JP4654367B2 - レゾルバ - Google Patents

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Description

本発明は、レゾルバに関する。
図12は、従来のレゾルバ800を説明するために示す図である。図12(a)は従来のレゾルバ800の構造を示す図であり、図12(b)は従来のレゾルバ800からの出力電圧を示す図である。
従来のレゾルバ800は、図12(a)に示すように、固定子巻線(1相の励磁巻線804及び2相の出力巻線(SIN出力巻線806及びCOS出力巻線807))が突極803に巻回された固定子801と、固定子801に対して回転自在に設けられた回転子805とを備えるバリアブルリラクタンス型のレゾルバである。回転子805は、鉄心のみで巻線を有しない偏心回転子であり、回転子805と固定子801との間のギャップパーミアンスが回転角度θに対して正弦波状に変化する。このため、従来のレゾルバ800によれば、図12(b)に示すように、上記したギャップパーミアンスを測定することにより回転角度を高精度で検出することができる。
図13は、従来のレゾルバ900を説明するために示す図である。図13(a)は従来のレゾルバ900の構造を示す図であり、図13(b)は従来のレゾルバ900の各スロットにおける巻線構造を説明するために示す図である。
従来のレゾルバ900は、図13(a)に示すように、固定子巻線(1相の励磁巻線904及び2相の出力巻線(SIN出力巻線906及びCOS出力巻線907(図13(a)では図示せず。)))が突極903に巻回された固定子901と、固定子901に対して回転自在に設けられた回転子905とを備えるバリアブルリラクタンス型のレゾルバである。回転子905は、鉄心のみで巻線を有しない偏心回転子であり、従来のレゾルバ800の場合と同様に、回転子905と固定子901との間のギャップパーミアンスが回転角度θに対して正弦波状に変化する。このため、従来のレゾルバ900によれば、図13(b)に示すように、上記したギャップパーミアンスを測定することにより回転角度を高精度で検出することができる。
また、従来のレゾルバ900においては、2相の出力巻線(SIN出力巻線906及びCOS出力巻線907)が各スロット902に1スロットピッチ(スロット飛びを伴うことなく、各スロットに順次巻線を入れる状態)で巻回されており(図13(a)では図示せず。)、さらに、図13(b)に示すように、その誘起電圧分布が各々正弦波分布となるように分布巻き(その巻線の巻き数(量)も正弦波分布状となる。)されている。
このため、従来のレゾルバ900によれば、出力電圧に含まれている低次から高次にわたる高周波次数を低減させることにより、回転角度の検出精度を向上することができる。
特開平8−178611号公報
ところで、レゾルバを機器に組み込む際、まず機器に固定子を固定し、その後、当該固定子の横方向から回転子を挿入し、その後、当該回転子を機器の回転軸に取り付ける手順でレゾルバを機器に組み込みたい場合がある。なお、本明細書中、「固定子の横方向から」とは、固定子の軸に垂直な方向からという意味で用いている。
しかしながら、従来のレゾルバ800,900においては、構造上の制約から、固定子の横方向から回転子を挿入することができず、上記のような要望にこたえることができなかった。
そこで、本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、レゾルバを機器に組み込む際、固定子の横方向から回転子を挿入することが可能な構造を有するレゾルバを提供することを目的とする。
(1)本発明のレゾルバは、磁性材料からなる輪状固定子板と、前記輪状固定子板の面上に突出してかつ円周方向に沿って配設されたn個(但し、nは2以上の整数。)の巻線磁芯と、前記巻線磁芯の周囲に配設された固定子巻線と、前記輪状固定子板の面上に突出して、かつ、前記巻線磁芯の内側又は外側に設置された磁束帰路台とを有する固定子と、磁性材料からなる輪状回転子板と、前記輪状回転子板の内面に配設され波状に突出状態が変化する板内面を有し磁性材料からなる空隙形成板とを有する回転子とを備え、前記回転子の回転により、前記空隙形成板の前記板内面と前記巻線磁芯との間隔dが変化するように構成され、前記n個の巻線磁芯のうち円周方向に沿って隣接する巻線磁芯の各中心間角度αが(360/n)度とは異なる値に設定されているとともに、各中心間角度αのうち最大の中心間角度αが120度以上に設定されていることを特徴とする。
このため、本発明のレゾルバによれば、固定子と回転子とは軸方向に離隔して配置されることとなるため、レゾルバを機器に組み込む際、固定子の横方向から回転子を挿入することが可能となる。
また、本発明のレゾルバによれば、円周方向に沿って隣接する巻線磁芯の各中心間角度αのうち最大の中心間角度αが120度以上に設定されているため、当該最大の中心間角度αをもって配置される2つの巻線磁芯の間には大きな空間が生まれる。その結果、
レゾルバを機器に組み込む際、当該大きな空間が存在する側から回転子を挿入することとすれば、円周方向に沿って隣接する巻線磁芯の各中心間角度αが(360/n)度に設定されている場合と比較して、当該作業を容易に行うことが可能となる。
なお、この観点からは、円周方向に沿って隣接する巻線磁芯の各中心間角度αのうち最大の中心間角度αが150度以上に設定されていることがより好ましく、円周方向に沿って隣接する巻線磁芯の各中心間角度αのうち最大の中心間角度αが180度以上に設定されていることがさらに好ましい。
なお、本発明のレゾルバによれば、回転子の回転により空隙形成板の板内面と巻線磁芯との間隔dが変化し、この間隔dの変化を用いて回転角度を検出することが可能となるため、従来のレゾルバ800,900の場合と同様にバリアブルリラクタンス型のレゾルバを構成することが可能となる。
また、本発明のレゾルバによれば、輪状固定子板の面上に突出して配設された巻線磁芯の周囲に固定子巻線を配設することとしているため、固定子巻線がレゾルバの厚さ方向に出っ張ることがなくなり、従来のレゾルバよりも厚さの薄いレゾルバを提供することが可能となる。
本発明のレゾルバにおいては、前記空隙形成板の前記板内面は、突出状態が円周方向に沿って正弦波状に変化することが好ましい。
このように構成することにより、回転子の回転により空隙形成板の板内面と巻線磁芯との間隔dが正弦波状に変化するようになるため、この間隔dにおける正弦波状の変化を用いて回転角度を高精度に検出することが可能となる。
本発明のレゾルバにおいては、前記空隙形成板の前記板内面は、突出状態が円周方向に沿って単周期で変化してもよいが、突出状態が円周方向に沿って複数の周期で変化することも好ましい。
このように構成することにより、突出状態が円周方向に沿って単周期で変化する場合と同様に回転角度を高精度に検出することが可能となる。
(2)本発明のレゾルバにおいては、前記輪状固定子板は、前記巻線磁芯ごとにn個の分割固定子板に分割されており、前記n個の分割固定子板は、非磁性材料からなる輪状基板上に配設されていることが好ましい。
このように構成することにより、隣り合う磁気回路同士の干渉が防止され、各巻線磁芯の磁気回路(磁束分布)が安定し、回転角度を高精度に検出することが可能となる。
また、本発明のレゾルバによれば、各巻線磁芯の内側又は外側には、巻線磁芯ごとに磁束帰路台が独立して設置されているため、各巻線磁芯の磁気回路(磁束分布)が安定し、回転角度をさらに高精度に検出することが可能となる。
(3)本発明のレゾルバは、輪状支持体と、前記輪状支持体上に円周方向に沿って配設されたn個(但し、nは2以上の整数。)の磁極部とを有する固定子と、前記固定子に対して回転自在に配設される回転子とを備え、前記磁極部は、巻線磁芯と、前記巻線磁芯の両端部に配設され前記固定子の内径方向に突出し磁性材料からなる2枚のヨークと、前記巻線磁芯の周囲に配設された固定子巻線とを有し、前記回転子の外周縁は、前記2枚のヨークの間に常に挟持されるように位置し、前記回転子の回転により、前記ヨークに挟持される前記回転子の面積が変化するように構成され、前記n個の巻線磁芯のうち円周方向に沿って隣接する巻線磁芯の各中心間角度αが(360/n)度とは異なる値に設定されているとともに、各中心間角度αのうち最大の中心間角度αが120度以上に設定されていることを特徴とする。
このため、本発明のレゾルバによれば、円周方向に沿って隣接する巻線磁芯の各中心間角度αのうち最大の中心間角度αが120度以上に設定されているため、当該最大の中心間角度αをもって配置される2つの巻線磁芯の間には大きな空間が生まれる。その結果、
レゾルバを機器に組み込む際、当該大きな空間が存在する側から2枚のヨークの間に回転子を挿入することとすれば、固定子の横方向から回転子を挿入することが可能となる。
なお、この観点からは、円周方向に沿って隣接する巻線磁芯の各中心間角度αのうち最大の中心間角度αが150度以上に設定されていることがより好ましく、円周方向に沿って隣接する巻線磁芯の各中心間角度αのうち最大の中心間角度αが180度以上に設定されていることがさらに好ましい。
(4)本発明のレゾルバにおいては、前記輪状支持体は、非磁性材料からなることが好ましい。
このように構成することにより、隣り合う磁気回路同士の干渉が防止され、各巻線磁芯の磁気回路(磁束分布)が安定し、回転角度を高精度に検出することが可能となる。
(5)本発明のレゾルバにおいては、前記固定子巻線は、整列巻線からなることが好ましい。
このように、整列巻線を用いる場合であっても、巻線磁芯の周囲に固定子巻線を配設することとしているため、固定子巻線がレゾルバの厚さ方向に出っ張ることがなくなり、従来のレゾルバよりも厚さの薄いレゾルバを提供することが可能となる。
(6)本発明のレゾルバにおいては、前記固定子巻線は、シートコイルからなることが好ましい。
このように構成することにより、薄いシートコイルを用いて固定子巻線を形成することができるため、整列巻線を用いる場合に比べて、厚さのさらに薄いレゾルバを提供することが可能となる。
(7)本発明のレゾルバにおいては、前記シートコイルは、基材の表面に金属層が形成されたシートに、所定パターンでレーザ光を照射することにより形成されたシートコイルであることが好ましい。
このように構成することにより、シートコイルを製造する過程でエッチング液を使用する必要がなくなるため、レゾルバの使用中に、シートコイルを製造する過程で除去しきれなかったエッチング液の存在に起因してコイルが腐食したり断線したりすることがなくなる。このため、高信頼性のレゾルバを提供することが可能となる。
(8)本発明のレゾルバにおいては、前記シートコイルは、励磁巻線用のシートコイルと出力巻線用のシートコイルとがそれぞれ複数枚積層されたシートコイルであることが好ましい。
このように構成することにより、十分大きな励磁性能及び十分大きな検出感度を得ることが可能となり、結果として、高感度なレゾルバを構成することが可能となる。
(9)本発明のレゾルバにおいては、前記シートコイルを構成する各シートコイルは、スルーホールを用いて電気的に接続されていることが好ましい。
このように構成することにより、シートコイルを構成する各シートコイルを良好に接続することが可能となり、高信頼性のレゾルバを提供することが可能となる。
以下、本発明のレゾルバについて、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係るレゾルバ100を説明するために示す図である。図1(a)はレゾルバ100の斜視図であり、図1(b)は固定子110の斜視図である。なお、図1(a)及び図1(b)においては配線の図示を省略している。また、図1(a)においては、回転子130の一部を切り欠いてレゾルバ100の構造を示している。
図2は、実施形態1に係るレゾルバ100における励磁巻線R及び出力巻線Sa,Sbを説明するために示す図である。図2(a)は励磁巻線Rを説明するために示す図であり、図2(b)は出力巻線Sa,Sbを説明するために示す図である。なお、図2(a)においては励磁巻線Rを模式的に示し、図2(b)においては出力巻線Sa,Sbを模式的に示す。また、図2(a)及び図2(b)においては、各巻線磁芯116a〜116dの中心位置と固定子110の略中心位置Oとを通る直線を、それぞれ直線A−O、直線B−O、直線C−O、直線D−Oで示している。
図3は、実施形態1に係るレゾルバ100における各巻線磁芯の磁気回路を説明するために示す図である。図3(a)は図2(a)のA−O断面で示す巻線磁芯116aの磁気回路を示す図であり、図3(b)は図2(a)のB−O断面で示す巻線磁芯116bの磁気回路を示す図であり、図3(c)は図2(a)のC−O断面で示す巻線磁芯116cの磁気回路を示す図であり、図3(d)は図2(a)のD−O断面で示す巻線磁芯116dの磁気回路を示す図である。なお、図3中、矢印は各巻線磁芯116a〜116dにおける磁束ベクトルの方向を示している。
図4は、空隙形成板134の板内面136の突出状態の変化を説明するために示す図である。なお、図4においては、円周外側から見たレゾルバ100の構造を横方向に展開して図示している。また、図4中、矢印は各巻線磁芯116a〜116dにおける磁束ベクトルの方向を示している。
図5は、実施形態1に係るレゾルバ100を機器に組み込む際に固定子110の横方向から回転子130を挿入する作業を説明するために示す図である。図5(a)は当該作業を行っている様子を示す図であり、図5(b)は当該作業が終了したときの様子を示す図である。
実施形態1に係るレゾルバ100は、図1に示すように、固定子(ステータ)110と、回転子(ロータ)130とを備える。
固定子110は、図1(b)に示すように、非磁性材料(例えば、ステンレス。)からなる輪状基板112と、輪状基板112に配設され磁性材料(例えば、電磁鋼板。)からなる輪状固定子板としての4個の分割固定子板114a〜114dと、各分割固定子板114a〜114dの面上に突出してかつ円周方向に沿って配設された4個の巻線磁芯116a〜116dと、各巻線磁芯116a〜116dの周囲に配設された固定子巻線118a〜118dと、各分割固定子板114a〜114dの面上に突出して、かつ、巻線磁芯116a〜116dの内側に設置された磁束帰路台120a〜120dとを有する。
輪状固定子板は、巻線磁芯116a〜116dごとに4個の分割固定子板114a〜114dとして分割されている。
実施形態1に係るレゾルバ100においては、4個の巻線磁芯116a〜116dのうち円周方向に沿って隣接する巻線磁芯の各中心間角度αが90度とは異なる値に設定されているとともに、各中心間角度αのうち最大の中心間角度αが120度以上に設定されている。
具体的に説明すると、図2に示すように、巻線磁芯116aと巻線磁芯116bとの中心間角度αは67.5度であり、巻線磁芯116bと巻線磁芯116cとの中心間角度αは67.5度であり、巻線磁芯116cと巻線磁芯116dとの中心間角度αは67.5度であり、巻線磁芯116dと巻線磁芯116aとの中心間角度αは157.5度である。
固定子巻線118a〜118dは、1相の励磁巻線Rと2相の出力巻線Sa,Sb(COS出力巻線及びSIN出力巻線)とから構成されている。出力巻線Sa(COS出力巻線)は、巻線磁芯116a及び巻線磁芯116cに対してそれぞれ逆方向に巻回されており、出力巻線Sb(SIN出力巻線)は、巻線磁芯116b及び巻線磁芯116dに対してそれぞれ逆方向に巻回されている。固定子巻線118a〜118dは、整列巻線(例えば、励磁巻線Rの巻回数=50、出力巻線の巻回数=150。)からなる。励磁巻線Rに入力する電圧の周波数は、例えば10kHzである。
回転子130は、図1、図3及び図4に示すように、輪状回転子板132と、輪状回転子板132の内面に配設された空隙形成板134とを有する。輪状回転子板132は、非磁性材料(例えば、ステンレス。)からなり、空隙形成板134は、磁性材料(例えば、電磁鋼板。)からなる。
空隙形成板134は、波状に突出状態が変化する板内面136を有する。空隙形成板134の板内面136は、図4に示すように、突出状態が円周方向に沿って正弦波状に単周期で変化している。
実施形態1に係るレゾルバ100は、回転子130の回転により、空隙形成板134の板内面136と巻線磁芯116a〜116dとの間隔d(図示せず。)が変化するように構成されたレゾルバである。
以上のように構成された実施形態1に係るレゾルバ100によれば、固定子110と回転子130とは軸方向に離隔して配置されることとなるため、レゾルバを機器に組み込む際、固定子110の横方向から回転子130を挿入することが可能となる。
また、実施形態1に係るレゾルバ100によれば、円周方向に沿って隣接する巻線磁芯の各中心間角度αのうち最大の中心間角度αが120度以上(157.5度)に設定されているため、当該最大の中心間角度αをもって配置される2つの巻線磁芯の間には大きな空間が生まれる。その結果、レゾルバを機器に組み込む際、図5に示すように、当該大きな空間が存在する側から回転子130を挿入することとすれば、円周方向に沿って隣接する巻線磁芯の各中心間角度αが(360/n)度に設定されている場合と比較して、当該作業を容易に行うことが可能となる。
なお、実施形態1に係るレゾルバ100によれば、回転子130の回転により空隙形成板134の板内面136と巻線磁芯116a〜116dとの間隔dが変化し、この間隔dの変化を用いて回転角度を検出することが可能となるため、従来のレゾルバ800,900の場合と同様にバリアブルリラクタンス型のレゾルバを構成することが可能となる。
また、実施形態1に係るレゾルバ100によれば、巻線磁芯116a〜116dの周囲に固定子巻線118a〜118dを配設することとしているため、固定子巻線118a〜118dがレゾルバ100の厚さ方向に出っ張ることがなくなり、従来のレゾルバよりも厚さの薄いレゾルバ(例えば、4mm。)を提供することが可能となる。
また、実施形態1に係るレゾルバ100によれば、空隙形成板134の板内面136は、突出状態が円周方向に沿って正弦波状に変化するため、回転子130の回転により空隙形成板134の板内面136と巻線磁芯116a〜116dとの間隔dが正弦波状に変化するようになる。このため、この間隔dにおける正弦波状の変化を用いて回転角度を高精度に検出することが可能となる。
また、実施形態1に係るレゾルバ100によれば、輪状固定子板は、巻線磁芯116a〜116dごとに4個の分割固定子板114a〜114dに分割されているため、隣り合う磁気回路同士の干渉が防止され、各巻線磁芯116a〜116dの磁気回路(磁束分布)が安定し、回転角度を高精度に検出することが可能となる。
また、実施形態1に係るレゾルバ100によれば、各巻線磁芯116a〜116dの内側には巻線磁芯116a〜116dごとに磁束帰路台120a〜120dが独立して設置されているため、各巻線磁芯116a〜116dの磁気回路(磁束分布)が安定し、回転角度をさらに高精度に検出することが可能となる。
実施形態1に係るレゾルバ100においては、固定子巻線118a〜118dは、整列巻線からなる。このように、整列巻線を用いる場合であっても、巻線磁芯116a〜116dの周囲に固定子巻線118a〜118dを配設することで、固定子巻線118a〜118dがレゾルバ100の厚さ方向に出っ張ることがなくなるため、従来のレゾルバ800,900よりも厚さの薄いレゾルバを提供することが可能となる。
[実施形態2]
図6は、実施形態2に係るレゾルバ200を説明するために示す図である。図6(a)はレゾルバ200の平面図であり、図6(b)は図6(a)のA−O−C断面図であり、図6(c)は図6(b)の要部拡大図である。なお、図6において、回転子270の軸孔については図示を省略している。
図7は、実施形態2に係るレゾルバ200における固定子巻線を説明するために示す図である。図7(a)は励磁巻線240を説明するために示す図であり、図7(b)は出力巻線250を説明するために示す図である。
図8は、励磁巻線240用のシート状コイル240aの製造方法を説明するために示す図である。図8(a)〜図8(c)はその工程図である。
図9は、実施形態2に係るレゾルバ200を機器に組み込む際に固定子210の横方向から回転子270を挿入する作業を説明するために示す図である。図9(a)は当該作業を行っている様子を示す図であり、図5(b)は当該作業が終了したときの様子を示す図である。なお、図9において、回転子270の軸孔については図示を省略している。
実施形態2に係るレゾルバ200は、図6に示すように、それぞれが2枚のシート状コイル(励磁巻線240用のシート状コイル240a,240b,240c,240d(図7(a)参照。)及び出力巻線250用のシート状コイル250a,250b,250c,250d(図7(b)参照。))が積層された構造を有する4つのシート状積層コイル230a,230b,230c,230d及び4つのシート状積層コイル230a,230b,230c,230dを支持する輪状支持体220を有する固定子210と、固定子210に対して回転自在に配設された回転子270とを備える。
実施形態2に係るレゾルバ200においては、図7に示すように、4つの励磁巻線240用のシート状コイル240a,240b,240c,240dが励磁巻線240を構成し、4つの出力巻線250用のシート状コイル250a,250b,250c,250dが出力巻線250を構成する。そして、励磁巻線240と出力巻線250とが固定子巻線230(図示せず。)を構成する。
実施形態2に係るレゾルバ200においては、シート状積層コイル230aは、図6(c)に示すように、励磁巻線240用のシート状コイル240aと、出力巻線250用のシート状コイル250aとをそれぞれ1層ずつ備える。シート状積層コイル230b,230c,230dの場合も同様である。
実施形態2に係るレゾルバ200においては、非磁性体材料からなる支持体220の上面には、図6(c)に示すように、それぞれが電磁鋼板からなる2枚のヨーク260,126及び巻線磁芯(ガイドブッシュ)264が配置されている。そして、2枚のヨーク260,262及び巻線磁芯264は、巻線磁芯264の周囲にシート状積層コイル230a,230b,230c,230dが挿入された状態で、図示しないボルトとナットとを用いて固定されている。
実施形態2に係るレゾルバ200においては、図6に示すように、4つの巻線磁芯のうち円周方向に沿って隣接するシート状積層コイルの各中心間角度αが90度とは異なる値に設定されているとともに、各中心間角度αのうち最大の中心間角度αが120度以上に設定されている。
具体的に説明すると、図6に示すように、シート状積層コイル230aが設置された巻線とシート状積層コイル230bが設置された巻線磁芯との中心間角度αは67.5度であり、シート状積層コイル230bが設置された巻線とシート状積層コイル230cが設置された巻線との中心間角度αは67.5度であり、シート状積層コイル230cが設置された巻線とシート状積層コイル230dが設置された巻線との中心間角度αは67.5度であり、シート状積層コイル230dが設置された巻線とシート状積層コイル230aが設置された巻線との中心間角度αは157.5度である。
実施形態2に係るレゾルバ200においては、図8に示すように、シート状積層コイル230bを構成する励磁巻線240用のシート状コイル240bは、基材20の表面に金属層22が形成されたシートに、所定パターンでレーザ光Lを照射することにより形成されたシート状コイルである。他のシート状コイル(励磁巻線240用のシート状コイル240a,240c,240d及び出力巻線250用のシート状コイル250a,250b,250c,250d)も同様の方法により形成されたシート状コイルである。
基材20としては、厚さ60μmのガラスエポキシ基板を用い、金属層22としては、厚さ15μmの銅からなる金属層を用いる。金属層22にレーザ光Lを照射することにより得られる金属線24の配列ピッチは50μmであり、金属線24の幅は30μmである。金属線24は、平面トラック状(約80周)に配置され、これがシート状コイルのコイルとなる。
以上のように構成された実施形態2に係るレゾルバ200によれば、円周方向に沿って隣接する巻線磁芯の各中心間角度αのうち最大の中心間角度αが120度以上に設定されているため、当該最大の中心間角度αをもって配置される2つの巻線磁芯の間には大きな空間が生まれる。その結果、レゾルバ200を機器に組み込む際、図9に示すように、当該大きな空間が存在する側から2枚のヨーク260,262の間に回転子270を挿入することとすれば、固定子210の横方向から回転子270を挿入することが可能となる。
また、実施形態2に係るレゾルバ200によれば、輪状支持体220は、非磁性材料からなるため、隣り合う磁気回路同士の干渉が防止され、各巻線磁芯の磁気回路(磁束分布)が安定し、回転角度を高精度に検出することが可能となる。
また、実施形態2に係るレゾルバ200によれば、予め所定の導線パターンが形成されている複数(4つ)のシート状積層コイル230a,230b,230c,230dを用いて固定子巻線230を形成することが可能となるため、固定子巻線を規格どおりに精度よく形成することが可能となり、固定子巻線のコンダクタンスのばらつきを極めて小さくして回転角度の検出精度を高めることが可能となる。
また、実施形態2に係るレゾルバ200によれば、予め所定の導線パターンが形成されている複数(4つ)のシート状積層コイル230a,230b,230c,230dを用いて固定子巻線230を形成することが可能となるため、自動巻回機を用いて機械的な巻回作業を行ったり、結束・結線作業を行ったりする必要がなくなり、レゾルバを製造するうえでの生産性を高めることが可能となる。
さらにまた、実施形態2に係るレゾルバ200によれば、薄いシート状積層コイル230a,230b,230c,230dを用いて固定子巻線を形成することができるため、レゾルバを薄型化(例えば、5mm以下。)することが可能となる。
また、実施形態2に係るレゾルバ200においては、各シート状積層コイル230a,230b,230c,230dは、同一円周上における所定角度位置に配置されており、さらには、シート状積層コイル230a,230b,230c,230dとして、励磁巻線240用のシート状コイル240a,240b,240c,240dと、出力巻線250用のシート状コイル250a,250b,250c,250dとが積層されたシート状積層コイルを備えるため、バリアブルリラクタンス型のレゾルバを構成することが可能となり、回転角度を高精度で検出することが可能となる。
また、実施形態2に係るレゾルバ200においては、シート状積層コイル230a,230b,230c,230dを構成する各シート状コイル240a,240b,240c,240d,250a,250b,250c,250dは、基材20の表面に金属層22が形成されたシートに、所定パターンでレーザ光Lを照射することにより形成されたシート状コイルであるため、シート状積層コイルを構成する各シート状コイルを製造する過程でエッチング液を使用する必要がなくなる。このため、レゾルバの使用中に、シートコイルを製造する過程で除去しきれなかったエッチング液の存在に起因してコイルが腐食したり断線したりすることがなくなり、高信頼性のレゾルバを提供することが可能となる。
また、実施形態2に係るレゾルバ200によれば、各シート状積層コイル230a,230b,230c,230dを上下から挟んで配置された上下2枚のヨーク260,262の間に、回転子270が配置されているため、各シート状積層コイル230a,230b,230c,230d毎に、独立した磁気回路が構成されることになり、回転角度を高精度で検出することが可能となる。
〔実施形態3〕
図10は、実施形態3に係るレゾルバ300を説明するために示す図である。図10(a)はレゾルバ300の平面図であり、図10(b)は図10(a)のA−O−C断面図であり、図10(c)は図10(b)の要部拡大図である。なお、図10において、回転子370の軸孔については図示を省略している。
図11は、励磁巻線340用のシート状コイル340aを説明するために示す図である。図11(a)は励磁巻線340用のシート状コイル340aを構成するシート状コイル30を模式的に示す平面図であり、図11(b)は励磁巻線340用のシート状コイル340aを構成するシート状コイル40を模式的に示す平面図であり、図11(c)は励磁巻線340用のシート状コイル340aを模式的に示す断面図である。
実施形態3に係るレゾルバ300は、図10(a)に示すように、基本的には実施形態2に係るレゾルバ200と同様の構成を有しているが、シート状積層コイルの構造が実施形態2に係るレゾルバ200の場合とは異なっている。すなわち、実施形態3に係るレゾルバ300においては、励磁巻線340用のシート状コイル340aは、図10(b)、図10(c)及び図11に示すように、平面トラック状のシート状コイル30,40が積層された構造を有する。また、図示はしないが、励磁巻線340用のシート状コイル340b,340c,340d及び出力巻線350用のシート状コイル350a,350b,350c,350dも、平面トラック状のシート状コイルが2枚積層された構造を有する。
このため、実施形態3に係るレゾルバ300によれば、励磁巻線340用のシート状コイル340a,340b,340c,340dと、出力巻線350用のシート状コイル350a,350b,350c,350dとが、それぞれ2枚積層されたシート状コイル30,40を備えることで、十分な励磁性能及び検出感度を得ることが可能となり、結果として、回転角度を高精度で検出することが可能となる。
また、実施形態3に係るレゾルバ300においては、励磁巻線340用のシート状コイル340a,340b,340c,340d又は出力巻線350用のシート状コイル350a,350b,350c,350dを構成する各シート状コイル30,40は、スルーホール50及びはんだ52を用いて電気的に接続されている。
このため、実施形態3に係るレゾルバ300によれば、励磁巻線340用のシート状コイル340a,340b,340c,340d又は出力巻線350用のシート状コイル350a,350b,350c,350dを構成する各シート状コイル30,40を良好に接続することが可能となり、高信頼性のレゾルバを提供することが可能となる。
なお、実施形態3に係るレゾルバ300は、これ以外の点では実施形態2に係るレゾルバ200の場合と同様の構成を有するため、実施形態2に係るレゾルバ200が有する効果のうち該当する効果を有する。
以上、本発明のレゾルバを上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
(1)実施形態1に係るレゾルバ100においては、固定子巻線として整列巻線を用いているが、本発明はこれに限定されるものではない。固定子巻線として、基材の片面又は両面に金属線が形成されたシートコイルを用いることもできる。
(2)実施形態2及び3に係るレゾルバ200,300においては、固定子巻線として基材の片面に金属線が形成されたシートコイルを用いているが、本発明はこれに限定されるものではない。固定子巻線として、基材の両面に金属線が形成されたシートコイルを用いることもできるし、整列巻線を用いることもできる。
(3)実施形態1に係るレゾルバ100においては、輪状固定子板が、巻線磁芯ごとにn個の分割固定子板に分割されているが、本発明はこれに限定されるものではない。輪状固定子板は分割されていなくてもよい。
(4)実施形態1〜3に係るレゾルバ100〜300においては、固定子として、4個の巻線磁芯を有する固定子を用いているが、本発明はこれに限定されるものではない。8個、10個、12個、16個その他の個数の巻線磁芯を有する固定子を用いてもよい。
(5)実施形態1〜3に係るレゾルバ100〜300においては、回転子として、1Xタイプの回転子を用いているが、本発明はこれに限定されるものではない。2Xタイプ、3Xタイプ、4Xタイプ、5Xタイプ、7Xタイプ、10Xタイプ、14Xタイプその他のタイプの回転子を用いてもよい。
(6)実施形態1に係るレゾルバ100においては、巻線磁芯の内側に磁束帰路台が設置されているが、本発明はこれに限定されるものではない。巻線磁芯の外側に磁束帰路台が設置されていてもよい。
実施形態1に係るレゾルバ100を説明するために示す図である。 実施形態1に係るレゾルバ100における励磁巻線R及び出力巻線Sa,Sbを説明するために示す図である。 実施形態1に係るレゾルバ100における各巻線磁芯の磁気回路を説明するために示す図である。 空隙形成板134の板内面136の突出状態の変化を説明するために示す図である。 実施形態1に係るレゾルバ100を機器に組み込む際に固定子110の横方向から回転子130を挿入する作業を説明するために示す図である。 実施形態2に係るレゾルバ200を説明するために示す図である。 実施形態2に係るレゾルバ200における固定子巻線を説明するために示す図である。 励磁巻線240用のシート状積層コイル240bの製造方法を説明するために示す図である。 実施形態2に係るレゾルバ200を機器に組み込む際に固定子210の横方向から回転子270を挿入する作業を説明するために示す図である。 実施形態3に係るレゾルバ300を説明するために示す図である。 励磁巻線340用のシート状コイル340aを説明するために示す図である。 従来のレゾルバ800を説明するために示す図である。 従来のレゾルバ900を説明するために示す図である。
符号の説明
20,32,42…基材、22…金属層、24,34,44…金属線、30,40…シート状コイル、36,46…取出電極、38,48…中間接続電極、50…スルーホール、52…はんだ、100,200,300,800,900…レゾルバ、110,210,310,801,901…固定子、112…輪状基板、114a〜114d…分割固定子板、116a〜116d…巻線磁芯、118a〜118d,230…固定子巻線、120a〜120d…磁束帰路台、130,270,370,805,905…回転子、132…輪状回転子板、134…空隙形成板、136…板内面、220…輪状支持板、230a,230b,230c,230d…固定子巻線230用のシート状コイル、240…励磁巻線、240a,240b,240c,240d…励磁巻線240用のシート状コイル、250…出力巻線、250a,250b,250c,250d…出力巻線250用のシート状コイル、260,262,360,362…ヨーク、264,364…巻線磁芯(ガイドブッシュ)、802,902…スロット、803,903…突極、804,904,R…励磁巻線、806,807,906,907,Sa,Sb…出力巻線、808,908…SIN出力電圧、809,909…COS出力電圧、L…レーザ光、θ…回転角度、α,α,α,α…円周方向に沿って隣接する巻線磁芯の中心間角度、R,R,S,S,S,S…端子

Claims (9)

  1. 磁性材料からなる輪状固定子板と、前記輪状固定子板の面上に突出してかつ円周方向に沿って配設されたn個(但し、nは4以上の整数。)の巻線磁芯と、前記巻線磁芯の周囲に配設された固定子巻線と、前記輪状固定子板の面上に突出して、かつ、前記巻線磁芯の内側又は外側に設置された磁束帰路台とを有する固定子と、
    磁性材料からなる輪状回転子板と、前記輪状回転子板の内面に配設され波状に突出状態が変化する板内面を有し磁性材料からなる空隙形成板とを有する回転子とを備え、
    前記回転子の回転により、前記空隙形成板の前記板内面と前記巻線磁芯との間隔dが変化するように構成され、
    前記n個の巻線磁芯のうち円周方向に沿って隣接する巻線磁芯の各中心間角度αが(360/n)度とは異なる値に設定されているとともに、各中心間角度αのうち最大の中心間角度αが120度以上に設定されていることを特徴とするレゾルバ。
  2. 請求項1に記載のレゾルバにおいて、
    前記輪状固定子板は、前記巻線磁芯ごとにn個の分割固定子板に分割されており、
    前記n個の分割固定子板は、非磁性材料からなる輪状基板上に配設されていることを特徴とするレゾルバ。
  3. 輪状支持体と、前記輪状支持体上に円周方向に沿って配設されたn個(但し、nは4以上の整数。)の磁極部とを有する固定子と、
    前記固定子に対して回転自在に配設される回転子とを備え、
    前記磁極部は、巻線磁芯と、前記巻線磁芯の両端部に配設され前記固定子の内径方向に突出し磁性材料からなる2枚のヨークと、前記巻線磁芯の周囲に配設された固定子巻線とを有し、
    前記回転子の外周縁は、前記2枚のヨークの間に常に挟持されるように位置し、
    前記回転子の回転により、前記ヨークに挟持される前記回転子の面積が変化するように構成され、
    前記n個の巻線磁芯のうち円周方向に沿って隣接する巻線磁芯の各中心間角度αが(360/n)度とは異なる値に設定されているとともに、各中心間角度αのうち最大の中心間角度αが120度以上に設定されていることを特徴とするレゾルバ。
  4. 請求項3に記載のレゾルバにおいて、
    前記輪状支持体は、非磁性材料からなることを特徴とするレゾルバ。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のレゾルバにおいて、
    前記固定子巻線は、整列巻線からなることを特徴とするレゾルバ。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のレゾルバにおいて、
    前記固定子巻線は、シートコイルからなることを特徴とするレゾルバ。
  7. 請求項6に記載のレゾルバにおいて、
    前記シートコイルは、基材の表面に金属層が形成されたシートに、所定パターンでレーザ光を照射することにより形成されたシートコイルであることを特徴とするレゾルバ。
  8. 請求項6又は7に記載のレゾルバにおいて、
    前記シートコイルは、励磁巻線用のシートコイルと出力巻線用のシートコイルとがそれぞれ複数枚積層されたシートコイルであることを特徴とするレゾルバ。
  9. 請求項8に記載のレゾルバにおいて、前記シートコイルを構成する各シートコイルは、スルーホールを用いて電気的に接続されていることを特徴とするレゾルバ。
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