JP2005008650A - クリアラバー用充填材 - Google Patents
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Abstract
【課題】ヒュームドシリカよりなり、低いシェアによりゴム中への分散が極めて良好であり、透明性が高く、しかも、耐候性が良好であり、伸び等のゴム特性や耐磨耗性にも優れたクリアラバーを得ることができる充填材を提供すること。
【解決手段】比表面積が230〜350m2/gであり、且つ吸着水分が0.5質量%以下であるヒュームドシリカよりなることを特徴とし、溶液重合型のスチレン−ブタジエンゴムおよびブタジエンゴムを主成分とするクリアラバーのゴム成分100重量部に対して、好適には5〜60重量部使用されてなるクリアラバー用充填材。
【選択図】 なし
【解決手段】比表面積が230〜350m2/gであり、且つ吸着水分が0.5質量%以下であるヒュームドシリカよりなることを特徴とし、溶液重合型のスチレン−ブタジエンゴムおよびブタジエンゴムを主成分とするクリアラバーのゴム成分100重量部に対して、好適には5〜60重量部使用されてなるクリアラバー用充填材。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒュームドシリカよりなる新規なクリアラバー用充填材に関する。詳しくは、ヒュームドシリカよりなり、クリアラバーの充填材として使用した場合、得られるクリアラバーが、透明性が良好で、且つ耐候性、耐磨耗性、及び伸び等のゴム特性にも優れるものになるクリアラバー用充填材である。
【0002】
【従来の技術】
クリアラバーは、高い透明性を有する未加硫ゴム、例えばBR(ブタジエンゴム)、S−SBR(溶液重合型スチレンブタジエンゴム)を主成分とするゴムに補強用の充填材を配合後、加硫して得られる透明性加硫ゴムであり、意匠性を付与するための材料や機能性材料として種々の用途が期待されている。
【0003】
クリアラバーの用途の一つとして、靴底としての用途がある。かかる用途においてクリアラバーを靴底にワンポイントとして使用して意匠性を付与する用途が一般的であるが、近年、靴底全体をクリアラバーによって構成する試みも成されつつある。この場合、クリアラバーには単なる透明性のみでなく、耐磨耗性、耐スリップ性等の機械的性能が要求される。
【0004】
従来、クリアラバーに上記機械的性能を与えるための充填材として、シリカ粒子を用いることが知られている(例えば、特許文献1参照)。上記特許文献1で使用されているシリカ粒子は湿式シリカであるが、該シリカ粒子として、分散性・透明性に優位性のあるヒュームドシリカを使用することも行われている。この場合、かかるヒュームドシリカとしては、通常、比表面積が200m2/g程度のものが使用されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−17717号公報(第4頁右欄第8行〜14行目)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記比表面積のヒュームドシリカを用いて製造したクリアーラバーでは、ゴムに高度な透明性を付与するまでには至らず、これを用いて製造した靴底はその意匠性において十分に満足できなかった。
【0007】
一般に、シリカ粒子を配合したゴム組成物において、その透明性を向上させるためには、該シリカ粒子として比表面積を大きいものを用いれば有効であることが知られている。しかしながら、クリアラバーにおいては、その素材のBR、S−SBR等のゴム成分、特にBRは、通常、シリカ粒子が充填材として使用されている他のゴムよりも腰が弱く混練時にシェアがかかり難いため、上記知見にしたがって比表面積の大きいヒュームドシリカを充填材として使用しても、ヒュームドシリカが十分に分散することができなくなり、得られるクリアラバーの透明性は僅かしか向上しないか、場合によっては逆に低下してしまい商品価値が損なわれる問題が生じていた。
【0008】
また、クリアラバーの耐候性が大きく低下し、経時的に黄変が発生したり、上記充填材の分散不良から、伸び等のゴム特性や耐磨耗性が大きく損なわれる問題も生じていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、ヒュームドシリカのクリアラバー用の充填材としての使用において、低いシェアによりゴム中への分散が極めて良好であり、透明性が高く、しかも、耐候性も良好であり、さらに、伸び等のゴム特性や耐磨耗性にも優れたクリアラバーを得ることができる充填材を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、比表面積の大きいヒュームドシリカであっても、その吸着水分が特定量以下のものを用いれば、クリアラバーに使用するゴム成分との混練時の分散性が大きく向上し、透明性に優れ、しかも、前記耐候性や耐磨耗性、ゴム特性にも優れるクリアラバーを実現可能な充填材となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、比表面積が230〜350m2/gであり、且つ吸着水分が0.5質量%以下であるヒュームドシリカよりなることを特徴とするクリアラバー用充填材である。
【0012】
また、本発明は、上記クリアラバー用充填材において、耐磨耗性、ゴム特性の効果に特に優れるものとして、塩素含有量が30ppm以下のヒュームドシリカからなるものも提供する。
【0013】
さらに、本発明は、上記効果に、より優れるものとして、これらのクリアラバー用充填材において、有機珪素化合物により表面処理されたものも提供する。
【0014】
本発明のクリアラバー用充填材は、公知のクリアラバーの製造において充填材として使用され、該クリアラバーに優れた透明性と、耐候性、耐磨耗性、ゴム特性を与える。
【0015】
【発明の実施の形態】
(クリアーラバー)
本発明において、クリアーラバーとは、透明性未加硫ゴム、具体的には、前記S−SBR(溶液重合型スチレンブタジエンゴム)およびBR(ブタジエンゴム)を主成分とし、これに必要に応じてIR(イソプレンゴム)等を混合したゴムに充填材、加硫促進剤、その他、必要に応じて、老化防止剤、活性剤などの公知のゴム用薬品を配合して加硫して得られるゴムの慣用名である。
【0016】
一般に、上記透明性未加硫ゴムの透明性は、JIS−K−7105に準じて厚さ2mmのシートにおいて測定される加硫後の全光線透過率が約80%以上という高い透明性を有する。また、これらの透明性未加硫ゴムは、S−SBR、BRに起因して、NR等の一般のゴムよりも腰が弱く混練時にシェアがかかり難いという特性を有している。
【0017】
上記透明性未加硫ゴムを具体的に例示すれば、BR、S−SBRおよびIRよりなる組み合わせ、BRとS−SBRとよりなる組合わせが好適であり、本発明の効果も顕著に発揮される。また、上記BR、S−SBRおよびIRよりなる透明性未加硫ゴムにおいて、各ゴム成分の配合割合は、BR65〜75重量部に対してS−SBR15〜35重量部、IR0〜10重量部が好ましい。
(クリアラバー用充填材の特徴)
本発明のクリアラバー用充填材は、比表面積が230〜350m2/gであり、且つ吸着水分が0.5質量%以下を満足するヒュームドシリカであることが極めて重要である。この構成により、上記比表面積の大きいヒュームドシリカを良好に分散させることができ、高い透明性を有するクリアラバーを製造することが可能になる。また、耐候性や耐磨耗性、さらには、伸び等のゴム特性の低下も良好に抑制することができる。前記したように、従来、クリアラバー用充填材としてヒュームドシリカを用いることは行われているが、このように大きな比表面積のものを用いることは実用的には行われておらず、さらには、通常、使用時のヒュームドシリカの吸着水分は1〜2質量%程度であるのが一般的であり、該大きい比表面積を有するヒュームドシリカにおいて、前記のように低吸着水分のものを用いることなど全く知られていない。
【0018】
ここで、ヒュームドシリカは、ハロゲン化シランの火炎加水分解によって得られる無定形シリカをいう。好適には、四塩化珪素ガスを酸素と水素の火炎中に通じ高温下、通常、1400〜1800℃で加水分解させて得たシリカをいう。
【0019】
こうしたヒュームドシリカにおいて、比表面積が230m2/g未満である場合、これを用いて得られるクリアラバーの透明性が低下する。一方、ヒュームドシリカの比表面積が350m2/gを超える場合、ゴム中で充分な分散性を得ることが困難になり、得られるクリアラバーの耐候性、耐磨耗性及びゴム特性が低下する。
【0020】
該ヒュームドシリカの比表面積は前記範囲であれば特に制限されないが、特に、250〜320m2/g、最も好適には270〜315m2/gが好ましい。なお、本発明において、ヒュームドシリカの比表面積は、窒素吸着によるBET法により測定した値をいう。
【0021】
また、本発明のクリアラバー用充填材において、ヒュームドシリカの吸着水分が、0.5質量%を超える場合、前記大きい比表面積を有するヒュームドシリカをクリアラバーに混合すると、得られるクリアラバーにおいて十分な透明性の改良効果が得られなくなる。また、該クリアラバーは、経時的に黄変し易く耐候性に劣るものになり、さらに、伸び等のゴム特性や耐磨耗性にも劣るものになる。
【0022】
該ヒュームドシリカの吸着水分は前記範囲であれば特に制限されないが、特に、0.01〜0.3質量%が好ましい。なお、本発明において、ヒュームドシリカの吸着水分は、クリアラバーに配合時の吸着水分量であり、JIS K6220に準拠して、105℃で2時間乾燥した際の質量の減量分を測定する方法により求めた値をいう。
【0023】
本発明のクリアラバー用充填材において、得られるクリアラバーを、伸び等のゴム特性、耐磨耗性、黄変防止等に特に優れたものにするためには、その塩素含有量が特定の値以下に少ないものが好ましい。すなわち、クリアラバー用充填材の塩素含有量が多いとゴムの混練や加硫時等、さらには経時的にゴム成分に悪影響を与え、上記物性を低下さる傾向があるため、使用するクリアラバー用充填材は、30ppm以下、特に28ppm以下であるのが好ましい。
【0024】
なお、本発明において、ヒュームドシリカの塩素含有量は、以下の方法で測定される粒子に含まれる塩素の量である。すなわち、ヒュームドシリカの塩素含有量は、一定量の試料を水酸化ナトリウム溶液で加熱溶解後、硝酸水溶液を加え、さらに、チオシアン酸第2水銀アルコール溶液と鉄ミョウバン水溶液を加えて、生成するチオシアン酸鉄錯塩の量を比色法で定量することにより測定された値をいう。
【0025】
本発明で使用するヒュームドシリカのその他の物性は、特に制限されるものでないが、通常、pH(5%懸濁液で測定)は、有機珪素化合物により表面処理されていないヒュームドシリカであれば4.0〜4.5であるのが好ましく、嵩密度は 50〜150g/lであるのが好ましい。
(クリアラバー用充填材の製造方法)
本発明のクリアラバー用充填材は、公知のヒュームドシリカの中から、上記比表面積および吸着水分の性状を満足するものを適宜に採択して使用すればよい。ハロゲン化シランを火炎加水分解するヒュームドシリカの製造方法は、例えば、特開昭59−169922号公報、特開昭60−11218号公報等に記載される公知の方法に準じて実施すればよい。
【0026】
ハロゲン化シランの火炎加水分解によって得られたヒュームドシリカの吸着水分量は、製造直後は極僅かでしかないが、該ヒュームドシリカの表面には水分を吸着し易いシラノール基が存在するため、シリカ粒子が湿気を帯びた雰囲気に放置されると、前記した1質量%を超える値まで次第に吸湿していく。したがって、上記常法等により製造されたヒュームドシリカにおいて比表面積が230〜350m2/gにあるものをすぐにアルミニウム蒸着フィルム等の防湿袋に封入し、使用時まで水分の吸着が生じ難い状況に厳格に管理することなどにより、前記の低い吸着水分量が維持されているものであれば、これをそのまま使用してもよい。
【0027】
一般には、ヒュームドシリカを有機珪素化合物により表面処理する方法や、前記1質量%を超える通常の域まで吸湿したものを100〜700℃で1〜120時間加熱する等の方法により、本発明で特定する前記値まで吸着水分量を低減させたものを用いるのが好ましい。
【0028】
このうち有機珪素化合物により表面処理したものを用いるのが好ましい。シリカ表面に存在するシラノール基は、該表面処理により有機珪素化合物により置換されて、その存在量が大きく低減する。その結果、表面処理されたヒュームドシリカでは、上記表面シラノール基に吸着される水分量を大幅に低減させることができ、該吸着水分量を前記0.5質量%以下の値まで低下させることができる。このように表面のシラノール基を低減させたヒュームドシリカを用いた場合、本発明の効果、特に伸び等のゴム特性や耐磨耗性が優れたものになる効果が顕著に発揮されるものになり有用である。
【0029】
有機珪素化合物としては、シランカップリング剤等のシリカの表面処理剤として使用されている公知のものが特に制限なく使用される。具体的には、ヘキサメチルジシラザン、N−メチル−ヘキサメチルジシラザン、N−エチル−ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチル−N−プロピルジシラザン等のシラザン類;トリメチルクロロシラン、モノメチルトリクロロシラン、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン、プロポキシトリメチルシラン、ジメチルアミノトリメチルシラン、ジエチルアミノトリメチルシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等のシラン類;トリメチルシラノール、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルトリシクロシロキサン、末端基を−H、−OH、又はアルキル基等で封止された、1分子あたり2から1000個のシロキサン単位を有するポリジメチルシロキサンなどである。このうちジメチルジクロロシラン等のシラン類を使用するのが好ましい。
【0030】
上記有機珪素化合物の使用量は特に限定はされないが、本発明の効果を十分に発揮させるためには、ヒュームドシリカに対し1〜35質量%、より好適には1〜20質量%の処理量が好ましい。
【0031】
表面処理は、如何なる反応形態で実施しても良く、例えば液相で反応させても良いが、好適には気相での反応が、反応性が高く好ましい。また、反応装置も、流動床式、固定床式のいずれでも良く、単なる混合機、圧力容器等を用いて実施しても良い。反応を促進するため、水やアンモニア等の塩基性物質を添加して反応を実施しても良い。反応温度、時間については特に制限はないが、常温〜600℃、好ましくは50〜400℃の温度範囲で、10分以上、好ましくは60〜180分保持し反応を行なえばよい。
【0032】
さらに、このようにして表面処理したヒュームドシリカが凝集粒子を形成している場合には、ボールミル、振動ミル、タワーミル、コニカルミル等の公知の粉砕機を用いることにより機械的粉砕するのが好ましい。通常、表面処理の前後でヒュームドシリカの比表面積は変動するため、表面処理に際しては、本発明が特定する230〜350m2/gの範囲外にならないように注意する。また、表面処理に供するヒュームドシリカとしては、上記230〜350m2/gの範囲外のものを使用してもよい。
【0033】
一方、本発明のクリアラバー用充填材として、前記塩素含有量が30ppm以下のヒュームドシリカを用いる場合は、通常のハロゲン化シランを通常の火炎加水分解法により製造したヒュームドシリカは、該塩素含有量が30ppmを超えるものになることが多いため、例えば、ヒュームドシリカの製造後、200〜500℃の温度下、加熱流動床、加熱固定床等の手段により加熱処理を行うことにより塩素量の少ないものとして得ることが可能である。また、公知のヒュームドシリカの中から、こうした処理を経る等して該塩素含有量の小さいものとして製造されたものを選別し使用してもよい。なお、有機珪素化合物により表面処理する場合は、該表面処理操作によって、上記含有塩素量が上記値を超えないように注意する。
(クリアラバーの製造方法)
本発明のクリアラバー用充填材を前記透明性未加硫ゴムに配合してクリアラバーを製造する際の配合量は、特に制限されるものではないが、得られるクリアラバーにおいて、耐摩耗性、耐スリップ性等の機械的性能を十分発揮し、他方、透明性、耐候性、耐磨耗性、ゴム特性等の良好さを維持するためには、ゴム100重量部に対して5〜60重量部、好ましくは20〜50重量部の割合が好ましい。
【0034】
上記配合において、他の添加剤、例えば加硫促進剤、老化防止剤、活性剤等、公知のものを併用することができる。また、クリアラバーを靴底等の意匠性が要求される用途に適用する場合には、意匠性をさらに向上させるために、顔料、染料等の着色剤、微細金属箔、ビーズ等の装飾用の充填材などを配合させてもよい。配合方法は、公知の方法、例えば、バンバリミキサー、ニーダー、オープンロール等を使用して行えばよい。
【0035】
上記成分の配合された透明性未加硫ゴムは、任意の形状に成形された後、加硫することによってクリアラバーが得られる。かかる加硫条件は、公知の条件が特に制限なく採用される。例えば、140〜170℃の温度で、3〜10分程度行うのが一般的である。
【0036】
このようにして得られるクリアラバーの透明性は、通常、JIS−K−7105に準じて、厚み2mmのシートにおいて測定される全光線透過率が70%以上になる。特に、透明性が良好な、S−SBR、BRを主成分とする透明性未加硫ゴムをゴム成分として使用した場合、比表面積の大きいヒュームドシリカを使用している効果は、顕著に発揮されて、上記全光線透過率は70〜90%、場合によっては90%以上にも達する。
【0037】
即ち、本発明によれば、S−SBR、BRを主成分とするゴム成分100重量部に対して、ヒュームドシリカよりなる充填材を20〜50重量部の割合で配合してなり、厚み2mmのシートにおいて測定される全光線透過率が70%以上であることを特徴とするクリアラバーを提供することができる。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を更に具体的に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0039】
尚、本発明において、各種物性、試験は下記の方法により実施したものである。
▲1▼比表面積
簡易型窒素吸着法によるBET1点法により求めた。
▲2▼吸着水分
JIS K6220に準拠した方法で測定した。
【0040】
試料を秤量瓶に入れた後に105℃、2時間加熱してその減量分から吸着水分量を算出した。
▲3▼含有塩素量
試料1gを5N水酸化ナトリウム水溶液10ml中に投入し、加熱溶解した後に硝酸水溶液(濃硝酸を3倍量の水で希釈したもの)20mlを加え、室温で30分間放置した(シリカのコロイド状溶液が得られる)。次いで、0.3質量%チオシアン酸第2水銀アルコール溶液10mlを加え、さらに、10質量%鉄ミョウバン水溶液10mlを加え、液量が100mlになるまで水を加えた後、室温で30分間静置し、液中に生成しているチオシアン酸鉄錯塩の量を比色法(460nm)で定量することにより、塩素の含有量を求めた。
▲4▼5%懸濁液のpH
JIS K6220に準拠した方法で測定した。
【0041】
試料5gを純水100ml中に入れた後、5分間攪拌し、次いで10分間静置させた後にpH計で測定を行なった。
▲5▼クリアラバーの透明性
2mmの厚みに成形したシートを用いて、そのシートの下に印刷物を置き、該シートの全光線透過率を測定し評価した。評価は、全光線透過率が90%以上であり透明性が極めて高い状態を5、全光線透過率が50%未満であり透明性が著しく低い状態を1として5段階で行った。
【0042】
なお,本測定はJIS K7105に準じて行なった。
【0043】
【表1】
▲6▼クリアラバーの黄変
2mmの厚みに成形したシートを用いて、このシートを70℃ RH90%の条件下で3日間放置した。そのシートを用いて、シートの下に白色の紙を敷き、目視で黄変を評価した。評価は、全く黄変がない状態を5、著しく黄変した状態を1として5段階で行った。
▲7▼クリアラバーの耐摩耗性
アクロン磨耗機を用い、JIS K−6264に準じて測定を行った。
▲8▼クリアラバーの引張強度及び伸び
JIS K−6301に準じて測定した。
【0044】
実施例1
比表面積が312m2/gのヒュームドシリカを製造直後にアルミニウム蒸着フィルム製の防湿袋に入れ外気から遮断した状態にして水分の吸湿を防止し、クリアーラバー製造直前に該防湿袋から取り出して、クリアラバー用充填材として供した。
【0045】
このときのヒュームドシリカの吸着水分量は0.2質量%であった。また、含有塩素量は23ppmであり、5%懸濁液のpHは4.1であった。
【0046】
クリアラバーの製造は、以下の方法に従って行なった。上記ヒュームドシリカを、加硫後の全光線透過率が81%である市販の透明な未加硫ゴム(BR:70重量部/S−SBR:30重量部)100重量部に対して、35重量部の割合になるように配合後、ニーダーにて混練した。次いで,上記得られた組成物に加硫促進剤、老化防止剤を配合してさらに混練を行なった後に、温度160℃で8分間加硫してクリアラバーシートを得た。
【0047】
得られたクリアラバーシートの諸物性を表2に示した。
【0048】
実施例2
比表面積が255m2/gのヒュームドシリカを製造直後にアルミニウム蒸着フィルム製の防湿袋に入れ外気から遮断した状態にして水分の吸湿を防止し、クリアーラバー製造直前に該防湿袋から取り出して、クリアラバー用充填材として供した。
【0049】
このときのヒュームドシリカの吸着水分量は、0.18質量%であった。また、含有塩素量は25ppmであり、5%懸濁液のpHは4.1であった。
【0050】
このようにして得られたヒュームドシリカを使用して、実施例1と同様にしてクリアラバーシートを製造した。
【0051】
得られたクリアラバーシートの諸物性を表2に示した。
【0052】
実施例3
実施例1において、含有塩素量が43ppmと大きく、比表面積(312m2/g)、吸着水分量(0.2質量%)、及び5%懸濁液のpH(4.1)はそれぞれ同じ値であるヒュームドシリカをクリアラバー用充填材として用いる以外、実施例1と同様にしてクリアラバーシートを製造した。
【0053】
得られたクリアラバーシートの諸物性を表2に示した。
【0054】
実施例4
比表面積が308m2/gのヒュームドシリカを製造後に紙袋に充填し、製品倉庫内に3ヶ月放置し吸湿させた。このときのヒュームドシリカの吸着水分量は、1.4質量%まで上昇していた。
【0055】
このヒュームドシリカを105℃で1時間加熱し吸着水分量を0.34質量%まで減らした後に、クリアラバー用充填材として供した。なお、このヒュームドシリカの含有塩素量は27ppmであり、5%懸濁液のpHは4.1であった。
【0056】
このようにして得られたヒュームドシリカを使用して、実施例1と同様にしてクリアラバーシートを製造した。
【0057】
得られたクリアラバーシートの諸物性を表2に示した。
【0058】
実施例5
比表面積が260m2/gのヒュームドシリカを製造後にバットに入れて、実験室内に半年間放置し吸湿させた。このときのヒュームドシリカの吸着水分量は、1.2質量%まで上昇していた。
【0059】
このヒュームドシリカを130℃で2時間加熱し吸着水分量を0.03質量%まで減らした後に、クリアラバー用充填材として供した。なお、このヒュームドシリカの含有塩素量は22ppmであり、5%懸濁液のpHは4.1であった。
【0060】
このようにして得られたヒュームドシリカを使用して、実施例1と同様にしてクリアラバーシートを製造した。
【0061】
得られたクリアラバーシートの諸物性を表2に示した。
【0062】
実施例6
比表面積が308m2/gのヒュームドシリカを製造後に紙袋に充填し、弊社製品倉庫内に3ヶ月放置し吸湿させた。このときのサンプルの吸着水分量は、1.4質量%まで上昇していた。
【0063】
このヒュームドシリカを600℃の電気炉中で2分間加熱し吸着水分量を0.42質量%まで減らした後に、クリアラバー用充填材として供した。なお、このヒュームドシリカの含有塩素量は19ppmであり、5%懸濁液のpHは4.1であった。
【0064】
このようにして得られたヒュームドシリカのサンプルを使用して、実施例1と同様にしてクリアラバーシートを製造した。
【0065】
得られたクリアラバーシートの諸物性を表2に示した。
【0066】
実施例7
比表面積298m2/gであり、含有塩素量が26ppmであるヒュームドシリカを用いて、このシリカをジメチルジクロルシランを処理剤として表面処理を施した。表面処理の方法は、ヒュームドシリカを反応器内で流動化させ、ここに該ヒュームドシリカ1kgに対して200gの割合で気化させたジメチルジクロルシランを導入し、350℃で40分間保持することにより実施した。最終的に得られた表面処理品の比表面積は275m2/g,カーボン量は2.1質量%であった。また、これの吸着水分量は0.11質量%であった。なお、含有塩素量は28ppmであり、5%懸濁液のpHは5.0であった。
【0067】
このようにして得られた表面処理したヒュームドシリカを使用して、実施例1と同様にしてクリアラバーシートを製造した。
【0068】
得られたクリアラバーシートの諸物性を表2に示した。
【0069】
実施例8
比表面積285m2/gであり、含有塩素量が25ppmであるヒュームドシリカを用いて、このシリカをヘキサメチルジシラザンを処理剤として表面処理を施した。表面処理の方法は、反応器内のヒュームドシリカに、該ヒュームドシリカ1kgに対して300gの割合のヘキサメチルジシラザンを霧状にしてふりかけ、密閉状態で300℃で3時間保持することにより実施した。最終的に得られた表面処理品の比表面積は255m2/g,カーボン量は1.8%であった。また、これの水分量は0.08質量%であった。なお、含有塩素量は19ppmであり、5%懸濁液のpHは5.0であった。
【0070】
このようにして得られた表面処理したヒュームドシリカを使用して、実施例1と同様にしてクリアラバーシートを製造した。
【0071】
得られたクリアラバーシートの諸物性を表2に示した。
【0072】
比較例1
比表面積が385m2/gのヒュームドシリカをアルミニウム蒸着フィルム製の防湿袋に入れ外気から遮断した状態にして水分の吸湿を防止し、クリアーラバー製造直前に該防湿袋から取り出して、クリアラバー用充填材として供した。
【0073】
このときのヒュームドシリカの吸着水分量は0.33質量%であった。また、含有塩素量は53ppmであり、5%懸濁液のpHは4.1であった。
【0074】
このようにして得られたヒュームドシリカを使用して、実施例1と同様にしてクリアラバーシートを製造した。
【0075】
得られたクリアラバーシートの諸物性を表2に示した。
【0076】
比較例2
比表面積が208m2/gののヒュームドシリカをアルミニウム蒸着フィルム製の防湿袋に入れ外気から遮断した状態にして水分の吸湿を防止し、クリアーラバー製造直前に該防湿袋から取り出して、クリアラバー用充填材として供した。
【0077】
このときのヒュームドシリカの吸着水分量0.11質量%であった。また、含有塩素量は26ppmであり、5%懸濁液のpHは4.1であった。
【0078】
このようにして得られたヒュームドシリカを使用して、実施例1と同様にしてクリアラバーシートを製造した。
【0079】
得られたクリアラバーシートの諸物性を表2に示した。
【0080】
比較例3
比表面積が312m2/gのヒュームドシリカを製造後に紙袋に充填し、弊社製品倉庫内に3ヶ月放置し吸湿させた。このときのヒュームドシリカの吸着水分量は、1.3質量%まで上昇していた。また、含有塩素量は29ppmであり、5%懸濁液のpHは4.1であった。このヒュームドシリカをそのままクリアラバー用充填材として供した。
【0081】
このようにして得られたヒュームドシリカを使用して、実施例1と同様にしてクリアラバーシートを製造した。
【0082】
得られたクリアラバーシートの諸物性を表2に示した。
【0083】
比較例4
比表面積が255m2/gのヒュームドシリカを3層クラフト紙袋に充填し、弊社製品倉庫内に6ヶ月放置し吸湿させた。このときのヒュームドシリカの吸着水分量は、1.2質量%まで上昇していた。また、含有塩素量は27ppmであり、5%懸濁液のpHは4.1であった。このヒュームドシリカをそのままクリアラバー用充填材として供した。
【0084】
このようにして得られたヒュームドシリカを使用して、実施例1と同様にしてクリアラバーシートを製造した。
【0085】
得られたクリアラバーシートの諸物性を表2に示した。
【0086】
【表2】
【発明の効果】
以上の説明より理解されるように、本発明のクリアラバー用充填材は、透明性未加硫ゴムに配合して混練する際、比表面積の大きいヒュームドシリカであるにも拘わらず、少ないシェアによっても分散性が良好であり、得られるクリアラバーは優れた透明性を有するものになる。
【0087】
また、本発明の充填材を用いて得られるクリアラバーは、耐候性が良好であり、経時的に黄変することが高度に抑制される。さらに、該クリアラバーは、耐磨耗性や耐スリップ性に優れる他、上記充填材の高分散によって、伸び、引裂強度等のゴム特性についても良好な値が維持されている。
【0088】
このような性状を有する本発明にかかるクリアラバーは、その優れた透明性とゴム特性により、靴底、卓上マット等の意匠性が要求される用途において好適に使用される。特に、機械的特性に優れている点から、靴底に用いるのが最も効果的である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒュームドシリカよりなる新規なクリアラバー用充填材に関する。詳しくは、ヒュームドシリカよりなり、クリアラバーの充填材として使用した場合、得られるクリアラバーが、透明性が良好で、且つ耐候性、耐磨耗性、及び伸び等のゴム特性にも優れるものになるクリアラバー用充填材である。
【0002】
【従来の技術】
クリアラバーは、高い透明性を有する未加硫ゴム、例えばBR(ブタジエンゴム)、S−SBR(溶液重合型スチレンブタジエンゴム)を主成分とするゴムに補強用の充填材を配合後、加硫して得られる透明性加硫ゴムであり、意匠性を付与するための材料や機能性材料として種々の用途が期待されている。
【0003】
クリアラバーの用途の一つとして、靴底としての用途がある。かかる用途においてクリアラバーを靴底にワンポイントとして使用して意匠性を付与する用途が一般的であるが、近年、靴底全体をクリアラバーによって構成する試みも成されつつある。この場合、クリアラバーには単なる透明性のみでなく、耐磨耗性、耐スリップ性等の機械的性能が要求される。
【0004】
従来、クリアラバーに上記機械的性能を与えるための充填材として、シリカ粒子を用いることが知られている(例えば、特許文献1参照)。上記特許文献1で使用されているシリカ粒子は湿式シリカであるが、該シリカ粒子として、分散性・透明性に優位性のあるヒュームドシリカを使用することも行われている。この場合、かかるヒュームドシリカとしては、通常、比表面積が200m2/g程度のものが使用されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−17717号公報(第4頁右欄第8行〜14行目)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記比表面積のヒュームドシリカを用いて製造したクリアーラバーでは、ゴムに高度な透明性を付与するまでには至らず、これを用いて製造した靴底はその意匠性において十分に満足できなかった。
【0007】
一般に、シリカ粒子を配合したゴム組成物において、その透明性を向上させるためには、該シリカ粒子として比表面積を大きいものを用いれば有効であることが知られている。しかしながら、クリアラバーにおいては、その素材のBR、S−SBR等のゴム成分、特にBRは、通常、シリカ粒子が充填材として使用されている他のゴムよりも腰が弱く混練時にシェアがかかり難いため、上記知見にしたがって比表面積の大きいヒュームドシリカを充填材として使用しても、ヒュームドシリカが十分に分散することができなくなり、得られるクリアラバーの透明性は僅かしか向上しないか、場合によっては逆に低下してしまい商品価値が損なわれる問題が生じていた。
【0008】
また、クリアラバーの耐候性が大きく低下し、経時的に黄変が発生したり、上記充填材の分散不良から、伸び等のゴム特性や耐磨耗性が大きく損なわれる問題も生じていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、ヒュームドシリカのクリアラバー用の充填材としての使用において、低いシェアによりゴム中への分散が極めて良好であり、透明性が高く、しかも、耐候性も良好であり、さらに、伸び等のゴム特性や耐磨耗性にも優れたクリアラバーを得ることができる充填材を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、比表面積の大きいヒュームドシリカであっても、その吸着水分が特定量以下のものを用いれば、クリアラバーに使用するゴム成分との混練時の分散性が大きく向上し、透明性に優れ、しかも、前記耐候性や耐磨耗性、ゴム特性にも優れるクリアラバーを実現可能な充填材となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、比表面積が230〜350m2/gであり、且つ吸着水分が0.5質量%以下であるヒュームドシリカよりなることを特徴とするクリアラバー用充填材である。
【0012】
また、本発明は、上記クリアラバー用充填材において、耐磨耗性、ゴム特性の効果に特に優れるものとして、塩素含有量が30ppm以下のヒュームドシリカからなるものも提供する。
【0013】
さらに、本発明は、上記効果に、より優れるものとして、これらのクリアラバー用充填材において、有機珪素化合物により表面処理されたものも提供する。
【0014】
本発明のクリアラバー用充填材は、公知のクリアラバーの製造において充填材として使用され、該クリアラバーに優れた透明性と、耐候性、耐磨耗性、ゴム特性を与える。
【0015】
【発明の実施の形態】
(クリアーラバー)
本発明において、クリアーラバーとは、透明性未加硫ゴム、具体的には、前記S−SBR(溶液重合型スチレンブタジエンゴム)およびBR(ブタジエンゴム)を主成分とし、これに必要に応じてIR(イソプレンゴム)等を混合したゴムに充填材、加硫促進剤、その他、必要に応じて、老化防止剤、活性剤などの公知のゴム用薬品を配合して加硫して得られるゴムの慣用名である。
【0016】
一般に、上記透明性未加硫ゴムの透明性は、JIS−K−7105に準じて厚さ2mmのシートにおいて測定される加硫後の全光線透過率が約80%以上という高い透明性を有する。また、これらの透明性未加硫ゴムは、S−SBR、BRに起因して、NR等の一般のゴムよりも腰が弱く混練時にシェアがかかり難いという特性を有している。
【0017】
上記透明性未加硫ゴムを具体的に例示すれば、BR、S−SBRおよびIRよりなる組み合わせ、BRとS−SBRとよりなる組合わせが好適であり、本発明の効果も顕著に発揮される。また、上記BR、S−SBRおよびIRよりなる透明性未加硫ゴムにおいて、各ゴム成分の配合割合は、BR65〜75重量部に対してS−SBR15〜35重量部、IR0〜10重量部が好ましい。
(クリアラバー用充填材の特徴)
本発明のクリアラバー用充填材は、比表面積が230〜350m2/gであり、且つ吸着水分が0.5質量%以下を満足するヒュームドシリカであることが極めて重要である。この構成により、上記比表面積の大きいヒュームドシリカを良好に分散させることができ、高い透明性を有するクリアラバーを製造することが可能になる。また、耐候性や耐磨耗性、さらには、伸び等のゴム特性の低下も良好に抑制することができる。前記したように、従来、クリアラバー用充填材としてヒュームドシリカを用いることは行われているが、このように大きな比表面積のものを用いることは実用的には行われておらず、さらには、通常、使用時のヒュームドシリカの吸着水分は1〜2質量%程度であるのが一般的であり、該大きい比表面積を有するヒュームドシリカにおいて、前記のように低吸着水分のものを用いることなど全く知られていない。
【0018】
ここで、ヒュームドシリカは、ハロゲン化シランの火炎加水分解によって得られる無定形シリカをいう。好適には、四塩化珪素ガスを酸素と水素の火炎中に通じ高温下、通常、1400〜1800℃で加水分解させて得たシリカをいう。
【0019】
こうしたヒュームドシリカにおいて、比表面積が230m2/g未満である場合、これを用いて得られるクリアラバーの透明性が低下する。一方、ヒュームドシリカの比表面積が350m2/gを超える場合、ゴム中で充分な分散性を得ることが困難になり、得られるクリアラバーの耐候性、耐磨耗性及びゴム特性が低下する。
【0020】
該ヒュームドシリカの比表面積は前記範囲であれば特に制限されないが、特に、250〜320m2/g、最も好適には270〜315m2/gが好ましい。なお、本発明において、ヒュームドシリカの比表面積は、窒素吸着によるBET法により測定した値をいう。
【0021】
また、本発明のクリアラバー用充填材において、ヒュームドシリカの吸着水分が、0.5質量%を超える場合、前記大きい比表面積を有するヒュームドシリカをクリアラバーに混合すると、得られるクリアラバーにおいて十分な透明性の改良効果が得られなくなる。また、該クリアラバーは、経時的に黄変し易く耐候性に劣るものになり、さらに、伸び等のゴム特性や耐磨耗性にも劣るものになる。
【0022】
該ヒュームドシリカの吸着水分は前記範囲であれば特に制限されないが、特に、0.01〜0.3質量%が好ましい。なお、本発明において、ヒュームドシリカの吸着水分は、クリアラバーに配合時の吸着水分量であり、JIS K6220に準拠して、105℃で2時間乾燥した際の質量の減量分を測定する方法により求めた値をいう。
【0023】
本発明のクリアラバー用充填材において、得られるクリアラバーを、伸び等のゴム特性、耐磨耗性、黄変防止等に特に優れたものにするためには、その塩素含有量が特定の値以下に少ないものが好ましい。すなわち、クリアラバー用充填材の塩素含有量が多いとゴムの混練や加硫時等、さらには経時的にゴム成分に悪影響を与え、上記物性を低下さる傾向があるため、使用するクリアラバー用充填材は、30ppm以下、特に28ppm以下であるのが好ましい。
【0024】
なお、本発明において、ヒュームドシリカの塩素含有量は、以下の方法で測定される粒子に含まれる塩素の量である。すなわち、ヒュームドシリカの塩素含有量は、一定量の試料を水酸化ナトリウム溶液で加熱溶解後、硝酸水溶液を加え、さらに、チオシアン酸第2水銀アルコール溶液と鉄ミョウバン水溶液を加えて、生成するチオシアン酸鉄錯塩の量を比色法で定量することにより測定された値をいう。
【0025】
本発明で使用するヒュームドシリカのその他の物性は、特に制限されるものでないが、通常、pH(5%懸濁液で測定)は、有機珪素化合物により表面処理されていないヒュームドシリカであれば4.0〜4.5であるのが好ましく、嵩密度は 50〜150g/lであるのが好ましい。
(クリアラバー用充填材の製造方法)
本発明のクリアラバー用充填材は、公知のヒュームドシリカの中から、上記比表面積および吸着水分の性状を満足するものを適宜に採択して使用すればよい。ハロゲン化シランを火炎加水分解するヒュームドシリカの製造方法は、例えば、特開昭59−169922号公報、特開昭60−11218号公報等に記載される公知の方法に準じて実施すればよい。
【0026】
ハロゲン化シランの火炎加水分解によって得られたヒュームドシリカの吸着水分量は、製造直後は極僅かでしかないが、該ヒュームドシリカの表面には水分を吸着し易いシラノール基が存在するため、シリカ粒子が湿気を帯びた雰囲気に放置されると、前記した1質量%を超える値まで次第に吸湿していく。したがって、上記常法等により製造されたヒュームドシリカにおいて比表面積が230〜350m2/gにあるものをすぐにアルミニウム蒸着フィルム等の防湿袋に封入し、使用時まで水分の吸着が生じ難い状況に厳格に管理することなどにより、前記の低い吸着水分量が維持されているものであれば、これをそのまま使用してもよい。
【0027】
一般には、ヒュームドシリカを有機珪素化合物により表面処理する方法や、前記1質量%を超える通常の域まで吸湿したものを100〜700℃で1〜120時間加熱する等の方法により、本発明で特定する前記値まで吸着水分量を低減させたものを用いるのが好ましい。
【0028】
このうち有機珪素化合物により表面処理したものを用いるのが好ましい。シリカ表面に存在するシラノール基は、該表面処理により有機珪素化合物により置換されて、その存在量が大きく低減する。その結果、表面処理されたヒュームドシリカでは、上記表面シラノール基に吸着される水分量を大幅に低減させることができ、該吸着水分量を前記0.5質量%以下の値まで低下させることができる。このように表面のシラノール基を低減させたヒュームドシリカを用いた場合、本発明の効果、特に伸び等のゴム特性や耐磨耗性が優れたものになる効果が顕著に発揮されるものになり有用である。
【0029】
有機珪素化合物としては、シランカップリング剤等のシリカの表面処理剤として使用されている公知のものが特に制限なく使用される。具体的には、ヘキサメチルジシラザン、N−メチル−ヘキサメチルジシラザン、N−エチル−ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチル−N−プロピルジシラザン等のシラザン類;トリメチルクロロシラン、モノメチルトリクロロシラン、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン、プロポキシトリメチルシラン、ジメチルアミノトリメチルシラン、ジエチルアミノトリメチルシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等のシラン類;トリメチルシラノール、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルトリシクロシロキサン、末端基を−H、−OH、又はアルキル基等で封止された、1分子あたり2から1000個のシロキサン単位を有するポリジメチルシロキサンなどである。このうちジメチルジクロロシラン等のシラン類を使用するのが好ましい。
【0030】
上記有機珪素化合物の使用量は特に限定はされないが、本発明の効果を十分に発揮させるためには、ヒュームドシリカに対し1〜35質量%、より好適には1〜20質量%の処理量が好ましい。
【0031】
表面処理は、如何なる反応形態で実施しても良く、例えば液相で反応させても良いが、好適には気相での反応が、反応性が高く好ましい。また、反応装置も、流動床式、固定床式のいずれでも良く、単なる混合機、圧力容器等を用いて実施しても良い。反応を促進するため、水やアンモニア等の塩基性物質を添加して反応を実施しても良い。反応温度、時間については特に制限はないが、常温〜600℃、好ましくは50〜400℃の温度範囲で、10分以上、好ましくは60〜180分保持し反応を行なえばよい。
【0032】
さらに、このようにして表面処理したヒュームドシリカが凝集粒子を形成している場合には、ボールミル、振動ミル、タワーミル、コニカルミル等の公知の粉砕機を用いることにより機械的粉砕するのが好ましい。通常、表面処理の前後でヒュームドシリカの比表面積は変動するため、表面処理に際しては、本発明が特定する230〜350m2/gの範囲外にならないように注意する。また、表面処理に供するヒュームドシリカとしては、上記230〜350m2/gの範囲外のものを使用してもよい。
【0033】
一方、本発明のクリアラバー用充填材として、前記塩素含有量が30ppm以下のヒュームドシリカを用いる場合は、通常のハロゲン化シランを通常の火炎加水分解法により製造したヒュームドシリカは、該塩素含有量が30ppmを超えるものになることが多いため、例えば、ヒュームドシリカの製造後、200〜500℃の温度下、加熱流動床、加熱固定床等の手段により加熱処理を行うことにより塩素量の少ないものとして得ることが可能である。また、公知のヒュームドシリカの中から、こうした処理を経る等して該塩素含有量の小さいものとして製造されたものを選別し使用してもよい。なお、有機珪素化合物により表面処理する場合は、該表面処理操作によって、上記含有塩素量が上記値を超えないように注意する。
(クリアラバーの製造方法)
本発明のクリアラバー用充填材を前記透明性未加硫ゴムに配合してクリアラバーを製造する際の配合量は、特に制限されるものではないが、得られるクリアラバーにおいて、耐摩耗性、耐スリップ性等の機械的性能を十分発揮し、他方、透明性、耐候性、耐磨耗性、ゴム特性等の良好さを維持するためには、ゴム100重量部に対して5〜60重量部、好ましくは20〜50重量部の割合が好ましい。
【0034】
上記配合において、他の添加剤、例えば加硫促進剤、老化防止剤、活性剤等、公知のものを併用することができる。また、クリアラバーを靴底等の意匠性が要求される用途に適用する場合には、意匠性をさらに向上させるために、顔料、染料等の着色剤、微細金属箔、ビーズ等の装飾用の充填材などを配合させてもよい。配合方法は、公知の方法、例えば、バンバリミキサー、ニーダー、オープンロール等を使用して行えばよい。
【0035】
上記成分の配合された透明性未加硫ゴムは、任意の形状に成形された後、加硫することによってクリアラバーが得られる。かかる加硫条件は、公知の条件が特に制限なく採用される。例えば、140〜170℃の温度で、3〜10分程度行うのが一般的である。
【0036】
このようにして得られるクリアラバーの透明性は、通常、JIS−K−7105に準じて、厚み2mmのシートにおいて測定される全光線透過率が70%以上になる。特に、透明性が良好な、S−SBR、BRを主成分とする透明性未加硫ゴムをゴム成分として使用した場合、比表面積の大きいヒュームドシリカを使用している効果は、顕著に発揮されて、上記全光線透過率は70〜90%、場合によっては90%以上にも達する。
【0037】
即ち、本発明によれば、S−SBR、BRを主成分とするゴム成分100重量部に対して、ヒュームドシリカよりなる充填材を20〜50重量部の割合で配合してなり、厚み2mmのシートにおいて測定される全光線透過率が70%以上であることを特徴とするクリアラバーを提供することができる。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を更に具体的に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0039】
尚、本発明において、各種物性、試験は下記の方法により実施したものである。
▲1▼比表面積
簡易型窒素吸着法によるBET1点法により求めた。
▲2▼吸着水分
JIS K6220に準拠した方法で測定した。
【0040】
試料を秤量瓶に入れた後に105℃、2時間加熱してその減量分から吸着水分量を算出した。
▲3▼含有塩素量
試料1gを5N水酸化ナトリウム水溶液10ml中に投入し、加熱溶解した後に硝酸水溶液(濃硝酸を3倍量の水で希釈したもの)20mlを加え、室温で30分間放置した(シリカのコロイド状溶液が得られる)。次いで、0.3質量%チオシアン酸第2水銀アルコール溶液10mlを加え、さらに、10質量%鉄ミョウバン水溶液10mlを加え、液量が100mlになるまで水を加えた後、室温で30分間静置し、液中に生成しているチオシアン酸鉄錯塩の量を比色法(460nm)で定量することにより、塩素の含有量を求めた。
▲4▼5%懸濁液のpH
JIS K6220に準拠した方法で測定した。
【0041】
試料5gを純水100ml中に入れた後、5分間攪拌し、次いで10分間静置させた後にpH計で測定を行なった。
▲5▼クリアラバーの透明性
2mmの厚みに成形したシートを用いて、そのシートの下に印刷物を置き、該シートの全光線透過率を測定し評価した。評価は、全光線透過率が90%以上であり透明性が極めて高い状態を5、全光線透過率が50%未満であり透明性が著しく低い状態を1として5段階で行った。
【0042】
なお,本測定はJIS K7105に準じて行なった。
【0043】
【表1】
▲6▼クリアラバーの黄変
2mmの厚みに成形したシートを用いて、このシートを70℃ RH90%の条件下で3日間放置した。そのシートを用いて、シートの下に白色の紙を敷き、目視で黄変を評価した。評価は、全く黄変がない状態を5、著しく黄変した状態を1として5段階で行った。
▲7▼クリアラバーの耐摩耗性
アクロン磨耗機を用い、JIS K−6264に準じて測定を行った。
▲8▼クリアラバーの引張強度及び伸び
JIS K−6301に準じて測定した。
【0044】
実施例1
比表面積が312m2/gのヒュームドシリカを製造直後にアルミニウム蒸着フィルム製の防湿袋に入れ外気から遮断した状態にして水分の吸湿を防止し、クリアーラバー製造直前に該防湿袋から取り出して、クリアラバー用充填材として供した。
【0045】
このときのヒュームドシリカの吸着水分量は0.2質量%であった。また、含有塩素量は23ppmであり、5%懸濁液のpHは4.1であった。
【0046】
クリアラバーの製造は、以下の方法に従って行なった。上記ヒュームドシリカを、加硫後の全光線透過率が81%である市販の透明な未加硫ゴム(BR:70重量部/S−SBR:30重量部)100重量部に対して、35重量部の割合になるように配合後、ニーダーにて混練した。次いで,上記得られた組成物に加硫促進剤、老化防止剤を配合してさらに混練を行なった後に、温度160℃で8分間加硫してクリアラバーシートを得た。
【0047】
得られたクリアラバーシートの諸物性を表2に示した。
【0048】
実施例2
比表面積が255m2/gのヒュームドシリカを製造直後にアルミニウム蒸着フィルム製の防湿袋に入れ外気から遮断した状態にして水分の吸湿を防止し、クリアーラバー製造直前に該防湿袋から取り出して、クリアラバー用充填材として供した。
【0049】
このときのヒュームドシリカの吸着水分量は、0.18質量%であった。また、含有塩素量は25ppmであり、5%懸濁液のpHは4.1であった。
【0050】
このようにして得られたヒュームドシリカを使用して、実施例1と同様にしてクリアラバーシートを製造した。
【0051】
得られたクリアラバーシートの諸物性を表2に示した。
【0052】
実施例3
実施例1において、含有塩素量が43ppmと大きく、比表面積(312m2/g)、吸着水分量(0.2質量%)、及び5%懸濁液のpH(4.1)はそれぞれ同じ値であるヒュームドシリカをクリアラバー用充填材として用いる以外、実施例1と同様にしてクリアラバーシートを製造した。
【0053】
得られたクリアラバーシートの諸物性を表2に示した。
【0054】
実施例4
比表面積が308m2/gのヒュームドシリカを製造後に紙袋に充填し、製品倉庫内に3ヶ月放置し吸湿させた。このときのヒュームドシリカの吸着水分量は、1.4質量%まで上昇していた。
【0055】
このヒュームドシリカを105℃で1時間加熱し吸着水分量を0.34質量%まで減らした後に、クリアラバー用充填材として供した。なお、このヒュームドシリカの含有塩素量は27ppmであり、5%懸濁液のpHは4.1であった。
【0056】
このようにして得られたヒュームドシリカを使用して、実施例1と同様にしてクリアラバーシートを製造した。
【0057】
得られたクリアラバーシートの諸物性を表2に示した。
【0058】
実施例5
比表面積が260m2/gのヒュームドシリカを製造後にバットに入れて、実験室内に半年間放置し吸湿させた。このときのヒュームドシリカの吸着水分量は、1.2質量%まで上昇していた。
【0059】
このヒュームドシリカを130℃で2時間加熱し吸着水分量を0.03質量%まで減らした後に、クリアラバー用充填材として供した。なお、このヒュームドシリカの含有塩素量は22ppmであり、5%懸濁液のpHは4.1であった。
【0060】
このようにして得られたヒュームドシリカを使用して、実施例1と同様にしてクリアラバーシートを製造した。
【0061】
得られたクリアラバーシートの諸物性を表2に示した。
【0062】
実施例6
比表面積が308m2/gのヒュームドシリカを製造後に紙袋に充填し、弊社製品倉庫内に3ヶ月放置し吸湿させた。このときのサンプルの吸着水分量は、1.4質量%まで上昇していた。
【0063】
このヒュームドシリカを600℃の電気炉中で2分間加熱し吸着水分量を0.42質量%まで減らした後に、クリアラバー用充填材として供した。なお、このヒュームドシリカの含有塩素量は19ppmであり、5%懸濁液のpHは4.1であった。
【0064】
このようにして得られたヒュームドシリカのサンプルを使用して、実施例1と同様にしてクリアラバーシートを製造した。
【0065】
得られたクリアラバーシートの諸物性を表2に示した。
【0066】
実施例7
比表面積298m2/gであり、含有塩素量が26ppmであるヒュームドシリカを用いて、このシリカをジメチルジクロルシランを処理剤として表面処理を施した。表面処理の方法は、ヒュームドシリカを反応器内で流動化させ、ここに該ヒュームドシリカ1kgに対して200gの割合で気化させたジメチルジクロルシランを導入し、350℃で40分間保持することにより実施した。最終的に得られた表面処理品の比表面積は275m2/g,カーボン量は2.1質量%であった。また、これの吸着水分量は0.11質量%であった。なお、含有塩素量は28ppmであり、5%懸濁液のpHは5.0であった。
【0067】
このようにして得られた表面処理したヒュームドシリカを使用して、実施例1と同様にしてクリアラバーシートを製造した。
【0068】
得られたクリアラバーシートの諸物性を表2に示した。
【0069】
実施例8
比表面積285m2/gであり、含有塩素量が25ppmであるヒュームドシリカを用いて、このシリカをヘキサメチルジシラザンを処理剤として表面処理を施した。表面処理の方法は、反応器内のヒュームドシリカに、該ヒュームドシリカ1kgに対して300gの割合のヘキサメチルジシラザンを霧状にしてふりかけ、密閉状態で300℃で3時間保持することにより実施した。最終的に得られた表面処理品の比表面積は255m2/g,カーボン量は1.8%であった。また、これの水分量は0.08質量%であった。なお、含有塩素量は19ppmであり、5%懸濁液のpHは5.0であった。
【0070】
このようにして得られた表面処理したヒュームドシリカを使用して、実施例1と同様にしてクリアラバーシートを製造した。
【0071】
得られたクリアラバーシートの諸物性を表2に示した。
【0072】
比較例1
比表面積が385m2/gのヒュームドシリカをアルミニウム蒸着フィルム製の防湿袋に入れ外気から遮断した状態にして水分の吸湿を防止し、クリアーラバー製造直前に該防湿袋から取り出して、クリアラバー用充填材として供した。
【0073】
このときのヒュームドシリカの吸着水分量は0.33質量%であった。また、含有塩素量は53ppmであり、5%懸濁液のpHは4.1であった。
【0074】
このようにして得られたヒュームドシリカを使用して、実施例1と同様にしてクリアラバーシートを製造した。
【0075】
得られたクリアラバーシートの諸物性を表2に示した。
【0076】
比較例2
比表面積が208m2/gののヒュームドシリカをアルミニウム蒸着フィルム製の防湿袋に入れ外気から遮断した状態にして水分の吸湿を防止し、クリアーラバー製造直前に該防湿袋から取り出して、クリアラバー用充填材として供した。
【0077】
このときのヒュームドシリカの吸着水分量0.11質量%であった。また、含有塩素量は26ppmであり、5%懸濁液のpHは4.1であった。
【0078】
このようにして得られたヒュームドシリカを使用して、実施例1と同様にしてクリアラバーシートを製造した。
【0079】
得られたクリアラバーシートの諸物性を表2に示した。
【0080】
比較例3
比表面積が312m2/gのヒュームドシリカを製造後に紙袋に充填し、弊社製品倉庫内に3ヶ月放置し吸湿させた。このときのヒュームドシリカの吸着水分量は、1.3質量%まで上昇していた。また、含有塩素量は29ppmであり、5%懸濁液のpHは4.1であった。このヒュームドシリカをそのままクリアラバー用充填材として供した。
【0081】
このようにして得られたヒュームドシリカを使用して、実施例1と同様にしてクリアラバーシートを製造した。
【0082】
得られたクリアラバーシートの諸物性を表2に示した。
【0083】
比較例4
比表面積が255m2/gのヒュームドシリカを3層クラフト紙袋に充填し、弊社製品倉庫内に6ヶ月放置し吸湿させた。このときのヒュームドシリカの吸着水分量は、1.2質量%まで上昇していた。また、含有塩素量は27ppmであり、5%懸濁液のpHは4.1であった。このヒュームドシリカをそのままクリアラバー用充填材として供した。
【0084】
このようにして得られたヒュームドシリカを使用して、実施例1と同様にしてクリアラバーシートを製造した。
【0085】
得られたクリアラバーシートの諸物性を表2に示した。
【0086】
【表2】
【発明の効果】
以上の説明より理解されるように、本発明のクリアラバー用充填材は、透明性未加硫ゴムに配合して混練する際、比表面積の大きいヒュームドシリカであるにも拘わらず、少ないシェアによっても分散性が良好であり、得られるクリアラバーは優れた透明性を有するものになる。
【0087】
また、本発明の充填材を用いて得られるクリアラバーは、耐候性が良好であり、経時的に黄変することが高度に抑制される。さらに、該クリアラバーは、耐磨耗性や耐スリップ性に優れる他、上記充填材の高分散によって、伸び、引裂強度等のゴム特性についても良好な値が維持されている。
【0088】
このような性状を有する本発明にかかるクリアラバーは、その優れた透明性とゴム特性により、靴底、卓上マット等の意匠性が要求される用途において好適に使用される。特に、機械的特性に優れている点から、靴底に用いるのが最も効果的である。
Claims (5)
- 比表面積が230〜350m2/gであり、且つ吸着水分が0.5質量%以下であるヒュームドシリカよりなることを特徴とするクリアラバー用充填材。
- 塩素含有量が30ppm以下のヒュームドシリカである請求項1記載のクリアラバー用充填材。
- 有機珪素化合物により表面処理されてなる請求項1または請求項2記載のクリアラバー用充填材。
- a)溶液重合型のスチレン−ブタジエンゴムおよびブタジエンゴムを主成分とするゴム成分100重量部に対して、
b)請求項1〜3のいずれか一項に記載のクリアラバー用充填材5〜60重量部の割合で配合してなり、厚み2mmのシートにおいて測定される全光線透過率が70%以上であることを特徴とするクリアラバー。 - 少なくとも一部が、請求項4記載のクリアラバーよりなる部分により形成されてなる靴底。
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