JP2012231648A - モータロータ及びモータ - Google Patents

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Abstract

【課題】回転検出器の構成部品の一部を省略して回転検出器付きモータの全体構成の部品点数と工数を削減すること。
【解決手段】回転検出器付きモータ1は、回転軸5と、回転軸5の周りに配置され、軸方向に延びる複数の貫通孔6aが設けられる鉄心部6と、複数の貫通孔6aにそれぞれ収容される複数の永久磁石7と、複数の貫通孔6aの開口を塞ぐように鉄心部6の両端に設けられる一対の端板8A,8Bと、コイル3aを含むモータステータ3とを備える。両端板8A,8Bは、非磁性体で構成され、一方の端板8Aの軸方向外面に、周方向に交互に配置された角度検出用の凹凸が設けられる。モータロータ4の端板8Aの軸方向外面に設けられた凹凸に対向する位置には、高周波信号が入力される励磁コイルを備えたセンサステータ13が設けられる。
【選択図】 図1

Description

この発明は、回転検出器を備えたモータに使用されるモータロータ及びそのモータロータを備えたモータに関する。
従来、この種の技術として、例えば、下記の特許文献1に記載されるブラシレスモータが知られている。このブラシレスモータは、モータロータとモータステータとを備え、それらとは別に、回転検出器としてのレゾルバを備えている。
特開2010−48775号公報
ところが、特許文献1に記載のブラシレスモータでは、モータロータ及びモータステータとは別にレゾルバを設けなければならず、レゾルバを構成するロータ及びステータが必要になる。このため、レゾルバの構成部品の数だけ全体構成のための部品点数が増えることとなり、部品の組み付け工数も増えることとなった。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、回転検出器の構成部品の一部を省略して回転検出器付きモータの全体構成の部品点数と工数を削減することを可能としたモータロータ及びモータを提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、回転軸と、回転軸の周りに配置され、軸方向に延びる複数の貫通孔が設けられる鉄心部と、複数の貫通孔にそれぞれ収容される複数の永久磁石と、複数の貫通孔の開口を塞ぐように鉄心部の両端に設けられる一対の端板とを備えたモータロータであって、端板は、非磁性体で構成されており、一対の端板の少なくとも一方の軸方向外面に、周方向に交互に配置された角度検出用の凹凸が設けられることを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、モータロータを構成する鉄心部の両端に設けられる端板のうち、少なくとも一方の軸方向外面に、周方向に交互に配置された角度検出用の凹凸が設けられるので、凹凸を有する角度検出用の部材を別途設ける必要がない。
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のモータロータと、コイルを含むモータステータとを備えたモータであって、モータロータの端板の軸方向外面に設けられた凹凸に対向する位置に、高周波信号が入力される励磁コイルを備えた検出器が設けられることを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、モータロータの端板の軸方向外面に設けられた角度検出用の凹凸に対向する位置に、高周波が入力される励磁コイルを備えた検出器が設けられるので、凹凸を有する端板と検出器により、モータロータ及び回転軸の回転を検出する回転検出器が構成される。また、モータロータの非磁性体で構成される端板は、磁束の漏れを防ぐことができ、検出器の励磁コイルに入力される高周波信号の磁束を打ち消す機能がある。
上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、検出器は、検出コイルを更に備え、検出コイルは、励磁コイルに高周波信号が入力されることにより、凹凸の位置にて変動する磁束の変化を起電力として出力するものであることを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、請求項2に記載の発明の作用に加え、検出器の励磁コイルに高周波信号が入力されることにより、検出コイルから、端板の凹凸の位置にて変動する磁束の変化の起電力が発生して出力される。
上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、励磁コイル及び検出コイルは、平面状に巻き回されたものであることを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、請求項3に記載の発明の作用に加え、励磁コイル及び検出コイルが、高周波信号を用いるものであることから、少ない巻き数で済む。また、励磁コイル及び検出コイルが、平面状に巻き回されるのでそれらコイルが嵩張らない。
上記目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、凹凸は、円周面と円周方向に垂直な面により構成され、検出コイルは、順方向に巻き回される順方向コイルと、逆方向に巻き回される逆方向コイルが周方向に隣り合って配置されるものであり、順方向コイルの幅と逆方向コイルの幅の合計が凹凸の1周期に略一致し、順方向コイル及び逆方向コイルは、それぞれ複数回巻き回されるものであり、巻き数が正弦波状に増減するように周方向に分布して配置されることを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、請求項4に記載の発明の作用に加え、検出コイルが出力する起電力の強弱が、順方向コイル及び逆方向コイルの巻き数の周方向における分布により実現されるので、凹凸が設けられる端板の形状を単純化することが可能となる。
上記目的を達成するために、請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、端板の凹凸は、励磁コイルとの距離が周期的に変動するように構成され、検出器は、励磁コイルのインダクタンス変化により角度を検出するものであることを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、請求項2に記載の発明の作用に加え、端板の凹凸は、励磁コイルとの距離が周期的に変動するように構成され、検出器は、励磁コイルのインダクタンス変化により角度を検出するように構成されるので、検出器の構成が単純化される。
請求項1に記載の発明によれば、回転検出器の構成部品の一部を省略して回転検出器付きモータの全体構成の部品点数と工数を削減することができる。
請求項2に記載の発明によれば、回転検出器の構成部品の一部を省略して回転検出器付きモータの全体構成の部品点数と工数を削減することができる。また、センサロータにつき、高周波信号が励磁される励磁コイルを含む回転検出器との相性を良くすることができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、センサロータにつき、高周波信号が励磁される励磁コイルを含む検出器との相性を良くすることができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明の効果に加え、回転検出器の軸方向の寸法を小さくすることができ、回転検出器をコンパクト化にすることができる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明の効果に加え、凹凸を有する端板の加工を容易にすることができる。
請求項6に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、回転検出器の構成を簡略化することができる。
第1実施形態に係り、回転検出器付きモータを示す断面図。 同実施形態に係り、ロータコアの端面を示す側面図。 同実施形態に係り、回転検出器の電気的構成を示すブロック図。 同実施形態に係り、センサステータを示す分解斜視図。 同実施形態に係り、図4の構成要素の一部を拡大して示す分解斜視図。 同実施形態に係り、(a),(b),(c)は、図5に示す構成要素の一部を分解してそれぞれ示す平面図。 同実施形態に係り、センサロータを示す斜視図。 同実施形態に係り、センサロータを示す平面図。 同実施形態に係り、(a)〜(d)は、回転検出器の作用と特性を示すグラフ。 同実施形態に係り、図9(a)のうちセンサロータの凹部がある部分の作用を示す断面図。 同実施形態に係り、図9(a)のうちセンサロータの凸部がある部分の作用を示す断面図。 同実施形態に係り、(a)に正弦波コイルの一例を、(b)に余弦波コイルの一例をそれぞれ示す平面図。 同実施形態に係り、(a)に正弦波コイルの全体で発生し得る誘起電圧の大きさを、(b)に余弦波コイルの全体で発生し得る誘起電圧の大きさを、それぞれ波形により示すグラフ。 同実施形態に係り、電気角及び機械角と、所定方向の磁束が発生したときの正弦波コイル及び余弦波コイルの各出力値との関係を示すグラフ。 同実施形態に係り、(a)に図14のロータ角度T1における正弦波コイルと凸部との位置関係を、(b)に余弦波コイルと凸部との位置関係を、それぞれ示す平面図。 同実施形態に係り、(a)に図14のロータ角度T2における正弦波コイルと凸部との位置関係を、(b)に余弦波コイルと凸部との位置関係を、それぞれ示すグラフ。 同実施形態に係り、回転検出器の出力電圧に係る実験データを示すグラフ。 第2実施形態に係り、センサステータを示す平面図。 同実施形態に係り、(a),(b),(c)は、図18の構成要素の一部を分解してそれぞれ示す平面図。 同実施形態に係り、センサロータを示す斜視図。 同実施形態に係り、センサロータを示す平面図。 第3実施形態に係り、回転検出器の構成を展開して示すイメージ図。 同実施形態に係り、回転検出器の回路構成を示すブロック図。 第4実施形態に係り、回転検出器付きモータを示す断面図。 同実施形態に係り、回転検出器を拡大して示す断面図。 同実施形態に係り、ベアリングを拡大して示す斜視図。 第5実施形態に係り、回転検出器付きモータを示す断面図。 第6実施形態に係り、回転検出器付きモータを示す断面図。
<第1実施形態>
以下、本発明におけるモータロータ及びモータを具体化した第1実施形態につき図1〜図17を参照して詳細に説明する。
図1に、回転検出器付きモータ(以下、単に「モータ」と言う。)1を断面図により示す。図1に示すように、モータ1は、モータケース2と、モータケース2の中に設けられたモータステータ3及びモータロータ4と、モータロータ4の中心に一体に設けられた回転軸としてのモータシャフト5とを含む。モータシャフト5の両端部は、モータケース2の外部へ突出している。
モータステータ3は、モータケース2の内周面に固定される。モータステータ3は、ステータコア(図示略)とコイル3aを含む。モータロータ4は、モータステータ3の内側に配置される。モータロータ4は、モータシャフト5の周りに配置され、軸方向に延びる複数の貫通孔6aが設けられる鉄心部としてのロータコア6と、複数の貫通孔6aにそれぞれ収容される複数の永久磁石7と、複数の貫通孔6aの開口を塞ぐようにロータコア6の両端に設けられる一対の端板としての第1及び第2のエンドプレート8A,8Bとを備える。第1及び第2のエンドプレート8A,8Bは、非磁性体としての非磁性導電材料により構成される。
図2に、ロータコア6の端面を側面図により示す。円柱形状をなすロータコア6の外周寄り部分には、複数の貫通孔6aがモータシャフト5を中心に等角度間隔に形成され、それら貫通孔6aのそれぞれに永久磁石7が収容される。モータシャフト5は、モータケース2の両端部に設けられたベアリング9,10により回転可能に支持される。
このモータ1は、モータステータ3のコイルが励磁され、モータロータ4の永久磁石7が磁力を受けることにより、モータロータ4がモータシャフト5と一体に回転するようになっている。
図1に示すように、モータケース2の内側において、モータロータ4の一端(図面右端)に対応して、回転検出器11が設けられる。この回転検出器11は、センサロータ12とセンサステータ13を含む。この実施形態では、センサロータ12は、モータロータ4の第1のエンドプレート8Aにより構成される。検出器としてのセンサステータ13は、モータケース2の内側に固定される。センサステータ13は、センサロータ12の軸方向外面と所定の隙間を介して対向して配置される。
図3に、回転検出器11の電気的構成をブロック図により示す。回転検出器11は、概略的には、回路部41と、センサ部42とを備える。図3に示すように、回路部41は、各種回路等51〜60を含む。すなわち、基準クロック発生器55は、分周回路56に接続される。分周回路56は、カウンタ57に接続される。カウンタ57は、D/Aコンバータ58と、別の分周回路59に接続される。別の分周回路59は、正弦波用の同期検波器51と、余弦波用の同期検波器52に接続される。正弦波用の同期検波器51は、正弦波用の積分回路53に接続される。余弦波用の同期検波器52は、余弦波用の積分回路54に接続される。これら積分回路53,54は、それぞれ演算器60に接続される。演算器60の演算結果は、角度データ61として出力されるようになっている。
図3に示すように、センサ部42は、センサロータ12と、センサステータ13とを備える。センサステータ13は、正弦波コイル21、余弦波コイル22及び励磁コイル23を含む。正弦波コイル21は、回路部41の正弦波用の同期検波器51に接続される。余弦波コイル22は、回路部41の余弦波用の同期検波器52に接続される。励磁コイル23は、回路部41のD/Aコンバータ58に接続される。センサロータ12は、他の回路と電気的に接続されていない。
次に、センサステータ13の構成について詳細に説明する。図4に、センサステータ13を分解斜視図により示す。図5に、図4の構成要素の一部を拡大して分解斜視図により示す。図6(a),(b),(c)に、図5に示す構成要素の一部を分解してそれぞれ平面図により示す。
図4に示すように、センサステータ13は、互いに積層されるベース平板30、絶縁層31、励磁コイル23、第1の検出コイル32、絶縁層33、第2の検出コイル34及び絶縁層35を備える。最下層に位置するベース平板30は、略円環板状をなし、外周に突出した複数の取付部30aを有する。ベース平板30の上には、略円環状をなす絶縁層31が形成される。絶縁層31の上には、励磁コイル23と第1の検出コイル32が同一の層として形成される。励磁コイル23及び第1の検出コイル32の上には、略円環状をなす絶縁層33が形成される。更に、絶縁層33の上には、第2の検出コイル34が形成される。そして、第2の検出コイル34の上には、略円環状をなす絶縁層35が形成される。
図4及び図5に示すように、第1の検出コイル32と第2の検出コイル34は、絶縁層33を挟んで2層に分かれて配置され、これら検出コイル32,34により一つの検出コイルが構成される。これら検出コイル32,34は、平面状に巻き回され、巻き方向が順方向の平面コイルパターンと逆方向の平面コイルパターンとを含み、それら順方向の平面コイルパターンと逆方向の平面コイルパターンとが円周方向に順に配置される。
すなわち、図5に示すように、第1の検出コイル32は、45度ずつに分割された、平面コイルパターンとしての、8個の分割コイル21A,22B,21C,22D,21E,22F,21G,22Hを含む。すなわち、第1の検出コイル32は、順次に配置された正弦波分割コイル21A、余弦波分割コイル22B、正弦波分割コイル21C、余弦波分割コイル22D、正弦波分割コイル21E、余弦波分割コイル22F、正弦波分割コイル21G及び余弦波分割コイル22Hを含む。また、絶縁層33には、8個の透孔33aが等角度間隔に形成される。
図5に示すように、第2の検出コイル34は、45度ずつに分割された、平面コイルパターンとしての、8個の分割コイル22A,21B,22C,21D,22E,21F,22G,21Hを含む。すなわち、第2の検出コイル34は、第1の検出コイル32の正弦波分割コイル21Aに対応する位置に余弦波分割コイル22Aが配置され、第1の検出コイル32の余弦波分割コイル22Bに対応する位置に正弦波分割コイル21Bが配置される。同様にして、順次、余弦波分割コイル22C、正弦波分割コイル21D、余弦波分割コイル22E、正弦波分割コイル21F、余弦波分割コイル22G及び正弦波分割コイル21Hが配置される。
このように第1及び第2の検出コイル32,34の8個の正弦波分割コイル21A〜21Hは、絶縁層33の透孔33aを介して互いに接続され、第1の検出コイル32と第2の検出コイル34を交互に往復しながら、図6(c)に示す1つの正弦波コイル21を構成する。ここで、2つの正弦波分割コイル21B,21Cにより、第1の正弦波コイル21BCが構成され、2つの正弦波分割コイル21D,21Eにより、第2の正弦波コイル21DEが構成され、2つの正弦波分割コイル21F,21Gより、第3の正弦波コイル21FGが構成され、2つの正弦波分割コイル21H,21Aにより、第4の正弦波コイル21HAが構成される。第1の正弦波コイル21BC及び第3の正弦波コイル21FGと、第2の正弦波コイル21DE及び第4の正弦波コイル21HAとは、巻き方向が逆であり、同方向の磁束に対して逆向きの誘起電流を発生させるようになっている。
同様に、第1及び第2の検出コイル32,34の8個の余弦波分割コイル22A〜22Hは、絶縁層33の透孔33aを介して互いに接続され、第1の検出コイル32と第2の検出コイル34を交互に往復しながら、図6(b)に示す1つの余弦波コイル22を構成する。ここで、2つの余弦波分割コイル22A,22Bにより、第1の余弦波コイル22ABが構成され、2つの余弦波分割コイル22C,22Dにより、第2の余弦波コイル22CDが構成され、2つの余弦波分割コイル22E,22Fより、第3の余弦波コイル22EFが構成され、2つの余弦波分割コイル22G,22Hにより、第4の余弦波コイル22GHが構成される。第1の余弦波コイル22AB及び第3の余弦波コイル22EFと、第2の余弦波コイル22CD及び第4の余弦波コイル22GHとは、巻き方向が逆であり、正方向の磁束に対して逆向きの誘起電流を発生させるようになっている。上記の構成により、正弦波コイル21と余弦波コイル22とが、45度角度をずらして形成される。
図5に示すように、励磁コイル23は、第1の検出コイル32の、すなわち順方向の平面コイルパターン及び逆方向の平面コイルパターンの、外周を取り囲む平面状に巻き回された平面コイルパターンにより構成される。励磁コイル23は、コイル導線を環状に多重に巻き回すことで構成される。第1の検出コイル32と励磁コイル23は、2つの絶縁層31,33の間の同一の層に形成される。すなわち、この実施形態では、励磁コイル23と検出コイル32,34とがベース平板30の上に積層して形成される。また、励磁コイル23と、検出コイルの一部である第1検出コイル32とが同一の層に形成される。励磁コイル23には、高周波信号が入力される。
次に、センサロータ12の構成について説明する。図7に、センサロータ12を斜視図により示す。図8に、センサロータ12を平面図により示す。第1のエンドプレート8Aより構成されるセンサロータ12は、非磁性導電材料として、例えば「SUS305」により形成される。センサロータ12は、その軸方向外面に、周方向に交互に配置された角度検出用の凹凸が設けられる。この凹凸は、センサロータ12の円周面と円周方向に垂直な面により構成される。すなわち、センサロータ12は、円形平板の外面の2箇所に凸部12aA,12aBを、他の2箇所に凹部12bA,12bBをそれぞれ備える。2箇所の凸部12aA,12aBと、2箇所の凹部12bA,12bBは、各々が90度の角度間隔をもって配置される。すなわち、センサロータ12において、凹部12bA,12bBは、円周方向に所定の角度間隔(この場合「180度」の角度間隔)により形成される。ここで、センサロータ12の最大厚みを、例えば「10mm」とすると、凸部12aA,12aBの高さは、例えば「2〜3mm」程度に設定することができる。
センサロータ12は、90度で4分割した箇所のうち、対向する2箇所に凹部12bA,12bBと凸部12aA,12aBが配置される。また、センサステータ13の正弦波コイル21と余弦波コイル22は、45度で8分割した箇所に分割コイル21A〜21H,22A〜22Hが配置される。これにより、2Xの検出コイルが構成される。
センサロータ12は、中央に形成された中心孔12cにてモータシャフト5の外周に圧入されると共に、第1のエンドプレート8Aとしてロータコア6の端面に固定される。
この実施形態では、センサロータ12の材料として「SUS305」が使用されるが、非磁性導電材料であればよく、例えば「SUS304」、「アルミニウム」及び「真鍮」等を使用してもよい。
上記構成において、センサステータ13の検出コイル32,34は、励磁コイル23に高周波信号が入力されることにより、センサロータ12の凹凸の位置にて変動する磁束の変化を起電力として出力するようになっている。また、センサステータ13の検出コイル32,34は、平面状に巻き回され、巻き方向が順方向の平面コイルパターンである順方向コイルと、巻き方向が逆方向の平面コイルパターンである逆方向コイルとを含む。これら順方向コイルと逆方向コイルとが円周方向に隣り合って順に配置される。そして、順方向コイルの幅と逆方向コイルの幅の合計がセンサロータ12の凹凸の1周期に略一致する。順方向コイル及び逆方向コイルは、それぞれ複数回巻き回されるものであり、巻き数が正弦波状に増減するように周方向に分布して配置される。更に、センサロータ12の凹凸は、センサステータ13の励磁コイル23との距離が正弦波状に変動するように構成される。そして、センサステータ13は、励磁コイル23のインダクタンス変化により、モータロータ4及びモータシャフト5の回転角度を検出するようになっている。
次に、回転検出器11の作用について説明する。図3において、基準クロック発生器55は、「32MHz」の高周波の基準クロックを生成する。分周回路56は、周波数分割回路とも呼ばれ、基準クロック発生器55で生成した高い周波数のクロックを低周波のクロックに変換する。分周回路56は、「32MHz」の基準クロックを「500kHz」の周波数に分周する。カウンタ57は、64個のパルスをカウントし、D/Aコンバータ58に対して、64個のパルスを1周期として出力する。D/Aコンバータ58は、64個のパルスを1周期として振幅変調させることにより、「500kHz/64=7.8125kHz」の正弦波励磁信号を作成して、励磁コイル23を励磁する。そして、励磁コイル23に正弦波励磁信号が通電されることにより、励磁コイル23に磁界が発生し、検出コイルである正弦波コイル21と余弦波コイル22に誘起電圧である検出信号が発生する。この作用については、後で詳細に説明する。
図3において、別の分周回路59は、カウンタ57のカウント値を受けて、必要な検出タイミングで、二つの同期検波器51,52に、検出タイミング信号を入力する。そして、正弦波用の同期検波器51は、分周回路59のタイミングで、正弦波コイル21から入力された検出信号を読み出し、つまり、同期検波し、積分回路53に送る。この積分回路53は、同期検波器51の出力を平滑化する。積分回路53の出力は、演算器60に送られる。ここで、同期検波及び積分を行っている理由は、本実施形態では、「500kHz」の搬送波を振幅変調して、「7.8125kHz」の信号波としているので、検出信号には搬送波の周波数成分が含まれる。検出信号から搬送波の周波数成分を除去するため、同期検波及び積分を行っているのである。
同様に、図3において、余弦波用の同期検波器52は、分周回路59のタイミングで、余弦波コイル22から入力された検出信号を読み出し、つまり、同期検波し、積分回路54に送る。この積分回路54は、同期検波器52の出力を平滑化する。積分回路54の機能は、積分回路53と同じである。積分回路54の出力は、演算器60に送られる。
そして、図3において、演算器60は、積分回路53から入力した正弦波コイル21に係る出力と、積分回路54から入力した余弦波コイル22に係る出力との比を求め、その比を角度データ61として出力する。振幅式回転検出器では、ある瞬間の電気角における、正弦波コイル21に係る積分回路53からの出力と、余弦波コイル22に係る積分回路54からの出力との比は、電気角と一義的に対応する。そのため、その比を角度データ61として得れば、現在のセンサロータ12の回転角度を測定することができる。
次に、励磁コイル23、センサロータ12、正弦波コイル21及び余弦波コイル22の作用について説明する。図9(a)〜(d)に、回転検出器11の作用と特性をグラフにより示す。図9(a)に、ある時間におけるセンサステータ13(ベース平板30、励磁コイル23、正弦波コイル21、余弦波コイル22)と、センサロータ12(凸部12aA,12aB、凹部12bA,12bB)との位置関係をグラフにより示す。実際には、円形状のグラフとなるが、図9(a)では、見やすいように直線状のグラフとする。
図9(a)において、横軸にとった電気角は360度(2Xコイルなので機械角は180度)である。また、便宜上、正弦波コイル21と余弦波コイル22を一つの層に示し、励磁コイル23を別の層に示す。すなわち、図9(a)において、センサステータ13は、ベース平板30の上に励磁コイル23を示し、その上に正弦波コイル21と余弦波コイル22を示す。センサロータ12は、2箇所に、各々電気角で180度分(2Xコイルなので機械角は90度)の範囲で凹部12bと凸部12aが交互に形成される。
図10に、図9(a)のうち、センサロータ12の凹部12bがある部分の作用を断面図により示す。図10でも、便宜上、励磁コイル23を独立した層に示す。図10において、励磁コイル23に、D/Aコンバータ58から、「500kHz」の搬送波を「7.8125kHz」の信号波により振幅変調した形の励磁信号が入力すると、その電流値に応じて、励磁コイル23において磁束IAが発生する。この磁束IAの発生により、正弦波コイル21及び余弦波コイル22に誘起電圧が発生する。
一方、図11に、図9(a)のうち、センサロータ12の凸部12aがある部分の作用を断面図により示す。図11でも、便宜上、励磁コイル23を独立した層に示す。図11において、センサロータ12の凸部12aが、センサステータ13の正弦波コイル21と余弦波コイル22に対向している。励磁コイル23に、D/Aコンバータ58から、「500kHz」の搬送波を「7.8125kHz」の信号波により振幅変調した形の励磁信号が入力すると、その電流値に応じて、励磁コイル23において磁束IAが発生する。
しかし、非磁性導電材料である凸部12aに磁束IAが入ると、凸部12aの表面に渦電流が発生する。その発生した渦電流により、図11に示すように、磁束IAに対して逆方向の磁束IBが発生する。この磁束IBにより、励磁コイル23で発生した正方向の磁束IAが打ち消される。このため、全体としての磁束は、図10の場合と比較して、ほとんど無くなってしまう。
従って、図9(a)の状態では、凹部12bと重なる領域(電気角160度から340度まで)のみ磁束IAが発生するとみなすことができる。
ここで、正弦波コイル21及び余弦波コイル22について説明する。図12(a)に、正弦波コイル21の一例を平面図により示す。ここでは、見やすくするために、正弦波コイル21の全体を同一平面上に表現する。図12(a)に示すように、4個の正弦波コイル21は、7組のコイル導線21a−21n,21b−21m,21c−21l,21d−21k,21e−21j,21f−21i,21g−21hから構成される。
同様に、図12(b)に、余弦波コイル22の一例を平面図により示す。ここでも、見やすくするために、余弦波コイル22の全体を同一平面上に表現する。図12(b)に示すように、4個の余弦波コイル22は、7組のコイル導線22a−22n,22b−22m,22c−22l,22d−22k,22e−22j,22f−22i,22g−22hから構成される。
図13(a)に、正弦波コイル21に同じ方向の均一な磁束が発生したときの、各組のコイル導線21a−21n,21b−21m,21c−21l,21d−21k,21e−21j,21f−21i,21g−21hにより発生し得る誘起電圧の大きさを、それぞれ矩形21'a−21'n,21'b−21'm,21'c−21'l,21'd−21'k,21'e−21'j,21'f−21'i,21'g−21'hを含むグラフにより示す。図13(a)において、正弦波コイル21の全体で発生し得る誘起電圧の大きさを、波形21’により示す。このように、正弦波コイル21を7組のコイル導線21a−21n,21b−21m,21c−21l,21d−21k,21e−21j,21f−21i,21g−21hで構成することにより、正弦波コイル21に発生する誘起電圧を、正弦波カーブの磁束が通過する範囲における積分値で表すことができる。
図13(b)に、余弦波コイル22に同じ方向に均一な磁束が発生したときの、各組のコイル導線22a−22n,22b−22m,22c−22l,22d−22k,22e−22j,22f−22i,22g−22hにより発生し得る誘起電圧の大きさを、それぞれ矩形22'a−22'n,22'b−22'm,22'c−22'l,22'd−22'k,22'e−22'j,22'f−22'i,22'g−22'hを含むグラフにより示す。図13(b)において、余弦波コイル22の全体で発生し得る誘起電圧の大きさを、波形22'により示す。このように、余弦波コイル22を7組のコイル導線22a−22n,22b−22m,22c−22l,22d−22k,22e−22j,22f−22i,22g−22hで構成することにより、余弦波コイル22に発生する誘起電圧を、余弦波カーブの磁束が通過する範囲における積分値で表すことができる。
図9(b)に、磁束IAの発生により、正弦波コイル21で発生する誘起電圧MA及び余弦波コイル22で発生する誘起電圧MBをグラフにより示す。図9(c)に、図9(a)における波形21'のみを取り出してグラフにより示す。電気角160度から180度までの範囲では、MSA1で示す面積のプラスの誘起電圧(+MSA1)が発生し、電気角180度から340度までの範囲では、MSA2の面積で示すマイナスの誘起電圧(−MSA2)が発生する。従って、正弦波コイル21で発生する誘起電圧MAは、「MA=+MSA1−MSA2」となる。これを図9(b)にグラフにより示す。
一方、図9(d)に、図9(a)における波形22'のみを取り出してグラフにより示す。電気角160度から270度までの範囲では、MSB1で示す面積のマイナスの誘起電圧(−MSB1)が発生し、電気角270度から340度までの範囲では、MSB2で示すプラスの誘起電圧(+MSB2)が発生する。従って、余弦波コイル22で発生する誘起電圧MBの総量は、「MB=+MSB2−MSB1」となる。これを図9(b)にグラフにより示す。
上記では、磁束IAの発生により、正弦波コイル21及び余弦波コイル22に誘起電圧MA,MBが発生することを説明したが、励磁コイル23に入力される励磁信号の位相に応じて、磁束IAの向き及び大きさは周期的に変動する。これにより、正弦波コイル21及び余弦波コイル22に発生する誘起電圧(検出信号)も周期的に変動する。ここで、図3に示す回路部41において、同期検波器51,52及び積分回路53,54にて、検出信号に含まれる上記周期成分のうち、搬送波の成分を除去し、平滑化する。そして、演算器60が積分回路53と積分回路54の各出力の比(誘起電圧の比MA/MBに等しい)を算出する。この比により、センサステータ13に対するセンサロータ12の角度変位を求めることができる。演算器60は上記比を角度データ61として出力する。
次に、センサロータ12が回転したときの回転検出器11の作用を図14〜16を参照して説明する。
図14に、電気角(−90度〜360度)及び機械角(−45度〜180度)と、所定の方向の磁束IAが発生したときの正弦波コイル21及び余弦波コイル22の各出力値との関係をグラフにより示す。本実施形態の回転検出器11は、2Xのものなので、電気角は機械角の2倍となっている。図14において、「SA」は、正弦波コイル21の出力カーブを示し、「SB」は、余弦波コイル22の出力カーブを示す。
図15(a)に、図14のロータ角度T1における、正弦波コイル21と凸部12a(12aA,12aB)との位置関係を、図15(b)に、余弦波コイル22と凸部12a(12aA,12aB)との位置関係をそれぞれ平面図により示す。見やすくするために、図15(a),(b)では、図5とは異なり、図6(b),(c)と同様に、正弦波コイル21、余弦波コイル22を各々一つの面に表現している。
図16(a)に、図14のロータ角度T2における、正弦波コイル21と凸部12a(12aA,12aB)との位置関係を、図16(b)に、余弦波コイル22と凸部12a(12aA,12aB)との位置関係をそれぞれグラフにより示す。見やすくするために、図16(a),(b)では、図5とは異なり、図6(b),(c)と同様に、正弦波コイル21、余弦波コイル22を各々一つの面に表現している。また、図16(a),(b)は、図15(a),(b)に示す状態から、矢印Pの方向へ、センサロータ12が電気角で240度(機械角で120度)回転した状態を示す。
図14のロータ角度T1においては、図15(a)に示すように、正弦波コイル21の8個の正弦波分割コイル21A〜21Hのうち、正弦波分割コイル21C,21D,21G,21Hの全ての領域が、センサロータ12の凹部12bに対向している。そして、正弦波分割コイル21A,21B,21E,21Fの全ての領域が、凸部12a(12aA,12aB)に対向している。
励磁コイル23により発生する磁束IAは、全ての領域で同じ方向で均一なので、第1の正弦波コイル21BCと第2の正弦波コイル21DEでは、絶対値の等しい逆向きの誘起電圧が発生する。同様に、第3の正弦波コイル21FGと第4の正弦波コイル21HAでは、絶対値の等しい逆向きの誘起電圧が発生する。
一方、凸部12a(12aA,12aB)の領域では、磁束IAが、渦電流により発生する磁束IBで打ち消されるため、正弦波コイル21に誘起電圧が発生しない。このため、正弦波コイル21の出力値は、図14に示すゼロ(SAT1)となる。
一方、図14のロータ角度T1においては、図15(b)に示すように、余弦波コイル22の8個の余弦波分割コイル22A〜22Hのうち、余弦波分割コイル22C,22D,22G,22Hの全ての領域が、センサロータ12の凹部12b(12bA,12bB)に対向している。そして、余弦波分割コイル22A,22B,22E,22Fの全ての領域が、凸部12a(12aA,12aB)に対向している。そして、励磁コイル23により発生する磁束IAは、全ての領域で同じ方向で均一なので、第2の余弦波コイル22CDでは、最大の誘起電圧が発生する。同様に、第4の余弦波コイル22GHでは、最大の誘起電圧が発生する。
一方、凸部12a(12aA,12aB)の領域では、磁束IAが、渦電流により発生する磁束IBで打ち消されるため、余弦波コイル22のうち第1の余弦波コイル22ABと第3の余弦波コイル22EFでは誘起電圧が発生しない。このため、余弦波コイル22の出力値は、図14に示す最大(SBT1)となる。
図14のロータ角度T2においては、図16(a)に示すように、正弦波コイル21の8個の正弦波分割コイル21A〜21Hのうち、正弦波分割コイル21E,21Aの全ての領域、及び正弦波分割コイル21D,21F,21H,21Bの一部の領域が、センサロータ12の凹部12bに対向している。そして、正弦波分割コイル21G,21Cの全ての領域、及び正弦波分割コイル21D,21F,21H,21Bの一部の領域が、凸部12a(12aA,12aB)に対向している。励磁コイル23により発生する磁束IAは、全ての領域で同じ方向で均一なので、第2の正弦波コイル21DEと第3の正弦波コイルFGでは、逆向きの誘起電圧が発生する。同様に、第4の正弦波コイル21HAと第1正弦波コイルBCでは、逆向きの誘起電圧が発生する。
一方、凸部12a(12aA,12aB)の領域では、磁束IAが、渦電流により発生する磁束IBで打ち消されるため、正弦波コイル21では誘起電圧が発生しない。このため、正弦波コイル21の出力値は、図14に示すように、それらの演算値(SAT2)となる。
図14のロータ角度T2においては、図16(b)に示すように、余弦波コイル22の8個の余弦波分割コイル22A〜22Hのうち、余弦波分割コイル22E,22Aの全ての領域、及び余弦波分割コイル22D,22F,22H,22Bの一部の領域が、センサロータ12の凹部12bに対向している。そして、余弦波分割コイル22G,22Cの全ての領域、及び余弦波分割コイル22D,22F,22H,22Bの一部の領域が、凸部12a(12aA,12aB)に対向している。励磁コイル23により発生する磁束IAは、全ての領域で同じ方向で均一なので、第2の余弦波コイル22CDと第3の余弦波コイル22EFでは、逆向きの誘起電圧が発生する。同様に、第4の余弦波コイル22GHと第1の余弦波コイル22ABでは、逆向きの誘起電圧が発生する。
一方、凸部12a(12aA,12aB)の領域では、磁束IAが、渦電流により発生する磁束IBで打ち消されるため、余弦波コイル22に誘起電圧が発生しない。このため、余弦波コイル22の出力値は、図14に示すように、それらの演算値(SBT2)となる。
図14のロータ角度T1において、図3に示す演算器60が、正弦波コイル21の出力値SAT1、及び余弦波コイル22の出力値SBT1の比(SAT1/SBT1)を算出する。この比(SAT1/SBT1)より、ロータ角度T1におけるセンサステータ13に対するセンサロータ12の角度変位を求めることができる。演算器60は、比(SAT1/SBT1)を角度データ61として、出力する。
同様に、図14のロータ角度T2において、図3の演算器60が、正弦波コイル21の出力値SAT2、及び余弦波コイル22の出力値SBT2の比(SAT2/SBT2)を算出する。この比(SAT2/SBT2)より、ロータ角度T2におけるセンサステータ13に対するセンサロータ12の角度変位を求めることができる。演算器60は、比(SAT2/SBT2)を角度データ61として、出力する。
図17に、この実施形態の回転検出器11の出力電圧に係る実験データをグラフにより示す。このグラフは、横軸に、本実施例の回転検出器11と、比較例の回転検出器をとり、縦軸に、出力電圧とS/N比をとっている。比較例の回転検出器は、センサロータとして、磁性導電材料を用いて、回転検出器11と同じ凹部を形成したものである。
図17に示すように、本実施例の回転検出器11では、出力電圧A1が「250mV」、ノイズA2が「4.5mV」であり、S/N比A3が「約55」である。比較例の回転検出器では、出力電圧B1が「150mV」、ノイズB2が「19mV」であり、S/N比B3が「約8」である。
上記実験により、センサロータとして磁性導電材料を用いた比較例の回転検出器においても、回転角センサとして実用可能であることが確認でき、同時に、センサロータとして、非磁性導電材料を用いたこの実施形態の回転検出器11では、S/N比が非常に高く、回転角センサとして優れた特性を有することが確認できた。
以上説明したこの実施形態の回転検出器11によれば、励磁信号が入力される励磁コイル23と、検出信号を出力する検出コイル32,34(正弦波コイル21、余弦波コイル22)とを含むセンサステータ13と、そのセンサステータ13と軸方向に対向する位置に配置されて回転するセンサロータ12とを備える。また、平板なセンサステータ13と平板なセンサロータ12とが互いに平行に対向している。このため、回転検出器11の軸方向の寸法を小さくすることができ、その意味で回転検出器11をコンパクトにすることができる。
特に、この実施形態では、センサステータ13を構成す励磁コイル23及び検出コイル32,34が、高周波信号を用いるものであることから、少ない巻き数で済む。また、励磁コイル23及び検出コイル32,34のそれぞれが平面状に巻き回された平面コイルパターンにより構成されるので、これらコイル23,32,34が嵩張らない。このため、回転検出器11の軸方向の寸法を小さくすることができ、回転検出器11をコンパクトにすることができる。
ここで、上記したように検出コイル32,34を平面コイルパターンにできるのは、励磁コイル23のために「500kHz」の高周波を搬送波として使用しているからであり、これによって検出コイル32,34の巻き数を少なくできるからである。すなわち、「500kHz」という高周波の搬送波を使用することで、「7.8125kHz」の信号波を使用することになる。このため、検出コイル32,34を7巻きという少ない巻き数にすることができる。これにより、ベース平板30上に、検出コイル32,34のコイル導線を渦巻状に配置して平面コイルパターンにできるのである。このため、検出コイル32,34のコイル導線を、同じ方向を向いた均一な磁束が作用したときに、センサロータ12の回転角度に応じて、磁束の通過範囲を変えることにより、正弦波状あるいは余弦波状の検出信号を出力できるように配置できるのである。
また、この実施形態では、励磁コイル23と一つの検出コイルの一部である第1の検出コイル32とが、同一の層に形成されるので、それらが別々の層に形成される場合と比べて構成要素の積層数が減る。このため、センサステータ13の厚みを小さくすることができる。この意味でも、回転検出器11の軸方向の寸法を小さくすることができ、回転検出器11をコンパクトにすることができる。また、構成要素の積層数が減る分だけ回転検出器11の製造コストを抑えることができる。
この実施形態の回転検出器11では、非磁性導電材料からなるセンサロータ12が、円周方向に所定の角度間隔により一対の凹部12bA,12bBを有する。従って、励磁コイル23により磁界(磁束IA)が発生するときに、センサロータ12の凹部12bA,12bBと重なる領域でのみ、励磁コイル23の磁界(磁束IA)が検出コイル32,34を通過し、検出コイル32,34に起電力(誘起電圧)が発生する。一方、励磁コイル23により磁界(磁束IA)が発生するときに、凹部12bA,12bBと重ならない領域、すなわち凸部12aA,12aBと重なる領域では、磁界(磁束IA)がセンサロータ12に当たり、センサロータ12の表面に渦電流が発生する。この渦電流により、励磁コイル23の磁界(磁束IA)と逆方向の磁界(磁束IB)が発生し、それら両方向の磁界(磁束IA,IB)が互いに打ち消し合うことで、検出コイル32,34に誘導電流が発生しない。このような作用の連続により、検出コイル32,34の全体から適切な検出信号を得ることができる。このようにして、回転検出器11としての回転角度検出を達成することができる。この結果、センサロータ12の製造コストを抑えることができ、延いては、回転検出器11の製造コストを抑えることができる。
この実施形態の回転検出器11では、センサステータ13に励磁コイル23と検出コイル32,34の両方が設けられる。このため、励磁コイル23と検出コイル32,34がセンサステータ13とセンサロータ12に分かれて設けられる場合とは異なり、検出コイル32,34による検出信号をセンサロータ12とセンサステータ13との間でやりとりする必要がなく、信号やりとりのためのロータリィトランスコイルが不要となる。この結果、回転検出器11からロータリィトランスコイルを省略することができ、回転検出器11の構成を簡略化することができ、この意味で回転検出器11をコンパクトにすることができる。
また、この実施形態の回転検出器11では、ロータリィトランスコイルを省略できることから、検出信号のゲインを増大させることができ、そのS/N比を高くすることができる。例えば、ロータリィトランスコイルを有する回転検出器では、S/N比が「4」程度であるのに対し、この実施形態では、S/N比を「50」以上にすることができる。
この実施形態では、検出コイル32,34(正弦波コイル21、余弦波コイル22)が、順次連続する8個の正弦波分割コイル21A〜21Hと、順次連続する8個の余弦波分割コイル22A〜22Hとを備える。また、正弦波分割コイル21A,21C,21E,21Gと、余弦波分割コイル22B,22D,22F,22Hとが同一の層に形成される。また、正弦波分割コイル21B,21D,21F,21Hと、余弦波分割コイル22A,22C,22E,22Gとが別の同一の層に形成され、それら両層が重なって形成される。従って、回転検出器11をモータ1に取り付けたときに、センサステータ13とセンサロータ12との間の隙間が多少変化しても、正弦波コイル21とセンサロータ12の位置関係と、余弦波コイル22とセンサロータ12の位置関係とを、常に一定に保つことができる。このため、回転検出器11の取り付け誤差に起因する、回転角度の検出誤差を低減することができる。
また、この実施形態では、検出コイル32,34を構成する順方向の平面コイルパターン(順方向コイル)及び逆方向の平面コイルパターン(逆方向コイル)の外周側が、励磁コイル23を構成する平面コイルパターンにより取り囲まれる。従って、検出コイル32,34の外周側全体に励磁コイル23から連続した均一な磁界がかけられる。特に、この実施形態では、励磁コイル23が、コイル導線を環状に多重に巻き回すことで構成されるので、励磁コイル23の全周にわたって均一な磁界を発生させることができる。このため、検出コイル32,34の周方向に連続して均一に励磁信号を供給することができ、この意味で、回転検出器11による回転角度の検出精度を向上させることができる。
この実施形態では、回転検出器 ロータ12が、非磁性導電材料で構成されるので、センサロータ12の表面に発生する渦電流が増加し、励磁コイル23で発生する磁束を打ち消す効率が上がる。このため、S/N比が大きく(ノイズが小さく)なり、回転検出器11による回転角度の検出精度を向上させることができる。
また、この実施形態の回転検出器11では、励磁コイル23のために「500kHz」の搬送波を「7.8125kHz」の信号波で振幅変調した形式の励磁信号を用いて角度検出を行っている。このため、搬送波がモータノイズ(「10kHz」付近が多い)の影響を受け難くなる。この意味でも、検出コイル32,34での検出信号のS/N比を高くすることができる。
また、この実施形態では、検出コイル32,34につき、正弦波コイル21を形成する7組のコイル導線21a−21n,21b−21m,21c−21l,21d−21k,21e−21j,21f−21i,21g−21hが、正弦波コイル21に発生する誘起電流が、磁束が通過する範囲における正弦波カーブの積分値に相当するように配置される。また、余弦波コイル22を形成する7組のコイル導線22a−22n,22b−22m,22c−22l,22d−22k,22e−22j,22f−22i,22g−22hが、余弦波コイル22に発生する誘起電流が、磁束が通過する範囲における余弦波カーブの積分値に相当するように配置される。このため、センサロータ12に凹部12bを設けることで、検出コイル32,34の全体から適切な検出信号を得ることができる。
更に、この実施形態のモータロータ4によれば、モータロータ4を構成するロータコア6の両端に設けられるエンドプレート8A,8Bのうち、第1のエンドプレート8Aの軸方向外面に、周方向に交互に配置された角度検出用の凹凸(凹部12bA,12bB、凸部12aA,12aB)が設けられ、そのエンドプレート8Aによりセンサロータ12が構成される。従って、凹凸を有する角度検出用のセンサロータをモータロータ4に別途設ける必要がない。このため、回転検出器11の構成部品の一部を省略して回転検出器付きモータ1の全体構成の部品点数と工数を削減することができる。
この実施形態のモータ1によれば、モータロータ4を構成する第1のエンドプレート8Aの軸方向外面に角度検出用の凹凸(凹部12bA,12bB、凸部12aA,12aB)が設けられ、そのエンドプレート8Aによりセンサロータ12が構成される。また、そのセンサロータ12の凹凸に対向する位置に、高周波が入力される励磁コイル23を備えたセンサステータ13が設けられる。従って、凹凸を有するセンサロータ12とセンサステータ13により、モータロータ4及びモータシャフト5の回転を検出する回転検出器11が構成される。このため、回転検出器11の構成部品の一部を省略して回転検出器付きモータ1の全体構成の部品点数と工数を削減することができる。
また、この実施形態では、非磁性導電材料により構成される第1のエンドプレート8A(センサロータ12)は、磁束の漏れを防ぐことができ、センサステータ13の励磁コイル23に入力される高周波信号の磁束を打ち消す機能がある。このため、センサロータ12につき、高周波信号が励磁される励磁コイル23を含むセンサステータ13との相性を良くすることができる。
この実施形態のモータ1によれば、センサステータ13の励磁コイル23に高周波信号が入力されることにより、検出コイル32,34から、第1のエンドプレート8Aの凹凸(凹部12bA,12bB、凸部12aA,12aB)の位置にて変動する磁束変化の起電力が発生して出力される。このため、モータシャフト5等の回転角度に係る検出信号をセンサステータ13から出力させることができ、モータシャフト5等の回転角度を検出することができる。
この実施形態のモータ1によれば、励磁コイル23及び検出コイル32,34が、高周波信号を用いるものであることから、少ない巻き数で済む。また、励磁コイル23及び検出コイル32,34が、平面状に巻き回され、それらコイル23,32,34が嵩張らない。このため、回転検出器11の軸方向の寸法を小さくすることができ、回転検出器11をコンパクト化することができる。
この実施形態のモータ1によれば、センサステータ13の検出コイル32,34から出力される起電力の強弱が、順方向コイル及び逆方向コイルの巻き数の周方向における分布により実現される。従って、凹凸(凹部12bA,12bB、凸部12aA,12aB)が設けられる第1のエンドプレート8A(センサロータ12)の形状が単純化される。このため、凹凸を有する第1のエンドプレート8A(センサロータ12)の加工を容易にすることができる。
この実施形態のモータ1によれば、第1のエンドプレート8A(センサロータ12)の凹凸(凹部12bA,12bB、凸部12aA,12aB)は、センサステータ13の励磁コイル23との距離が正弦波状に変動するように構成される。そして、センサステータ13は、励磁コイル23のインダクタンス変化により回転角度を検出するように構成されるので、センサステータ13としての構成が単純化される。このため、回転検出器11としての構成を簡略化することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明におけるモータロータ及びモータを具体化した第2実施形態につき図18〜図21を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明において前記第1実施形態と同等又はそれに準ずる構成については、同一の符号を付して説明を省略し、異なったてんを中心に説明する。
この実施形態では、回転検出器の構成の点で、第1実施形態と異なる。先ず、センサステータの構成について説明する。図18に、この実施形態のセンサステータ15を平面図により示す。図19(a),(b),(c)に、図18の構成要素の一部を分解してそれぞれ平面図により示す。この実施形態では、センサステータ15が、第1実施形態のセンサステータ13のほぼ四分の一の大きさに形成される。すなわち、図18に示すように、ベース平板30が扇状に形成され、そのベース平板30の上に検出コイル37と励磁コイル23が積層されて設けられる。図19(a),(b)に、検出コイル37を構成する正弦波コイル21と余弦波コイル22を平面図により示す。図19(c)に、励磁コイル23を平面図により示す。このセンサステータ15は、第1実施形態と同様、モータケース2の内側に取り付けられる。
次に、センサロータの構成について説明する。図20に、センサロータ16を斜視図により示す。図21に、センサロータ16を平面図により示す。第1のエンドプレート8Aより構成されるセンサロータ16は、非磁性体としての非磁性導電材料である「SUS305」により形成される。センサロータ16は、その軸方向外面に、周方向に交互に配置された角度検出用の凹凸が設けられる。この凹凸は、センサロータ16の円周面と円周方向に垂直な面により構成される。すなわち、センサロータ16は、円形平板の外面の6箇所に凸部16aA,16aB,16aC,16aD,16aE,16aFを、他の6箇所に凹部16bA,16bB,16bC,16bD,16bE,16bFをそれぞれ備える。6箇所の凸部16aA〜16aFと、6箇所の凹部16bA〜16bFは、各々が30度の角度間隔をもって配置される。すなわち、センサロータ16において、各凹部16bA〜16bFは、円周方向に所定の角度間隔(この場合「60度」の角度間隔)により形成される。ここで、センサロータ16の最大厚みを、例えば「10mm」とすると、凸部16aA〜16aFの高さは、例えば「2〜3mm」程度に設定することができる。
センサロータ16は、30度で12分割した箇所のうち、対向する6箇所に凹部16bA〜16bFと凸部16aA〜16aFが配置される。また、センサステータ15の正弦波コイル21と余弦波コイル22は、30度で2分割されており、これによって6Xの検出コイル37が構成される。
センサロータ16は、中央に形成された中心孔16cにてモータシャフト5の外周に圧入されると共に、第1のエンドプレート8Aとしてロータコア6の端面に固定される。
この実施形態では、センサロータ16の材料として「SUS305」が使用されるが、非磁性導電材料であればよく、例えば「SUS304」、「アルミニウム」及び「真鍮」等を使用してもよい。
従って、この実施形態のモータロータ4によれば、モータロータ4を構成するロータコア6の一端に設けられる第1のエンドプレート8Aの軸方向外面に、周方向に交互に配置された角度検出用の凹凸(凹部16bA〜16bF、凸部16aA〜16aF)が設けられ、そのエンドプレート8Aによりセンサロータ16が構成される。従って、凹凸を有する角度検出用のセンサロータをモータロータ4に別途設ける必要がない。このため、回転検出器の構成部品の一部を省略して回転検出器付きモータ1の全体構成の部品点数と工数を削減することができる。
また、この実施形態では、センサステータ15が、第1実施形態のセンサステータ13のほぼ四分の一の大きさであることから、その分だけモータケース2に対する取り付け性を向上させることができ、回転検出器の全体をコンパクト化することができる。
<第3実施形態>
次に、本発明におけるモータロータ及びモータを具体化した第3実施形態につき図22及び図23を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、回転検出器の構成の点で、第1実施形態と異なる。図22に、回転検出器11の構成を展開したイメージ図により示す。この実施形態では、センサステータ13から検出コイルを省略し、励磁コイル23のみを設けた点で第1実施形態と構成が異なる。すなわち、図22に示すように、センサロータ12と対向して配置されたセンサステータ13は、ベース平板30と、そのベース平板30の上に形成された励磁コイル23とを備える。励磁コイル23は、第1SIN相コイル23a、第1COS相コイル23b、第2SIN相コイル23c及び第2COS相コイル23dにより構成される。各コイル23a〜23dは、互いに同じ構成を有する。隣り合う各コイル23a〜23dは「90°」の位相差を有する。一方、センサロータ12は、その表面の凹凸が、励磁コイル23との距離が連続的かつ周期的に変動するように構成される。そして、センサステータ13は、モータロータ4と共にセンサロータ12が回転することに伴う、励磁コイル23のインダクタンス変化により、そのモータロータ4及びモータシャフト5の回転角度を検出するようになっている。
図23に、回転検出器11の回路構成をブロック図により示す。励磁回路70から、それぞれコンデンサ71a,71bに直列に接続される第1SIN相コイル23a及び第1COS相コイル23bに交流電圧が印加されることにより、各コイル23a,23bのインダクタンス変化に応じて異なる信号S1,S2が出力される。出力された信号S1,S2は、それぞれ第1増幅器72及び第2増幅器73により増幅される。これら信号S1,S2は、出力振幅が変動すると共に、位相が180°異なる。そして、各増幅器72,73により増幅された信号は、それぞれ第1包絡線検波器74及び第2包絡線検波器75により検波され、異なる検波信号S11,S21として出力される。出力された検波信号S11,S21が差動増幅器76により増幅されることにより、全波信号S3として出力される。この全波信号S3に基づき、モータシャフト5の回転角度を検出することができる。
従って、この実施形態では、センサステータ13から検出コイルを省略できることから、第1実施形態の作用効果に対して、センサステータ13の構成を一層簡略化することができる。
<第4実施形態>
次に、本発明におけるモータロータ及びモータを具体化した第4実施形態につき図24〜図26を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、回転検出器の構成の点で、前記各実施形態と異なる。図24に、回転検出器付きモータ1を断面図により示す。図25に、回転検出器11を拡大して断面図により示す。図26に、ベアリング9を拡大して斜視図により示す。図24に示すように、この実施形態では、一方のベアリング9に対応して回転検出器11が設けられる。すなわち、センサロータ12は、ベアリング9と一体に設けられる。センサステータ13は、センサロータ12と所定の隙間を介して対向するように、モータケース2に取り付けられる。モータケース2には、ベアリング9とモータシャフト5に対応した中心孔2aが形成される。センサステータ13は、この中心孔2aの段部2bに固定される。この実施形態で、モータシャフト5は、これらセンサロータ12及びセンサステータ13を貫通して設けられる。
図25及び図26に示すように、センサロータ12は、ベアリング9の構成部品と一体に形成される。ベアリング9は、アウターリング81と、インナーリング82と、両リング81,82の間に設けられた複数のボール83とを備える。センサロータ12は、このインナーリング82の一端部にてフランジ状に一体に形成される。従って、ベアリング9のインナーリング82が、モータシャフト5と一体に回転することにより、センサロータ12も一体に回転する。このセンサロータ12の回転が、センサステータ13により検出されることとなる。
図25及び図26に示すように、センサロータ12には、第1実施形態のそれと同様、その軸方向外面に、周方向に交互に配置された角度検出用の凹凸が設けられる。この凹凸は、センサロータ12の円周面と円周方向に垂直な面により構成される。すなわち、センサロータ12は、円形平板の外面の2箇所に凸部12aA,12aBを、他の2箇所に凹部12bA,12bBをそれぞれ備える。2箇所の凸部12aA,12aBと、2箇所の凹部12bA,12bBは、各々が90度の角度間隔をもって配置される。すなわち、センサロータ12において、凹部12bA,12bBは、円周方向に所定の角度間隔(この場合「180度」の角度間隔)により形成される。
従って、この実施形態のモータ1によれば、ベアリング9を構成するインナーリング82の一端にセンサロータ12が一体に設けられ、その軸方向外面に、周方向に交互に配置された角度検出用の凹凸(凹部12bA,12bB、凸部12aA,12aB)が設けられるので、凹凸を有する角度検出用のセンサロータをモータ1に別途設ける必要がない。このため、回転検出器の構成部品の一部を省略して回転検出器付きモータ1の全体構成の部品点数と工数を削減することができる。
<第5実施形態>
次に、本発明におけるモータロータ及びモータを具体化した第5実施形態につき図27を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、回転検出器11とモータシャフト5の関係の点で、第4実施形態と構成が異なる。図27に、回転検出器付きモータ1を断面図により示す。この実施形態で、モータシャフト5が、センサロータ12及びセンサステータ13を貫通しないように設けられる。すなわち、センサロータ12及びセンサステータ13には、それぞれ中心孔が形成されておらず、モータシャフト5の一端部は、ベアリング9のインナーリング82の内側に収容される。
この実施形態では、モータシャフト5がモータケース2の一端側のみに突出するタイプのモータ1に有効に適用することができる。
<第6実施形態>
次に、本発明におけるモータロータ及びモータを具体化した第6実施形態につき図28を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、センサステータ13とモータケース2との関係の点で、第5実施形態と構成が異なる。図28に、回転検出器付きモータ1を断面図により示す。この実施形態で、モータケース2の一端には、ベアリング9に対応した中心凹部2cが形成される。そして、センサステータ13は、この中心凹部2cの中に収容され、その底壁に固定される。
この実施形態では、回転検出器11を、モータケース2の一端側が閉塞するタイプのモータ1に有効に適用することができる。
なお、この発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更して実施することもできる。
この発明は、回転検出器付きモータの製造に利用することができる。
1 モータ
3 モータステータ
3a コイル
4 モータロータ
5 モータシャフト(回転軸)
6 ロータコア(鉄心部)
6a 貫通孔
7 永久磁石
8A 第1のエンドプレート(端板)
8B 第2のエンドプレート(端板)
11 回転検出器
12 センサロータ
12a 凸部
12b 凹部
12aA 凸部
12aB 凸部
12bA 凹部
12bB 凹部
13 センサステータ
15 センサステータ
16 センサロータ
16aA 凸部
16aB 凸部
16aC 凸部
16aD 凸部
16aE 凸部
16aF 凸部
16bA 凹部
16bB 凹部
16bC 凹部
16bD 凹部
16bE 凹部
16bF 凹部
23 励磁コイル
32 第1の検出コイル
34 第2の検出コイル
37 検出コイル

Claims (6)

  1. 回転軸と、
    前記回転軸の周りに配置され、軸方向に延びる複数の貫通孔が設けられる鉄心部と、
    前記複数の貫通孔にそれぞれ収容される複数の永久磁石と、
    前記複数の貫通孔の開口を塞ぐように前記鉄心部の両端に設けられる一対の端板と
    を備えたモータロータであって、
    前記端板は、非磁性体で構成されており、前記一対の端板の少なくとも一方の軸方向外面に、周方向に交互に配置された角度検出用の凹凸が設けられることを特徴とするモータロータ。
  2. 請求項1に記載のモータロータと、
    コイルを含むモータステータと
    を備えたモータであって、
    前記モータロータの前記端板の軸方向外面に設けられた前記凹凸に対向する位置に、高周波信号が入力される励磁コイルを備えた検出器が設けられることを特徴とするモータ。
  3. 前記検出器は、検出コイルを更に備え、前記検出コイルは、前記励磁コイルに高周波信号が入力されることにより、前記凹凸の位置にて変動する磁束の変化を起電力として出力するものであることを特徴とする請求項2に記載のモータ。
  4. 前記励磁コイル及び前記検出コイルは、平面状に巻き回されたものであることを特徴とする請求項3に記載のモータ。
  5. 前記凹凸は、円周面と円周方向に垂直な面により構成され、前記検出コイルは、順方向に巻き回される順方向コイルと、逆方向に巻き回される逆方向コイルが周方向に隣り合って配置されるものであり、前記順方向コイルの幅と前記逆方向コイルの幅の合計が前記凹凸の1周期に略一致し、前記順方向コイル及び前記逆方向コイルは、それぞれ複数回巻き回されるものであり、巻き数が正弦波状に増減するように周方向に分布して配置されることを特徴とする請求項4に記載のモータ。
  6. 前記端板の前記凹凸は、前記励磁コイルとの距離が周期的に変動するように構成され、前記検出器は、前記励磁コイルのインダクタンス変化により角度を検出するものであることを特徴とする請求項2に記載のモータ。
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