JP6008137B2 - 表面有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子、その製造方法及びそれを用いた静電荷像現像用トナー外添剤 - Google Patents

表面有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子、その製造方法及びそれを用いた静電荷像現像用トナー外添剤 Download PDF

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Description

本発明は、表面有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子、その製造方法及びそれを用いた静電荷像現像用トナー外添剤に関する。
電子写真法等で使用する乾式現像剤は、結着樹脂中に着色剤を分散したトナーそのものを用いる一成分現像剤と、そのトナーにキャリアを混合した二成分現像剤とに大別でき、そしてこれらの現像剤を用いてコピー操作を行う場合、プロセス適合性を有するためには、現像剤が流動性、耐ケーキング性、定着性、帯電性、クリーニング性等に優れていることが必要である。そして特に、流動性、耐ケーキング性、定着性、クリーニング性を高めるために、無機微粒子をトナーに添加することがしばしば行われている。
トナーに添加する無機微粒子としては一般的にシリカ微粒子が好適に使用されている。シリカ微粒子は、その製法によって、シラン化合物を燃焼させて得られる燃焼法シリカ(即ち、ヒュームドシリカ)、金属珪素粉を爆発的に燃焼させて得られる爆燃法シリカ、珪酸ナトリウムと鉱酸との中和反応によって得られる湿式シリカ(このうち、アルカリ条件で合成し凝集させたものを沈降法シリカ、酸性条件で合成し凝集させたものをゲル法シリカという)、珪酸ナトリウムからイオン交換樹脂で脱ナトリウムして得られた酸性珪酸をアルカリ性にして重合することで得られるコロイダルシリカ(シリカゾル)、ヒドロカルビルオキシシランの加水分解によって得られるゾルゲル法シリカ(いわゆるStoeber法)などに大別される。
電子写真用トナーの外添剤としては、疎水化表面処理をしたシリカ微粒子粉体が好適に用いられている。
疎水化表面処理方法としては、シリカ微粒子粉体に、疎水化剤、例えば界面活性剤、シリコーンオイル、又はアルキルハロゲノシラン、アルキルアルコキシシラン、アルキルジシラザンなどのシリル化剤の気体を接触させ疎水化処理する方法、水と親水性有機混合溶媒中でシリル化剤に接触させ疎水化処理する方法等が挙げられる。
そのような疎水化表面処理をしたシリカ微粒子粉体は、電子写真用トナーの外添剤として好適に用いられているが、これはトナー母体の比重に対して1.5〜1.8倍(シリカ比重は1.8〜2.2)と、かなりトナー母体と比重差があるため、トナー母体に混合する操作を行なう際、分散させ難かったり、トナー母体と固着しても経時的にトナー母体からシリカ微粒子が脱落しやすいなどの問題が指摘されていた。
このような問題を解決する従来技術としては、一旦金属酸化物からなる外添剤をトナーに付着させた後、脱落を防止するために有機樹脂粒子を更に被覆するという技術がある(特許文献1)。しかしこの方法は、外添剤よりも小さくて均一な有機樹脂粒子がないことや、その有機樹脂粒子が現像機内で飛散・遊離して画像に悪影響を及ぼしたり、帯電を悪くする等の問題を有していた。
特許第5108564号公報
従って、本発明は、トナー母体に混合したときに高い分散状態を保ち、トナー母体との付着強度も強く、更にトナー表面から離脱し帯電に悪影響を与えるような現象がない表面有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子、その製造方法及びそれを用いた静電荷像現像用トナー外添剤を提供することを目的とする。
斯かる実情に鑑み、本発明者は鋭意研究を行った結果、下記シリカ微粒子がトナー母体に混合したときに高い分散状態を保ち、付着強度も強く、更にトナー表面から離脱し帯電に悪影響を与えるような現象がないことを見出し本発明を完成した。
即ち本発明は、次に示すものである。
<1>
1次粒子の平均粒子径が体積基準メジアン径で0.01〜5μmであり、表面の少なくとも一部がガラス転移温度が65〜120℃である有機樹脂被膜で被覆された、表面有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子。
<2>
(A1)下記一般式(I):
Si(OR34 (I)
(但し、R3は同一又は異種の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基である。)
で示される4官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物又はこれらの混合物を、塩基性物質の存在下で親水性有機溶媒と水の混合液中で加水分解、縮合することによって、SiO2単位を含む親水性球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液を得る工程と、
(A2)該親水性球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液に、下記一般式(II):
1Si(OR43 (II)
(但し、R1は置換又は非置換の炭素原子数1〜20の一価炭化水素基であり、R4は同一又は異種の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基である。)
で示される3官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物又はこれらの混合物を添加して、前記親水性球状シリカ微粒子の表面を処理することにより、該親水性球状シリカ微粒子の表面にR1SiO3/2単位(但し、R1は前記と同じである。)を導入し、第一の表面疎水化球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液を得る工程と、
(A3)該第一の表面疎水化球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液又はその濃縮液に下記一般式(III):
2 3SiNHSiR2 3 (III)
(但し、R2は同一又は異種の置換又は非置換の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基である)
で示されるシラザン化合物、
下記一般式(IV):
2 3SiX (IV)
(但し、R2は同一又は異種の置換又は非置換の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基であり、XはOH基又は加水分解性基である。)
で示される1官能性シラン化合物又はこれらの混合物を添加し、該第一の表面疎水化球状シリカ微粒子の表面を処理して、該第一の表面疎水化球状シリカ微粒子の表面にR2 3SiO1/2単位(但し、R2は前記と同じである。)を導入することにより第二の疎水性球状シリカ微粒子を得る工程と、
(A4)該第二の疎水性球状シリカ微粒子の分散液に、ガラス転移温度が65〜120℃の有機樹脂を溶解せしめ、該第二の疎水性球状シリカ微粒子の表面の少なくとも一部に有機樹脂被覆を形成して有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子を得る工程と、
を有することを特徴とする<1>に記載の表面有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子の製造方法。
<3>
<2>に記載の製造方法により製造された表面有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子。
<4>
<1>又は<3>に記載の表面有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子からなる静電荷像現像用トナー外添剤。
<5>
<1>又は<3>に記載の表面有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子を含有する静電荷像現像用トナー。
このような表面有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子をトナー外添剤として用いれば、トナーに混合したときに高分散状態を保ちながら付着強度の高い状態を有し、トナー表面から離脱したものが帯電に悪影響を与えるような現象を抑制することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
<表面有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子の特徴>
まず、本発明の表面有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子の特徴について説明する。本発明の微粒子は、1次粒子の平均粒子径が体積基準メジアン径で0.01〜5μmの、表面の少なくとも一部が有機樹脂被覆処理された球状シリカ微粒子である。球状でありながら、有機樹脂が表面に被覆されているため、トナー母体と比重差があるにも関らずトナー母体に固着して脱落性が大きく改善できる。これは、トナー母体とシリカ表面の有機樹脂との摩擦帯電極性が同じになり、それぞれの有機樹脂が類似構造のため着きやすい、すなわち似たもの同士が着きやすいという特性からではないかと推測される。
本発明の表面有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子について、「球状」とは、真球だけでなく、若干歪んだ球も含む。具体的には、「球状」であるとは粒子を二次元に投影したときの円形度が0.8〜1の範囲にあることを意味する。ここで円形度とは、(実際の粒子を二次元投影したときの図形の面積と等しい真円の周囲長)/(実際の粒子を二次元投影したときの図形の面積の周囲長)を意味する。
本発明の表面有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子の粒子径は、1次粒子の平均粒子径が体積基準メジアン径で0.01〜5μmであり、好ましくは0.05〜0.5μmである。この粒子径が0.01μmより小さい場合には、上記微粒子が凝集してしまい、現像剤の流動性、耐ケーキング性、定着性等を得ることができない。また、この粒子径が5μmより大きい場合には、感光体の変質や削れ、微粒子のトナーへの付着性の低下といった不都合が生じる。なお、本発明において、微粒子の粒度分布は、動的光散乱法/レーザードップラー法ナノトラック粒度分布測定装置(日機装株式会社製、商品名:UPA-EX150)により測定し、その体積基準メジアン径を粒子径とした。なお、メジアン径とは粒度分布を累積分布として表した時の累積50%に相当する粒子径である。
シリカ表面の被覆に用いられる有機樹脂は、ガラス転移温度が65〜120℃のものである。このガラス転移温度が65℃未満のものでは高温高湿下でのトナーの保管性が悪化する場合があり好ましくない。一方、ガラス転移温度が120℃を超えるようなものは、定着時に阻害要素、すなわち、軟化するのに必要な熱量が多くなることから、トナーへ付与されるべき熱量が奪われることとなり、好ましくない。
本発明に用いられる有機樹脂としては、トナー用のスチレン−アクリル樹脂やポリエステル樹脂のほか、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂やその他のフッ素系樹脂、溶剤可溶性ナイロン樹脂、ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。これらの内、スチレン−アクリル樹脂やポリエステル樹脂が特に好ましい。
本発明においては、シリカ微粒子の表面の少なくとも一部が上記有機樹脂で被覆されているが、具体的には、シリカ微粒子表面の1〜90%の面積が有機樹脂被膜で被覆されていることが好ましく、更に5〜70%の面積が有機樹脂被膜で被覆されていることが好ましい。
<表面有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子の製造方法>
次に、本発明の表面有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子は、例えば、以下の製造方法により、製造することができる。
合成シリカ微粒子は、その製法によって、燃焼法シリカ(即ち、ヒュームドシリカ)、爆燃法シリカ、湿式シリカ、ゾルゲル法シリカ(いわゆるStoeber法)に大別される。本発明で用いるシリカ微粒子は、ゾルゲル法シリカに属する。
本発明の表面疎水化球状シリカ微粒子は、
工程(A1):親水性球状シリカ微粒子の合成工程と、
工程(A2):3官能性シラン化合物による表面処理工程と、
工程(A3):1官能性シラン化合物による表面処理工程と、
工程(A4):有機樹脂による表面被覆処理工程と、
によって得られる。以下各工程を順を追って説明する。
−工程(A1):親水性球状シリカ微粒子の合成工程−
本工程では、一般式(I):
Si(OR34 (I)
(但し、各R3は同一又は異種の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基である。)
で示される4官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物又はこれらの混合物を、塩基性物質の存在下で親水性有機溶媒と水の混合液中で加水分解、縮合することによって親水性球状シリカ微粒子混合溶媒分散液を得る。
上記一般式(I):Si(OR34中、R3は、炭素原子数1〜6の一価炭化水素基であるが、好ましくは炭素原子数1〜4、特に好ましくは1〜2の1価炭化水素基である。R3で表される1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基等、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、特に好ましくは、メチル基、エチル基が挙げられる。
上記一般式(I):Si(OR34で示される4官能性シラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン、テトラフェノキシシラン等が挙げられ、好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、特に好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが挙げられる。また、一般式(I)で示される4官能性シラン化合物の部分加水分解縮合生成物としては、例えば、メチルシリケート、エチルシリケート等が挙げられる。
前記親水性有機溶媒としては、上記一般式(I):Si(OR34で示される4官能性シラン化合物と、この部分加水分解縮合生成物と、水とを溶解するものであれば特に制限されず、例えば、アルコール類; メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、酢酸セロソルブ等のセロソルブ類; アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等が挙げられ、好ましくは、アルコール類、セロソルブ類、特に好ましくはアルコール類が挙げられる。
ここで、アルコール類としては、一般式(V):
5OH (V)
(式中、R5は炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である)
で示されるアルコールが挙げられる。
上記一般式(V):R5OH中、R5は、好ましくは炭素原子数1〜4、特に好ましくは1〜2の1価炭化水素基である。R5で表される1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等のアルキル基等、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、より好ましくはメチル基、エチル基が挙げられる。上記一般式(V)で示されるアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等、好ましくは、メタノール、エタノールが挙げられる。アルコールの炭素原子数が増えると、生成する球状シリカ微粒子の粒子径が大きくなる。従って、目的とする小粒径シリカ微粒子を得るためにはメタノールが好ましい。
また、上記塩基性物質としてはアンモニア、ジメチルアミン、ジエチルアミン等が挙げられ、好ましくは、アンモニア、ジエチルアミン、特に好ましくはアンモニアが挙げられる。これらの塩基性物質は、所要量を水に溶解した後、得られた水溶液(塩基性)を前記親水性有機溶媒と混合すればよい。
塩基性物質の量は、上記一般式(I):Si(OR34で示される4官能性シラン化合物および/又はその部分加水分解縮合生成物、のヒドロカルビルオキシ基の合計1モルに対して0.01〜2モルであることが好ましく、0.02〜0.5モルであることがより好ましく、0.04〜0.12モルであることが特に好ましい。このとき、塩基性物質の量が少ないほど所望の小粒径シリカ微粒子となる。
上記加水分解及び縮合で使用される水の量は、上記一般式(I):Si(OR34で示される4官能性シラン化合物および/又はその部分加水分解縮合生成物のヒドロカルビルオキシ基の合計1モルに対して0.5〜5モルであることが好ましく、0.6〜2モルであることがより好ましく、0.7〜1モルであることが特に好ましい。水に対する親水性有機溶媒の比率は、質量比で0.5〜10であることが好ましく、3〜9であることがより好ましく、5〜8であることが特に好ましい。このとき、親水性有機溶媒の量が多いほど所望の小粒径シリカ微粒子となる。
上記一般式(I):Si(OR34で示される4官能性シラン化合物等の加水分解および縮合は、周知の方法、即ち、塩基性物質を含む親水性有機溶媒と水との混合物中に、上記一般式(I)で示される4官能性シラン化合物等を添加することにより行われる。
本工程(A1)で得られる親水性球状シリカ微粒子混合溶媒分散液中のシリカ微粒子の濃度は一般に3〜15質量%であり、好ましくは5〜10質量%である。
−工程(A2):3官能性シラン化合物による表面処理工程−
本工程は、工程(A1)において得られた親水性球状シリカ微粒子混合溶媒分散液に、一般式(II):
1Si(OR43 (II)
(但し、R1は置換又は非置換の炭素原子数1〜20の一価炭化水素基、R4は同一又は異種の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基である)で示される3官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物又はこれらの混合物を添加して親水性球状シリカ微粒子表面をこれにより処理することにより、前記親水性球状シリカ微粒子の表面にR1SiO3/2単位(但し、R1は前記式(II)の定義と同じである。)を導入し、第一の表面疎水化球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液を得る工程である。
本工程(A2)は、後の工程においてシリカ微粒子の凝集を抑制するために不可欠である。凝集を抑制できないと、得られるシリカ系粉体の個々の粒子は一次粒子径を維持できないため、工程(A4)に移行したときに表面の有機樹脂被覆がうまくいかない場合があり、更に表面有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子をトナーに添加した時の流動性付与能が悪くなる場合があり好ましくない。
上記一般式(II):R1Si(OR43中、R1は、炭素原子数1〜20、好ましくは炭素原子数1〜3、特に好ましくは1〜2の1価炭化水素基である。R1で表される1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基等のアルキル基等が挙げられ、好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、特に好ましくは、メチル基、エチル基が挙げられる。また、これらの1価炭化水素基の水素原子の一部又は全部が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、好ましくはフッ素原子で置換されていてもよい。
上記一般式(II):R1Si(OR43中、R4は、炭化水素数1〜6、好ましくは炭素原子数1〜3、特に好ましくは1〜2の1価炭化水素基である。R4で表される1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基等が挙げられ、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、特に好ましくは、メチル基、エチル基が挙げられる。
上記一般式(II):R1Si(OR43で示される3官能性シラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン等のトリアルコキシシラン等が挙げられ、好ましくは、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、より好ましくは、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、又は、これらの部分加水分解縮合生成物が挙げられる。
上記一般式(II):R1Si(OR43で示される3官能性シラン化合物の添加量は、使用された親水性球状シリカ微粒子のSi原子1モル当り0.001〜1モルが好ましく、特に0.01〜0.1モル、更に0.01〜0.05モルが好ましい。添加量が0.01モル以上であれば、分散性が良いのでトナー外添加剤として使用した際の流動性が良くなり好ましい。また1モル以下であれば、シリカ微粒子の凝集が生じることもなく好ましい。
本工程(A2)で得られる第一の表面疎水化球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液中の該シリカ微粒子の濃度は通常3質量%以上15質量%未満である。
次の工程(A3)において表面処理剤として使用される一般式(III)で表されるシラザン化合物および一般式(IV)で表される一官能性シラン化合物が、アルコールや水と反応して表面処理が不十分となり、その後に乾燥を行う時に凝集を生じ、得られるシリカ粉体は一次粒子径を維持できず、工程(A4)に移行したときに表面の有機樹脂被覆がうまくいかない場合があったり、更に表面有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子をトナーに添加した時の流動性付与能が悪くなるといった不具合を抑制するために、工程(A2)の後に濃縮工程を設けることが好ましい。
濃縮工程は、上記工程(A2)で得られた第一の表面疎水化球状シリカ微粒子混合溶媒分散液から親水性有機溶媒と水の一部を除去することにより第一の表面疎水化球状シリカ微粒子の混合溶媒濃縮分散液を得る工程である。この際、疎水性有機溶媒をあらかじめ、或いは工程中に加えてもよい。使用する疎水性溶媒は、炭化水素系、ケトン系溶媒が好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられ、好ましくはメチルイソブチルケトンが好ましい。親水性有機溶媒と水の一部を除去する方法としては、例えば留去、減圧留去などが挙げられる。得られる濃縮分散液はシリカ微粒子濃度が15〜40質量%のものが好ましく、20〜35質量%のものがでがより好ましく、25〜30質量%のものが特に好ましい。この濃度が15質量%以上であれば、後工程の表面処理がうまくゆき、40質量%以下であればシリカ微粒子の凝集が生じることもなく好都合である。
−工程(A3):1官能性シラン化合物による表面処理工程−
工程(A2)で得られた第一の表面疎水化球状シリカ微粒子の混合溶媒(濃縮)分散液に、下記一般式(III):
2 3SiNHSiR2 3 (III)
(但し、R2は同一又は異種の置換又は非置換の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基である)で示されるシラザン化合物、又は下記一般式(IV):
2 3SiX (IV)
(但し、R2は同一又は異種の置換又は非置換の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基であり、XはOH基又は加水分解性基である。)
で示される1官能性シラン化合物又はこれらの混合物を添加し、これにより前記第一の表面疎水化球状シリカ微粒子表面を処理して前記第一の表面疎水化球状シリカ微粒子の表面にR2 3SiO1/2単位(但し、R2は前記と同じである。)を導入して第二の表面疎水性球状シリカ微粒子を得る。この工程では、上記の処理により第一の表面疎水化球状シリカ微粒子の表面に残存するシラノール基をトリオルガノシリル化する形でR2 3SiO1/2単位が該表面に導入される。この工程で表面の疎水性を高めておくことで、工程A4での表面有機樹脂被覆をしやすくなるため、この工程は必須である。この工程がないと表面が親水性のシラノールにより、有機樹脂被覆は疎水性表面に比べて悪くなるため好ましくない。
上記一般式(III):R2 3SiNHSiR2 3および(IV):R2 3SiX中、R2は、炭素原子数1〜6の一価炭化水素基であるが、炭素原子数1〜4、特に1〜2の1価炭化水素基が好ましい。R2で表される1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等のアルキル基等、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、特に好ましくは、メチル基、エチル基が挙げられる。また、これらの1価炭化水素基の水素原子の一部又は全部が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、好ましくは、フッ素原子で置換されていてもよい。
上記一般式(IV):R2 3SiX中のXで表される加水分解性基としては、例えば、塩素原子、アルコキシ基、アミノ基、アシルオキシ基等が挙げられ、好ましくは、アルコキシ基、アミノ基、特に好ましくは、アルコキシ基が挙げられる。
上記一般式(III):R2 3SiNHSiR2 3で示されるシラザン化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン等が挙げられ、好ましくはヘキサメチルジシラザンが挙げられる。上記一般式(IV):R2 3SiXで示される1官能性シラン化合物としては、例えば、トリメチルシラノール、トリエチルシラノール等のモノシラノール化合物、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン等のモノクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のモノアルコキシシラン、トリメチルシリルジメチルアミン、トリメチルシリルジエチルアミン等のモノアミノシラン、トリメチルアセトキシシラン等のモノアシルオキシシランが挙げられ、好ましくは、トリメチルシラノール、トリメチルメトキシシラン、トリメチルシリルジエチルアミン、特に好ましくは、トリメチルシラノール、トリメチルメトキシシランが挙げられる。
上記シラザン化合物及び/又は1官能性シラン化合物の使用量は、使用した親水性球状シリカ微粒子のSi原子1モルに対して0.1〜0.5モルが好ましく、特に0.2〜0.4モル、更に0.25〜0.35モルが好ましい。使用量が0.1モル以上であれば、トナー外添加剤として使用した際の流動性が良好であり好ましい。また0.5モル以下であれば経済的に有利であり好ましい。
本工程により得られる表面疎水性球状シリカ微粒子は、分散液のまま次の工程(A4)移行してもよいし、ここで一旦常圧乾燥、減圧乾燥等の常法によって粉体として得た後、再度溶剤に分散させて工程(A4)移行してもよい。
−工程(A4):有機樹脂による表面被覆処理工程−
工程(A3)で得られた第二の疎水性球状シリカ微粒子の分散溶液はそのまま本工程に用いることができる。一方、第二の疎水性球状シリカ微粒子を一旦乾燥させて乾燥粉体にしたものは、再度溶媒に分散させた分散溶液とする。この時に第二の疎水性球状シリカ微粒子を分散させる溶剤としては、使用する樹脂が可溶なものであればよく、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、各種脂肪族炭化水素やトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素およびそれらの誘導体、各種アルコール、エステル系溶媒、THF(テトラヒドロフラン)などの環状エーテルなど、各種の有機溶媒が挙げられる。
表面に被覆する有機樹脂としては、ガラス転移温度が65〜120℃の有機樹脂である。このガラス転移温度が65℃未満のものは高温高湿下でのトナーの保管性が悪化する場合があり好ましくない。一方、ガラス転移温度が120℃を超えるものは、定着時に阻害要素、すなわち、軟化するのに必要な熱量が多くなることから、トナーへ付与されるべき熱量が奪われることとなり、好ましくない。
ここで用いられる有機樹脂は、トナー用のスチレン−アクリル樹脂やポリエステル樹脂のほか、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂やその他のフッ素系樹脂、溶剤可溶性ナイロン樹脂、ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。この内、特に好ましいものはスチレン−アクリル樹脂やポリエステル樹脂である。
被覆する有機樹脂の量は第二の疎水性球状シリカ微粒子100質量部に対して0.1〜50質量部が好ましい。より好ましくは3〜30質量部である。この量が0.1質量部よりも少ないとトナーへの付着性が低下するため好ましくない。またこの量が50質量部より多いと帯電が悪化したり、乾燥時融着等が起こりやすくなるため好ましくない。
有機樹脂の被覆は、例えば有機樹脂を有機溶剤に溶解させた有機樹脂溶解溶液を、疎水性球状シリカ微粒子が有機溶剤に分散している分散溶液中に混合し、乾燥することによりシリカ表面に有機樹脂を被覆することができる。上記混合条件としては、反応温度20〜100℃、反応時間1〜8時間行うことが好ましい。更に好ましくは反応温度20〜80℃、反応時間2〜8時間で行う方がより好ましい。
有機樹脂を被覆後、常法により乾燥することにより、本発明の有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子を得ることができる。
また、本発明により得られる有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子は、必要に応じて種々のシランカップリング剤、ジメチルジメトキシシラン等のシランで表面処理してもよい。
<有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子を用いたトナー外添剤>
本発明の有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子又は本発明方法により製造される有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子は、トナー外添剤等、特に静電荷像現像用トナー外添剤として好適に用いることができる。該有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子を用いたトナー外添剤のトナーに対する配合量は、トナー100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましく、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。この配合量が、0.01質量部以上であれば、トナーへの付着量が十分で、トナーの流動性が十分得られるため好ましく、20質量部以下であれば、トナーの帯電性に好影響を及ぼし、経済的にも好ましい。
本発明の表有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子又は本発明により製造される有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子を用いたトナー外添剤が添加されるトナー粒子としては、結着樹脂と着色剤を主成分として構成される公知のものが使用できる。また、必要に応じて帯電制御剤が添加されていてもよい。
本発明の有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子又は本発明により製造される有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子を用いたトナー外添剤が添加されたトナーは、一成分現像剤として使用できるが、また、それをキャリアと混合して二成分現像剤として使用することもできる。二成分現像剤として使用する場合においては、上記トナー外添剤は予めトナー粒子に添加せず、トナーとキャリアの混合時に添加してトナーの表面被覆を行ってもよい。キャリアとしては、鉄粉等、あるいはそれらの表面に樹脂コーティングされた公知のものが使用される。
以下、実施例および比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<有機樹脂(スチレン−アクリル樹脂)合成例1>
撹拌機及び温度計を備えた反応容器に、脱イオン水160質量部、ポリアクリル酸ソーダ水溶液(固形分3.3質量%)0.04質量部、硫酸ナトリウム0.4質量部を仕込み、次いで単量体成分としてスチレン85質量部、ブチルアクリレート15質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート0.3質量部、及び重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド2質量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート0.5質量部を添加した。内容物を攪拌しながら40℃から130℃まで65分間で昇温し、130℃に到達した後、さらに2時間30分攪拌した後、冷却し、重合体粒子の懸濁液を得た。重合体を分離、洗浄、乾燥し、スチレン−アクリル樹脂Aを得た。このもののガラス転移点は100℃まで昇温した後、DSC(Rigaku製、Thermo plusDSC8230システム)を用い、昇温速度10/minの条件下で測定したショルダー値で計測した。このスチレン−アクリル樹脂Aのガラス転移温度は70℃であった。
<有機樹脂(スチレン−アクリル樹脂)合成例2>
上記合成例1のスチレンを98質量部、ブチルアクリレートを2質量部とした以外は同様に合成し、スチレン−アクリル樹脂Bを得た。このもののガラス転移温度は120℃まで昇温した後、DSC(Rigaku製、Thermo plusDSC8230システム)を用い、昇温速度10/minの条件下で測定したショルダー値で計測した。このスチレン−アクリル樹脂Bのガラス転移温度は100℃であった。
<実施例1>
[有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子の合成]
−工程(A1):親水性球状シリカ微粒子の合成工程−
攪拌機と、滴下ロートと、温度計とを備えた3リットルのガラス製反応器にメタノール989.5gと、水135.5gと、28%アンモニア水66.5gとを入れて混合した。この溶液を35℃となるように調整し、攪拌しながらテトラメトキシシラン436.5g(2.87モル)を6時間かけて滴下した。この滴下が終了した後も、さらに0.5時間攪拌を継続して加水分解を行うことにより、親水性球状シリカ微粒子の懸濁液を得た。
−工程(A2):3官能性シラン化合物による表面処理工程−
上記で得られた懸濁液に室温でメチルトリメトキシシラン4.4g(0.03モル)を0.5時間かけて滴下し、滴下後も12時間攪拌を継続し、シリカ微粒子表面を疎水化処理することにより、疎水化球状シリカ微粒子分散液を得た。
次いで、ガラス製反応器にエステルアダプターと冷却管とを取り付け、得られた分散液を60〜70℃に加熱してメタノールと水の混合物1021gを留去し、疎水化球状シリカ微粒子混合溶媒濃縮分散液を得た。このとき、濃縮分散液中の疎水化球状シリカ微粒子含有量は28質量%であった。
−工程(A3):1官能性シラン化合物による表面処理工程−
前工程で得られた濃縮分散液に、室温において、ヘキサメチルジシラザン138.4g(0.86モル)を添加した後、この分散液を50〜60℃に加熱し、9時間反応させることにより、分散液中のシリカ微粒子をトリメチルシリル化した。次いで、この分散液中の溶媒を130℃、減圧下(6650Pa)で留去することにより、疎水性球状シリカ微粒子(1)186gを得た。
−工程(A4):有機樹脂による表面被覆処理工程−
次に、ニーダー中にTHF(テトラヒドロフラン)25g投入して攪拌しながら、上記(A3)で得られた疎水性球状シリカ微粒子(1)100gを加えて混合した。この混合物を混練しながら、スチレン−アクリル樹脂Aの10質量%THFを50g滴下し、さらに混合した。その後乾燥させて、シリカ微粒子−(1)を103gを得た。
工程(A1)で得られた親水性球状シリカ微粒子について下記の測定方法1に従って測定を行った。また、上記の工程(A1)〜(A4)の各段階を経て得られた有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子について、下記の測定方法1、2に従って測定を行った。なお、得られた結果を表1に示す。
[測定方法1]
−シリカ微粒子の粒子径測定−
メタノールにシリカ微粒子懸濁液又はシリカ微粒子粉体を、シリカ微粒子が0.5質量%となるように添加し、10分間超音波にかけることにより、該微粒子を分散させた。このように処理した微粒子の粒度分布を、動的光散乱法/レーザードップラー法ナノトラック粒度分布測定装置(日機装株式会社製、商品名:UPA−EX150)により測定し、その体積基準メジアン径を粒子径とした。なお、メジアン径とは粒度分布を累積分布として表した時の累積50%に相当する粒子径である。
[測定方法2]
−有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子の形状測定−
電子顕微鏡(日立製作所製、商品名:S−4700型、倍率:10万倍)によって観察を行い、形状を確認した。「球状」とは、真球だけでなく、若干歪んだ球も含む。
<実施例2>
工程(A1)でメタノール、水、及び28%アンモニア水の量をメタノール1045.7g、水112.6g、28%アンモニア水33.2gに変えたこと以外は実施例1と同様にして、シリカ微粒子−(2)104gを得た。得られた有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子を用いて実施例1と同様に測定した。この結果を表1に示す。
<実施例3>
撹拌機、滴下ロート、温度計を備えた3リットルのガラス製反応器にメタノール623.7g、水41.4g、28%アンモニア水49.8gを添加して混合した。この溶液を35℃に調整し、撹拌しながらテトラメトキシシラン1163.7gおよび5.4%アンモニア水418.1gを同時に添加開始し、前者は6時間、そして後者は4時間かけて滴
下した。テトラメトキシシラン滴下後も0.5時間撹拌を続け加水分解を行いシリカ微粒子の懸濁液を得た。
こうして得られた懸濁液に室温でメチルトリメトキシシラン11.6g(テトラメトキシシランに対してモル比で0.01相当量)を0.5時間かけて滴下し、滴下後も12時間撹拌しシリカ微粒子表面の処理を行った。
該ガラス製反応器にエステルアダプターと冷却管を取り付け、上記の表面処理を施したシリカ微粒子を含む分散液にメチルイソブチルケトン1440gを添加した後、80〜110℃に加熱しメタノール水を7時間かけて留去した。
こうして得られた分散液に室温でヘキサメチルジシラザン357.6gを添加し120℃に加熱し3時間反応させ、シリカ微粒子をトリメチルシリル化した。その後溶媒を減圧下で留去して疎水性球状シリカ微粒子472gを得た。得られたシリカ微粒子100gを実施例1と同様にスチレン−アクリル樹脂Aの10質量%THFを50g滴下し、さらに混合した。その後乾燥させて、シリカ微粒子−(3)を得た。結果を表1に示す。
<実施例4>
スチレン−アクリル樹脂Aの10質量%THFを150gとした以外は、実施例3と同様に処理し、シリカ微粒子−(4)104gを得た。得られた有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子を用いて実施例1と同様に測定した。この結果を表1に示す。
<実施例5>
ガラス転移温度が100℃のスチレン−アクリル樹脂Bの10質量%THFを50g用いた以外は、実施例3と同様に処理し、シリカ微粒子−(5)103gを得た。得られた有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子を用いて実施例1と同様に測定した。この結果を表1に示す。
<比較例1〜6>
実施例1〜3の有機樹脂被覆工程(A4)を行わず、(A3)工程で仕上げた疎水性球状シリカ粒子−(6)〜(8)を得た。更に実施例1〜3の(A3)工程を行わずに仕上げた有機樹脂被覆シリカ粒子(9)〜(11)を得た。
<注>
1)工程(A1)で得られた分散液の親水性球状シリカ微粒子
2)最終的に得られた有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子
上記表に示すように、本発明方法によれば、有機樹脂被覆を行っても、元々のシリカ微粒子由来の形状を保つことが分かり、また、粒度分布を悪くすることはなかった。
<トナー帯電量、外添剤遊離率>
上記得られた実施例1〜5、比較例1〜6[シリカ微粒子(1)〜(11)]の有機樹脂被覆シリカ粒子のトナー帯電量、外添剤遊離率の測定を以下のように行った。
(トナー帯電量の測定方法)
シリカ微粒子0.4gと負帯電性トナー(8μm)40gとをミキサーにて攪拌混合してトナー組成物2gとし、これとフェライトキャリア48gとをポリプロピレン容器(100ml容量)に入れ、25℃/50%RH環境下(NN環境下)に24時間放置する。24時間放置したトナー組成物とフェライトキャリアの混合物をそれぞれターブラミキサーで10分振とうする。このトナー組成物とフェライトキャリアの混合物から0.2g採取し、ブローオフ帯電量測定装置(東芝ケミカル社製品:TB−200型)で1分間窒素ブローした後の値をトナー組成物の帯電量とする。その結果を表2に示す。
また、その後それぞれターブラミキサーで更に20分振とうする。トータル30分振とう後の帯電量も表2に示す。
(外添剤遊離率)
上記で得られた各トナー組成物におけるトナー粒子からのシリカ微粒子の離脱率D
を以下にしたがって測定した。トナー組成物2gに対し、界面活性剤(重合度10のポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル)0.2wt%水溶液を充分に浸漬させ、超音波式ホモジナイザー(US1200T;日本精機製作所社製)を用いて、その分散液中に超音波振動子を浸し、周波数15KHz、出力40Wで1分間超音波振動させることにより、トナー粒子表面から表面に付着させた微粒子外添剤を離脱させた。その後、分散液をデカンテーション(静置)により上澄み液と沈殿物(トナー)に分離し、離脱した添加剤粒子が含まれる上澄み液を除去した。沈殿物(トナー)を純水で穏やかに洗浄し、乾燥させた。乾燥したトナーを蛍光X線分析にかけ、トナー粒子表面に残存するシリカ微粒子の定量を行い、トナー粒子に添加されたシリカ微粒の重量に対し、離脱したシリカ微粒子の重量の比率(重量比)を離脱率Dとして算出し、下記のように判断した。その結果も表2に示す。
〔評価基準〕
○:離脱率Dの値が、20%以下
△:離脱率Dの値が、21%〜45%
×:離脱率Dの値が、46%以上
表2より、本発明の製造方法により製造された表面有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子(実施例1〜5)は、本発明の製造方法により製造されたものではない表面疎水化球状シリカ微粒子(比較例1〜6)と比べて帯電安定性つまり、高分散性、付着性が強いこと、また遊離率も少ないことが明らかとなった。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (3)

  1. (A1)下記一般式(I):
    Si(OR (I)
    (但し、Rは同一又は異種の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基である。)
    で示される4官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物又はこれらの混合物を、塩基性物質の存在下で親水性有機溶媒と水の混合液中で加水分解、縮合することによって、SiO単位を含む親水性球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液を得る工程と、
    (A2)該親水性球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液に、下記一般式(II):
    Si(OR (II)
    (但し、Rは置換又は非置換の炭素原子数1〜20の一価炭化水素基であり、Rは同一又は異種の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基である。)
    で示される3官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物又はこれらの混合物を添加して、前記親水性球状シリカ微粒子の表面を処理することにより、該親水性球状シリカ微粒子の表面にRSiO3/2単位(但し、Rは前記と同じである。)を導入し、第一の表面疎水化球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液を得る工程と、
    (A3)該第一の表面疎水化球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液又はその濃縮液に下記一般式(III):
    SiNHSiR (III)
    (但し、Rは同一又は異種の置換又は非置換の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基である)
    で示されるシラザン化合物、
    下記一般式(IV):
    SiX (IV)
    (但し、Rは同一又は異種の置換又は非置換の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基であり、XはOH基又は加水分解性基である。)
    で示される1官能性シラン化合物又はこれらの混合物を添加し、該第一の表面疎水化球状シリカ微粒子の表面を処理して、該第一の表面疎水化球状シリカ微粒子の表面にR SiO1/2単位(但し、Rは前記と同じである。)を導入することにより第二の疎水性球状シリカ微粒子を得る工程と、
    (A4)該第二の疎水性球状シリカ微粒子の分散液に、ガラス転移温度が65〜120℃の有機樹脂を溶解せしめ、該第二の疎水性球状シリカ微粒子の表面の少なくとも一部に有機樹脂被覆を形成して有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子を得る工程と、
    を有することを特徴とする、1次粒子の平均粒子径が体積基準メジアン径で0.01〜5μmである表面有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子の製造方法。
  2. (A1)下記一般式(I):
    Si(OR (I)
    (但し、R は同一又は異種の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基である。)
    で示される4官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物又はこれらの混合物を、塩基性物質の存在下で親水性有機溶媒と水の混合液中で加水分解、縮合することによって、SiO 単位を含む親水性球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液を得る工程と、
    (A2)該親水性球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液に、下記一般式(II):
    Si(OR (II)
    (但し、R は置換又は非置換の炭素原子数1〜20の一価炭化水素基であり、R は同一又は異種の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基である。)
    で示される3官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物又はこれらの混合物を添加して、前記親水性球状シリカ微粒子の表面を処理することにより、該親水性球状シリカ微粒子の表面にR SiO 3/2 単位(但し、R は前記と同じである。)を導入し、第一の表面疎水化球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液を得る工程と、
    (A3)該第一の表面疎水化球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液又はその濃縮液に下記一般式(III):
    SiNHSiR (III)
    (但し、R は同一又は異種の置換又は非置換の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基である)
    で示されるシラザン化合物、
    下記一般式(IV):
    SiX (IV)
    (但し、R は同一又は異種の置換又は非置換の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基であり、XはOH基又は加水分解性基である。)
    で示される1官能性シラン化合物又はこれらの混合物を添加し、該第一の表面疎水化球状シリカ微粒子の表面を処理して、該第一の表面疎水化球状シリカ微粒子の表面にR SiO 1/2 単位(但し、R は前記と同じである。)を導入することにより第二の疎水性球状シリカ微粒子を得る工程と、
    (A4)該第二の疎水性球状シリカ微粒子の分散液に、ガラス転移温度が65〜120℃の有機樹脂を溶解せしめ、該第二の疎水性球状シリカ微粒子の表面の少なくとも一部に有機樹脂被覆を形成して有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子を得る工程と、
    を有することを特徴とする、表面有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子静電荷像現像用トナー外添剤の製造方法
  3. 請求項1に記載の方法により表面有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子を得、得られた表面有機樹脂被覆疎水性球状シリカ微粒子を、トナーに添加する静電荷像現像用トナーの製造方法
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