JP4148033B2 - 静電潜像現像用トナー、静電潜像現像剤、及び画像形成方法 - Google Patents
静電潜像現像用トナー、静電潜像現像剤、及び画像形成方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法等において、静電潜像の現像のために使用する静電潜像現像用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法は、潜像担持体(感光体)上に形成された静電潜像を、着色剤を含む静電潜像現像用トナー(以下、単に「トナー」という場合がある。)で現像し、得られたトナー像を転写体上へ転写し、これを熱ロール等で定着することにより画像が得られる。また、その潜像担持体は、再び静電潜像を形成するために、クリーニングされるものである。
【0003】
このような電子写真法等に使用される乾式現像剤は、結着樹脂に着色剤等を配合したトナーを単独で用いる一成分現像剤と、そのトナーにキャリヤを混合した二成分現像剤とに大別される。一成分現像剤では磁性粉を用い、磁気力により潜像担持体に搬送し現像する磁性一成分と、磁性粉を用いず帯電ロール等の帯電付与により潜像担持体に搬送し、現像する非磁性一成分とに分類することができる。1980年代の後半から、電子写真の市場はデジタル化をキーワードとして小型化、高機能要求が高まり、特にフルカラー画質に関しては、高級印刷、銀塩写真に近い高画質品位が望まれている。
【0004】
高画質を達成する手段としてはデジタル化処理が不可欠であり、このような画質に関するデジタル化の効能としては、複雑な画像処理が高速で行えることが挙げられる。このことにより、文字と写真画像を分離して制御することが可能となり、両品質の再現性がアナログ技術に比べ大きく改善されている。特に写真画像に関しては階調補正と色補正が可能になった点が大きく、階調特性、精細度、鮮鋭度、色再現、粒状性の点でアナログに比べ有利である。しかし、その一方で、画像出力としては光学系で作製された潜像を忠実に作像する必要があり、トナーとしては益々小粒径化が進み忠実再現を狙った活動が加速されている。しかし、単にトナーの小粒径化だけでは、安定的に高画質を得ることは困難であり、現像、転写、定着特性における基礎特性の改善が更に重要となっている。
【0005】
また最近では、複写機やプリンターの小型化が進み、容易にそれらを移動することで、従来までには想像出来ないような高温高湿、低温低湿環境でも充分な画質を発現することが求められている。そのためにトナーに求められる性能としては、トナーの小径化、トナー形状の球形化だけではなく、形状の均一化、粒径の均一化が求められていた。
【0006】
特に、カラー画像では3色、4色のカラートナーを重ね合わせ画像を形成している。それゆえに、これら何れかのトナーが現像、転写、定着の観点で初期と異なる特性、あるいは他色と異なる性能を示すと色再現の低下、あるいは粒状性悪化、色むら等の画質劣化を引き起こすことなる。安定した高品質の画像を初期同様に経時においても、あるいは高温高湿、低温低湿環境下においても維持するためには各トナーの特性を如何に安定制御を行うかが重要である。事実、トナーは現像器内で攪拌され、トナー表面の微細構造変化が容易に起こり、転写性を大きく変えることが報告されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
また、流動性、帯電性、及び転写性を向上させるために、トナー形状を球形に近づけることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、トナーを球形化することにより、以下のような不具合を生じやすくなる。即ち、現像器には現像剤搬送量を一定に制御するために搬送量制御板が設けられており、そしてマグロールと搬送量制御板との間隔を変えることにより制御可能となる。しかし、球形トナーを用いると現像剤としての流動性が上がり、また同時に固め嵩密度が高くなる。その結果として搬送規制部位にて現像剤だまりが起こり、搬送量が不安定になるという現象が起こる。マグロール上の表面粗さを制御するとともに制御板とマグロールの間隔を狭くすることにより搬送量の改善は可能であるが現像剤だまりによるパッキング性は益々強くなり、それに応じてトナーに加わる応力も強くなる。このことによりトナー表面の微細構造変化、特に外添剤の埋没あるいは剥がれ等が容易に起こり、現像、転写性を初期と大きく変えてしまう問題を生じる不具合が確認されている。
【0008】
これらの問題を改善するために、球形トナーと非球形トナーをそれぞれ組み合わせてパッキング性を抑制し、高画質を達成できることが報告されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、これらはパッキング性抑制に関しては効果的ではあるが、非球形トナーが転写残として残りやすく、高転写効率を達成することは出来ない。また、高温高湿、低温低湿環境下では帯電維持性が阻害され、転写性の悪化によりコピー又はプリント枚数が、5000枚以下の初期段階でも画質が劣化する不具合があった。また、現像同時回収を行う場合は、転写残である非球形トナーを回収するため、非球形トナーの割合が増え、益々転写効率を低下させる問題を引き起こす。
【0009】
また、球形トナーの現像性、転写性、クリーニング性の向上を図るために、平均粒径5mμ以上20mμ未満の粒子と、平均粒径20mμ以上40mμ以下の粒子との、それぞれ粒径が異なる二種類の無機微粒子を併用し、外添剤として特定量添加することが開示されている(例えば、特許文献4参照)。これは、初期的には高い現像性、転写性、クリーニング性を得ることができるが、経時においてトナーに加わる力を軽減することができないことから、外添剤の埋没あるいは剥がれ等が容易に起こり、現像性及び転写性を初期と大きく変えてしまうものである。さらに、この場合、低温低湿、高温高湿環境下においては、帯電維持性が阻害され、現像性の低下、転写性の悪化、クラウドによる機内汚染が発生してしまう。
【0010】
一方、このようなストレスに対して、トナーへの外添剤埋没を抑制するために、大粒径の無機微粒子を外添剤として用いることが有効であることが開示されている(例えば、特許文献5〜7参照)。しかし、いずれも無機微粒子は比重が大きいために外添剤粒子を大きくすると現像器内攪拌ストレスにより、外添剤の剥がれ等を避けられないものとなってしまう。また、無機微粒子は完全な球形形状を呈していないため、トナー表面上に付着させた場合、外添剤の穂立ちを一定に制御することは困難である。このことにより、スペーサーとして機能するミクロな表面凸形状にバラツキが起こり、選択的に凸部分にストレスが加わることから、外添剤の埋没あるいは剥がれ等は更に加速される。
【0011】
また、有効にスペーサー機能を発現させるために、50〜200nmの球状有機樹脂微粒子をトナーに添加する技術が開示されている(例えば、特許文献8参照)。球状有機樹脂微粒子を用いることにより、初期的には有効にスペーサー機能を発現させることが可能である。しかし、球状有機樹脂微粒子は経時ストレスに対して埋没、剥がれは少ないものの、球状有機樹脂微粒子自身が変形するために高いスペーサー機能を安定的に発現することは困難である。
【0012】
また、球状有機樹脂微粒子をトナー表面に多く付着させたり、あるいは大粒径の球状有機樹脂微粒子を用いることにより、スペーサー効果を得ることも考えられるが、この場合には球状有機樹脂微粒子の特性が大きく反映されてしまう。即ち、無機微粒子添加トナーによる流動性阻害及び熱凝集悪化等の粉体特性への影響や、有機微粒子そのもの自身が帯電付与能力を有していることに起因して帯電の観点での制御自由度が低くなってしまうといった帯電性及び現像性に対する影響が発生する。
【0013】
また、最近では、カラー化、特にオンデマンド印刷の要求が高く、高速枚数複写対応のため転写ベルトに多色像を形成し、一度にその多色像を像固定材料に転写し、定着する手法が報告されている(例えば、特許文献9参照)。感光体から転写ベルトに転写する工程を一次転写、転写ベルトから転写体へ転写する工程を二次転写とすると二度の転写を繰り返すことになり、益々転写効率向上技術が重要となってくる。特に二次転写の場合は多色像を一度に転写すること、また、転写体(例えば、用紙の場合、その厚み、表面性等)が種々変わることから、その影響を低減するために帯電性、現像性、転写性を極めて高く制御する必要がある。特に、低温低湿、高温高湿環境下では、コピー又はプリント枚数が5000枚以下の初期段階でも帯電性が変化するため、トナーの粒径分布や形状分布、帯電性、転写性を極めて高く制御する必要がある。
【0014】
一方、近年は、静電潜像担持体の表面劣化に起因する摩耗や長寿命に対する問題を解決するため、静電潜像担持体に残留するトナーを除去するブレードクリーニング方法から静電ブラシを静電潜像担持体に弱い圧力で押し当ててクリーニングする方法も提案されている。
ブラシによるクリーニング方法は、静電潜像担持体の表面劣化の抑制という点において有効ではあるが、弾性ブレードに比べてトナー捕獲量が少なく、転写効率が低い場合の適用は難しく、弾性ブレードに比べて固着残留トナーの捕獲力が弱いという問題点があった。
【0015】
そこで、静電ブラシを用いて静電潜像担持体上の残留トナーの捕獲力が弱いという不具合を改善するために、静電潜像現像用トナーとしてトナー外添剤に特定の単分散球状シリカを用いることが提案されている(例えば、特許文献10参照)。
確かにこの方法によると、通常環境下での使用では、トナー帯電性、転写性などは長期に亘り満足できるものである。しかし、高温高湿、低温低湿環境下では帯電安定性に問題が生ることから、現像性、転写性が低下し、長期に亘り高画質を維持することは困難である。
【0016】
上述のように、トナーの現像性、転写性を改善する為に、トナー形状の球形化や、大粒径無機微粒子の添加などが実施されているが、それらは通常環境下では何ら問題なく機能を発現するものの、低温低湿、高温高湿環境下では、その経時における帯電特性に問題が生じ、結果的に現像性、転写性を低下すると言う致命的欠陥を有しており改善が望まれているのが現状である。
【0017】
【特許文献1】
特開平10−312089号公報
【特許文献2】
特開昭62−184469号公報
【特許文献3】
特開平6−308759号公報
【特許文献4】
特開平3−100661号公報
【特許文献5】
特開平7−28276号公報
【特許文献6】
特開平9−319134号公報
【特許文献7】
特開平10−312089号公報
【特許文献8】
特開平6−266152号公報
【特許文献9】
特開平8−115007号公報
【特許文献10】
特開2001−66820号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、低温低湿、高温高湿環境下における経時での帯電特性を維持することで、現像性、転写性を低下させることなく、長期に亘り高画質を維持することが可能であり、かつ機内汚染を防止しうる静電潜像現像用トナー、及びそれを用いた静電潜像現像剤を提供することを目的とする。
更に、本発明は、高画質で信頼性の高い画像を容易にかつ簡便に形成し得る画像形成方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、トナーの粒径・粒度分布、平均円形度・円形度分布と特定サイズ・種類の外添剤を用いることにより、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0020】
<1> 結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有する着色粒子と外添剤とを有する静電潜像現像用トナーであって、
前記着色粒子が、個数平均粒子径変動が25以下、平均円形度が0.975以上、円形度変動が2.5以下の着色粒子であり、前記外添剤が下記(a)(b)及び(c)からなる外添剤であることを特徴とする静電潜像現像用トナーである。
(a)真比重が1.3〜1.9、平均一次粒子径が80〜300nm、アルコキシ基量が3000ppm以下、平均炭素量が0.1〜3質量%である単分散球状シリカ。
(b)平均一次粒子径が10nm以上30nm未満の無機化合物。
(c)平均一次粒子径が30nm以上100nm以下の無機化合物。
【0021】
<2> 前記(b)及び(c)における無機化合物が、シリカ、チタン化合物、及びアルミナからなる群より選択されることを特徴とする前記<1>に記載の静電潜像現像用トナーである。
【0022】
<3> 前記<1>又は<2>のいずれかに記載の静電潜像現像用トナーとキャリアとからなることを特徴とする静電潜像現像剤である。
【0023】
<4> 静電潜像担持体に静電潜像を形成する工程、現像剤担持体上の現像剤層により前記静電潜像を現像してトナー画像を形成する工程、前記トナー画像を転写体上に転写する転写工程、及び静電潜像担持体上に残留する静電荷現像用トナーを除去するクリーニング工程を含む画像形成方法において、前記現像剤層が請求項1に記載の静電潜像現像用トナーを含有することを特徴とする画像形成方法である。
【0024】
【発明の実態の形態】
以下、本発明について詳述する。
<静電潜像現像用トナー>
本発明の静電潜像現像用ナーは、結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有する着色粒子と外添剤とを有する静電潜像現像用トナーであって、
前記着色粒子が、個数平均粒子径変動が25以下、平均円形度が0.975以上、円形度変動が2.5以下の着色粒子であり、前記外添剤が下記(a)(b)及び(c)からなる外添剤(以下、適宜、外添剤(a)(c)及び(c)と称する。)であることを特徴とする。
(a)真比重が1.3〜1.9、平均一次粒子径が80〜300nm、アルコキシ基量が3000ppm以下、平均炭素量が0.1〜3質量%である単分散球状シリカ。
(b)平均一次粒子径が10nm以上30nm未満の無機化合物。
(c)平均一次粒子径が30nm以上100nm以下の無機化合物。
【0025】
このように、トナーの粒径分布をシャープとし、トナーの粒径差による帯電バラツキを抑えることにより、転写効率を向上させることができる。また、円形度が高く、その形状分布についてもシャープとすることにより、トナー表面の外添剤付着量/付着状態のバラツキを抑えることができ、トナーの均一な帯電、外添剤の均一なスぺーサー効果の発現が実現され、高転写効率を得ることが可能となる。
【0026】
また、本発明においては、外添剤を、アルコキシ量及び平均炭素量を特定の範囲に制御した外添剤(a)、特定の粒子径を有する外添剤(b)及び(c)の3成分系としたことにより、高温高湿、低温低湿環境下においても、現像剤の流動性に変化が生じず、現像機中での攪拌効率を一定に制御でき、これによりトナーの帯電分布をシャープなまま維持するこができ、機内汚染が改善されるという優れた効果を発揮することができる。また、転写効率に関しても同様の理由により、経時での転写性を初期段階と変わらない状態で維持させることができ、長期に亘り安定した高画質を維持できる。特に、中間調域の画質及び線画像の劣化を押さえることができる。
【0027】
なお、2成分系の外添剤を用いた場合でも、初期的には、高温高湿、低温低湿環境下で、ある程度は流動性を確保できるが、経時では外添剤のトナー表面への埋没や脱落を招き、トナーそのものの表面が露出してしまい、現像機中での攪拌効率が変化し、帯電分布が広がってしまう。その結果、このような帯電性の低いトナーはキャリアとの静電的な付着力が相対的に弱まり、トナーから遊離し機内汚染の原因となってしまう。
【0028】
本発明の静電潜像現像用トナーは、少なくとも、結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有する着色粒子と外添剤を有し、更に必要に応じてその他の成分を有してなる。これらについては後述する。
【0029】
−着色粒子−
本発明における着色粒子について説明する。
本発明における着色粒子は、少なくとも、結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有してなり、該着色粒子の個数平均粒子径変動が25以下、平均円形度が0.975以上、円形度変動が2.5以下である。
【0030】
本発明における着色粒子の個数平均粒子径は、5.0〜7.0μmの範囲がであることが好ましく、5.5〜6.5μmの範囲であることがより好ましい。個数平均粒子径が5.0μm未満であると、着色粒子の表面積が大きくなり、静電的付着力が増大し、転写効率が極端に低下する場合がある。また、個数平均粒子径が7.0μmより大きいと、現像工程、転写工程におけるトナーの飛び散りが顕著になるため、静電潜像の再現性が低下してしまい、高品位画質を得ることが困難となる場合がある。なお、個数平均粒子径を上記範囲とすることは、フルカラー画像形成において、カラー再現性に優れる点からも好ましい。
【0031】
また、本発明における着色粒子の個数平均粒子径変動は、25以下であることが必要であり、20以下であることが好ましい。個数平均粒子径変動が大きいと、小径着色粒子と大径着色粒子とのサイズ差が大きくなる。このサイズの差により、着色粒子1個当たりの表面積の差が大きくなる。現像器中のトナーの表面電荷密度は、上記表面積に対応するため、前記着色粒子1個当たりの表面積の差は、着色粒子1個当たりの帯電量の差となって表れることとなる。
【0032】
したがって、個数平均粒子径変動が25より大きくなると、着色粒子1個当たりの帯電量の差が大きくなる。そして、この帯電量の差により、各着色粒子ごとの最適転写電界が異なってくるため、異なった帯電量の着色粒子を、1つの転写条件で同時に、しかも非常に高い効率で転写することは困難になってくる。
【0033】
なお、上記個数平均粒子径変動とは、一定数の着色粒子についての個数平均粒子径の測定値について統計処理を行い、その平均値に対する標準偏差を百分率で表したものである。具体的な測定法については後述する。
【0034】
本発明における着色粒子の平均円形度は、0.975以上であることが必要であり、0.980以上であることが好ましい。また、着色粒子の円形度変動は、0.25以下であることが必要であり、0.20以下であることが好ましい。
【0035】
上記平均円形度は、1.0の場合が真球であり、数値が低いほど異形度が大きくなってくる。平均円形度が0.975未満の場合、着色粒子の異形度が大きくなり、表面積が大きくなる。表面積が大きくなると静電的付着力が増大し、転写効率が極端に低下する。また、異形度が大きいと着色粒子表面の凹部に外添剤が埋まり込み、実質的に外添剤の機能(帯電付与/スペーサー効果)が低下してしまう。これらの影響で、高転写効率を達成することは困難になる。
【0036】
また、上記円形度変動が0.25より大きいと、着色粒子の形状の分布が大きくなるため、着色粒子ごとの外添剤付着状態が均一ではなくなる。そして、この外添剤付着状態のバラツキが帯電量のばらつきとなるため、異なった帯電量の着色粒子を、1つの転写条件で同時に、しかも非常に高い効率で転写することは困難になってくる。
【0037】
ここで、上記平均円形度とは、一定数の着色粒子について画像解析を行い、撮影された各々の着色粒子に対して下式により円形度を求め、それらを平均した値である。また、上記円形度変動は、このようにして求めた各々の円形度について、統計処理を行い、その平均値に対する標準偏差を百分率で表したものである。
円形度=円相当径周囲長/周囲長=2A1/2π/PM
(上式において、Aは粒子の投影面積、PMは粒子の周囲長を表す。)
【0038】
前記着色粒子の個数平均粒子径、個数平均粒子径変動、平均円形度、及び円形度変動は、フロー式粒子像解析装置FPIA−2100(Sysmex社製)を用い、少なくとも5000個の着色粒子について各々画像解析を行い、統計処理することによって求めた。
【0039】
本発明における結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα―メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;等の単独重合体及び共重合体を例示することができる。
特に、代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレンーアクリル酸アルキル共重合体、スチレンーメタクリル酸アルキル共重合体、スチレンーアクリロニトリル共重合体、スチレンーブタジエン共重合体、スチレンー無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等も挙げられる。
【0040】
本発明における着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.Pigment Red 48:1、C.I.PigmentRed 122、C.I.Pigment Red 57:1、C.I.Pigment Yellow 12、C.I.Pigment Yellow 17、C.I.Pigment Yellow 97、C.I.Pigment Yellow 128、C.I.Pigment Yellow 151、C.I.Pigment Yellow 155、C.I.Pigment Yellow 173、C.I.Pigment Yellow 180、C.I.Pigment Yellow 185、C.I.Pigment Blue 15:1、C.I.Pigment Blue 15:3等が代表的なものとして挙げられる。
【0041】
本発明における離型剤としては、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして挙げられる。
【0042】
本発明における着色粒子には、帯電制御剤等の公知の添加剤を内添加処理や外添加処理してもよい。帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いることができる。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で水に溶解しにくい素材を使用するのが好ましい。
また、本発明における着色粒子には、必要に応じて、無機微粒子を内添加処理もよい。
【0043】
本発明における着色粒子は、特に製造方法により限定されるものではなく、公知の方法で得ることができる。具体的には、例えば、結着樹脂及び着色剤と、必要に応じて離型剤及び帯電制御剤等を混練、粉砕、分級する混練粉砕法、混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギーにて形状を変化させる方法、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤、必要に応じて離型剤及び帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、着色粒子を得る乳化重合凝集法、結着樹脂を得るための重合性単量体と、着色剤、必要に応じて離型剤、帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法、結着樹脂及び着色剤と、必要に応じて離型剤及び帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等が挙げられる。
また上記方法で得られた着色粒子をコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法を行ってもよい。後述する外添剤の添加に際しては、着色粒子及び外添剤をヘンシェルミキサーあるいはVブレンダー等で混合することによって製造することができる。また、着色粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
但し、上述したように、トナーの粒径・粒度分布、平均円形度・円形度分布は上記特定の範囲に制御される必要が有る。
【0044】
上述のように本発明における着色粒子は、公知の方法で得ることができ、本発明における粒径分布や形状分布等に優れたトナーを作製できる点や、得率や環境負荷の観点から乳化重合法でトナーを製造することが好ましい。ここでは、乳化重合法を用いた場合の製造方法について詳しく説明する。
【0045】
乳化重合法では、イオン性界面活性剤による樹脂分散液と、反対極性のイオン性界面活性剤に分散した顔料とを混合し、ヘテロ凝集を生じさせてトナー径の凝集粒子を形成し(凝集工程)、その後、前記樹脂のガラス転移点以上に加熱して該凝集粒子を融合させ一体化し(融合工程)、洗浄、乾燥してトナーが製造される。
【0046】
この方法では、加熱温度条件等を選択することにより、トナー形状を不定形から球形まで制御することが可能である。また、顔料と樹脂粒子との極性が同じでも、反対極性の界面活性剤を加えることにより、同様の凝集粒子を生成することができる。さらに、上記凝集粒子分散液を加熱して、凝集粒子を融合させる前に、別の微粒子分散液を添加混合し、もとの凝集粒子表面に前記微粒子を付着させた後、樹脂のガラス転移点以上に加熱して融合する方法を採用することにより、トナーの表面から内部に至る層構造を制御することも可能である。さらに、この方法により、トナー表面を樹脂で被覆したり、帯電制御剤で被覆したり、ワックスや顔料をトナー表面近傍に配置したりすることも可能になる。
【0047】
このとき粒度分布や形状分布を制御する上で重要なことは、後から添加混合する微粒子分散液の微粒子(付着粒子)が、凝集粒子表面に均一にかつ着実に付着することである。付着するはずの微粒子が遊離状態で存在したり、いったん付着したものが再び遊離すると、粒度分布や形状分布は簡単に広くなってしまう。粒度分布が広くなると、特に微粉は、現像時に感光体に強く付着して黒点を発生させる原因となり、2成分系現像剤では、キャリア汚染を招きやすく、現像剤寿命を短くする。また、1成分系現像剤では現像ロール、帯電ロール、トリミングロールまたはブレードに固着してこれを汚染し、画質を低下させる要因となる。さらに、画質、信頼性低下にかかわる大きな要因としてトナー中の粒径分布の問題がある。
【0048】
また、前記乳化重合法でトナーを製造する場合、粒径分布や形状分布には攪拌条件の制御が重要である。母体となる凝集粒子形成時や付着粒子添加後に、分散液の粘度が上昇するため、均一混合する目的で傾斜パドル型などの攪拌翼を用いて高せん断速度で分散液を攪拌すると、反応容器壁や攪拌翼への凝集粒子の付着が増加するため、粒径の均一化が阻害される。低せん断速度で均一な攪拌を行うためには、液深さ方向に幅の広い翼形状(平板翼)の攪拌翼を用いることが有効である。
【0049】
さらには、凝集粒子形成後に10μm開口のフィルターバッグなどを使って、ろ過することにより、粗粉を除去することも有効であり、必要に応じて多段または繰り返し処理を行うことも有効である。粒径分布や形状分布の画質への影響は、トナーの平均粒径が小径であったり、トナー形状が球形に近いほど大きくなってくる。
【0050】
通常、この凝集融合プロセスは、一括して混合し、凝集するため均一な混合状態で凝集粒子を融合することができ、トナー組成は表面から内部まで均一になる。前記の方法で離型剤を含有させる場合は、融合後の表面にも離型剤が存在することになり、フィルミングの発生や流動性付与のための外添剤がトナー内部に埋没するなどの現象が起こりやすくなる。
【0051】
そこで、凝集工程において、初期の各極性のイオン性界面活性剤の量のバランスを予めずらしておき、ガラス転移点以下で第1段階の母体凝集粒子を形成し安定化させた後、第2段階でバランスのずれを補填するような、極性、量の界面活性剤で処理された微粒子分散液を添加し、さらに必要に応じて、前記母体凝集粒子または追加微粒子に含まれる樹脂のガラス転移点以下でわずかに加熱して安定化させた後、ガラス転移点以上に加熱することにより、第2段階で加えた微粒子を母体凝集粒子の表面に付着させたまま融合することが可能である。しかも、これらの凝集操作は、段階的に複数回繰り返して実施することも可能であり、その結果、トナー粒子の表面から内部にかけて段階的に組成、物性を変化させることができ、トナー構造の制御が極めて容易となる。
【0052】
例えば、多色現像に用いられるカラートナーの場合では、第1段階で母体凝集粒子を樹脂微粒子と顔料微粒子とで作製した後、別の樹脂微粒子分散液を追加してトナー表面に樹脂層のみを形成することにより、顔料微粒子による帯電挙動への影響を最小限に止めることができる。その結果、顔料の種類による帯電特性の差を抑制することができる。また、第2段階で添加する樹脂のガラス転移点を高めに設定すればカプセル状にトナーを被覆することができ、熱保存性と定着性とを両立させることができる。
【0053】
さらには、第2段階でワックスなどの離型剤微粒子分散液を加え、さらに第3段階で硬度の高い樹脂の分散液を用いて最表面にシェルを形成すれば、トナー表面へのワックスの露出を抑制することができ、かつ、定着時には有効にワックスが離型剤として働くようにすることも可能である。
【0054】
また、母体凝集粒子に離型剤微粒子を含有させたのち、第2段階で最表面にシェルを形成してワックスの露出を防止してもよい。ワックスの露出が防止されると、感光体等へのフィルミングが抑制されるだけでなく、トナーの粉体流動性を向上させることができる。
【0055】
このように、段階的に凝集粒子表面に微粒子を段階的に付着し、加熱融合する方法においては、粒度分布や形状分布の維持性や、平均粒径や円形度の変動を抑制することができると共に、凝集粒子の安定性を高めるための、界面活性剤、塩基あるいは酸などの安定剤の添加を不要にし、または、それらの添加量を最少限度に抑制することができる。
【0056】
分散微粒子の分散径は、母体凝集粒子に用いる場合も、追加微粒子として用いる場合も1μm以下であることが望ましい。1μmを超えると最終的に生成するトナーの粒度分布が広くなったり、遊離の微粒子が発生し、トナーの性能低下や信頼性低下の原因となる。
【0057】
追加する微粒子分散液の量は、含まれる母体凝集粒子の体積分率に依存し、追加微粒子の量は、最終的に生成する凝集粒子の50%以内(体積換算)に調整することが望ましい。50%を超えると、母体凝集粒子に付着せず新たな凝集粒子を生成するため、組成の分布や粒径の分布が著しく広くなり、所望の性能が得られなくなる。
【0058】
また、微粒子分散液の追加を分割して段階的に行ったり、徐々に連続的に行うことは、新たな微小な凝集粒子の発生を抑制し、粒度分布や形状分布をシャープにするのに有効である。さらに、微粒子分散液を追加するときに、母体凝集粒子及び追加微粒子の樹脂のガラス転移温度以下の温度、好ましくはガラス転移温度より40℃低い温度からガラス転移温度の範囲で加熱することにより、遊離微粒子の発生を抑制することができる。
【0059】
本発明の静電潜像現像用トナーは、着色粒子と後述する外添剤とを混合することで得られるが、この混合(ブレンド)方法については特に制限はなく、公知の方法にて行うことができる。例えば、ヘンシェルミキサー、Q型ミキサー、ハイブリダイゼーションシステム等を用いた乾式法でもよいし、着色粒子を湿式製法で作成した場合、そのまま湿式法にてブレンドしてもよい。また、ブレンドによって発生する粗粉を除去する為にブレンド工程の後に篩分をした方が好ましい。なお、本発明の静電潜像現像用トナーには、必要に応じて、公知のクリーニング補助材料を混合添加してもよい。
【0060】
−外添剤−
次ぎに、本発明に用いられる外添剤について述べる。
本発明における着色粒子は、その表面に外添剤が分散されることにより、静電潜像現像用トナーとなる。本発明においては、下記(a)(b)及び(c)からなる外添剤が用いられることが必要である。
(a)真比重が1.3〜1.9、平均一次粒子径が80〜300nm、アルコキシ基量が3000ppm以下、平均炭素量が0.1〜3質量%である単分散球状シリカ〔外添剤(a)〕。
(b)平均一次粒子径が10nm以上30nm未満の無機化合物〔外添剤(b)〕。
(c)平均一次粒子径が30nm以上100nm以下の無機化合物〔外添剤(c)〕。
なお、上記外添剤(c)において、無機化合物がシリカである場合には、上記外添剤(a)は包含されない。
【0061】
外添剤(a)について説明する。
本発明に使用される単分散球状シリカ〔外添剤(a)〕は、真比重が1.3〜1.9、平均一次粒子径が80〜300nm、アルコキシ基量が3000ppm以下、平均炭素量が0.1〜3質量%であることを特徴とする。
【0062】
外添剤(a)として用いられる単分散球状シリカの真比重を1.9以下に制御することにより、着色粒子からの剥がれを抑制することができる。また、真比重を1.3以上に制御することにより、凝集分散を抑制することができる。好ましくは、本発明における単分散球状シリカの真比重は、1.4〜1.8である。
【0063】
外添剤(a)として用いられる単分散球状シリカの平均一次粒子径が80nm未満であると、非静電的付着力低減に有効に働かなくなり易い。特に、現像機内のストレスにより、着色粒子に埋没しやすくなり、現像、転写向上効果が著しく低減しやすい。一方、300nmを超えると、着色粒子から離脱しやすくなり、非静電的付着力低減に有効に働かないと同時に接触部材に移行しやすくなり、帯電阻害、画質欠陥等の二次障害を引き起こしやすくなる。好ましくは、本発明における外添剤(a)として用いられる単分散球状シリカの平均一次粒子径は、100〜200nmである。
【0064】
外添剤(a)として用いられる単分散球状シリカは、単分散かつ球状であるため、着色粒子表面に均一に分散し、安定したスペーサー効果を得ることができる。本発明における単分散の定義としては、凝集体を含め平均粒径に対する標準偏差で議論することができ、標準偏差として平均一次粒子径×0.22以下である。本発明における球状の定義としては、Wadellの真の球形度Ψを採用し、球形度Ψが0.6以上であり、0.8以上であることが好ましい。また、シリカに限定する理由としては、屈折率が1.5前後であり、粒径を大きくしても光散乱による透明度の低下、特にOHP上への画像採取時に影響を及ぼさないことが挙げられる。
【0065】
一般的なフュームドシリカは、真比重が2.2であり、粒径的にも最大50nmが製造上から限界である。また、凝集体として粒径を上げることはできるが、均一分散、安定したスペーサー効果が得られない。一方、外添剤として用いられる他の代表的な無機微粒子としては、酸化チタン(真比重4.2、屈折率2.6)、アルミナ(真比重4.0、屈折率1.8)、酸化亜鉛(真比重5.6、屈折率2.0)が挙げられるが、いずれも真比重が高く、このような外添剤のみを用いた場合には、スペーサー効果を有効に発現する粒径80nmより大きくすると着色粒子からの剥がれが起こりやすくなり、剥がれた粒子が帯電付与部材、あるいは潜像担持体等へ移行しやすくなり、帯電低下あるいは画質欠陥を引き起こしてしまう。また、その屈折率も高いため大粒径無機物を、単独で用いることはカラー画像作製には適していない。また、トナーの流動性及び帯電性を制御するために、着色粒子表面を充分に被覆する必要があるが、大径球状シリカだけでは充分な被覆を得ることができないことがあるため、小粒径の無機化合物を併用することが好ましい。本発明においては、外添剤(a)と、後述する外添剤(b)及び(c)とを併用するため、上記のごとき問題を生じることなく、本発明の優れた効果を発揮することができる。
【0066】
前記単分散球状シリカのアルコキシ基量は3000ppm以下がであることが望ましく、より望ましくは1000ppm〜300ppmの範囲である。アルコキシ基量が3000ppmより多いと、該単分散球状シリカを着色粒子に外添した場合、低温低湿環境下での帯電維持性において、トナー帯電量が高くなり現像性が低下することはもとより、転写時にも静電潜像担持体とトナーの静電的な付着力が強くなり転写性を悪化させる。一方、300ppmより少ない量では、高温高湿環境下での帯電維持性において、トナー帯電量が低くなり、過剰に現像し画質の悪化を招くばかりでなく、現像機からトナーが吹き出し、現像機を汚すことがある。ここで、上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、等が挙げられ、メトキシ基であることがより好ましい。
【0067】
前記単分散球状シリカの平均炭素量は、0.1〜3質量%であることが必要であり、より望ましくは0.3〜1.0質量%の範囲である。平均炭素量が0.1より少なくなると、該単分散球状シリカを着色粒子に外添した場合、高温高湿環境下での帯電維持性において トナー帯電量が低くなり、過剰に現像し画質の悪化を招くばかりでなく、現像機からトナーが吹き出し、現像機を汚すことがある。一方、3質量%より多くなると、低温低湿環境下での帯電維持性において、トナー帯電量が高くなり現像性が低下することはもとより、転写時にも静電潜像担持体とトナーの静電的な付着力が強くなり転写性を悪化させる。
【0068】
アルコキシ基量及び平均炭素量を上記範囲にするための制御方法としては、例えば、後述するゾルゲル法におけるメタノール等のアルコール溶媒除去工程において、溶媒の除去量を観測し、これに基づき反応を調製する方法、等が挙げられる。すなわち、アルコールを除去するときに、長時間行なうことにより、表面のアルコキシ基をなくすことができる。途中で除去を止めることにより、特定量の表面のアルコキシ基量となる。または、アルコキシ基を生じないカップリング剤で処理することにより制御できる。
【0069】
本発明における真比重が1.3〜1.9、平均一次粒子径が80〜300nm、アルコキシ基量が3000ppm以下、平均炭素量が0.1〜3質量%である単分散球状シリカは、湿式法であるゾルゲル法により得ることができる。
真比重は、湿式法、かつ焼成することなしに作製するため、蒸気相酸化法に比べ低く制御することができる。また、疎水化処理工程での疎水化処理剤種、あるいは処理量を制御することにより更に調製することが可能である。粒径は、ゾルゲル法の加水分解、縮重合工程のアルコキシシラン、アンモニア、アルコール、水の質量比、反応温度、攪拌速度、供給速度により自由に制御することができる。単分散、球状形状も本手法にて作製することにより達成することができる。
【0070】
具体的には、例えば、テトラメトキシシランを水、アルコールの存在下、アンモニア水を触媒として温度をかけながら滴下、攪拌を行う。次に、反応により得られたシリカゾル懸濁液の遠心分離を行い、湿潤シリカゲルとアルコールとアンモニア水に分離する。湿潤シリカゲルに溶剤を加え再度シリカゾルの状態にし、疎水化処理剤を加え、シリカ表面の疎水化を行う。疎水化処理剤としては、一般的なシラン化合物を用いることができる。次に、この疎水化処理シリカゾルから溶媒を除去、乾燥、シーブすることにより、目的の単分散球状シリカを得ることができる。また、このようにして得られたシリカを再度処理を行っても構わない。本発明における単分散球状シリカの製造方法は、上記製造方法に限定されるものではない。
【0071】
上記シラン化合物は、水溶性のものを使用することができる。このようなシラン化合物としては、化学構造式RaSiX4-a(式中、aは0〜3の整数であり、Rは、水素原子、アルキル基及びアルケニル基等の有機基を表し、Xは、塩素原子、メトキシ基及びエトキシ基等の加水分解性基を表す。)で表される化合物を使用することができ、クロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、特殊シリル化剤のいずれのタイプを使用することも可能である。
【0072】
具体的には、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランを代表的なものとして例示することができる。本発明における疎水化処理剤は、特に好ましくは、ジメチルジメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0073】
前記単分散球状シリカの添加量は、着色粒子100質量部に対して、0.5〜5質量部が好ましく、1〜3質量部がより好ましい。該添加量が0.5質量部より少ないと、非静電的付着力の低減効果が小さく、現像、転写向上効果が十分得られなくなることがあり、一方、該添加量が5質量部より多いと、着色粒子表面を1層被覆し得る量を超え、被覆が過剰な状態となり、シリカが接触部材に移行し、二次障害を引き起こし易くなる。
【0074】
本発明においては、前記外添剤(a)と共に、(b)平均一次粒子径が10nm以上30nm未満の無機化合物〔外添剤(b)〕と、(c)平均一次粒子径が30nm以上100nm未満の無機化合物〔外添剤(c)〕とが併用される。
前記外添剤(b)の平均一次粒子径としては、15nm〜25nmであることがより好ましい。また、前記外添剤(c)の平均一次粒子径としては、50nm〜80nmであることがより好ましい。
【0075】
前記外添剤(b)及び(c)における無機化合物としては、例えば、シリカ、チタン化合物、アルミナ炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、酸化セリウム等が挙げられる。本発明においては、シリカ、チタン化合物、及びアルミナからなる群から選択されることが好ましい。また、目的に応じてこれら上記外添剤の表面には公知の表面処理を施してもよい。
【0076】
外添剤(b)としては、具体的には、例えば、平均一次粒子径が15nm〜25nmであることがより好ましく、この粒子を用いることで、トナー母粒子の粉体流動性向上及び帯電制御がし易くなる。このような働きを担う粒子としては、トナーの帯電量温湿度依存性を抑制する観点からチタン化合物が好適である。このチタン化合物としては、表面に疎水化処理してなるものが好適である。この疎水化処理により、分散性が良好になり、トナー母粒子の流動性向上効果が大きくなる。疎水化処理剤としては公知のものが使用できるが、具体的には、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O―(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N―ビス(トリメチルシリル)ウレア、tert―ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γーメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、βー(3,4―エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γーグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γーグリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γーメルカプトプロピルトリメトキシシラン、γークロロプロピルトリメトキシシランを代表的なものとして例示することができる。本発明において、無機微粒子としては、粒径の異なる3種以上のものを用いるが、この場合、小径の無機微粒子がトナー母粒子に付着するとトナーの流動性が向上し、その結果、大径の無機微粒子がその上に均一に付着しにくいため、小径の無機微粒子は、大径の無機微粒子の後に添加した方がよい。即ち、粒径の異なる3種類以上の無機微粒子を用いる場合、その添加順序は、一番大きな粒径の無機微粒子から順に添加していくのが好適である。
【0077】
外添剤(c)としては、具体的には、例えば、平均一次粒子径が50nm〜80nmであることが好ましい。この粒子を用いることで、トナー母粒子の帯電量温湿度依存性を小さくすることができる。このような働きを担う粒子としては、トナーの帯電量を制御し、良好な環境依存性を示し、帯電維持性も満足する観点から、アルミナが好適である。このアルミナは表面に疎水か処理してなるものが好適である。この疎水化処理により、分散性が良好になり、トナー母粒子の流動性向上効果が大きくなる。疎水化処理剤としては公知のものが使用できるが、具体的にはメチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O―(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N―ビス(トリメチルシリル)ウレア、tert―ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γーメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、βー(3,4―エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γーグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γーグリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γーメルカプトプロピルトリメトキシシラン、γークロロプロピルトリメトキシシランを代表的なものとして例示することができる。
【0078】
特に、チタン化合物の中でもメタチタン酸TiO(OH)2は透明性に影響を与えず、良好な帯電性、環境安定性、流動性、耐ケーキング性、安定した負帯電性、安定した画質維持性に優れた現像剤を提供することができる。
【0079】
前記外添剤(b)の添加量としては、着色粒子100質量部に対して、0.3〜3質量部が好ましく、1〜2質量部がより好ましい。
前記外添剤(c)の添加量としては、着色粒子100質量部に対して、
0.5〜5質量部が好ましく、1〜3質量部がより好ましい。
また、外添剤(a)(b)及び(c)の含有比としては、外添剤(a)が1に対し外添剤(b)は0.2〜4、(c)は0.2〜6が好ましく、外添剤(b)が1.5〜2、(c)が1.5〜3がより好ましい。
【0080】
外添剤(b)の添加量が0.3質量部より少ないと、トナーの流動性が十分に得られない場合があり、また熱保管によるブロッキング抑制が不十分となりやすい。一方、外添剤(b)の添加量が3質量部より多いと、過剰被覆状態となり、過剰無機化合物が接触部材に移行し、二次障害を引き起こす場合がある。また、外添剤(c)の外添量が0.5質量部より少ないとトナーの帯電量制御が困難になり、温湿度依存が大きくなる。一方、外添剤(c)の外添量が5質量部より多いと、過剰被服状態となり、過剰無機化合物が接触部材に移行し、二次障害を引き起こす可能性がある。
【0081】
また、この際、必要に応じて種々の添加剤を添加してもよい。該添加剤としては、他の流動化剤やポリスチレン微粒子、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリフッ化ビニリデン微粒子等のクリーニング助剤もしくは転写助剤等が挙げられる。
【0082】
本発明において、前記無機化合物(メタチタン酸の疎水化処理化合物等)の着色粒子表面への付着状態は、単に機械的な付着であってもよいし、表面にゆるく固着されていてもよい。また、着色粒子の全表面を被覆していても、一部を被覆していてもよい。
【0083】
本発明において、前記外添剤は、着色粒子に添加され、混合されるが、混合は、例えば、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、レディゲミキサー等の公知の混合機によって行うことができる。また、外添混合後に篩分プロセスを通しても一向に構わない。
【0084】
本発明の静電潜像現像用トナーは、以上のような製造方法によって好適に製造することができるが、この製造方法に限定されるものではない。
【0085】
<静電潜像現像剤>
本発明の静電荷像現像剤は、前記本発明の静電荷像現像用トナーと、キャリアとを含有してなる。キャリアとしては、特に制限はなく、それ自体公知のキャリアが挙げられ、例えば、特開昭62−39879号公報、特開昭56−11461号公報等に記載されたキャリアを使用することができる。前記静電荷像現像剤における、前記本発明の静電荷像現像用トナーと、キャリアとの混合比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0086】
<画像形成方法>
本発明の画像形成方法は、静電潜像形成工程、トナー画像形成工程、及び転写工程を含む。前記各工程は、それ自体一般的な工程であり、例えば、特開昭56−40868号公報、特開昭49−91231号公報等に記載されている。なお、本発明の画像形成方法は、それ自体公知のコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。
ここで、静電潜像形成工程は、静電潜像担体上に静電潜像を形成する工程である。トナー画像形成工程は、現像剤担体上の現像剤層により前記静電潜像を現像してトナー画像を形成する工程である。現像剤層としては、前記本発明の静電荷像現像剤を含有していれば特に制限はない。前記転写工程は、前記トナー画像を転写体上に転写する工程である。
【0087】
本発明の画像形成方法においては、さらにクリーニング工程とリサイクル工程とを含む態様が好ましい。前記クリーニング工程は、トナー画像を形成する際の余分な静電荷像現像用トナーを回収する工程である。前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程において回収した静電荷像現像用トナーを現像剤層に移す工程である。クリーニング工程とリサイクル工程とを含む態様の画像形成方法は、トナーリサイクルシステムタイプの複写機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。また、クリーニング工程を省略し、現像と同時にトナーを回収する態様のリサイクルシステムにも適用することができる。
【0088】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の説明において、「部」は総て「質量部」を意味する。
【0089】
各実施例、比較例で用いた静電潜像現像用トナー、キャリア及び静電潜像現像用現像剤の製造、及び各測定は以下の方法で行った。
(個数平均粒径、個数平均粒径変動、平均円形度、及び円形度変動の測定)
トナーの個数平均粒径、個数平均粒度変動、平均円形度、及び円形度変動の測定は、Sysmex社製FPIA−2100で測定した。本装置では、水などに分散させた粒子をフロー式画像解析法によって測定する方式が採用されており、 吸引された粒子懸濁液はフラットシースフローセルに導かれ、シース液によって偏平な試料流に形成される。その試料流にストロボ光を照射することにより、通過中の粒子は対物レンズを通してCCDカメラで、静止画像として撮像される。
【0090】
撮像された粒子像は、2次元画像処理され、投影面積と周囲長から円相当径および円形度を算出する。円相当径は、撮影された各々の粒子に対して、2次元画像の面積から同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出する。このように撮影した粒子を、少なくとも5000個以上各々画像解析を行い、統計処理することによって、個数平均粒径と個数平均粒度変動を求めた。また、円形度に関しては、撮影された各々の粒子に対して、下式によって円形度を求めた。また、円形度についても、撮影した粒子を少なくとも5000個以上各々画像解析を行い、統計処理することによって、平均円形度、円形度変動を求めた。
円形度=円相当径周囲長/周囲長=2A1/2π/PM
(上式においてAは投影面積、PMは周囲長を表す。)
【0091】
なお、測定はHPFモード(高分解能モード)、希釈倍率1.0倍で行った。また、データの解析に当たっては、測定ノイズ除去の目的で、個数粒径解析範囲を2.0〜30.1μmの範囲、円形度解析範囲を0.40〜1.00の範囲で実施した。
【0092】
(球形度)
球形度はWadellの真の球形度Ψを採用し、球形度Ψは下記式より求めた。
【0093】
球形度Ψ=(実際の粒子と同じ体積を有する球の表面積)/(実際の粒子の表面積)
ここで、上記式において、(実際の粒子と同じ体積を有する球の表面積)は、外添剤の平均粒径から算術計算で求められる。(実際の粒子の表面積)は、島津粉体比表面積測定装置SS−100型を用い、測定したBET比表面積により代用させた。
【0094】
(外添剤の平均一次粒子径の測定)
レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(HORIBA LA−910)を用いて行った。
【0095】
(外添剤の真比重の測定)
ルシャテリエ比重瓶を用い、JIS−K−0061の5−2−1に準拠して外添剤の真比重を測定した。操作は次の通りに行った。
(1)ルシャテリエ比重瓶に約250mlのエチルアルコールを入れ、メニスカスが目盛りの位置にくるように調整する。
(2)比重瓶を恒温水槽に浸し、液温が20.0±0.2℃になったとき、メニスカスの位置を比重瓶の目盛りで正確に読み取る。(精度0.025mlとする)
(3)試料を約100g量り取り、その質量をWとする。
(4)量り取った試料を比重瓶に入れ泡を除く。
(5)比重瓶を恒温水槽に浸し、液温が20.0±0.2℃になったとき、メニスカスの位置を比重瓶の目盛りで正確に読み取る。(精度0.025mlとする)
(6)次式により真比重を算出する。
D=W/(L2−L1)
S=D/0.9982
上記式中、Dは試料の密度(20℃)(g/cm3)、Sは試料の真比重(20℃)、Wは試料の見かけの質量(g)、L1は試料を比重瓶に入れる前のメニスカスの読み(20℃)(ml)、L2は試料を比重瓶に入れた後のメニスカスの読み(20℃)(ml)、0.9982は20℃における水の密度(g/cm3)である。
【0096】
(メトキシ基量の測定)
密閉式アルカリトラッキングヘッドスペースGC法で行った。
(1)20mlバイアル瓶に試料0.20g秤量する。
(2)1N―アミルアルコールカリ溶液1.00g添加し緩やかに攪拌する。
(3)ヘッドスペースサンプラー内で80℃×30分加熱。(プログラム)
(3)ヘッドスペースのガスを一定量サンプリングしてガスクロマト測定。(プログラム)
−HF−GC条件−
シリコーンコートキャピラリーカラム、Heキャリア、FID検出器
GC部 50℃→280℃ 10℃/分昇温 INJECTION部250℃
ヘッドスペース部 80℃×30分間加熱
メタノールを一定量試料に加えた標準添加法にて同様に前処理して検量線を作製し定量した。
【0097】
(平均炭素量の測定)
燃焼法により測定した。測定は堀場製作所製 EMIA−110を用いて行った。試料0.1gを磁性ボードに精評し、約1200℃で燃焼し、CO2量より炭素量を換算し求めた。
【0098】
(着色粒子の調製)
−樹脂微粒子分散液の調製−
・スチレン 370部
・n−ブチルアクリレート 30部
・アクリル酸 8部
・ドデカンチオール 24部
・四臭化炭素 4部
以上の成分を混合して溶解したものを、非イオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製)6部及びアニオン性界面活性剤(ネオゲンSC:第一工業製薬(株)製)10部をイオン交換水550部に溶解したフラスコ中で乳化重合させ、10分間ゆっくり混合しながら、これに過硫酸アンモニウム4部を溶解したイオン交換水50部を投入した。窒素置換を行った後、前記フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。その結果、平均粒径150nmであり、Tg=58℃、重量平均分子量Mw=11500の樹脂粒子が分散された樹脂微粒子分散液が得られた。この分散液の固形分濃度は40質量%であった。
【0099】
−着色剤分散液(1)の調製−
・カーボンブラック(モーガルL:キャボット製) 60部
・ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製) 6部
・イオン交換水 240部
【0100】
以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理して平均粒径が250nmである着色剤(カーボンブラック)粒子が分散された着色剤分散剤(1)を調製した。
【0101】
−着色剤分散液(2)の調製−
・Cyan顔料(C.I.Pigment Blue B15:3) 60部
・ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製) 5部
・イオン交換水 240部
【0102】
以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理して平均粒径が250nmである着色剤(Cyan顔料)粒子が分散された着色剤分散剤(2)を調製した。
【0103】
−着色剤分散液(3)の調製−
・Magenta顔料(C.I.Pigment Red 122) 60部
・ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製) 5部
・イオン交換水 240部
【0104】
以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理して平均粒径が250nmである着色剤(Magenta顔料)粒子が分散された着色剤分散剤(3)を調製した。
【0105】
−着色分散液(4)の調製−
・Yellow顔料(C.I.Pigment Yellow 180) 90部
・ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製) 5部
・イオン交換水 240部
【0106】
以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理して平均粒子径が250nmである着色剤(Yellow顔料)粒子が分散された着色剤分散剤(4)を調製した。
【0107】
−離型剤分散液−
・パラフィンワックス 100部
(HNP0190:日本精蝋(株)製、融点85℃)
・カチオン性界面活性剤 5部
(サニゾールB50:花王(株)製)
・イオン交換水 240部
【0108】
以上の成分を、丸型ステンレス鋼製フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒径が550nmである離型剤粒子が分散された離型剤分散液を調製した。
【0109】
<着色粒子K1の調製>
・樹脂微粒子分散液 234部
・着色剤分散液(1) 30部
・離型剤分散液 40部
・ポリ塩化アルミニウム 1.8部
(PAC100W:浅田化学社製)
・イオン交換水 600部
【0110】
以上の成分を、丸型ステンレス鋼鉄フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて混合し、分散した後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら50℃まで加熱した。50℃で30分保持した後、D50が4.5μmの凝集粒子が生成していることを確認した。更に加用オイルバスの温度を上げて56℃で1時間保持し、D50は5.3μmとなった。その後、この凝集体粒子を含む分散液に26質量部の樹脂微粒子分散液を追加した後、加熱用オイルバスの温度を50℃まで上げて30分間保持した。この凝集体粒子を含む分散液、1N水酸化ナトリウムを追加して、系のpHを5.0に調整した後ステンレス製フラスコを密閉し、磁気シールを用いて攪拌を継続しながら95℃まで加熱し、4時間保持した。冷却後、このトナー母粒子を濾別し、イオン交換水で4回洗浄した後、凍結乾燥して着色粒子K1を得た。着色粒子K1の粒径が6.0μm、個数平均粒子径変動は15、平均円形度は0.982、円形度変動は1.5であった。
【0111】
<着色粒子C1の調製>
着色粒子分散液(1)の代わりに、着色粒子分散液(2)を用いる以外は、上記着色粒子K1と同様にして着色粒子C1を得た。この着色粒子C1の粒子径は5.7μm、個数平均粒子径変動は18、平均円形度は0.985、円形度変動は1.7であった。
【0112】
<着色粒子M1の調製>
着色粒子分散液(1)の代わりに、着色粒子分散液(3)を用いる以外は、上記着色粒子K1と同様にして着色粒子M1を得た。この着色粒子M1の粒子径は5.5μm、個数平均粒子径変動は22、平均円形度は0.983、円形度変動は2.1であった。
【0113】
<着色粒子Y1の調製>
着色粒子分散液(1)の代わりに、着色粒子分散液(4)を用いる以外は、上記着色粒子K1と同様にして着色粒子Y1を得た。この着色粒子Y1の粒子径は5.9μm、個数平均粒子径変動は24、平均円形度は0.975、円形度変動は2.4であった。
【0114】
<着色粒子K2の調製>
・樹脂微粒子分散液 234部
・着色剤分散液(1) 30部
・離型剤分散液 40部
・ポリ塩化アルミニウム 1.8部
(PAC100W:浅田化学社製)
・イオン交換水 600部
【0115】
以上の成分を、丸型ステンレス鋼鉄フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて混合し、分散した後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら50℃まで加熱した。50℃で30分保持した後、D50が4.5μmの凝集粒子が生成していることを確認した。更に加用オイルバスの温度を上げて56℃で1時間保持し、D50は5.3μmとなった。その後、この凝集体粒子を含む分散液に26質量部の樹脂微粒子分散液を追加した後、加熱用オイルバスの温度を50℃まで上げて30分間保持した。この凝集体粒子を含む分散液、1N水酸化ナトリウムを追加して、系のpHを6.0に調整した後、シリカ分散液(平均1次粒径150nm、湿式法、固形分濃度40%)11.3部を添加してステンレス製フラスコを密閉し、磁気シールを用いて攪拌を継続しながら85℃まで加熱し、4時間保持した。冷却後、この着色粒子を濾別し、イオン交換水で4回洗浄した後、凍結乾燥して着色粒子K2を得た。着色粒子K2の粒子径が6.2μm、個数平均粒子径変動は25、平均円形度は0.972、円形度変動は2.5であった。
【0116】
<着色粒子C2の調製>
着色粒子分散液(1)の代わりに、着色粒子分散液(2)を用いる以外は、上記着色粒子K2と同様にして着色粒子C2を得た。この着色粒子C2の粒子径は5.8μm、個数平均粒子径変動は28、平均円形度は0.970、円形度変動は2.7であった。
【0117】
<着色粒子M2の調製>
着色粒子分散液(1)の代わりに、着色粒子分散液(3)を用いる以外は、上記着色粒子K2と同様にして着色粒子M2を得た。この着色粒子M2の粒子径は5.3μm、個数平均粒子径変動は23、平均円形度は0.965、円形度変動は2.1であった。
【0118】
<着色粒子Y2の調製>
着色粒子分散液(1)の代わりに、着色粒子分散液(4)を用いる以外は、上記着色粒子K2と同様にして着色粒子Y2を得た。この着色粒子Y2の粒子径は5.3μm、個数平均粒子径変動は27、平均円形度は0.973、円形度変動は2.9であった。
【0119】
(外添剤の調製)
外添剤としては以下のものを調製した。
(1)撹拌機、滴下ロート、温度計を備えた3リットルの反応器にメタノール630部、水90部を添加して混合した。この溶液を、撹拌しながらテトラメトキシシラン1200部の加水分解を行いシリカ微粒子の懸濁液を得た。ついで60〜70℃に加熱しメタノール390部を留去し、シリカ微粒子の水性懸濁液を得た。(2)この水性懸濁液に室温でメチルトリメトキシシラン11.6部(テトラメトキシシランに対してモル比で0.1相当量)を滴下してシリカ微粒子表面の処理を行った。(3)こうして得られた分散液にメチルイソブチルケトン1400部を添加した後、80℃に加熱しメタノール水を留去した。得られた分散液に室温でヘキサメチルジシラザン360部を添加し120℃に加熱し3時間反応させ、シリカ微粒子をトリメチルシリル化した。その後溶媒を減圧下で留去して単分散球状シリカを調整した。
【0120】
・単分散球状シリカA
(真比重1.5、平均1次粒子径140nm、メトキシ基量300ppm、平均炭素量1.5質量%、ゾルゲル法、ヘキサメチルジシラザン処理、球形度Ψ0.90)
・単分散球状シリカB
(真比重1.7、平均1次粒子径90nm、ヘキサメチルジシラザンの量を1/10にして、メトキシ基量2900ppm、平均炭素量3質量%、ゾルゲル法、ヘキサメチルジシラザン処理、球形度Ψ0.85)
・単分散球状シリカC
(真比重1.9、平均1次粒径200nm、単分散球状シリカAよりもヘキサメチルジシラザンの量を増加、メトキシ基量100ppm、平均炭素量0.2質量%、ゾルゲル法、ヘキサメチルジシラザン処理、球形度Ψ0.90)
・単分散球状シリカD
(真比重1.4、平均1次粒径290nm、単分散球状シリカAよりもヘキサメチルジシラザンの量を減少、メトキシ基量1000ppm、平均炭素量1.0質量%、ゾルゲル法、ヘキサメチルジシラザン処理、球形度Ψ0.95)
【0121】
・単分散球状シリカE
(真比重2.1、平均一次粒子径70nm、単分散球状シリカAよりもヘキサメチルジシラザンの量を増加、メトキシ基量50ppm、平均炭素量0.05質量%、ゾルゲル法、ヘキサメチルジシラザン処理、球形度Ψ0.90)
・単分散球状シリカF
(真比重1.0、平均一次粒子径320nm、単分散球状シリカAよりもヘキサメチルジシラザンの量を減少、メトキシ基量1000ppm、平均炭素量4.0質量%、ゾルゲル法、ヘキサメチルジシラザン処理、球形度Ψ0.85)
・単分散球状シリカG
(真比重1.5、平均一次粒子径150nm、単分散球状シリカAよりもヘキサメチルジシラザンの量を減少、メトキシ基量3600ppm、平均炭素量5.0質量%、ゾルゲル法、ヘキサメチルジシラザン処理、球形度Ψ0.95)
・単分散球状シリカH
(真比重1.1、平均1次粒子径50nm、単分散球状シリカAよりもヘキサメチルジシラザンの量を減少、メトキシ基量3200ppm、平均炭素量4.0質量%、ゾルゲル法、ヘキサメチルジシラザン処理、球形度Ψ0.90)
【0122】
・ルチル型酸化チタン
(平均1次粒径20nm、n−デシルトリメトキシシラン処理)
・アナターゼ型酸化チタン
(平均1次粒径20nm、i−ブチルトリメトキシシラン処理)
・アナターゼ型酸化チタン
(平均1次粒径30nm、n−デシルトリメトキシシラン処理)
・小粒径シリカ(平均一次粒子径50nm、n−デシルトリメトキシシラン処理)
・メタチタン酸(平均一次粒子径70nm、シリコンオイル処理)
・酸化アルミニウム(平均一次粒子径100nm)
・シリコーンオイル処理シリカ(平均一次粒子径80nm)
【0123】
(キャリヤの調製)
・フェライト粒子(平均粒径:50μm) 100部
・トルエン 14部
・スチレン/メチルメタクリレート共重合体(成分比:90/10) 2部
・カーボンブラック(R330:キャボット社製) 0.2部
【0124】
まず、フェライト粒子を除く上記成分を10分間スターラーで撹拌させて、分散した被覆液を調製し、次に、この被覆液とフェライト粒子を真空脱気型ニーダーに入て、60℃において30分撹拌した後、さらに加温しがら減圧して脱気し、乾燥させることによりキャリヤを得た。このキャリヤは、1000V/cmの印加電界時の体積固有抵抗値が1011Ωcmであった。
【0125】
(実施例1)
上記着色粒子K1、C1、M1、Y1のそれぞれ100部に単分散球状シリカA(真比重1.5、平均1次粒子径140nm、メトキシ基量300ppm、平均炭素量1.5質量%、ゾルゲル法、ヘキサメチルジシラザン処理、球形度Ψ0.90)2.5部を加え、20Lヘンシェルミキサーで周速40m/s×10分間ブレンドし、その後ルチル型酸化チタン(平均1次粒径20nm、n−デシルトリメトキシシラン処理)1.2部と小粒径シリカ(一次粒子径50nm、n−デシルトリメトキシシラン処理)1.0部を加え、更に周速40m/s×5分間ブレンドを行った後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、トナーを得た。また、キャリア100部とこれらのトナー5部をV−ブレンダーで40rpm×20分間攪拌し、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより現像剤を得た。
【0126】
(実施例2)
上記着色粒子K1、C1、M1、Y1のそれぞれ100部に単分散球状シリカB(真比重1.7、平均1次粒子径90nm、メトキシ基量2900ppm、平均炭素量3質量%、ゾルゲル法、ヘキサメチルジシラザン処理、球形度Ψ0.85)1.5部を加え、20Lヘンシェルミキサーで周速45m/s×10分間ブレンドし、その後アナターゼ型酸化チタン(平均1次粒径20nm、i−ブチルトリメトキシシラン処理)1部とメタチタン酸(平均一次粒子径70nm、シリコンオイル処理)1.3部を加え、更に周速45m/s×5分間ブレンドを行った後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、トナーを得た。また、キャリア100部とこれらのトナー5部をV−ブレンダーで40rpm×20分間攪拌し、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより現像剤を得た。
【0127】
(実施例3)
上記着色粒子K1、C1、M1、Y1のそれぞれ100部に単分散球状シリカC(真比重1.9、平均1次粒径200nm、メトキシ基量100ppm、平均炭素量0.2質量%、ゾルゲル法、ヘキサメチルジシラザン処理、球形度Ψ0.90)2.0部を加え、20Lヘンシェルミキサーで周速50m/s×10分間ブレンドし、その後アナターゼ型酸化チタン(平均1次粒径30nm、n−デシルトリメトキシシラン処理)1部と酸化アルミニウム(平均一次粒子径100nm)2.0部を加え、更に周速50m/s×5分間ブレンドを行った後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、トナーを得た。また、キャリア100部とこれらのトナー5部をV−ブレンダーで40rpm×20分間攪拌し、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより現像剤を得た。
【0128】
(実施例4)
上記着色粒子K1、C1、M1、Y1のそれぞれ100部に単分散球状シリカD(真比重1.4、平均1次粒径290nm、メトキシ基量1000ppm、平均炭素量1.0質量%、ゾルゲル法、ヘキサメチルジシラザン処理、球形度Ψ0.95)2.0部を加え、20Lヘンシェルミキサーで周速50m/s×10分間ブレンドし、その後、ルチル型酸化チタン(平均1次粒径20nm、n−デシルトリメトキシシラン処理)1.2部とシリコーンオイル処理シリカ(平均一次粒子径80nm)1.5部を加え、周速40m/s×5分間ブレンドを行った後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、トナーを得た。この時、C2トナーの球状シリカ表面被覆率は30.2%であった。また、水溶液中に分散後の球状シリカ脱離量は15.7%で、酸化チタン離脱量は2.5%であり、無機微粒子離脱量は18.2%であった。また、キャリア100部とこれらのトナー5部をV−ブレンダーで40rpm×20分間攪拌し、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより現像剤を得た。
【0129】
(比較例1)
上記着色粒子K1、C1、M1、Y1の代わりに着色粒子K2、C2、M2、Y2を用いる以外は、実施例1と同様にしてトナーを得た。また、キャリア100部とこれらのトナー5部をV−ブレンダーで40rpm×20分間攪拌し、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより現像剤を得た。
【0130】
(比較例2)
実施例1において、単分散球状シリカAの代わりに単分散球状シリカE(真比重2.1、平均一次粒子径70nm、メトキシ基量50ppm、平均炭素量0.05質量%、ゾルゲル法、ヘキサメチルジシラザン処理、球形度Ψ0.90)を用いた以外は、実施例1と同様にしてトナーを得た。また、キャリア100部とこれらのトナー5部をV−ブレンダーで40rpm×20分間攪拌し、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより現像剤を得た。
【0131】
(比較例3)
実施例1において、単分散球状シリカAの代わりに単分散球状シリカF(真比重1.0、平均一次粒子径320nm、メトキシ基量1000ppm、平均炭素量4.0質量%、ゾルゲル法、ヘキサメチルジシラザン処理、球形度Ψ0.85)を用いた以外は、実施例1と同様にしてトナーを得た。また、キャリア100部とこれらのトナー5部をV−ブレンダーで40rpm×20分間攪拌し、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより現像剤を得た。
【0132】
(比較例4)
実施例1において、単分散球状シリカAの代わりに単分散球状シリカG(真比重1.5、平均一次粒子径150nm、メトキシ基量3600ppm、平均炭素量5.0質量%、ゾルゲル法、ヘキサメチルジシラザン処理、球形度Ψ0.95)を用いた以外は、実施例1と同様にしてトナーを得た。また、キャリア100部とこれらのトナー5部をV−ブレンダーで40rpm×20分間攪拌し、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより現像剤を得た。
【0133】
(比較例5)
上記着色粒子K2、C2、M2、Y2のそれぞれ100部に単分散球状シリカH(真比重1.1、平均1次粒子径50nm、メトキシ基量3200ppm、平均炭素量4.0質量%、ゾルゲル法、ヘキサメチルジシラザン処理、球形度Ψ0.90)2.5部を加え、20Lヘンシェルミキサーで周速40m/s×10分間ブレンドし、その後ルチル型酸化チタン(1次粒径20nm、n−デシルトリメトキシシラン処理)1.2部を加え、更に周速40m/s×5分間ブレンドを行った後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、トナーを得た。また、キャリア100部とこれらのトナー5部をV−ブレンダーで40rpm×20分間攪拌し、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより現像剤を得た。
【0134】
(比較例6)
上記着色粒子K1、C1、M1、Y1のそれぞれ100部に単分散球状シリカD(真比重1.4、平均1次粒径290nm、メトキシ基量1000ppm、平均炭素量1.0質量%、ゾルゲル法、ヘキサメチルジシラザン処理、球形度Ψ0.95)2.0部を加え、20Lヘンシェルミキサーで周速50m/s×10分間ブレンドし、その後、ルチル型酸化チタン(平均1次粒径20nm、n−デシルトリメトキシシラン処理)1.2部を加え、周速40m/s×5分間ブレンドを行った後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、トナーを得た。この時、C2トナーの球状シリカ表面被覆率は30.2%であった。また、水溶液中に分散後の球状シリカ脱離量は15.7%で、酸化チタン離脱量は2.5%であり、無機微粒子離脱量は18.2%であった。また、キャリア100部とこれらのトナー5部をV−ブレンダーで40rpm×20分間攪拌し、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより現像剤を得た。
【0135】
(評価)
各実施例及び比較例の現像剤について、以下に示す評価を行った。評価結果を表に示す。
【0136】
(初期画質の評価)
TC5%の現像剤を低温低湿(10℃/15%)、高温高湿(30℃/95%)の温湿度環境下で一晩放置しDocu Center Color400(富士XEROX社製)によってプリントテストを行い、初期画質を評価した。なお、画質評価は、ベタ画像、ハーフトーン画像においてその画質を目視にて評価した。判断基準は以下の通りである。結果を表1に示す。
【0137】
○:ベタ画像、ハーフトーン画像のいずれも粒状性が良くムラが見られない。
△:ベタ画像は粒状性が良くムラが見られないが、ハーフトーンでは粒状性がやや悪くムラもやや見られる。
×:ベタ画像、ハーフトーン画像のいずれも粒状性が悪くムラが見られる。
【0138】
(維持性の評価)
維持性の評価としては、低温低湿(10℃/15%)、高温高湿(30℃/95%)の温湿度環境下にてDocu Center Color400(富士XEROX社製)を用いて、50000枚のプリントテストを行い、経時における現像性、転写性、画質、及び機内汚染を評価した。結果を表1に示す。
【0139】
−現像性及び転写性−
現像性及び転写性の評価方法としては、Cyanトナーを用いた現像剤を使用し、5×2cmのソリッドパッチを現像させ、感光体上の現像像をテープ転写にてその質量(W1)を測定する。次に、同様のパッチを中間転写体に転写させ、その転写像の質量(W2)を測定する。更に同様のソリッドパッチを紙(J紙、富士ゼロックスオフィスサプライ社製)上に転写させ、その転写像の質量(W3)を測定する。各測定値により、W1で現像性を評価し、式{(1次転写効率)=W2/W1×100(%)}、{(2次転写効率)=W3/W2×100(%)}に従って1次、2次転写効率を求め、転写性を評価した。評価条件は1次転写電流:20μA、2次転写電圧:1.5kV、現像機は黒の位置入れて、黒モードでプリントし、評価した。
【0140】
現像量として好ましい値は4.0〜5.0g/m2である。なお、表1中には、各実施例及び比較例における現像量(g)と、その評価について併記した。
現像性の評価基準は以下の通りである。
○:4.0〜5.0g/m2
△:3.5〜3.9g/m2
×:3.5g/m2未満
【0141】
転写性評価の判断基準は以下の通りである。
○:1次転写効率/2次転写効率97%以上
△:1次転写効率/2次転写効率95%以上97%未満
×:1次転写効率/2次転写効率95%未満
【0142】
−画質評価−
画質評価は、現像剤4色を用い、ベタ画像、ハーフトーン画像において、その画質を目視にて評価した。判断基準は以下の通りである。
【0143】
○:ベタ画像、ハーフトーン画像のいずれも粒状性が良くムラが見られない。
△:ベタ画像は粒状性が良くムラが見られないが、ハーフトーンでは粒状性がやや悪くムラもやや見られる。
×:ベタ画像、ハーフトーン画像のいずれも粒状性が悪くムラが見られる。
【0144】
−機内汚染評価−
機内汚染の評価は、プリントテスト後に各色現像機回りの汚れ具合を、目視にて評価した。判断基準は以下の通りである。
【0145】
○:現像機回りの汚れは軽微である。
△:現像機回りの汚れは僅かに有るが、画質に影響を及ぼさない。
×:現像機回りが汚れが目立ち、画質にカブリを生じる。
【0146】
【表1】
【0147】
表1に示されるように、着色粒子の個数平均粒子径変動と平均円形度、円形度変動を特定の値に制御し、且つ外添剤に、真比重、平均一次粒子形、メトキシ量、平均炭素量を特定の値に制御した単分散球状シリカ〔外添剤(a)〕と、外添剤(b)、及び外添剤(c)を用いたことにより、低温低湿、高温高湿環境下における経時現像性、転写性を低下させることなく、長期にわたり画質(特に中間調域の画質及び線画像)を高品質に維持できており、さらには、機内汚染についても防止されていることがわかる。
【0148】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、低温低湿、高温高湿環境下における経時での帯電特性を維持することで、現像性、転写性を低下せることなく、長期に亘り高画質を維持することが可能であり、かつ機内汚染を防止しうる静電潜像現像用トナー、及びそれを用いた静電潜像現像剤を提供することができる。また、本発明によれば、高画質要求に対応する現像、転写、定着が可能な画像形成方法を提供することができる。
Claims (3)
- 結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有する着色粒子と外添剤とを有する静電潜像現像用トナーであって、
前記着色粒子が、個数平均粒子径変動が25以下、平均円形度が0.975以上、円形度変動が2.5以下の着色粒子であり、前記外添剤が下記(a)(b)及び(c)からなる外添剤であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
(a)真比重が1.3〜1.9、平均一次粒子径が80〜300nm、アルコキシ基量が3000ppm以下、平均炭素量が0.1〜3質量%である単分散球状シリカ。
(b)平均一次粒子径が10nm以上30nm未満の無機化合物。
(c)平均一次粒子径が30nm以上100nm以下の無機化合物。 - 請求項1に記載の静電潜像現像用トナーとキャリアとからなることを特徴とする静電潜像現像剤。
- 静電潜像担持体に静電潜像を形成する工程、現像剤担持体上の現像剤層により前記静電潜像を現像してトナー画像を形成する工程、前記トナー画像を転写体上に転写する転写工程、及び静電潜像担持体上に残留する静電荷現像用トナーを除去するクリーニング工程を含む画像形成方法において、前記現像剤層が請求項1に記載の静電潜像現像用トナーを含有することを特徴とする画像形成方法。
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