JP3534464B2 - 部分疎水性化沈降ケイ酸 - Google Patents

部分疎水性化沈降ケイ酸

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は有機ゴム用補強充填剤に
関し、詳しくは高補強特性を維持し、且つ作業性加工性
に優れた有機ゴム補強充填剤としての部分疎水性化沈降
ケイ酸を提供しようとするものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ゴム状
性質を有するポリマーとしては、大きくはSBR、天然
ゴム等に代表される有機ゴム及びシリコーンゴム等に代
表される無機系ゴムとに分類される。この有機ゴム(以
下単にゴムと称する)の補強充填剤としては、従来一般
的にはカーボンブラック及びシリカ系の粉末が多用され
ている。充填剤としてのカーボンブラックは、その粒子
表面上の種々の官能基、例えばカルボン酸基、水酸基、
アルデヒド基、キノン基あるいはケトン基等のゴム分子
と親和性の高い基を有している故か、ゴムへの充填時の
混練作業時に容易に分散し且つ、高強度高耐摩性等の優
れたゴム物性を与えることが認められている。
【0003】一方、シリカ系充填剤としては、その製法
上等の違いから種々の群に分けられ、例えば乾式法シリ
カ、沈降ケイ酸、ゲル法シリカあるいはケイ酸塩類が挙
げられる。乾式法シリカとしては高純度低水分吸着性の
特長から、シリコーンゴムに多用され、ゲル法シリカと
して、その粒子特性からゴム補強充填剤用としてよりも
むしろ塗料用の填剤として使用されている。又、沈降ケ
イ酸は、その合成段階における諸条件のコントロールに
より、広範囲のBET比表面積を有した製品を得ること
が出来、従ってゴム補強性能もある程度自由に制御可能
であることから、ゴム補強充填剤としてカーボンブラッ
クにつぎ最も多用されている。
【0004】この沈降ケイ酸はBET比表面積40〜4
00m2 /g程度の範囲内のものが種々合成されてお
り、ゴム補強充填剤としてもその要求特性に合わせ、各
種BET比表面積範囲のものが選択・使用されている。
一般的には、高BET比表面積の沈降ケイ酸は高補強特
性を有し、低BET比表面積の沈降ケイ酸は低補強特性
となる。低BET比表面積の沈降ケイ酸の場合、加工の
容易な低粘度ゴム配合物を必要とする場合や、高充填剤
ゴム配合物を必要とする場合等に使用されている。
【0005】しかしながら、沈降ケイ酸の粒子表面上の
官能基としては、シラノール基(≡Si−OH)あるい
はシロキサン基(≡Si−O−Si≡)及び若干の不純
物元素に由来するイオン性官能基等に限られる。いずれ
の官能基もカーボンブラック粒子表面上に見られる有機
性官能基からなるゴム分子等有機分子との親和性の強い
基とは異なり、むしろ親水性の強い基で覆われている。
さらに、この沈降ケイ酸粒子表面官能基の1つであるシ
ラノール基は弱酸性を示す。そのためか、ゴム補強充填
剤として使用した場合、ゴムとのぬれ性が悪く、従って
ゴム混練作業時間を長く必要としたり、ゴムコンパウン
ドのムーニー粘度が高くなる。さらには、ゴム配合物を
加硫する際にその粒子表面が酸性であることから、加硫
促進剤として使用される塩基物質を必要以上に吸着し、
加硫時間を長く必要とする等の欠点を有していた。
【0006】他方、沈降ケイ酸を充填したゴム組成物
は、カーボンブラックを充填したゴム組成物に較べ、自
由着色性を有し環境汚染性が少ない、耐引き裂き性の改
良に優れる、あるいは内部発熱を小さくできることから
省エネ性に優れるといった特性を有する。そしてこれら
の特性を利用して、近年益々沈降ケイ酸がゴム補強充填
剤として重要視されるようになってきている。しかしな
がら、前記したように沈降ケイ酸をゴム補強充填剤とし
て使用した場合、高補強特性を維持しようとするとBE
T比表面積の比較的高い沈降ケイ酸を使用しなければな
らず、この場合必然的にゴム混練性が悪くなったり、ゴ
ム配合物の粘度が高くなり、従って加工性が悪くなるな
どの欠点が顕著となり、その使用拡大の大きな障害とな
っていた。
【0007】沈降ケイ酸には、上述のように、ゴム混練
作業時間を長く必要とする等の欠点がある反面、着色が
自由にでき、ゴムの耐引き裂き性を改善できる等の利点
がある。そこで、沈降ケイ酸の利点を維持しつつ、欠点
を解消する物として、疎水性沈降ケイ酸が提案され、一
部実用されている〔特公昭63−2886号、特開平6
−157825号〕。疎水性沈降ケイ酸とは、沈降ケイ
酸を有機ケイ素化合物で表面処理して、BET比表面積
が50〜150m2 /gの範囲となり、ジノルマルブチ
ルアミン吸着量が0〜100mmol/kgの範囲に入
るものである。ところが、沈降ケイ酸を疎水化処理する
ことで、物性は向上するが、価格も同時に向上し、その
用途が限られている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来より
も、安い価格で、しかも、従来の疎水性沈降ケイ酸と変
わらない物性を有する沈降ケイ酸を提供すべく種々検討
した。即ち、沈降ケイ酸をゴム補強充填剤として使用し
た時、ゴムの補強性能を十分に維持しながらゴム混練性
に代表される作業性、あるいはゴム配合物のムーニー粘
度に代表されるゴム加工特性をより低価格で改良する沈
降ケイ酸に関し鋭意研究を積み重ねた。その結果、沈降
ケイ酸粒子表面上のシラノール基を部分的に疎水化処理
することでも、前記した沈降ケイ酸の種々の問題点が改
良されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】即ち、本発明は、有機ケイ素化合物によっ
て表面処理された、BET比表面積が100〜200m
2 /gの範囲であり、ジノルマルブチルアミン吸着量が
70〜180mmol/kgの範囲であることを特徴と
する有機ゴム補強充填剤用の部分疎水性化沈降ケイ酸に
関する。以下、本発明について説明する。
【0010】本発明の部分疎水性化沈降ケイ酸は、BE
T比表面積が100〜200m2 /gの範囲である。B
ET比表面積が100m2 /g未満では、高補強特性を
維持することが困難であり、200m2 /gを超えると
ゴム配合物の粘度が下がらず、十分な加工性の改良を得
ることが困難となることから好ましくない。好ましいB
ET比表面積は、120〜180m2 /gの範囲であ
る。
【0011】沈降ケイ酸のBET比表面積は有機ケイ素
化合物の処理により、若干低下してくるので、処理前の
沈降ケイ酸を選択する場合注意を要する。即ち、処理前
の沈降ケイ酸のBET比表面積としては、150〜25
0m2 /g程度のものがゴム配合物の高補強特性を維持
するのに好ましく、処理後のBET比表面積としては前
記した範囲となるように処理するのが良い。処理前の沈
降ケイ酸のBET比表面積が高過ぎたり、処理量不足か
ら部分疎水性化沈降ケイ酸のBET比表面積が上記範囲
を超えて高過ぎる場合、ゴム配合物の粘度が充分に下が
らず、加工性の改良が充分なされないなどの問題とな
る。又、上記範囲を超えてBET比表面積が小さくなる
と処理の程度にかかわらず、ゴム補強特性が充分維持で
きなくなるので注意を要する。
【0012】ジノルマルブチルアミン(以下DBAと称
す)吸着量は、70mmol/kgを超え、180mm
ol/kg以下の範囲である。DBA吸着量は、沈降ケ
イ酸の疎水化の程度を表す指標であり、本発明の疎水性
沈降ケイ酸は、上記のようにDBA吸着量が100mm
ol/kgを超える、部分疎水性化沈降ケイ酸である。
DBA吸着量が、100mmol/kg以下では、十分
な高補強性を維持することか困難であり、180mmo
l/kgを超えるとゴム配合物の粘度が十分に下がら
ず、加工性の改良が十分なされなくなることから好まし
くない。好ましいDBA吸着量は、110〜170mm
ol/kgの範囲であり、より好ましくは120〜17
0mmol/kgの範囲である。
【0013】DBA吸着量の測定は、元来シリカ粒子表
面上のシラノール基が酸性を示し、ゴム配合物中の塩基
性物質である加硫促進剤等を吸着しゴムの加硫を遅らせ
る性質があること、従ってシリカ粒子のBET比表面積
が大きく補強性の大いなるシリカ充填剤であるほど、D
BA吸着量も大きくなり、この加硫を遅らせる傾向が強
くなることを示す目的で測定され始めた指標の1つであ
るが、本発明においても構成上の重要な項目であると考
えられる。即ち、DBA分子がシリカ表面上に吸着する
原理は、酸性を示すシラノール基とDBA分子中のアミ
ノ基とのイオン結合により成されるものと考えられる。
従って、当然のことながら親水性を有するシラノール基
の残留量を測定していることとなり、沈降ケイ酸表面の
親水部分及び有機処理された疎水化部分の比率を知るこ
とができる。
【0014】本発明の場合、処理前の沈降ケイ酸のBE
T比表面積を前記したように150〜250m2 /gと
すると、そのDBA吸着量は通常約250〜370mm
ol/kg程度である。処理後のDBA吸着量を70〜
180mmol/kgとすると、その疎水化部分の割合
は、28〜80%程度と推定される。DBA吸着量が必
要以上に小さくなると、補強に関与しているものと考え
られる親水性のシラノール基量が小さくなくなり過ぎる
為か、補強性が低下する。逆にDBA吸着量が高いまま
維持されている場合は、ゴムの有機物とのめれ性の改善
不足からか、加工性の改良があまり見られない。又、ゴ
ム分子との反応活性基を有するシランカップリング剤等
を併用する場合においても、若干のシラノール基が沈降
ケイ酸粒子表面上に残留していないとシランカップリン
グ剤と反応できる部位がなくなる可能性もあるので、こ
のDBA吸着量は重要な指標となるものと考えられる。
【0015】本発明の部分疎水性化沈降ケイ酸は、好ま
しくは、pHが5〜11の範囲である。処理前の沈降ケ
イ酸のpH値は、通常中性付近である。しかし、有機ケ
イ素化合物によって表面処理すると、副生する物質によ
り、pH値が変動してくる場合がある。この場合であっ
ても、pH値は5〜11、より好ましくは7〜10であ
るのが良い。あまりにpH値が低い場合加硫を遅らせる
ことがあり、またあまりにpH値が高過ぎると、未加硫
物の焼け現象(スコーチ)を起こすことがある。
【0016】ゴム補強充填剤として使用される沈降ケイ
酸としては、さらに粒状化されていることも大事な要素
である。微粉のままである場合ゴム混練時に飛散が起こ
り、作業環境の悪化を招くばかりでなく、バンバリー等
混練機での処理量、処理速度にも影響を及ぼす。そこ
で、本発明の部分疎水性化沈降ケイ酸は、造粒され、嵩
比重200〜350g/リットルを有するものが好まし
い。より好ましい嵩比重は230〜320g/リットル
の範囲である。嵩比重が低過ぎると、顆粒状粒子の強度
が弱く、運搬時あるいは計量等の作業時に粒子の破壊が
起き、作業性が低下する傾向がある。又、嵩比重があま
りに大きくなり過ぎると、顆粒状粒子が硬くなり過ぎる
のでゴムに混練した場合分散不良を引き起こすこともあ
り、高補強特性を維持できなくなることがある。
【0017】本発明の部分疎水性化沈降ケイ酸は、上記
のように高い嵩比重を有することが好ましく、さらに、
粒子硬度が10〜30gfの範囲であることが好まし
い。嵩比重の場合と同様に、粒子硬度が高過ぎると、ゴ
ム中での分散が悪くなる傾向があり、低過ぎると、粒子
の破壊が起き易くなり好ましくない。粒子硬度は、後述
するJIS K−6221の方法に従って測定した値で
ある。好ましい粒子硬度は、15〜25gfの範囲であ
る。
【0018】本発明の部分疎水性化沈降ケイ酸は、凝集
粒子の平均粒子径が、作業性などの観点から粉塵発生の
少ない0.1〜10mm程度のものが良く、さらに好ま
しくは、造粒後、整粒を実施し0.3mm以下程度の粒
子を除去し、平均粒子径として0.5〜10mm程度の
形態にしたものが良い。あまりに粒径を大きくすると、
かえって嵩密度が小さくなることもあるので効果的でな
くなる。
【0019】本発明において用いられる沈降ケイ酸を得
るための製造方法は、特に制限されることなく、種々公
知の反応方法が採用できる。沈降ケイ酸を得る方法とし
ては、例えば所定の濃度に調製されたケイ酸ソーダ水溶
液が張り込まれた反応槽中に、一定の温度を保ちながら
硫酸が数段階に分けて添加される片側添加反応方式、あ
るいは、あらかじめ一定量の温水が張り込まれた反応槽
中に、一定のpHを保ちながらケイ酸ソーダ水溶液及び
硫酸が一定時間添加される同時添加反応方式等があり、
いずれの方式も採用できる。得られた反応スラリー液は
常法に従って濾過、水洗、乾燥すれば良い。
【0020】本発明の部分疎水性化沈降ケイ酸は、沈降
ケイ酸を有機ケイ素化合物を用いて、所定の物性となる
ように表面処理することにより得られる。本発明におい
て使用され得る有機ケイ素化合物の例として、トリメチ
ルシラノール、トリメチルモノクロルシラン、ジメチル
ジクロルシラン、トリエチルモノクロルシランなどのク
ロルシラン化合物、トリメチルモノメトキシシラン、ジ
メチルジメトキシシラン、トリエチルモノメトキシシラ
ンなどのアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン
あるいはヘキサエチルジシラザンなどの含チッソ化合
物、あるいは、シリコーンオイル、低分子量環状ポリシ
ロキサンなどのシロキサン化合物等が挙げられる。
【0021】これらの有機ケイ素化合物を用いてシリカ
系充填剤の表面処理を行い、疎水性化されることは既に
知られていることである。しかし、本発明においては、
前述するように、単に充分な疎水性化を実施すれば良い
ということではなく、部分的な疎水性化を実施すること
が重要である。有機ケイ素化合物のより好ましいものと
しては、反応活性を有する官能基の数が2以下のものが
良い。即ち、シリカ粒子表面上のシラノール基を有機基
により処理する際に、3官能性の処理剤を用いた場合、
処理後再度シラノール基が発生し、効果的にシラノール
基を減少させ得ないことも考えられる。より好ましい処
理剤の具体例としては、汎用性の点からも、トリメチル
シラノール、トリメチルモノクロルシラン、トリメチル
モノメトキシシラン、トリメチルモノエトキシシラン、
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラ
ン、あるいはヘキサメチルジシラザンン等が挙げられ
る。
【0022】本発明の部分疎水性化沈降ケイ酸を得る際
の有機ケイ素化合物による沈降ケイ酸の処理法として
は、ヘンシェルミキサー等の高速流動混合機等が処理の
均一性が得られ易く好ましい処理法であるが、この方法
に限られるものではない。沈降ケイ酸の処理に用いる有
機ケイ素化合物の量は、所望のBET比表面積及びジノ
ルマルブチルアミン吸着量が得られるように調整する。
尚、これら所望の物性を得るには、一般に、公知の疎水
性化沈降ケイ酸を得るための有機ケイ素化合物の使用量
のおよそ半分以下で済む。処理時の沈降ケイ酸の含有水
分としては、有機ケイ素化合物が加水分解性の官能基を
有していることからも適度の水分、約3〜10%である
のが良く、処理後加熱操作を実施しても良い。上記した
ような方法により得られた部分疎水性化沈降ケイ酸は、
撥水性をも示すようになる。しかしながら、その疎水性
化の割合が低い場合や処理直後においては、未だ粉末と
しては水に浮く程の撥水性を示さない場合もあるが、い
ずれもゴム補強性能としては大差なく、所定のBET比
表面積、DBA吸着量、及びpH値を有するように調製
すれば良い。
【0023】造粒方式としては、湿式で行う押し出し造
粒や転動造粒あるいは乾式で行うロール加圧式造粒やブ
リケットマシーンを用いて行う成形造粒等があげられ、
いずれの方式によって造粒することも可能であるが、本
発明の部分疎水性化沈降ケイ酸の場合においては、連続
生産性、多量生産性等を考慮し、乾式造粒法がより好ま
しい造粒法として挙げられる。
【0024】本発明の部分疎水性化沈降ケイ酸をゴムに
充填する方法は、公知の方法が特に制限されず採用でき
る。例えば、SBR等生ゴムへの混練においてはロール
あるいはバンバリーミキサー等を用いて行うことができ
る。ゴムに対する沈降ケイ酸の充填量は特に制限されな
いが、一般的にはゴムに対して10〜100重量部の範
囲で充填することが可能である。
【0025】
【実施例】以下本発明を更に具体的に実施例及び比較例
を挙げて説明する。なお各物性値等の測定は次に示す方
法により実施した。 1)BET比表面積 カンターソープ(米国 Quantachrome 社製)を用いて1
点法により測定した。 2)DBA吸着量 105℃、2時間で乾燥した試料250mgを精秤し、
これに50mlの1/500N−DBA溶液(石油ベン
ジン溶媒)を加え、20℃で2時間放置する。この上澄
液25mlにクロロホルム5ml、クリスタルバイオレ
ット指示薬2〜3滴を加え、紫色が青色に変わるまで1
/100N−過塩素酸溶液(無水酢酸溶媒)で滴定し、
この時の滴定値をAmlとする。別にブランクを行いB
mlとし、次式によってDBA吸着量を算出した。 DBA吸着量(mmol/kg)=80(A−B)f 但し、fは1/100N−過塩素酸溶液の力価( R.Mey
er; Kautschuku. Gummi., 7[8],180-182(1954)参照)
【0026】3)pH (イ)撥水性を示さない場合 蒸留水50mlを100mlビーカーに採り、試料2g
を加える。約5分間充分にかき混ぜ、指示値の安定した
値をガラス電極pHメーターで読み取る。 (ロ)撥水性を示す場合 試料2gを100mlビーカーに採り、エチルアルコー
ル25mlを用いて完全に湿潤させた後、蒸留水25m
lを加えよく混合する。以下(イ)項と同様の操作によ
りpH値を読み取る。 4)嵩比重 試料の一定量をメスシリンダーに流し込み、その時の容
積を読み取り、嵩比重を計算した。 5)平均粒子径 JIS標準フルイを用いて測定した。 6)粒子硬度 JIS K−6221 6.3.3造粒粒子の硬さ測定
法に従って測定した。
【0027】7)ゴム配合時の評価 7−1)配合 SBR 1502 ; 100重量部 ステアリン酸 ; 1重量部 活性亜鉛華 ; 3重量部 促進剤 D(DPG) ; 1.2重量部 促進剤 DM(MBTS) ; 0.8重量部 イオウ ; 2重量部 PEG ; 3重量部 試料沈降ケイ酸 ; 50重量部
【0028】7−2) 混練、加硫及び試験条件 混練;8インチ×17インチのロールを用いて、全混練
時間8分間で実施した。 加硫;蒸気加熱プレスを用い、加硫温度150℃ 加硫時間 5〜30分の最適加硫時とした。 ムーニー粘度;島津製作所製 SMV−200型粘度を
用いて、温度125℃、Lローターを使用し測定した。 加硫物特性;JIS K−6301に従って実施した。 尚、ロール混練作業時の試料沈降ケイ酸の作業性、混入
性について、非常に優れるものを“◎”、優れているも
のを“○”、普通のものを“×”として表示した。
【0029】実施例1、2及び比較例1 市販の3号ケイ酸ソーダ水溶液(SiO2 /Na2 Oモ
ル比=3.2)を希釈し、Na2 O濃度を4.2wt%
とした水溶液と工業用濃硫酸を用いて、反応を行い、濾
過水洗後、静置乾燥後適度に粉砕し、BET比表面積2
11m2 /g、DBA吸着量296mmol/kg、嵩
比重246g/リットル、pH6.7、平均粒子径0.
21mm及び粒子硬度19gfの沈降ケイ酸を得た(比
較例1)。
【0030】この沈降ケイ酸にヘキサメチルジシラザン
3.5wt%を用い、ヘンシェルミキサーを用いて高速
混合を10分間実施し部分疎水性化沈降ケイ酸を得た
(実施例1)。この沈降ケイ酸は、BET比表面積18
9m2 /g、DBA吸着量161mmol/kg、嵩比
重230g/リットル、pH9.4、平均粒子径0.1
9mm及び粒子硬度19gfの値を示した。尚、この沈
降ケイ酸は処理直後では撥水性を示さなかったが、処理
後1ケ月では完全に水面上に浮き撥水性を示した。さら
に得られた部分疎水性化沈降ケイ酸をロール加圧式造粒
機により造粒、さらに粒度を1〜5mm範囲に調整し、
嵩比重287g/リットルの顆粒状部分疎水性化沈降ケ
イ酸を得た(実施例2)。得られた、それぞれの沈降ケ
イ酸をゴム配合し、その特性を評価した。結果を表1に
示す。
【0031】
【表1】
【0032】表1から、比較例1の沈殿ケイ酸は、BE
T比表面積及びDBA吸着量ともに本発明の範囲より高
く、この沈殿ケイ酸を用いたゴム配合物はムーニー粘度
が100を超え、実用が困難であった。一方本発明の部
分疎水性化沈殿ケイ酸(実施例1及び2)を用いたゴム
配合物は、混練作業性、ムーニー粘度、引張強度ともに
優れた、バランスの取れたものであった。尚、実施例1
の1ケ月経時後の部分疎水性化沈降ケイ酸は、DBA吸
着量が153mmol/kgに下っていたが、ゴム配合
時の作業性及び補強性能は同等であった。
【0033】実施例3〜6、比較例2〜5 市販の沈降ケイ酸であるニップシールNA及びニップシ
ールAQ(いずれも日本シリカ工業(株)製品)を用い
て、処理前の種類及び処理量を変化させて、各種の部分
疎水性化沈降ケイ酸を得た。尚、疎水化の処理方法及び
造粒方法は、実施例1の方法と同様に実施した。得られ
た各種の沈降ケイ酸をゴム配合し、その特性を評価し
た。結果を表2に示した。
【0034】
【表2】
【0035】表2に示すように、比較例2〜4の沈殿ケ
イ酸は、DBA吸着量が本発明の範囲より高く、この沈
殿ケイ酸を用いたゴム配合物はムーニー粘度が高く、実
用が困難であった。また、比較例5は、DBA吸着量が
本発明の範囲より低く、この沈殿ケイ酸を用いたゴム配
合物はムーニー粘度は良好な値を示したが、補強性能が
劣るものであった。一方本発明の部分疎水性化沈殿ケイ
酸(実施例2〜6)を用いたゴム配合物は、混練作業
性、ムーニー粘度、引張強度ともに優れた、バランスの
取れたものであった。尚、実施例6の部分疎水性化沈降
ケイ酸はpHが低く、加硫遅れを起こし易かった。しか
し、ゴム配合物に加硫調整剤を適量添加することで加硫
遅れを調整することはできる。
【0036】
【発明の効果】本発明の部分疎水性化沈降ケイ酸は、そ
の粒子表面のシラノール基が有機ケイ素化合物により、
適度に疎水化表面処理され、BET比表面積、DBA吸
着量、pH等が特定の範囲にコントロールされているこ
とから、有機ゴムへ配合混練した時、その混練作業性の
改善が成されるだけでなく、高い補強性を維持し、且つ
ゴムコンパウンドのムーニー粘度を大きく下げる効果を
有する。従って、加工性、生産性に非常に優れた高補強
性有機ゴムを得ることが可能となる。さらに、本発明に
おいて表面処理に使用する有機ケイ素化合物は、これま
での疎水性沈降ケイ酸での使用量のおよそ半分以下であ
る。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−157825(JP,A) 特開 平6−248116(JP,A) 特開 平6−32945(JP,A) 特開 平8−176345(JP,A) 特開 平6−316408(JP,A) 特開 昭46−1312(JP,A) 特公 昭63−2886(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09C 1/30 C08K 3/36 C08K 9/06 C08L 21/00 C09C 3/12

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機ケイ素化合物によって表面処理され
    た、BET比表面積が100〜200m2 /gの範囲で
    あり、ジノルマルブチルアミン吸着量が100mmol
    /kgを超え、180mmol/kg以下の範囲である
    ことを特徴とする有機ゴム補強充填剤用の部分疎水性化
    沈降ケイ酸。
  2. 【請求項2】 pHが5〜11の範囲であり、嵩比重が
    200〜350g/リットルの範囲であり、平均粒子径
    が0.1〜10mmの範囲であり且つ、粒子硬度が10
    〜30gfの範囲である請求項1記載の部分疎水性化沈
    降ケイ酸。
  3. 【請求項3】 有機ケイ素化合物がトリメチルシラノー
    ル、トリメチルモノクロルシラン、トリメチルモノメト
    キシシラン、トリメチルモノエトキシシラン、ジメチル
    ジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、及びヘ
    キサメチルジシラザンからなる群から選ばれる少なくと
    も1種である請求項1又は2記載の部分疎水性化沈降ケ
    イ酸。
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