした上記方法は、湿式法シリカの表面に存在する親水性のシラノール基(-SiOH)を疎水性のシリコーンオイルで覆うことで実現している。
さらに高度な疎水化技術としては、シリコーンオイル中のシロキサン結合(-Si-O-Si-)の一部を加熱等の操作により切断させて湿式シリカのシラノール基と脱水縮合反応させて化学的に結合させる方法も知られている。具体的には図1のような反応により、表面の疎水化が進行すると考えられている。
疎水性シリカの表面の疎水化の度合を知る方法としては、DBA(ジ−n−ブチルアミン)吸着量及びM値が利用される。
以下に、DBA吸着量(単位;m・mol/kg)で、疎水性の度合いを表す原理を説明する。
通常のシリカ(疎水化前のシリカ)は、その表面上に多量のシラノール基が存在しており、DBAはイオン結合的にシリカ粒子表面上のシラノール基に吸着する。表面処理された疎水性シリカは、シリカ表面に存在するシラノール基が、シリコーンオイルで被覆され、あるいは反応して消滅している。疎水性シリカの表面に残存するシラノール基があれば、DBAと結合し、結合量から残存するシラノール基量が分かる。そのため、シリカの疎水化度を知る手段として利用されている。DBA吸着量は数値が低い程、シラノール基がシロキサン結合に変化している事を示しており、一般的には疎水化度が高い事を意味する。
一方、M値とは、水とメタノールの混合溶液に処理粉体が湿潤し始めるメタノールの容量%で表示される濃度である。M値の値が高いほど疎水化度が高い事を意味する(最大値は約70%である)。
これらDBA値とM値はいずれも疎水性シリカの疎水化状態を表現しているが、両者の値は一義的相関関係を示すものでも無い。例えば、親水性シリカを多量のシリコーンオイルと混合しただけの疎水性シリカや凝集体の表面のみ疎水化処理した疎水性シリカでは、シラノール基の残存量が多くDBA吸着量は高い値を示す。しかし、シリコーンオイルでシリカ表面が覆われているためにM値は高い値となる。従って、疎水性シリカの疎水化状態を適切に把握するには、DBA値とM値の両方をモニターすることが好ましい。
尚、原料に使われる湿式法合成シリカは、ケイ酸ソーダと鉱酸の中和反応によって合成され、大別するとアルカリ領域で合成される沈澱法合成シリカと酸性領域で合成されるゲル法合成シリカがある。
特許第3504338号公報 特公昭42-26179号公報 特開昭47-12770号公報 特公昭57-2641号公報 特開平6-316408号公報 特開平8-176462号公報
疎水性シリカは、ユーザーニーズの多様化や高機能化により、上記従来技術での対応が困難なケースが多く発生している状況である。
たとえば、疎水性シリカを艶消し剤として塗料用途に使用した場合、前述のように防汚機能や耐アルカリ機能、耐薬品機能、耐キズ特性を付与する事が可能にはなる。しかし、塗料として塗膜を形成し硬化させた段階で未反応のオイルの一部が塗膜表面に溶出し、いわゆる色ムラが発生すると言う問題が発生する。
また、フィルム分野では、疎水性シリカをフィルムにコーティングしたのち、フィルムを巻き取ると、巻き取りの際に遊離したシリコーンオイルがフィルムの裏に移り、汚染が発生するなどの問題も発生している。
同じくフィルムのアンチブロッキング剤として使用した場合、疎水性シリカの使用により透明性が向上する利点があるが、シリコーンオイルのブリードにより部分的にフィルムのヘーズ(曇度)が異なる部分が発生し、フィルム全体の品質を損ねる等の問題の原因ともなっている。
これらの現象は残存する未反応のシリコーンオイルのブリードが原因であり、シリカ表面のシラノール基とシリコーンオイルが完全に結合していないことを示唆している。
しかし、上記問題を生じた疎水性シリカは、いずれもM値が高く、DBA吸着量も十分に低い値を示すものであり、M値及びDBA吸着量を指標とする場合、疎水化度の高い疎水性シリカと言えるが、M値及びDBA吸着量のみでは、疎水性シリカの性能に影響をする未反応シリコーンオイル量の把握は出来ないのが実状である。また、未反応シリコーンオイル量を低減しようとすれば、長時間の熱処理が必要であり商業生産には不利となる。
本発明者らは、上記問題の解決するために、シリコーンオイルの処理量を単純に減らす方法を検討した。しかし、それでは疎水化が不十分になるばかりか、従来法を駆使しても(例えば、加熱条件を工夫しても)未反応シリコーンオイルは必ず存在し、問題解決には至らなかった。例えば、特許文献6に記載されている部分疎水化も試みた。しかし、処理するシリコーンオイル量を軽減しても溶出成分である未反応シリコーンオイルの減少には至らず、問題解決には至らなかった。
また、別の方法として、分子量が大きなシリコーンオイルを選択して単位重量あたりの分子数を少なくして未反応のシリコーンオイル量を低減させることも検討した。しかし、分子量が大きなシリコーンオイルは粘度が高くなり、シリカとの均一混合そのものが困難であった。
先述の先行技術のうち、特許文献3及び4に記載されているような、湿式法合成ケイ酸にアルカリ金属の水酸化物やアンモニア、アミン類を加え、触媒として利用する方法では、シリカがアルカリ性となり、アルカリに弱い湿式合成シリカは経時により比表面積が低下する等の表面性状変化が発生し、安定した性能を発揮できないと言う問題があった。
また、特許文献5に記載される方法は低温で表面処理できることを利点としている。しかし、M値やDBA値の向上を目的としたものであり、このような方法で処理を行った疎水性シリカは、シリコーンオイルの溶出量がむしろ増加する傾向があった。
別の検討の過程で、シリコーンオイルとシラノール基との化学結合を完全にするために、350〜400℃の高温で6時間以上の長時間の熱処理を行うと、シリコーンオイルの溶出が低減出来ることは判明した。しかし、処理熱によりシリコーンオイルそのものの一部が分解し、変質してしまうため所望の性能が発揮できなかった。さらに、高温かつ長時間の処理は生産効率の著しい悪化とコストの増加をもたらすのみであり実用的ではなかった。
一般的に原粉のシリカ粒子はBET比表面積が高く、細孔を持っており、かつ粒子の大きさが数ミクロンレベルの大きさのため、粘度を持つシリコーンオイルを分子レベルで均一に処理するのは困難であり、従来技術の如何なる方法を用いても効率的に遊離シリコーンオイルの発生を抑制する事が出来なかった。
そこで、本発明者らは、疎水化処理後、M値やDBA吸着量であらわされる疎水化度を目的とする値に維持しつつ、遊離、溶出する、シリカ表面のシラノール基と未反応のシリコーンオイルの低減化が可能な疎水性シリカを提供するべく鋭意検討を行った。
その結果、硫酸ナトリウムを代表とする強酸強塩基型中性塩化合物を湿式法合成シリカの表面に付着させる事により、シラノール基とシリコーンオイルのシロキサン結合の形成に該中性塩が触媒的効果を発揮し、比較的低温での処理により、従来技術では困難であった、遊離シリコーンオイルの低減に著しい効果があることを見出した。その結果、低温かつ短時間で効率的にシリコーンオイルの溶出量の少ない疎水性シリカを開発する事に成功し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下の通りである。
[1]
湿式法合成シリカをシリコーンオイルで表面処理した疎水性シリカであって、
前記疎水性シリカは、
(i)トルエンへのシリコーンオイル溶出量が、疎水性シリカ質量に対して0.2%未満である、但し、前記溶出量は、トルエンに2%の濃度で分散し、20℃で24時間経過後の分散前と対比したシリコーンオイル溶出率である、前記疎水性シリカ。
[2]
前記疎水性シリカは、ナトリウム成分の含有量がNa2O換算で0.20〜1.20 wt%であり、硫黄成分の含有量がSO3換算で0.25〜1.30 wt%である、[1]に記載の疎水性シリカ。
[3]
シリコーンオイルの処理量が原料シリカのBET比表面積100 m2/gあたり3部〜9部であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の疎水性シリカ。
[4]
(ii)M値が20%以上であり、及び/又は
(iii)DBA吸着量が100 m・mol/kg未満である、
[1]又は[2]に記載の疎水性シリカ。
[5]
湿式法合成シリカをシリコーンオイルで表面処理した疎水性シリカの製造方法であって、
強酸強塩基型中性塩化合物を存在させた湿式法合成シリカの表面にシリコーンオイルを被覆し、次いで、被覆したシリコーンオイルと湿式法合成シリカのシラノール基とがシロキサン結合を形成する条件に供して、疎水性シリカを得ることを含む、前記方法。
[6]
前記強酸強塩基型中性塩化合物が硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸カリウム、塩化カリウムまたはそれらの混合物である[5]に記載の製造方法。
[7]
湿式法合成シリカの表面における前記強酸強塩基型中性塩化合物の存在量が、0.3〜3.0%の範囲である[5]又は[6]に記載の製造方法。
[8]
前記疎水性シリカは、トルエンへのシリコーンオイル溶出量が、疎水性シリカ質量に対して0.2%未満である、但し、前記溶出量は、トルエンに2%の濃度で分散し、20℃で24時間経過後の分散前と対比したシリコーンオイル溶出率である、[5]〜[7]のいずれかに記載の製造方法。
[9]
前記疎水性シリカは、
(i)M値が20%以上であり、及び/又は
(ii)DBA吸着量が100 m・mol/kg未満である、[5]〜[7]のいずれかに記載の製造方法。
[10]
前記シリコーンオイルが、動粘度が500センチストークス以下であるシリ
コーンオイルである[5]〜[9]のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、塗料中に添加、塗工して塗膜を形成したのちにもシリコーンオイルが表面に溶出することなく安定な塗膜表面が得ることが出来るシリコーンオイルで表面処理された疎水性シリカを提供することができる。本発明の疎水性シリカは、金属塗料、プラスチック塗料の艶消し剤、防眩フィルムへの塗工、樹脂充填剤やフィルムアンチブロッキング剤等に良好に使用することができる。
[本発明の疎水性シリカ]
本発明の疎水性シリカは、湿式法合成シリカをシリコーンオイルで表面処理した疎水性シリカであって、以下の(i)を満足する疎水性シリカである。
(i)トルエンへのシリコーンオイル溶出量が、疎水性シリカ質量に対して0.2%未満である。但し、前記溶出量は、トルエンに2%の濃度で分散し、20℃で24時間経過後の分散前と対比したシリコーンオイル溶出率である。
<シリコーンオイル溶出量>
本発明の疎水性シリカは、トルエン溶液に2%の濃度で分散し、常温で24時間経過させたときのトルエン溶液へのシリコーンオイル溶出量が、分散前の状態と比べて疎水性シリカ全体に対し0.2%未満である。0.2%以上では、塗料として塗膜を形成し硬化させた段階で未反応のオイルの一部が塗膜表面に溶出し色ムラの原因になったり、フィルムにコーティングしたのち、フィルムを巻き取ると、巻き取りの際に遊離したシリコーンオイルがフィルムの裏に移り汚染するなどの問題、すなわちオイルブリード特性の悪化をはじめ、先述の様々な問題の発生を招く。問題をより解決するためには上記シリコーンオイルの溶出量は、0.15%未満であることが好ましく、0.10%以下であることがより好ましく、0.08%以下であることがより一層好ましい。
塗料などへ分散した際、樹脂配合の際のシリコーンオイルの溶出量の測定方法は、直接的な分析方法は難しいが、疎水性シリカをトルエン溶媒中に分散し、24時間経過したときのトルエン中に溶出したシリコーンオイル量を求める方法を選択する事によって簡易的にかつ的確に、未反応のシリコーンオイル量を測定することが出来る。
本発明の疎水性シリカは、上記(i)を満足する疎水性シリカであって、さらに、以下の(ii)及び/又は (iii)を満足することが好ましい。
(ii)M値が20%以上である。
(iii)DBA吸着量が100 m・mol/kg未満である。
疎水性シリカの表面処理の状態についてはDBA吸着量およびM値を用いて表すことが出来ることは先述のとおりであるが、本発明の疎水性シリカはM値が20%以上、DBA吸着量が100 m・mol/kg 未満であることが、従来からの疎水性シリカの物性を満足するという観点からは好ましい。
<M値>
水とメタノールの混合溶液に処理粉体が湿潤しはじめるメタノールの容量%で表示されるM値が20 %未満である場合、一般に、シリカの疎水化度そのものが低い(親水基が残っている)ことを示しており、20%以上であることが好ましい。本発明の疎水性シリカのM値は40%以上であることがさらに好ましく、55%以上であることがより好ましい。
<DBA吸着量>
原料の親水性シリカの表面に残存するシラノール基(親水基)の量を表すDBA吸着量が100 m・mol/kg以上の場合、一般に、疎水性シリカに多くの親水基が多く残留している事になる。(後述する熱処理が不十分な場合に起こり易く、シリコーンオイルの溶出にもつながる)DBA吸着量が100 m・mol/kg未満であれば、溶剤系の塗料に分散する際には親水基同士の相互作用で顔料や硬化剤の吸着が生じることはなく、分散直後に粘度が異常に上昇したり、樹脂へ配合する際に凝集が発生するなどの不具合の発生要因にもなることもない。本発明の疎水性シリカのDBA吸着量の値は60 m・mol/kg未満であることがより好ましく、20 m・mol/kg 未満であることがさらに好ましい。
本発明で使用する湿式法合成シリカの種類や物性は特に限定されない。沈澱法シリカでもゲル法シリカでも問題なく使用できる。
一般に沈澱法シリカのBET比表面積は20〜300 m2/gであり、ゲル法シリカのBET比表面積は250〜700 m2/gであるが、疎水化する場合、BET比表面積100 m2/gあたりシリコーンオイルの処理量は3〜9部でなければならない。例えば、BET比表面積が300 m2/gのシリカであれば、シリコーンオイルの処理量は9〜27部が好適である。
本発明の疎水性シリカはシリコーンオイルの溶出防止が目的のため、表面は必ずしも完全に疎水化していなくても良く、シリコーンオイルの処理量がBET比表面積100 m2/gあたり3〜9部の範囲であれば、用途目的に応じて必要な処理量を選択する事ができる。一般に処理量が少ないほどシリカ表面に対し不完全な疎水化状態を示し逆に多いほど完全な疎水化状態を示す。シリコーンオイルの処理量がBET比表面積100 m2/gあたり3部以上であることで、疎水化度そのものが低くなるので疎水性シリカとしての効能が十分に得られる。一方、処理量が9部以下であれば、シリカ表面に対して過剰なシリコーンオイルが存在することもなく、シリコーンオイル分子と結合するための湿式法合成シリカ表面上のシラノール基が十分に存在し、未反応のシリコーンオイルの残存量ひいては、溶出量の抑制につながり本発明の目的の達成を推進する。好ましくはBET比表面積100 m2/gに対し4部〜8部の範囲が好適であり、この範囲内で用途や目的に応じて処理量を変化させることが来る。
本発明の目的は主に塗料や接着剤をはじめとするコーティング用途や樹脂充填剤、フィルムのアンチブロッキング剤等に用いられるため、疎水性シリカは未処理の湿式合成シリカと同様にレーザー法による平均粒子径が1〜15μmの範囲で目的に応じて使い分けする事が出来る。平均粒子径が小さい場合はクリア塗料の艶消しやプラスチック用塗料の艶消しなど繊細な艶消し性能が要求される分野、より高い透明性が要求される樹脂充填剤やフィルムのアンチブロッキング剤等に多く利用され、粒子径が大きな場合は金属塗料や建材用塗料の艶消しなど、高艶消しが求められる分野に多く利用される。平均粒子径の調整は一般に粉砕・分級を行って調整されるが、調整は原料段階、疎水化処理後いずれも可能で、併用による調整も可能である。
原料の段階である程度調整を行い、疎水化処理後に微調整を行って粒度を整えるとより目的の粒子径を持つシリカを精度よく製造することが出来る。
本発明で使用されるシリコーンオイルは湿式法合成シリカと混合できればよく種類は限定されない。メチル基、フェニル基のみを備えた市販のジメチルシリコーンオイル(通称ストレートシリコーンオイル)を使用するのが一般的だが、他にもケイ素原子に有機性の置換基を備えた変性タイプのシリコーンオイルも使用する事が出来る。置換基の例としては、ポリエーテル、エポキシ、アミン類、カルボキシル基をはじめ、多くの変性タイプのシリコーンオイルが市販されている。変性タイプのシリコーンオイルとしては、例えば、以下の製品を挙げることができる。
<信越化学工業社製変性シリコーンオイル>
KF-868, 865, 859, 393, 250, 889, 2001, 2004, 99, 9901, 8010, 8012, 8008, 105, 6000, 6001, 6002, 6003, 6123, 2200, 9701, 2012, 857, 8001, 858, 351A, 353, 354L, 355A, 945, 640, 642, 643, 644, 6020, 6204, 6011, 6015, 6017, 412, 413, 414, 4003, 4917, 7235B, 50, 53, 54, 54SS, X-22-343, 2000, 2046, 4741, 4039, 4015, 161A, 161B, 9490, 163, 163A, 163B, 163C, 169AS, 169B, 164, 164AS, 164A, 164B, 164C, 164E, 4952, 4272, 167B, 167C, 162C, 5841, 2445, 1602, 168AS, 168A, 168B, 173BX, 173DX, 170BX, 170DX, 176DX, 176GX-A, 174ASX, 174BX, 2426, 2475, 3710, 2516, 821, 822, 7322, 3265、
<東レ・ダウコーニング株式会社製変性シリコーンオイル>
SF 8417, BY 16-205, BY 16-213, BY 16-871, BY 16-893, SF 8411, BY 16-880, SF 8427, BY 16-201, SF 8428, BY 16-846, SF 8419, FS 1265, SH 510, SH 550, SH 710, SH 8400, FZ-77, L-7604、
<モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製変性シリコーンオイル>
TSF4440, 4441, 4445, 4446, 4452, 4460, 4700, 4701, XF42-B0970、
<ワッカー・ケミー社製変性シリコーンオイル>
L03, 033, 066, L653, 655, 656, 662, WT1250, 65000VP, AP100, 150, 200, 500, AR20, 200,
シリコーンオイルは嵩比重の低い湿式法合成シリカと混合されるので、分子量が高く、粘度が高いシリコーンオイルを使用する場合には溶媒等で希釈して使用する等の工夫が必要になる。そのため、一般的には500センチストークス(500 cSt)以下の比較的粘度が低いシリコーンオイルが好んで使用されている。動粘度500センチストークス以下であるシリコーンオイルは、例えば、以下の製品を挙げることができる。
<信越化学工業株式会社製シリコーンオイル>
KF-96-10cs, 20cs, 30cs, 50cs, 100cs, 200cs, 300cs, 350cs, 500cs、
<東レ・ダウコーニング株式会社製シリコーンオイル>
SH200-0.65cs, 1cs, 1.5cs, 2cs, 3cs, 5cs, 10cs, 20cs, 50cs, 100cs,
200cs, 350cs, 500cs、
<モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製シリコーンオイル>
TSF451-0.65, 5A, 10, 20, 30, 50, 100, 200, 300, 350, 500、
<ワッカー・ケミー社製シリコーンオイル>
AK0.65, 1, 10, 35, 50, 100, 350, 500
[本発明の疎水性シリカを製造方法]
本発明は、湿式法合成シリカをシリコーンオイルで表面処理した疎水性シリカを製造する方法を包含する。この製造方法は、強酸強塩基型中性塩化合物を存在させた湿式法合成シリカの表面にシリコーンオイルを被覆し、次いで、被覆したシリコーンオイルと湿式法合成シリカのシラノール基とがシロキサン結合を形成する条件に供して、疎水性シリカを得ることを含む。
シリコーンオイルで表面処理をする前に、原粉となる湿式法合成シリカに対し触媒となる物質である強酸強塩基型中性塩化合物、例えば、硫酸ナトリウム(Na2SO4)成分を添加する等の前処理を施す。強酸強塩基型中性塩化合物は、硫酸ナトリウム以外に、例えば、塩化ナトリウム、硫酸カリウム、塩化カリウム及びそれらの混合物を挙げることができる。湿式法合成シリカの表面における強酸強塩基型中性塩化合物の存在量は、例えば、0.3〜3.0%の範囲であることが適当である。前処理の方法については特に限定されないが、シリカの合成反応が終了した時に、反応副生物である硫酸ナトリウム(Na2SO4)が所定量になるまで水洗したのち、pH調整を施して利用しても良いし、充分な水洗を行った後にスラリー状態で所定量の硫酸ナトリウム(Na2SO4)を添加し、必要に応じて水酸化ナトリウム(NaOH)等のアルカリでpH調整する方法、先に所定量の硫酸(H2SO4)のみをシリカスラリーに添加し、後で水酸化ナトリウム(NaOH)を用いてpH調整する方法等が挙げられる。
その後、乾燥、粉砕、分級工程を経て目的の粒子径を有する湿式法合成シリカとなる。この時の原粉である湿式法合成シリカ中に含まれるNa成分、S成分はそれぞれ概ねNa2O換算で0.3〜1.4 wt%付近、SO3換算で0.36〜1.44 wt%付近の目的の範囲に調整する。これらの値は原粉中の不純物量を示しており、最終製品である疎水性シリカに含まれる不純物量とは若干数値が相違する傾向がある。Na2O量が少ないと触媒としての効果が低くなり、逆に多くしても触媒効果の著しい向上は望めないばかりかシリカ中に塩類を多く含む事になり好ましくない。また、S及びSO3はNaによって塩基性へとなることを抑えるための酸性分であり、上記範囲とすることで、塩基性に偏るのを抑止できる。
原粉である湿式法合成シリカを水酸化ナトリウム(NaOH)等アルカリ成分のみで前処理を施した場合、或いは硫酸(H2SO4)等の酸性成分のみで前処理を施した場合には、湿式法合成シリカ成分がそれぞれアルカリ性、酸性になるため好ましくなく、両方の成分がバランスよく存在し、かつpHが中性付近である事が必要である。原粉である湿式法合成シリカのpHについては用途、目的から考えると中性付近の5.5〜8.0の範囲にあることが好ましい。特にアルカリが強くなるとシリカの表面が経時によって変質、改質してしまい、本検討の目的とは別の問題が発生するので好ましくない。
また、湿式法合成シリカの場合、原料の天然鉱石に由来するアルミ系不純物を含有する事があるが、湿式法合成シリカ中の不純物としてアルミ量が多い場合、理由は定かではないが触媒効果が低下する傾向が観察された。経験的に原粉である湿式法合成シリカ中に含有するアルミ量は、Al2O3換算で0.5wt%未満であることが好ましいと考えている。
このようにして出来た原粉である湿式法合成シリカに対し、シリコーンオイルで疎水化処理を施した後の疎水性シリカ全体中に対する不純物量としては、Na成分、S成分がそれぞれNa2O換算で0.20〜1.20 wt%、SO3換算で0.25〜1.30 wt%でなければならない。原粉と含有量範囲に違いが生じるのは、疎水化処理時にシリコーンオイルの重量が加わることにより、シリカ全体の不純物の占める重量%が低下する為である。
原粉である湿式法合成シリカに対し、シリコーンオイルで疎水化処理する表面処理方法も特に限定しないが、以下に例示するように乾式混合による処理が一般的である。まず、乾燥状態でのシリカと所定量のシリコーンオイルをFMミキサー(ヘンシェルミキサー)等の乾式混合分散装置を用いて均一になるように混合攪拌を行って表面処理を施す。表面処理後は熱処理を行うと効果的であることは先述の通りであるが、具体的な熱処理の方法も特に限定されない。一般的には電気炉やネスコヒーター、キルン等の熱処理装置を用いて250〜400℃、0.5〜4.0時間程度の熱処理を施すことによりシリカ表面のシラノール基にシリコーンオイルが化学的に結合されるので長時間の疎水化を維持することが出来る。
なお、シリコーンオイルはメチル基(-CH3)をはじめとする有機基を有しているため、疎水化処理を施した後、疎水性シリカ中の炭素量(C量)を測定する事で、シリコーンオイル処理量を逆算で求めることも可能である。
本発明の疎水性シリカの場合、強酸強塩基型中性塩化合物の触媒効果により低温、短時間でも溶出シリコーンオイルが極めて少ない疎水性シリカが効率的に製造できる。
本発明の疎水性シリカの用途も限定される事はないが、主に塗料の艶消し剤や樹脂充填剤、フィルムのアンチブロッキンブ剤等として用いることが出来る。
特にプラスチック表面にコーティングする塗料(ソフトフィールコーティング)の艶消し剤や透明性と艶消し性の両方が求められるフィルムコーティング用途、(たとえば液晶表面に貼り付ける防眩フィルム、アンチグレアフィルム)などでは溶剤タイプ、無溶剤タイプ共に、より好適に使用する事が出来る。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。但し、実施例は本発明の例示であって、本発明は実施例に限定される意図ではない。
実施例及び比較例における各種物性測定と試験は下記の方法によって行った。
1)DBA吸着量
乾燥試料250mgを精秤し、これにN/500のジ−n−ブチルアミン溶液(石油ベンジン溶媒)50mlを加え、20℃で約2時間放置する。この上澄液25mlにクロロホルム5ml、指示薬(クリスタルバイオレット)2〜3滴を加え、紫色が青色に変わるまでN/100の過塩素酸溶液(無水酢酸溶媒)で滴定し、この時の滴定値をAmlとする。
別にブランクを行ないBmlとし、次式によってDBA吸着量を算出した。
DBA吸着量(m・mol/kg)=80(B−A)f
ただし、fはN/100の過塩素酸溶液の力価
2)M値
メタノールの濃度を5容量%の間隔で変化させた水との混合溶液を調整し、これを容積10mlの試験管に5ml入れる。次いで供試粉体を0.1〜0.2g入れ、振り混ぜ静置後観察し、粉体が懸濁する最小のメタノールの濃度を知り、これをM値とする。
3)シリコーンオイル溶出量
シリコーンオイル等で疎水化処理を行ったシリカ1.0gをトルエン50gに添加し、ホモミキサー1,000 rpm×30分分散を行ったのち、遠沈管に移して常温で15時間静置する。この段階でトルエン中にシリコーンオイルが溶出している場合、発泡現象が観察される。遠心分離器を用いて3,000 rpm、5 minの条件で遠沈管の遠心分離を行ったのち上澄み液を捨てる。再びトルエンを加えて解した後に遠心分離を行う。再びトルエンを捨て、n-ヘキサンを加えて解した後に遠心分離する操作を2回行う。分離液を捨てたのち、80℃の乾燥器内で15時間以上乾燥し、残った固形分の炭素量分析を行う。ブランクのシリカの炭素量も分析を行い、次式によってトルエンとn-ヘキサンに溶出したシリコーンオイル量を求めた。
(式)
トルエン溶出シリコーンオイル量=
トルエン溶出前シリコーンオイル量(%)−トルエン溶出後シリコーンオイル量(%)
4)炭素量分析
シリコーンオイル溶出量の測定で用いる炭素量分析は、固体炭素分析装置(装置名:カーボンアナライザー、型式EMIA-110、堀場製作所社製)を用いて1,250℃、酸素流入圧0.07 MPa、測定時間90 sの条件で測定を行った。求められた炭素量から次式を用いてシリコーンオイル処理量を計算で求めた。
(式)
シリコーンオイル処理量(%)=
炭素分析測定値(%)×シリコーンオイル分子量/シリコーンオイル中の炭素量
5)不純物量
走査型蛍光X線分析装置(型式:ZSX PrimusII、リガク社製)を用いて各元素の定量分析を行った。測定結果は酸化物量に換算して出力した。
6)BET比表面積
全自動比表面積測定装置(型式:Macsorb(R) HM model-1200、株式会社マウンテック社製)を用いて1点法で測定を行った。
7)pH
pHメーター(型式:D-50 堀場製作所社製)を用いて原粉となる湿式法合成シリカについて測定を行った。(※疎水性シリカは水に馴染まないので測定不可)
[実施例1]
ケイ酸ソーダと硫酸を反応させてBET比表面積130 m2/gの沈澱法シリカを合成した。合成した沈澱法シリカは濾過、水洗を行い、シリカケークを得た。このシリカケークに水を加え、往復回転攪拌機(島崎エンジニアリング社製)にて再分散を行いながら、Na2O換算で0.50 wt%、SO3換算で0.60 wt%となるように硫酸ナトリウム(Na2SO4)を添加し、さらにpH調整のため水酸化ナトリウム(NaOH)を加え、pHが7.5のシリカスラリーとした。このシリカスラリーをスプレードライヤ(大川原化工機社製)で乾燥し、粉砕、分級工程を経て平均粒子径6.3μの沈澱法シリカを得た。次に、ジメチルシリコーンオイル KF96-50CS(信越化学社製)を10部(BET比表面積100 m2/gに対し7.7部)加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)にて10分間混合処理を行った。混合したのち、マッフル炉(ヤマト科学社製)にて300℃、1時間加熱処理を行って粒度調整をしたのち、疎水性の湿式法シリカを得た。原粉の物性及び疎水化後の物性、溶出量を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、Na2O換算で0.32 wt%、SO3換算で0.38 wt%となるように硫酸ナトリウム(Na2SO4)を添加した以外は実施例1と同様の方法で疎水性シリカを得た。
[実施例3]
実施例1において、シリコーンオイル処理量をBET比表面積100 m2/gに対し3.8部に変えた以外は実施例1と同様の方法で疎水性シリカを得た。
[実施例4]
実施例1において、Na2O換算で0.90 wt%、SO3換算で1.08 wt%となるように硫酸ナトリウム(Na2SO4)を添加した以外は実施例1と同様の方法で疎水性シリカを得た。
[実施例5]
原料のシリカを市販の沈降法シリカニップシールN-300A(BET比表面積150 m2/g)に変え、シリコーンオイル処理量をBET比表面積100 m2/gに対し6.7部に変えた以外は実施例1と同様の方法で疎水性シリカを得た。
[実施例6]
実施例5の沈殿法シリカのシリコーンオイル処理量をBET比表面積100 m2/gに対し3.3部に変えた以外は実施例1と同様の方法で疎水性シリカを得た。
[実施例7]
原料のシリカを市販のゲル法シリカニップジェルAZ-200(BET比表面積300 m2/g)に変え、シリコーンオイル処理量をBET比表面積100 m2/gに対し5.3部に変えた以外は実施例1と同様の方法で疎水性シリカを得た。
[実施例8]
原料のシリカを市販のゲル法シリカニップジェルBY-601(BET比表面積500 m2/g)に変え、シリコーンオイル処理量をBET比表面積100 m2/gに対し3.0部に変えた以外は実施例1と同様の方法で疎水性シリカを得た。
[比較例1]
実施例1において、硫酸ナトリウム(Na2SO4)を添加せずpH調整をしなかった事以外はすべて実施例と同様の方法で、疎水性シリカを得た。
[比較例2]
比較例1において、pH調整のために水酸化ナトリウム(NaOH)を添加しpHが10.8のシリカスラリーとした以外はすべて比較例1と同様の方法で、疎水性シリカを得た。
[比較例3]
実施例5において、硫酸ナトリウム(Na2SO4)を添加せずpH調整をしなかった事以外はすべて実施例5と同様の方法で、疎水性シリカを得た。
[比較例4]
比較例3において、pH調整のために硫酸(H2SO4)を添加しpHが3.2のシリカスラリーとした以外はすべて比較例3と同様の方法で、疎水性シリカを得た。
[比較例5]
市販の疎水性シリカの例としてニップシールSS-50Bを使用した
[比較例6]
実施例7において、硫酸ナトリウム(Na2SO4)を添加せずpH調整をしなかった事以外はすべて実施例7と同様の方法で、疎水性シリカを得た。
[比較例7]
市販の疎水性シリカの例としてニップシールSBY-61を使用した
本発明は疎水性シリカの製造方法に関して有用である。

Claims (10)

  1. 湿式法合成シリカをシリコーンオイルで表面処理した疎水性シリカであって、
    前記疎水性シリカは、
    (i)トルエンへのシリコーンオイル溶出量が、疎水性シリカ質量に対して0.2%未満である、但し、前記溶出量は、トルエンに2%の濃度で分散し、20℃で24時間経過後の分散前と対比したシリコーンオイル溶出率である、前記疎水性シリカ。
  2. 前記疎水性シリカは、ナトリウム成分の含有量がNa2O換算で0.20〜1.20 wt%であり、硫黄成分の含有量がSO3換算で0.25〜1.30 wt%である、請求項1に記載の疎水性シリカ。
  3. シリコーンオイルの処理量が原料シリカのBET比表面積100 m2/gあたり3部〜9部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の疎水性シリカ。
  4. (ii)M値が20%以上であり、及び/又は
    (iii)DBA吸着量が100 m・mol/kg未満である、
    請求項1又は2に記載の疎水性シリカ。
  5. 湿式法合成シリカをシリコーンオイルで表面処理した疎水性シリカの製造方法であって、
    強酸強塩基型中性塩化合物を存在させた湿式法合成シリカの表面にシリコーンオイルを被覆し、次いで、被覆したシリコーンオイルと湿式法合成シリカのシラノール基とがシロキサン結合を形成する条件に供して、疎水性シリカを得ることを含む、前記方法。
  6. 前記強酸強塩基型中性塩化合物が硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸カリウム、塩化カリウムまたはそれらの混合物である請求項5に記載の製造方法。
  7. 湿式法合成シリカの表面における前記強酸強塩基型中性塩化合物の存在量が、0.3〜3.0%の範囲である請求項5又は6に記載の製造方法。
  8. 前記疎水性シリカは、トルエンへのシリコーンオイル溶出量が、疎水性シリカ質量に対して0.2%未満である、但し、前記溶出量は、トルエンに2%の濃度で分散し、20℃で24時間経過後の分散前と対比したシリコーンオイル溶出率である、請求項5〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 前記疎水性シリカは、
    (i)M値が20%以上であり、及び/又は
    (ii)DBA吸着量が100 m・mol/kg未満である、請求項5〜7のいずれかに記載の製造方法。
  10. 前記シリコーンオイルが、動粘度が500センチストークス以下であるシリ
    コーンオイルである請求項5〜9のいずれかに記載の製造方法。
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