JP6242418B2 - レーザーエッチング用加熱硬化型導電性ペースト - Google Patents

レーザーエッチング用加熱硬化型導電性ペースト Download PDF

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Description

本発明は、レーザーエッチング用の加熱硬化型導電性ペーストに関する。
電子機器では、小型化や高密度化、動作速度の高速化等といった高性能化が進行している。これに伴って、電子機器用の電子部品には、電極配線の更なる高密度細線化が求められている。しかしながら、電極配線の形成に従来用いられている印刷法では、細線状の電極、例えばライン幅とその間のスペース(ラインアンドスペース:L/S)が80μm/80μm以下、さらには50μm/50μm以下の電極を精度よく形成することが困難である。
そこで近年、レーザー光を利用したレーザーエッチング法の利用が検討されている。
この方法では、まず従来と同様に導電性ペーストを調製する。次に、調製した導電性ペーストを所望の基板上に印刷し、導電性の被膜(導電膜)を形成する。そして、形成した導電膜が所望の形状(細線状)の電極配線となるようにマスキングして、それ以外の(不要な)部位にレーザー光を照射する。これにより、レーザー光を照射した部位にあった導電膜が熱分解・除去され、レーザー光を照射しなかった部位が電極配線として残される。
特許文献1,2には、このような用途に使用し得るレーザーエッチング用導電性ペーストが開示されている。例えば特許文献1には、鱗片状(フレーク状)の導電性粉末を含む導電性ペーストが開示されている。また、特許文献2には、熱可塑性のバインダ樹脂を含む導電性ペーストが開示されている。
特開2014−2992号公報 国際公開2014/013899号公報 特開2003−147316号公報 特開2009−105361号公報 特開平11−134935号公報 特開平5−36307号公報
特許文献1に記載される通り、電極配線の形成においては、良電導性を実現するために扁平形状の導電性粒子を用いることが一般的である。つまり、扁平形状の導電性粒子はスタッキング性が良く、かつ球状の導電性粒子を用いる場合よりも粒子の界面を減らすことができる。このため、電極の導電性や一体性を向上する効果がある。しかしながら、本発明者らの検討によれば、このような扁平形状の導電性粒子を用いる場合、レーザー加工時に電極細りや断線等の欠陥が生じることがある。
これについて、図1の(B)欄の模式図を参照しながら説明する。図1(B)−(1)に示すように、扁平形状の導電性粒子は、概して一粒子の平面視での面積が大きい。このため、扁平形状の導電性粒子は、電極配線として残す部位とレーザー加工で除去する部位(レーザー照射部位)とにまたがった状態で存在することがある。このような状態でレーザー光を照射すると、図1(B)−(2)に示すように、電極として残す部位の導電性粒子にも熱が伝わり、導電膜が必要以上に削れてしまうことがある。その結果、電極が既定の幅より細くなったり、断線したり、あるいは電極表面が荒れた状態になったりすることがある。かかる問題は、電極の細線化が進むほど深刻である。
また、特許文献2に記載される通り、熱可塑性樹脂は熱分解性が良く、レーザー加工に適している。しかしその反面、熱可塑性樹脂は、耐熱性が低い傾向がある。このため、図1(B)−(1)に示す状態でレーザー光を照射すると、電極として残す部位の樹脂に熱が伝わって樹脂の劣化を生じることがある。その結果、耐久性の低下を招くことがある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、レーザー加工適性に優れ、かつ、高い耐久性を備えた電極配線を形成することのできる導電性ペーストを提供することにある。
本発明者らは、高耐久性の電極配線を実現するために熱硬化性樹脂の使用を検討した。そして、熱硬化性樹脂を用いた導電性ペースト(熱硬化型導電性ペースト)におけるレーザー加工適性や耐久性を向上すべく鋭意検討を重ね、本発明を完成させた。
本発明により、導電性粉末と、熱硬化性樹脂と、硬化剤とを含むレーザーエッチング用加熱硬化型導電性ペーストが提供される。上記導電性粉末は、レーザー回折・光散乱法に基づく平均粒子径が0.5〜3μmであり、平均アスペクト比が1.0〜1.5である。上記熱硬化性樹脂の含有割合は、上記導電性粉末を100質量部としたときに、35質量部以下である。
上記構成によれば、図1(A)−(1)に示すように、電極として残す部位とレーザー加工で除去する部位とにまたがった状態で存在する導電性粒子の数が減少する。このため、レーザー加工適性が向上して、図1(A)−(2)に示すように、安定した加工線幅の電極を形成することができる。したがって、電極配線の細りや断線といった欠陥の発生割合を低減することができる。また、電極表面の平滑性を向上することができる。そして、例えばL/S=30μm/30μmの細線状の電極配線をも好適に形成することができる。さらに、熱硬化性樹脂を用いることで、熱可塑性樹脂を用いる場合に比べて、相対的に樹脂成分の変質や劣化が生じ難く、電極配線の耐久性を向上することができる。
なお、その他導電性ペーストに係る従来技術文献として特許文献3〜6が挙げられる。
また、本明細書において「平均粒子径」とは、レーザー回折・光散乱法に基づく体積基準の粒度分布において、粒子径の小さい方から累積50%に相当する粒子径D50値(メジアン径)をいう。
また、本明細書において「平均アスペクト比」とは、複数個の導電性粒子の長径/短径比の平均をいう。例えば、電子顕微鏡を用いて少なくとも30個(例えば30〜100個)の導電性粒子を観察する。そして、各々の粒子画像について外接する最小の長方形を描き、かかる長方形の短辺の長さ(例えば厚み)Bに対する長辺の長さAの比(A/B)をアスペクト比として算出する。得られたアスペクト比を算術平均することで、平均アスペクト比を求めることができる。
ここで開示される好ましい一態様では、上記導電性粉末の平均アスペクト比が、1.1〜1.4である。これにより、例えば平均アスペクト比が1.0の(真球状の)導電性粉末を用いる場合に比べて、レーザー加工適性が一層向上する。このため、本願発明の効果をより高いレベルで奏することができる。
ここで開示される好ましい一態様では、上記導電性粉末が、アスペクト比5を超える導電性粒子を含まない。これにより、細線状の電極配線を一層精度よく形成することができる。このため、本願発明の効果をさらに高いレベルで奏することができる。
ここで開示される好ましい一態様では、上記熱硬化性樹脂の数平均分子量が2000以下である。これにより、導電膜の熱分解性が高まり、レーザー加工適性が向上する。また、ペースト印刷時の製版からの脱離性(離型性)が良くなり、印刷精度をも向上し得る。
なお、本明細書において「数平均分子量」とは、ゲルクロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)によって測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した個数基準の平均分子量をいう。
ここで開示される好ましい一態様では、上記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含む。エポキシ樹脂を用いることで、レーザー加工適性、接着性、耐久性、耐熱性、耐薬品性の少なくとも1つを向上することができる。
上記エポキシ樹脂は、2つ以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ樹脂と、1つのエポキシ基を有する1官能エポキシ樹脂と、を含むことが好ましい。
一好適例では、上記多官能エポキシ樹脂と上記1官能エポキシ樹脂との質量比率が、20:80〜45:55である。これによって、電気伝導性の向上をより高いレベルで実現することができる。
図1は、レーザーエッチング前後の導電膜の状態を表す模式的な断面図であり、(A)は本発明を説明するものであり、(B)は従来技術を説明するものである。 図2は、例2に係る電極配線のレ−ザー顕微鏡画像である。 図3は、レーザー加工性の評価が「×」の参考例に係る電極配線のレ−ザー顕微鏡画像である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば、レーザーエッチング用加熱硬化型導電性ペーストの組成)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、ペーストの調製方法やレーザーエッチングの方法等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
また、本明細書において「A〜B(ただし、A,Bが任意の値)」とは、特に断らない限りA,Bの値(上限値および下限値)を包含するものとする。
<レーザーエッチング用加熱硬化型導電性ペースト>
ここで開示される加熱硬化型導電性ペースト(以下、単に「ペースト」ということがある。)は、必須構成成分として、(a)導電性粉末と、(b)熱硬化性樹脂と、(c)硬化剤と、を含んでいる。また、好適には熱可塑性樹脂を含まない。そして、導電性粉末が所定の性状を満たし、かつ熱硬化性樹脂の配合量が所定値以下であることにより特徴づけられる。したがって、その他については特に限定されず、種々の基準に照らして任意に決定し得る。以下、ペーストの構成成分等について説明する。
<(a)導電性粉末>
導電性粉末は、電極配線に電気伝導性を付与するための成分である。導電性粉末としては特に限定されず、所望の導電性やその他の物性を備える各種の金属、合金等を、用途等に応じて適宜用いることができる。一好適例として、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)等の金属、およびこれらの被覆混合物や合金等が挙げられる。なかでも、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)等の貴金属の単体、およびこれらの混合物(銀コート銅、銀コート銅−亜鉛合金、銀コートニッケル)や合金(銀−パラジウム(Ag−Pd)、銀−白金(Ag−Pt)、銀−銅(Ag−Cu)等)が好ましい。特には、比較的コストが安く電気伝導性にも優れる点から、銀および銀コート品、ならびに銀の合金が好ましい。
ここで開示されるペーストの導電性粉末は、平均アスペクト比が1.0〜1.5であり、例えば1.0〜1.4である。これにより、導電性粉末を構成する導電性粒子の平面視での面積が小さくなる。その結果、電極配線として残す部位と、レーザー加工で熱分解除去する部位とにまたがった状態となる導電性粒子を効果的に減らすことができる。したがって、電極細りや断線を劇的に改善することができる。すなわち、レーザー加工適性が飛躍的に向上して、細線状の電極を安定した加工線幅で形成できるようになる。
なお、真球状または略球状(球状、楕円状、多角体状等をも包含する。以下同じ。)の導電性粒子を用いる場合、例えば鱗片状等のアスペクト比のより大きな導電性粒子を用いる場合に比べて、粒子同士の接触面積が小さくなる。このため、一般には電極配線の抵抗が高くなることが懸念される。しかしながら、ここに開示される技術によれば、細線状の電極を精度よく形成できる効果と、ペースト構成成分が高度にバランスされている効果とが相俟って、電極配線全体としての抵抗増大を抑制することができる。その結果、鱗片状のようなアスペクト比の大きな導電性粒子を用いる従来のペーストと比べても遜色のない程度に高い体積抵抗率を実現することができる。
好適な一態様において、導電性粉末のアスペクト比は1.1〜1.4である。上記構成によれば、レーザー加工性が一層向上し得る。つまり、アスペクト比が1.00により近い真球状の導電性粒子は摩擦が少なく、滑り性や移動性が高い。このため、レーザー加工時において、導電性粒子に効率的にレーザーがあたらないことがある。導電性粒子が真球よりもやや扁平状であると、その形状が「滑り止め」として機能し得る。つまり、摩擦が大きくなり、滑り性や移動性が低下する。その結果、真球状の導電性粒子を用いる場合に比べて、導電性粉末に対してレーザー光が的確に照射される。したがって、レーザー加工時のエネルギーや加工時間を低減し得る。
好適な他の一態様において、導電性粉末は、鱗片状や樹枝状の導電性粒子を含まない。つまり、導電性粉末が、アスペクト比10を超える(好ましくは5を超える、より好ましくは3を超える、例えば2を超える)導電性粒子を含まないことが望ましい。換言すれば、導電性粉末は、真球状または略球状の(例えばアスペクト比が1.0〜2.0の、好ましくはアスペクト比が1.1〜1.4の)導電性粒子からなるとよい。これにより、一層高いレベルで安定的に本発明の効果を得ることができる。
ここで開示されるペーストの導電性粉末は、平均粒子径が3μm以下であり、例えば2.5μm以下である。これにより、導電性粒子の平面視での面積が小さくなり、電極として残す部位とレーザーで熱分解する部位とにまたがった状態となる導電性粒子を効果的に減らすことができる。したがって、レーザー加工適性が一層向上して、細線状の電極を安定して形成することができる。
ここで開示されるペーストの導電性粉末は、平均粒子径が0.5μm以上であり、例えば1.0μm以上である。これにより、電極配線内の粒子同士の接触点が減少して、内部抵抗が低減される。したがって、より高い電気伝導性を実現することができる。また、ペーストに好適な流動性(粘度)を持たせることができ、ペーストの取扱性や、基板上にペーストを付与する際の作業性をも向上することができる。
なお、一般に真球状または略球状の導電性粒子を用いる場合、例えば鱗片状等のアスペクト比のより大きな導電性粒子を用いる場合に比べて、導電性粒子同士の接触面積が小さくなりがちである。その結果、電極配線の体積抵抗が増大する傾向にある。したがって、電気伝導性に優れた電極配線を形成するには、導電性粉末の平均粒子径を所定値以上として粒子間の接触を低減することが極めて重要である。
好適な一態様において、導電性粉末を構成する導電性粒子は、凝集を防止するために、その表面に脂肪酸を含む被膜を備える。かかる脂肪酸は、例えば、カプリン酸、パルチミン酸、ステアリン酸等の、炭素原子数が10以上である飽和高級脂肪酸;オレイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸;であり得る。導電性粒子が脂肪酸を含む被膜を備えることで、粒子表面に水酸基が増加して効果的に親水性が高められる。熱硬化性樹脂は典型的には疎水性である。このため、かかる態様によれば導電性粒子と熱硬化性樹脂との濡れ性が低下する。その結果、導電性粒子同士が接点を形成しやすくなる効果がある。
より好適には、脂肪酸が二価以上の多価不飽和脂肪酸である。二価以上の多価不飽和脂肪酸としては、例えばアルキルコハク酸やアルケニルコハク酸が挙げられる。
ペーストの必須構成成分の総質量(つまり、(a)+(b)+(c))に占める導電性粉末の割合は特に限定されないが、通常50質量%以上、典型的には60〜95質量%、好ましくは70〜95質量%、例えば80〜90質量%であるとよい。上記範囲を満たすことで、電気伝導性の高い電極配線の形成と、優れた作業性やハンドリング性とを高いレベルで両立することができる。
<(b)熱硬化性樹脂>
熱硬化性樹脂は、電極配線に接着性や耐久性を付与するための成分である。熱硬化性樹脂は、硬化剤を加えて加熱すると分子間に網目状の架橋構造が形成されて硬化する。一旦硬化した後は溶媒にも溶けにくく、加熱しても可塑性が現れない(変形しない)。このため、熱硬化性樹脂を用いることで、熱可塑性樹脂を用いる従来品に比べて、耐熱性、耐薬品性、機械的強度、ならびに耐久性に優れた電極配線を実現することができる。
熱硬化性樹脂としては特に限定されず、用途等に応じて従来知られているものを適宜用いることができる。一好適例として、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、レゾール樹脂、アルキルフェノール樹脂等のフェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、シリコン樹脂、ウレタン樹脂が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、レーザー加工性(熱分解性)や接着性の観点からは、エポキシ樹脂やフェノール樹脂が好ましい。また、耐熱性や耐久性の観点からは、熱分解温度(TGA法(熱重量分析法)により、空気雰囲気中において10℃/分の昇温速度で昇温した時に、5%重量減少する温度。)が概ね200℃以上、例えば240℃以上、特には300℃以上であるとよい。
好適な一態様において、熱硬化性樹脂はエポキシ樹脂を含んでいる。ここでいうエポキシ樹脂とは、3員環のエーテルであるエポキシ基を分子中に1つ以上有する化合物全般をいう。エポキシ樹脂は、熱硬化性樹脂の中でも接着性、耐熱性、耐薬品性、耐久性に優れる。したがって、エポキシ樹脂を用いることで、形状保持性や安定性に一層優れた電極配線を得ることができる。エポキシ樹脂は、熱硬化性樹脂全体の概ね95質量%以上を占めているとよい。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は特に限定されないが、上述の特性(特には接着性)を高いレベルで発揮させる目的から、概ね100〜1000g/eq、典型的には100〜500g/eq、例えば150〜450g/eq程度であるとよい。なお、エポキシ当量は、JIS K7236(2009)に従って求めることができる。
好適な一態様において、エポキシ樹脂は、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ樹脂と、分子内に1つのエポキシ基を有する1官能エポキシ樹脂と、を含む混合物である。これにより、本願発明の効果をより高いレベルで奏することができる。
つまり、多官能エポキシ樹脂を用いることで、電極配線の機械的強度や形状安定性が向上し、一層優れた耐久性を実現することができる。その一方で、多官能エポキシ樹脂はその剛直な骨格構造ゆえに硬く、流動性や移動性が低い。このため、レーザーで削り難く、レーザー加工性が低下する傾向がある。また、加熱硬化後にあっても導電性粒子同士の接点に樹脂が多く残存し、体積抵抗が増加する傾向にある。本発明者らの検討によれば、このような体積抵抗増加の傾向は、ここに開示されるような真球状または略球状の導電性粉末を用いた場合に特に顕著なものとなり得る。
そこで、多官能エポキシ樹脂に1官能エポキシ樹脂を混合することが好ましい。これにより、樹脂に適度な柔らかさを付与することができ、レーザー加工性を向上することができる。また、本発明者らの検討によれば、エポキシ樹脂の架橋点を減らして柔軟性や軟質性を高めることで、導電性粒子同士の接点に存在する樹脂が加熱硬化時にはじかれる(排除される)効果が得られる。したがって、導電性粒子同士の接触面積が増加して、体積抵抗を一層低く抑えることができる。
多官能エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、およびこれらの変性型等が挙げられる。これらの樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、接着性や疎水性、入手容易性の観点等から、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。特には、体積抵抗をより高いレベルで低減する観点等から、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。
1官能エポキシ樹脂としては、例えば、炭素数が6〜36(典型的には6〜26、例えば6〜18)のアルキルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテル、アルケニルグリシジルエーテル、アルキニルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;炭素数が6〜36(典型的には6〜26、例えば6〜18)のアルキルグリシジルエステル、アルケニルグリシジルエステル、フェニルグリシジルエステル等のグリシジルエステル系エポキシ樹脂;等が挙げられる。これらの樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでもアルキルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエステル、フェニルグリシジルエステルが好ましい。特には、フェニルグリシジルエーテルが好ましい。
多官能エポキシ樹脂と1官能エポキシ樹脂との質量比率は特に限定されないが、およその目安として、1官能エポキシ樹脂がエポキシ樹脂全体の半分以上を占めることが好ましい。一好適例では、多官能エポキシ樹脂と1官能エポキシ樹脂との質量比率が概ね20:80〜45:55、例えば20:80〜30:70である。これにより、レーザー加工に適した比較的薄めの(例えば10μm以下の)導電膜を好適に得ることができる。また、より高いレベルで電気伝導性と耐久性とを兼ね備えた電極配線を得ることができる。
熱硬化性樹脂の性状は特に限定されないが、数平均分子量Mcが概ね5000以下であり、好ましくは2000以下、例えば100〜1000であるとよい。数平均分子量Mcが所定値以下であると、熱硬化性樹脂の熱分解性が高まり、レーザー加工性が一層向上し得る。また、ペースト印刷時の製版からの脱離性(離型性)が良くなり、印刷精度が向上し得る。さらに、数平均分子量Mcが所定値以上であると、基材との接着性や配線電極の形状一体性が向上し得る。
ペースト中の熱硬化性樹脂の含有割合は、導電性粉末を100質量部としたときに、35質量部以下である。一好適例では、熱硬化性樹脂の含有割合は25質量部以下、より好ましくは20質量部以下である。これにより、電気伝導性に優れた電極配線を実現することができる。
熱硬化性樹脂の含有割合の下限値は特に限定されないが、概ね2質量部以上、好ましくは5質量部以上、例えば8質量部以上であるとよい。これにより、接着性や耐久性、信頼性に一層優れた電極配線を実現することができる。
ペーストの必須構成成分の総質量(つまり、(a)+(b)+(c))に占める熱硬化性樹脂の割合は、概ね3質量%以上、好ましくは5質量%以上、例えば8質量%以上であって、典型的には30質量%以下、好ましくは25質量%以下、例えば20質量%以下であるとよい。熱硬化性樹脂の割合が所定値以上であると、ペーストの粘性が適度に高められ、良好な印刷性を得ることができる。また、熱硬化性樹脂の割合が所定値以下であると、ペースト印刷時の製版からの離れが良くなり、糸ひき等の不具合が抑えられる。したがって、精度の高い細線状の電極配線を得ることができ、本発明の効果をより高いレベルで発揮することができる。
<(c)硬化剤>
硬化剤は、上記熱硬化性樹脂の分子間に架橋構造を形成して硬化させるための成分である。硬化剤としては特に限定されず、熱硬化性樹脂の種類等に応じて適宜用いることができる。例えば熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合には、当該エポキシ樹脂のエポキシ基と反応して架橋構造を形成し得る化合物を用いることができる。一好適例として、イミダゾール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、アミド系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、有機ホスフィン類、およびこれらの誘導体等が挙げられる。これらの化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ペースト中の硬化剤の含有割合は特に限定されないが、導電性粉末を100質量部としたときに、通常0.5質量部以上、好ましくは1質量部以上、例えば2質量部以上であって、典型的には7質量部以下、例えば5質量部以下であるとよい。これにより、硬化不良が生じることを防止して硬化反応をスムーズに進行させることができる。また、未反応の硬化剤が残留することを防止して、体積抵抗をより低く抑えることができる。
ペーストの必須構成成分の総質量(つまり、(a)+(b)+(c))に占める硬化剤の割合は特に限定されないが、概ね0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、例えば1質量%以上であって、典型的には5質量%以下、好ましくは3質量%以下、例えば2.5質量%以下であるとよい。上記範囲を満たすことで、体積抵抗の低減された電極配線を安定的に形成することができる。
<(d)その他の成分>
ここで開示されるペーストは、上記(a)〜(c)の成分(すなわち、導電性粉末と熱硬化性樹脂と硬化剤)の他に、必要に応じて種々の添加成分を含有し得る。そのような添加成分の一例として、反応促進剤(助触媒)、レーザー光吸収剤、無機フィラー、界面活性剤、分散剤、増粘剤、消泡剤、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、顔料、希釈溶媒等が挙げられる。これらの添加成分としては、一般的な導電性ペーストに使用し得ることが知られているものを適宜用いることができる。
反応促進剤(助触媒)としては、例えば、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)等の金属元素を含むアルコキシド、キレート(錯体)、アシレートが挙げられる。これらの化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、有機ジルコニウム化合物を含むことが好ましい。
また、希釈溶媒としては、例えば、グリコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、炭化水素系溶剤等の有機溶剤が挙げられる。
添加成分の含有割合は特に限定されないが、導電性粉末を100質量部としたときに、例えば10質量部以下、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下であるとよい。
<ペーストの調製>
このようなペーストは、上述した材料を所定の含有率(質量比率)となるよう秤量し、均質に撹拌混合することで調製し得る。材料の撹拌混合は、従来公知の種々の攪拌混合装置、例えばロールミル、マグネチックスターラー、プラネタリーミキサー、ディスパー等を用いて行うことができる。
<ペーストの使用方法>
ペーストの一使用例では、先ず、基板を準備する。基板としては特に限定されないが、例えば、プラスチック基板、ガラス基板、アモルファスシリコン基板等を考慮し得る。特に耐熱性の低い材料からなる基板を採用する場合に本発明を好適に採用し得る。
次に、この基板上に、所望の厚み(例えば1〜50μm、好ましくは1〜10μm)になるようにペーストを付与(典型的には印刷)する。このとき、ペーストは、所望の電極配線のサイズよりもやや大きめに(幅広に)付与する。ペーストの付与は、例えばスクリーン印刷、バーコーター、スリットコーター、グラビアコーター、ディップコーター、スプレーコーター等を用いて行うことができる。
次に、基板上に付与したペーストを加熱乾燥する。加熱温度は、例えば(b)熱硬化性樹脂のガラス転移点以上の温度とし得る。これによって、付与したペーストを硬化させ、基板上に膜状の導電体(導電膜)を形成する。
次に、導電膜が所望の形状(例えば細線状)の電極となるようにマスキングを施して、それ以外の部位にレーザー光を照射する。
レーザーの種類は特に限定されず、この種の用途に使用し得ることが知られているものを適宜用いることができる。一好適例として、赤外線(IR)レーザー、ファイバーレーザー、COレーザー、エキシマレーザー、YAGレーザー、半導体レーザー等が挙げられる。例えば、750〜1500nmの波長域、更には900〜1100nmの波長域の近赤外レーザー光を発生するレーザーを用いることができる。
一好適例では、レーザー光の基本波長が基材の吸収波長領域と一致しないようにレーザーの種類を選択する。例えば、レーザー光の基本波長が基材の吸収波長領域の倍波(2倍波、3倍波など)となるようにレーザーの種類を選択する。これにより、基材への損傷を最小限に抑えることができる。
他の一好適例では、レーザー光の基本波長が導電膜を構成する成分の吸収波長領域と一致するようにレーザー種を選択する。これにより、導電膜がレーザー光の波長に吸収帯を有することとなり、レーザー加工時の作業性や生産性を向上することができる。例えば、導電膜を構成する硬化膜(具体的には、上記(b)熱硬化性樹脂を(c)硬化剤で硬化させた硬化物)の吸収波長領域が、概ね9000〜10000cm−1、例えば9300〜9900cm−1の範囲にある場合は、基本波長1064nmのIRレーザーを好ましく用いることができる。
レーザー光の照射条件は特に限定されない。例えばレーザー出力は、導電膜の厚み等にもよるが、基材への損傷を回避しつつ導電膜の不要な部位を適切に除去する観点からは、概ね0.5〜100Wとするとよい。例えばIRレーザーを用いて1〜10μm程度の厚みの導電膜を加工する場合には、レーザー出力を1〜10W程度とするとよい。
また、レーザーの走査速度は、生産性を高く維持しつつ導電膜の不要な部位を適切に除去する観点から、概ね1000〜10000mm/s、例えば1500〜5000mm/sとするとよい。
また、レーザー光の照射雰囲気は、大気雰囲気、不活性雰囲気、還元性雰囲気等とすることができる。
レーザーの光エネルギーは熱エネルギーへと変換され、導電膜に到達する。これにより、レーザー光の照射部位では導電膜が熱分解され、溶融、除去される。そして、レーザー光を照射しなかった部位のみに導電膜が残存し、電極配線が形成される。
以上のようにして、基板上に所定のパターンの電極配線を備えた構造体(配線基板)を得ることができる。
<ペーストの用途>
ここに開示されるレーザーエッチング用加熱硬化型導電性ペーストは、高耐久な電極を形成することができる。また、ここに開示されるレーザーエッチング用加熱硬化型導電性ペーストはレーザー加工性に優れることから、特にはL/S=80μm/80μm以下、さらにはL/S=50μm/50μm以下の細線状の電極配線を形成するために好ましく用いることができる。
代表的な一使用用途として、各種電子部品の電極形成や、フレキシブル基板を有するタッチパネルや液晶ディスプレイ、電子ペーパー等のフレキシブルデバイスの導体回路の形成が挙げられる。フレキシブル基板としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド等の樹脂からなるフィルム状のプラスチック基板や、ガラス基板等が例示される。なお、フレキシブル基板上にはITO膜(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ膜)等の酸化物からなる導電膜が成膜された状態であり得る。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明を係る実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
先ず、レーザーエッチング用加熱硬化型導電性ペーストの構成成分となる以下の材料を準備した。
<導電性粉末>
・導電性粉末1:球状銀粉末
(DOWAエレクトロニクス株式会社製、D50=0.5μm、平均アスペクト比1.0)
・導電性粉末2:球状銀粉末
(DOWAエレクトロニクス株式会社製、D50=1.0μm、平均アスペクト比1.1)
・導電性粉末3:球状銀粉末
(DOWAエレクトロニクス株式会社製、D50=3.0μm、平均アスペクト比1.1)
・導電性粉末4:球状銀コート銅粉末
(DOWAエレクトロニクス株式会社製、D50=2.2μm、平均アスペクト比1.1)
・導電性粉末5:銀コート銅−亜鉛合金粉末
(DOWAエレクトロニクス株式会社製、D50=2.2μm、平均アスペクト比1.1)
・導電性粉末6:球状銀粉末
(福田金属箔株式会社製、D50=2.5μm、平均アスペクト比1.4)
・導電性粉末7:鱗片状銀粉末
(DOWAエレクトロニクス株式会社製、D50=15μm、平均アスペクト比16.7)
<多官能エポキシ樹脂>
・多官能エポキシ樹脂A:ノボラック型エポキシ樹脂
(日本化薬株式会社製、エポキシ当量193g/eq、数平均分子量Mc1100)
・多官能エポキシ樹脂B:ビスフェノール変性型エポキシ樹脂
(DIC株式会社製、エポキシ当量403g/eq、数平均分子量Mc800)
<1官能エポキシ樹脂>
・フェニルグリシジルエーテル型エポキシ樹脂
(株式会社ADEKA製、エポキシ当量206g/eq、数平均分子量Mc210)
<硬化剤>
・イミダゾール系硬化剤
(味の素ファインテクノ株式会社製、エポキシイミダゾールアダクト)
<添加剤(触媒)>
・有機ジルコニウム化合物
(マツモトファインケミカル株式会社製、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート)
〔導電膜の形成〕
上記準備した材料を表1に示す質量比率になるよう秤量、混合し、加熱硬化型導電性ペースト(例1〜9,参考例1〜3)を調製した。
上記調製したペーストを、ガラス基板の表面に5μm程度の厚みで□10cm×10cmの正方形状にスクリーン印刷(べた塗り)し、150℃・30分間の加熱乾燥をした。これにより、ガラス基板上に導電膜(硬化膜)を形成した。
〔レーザー加工性の評価〕
上記形成した導電膜に以下の条件でレーザーを照射し、L/S=30μm/30μmの細線形成を試みた。
<レーザー加工条件>
・レーザー種:IRレーザー(基本波長;1064nm)
・レーザー出力:5W
・走査速度:2000mm/s
上記レーザー加工によって形成した細線をレーザー顕微鏡で観察し、レーザー加工性を評価した。顕微鏡観察は倍率10で、3視野を確認した。結果を表1の「レーザー加工性」の欄に示す。表1において、「◎」は断線や削り残しが無く、かつ残っている線幅が20μm以上30μm以下であることを、「○」は断線や削り残しが無く、かつ残っている線幅が10μm以上20μm未満であることを、「△」は断線や削り残しが無いが、残っている線幅が10μm未満であることを、「×」はレーザー照射部に断線や削り残しがあることを、表している。例2に係る観察画像を図2に示す。また、評価が「×」の参考例に係る観察画像を図3に示す。
〔吸収波長の測定〕
紫外可視近赤外分光光度計を用いて、上記調製したペーストの吸収波長を測定した。結果を表1の「吸収波長」の欄に示す。
〔接着性の評価〕
上記形成した細線にセロハンテープを貼り、その上から消しゴムを押しあてて良く密着させた後、45°の角度でセロハンテープを一気に剥がして、接着性を評価した。結果を表1の「接着性」の欄に示す。表1において、「○」は細線の剥がれ(セロハンテープへの導電膜の付着)が確認されなかったことを、「×」は細線の剥がれが確認されたことを、表している。
〔体積抵抗の測定〕
抵抗率計(株式会社三菱化学アナリテック製、型式:ロレスタGP MCP−T610)を用いて上記形成した細線の体積抵抗率を測定した。具体的には細線の一方の端部と他の一方の端部に端子を接触させて、2端子法で電気抵抗を測定した。また、細線の断面をレーザー顕微鏡で観察し、細線の断面積を測定した。得られた電気抵抗と断面積から、体積抵抗率を算出した。結果を表1の「体積抵抗率」の欄に示す。
表1および図2に示すように、例1〜9はレーザー加工性に優れていた。また、例1〜9は基材との接着性が高く、体積抵抗率も200μΩ・cm以下(好ましくは150μΩ・cm以下、特には100μΩ・cm以下)に抑えられていた。
これに対して、平均粒子径が3μmを超えるおよび/またはアスペクト比1.5を超える導電性粉末を用いた参考例1,2では、レーザー加工性が低下した。また、樹脂の含有割合が40質量部を超える参考例3では、レーザー加工性が低下し、さらに体積抵抗率も大きく悪化した。
例1〜9の中では、例1〜3,7が特にレーザー加工性に優れていた。この理由は定かではないが、導電性粉末が銀からなることや、アスペクト比が1.4未満であるためにレーザー加工適性が向上した(つまり、電極配線が余分に削られることが少なかった)こと等が推察される。
また、例1〜6中で、例1,2,3,6は体積抵抗率が100μΩ・cm以下に抑えられていた。この理由としては、導電性粉末の材質が異なること、つまり、銀コート銅粉末よりも銀粉末の方が導電性に優れることが推察される。特に、導電性粉末2を用いた例2では、体積抵抗率が55μΩ・cm以下と最も低く抑えられていた。この理由は定かではないが、平均粒子径と樹脂量とのバランスが考えられる。つまり、例3〜6については、例2よりも平均粒子径が大きく(換言すれば比表面積が小さく)、比表面積当たりの樹脂量が多くなる。このため、導電性粒子間の界面に存在する樹脂量が多くなり、例2よりも体積抵抗率が増加したこと等が推察される。また、例1については、例2よりも平均粒子径が小さくなったことで、導電性粒子同士の接触点が増加して界面抵抗が大きくなり、例2よりも体積抵抗率が増加したこと等が推察される。
これらの結果は、導電性粉末の性状、および、導電性粉末と熱硬化性樹脂の配合比を規定する本願発明の技術的意義を示すものである。
以上、本発明を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明はその主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。

Claims (7)

  1. レーザーエッチング用加熱硬化型導電性ペーストであって、
    導電性粉末と、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、を含み、
    前記導電性粉末は、
    レーザー回折・光散乱法に基づく平均粒子径が0.5〜3μmであり、
    平均アスペクト比が1.0〜1.5であり、
    前記導電性粉末を100質量部としたときに、前記熱硬化性樹脂の含有割合は、35質量部以下である、レーザーエッチング用加熱硬化型導電性ペースト。
  2. 前記導電性粉末の平均アスペクト比が、1.1〜1.4である、請求項1に記載のレーザーエッチング用加熱硬化型導電性ペースト。
  3. 前記導電性粉末が、アスペクト比5を超える導電性粒子を含まない、請求項1または2に記載のレーザーエッチング用加熱硬化型導電性ペースト。
  4. 前記熱硬化性樹脂の数平均分子量が2000以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のレーザーエッチング用加熱硬化型導電性ペースト。
  5. 前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のレーザーエッチング用加熱硬化型導電性ペースト。
  6. 前記エポキシ樹脂が、2つ以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ樹脂と、1つのエポキシ基を有する1官能エポキシ樹脂と、を含む、請求項5に記載のレーザーエッチング用加熱硬化型導電性ペースト。
  7. 前記多官能エポキシ樹脂と前記1官能エポキシ樹脂との質量比率が、20:80〜45:55である、請求項6に記載のレーザーエッチング用加熱硬化型導電性ペースト。
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