JP5915550B2 - 高分散性及び低凝集性を有するシリカ系微粒子静電荷現像用トナー外添剤の製造方法 - Google Patents
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しかしながら、上記の表面処理法で得られたシリカは疎水性の程度は良好であるが、シリカ表面にシラノール基あるいはアルコキシ基などの反応性基が残存するため、種々の有機溶媒に分散できなかったり、凝集性が高かったりするものがあり、高分散性及び低凝集性を有するシリカ系微粒子が望まれていた。特許文献5では分散性に優れたシリカ系微粒子が提案されているが、これは溶媒留去のため加熱した場合一次粒子保持率が悪くなるという問題があった。また、特許文献4記載のものは、テトラメトキシシランを原料としているが、残存メトキシ基が残りやすく、取扱いや毒性の危険性が高く、この条件でアルキルシリケートに置き換えても一部凝集が発生するという問題があった。
(1)(A)一般式(I):
SiO(OR3)3−(−SiO(OR3)2−)m−Si(OR3)3 (I)
(但し、R3は同一または異種の炭素原子数1〜6のアルキル基、mは1〜100の数を示す)で示されるアルキルシリケートと親水性有機溶媒との混合物を、親水性有機溶媒と水の混合溶液に加え、該アルキルシリケートを加水分解、縮合することにより、親水性シリカ微粒子分散液を得る工程と、
(B)該親水性シリカ微粒子の表面にR2SiO3/2単位(但し、R2は置換または非置換の炭素原子数1〜20の一価炭化水素基を示す)を導入し、疎水性シリカ微粒子を得る工程と、
(C)得られた疎水性シリカ微粒子の表面にR1 3SiO1/2単位(但し、R1は同一または異種の置換または非置換の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基を示す)を導入する工程
とを有することを特徴とする、シリカ系微粒子静電荷現像用トナー外添剤の製造方法。
R5OH (V)
(但し、R5は炭素原子数1〜6の一価炭化水素基を示す)
で示されるアルコール溶媒である(1)、(2)又は(3)記載の製造方法。
R2Si(OR4)3 (II)
(但し、R2は置換または非置換の炭素原子数1〜20の一価炭化水素基、R4は同一または異種の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基を示す)
で示される3官能性シラン化合物またはその部分加水分解生成物またはこれらの混合物を添加することにより、該親水性シリカ微粒子の表面にR2SiO3/2単位を導入し、疎水性シリカ微粒子を得るものである(1)〜(4)のいずれか1項に記載の製造方法。
R1 3SiNHSiR1 3 (III)
(但し、R1は同一または異種の置換または非置換の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基を示す)で示されるシラザン化合物、一般式(IV)
R1 3SiX (IV)
(但し、R1は一般式(III)と同じものを示し、XはOH基または加水分解性基を示す)で示される1官能性シラン化合物又はこれらの混合物を添加し、前記疎水性シリカ微粒子表面に残存する反応性基をトリオルガノシリル化するものである
(1)〜(6)のいずれか1項に記載の製造方法。
(9).上記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の製造方法により製造された、残存アルコキシ量が0.5質量%以下で、1次粒子の粒径が1〜5000nmの球状でメタノールに分散し目開き45μm(80φ)にろ過した時の残量が0.2%以下であり、粒径分布D90/D10の値が3以下であり、1次粒子として残存する1次粒子量の当初存在した1次粒子量に対する比率が90%以上であるシリカ系微粒子静電荷現像用トナー外添剤
本発明方法は、(A)、(B)及び(C)工程を有する。
(A)工程で出発材料として使用されるものは、一般式(I):
SiO(OR3)3−(−SiO(OR3)2−)m−Si(OR3)3 (I)
(但し、R3は同一または異種の炭素原子数1〜6のアルキル基、mは1〜100の数を示す。)
で示されるアルキルシリケート(以下、「アルキルシリケート(1)」ということがある)である。
ここで、R3で示される炭素原子数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられるが、
メチル基が好ましい。また、mは1〜100の数であるが、1〜50が好ましく、特に1〜25が好ましい。
アルキルシリケート(1)は、1種でも2種以上を混合して用いてもよい。
親水性有機溶媒はアルキルシリケート(1)および水を溶解するものであれば特に制限はなく、例えば、アルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、酢酸セロソルブ等のセロソルブ類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等が挙げられるが、アルコール類が好ましい。アルコール類としては、一般式(V):
R5OH (V)
(但し、R5は炭素原子数1〜6の一価炭化水素基を示す)
で示されるアルコールが好ましく、具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等が挙げられる。アルコールの炭素原子数が増すと生成するシリカ微粒子の粒子径が大きくなるため、目的とするシリカ微粒子の粒径によりアルコールの種類を選択することが望ましい。
この時使用される水の量は、一般式(I)のアルキルシリケートのアルコキシ基に対して0.5〜5モル当量とすることが好ましい。
水には、加水分解促進のため、塩基性物質を添加することが好ましい。塩基性物質の量は一般式(I)のアルキルシリケートのアルコキシ基に対して0.01〜1モル当量であることが好ましい。該塩基性物質としては、例えば、アンモニア、ジメチルアミン、ジエチルアミン等が挙げられ、好ましくはアンモニアである。これら塩基性物質は、水に所要量溶解したのち、得られた水溶液(塩基性の水)を親水性有機溶媒と混合すればよい。ここで用いる親水性有機溶媒は、前記と同じである。ここで、水と親水性有機溶媒の比率は水100質量部に対して、親水性有機溶媒10〜200質量部とすることが好ましい。また、塩基性の水は、アルキルシリケート(1)と親水性有機溶媒の添加と同時に、水と親水性有機溶媒の混合液中に加えてもよい。
シリカ微粒子混合溶媒分解液の分散媒を水に変換するには、例えば、該分散液に水を添加し親水性有機溶媒を留去する操作(必要に応じこの操作を繰り返す)により行うことができる。このときに添加される水の量は、使用した親水性有機溶媒および生成したアルコール量の合計100質量部に対して、50〜200質量部、特に100質量部とすることが好ましい。
(B)工程は、該親水性シリカ微粒子の表面にR2SiO3/2単位(但し、R2は置換または非置換の炭素原子数1〜20の一価炭化水素基を示す)を導入し、疎水性シリカ微粒子を得る工程であるが、具体的には、例えば、前記親水性シリカ微粒子を含む水性分散液または混合溶媒分散液に一般式(II):
R2Si(OR4)3 (II)
(但し、R2は置換または非置換の炭素原子数1〜20の一価炭化水素基、R4は同一または異種の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基を示す)
で示される3官能性シラン化合物またはその部分加水分解生成物またはこれらの混合物を添加して親水性シリカ微粒子表面をこれにより処理し、疎水性シリカ微粒子水性分散液を得る方法が好ましい。
(C)工程は、疎水性シリカ微粒子の表面にR1 3SiO1/2単位(但し、R1は同一または異種の置換または非置換の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基を示す)を導入する工程である。
具体的には、例えば前記疎水性シリカ微粒子水性分散液の分散媒を水または親水性有機溶媒、アルコール混合物からケトン系溶媒に変換し、疎水性シリカ微粒子ケトン系溶媒分散液を得る段階と、該疎水性シリカ微粒子ケトン系溶媒分散液に、
一般式(III):
R1 3SiNHSiR1 3 (III)
(但し、R1は同一または異種の置換または非置換の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基を示す)で示されるシラザン化合物及び
一般式(IV):
R1 3SiX (IV)
(但し、R1は一般式(III)に同じ。XはOH基または加水分解性基を示す)
で示される1官能性シラン化合物の何れかまたはこれらの混合物を添加し、前記疎水性シリカ微粒子表面に残存する反応性基をトリオルガノシリル化することが好ましい。
即ち、本発明方法によれば、捕集された微粒子の残存アルコキシ量は0.5質量%以下、好ましくは0〜0.45質量%で1次粒子の平均粒径が1〜5000nm、特に5〜1000nm、更に好ましくは10〜1000nmの球状でメタノールに分散し目開き45μm(80φ)にろ過した時の残量が0.2%以下であり、粒径分布D90/D10の値が3以下、好ましくは0より大きく2.5以下であり、1次粒子として残存する1次粒子量の当初存在した1次粒子量に対する比率が90%以上である高分散性及び低凝集性を有するシリカ系静電荷現像用トナー外添剤を得ることができる。
この強負帯電付与性疎水性球状シリカ微粒子を電荷制御剤として使用する場合の配合量は、通常、トナー100質量部に対して、0.3〜3質量部が好ましく、さらに好ましくは0.1〜2質量部である。配合量が少なすぎると、トナーへ安定的に負帯電性を付与できず、多すぎると経済的に不利である。
(A工程)
撹拌機、滴下ロート、温度計を備えた5リットルのガラス製反応器にメタノール623.7g、水41.4g、28%アンモニア水49.8gを添加して混合した。この溶液を35℃に調温し、ゆっくり攪拌しながらメチルシリケート[コルコート社製メチルシリケート51、(式(I)において、R3=メチル基、m=2)]は同一または異種の炭素原子数1〜6のアルキル基、mは901.9gとメタノール623.7gの混合液および5.4%アンモニア水418.1gを同時に添加開始し、5時間かけて滴下した。滴下終了後も0.5時間攪拌を続け加水分解を行い、シリカ微粒子の懸濁液を得た。
この反応器にコンデンサーと留去液回収容器を取り付け、さらに水を1600gを反応器に添加し、次いで反応器を65〜90℃に加熱し、メタノールを809g留去回収し、シリカ微粒子の水性懸濁液を得た。
この水性懸濁液に室温でメチルトリメトキシシラン115.8g、(SiO2単位に対して0.1モル当量)を0.5時間かけて滴下し、滴下後50℃まで加熱し1時間の熟成を実施した。反応を完結させ室温まで冷却し、シリカ微粒子表面の処理を行った。
こうして得られた分散液にメチルイソブチルケトン900gを添加した後、液界面の激しい流動状態のままで80〜115℃に分散液を加熱しメタノール及び水の混合液1336gを14時間かけて留去した。得られた分散液に室温でヘキサメチルジシラザン357.6gを添加し分散液を105℃に加熱し2時間反応させ、シリカ微粒子をトリメチルシリル化した。
室温で液体の有機化合物に微粒子を重量比で5対1となるよう添加し、振とう機を用いて30分振とうして混合した後、微粒子の分散状態を目視で観察する。微粒子の全量が分散し全体がスラリー状に均一なものを○;微粒子の全量が有機化合物で湿潤するが一部有機化合物中に分散せず不均一なものを△;微粒子が有機化合物で湿潤せず、両者が混合しないものを×として、結果を表2に示した。
目開き45μm(80φ)の乾燥した清浄な篩を精秤する。次にガラスビンにシリカ微粒子とメタノールを添加し、振とう機を用いて30分振とうし、スラリーを調整する。調整されたスラリーを篩に通し、105℃で1時間篩を乾燥した後篩を精秤する。
粗粉量(%)=((スラリーを通し乾燥した篩の重量−清浄な篩の重量)/シリカ微粒子の重量)×100
(1)メタノールに微粒子を重量比で5対1となるよう添加し、振とう機を用いて30分振とうする。このように処理した微粒子の粒度分布をレーザー回折散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所LA910)で粒度分布を測定する。
(2)次に、(1)で得られた微粒子分散液からメタノールをエバポレーターで加熱下留去した後、100℃の温度で2時間保持する。メタノールにこのように処理した微粒子を添加し振とう機を用いて30分振とうした後、粒度分布を上記と同様にして測定する。(1)で得られた粒径分布を基準として、1次粒子の残存量の比率を求めた。なお、1次粒子径はあらかじめ電子顕微鏡観察によって確認しておく。結果は表2に示した。
融点120℃のスチレン−アクリル(70:30)共重合体の粉砕物(粒径5〜20ミクロン)100gにシリカ微粒子1gを添加し、該共重合体粉砕物の流動性を調べた。結果を表2に示した。
20%水IPA溶液にシリカ微粒子を重量比で9対1となるよう添加し、振とう機用いて30分振とうする。この液をガスクロにてアルコール濃度を測定する。結果を表2に示した。
実施例1における加水分解温度を表1に記載の温度に設定した以外は実施例1と同様にしてシラン表面処理シリカを得た。
実施例1におけるメチルトリメトキシシランの量を表1に記載した量にする以外は実施例1と同様にしてシラン表面処理シリカを得た。
実施例1におけるヘキサメチルジシラザンの量を表1に記載した量にする以外は実施例1と同様にしてシラン表面処理シリカを得た。
実施例1におけるメチルシリケートに添加するメタノールの量を表1に記載した量にする以外は実施例1と同様にしてシラン表面処理シリカを得た。
実施例1におけるメチルシリケートの代わりにエチルシリケート[コルコート社製エチルシリケート51、(式(I)において、R3=エチル基、m=3)]を用いた以外は実施例1と同様にしてシラン表面処理シリカを得た。
実施例1におけるメチルシリケートの代わりにプロピルシリケート[コルコート社製、n−プロピルシリケートの加水分解縮合物(式(I)において、R3=n−プロピル基、m=2)]を用いた以外は実施例1と同様にしてシラン表面処理シリカを得た。
実施例1におけるメチルトリメトキシシランを用いたシリカ微粒子の処理工程を省略した以外は実施例1と同様にして疎水性シリカの製造を試みたところ、水留去時にシリカ微粒子の分散体が凝集した。
実施例1におけるヘキサメチルジシラザンを用いたシリカ微粒子のトリメチルシリル化工程を省略した以外は実施例1と同様にしてシラン表面処理シリカを得た。
実施例1におけるメチルシリケートの代わりにテトラメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様にしてシラン表面処理シリカを得た。
実施例1におけるメチルシリケートの代わりにテトラエトキシシランを用いた以外は実施例1と同様にしてシラン表面処理シリカを得た。
実施例1におけるメチルシリケートに混合するメタノールを省略し、初期仕込みメタノールを倍量にした以外は実施例1と同様にしてシラン表面処理シリカを得た。
Claims (8)
- (A)一般式(I):
SiO(OR3)3−(−SiO(OR3)2−)m−Si(OR3)3 (I)
(但し、R3は同一または異種の炭素原子数1〜6のアルキル基、mは1〜100の数を示す)で示されるアルキルシリケートと親水性有機溶媒との混合物を、親水性有機溶媒と水の混合溶液に加え、該アルキルシリケートを加水分解、縮合することにより、親水性シリカ微粒子分散液を得る工程と、
(B)該親水性シリカ微粒子の表面にR2SiO3/2単位(但し、R2は置換または非置換の炭素原子数1〜20の一価炭化水素基を示す)を導入し、疎水性シリカ微粒子を得る工程と、
(C)得られた疎水性シリカ微粒子の表面にR1 3SiO1/2単位(但し、R1は同一または異種の置換または非置換の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基を示す)を導入する工程
とを有することを特徴とする、シリカ系微粒子静電荷現像用トナー外添剤の製造方法。 - (A)工程において、加水分解、縮合が、塩基性物質を含む水と親水性有機溶媒の混合液中で行われることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
- (A)工程において得られた親水性シリカ微粒子分散液が、親水性シリカ微粒子混合溶媒分散液であり、更に、この親水性シリカ微粒子混合溶媒分散液の分散媒を水に変換することにより親水性シリカ微粒子水性分散液を得る工程を含む請求項1又は2記載の製造方法。
- 前記親水性有機溶媒が、一般式(V):
R5OH (V)
(但し、R5は炭素原子数1〜6の一価炭化水素基を示す)
で示されるアルコール溶媒である請求項1、2又は3記載の製造方法。 - (B)工程が、親水性シリカ微粒子分散液に、一般式(II):
R2Si(OR4)3 (II)
(但し、R2は置換または非置換の炭素原子数1〜20の一価炭化水素基、R4は同一または異種の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基を示す)
で示される3官能性シラン化合物またはその部分加水分解生成物またはこれらの混合物を添加することにより、該親水性シリカ微粒子の表面にR2SiO3/2単位を導入し、疎水性シリカ微粒子を得るものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。 - 疎水性シリカ微粒子水性分散液の分散媒をケトン系溶媒に変換した後に(C)工程を行う請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- (C)工程が、疎水性シリカ微粒子分散液に一般式(III):
R1 3SiNHSiR1 3 (III)
(但し、R1は同一または異種の置換または非置換の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基を示す)で示されるシラザン化合物、一般式(IV)
R1 3SiX (IV)
(但し、R1は一般式(III)と同じものを示し、XはOH基または加水分解性基を示す)で示される1官能性シラン化合物又はこれらの混合物を添加し、前記疎水性シリカ微粒子表面に残存する反応性基をトリオルガノシリル化するものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。 - (C)工程後に、トリオルガノシリル化した疎水性シリカ微粒子溶媒分散液の溶媒を留去する請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
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