JP2016099164A - エンコーダ及び回転角度位置算出方法 - Google Patents

エンコーダ及び回転角度位置算出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】検出される回転角度位置の誤差を低減するエンコーダを提供する。【解決手段】エンコーダ部の信号処理部は、回転角度位置算出部110、補正量テーブル120、及び補正部130を備える。回転角度位置算出部110は、検出素子の信号から回転角度位置を検出する。補正量テーブル120は、回転速度に比例して検出素子の信号に重畳される誤差を打ち消すための補正量を、特定回転速度における1回転中で分割した分割角度位置に対応して記憶する。補正部130は、使用状態における回転速度と特定回転速度との速度比を算出し、補正量テーブル120に記憶された補正量から、算出された速度比及び分割角度位置に対応した補正値を算出する。【選択図】図7A

Description

本発明は、エンコーダ及び回転角度位置算出方法に関する。
従来から、モータ等の軸の回転角度位置を回転角度位置データとして検出可能な磁気式又は光学式のエンコーダ(ロータリーエンコーダ)と呼ばれる装置が存在する。
また、エンコーダには、絶対値の回転角度位置データをインクリメンタル信号等に変換して、A、B相と呼ばれる2つの伝送線を用いて送信可能なものが存在する。
ここで、特許文献1には、磁界を発生する磁界発生手段と、検出対象の回転に伴って磁界発生手段に対して相対的に回転する基台と、基台に設置され、磁界発生手段と基台との相対的な回転により変化する磁界に応じた出力信号を出力する磁気検出素子と、磁気検出素子に接続され、磁気検出素子の感度方向と略垂直な仮想平面上を回転軸方向に伸びる配線部を有し、磁気検出素子の出力信号を伝送する一組の導線と、磁気検出素子の出力信号の位相に基づき検出対象の回転角度を検出する制御手段とを備えるエンコーダの技術が記載されている。
特開2007−218592号公報
ここで、マグネットを使用したエンコーダの場合、基板の近傍でマグネットが回転することで、配線パターンに電圧が誘起される。
しかしながら、特許文献1に記載された装置のような構成では、この誘起される電圧(以下、誘導電圧という。)が磁気センサの出力に重畳された際のノイズを十分に削減できず、回転角度位置検出の精度が低くなるという問題があった。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、回転速度により誘電起電力が変化した場合であっても、十分にノイズを削減し、回転角度位置検出の精度を高めたエンコーダを提供することを目的とする。
本発明のエンコーダは、検出素子の信号から回転角度位置を検出する回転角度位置算出手段を備えたエンコーダであって、回転速度に比例して前記検出素子の信号に重畳される誤差を打ち消すための補正量を、特定回転速度における1回転中で分割した分割角度位置に対応して記憶する補正量テーブルと、使用状態における回転速度と前記特定回転速度との速度比を算出し、前記補正量テーブルに記憶された前記補正量から、算出された速度比及び前記分割角度位置に対応した補正値を算出し、前記回転角度位置算出手段により検出された回転角度位置を前記補正値により補正する補正手段とを備えることを特徴とする。 このように構成することで、回転速度に比例して重畳される誤差の補正を、使用状態の回転速度に合わせて換算し補正することができ、回転角度位置を精度良く検出できる。
本発明のエンコーダは、前記検出素子が、S極とN極の磁極が一対着磁されたマグネットを有する可動被検出物と、前記マグネットに対向する感磁センサが実装された固定体とを含み、回転速度に比例して前記検出素子の信号に重畳される誤差は、前記マグネットが回転することにより前記固定体に誘起される誘導電圧であることを特徴とする。
このように構成することで、誘導電圧は回転速度に比例して発生されるため、使用状態における回転速度と特定回転速度との速度比を計算し、補正量テーブルから補正値をその速度比によって換算すれば、適切な補正を行うことができる。
本発明のエンコーダは、前記補正手段は、前記使用状態における回転速度と前記特定回転速度との速度比の算出の際、前記特定回転速度は、下記の式(1)の関係であり、

ω=D/T/R×60 …… 式(1)

ここで、ωは特定回転速度(rpm)、Rは角度分解能、Tはサンプリング周期(秒)、Dは特定の角度変位値であり、
前記使用状態における回転速度を、下記の式(2)で算出し、

ω'=(D'/D)×ω …… 式(2)

ここで、ω'は使用状態における回転速度(rpm)、D'は、現在のサンプリング時間における角度変位値と1つ前のサンプリング時間における角度変位値との差となる分割角度差分値であることを特徴とする。
このように構成することで、1つのサンプリング周期の間で分割角度差分値を算出するだけで回転速度が求められるので、使用回転速度における補正量を簡単に算出することができる。
本発明のエンコーダは、前記補正手段が、使用状態における回転数の全範囲で、前記回転角度位置を補正することを特徴とする。
このように構成することで、回転速度により補正の実行の有無を分ける必要がなくなるので、容易に補正をすることができる。
本発明のエンコーダは、前記検出素子において、前記感磁センサが、前記可動被検出物の変位に対応したA相センサ及びB相センサを含み、前記A相センサからは正弦波状のA相信号が出力され、前記B相センサからは正弦波状のB相信号が出力され、前記A相信号と前記B相信号との位相差が略π/2であり、前記回転角度位置算出手段が、前記A相信号及び前記B相信号からXY平面上のリサージュ波形を算出し解析することによって前記可動被検出物の角度位置を検出し、検出された角度位置により前記回転角度位置を算出し、前記補正量テーブルが、前記A相信号及び前記B相信号のそれぞれについて補正量を記憶し、前記補正手段が、前記補正量テーブルの前記A相信号及び前記B相信号のそれぞれの補正量から、前記A相信号及び前記B相信号のそれぞれについて前記補正値を算出して補正することを特徴とする。
このように構成すると、A相信号とB相信号の両方に補正テーブルがあるので、回転速度に比例して重畳される誤差が、A相信号とB相信号で異なっても、それぞれ最適な補正値を得られることができ、精度良い回転角度位置の検出ができる。
本発明のエンコーダは、前記固定体が、一方面側に前記感磁センサが実装され、他方面側に半導体装置が実装された両面基板を有し、前記半導体装置は、感磁センサからの出力信号を増幅するアンプ部を備え、前記感磁センサと前記半導体装置とは、少なくとも一部同士が前記両面基板の厚さ方向において重なる位置に配置され、前記感磁センサと前記半導体装置とは、前記両面基板において前記感磁センサ及び前記半導体装置の少なくとも一方に前記両面基板の厚さ方向で重なる位置に形成された複数のスルーホールを介して電気的に接続されていることを特徴とする。
このように構成すると、スルーホールは、感磁センサ及び半導体装置の少なくとも一方と重なる位置に形成されているので、感磁センサからの出力の伝送経路が短くなり、感磁センサからの出力の伝送経路で発生する誘導電圧によるノイズが小さくなり、誘導電圧によるノイズの影響を緩和することができる。
本発明のエンコーダは、前記感磁センサにおいて、感磁膜が形成された感磁センサ側チップと第1出力端子との間の感磁センサ側第1配線及び前記感磁センサ側チップと第2出力端子との間の感磁センサ側第2配線が前記マグネットの磁束と鎖交することにより発生する第1誘導電圧、複数のスルーホールのうち、第1出力端子に対応する第1スルーホール及び第2出力端子に対応する第2スルーホールが前記マグネットの磁束と鎖交することにより発生する第2誘導電圧、及び前記半導体装置において、前記アンプ部が形成されたアンプ側チップと第1出力端子に電気的に接続する第1入力端子との間のアンプ側第1配線、及び前記アンプ側チップと第2出力端子に電気的に接続する第2入力端子との間のアンプ側第2配線が前記マグネットの磁束と鎖交することにより発生する第3誘導電圧は、いずれか1つの誘導電圧と他の2つの誘導電圧とが打ち消すように形成されていることを特徴とする。
このように構成することで、誘導電圧同士を互いに相殺させることができ、誘導電圧によるノイズの影響を緩和することができる。
本発明のエンコーダは、前記補正手段が、サンプリング周期が変更された場合、前記特定回転速度のサンプリング周期と変更されたサンプリング周期に対応する周期調整値を算出し、該周期調整値を適用して補正値を算出することを特徴とする。
このように構成することで、サンプリング周期を変更する必要があっても、補正テーブルを使用して、回転角度位置の補正をすることができる。
本発明の回転角度位置算出方法は、検出素子の信号から回転角度位置を検出するエンコーダにより実行される回転角度位置算出方法であって、回転速度に比例して前記検出素子の信号に重畳される誤差を打ち消す補正量を、特定回転速度と、1回転中で分割した分割角度位置とに対応して記憶し、使用状態における回転速度と前記特定回転速度との速度比を算出し、前記補正量テーブルに記憶された前記補正量から、算出された速度比及び前記分割角度位置に対応した補正値を算出し、該補正値により前記検出素子の信号を補正し、補正された前記検出素子の信号により前記回転角度位置を算出することを特徴とする。
このように構成することで、回転速度に比例して重畳される誤差の補正を、使用状態の回転速度に合わせて換算し補正することができ、回転角度位置を精度良く検出できる。
本発明によれば、回転速度に比例して重畳される誘導電圧による誤差を補正し、回転角度位置の算出の精度を高めたエンコーダを提供することができる。
本発明の実施の形態に係る制御システムのシステム構成図である。 本発明の実施の形態に係るエンコーダの構成を示す図である。 本発明の実施の形態に係るエンコーダの電気的構成を示す図である。 本発明の実施の形態に係るエンコーダの検出原理を示す図である。 本発明の実施の形態に係るエンコーダの検出原理を示す図である。 本発明の実施の形態に係るエンコーダの検出原理を示す図である。 本発明の実施の形態に係るエンコーダの検出原理を示す図である。 本発明の実施の形態に係るエンコーダの感磁センサからアンプ部への信号経路の図である。 本発明の実施の形態に係るエンコーダの感磁センサからアンプ部への信号経路の図である。 本発明の実施の形態に係るエンコーダの誘導電圧を打ち消す構成を示す図である。 本発明の実施の形態に係る信号処理部の制御構成及び補正量テーブルの構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態に係る信号処理部の制御構成及び補正量テーブルの構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態に係る回転角度位置検出処理のフローチャートである。 本発明の比較例の結果を示すグラフである。 本発明の実施例の結果を示すグラフである。
<実施の形態>
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る制御システムXの構成について説明する。制御システムXは、エンコーダ部10、モータ11、制御装置12、及び上位機器13を含んで構成される。
このうち、エンコーダ部10と制御装置12とは本実施形態のエンコーダ装置1として機能する。
エンコーダ部10は、回転角度位置を検出可能なエンコーダである。
エンコーダ部10は、モータ11と同軸のシャフト等を含む回転体2の角度を回転角度位置データとして常に検出している。このため、エンコーダ部10は、モータ11のフレーム等に対して固定された固定体3を備えている。
この回転角度位置データは、回転体2の回転した回数を示す多回転データと、回転体2の角度を示す一回転内データとを含んでいる。また、回転角度位置データは、多回転データと一回転内データとが連続したビット列となるデータである。このうち、多回転データは、数ビット〜数十ビット、一回転内データは数ビット〜数百ビットの解像度である。
また、エンコーダ部10は、制御装置12からの指示に応じて、回転角度位置データを制御装置12へ出力する。
エンコーダ部10の詳細な構成については、後述する。
制御装置12は、上位機器13からの制御信号によりモータ11の駆動を制御する。また、制御装置12は、例えば、上位機器13からの制御信号に応じて、エンコーダ部10から回転角度位置データを取得し、上位機器13に伝送する。
制御装置12は、例えば、マイクロコントローラ、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を含んでいる。
モータ11は、制御装置12からの制御信号により、回転中心軸線L回りに、回転体2を回転させる。
モータ11は、ロータ(rotor)、ベアリング(bearing)、ステータ(stator)、ブラケット(bracket)等を備える一般的なサーボモータ等である。
上位機器13は、モータ11を制御する機器である。上位機器13は、検出された回転角度位置データを取得して、取得した回転角度位置データに対応した制御信号を制御装置12に送信する。また、上位機器13は、例えば、マイクロコントローラを備えた各種機器のロジックボード等である。
また、上位機器13は、例えば、インクリメンタル信号を受信する伝送線は、位相がそれぞれ90度ずれた信号のHL(Hは、ハイレベル信号、Lはローレベル信号を示す)のエッジで送信するA相、B相の二つの伝送線等で構成される。
〔エンコーダ部10の構成〕
次に、図2〜図6により、本発明の実施の形態に係るエンコーダ部10(ロータリーエンコーダ)の全体の配置構成について説明する。
図2に示すエンコーダ部10は、固定体3(図1)に対する回転体2の軸線周り(回転中心軸線L周り)の回転を磁気的に検出する磁気センサ装置である。図3は、本発明の実施の形態に係る磁気センサ装置の電気的構成を示す説明図である。
回転体2は、モータ11の回転出力軸等に連結された状態で使用される。回転体2の側には、N極とS極とが周方向において1極ずつ着磁された着磁面21を回転中心軸線L方向の一方側に向けるマグネット20(可動被検出物)が保持されている。マグネット20は回転体2と一体に回転中心軸線L周りに回転する。
図2及び図3に示すように、固定体3の側には、感磁センサ4と、半導体装置9(アンプIC)とが設けられている。
感磁センサ4は、マグネット20の着磁面21に対して回転中心軸線L方向の一方側で対向して配置され、マグネット20の磁束による磁気抵抗を測定する。
半導体装置9は、チップ97(アンプ側チップ、半導体装置のチップ)、及び信号処理部100を備えている。
チップ97は、感磁センサ4からの出力を増幅するアンプ部90(アンプ部90(+A)、アンプ部90(−A)、アンプ部90(+B)、アンプ部90(−B))を備えているIC等である。アンプ部90(+A)及びアンプ部90(−A)から出力される信号が、A相信号となる。また、アンプ部90(+B)及びアンプ部90(−B)から出力される信号が、B相信号となる。
信号処理部100は、アンプ部90からの出力をA/D(Analog to Digital)変換する。また、信号処理部100は、A/D変換後の信号に基づいて、回転体2の回転角度位置や回転速度等を検出する。具体的には、信号処理部100は、感磁センサ4から出力される正弦波状のA相信号及びB相信号、第1ホール素子61、及び第2ホール素子62からの出力の信号に基づいて、補間処理や各種演算処理等の信号処理を行う。これにより信号処理部100は、固定体3に対する回転体2の回転角度位置を算出する。
信号処理部100の詳細な構成については後述する。
なお、信号処理部100は、半導体装置9に内蔵されていなくてもよい。
また、エンコーダ部10は、マグネット20に対向する位置に、第1ホール素子61と、第2ホール素子62とを備えている。第1ホール素子61と、第2ホール素子62とは、周方向において機械角で90°(π/2)ずれた箇所に位置する。また、半導体装置9の内部若しくは半導体装置9の外部には、第1ホール素子61に対するアンプ部95や、第2ホール素子62に対するアンプ部96が設けられている。
また、マグネット20と、感磁センサ4、第1ホール素子61、及び第2ホール素子62を含む固定体3とは、回転角度位置を検出するための検出素子を構成する。
感磁センサ4は、磁気抵抗素子のセンサICであるチップ40(感磁センサ側チップ)として構成されている。
チップ40は、内部に、素子基板45と、マグネット20の位相に対して互いに90°(π/2)の位相差を有する2相の感磁膜(A相(SIN)の感磁膜、及びB相(COS)の感磁膜)とを備えている。つまり、感磁センサ4は、可動被検出物の変位に対応したA相センサ(A相の感磁膜)及びB相センサ(B相の感磁膜)を含む。
A相の感磁膜は、180°(π)の位相差をもって回転体2の移動検出を行う+A相(SIN+)の感磁膜43、及び−A相(SIN−)の感磁膜41を備えている。また、B相の感磁膜は、180°(π)の位相差をもって回転体2の移動検出を行う+B相(COS+)の感磁膜44、及び−B相(COS−)の感磁膜42を備えている。つまり、A相センサからは正弦波状のA相信号(sin)が出力され、B相センサからは正弦波状のB相信号(cos)が出力される。また、A相信号とB相信号との位相差は、略π/2となる。
+A相の感磁膜43及び−A相の感磁膜41は、図4Aに示すブリッジ回路を構成している。これらは、一方端が電源端子48(Vcc)に接続され、他方端がグランド端子48(GND)に接続されている。+A相の感磁膜43の中点位置には、+A相が出力される出力端子48(+A)が設けられている。−A相の感磁膜41の中点位置には、−A相が出力される出力端子48(−A)が設けられている。
また、+B相の感磁膜44及び−B相の感磁膜42も、+A相の感磁膜44及び−A相の感磁膜41と同様、図4Bに示すブリッジ回路を構成している。これらは、一方端が電源端子48(Vcc)に接続され、他方端がグランド端子48(GND)に接続されている。+B相の感磁膜44の中点位置には、+B相が出力される出力端子48(+B)が設けられている。−B相の感磁膜42の中点位置には、−B相が出力される出力端子48(−B)が設けられている。
感磁センサ4は、図2に示すように、マグネット20の回転中心軸線L上に配置されており、マグネット20の着磁境界部分に回転軸線方向Lで対向している。
このため、感磁センサ4の感磁膜41〜44は、各感磁膜41〜44の抵抗値の飽和感度領域以上の磁界強度で、着磁面21の面内方向で向きが変化する回転磁界を検出することができる。すなわち、着磁境界線部分では、各感磁膜41〜44の抵抗値の飽和感度領域以上の磁界強度で面内方向の向きが変化する回転磁界が発生する。ここで、飽和感度領域とは、一般的に、抵抗値変化量kが、磁界強度Hと近似的に「k∝H2」の式で表すことができる領域以外の領域をいう。
また、飽和感度領域以上の磁界強度で回転磁界(磁気ベクトルの回転)の方向を検出する際の原理は、感磁膜41〜44に通電した状態で、抵抗値が飽和する磁界強度を印加したとき、磁界と電流方向がなす角度θと、感磁膜41〜44の抵抗値Rとの間には、下記の式(0)で示す関係があることを利用するものである:

R=R0−k×sin2θ …… 式(0)

ここで、R0は無磁界中での抵抗値、kは抵抗値変化量(飽和感度領域以上のときは定数となる。)を示す。
このような原理に基づいて回転磁界を検出すれば、角度θが変化すると抵抗値Rが正弦波に沿って変化する。このため、波形品質の高いA相信号の出力及びB相信号の出力を得ることができる。
(感磁センサ4からアンプ部90への信号経路の構成)
図5により、本発明の実施の形態に係るエンコーダ部10における感磁センサ4からアンプ部90への信号経路について説明する。
図5A、図5Bは、両面基板5(回路基板)に対する感磁センサ4及び半導体装置9の実装構造を示す説明図、及び両面基板5(回路基板)の配線パターン等を示す説明図である。なお、図5Bには配線パターンのうち、本実施形態に関する配線パターンのみを示している。また、図5Bでは、両面基板5の一方面501に形成された配線パターンを実線で示し、両面基板5の他方面502に形成された配線パターンを一点鎖線で示している。また、図5Bは、感磁センサ4を点線で示し、半導体装置9を二点鎖線で示している。
図3及び図5Aに示すように、本実施形態のエンコーダ部10において、感磁センサ4は、チップ40と、チップ40に電気的に接続された複数の出力端子48(+A)、48(−A)、48(+B)、48(−B)とを備えている。
チップ40と、出力端子48(+A)、48(−A)、48(+B)、48(−B)とは、感磁センサ側配線47(+A)、47(−A)、47(+B)、47(−B)によって電気的に接続されている。
感磁センサ4において、本実施形態における「第1出力端子」「第2出力端子」「感磁センサ側第1配線」及び「感磁センサ側第2配線」は、以下のように対応する。
A相用:
感磁センサ4の第1出力端子=出力端子48(+A)
感磁センサ4の第2出力端子=出力端子48(−A)
感磁センサ側第1配線=感磁センサ側配線47(+A)
感磁センサ側第2配線=感磁センサ側配線47(−A)
B相用:
感磁センサ4の第1出力端子=出力端子48(+B)
感磁センサ4の第2出力端子=出力端子48(−B)
感磁センサ側第1配線=感磁センサ側配線47(+B)
感磁センサ側第2配線=感磁センサ側配線47(−B)
また、半導体装置9は、アンプ部90(アンプ部90(+A)、90(−A)、90(+B)、90(−B))を備えたチップ97と、チップ97に電気的に接続された複数の入力端子98(+A)、98(−A)、98(+B)、98(−B)とを含んでいる。チップ97と入力端子98(+A)、98(−A)、98(+B)、98(−B)とは、アンプ側配線93(+A)、93(−A)、93(+B)、93(−B)によって電気的に接続されている。
半導体装置9において、本実施形態における「第1入力端子」「第2入力端子」「アンプ側第1配線」及び「アンプ側第2配線」は、以下のように対応する。
A相用:
半導体装置9の第1入力端子=入力端子98(+A)
半導体装置9の第2入力端子=入力端子98(−A)
アンプ側第1配線=アンプ側配線93(+A)
アンプ側第2配線=アンプ側配線93(−A)
B相用:
半導体装置9の第1入力端子=入力端子98(+B)
半導体装置9の第2入力端子=入力端子98(−B)
アンプ側第1配線=アンプ側配線93(+B)
アンプ側第2配線=アンプ側配線93(−B)
本実施形態では、感磁センサ4と半導体装置9とを電気的に接続するにあたって、両面基板5が用いられている。両面基板5は、フェノール基板やガラス−エポキシ基板等の基板本体の両面に銅箔等で配線が形成され、各部が実装されている。
具体的には、両面基板5の一方面501側には感磁センサ4が実装され、他方面502側には半導体装置9が実装されている。両面基板5は、厚さ方向(矢印Tで示す方向)をマグネット20の回転中心軸線L方向に向けている。
感磁センサ4と半導体装置9とは、少なくとも一部同士が両面基板5の厚さ方向において重なる位置に配置されている。また、感磁センサ4及び半導体装置9は、一方を両面基板5の厚さ方向に平行投影した領域の内側に位置するように配置されている。本実施形態では、半導体装置9の平面サイズは、感磁センサ4の平面サイズより大である。また、感磁センサ4は、半導体装置9を両面基板5の厚さ方向に平行投影した領域の内側に位置するように配置されている。両面基板5は、感磁センサ4の中心(チップ40)、及び半導体装置9の中心(チップ97)が回転中心軸線L上に位置するように配置されている。
なお、感磁センサ4の平面サイズが半導体装置9の平面サイズより大きくてもよい。この場合、半導体装置9は、感磁センサ4を両面基板5の厚さ方向に平行投影した領域の内側に配置される。
また、エンコーダ部10において、感磁センサ4と半導体装置9とは、両面基板5に形成された複数のスルーホール50を介して電気的に接続されている。また、複数のスルーホール50は、感磁センサ4及び半導体装置9の少なくとも一方と両面基板5の厚さ方向において重なる位置に形成されている。
本実施形態において、複数のスルーホール50は、感磁センサ4と両面基板5の厚さ方向において重なる位置に形成されている。このため、複数のスルーホール50は、感磁センサ4及び半導体装置9の双方と、両面基板5の厚さ方向において重なる位置に形成されている。
(両面基板5の詳細構成)
以下、図3及び図5A、図5Bを参照して、両面基板5のランドや配線等を説明する。両面基板5は、一方面501に、感磁センサ4が実装される複数のランド51と、ランド51から延在する複数の配線52とが形成されている。また、複数の配線52の各々の先端部にスルーホール50が形成されている。
本実施形態において、複数のランド51には、ランド51(Vcc)と、ランド51(GND)とが含まれている。ランド51(Vcc)は、感磁センサ4の電源端子48(Vcc)が実装される電源端子用のランドである。ランド51(GND)は、感磁センサ4のグランド端子48(GND)が実装されるグランド端子用のランドである。
また、複数のランド51には、ランド51(+A)と、ランド51(−A)と、ランド51(+B)と、ランド51(−B)とが含まれている。
ランド51(+A)は、感磁センサ4の出力端子48(+A)が実装される+A相用のランドである。ランド51(−A)は、感磁センサ4の出力端子48(−A)が実装される−A相用のランドである。ランド51(+B)は、感磁センサ4の出力端子48(+B)が実装される+B相用のランドである。ランド51(−B)は、感磁センサ4の出力端子48(−B)が実装される−B相用のランドである。
複数の配線52には、配線52(Vcc)と、配線52(GND)とが含まれている。配線52(Vcc)は、感磁センサ4の電源端子48(Vcc)が電気的に接続される電源端子用の配線である。配線52(GND)は、感磁センサ4のグランド端子48(GND)が電気的に接続されるグランド端子用の配線である。
また、複数の配線52には、配線52(+A)と、配線52(−A)と、配線52(+B)と、配線52(−B)とが含まれている。配線52(+A)は、感磁センサ4の出力端子48(+A)が電気的に接続される+A相用の配線である。配線52(−A)は、感磁センサ4の出力端子48(−A)が電気的に接続される−A相用の配線である。配線52(+B)は、感磁センサ4の出力端子48(+B)が電気的に接続される+B相用の配線である。配線52(−B)は、感磁センサ4の出力端子48(−B)が電気的に接続される−B相用の配線である。
複数のスルーホール50には、スルーホール50(Vcc)と、スルーホール50(GND)とが含まれている。スルーホール50(Vcc)は、感磁センサ4の電源端子48(Vcc)が電気的に接続される電源端子用のスルーホールである。スルーホール50(GND)は、感磁センサ4のグランド端子48(GND)が電気的に接続されるグランド端子用のスルーホールである。
また、複数のスルーホール50には、スルーホール50(+A)と、スルーホール50(−A)と、スルーホール50(+B)と、スルーホール50(−B)とが含まれている。スルーホール50(+A)は、感磁センサ4の出力端子48(+A)が電気的に接続される+A相用のスルーホールである。スルーホール50(−A)は、感磁センサ4の出力端子48(−A)が電気的に接続される−A相用のスルーホールである。スルーホール50(+B)は、感磁センサ4の出力端子48(+B)が電気的に接続される+B相用のスルーホールである。スルーホール50(−B)は、感磁センサ4の出力端子48(−B)が電気的に接続される−B相用のスルーホールである。
また、両面基板5の他方面502には、半導体装置9が実装される複数のランド53と、ランド53から延在する複数の配線54とが形成されている。複数の配線54の先端部は、一対一の関係をもって、複数の配線52の各々の先端部に重なっている。この重なり部分には、スルーホール50が形成されている。
複数のランド53には、+A相用のランド53(+A)と、−A相用のランド53(−A)と、+B相用のランド53(+B)と、−B相用のランド53(−B)とが含まれている。+A相用のランド53(+A)は、感磁センサ4の出力端子48(+A)に対応する。−A相用のランド53(−A)は、感磁センサ4の出力端子48(−A)に対応する。+B相用のランド53(+B)は、感磁センサ4の出力端子48(+B)に対応する。−B相用のランド53(−B)は、感磁センサ4の出力端子48(−B)に対応する。
また、ランド53のうち、ランド53(+A)には、半導体装置9のアンプ部90(+A)に電気的に接続する入力端子98(+A)が実装されている。また、ランド53(−A)には、半導体装置9のアンプ部90(−A)に電気的に接続する入力端子98(−A)が実装されている。また、ランド53(+B)には、半導体装置9のアンプ部90(+B)に電気的に接続する入力端子98(+B)が実装されている。また、ランド53(−B)には、半導体装置9のアンプ部90(−B)に電気的に接続する入力端子98(−B)が実装されている。
複数の配線54には、配線54(+A)と、配線54(−A)と、配線54(+B)と、配線54(−B)とが含まれている。配線54(+A)は、感磁センサ4の出力端子48(+A)に対応する+A相用の配線である。配線54(−A)は、感磁センサ4の出力端子48(−A)に対応する−A相用の配線である。配線54(+B)は、感磁センサ4の出力端子48(+B)に対応する+B相用の配線である。配線54(−B)は、感磁センサ4の出力端子48(−B)に対応する−B相用の配線である。
また、配線54のうち、配線54(+A)と配線52(+A)との重なり部分にはスルーホール50(+A)が形成されている。また、配線54(−A)と配線52(−A)との重なり部分にはスルーホール50(−A)が形成されている。また、配線54(+B)と配線52(+B)との重なり部分にはスルーホール50(+B)が形成されている。また、配線54(−B)と配線52(−B)との重なり部分にはスルーホール50(−B)が形成されている。
なお、両面基板5の他方面502では、ランド55(VCC)及びランド55(GND)が、他のランド53から離間してスルーホール50(VCC)、及びスルーホール50(GND)と重なる位置のみに形成されている。ランド55(VCC)は、感磁センサ4の電源端子48(VCC)が接続されるランドである。ランド55(GND)は、感磁センサ4のグランド端子48(GND)が接続されるランドである。
また、エンコーダ部10において、本実施形態における「感磁センサ用第1ランド」及び「感磁センサ用第2ランド」は以下のように対応する。
A相用:
感磁センサ用第1ランド=ランド51(+A)
感磁センサ用第2ランド=ランド51(−A)
B相用:
感磁センサ用第1ランド=ランド51(+B)
感磁センサ用第2ランド=ランド51(−B)
また、本実施形態における「第1スルーホール」及び「第2スルーホール」は以下のように対応する。
A相用:
第1スルーホール=スルーホール50(+A)
第2スルーホール=スルーホール50(−A)
B相用:
第1スルーホール=スルーホール50(+B)
第2スルーホール=スルーホール50(−B)
また、本実施形態における「半導体装置用第1ランド」及び「半導体装置用第2ランド」は以下のように対応する。
A相用:
半導体装置用第1ランド=ランド53(+A)
半導体装置用第2ランド=ランド53(−A)
B相用:
半導体装置用第1ランド=ランド53(+B)
半導体装置用第2ランド=ランド53(−B)
(A相における誘導電圧対策)
次に、図6を参照して、本発明の実施の形態に係るエンコーダ部10のA相において、誘導電圧を回路により効果的に打ち消すための構成について説明する。
まず、エンコーダ部10に用いた両面基板5において、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))と、感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))とを結ぶ仮想線が延在する方向について説明する。ここで、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))は、一方面501側で感磁センサ4の第1出力端子(出力端子48(+A))が電気的に接続される。感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))は、一方面501側で感磁センサ4において第1出力端子(出力端子48(+A))と対を成す第2出力端子(出力端子48(−A))が電気的に接続される。
この方向においては、他方面502側で感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))に電気的に接続される半導体装置用の第1ランド(ランド53(+A))に対して他方面502側で感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))に電気的に接続される半導体装置用第2ランド(ランド53(−A))が位置する方向は、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))に対して感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))が位置する方向と反対である。
より具体的には、両面基板5の他方面502で、+A相用の配線54(+A)は、スルーホール50(+A)からスルーホール50(−A)が位置する側に延在する。また、−A相用の配線54(−A)は、スルーホール50(−A)からスルーホール50(+A)が位置する側に延在している。このため、A相用において、感磁センサ4の感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))と、感磁センサ4の感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))とを結ぶ仮想線が延在する方向において、半導体装置用第1ランド(ランド53(+A))に対して半導体装置用第2ランド(ランド53(−A))が位置する方向は、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))に対して感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))が位置する方向と反対である。すなわち、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))から半導体装置用第1ランド(ランド53(+A))への伝送経路と、感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))から半導体装置用第2ランド(ランド53(−A))への伝送経路とは、途中で位置が切り換わっている。
ここで、本実施形態において、マグネット20が回転した際に、主に、以下の第1誘導電圧、第2誘導電圧、及び第3誘導電圧が発生する。第1誘導電圧は、感磁センサ4においてチップ40と出力端子48(+A)、48(−A)との間の配線47(+A)、47(−A)がマグネット20の磁束と鎖交することにより発生する誘導電圧である。第2誘導電圧は、スルーホール50(+A)、50(−A)がマグネット20の磁束と鎖交することにより発生する誘導電圧である。第3誘導電圧は、半導体装置9のチップ97と入力端子98(−A)、入力端子98(−A)との間の配線93(+A)、及び配線93(−A)がマグネット20の磁束と鎖交することにより発生する誘導電圧である。
しかしながら、これらの、第1誘導電圧、第2誘導電圧、及び第3誘導電圧は、上述の構成により、いずか1つの誘導電圧と他の2つの誘導電圧とが打ち消すことになる。つまり、本実施形態では、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))から半導体装置用第1ランド(ランド53(+A))への伝送経路と、感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))から半導体装置用第2ランド(ランド53(−A))への伝送経路とは、両面基板5の他方面502で位置が切り換わっている。このため、第3誘導電圧を、第1誘導電圧と第2誘導電圧とによって打ち消すことができる。
また、回転中心軸線L方向からみたとき、半導体装置用第1ランド(ランド53(+A))と半導体装置用第2ランド(ランド53(−A))とを結ぶ仮想線、第1スルーホール(スルーホール50(+A))と第2スルーホール(スルーホール50(−A))とを結ぶ仮想線、及び感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))と感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))とを結ぶ仮想線のうちの少なくとも2本の仮想線は、平行に延在している。このため、第1誘導電圧、第2誘導電圧及び第3誘導電圧のうちの少なくとも2つの誘導電圧の位相を合わせることができる。よって、誘導電圧同士を互いに相殺させるのに適している。
本実施形態では、第3誘導電圧を第1誘導電圧と第2誘導電圧とによって打ち消す。このため、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))と感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))とを結ぶ仮想線に対して、第1スルーホール(スルーホール50(+A))と第2スルーホール(スルーホール50(−A))とを結ぶ仮想線、及び感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))と感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))とを結ぶ仮想線のうちの少なくとも一方の仮想線は、平行に延在している。より具体的には、A相では、半導体装置用第1ランド(ランド53(+A))と半導体装置用第2ランド(ランド53(−A))とを結ぶ仮想線と、第1スルーホール(スルーホール50(+A))と第2スルーホール(スルーホール50(−A))とを結ぶ仮想線とが平行に延在している。このため、第2誘導電圧と第3誘導電圧の位相を合わせることができるので、第3誘導電圧を第2誘導電圧によって低減することができる。なお、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))と感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))とを結ぶ仮想線は、上記の仮想線に対して斜め方向に延在している。しかしながら、その傾きは30°以下である。よって、第1誘導電圧と第3誘導電圧の位相を近づけることができるため、第3誘導電圧を第1誘導電圧によって低減することができる。
特に本実施形態では、図6に示すように、各ループの断面積と誘導電圧との大きさが比例する。これにより、スルーホール50(+A)とスルーホール50(−A)との間隔を最適化し、感磁センサ4においてチップ40と出力端子48(+A)、(−A)により区画される面積S4Aと、スルーホール50(+A)、50(−A)が区画する面積S50Aとの和が、半導体装置9のアンプ部90(+A)、90(−A)のチップ97と入力端子98(−A)、(−A)とにより区画される面積S9Aと等しく設定されている。このため、伝送経路が途中で切り換わることにより、第3誘導電圧を第1誘導電圧及び第2誘導電圧によって相殺することができる。よって、誘導ノイズの発生を抑制することができる。
(B相における誘導電圧対策)
また、B相に関しても、A相と同様な構成である。両面基板5において、一方面501側で感磁センサ4の第1出力端子(出力端子48(+B))が電気的に接続される感磁センサ用第1ランド(ランド51(+B))と、一方面501側で感磁センサ4において第1出力端子(出力端子48(+B))と対を成す第2出力端子(出力端子48(−B))が電気的に接続される感磁センサ用第2ランド(ランド51(−B))とを結ぶ仮想線が延在する方向において、他方面502側で感磁センサ用第1ランド(ランド51(+B))に電気的に接続する半導体装置用第1ランド(ランド53(+B))に対して他方面502側で感磁センサ用第2ランド(ランド51(−B))に電気的に接続する半導体装置用第2ランド(ランド53(−B))が位置する方向は、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+B))に対して感磁センサ用第2ランド(ランド51(−B))が位置する方向と反対である。
より具体的には、両面基板5の他方面502で、+B相用の配線54(+B)は、スルーホール50(+B)からスルーホール50(−B)が位置する側に延在する。また、−B相用の配線54(−B)は、スルーホール50(−B)からスルーホール50(+B)が位置する側に延在している。このため、B相用において、感磁センサ4の感磁センサ用第1ランド(ランド51(+B))と、感磁センサ4の感磁センサ用第2ランド(ランド51(−B))とを結ぶ仮想線が延在する方向において、半導体装置用第1ランド(ランド53(+B))に対して半導体装置用第2ランド(ランド53(−B))が位置する方向は、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+B))に対して感磁センサ用第2ランド(ランド51(−B))が位置する方向と反対である。すなわち、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+B))から半導体装置用第1ランド(ランド53(+B))への伝送経路と、感磁センサ用第2ランド(ランド51(−B))から半導体装置用第2ランド(ランド53(−B))への伝送経路とは、途中で位置が切り換わっている。
従って、マグネット20が回転した際、感磁センサ4においてチップ40と出力端子48(+B)、48(−B)との間の配線47(+B)、47(−B)がマグネット20の磁束と鎖交することにより発生する第1誘導電圧、スルーホール50(+B)、50(−B)がマグネット20の磁束と鎖交することにより発生する第2誘導電圧、及び半導体装置9のチップ97と入力端子98(−B)、98(−B)との間の配線93(+B)、93(−B)がマグネット20の磁束と鎖交することにより発生する第3誘導電圧は、いずれか1つの誘導電圧と他の2つの誘導電圧とが打ち消すことになる。本実施形態では、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+B))から半導体装置用第1ランド(ランド53(+B))への伝送経路と、感磁センサ用第2ランド(ランド51(−B))から半導体装置用第2ランド(ランド53(−B))への伝送経路とは、両面基板5の他方面502で位置が切り換わっているため、第3誘導電圧を、第1誘導電圧と第2誘導電圧とによって打ち消すことできる。
また、回転中心軸線L方向からみたとき、半導体装置用第1ランド(ランド53(+B))と半導体装置用第2ランド(ランド53(−B))とを結ぶ仮想線、第1スルーホール(スルーホール50(+B))と第2スルーホール(スルーホール50(−B))とを結ぶ仮想線、及び感磁センサ用第1ランド(ランド51(+B))と感磁センサ用第2ランド(ランド51(−B))とを結ぶ仮想線のうちの少なくとも2本の仮想線は、平行に延在している。このため、第1誘導電圧、第2誘導電圧、及び第3誘導電圧のうちの少なくとも2つの誘導電圧の位相を合わせることができる。よって、誘導電圧同士を互いに相殺させるのに適している。
本実施形態では、第3誘導電圧を第1誘導電圧と第2誘導電圧とによって打ち消す。このため、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+B))と感磁センサ用第2ランド(ランド51(−B))とを結ぶ仮想線に対して、第1スルーホール(スルーホール50(+B))と第2スルーホール(スルーホール50(−B))とを結ぶ仮想線、及び感磁センサ用第1ランド(ランド51(+B))と感磁センサ用第2ランド(ランド51(−B))とを結ぶ仮想線のうちの少なくとも一方の仮想線は、平行に延在している。
より具体的には、B相では、半導体装置用第1ランド(ランド53(+B))と半導体装置用第2ランド(ランド53(−B))とを結ぶ仮想線と、第1スルーホール(スルーホール50(+B))と第2スルーホール(スルーホール50(−B))とを結ぶ仮想線とが平行に延在している。このため、第2誘導電圧と第3誘導電圧の位相を合わせることができるので、第3誘導電圧を、第2誘導電圧によって低減することができる。また、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))と感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))とを結ぶ仮想線は、上記の仮想線に対して平行に延在している。このため、第1誘導電圧と第3誘導電圧の位相を近づけることができる。よって、第3誘導電圧を第1誘導電圧によって低減することができる。
特に本実施形態では、図6に示すように、各ループの断面積と誘導電圧との大きさが比例することから、スルーホール50(+B)とスルーホール50(−B)との間隔を最適化し、感磁センサ4においてチップ40と出力端子48(+B)、(−B)により区画される面積S4Bと、スルーホール50(+B)、50(−B)が区画する面積S50Bとの和が、半導体装置9のアンプ部90(+B)、90(−B)のチップ97と入力端子98(−B)、98(−B)とにより区画される面積S9Bと等しく設定されている。このため、伝送経路が途中で切り換わることにより、第3誘導電圧を第1誘導電圧及び第2誘導電圧によって相殺することができる。よって、誘導ノイズの発生を抑制することができる。
以上説明したように、本実施形態のエンコーダ部10では、一方面501側に感磁センサ4が実装され、他方面502側に半導体装置9が実装された両面基板5を用い、感磁センサ4と半導体装置9とは、両面基板5のスルーホール50を介して電気的に接続されている。このため、マグネット20の周辺に大きなスペースを確保しなくてよい。また、感磁センサ4と半導体装置9とは、少なくとも一部同士が両面基板5の厚さ方向において重なる位置に配置され、且つ、スルーホール50は、感磁センサ4及び半導体装置9の少なくとも一方と重なる位置に形成されている。
特に本実施形態において、スルーホール50は、感磁センサ4及び半導体装置9の双方に両面基板5の厚さ方向で重なる位置に形成されている。このため、感磁センサ4から半導体装置9への伝送経路が短くなり、磁束と鎖交する面積が狭くなる。よって、感磁センサ4からの出力の伝送経路で発生する誘導電圧が低くなる。結果として、感磁センサ4からの出力の伝送経路で発生する誘導電圧によるノイズが小さくなり、検出結果への誘導電圧によるノイズの影響を緩和することができる。
また、感磁センサ4は、マグネット20の回転中心軸線上に設けられ、両面基板5は、厚さ方向をマグネット20の回転中心軸線方向に向けて配置されている。このため、図5Aに示すように、磁束は両面基板5に沿って形成される。従って、両面基板5に形成されている配線52、54のループが磁束と鎖交する分が少ない。このため、感磁センサ4からの出力の伝送経路で発生する誘導ノイズが小さくなる。
また、感磁センサ4の中心、及び半導体装置9の中心が回転中心軸線L上に位置する。このため、感磁センサ4から半導体装置9への伝送経路を回転中心軸線L近傍に配置することができる。従って、伝送経路と鎖交する磁束の時間的変化が小さいので、感磁センサ4からの出力の伝送経路で発生する誘導電圧が低い。よって、誘導ノイズを低減することができる。
また、本実施形態では、感磁センサ4から半導体装置9への伝送経路が+A相と−A相との間で位置が入れ替わり、感磁センサ4から半導体装置9への伝送経路が+B相と−B相との間でも位置が入れ替わっている。従って、両面基板5の構成を変更するだけで、感磁センサ4から半導体装置9に向かうループの向きを逆転させることができる。このため、誘導電圧の極性を途中で反転させて互いに相殺させることができ、誘導ノイズの影響を緩和することができる。
〔信号処理部100の構成〕
次に、図7Aを参照して、信号処理部100により、回転角度位置を補正する際の詳細な構成について説明する。
信号処理部100は、RAMやROMやフラッシュメモリ等の記録媒体を備えた、CPU、マイクロコントローラ、DSP、ASIC等である。信号処理部100は、検出素子の信号から回転角度位置を検出する。
より詳しく説明すると、信号処理部100は、回転角度位置算出部110(回転角度位置算出手段)、補正量テーブル120、及び補正部130(補正手段)を備えている。
回転角度位置算出部110は、検出素子の信号により回転角度位置を算出する。
具体的には、回転角度位置算出部110は、A相信号及びB相信号からXY平面上のリサージュ波形を算出し解析することによって、可動被検出物の角度位置θを検出する。この際に、回転角度位置算出部110は、第1ホール素子61と第2ホール素子62により、A相信号(正弦波信号sin)、B相信号(正弦波信号cos)のいずれの区間に位置するかを算出する。回転角度位置算出部110は、可動被検出物の角度位置θと、この区間とから回転角度位置を算出する。この回転角度位置は、アブソリュート値(絶対値)であり、1周を角度分解能Rで分解した値を単位として表した整数値である。この角度分解能Rの値は、20ビットの分解能の検出素子を使用した場合は2^20=1048576となる。また、この整数値については、符号が1ビット分含まれる2の補数を使用してもよい。
また、回転角度位置算出部110は、サンプリング周期T(秒)間の回転角度位置の変位を角度変位値D’として算出する。回転角度位置算出部110は、つまり、現在のサンプリング時間における回転角度位置と、1つ前のサンプリング時間における回転角度位置の差を角度変位値D’として算出する。この角度変位値D’は、例えば1回転を角度分解能Rで分割した値を単位とする整数の値となる。つまり、Rが1048576の場合、Dが1048576で1回転を示す値となる。また、サンプリング周期Tは、数μ秒〜数百μ秒等の値で、後述するように可変である。
補正量テーブル120は、回転速度に比例して検出素子の信号に重畳される誤差を打ち消すための補正量を、特定回転速度ωにおける1回転を特定の分割数で分割した分割角度位置に対応して記憶する。ここで、上述した誘導電圧による誤差は、回転速度に比例して増える。このため、下記で説明するように、特定回転速度ωにおける補正量を記憶しておけば、実際の回転数との速度比を算出することで、補正値を算出することができる。この特定回転速度ωは、エンコーダ部10の常用の回転数よりも高く、誘導起電力が大きくなるような回転数、例えば、数千rpm以上の値を基準として用いるようにする。また、補正量テーブル120は、A相信号テーブル121及びB相信号テーブル122を含んでいる。
この補正量テーブル120の詳細については、後述する。
補正部130は、使用状態における回転速度と特定回転速度ωとの速度比を算出する。また、補正部130は、現在の回転角度位置から分割角度位置を算出し、この分割角度位置における補正量を、補正量テーブル120から読み出す。補正部130は、読み出された補正量に、算出された速度比を掛けて、補正値を算出する。補正部130は、当該補正値により検出素子の信号を補正する。つまり、誘導電圧による誤差は回転速度に比例するため、補正部130は、数千rpmである特定回転速度ωを基準として、現在の回転速度との速度比を用いて、実際の補正値を算出する。
また、補正部130は、使用状態における回転速度と特定回転速度との速度比の算出の際、
特定回転速度ω(rpm)は、下記の式(1)の関係であり、

ω=D/T/R×60 …… 式(1)

ここで、Rは角度分解能、Tはサンプリング周期(秒)、Dは特定の角度変位値である。
また、この特定回転速度ωにおいて、使用状態における回転速度ω'(現在の回転速度)を、下記の式(2)で算出する

ω'=(D'/D)×ω …… 式(2)

ここで、D'は、現在のサンプリング時間における角度変位値と1つ前のサンプリング時間における角度変位値との差となる分割角度差分値である。
また、補正部130は、回転角度位置算出部110により算出された回転角度位置から、補正量テーブル120用の分割角度位置を算出する。補正部130は、後述するように、ビットシフトによりこの算出を高速に実行可能である。
また、補正部130は、サンプリング周期が変更された場合、特定回転速度ωのサンプリング周期Tと変更されたサンプリング周期T’の比に対応する周期調整値を算出し、当該周期調整値を適用して補正値を算出する。つまり、サンプリング周期T’が、特定回転速度ωのサンプリング周期Tと同一の場合、周期調整値は1となる。
また、補正部130は、最終的な補正値を、下記の式(3)で算出する:

補正値=補正量×速度比×周期調整値/(特定の丸め値) …… 式(3)

ここで、特定の丸め値は、特定回転速度ωにおける1回転の特定の分割数と、角度分解能Rとの関係で決定される値である。たとえば、特定の分割数が256で、角度分解能Rが20ビットの場合、特定の丸め値は8192となる。
また、補正部130は、使用状態における回転数の全範囲で、検出素子の信号を補正する。具体的には、補正部130は、上述の使用状態における回転速度ω'が0(rpm)から、検出上限の速度の場合まで、信号を補正する。なお、補正部130は、回転速度ω'が、特定の速度より低い場合には、信号を補正しないように構成することも可能である。
また、補正部130は、補正量テーブル120のA相信号及びB相信号のそれぞれの補正量から、A相信号及びB相信号のそれぞれについて補正値を算出して補正する。つまり、補正部130は、A相信号については、A相信号テーブル121の補正量から補正値を算出する。また、補正部130は、B相信号については、B相信号テーブル122の補正量から補正値を算出する。
(補正量テーブル120の詳細)
ここで、図7Bを参照して、補正量テーブル120の詳細について説明する。
上述したように、補正量テーブル120は、検出素子の信号に重畳される誤差を打ち消すための補正量が記憶されたテーブルである。ここで、検出素子は、S極とN極の磁極が一対着磁されたマグネット20を有する可動被検出物と、マグネット20に対向する感磁センサ4が実装された固定体3とを含んでいる。このため、マグネット20が回転することにより固定体3に誘起される誘導電圧が、回転速度に比例して検出素子の信号に重畳される誤差となる。この誤差は、A相信号とB相信号とでは、両面基板5(図3)上のパターンの形状や厚みや配置の誤差等の関係で、異なる値が重畳される。このため、補正量テーブル120は、A相信号とB相信号それぞれについて、A相信号テーブル121とB相信号テーブル122として記憶される。
また、補正量テーブル120では、特定回転速度ωにおけるA相信号及びB相信号それぞれの誤差の値を補正量として、1回転を特定の分割数で分割した分割角度位置に対応して記憶する。また、この分割角度位置の特定の分割数は、上述の式(1)の角度分解能Rよりも小さい値とすることで、記憶媒体の記憶領域を節約できる。たとえば、図7Bの例では、特定の分割数を256としている。また、この特定の分割数を2のべき乗とすることで、ビット演算により高速に補正値を算出することが可能である。
また、補正量テーブル120は、例えば、軸を停止させた状態で検出されたA相信号及びB相信号それぞれの値と、特定回転速度ωにおいて検出されたA相信号及びB相信号それぞれの値とを比較して算出することが可能である。図7Bの例では、A相信号テーブル121とB相信号テーブル122のそれぞれについて、1回転中の分割角度位置である0〜255に対応して、補正量の値がそれぞれ記憶されている。
〔回転角度位置検出処理〕
次に、図8により、本発明の実施の形態に係るエンコーダ部10による回転角度位置検出処理の説明を行う。
本実施形態の回転角度位置検出処理では、現在の回転速度を算出し、この現在の回転速度と特定回転速度との速度比を算出する。この上で、分割角度位置に対応した補正量を補正量テーブル120から読み出して、算出された速度比と掛け合わせて補正値を算出する。この補正値により、補正部130により回転角度位置を補正する。また、サンプリング周波数が変更された場合は、周期調整値を変更する。
本実施形態の回転角度位置検出処理は、主に信号処理部100が、記憶媒体に記憶された制御プログラム(図示せず)を、各部と協働しハードウェア資源を用いて実行する。
以下で、図8のフローチャートにより、回転角度位置検出処理の詳細をステップ毎に説明する。
(ステップS101)
まず、回転角度位置算出部110が、回転角度位置算出処理を行う。
回転体2(図2)が1回転すると、感磁センサ4(磁気抵抗素子)からは、図4Cに示すA相信号(正弦波信号sin)、B相信号(正弦波信号cos)が2周期分、出力される。回転角度位置算出部110は、アンプ部90(アンプ部90(+A)、90(−A)、90(+B)、90(−B))増幅されたこれらのA相信号及びB相信号から、図4Dに示すリサージュ図形を算出し、正弦波信号sin、cosからθ=tan-1(sin/cos)を算出し、可動被検出物の角度位置θを算出する。また、本実施形態では、マグネット20の中心からみて90°(π/2)ずれた位置に第1ホール素子61及び第2ホール素子62が配置されている。このため、第1ホール素子61及び第2ホール素子62の出力の組合せにより、現在位置が正弦波信号sin、cosのいずれの区間に位置するかが分かる。従って、エンコーダ部10は、感磁センサ4での検出結果、第1ホール素子61での検出結果、及び第2ホール素子62での検出結果に基づいて回転体2の絶対角度位置情報として回転角度位置を算出する。これにより、アブソリュート動作を行うことができる。
また、回転角度位置算出部110は、現在のサンプリング時間における回転角度位置と、1つ前のサンプリング時間における回転角度位置の差を角度変位値D’として算出する。
(ステップS102)
次に、補正部130が、速度比算出処理を行う。
上述したように、補正部130は、特定回転速度ωにおいて、使用状態における回転速度ω'(現在の回転速度)を、下記の式(2)で算出可能である

ω'=(D'/D)×ω …… 式(2)

ここで、角度変位値Dは、上述したように、特定回転速度ωに関連する特定の角度変位値である。
具体的には、補正部130は、D'/Dの値を、速度比として算出する。
(ステップS103)
次に、補正部130が、補正値算出処理を行う。
補正部130は、まず、回転角度位置算出部110により回転角度位置を特定の丸め値で割って、補正量テーブル120に対応した分割角度位置を算出する。補正部130は、上述の例のように、角度分解能Rが20ビットの場合、回転角度位置を特定の丸め値として8192で割ることで、0〜255までの分割角度位置を算出する。補正部130は、8192で割る代わりに、回転角度位置を14ビット右シフトすることで、この算出を高速化できる。補正部130は、この分割角度位置に対応した補正量を、A相信号についてはA相信号テーブル121から、B相信号についてはB相信号テーブル122から、それぞれ取得する。
また、補正部130は、下記の式(3)により、最終的な補正値を算出する:

補正値=補正量×速度比×周期調整値/(特定の丸め値) …… 式(3)

この際、補正部130は、A相信号及びB相信号について、それぞれ補正値を算出する。
(ステップS104)
次に、補正部130が、サンプリング周期が変更されたか否かを判定する。補正部130は、上位機器13や制御装置12からの制御信号等によりサンプリング周期が変更された場合に、Yesと判定する。補正部130は、それ以外の場合には、Noと判定する。
Yesの場合、補正部130は、処理をステップS105に進める。
Noの場合、補正部130は、回転角度位置検出処理を終了する。
(ステップS105)
サンプリング周期が変更された場合、補正部130が、周期調整値算出処理を行う。
補正部130は、サンプリング周期が変更された場合、特定回転速度ωのサンプリング周期Tに基づいて周期調整値を算出する。
たとえば、補正部130は、特定回転速度ωのサンプリング周期Tが62.5μ秒であった場合、これを40μ秒に変更する場合に、62.5/40=25/16として周期調整値を算出する。
また、補正部130は、同様に、サンプリング周期を50μ秒に変更する場合は5/4、80μ秒の場合は25/32、100μ秒の場合は5/8、125μ秒の場合は1/2等として、周期調整値を算出する。このように、周期調整値の分母を2のべき乗の値とすることで、補正部130は、上述の式(3)をビットシフトで高速に演算することが可能となる。
また、補正部130は、次の補正値の算出時から、算出された周期調整値を適用して補正値を算出する。
以上により、本発明の実施の形態に係る回転角度位置検出処理を終了する。
〔本発明の実施の形態に係る主な効果〕
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
従来、磁気式エンコーダでは、動作時に出力値に誤差(速度リップル)が生じることが問題になっていた。これは、マグネットが基板の近傍で回転することで配線パターンに発電が生じ、その誘導電圧が磁気センサの出力に重畳されるためであった。
これに対して、本発明の実施の形態に係るエンコーダ部10は、検出素子の信号から回転角度位置を検出する回転角度位置算出部110を備え、回転速度に比例して検出素子の信号に重畳される誤差を打ち消すための補正量を、特定回転速度における1回転中で分割した分割角度位置に対応して記憶する補正量テーブル120と、使用状態における回転速度と特定回転速度との速度比を算出し、補正量テーブル120に記憶された補正量から、算出された速度比及び分割角度位置に対応した補正値を算出する補正部130とを備えることを特徴とする。
このように構成することで、回転速度に比例して重畳される誤差の補正を、使用状態の回転速度に合わせて換算し補正することが可能となる。これにより、使用状態に対応した回転角度位置の補正ができ、回転角度位置の検出の精度を高めることができる。
また、本発明の実施の形態に係るエンコーダ部10は、検出素子が、S極とN極の磁極が一対着磁されたマグネット20を有する可動被検出物と、マグネット20に対向する感磁センサ4が実装された固定体3とを含み、回転速度に比例して検出素子の信号に重畳される誤差は、マグネット20が回転することにより固定体3に誘起される誘導電圧であることを特徴とする。
このように構成することで、下記のような効果が得られる。ここで、回転磁束により誘起される誘導電圧は回転速度に比例して発生する。このため、特定回転速度での補正量を補正テーブルに記憶しておき、使用状態における回転速度と特定回転速度との速度比を計算することで、その速度比によって換算すれば、容易に適切な補正を行うことができる。また、特定回転速度での補正量のみを補正量テーブル120に記憶しておけばよいため、補正量テーブル120の作成の手間を少なくし、記憶媒体のコストを削減できる。
また、本発明の実施の形態に係るエンコーダ部10は、補正部130が、使用状態における回転速度と特定回転速度との速度比の算出の際、特定回転速度ω(rpm)を、下記の式(1)で算出し、

ω=D/T/R×60 …… 式(1)

ここで、Rは角度分解能、Tはサンプリング周期(秒)、Dは角度変位値であり、
この特定回転速度ωにおいて、使用状態における回転速度ω'を、下記の式(2)で算出する

ω'=(D'/D)×ω …… 式(2)

ここで、D'は、現在のサンプリング時間における角度変位値と1つ前のサンプリング時間における角度変位値との差となる分割角度差分値であることを特徴とする。
このように構成することで、1サンプリング周期間の分割角度差分値を算出するだけで、使用状態における回転速度が算出できる。このため、使用状態の回転速度における補正量を容易に算出することができる。
また、本発明の実施の形態に係るエンコーダ部10は、補正部130が、使用状態における回転数の全範囲で、回転角度位置を補正することを特徴とする。
このように構成することで、使用状態の回転速度により、回転角度位置の補正を実行するか否かを場合分けする必要がなくなる。このため、補正の演算を容易にすることができ、コストを削減することができる。
また、誘導起電力による誤差は回転速度に比例するので、回転数が低いときは補正量も小さくなる。このため、使用状態における回転数の全範囲で補正をしても、誤差を増やすことがない。また、場合分けによる誤差の特性の差等を減少させることもできる。
また、本発明の実施の形態に係るエンコーダ部10は、検出素子が、感磁センサ4が、可動被検出物の変位に対応したA相センサ及びB相センサを含み、A相センサからは正弦波状のA相信号が出力され、B相センサからは正弦波状のB相信号が出力され、A相信号とB相信号との位相差が略π/2であり、回転角度位置算出部110が、A相信号及びB相信号からXY平面上のリサージュ波形を算出し解析することによって可動被検出物の角度位置を検出し、検出された角度位置により回転角度位置を算出し、補正量テーブル120が、A相信号及びB相信号のそれぞれについて補正量を記憶し、補正部130が、補正量テーブル120のA相信号及びB相信号のそれぞれの補正量から、A相信号及びB相信号のそれぞれについて補正値を算出して補正することを特徴とする。
このように構成することにより、回転速度に比例して重畳される誤差がA相信号とB相信号で異なっていても、A相信号とB相信号の両方に補正テーブルがあるので、それぞれ最適な補正値を得ることが可能となる。よって、回転角度位置の検出の精度を高めることができる。
また、本発明の実施の形態に係るエンコーダ部10は、固定体3が、一方面側に感磁センサ4が実装され、他方面側に半導体装置9が実装された両面基板5を有し、半導体装置9が、感磁センサ4からの出力信号を増幅するアンプ部90を備え、感磁センサ4と半導体装置9とは、少なくとも一部同士が両面基板5の厚さ方向において重なる位置に配置され、感磁センサ4と半導体装置9とは、両面基板において感磁センサ及び半導体装置の少なくとも一方に両面基板5の厚さ方向で重なる位置に形成された複数のスルーホール50を介して電気的に接続されていることを特徴とする。
このように構成することで、スルーホール50は、感磁センサ4及び半導体装置9の少なくとも一方と重なる位置に形成されているので、感磁センサ4からの出力の伝送経路が短くなる。このため、感磁センサ4からの出力の伝送経路で発生する誘導ノイズが小さくなり、誘導電圧に起因するノイズの影響を緩和することができる。
また、本発明の実施の形態に係るエンコーダ部10は、感磁センサ4において、感磁膜が形成された感磁センサ側チップと第1出力端子との間の感磁センサ側第1配線及び感磁センサ側チップと第2出力端子との間の感磁センサ側第2配線がマグネット20の磁束と鎖交することにより発生する第1誘導電圧、複数のスルーホールのうち、第1出力端子に対応する第1スルーホール及び第2出力端子に対応する第2スルーホールがマグネット20の磁束と鎖交することにより発生する第2誘導電圧、及び半導体装置9において、アンプ部90が形成されたアンプ側チップと第1出力端子に電気的に接続する第1入力端子との間のアンプ側第1配線、及びアンプ側チップと第2出力端子に電気的に接続する第2入力端子との間のアンプ側第2配線がマグネット20の磁束と鎖交することにより発生する第3誘導電圧は、いずれか1つの誘導電圧と他の2つの誘導電圧とが打ち消すように形成されていることを特徴とする。
このように構成することで、誘導電圧同士を互いに相殺させることができ、誘導電圧に起因するノイズの影響を緩和することができる。
また、本発明の実施の形態に係るエンコーダ部10は、補正部130が、サンプリング周期が変更された場合、特定回転速度ωのサンプリング周期Tと変更されたサンプリング周期T’に対応する周期調整値を算出し、当該周期調整値を適用して補正値を算出することを特徴とする。
このように構成することで、設計段階での変更や、使用時の動作モードの変更等によりサンプリング周期を変更する必要があっても、先に作成した補正テーブルを容易に使用して、回転角度位置の補正をすることができる。このため、開発コストを削減できる。
次に、図9A、図9Bを参照して、本実施形態の回路の配置構成におけるエンコーダ部10の出力を、信号処理部100により補正した実施例について説明する。なお、以下の実施例は、本発明を限定するものではない。
回転速度5859rpmで、他装置による駆動でモータを回転させ、サンプリング周期Tを80μ秒周期でA相信号(sin)、B相信号(cos)の値を同時取得した。取得したA相信号、B相信号のリサージュ図形から、角度誤差を計算した。このリサージュ図形の波形に、1周期のSIN波を重畳させて再度、誤差を計算した。
また、重畳させる波形の位相・振幅を変化させ、誤差が最小になる値を誘導電圧の発電電圧として算出した。
図9Aは、比較例であり、信号処理部100により補正をしない状態で回転速度を変化させた際の発電電圧を算出した結果のグラフである。横軸は、回転角度位置の値を示す。縦軸は、発電電圧をA/D変換した値(ディジット)を示す。誤差補正をしない場合、回転速度に比例して発電電圧が生じることが分かる。この際、8000rpmにてCOS発電電圧による誤差の最大値は、振幅:3250ディジット/20ビット解像度、位相:14.75°となり、SIN発電電圧による誤差の最大値は、振幅:3575ディジット/20ビット解像度で位相:−48.875°となった。
図9Bは、実施例であり、信号処理部100により補正をした状態で回転速度を変化させた際の発電電圧を算出した結果のグラフである。補正を行うことで、回転速度に比例する誘導電圧による誤差の影響を緩和させることができたことが分かる。結果として、COS発電電圧及びSIN発電電圧による誤差を、最大値の1/5以下に削減することができた。
〔他の実施の形態〕
なお、上述の実施の形態では、感磁センサ4がマグネット20に対して回転中心軸線L方向で対向している例について記載した。しかしながら、リング状のマグネット20の外周面又は外周面に感磁センサ4が対向しているエンコーダ部10に本実施形態の回路を適用してもよい。
このように構成することで、エンコーダ部10の構成のバリエーションを増やし、設計を容易にすることができる。
また、上記実施の形態では、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))から半導体装置用第1ランド(ランド53(+A))への伝送経路と、感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))から半導体装置用第2ランド(ランド53(−A))への伝送経路とは、両面基板5の他方面502で位置が切り換わっている。このため、第3誘導電圧を第1誘導電圧と第2誘導電圧とによって打ち消している。これに対して、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))から半導体装置用第1ランド(ランド53(+A))への伝送経路と、感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))から半導体装置用第2ランド(ランド53(−A))への伝送経路とは、両面基板5の一方面501で位置が切り換わっている構成を採用してもよい。この場合、第1誘導電圧を第2誘導電圧と第3誘導電圧とによって打ち消すことになる。このような場合、回転中心軸線L方向からみたとき、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))と感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))とを結ぶ仮想線に対して、半導体装置用第1ランド(ランド53(+A))と半導体装置用第2ランド(ランド53(−A))とを結ぶ仮想線、及び第1スルーホール(スルーホール50(+A))と第2スルーホール(スルーホール50(−A))とを結ぶ仮想線のうちの少なくとも一組の仮想線が平行に延在している構成とする。説明を省略するが、B相も同様である。
このように構成することとで、誘導電圧の発生を柔軟に抑えるよう設計を最適化して、誤差を少なくすることができる。
また、上述の実施の形態においては、回路の配置構成と信号処理部100の構成により、誘導電圧による誤差の影響を削減した。しかしながら、信号処理部100の構成のみにより、誤差の影響を削減することも可能である。
このように構成することで、基板の設計等を柔軟化することができ、コストを削減することができる。
また、上述の実施の形態においては、A相信号とB相信号のそれぞれについて、補正テーブルを用意した例について記載した。しかしながら、A相信号とB相信号から算出されたリサージュ図形の角度に対応した一つの補正テーブルを用意してもよい。
このように構成することで、記憶媒体の補正テーブルの容量を削減でき、演算資源も削減できるためコストを削減できる。
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
1 エンコーダ装置
2 回転体
3 固定体
4 感磁センサ(センサIC)
5 両面基板
9 半導体装置(アンプIC)
10 エンコーダ部
11 モータ
12 制御装置
13 上位機器
20 マグネット
21 着磁面
40 チップ(感磁センサ側チップ)
41〜44 感磁膜
45 素子基板
47 感磁センサの素子基板(チップ)と出力端子との間の感磁センサ側配線
47(+A) 感磁センサ側配線(感磁センサ側第1配線)
47(−A) 感磁センサ側配線(感磁センサ側第2配線)
47(+B) 感磁センサ側配線(感磁センサ側第1配線)
47(−B) 感磁センサ側配線(感磁センサ側第2配線)
48 感磁センサの出力端子
48(+A) 出力端子(感磁センサの第1出力端子)
48(−A) 出力端子(感磁センサの第2出力端子)
48(+B) 出力端子(感磁センサの第1出力端子)
48(−B) 出力端子(感磁センサの第2出力端子)
48(Vcc) 電源端子
48(GND) グランド端子
50 スルーホール
50(+A) 第1スルーホール
50(−A) 第2スルーホール
50(+B) 第1スルーホール
50(−B) 第2スルーホール
51 感磁センサ側のランド
51(+A) ランド(感磁センサ用第1ランド)
51(−A) ランド(感磁センサ用第2ランド)
51(+B) ランド(感磁センサ用第1ランド)
51(−B) ランド(感磁センサ用第2ランド)
52 両面基板の配線
53 半導体装置側のランド
53(+A) ランド(半導体装置用第1ランド)
53(−A) ランド(半導体装置用第2ランド)
53(+B) ランド(半導体装置用第1ランド)
53(−B) ランド(半導体装置用第2ランド)
54 両面基板の配線
55 ランド
61 第1ホール素子
62 第2ホール素子
90、95、96 アンプ部
93 半導体装置のチップと入力端子との間のアンプ側配線
93(+A) アンプ側配線(アンプ側第1配線)
93(−A) アンプ側配線(アンプ側第2配線)
93(+B) アンプ側配線(アンプ側第1配線)
93(−B) アンプ側配線(アンプ側第2配線)
97 チップ(アンプ側チップ)
98 入力端子(半導体装置の入力端子)
98(+A) 入力端子(半導体装置の第1入力端子)
98(−A) 入力端子(半導体装置の第2入力端子)
98(+B) 入力端子(半導体装置の第1入力端子)
98(−B) 入力端子(半導体装置の第2入力端子)
100 信号処理部
110 回転角度位置算出部
120 補正量テーブル
121 A相信号テーブル
122 B相信号テーブル
130 補正部
501 一方面
502 他方面
L 回転軸
X 制御システム

Claims (9)

  1. 検出素子の信号から回転角度位置を検出する回転角度位置算出手段を備えたエンコーダであって、
    回転速度に比例して前記検出素子の信号に重畳される誤差を打ち消すための補正量を、特定回転速度における1回転中で分割した分割角度位置に対応して記憶する補正量テーブルと、
    使用状態における回転速度と前記特定回転速度との速度比を算出し、前記補正量テーブルに記憶された前記補正量から、算出された速度比及び前記分割角度位置に対応した補正値を算出し、前記回転角度位置算出手段により検出された前記回転角度位置を前記補正値により補正する補正手段とを備える
    ことを特徴とするエンコーダ。
  2. 前記検出素子は、
    S極とN極の磁極が一対着磁されたマグネットを有する可動被検出物と、前記マグネットに対向する感磁センサが実装された固定体とを含み、
    回転速度に比例して前記検出素子の信号に重畳される誤差は、前記マグネットが回転することにより前記固定体に誘起される誘導電圧である
    ことを特徴とする請求項1に記載のエンコーダ。
  3. 前記補正手段は、
    前記使用状態における回転速度と前記特定回転速度との速度比の算出の際、
    前記特定回転速度は、下記の式(1)の関係であり、

    ω=D/T/R×60 …… 式(1)

    ここで、ωは特定回転速度(rpm)、Rは角度分解能、Tはサンプリング周期(秒)、Dは特定の角度変位値であり、
    前記使用状態における回転速度を、下記の式(2)で算出し、

    ω'=(D'/D)×ω …… 式(2)

    ここで、ω'は使用状態における回転速度(rpm)、D'は、現在のサンプリング時間における角度変位値と1つ前のサンプリング時間における角度変位値との差となる分割角度差分値である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のエンコーダ。
  4. 前記補正手段は、
    使用状態における回転数の全範囲で、前記回転角度位置を補正する
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエンコーダ。
  5. 前記検出素子は、
    前記感磁センサが、前記可動被検出物の変位に対応したA相センサ及びB相センサを含み、
    前記A相センサからは正弦波状のA相信号が出力され、前記B相センサからは正弦波状のB相信号が出力され、
    前記A相信号と前記B相信号との位相差が略π/2であり、
    前記回転角度位置算出手段は、
    前記A相信号及び前記B相信号からXY平面上のリサージュ波形を算出し解析することによって前記可動被検出物の角度位置を検出し、検出された角度位置により前記回転角度位置を算出し、
    前記補正量テーブルは、
    前記A相信号及び前記B相信号のそれぞれについて補正量を記憶し、
    前記補正手段は、
    前記補正量テーブルの前記A相信号及び前記B相信号のそれぞれの補正量から、前記A相信号及び前記B相信号のそれぞれについて前記補正値を算出して補正する
    ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載のエンコーダ。
  6. 前記固定体は、
    一方面側に前記感磁センサが実装され、他方面側に半導体装置が実装された両面基板を有し、
    前記半導体装置は、感磁センサからの出力信号を増幅するアンプ部を備え、
    前記感磁センサと前記半導体装置とは、少なくとも一部同士が前記両面基板の厚さ方向において重なる位置に配置され、
    前記感磁センサと前記半導体装置とは、前記両面基板において前記感磁センサ及び前記半導体装置の少なくとも一方に前記両面基板の厚さ方向で重なる位置に形成された複数のスルーホールを介して電気的に接続されている
    ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載のエンコーダ。
  7. 前記感磁センサにおいて、感磁膜が形成された感磁センサ側チップと第1出力端子との間の感磁センサ側第1配線及び前記感磁センサ側チップと第2出力端子との間の感磁センサ側第2配線が前記マグネットの磁束と鎖交することにより発生する第1誘導電圧、
    複数のスルーホールのうち、第1出力端子に対応する第1スルーホール及び第2出力端子に対応する第2スルーホールが前記マグネットの磁束と鎖交することにより発生する第2誘導電圧、及び
    前記半導体装置において、前記アンプ部が形成されたアンプ側チップと第1出力端子に電気的に接続する第1入力端子との間のアンプ側第1配線、及び前記アンプ側チップと第2出力端子に電気的に接続する第2入力端子との間のアンプ側第2配線が前記マグネットの磁束と鎖交することにより発生する第3誘導電圧は、
    いずれか1つの誘導電圧と他の2つの誘導電圧とが打ち消すように形成されている
    ことを特徴とする請求項6に記載のエンコーダ。
  8. 前記補正手段は、
    サンプリング周期が変更された場合、前記特定回転速度のサンプリング周期と変更されたサンプリング周期に対応する周期調整値を算出し、該周期調整値を適用して補正値を算出する
    ことを特徴とする請求項3乃至7のいずれか1項に記載のエンコーダ。
  9. 検出素子の信号から回転角度位置を検出するエンコーダにより実行される回転角度位置算出方法であって、
    回転速度に比例して前記検出素子の信号に重畳される誤差を打ち消す補正量を、特定回転速度と、1回転中で分割した分割角度位置とに対応して記憶し、
    使用状態における回転速度と前記特定回転速度との速度比を算出し、前記補正量テーブルに記憶された前記補正量から、算出された速度比及び前記分割角度位置に対応した補正値を算出し、該補正値により前記検出素子の信号を補正し、
    補正された前記検出素子の信号により前記回転角度位置を算出する
    ことを特徴とする回転角度位置算出方法。
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