JP2016100134A - 加熱硬化型導電性ペースト - Google Patents

加熱硬化型導電性ペースト Download PDF

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Abstract

【課題】電気伝導性に優れた導電性被膜を形成するための加熱硬化型導電性ペーストを提供する。
【解決手段】本発明により、導電性粉末と、熱硬化性のエポキシ樹脂と、硬化剤と、触媒とを含む加熱硬化型導電性ペーストが提供される。上記導電性粉末は、コアとなる金属粉末がカルボン酸またはその塩で表面処理されてなる。上記硬化剤は、加熱によって上記エポキシ樹脂と反応して水酸基を生成可能な化合物である。上記触媒は、上記カルボン酸またはその塩と上記水酸基とのエステル化反応を進行させる触媒である。
【選択図】図2

Description

本発明は、導電性ペーストに関する。より詳しくは、加熱乾燥することによって導電性被膜を形成する加熱硬化型導電性ペーストに関する。
従来より、電子部品等の電極や配線パターンを形成するために、導電性ペーストが広く用いられている。例えば、高温に曝されると性能が低下してしまうような基板(例えばアモルファスシリコン基板やプラスチック基板)上に電極や配線パターンを形成する場合には、加熱硬化型の導電性ペーストが好ましく利用されている。
加熱硬化型の導電性ペーストは、導電性粉末と熱硬化性樹脂と必要に応じて用いられる他の成分(例えば硬化剤や添加剤等)とを撹拌混合し、ペースト状(スラリー状、インク状を包含する。)に調製したものである。かかるペーストを基板上に所望のパターンで付与した後、比較的低温(例えば100〜200℃)で加熱乾燥し熱硬化性樹脂を硬化させることで、導電性被膜(電極や配線パターン)を形成することができる。例えば特許文献1,2には、かかる用途に使用し得る加熱硬化型導電性ペーストが開示されている。
特開平9−316166号公報 特開2009−256539号公報
ところで近年、電子機器等では小型化、高密度化および高速化等といった高性能化が進行し、これに伴って電極や配線パターンの更なる薄膜化や細線化が求められている。一般に電気抵抗は導電性被膜の断面積に反比例して上昇するため、かかる薄膜化や細線化にあたっては更なる電気伝導性の向上(低抵抗化)が殊に望まれる。
しかしながら、導電性ペーストに使用される導電性粉末は、通常、コアとなる金属粉末の表面に凝集防止や分散性向上を目的として表面処理剤(例えば脂肪酸類)が付与されてなる。上述の通り、加熱硬化型の導電性ペーストは比較的低温で加熱乾燥を行う。このため、上記表面処理剤が燃え抜けずに被膜中に残存する。その結果、表面処理剤によって金属粉末の直接接触が阻まれることとなり、低抵抗化に向けた課題となっている。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電気伝導性に一層優れた導電性被膜を形成するための加熱硬化型導電性ペーストを提供することにある。
本発明者らは、加熱乾燥中の化学的反応によって上記導電性粉末の表面に付与されている表面処理剤を除去することを考えた。そして、鋭意検討を重ねた結果、課題を解決し得る手段を見出し、本発明を完成させた。
本発明によって、導電性被膜を形成するために用いられる加熱硬化型導電性ペーストが提供される。かかる加熱硬化型導電性ペーストは、導電性粉末と、熱硬化性のエポキシ樹脂と、硬化剤と、触媒とを含んでいる。上記導電性粉末は、コアとなる金属粉末がカルボン酸またはその塩で表面処理されてなる。上記硬化剤は、加熱によって上記エポキシ樹脂と反応して水酸基を生成可能な化合物である。上記触媒は、上記カルボン酸またはその塩と上記水酸基とのエステル化反応を進行させる触媒である。
上記構成によれば、加熱乾燥中の化学的反応によって導電性粉末の表面に付与されている表面処理剤の成分を除去することができる。このため、加熱乾燥を200℃以下の低温で行う場合にあっても金属粉末の表面をむき出しの状態にすることができ、金属粒子同士を直接接触させることができる。したがって、ここで開示される導電性ペーストによれば、電気伝導性に優れた導電性被膜を形成することができる。
上記触媒としては、例えば、有機ジルコニウム、有機スズ、有機チタン等の有機金属化合物が好ましい。これによって、エステル化反応をより促進することができる。
ここで開示される好ましい一態様では、上記触媒の含有割合が、上記エポキシ樹脂100質量部に対して1〜200質量部である。これにより、本願発明の効果をより高いレベルで安定的に発揮することができる。
上記硬化剤としては、例えば、イミダゾール系やアミン系の化合物が好ましい。なかでもイミダゾール系の硬化剤およびその誘導体は、ポットライフ(可使時間)が長いため、作業性の観点から好適である。
ここで開示される好ましい一態様では、上記硬化剤の含有割合が、上記エポキシ樹脂100質量部に対して10〜100質量部である。これにより、電気伝導性に優れた導電性被膜を安定的に実現することができる。
より好ましい一態様では、上記硬化剤の含有割合が、上記エポキシ樹脂100質量部に対して30質量部以上である。これにより、反応硬化性を向上することができる。
ここで開示される好ましい一態様では、上記エポキシ樹脂の水酸基価が、160mgKOH/g以下である。これにより、ペースト調製時に粘度が高くなり過ぎることを防止し、作業性や塗工性を好適に維持向上することができる。
なお、本明細書において「水酸基価」とは、エポキシ樹脂の単位質量(1g)あたりの水酸基と等量の水酸基をもつ水酸化カリウムの質量(mg)をいう。具体的には、JIS K0070(1992)に規定する測定方法によって測定した値をいう。
また、本発明により、上記加熱硬化型導電性ペーストを加熱硬化してなる導電性被膜が提供される。かかる導電性被膜は、例えば加熱乾燥温度を150℃に設定した場合であっても、電気抵抗率を小さく(例えば150℃で30分焼成した後の電気抵抗率を、125μΩ・cm以下に)抑えることができる。
なお、本明細書において「電気抵抗率」とは、一般的な抵抗率計を用いて4探針法で測定した値を指すものとする。
一実施形態に係るエポキシ樹脂と硬化剤との架橋反応を表す反応式である。 一実施形態に係るカルボン酸と水酸基とのエステル化反応を表す反応式である。 導電性粒子を表す概念図であり、(a)は加熱硬化型導電性ペースト中における模式図であり、(b)は導電性被膜中における模式図を表している。 導電性被膜の電気抵抗率と硬化剤の含有割合(per hundred resin:phr、樹脂に対する硬化剤の含有割合)との関係を表すグラフである。 導電性被膜の電気抵抗率と触媒の含有割合(per hundred resin:phr、樹脂に対する触媒の含有割合)との関係を表すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば、加熱硬化型導電性ペーストの組成)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、加熱硬化型導電性ペーストの調製方法や導電性被膜の形成方法等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
≪加熱硬化型導電性ペースト≫
ここで開示される加熱硬化型導電性ペーストは、必須構成成分として、導電性粉末と、熱硬化性のエポキシ樹脂と、硬化剤と、触媒とを含んでいる。そして、次の構成:上記導電性粉末が、コアとなる金属粉末がカルボン酸またはその塩で表面処理されてなる;上記硬化剤が、加熱によって上記エポキシ樹脂と反応して水酸基を生成可能な化合物である;上記触媒が、上記カルボン酸またはその塩と上記水酸基とのエステル化反応を進行させる触媒である;ことによって特徴づけられる。したがって、その他については特に限定されず、種々の基準に照らして任意に決定し得る。例えば、種々の構成成分を配合したり、その組成比を変更したりすることができる。
以下、ここで開示される加熱硬化型導電性ペーストの構成成分等について説明する。
<導電性粉末>
図3(a)は、導電性粉末を構成する導電性粒子2の模式図である。導電性粒子2は、コアとなる金属粒子2aが表面処理剤としてのカルボン酸またはその塩2bで表面処理されてなる。これにより、ペースト中での分散性やフィーリング性を高めたり、表面酸化を防止したりすることができる。
導電性粒子2は、典型的には、金属粒子2aの表面の少なくとも一部にカルボン酸またはその塩2bが付着あるいは吸着した形態をなす。例えば、以下の化学式(I)に示すように、カルボン酸またはその塩2bのカルボニル基(−C(=O))が金属粒子2aの表面と比較的弱い分子間力で結合した形態であり得る。換言すれば、金属粒子2aの表面には、エステル基(−C(=O)O)を介してカルボン酸またはその塩2bのアルキル鎖R(アルキル基)が結合した形態であり得る。なお、上記金属粒子2aの表面に付着しているカルボン酸またはその塩2bは、構造安定性の観点等から一部または全部が変質していてもよい。例えば、以下の化学式(II)に示すように、カルボン酸の構造から水素原子が脱離していてもよい。
Figure 2016100134
Figure 2016100134
コアとなる金属粒子2aは、導電性被膜に電気伝導性を付与するための導電性物質である。かかる金属粒子2aとしては、用途等に応じて、所望の導電性およびその他の物性等を備える各種の金属やその合金等を考慮することができる。一例として、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)等の金属、およびそれらの合金等が例示される。なかでも、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)等の貴金属の単体、およびそれらの合金(銀−パラジウム(Ag−Pd)、銀−白金(Ag−Pt)、銀−銅(Ag−Cu)等)が好ましい。特に、比較的コストが安く電気伝導性にも優れること等から、銀およびその合金からなる金属粒子が好ましい。
金属粒子2aの形状は特に限定されず、球状、フレーク状、鱗片状、針状等、種々のものを考慮することができる。なかでも、製造コストの観点等から、略球状の金属粒子が好ましい。
なお、本明細書において「略球状」とは、球状、ラグビーボール状、多角体状等をも包含する用語であり、例えば、平均アスペクト比(長径/短径比)が、1〜2(典型的には1〜1.5、例えば1〜1.2)のものをいう。
金属粒子2aからなる金属粉末の平均粒子径は特に限定されないが、通常0.1μm以上(典型的には0.5μm以上、例えば0.8μm以上)であって、5μm以下(典型的には3μm以下、例えば2μm以下)であるとよい。平均粒子径を0.1μm以上とすることで、ペースト中で凝集が生じることを高度に抑制し、取扱い性を向上することができる。また、平均粒子径を5μm以下とすることで、ペーストに好適な流動性(粘度)を持たせることができ、作業性を向上することができる。さらには、緻密性の高い導電性被膜を、薄膜状にあるいは細線状に安定的に形成することができる。
なお、本明細書において「平均粒子径」とは、レーザー回折・光散乱法に基づき測定した体積基準の粒度分布において、粒子径の小さな微粒子側から累積50%に相当する粒子径D50値(メジアン径ともいう。)をいう。
カルボン酸またはその塩2bは、ペースト中における導電性粒子2の凝集を抑制するための成分である。かかるカルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、オクタン酸、デカン酸(カプリン酸)、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪族モノカルボン酸(飽和脂肪酸);シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪族モノカルボン酸(不飽和脂肪酸);フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、ダイマー酸、トリマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フェニル酪酸、フェノキシ酢酸、アスコルビン酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族カルボン酸それらのアルキル置換体やアルケニル置換体;酸無水物;等が例示される。また、カルボン酸の塩としては、例えば、アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩やカリウム塩)や、アルカリ土類金属塩(例えばマグネシウム塩やカルシウム塩)等が例示される。これらの化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
好適な一態様では、金属表面への吸着性に優れる点や、導電性粉末の分散安定性をより高める点等から、比較的長鎖状のもの(例えば炭素数が5以上のもの)が好ましい。一例として、中鎖脂肪酸や長鎖脂肪酸が挙げられる。これにより、ペースト中における凝集をより高度に抑制することができる。
このような形態の導電性粉末は、従来公知の手法(例えば、コアとなる金属粉末とカルボン酸またはその塩とを液相で反応させること)によって作製することができる。また、カルボン酸またはその塩の付着量は、例えばコアとなる金属粉末100質量部に対して0.01〜3質量部(例えば0.01〜1質量部)程度とするとよい。
加熱硬化型導電性ペーストの固形分全体に占める導電性粉末の割合は、通常50質量%以上、典型的には60〜99質量%、例えば70〜98質量%、好ましくは80〜95質量%程度とするとよい。上記範囲を満たすことで、より電気伝導性に優れた導電性被膜を形成することができる。また、ペーストの塗工性が良好となり、導電性被膜を安定的に実現することができる。
<熱硬化性のエポキシ樹脂>
エポキシ樹脂は、導電性被膜に良好な接着性や耐屈曲性、耐久性を付与するための成分である。かかるエポキシ樹脂としては、例えば、グリシジルエーテル、グリシジルエステル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂等が例示される。これらのエポキシ樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
なかでも、本願発明の効果をより高いレベルで発揮する観点や、接着性、疎水性、入手容易性等の観点から、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂の性状は特に限定されないが、例えば水酸基価は、通常200mgKOH/g以下、好ましくは160mgKOH/g以下、例えば0〜160mgKOH/gであるとよい。本発明者の検討によれば、あまりに水酸基価の多いエポキシ樹脂を用いる場合、ペースト調製時に上記水酸基と導電性粉末表面のカルボン酸またはその塩とが反応して、ペーストの粘度が上昇する傾向にある。このため、作業性や塗工性の観点からは、水酸基価の比較的少ないエポキシ樹脂を用いることが望ましい。
また、エポキシ樹脂の重量平均分子量Mwは、良好な接着性と塗工性とを維持向上する観点から、100〜5000(典型的には150〜4000、例えば200〜1000)程度であるとよい。なお、重量平均分子量Mwは、一般的なゲルクロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)によって測定することができる。
導電性粉末を100質量部としたときに、エポキシ樹脂の含有割合は、例えば1質量部以上、好ましくは5質量部以上であって、20質量部以下、好ましくは15質量部以下とするとよい。エポキシ樹脂の含有割合を1質量部以上(好ましくは5質量部以上)とすることで、より高い接着性や耐久性を実現することができる。また、エポキシ樹脂の含有割合を20質量部以下(好ましくは15質量部以下)とすることで、電気抵抗率をより低く抑えることができる。
また、加熱硬化型導電性ペーストの固形分全体に占めるエポキシ樹脂の割合は、例えば1質量%以上、好ましくは5質量%以上であって、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下とするとよい。上記範囲を満たすことで、接着性や耐久性に優れ、かつ電気抵抗率が抑制された導電性被膜を安定的に実現することができる。
<硬化剤>
硬化剤は、ペーストの加熱硬化時に上記エポキシ樹脂と反応して水酸基を生成する成分である。例えば、上記エポキシ樹脂のエポキシ基と反応して架橋構造を形成し、当該架橋構造の末端に水酸基を生成する成分である。かかる硬化剤としては、エポキシ樹脂と反応する官能基を含む化合物、例えば、イミダゾール系硬化剤およびその誘導体、脂肪族アミン、ポリエーテルアミン、芳香族アミン等のアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、アミド系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、有機ホスフィン類等が例示される。これらの化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
イミダゾール系硬化剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウム・トリメリテート、エポキシ・イミダゾールアダクト等が例示される。
アミン系硬化剤としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン等の鎖状脂肪族ポリアミン;N−アミノエチルピペラジン、メンセンジアミン、イソフオロンジアミン等の環状脂肪族ポリアミン;m−キシレンジアミン等の脂肪芳香族アミン;メタンフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等の芳香族アミン等が例示される。
酸無水物系硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、無水トリメット酸、無水ピロメット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸等が例示される。
なかでもイミダゾール系の硬化剤およびその誘導体は、ポットライフ(可使時間)が長いため、作業性の観点から好ましい。加えて、例えば酸無水物系硬化剤を用いた場合に比べて、電気抵抗率をより低減することもできる。
また、アミン系硬化剤は、熱変形温度が高く、さらに機械的強度や耐薬品性(特に耐アルカリ性)にも優れる。このため、高耐久性の観点から好ましい。
エポキシ樹脂を100質量部としたときに、硬化剤の含有割合(phr)は、通常1質量部以上、例えば5質量部以上、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、特には40質量部以上であって、200質量部以下、例えば150質量部以下、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、特には50質量部以下とするとよい。
硬化剤の含有割合を1質量部以上とすることで、硬化反応を比較的短時間で安定的に行うことができる。また、硬化剤の含有割合を10質量部以上とすることで、本願発明の効果をより高いレベルで奏することができる。加えて、硬化剤の含有割合を200質量部以下とすることで、未反応の硬化剤が導電性被膜中に残存し難くなり、電気抵抗率をより低減することができる。
さらに、例えば速硬化を狙って反応性を高めたい場合には、硬化剤の含有割合を20質量部以上(好ましくは30質量部以上、例えば30〜50質量部)とするとよい。硬化剤は電気伝導性が低いことから、一般には、硬化剤の含有割合が増えるにしたがって導電性被膜の電気抵抗率が指数関数的に上昇する。しかしながら、ここで開示される発明では、導電性粒子の表面に付与された表面処理剤(カルボン酸またはその塩)を化学的に除去することによって、金属粒子同士の接触面積を著しく増加させることができる。このため、速硬化を狙って硬化剤の含有割合を高める場合にあっても、電気伝導性の良好な導電性被膜を形成することができる。
加熱硬化型導電性ペーストの固形分全体に占める硬化剤の割合は、通常0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であって、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下とするとよい。上記範囲を満たすことで電気抵抗率の低い導電性被膜を精確かつ安定的に実現することができる。
<触媒>
触媒は、上記ペーストの加熱乾燥によって生じた水酸基と、導電性粉末表面のカルボン酸またはその塩と、のエステル化反応を進行させるための成分である。かかる触媒としては、従来よりエステル化反応に使用し得ることが知られている触媒を適宜用いることができる。好適例として、有機金属化合物、例えば、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)等の金属元素を含むアルコキシド、キレート(錯体)、アシレートが挙げられる。これらの化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
なかでも、カルボン酸またはその塩と水酸基とのエステル化反応を促進して本発明の効果をより高いレベルで実現する観点からは、有機チタン化合物や有機ジルコニウム化合物、有機スズ化合物が好ましい。後述する実施例にも示すように、電気抵抗率をより高いレベルで低減する観点からは特に有機チタン化合物が好ましい。また、環境性や安全性の観点からは、有機チタン化合物や有機ジルコニウム化合物、有機アルミニウム化合物が好ましい。
より具体的には、以下のような化合物が例示される。
(1)チタンジイソプロポキシビスエチルアセトアセテート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラオクチルチタネート、チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンエチルアセトアセテート、リン酸チタン化合物、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート等の有機チタン化合物。
(2)ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビスエチルアセトアセテート、ノルマルプロピルジルコネート、ノルマルブチルジルコネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート等の有機ジルコニウム化合物。
(3)アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムエチレート、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート、モノアセチルアセトネート、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等の有機アルミニウム化合物。
(4)モノブチルスズトリス2−エチルヘキサノエート、オクチル酸スズ、モノブチルスズオキシド、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズラウレート、ジブチルスズジアセテート、モノブチルスズヒドロキシオキサイド等の有機スズ化合物。
エポキシ樹脂を100質量部としたときに、触媒の含有割合(phr)は、通常0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上、より好ましくは30質量部以上、特には50質量部以上であって、500質量部以下、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、特には100質量部以下とするとよい。
触媒の含有割合を0.1質量部以上とすることで、より安定的かつ迅速にエステル化を生じさせることができる。また、触媒の含有割合を10質量部以上とすることで、本願発明の効果をより高いレベルで奏することができる。加えて、触媒の含有割合を200質量部以下とすることで、未反応の触媒が導電性被膜中に残存し難くなり、電気抵抗率をより低減することができる。
また、加熱硬化型導電性ペーストの固形分全体に占める触媒の割合は、通常0.05質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であって、30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下とするとよい。上記範囲を満たすことで電気抵抗率の低い導電性被膜を精確かつ安定的に実現することができる。
<その他の成分>
加熱硬化型導電性ペーストの典型的な例では、上記固形分を分散させる有機系分散媒(典型的には有機溶剤)を含有する。これにより、ペーストの粘度やチキソ性を調整することができ、作業性や塗工性を向上することができる。
有機系分散媒としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(セロソルブ)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール等のグリコールエーテル系溶剤;1,7,7−トリメチル−2−アセトキシ−ビシクロ−[2,2,1]−ヘプタン、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノイソブチレート等のエステル系溶剤;ターピネオール、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピニルプロピオネート、ベンジルアルコール等のアルコール系溶剤;トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤;その他ミネラルスピリット等の高沸点を有する有機溶剤等が例示される。
また、ここで開示される加熱硬化型導電性ペーストは、上記成分に加えて、必要に応じて種々の添加成分を含有し得る。かかる添加成分の一例としては、充填剤(無機フィラー)、界面活性剤、分散剤、増粘剤、消泡剤、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、顔料等が例示される。これら添加成分としては、従来より加熱硬化型導電性ペーストに使用し得ることが知られているものを任意に用いることができる。
導電性粉末を100質量部としたときに、添加成分の含有割合は、例えば5質量部以下、好ましくは3質量部以下、より好ましくは1質量部以下とするとよい。これにより、本発明の効果をより高いレベルで奏することができる。
<電気抵抗率減少のメカニズム>
上記構成の加熱硬化型導電性ペーストを用いることで、電気抵抗率の低減された導電性被膜を実現することができる。特に限定することを意図したものではないが、以下では図面を参照しながら、そのメカニズムについて具体的に説明する。
上記構成の加熱硬化型導電性ペーストを加熱乾燥すると、まず、硬化剤によってエポキシ樹脂のエポキシ環が開き、架橋反応(硬化反応)を起こす。換言すれば、エポキシ樹脂が硬化剤を介してアニオン重合(anionic polymerization)し、エポキシ樹脂硬化物(cured epoxy resin)となる。このとき、架橋の末端では水酸基(OH)が生じる。図1の式(1)〜(3)には、硬化剤としてイミダゾールを用いた場合の化学反応式を示している。
上記エポキシ樹脂から発生した水酸基は、触媒の作用によって導電性粉末表面のカルボン酸と反応する。これにより、エステルが生成される。換言すれば、水酸基とカルボン酸とがエステル化反応を生じる。図2の式(4)〜(6)には、触媒として有機金属化合物(具体的にはジルコニウムキレート)を用いた場合の化学反応式を示している。
上記触媒の効果によって、図3(a)に示す導電性粒子2の表面のカルボン酸2bを化学的に分解除去する。これによって、200℃以下という比較的低温で加熱乾燥を行う場合にあっても、図3(b)に示すように導電性粒子2同士(金属粒子2a同士)を好適に直接接触させることができる。その結果、上述のような電気抵抗率の低減された導電性被膜を実現することができる。
<ペーストの調製>
このような加熱硬化型導電性ペーストは、上述した材料を所定の含有率(質量比)になるよう秤量し、均質に撹拌混合することによって調製することができる。材料の撹拌混合は、従来公知の種々の攪拌混合装置、例えば三本ロールミル、マグネチックスターラー、プラネタリーミキサー、ディスパー等を用いて行うことができる。
ペーストの好適な粘度は、導電性被膜の形成方法や形成厚み等によっても異なるため特に限定されないが、例えば25℃の温度下において、ブルックフィールド型粘度計により、SC−4−14番のスピンドルを用いて回転速度100rpmの条件で測定した粘度が、10〜100Pa・s(一好適例では20〜50Pa・s)となるように調製するとよい。これによりペーストの取扱性や塗工時の作業性を向上することができ、より安定的に導電性被膜を形成することができる。
<導電性被膜の形成>
ここで開示される加熱硬化型導電性ペーストは、導電性被膜を形成するために用いられる。導電性被膜は、例えば以下の手順で形成することができる。
先ず、ここで開示される加熱硬化型導電性ペーストと所望の基板とを準備する。次に、この基板上に、所定厚み(例えば1〜50μm)になるようペーストを付与(塗工)する。付与厚みは、付与の回数やペーストの粘度等によって変更することができる。上記ペーストの付与は、例えばスクリーン印刷、バーコーター、スリットコーター、グラビアコーター、ディップコーター、スプレーコーター等によって行うことができる。ペーストを付与した後に、例えば乾燥機等の適当な乾燥手法を用いて、所定の温度条件下(典型的には200℃以下、好ましくは180℃以下、例えば100〜150℃)で、所定時間(典型的には1〜60分、例えば10〜30分)加熱乾燥する。これによって、上記付与した加熱硬化型導電性ペーストを硬化させて、膜状の導電体(導電性被膜)を形成することができる。
このように形成された導電性被膜では、電気抵抗率が低減されている。例えば、150℃で30分焼成した後の電気抵抗率が、150μΩ・cm以下、好ましくは120μΩ・cm以下、より好ましくは100μΩ・cm以下であり得る。つまり、加熱乾燥を200℃以下の低温で行う態様にあっても、良導電性の導電性被膜を実現することができる。
ここで開示される加熱硬化型導電性ペーストは、典型的には200℃以下の加熱によって、電気伝導性に優れた導電性被膜を形成することができる。したがって、耐熱性の低い材質からなる基板上に電極や配線パターンを形成するために好ましく用いることができる。代表的な使用例としては、ITO膜(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ膜)付きのガラスや、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の樹脂フィルムを基板とする導体回路の形成が挙げられる。
換言すれば、本発明の一態様として、上記基板と、上記加熱硬化型導電性ペーストを加熱硬化してなる導電性被膜とを備えた構造物が提供される。かかる構造物としては、例えば、電子ペーパー等のフレキシブルデバイスや、タッチパネル、液晶ディスプレイ、各種電子部品が例示される。
以下本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明を係る実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
先ず、加熱硬化型導電性ペーストの構成成分として、以下の材料を準備した。
<導電性粉末(2種類)>
・導電性粉末A:球状銀粉末(DOWAエレクトロニクス株式会社製「AG−2−8」、D50=1.1μm、カルボン酸系の表面処理剤で表面処理したもの。)
・導電性粉末B:球状銀粉末(DOWAエレクトロニクス株式会社製「AG−2−61」、D50=1.1μm、アゾール系の表面処理剤で表面処理したもの。)
<エポキシ樹脂(5種類)>
・エポキシ樹脂A:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(株式会社ADEKA製「EP−4901」、水酸基価0mgKOH/g)
・エポキシ樹脂B:ノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製「EPPN−201」、水酸基価0mgKOH/g)
・エポキシ樹脂C:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「HP−7200」、水酸基価0mgKOH/g)
・エポキシ樹脂D:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製「JER−1004」、水酸基価159mgKOH/g)
・エポキシ樹脂E:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製「JER−1007」、水酸基価174mgKOH/g)
<硬化剤(3種類)>
・硬化剤A:イミダゾール系硬化剤(味の素ファインテクノ株式会社製「PN−40J」)
・硬化剤B:アミン系硬化剤(味の素ファインテクノ株式会社製「MY−HK−1」)
・硬化剤C:酸無水物系硬化剤(新日本理化株式会社製「HD−010」)
<触媒(4種類)>
・触媒A:有機ジルコニウム化合物(マツモトファインケミカル株式会社製「ZC−150」、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート)
・触媒B:有機スズ化合物(日東化成株式会社製「SCAT−24」、モノブチルスズトリス2−エチルヘキサノエート)
・触媒C:有機チタン化合物(マツモトファインケミカル株式会社製「TC−750」、チタンジイソプロポキシビスエチルアセトアセテート)
・触媒D:有機ジルコニウム化合物(マツモトファインケミカル株式会社製「ZC−580」、ジルコニウムジブトキシビスエチルアセトアセテート)
次に、樹脂が固形のものについては適宜、有機系分散媒(ここではブチルジグリコールアセテート(BDGA)を用いた)に溶かした後、上記材料を表1〜3に示す組成比になるよう混合して、三本ロールミルで撹拌し、加熱硬化型導電性ペースト(例1〜48)を調製した。該ペーストを日本電気硝子株式会社製のガラス基板の表面にスクリーン印刷の手法によって10μm程度の厚みで2cm×2cmの正方形状のパターンに付与(塗工)した後、150℃・30分間の加熱乾燥を行うことによって、基板上に導電性被膜を形成した。
<電気抵抗率の測定>
上記形成した被膜の体積抵抗率を、株式会社三菱化学アナリテック製の抵抗率計(型式:ロレスタGP MCP−T610)を用いて4探針法で測定した。結果を表1〜3の「電気抵抗率」の欄に示す。図4には、導電性被膜の電気抵抗率と硬化剤の含有割合(phr)との関係を示している。また、図5には、導電性被膜の電気抵抗率と触媒の含有割合(phr)との関係を示している。
Figure 2016100134
Figure 2016100134
Figure 2016100134
表1の例1〜16は、触媒成分を含有しないペーストを使用して導電性被膜を形成した参考例である。具体的には、硬化剤の含有割合を変化させた場合(例1〜10)と、硬化剤の種類を変えた場合(例11,12)と、エポキシ樹脂の種類を変えた場合(例13〜16)の試験例である。
また、表2の例17〜32は、表1の例1〜16のペーストに触媒を含有させた試験例である。具体的には、触媒Aを、導電性粉末に対して1質量部(エポキシ樹脂に対して10質量部)の割合で含有したペーストを用いた例である。
表1,2に示すように、参考例としての例2〜10と、試験例18〜26とを比較すると、ペーストに硬化剤を添加することで、おしなべて導電性被膜の電気抵抗率が低減した。例えば、ペースト中の硬化剤の含有割合を、エポキシ樹脂100質量部に対して10〜100質量部とすることで、電気抵抗率を125μΩ・cm以下とすることができ、さらに、エポキシ樹脂100質量部に対して20〜70質量部とすることで、電気抵抗率を90μΩ・cm以下とすることができ、特には、エポキシ樹脂100質量部に対して40〜50質量部とすることで、電気抵抗率を80μΩ・cm以下とすることができた。
また、図4に示すように、触媒を含有しない参考例では、硬化剤の含有割合がエポキシ樹脂100質量部に対して30質量部以上になると、電気抵抗率が指数関数的に上昇した。これは、電気伝導性の低い有機成分の割合が多くなったためと考えられる。
対して、触媒を含有する試験例では、硬化剤の含有割合がエポキシ樹脂100質量部に対して50質量部となるまで電気抵抗率が下降し続け、その後緩やかに上昇した。つまり、硬化剤の含有割合をエポキシ樹脂100質量部に対して30質量部以上とする態様において、本願発明が顕著な効果を発揮した。これは、硬化剤の量を増やすことで加熱乾燥時に発生する水酸基の量が増え、導電性粉末表面のカルボン酸またはその塩がエステル化反応によってより多く除去されたためと考えられる。
なお、参考例1と試験例17とを比較すると、ペーストに硬化剤を添加することで抵抗が増加した。これは、エステル化反応に寄与しなかった触媒が被膜中に残存して、抵抗に悪影響を与えたためと考えられる。
また、表2の例18,29〜32は、エポキシ樹脂の種類を変えた試験例である。
表1に示すように、電気抵抗率をより高いレベルで低減する観点からは、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(例18)やノボラック型エポキシ樹脂(例29)、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(例30)を用いることが好ましく、特にはノボラック型エポキシ樹脂が好ましかった。
なお、例32は、ペースト調製時に粘度が上昇し、作業性が低下した。このため、電気抵抗率は未測定である。この原因としては、エポキシ樹脂の水酸基価が高いために、当該水酸基と導電性粉末表面のカルボン酸またはその塩とがペーストの段階で反応したことが考えられる。
表3の例33〜41は、触媒の含有割合を変化させた試験例である。
表3および図5に示すように、例えば、触媒の含有割合をエポキシ樹脂100質量部に対して1〜200質量部とすることで、電気抵抗率を200μΩ・cm以下とすることができ、さらに、触媒の含有割合をエポキシ樹脂100質量部に対して30〜150質量部とすることで、電気抵抗率を100μΩ・cm以下とすることができ、特には、触媒の含有割合をエポキシ樹脂100質量部に対して50〜100質量部とすることで、電気抵抗率を80μΩ・cm以下とすることができた。
また、表3の例35,42〜44は、触媒の種類を変えた試験例である。
表3に示すように、有機チタン化合物を用いることで電気抵抗率を最も高いレベルで低減することができた。
なお、表3の例45〜48は、アゾール系の表面処理剤によって表面処理されてなる導電性粉末を用いた参考例である。
表3に示すように、導電性粉末表面がカルボン酸またはその塩で表面処理されていない場合には、本願発明の効果が発揮されない。それどころか、触媒の含有割合が高くなるにつれて電気抵抗が大きく上昇した。
以上、本発明を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明はその主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
2 導電性粒子
2a 金属粒子
2b カルボン酸またはその塩

Claims (10)

  1. 導電性被膜を形成するために用いられる加熱硬化型導電性ペーストであって、
    導電性粉末と、熱硬化性のエポキシ樹脂と、硬化剤と、触媒とを含み、
    前記導電性粉末は、コアとなる金属粉末がカルボン酸またはその塩で表面処理されてなり、
    前記硬化剤は、加熱によって前記エポキシ樹脂と反応して水酸基を生成可能な化合物であり、
    前記触媒は、前記カルボン酸またはその塩と前記水酸基とのエステル化反応を進行させる触媒である、加熱硬化型導電性ペースト。
  2. 前記触媒が、有機金属化合物である、請求項1に記載の加熱硬化型導電性ペースト。
  3. 前記触媒が、有機ジルコニウム、有機スズおよび有機チタンからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項2に記載の加熱硬化型導電性ペースト。
  4. 前記触媒の含有割合が、前記エポキシ樹脂100質量部に対して1〜200質量部である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の加熱硬化型導電性ペースト。
  5. 前記硬化剤がイミダゾール系およびアミン系から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の加熱硬化型導電性ペースト。
  6. 前記硬化剤の含有割合が、前記エポキシ樹脂100質量部に対して10〜100質量部である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の加熱硬化型導電性ペースト。
  7. 前記硬化剤の含有割合が、前記エポキシ樹脂100質量部に対して30質量部以上である、請求項6に記載の加熱硬化型導電性ペースト。
  8. 前記エポキシ樹脂の水酸基価が、160mgKOH/g以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の加熱硬化型導電性ペースト。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の加熱硬化型導電性ペーストを加熱硬化してなる導電性被膜。
  10. 電気抵抗率が120μΩ・cm以下である、請求項9に記載の導電性被膜。
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