JP5331672B2 - 回転角センサ - Google Patents
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ロボットのハンドを移動させるモータ軸の位置検出には、小型化が可能なレゾルバが使用されている。レゾルバは、モータの内部に組み込まれて、モータのロータ軸に直接取り付けられている。
特許文献1のレゾルバは、通常、8〜10kHzの周波数領域の励磁信号を使用しているため、コイルの巻線数が多く、コイルの外径寸法が大きくなり、レゾルバ自体の直径方向寸法が大きくなると共に、レゾルバロータの軸心方向における長さも長くなる問題があった。ロボットのハンド駆動用のモータ軸に使用する場合に、モータが大きくなり、問題となっていた。
また、特許文献1の技術は、8〜10kHzの周波数領域で励磁しているので、モータからの外乱電磁ノイズ(例えば、モータの回転数18000rpm、NS極4対、6次モータの場合には、7.2kHzの周波数のノイズ)の影響を受けやすく、レゾルバ角度検出精度が低下する問題があった。
(1)特許文献2の技術では、レゾルバステータ平板上に励磁コイルを形成し、レゾルバロータ平板上に検出コイルを形成し、両方の平板上にロータリィトランスコイルを形成している。一対のロータリィトランスコイルは、検出コイルで発生した検出信号をレゾルバステータ側に伝達する機能を有している。しかし、ロータリィトランスコイルを用いて検出信号を伝達させると、信号の伝達効率が、1/100程度まで低下する問題があった。これにより、S/Nが低下する問題があった。
特許文献1の技術では、レゾルバステータ側に励磁コイルと検出コイルとが形成され、レゾルバロータ側には、磁性体金属の歯が形成されているだけであり、ロータリィトランスコイルを使用していないため、この問題はないが、前述したように、レゾルバの直径方向の寸法が大きくなると共に、レゾルバの軸心方向の長さも長くなるという問題が残っている。
また、特許文献1の技術は、8〜10kHzの周波数領域で励磁しているので、モータからの外乱電磁ノイズの影響を受けやすく、レゾルバ角度検出精度が低下する問題があった。
ここで、特許文献2と特許文献1を組み合わせようとする場合、レゾルバステータ平板上に励磁コイルと検出コイルとを形成する。一方、磁性体金属製のレゾルバロータ平板上に凹凸を形成して、周期的なギャップを形成する必要があり、コストアップする問題がある。
しかし、正弦波コイル層と、余弦波コイル層が各々別々に積層されているので、正弦波コイルと励磁コイルとの隙間と、余弦波コイルと励磁コイルとの隙間が同じとならないため、レゾルバステータとレゾルバロータとの位置関係に変化があった場合に、発生する検出信号に誤差が発生する恐れがあった。
例えば軸受のガタにより、レゾルバステータとレゾルバロータとの隙間が、軸方向で0.2mm程度距離が変化した場合、正弦波コイルと励磁コイルとのゲインと、余弦波コイルと励磁コイルとのゲインに大きな差異が発生し、角度検出誤差が発生する恐れがある。
ここで、ロボットハンド駆動用モータの出力軸は、精度の高い検出が望まれるため、特に問題となる。
(1)励磁信号が入力される励磁コイルと検出信号を出力する検出コイルとを備えるステータと、前記ステータに対向した位置にあって回転するロータと、を有する回転角センサにおいて、ステータがステータ平板上に形成されていること、ロータが平板状のロータ平板であること、ステータ平板とロータ平板とが平行に対向していること、ロータ平板に、切欠部が形成されている。
(2)(1)に記載する回転角センサにおいて、前記ロータ平板が非磁性導電体で形成されていることを特徴とする。
(3)(2)に記載する回転角センサにおいて、前記非磁性導電体がSUS305であることを特徴とする。
(4)(3)に記載する回転角センサにおいて、前記ロータ平板が、前記切欠部が形成された平板部の中央に、モータ軸と嵌合する凸部がプレス成形により形成されていることを特徴とする。
(6)(5)に記載する回転角センサにおいて、前記検出コイルが、順次連続する第1、第2正弦波コイルと、順次連続する第1、第2余弦波コイルを備えること、前記第1正弦波コイル、前記第1余弦波コイルが第1コイル層に形成され、前記第2正弦波コイル、前記第2余弦波コイルが第1コイル層に重なって形成された第2コイル層に形成されていること、を特徴とする。
(7)(6)に記載する回転角センサにおいて、前記正弦波コイルの各々が、第1正弦波分割コイルと第2正弦波分割コイルに分割されており、前記第1正弦波分割コイルが前記第1コイル層に形成され、前記第2正弦波分割コイルが前記第2コイル層に形成されていること、前記余弦波コイルの各々が、第1余弦波分割コイルと第2余弦波分割コイルに分割されており、前記第1余弦波分割コイルが前記第2コイル層に形成され、前記第2余弦波分割コイルが前記第1コイル層に形成されていること、を特徴とする。
(9)(8)に記載する回転角センサにおいて、前記正弦波コイルを形成する複数の巻線部が、同じ方向を向いた均一な磁束が作用したときに、磁束通過する範囲の変化により、前記正弦波コイルの出力信号が正弦波状に変化するように配置されていること、前記余弦波コイルを形成する複数の巻線部が、同じ方向を向いた均一な磁束が作用したときに、磁束通過する範囲の変化により、前記余弦波コイルの出力信号が余弦波状に変化するように配置されていること、を特徴とする。
(1)励磁信号が入力される励磁コイルと検出信号を出力する検出コイルとを備えるステータと、前記ステータに対向した位置にあって回転するロータと、を有する回転角センサにおいて、ステータがステータ平板上に形成されていること、ロータが平板状のロータ平板であること、ステータ平板とロータ平板とが平行に対向していること、ロータ平板に、切欠部が形成されていることを特徴とするので、直径方向の寸法を小さくすることができる。また、ロータ平板上に凹凸を形成する必要がないため、コストを低減することができる。
(2)(1)に記載する回転角センサにおいて、前記ロータ平板が非磁性導電体で形成されていることを特徴とするので、励磁コイル・検出コイルが、ロータの切欠部に対向しているときには、検出コイルに誘起電流が流れるが、励磁コイル・検出コイルが、ロータの非磁性導電体部に対向しているときには、検出コイルに誘起電流がほとんど流れないため、検出コイルを流れる誘起電流である検出電流値により、回転角度を検出することができる。
励磁コイル・検出コイルに対して切欠部が対向している位置においては、励磁コイルで発生する磁束IAが検出コイルを通過して、検出コイルで誘導電流が発生する。
一方、レゾルバロータの非磁性導電体部が対向している検出コイルでは、検出電流はほとんど流れない。その理由は、励磁コイルで発生した磁束IAにより非磁性導電体部では、表面に渦電流が発生する。そして、発生した渦電流により、負方向(正方向と逆方向)の磁束IBが発生する。励磁コイルで発生した正方向の磁束IAと、渦電流により発生した負方向の磁束IBとが打ち消しあうため、検出コイルに電流が流れないのである。
(4)(3)に記載する回転角センサにおいて、前記ロータが、前記切欠部が形成された平板部の中央に、モータ軸と嵌合する凸部がプレス成形(絞り加工)により形成されていることを特徴とするので、非磁性導電体部と切欠部とが形成された平板部と、モータ軸と嵌合される凸部との直角度を精度良く形成することができ、レゾルバロータの平面部と、レゾルバステータの平面部との平行度を良くすることができる。また、1プレス工程で切欠部と、凸部とを同時に成形できるため、コストを低減することができる。
さらに、該凸部に周り止め部をプレス成形により、同時に形成すると、加工工程をより少なくでき、より大きくコストダウンすることができる。
(6)(5)に記載する回転角センサにおいて、前記検出コイルが、順次連続する第1、第2正弦波コイルと、順次連続する第1、第2余弦波コイルを備えること、前記第1正弦波コイル、前記第1余弦波コイルが第1コイル層に形成され、前記第2正弦波コイル、前記第2余弦波コイルが第1コイル層に重なって形成された第2コイル層に形成されていること、を特徴とするので、レゾルバを取り付けたときに、レゾルバステータとレゾルバロータとの隙間が変化しても、正弦波コイルとレゾルバロータとの位置関係と、余弦波コイルとレゾルバロータの位置関係とが、常に一定とされているため、隙間の変化により発生する誤差を低減できる。
(9)(8)に記載する回転角センサにおいて、前記正弦波コイルを形成する複数の巻線部が、同じ方向を向いた均一な磁束が作用したときに、磁束通過する範囲の変化により、前記正弦波コイルの出力信号が正弦波状に変化するように配置されていること、前記余弦波コイルを形成する複数の巻線部が、同じ方向を向いた均一な磁束が作用したときに、磁束通過する範囲の変化により、前記余弦波コイルの出力信号が余弦波状に変化するように配置されていること、を特徴とするので、ロータ平板上に凹凸を形成せずに、切欠部を構成するだけで、検出コイル全体として、適切な検出信号を得ることができる。
すなわち、特許文献1のようなVR型レゾルバにおいては、全周で同時に信号を得るために、全周において、レゾルバロータとレゾルバステータとの間のギャップを周期的に変化させる必要があった。しかし、本発明では、検出コイルの巻線位置自体を、同じ方向を向いた一定量の磁束が作用したときに、磁束通過する範囲の変化により、前記正弦波コイルの出力信号が正弦波状に変化するように配置しているので、レゾルバロータとレゾルバステータとの間のギャップが一定であっても、検出コイルで発生する電流が打ち消しあうことがないため、レゾルバロータの表面に凹凸を形成する必要がない。
図1に、レゾルバ付きモータ(以下、単に「モータ」と言う。)1の一端部を断面図により示す。図1に示すように、モータ1は、本体ベース板6、中空状のモータケース2、モータケース2の中空部に設けられたモータステータ3及びモータロータ4と、モータロータ4の中心に一体に設けられたモータシャフト5とを含む。モータシャフト5の一端部は、モータケース2の外部へ突出している。
モータステータ3は、モータケース2の内面に固定されている。モータステータ3は、図示しないステータコアとコイルを含む。モータロータ4は、モータステータ3の内側に配置される。モータロータ4は、図示しない永久磁石を保持している。モータシャフト5は、本体ベース板6に設けられたベアリング10と、モータケース2の端部に設けられたベアリング9とにより回転可能に両端が支持されている。
モータ1は、モータステータ3の励磁コイルを励磁することにより、永久磁石が磁力を受けて、モータロータ4がモータシャフト5と一体に回転するようになっている。
図1に示すように、レゾルバ11は、モータケース2の内側において、モータロータ4と本体ベース板6との間に配置される。レゾルバ11は、レゾルバロータ12と、レゾルバロータ12に所定の隙間を介し対向して配置されたレゾルバステータ13とを含む。
レゾルバ11は、大きく回路部58とセンサ部59に分けられる。回路部58において、基準クロック発生器55は、分周回路56に接続している。また、分周回路56は、カウンタ57に接続している。また、カウンタ57は、D/Aコンバータ58と分周回路59に接続している。また、D/Aコンバータ58は、励磁コイル23に接続している。また、カウンタ57は、分周回路59に接続している。
また、分周回路59は、正弦波用の同期検波器51、及び余弦波用の同期検波器52に接続している。また、同期検波器51は、積分回路53に接続している。また、同期検波器52は、積分回路54に接続している。また、積分回路53と積分回路54は、演算機60に接続している。
センサ部59において、正弦波コイル21は、同期検波器51に接続している。また、余弦波コイル22は、同期検波器52に接続している。励磁コイル23は、D/Aコンバータに接続している。レゾルバロータ12は、電気的接続を有していない。
図5に示すように、最下層には、外周の3箇所に取り付け部が形成された中空円盤状のステータベース平板30が配置されている。
ステータベース平板30の上には、絶縁層31が形成されている。絶縁層31の上には、第1励磁コイル23Aが形成されている。第1励磁コイル23Aは、90度ずつに分割されて、4個の分割コイル23A1、23A2、23A3、23A4を有している。また、第1励磁コイル23Aは、一対の端子部23Aa、23Abを有している。
第1励磁コイル23Aの上には、絶縁層32が形成されている。絶縁層32の上には、第2励磁コイル23Bが形成されている。第2励磁コイル23は、第1励磁コイル23Aの4個のコイルと対応する同じ位置に、4個の分割コイル23B1、23B2、23B3、23B4を有している。
励磁コイル23は、全て同じ方向、同じ巻数で構成されているため、同じ方向に向かって、ほぼ均一な磁束を発生することができ、同じ方向に均一な励磁を行うことができる。
このようにして、順次第1励磁コイル23Aと第2励磁コイル23Bの各分割コイルが接続されている。第2励磁コイル23Bの上には、絶縁層33が形成されている。
励磁コイル23を、第1励磁コイル23Aと第2励磁コイル23Bに分けて2層に構成しているのは、2層にすることにより面積を増やすことなく、発生する磁束量を増加させるためである。
絶縁層35の上には、第2検出コイル層36が形成されている。第2検出コイル層36は、45度ずつに分割された8個の分割コイルを有している。すなわち、余弦波分割コイル22Aに対応する位置に正弦波分割コイル21Aが形成され、正弦波分割コイル21Bに対応する位置に余弦波分割コイル22Bが形成されている。同様にして順次、正弦波分割コイル21C、余弦波分割コイル22D、正弦波分割コイル21E、余弦波分割コイル22F、正弦波分割コイル21G、余弦波分割コイル22Hが形成されている。第2検出コイル層36の上には、絶縁層37が形成されている。
正弦波分割コイル21B、21Cにより、第1正弦波コイル21BCが構成され、正弦波分割コイル21D、21Eにより、第2正弦波コイル21DEが構成され、正弦波分割コイル21F、21Gより、第3正弦波コイル21FGが構成され、正弦波分割コイル21H、21Aにより、第4正弦波コイル21HAが構成される。第1正弦波コイルBC、第3正弦波コイルFGと、第2正弦波コイルDE、第4正弦波コイルHAとは、巻き方向が逆であり、正方向の磁束に対して逆向きの誘起電流を発生する。
余弦波分割コイル22A、22Bにより、第1余弦波コイル22ABが構成され、余弦波分割コイル22C、22Dにより、第2余弦波コイル22CDが構成され、余弦波分割コイル22E、22Fより、第3余弦波コイル22EFが構成され、余弦波分割コイル22G、22Hにより、第4余弦波コイル22GHが構成される。第1余弦波コイルAB、第3余弦波コイルEFと、第2余弦波コイルCD、第4余弦波コイルGHとは、巻き方向が逆であり、正方向の磁束に対して逆向きの誘起電流を発生する。
これにより、正弦波コイル21と余弦波コイル22とは、45度角度をずらして形成されている。
レゾルバロータ12は、非磁性導電体金属であるSUS305を材料として、円形平板の2箇所に切欠部12bが形成され、2箇所の非磁性導電体部12aを備えている。2箇所の切欠部12bと、2箇所の非磁性導電体部12aは、各々が90度の角度で形成されている。
レゾルバロータ12には、平板部の中央にプレス絞り加工で形成された中空状の凸部が形成されている。レゾルバロータ12は、凸部12cの中空部により、シャフト5の外周に圧入固定されている。凸部と平板部との直角度は精度良く形成しているので、レゾルバロータ12の平板部と、レゾルバステータ13の平板との平行度は精度良く構成されているため、両者の間隔も一定にされている。
レゾルバロータ12は、本実施例では、SUS305を使用しているが、非磁性体金属であれば、SUS304、アルミニウム、真鍮等を用いても良い。
レゾルバロータ12は、90度で4分割した箇所のうち、対向する2箇所に切欠部12bと非磁性導電体部12aが形成されており、正弦波コイル21と余弦波コイル22が、45度で分割した8箇所に分割コイルを有するので、2Xの検出コイルを構成している。
図3に示す制御回路において、基準クロック発生器55は、32MHzの高周波の基準クロックを生成する。分周回路56は、周波数分割回路とも呼ばれ、基準クロック発生器55で生成した高い周波数のクロックを、低周波のクロックに変換する回路である。分周回路56は、32MHzの基準クロックを500kHzの周波数に分周する。カウンタ57は、64個のパルスをカウントし、D/Aコンバータ58に対して、64個のパルスを1周期として出力する。
D/Aコンバータ58は64個のパルスを1周期として、振幅変調させることにより、500kHz/64=7.8125kHzの正弦波励磁信号を作成し、励磁コイル23を励磁する。励磁コイル23に正弦波励磁信号が通電されることにより、磁界が発生し、検出コイルである正弦波コイル21と余弦波コイル22に誘起電流である検出電流が流れる。この作用については、後で詳細に説明する。
同期検波回路51は、分周回路59のタイミングで、正弦波コイル21から入力された検出電流値を読み出し、積分回路53に送る。積分回路53は、検出電流の電流値を、所定時間分だけ積分することにより、検出電流値を部分平均している。部分平均された積分回路出力は、演算機60に送られる。
所定時間分だけ積分を行っている理由は、本実施の形態では、500kHzの搬送波を振幅変調して、7.8125kHzの信号波としているので、ある時刻における誘起電流は、搬送波による誘起電流ちとなる。搬送波の誘起電流値でなく、信号波の誘起電流値を得るために、所定時間内における誘起電流値の積分を算出しているのである。すなわち、複数個の搬送波を積分している。
演算機60は、積分回路53から入力した正弦波コイル21の積分回路出力と、積分回路54から入力した余弦波コイル22の積分回路出力との比を求め、その比を角度データ61として、出力する。振幅式レゾルバでは、ある瞬間の電気角における、正弦波コイル21の積分回路出力と、余弦波コイル22の積分回路出力との比は、電気角と一義的に対応しているため、その比を角度データとして得れば、現在のレゾルバロータ12の角度を測定することができる。
図10(a)に、ある時間におけるレゾルバステータ13(ステータベース平板30、励磁コイル23、正弦波コイル21、余弦波コイル22)と、レゾルバロータ12(切欠部12b、非磁性導電体部12a)の位置関係を示す。実際は、円形状のグラフとなるのであるが、見やすいように直線上のグラフとしている。
横軸にとった電気角は360度(2Xコイルなので機械角は180度)である。レゾルバステータ13は、ステータベース平板30の上に、励磁コイル23が形成され、その上
に正弦波コイル21と余弦波コイル22が形成されている。レゾルバロータ12は、2箇所に、各々電気角で180度分(2Xコイルなので機械角は90度)の範囲に切欠部12bと非磁性導電体部12aが交互に形成されている。
励磁コイル23(23A、23B)に、D/Aコンバータ58から、500kHzの搬送波により、振幅変調された7.8125kHzの信号波が入力すると、その電流値に応じて、正方向(励磁コイルで発生する磁束の方向を言う。)の磁束IAが発生する。磁束IAの発生により、正弦波コイル21及び余弦波コイル22に誘起電流が流れる。
一方、図9は、レゾルバロータ12の非磁性導電体部12a部分における断面を示している。
レゾルバロータ12では、非磁性導電体部12aが、正弦波コイル21と余弦波コイル22に対向している。励磁コイル23(23A、23B)に、D/Aコンバータ58から、500kHzの搬送波により、振幅変調された7.8125kHzの信号波が入力すると、その電流値に応じて、正方向(励磁コイルで発生する磁束の方向を言う。)の磁束IAが発生する。
しかし、非磁性体金属である非磁性導電体部12aに磁束IAが入ると、非磁性導電体部12aの表面に渦電流が発生する。そして、発生した渦電流により、負方向(励磁信号で発生する磁束の方向に対して逆方向を言う。)の磁束IBが発生する。この磁束IBにより、励磁コイル23で発生した正方向の磁束IAが打ち消されるため、全体としての磁束は、図8の場合と比較して、ほとんど無くなってしまう。
したがって、図10(a)の状態では、切欠部12bと重なる領域(電気角160度から340度まで)のみ磁束IAが発生するとみなすことができる。
図15(a)に正弦波コイル21の一例を示す。ここでは、見やすくするために、同一平面状で表現している。4個の正弦波コイル21は、7組のコイル導線21a−21n、21b−21m、21c−21l、21d−21k、21e−21j、21f−21i、21g−21hから構成されている。
図14(a)は、正弦波コイル21に同じ方向に均一な磁束が通過したときの、各組のコイル導線により発生し得る誘起電流の大きさをそれぞれ矩形21´a−21´n、21´b−21´m、21´c−21´l、21´d−21´k、21´e−21´j、21´f−21´i、21´g−21´hで表したものである。そして、正弦波コイル21全体で発生し得る誘起電流の大きさは、波形21´で表される。このように、正弦波コイル21を7組のコイル導線21a−21n、21b−21m、21c−21l、21d−21k、21e−21j、21f−21i、21g−21hで構成することにより、正弦波コイル21に発生する誘起電流を、正弦波カーブの磁束が通過する範囲における積分値で表すことができる。
図14(b)は、余弦波コイル22に同じ方向に均一な磁束が通過したときの、各組のコイル導線により発生し得る誘起電流の大きさをそれぞれ矩形22´a−22´n、22´b−22´m、22´c−22´l、22´d−22´k、22´e−22´j、22´f−22´i、22´g−22´hで表したものである。そして、余弦波コイル22全体で発生し得る誘起電流の大きさは波形22´で表される。このように、余弦波コイル22を7組のコイル導線22a−22n、22b−22m、22c−22l、22d−22k、22e−22j、22f−22i、22g−22hで構成することにより、余弦波コイル22に発生する誘起電流を、余弦波カーブの磁束が通過する範囲における積分値で表すことができる。
図10(c)に、(a)の波形21´のみを取り出して表す。電気角160度から180度までの範囲では、MSA1で示す面積のプラスの誘起電流(+MSA1)が発生し、
電気角180度から340度までの範囲では、MSA2で示すマイナスの誘起電流(−MSA2)が発生する。したがって、正弦波コイル21で発生する誘起電流MA=+MSA1−MSA2である。これを図10(b)に示す。
一方、図10(d)に、(a)の波形22´のみを取り出して表す。電気角160度から270度までの範囲では、MSB1で示す面積のマイナスの誘起電流(−MSB1)が発生し、電気角270度から340度までの範囲では、MSB2で示すプラスの誘起電流(+MSB2)が発生する。したがって、余弦波コイル22で発生する誘起電流の総量MB=+MSB2−MSB1である。これを図10(b)に示す。図10(b)に示す誘起電流MA、誘起電流MBは、電流計で計測される実際の計測値である。
次に、正弦波コイル21で発生する誘起電流MAについて、積分回路53により高周波成分をなまして、MAAを求める。また、余弦波コイル22で発生する誘起電流MBについて、積分回路54により高周波成分をなまして、MBBを求める。
そして、演算機60が、MAAとMBBの比(MAA/MBB)を算出する。MAA/MBBより、レゾルバステータ13に対するレゾルバロータ12の角度変位を求めることができる。
演算機60は、MAA/MBBを角度データ61として、出力する。
図12に、ロータ角度T1における、正弦波コイル21と非磁性導電体部12a(12aA、12aB)との位置関係を示し、下段に余弦波コイル22と非磁性導電体部12a(12aA、12aB)との位置関係を示す。見やすくするために、図12では図5と異なり、正弦波コイル21、余弦波コイル22を各々一つの面に表現している。
また、L1〜L4は、正方向の磁束IAの強い部分を示す。
励磁コイル23により発生する磁束IAは、全ての領域で同じ方向で均一なので、第1正弦波コイル21BCと第2正弦波コイルDEでは、絶対値の等しい逆向きの誘起電流が発生する。同様に、第3正弦波コイル21FGと第4正弦波コイルHAでは、絶対値の等しい逆向きの誘起電流が発生する。
一方、非磁性導電体部12a(12aA、12aB)の領域では、磁束IAが、渦電流により発生する磁束IBで打ち消されるため、正弦波コイル21に誘起電流が流れない。そのため、正弦波コイル21を流れる電流値はゼロ(SAT1)となる。
本実施の形態では、正弦波コイル21の誘起電流値を得るために、図3に示す積分回路53により、所定時間内における誘起電流値の積分を算出している。
励磁コイル23により発生する磁束IAは、全ての領域で同じ方向で均一なので、第2正弦波コイル21CDでは、最大の誘起電流が発生する。同様に、第4余弦波コイル21GHでは、最大の誘起電流が発生する。第1余弦波コイル22AB、第3余弦波コイル22EFでは、誘起電流は発生しない。
一方、非磁性導電体部12a(12aA、12aB)の領域では、磁束IAが、渦電流により発生する磁束IBで打ち消されるため、余弦波コイル22に誘起電流が流れない。そのため、余弦波コイル22を流れる電流値は最大(SBT1)となる。
本実施の形態では、余弦波コイル22の誘起電流値を得るために、図4に示す積分回路54により、所定時間内における誘起電流値の積分を算出している。
ロータ角度T2においては、正弦波コイル21の8個の正弦波分割コイル21A〜21Hのうち、21E、21Aの全ての領域、及び正弦波分割コイル21D、21F、21H、21Bの一部の領域が、レゾルバロータ12の切欠部12bに対向している。そして、21G、21Cの全ての領域、及び正弦波分割コイル21D、21F、21H、21Bの一部の領域が、非磁性導電体部12a(12aA、12aB)に対向している。
励磁コイル23により発生する磁束IAは、全ての領域で同じ方向で均一なので、第2正弦波コイル21DEと第3正弦波コイルFGでは、逆向きの誘起電流が発生する。同様に、第4正弦波コイル21HAと第1正弦波コイルBCでは、逆向きの誘起電流が発生する。
一方、非磁性導電体部12a(12aA、12aB)の領域では、磁束IAが、渦電流により発生する磁束IBで打ち消されるため、正弦波コイル21に誘起電流が流れない。そのため、正弦波コイル21を流れる電流値は、それらの演算値(SAT2)となる。
励磁コイル23により発生する磁束IAは、全ての領域で同じ方向で均一なので、第2余弦波コイル22CDと第3余弦波コイルEFでは、逆向きの誘起電流が発生する。同様に、第4余弦波コイル22GHと第1正弦波コイルABでは、逆向きの誘起電流が発生する。
一方、非磁性導電体部12a(12aA、12aB)の領域では、磁束IAが、渦電流により発生する磁束IBで打ち消されるため、余弦波コイル22に誘起電流が流れない。そのため、余弦波コイル22を流れる電流値は、それらの演算値(SBT2)となる。
演算機60は、SAT1/SBT1を角度データ61として、出力する。
同様に、ロータ角度T2において、演算機60が、正弦波コイル21に発生した誘起電流の積分値SAT2、及び余弦波コイル22で発生した誘起電流の積分値SBT2の比(SAT2/SBT2)を算出する。SAT2/SBT2より、ロータ角度T2におけるレゾルバステータ13に対するレゾルバロータ12の角度変位を求めることができる。
演算機60は、SAT2/SBT2を角度データ61として、出力する。
本実施例のレゾルバ11では、出力電圧A1が250mV、ノイズA2が4.5mVであり、S/N比A3は、約55である。比較例のレゾルバでは、出力電圧B1が150mV、ノイズB2が19mVであり、S/N比B3は、約8である。
上記実験により、レゾルバロータとして磁性導電性材料を用いた比較例のレゾルバにおいても、回転角センサとして実用可能であることが確認でき、同時に、レゾルバロータとして、非磁性導電体材料を用いたレゾルバ11では、S/N比が非常に高く、回転角センサとして優れた特性を有することが確認できた。
また、特許文献2の技術と比較して、ロータリィトランスを必要としないため、S/N比を高くできる。特許文献2の技術では、S/N比が4程度であったのを、本実施の形態では、S/N比を50以上とすることができた。
付けたときに、レゾルバステータ13とレゾルバロータ12との隙間が変化しても、正弦波コイル21とレゾルバロータ12との位置関係と、余弦波コイル22とレゾルバロータ12の位置関係とが、常に一定とされているため、レゾルバ11の取り付けによる誤差を低減できる。
また、本実施の形態では、励磁コイル23A、23Bの8組の導線の巻数及び巻き方向が同じであり、円周方向に単一極性に配置されていることを特徴とするので、円周方向の全ての箇所において、励磁信号を均一な条件で励磁することができる。
また、500kHzの高周波を使用しているため、検出コイルの巻き数を少なくでき、平板形状にできるため、特許文献1の技術と比較して、レゾルバの軸心方向の寸法を短くすることができる。
また、本実施の形態では、検出コイルを2X化(偶数極化)しているため、アキシャル方向のギャップで使用する場合に、軸の傾きにより発生する出力信号の誤差を平準化できる。
すなわち、VR型レゾルバにおいては、全周で同時に信号を得るために、全周において、レゾルバロータとレゾルバステータとの間のギャップを周期的に変化させる必要があった。しかし、本実施例のレゾルバ11では、検出コイル(正弦波コイル21、余弦波コイル22)の巻線(コイル導線)位置自体を、同じ方向を向いた均一な磁束が作用したときに、レゾルバロータ12の角度に応じて、磁束の通過する範囲を変えることにより、正弦波状あるいは余弦波状の検出信号を出力するように配置しているので、レゾルバロータとレゾルバステータとの間のギャップが一定であっても、検出コイル(正弦波コイル21、余弦波コイル22)で発生する電流が打ち消しあうことがないため、レゾルバロータ12の表面に凹凸を形成する必要がない。
そして、(A)検出コイル(正弦波コイル21、余弦波コイル22)の巻線(コイル導線)位置自体を、同じ方向を向いた均一な磁束が作用したときに、レゾルバロータ12の角度に応じて、磁束の通過する範囲を変えることにより、正弦波状あるいは余弦波状の検出信号を出力するように配置でき、(B)励磁信号として同じ方向のみの磁束を発生させ、(C)レゾルバステータ13の励磁コイル23と、検出コイル(正弦波コイル21、余弦波コイル22)と、レゾルバロータ12とを、対向して配置しているので、レゾルバロータとレゾルバステータとの間のギャップが一定であっても、検出コイル(正弦波コイル21、余弦波コイル22)で発生する電流が打ち消しあうことがないため、レゾルバロータ12の表面に凹凸を形成する必要がない。
従来、特許文献1のようなVR型レゾルバでは、レゾルバロータの外周を、正弦波カーブに成形することにコストがかかり問題となっていた。本実施例では、レゾルバロータ12に正弦波カーブを形成する必要がないため、大きなコストダウンを実現することができた。
例えば、本実施の形態では、2Xコイルとするために、正弦波コイル21と余弦波コイル22とを、各々8個に分割して分割コイルを形成したが、1Xコイルを形成するならば、正弦波コイル21を、第1分割コイル21A、第2分割コイル21B、第3分割コイル21C、第4分割コイル21Dとし、余弦波コイル22を、第1分割コイル22A、第2分割コイル22B、第3分割コイル22C、第4分割コイル22Dで構成しても良い。
また、本実施の形態では、振幅式のレゾルバについて説明したが、本発明はレゾルバの構造に関するものであり、位相差式レゾルバに適用することもできる。
12 レゾルバロータ
12a 非磁性導電体部
12b 切欠部
13 レゾルバステータ
21 正弦波コイル
22 余弦波コイル
23 励磁コイル
30 ステータベース平板
Claims (9)
- 励磁信号が入力される励磁コイルと検出信号を出力する検出コイルとを備えるステータと、前記ステータに対向した位置にあって回転するロータと、を有する回転角センサにおいて、
前記ステータがステータ平板上に形成されていること、
前記ロータが平板状のロータ平板であること、
前記ステータ平板と前記ロータ平板とが平行に対向していること、
前記ロータ平板に、切欠部が形成されていること、
前記検出コイルは渦巻き状に巻回された複数の平面コイルで形成されており、前記平面コイルのコイルピッチは内側に向かって徐々に大きくなっていること、
を特徴とする回転角センサ。 - 請求項1に記載する回転角センサにおいて、
前記ロータ平板が非磁性導電体で形成されていることを特徴とする回転角センサ。 - 請求項2に記載する回転角センサにおいて、
前記非磁性導電体がSUS305であることを特徴とする回転角センサ。 - 請求項3に記載する回転角センサにおいて、
前記ロータ平板が、前記切欠部が形成された平板部の中央に、モータ軸と嵌合する凸部が形成されていることを特徴とする回転角センサ。 - 請求項1乃至請求項4に記載する回転角センサのいずれか1つにおいて、
前記励磁コイルと前記検出コイルとが、前記ステータ平板上に積層して形成されていることを特徴とする回転角センサ。 - 励磁信号が入力される励磁コイルと検出信号を出力する検出コイルとを備えるステータと、前記ステータに対向した位置にあって回転するロータと、を有する回転角センサにおいて、
前記ステータがステータ平板上に形成されていること、
前記ロータが平板状のロータ平板であること、
前記ステータ平板と前記ロータ平板とが平行に対向していること、
前記ロータ平板に、切欠部が形成されていること、
前記検出コイルが、順次連続する第1、第2正弦波コイルと、順次連続する第1、第2余弦波コイルを備えること、
前記第1正弦波コイル、前記第1余弦波コイルが第1コイル層に形成され、前記第2正弦波コイル、前記第2余弦波コイルが第1コイル層に重なって形成された第2コイル層に形成されていること、
を特徴とする回転角センサ。 - 励磁信号が入力される励磁コイルと検出信号を出力する検出コイルとを備えるステータと、前記ステータに対向した位置にあって回転するロータと、を有する回転角センサにおいて、
前記ステータがステータ平板上に形成されていること、
前記ロータが平板状のロータ平板であること、
前記ステータ平板と前記ロータ平板とが平行に対向していること、
前記ロータ平板に、切欠部が形成されていること、
前記検出コイルの正弦波コイルの各々が、第1正弦波分割コイルと第2正弦波分割コイルに分割されており、前記第1正弦波分割コイルが前記第1コイル層に形成され、前記第2正弦波分割コイルが前記第2コイル層に形成されていること、
前記検出コイルの余弦波コイルの各々が、第1余弦波分割コイルと第2余弦波分割コイルに分割されており、前記第1余弦波分割コイルが前記第2コイル層に形成され、前記第2余弦波分割コイルが前記第1コイル層に形成されていること、
を特徴とする回転角センサ。 - 請求項6または請求項7に記載する回転角センサにおいて、
前記励磁コイルの導線の巻数及び巻き方向が同じであり、円周方向に単一極性に配置されていること、
を特徴とする回転角センサ。 - 請求項8に記載する回転角センサにおいて、
前記正弦波コイルを形成する複数の巻線部が、同じ方向を向いた均一な磁束が作用したときに、磁束通過する範囲の変化により、前記正弦波コイルの出力信号が正弦波状に変化するように配置されていること、
前記余弦波コイルを形成する複数の巻線部が、同じ方向を向いた均一な磁束が作用したときに、磁束通過する範囲の変化により、前記余弦波コイルの出力信号が余弦波状に変化するように配置されていること、
を特徴とする回転角センサ。
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