JP2016096108A - 電解質膜構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】コストを抑え、皺の発生を抑え、尚かつ、電解質膜付き(電解質膜を貼り合わせた状態)のシートをロール状に巻き取った後で巻き出す際に電解質膜がシートから剥離するのを抑える(ブロッキング性を向上させる)。【解決手段】支持基材2と、支持基材2の表面に貼り付けられた電解質膜6と、を備える電解質膜構造体7であって、支持基材2は、SPS(シンジオタクチックポリスチレン)のシートからなり、SPSシートの表面は、当該SPSシートの裏面と比べて密着力が高い。【選択図】図14

Description

本発明は、電解質膜構造体に関する。
燃料電池用の電解質膜の厚さは数μm〜数十μm程度であり比較的薄いものであることから、このような電解質膜を製造する際には、キャリアフィルム上に電解質膜を形成して製造するという手法が利用されている。
このような電解質膜の製造方法としては、(1)フッ素系電解質樹脂であるパーフルオロスルホン酸ポリマーを有機媒質に溶解させた溶液をキャリアフィルム上にコーティングして製造する方法と、(2)パーフルオロスルホン酸ポリマーのイオン伝導性を付与する前の電解質樹脂前駆体(高分子鎖の末端基が -SO2F である)をフィルム状に溶融押出しした後、キャリアフィルム上に貼り合わせ、アルカリ水溶液で加水分解処理し、酸水溶液で高分子鎖の末端基をスルホン型(-SO3H)に変性する製造方法と、がある。また、比較的薄い電解質膜である燃料電池用電解質膜は、当該電解質膜内にポリテトラフルオロエチレン延伸多孔質体に代表される多孔質膜を有する補強型電解質膜となっており、前者(1)および後者(2)それぞれの製造方法に、多孔質膜を含浸する工程が加わる。
また、溶融押出しして製造する(2)の方法におけるキャリアフィルムとしては、多孔質膜を含浸させる工程での加熱温度(220〜250℃)に耐えることと、アルカリ処理や酸処理に耐えることが必要となっており、これまでは、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)などのフッ素系のフィルムが用いられてきた(例えば、特許文献1参照)。
特開2013−171821号公報
しかしながら、(1)PTFEやPFAに代表されるフッ素系フィルムは、高価であるためコスト高となることがある。また、(2)フッ素系フィルムはフィルム加工性が難しく、フィルム自体に歪があることが多いため、電解質膜の搬送時に皺が発生することがある。さらに、(3)PTFEやPFAに代表されるフッ素系フィルムは、電解質膜と親和性が高く、フッ素系フィルムに電解質膜を貼り合わせた状態の積層品をロール状に巻き取った後、フッ素系フィルムの裏面と電解質膜の表面が、短時間に密着性が増し、貼り合わせ状態の接合強度と同等程度まで密着し、その後に巻き出した際、電解質膜がフッ素系フィルムの表面から剥がれることがある(図15参照。なお、本明細書では、電解質膜のキャリアフィルムからの剥がれにくさを「ブロッキング性」と称し、剥がれにくい場合はブロッキング性に優れる、剥がれやすい場合はブロッキング性に劣る、と表現する)。
ここで、コストについて検討すると、フッ素系樹脂フィルムは高価であることから再利用することが考慮されるものの、含浸時に熱変形が発生することから、実際、再利用することは困難である。
また、再利用可能なフィルムについて検討すると、金属シートにフッ素樹脂にてコーティングまたはフッ素樹脂シートにてラミネートしたシートを用いる従来手法によれば、熱変形が抑制されることから、当該シートを再利用することで低コスト化を図ることが考えられる。ところが、金属シートを使用することによる生産性の弊害として、金属シートへのフッ素樹脂のコーティングではピンホールによる金属腐食の懸念など管理が大変になることがある。また、金属シートを利用する場合、スリットを設けることができないため、ウェブハンドリングで端面の位置合わせをすることが困難になり、蛇行した製品となる可能性がある。さらに、金属シートは不透明であるため異物検査が困難であり、尚かつシートの重さが重いため設備を頑丈にする必要があるなど、生産性悪化につながりやすい問題を含む。
さらに、従来、ガラス繊維にPTFEを含浸させたシートというものも提案されているが、ガラス繊維はアルカリ処理に耐えることができない。
そこで、本発明は、コストを抑え、皺の発生を抑え、尚かつ、電解質膜付きのシートをロール状に巻き取った後で巻き出す際に電解質膜がシートから剥離するのを抑える(ブロッキング性を向上させる)ことを可能にした電解質膜構造体を提供することを目的とする。
かかる課題を解決するべく本発明は、支持基材と、前記支持基材の表面に貼り付けられた電解質膜と、を備える電解質膜構造体であって、
前記支持基材は、SPS(シンジオタクチックポリスチレン)のシートからなり、
前記SPSシートの表面は、当該SPSシートの裏面と比べて密着力が高い。
SPSシートはPTFEやPFAに代表されるフッ素系フィルムに比べて安価であることから、従来の電解質膜搬送用シートよりもコストが抑えられる。また、SPSシートは自体、歪が少ないものであるため、電解質膜搬送時に皺が発生しにくい。また、SPSシートの電解質膜を貼り合わせる側に高密着処理の表面処理を施し、濡れ性を向上(表面自由エネルギー差を小さくする)ことにより、密着性を向上させており、SPSの裏面には、高密着処理が実施されていないため、電解質膜付きのSPSシートをロール状に巻き取り、その後に巻き出す際に電解質膜がSPSシート表面から剥離するのが抑えられる(ブロッキング性が向上する)。
電解質膜構造体においては、前記SPSシートの片面に高密着処理が施されていてもよい。
前記高密着処理として、フッ素樹脂コートが施されても良い。例えば、フッ素樹脂コートとして、フッ素樹脂を溶媒に溶かして塗布する方法、フッ素樹脂以外にポリエステルなどフッ素樹脂と共重合可能な成分を加えたコート層でも構わない。フッ素樹脂層により、搬送中の電解質膜とSPSシートとの密着力を確保でき、かつ電解質膜付きSPSシートをロール状に巻き取った際にも電解質膜の表面にはSPSシートの裏面が積層されるため、その後に巻き出す際に、電解質膜がバックシートから剥離することを抑制できる。
前記電解質膜が所定値よりも薄い場合に、当該電解質膜が、多孔質膜を有する補強型電解質膜とされていることが好ましい。
この場合の電解質膜構造体は、SPSシートが、前記多孔質膜を含浸する工程を経て作成されたものであってもよい。
また、前記SPSシートの厚みが、前記フッ素樹脂コートの厚みよりも厚いことが好ましい。含浸性、ハンドリング性に優れる構造として、耐熱強度、熱伝導度の観点から、前記SPSシートの厚みの好適範囲の一例は25μm以上200μm未満であり、前記フッ素樹脂コートの厚みの好適範囲の一例は0.5μm〜10μmである。
本発明によれば、コストを抑え、皺の発生を抑え、尚かつ、電解質膜付きのシートをロール状に巻き取った後で巻き出す際に電解質膜がシートから剥離するのを抑える(ブロッキング性を向上させる)ことができる。
本発明の一実施形態におけるキャリアフィルム(電解質膜搬送用シート)の構成例を示す図である。 キャリアフィルム上に電解質樹脂前駆体を貼り合わせる際の電解質膜作成装置の斜視図である。 キャリアフィルムに電解質樹脂前駆体が貼り合わされてなる積層体L1の積層状態を示す図である。 補強材としての多孔質体を、ステップ1で得られた積層体L1の電解質樹脂前駆体側に貼り合わせる際の電解質膜作成装置の斜視図である。 さらに補強材が貼り合わされた積層体L2の積層状態を示す図である。 積層体L2の補強材側に、積層体L1の電解質樹脂前駆体側を貼り合わせてなる新たな積層体L3の積層状態を示す図である。 電解質樹脂前駆体が溶解し、補強材である多孔質体の内部に含浸した積層体L4を示す図である。 積層体L4の片側のキャリアフィルムを剥離した後の積層体L5を示す図である。 積層体L4から片側のキャリアフィルムを剥離し、ロール状に巻き取る電解質膜作成装置の斜視図である。 積層体L5を加水分解処理し、ロール状に巻き取る電解質膜作成装置の斜視図である。 加水分解処理が行われた後の積層体L6を示す図である。 キャリアフィルムの評価試験の結果を示す表である。 電解質膜および該電解質膜を搬送するSPSシートを示す図である。 支持基材と、支持基材の表面に貼り付けられた電解質膜とを備える電解質膜構造体について示す図である。 従来の電解質膜構造体について示す図である。
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
<キャリアフィルムおよび電解質膜の構成>
本実施形態のキャリアフィルム(電解質膜搬送用シート)1は、電解質膜6を搬送する際に用いられるシートであって、SPS(シンジオタクチックポリスチレン)のシート(支持基材)からなる(図1参照)。また、SPSシート2の片面には、高密着処理が施されている。高密着処理は、SPSシート2と電解質膜6との密着度を高める表面処理である。
電解質膜6のキャリアフィルム1には、耐熱性、耐薬品性(耐酸性、耐アルカリ性)、透明性、加水分解時の耐久性、さらに低コストといった各種特性が要求されるところ、フッ素系樹脂のフィルム以外で、融点が250℃程度の樹脂としては、PI(ポリイミド)、PPS(ポリフェニレンスルファイト)、PMP(ポリメチルペンテン)等が考えられるが、耐アルカリ性、耐酸性が無い、耐熱性が無い、透明性が無い、等の問題を含む。この点、本発明者が見出したSPSシート2は、耐熱性を有するだけではなく、加水分解工程に耐えうるなど、上述した各種要求を満たす特性を有している点でキャリアフィルムの素材として好適である。ただし、SPSシート2と電解質膜6との密着性は加水分解時において乏しいことから、上記要求を満たしつつ、密着性を向上させうる表面処理(高密着処理)が施されていることが肝要となる(図13参照)。
このような表面処理の具体例としては、物理的凹凸による表面処理、プラズマ処理による表面官能基修飾、といったような処理が挙げられる。例えば物理的凹凸による表面処理によればいわゆるアンカー効果による密着性の向上が図られると考えられるが、実際には凹凸を付けることで逆に密着しなくなることがあるため適当ではない。また、プラズマ処理によれば、水素結合による密着性向上の傾向が有ると考えられるが、実際には加水分解処理に耐えるほどの密着性の実現は難しい。
この点、本実施形態では、SPSシート2と電解質膜6との密着度を高める高密着処理を施すことによって高い密着性を実現している。高密着処理の好適例は、SPSシート2の表面にフッ素樹脂コートを施してフッ素樹脂層3を形成することである(図1参照)。フッ素処理による表面処理によれば、上述のごとき要求される各種特性を満足しつつ、密着性を向上させることができる。
<補強型電解質膜の作成方法>
電解質膜作成装置を用いて電解質膜を作成する方法の一例を以下に説明する(図2等参照)。なお、図中においては、電解質膜作成装置の各部を、図2においては符号101、図4においては符号102、図9においては符号103、図10においては符号104で示す。
(ステップ1)
まず、帯状の電解質樹脂前駆体(高分子鎖の末端基が -SO2F である)4をキャリアフィルム1上に貼り合わせ(図3参照)、ロール状に巻き取る(図2参照)。電解質樹脂前駆体4は、プロトン伝導性を付与する前のフッ素系のイオン交換樹脂であり、例えば、Naflon(登録商標)などのパーフルオロスルホン酸ポリマーである。帯状の電解質樹脂前駆体4の厚みは、4〜15μm程度であり、これらの厚みの範囲内であれば燃料電池に適用した場合に良好な発電環境が得られやすい。
(ステップ2)
次に、補強型電解質膜6にするため、補強材5としての多孔質体を、ステップ1で得られた積層体L1の電解質樹脂前駆体4側に貼り合わせ(図5参照)、ロール状に巻き取る(図4参照)。ここで使用される多孔質体は、ポリテトラフルオロエチレン延伸多孔質体に代表される多孔質膜である。
(ステップ3)
補強材5を補強型電解質膜6の内部に配置するため、ステップ2で得られた積層体L2の補強材5側に、ステップ1で得られた積層体L1の電解質樹脂前駆体4側を貼り合わせ(あるいは、ステップ2で得られた積層体L2の補強材5側にステップ2で得られた積層体L2の補強材5側を貼り合わせてもよい)、サンドウィッチ構造の積層体L3とし(図6参照)、その後、加熱し、ロールプレスする。これによって電解質樹脂前駆体4が溶解し、補強材5である多孔質体の内部に含浸した含浸状態となる(図7参照)。なお、電解質樹脂前駆体4が溶解して含浸した補強材を図中において符号5’で示す。この工程を経ることによって、補強材5と電解質樹脂前駆体4とが一体化される。
加熱し、ロールプレスすることによって補強材5に電解質樹脂前駆体4を含浸した積層体L4の外側両側には、キャリアフィルム1が配置された状態となっている(図7参照)。本実施形態では、これら外側両側のキャリアフィルム1の一方を剥離し(図8参照)、ロール状に巻き取る(図9参照)。
(ステップ4)
上述のステップ3にて得られた積層体L5を、アルカリ溶液に浸漬し、アルカリ溶液を除くために水洗し、さらに酸溶液に浸漬し、酸を除くために水洗する、といった加水分解処理を行うことにより(図10参照)、電解質樹脂前駆体4の高分子鎖の末端基 -SO2F を -SO3H へと変性させる。末端基が -SO3H となることにより、燃料電池に必要なプロトン伝導性を付与することができる。加水分解処理が行われた後の積層体L6は、キャリアフィルム1に補強型電解質膜6が積層された状態となっている(図11参照)。乾燥後、積層体L6をロール状に巻き取る(図10参照)。
上述のように補強材5を含浸する工程を経て形成された補強型電解質膜6は、特に、燃料電池に用いられる薄い電解質膜とする場合に好適である。
ここまで説明したように、本実施形態では、溶融押出し形成による補強型電解質膜を形成する際に使用するキャリアフィルム1として、耐熱性、耐薬品性等を有するSPS(シンジオタクチックポリスチレン)を基材とするフィルムを採用し、該キャリアフィルム1上にフッ素樹脂層3を形成する。例えば、従来のフッ素系キャリアフィルムは一般に高価であり、尚かつスジや歪があることがあり、ウェブハンドリングの製造過程において、フィルムの歪みから搬送中や巻取の際に皺が入ったり、フィルムのスジから電解質膜に凹凸のスジが転写されたりし、電解質膜の耐久性に関わる、品質を悪化させる要因となっていたが、この代わりにSPSシート2を採用した本実施形態のキャリアフィルム(電解質膜搬送用シート)1によればこのような問題を解消することができる。したがって、安価であり、ウェブハンドリングで皺や外観検査を行うことを容易とし、しかも、耐熱性、耐薬品性を兼ね備え、各工程で良好な密着性を有し、保管安定性を高めることが可能なキャリアフィルム(電解質膜搬送用シート)1を実現することができる。
また、フッ素樹脂層3により、搬送中の電解質膜(補強型電解質膜6)と電解質膜搬送用シート1との密着力を確保でき、かつ電解質膜付き搬送用シートをロール状に巻き取った際にも電解質膜6の表面にはSPSシート2の裏面が積層されるため、その後に巻き出す際に、電解質膜6がバックシート(SPSシート2の裏面)から剥離することを抑制し、ブロッキング性を向上させることができる(図14参照)。なお、図14中の符号7は、SPSシート(支持基材)2と、SPSシート2の表面に貼り付けられた電解質膜6とからなる電解質膜構造体である。
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば本実施形態においては、SPSシートの片面にフッ素樹脂をコーティングした例を示したが、これは高密着処理の好適な一例にすぎない。
また、上述した実施形態では、外側両側のキャリアフィルム1の一方を剥がす工程について説明したが(図8等参照)、剥がす方のキャリアフィルム1に関しては、加水分解工程による密着性は不要であるため、高密着処理をする必要がない。
各キャリアフィルム1の評価試験を行った。その結果を実施例1として以下に示す(図12参照)。
キャリアフィルム1として以下に示す構成のフィルムを用いて補強型電解質膜6を形成した。ここでは、キャリアフィルム1を変更すること以外の条件はすべて同じとした。
SPSシート2の厚みは、25μm、50μm、100μm、150μm、200μmの5通りとし、フッ素樹脂層3の厚みは、無し、0.5μm、1μm、5μm、10μmの5通りとし、これらの組み合わせで、以下の項目の評価を実施した。フッ素樹脂層3は、フッ素樹脂を溶解した液をコーティングして形成層を得たものである。
<ブロッキング性>
ブロッキング性について、補強型電解質膜6の形成方法におけるステップ1の工程後のロール状に巻き取った積層体L1で評価を実施した。
(評価方法)
積層体L1をロール状に100m巻き取って、24時間保管した。24時間保管された積層体L1を巻き出していき、キャリアフィルム1上の電解質樹脂前駆体4がキャリアフィルム1から剥離するかしないかを調査するという方法で評価した。
(評価基準)
剥離がなければ○、剥離した長さが10m未満であれば△、10m以上であれば×とした。なお、記号の意味は、○:良、△:可、×:不可である(以下において同様)。本例に当てはめれば、ブロッキング性に優れる場合は○、劣る場合は×となる。
<耐熱性>
耐熱性について、補強型電解質膜6の形成方法におけるステップ3の工程後のロール状に巻き取った積層体L3を使って評価を実施した。
(評価方法)
加熱、ロールプレスを実施する前の幅(TD方向幅)aと、加熱、ロールプレスを実施した後の幅(TD方向幅)bの差を評価した。
(評価基準)
幅aと幅bから、次式によってネックイン度を計算した。
ネックイン度[%]=(a−b)/a×100
ネックイン度が5[%]未満なら○、5[%]以上8[%]未満なら△、8[%]以上なら×とした。なお、ここでは、加熱後に収縮することをネックインと呼んでおり、上述のようにa>bになる。ネックインによる収縮が小さい、つまり、加熱しながら搬送過程で引っ張っているが、その引張に対して、収縮率が小さい方が、優れているということになる。
<含浸性>
(評価方法)
補強型電解質膜6の形成方法におけるステップ3の工程で、加熱、ロールプレスする前の貼り合わせ状態の積層体L3を10cm×10cmにカットし、240℃のホットプレート上に置いて、電解質樹脂前駆体4が多孔質体からなる補強材5へ含浸する時間で評価した。
(評価基準)
補強材5(白色)に電解質樹脂前駆体(透明)4が含浸すると全体として透明になる。対象物が透明になるまでの時間を計測した。該時間が100秒未満ならば○、100秒以上120秒未満は△、120秒以上なら×とした。
<密着性>
補強型電解質膜6の形成方法におけるステップ4の工程で、加水分解処理での積層体L6で密着性についての評価を実施した。
なお、高分子鎖の末端基がスルホン型(-SO3H)に変性すると、電解質ポリマーは含水し、膨潤しようとする力が作用する。キャリアフィルム1と電解質膜6の密着性を、膨潤する力が上回ると、キャリアフィルム1から電解質膜6が剥がれる。キャリアフィルム1から電解質膜6が剥がれてしまうと皺が発生し、耐久性に悪影響を及ぼす。
(評価方法)
加水分解処理で電解質樹脂層6とキャリアフィルム1が剥がれるかどうかを評価した。
(評価基準)
電解質樹脂層6とキャリアフィルム1が剥がれなければ○、剥がれれば×とした。
<評価の結果>
図12に、各キャリアフィルム(A〜J)における評価結果を示す。フッ素樹脂層3だけの場合はブロッキング性に劣り、SPS層だけの場合は密着性に劣るという結果が得られた。また、SPS層とフッ素樹脂層3の2層構造にすることにより、ブロッキング性と密着性を満足することが可能になることがわかった(図12参照)。
一方で、SPSシート2からなるSPS層が25μm以下になると、耐熱性が悪化し、200μm以上になると含浸性が悪化する。これらのことから、SPS層の望ましい厚みの範囲は、25μm以上200μm未満である。また、コスト的な観点からすれば、フッ素樹脂層3は薄いほうが好ましく、0.5μm〜10μm程度あれば問題ない。
本発明は、電解質膜を搬送する際に用いられる電解質膜搬送用シートに適用して好適なものである。
1…キャリアフィルム(電解質膜搬送用シート)
2…SPSシート(支持基材)
3…フッ素樹脂層(フッ素樹脂コート)
5…補強材(多孔質膜)
6…(補強型の)電解質膜
7…電解質膜構造体

Claims (8)

  1. 支持基材と、
    前記支持基材の表面に貼り付けられた電解質膜と、
    を備える電解質膜構造体であって、
    前記支持基材は、SPS(シンジオタクチックポリスチレン)のシートからなり、
    前記SPSシートの表面は、当該SPSシートの裏面と比べて密着力が高い、電解質膜構造体。
  2. 前記SPSシートの片面に高密着処理が施されていることを特徴とする請求項1に記載の電解質膜構造体。
  3. 前記高密着処理として、フッ素樹脂コートが施されている、請求項2に記載の電解質膜構造体。
  4. 前記電解質膜が所定値よりも薄い場合に、当該電解質膜が、多孔質膜を有する補強型電解質膜とされている、請求項3に記載の電解質膜構造体。
  5. 前記SPSシートが、前記多孔質膜を含浸する工程を経て作成された、請求項4に記載の電解質膜構造体。
  6. 前記SPSシートの厚みが、前記フッ素樹脂コートの厚みよりも厚い、請求項3から5のいずれか一項に記載の電解質膜構造体。
  7. 前記SPSシートの厚みが25μm以上200μm未満である、請求項6に記載の電解質膜構造体。
  8. 前記フッ素樹脂コートの厚みが0.5μm〜10μmである、請求項7に記載の電解質膜構造体。
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