JP5871718B2 - 親水性ゾルゲルシリカ粒子の表面処理方法及び疎水性ゾルゲルシリカ粉末の製造方法 - Google Patents

親水性ゾルゲルシリカ粒子の表面処理方法及び疎水性ゾルゲルシリカ粉末の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、親水性ゾルゲルシリカシリカ粒子を乾式法によって疎水化して疎水性ゾルゲルシリカ粉末を得るための表面処理方法及びその疎水性ゾルゲルシリカゲル粉末の製造方法に関する。本明細書で「乾式法による粒子の表面処理」とは、処理粒子を液体中に浸漬又は懸濁させずに行う表面処理のことをいい、例えば粒子に処理用化合物の蒸気を接触させる方法、粒子を流動状態にし処理用化合物の液体又は溶液を噴霧又は滴下する方法などが挙げられる。
微細なシリカ粉末は、その表面を改質・処理して帯電性や疎水性を改善することにより、複写機、プリンター、ファクシミリ、製版システムなどの静電荷現像用トナーに添加されて広く用いられている。このトナー外添剤としての微細なシリカ粉末は、トナーの、流動性の改善、帯電性の制御、長期保存安定性、クリーニング特性の制御、現像剤劣化挙動の制御などを目的としている。
従来、このような用途に用いられるシリカ粉末はトナーに流動性を付与する流動性改善剤として、乾式法で製造された微細なシリカ粒子を疎水化したシリカ粒子が一般的に使用されている。この乾式法で製造されたシリカ粒子に所定の有機物による表面処理をするときには、シリカ粒子の高分散性を維持させるためにその表面処理も乾式法で実施することが一般的である(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1の方法で製造されたシリカ粉末はその平均一次粒子径が7〜30nmの微細な粉末しか得られない。一方、湿式法で製造されたシリカ粒子を疎水化したシリカ粉末もトナー外添剤として使用されており、その中でも特にゾルゲル法により製造されたいわゆるゾルゲルシリカ粒子を疎水化した疎水性ゾルゲルシリカ粉末は、上記特許文献1に示されたシリカ粉末と異なり、一次粒子径100nm程度の大粒子径品を製造可能であり、かつ、粒子径に均一性があり、更に単分散に、より近い形での凝集粒子状態を維持している。これらの利点から、ゾルゲルシリカ粉末は特にトナー外添剤として用いられ、その大粒子径の特徴を活かして小粒子径のトナー外添剤がトナー内部に埋め込まれてしまうことを防止するためのスペーサー効果を発現するための材料として広く使用されている。
一般に、トナーは複写機等の内部で撹拌され、キャリアなどとの摩擦によって帯電する。そして、その高度に制御された帯電性によって現像機能を発現する。しかし、トナーが長時間装置内で撹拌され続けると、撹拌に起因する強い摩擦力がストレスになり、トナーの劣化が進行する。例えば、トナー外添剤はトナー表面に埋没することにより、トナー表面と外部環境との接点としての目的の機能を失う。
しかし、上述のようにトナーへの機械的負荷は近年増大し、かつ、トナーの結着性樹脂の軟化によりトナー母体の硬度は低くなっている。この結果、上記のようなトナー外添剤のトナーへの埋没防止の対策の重要性は益々高まっている。
このようなトナー外添剤の埋没は、トナー外添剤の粉末の粒子の一次粒子径が20nm未満の場合において特に顕著に見られる。これを防止する目的で、一次粒子が100nm以上のトナー外添剤の粉末の粒子がスペーサーとして補助的に使用されることがある。特に、シリコンアルコキシドを原料としてゾルゲル法により製造される湿式法による親水性ゾルゲルシリカ粒子は均一な粒子径が得られると共に球状で流動性付与効果が高いなどの理由から好んで用いられている。
また、近年電子写真の高画質化によりトナー粒子の小粒子径化が進み、それに加えて印刷速度の高速化、電子写真のカラー化により、トナーへの機械的負荷は益々大きくなっている。そのため、トナー性能の経時耐久性を担保するためにトナーの劣化挙動の制御が特に重要度を増している。しかし、一方では印刷待機時間の短縮化や省エネルギーを目的として、トナーに使用される結着性樹脂、即ちトナー母体樹脂には低温定着性が求められるため、トナー母体樹脂の硬度は軟化の傾向にある。
このゾルゲル法により製造されるゾルゲルシリカ粒子を疎水化する方法として、ヒドロカルビルシラン若しくはその部分加水分解縮合生成物又はそれらの組み合わせを加水分解及び縮合することによって得られた親水性球状ゾルゲルシリカ微粒子を疎水化処理して得られた疎水性球状ゾルゲルシリカ微粒子を加熱処理して熱処理球状ゾルゲルシリカ微粒子を得る工程と、この熱処理球状ゾルゲルシリカ微粒子を疎水化処理する工程とを含む平均一次粒子径が0.01〜5μmの高疎水性球状ゾルゲルシリカ微粒子の製造方法が開示されている(例えば特許文献2参照)。
この特許文献2に示される親水性球状ゾルゲル微粒子の疎水化処理は湿式法で行われる。この方法では、例えば、親水性ゾルゲルシリカ粒子を含む水性分散液、炭化水素系溶媒、芳香族系溶媒、ケトン系溶媒分散液等の有機溶媒分散液、又は水−親水性有機溶媒の混合溶媒分散液に、下記一般式:
3 3SiNHSiR3 3
(式中、R3は同一または異なり、置換または非置換の炭素原子数1〜20の1価炭化水素基である)で表されるシラザン化合物、または下記一般式:
3 3SiX
(式中、R3は上記と同じであり、XはOH基又は加水分解性基である)で表される1官能性シラン化合物、或いはこれらの組み合わせを添加し、上記親水性ゾルゲルシリカ粒子表面に残存する反応性基をトリオルガノシリル化して疎水化している。
特開平11−92687(請求項1、段落[0006]、段落[0051]) 特開2007−99582(請求項1、段落[0040])
トナー外添剤に特許文献2に示されるゾルゲル法で製造されたシリカ粒子を疎水化したシリカ粉末を適用する場合には、その製造方法に起因して、ゾルゲルシリカ粒子が水分又は有機溶媒を含み、シリカ粒子同士が非常に凝集し易くかつかさ密度が高いため、ゾルゲルシリカ粒子に対して乾式法で表面処理を試みると、ゾルゲルシリカシリカ粒子が十分に分散できず、一次粒子と共に数千個が固まりをなしてシリカ粒子の凝集体となる場合が多く見受けられ、均一な表面処理を行うことが困難であった。
また、トナー外添剤に特許文献2に示される湿式法のゾルゲル法で製造されたゾルゲルシリカ粒子を疎水化したシリカ粉末を適用する場合には、疎水化剤をゾルゲルシリカ粒子と共に溶媒中に分散させ、シリカ粒子に表面処理するために、一般的に濾過、乾燥等の工程を必要として長い工程が必要となる。その上、一般的に疎水化剤は水分によって分解するものもあるため、十分な疎水性が得られにくいという不具合がある。この不具合はシリカ粒子の凝集体が十分にトナー外添剤としての役割を果たさなくなるだけでなく、その凝集体が大きいことに起因して他の弊害が発生する原因となる。更に表面改質をする際に、シリカ粒子の凝集体内部まで疎水化剤が十分に反応できないために、未反応の処理斑が発生し疎水化しにくいという不具合も起きている。
上記の理由により、現在まで、湿式法により製造された親水性ゾルゲルシリカ粒子を乾式法で疎水化するための有効な表面処理方法は未だ見出されていなかった。
本発明者らは、上記問題を解決するべく鋭意検討した結果、特定範囲のかさ密度、特定範囲のガス流量、撹拌条件により、乾式法で親水性ゾルゲルシリカ粒子を疎水化するための表面処理を行った場合に、高い疎水性と、低い乾燥減量を有し、適度の炭素分量を含んだ疎水性ゾルゲルシリカ粉末を得る製造方法を見出すに至った。
本発明は、従来より湿式法で製造されたゾルゲルシリカ粒子の表面処理方法の問題点を解決するために、高い疎水性と低い乾燥減量を有し、適度の炭素分量を含んだ疎水性ゾルゲルシリカ粉末を得る親水性ゾルゲルシリカ粒子の表面処理方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の観点は、下記の一般式(1)に示されるケイ素アルコキシド若しくはその部分加水分解縮合生成物又はそれらの組み合わせを加水分解及び縮合することによって得られた親水性ゾルゲルシリカ粒子を疎水化剤により表面処理する方法において、前記表面処理は前記親水性ゾルゲルシリカ粒子を反応容器に入れた状態で不活性ガス及び前記疎水化剤を前記反応容器内に供給して前記親水性ゾルゲルシリカ粒子を流動させて行う乾式表面処理であって、前記反応容器内に供給する前記不活性ガスの前記反応容器の横断面積当りの線速度を1〜12m/sの範囲に設定し、前記表面処理時の前記親水性ゾルゲル粒子のかさ密度を前記反応容器内に静置したときの前記親水性ゾルゲルシリカ粒子のかさ密度の0.6〜0.9倍の範囲に設定するとともに、前記反応容器内で表面処理時の親水性ゾルゲルシリカ粒子のかさ密度を150〜300g/Lの範囲に設定することにより表面が疎水化された疎水性ゾルゲルシリカ粉末を得ることを特徴とする親水性ゾルゲルシリカ粒子の表面処理方法である。
Si(OR14 (1)
(但し、 1 は同一又は異なる炭素数1〜4のアルキル基である。)
本発明の第2の観点は、第1の観点の発明の表面処理方法であって、前記表面処理前の親水性ゾルゲルシリカ粒子の平均一次粒子径が50〜300nmの範囲にある表面処理方法である。
本発明の第3の観点は、第1又は2の観点の発明により表面処理された疎水性ゾルゲルシリカ粉末を製造する方法であって、乾燥減量が0.8質量%以下であり、疎水化率が70〜100%の範囲にあり、かつ有機溶剤抽出分の含有炭素分が単位面積当り0.001〜0.03質量%にある疎水性ゾルゲルシリカ粉末を得る方法である。
本発明の第4の観点は、本発明の第3の観点の方法により製造された疎水性ゾルゲルシリカ粉末から静電荷像現像用トナー外添剤を製造する方法である。
本発明の第1の観点によれば、親水性ゾルゲルシリカ粒子を疎水化剤を用いて表面処理する際に前記反応容器内に供給する不活性ガスの反応容器の横断面積当りの線速度を1〜12m/sの範囲に設定し、前記表面処理時の前記親水性ゾルゲル粒子のかさ密度を前記反応容器内に静置したときの前記親水性ゾルゲルシリカ粒子のかさ密度の0.6〜0.9倍の範囲に設定するとともに、前記反応容器内で表面処理時の親水性ゾルゲルシリカ粒子のかさ密度を150〜300g/Lの範囲に設定することにより、反応容器内でシリカ粒子を十分に分散させてシリカ粒子の凝集体を作ることなくシリカ粒子を疎水化剤と十分に反応することができ、これにより高い疎水性と低い乾燥減量を有し、適度の炭素分量を含んだ疎水性ゾルゲルシリカ粉末が得られる。
本発明の第2の観点によれば、前記表面処理前の親水性ゾルゲルシリカ粒子の平均一次粒子径が50〜300nmの範囲にあるため、その大粒径の特徴を活かしてより小粒子径のトナー外添剤がトナー内部に埋め込まれてしまうことを防止するためのスペーサー効果を発現することができる。
本発明の第3の観点の製造方法によれば、製造された疎水性ゾルゲルシリカゲル粉末は、その乾燥減量が上記範囲にあるため、トナー外添剤として用いたときに、表面処理前の水分又は表面処理による有機溶媒の揮発成分の発生を防止して、トナーに与えられる電荷を安定させることができる。また疎水化率が上記の範囲にあるため、同電荷の十分な環境安定性が得られると共にシリカ粒子を円滑に流動させることができ、そして有機溶剤抽出分の含有炭素分(カーボン量)が単位面積当りの上記の範囲にあるため、有機物による疎水化のための表面処理が十分に行われ、かつトナーの帯電安定性、トナーの分散性が良好になり、更にトナーの凝集を防止できる。
本発明の第4の観点の製造方法によれば、本発明の第3の観点の方法により製造された疎水性ゾルゲルシリカ粉末から静電荷像現像用トナー外添剤が得られるため、このトナー外添剤によりトナーの帯電安定性やトナーの分散性が良好になり、更にトナーの凝集等を防止できる。
本発明の乾式表面処理に用いられる第1の反応容器の概略断面図である。 本発明の乾式表面処理に用いられる第2の反応容器の概略断面図である。 本発明の乾式表面処理を行った疎水性ゾルゲルシリカ粉末(実施例2)とトナーを混合した際のSEM写真図(10,000倍)である。 本発明の乾式表面処理を行った疎水性ゾルゲルシリカ粉末(比較例2)とトナーを混合した際のSEM写真図(10,000倍)である。
本発明は、乾式表面処理によって、反応容器内で所定の粒子径の親水性ゾルゲルシリカ粒子に疎水化剤を均一かつ十分に付与して疎水性ゾルゲルシリカ粉末を得る表面処理方法である。
本発明の乾式表面処理は、疎水化すべき親水性ゾルゲルシリカ粒子を液体中に浸漬ないし懸濁させずに行う表面処理であって、親水性ゾルゲルシリカ粒子を流動下又は撹拌下で疎水化剤を噴霧する表面処理、又は親水性ゾルゲルシリカ粒子を流動下又は撹拌下を疎水化剤の蒸気を導入する。このとき疎水化剤を加えた後に必要に応じて加熱してもよい。疎水化剤を1種のみならず2種以上供給してもよい。2種以上の疎水化剤を供給する場合には2種以上の疎水化剤を同時に反応させても良いし逐次的に反応させても良い。
上記の乾式表面処理を均一かつ良好に行うには、乾式表面処理用の反応容器の形状は、鉛直に設置された円筒状又は略球状のものとすることが好ましく、かつ、親水性ゾルゲルシリカ粒子を流動させる手段が必要である。また適宜反応促進のための加温手段を備えることが好ましい。本発明の第1の実施形態として図1に示すような円筒状の反応容器を用いる乾式表面処理方法を、更に、本発明の第2の実施形態として図2に示すような球状の反応容器を用いる乾式表面処理方法を以下説明する。
<第1の実施形態>
先ず疎水化すべき親水性ゾルゲルシリカ粒子は、下記の一般式(1)に示されるケイ素アルコキシド若しくはその部分加水分解縮合生成物又はそれらの組み合わせを加水分解及び縮合することによって得られる。
Si(OR14 (1)
(但し、R1は同一又は異なる炭素数1〜4のアルキル基である。)
一般式(1)中、R1は、炭素原子数1〜4であるが特に好ましくは1〜2の1価炭化水素基である。R1で表される1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基等、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、特に好ましくは、メチル基、エチル基が挙げられる。また一般式(1)で表される4官能性シラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン、テトラフェノキシシラン等、好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、特に好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが挙げられる。また、上記一般式(1)で表される4官能性シラン化合物の部分加水分解縮合生成物としては、例えば、メチルシリケート、エチルシリケート等が挙げられる。
そして、上記方法で得られた親水性ゾルゲルシリカ粒子の中で平均一次粒子径が50〜300nmの範囲にある親水性ゾルゲルシリカ粒子が好ましい。平均一次粒子径が、50nm未満の場合、表面処理した疎水性ゾルゲルシリカ粉末の粒子が小さくなるため、実質上スペーサー効果が小さくなり又はトナーに埋没し易くなるという不具合がある、一方、300nmを越える場合、トナー表面からの脱離が生じやすく、その結果十分な画像特性が出ない又は画像に白抜けが出やすい等の画像特性に大きな問題を発生させる場合が多くなるという不具合がある。結果として上記平均一次粒子径の範囲から外れるとトナーの外添剤として適当でなくなる。更に平均一次粒子径は80〜180nmであることが好ましい。上記の不具合を更に低減できるからである。
次に、図1に示される流動床の反応容器1によって、準備された親水性ゾルゲルシリカ粒子14を疎水化するための表面処理を行う。
図1に示すように、流動床の反応容器1は、両端が閉止されかつ鉛直方向に延びる円筒状の筒本体2と、この筒本体2の側面中央に接続され親水性ゾルゲルシリカ粒子14を筒本体2に導入する原料導入管3と、筒本体2内の下端近傍に設けられ親水性ゾルゲルシリカ粒子14を受ける整流板4と、筒本体2の底壁2aに接続され疎水化剤及び不活性ガスを導入管5から筒本体2に導入する導入管5とを備えている。
疎水化剤は、有機ケイ素系化合物が用いられる。この有機ケイ素径化合物に特に制限は無いが、一般的な例としてヘキサメチルジシラザンのようなアルキルシラザン系化合物、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシランのようなアルキルアルコキシシラン系化合物、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシランのようなクロロシラン系化合物、あるいはシリコーンオイル、シリコーンワニスなどを用いることができる。これらの疎水化剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
不活性ガスは、一般的な例としてヘリウム、窒素、アルゴン等が挙げられる。工業的に使用する場合、コスト面から窒素ガスが好ましい。
整流板4は、親水性ゾルゲルシリカ粒子14の粒子径より細かい多数の孔を有する多孔質又は網状に形成され、不活性ガスを鉛直上方向に整流する。また筒本体2の側面のうち整流板4より僅かに高い位置には下側取出し管6が接続され、筒本体2の側面のうち高さが原料導入管3及び下側取出し管6間に位置するように上側取出し管7が接続される。
下側取出し管6にはこの管を開閉する手動バルブ8が設けられ、上側取出し管7にはこの管を通る疎水性ゾルゲルシリカ粉末の流量を調整する流量調整バルブ9が設けられる。また下側取出し管6及び上側取出し管7は合流して集合取出し管10となる。更に筒本体2の上部には親水性ゾルゲルシリカ粒子14が排ガスとともに排出されるのを防止するためのバグフィルタ11が設けられ、筒本体2の上壁2bには排ガスを排出するための排気管12が接続される。手動バルブ8及び流量調整バルブ9を閉じた状態で原料導入管3から筒本体2に所定量かつ平均一次粒子径50〜300nmの範囲にある親水性ゾルゲルシリカ粒子14を供給し、導入管5から筒本体2に疎水化剤及び不活性ガスを導入する。
ここで、流動床の反応容器1に送られる不活性ガスの反応容器の横断面積当りの線速度Vは1〜12m/sの範囲に設定する。線速度が1m/s未満であると、粒子又は粉末の不活性ガスによる十分な撹拌効果が得られにくい不具合があり、一方、12m/sを越えると粒子又は粉末の飛散が生じていずれの場合も均一な表面処理が行われない不具合がある。不活性ガスの流動床の反応容器1の横断面積当りの線速度V(m/s)は、導入する不活性ガスの流量Q(m3/s)と流動床の反応容器1の筒本体2の内壁の横断面積S(m2)との比Q/Sにて算出することができる。不活性ガスの流量Q(m3/s)は、図示しないガスフローコントローラを導入管5と図示しない不活性ガスのタンクとの間に設置し、流量Qを制御することができるようになっている。
このような構成より成る流動床の反応容器1に親水性ゾルゲルシリカ粒子14を導入管3により供給する。親水性ゾルゲルシリカ粒子14を流動床の反応容器1に入れた状態で、上記線速度Vが1〜12m/sに設定され、整流板4によって鉛直上方に整流された不活性ガスを疎水化剤とともに供給する。反応容器は図示しない加熱手段により150〜400℃の範囲に加熱することが好ましい。これにより、流動床の反応容器1内で親水性ゾルゲルシリカ粒子14が流動状態を形成しつつ、各シリカ粒子は疎水化剤と反応し疎水化される。
このとき本発明では、表面処理時、即ち流動中の親水性ゾルゲルシリカ粒子のかさ密度を流動床の反応容器1内に静置したときの親水性ゾルゲルシリカ粒子のかさ密度の0.6〜0.9倍の範囲、好ましくは0.7〜0.9倍の範囲に設定するとともに、不活性ガスの流量を制御して反応容器内で流動中の親水性ゾルゲルシリカ粒子のかさ密度を150〜300g/Lの範囲に、好ましくは200〜300g/Lの範囲に設定する。
この際、表面処理を行う際にその粉末のかさ密度が静置時のかさ密度の0.6〜0.9倍とするのは、0.6倍未満であるとゾルゲルシリカ粒子が十分に流動しない不具合があり、一方0.9倍を越えると均一な表面処理ができず、結果として十分な疎水性が得られないという不具合があるからである。また、反応容器内で流動中の親水性ゾルゲルシリカ粒子のかさ密度を、150〜300g/Lの範囲とするのは150g/L未満であると表面処理時に粉末の飛散等が生じるという不具合があり、一方300g/Lを越えると粉末の凝集力が強すぎるという不具合があり、いずれの場合も均一な表面処理が行われにくい。粉末のかさ密度は、粉末を仕込んだ重量と、仕込まれた粉末がが反応容器中において占有している体積から算出することができる。
このとき、流動床の反応容器1内に静置したときの親水性ゾルゲルシリカ粒子14のかさ密度は、流動床の反応容器1の中空の底部と側壁内径が一定であるため、整流板4の水平高さからシリカ粒子の流動状態の高さを測定する。尚、流動状態中のシリカ粒子は上面が必ずしも平坦にはならないため、流動床の反応容器1内の壁面より分かる流動面の高さを複数回測定してそのの平均より算出してかさ密度を測定する。
このように、本発明に係る第1の実施形態によれば、流動床の反応容器1内に静置したときの親水性ゾルゲルシリカ粒子14のかさ密度と流動床の反応容器1内で流動中の親水性ゾルゲルシリカ粒子14のかさ密度の範囲を不活性ガス流の線速度により設定することで、疎水化剤によって表面処理され疎水化されるシリカ粒子同士が流動状態で良好に隔離される。その結果、疎水化剤が親水性ゾルゲルシリカ粒子14と十分かつ均一に反応し、親水性ゾルゲルシリカ粒子14から粒子表面が良好に改質された疎水性ゾルゲルシリカ粉末になる。手動バルブ8を開くことによって疎水性ゾルゲルシリカ粉末を流動床の反応容器1から排出することができる。
<第2の実施形態>
第2の実施形態では、第1の実施形態で準備された親水性ゾルゲルシリカ粒子14と同様の粉末を、図2に示される反応容器15によって表面処理を行う。
図2に示すように、反応容器15は、上部に第1〜第4短管15a〜15dが接続された球状の四つ口フラスコを有する。この四つ口フラスコの第1短管15aには撹拌機16の撹拌シャフト16aが回転可能に挿通され、第2短管15bには温度計17が挿通され、更に第3短管15cには疎水化剤を不活性ガスを導入する導入管18が挿通される。また撹拌シャフト16aの下端には撹拌羽根16bが取付けられる。この四つ口フラスコに親水性ゾルゲルシリカ粒子14を入れた後に、この親水性ゾルゲルシリカ粒子14を撹拌機16により撹拌すると同時に、導入管18から疎水化剤と不活性ガスを導入する。このとき温度計17を見ながら親水性ゾルゲルシリカ粒子14の温度を120〜350℃に保つように、また後述するシリカ粒子のかさ密度を調整するように不活性ガスの流量を調整する。また第4短管15dからは親水性ゾルゲルシリカ粒子14を疎水化した後の不活性ガスが排出される。なお第4短管15dには、親水性ゾルゲルシリカ粒子14が不活性ガスとともに排出されるのを防止するためのフィルタ(図示せず)を設けることが好ましい。
第2の実施形態では、球状の反応容器である四つ口フラスコに、第1の実施形態と同様の平均一次粒子径を持つ所定量の親水性ゾルゲルシリカ粒子14を導入し、更にこの四つ口フラスコに不活性ガスを流通しつつ疎水化剤を添加し、親水性ゾルゲルシリカ粒子14を所定時間流動させることによって、本発明の表面処理方法によって親水性ゾルゲルシリカ粒子14を疎水化することができる。
第2の実施形態では、反応容器の形状が第1の実施形態の反応容器(図1)の形状と異なるけれども、第1の実施形態と基本的に疎水化剤の親水性ゾルゲルシリカ粒子14への表面処理方法は同様にして行う。第1の実施形態では、親水性ゾルゲルシリカ粒子14の流動を不活性ガスの供給によって創出しているのに対して、第2の実施形態では不活性ガスの供給とともに撹拌羽根16bの回転によって上記流動を創出している。このため、かさ密度を本発明の範囲に設定するためには、不活性ガスの供給量と撹拌羽根の回転数を制御する。親水性ゾルゲルシリカ粒子14の流動状態の上部中央箇所は、撹拌羽根16bの撹拌シャフト16aに沿って下に窪むため、流動中のシリカ粒子のかさ密度は反応容器15内の壁面より分かる流動面凸部分の高さと中央部にある撹拌シャフト16aの流動部凹部分の高さ平均より算出して測定する。また第2の実施形態では、不活性ガスの線速度を求めるときの反応容器であるフラスコの横断面積はフラスコの最大径に相当する横断面積とする。
更に第1の実施形態又は第2の実施形態において、上記流動状態を維持しながら、疎水化剤を噴霧又は気化及び加熱しながら親水性ゾルゲルシリカ粒子と反応させるようにしてもよい。このとき、水、アミン、その他触媒を使用しても良い。この場合も窒素などの不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。或いは溶剤に疎水化剤を溶解し、これを親水性ゾルゲルシリカ粒子と混合・分散した後、必要に応じて加熱処理を行いながら上記のような乾式法を採用し疎水性ゾルゲルシリカ粉末を得ることもできる。この場合、加熱処理条件は特に限定されないが一般的には、加熱温度120〜350℃、加熱時間10〜200分程度の条件が採用される。加熱温度が、120℃未満であると有機ケイ素化合物の十分な表面処理が行われず高い疎水性が得られない不具合があり、一方、350℃を越えると有機ケイ素化合物の一部分解が生じうる不具合があるためである。
次に、本発明で得られる疎水化シリカ粉末の特徴について説明する。
先ず、本発明で得られる疎水化シリカ粉末の乾燥減量は0.8質量%以下であることが好ましい。この乾燥減量は105℃、2時間加熱後の加熱前の重量変化から測定する。乾燥減量が0.8質量%を越えると、疎水化のための表面処理中の水分、溶媒が疎水性シリカ粉末中に残留していることになり、電荷の安定性、あるいはトナーの外添剤として使用した場合に揮,個発成分を発する等の不具合があり好ましくない。乾燥減量は更に0.6質量%以下であることが好ましい。上記不具合が更に防止されるからである。
また、本発明で得られる疎水性シリカ粉末の疎水性は70〜100%の範囲にあることが好ましい。この疎水性は電荷の安定性と関係しており、疎水性が、70%未満であると電荷の十分な環境安定性や表面処理中にシリカ粒子の流動性得られない不具合があり、一方、95%を越えるためには疎水化処理に多大のエネルギーと時間を必要とする。疎水性は更に95〜100%の範囲にあることが好ましい。上記不具合が更に防止されるからである。
更に、本発明で得られる疎水性シリカ粉末の有機溶剤抽出分の含有炭素分は、単位面積当り0.001〜0.03質量%/m2の範囲にあることが好ましい。炭素量が単位面積当り0.001質量%/m2未満では、有機物による十分な表面処理が行われず一般に帯電安定性、分散性等が不十分となりがちとなる不具合があり、一方、0.03質量%/m2を越えると、有機物の含有量が多すぎ逆に凝集等が生じ、十分な分散性が得られない場合が多く、結果としてこの疎水性シリカ粉末をトナーの外添剤に応用したとき、十分な画像品質が得られない不具合があり好ましくない。
<静電荷現像用トナー>
次に、疎水性ゾルゲルシリカ粉末をトナーの外添剤にした静電荷現像用トナーについて説明する。
トナーには一般的に熱可塑性樹脂(トナー母体樹脂)の他、少量の顔料及び電荷制御剤、その他の外添剤が含まれているけれども、本発明では本発明の疎水性ゾルゲルシリカ粉末が配合されていれば、他の成分は従来と同様で良く、磁性、非磁性の一成分系トナー、二成分系トナーのいずれでも良い。また、負帯電性トナー、正帯電性トナーのいずれでも良く、モノクロ、カラーのどちらでも良い。またトナーの組成やその製造方法には特に制限はなく、公知の組成及び方法を採用することができる。
本発明の静電荷現像用トナーの製造に当り、本発明の疎水性ゾルゲルシリカ粉末の静電荷現像用トナーの外添剤としての添加量は、所望の特性向上効果が得られるような添加量であれば良く特に制限されていないけれども、静電荷現像用トナー中に本発明の疎水性ゾルゲルシリカ粉末が0.1〜8.0質量%含有されていることが好ましい。疎水性ゾルゲルシリカ粉末の含有量が0.1質量%未満では、本発明の疎水性ゾルゲルシリカ粉末を添加したことによる耐久性の向上効果や帯電性等安定効果が十分に得られない不具合があり、一方、疎水性ゾルゲルシリカ粉末の含有量が8.0質量%を越えるとトナーの表面を完全に被覆してなお過剰のシリカ粒子が多く存在するため、反応容器等の装置内汚染の原因になりえる不具合があるためである。
更に、本発明の静電荷現像用トナーの製造にあたり、外添剤としての本発明の疎水性ゾルゲルシリカ粉末は、単独で使用されるに限らず、目的に応じて、他の金属酸化物粉末と併用しても良い。例えば、本発明の疎水性ゾルゲルシリカ粉末と、他の方法で表面改質された乾式シリカ粒子や表面改質された乾式チタン粒子や表面改質された乾式アルミナ粒子等を併用することができる。
次に本発明の実施例を比較例と共に詳しく説明する。以下の実施例、比較例では不活性ガスとして窒素を用いた。
<実施例1>
実施例1では、図2に示すような、容積が3Lの四つ口フラスコの反応容器15を用いて表1に示す処理条件で表面処理を行った。より具体的には、滴下ロート(2個)、撹拌機、温度計を備えた3L容量の四つ口フラスコに、メタノール700mL、イオン交換水40mL、28質量%濃度のアンモニア水50gを入れた。得られた溶液を35℃にて撹拌しながらテトラエトキシシラン1590g及び5質量%濃度の希釈アンモニア水420gを同時に添加し、テトラエトキシシランは5時間、希釈アンモニア水は4時間にわたりそれぞれ滴下した。滴下終了後、更に2間撹拌を継続した。ついで上記反応溶液をエバポレーターにて70℃に加熱しながら溶媒を減圧留去することにより粗ゾルゲルシリカ粉末を得た。ついで、この粗ゾルゲルシリカ粉末を800℃、3時間の熱処理を行うことにより、親水性ゾルゲルシリカ粒子450gを得た。
次に親水性ゾルゲルシリカ粒子の疎水化処理を行った。この親水性ゾルゲルシリカ粒子の特性とこの親水性ゾルゲルシリカ粒子の表面処理条件を表1に示す。
なお、表1に示す「疎水化剤仕込み量(部数」とは、反応容器に親水性ゾルゲルシリカ粒子の質量部を100とするときに添加された疎水化剤の質量部である。具体的には上記親水性ゾルゲルシリカ粒子300gを3L容量の四つ口フラスコに入れ、窒素ガス雰囲気下、疎水化剤としてヘキサメチルジシラザン(以下、HMDSという。)50gを窒素ガスとともに四つ口フラスコに導入し、次にこの反応混合物を250℃に昇温し2時間加熱しながら窒素ガスの線速度を8.7(m/s)に設定しかつ撹拌回転数800(rpm)で撹拌した。このようにして疎水性ゾルゲルシリカ粉末を得た。得られたシリカ粉末の粉末特性結果を表2に示す。
<実施例2、4、5>
実施例2、4、5では、実施例1と同様に図2に示す反応容器15を用いて表1に示す処理条件で表面処理を行った。また実施例2、4、5では、実施例1の親水性ゾルゲルシリカ粒子の代わりに平均一次粒子径が110nmの市販の親水性ゾルゲルシリカ粉末(A社製シリカ)を用い、また不活性ガスとして窒素ガスを用い、更に表1に示す疎水化剤を用いて、表1に示す表面処理条件でこのシリカ粉末を疎水化した。得られた疎水性ゾルゲルシリカ粉末の粉末特性結果を表2に示す。また実施例2で得られた疎水性ゾルゲルシリカ粉末とトナーとを混合した際のSEM観察像を図3に示す。実施例2、4、5では、親水性ゾルゲルシリカ粉末の疎水化処理に際し、撹拌回転数と窒素ガスの線速度とを変えながら、実施例1と同様の操作を行った。ただし、実施例5は事前に上記親水性ゾルゲルシリカ粒子Aの粉末を圧密することでかさ密度を上げた。このようにして実施例2、4、5の疎水性ゾルゲルシリカ粉末を得た。得られたシリカ粉末の粉末特性結果を表2に示す。
<実施例3>
実施例3では、図1に示すような、容積が10Lの流動床の反応容器1を用いて表1に示す処理条件で表面処理を行った。より詳細には原料導入管3から平均一次粒子径が110nmの市販の親水性ゾルゲルシリカ粉末(A社製シリカ)500gを導入した。この導入されたシリカ粉末は整流板4上に載った状態に保持された。反応容器1の底壁2aに形成されたガス導入管5から窒素ガスとともに表1に示す疎水化剤75gを反応容器1内に導入した。この窒素ガスは疎水化剤のキャリアガスとして用いられるとともに、シリカ粉末の流動化ガスとしても用いられる。窒素ガスにより搬送された疎水化剤がシリカ粉末に接触すると、化学反応によりシリカ粉末の表面が疎水化した。次に上記反応容器1に窒素ガスを導入しながら180℃で1時間保持した後に、上記酸化物粉末を手動バルブ8を開いて下側取出し管6から取出した。このようにして実施例3の疎水性ゾルゲルシリカ粉末を得た。得られたシリカ粉末の粉末特性結果を表2に示す。
<実施例6>
実施例6は、実施例3と同様に図1に示す反応容器1を用いて表1に示す処理条件で表面処理を行った。但し、実施例3の親水性ゾルゲルシリカ粒子の代わりに、実施例6では平均一次粒子径が75nmの市販の親水性ゾルゲルシリカ粉末(B社製シリカ)を用いた。
<実施例7>
実施例7では、実施例1と同様に図2に示す反応容器15を用いて表1に示す処理条件で表面処理を行った。実施例7では平均一次粒子径が220nmの市販の親水性ゾルゲルシリカ粉末(B社製シリカ)を用いた。また表1に示す疎水化剤を用いて、表1に示す表面処理条件で上記シリカ粒子を疎水化処理した。得られたシリカ粉末の粉末特性結果を表2に示した。実施例7では、親水性ゾルゲルシリカ粉末の疎水化処理に際し、撹拌回転数と窒素ガスの線速度とを変えながら、図2に示す反応容器15を用いて表1に示す表面処理条件で表面処理を行った。
<比較例1>
比較例1では、実施例1と同様に図2に示す反応容器15を用いて表1に示す処理条件で表面処理を行った。即ち実施例1と同様の方法で製造された親水性ゾルゲルシリカ粒子を疎水化処理した。この際、撹拌回転数と窒素ガスの線速度を変えた。他の表面処理条件は実施例1と同様の条件で行った。得られたシリカ粉末の粉末特性結果を表2に示す。
<比較例2、4、5>
比較例2、4及び5では、実施例1と同様に図2に示す反応容器15を用いて表1に示す処理条件で表面処理を行った。また比較例2、4及び5では、実施例2、4及び5で用いた市販の親水性ゾルゲルシリカ粒子をそれぞれ用いた。また、表1に示す疎水化剤を用いて、表1に示す表面処理条件で上記シリカ粒子を疎水化処理した。得られたシリカ粉末の粉末特性結果を表2に示す。実施例2〜5では親水性ゾルゲルシリカ粒子の疎水化処理に際し、撹拌回転数及び窒素ガスの線速度を変えた。他の条件は実施例2〜5と同様の条件で行った。
また比較例2の条件で得られた疎水性ゾルゲルシリカ粉末とトナーとを混合したSEM観察結果(10,000倍)を図4に示した。図4の中央に分散しなかったシリカ凝集体が観察された。
<比較例3>
比較例3は、実施例3と同様に図1に示す反応容器1を用いて表1に示す処理条件で表面処理を行った。但し、比較例3では、実施例2、4及び5で用いた市販の親水性ゾルゲルシリカ粒子をそれぞれ用いた。。
<比較例6>
比較例6では、実施例1と同様に図2に示す反応容器15を用いて表1に示す処理条件で表面処理を行った。但し、比較例6では、実施例1の親水性ゾルゲルシリカ粒子の代わりに平均一次粒子径が100nmの市販の親水性ゾルゲル粒子(A社製シリカ)を用いた。また表1に示す疎水化剤を用いて表1に示す表面処理条件で上記シリカ粒子を疎水化処理した。
<比較例7>
比較例7では、実施例3と同様に図1に示す反応容器1を用い実施例3と同じ処理条件とした。但し、実施例3の親水性ゾルゲルシリカ粒子の代わりに、比較例7では平均一次粒子径が30nmの市販の親水性ゾルゲル粒子(A社製シリカ)を用いた。また表1に示す疎水化剤を用いて表1に示す表面処理条件で上記シリカ粒子を疎水化処理した。
<比較例8>
比較例8では、実施例1と同様に図2に示す反応容器15を用いて表1に示す処理条件で表面処理を行った。但し、実施例1の親水性ゾルゲルシリカ粒子の代わりに平均一次粒子径が500nmの市販の親水性ゾルゲル粒子(A社製シリカ)を用いた。また表1に示す疎水化剤を用いて、表1に示す表面処理条件で上記シリカ粒子を疎水化処理した。得られたシリカ粉末の粉末特性結果を表2に示す。比較例8、9では親水性ゾルゲルシリカ粒子の疎水化処理に際し、撹拌回転数及び窒素ガスの線速度を変えた。
<比較例9>
比較例9では、実施例3と同様に図1に示す反応容器1を用い実施例3と同じ処理条件とした。但し、実施例3の親水性ゾルゲルシリカ粒子の代わりに、比較例9では平均一次粒子径が500nmの市販の親水性ゾルゲル粒子(A社製シリカ)を用いた。また表1に示す疎水化剤を用いて表1に示す表面処理条件で上記シリカ粒子を疎水化処理した。
表1及び表2の、平均一次粒子径、かさ密度の比、疎水化剤仕込み量、疎水性、乾燥減量及びカーボン量は、以下の方法による。
「平均一次粒子径」は、110nm未満のシリカ粒子では透過型電子顕微鏡(300,000倍)で撮影し、110nm以上のシリカ粒子では走査型電子顕微鏡(50,000倍)で撮影した。その写真図中のシリカ粒子について、無作為に50個以上の粒子径を測定しその平均をとった値である。
「かさ密度の比」は、表面処理時のかさ密度Yに対する静置時のかさ密度Xの比Y/Xである。
「撹拌回転数(rpm)」は、撹拌機を駆動するモータの回転数である。
「疎水性」は、疎水性ゾルゲルシリカ粉末のサンプル1gを200mLの分液ロートに計り採り、これに純水100mLを加えて栓をし、ターブラーミキサーで90rpmの撹拌回転数で10分間振盪し、振盪後、10分間静置する。静置後、下層の20〜30mLをロートから抜き取った後に、下層の混合液を10mm石英セルに分取し、純水をブランクとして、比色計にかけ、波長500nmでの光透過率(%)を疎水率(%)とする。
「乾燥減量」は、十分に乾燥した秤量瓶の重量を測定し(重量:A)、表面改質シリカ粉末をその秤量瓶にサンプリングし重量を測定する(重量:B)。恒温乾燥機を使用し105℃で2時間乾燥する。乾燥終了後、デシケータに移し、15分間放冷し、放冷後の重量を測定する(重量:C)。そして、次式により水分(質量%)を測定し、これを乾燥減量(質量%)する。
水分(質量%)={(B−C)/(B−A)}×100
「カーボン量」は、有機溶剤抽出分の含有炭素分であり、炭素分析装置(SUMIGRAPH NC−22、(株)住化分析センター製)を用いて以下のように測定する。秤量を完了した標準試料及び測定試料の入ったボートを装置にセットし、測定を開始する。測定データ処理プログラムにて最終結果まで自動計算される。そのときに自動計算されたカーボン値を評価する。カーボン量を測定する際は、事前に表面処理された試料をソックスレー抽出を行った試料で測定を行った。ソックスレー抽出は、抽出に用いる溶媒を加熱する毎に蒸留し、試料を入れた部分で受け取り、蒸留された溶媒の量が増えるにつれて、サイホンの原理により必要量以上に溜まった溶媒は全て蒸留前のフラスコに戻るが、その間に試料からの抽出する操作である。
更に、各実施例及び比較例の疎水性ゾルゲル粉末から得られた静電荷現像用トナーを評価した。この評価はSEM観察とトナー評価による。
SEM観察ではトナー表面のシリカ分散性の評価を評価した。重合法により製造された市販の負帯電ポリエステルトナー母体粉末(Sinonar社製)を使用し、このトナーを実施例及び比較例に示す表面改質シリカ粉末と97:3の重量比で混合し、ヘンシェル型ミキサーで600rpm、1分間予備混合を行った後、3000rpm、3分間混合させることによって、分散性評価用のサンプルを調整し、SEMにて10,000倍により観察した。観察結果を分散性の良い順に「優」、「可」、「不可」と評価した。
トナー評価は印刷テストによって評価した。重合法により製造された市販の負帯電ポリエステルトナー母体粉末(Sinonar社製)からなるトナー3重量部を使用し、このトナーを実施例及び比較例に示す表面改質シリカ粉末と97:3の重量比で混合し、ヘンシェル型ミキサーで600rpm、1分間予備混合を行った後、3000rpm、3分間混合させた。更にこの混合粉末とキャリア用のフェライト(FL100:パウダーテック社製)97重量部とを混合して2成分現像剤を作成し、この現像剤を有機感光体を備えた2成分現像機に入れ、2万枚の印刷テストを実施した。この時、感光体へのトナーの付着は全ベタ画像での白抜けとして感知でき、感光体磨耗は画像の乱れとして感知できる。白抜けの程度は白抜けの箇所の数が10個以上/cm2、4〜9個/cm2、1〜3個/cm2、0個/cm2の段階に分け、また画像の乱れのないもの、大きな画像の乱れの無いもの、画像の乱れがあるものを総合的に評価して良い順に「優」、「良」、「可」、「不可」と評価した。

<総合評価>
親水性ゾルゲルシリカ粒子を所定の不活性ガスの線速度及び/又は撹拌回転数の条件で乾式表面処理をすることにより、高い疎水率と低い乾燥減量を有し、かつ適度の炭素分量を含んだ乾式表面処理された疎水性ゾルゲルシリカ粉末を得ることができた。高い疎水率と適度の炭素分量を含んだ疎水性ゾルゲルシリカ粉末はトナーと混合した際、分散性が良く、また印刷テストにおいても画像の乱れのないトナー外添剤を得ることができた。
本発明の親水性ゾルシリカ粒子の表面処理で得られた疎水性ゾルゲルシリカ粉末は静電荷像現像用トナーの外添剤として、複写機、プリンター、ファクシミリ、製版システムなどのトナーに添加して利用される。

Claims (4)

  1. 下記の一般式(1)に示されるケイ素アルコキシド若しくはその部分加水分解縮合生成物又はそれらの組み合わせを加水分解及び縮合することによって得られた親水性ゾルゲルシリカ粒子を疎水化剤により表面処理する方法において、
    前記表面処理は前記親水性ゾルゲルシリカ粒子を反応容器に入れた状態で不活性ガス及び前記疎水化剤を前記反応容器内に供給して前記親水性ゾルゲルシリカ粒子を流動させて行う乾式表面処理であって、
    前記反応容器内に供給する前記不活性ガスの前記反応容器の横断面積当りの線速度を1〜12m/sの範囲に設定し、前記表面処理時の前記親水性ゾルゲル粒子のかさ密度を前記反応容器内に静置したときの前記親水性ゾルゲルシリカ粒子のかさ密度の0.6〜0.9倍の範囲に設定するとともに、前記反応容器内で表面処理時の親水性ゾルゲルシリカ粒子のかさ密度を150〜300g/Lの範囲に設定することにより表面が疎水化された疎水性ゾルゲルシリカ粉末を得ることを特徴とする親水性ゾルゲルシリカ粒子の表面処理方法。
    Si(OR14 (1)
    (但し、 1 は同一又は異なる炭素数1〜4のアルキル基である。)
  2. 前記表面処理前の親水性ゾルゲルシリカ粒子の平均一次粒子径が50〜300nmの範囲にある請求項1記載の表面処理方法。
  3. 乾燥減量が0.8質量%以下であり、疎水化率が70〜100%の範囲にあり、かつ有機溶剤抽出分の含有炭素分が単位面積当り0.001〜0.03質量%にある請求項1又は2に記載の方法により表面処理された疎水性ゾルゲルシリカ粉末を製造する方法
  4. 請求項3記載の方法により製造された疎水性ゾルゲルシリカ粉末から静電荷像現像用トナー外添剤を製造する方法
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