JP2011253753A - 高分子固体電解質膜積層体 - Google Patents

高分子固体電解質膜積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】 輸送時や保存時における、高分子固体電解質膜のシワ、凹凸、キズなどの発生を防ぎ形態安定性に優れると共に、高分子固体電解質膜の加工時における、高分子固体電解質膜の変形や損壊を防ぎ、取り扱い性にも優れ、なおかつ製造時、使用時の環境温湿度差が大きい時にも取扱い性に悪影響を及ぼさない高分子固体電解質膜積層体の提供。
【解決手段】 高分子固体電解質膜と、高分子固体電解質膜の両面に粘着層を付与された非電解質高分子フィルムが積層された高分子固体電解質膜積層体において、(a)該高分子固体電解質膜と該粘着層付与非電解質高分子フィルムの剥離強度FがFが0<F≦3N/20mmであり、かつ(b)該粘着層付与非電解質高分子フィルムの引張弾性率が0.1GPa以上であり、厚みが5μm以上400μm以下であることを特徴とする高分子固体電解質膜積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、高分子固体電解質膜と非電解質フィルムとの積層体であり、輸送時や保存時における、高分子固体電解質膜のシワ、凹凸、キズ、及び剥離などの発生を防ぎ形態安定性に優れると共に、高分子固体電解質膜の加工時における、高分子固体電解質膜の変形や損壊を防ぎ、取り扱い性にも優れ、なおかつ製造時、使用時の環境温湿度差が大きい時にも取扱い性に悪影響を及ぼさない高分子固体電解質膜積層体に関するものである。
近年、エネルギー効率や環境性に優れた新しい発電技術が注目を集めている。中でも高分子固体電解質膜を使用した固体高分子形燃料電池はエネルギー密度が高く、また、他の方式の燃料電池に比べて運転温度が低いため起動、停止が容易であるなどの特徴を有するため、電気自動車や分散発電などの電源装置としての開発が進んできている。
高分子固体電解質膜には通常プロトン伝導性のイオン交換膜が使用される。高分子固体電解質膜にはプロトン伝導性以外にも、燃料の水素などの透過を防ぐ燃料透過抑止性や機械的強度などの特性が必要である。これら特性を支配する要因として電解質膜のシワ、凹凸が影響することがわかっている。
従来、輸送時や保存時のシワや凹凸の発生を防止する手段として、フッ素系の柔らかい高分子固体電解質膜においてはその自己粘着性を利用することで、電解質膜をフィルムに挟みこみ、これらの問題を解決する方法が報告されている(例えば、非特許文献1)。
また、自己粘着性を持たない高分子固体電解質膜においては、燃料電池用電極構造体の製造方法として、粘着シート上に固体高分子電解質膜を設置、固定し、シワを発生させずに電極触媒層を塗布・形成する方法が報告されている(例えば、特許文献1)。
しかし、これらの対策だけでは、ロール作成時の環境温湿度とその使用時の環境温湿度が大きく異なる場合、高分子電解質膜及び併せて用いるフィルム、粘着シート間の吸湿や温度に対する寸法変化率の違いによりカールが発生する問題があった。
特開2006−339062号公報
デュポン社 "ナフィオン"(登録商標)カタログ
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、高分子電解質膜の両面に粘着層を付与されたプラスチックフィルムを積層することで、輸送時や保存時における、高分子固体電解質膜のシワ、凹凸、キズなどの発生を防ぎ高い形態安定性を得、高分子固体電解質膜の加工時における、高分子固体電解質膜の変形や損壊を防ぎ、優れた取り扱い性を付与すると共に、なおかつ製造時、使用時の環境温湿度差が大きい時にも上記カールを発生させず、取扱い性に悪影響を及ぼさない高分子固体電解質膜積層体に関するものである。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
(1)高分子固体電解質膜と、高分子固体電解質膜の両面に粘着層とベース層からなるプラスチックフィルムが粘着層を介して積層された高分子固体電解質膜積層体において、該高分子固体電解質膜と該プラスチックフィルムの剥離強度Fが0.01≦F≦2N/20mmであり、かつ該プラスチックフィルムの引張弾性率が0.1GPa以上であり、厚みが5μm以上400μm以下であることを特徴とする高分子固体電解質膜積層体。
(2)該高分子固体電解質膜と該プラスチックフィルムの剥離強度Fが0.01≦F≦1.5N/20mmであることを特徴とする(1)に記載の高分子固体電解質膜積層体。
(3)該高分子固体電解質膜と該プラスチックフィルムの剥離強度Fが0.02≦F≦1N/20mmであることを特徴とする(1)、(2)のいずれかに記載の高分子固体電解質膜積層体。
(4)上記プラスチックフィルムのベース層が、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、液晶ポリエステルフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリアミドフィルム、アラミドフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルムからなる群から選択されるフィルムであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の高分子固体電解質膜積層体。
(5)上記プラスチックフィルムの粘着層が、ポリオレフィン系粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤からなる群から選択される1種以上の粘着剤からなることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の高分子固体電解質膜積層体。
(6)両面に積層する粘着層を付与されたプラスチックフィルムの素材、厚み、粘着層成分がそれぞれ異なる(1)〜(5)のいずれかに記載の高分子固体電解質膜積層体。
(7)両面に積層する粘着層を付与されたプラスチックフィルムの素材、厚み、粘着層成分が同一である(1)〜(6)のいずれかに記載の高分子固体電解質膜積層体。
(8)上記高分子固体電解質膜が、芳香族系高分子電解質からなることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の高分子固体電解質膜積層体。
(9)前記高分子固体電解質膜が1GPa以上の引張弾性率を有する非フッ素系高分子固体電解質膜である(1)〜(8)のいずれかに記載の高分子固体電解質膜積層体。
(10)ロール状に巻き取られていることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載の高分子固体電解質膜積層体。
本発明により、輸送時や保存時における、高分子固体電解質膜のシワ、凹凸、キズなどの発生を防ぎ形態安定性に優れると共に、高分子固体電解質膜の加工時における、高分子固体電解質膜の変形や損壊を防ぎ、取り扱い性にも優れ、なおかつ製造時、使用時の環境温湿度差が大きい時にもカール発生による取扱い性の悪影響を抑制した高分子固体電解質膜積層体を得ることができる。
以下、本発明の高分子電解質膜積層体の実施の形態を説明する。
本発明は、高分子固体電解質膜と、高分子固体電解質膜の両面に粘着層とベース層からなるプラスチックフィルムが粘着層を介して積層された高分子固体電解質膜積層体において、該高分子固体電解質膜と該プラスチックフィルムの剥離強度Fが0.01≦F≦2N/20mmであり、かつ該プラスチックフィルムの引張弾性率が0.1GPa以上であり、厚みが5μm以上400μm以下であることを特徴とする。
高分子固体電解質膜積層体において、粘着層とベース層からなるプラスチックフィルムは、高分子固体電解質膜の両面全面を覆っていることが好ましい。両面全面を被覆させる方法としては、高分子固体電解質膜より大きい面積のプラスチックフィルムを用いて両面を被覆させる方法でもよく、逆に高分子固体電解質膜より小さい面積のプラスチックフィルムを用いて両面を被覆させた後、余った部分の高分子固体電解質膜を切り取ることで全面を被覆させても良く、高分子固体電解質膜と同じ面積のフィルムで丁度高分子固体電解質膜の全面を覆わせる方法でも構わない。さらにはこれらの任意の組み合わせ、例えば高分子固体電解質膜の片面を高分子固体電解質膜より大きい面積のプラスチックフィルムを用いて被覆し、反対面を高分子固体電解質膜より小さい面積のプラスチックフィルムを用いて両面被覆させた後、小さい面積のプラスチックフィルムから余った部分を切り取ることで全面を被覆させることも問題なく可能である。
高分子固体電解質膜をプラスチックフィルムで被覆する順番や方法についても特に問題なく選定が可能である。例えば、片方ずつ2回に分けて被覆しても良く、両方を一度に被覆する方法でも特に問題ない。さらには支持体付きの高分子固体電解質膜から支持体を剥離した後プラスチックフィルム被覆する方法、まず支持体付きの高分子固体電解質膜に非電解質高分子フィルムを被覆し、その後支持体を剥離してその剥離した面にプラスチックフィルムを被覆する方法等、いかなる方法で選定できる。
(プラスチックフィルム)
本発明に用いる粘着層とベース層からなるプラスチックフィルムは、最低1層の高分子固体電解質膜と粘着する粘着層と、最低1層のベース層を構成要件とする。これらの層の数においては1層以上であれば何層でもよく、例えばフィルムの厚み、剛性を確保するために貼りあわせを行い、粘着層−ベース層−粘着層−ベース層のような組み合わせでもよい。また保護のため、高分子固体電解質膜と貼り合せるまでの粘着層に剥離フィルムを張り合わせてもよい。
本発明のプラスチックフィルムのベース層としては、粘着層を含めたプラスチックフィルム全体の弾性率が0.1GPa以上となるものであれば公知の素材を使用可能である。弾性率が0.1GPa未満であると、共巻き実施時の張力及びその変動により寸法変化を起こし、高分子電解質膜との長さがそろわないことによるしわを発生させるため好ましくない。弾性率の好ましい範囲は0.3GPa以上であり、より好ましくは0.5GPa以上である。なお、この引張弾性率は、ロール状の積層体の場合は、長さ方向の弾性率とする。
ベース層の例としては、例えば工業的に製造されているものでポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、液晶ポリエステルフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリアミドフィルム、アラミドフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム等がある。このうち、汎用性から考慮するとポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアミドフィルム等が好ましい。
本発明のプラスチックフィルムの粘着層、ベース層には公知の添加剤を必要に応じて含有させたり、フィルム表面にコーティング層を設けてもよい。例えば、滑剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐光剤、耐衝撃改良剤などを含有させたり、表面にコーティング層をコートしても良い。但し、該添加剤、コート剤等は高分子電解質膜の性能を阻害しないよう、材質、添加方法を検討するなどして、高分子電解質膜への移行、転写がない様に留意する。本観点において、例えば可塑剤を大量に含有するポリ塩化ビニルフィルムは本用途に適さない。
本発明のプラスチックフィルムの粘着層としては、プラスチックフィルムと高分子固体電解質膜との剥離強度Fが0.01≦F≦2N/20mmとなるものが必要である。剥離強度が3N/20mmを超えると、粘着剤の移行や、高分子固体電解質膜から剥離する際に、高分子固体電解質膜にシワやキズが発生したり、高分子固体電解質膜が損壊したりするなどの問題が生じる場合があるため好ましくない。剥離強度Fが0.01N/20mm以下であると、本発明ではプラスチックフィルムを両面から積層しているため、積層後、取扱いの際に高分子固体電解質膜と両面のプラスチックフィルム間にハガレが生じ、両者がずれることによるシワが生じる場合があるため好ましくない。剥離強度Fの好ましい範囲は0.015≦F≦1.5N/20mmであり、より好ましい範囲は0.02≦F≦1N/20mmである。剥離強度は、粘着層の成分及び厚みによって制御することができる。プラスチックフィルムにおける粘着層の厚みは、0.1〜20μmであることが好ましく、1〜15μmの範囲であることがより好ましい。粘着層の厚みが0.1μm未満であると、積層後の剥離が生じるなどの問題が発生する場合があり好ましくない。粘着層の厚みが20μmを超えると、剥離が困難になる場合があるので好ましくない。
粘着層を構成する粘着剤の素材は、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアルキレンオキシド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、及びそれらの変性樹脂などから選択することが可能であり、常温で粘着性を有し、ガラス転移温度が常温以下であるものを用いることができる。粘着性樹脂は、プラスチックフィルムから、高分子固体電解質膜に移行しにくいものが好ましい。中でも、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びそれらの変性樹脂のいずれかあるいはそれらを任意の割合で混合した樹脂が好ましい。
このうち、例えばポリオレフィン系粘着樹脂は、低結晶性、もしくは非晶性であるか、非晶性重合体を30質量%以上含んでいる事が好ましい。非晶性重合体としては、例えば、住友化学(株)製「タフセレンH3522A」、三井化学(株)製「ノティオTX1236A」などを例示することができる。また、非晶性重合体と混合するオレフィン系重合体は、特に限定されるものではないが、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−ブテン−4−メチル−1−ペンテン共重合体等を挙げることができる。また、これらの重合体のメルトフローレートは1〜10g/10分の範囲のものが好ましく、さらに2〜5g/10分の範囲のものが好ましい。
本発明で用いる粘着層を付与されたプラスチックフィルムの製造方法は、特に限定されるものではないが、インフレーションフィルム製造装置やTダイフィルム製造装置を用いてベース層、粘着層をそれぞれ成形後、押出ラミネート法により貼り合せたり、最初から共押出により多層フィルムを形成したり、予め作製したベース層フィルムに粘着層をコーティングして作製しても良い。
本発明のプラスチックフィルムは、粘着層の反対面に離形層を形成してもよく、例えば、シリコーン樹脂やフッ素樹脂からなる層や、プロピレンエチレンブロック共重合体からなる樹脂とポリエチレン樹脂を混合することによって得られるマット状表面層を積層することが出来る。マット状の表面を得るのに好適な樹脂としては、具体的にはサンアロマー(株)製「PC523D」や「PC523A」などのプロピレン−エチレンブロックコポリマーを例示することが出来る。
本発明のプラスチックフィルムの厚さの適正範囲は取り扱いが可能な範囲で自由に選定することができる。具体的には粘着層厚みを含んだ総厚みが5μm以上400μm以下であることがしわや頑丈さによる共巻きの難しさを回避するために必要であり、7μm以上350μm以下がより好ましく、9μm以上300μm以下がさらに好ましい。
(高分子電解質膜)
本発明の高分子電解質膜は、目的に応じて任意の膜厚にすることができるが、プロトン伝導性の面からはできるだけ薄いことが好ましい。具体的には3〜200μmであることが好ましく、5〜150μmであることがさらに好ましく、特に好ましくは5〜100μmである。高分子電解質膜の厚みが3μmより薄いと高分子電解質膜の取扱が困難となり燃料電池を作製した場合に短絡等が起こる傾向にあり、200μmよりも厚いと高分子電解質膜が頑丈となりすぎ、ハンドリングが難しくなる傾向にある。
本発明における高分子固体電解質膜を形成するポリマーは任意の高分子固体電解質を用いることができる。一般に、主として芳香族基から構成されている主鎖骨格を有する芳香族系高分子電解質を用いる場合、輸送、保管、加工時における膜の変形や損壊の問題が起こりやすいが、本発明の高分子固体電解質膜積層体とすることでそれらの問題を解消することができる。よって、本発明では芳香族系高分子電解質を用いることが好ましい。
本発明の芳香族系高分子電解質としては、ポリマー主鎖に芳香族環を有し、この芳香族環とが単結合、エーテル結合、スルホン結合、イミド結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、スルフィド結合、カーボネート結合及びケトン結合から選択される少なくとも1種以上の結合基を有する構造を有する非フッ素系あるいは部分フッ素系のイオン伝導性ポリマーである。
かかる構造を有する芳香族系ポリマーとしては、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリパラフェニレン、ポリアリーレン系ポリマー、ポリフェニルキノキサリン、ポリアリールケトン、ポリエーテルケトン、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド等が挙げられる。高分子電解質は、これらの芳香族系ポリマー単独で構成されても、2種以上を組み合わせて構成されてもよい。
特に、芳香族系ポリマーとしては、ポリ(p−フェニレン)、ポリ(m−フェニレン)など
のポリアリーレン系ポリマー;ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレ
ンスルフィドスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテル
ケトン類などのポリアリーレン(チオ)エーテル系ポリマー;前記ポリアリーレン/前記
ポリアリーレン(チオ)エーテル共重合系ポリマーであることが好ましく、芳香族基や脂
肪族基からなる側鎖を有していてもよい。
本発明の高分子電解質を構成する芳香族系ポリマーは、イオン性基を有することが好ましく、酸性基を有することがより好ましい。酸性基としては、スルホン酸基、ホスホン酸基、カルボキシル基、スルホンアミド基、スルホンイミド基、及びそれらの誘導体が挙げられる。芳香族炭化水素系ポリマーは、これらの酸性基のいずれか一種のみを有して構成されても、2種以上有して構成されてもよい。本発明ではスルホン酸基、あるいはホスホン酸基を有していることが好ましい。酸性基は、芳香族炭化水素系ポリマーのいずれの位置で保持されていてもよく、例えば、ポリマー主鎖を構成する芳香環上やポリマー側鎖を構成する芳香族基上や脂肪族基上に酸性基を有する態様が挙げられる。なお、酸性基は、ポリマー形成中や高分子電解質膜製造中は、塩となっていても構わないが、最終的には塩をプロトン(H)に変換して高分子電解質膜とすることが好ましい。塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属イオンや、モノアンモニウム塩などの1価のカチオンが挙げられる。これら1価のカチオン塩の群から選択される単一種の塩で構成されても、2種以上を組み合わせた複数種の塩で構成されてもよい。
本発明で用いる高分子電解質は、上記芳香族系ポリマーのホモポリマーやランダム共重
合体の他、セグメント化ブロック共重合体、長鎖あるいは短鎖の分岐を有する重合体(例
えば、櫛型重合体など)、星型重合体などの高次構造を有していてもよい。中でも、セグ
メント化ブロック共重合体など、親水性部と疎水性部の相分離によって共連続構造を形成
し得る共重合体を用いると、高分子電解質膜の耐久性やプロトン伝導性が向上する点で好
ましい。このようなセグメント化ブロック共重合体としては、酸性基またはその塩を有す
る親水性セグメントと、酸性基及びその塩を有さない疎水性セグメントとの共重合体が挙
げられる。このようなセグメント化ブロック共重合体は、例えば、前記セグメントを構成
するオリゴマーを、直接あるいは他の化合物を介して重合させることによって得ることが
できる。
酸性基を芳香族炭化水素系ポリマーに導入する方法のうち、特に芳香族炭化水素系ポリマーの芳香環上にスルホン酸基を導入する方法としては、例えば、上記例のような骨格を持つ芳香族炭化水素系ポリマーに対してポリマーに応じた反応条件を適宜選択しながら、適当なスルホン化剤を反応させ導入する方法が挙げられる。このようなスルホン化剤としては、例えば、芳香族系炭化水素系ポリマーにスルホン酸基を導入する例として報告されている、濃硫酸や発煙硫酸を使用するもの(例えば、Solid State Ionics,106,P.219(1998))、クロル硫酸を使用するもの(例えば、J.Polym.Sci.,Polym.Chem.,22,P.295(1984))、無水硫酸錯体を使用するもの(例えば、J.Polym.Sci.,Polym.Chem.,22,P.721(1984)、J.Polym.Sci.,Polym.Chem.,23,P.1231(1985))、特許第2884189号に記載のスルホン化剤等が挙げられる。これらのスルホン化剤は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、酸性基を含むモノマー成分を重合して、酸性基を有する芳香族炭化水素系ポリマーを得る方法としては、例えば、酸性基(スルホン酸基やホスホン酸基など)を有する芳香族ジアミンを含むジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物とを重合して、酸性基含有ポリイミドを得る方法;酸性基を有する芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、芳香族ジアミンジオールや芳香族ジアミンジチオールや芳香族テトラミンとを重合して酸性基含有ポリベンズオキサゾールや酸性基含有ポリベンズチアゾールや酸性基含有ポリベンズイミダゾールを得る方法;芳香族ジハライドと芳香族ジオールとを重合してポリスルホンやポリエーテルスルホンやポリエーテルケトンを得るにあたり、酸性基を有する芳香族ジハライドや酸性基を有する芳香族ジオールを用いる方法等が挙げられる。なお、酸性基を含有する芳香族ジオールを用いるよりも、スルホン酸基酸性基を含有する芳香族ジハライドを用いる方が、重合度が高くなりやすく、また、酸性基を有する芳香族炭化水素系ポリマーの熱安定性が高くなるので好ましい。
本発明で用いる高分子電解質膜は、一般式1で表される繰り返し単位を有する芳香族炭化水素系ポリマーであることが好ましい。
Figure 2011253753
[一般式1において、Xは−S(=O)2−基又は−C(=O)−基を、YはH又は1価の陽イオンを、Z1はO又はS原子のいずれかを、Z2は、O原子、S原子、−C(CH3)2−基、−C(CF3)2−基、−CH2−基、シクロヘキシル基、直接結合のいずれかを、n1は1以上の整数を表す。]
一般式1において、Xは−S(=O)2−基であると溶剤への溶解性が向上する。Xが−C(=O)−基であると、ポリマーの軟化温度を下げて電極との接合性をさらに高めたり、電解質膜に光架橋性を付与したりすることができる。YはNaやKなどのアルカリ金属であることが好ましい。YがH原子であると、熱などによって分解しやすいためである。なお、プロトン伝導率に優れた高分子電解質膜を得るために、最終的にはYをH原子に変換して高分子固体電解質膜を得ることが好ましい。Z1はO原子であるとポリマーの着色が少なかったり、原料が入手しやすいなどの利点がある。Z1がS原子であると耐酸化性が向上する。Z2が、O原子やS原子であると電極との接合性がより改良される。Z2が直接結合である場合は、得られる高分子固体電解質膜の寸法安定性が改良される。n1は1〜30の範囲にあることが好ましい。n1が3以上で、かつZ2がO原子の場合は、高分子固体電解質膜と電極との接合性が特に向上する。なお、n1が2以上の場合には、Z2はそれぞれ異なる結合基で構成されてもよい。
本発明で用いる高分子電解質は、一般式1で表される繰り返し単位と共に、さらに一般式2で表される繰り返し単位を含有している芳香族系ポリマーであることが好ましい。
Figure 2011253753
[一般式2において、Ar1は二価の芳香族基を、Z3はO原子又はS原子のいずれかを、Z4は、O原子、S原子、−C(CH3)2−基、−C(CF3)2−基、−CH2−基、シクロヘキシレン基、直接結合のいずれかを、n2は1以上の整数を表す。]
一般式2において、Z3がO原子であるとポリマーの着色が少ない、原料が入手しやすいなどの利点がある。Z3がS原子であると耐酸化性が向上する。Z4がO原子、S原子であるとより接合性がより改良される。Z4が直接結合である場合は、得られる高分子固体電解質膜の寸法安定性が改良される。
n2は1〜30の範囲にあることが好ましく、n2が2以上の場合には、Z4はそれぞれ異なる結合基で構成されていてもよく、異なる複数の単位が含まれていてもよい。n2が3以上で、かつZ4がO原子の場合は、高分子固体電解質膜と電極との接合性が特に向上する。
一般式2におけるAr1は、電子吸引性基を有する二価の芳香族基であることが好ましい。電子吸引性基としては、公知の電子吸引性基であればよく、特に限定されない。例えばスルホン基、スルホニル基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、スルホン酸アミド基、スルホン酸イミド基などのスルホ基及びその誘導体;カルボキシル基、カルボン酸エステル基などのカルボキシル基及びその誘導体;カルボニル基;シアノ基;ハロゲン基;トリフルオロメチル基などのパーフルオロアルキル基;ニトロ基;ホスフィン基などが挙げられる。これらの電子吸引性基は、単独で用いられても、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
Ar1は、化学式3〜6で表される構造が好ましい。化学式3の場合には、ポリマーの溶解性を高めることができ好ましい。化学式4の場合には、ポリマーの軟化温度を下げて電極との接合性を高めたり、光架橋性を付与したりすることができる。化学式5又は6の場合には、構造はポリマーの膨潤を少なくできる。かかる効果は化学式6のほうが大きい。
Figure 2011253753
本発明における高分子固体電解質膜は、一般式1で表される繰返し単位に、さらに一般式2で表される繰返し単位を含有すると共に一般式1におけるZ1及びZ2がいずれもO原子であり、かつ、n1が3以上である芳香族系ポリマーであることが、さらに好ましい。
このような芳香族系ポリマーを用いて得られる高分子電解質膜は、電極との接合性が特に向上する。
かかる芳香族系ポリマーは、一般式2における、Z3及びZ4がいずれもO原子であり、かつ、n2が3以上であることがさらに好ましい。このようなイオン性基含有芳香族系ポリマーを用いて得られる高分子電解質膜は、電極との接合性がより一層向上する。
本発明における高分子固体電解質が、主として、一般式1で表される繰り返し単位と、一般式2で表される繰り返し単位とからなる芳香族系ポリマーである場合には、各繰返し単位のモル比は、7:93〜70:30の範囲であることが好ましい。モル比が7:93とは、一般式1で表される繰り返し単位のモル数を7としたとき、一般式2で表される繰り返し単位のモル数が93であることを表す。70:30のモル比よりも一般式1で表される繰り返し単位が多くなると、高分子固体電解質膜としたときの燃料透過性が大きくなる場合があり好ましくない。7:93のモル比よりも一般式1で表される繰り返し単位が少なくなると、高分子固体電解質膜としたときのプロトン伝導性が低下して抵抗が増大するため好ましくない。上記モル比は10:90〜50:50の範囲であることがより好ましく、10:90〜40:60の範囲であることがさらに好ましい。
本発明で用いる高分子固体電解質は、一般式1及び一般式2に加えて、さらに一般式7で表される繰り返し単位を含有する芳香族炭化水素系ポリマーであることがさらに好ましい。かかる芳香族炭化水素系ポリマーを用いることにより、高分子固体電解質膜としたときの膜の形態安定性を高めることができる。
Figure 2011253753
[一般式7において、Xは−S(=O)2−基又は−C(=O)−基を、YはH又は1価の陽イオンを、Z5はO又はS原子のいずれかを表す。]
一般式7中、X、Y、及びZ5が上記様態であることが好ましい理由は、一般式1中、X、Y、及びZ1でそれぞれ説明した理由と同様である。
かかる芳香族炭化水素系ポリマーは、一般式1におけるZ1及びZ2が、O原子又はS原子であり、かつ、n1が1であると、高分子固体電解質膜と電極層との接合性、及び膜の形態安定性がより良好になるので好ましい。また、一般式2における、Z3及びZ4が、O原子又はS原子であり、かつ、n2が1であると、高分子固体電解質膜と電極との接合性、及び膜の形態安定性がさらに良好になるので好ましい。
本発明で用いる高分子固体電解質は、一般式1、2、及び7で表される繰り返し単位に加え、さらに一般式8で表される繰り返し単位を含有している芳香族系ポリマーであることがさらに好ましい。かかる芳香族炭化水素系ポリマーを用いることにより、高分子固体電解質膜と電極との接合性、及び膜の形態安定性を大きく向上することができる。
Figure 2011253753
[一般式8において、Ar2は2価の芳香族基を、Z6はO原子又はS原子のいずれかを表す。]
一般式8中、Z6が上記様態であることが好ましい理由、及びAr2の好ましい具体的態様については、一般式2中、Z3及びAr1でそれぞれ説明した理由と同様である。
本発明における高分子固体電解質膜が、一般式1、2、7及び8で表される繰り返し単位を全て有する芳香族炭化水素系ポリマーである場合には、それぞれの繰り返し単位のモル%、及びその他の繰り返し単位のモル%、及びその他の繰返し単位のモル%が下記数式1〜3を満たすことが好ましい。
0.9≦(n3+n4+n5+n6)/(n3+n4+n5+n6+n7)≦1.0 (数式1)
0.05≦(n3+n4)/(n3+n4+n5+n6)≦0.7 (数式2)
0.01≦(n4+n6)/(n3+n4+n5+n6)≦0.95 (数式3)
(上記数式中、n3は一般式7で表される繰り返し単位のモル%を、n4は一般式1で表される繰り返し単位のモル%を、n5は一般式8で表される繰り返し単位のモル%を、n6は一般式2で表される繰り返し単位のモル%を、n7はその他の繰り返し単位のモル%を、それぞれ表す。)
(n3+n4+n5+n6)/(n3+n4+n5+n6+n7)が0.9よりも小さいと、高分子固体電解質膜としたときに良好な特性が得られない場合がある。より好ましいのは0.95〜1.0の範囲である。
(n3+n4)/(n3+n4+n5+n6)が0.05よりも小さくなると、高分子固体電解質膜としたときに十分なプロトン伝導性が得られない場合がある。また、0.7よりも大きいと高分子固体電解質膜としたときの膨潤性が著しく大きくなる場合がある。
(n3+n4)/(n3+n4+n5+n6)は0.07〜0.5の範囲であることが好ましく、0.1〜0.4の範囲であることがより好ましい。
(n4+n6)/(n3+n4+n5+n6)が0.01よりも少ないと、高分子固体電解質膜と電極との接合性が低下する場合がある。0.95よりも大きいと、高分子固体電解質膜としたときの膨潤性が大きくなりすぎる場合がある。0.05〜0.8が好ましく、0.4〜0.8の範囲であることがより好ましい。
なお、上記芳香族系ポリマーにおいて、上記各一般式で表される各繰り返し単位の結合様式は特に限定されるものではなく、ランダム結合、交互結合、連続したブロック構造での結合などが挙げられる。芳香族系ポリマーは、単一の結合様式で構成されても、2種以上の結合様式の組合せで構成されていてもよい。
[高分子電解質の製造方法の好適例]
上記一般式1等で表される繰返し単位を有する芳香族系ポリマーは、下記一般式9〜11で表されるモノマー(例えば、(活性化)ジハロゲン芳香族化合物、芳香族ジオール類、芳香族ジチオール類、ジニトロ芳香族化合物など)を用いて、公知の方法(例えば、塩基性化合物の存在下、公知の芳香族求核置換反応による重合反応)で製造することができる。
また、一般式12で表される構造のモノマーをさらに用いると、膜の形態安定性など物理的な特性が向上するため好ましい。
Figure 2011253753
[一般式9〜12において、Z7及びZ10は、それぞれ独立してCl原子、F原子、I原子、Br原子、ニトロ基のいずれかを、Z8及びZ11は、それぞれ独立してOH基、SH基、−O−NH−C(=O)−R基、−S−NH−C(=O)−R基のいずれかを表す。
Rは芳香族又は脂肪族の炭化水素基を表す。なお、X、Y、Z2、n1及びAr1は、上記
X、Y、Z2、n1及びAr1とそれぞれ同じである。]
一般式9で表されるモノマーの具体例としては、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホブチル−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホブチル−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホブチル−4,4’−ジクロロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホブチル−4,4’−ジフルオロジフェニルケトン等のジハロゲン芳香族化合物、及びこれらのスルホン酸基が1価のカチオンと塩を形成しているものが挙げられる。カチオンの具体例については上述の通りである。
一般式9で表される化合物のうち、スルホン酸基が塩になっている化合物の例としては、3,3’−ジスルホン酸ナトリウム−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホン酸ナトリウム−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホン酸ナトリウム−4,4’−ジクロロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホン酸ナトリウム−4,4’−ジフルオロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホン酸カリウム−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホン酸カリウム−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホン酸カリウム−4,4’−ジクロロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホン酸カリウム−4,4’−ジフルオロジフェニルケトンなどが挙げられる。
一般式10で表されるモノマーの具体例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンなどを挙げることができ、4,4’−チオビスベンゼンチオール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド(下記化学式13で表される構造のもの)などの芳香族ジオール類;4,4’−チオビスベンゼンチオール、4,4’−オキシビスベンゼンチオールなどの芳香族ジチオール類などが挙げられ、特に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、末端ヒドロキシル基含有フェニレンエーテルオリゴマー、4,4’−チオビスベンゼンチオールが好ましい。
Figure 2011253753
[化学式13において、nは1以上の整数からなり、nが異なる複数種の成分を混合した
ものでもよい。]
一般式10で表される構造のモノマーは、高分子電解質の柔軟性を高め、変形に対する破壊の防止や、ガラス転移温度の低下による電極との接合性を向上などの効果をもたらす。
一般式11で表されるモノマーとしては、同一芳香環にハロゲン、ニトロ基などの求核置換反応における脱離基と、それを活性化する電子吸引性基とを有するモノマーが挙げられる。具体例としては、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,4−ジクロロベンゾニトリル、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、2,4−ジフルオロベンゾニトリル、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、デカフルオロビフェニル等が挙げられるがこれらに制限されることはない。また、芳香族求核置換反応に活性のある他の芳香族ジハロゲン化合物、芳香族ジニトロ化合物、芳香族ジシアノ化合物なども使用することができる。
一般式12で表されるモノマーの例としては、4,4’−ビフェノール、4、4’−ジメルカプトビフェノールなどの芳香族ジオール類が挙げられ、4,4’−ビフェノールが好ましい。
本発明では、一般式9〜12で表されるモノマーとともに他の各種活性化ジハロゲン芳香族化合物やジニトロ芳香族化合物、ビスフェノール化合物、ビスチオフェノール化合物をモノマーとして併用することもできる。
かかるビスフェノール化合物又はビスチオフェノール化合物としては、例えば9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ハイドロキノン、レゾルシン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、フェノールフタレイン、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド等が挙げられる。この他、芳香族求核置換反応によるポリアリーレンエーテル系化合物の重合に用いることができる各種芳香族ジオール又は各種芳香族ジチオールを用いてもよい。
本発明に用いる高分子電解質を構成する別の態様のポリマーの原料としては、3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニルスルホン、3、3’−ジアミノベンジジンなどの芳香族テトラアミノ化合物と、2,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸モノナトリウムや3,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸などのイオン性基を有する芳香族ジカルボン酸などを挙げることができる。これらのモノマーを用いて重縮合を行い、ポリベンズイミダゾールなどのポリアゾール系高分子電解質を得ることができる。上記の中でも、活性化ジハロゲン芳香族化合物やジニトロ芳香族化合物や芳香族ジオール類又は芳香族ジチオール類などを原料として、炭酸カリウムなどの塩基性化合物の存在下で、公知の芳香族求核置換反応により重合して得られる芳香族系ポリマーを高分子電解質として用いることが好ましい。
高分子電解質の分子量は特に限定されるものではないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いてポリエチレングリコールを標準として測定される数平均分子量が10000〜500000の範囲であることが好ましい。10000未満では、膜の物理的特性が低下する場合がある。分子量が大きくなるほど、機械的特性の面からは好ましいが、大き過ぎると、高分子電解質溶液を用いて高分子電解質膜を製造する際に、高分子電解質溶液の固形分濃度を下げざるを得なくなり、溶剤の除去に問題が出る場合がある。
高分子電解質の対数粘度は0.1〜5.0dL/gの範囲であることが好ましく、
0.3〜5.0dL/gの範囲であることがより好ましい。対数粘度が0.1dL/g未満であると、膜を形成することが困難になる場合がある。また、対数粘度が5.0dL/g超であると、高分子電解質溶液の粘度が高くなりすぎたり、濃度が低くなりすぎたりして、製膜が困難になる場合がある。高分子電解質の軟化温度は120℃以上であることが好ましく、軟化温度が140〜300℃であることがより好ましい。
[高分子電解質膜の成形方法]
高分子電解質膜を成形する手法として好ましいのは、高分子電解質溶液を用いたキャス
ト法である。キャストした溶液を加熱または減圧下で乾燥し、高分子電解質を溶解する溶
媒(良溶媒)を除去することができ、また高分子電解質およびビフェニル誘導体は溶解しない溶媒(貧溶媒)への浸漬等によって、高分子電解質膜から良溶媒をさらに抽出除去し
て高分子電解質膜を得ることができる。貧溶媒の除去は、乾燥によることが高分子電解質
膜の均一性からは好ましい。また、高分子電解質や溶媒の分解や変質を避けるため、減圧
下でできるだけ低い温度で乾燥することもできる。高分子電解質溶液の粘度が高い場合に
は、基板や溶液を加熱して高温でキャストすると、溶液の粘度が低下して容易にキャスト
することができる。
キャスト膜の厚みは特に制限されないが、10〜1000μmであることが好ましい。
より好ましくは50〜500μmである。キャスト膜の厚みが10μmよりも薄いと、高
分子電解質膜としての形態を保てなくなる傾向にあり、1000μmよりも厚いと不均一
な高分子電解質膜ができやすくなる傾向にある。キャスト膜の厚みを制御する方法は公知
の方法を用いることができる。例えば、アプリケーター、ドクターブレードなどを用いて
一定の厚みにしたり、ガラスシャーレなどを用いてキャスト面積を一定にしたりするなど
して、キャストされる溶液の量や濃度で、キャスト膜の厚みを制御することができる。キ
ャスト膜は、溶媒の除去速度を調整することでより均一な膜を得ることができる。例えば
加熱する場合には最初の段階では低温にして蒸発速度を下げるとよい。また、水などの
貧溶媒にキャスト膜を浸漬する場合には、浸漬前に、キャスト膜を空気雰囲気下や不活性
ガス雰囲気下に適当な時間放置しておくなどして、キャスト膜の凝固速度を調整すること
ができる。高分子電解質膜として使用する場合、膜中の酸性基は1価のカチオンの塩になっているものを含んでいても良いが、適当な酸処理によりフリーの酸性基に変換すること
もできる。この場合、硫酸、塩酸等の水溶液中に、加熱下又は加熱せずに、得られた膜を
浸漬処理することで行うことも効果的である。
上記キャスト膜が乾燥することで、高分子電解質膜が得られる。本発明の高分子電解質
膜(乾燥後)は、目的に応じて任意の膜厚にすることができるが、プロトン伝導性の面か
らはできるだけ薄いことが好ましい。具体的には3〜200μmであることが好ましく、
5〜150μmであることがさらに好ましく、特に好ましくは5〜100μmである。高
分子電解質膜の厚みが3μmより薄いと、高分子電解質膜の取扱が困難となり燃料電池を
作製した場合に短絡等が起こる傾向にあり、200μmよりも厚いと高分子電解質膜が頑
丈となりすぎ、ハンドリングが難しくなる傾向にある。また、高分子電解質膜は1GPa
以上の引張弾性率(JIS K7127)を有する非フッ素系高分子電解質膜であること
が好ましい。
[高分子電解質膜積層体]
本発明の高分子電解質膜積層体は、上記高分子電解質膜と、上記プラスチックフィルム
が積層されて構成される。プラスチックフィルムは上記プラスチックフィルムの粘着層を介して高分子電解質膜の両面に積層される。本発明の高分子固体電解質膜積層体の形状は特に限定されず、シート、ロールでも構わない。積層する機台に関しては、シート状の製品を製造できる平板状のプレス機やロールラミネーター、巻出し、巻取り装置を持ち、ロール状の製品を製造できるロールラミネーター等、種々の機台があるがいかなる機台を用いても良いし、積層の際、使用する高分子固体電解質膜積層体、プラスチックフィルムの特性を損なわない範囲でいかなる荷重、張力、温度条件も選定可能である。
ロール状の製品を巻取る際には、公知の巻き取り装置などで巻き取ればよい。巻取りコアとしては、通常、3インチ、6インチ、8インチ等の紙管やプラスチックコア、金属製コアを使用することができる。
以下本発明を、実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各種測定は次のように行った。
<引張弾性率>
JIS−K7127に準拠し、室温が23℃で湿度が50±5RH%にコントロールされた測定室内で、試料幅10mm、試料長40mm(MD方向)のサンプルを引張試験機(東洋測器株式会社製)にて、ヘッド速度20mm/minで引っ張ったときの引張応力−ひずみ曲線の傾きより求めた。
<高分子電解質積層体の剥離強度F>
JIS−C5016に準拠し、室温が23℃で湿度が50±5RH%にコントロールされた測定室内で、90度剥離法で測定した。すなわち、高分子電解積層体を幅20mm、長さ100mm(MD方向)にカットし、プラスチックフィルム側に両面テープを貼り、自由に回転できる回転ドラムに貼りつけた後、電解質膜の端部を少し引き剥がし、引張試験機のつかみ具に挟んでMD方向に引き剥がしたときの荷重(強度)を測定し、安定部分の平均荷重を剥離強度F(N/20mm)とし、n=5の平均値を求めた。
<積層体における高分子電解質膜の品位(外観)>
電解質膜のシワ、凹凸などを肉眼で観察して3段階に評価した。
○:シワ、凹凸、剥離などが全く認められない。
△:シワ、凹凸、剥離などがわずかに認められる。
×:シワ、凹凸、剥離などが著しく認められる。
<高分子固体電解質膜積層体のカール>
高分子固体電解質膜積層体を10cm角の正方形にカットし、23℃、50±5RH%での5分後のカール状態と23℃、30±5RH%での5分後のカール状態を肉眼で観察して3段階に評価した。
○:平板状であり、カールが全く認められないため、次工程で良好な作業性が確保
できる。
△:半円状のカールが認められ、次工程でカールを伸ばしながら使用せねばならず、
作業性が低下する。
×:筒状のカールが認められ。次工程でカールを常に伸ばしながら使用せねばならず、
著しく作業性が低下する。
<製造例1>
(高分子固体電解質膜の製造)
3,3’−ジスルホン酸ナトリウム−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン(S−DCDPS)778g、2,6−ジクロロベンゾニトリル(DCBN)553g、4,4’−ビフェノール(BP)893g、炭酸カリウム763g、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を5631g入れて、窒素雰囲気下にて200℃で10時間反応させた。放冷の後、水中にストランド状に沈殿させ、得られたポリマーを10Lの水で5回洗浄した後、乾燥した。このポリマーの対数粘度は1.25dL/gであった。
次いで、このポリマーを、NMPを溶剤として用い、ポリマー濃度が25質量%となるようにポリマー溶液を調整した。調整した溶液を、支持体として幅30cmの非粘着ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、ブレードコーターにて、幅25cm、厚みが200μmになるよう温度25℃で連続的に流延し、温度130℃で30分間乾燥した。このとき、ポリマー膜は乾燥によって自己支持性を示すようになった。引き続き、支持体からポリマー膜を剥がすことなく連続的に、30℃、20質量%硫酸水溶液に12分間浸漬し、酸処理を行い、高分子電解質膜を得た。次いで、支持体からポリマー膜を剥がすことなく30℃の純水に18分間浸漬した後、さらに別の30℃の純水に18分間浸漬した。その後、支持体から高分子電解質膜を剥がすことなく23℃、50±5RH%で30分間風乾させ、支持体のポリエチレンテレフタレートフィルムに接着した、厚さ30μmの高分子固体電解質膜を得た。得られた高分子固体電解質膜をポリエチレンテレフタレートフィルムから剥離して引張弾性率を測定したところ、1.4GPaであった。
<製造例A>
(アクリル樹脂系粘着層aを有するポリエチレンテレフタレートフィルムの製造)
ポリエチレンテレフタレートフィルムに、アクリル酸ブチル−メタクリル酸ブチル−メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体(重量比50/40/10)のトルエン溶液(重量濃度20%)100部に対し架橋剤としてポリイソシアネート系架橋剤(コロネートHX、日本ポリウレタン工業株式会社製)5部を添加した溶液を塗布し、120℃で5分乾燥して得た。
<製造例B>
(アクリル樹脂系粘着層bを有するポリエチレンテレフタレートフィルムの製造)
アクリル酸ブチル−メタクリル酸ブチル−メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体の共重合比を重量比で45/45/10、ポリイソシアネート系架橋剤量を7部とする以外は製造例Aと同様にして得た。
<製造例C>
(アクリル樹脂系粘着層cを有するポリエチレンテレフタレートフィルムの製造)
アクリル酸ブチル−メタクリル酸ブチル−メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体の共重合比を重量比で40/50/10、ポリイソシアネート系架橋剤量を9部とする以外は製造例Aと同様にして得た。
<製造例D>
(アクリル樹脂系粘着層dを有するポリエチレンテレフタレートフィルムの製造)
アクリル酸ブチル−メタクリル酸ブチル−メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体の共重合比を重量比で63/30/7、ポリイソシアネート系架橋剤量を4部とする以外は製造例Aと同様にして得た。
<製造例E>
(アクリル樹脂系粘着層eを有するポリエチレンテレフタレートフィルムの製造)
アクリル酸ブチル−メタクリル酸ブチル−メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体の共重合比を重量比で65/30/5、ポリイソシアネート系架橋剤量を3部とする以外は製造例Aと同様にして得た。
(高分子固体電解質膜の製造)
<製造例F>
(アクリル樹脂系粘着層fを有するポリエチレンテレフタレートフィルムの製造)
アクリル酸ブチル−メタクリル酸ブチル−メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体の共重合比を重量比で75/20/5、ポリイソシアネート系架橋剤量を2部とする以外は製造例Aと同様にして得た。
<実施例1>
23℃、50±5RH%での環境下で、製造例1で得られた支持体付きの高分子固体電解質膜から支持体を剥離し、両面から同時に幅が25cmである、上記製造例Aで作成した厚さ5μmのアクリル樹脂系粘着層aを有する総厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)の粘着層面とを、粘着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムが高分子固体電解質膜を完全に覆うようにして供給し、0.1MPaの荷重をかけたニップロールを通すことで貼り合わせ、ロール状に巻取り、高分子固体電解質膜積層体を得た。得られた高分子固体電解質膜積層体は剥離やシワのない良好なものであった。この高分子固体電解質膜積層体を23℃、50±5RH%での5分後のカール状態と23℃、30±5RH%での5分後のカール状態を確認した所、カールは全く生じていなかった。また、得られた高分子固体電解質膜積層体は任意の形状に容易に加工することができた。
用いた粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの弾性率は3.7GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体からの高分子電解質膜と粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離強度は0.20N/20mmであった。
<実施例2>
用いた粘着層付きフィルムを、幅が25cmである、上記製造例Bで作成した厚さ3μmのアクリル樹脂系粘着層bを有する総厚み15μmのポリエチレンテレフタレートフィルムとした以外は実施例1と全く同じ条件で高分子固体電解質膜積層体を作成した。得られた高分子固体電解質膜積層体はシワや凸凹のない良好なものであった。得られた高分子固体電解質膜積層体は剥離やシワのない良好なものであった。この高分子固体電解質膜積層体を23℃、50±5RH%での5分後のカール状態と23℃、30±5RH%での5分後のカール状態を確認した所、カールは全く生じていなかった。また、得られた高分子固体電解質膜積層体は任意の形状に容易に加工することができた。用いた粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの弾性率は3.3GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体からの高分子電解質膜と粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離強度は0.08N/20mmであった。
<実施例3>
用いた粘着層付きフィルムを、幅が25cmである、上記製造例Cで作成した厚さ1μmのアクリル樹脂系粘着層cを有する総厚み5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムとした以外は実施例1と全く同じ条件で高分子固体電解質膜積層体を作成した。得られた高分子固体電解質膜積層体はシワや凸凹のない良好なものであった。得られた高分子固体電解質膜積層体は剥離やシワのない良好なものであった。この高分子固体電解質膜積層体を23℃、50±5RH%での5分後のカール状態と23℃、30±5RH%での5分後のカール状態を確認した所、カールは全く生じていなかった。また、得られた高分子固体電解質膜積層体は任意の形状に容易に加工することができた。用いた粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの弾性率は3.4GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体からの高分子電解質膜と粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離強度は0.02N/20mmであった。
<実施例4>
用いた粘着層付きフィルムを、幅が25cmである、上記製造例Dで作成した厚さ10μmのアクリル樹脂系粘着層dを有する総厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムとした以外は実施例1と全く同じ条件で高分子固体電解質膜積層体を作成した。得られた高分子固体電解質膜積層体はシワや凸凹のない良好なものであった。得られた高分子固体電解質膜積層体は剥離やシワのない良好なものであった。この高分子固体電解質膜積層体を23℃、50±5RH%での5分後のカール状態と23℃、30±5RH%での5分後のカール状態を確認した所、カールは全く生じていなかった。また、得られた高分子固体電解質膜積層体は任意の形状に容易に加工することができた。用いた粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの弾性率は3.7GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体からの高分子電解質膜と粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離強度は0.90N/20mmであった。
<実施例5>
用いた粘着層付きフィルムを、幅が25cmである、上記製造例Eで作成した厚さ15μmのアクリル樹脂系粘着層eを有する総厚み250μmのポリエチレンテレフタレートフィルムとした以外は実施例1と全く同じ条件で高分子固体電解質膜積層体を作成した。得られた高分子固体電解質膜積層体はシワや凸凹のない良好なものであった。
得られた高分子固体電解質膜積層体は剥離やシワのない良好なものであった。この高分子固体電解質膜積層体を23℃、50±5RH%での5分後のカール状態と23℃、30±5RH%での5分後のカール状態を確認した所、カールは全く生じていなかった。また、得られた高分子固体電解質膜積層体は任意の形状に容易に加工することができた。用いた粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの弾性率は3.7GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体からの高分子電解質膜と粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離強度は1.85N/20mmであった。
<実施例6>
用いた粘着層付きフィルムを、幅が25cmである、厚さ5μmのオレフィン樹脂系粘着層を有する、JIS−C5016に準拠して測定したアクリル板との粘着力が0.08N/20mmである、総厚み50μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)とした以外は、実施例1と同様にしてロール状高分子固体電解質膜積層体を得た。得られた高分子固体電解質膜積層体は剥離やシワのない良好なものであった。この高分子固体電解質膜積層体を23℃、50±5RH%での5分後のカール状態と23℃、30±5RH%での5分後のカール状態を確認した所、カールは全く生じていなかった。また、得られた高分子固体電解質膜積層体は任意の形状に容易に加工することができた。用いた粘着層付与未延伸ポリプロピレンフィルムの弾性率は0.55GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体からの高分子電解質膜と粘着層付与未延伸ポリプロピレンフィルムの剥離強度は0.09N/20mmであった。
<実施例7>
用いた粘着層付きフィルムを、幅が25cmである、厚さ3μmのオレフィン樹脂系粘着層を有する、JIS−C5016に準拠して測定したアクリル板との粘着力が0.09N/20mmである、総厚み30μmの未延伸ポリプロピレンフィルムとした以外は、実施例1と同様にしてロール状高分子固体電解質膜積層体を得た。得られた高分子固体電解質膜積層体は剥離やシワのない良好なものであった。この高分子固体電解質膜積層体を23℃、50±5RH%での5分後のカール状態と23℃、30±5RH%での5分後のカール状態を確認した所、カールは全く生じていなかった。また、得られた高分子固体電解質膜積層体は任意の形状に容易に加工することができた。用いた粘着層付与未延伸ポリプロピレンフィルムの弾性率は0.56GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体からの高分子電解質膜と粘着層付与未延伸ポリプロピレンフィルムの剥離強度は0.11N/20mmであった。
<実施例8>
用いた粘着層付きフィルムを、幅が25cmである、厚さ10μmのオレフィン樹脂系粘着層を有する、JIS−C5016に準拠して測定したアクリル板との粘着力が0.07N/20mmである、総厚み100μmの未延伸ポリプロピレンフィルムとした以外は、実施例1と同様にしてロール状高分子固体電解質膜積層体を得た。得られた高分子固体電解質膜積層体は剥離やシワのない良好なものであった。この高分子固体電解質膜積層体を23℃、50±5RH%での5分後のカール状態と23℃、30±5RH%での5分後のカール状態を確認した所、カールは全く生じていなかった。また、得られた高分子固体電解質膜積層体は任意の形状に容易に加工することができた。用いた粘着層付与未延伸ポリプロピレンフィルムの弾性率は0.54GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体からの高分子電解質膜と粘着層付与未延伸ポリプロピレンフィルムの剥離強度は0.12N/20mmであった。
<実施例9>
用いた粘着層付きフィルムを、幅が25cmである、厚さ5μmのオレフィン樹脂系粘着層を有する、JIS−C5016に準拠して測定したアクリル板との粘着力が1.05N/20mmである、総厚み50μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)とした以外は、実施例1と同様にしてロール状高分子固体電解質膜積層体を得た。得られた高分子固体電解質膜積層体は剥離やシワのない良好なものであった。この高分子固体電解質膜積層体を23℃、50±5RH%での5分後のカール状態と23℃、30±5RH%での5分後のカール状態を確認した所、カールは全く生じていなかった。また、得られた高分子固体電解質膜積層体は任意の形状に容易に加工することができた。用いた粘着層付与未延伸ポリプロピレンフィルムの弾性率は0.54GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体からの高分子電解質膜と粘着層付与未延伸ポリプロピレンフィルムの剥離強度は0.95N/20mmであった。
<実施例10>
用いた粘着層付きフィルムを、幅が25cmである、厚さ5μmのオレフィン樹脂系粘着層を有する、JIS−C5016に準拠して測定したアクリル板との粘着力が1.90N/20mmである、総厚み50μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)とした以外は、実施例1と同様にしてロール状高分子固体電解質膜積層体を得た。得られた高分子固体電解質膜積層体は剥離やシワのない良好なものであった。この高分子固体電解質膜積層体を23℃、50±5RH%での5分後のカール状態と23℃、30±5RH%での5分後のカール状態を確認した所、カールは全く生じていなかった。また、得られた高分子固体電解質膜積層体は任意の形状に容易に加工することができた。用いた粘着層付与未延伸ポリプロピレンフィルムの弾性率は0.56GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体からの高分子電解質膜と粘着層付与未延伸ポリプロピレンフィルムの剥離強度は1.80N/20mmであった。
<実施例11>
23℃、50±5RH%での環境下で、製造例1で得られた支持体付きの高分子固体電解質膜から支持体を剥離し、まずその剥離面に対し片方から幅が25cmである、上記製造例Aで作成した厚さ5μmのアクリル樹脂系粘着層aを有する総厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの粘着層面とを、粘着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムが高分子固体電解質膜を完全に覆うようにして供給し、0.1MPaの荷重をかけたニップロールを通すことで貼り合わせ、ロール状に巻取り、高分子固体電解質膜積層体を得た。ついでその積層体の残った高分子固体電解質膜面に対し片方から再度幅が25cmである、厚さ5μmのアクリル樹脂系粘着層を有する総厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの粘着層面とを、粘着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムが高分子固体電解質膜を完全に覆うようにして供給し、0.1MPaの荷重をかけたニップロールを通すことで貼り合わせ、ロール状に巻取り、高分子固体電解質膜積層体を得た。得られた高分子固体電解質膜積層体は剥離やシワのない良好なものであった。この高分子固体電解質膜積層体を23℃、50±5RH%での5分後のカール状態と23℃、30±5RH%での5分後のカール状態を確認した所、カールは全く生じていなかった。また、得られた高分子固体電解質膜積層体は任意の形状に容易に加工することができた。用いた粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの弾性率は3.7GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体からの高分子電解質膜と粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離強度は0.21N/20mmであった。
<実施例12>
用いた粘着層付きフィルムを、幅が25cmである、厚さ5μmのオレフィン樹脂系粘着層を有する総厚み50μmの未延伸ポリプロピレンフィルムとした以外は、実施例9と同様にしてロール状高分子固体電解質膜積層体を得た。得られた高分子固体電解質膜積層体は剥離やシワのない良好なものであった。この高分子固体電解質膜積層体を23℃、50±5RH%での5分後のカール状態と23℃、30±5RH%での5分後のカール状態を確認した所、カールは全く生じていなかった。また、得られた高分子固体電解質膜積層体は任意の形状に容易に加工することができた。用いた粘着層付与未延伸ポリプロピレンフィルムの弾性率は0.55GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体からの高分子電解質膜と粘着層付与未延伸ポリプロピレンフィルムの剥離強度は0.13N/20mmであった。
<実施例13>
23℃、50±5RH%での環境下で、製造例1で得られた支持体付きの高分子固体電解質膜から支持体を剥離せず、まずその高分子固体電解質膜面に対し片方から幅が25cmである、上記製造例Aで作成した厚さ5μmのアクリル樹脂系粘着層aを有する総厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの粘着層面とを、粘着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムが高分子固体電解質膜を完全に覆うようにして供給し、0.1MPaの荷重をかけたニップロールを通すことで貼り合わせ、ロール状に巻取り、高分子固体電解質膜積層体を得た。ついでその積層体から支持体を剥離し、現れた高分子固体電解質膜面に対し片方から再度幅が25cmである、厚さ5μmのアクリル樹脂系粘着層を有する総厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの粘着層面とを、粘着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムが高分子固体電解質膜を完全に覆うようにして供給し、0.1MPaの荷重をかけたニップロールを通すことで貼り合わせ、ロール状に巻取り、高分子固体電解質膜積層体を得た。得られた高分子固体電解質膜積層体は剥離やシワのない良好なものであった。この高分子固体電解質膜積層体を23℃、50±5RH%での5分後のカール状態と23℃、30±5RH%での5分後のカール状態を確認した所、カールは全く生じていなかった。また、得られた高分子固体電解質膜積層体は任意の形状に容易に加工することができた。用いた粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの弾性率は3.7GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体からの高分子電解質膜と粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離強度は0.19N/20mmであった。
<実施例14>
用いた粘着層付きフィルムを、幅が25cmである、厚さ5μmのオレフィン樹脂系粘着層を有する総厚み50μmの未延伸ポリプロピレンフィルムとした以外は、実施例11と同様にしてロール状高分子固体電解質膜積層体を得た。得られた高分子固体電解質膜積層体は剥離やシワのない良好なものであった。この高分子固体電解質膜積層体を23℃、50±5RH%での5分後のカール状態と23℃、30±5RH%での5分後のカール状態を確認した所、カールは全く生じていなかった。また、得られた高分子固体電解質膜積層体は任意の形状に容易に加工することができた。用いた粘着層付与未延伸ポリプロピレンフィルムの弾性率は0.55GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体からの高分子電解質膜と粘着層付与未延伸ポリプロピレンフィルムの剥離強度は0.11N/20mmであった。
<実施例15>
23℃、50±5RH%での環境下で、製造例1で得られた支持体付きの高分子固体電解質膜から支持体を剥離し、両面から同時に幅が28cmである、上記製造例Aで作成した厚さ5μmのアクリル樹脂系粘着層aを有する総厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの粘着層面とを、粘着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムが高分子固体電解質膜を完全に覆うようにして供給し、0.1MPaの荷重をかけたニップロールを通すことで貼り合わせた後、幅を24cmに切りそろえることで粘着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムの余った部分を除去しながらロール状に巻取り、高分子固体電解質膜積層体を得た。得られた高分子固体電解質膜積層体は剥離やシワのない良好なものであった。この高分子固体電解質膜積層体を23℃、50±5RH%での5分後のカール状態と23℃、30±5RH%での5分後のカール状態を確認した所、カールは全く生じていなかった。また、得られた高分子固体電解質膜積層体は任意の形状に容易に加工することができた。用いた粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの弾性率は3.7GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体からの高分子電解質膜と粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離強度は0.19N/20mmであった。
<実施例16>
用いた粘着層付きフィルムを、幅が28cmである、厚さ5μmのオレフィン樹脂系粘着層を有する総厚み50μmの未延伸ポリプロピレンフィルムとした以外は、実施例13と同様にしてロール状高分子固体電解質膜積層体を得た。得られた高分子固体電解質膜積層体は剥離やシワのない良好なものであった。この高分子固体電解質膜積層体を23℃、50±5RH%での5分後のカール状態と23℃、30±5RH%での5分後のカール状態を確認した所、カールは全く生じていなかった。また、得られた高分子固体電解質膜積層体は任意の形状に容易に加工することができた。用いた粘着層付与未延伸ポリプロピレンフィルムの弾性率は0.55GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体からの高分子電解質膜と粘着層付与未延伸ポリプロピレンフィルムの剥離強度は0.10N/20mmであった。
<実施例17>
23℃、50±5RH%での環境下で、製造例1で得られた支持体付きの高分子固体電解質膜から支持体を剥離し、両面から同時に幅が22cmである、上記製造例Aで作成した厚さ5μmのアクリル樹脂系粘着層aを有する総厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの粘着層面とを、高分子固体電解質膜が粘着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムがの両端よりはみ出るように供給し、0.1MPaの荷重をかけたニップロールを通すことで貼り合わせた後、幅を20cmに切りそろえることで高分子固体電解質膜の余った部分を除去しながらロール状に巻取り、高分子固体電解質膜積層体を得た。得られた高分子固体電解質膜積層体は剥離やシワのない良好なものであった。この高分子固体電解質膜積層体を23℃、50±5RH%での5分後のカール状態と23℃、30±5RH%での5分後のカール状態を確認した所、カールは全く生じていなかった。また、得られた高分子固体電解質膜積層体は任意の形状に容易に加工することができた。用いた粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの弾性率は3.7GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体からの高分子電解質膜と粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離強度は0.22N/20mmであった。
<実施例18>
用いた粘着層付きフィルムを、幅が22cmである、厚さ5μmのオレフィン樹脂系粘着層を有する総厚み50μmの未延伸ポリプロピレンフィルムとした以外は、実施例13と同様にしてロール状高分子固体電解質膜積層体を得た。得られた高分子固体電解質膜積層体は剥離やシワのない良好なものであった。この高分子固体電解質膜積層体を23℃、50±5RH%での5分後のカール状態と23℃、30±5RH%での5分後のカール状態を確認した所、カールは全く生じていなかった。また、得られた高分子固体電解質膜積層体は任意の形状に容易に加工することができた。用いた粘着層付与未延伸ポリプロピレンフィルムの弾性率は0.55GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体からの高分子電解質膜と粘着層付与未延伸ポリプロピレンフィルムの剥離強度は0.09N/20mmであった。
<実施例19>
結合水を取り除いたS−DCDPS 800.0g、DCBN 356.5g、BP 600.5g、4,4’−チオビスフェノール(BPS) 96.9g、炭酸カリウム 562.7g、NMP 4624.3gを原料とする以外は、製造例1と同様にして対数粘度1.35dl/gのポリマーを得た。このポリマーを用いて膜厚みが200μmになるようにする以外は製造例1と同様にして高分子固体電解質膜を得た。この電解質膜の引張弾性率は1.6GPaであった。次いで実施例1と同様に、23℃、50±5RH%での環境下で、この支持体付きの高分子固体電解質膜から支持体を剥離し、両面から同時に幅が25cmである、上記製造例Aで作成した厚さ5μmのアクリル樹脂系粘着層aを有する総厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの粘着層面とを、粘着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムが高分子固体電解質膜を完全に覆うようにして供給し、0.1MPaの荷重をかけたニップロールを通すことで貼り合わせ、ロール状に巻取り、高分子固体電解質膜積層体を得た。得られた高分子固体電解質膜積層体は剥離やシワのない良好なものであった。この高分子固体電解質膜積層体を23℃、50±5RH%での5分後のカール状態と23℃、30±5RH%での5分後のカール状態を確認した所、カールは全く生じていなかった。また、得られた高分子固体電解質膜積層体は任意の形状に容易に加工することができた。用いた粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの弾性率は3.7GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体からの高分子電解質膜と粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離強度は0.25N/20mmであった。
<実施例20>
乾燥したS−DCDPS 310.1g、DCBN 253.3g、末端ヒドロキシル基含有フェニレンエーテルオリゴマー(大日本インキ化学工業社製SPECIANOL DPE−PL;化学式13においてnが1〜8の成分を含む混合物でnの平均値は5である構造であるもの)(略号:DPE) 1156.5g、炭酸カリウム319.0g、NMP 5165.3gを用い、反応時間を8時間にした他は、製造例1と同様にして対数粘度0.83dl/gのポリマーを得た。このポリマーを用いて膜厚みが100μmになるようにする以外は製造例1と同様にして高分子固体電解質膜を得た。この電解質膜の引張弾性率は1.6GPaであった。
次いで実施例1と同様に、23℃、50±5RH%での環境下で、この支持体付きの高分子固体電解質膜から支持体を剥離し、両面から同時に幅が25cmである、上記製造例Aで作成した厚さ5μmのアクリル樹脂系粘着層aを有する総厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの粘着層面とを、粘着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムが高分子固体電解質膜を完全に覆うようにして供給し、0.1MPaの荷重をかけたニップロールを通すことで貼り合わせ、ロール状に巻取り、高分子固体電解質膜積層体を得た。得られた高分子固体電解質膜積層体は剥離やシワのない良好なものであった。この高分子固体電解質膜積層体を23℃、50±5RH%での5分後のカール状態と23℃、30±5RH%での5分後のカール状態を確認した所、カールは全く生じていなかった。また、得られた高分子固体電解質膜積層体は任意の形状に容易に加工することができた。用いた粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの弾性率は3.7GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体からの高分子電解質膜と粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離強度は0.23N/20mmであった。
<実施例21>
製造例1において、S−DCDPS 778gのかわりに3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルケトン2ナトリウム塩721gを用いて同様にポリマーを合成した。得られたポリマーの対数粘度は1.29dL/gであった。このポリマーを用いて膜厚みが50μmになるようにする以外は製造例1と同様にして高分子固体電解質膜を得た。この電解質膜の引張弾性率は2.1GPaであった。
次いで実施例1と同様に、23℃、50±5RH%での環境下で、この支持体付きの高分子固体電解質膜から支持体を剥離し、両面から同時に幅が25cmである、上記製造例Aで作成した厚さ5μmのアクリル樹脂系粘着層aを有する総厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの粘着層面とを、粘着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムが高分子固体電解質膜を完全に覆うようにして供給し、0.1MPaの荷重をかけたニップロールを通すことで貼り合わせ、ロール状に巻取り、高分子固体電解質膜積層体を得た。得られた高分子固体電解質膜積層体は剥離やシワのない良好なものであった。この高分子固体電解質膜積層体を23℃、50±5RH%での5分後のカール状態と23℃、30±5RH%での5分後のカール状態を確認した所、カールは全く生じていなかった。また、得られた高分子固体電解質膜積層体は任意の形状に容易に加工することができた。用いた粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの弾性率は3.7GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体からの高分子電解質膜と粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離強度は0.22N/20mmであった。
<実施例22>
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン1.20g、ビスフェノールS2.00g、ジフルオロジフェニルスルホン2.90g、炭酸カリウム1.82gを100ml四つ口フラスコに計り取り、窒素気流下で40mlのNMPを入れて、反応温度を175℃付近に設定して7時間反応させた。放冷の後、約300mlのメタノール中に再沈殿させ、ミキサーを用いて5回水洗処理をしてポリマーを得た。得られたポリマーの対数粘度は、0.62dL/gであった。ポリマー試料を濃硫酸(98%)とともに室温でマグネティックスターラーにより撹拌することで、スルホン化反応を行い、反応後、硫酸溶液を過剰の氷水中に投入して反応を止め、生じた沈殿を濾取、水洗して、スルホン酸基含有ポリマーを得た。このポリマーを用いて膜厚みが300μmになるようにする以外は製造例1と同様にして高分子固体電解質膜を得た。この電解質膜の引張弾性率は1.2GPaであった。
次いで実施例1と同様に、23℃、50±5RH%での環境下で、この支持体付きの高分子固体電解質膜から支持体を剥離し、両面から同時に幅が25cmである、上記製造例Aで作成した厚さ5μmのアクリル樹脂系粘着層aを有する総厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの粘着層面とを、粘着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムが高分子固体電解質膜を完全に覆うようにして供給し、0.1MPaの荷重をかけたニップロールを通すことで貼り合わせ、ロール状に巻取り、高分子固体電解質膜積層体を得た。得られた高分子固体電解質膜積層体は剥離やシワのない良好なものであった。この高分子固体電解質膜積層体を23℃、50±5RH%での5分後のカール状態と23℃、30±5RH%での5分後のカール状態を確認した所、カールは全く生じていなかった。また、得られた高分子固体電解質膜積層体は任意の形状に容易に加工することができた。用いた粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの弾性率は3.7GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体からの高分子電解質膜と粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離強度は0.24N/20mmであった。
<実施例23>
3,3’,4,4‘−テトラアミノジフェニルスルホン45g、2,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸モノナトリウム42g、ポリリン酸(五酸化リン含量75%)615g、五酸化リン500gを重合容器に量り取り、窒素を流し、オイルバス中でゆっくり撹拌しながら120℃まで昇温し、1時間保持した後、200℃に昇温して6時間反応させた。その後、放冷し、水を加えて重合物を取り出し、家庭用ミキサーを用いて5回水洗を繰り返した後の水浸漬ポリマーに炭酸ナトリウムを加えて中和し、更に水洗を繰り返して洗液のpHが中性となり変化しないことを確認した。得られたポリマーは80℃で終夜減圧乾燥した。ポリマーの対数粘度は、1.73dL/gを示した。得られたポリマーとNMPを25質量%になるようにはかり取り、撹拌しながら、オイルバス上で170℃に加熱して溶解させた。得られた溶液を用いて膜厚みが10μmになるようにする以外は製造例1と同様にして高分子固体電解質膜を得た。この電解質膜の引張弾性率は2.0GPaであった。
次いで実施例1と同様に、23℃、50±5RH%での環境下で、この支持体付きの高分子固体電解質膜から支持体を剥離し、両面から同時に幅が25cmである、上記製造例Aで作成した厚さ5μmのアクリル樹脂系粘着層aを有する総厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの粘着層面とを、粘着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムが高分子固体電解質膜を完全に覆うようにして供給し、0.1MPaの荷重をかけたニップロールを通すことで貼り合わせ、ロール状に巻取り、高分子固体電解質膜積層体を得た。得られた高分子固体電解質膜積層体は剥離やシワのない良好なものであった。この高分子固体電解質膜積層体を23℃、50±5RH%での5分後のカール状態と23℃、30±5RH%での5分後のカール状態を確認した所、カールは全く生じていなかった。また、得られた高分子固体電解質膜積層体は任意の形状に容易に加工することができた。用いた粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの弾性率は3.7GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体からの高分子電解質膜と粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離強度は0.18N/20mmであった。
<実施例24>
3,3’,4,4‘−テトラアミノジフェニルスルホン18.3g、2,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸モノナトリウム5.30g、3,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸11.3g、ポリリン酸(五酸化リン含量5%)250g、五酸化リン200gを重合容器に量り取り、実施例8と同様にしてポリマーを得た。ポリマーの対数粘度は、1.53dL/gを示した。得られたポリマーはN−メチル−2−ピロリドン(NMP)とともに25質量%濃度となるようにオイルバス中で溶解し、得られた溶液を用いて膜厚みが6μmになるようにする以外は製造例1と同様にして高分子固体電解質膜を得た。この電解質膜の引張弾性率は1.7GPaであった。次いで実施例1と同様に、23℃、50±5RH%での環境下で、この支持体付きの高分子固体電解質膜から支持体を剥離し、両面から同時に幅が25cmである、上記製造例Aで作成した厚さ5μmのアクリル樹脂系粘着層aを有する総厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの粘着層面とを、粘着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムが高分子固体電解質膜を完全に覆うようにして供給し、0.1MPaの荷重をかけたニップロールを通すことで貼り合わせ、ロール状に巻取り、高分子固体電解質膜積層体を得た。得られた高分子固体電解質膜積層体は剥離やシワのない良好なものであった。この高分子固体電解質膜積層体を23℃、50±5RH%での5分後のカール状態と23℃、30±5RH%での5分後のカール状態を確認した所、カールは全く生じていなかった。また、得られた高分子固体電解質膜積層体は任意の形状に容易に加工することができた。用いた粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの弾性率は3.7GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体からの高分子電解質膜と粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離強度は0.20N/20mmであった。
<製造例2:疎水性オリゴマー>
DCBN 49.97g(290.5mmol)、BP 54.99g(295.3mmol)、炭酸カリウム46.94g(339.6mmol)、NMP750mL、トルエン150mLを、窒素導入管、攪拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた1000mL枝付きフラスコに入れ、オイルバス中で攪拌しつつ窒素気流下で加熱した。トルエンとの共沸による脱水を140℃で行なった後、トルエンをすべて留去した。その後、200℃に昇温し、15時間加熱した。窒素導入管、攪拌翼、冷却還流管、温度計を取り付けた別の1000mL枝付きフラスコに、NMP200mLとパーフルオロビフェニル4.85gを入れ、窒素気流下、攪拌しながら、オイルバス中で110℃に加熱した。そこに、DCBNとBPの反応溶液を、滴下漏斗を用いて2時間かけて攪拌しながら投入し、投入完了後、さらに2時間攪拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、3000mLの純水に注ぎオリゴマーを固化させ、さらに純水で3回洗浄して、NMP及び無機塩を除去した。水洗したオリゴマーは、濾別した後、100℃で2時間乾燥させた後、室温まで冷却し、3000mLのアセトンで2回洗浄し、過剰のパーフルオロビフェニルを除去した。再びオリゴマーを濾別し、120℃で16時間減圧乾燥して疎水性オリゴマーAを得た。1H−NMR測定による数平均分子量は13880だった。疎水性オリゴマーの化学構造を以下に示す。
Figure 2011253753
<製造例3:親水性オリゴマー>
S−DCDPS 250.0g(508.9mmol)、BP97.04g(520.7mmol)、炭酸ナトリウム66.23g(624.9mmol)、NMP650mL、トルエン150mLを、窒素導入管、攪拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた2000mL枝付きフラスコに入れ、オイルバス中で攪拌しつつ窒素気流下で加熱した。トルエンとの共沸による脱水を140℃で行なった後、トルエンをすべて留去した。その後、200℃に昇温し、16時間加熱した。続いて、NMP500mLを投入し、攪拌しながら室温まで冷却した。得られた溶液を、25G2ガラスフィルターで吸引濾過したところ、黄色の透明な溶液が得られた。得られた溶液を3Lのアセトンに滴下してオリゴマーを固化させた。オリゴマーはさらにアセトンで3回洗浄した後、濾別して減圧乾燥し親水性オリゴマーを得た。1H−NMR測定による数平均分子量は25560であった。親水性オリゴマーの化学構造を以下に示す。
Figure 2011253753
<製造例4:セグメント化ブロックポリマー高分子固体電解質膜>
親水性オリゴマー 45.00g、疎水性オリゴマー 24.61g、炭酸ナトリウム0.28g、NMP400mLを、窒素導入管、攪拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた1000mL枝付きフラスコに入れ、窒素気流下50℃のオイルバス中で攪拌し溶解させた。その後、110℃まで加熱し、10時間反応させた。その後、室温まで冷却し、3Lの純水中に滴下してポリマーを固化させた。純水で3回洗浄した後、純水に浸漬したまま80℃で16時間処理し、その後で純水を除いて熱水洗浄を行った。その後、熱水洗浄をもう一度繰り返した。さらに水を除去したポリマーを、1000mLのイソプロパノールと500mLの水との混合溶媒に室温で16時間浸漬し、ポリマーを取り出し洗浄を行った。同じ操作をもう一度行った。その後、濾過でポリマーを濾別し、120℃で12時間減圧乾燥してスルホン酸基含有セグメント化ブロックポリマーを得た。得られたポリマーの対数粘度は、2.1dL/gだった。得られたポリマーから製造例1と同様にして高分子固体電解質膜を得た。ポリマーAの化学構造を以下に示す。得られた厚さ10μmの高分子固体電解質膜をポリエチレンテレフタレートフィルムから剥離して引張弾性率を測定したところ、1.8GPaであった。また、得られた高分子固体電解質膜を透過型電子顕微鏡観察したところ、親水性ドメインと疎水性ドメインがそれぞれラメラ状に共連続している相分離構造が観察された。
Figure 2011253753
<実施例25>
製造例4で得られた高分子固体電解質膜を用い、実施例1と同様にして23℃、50±5RH%での環境下で、支持体付きの高分子固体電解質膜から支持体を剥離し、両面から同時に幅が25cmである、上記製造例Aで作成した厚さ5μmのアクリル樹脂系粘着層aを有する総厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの粘着層面とを、粘着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムが高分子固体電解質膜を完全に覆うようにして供給し、0.1MPaの荷重をかけたニップロールを通すことで貼り合わせ、ロール状に巻取り、高分子固体電解質膜積層体を得た。得られた高分子固体電解質膜積層体は剥離やシワのない良好なものであった。この高分子固体電解質膜積層体を23℃、50±5RH%での5分後のカール状態と23℃、30±5RH%での5分後のカール状態を確認した所、カールは全く生じていなかった。また、得られた高分子固体電解質膜積層体は任意の形状に容易に加工することができた。用いた粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの弾性率は3.7GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体からの高分子電解質膜と粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離強度は0.18N/20mmであった。
<実施例26>
用いた粘着層付きフィルムを、幅が28cmである、厚さ5μmのオレフィン樹脂系粘着層を有する厚み50μmの未延伸ポリプロピレンフィルムとした以外は、実施例23と同様にしてロール状高分子固体電解質膜積層体を得た。得られた高分子固体電解質膜積層体は剥離やシワのない良好なものであった。この高分子固体電解質膜積層体を23℃、50±5RH%での5分後のカール状態と23℃、30±5RH%での5分後のカール状態を確認した所、カールは全く生じていなかった。また、得られた高分子固体電解質膜積層体は任意の形状に容易に加工することができた。用いた粘着層付与未延伸ポリプロピレンフィルムの弾性率は0.55GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体からの高分子電解質膜と粘着層付与未延伸ポリプロピレンフィルムの剥離強度は0.10N/20mmであった。
<比較例1>
23℃、50±5RH%での環境下で、製造例1で得られた支持体付きの高分子固体電解質膜から支持体を剥離し、高分子固体電解質膜の剥離面側に片側からその幅が25cmである、上記製造例Aで作成した厚さ5μmのアクリル樹脂系粘着層aを有する総厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)の粘着層面とを、粘着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムが高分子固体電解質膜を完全に覆うようにして供給し、0.1MPaの荷重をかけたニップロールを通すことで貼り合わせ、ロール状に巻取り、高分子固体電解質膜積層体を得た。得られた高分子固体電解質膜積層体は剥離やシワのない良好なものであった。
得られた高分子固体電解質膜積層体のカール状態を評価した所、23℃、50±5RH%での5分後、ではカールが全く認められず、作業性は非常に良好であったが、23℃、30±5RH%での5分後の状態では、高分子固体電解質膜積層体を内側とした筒状のカールが発生し、作業性は大きく低下した。
用いた粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの弾性率は3.7GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体からの高分子電解質膜と粘着層付与ポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離強度は0.19N/20mmであった。
<比較例2>
用いた粘着層付きフィルムを、幅が28cmである、厚さ5μmのオレフィン樹脂系粘着層を有する総厚み50μmの未延伸ポリプロピレンフィルムとした以外は、比較例1と同様にしてロール状高分子固体電解質膜積層体を得た。得られた高分子固体電解質膜積層体は剥離やシワのない良好なものであった。得られた高分子固体電解質膜積層体のカール状態を評価した所、23℃、50±5RH%での5分後、ではカールが全く認められず、作業性は非常に良好であったが、23℃、30±5RH%での5分後の状態では、高分子固体電解質膜積層体を内側とした筒状のカールが発生し、作業性は大きく低下した。用いた粘着層付与未延伸ポリプロピレンフィルムの弾性率は0.55GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体からの高分子電解質膜と粘着層付与未延伸ポリプロピレンフィルムの剥離強度は0.11N/20mmであった。
<比較例3>
用いた粘着層付きポリエチレンテレフタレートフィルムを上記製造例Aで作成した厚さ0.5μmのアクリル樹脂系粘着層aを有する総厚み3.5μmのものとした以外は実施例1と全く同じ条件で高分子固体電解質膜積層体を作成した。使用したポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みが薄すぎたため、得られた高分子固体電解質膜積層体にはシワが多数入りその後の作業及びカールの評価に供することができなかった。
用いたポリエチレンテレフタレートフィルムの弾性率は3.8GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体の高分子電解質膜とポリエチレンテレフタレートフィルムとの剥離強度は0.18N/20mmであった。
<比較例4>
用いた粘着層付きポリエチレンテレフタレートフィルムを上記製造例Aで作成した厚さ15μmのアクリル樹脂系粘着層aを有する総厚み500μmのものとした以外は実施例1と全く同じ条件で高分子固体電解質膜積層体を作成した。使用したポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みが厚すぎたため、高分子固体電解質膜積層体をうまく巻き取ることができずシワが多数入り、その後の作業及びカールの評価に供することができなかった。
用いたポリエチレンテレフタレートフィルムの弾性率は3.8GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体の高分子電解質膜とポリエチレンテレフタレートフィルムとの剥離強度は0.22N/20mmであった。
<比較例5>
用いた粘着層付きポリエチレンテレフタレートフィルムを上記製造例Fで作成した厚さ5μmのアクリル樹脂系粘着層fを有する総厚み50μmのものとした以外は実施例1と全く同じ条件で高分子固体電解質膜積層体を作成した。粘着層付きポリエチレンテレフタレートフィルムと高分子固体電解質膜の剥離強度が高いため、両者を剥離する際に、高分子固体電解質膜にシワが発生してしまい、その後の工程に供することができなかった。
用いたポリエチレンテレフタレートフィルムの弾性率は3.8GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体の高分子電解質膜とポリエチレンテレフタレートフィルムとの剥離強度は2.20N/20mmであった。
<比較例6>
用いた粘着層付きポリエチレンテレフタレートフィルムを、粘着層を持たない厚み50μmのものとした以外は実施例1と全く同じ条件で高分子固体電解質膜積層体を作成した。
積層体は一旦シワなく巻き取れたものの、使用の際巻き出し、巻取りを繰り返すことで高分子固体電解質膜とポリエチレンテレフタレートフィルムの間がずれることによるシワが発生し、使いきり以外の用途には適さなかった。
用いたポリエチレンテレフタレートフィルムの弾性率は4.0GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体の高分子電解質膜とポリエチレンテレフタレートフィルムとの剥離強度は0N/20mmであった。
<比較例7>
幅が25cmである、厚さ5μmのオレフィン樹脂系粘着層を有する、JIS−C5016に準拠して測定したアクリル板との粘着力が2.35N/20mmである、総厚み50μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)とした以外は、実施例6と同様にしてロール状高分子固体電解質膜積層体を得た。粘着層付き未延伸ポリプロピレンフィルムと高分子固体電解質膜の剥離強度が高いため、両者を剥離する際に、高分子固体電解質膜にシワが発生してしまい、その後の工程に供することができなかった。
用いた粘着層付与未延伸ポリプロピレンフィルムの弾性率は0.55GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体からの高分子電解質膜と粘着層付与未延伸ポリプロピレンフィルムの剥離強度は2.25N/20mmであった。
<比較例8>
用いた未延伸ポリプロピレンフィルムを、粘着層を持たない厚み50μmのものとした以外は実施例6と全く同じ条件で高分子固体電解質膜積層体を作成した。積層体は一旦シワなく巻き取れたものの、使用の際巻き出し、巻取りを繰り返すことで高分子固体電解質膜と未延伸ポリプロピレンフィルムの間がずれることによるシワが発生し、使いきり以外の用途には適さなかった。
用いた粘着層付与未延伸ポリプロピレンフィルムの弾性率は0.58GPaであり、得られた高分子固体電解質膜積層体からの高分子電解質膜と粘着層付与未延伸ポリプロピレンフィルムの剥離強度は0N/20mmであった。
<比較例9>
用いた粘着層付きフィルムを厚さ3μmのアクリル樹脂系粘着層を有する18μmのエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)フィルムとした以外は実施例1と全く同じ条件で高分子固体電解質膜積層体を作成した。使用したエチレン酢酸ビニルコポリマーフィルムの弾性率が0.05GPaと低いため、巻取時に伸び縮みしてしまいシワ及び凸凹が多数発生し、その後の作業及びカールの評価に供することができなかった。他、得られた高分子固体電解質膜積層体の高分子電解質膜とポリエチレンテレフタレートフィルムとの剥離強度は0.20N/20mmであった。
<比較例10>
高分子固体電解質膜と共に巻き取るフィルムを厚さ3μmのアクリル樹脂系粘着層を有する18μmのエチレンエチルアクリレートコポリマー(EEA)フィルムとした以外は実施例1と全く同じ条件で高分子固体電解質膜積層体を作成した。使用したエチレンエチルアクリレートコポリマーフィルムの弾性率が0.04GPaと低いため、巻取時に伸び縮みしてしまいシワ及び凸凹が多数発生し、その後の作業及びカールの評価に供することができなかった。他、得られた高分子固体電解質膜積層体の高分子電解質膜とポリエチレンテレフタレートフィルムとの剥離強度は0.20N/20mmであった。
以上の評価結果を表1にまとめた。
Figure 2011253753
本発明の高分子固体電解質膜積層体は、輸送時や保存時における、高分子固体電解質膜のシワ、凹凸、キズなどの発生を防ぐことができ形態安定性に優れている。また、高分子固体電解質膜の加工時における取り扱い性にも優れており、なおかつ粘着層を付与されたプラスチックフィルムを高分子固体電解質膜の両面に積層することで、製造時、使用時の環境温湿度差が大きい時にもカールによる取扱い性の悪影響が発生しない高分子固体電解質膜積層体である。
また、本発明の高分子固体電解質膜積層体は、上記の問題が発生しやすい、主として芳香族基から構成されている主鎖骨格を有する芳香族系高分子電解質からなる高分子固体電解質膜に対して特に有効である。よって、耐熱性や耐メタノール透過性、価格において優れる芳香族系高分子電解質からなる高分子固体電解質膜であっても、輸送、保管、加工時の形態安定性や製造時、使用時の環境温湿度差が大きい時にもカールによる取扱い性の悪影響の発生を抑制することができ、固体高分子形燃料電池の発展に大いに寄与するものである。

Claims (10)

  1. 高分子固体電解質膜と、高分子固体電解質膜の両面に粘着層とベース層からなるプラスチックフィルムが粘着層を介して積層された高分子固体電解質膜積層体において、該高分子固体電解質膜と該プラスチックフィルムの剥離強度Fが0.01≦F≦2(N/20mm)であり、かつ該プラスチックフィルムの引張弾性率が0.1GPa以上であり、厚みが5μm以上400μm以下であることを特徴とする高分子固体電解質膜積層体。
  2. 該高分子固体電解質膜と該プラスチックフィルムの剥離強度Fが0.015≦F≦1.5(N/20mm)であることを特徴とする請求項1に記載の高分子固体電解質膜積層体。
  3. 該高分子固体電解質膜と該プラスチックフィルムの剥離強度Fが0.02≦F≦1N/20mmであることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の高分子固体電解質膜積層体。
  4. 上記プラスチックフィルムのベース層が、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、液晶ポリエステルフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリアミドフィルム、アラミドフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルムからなる群から選択されるフィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高分子固体電解質膜積層体。
  5. 上記プラスチックフィルムの粘着層が、ポリオレフィン系粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤からなる群から選択される1種以上の粘着剤からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高分子固体電解質膜積層体。
  6. 両面に積層する粘着層を付与されたプラスチックフィルムの素材、厚み、粘着層成分がそれぞれ異なる請求項1〜5のいずれかに記載の高分子固体電解質膜積層体。
  7. 両面に積層する粘着層を付与されたプラスチックフィルムの素材、厚み、粘着層成分が同一である請求項1〜6のいずれかに記載の高分子固体電解質膜積層体。
  8. 上記高分子固体電解質膜が、芳香族系高分子電解質からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の高分子固体電解質膜積層体。
  9. 前記高分子固体電解質膜が1GPa以上の引張弾性率を有する非フッ素系高分子固体電解質膜である請求項1〜8のいずれかに記載の高分子固体電解質膜積層体。
  10. ロール状に巻き取られていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の高分子固体電解質膜積層体。
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