JP5249174B2 - 回転角センサ - Google Patents
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Description
自動車のモータ軸の位置検出には、耐高温性、耐ノイズ性、耐振動性、耐高湿性等の機能を満足するために、レゾルバが使用されている。レゾルバは、モータの内部に組み込まれて、モータのロータ軸に直接取り付けられている。
特許文献1のレゾルバは、通常、8〜10kHzの周波数領域の励磁信号を使用しているため、コイルの巻線数が多く、コイルの外形寸法が大きくなり、レゾルバ自体のロータの軸心方向における長さが長くなる問題があった。ハイブリッド自動車用のモータ軸に使用する場合、モータが大きくなり、問題となっていた。
また、特許文献1の技術は、8〜10kHzの周波数領域で励磁しているので、モータからの外乱電磁ノイズ(モータの回転数18000rpm、NS極4対、6次モータの場合には、7.2kHzの周波数のノイズ)の影響を受けやすく、レゾルバ角度検出精度が低下する問題があった。
(1)特許文献2の技術では、レゾルバステータ平板上に励磁コイルを形成し、レゾルバロータ平板上に検出コイルを形成し、両方の平板上にロータリィトランスコイルを形成している。一対のロータリィトランスコイルは、検出コイルで発生した検出信号をレゾルバステータ側に伝達する機能を有している。しかし、ロータリィトランスコイルを用いて検出信号を伝達させると、信号の伝達効率が、1/100程度まで低下する問題があった。これにより、S/Nが低下する問題があった。
特許文献1の技術では、レゾルバステータ側に励磁コイルと検出コイルとが形成され、レゾルバロータ側には、磁性体金属の歯が形成されているだけであり、ロータリィトランスコイルを使用していないため、この問題はないが、前述したように、軸心方向の長さが長くなるという問題が残っている。
また、特許文献1の技術は、8〜10kHzの周波数領域で励磁しているので、モータからの外乱電磁ノイズの影響を受けやすく、レゾルバ角度検出精度が低下する問題があった。
しかしながら、この実験では、検出電流の変化がほとんど発生することがなく、レゾルバの機能を全く果たさないことが確認された。
しかし、正弦波コイル層と、余弦波コイル層が各々別々に積層されているので、正弦波コイルと励磁コイルとの隙間と、余弦波コイルと励磁コイルとの隙間が同じとならないため、レゾルバステータとレゾルバロータとの位置関係に変化があった場合に、発生する検出信号に誤差が発生する恐れがあった。
すなわち、自動車モータは大型のため、熱膨張や軸受のガタによる軸方向の寸法変化が大きい。例えば、レゾルバステータとレゾルバロータとの隙間が、軸方向で0.25mm距離が変化した場合、正弦波コイルと励磁コイルとのゲインと、余弦波コイルと励磁コイルとのゲインに大きな差異が発生し、角度検出誤差が発生する恐れがある。
ここで、自動車用モータの出力軸は、精度の高い検出が望まれるため、特に問題となる。
(1)励磁信号が入力される励磁コイルと検出信号を出力する検出コイルとを備えるステータと、前記ステータに対向した位置にあって回転するロータと、を有する回転角センサにおいて、前記ロータの前記ステータに対抗する位置に、非磁性導電体部と磁性体部とが交互に形成されていることを特徴とする。
(2)(1)に記載する回転角センサにおいて、非磁性導電体材上に前記磁性体部を設けることで、前記非磁性道電体部と前記磁性体部を形成すること、を特徴とする。
(4)(2)に記載する回転角センサにおいて、前記磁性体部は、絶縁体に覆われた磁性材料の粉末により形成されていること、を特徴とする。
(5)(2)に記載する回転角センサにおいて、前記磁性体部は、絶縁体に覆われた磁性材料の粉末を塗布乾燥させて形成されていること、を特徴とする。
(7)(6)に記載する回転角センサにおいて、前記検出コイルが、順次連続する第1、第2正弦波コイルと、順次連続する第1、第2余弦波コイルを備えること、前記第1正弦波コイル、前記第1余弦波コイルが第1コイル層に形成され、前記第2正弦波コイル、前記第2余弦波コイルが第1コイル層に重なって形成された第2コイル層に形成されていること、を特徴とする。
(9)(7)または(8)に記載する回転角センサにおいて、前記励磁コイルの導線の巻数及び巻き方向が同じであり、円周方向に単一極性に配置されていることを特徴とする。
(1)励磁信号が入力される励磁コイルと検出信号を出力する検出コイルとを備えるステータと、前記ステータに対向した位置にあって回転するロータと、を有する回転角センサにおいて、前記ロータの前記ステータに対抗する位置に、非磁性導電体部と磁性体部とが交互に形成されていることを特徴とするので、レゾルバロータの磁性体部が対向している正弦波コイルと余弦波コイルでは、各々所定の検出電流が流れる。すなわち、励磁コイルに励磁信号(正弦波信号)が入力されると、励磁コイルで正方向(励磁コイルで発生する磁束の方向を言う。)の所定量の磁束が発生する。この磁束は、レゾルバロータの磁性体部を通過して磁気回路を形成するので、磁束の発生が多くなる。そして、発生した磁束により発生する誘起電流である検出電流は大きくなる。
ここで、非磁性体を置かずに、空間とした場合には、渦電流による負方向の磁束が発生せず、検出コイルに電流が流れるため、磁性体部との差異が小さくて、S/N比が悪く、レゾルバとして使用することができないことを、本発明者は、実験により確認している。
(3)(2)に記載する回転角センサにおいて、前記磁性体部は、粒状の磁性材料が絶縁体中に分散して設けられていること、を特徴とするので、簡便な方法で磁性体部を形成できるため、コストダウンできる。
また、絶縁された磁性粉末を使用しているので、磁性材料に発生する渦電流が小さいため、検出コイルを貫通する反磁界を少なくでき、検出電流を大きくすることができる。
また、磁性粉末は直径が1〜30μmであり、外周に絶縁層がコーティングされているので、磁性粉末同士が導通して渦電流が発生することがない。
また、磁性体部における磁性体の分布を均一化することができ、発生する磁束の均一性を高めることができる。
また、磁性粉末は直径が1〜30μmであり、外周に絶縁層がコーティングされているので、磁性粉末同士が導通して渦電流が発生することがない。
(5)(2)に記載する回転角センサにおいて、前記磁性体部は、絶縁体に覆われた磁性材料の粉末を塗布乾燥させて形成されていること、を特徴とするので、非磁性体ロータベース平板の所定の位置に、ペースト状にした磁性粉末を塗布(例えば、スクリーン印刷)して乾燥させるだけで、レゾルバロータを製造することができ、製造効率を高め、レゾルバのコストダウンを実現できる。すなわち、特許文献1の技術では、レゾルバロータを機械加工により高精度で製造しなければならず、製造コストが高くなっていた。それに対して、本発明では、スクリーン印刷によりレゾルバロータを製造できるため、大幅なコストダウンを実現できる。また、磁性体部における磁性体の分布を均一化することができ、発生する磁束の均一性を高めることができる。
また、絶縁された磁性粉末を使用しているので、磁性材料に発生する渦電流が小さいため、検出コイルを貫通する反磁界を少なくでき、検出電流を大きくすることができる。
また、磁性粉末は直径が1〜30μmであり、外周に絶縁層がコーティングされているので、磁性粉末同士が導通して渦電流が発生することがない。
(7)(6)に記載する回転角センサにおいて、前記検出コイルが、順次連続する第1、第2正弦波コイルと、順次連続する第1、第2余弦波コイルを備えること、前記第1正弦波コイル、前記第1余弦波コイルが第1コイル層に形成され、前記第2正弦波コイル、前記第2余弦波コイルが第1コイル層に重なって形成された第2コイル層に形成されていること、を特徴とするので、レゾルバを取り付けたときに、レゾルバステータとレゾルバロータとの隙間が変化しても、正弦波コイルとレゾルバロータとの位置関係と、余弦波コイルとレゾルバロータの位置関係とが、常に一定とされているため、隙間の変化により発生する誤差を低減できる。
(9)(6)に記載する回転角センサにおいて、前記励磁コイルの導線の巻数及び巻き方向が同じであり、円周方向に単一極性に配置されていることを特徴とするので、円周方向の全ての箇所において、励磁信号を均一な条件で励磁することができる。
図1に、レゾルバ付きモータ(以下、単に「モータ」と言う。)1の一端部を断面図により示す。図2に、図1の鎖線楕円S1の中を拡大断面図により示す。図3に、図2の一部を拡大断面図により示す。図1に示すように、モータ1は、モータケース2と、モータケース2の内部に設けられたモータステータ3及びモータロータ4と、モータロータ4の中心に一体に設けられたモータシャフト5とを含む。モータシャフト5の一端部は、モータケース2の外部へ若干突出する。モータケース2は、ケース本体6と、ケース本体6の開口端を塞ぐように固定されたエンドプレート7とを含む。
ステータボディ14は、ボルト16によりエンドプレート7に固定される。この固定の際には、ボルト16とステータボディ14のブラケット14eとの間に板ばね座金17が組み付けられる。
レゾルバ11は、大きく回路部58とセンサ部59に分けられる。回路部58において、基準クロック発生器55は、分周回路56に接続している。また、分周回路56は、カウンタ57に接続している。また、カウンタ57は、D/Aコンバータ58と分周回路59に接続している。また、D/Aコンバータ58は、励磁コイル23に接続している。また、カウンタ57は、分周回路59に接続している。
また、分周回路59は、正弦波用の同期検波器51、及び余弦波用の同期検波器52に接続している。また、同期検波器51は、積分回路53に接続している。また、同期検波器52は、積分回路54に接続している。また、積分回路53と積分回路54は、演算機60に接続している。
センサ部59において、正弦波コイル21は、同期検波器51に接続している。また、余弦波コイル22は、同期検波器52に接続している。励磁コイル23は、D/Aコンバータに接続している。レゾルバロータ12は、電気的接続を有していない。
図6に示すように、最下層には、外周の3箇所に取り付け部が形成された中空円盤状のステータベース平板30が配置されている。
ステータベース平板30の上には、絶縁層31が形成されている。絶縁層31の上には、第1励磁コイル23Aが形成されている。第1励磁コイル23Aは、90度ずつに分割されて、4個の分割コイル23A1、23A2、23A3、23A4を有している。また、第1励磁コイル23Aは、一対の端子部23Aa、23Abを有している。
第1励磁コイル23Aの上には、絶縁層32が形成されている。絶縁層32の上には、第2励磁コイル23Bが形成されている。第2励磁コイル23は、第1励磁コイル23Aの4個のコイルと対応する同じ位置に、4個の分割コイル23B1、23B2、23B3、23B4を有している。
励磁コイル23は、全て同じ方向、同じ巻数で構成されており、円周方向において、ほぼ均一な磁束を発生することができ、同磁性で均一な励磁を行うことができる。
このようにして、順次第1励磁コイル23Aと第2励磁コイル23Bの各分割コイルが接続されている。第2励磁コイル23Bの上には、絶縁層33が形成されている。
励磁コイル23を、第1励磁コイル23Aと第2励磁コイル23Bに分けて2層に構成しているのは、2層にすることにより面積を増やすことなく、発生する磁束量を増加させるためである。
絶縁層35の上には、第2検出コイル層36が形成されている。第2検出コイル層36は、45度ずつに分割された8個の分割コイルを有している。すなわち、余弦波分割コイル22Aに対応する位置に正弦波分割コイル21Aが形成され、正弦波分割コイル21Bに対応する位置に余弦波分割コイル22Bが形成されている。同様にして順次、正弦波分割コイル21C、余弦波分割コイル22D、正弦波分割コイル21E、余弦波分割コイル22F、正弦波分割コイル21G、余弦波分割コイル22Hが形成されている。第2検出コイル層36の上には、絶縁層37が形成されている。
正弦波分割コイル21B、21Cにより、第1正弦波コイル21BCが構成され、正弦波分割コイル21D、21Eにより、第2正弦波コイル21DEが構成され、正弦波分割コイル21F、21Gより、第3正弦波コイル21FGが構成され、正弦波分割コイル21H、21Aにより、第4正弦波コイル21HAが構成される。第1正弦波コイルBC、第3正弦波コイルFGと、第2正弦波コイルDE、第4正弦波コイルHAとは、巻き方向が逆であり、正方向の磁束に対して逆向きの誘起電流を発生する。
余弦波分割コイル22A、22Bにより、第1余弦波コイル22ABが構成され、余弦波分割コイル22C、22Dにより、第2余弦波コイル22CDが構成され、余弦波分割コイル22E、22Fより、第3余弦波コイル22EFが構成され、余弦波分割コイル22G、22Hにより、第4余弦波コイル22GHが構成される。第1余弦波コイルAB、第3余弦波コイルEFと、第2余弦波コイルCD、第4余弦波コイルGHとは、巻き方向が逆であり、正方向の磁束に対して逆向きの誘起電流を発生する。
これにより、正弦波コイル21と余弦波コイル22とは、45度角度をずらして形成されている。
ロータベース平板41は、本実施例では、SUS305(非磁性体)を使用しているが、非磁性体金属であれば、アルミニウム、真鍮等を用いても良い。
磁性体部42は、直径が1〜30μmの強磁性体である磁性粉末の外側周りに、絶縁体をコーティングしたものをペースト状にして、図9に示す位置に、20〜100μmの厚みでスクリーン印刷法により塗布し、乾燥させ、固定したものである。磁性粉末としては、ニッケル−亜鉛系フェライト等の、透磁率の実部が高く(10〜100)、虚部が低い強磁性のものを用いると良い。透磁率の実部が高いことにより、外部磁界の周波数が高い場合でも、磁化の反転が周波数に良く追従することができる。
なお、レゾルバロータ12の製造方法、及び構造は、上記に限定されることなく、例えば、シート状磁性体、電磁鋼板または樹脂等の絶縁材に粒状の磁性材を分散させたものを、ロータベース平板30上に貼り付け等により形成しても良い。
レゾルバロータ12は、90度で4分割した箇所のうち、対向する2箇所に磁性体部42が形成されており、正弦波コイル21と余弦波コイル22が、45度で分割した8箇所に分割コイルを有するので、2Xの検出コイルを構成している。
図4に示す制御回路において、基準クロック発生器55は、32MHzの高周波の基準クロックを生成する。分周回路56は、周波数分割回路とも呼ばれ、基準クロック発生器55で生成した高い周波数のクロックを、低周波のクロックに変換する回路である。分周回路56は、32MHzの基準クロックを500kHzの周波数に分周する。カウンタ57は、64個のパルスをカウントし、D/Aコンバータ58に対して、64個のパルスを1周期として出力する。
D/Aコンバータ58は64個のパルスを1周期として、振幅変調させることにより、500kHz/64=7.8125kHzの正弦波励磁信号を作成し、励磁コイル23を励磁する。励磁コイル23に正弦波励磁信号が通電されることにより、磁界が発生し、検出コイルである正弦波コイル21と余弦波コイル22に誘起電流である検出電流が流れる。この作用については、後で詳細に説明する。
同期検波回路51は、分周回路59のタイミングで、正弦波コイル21から入力された検出電流値を読み出し、積分回路53に送る。積分回路53は、検出電流の電流値を、所定時間分だけ積分することにより、検出電流値を部分平均している。部分平均された積分回路出力は、演算機60に送られる。
所定時間分だけ積分を行っている理由は、本実施の形態では、500kHzの搬送波を振幅変調して、7.8125kHzの信号波としているので、ある時刻における誘起電流は、搬送波による誘起電流ちとなる。搬送波の誘起電流値でなく、信号波の誘起電流値を得るために、所定時間内における誘起電流値の積分を算出しているのである。すなわち、複数個の搬送波を積分している。
演算機60は、積分回路53から入力した正弦波コイル21の積分回路出力と、積分回路54から入力した余弦波コイル22の積分回路出力との比を求め、その比を角度データ61として、出力する。振幅式レゾルバでは、ある瞬間の電気角における、正弦波コイル21の積分回路出力と、余弦波コイル22の積分回路出力との比は、電気角と一義的に対応しているため、その比を角度データとして得れば、現在のレゾルバロータ12の角度を測定することができる。
図12(a)に、ある時間におけるレゾルバステータ13(ステータベース平板30、励磁コイル23、正弦波コイル21、余弦波コイル22)と、レゾルバロータ12(ロータベース平板41、磁性体部42)の位置関係を示す。実際は、円形状のグラフとなるのであるが、見やすいように直線上のグラフとしている。
横軸にとった電気角は360度(2Xコイルなので機械角は180度)である。レゾルバステータ13は、ステータベース平板30の上に、励磁コイル23が形成され、その上に正弦波コイル21と余弦波コイル22が形成されている。レゾルバロータ12は、2箇所に、各々電気角で180度分(2Xコイルなので機械角は90度)の範囲に磁性体部42が形成されている。磁性体部42の間には、ロータベース平板41の一部である非磁性導電体部41Aが存在する。
励磁コイル23(23A、23B)に、D/Aコンバータ58から、500kHzの搬送波により、振幅変調された7.8125kHzの信号波が入力すると、その電流値に応じて、正方向(励磁コイルで発生する磁束の方向を言う。)の磁束IAが発生する。磁束IAは、強磁性体からなる磁性体部42の存在により、強められる。磁束IAの発生により、正弦波コイル21及び余弦波コイル22に誘起電流が流れる。
レゾルバロータ12の磁性体部42がない部分では、非磁性体金属であるロータベース平板41の非磁性導電体部41Aが、正弦波コイル21と余弦波コイル22に対向している。励磁コイル23(23A、23B)に、D/Aコンバータ58から、500kHzの搬送波により、振幅変調された7.8125kHzの信号波が入力すると、その電流値に応じて、正方向(励磁コイルで発生する磁束の方向を言う。)の磁束IAが発生する。
しかし、非磁性体金属である非磁性導電体部41Aに磁束IAが入ると、非磁性導電体部41Aの表面に渦電流が発生する。そして、発生した渦電流により、負方向(励磁信号で発生する磁束の方向に対して逆方向を言う。)の磁束IBが発生する。この磁束IBにより、励磁コイル23で発生した正方向の磁束IAが打ち消されるため、全体としての磁束は、図10の場合と比較して、ほとんど無くなってしまう。
したがって、図12(a)の状態では、磁性体部42と重なる領域(電気角160度から340度まで)のみ磁束IAが発生するとみなすことができる。
図17(a)に正弦波コイル21の一例を示す。ここでは、見やすくするために、同一平面状で表現している。4個の正弦波コイル21は、7組のコイル導線21a−21n、21b−21m、21c−21l、21d−21k、21e−21j、21f−21i、21g−21hから構成されている。図16(a)は、各組のコイル導線により発生し得る誘起電流の大きさをそれぞれ矩形21´a−21´n、21´b−21´m、21´c−21´l、21´d−21´k、21´e−21´j、21´f−21´i、21´g−21´hで表したものである。そして、正弦波コイル21全体で発生し得る誘起電流の大きさは、波形21´で表される。
同様に、図17(b)に余弦波コイル22の一例を示す。ここでは、見やすくするために、同一平面状で表現している。4個の余弦波コイル22は、7組のコイル導線22a−22n、22b−22m、22c−22l、22d−22k、22e−22j、22f−22i、22g−22hから構成されている。図16(a)に各組のコイル導線により発生し得る誘起電流の大きさをそれぞれ矩形22´a−22´n、22´b−22´m、22´c−22´l、22´d−22´k、22´e−22´j、22´f−22´i、22´g−22´hで表したものである。そして、余弦波コイル22全体で発生し得る誘起電流の大きさは波形22´で表される。
図12(c)に、(a)の波形21´のみを取り出して表す。電気角160度から180度までの範囲では、MSA1で示す面積のプラスの誘起電流(+MSA1)が発生し、電気角180度から340度までの範囲では、MSA2で示すマイナスの誘起電流(−MSA2)が発生する。したがって、正弦波コイル21で発生する誘起電流MA=+MSA1−MSA2である。これを図12(b)に示す。
一方、図12(d)に、(a)の波形22´のみを取り出して表す。電気角160度から270度までの範囲では、MSB1で示す面積のマイナスの誘起電流(−MSB1)が発生し、電気角270度から340度までの範囲では、MSB2で示すプラスの誘起電流(+MSB2)が発生する。したがって、余弦波コイル22で発生する誘起電流の総量MB=+MSB2−MSB1である。これを図12(b)に示す。図12(b)に示す誘起電流MA、誘起電流MBは、電流計で計測される実際の計測値である。
次に、正弦波コイル21で発生する誘起電流MAについて、積分回路53により高周波成分をなまして、MAAを求める。また、余弦波コイル22で発生する誘起電流MBについて、積分回路54により高周波成分をなまして、MBBを求める。
そして、演算機60が、MAAとMBBの比(MAA/MBB)を算出する。MAA/MBBより、レゾルバステータ13に対するレゾルバロータ12の角度変位を求めることができる。
演算機60は、MAA/MBBを角度データ61として、出力する。
図14に、ロータ角度T1における、正弦波コイル21と非磁性導電体部41(41A、41B)との位置関係を示し、下段に余弦波コイル22と非磁性導電体部41(41A、41B)との位置関係を示す。見やすくするために、図14では図7と異なり、正弦波コイル21、余弦波コイル22を各々一つの面に表現している。
また、L1〜L4は、正方向の磁束IAの強い部分を示す。
励磁コイル23により発生する磁束IAは、全ての領域で同じ方向なので、第1正弦波コイル21BCと第2正弦波コイルDEでは、絶対値の等しい逆向きの誘起電流が発生する。同様に、第3正弦波コイル21FGと第4正弦波コイルHAでは、絶対値の等しい逆向きの誘起電流が発生する。
一方、非磁性導電体部41A、41Bの領域では、磁束IAが、渦電流により発生する磁束IBで打ち消されるため、正弦波コイル21に誘起電流が流れない。そのため、正弦波コイル21を流れる電流値はゼロ(SAT1)となる。
本実施の形態では、正弦波コイル21の誘起電流値を得るために、図4に示す積分回路53により、所定時間内における誘起電流値の積分を算出している。
励磁コイル23により発生する磁束IAは、全ての領域で同じ方向なので、第2正弦波コイル21CDでは、最大の誘起電流が発生する。同様に、第4余弦波コイル21GHでは、最大の誘起電流が発生する。第1余弦波コイル22AB、第3余弦波コイル22EFでは、誘起電流は発生しない。
一方、非磁性導電体部41A、41Bの領域では、磁束IAが、渦電流により発生する磁束IBで打ち消されるため、余弦波コイル22に誘起電流が流れない。そのため、余弦波コイル22を流れる電流値は最大(SBT1)となる。
本実施の形態では、余弦波コイル22の誘起電流値を得るために、図4に示す積分回路54により、所定時間内における誘起電流値の積分を算出している。
ロータ角度T2においては、正弦波コイル21の8個の正弦波分割コイル21A〜21Hのうち、21E、21Aの全ての領域、及び正弦波分割コイル21D、21F、21H、21Bの一部の領域が、レゾルバロータ12の磁性体部42に対向している。そして、21G、21Cの全ての領域、及び正弦波分割コイル21D、21F、21H、21Bの一部の領域が、非磁性導電体部41A、41Bに対向している。
励磁コイル23により発生する磁束IAは、全ての領域で同じ方向なので、第2正弦波コイル21DEと第3正弦波コイルFGでは、逆向きの誘起電流が発生する。同様に、第4正弦波コイル21HAと第1正弦波コイルBCでは、逆向きの誘起電流が発生する。
一方、非磁性導電体部41A、41Bの領域では、磁束IAが、渦電流により発生する磁束IBで打ち消されるため、正弦波コイル21に誘起電流が流れない。そのため、正弦波コイル21を流れる電流値は、それらの演算値(SAT2)となる。
励磁コイル23により発生する磁束IAは、全ての領域で同じ方向なので、第2余弦波コイル22CDと第3余弦波コイルEFでは、逆向きの誘起電流が発生する。同様に、第4余弦波コイル22GHと第1正弦波コイルABでは、逆向きの誘起電流が発生する。
一方、非磁性導電体部41A、41Bの領域では、磁束IAが、渦電流により発生する磁束IBで打ち消されるため、余弦波コイル22に誘起電流が流れない。そのため、余弦波コイル22を流れる電流値は、それらの演算値(SBT2)となる。
演算機60は、SAT1/SBT1を角度データ61として、出力する。
同様に、ロータ角度T2において、演算機60が、正弦波コイル21に発生した誘起電流の積分値SAT2、及び余弦波コイル22で発生した誘起電流の積分値SBT2の比(SAT2/SBT2)を算出する。SAT2/SBT2より、ロータ角度T2におけるレゾルバステータ13に対するレゾルバロータ12の角度変位を求めることができる。
演算機60は、SAT2/SBT2を角度データ61として、出力する。
ここで、非磁性導電体部41Aを置かずに、空間とした場合には、渦電流による負方向の磁束が発生せず、検出コイル21、22に電流が流れるため、磁性体部42との差異が小さくて、S/N比が悪く、レゾルバ11として使用することができないことを、本発明者は、実験により確認している。
また、特許文献2の技術と比較して、ロータリィトランスを必要としないため、S/N比を高くできる。特許文献2の技術では、S/N比が4程度であったのを、本実施の形態では、S/N比を30以上とすることができた。
すなわち、特許文献1の技術では、レゾルバロータを機械加工により高精度で製造しなければならず、製造コストが高くなっていた。それに対して、本発明では、スクリーン印刷によりレゾルバロータ12を製造できるため、大幅なコストダウンを実現できる。
従来は、磁束を発生させるためには、数10μm程度の薄い磁性体部では不十分であると考えられていたが、本発明者は実験により、数10μm程度の磁性体部が存在すれば、レゾルバにとって十分な磁束が発生することを確認している。
また、励磁コイル23と検出コイル21、22とが、レゾルバステータ13のステータベース平板30上に積層して形成されていること、非磁性導電体部41Aと磁性体部42とが、レゾルバロータ12のロータベース平板41上に形成されていること、を特徴とするので、ステータベース平板30と、ロータベース平板41同士が、対向して配置されるため、回転軸の軸心方向の長さにおいて、レゾルバ11の寸法を、従来技術と比較して短くでき、全体をコンパクトとすることができる。
また、本実施の形態では、励磁コイル23A、23Bの8組の導線の巻数及び巻き方向が同じであり、円周方向に単一極性に配置されていることを特徴とするので、円周方向の全ての箇所において、励磁信号を均一な条件で励磁することができる。
また、500kHzの高周波を使用しているため、検出コイルの巻き数を少なくでき、平板形状にできるため、特許文献1の技術と比較して、レゾルバの軸心方向の寸法を短くすることができる。
また、本実施の形態では、検出コイルを2X化(偶数極化)しているため、アキシャル方向のギャップで使用する場合に、軸の傾きにより発生する出力信号の誤差を平準化できる。
例えば、本実施の形態では、2Xコイルとするために、正弦波コイル21と余弦波コイル22とを、各々8個に分割して分割コイルを形成したが、1Xコイルを形成するならば、正弦波コイル21を、第1分割コイル21A、第2分割コイル21B、第3分割コイル21C、第4分割コイル21Dとし、余弦波コイル22を、第1分割コイル22A、第2分割コイル22B、第3分割コイル22C、第4分割コイル22Dで構成しても良い。
また、本実施の形態では、振幅式のレゾルバについて説明したが、本発明はレゾルバの構造に関するものであり、位相差式レゾルバに適用することもできる。
12 レゾルバロータ
13 レゾルバステータ
21 正弦波コイル
22 余弦波コイル
23 励磁コイル
30 ステータベース平板
41 ロータベース平板
41A 非磁性導電体部
42 磁性体部
Claims (5)
- 励磁信号が入力される励磁コイルと検出信号を出力する検出コイルとを備えるステータと、前記ステータに対向した位置にあって回転するロータと、を有する回転角センサにおいて、
前記ロータの前記ステータに対向する位置に、非磁性導電体部と磁性体部とが交互に形成されていること、
非磁性導電体材上に前記磁性体部を設けることで、前記非磁性導電体部と前記磁性体部を形成すること、
前記磁性体部は、粒状の磁性材料が絶縁体中に分散して設けられていること、
前記検出コイルは渦巻き状に巻回された複数の平面コイルで形成されており、前記平面コイルのコイルピッチは内側に向かって徐々に大きくなっていること、
を特徴とする回転角センサ。 - 請求項1に記載する回転角センサにおいて、
前記励磁コイルと前記検出コイルとが、前記ステータのベース平板上に積層して形成されていること、
を特徴とする回転角センサ。 - 請求項2に記載する回転角センサにおいて、
前記検出コイルが、順次連続する第1、第2正弦波コイルと、順次連続する第1、第2余弦波コイルを備えること、
前記第1正弦波コイル、前記第1余弦波コイルが第1コイル層に形成され、前記第2正弦波コイル、前記第2余弦波コイルが第1コイル層に重なって形成された第2コイル層に形成されていること、
を特徴とする回転角センサ。 - 請求項2に記載する回転角センサにおいて、
前記検出コイルの正弦波コイルの各々が、第1正弦波分割コイルと第2正弦波分割コイルに分割されており、前記第1正弦波分割コイルが第1コイル層に形成され、前記第2正弦波分割コイルが第2コイル層に形成されていること、
前記検出コイルの余弦波コイルの各々が、第1余弦波分割コイルと第2余弦波分割コイルに分割されており、前記第1余弦波分割コイルが前記第2コイル層に形成され、前記第2余弦波分割コイルが前記第1コイル層に形成されていること、
を特徴とする回転角センサ。 - 請求項2に記載する回転角センサにおいて、
前記励磁コイルの導線の巻数及び巻き方向が同じであり、円周方向に単一極性に配置されていることを特徴とする回転角センサ。
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