以下、本発明に係る役物手段を備える遊技機の一実施の形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。まず、パチンコ機1の機械的な構成について、図1,図2を参照して説明する。なお、以下の説明において、パチンコ機1の上下方向、左右方向、および前後方向については、特に断りがない場合、ホールに設置されたパチンコ機1で遊技を行う遊技者からパチンコ機1を見た向き(すなわち図1に図示されるパチンコ機1の向き)を基準とする。前後方向は、パチンコ機1の正面側(紙面表面側)を前側とし、背面側(紙面裏面側)を後側とする。また、パチンコ機1に使用される部品についても、パチンコ機1に組み付けられた場合の向きを基準に、上下方向、左右方向、および前後方向を規定するものとする。
図1に示すように、パチンコ機1の上段側には遊技盤2が設けられている。遊技盤2は略正方形であり、透明なガラス板を保持したガラス枠13によって前面を保護されている。遊技盤2の下段側には上皿5および下皿6が設けられている。上皿5は遊技盤2の下部に設けられ、発射機(図示外)に遊技球を供給し、且つ賞品球を受ける。下皿6は上皿5の直下に設けられ、上皿5から溢れたり排出されたりする賞品球を受ける。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。また、ガラス枠13の上部の左右の角には、スピーカ48がそれぞれ設けられている。
遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。遊技領域4の略中央には、LCDから構成された表示装置28が設けられている。表示装置28の表示画面には、動画、メッセージ等の様々な映像が表示され、特に、大当たり判定の結果を報知するためのデモ図柄が表示される。表示装置28の外縁を取り囲むように、各種演出を行う演出装置30が設けられている。演出装置30は、モータ等の動力を用いて装飾体を駆動し、さらにLED等の発光体を発光させることで、表示装置28およびスピーカ48等と連動しながら様々な演出を行う。
表示装置28の下方には、第一特別図柄始動入賞口14が設けられている。また、表示装置28の右方には普通図柄始動ゲート12が設けられており、普通図柄始動ゲート12の下方に、第二特別図柄始動電動役物15が配設されている。第二特別図柄始動電動役物15は開閉部材を備える。第二特別図柄始動電動役物15の開閉部材は前後方向(遊技盤2の表裏方向)に移動可能であり、開閉部材が前方(表側)に移動した状態(開放状態)でのみ、遊技球が第二特別図柄始動電動役物15に入賞できる。
表示装置28の下方から右斜め下方の位置には、通常アタッカー16とVアタッカー17とを備える役物装置10が設けられている。通常アタッカー16は、第二特別図柄始動電動役物15の左斜め下方に配置され、Vアタッカー17は、通常アタッカー16よりもさらに左斜め下方に配置されている。役物装置10の詳細な構造については後述するが、Vアタッカー17は、化粧枠11に一体に組み付けられる振分部材19と、化粧枠11に取り外し可能に取り付けられる入賞部材18とから構成される。通常アタッカー16も、化粧枠11に取り外し可能に取り付けられている。また、本実施の形態では、上記した第一特別図柄始動入賞口14も化粧枠11に形成されているが、役物装置10とは独立に遊技盤2に設けられてもよく、本発明における「役物手段」の構成には含まれない。
遊技領域4の右斜め下方には、複数のLEDを備える図柄表示装置8が設けられている。図柄表示装置8は、図示しない、普通図柄表示部、第一特別図柄表示部、第二特別図柄表示部、普通図柄記憶数表示LED、第一特別図柄記憶数表示LED、第二特別図柄記憶数表示LED等を備える。
普通図柄表示部にはLEDが用いられている。普通図柄始動ゲート12を遊技球が通過すると普通当たり判定が行われて、判定結果が普通図柄表示部に表示される。普通図柄表示部は、点灯することで普通当たりを表示し、消灯することではずれを表示し、点滅することで普通図柄の変動中であることを示す。
第一特別図柄表示部および第二特別図柄表示部には、アルファベット、数字、記号、またはこれらの組合せからなる特別図柄が表示される。第一特別図柄始動入賞口14へ遊技球が入賞すると、第一大当たり判定が行われ、その判定の結果に応じて複数の特別図柄のうちの1つが第一特別図柄表示部に表示される。第二特別図柄始動電動役物15へ遊技球が入賞すると、第二大当たり判定が行われ、その判定結果は第二特別図柄表示部に表示される。
普通図柄記憶数表示LEDは、普通図柄作動保留球数を4つまで表示する。普通図柄作動保留球数とは、普通図柄始動ゲート12を通過し、且つ普通図柄表示部に普通当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数である。第一特別図柄記憶数表示LEDは、第一特別図柄作動保留球数を4つまで表示する。第一特別図柄作動保留球数とは、第一特別図柄始動入賞口14に入賞し、且つ第一大当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数である。第二特別図柄記憶数表示LEDは、第二特別図柄作動保留球数を4つまで表示する。第二特別図柄作動保留球数とは、第二特別図柄始動電動役物15に入賞し、且つ第二大当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数である。
次に、役物装置10の構造の詳細について説明する。前述したように、役物装置10は、遊技球の入賞が可能な通常アタッカー16とVアタッカー17とを化粧枠11に組み付けた装置であり、パチンコ機1の組立部品の1つとして遊技盤2に取り付けられる。図1に示すように、化粧枠11は、ガイドレール3に囲まれる略円形の遊技領域4において、略中央に配置される表示装置28の下側から右斜め下側の位置に配置される。遊技盤2の盤面に露出される化粧枠11の前面は、図1,図2に示すように、下端から右側端にかけての端部が、ガイドレール3に沿うように円弧状に形成される。また、化粧枠11の上下の幅は、上端と下端との間に、通常アタッカー16およびVアタッカー17を上下にずらした状態で配置できるように、その大きさが確保されている。さらに化粧枠11は、上端が、遊技盤2の盤面に設けられる演出装置30、第二特別図柄始動電動役物15、図示しない誘導釘等と干渉しないように、左端側から右端側へ向けて細幅となるように構成されている。
図3に示すように、化粧枠11の背面には、通常アタッカー16およびVアタッカー17を取り付ける取り付け部位が設けられている。Vアタッカー17は、前述したように、振分部材19と入賞部材18とから構成される。入賞部材18は、少なくとも2本以上(例えば4本)のねじを用いて化粧枠11の背面に組み付けられ、化粧枠11と一体に設けられる。一方、通常アタッカー16と振分部材19とは、それぞれ、例えば2本のねじを用い、振分部材19と一体になった化粧枠11の背面に、取り外し可能に組み付けられる。また、詳細についての説明は省略するが、化粧枠11の背面には、第二特別図柄始動電動役物15等に入賞した入賞球を遊技盤2の背面側で流通させるための通路も併せて設けられている。
図3〜図5に示すように、通常アタッカー16は、正面視(図5参照)、左右方向に細幅に延びる略矩形状を有し、側面視(図4参照)、同様に細幅で前後方向に延びる、箱型(図3参照)の組み立て部品である。通常アタッカー16の正面には、遊技球が通過可能な上下幅で左右方向に延びる略矩形状の入賞口161が開口されている。通常アタッカー16の内部には、入賞口161から入賞した入賞球を収容する球収容部162が形成されている。球収容部162は、遊技球の直径よりやや大きい程度の奥行き(前後方向の長さ)で、入賞口161を開口とする凹部状に形成されている。
入賞口161の前方側には、入賞口161の開口を覆い塞ぐことのできる大きさの細幅の板体で、長手側の辺を左右方向に沿わせて配置した開閉部材163が設けられている。開閉部材163は、自身の上端側を自由端とし、自身の下端側が入賞口161の下端に沿う軸に支持されている。入賞口161は、開閉部材163の上端側を入賞口161の開口の上端に近い位置に配置した状態で閉鎖され、開閉部材163の上端側を上方から前方へ向けて倒した状態で開放される。開閉部材163は、通常アタッカー16の左側後部に設けられる通常アタッカー開閉ソレノイド70の駆動によって開閉される。遊技盤2(図1参照)上を流下する遊技球は、開閉部材163の開放時に開閉部材163の背面に載ることができ(図4参照)、開閉部材163に誘導されて入賞口161に入賞し、球収容部162内に収容される。
球収容部162の後方側の壁面には、自身を通過する入賞球を検出する通常アタッカースイッチ75が設けられている。球収容部162の底壁は、入賞球が通常アタッカースイッチ75へ向けて流れるように、傾斜が設けられている。また、通常アタッカー16の底面に、通常アタッカースイッチ75を通過した入賞球を通常アタッカー16から排出する排出口164が開口されている。
通常アタッカー16の左右両側の側面には、通常アタッカー16を化粧枠11に取り付けるためのねじが挿通されるねじ孔165がそれぞれ設けられている。役物装置10への通常アタッカー16の組み付けは、以下のように行われる。図3に示すように、化粧枠11に開口された通常アタッカー取付口111に背面側から通常アタッカー16の開閉部材163を通して前面側に露出させる。そして、ねじ孔165に挿通させた図示外の2本のねじを化粧枠11の背面に設けられるボス(図示外)に締め付けることによって、通常アタッカー16が役物装置10に組み付けられる。また、役物装置10から通常アタッカー16を取り外す場合は、上記2本のねじを緩め、化粧枠11の背面側へ通常アタッカー16を引き抜くだけで、容易に取り外すことができる。
このように、通常アタッカー16は、入賞口161、開閉部材163、通常アタッカースイッチ75および排出口164が、組み立て部品として一体に構成されたものである。通常アタッカー16は、パチンコ機1とは異なる他の遊技機の役物手段に、ねじ孔165を挿通する図示外の2本のねじを締め付けるボスを設けるだけで、容易に組み付けることができ、また、容易に取り外すことができる。
次に、図3に示すように、Vアタッカー17を構成する入賞部材18も、通常アタッカー16と同様に、正面視、左右方向に細幅に延びる略矩形状を有し、側面視、同様に細幅で前後方向に延びる、箱型の組み立て部品である。入賞部材18は、前後方向の長さは通常アタッカー16とほぼ同じであるが、左右方向の長さは通常アタッカー16よりも短く形成されている。
図3,図6に示すように、入賞部材18の正面には、遊技球が通過可能な上下幅で左右方向に延びる略矩形状の入賞口181が開口されている。入賞部材18の内部にも、入賞口181を開口とする凹部状をなし、入賞口181から入賞した入賞球を収容する球収容部182が形成されている。球収容部182の奥行き(前後方向の長さ)も同様に、遊技球の直径よりやや大きい程度の大きさである。
入賞口181の前方側には、入賞口181の開口を覆い塞ぐ細幅で板状の開閉部材183が、長手側の辺を左右方向に沿わせて配置した状態で設けられている。開閉部材183も自身の上端側を自由端とし、自身の下端側が入賞口181の下端に沿う軸に支持されており、入賞部材18の右側後部に設けられるVアタッカー開閉ソレノイド71の駆動によって、上記同様、開閉される。遊技盤2(図1参照)上を流下する遊技球が、開閉部材183の開放時に開閉部材183の背面に載り(図6参照)、開閉部材183に誘導されて入賞口181に入賞し、球収容部182内に収容される点も同様である。
また、球収容部182の後方側の壁面にも入賞球を検出する入賞部材スイッチ78が設けられ、球収容部182内で入賞球が入賞部材スイッチ78へ向けて流れるように、球収容部182の底壁に傾斜が設けられている。そして、入賞部材18の底面に、入賞部材スイッチ78を通過した入賞球を入賞部材18から排出する排出口184が開口されている。
入賞部材18の左右両側の側面にも、入賞部材18を化粧枠11に取り付けるためのねじが挿通されるねじ孔185がそれぞれ設けられている。役物装置10への入賞部材18の組み付けも、通常アタッカー16の場合と同様である。化粧枠11に開口された入賞部材取付口112に背面側から入賞部材18の開閉部材183を通して前面側に露出させる。この状態で、ねじ孔185に挿通させた2本のねじ(図示外)を化粧枠11の背面に設けられるボス(図示外)に締め付けることによって、入賞部材18が役物装置10に組み付けられる。また、役物装置10から入賞部材18を取り外す場合は、上記2本のねじを緩め、化粧枠11の背面側へ入賞部材18を引き抜くだけで、容易に取り外すことができる。
このように、入賞部材18は、通常アタッカー16と同様に、入賞口181、開閉部材183、入賞部材スイッチ78および排出口184が、組み立て部品として一体に構成されたものである。パチンコ機1とは異なる他の遊技機の役物手段に、ねじ孔185を挿通する2本のねじ(図示外)を締め付けるボスを設けるだけで、入賞部材18を容易に組み付けることができ、また、容易に取り外すことができる点も、通常アタッカー16と同様である。
次に、図3に示す、振分部材19は、入賞部材18の排出口184から排出された入賞球を、特定領域スイッチ76または非特定領域スイッチ77のいずれか一方に通過させるため、入賞球の振分を行う部材である。振分部材19は、通常アタッカー16や入賞部材18と同様に組み立て部品として提供されるが、少なくとも2本以上(本実施の形態では4本)のねじを用いて化粧枠11に一体に組み付けられ、固定される。もちろん、振分部材19を構成する部品の一部が化粧枠11であってもよい。
図3、図6〜図9に示すように、振分部材19は、受球口191、第一案内路192、第二案内路193、規制部材20、特定領域スイッチ76、非特定領域スイッチ77、規制部材回動ソレノイド22、排出口194、収容部195等を備える。受球口191は、化粧枠11に入賞部材18が組み付けられた場合に、入賞部材18の排出口184の直下に位置し(図6参照)、排出口184から排出される入賞球を振分部材19内に受け入れる受入口である。受球口191は、振分部材19を平面視した場合に(図7参照)、振分部材19の右側後部に設けられている。受球口191は、前後方向に延びる第一案内路192の後方側の端部に接続されている。第一案内路192は、受球口191に突入した入賞球を振分部材19内で後方側から前方側に案内する流路であり、平面視、振分部材19の右側部に配置されている。第一案内路192は、受球口191に接続された、自身の後端側の端部から、振分部材19内の前方側に配置される、自身の前方側の端部(図7参照)へ向けて、下方に傾く傾斜が設けられている(図6参照)。
第一案内路192の前方側の端部は、平面視、振分部材19の前部に配置され、左右方向に延びる第二案内路193の右方側の端部に接続されている。第二案内路193は、第一案内路192を振分部材19内で後方から前方へ案内された入賞球を、振分部材19内で右方側から左方側へ向けて案内する流路である。第二案内路193の左方側の端部198は、左右方向において振分部材19内の略中央に配置されている。第二案内路193も同様に、自身の右方側の端部から左方側の端部198へ向けて、下方に傾く傾斜が設けられている(図8参照)。
このように、前後方向に延びる第一案内路192と、左右方向に延びる第二案内路193とは、振分部材19の右側前部において接続されている。すなわち、受球口191から端部198へ向けて入賞球を案内する流路は、曲折されている(図7参照)。このため、第一案内路192を前後方向に案内された入賞球が、第二案内路193によって、その案内される方向が左右方向に転換される際に、入賞球の転がる勢い(速さ)を抑制することができる。
次に、振分部材19内の左前部で、第二案内路193の左方側の端部198よりもさらに左方側の位置には、特定領域196と非特定領域197とが左右方向に並んで設けられている(図7,図8参照)。特定領域196は、非特定領域197よりも第二案内路193の端部198に近い側、すなわち、流路の上流側に設けられている。また、特定領域196および非特定領域197は、上下方向において第二案内路193の端部198よりも下方に設けられている。特定領域196および非特定領域197は、第二案内路193を案内されて端部198から放出される入賞球が、特定領域196または非特定領域197の一方を、上下方向(落下方向)に通過するように配置されている。
特定領域196には、特定領域196を落下方向に通過する入賞球を検出する特定領域スイッチ76が設けられている。同様に、非特定領域197には、非特定領域197を落下方向に通過する入賞球を検出する非特定領域スイッチ77が設けられている。特定領域スイッチ76および非特定領域スイッチ77には、自身の開口から内部に突入して自身を通過する遊技球を、例えば公知の電磁コイル等を用いて検出可能なスイッチが用いられる。第二案内路193の端部198は、特定領域スイッチ76の開口の右側方、且つ上方に配置される。そして、非特定領域スイッチ77の開口は、特定領域スイッチ76の開口の左側方、すなわち、特定領域スイッチ76の開口に対して端部198と反対側の側方に配置される。第二案内路193を案内される入賞球が端部198から左方に放出され、落下により特定領域スイッチ76または非特定領域スイッチ77の開口に突入することで、特定領域196または非特定領域197の通過が検出される。なお、振分部材19の下部には、特定領域196または非特定領域197を通過した入賞球を振分部材19から排出する排出口194が設けられている。
また、特定領域196と第二案内路193の端部198との間には、特定領域196への入賞球の通過を規制可能な規制部材20が設けられている。規制部材20は板状に形成される部材で、規制部201、支持部202、軸突起203、作動突起204、突片205を有する。支持部202は細幅の板状に延び、一端側に、板面と直交する方向に突出する軸突起203が形成されている。軸突起203は、支持部202の他端側を振分部材19の前部側へ向けた状態で、振分部材19の後部において支持される。支持部202は、軸突起203を支点に、板面を水平方向に沿わせて回動するように配置される。
規制部201は、支持部202の他端側にて、支持部202の延びる方向と直交しつつ板面と平行に突出する板状の部位である。規制部材20が振分部材19に組み付けられて、支持部202の一端側が振分部材19の後部に配置され、他端側が前部に配置された状態において、規制部201は、支持部202の左側に突出されている(図7参照)。規制部201は、振分部材19の前部において、第二案内路193の端部198と、特定領域196との間に配置される(図8参照)。後述するが、規制部201は、特定領域196を上方にて覆って蓋する位置(以下、「規制位置」とよぶ。)と、特定領域196の上方から退いて特定領域196を開放する位置(以下、「開放位置」とよぶ。)との間で移動する。
作動突起204は、支持部202の一端側で、支持部202に対して規制部201の突出する向きとは反対向きに突出する突片205に、軸突起203同様、板面と直交する方向に突出して形成されている。作動突起204は、規制部材回動ソレノイド22から伝達される駆動力によって、軸突起203に支持される支持部202を回動させるための力点として機能する。
規制部材回動ソレノイド22は、可動鉄心221の出退方向を前後方向に沿わせて、振分部材19の左後部に設けられる。可動鉄心221の先端には側方(右方)に向けて延びる伝達部材222が設けられている。伝達部材222は先端側が後方へ向けて屈曲し、さらに先端が右方へ向けて二股に分かれている。そして、その二股の先端で、規制部材20の作動突起204を前後方向に挟んだ状態で、伝達部材222が振分部材19に設けられている。
規制部材回動ソレノイド22の駆動によって可動鉄心221が前方へ移動すると、規制部材20の作動突起204が伝達部材222によって前方へ向けて押される。作動突起204を力点として軸突起203(支点)に軸支された支持部202が時計回りに回動されると、支持部202の他端側に設けられた規制部201(作用点)は、右方から左方へ移動する。同様に、可動鉄心221が後方へ移動すると、作動突起204が伝達部材222によって後方へ向けて押され、支持部202が反時計回りに回動されて、規制部201は、左方から右方へ移動する。
規制部材20の規制部201は、規制部材回動ソレノイド22の駆動に応じ、振分部材19の前部において左右方向に移動する。図9に示すように、規制部201が左方へ移動した場合、規制部201は、特定領域196を上方にて覆って蓋する規制位置に移動する。図8に示すように、規制部201が規制位置にある場合(図中、規制位置にある場合の規制部201を点線で示す。)、第二案内路193を案内される入賞球は、端部198から規制部201上を通って非特定領域197へ向かう(流路を二点鎖線で示す。)。
一方、図7に示すように、規制部201が右方へ移動した場合、規制部201は、特定領域196の上方から退き、特定領域196を開放する開放位置に移動する。図8に示すように、規制部201が開放位置にある場合(図中、開放位置にある場合の規制部201を実線で示す。)、第二案内路193を案内される入賞球は、端部198から特定領域196へ向かうことができる(流路を一点鎖線で示す。)。
なお、第二案内路193の下部には規制部材20の規制部201を収容可能な収容部195が設けられている。収容部195は、振分部材19の上下方向において、第二案内路193の端部198の下方、且つ、特定領域スイッチ76の開口の上方の位置に設けられる。規制部201が開放位置に移動した場合、規制部201は、収容部195に収容された状態となる。
上記したように、第一案内路192および第二案内路193からなる入賞球の流路が曲折されており、入賞球の転がる勢い(速さ)が抑制されるため、規制部201が開放位置にある場合に、入賞球は特定領域196を通過する。もっとも、入賞球の勢いが十分に抑制されずに特定領域196の上方を飛び越したり、あるいは端部198から放出された際に特定領域スイッチ76の開口の縁に当たって跳ね返ったりした場合には、入賞球が非特定領域197を通過することも可能である。
このような構成の振分部材19は、上記したように、化粧枠11の背面側に、化粧枠11と一体に組み付けられるが、化粧枠11に設けられた開口113より、化粧枠11の前面側から振分部材19を臨むことができる。振分部材19の前側の壁面には透明部材が用いられている。そのため、遊技者は、Vアタッカー17の入賞口181に入賞した入賞球が、入賞部材18の後方から振分部材19に突入し、第一案内路192に前方へ案内された後、第二案内路193に左方へ案内され、特定領域196または非特定領域197に向かう様子を、目視で追うことができる。さらに、第二案内路193、特定領域196、非特定領域197が振分部材19の前部に配置されたことにより、遊技者が、入賞球の行方を見やすい。
次に、図10を参照して、パチンコ機1の概略的な電気的構成について説明する。図10に示すように、パチンコ機1の制御部40は、主基板41、サブ統合基板60、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、払出制御基板45、および中継基板47を備える。
主基板41は、パチンコ機1の主制御を司る。主基板41の主基板CPUユニット50には、各種の演出処理を行うCPU51と、データを一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム等を記憶したROM53とが設けられている。CPU51は、主基板41に設けられる割込信号発生回路(図示外)から割込信号が入力される毎にプログラムを実行する。主基板41は、I/Oインタフェイス54を介してサブ統合基板60、払出制御基板45、中継基板47、第一始動スイッチ72、および第二始動スイッチ73に接続されている。第一始動スイッチ72は、第一特別図柄始動入賞口14に入賞した遊技球を検出する。第二始動スイッチ73は、第二特別図柄始動電動役物15に入賞した遊技球を検出する。
サブ統合基板60は図示外のCPU、RAM、ROMを備え、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、およびスピーカ48に接続している。サブ統合基板60は、主基板41から送信されるコマンドにしたがって、演出等の総合的な制御を行う。ランプドライバ基板46は、演出装置30等を制御する。演出制御基板43は、サブ統合基板60から受信するコマンドにしたがって表示装置28の表示を制御する。払出制御基板45は、主基板41から送信されるコマンドに応じて賞品球払出装置49の動作を制御し、所定数の遊技球を払い出させる。
中継基板47には、電動役物開閉ソレノイド69、通常アタッカー開閉ソレノイド70、Vアタッカー開閉ソレノイド71、および規制部材回動ソレノイド22が接続されている。電動役物開閉ソレノイド69は、普通当たり遊技中に第二特別図柄始動電動役物15の開閉部材を開閉する。通常アタッカー開閉ソレノイド70は、大当たり遊技中に通常アタッカー16の開閉部材163を開閉する。Vアタッカー開閉ソレノイド71は、大当たり遊技中にVアタッカー17を構成する入賞部材18の開閉部材183を開閉する。規制部材回動ソレノイド22は、Vアタッカー17を構成する振分部材19に設けられた規制部材20を回動させ、規制部201を規制位置と開放位置との間で移動させる。
また、中継基板47には、普通図柄作動スイッチ74、通常アタッカースイッチ75、特定領域スイッチ76、非特定領域スイッチ77、および入賞部材スイッチ78が接続されている。普通図柄作動スイッチ74は、普通図柄始動ゲート12を通過した遊技球を検出する。通常アタッカースイッチ75は、通常アタッカー16の入賞口161に入賞した遊技球(入賞球)を検出する。特定領域スイッチ76は、Vアタッカー17を構成する振分部材19の特定領域196を通過した遊技球を検出する。非特定領域スイッチ77は、Vアタッカー17を構成する振分部材19の非特定領域197を通過した遊技球を検出する。入賞部材スイッチ78は、Vアタッカー17を構成する入賞部材18の入賞口181に入賞した遊技球(入賞球)を検出する。
さらに、中継基板47には、図柄表示装置8が接続されている。また、電源基板42は、主基板41および遊技球発射装置37に接続されており、各基板および遊技球発射装置37に直流の安定化した電力を供給する。遊技球発射装置37は、一定間隔(本実施の形態では0.6秒)毎に1個ずつ、遊技球を遊技領域4へ発射する。
次に、本実施の形態のパチンコ機1における遊技の流れについて概略的に説明する。パチンコ機1は、第一大当たり判定および第二大当たり判定において大当たりと判定される確率が約1/350である非確率変動状態と、約1/35である確率変動状態とを生起させることができる。また、第二特別図柄始動電動役物15の開閉部材が開放される割合が通常の割合である非時短状態と、その割合が非時短状態よりも高くなる時短状態とを生起させることができる。パチンコ機1は、これらの組合せにより、「非確率変動非時短状態」(以下、「通常状態」という。)、「非確率変動時短状態」、および「確率変動時短状態」の3つの遊技状態を生起する。なお、パチンコ機1が生起できる遊技状態の種類は変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記3つの遊技状態に加えて「確率変動非時短状態」等の他の遊技状態を生起できるパチンコ機にも、本発明は適用できる。「通常状態」および「確率変動時短状態」の2つの遊技状態のみを生起できるパチンコ機にも本発明は適用できる。
「非確率変動時短状態」および「確率変動時短状態」は、第一大当たり判定の回数と第二大当たり判定の回数との和が規定回数(本実施の形態では60回)に達すると終了し、「通常状態」へ移行する。つまり、パチンコ機1の確率変動状態は、大当たり判定の回数の和が規定回数に達することで、いわゆる回数切り確変機能の作動によって終了する。なお、「非確率変動時短状態」および「確率変動時短状態」は、大当たり遊技開始時にも終了する。この場合、規定回数の計数はクリアされる。
「通常状態」中には、第二特別図柄始動電動役物15の開閉部材が開放される割合は時短状態中よりも低い。よって、遊技者は、第二特別図柄始動電動役物15よりも第一特別図柄始動入賞口14の方が容易に遊技球を入賞させることができる。第一特別図柄始動入賞口14へ遊技球が入賞すると、第一大当たり判定が行われる。第一大当たり判定によって大当たりと判定された場合には、長時間開放大当たりおよび短時間開放大当たりのいずれを生起するかが決定される。本実施の形態では、第一大当たり判定によって大当たりと判定された場合、長時間開放大当たりが決定される割合を50%とし、短時間開放大当たりが決定される割合を50%としている。なお、長時間開放大当たりが決定される割合は変更してもよい。
なお、Vアタッカー17を構成する入賞部材18の開閉部材183の開閉パターンは、長時間開放大当たりの場合と短時間開放大当たりの場合とで異なるパターンで作動され、それに応じて遊技球が入賞口181へ入賞する確率が異なる。これに対し、振分部材19の規制部材20の回動パターンは、長時間開放大当たりの場合と短時間開放大当たりの場合とで同じパターンで作動される。詳細は後述するが、本実施の形態のパチンコ機1では、規制部材20の回動パターンを、入賞球が案内路192,193を転がるのにかかる時間を考慮した上で、設定している。その上で、開閉部材183の開閉パターンと規制部材20の回動パターンとを組み合わせることにより、入賞口181へ入賞した入賞球が、長時間開放大当たりの場合には特定領域196を通過しやすく、短時間開放大当たりの場合には非特定領域197を通過しやすくなるようにしている。
パチンコ機1では、大当たり遊技中に遊技球が特定領域196を通過すると、大当たり遊技終了後に「確率変動時短状態」が生起される。遊技球が特定領域196を通過しなければ、大当たり遊技終了後には「非確率変動時短状態」が生起される。したがって、「通常状態」から大当たり遊技を経て「確率変動時短状態」へ移行する確率は約50%となる。
「確率変動時短状態」中には、第二特別図柄始動電動役物15の開閉部材が開放される割合は「通常状態」中よりも高い。したがって、遊技者は、第一特別図柄始動入賞口14よりも第二特別図柄始動電動役物15の方が容易に遊技球を入賞させることができるため、遊技球を遊技盤2の右側に打ち出す(いわゆる「右打ち」を行う)。第二特別図柄始動電動役物15へ遊技球が入賞すると、第二大当たり判定が行われる。第二大当たり判定によって大当たりと判定された場合には、第一大当たり判定によって大当たりと判定された場合よりも高い割合で長時間開放大当たりが決定される。
本実施の形態では、第二大当たり判定によって大当たりと判定された場合には100%の割合で長時間開放大当たりが決定される。したがって、「確率変動時短状態」が大当たり遊技を介して連続する確率は、100%に非常に近い値となる。つまり、パチンコ機1では、「通常状態」から「確率変動時短状態」へ移行する確率よりも、「確率変動時短状態」が大当たり遊技を介して連続する確率の方が高い。「確率変動時短状態」が生起されている間(規定回数の大当たり判定が行われる間)に第二大当たり判定において大当たりと判定される限り、「確率変動時短状態」と大当たり遊技とが高い確率で交互に連続する。大当たり判定の結果が規定回数連続してはずれとなると、遊技状態は「通常状態」へ移行する。
大当たり遊技中に遊技球が特定領域196を通過せず、「非確率変動時短状態」が生起された場合にも、第二特別図柄始動電動役物15の開閉部材は開放されやすい。よって、遊技者は右打ちを行う。「非確率変動時短状態」中に大当たりと判定される確率は、「確率変動時短状態」中よりも低い。しかし、はずれが規定回数連続して「通常状態」へ移行する前に、第二大当たり判定の結果が大当たりとなると、大当たり遊技終了後に非常に高い確率で「確率変動時短状態」が生起される。したがって、パチンコ機1では、「確率変動時短状態」が生起されずに「非確率変動時短状態」が生起された場合でも、遊技者は期待感を損なうことなく遊技を楽しむことができる。
このように遊技が行われるパチンコ機1では、大当たり遊技中に遊技球がVアタッカー17内の特定領域196を通過することが、大当たり遊技終了後に確率変動時短状態を生起する条件となっている。本実施の形態では、Vアタッカー17の開閉部材183は、1回の大当たり遊技中に1回(例えば大当り遊技中の最終ラウンド)開放される。上記したように、第一大当たり判定によって大当たりと判定された場合に、50%の割合で長時間開放大当たりが決定され、50%の割合で短時間開放大当たりが決定される。長時間開放大当たりが決定された場合、Vアタッカー17の開閉部材183は長時間開放パターンに従い開放され、短時間開放大当たりが決定された場合には、開閉部材183は短時間開放パターンに従い開放される。なお、長時間開放パターンおよび短時間開放パターンに従う開閉部材183の動作は、主基板41のROM53に記憶されるパチンコ機1の制御プログラムに従ってCPU51が出力する指示に従い、Vアタッカー開閉ソレノイド71が駆動されることによってなされる。
図11に示すように、長時間開放パターンでは、Vアタッカー17の開閉部材183が、最大13秒(T0〜T3)開放される開閉パターンに従い作動される。一方、振分部材19の規制部材20は、開閉部材183の作動と同時(T0)に開放位置に移動され、約0.3秒経過後(T1)に規制位置に移動される。その後、例えば3.2秒(Vアタッカー17開放から3.5秒)経過後(T2)に再び開放位置に移動されて、さらに12.5秒(Vアタッカー17開放から16秒)経過後(T4)に規制位置に移動される回動パターンに従い作動される。つまり、規制部材20は、T0〜T1とT2〜T4とにおいて開放位置にある。ここで、本実施の形態では、第一案内路192および第二案内路193は、その長さが、入賞球が転がるのにかかる時間でT2〜T4時間(約12.5秒)より短い時間となるように、形成されている。ゆえに、長時間開放パターンでは、T0〜T3に入賞口181に入賞した入賞球は、第一案内路192および第二案内路193を案内されて特定領域196に到達するまでにかかる時間よりも長い間、規制部材20が開放位置に維持されている、主にT2〜T4に、特定領域196を通過することが可能である。
一方、短時間開放パターンでは、Vアタッカー17の開閉部材183が、最大0.3秒(T0〜T1)開放される開閉パターンに従い作動される。短時間開放パターンにおいて、開閉部材183が開放される0.3秒の間に、遊技球が入賞口181に入賞することは難しい。すなわち、短時間開放パターンでは、遊技球が特定領域196を通過することは難しい。
もっとも、パチンコ機1では、短時間開放パターンに従い開閉部材183が開放される0.3秒の間に、遊技球が入賞口181に入賞する場合もある。遊技球が入賞した場合、入賞球は、特定領域スイッチ76または非特定領域スイッチ77に検出される途中に、第一案内路192および第二案内路193を通過する。ここで、上記のように、その長さが、入賞球が転がるのにかかる時間でT2〜T4時間(約12.5秒)より短い時間となるように形成された第一案内路192および第二案内路193は、その長さが、同じく入賞球が転がるのにかかる時間でT0〜T1時間(約0.3秒)より長い時間となるように形成されている。さらに、第一案内路192および第二案内路193は、その長さが、入賞球が転がるのにかかる時間でT0〜T2時間(約3.5秒)より短い時間となるようにも形成されている。言い換えると、第一案内路192および第二案内路193の長さは、入賞球がT0〜T1時間(約0.3秒)で転がることのできる長さ(「第一距離」とする。)よりも長い。且つ、第一案内路192および第二案内路193の長さは、入賞球がT2〜T4時間(約12.5秒)で転がることのできる長さ(「第二距離」とする。)よりも短い。さらに、第一案内路192および第二案内路193の長さは、入賞球がT0〜T2時間(約3.5秒)で転がることのできる長さ(「第三距離」とする。)よりも短い。
短時間開放パターンにおいて、稀に、T0〜T1までの0.3秒間に入賞口181に入賞した入賞球が、第一案内路192および第二案内路193を案内される。規制部材20は、T0に規制位置から開放位置に移動されるため、入賞球が入賞口181に入賞した時点において、入賞球は特定領域196を通過可能な状態となる。しかし、入賞球が、第一距離よりも長く、第二距離および第三距離よりも短い長さの第一案内路192および第二案内路193を案内されている間に、T0〜T1が経過してしまう。このため、入賞球が第二案内路193の端部198に達したときには、すでに、規制部材20が開放位置から規制位置に移動してしまっている。したがって、入賞球は非特定領域197を通過することとなり、短時間開放パターンにおいて、入賞球が、特定領域196を通過することは難しい。一方で、長時間開放パターンでは、上記したように、T0〜T3に入賞口181に入賞した入賞球が、第一案内路192および第二案内路193を案内されて特定領域196に到達しても、T2〜T4であれば規制部材20が開放位置に維持されており、特定領域196を通過することが可能である。
以上説明したように、本実施の形態のパチンコ機1の役物装置10では、規制位置と開放位置との間での規制部材20の規制部201の移動が、直線的な移動ではなく、回動によって行われるので、直線的に出退させる場合と比べて出退方向への移動量が少なくて済む。つまり、規制部材20の移動のためのスペースを、より小さくできる。さらに、規制部201を開放位置に移動させた場合の規制部201の収容のためのスペース(つまり収容部195の大きさ)も小さくすることができるので、役物装置10の小型化を図ることができる。
また、特定領域196が非特定領域197と第二案内路193との間、すなわち、非特定領域197よりも入賞球の流路上流側に設けられることによって、規制部材20の規制部201が開放位置にある場合に、第一案内路192および第二案内路193を案内された入賞球が、特定領域196を通過しやすい。特定領域196をVゾーンとした場合、遊技者が、規制部201が開放位置にあることを確認することで、Vゾーンへの入賞に対する期待を抱くことができる。一方で、入賞球が、特定領域196を飛び越して非特定領域197を通過することもできるので、遊技者に、Vゾーン入賞への期待と、非入賞に対する不安とが入り交じった感情を惹起させ、遊技の興趣を高めることができる。また、非特定領域197をVゾーンとした場合には、特定領域196が開放状態にある場合でも、遊技者は、遊技球が特定領域196を飛び越して非特定領域197を通過することへの期待を抱くことができる。
また、特定領域196は第二案内路193と非特定領域197との間に設けられているので、特定領域196が開放されている場合、入賞球に勢いがあると、入賞球が特定領域196を飛び越して非特定領域197へ向かう虞がある。ゆえに、曲折された流路を構成する第一案内路192および第二案内路193を通過すれば入賞球の勢いが弱められるので、より確実に、入賞球に特定領域196を通過させることができる。また、第一案内路192および第二案内路193を通過する入賞球の通過時間を考慮した役物装置10の設計を行った場合、曲折された第一案内路192および第二案内路193によって入賞球の勢いが弱められ、通過速度が遅くなれば、第一案内路192および第二案内路193を短くしても、入賞球の通過時間を確保することができるので、役物装置10の小型化を図ることができる。
また、第二案内路193の端部198を、特定領域スイッチ76の開口の右側方、且つ上方に配置し、非特定領域スイッチ77の開口を、特定領域スイッチ76の開口に対して端部198と反対側の側方に配置した。これにより、第一案内路192および第二案内路193を案内されて端部198から放出される入賞球が、特定領域スイッチ76や非特定領域スイッチ77を通過するために必要なスペースは、並列に配置される特定領域スイッチ76の開口と非特定領域スイッチ77の開口があれば足りるので、役物装置10の小型化を図ることができる。また、端部198から特定領域スイッチ76や非特定領域スイッチ77へ向けて入賞球が落下する構成としたので、第二案内路193の下方がデッドスペースとなるが、その位置に収容部195を設けることで、役物装置10に別途、収容部195を設けるためのスペースを用意する必要がなく、役物装置10の小型化を図ることができる。
また、役物装置10にVアタッカー17とは別途、通常アタッカー16を取り付けることによって2種類の入賞口を有することができ、通常アタッカー16の入賞口161と、Vアタッカー17の入賞口181とを駆使した遊技を行うことができ、遊技性に幅を持たせることができる。また、通常アタッカー16は取り外し可能でもあるので、単体で、他のパチンコ機にも取り付けることのできるアタッカーユニットとして機能することができる。ゆえに、パチンコ機間で通常アタッカー16を共用することができるので、製造コストの削減を図ることができる。同様に、Vアタッカー17も、入賞部材18を、単体で、他のパチンコ機にも取り付けることのできるアタッカーユニットとして機能することができる。ゆえに、パチンコ機間で入賞部材18を共用することができるので、製造コストの削減を図ることができる。
パチンコ機1がこのような役物装置10を備えることで、役物装置10の取り付け位置の省スペース化を図ることができる。また、役物装置10を小型化できることによって、パチンコ機1内においてその他の装置を取り付けられるスペースが増えるので、パチンコ機1内のレイアウトの自由化を図ることができる。
ところで、Vアタッカー17の入賞口181の開放とともに特定領域196が開放されたときに入賞した入賞球は、第一案内路192および第二案内路193を通過する間にT0〜T1が経過してしまい特定領域196が規制されるので、特定領域196を通過することができない。入賞口181の開放から所定の時間が経過してから入賞した入賞球は、再び特定領域196が、今度は第一案内路192および第二案内路193の通過にかかる時間よりも長いT2〜T4の間、開放されるので、特定領域196を通過することができるようになる。よって、入賞球に特定領域196を通過させたり、あるいは通過させなかったりする制御を、開閉部材183の開放時間を制御するだけで、すなわち、長時間開放パターンおよび短時間開放パターンを設定するだけで、容易に行うことができる。同一の役物で、入賞球に特定領域を通過させたりあるいは通過させなかったりする構造を物理的に実現しようとすると、役物の大型化を招いてしまうが、本実施態様のように制御的に行えるようにすれば、役物の小型化を図ることができる。
なお、本発明においては、本実施の形態における役物装置10が「役物手段」に相当する。入賞口181が「第一入賞口」に相当する。開閉部材183が「第一開閉部材」に相当する。特定領域196が「第一通過領域」に相当する。非特定領域197が「第二通過領域」に相当する。第一案内路192および第二案内路193が「案内路」に相当する。軸突起203が規制部材の「軸」に相当する。特定領域スイッチ76が「第一通過口」に相当する。第二案内路193の端部198が「案内路の流路末端」に相当する。非特定領域スイッチ77が「第二通過口」に相当する。入賞口161が「第二入賞口」に相当する。開閉部材163が「第二開閉部材」に相当する。排出口164が「第一排出口」に相当する。通常アタッカー16が「第一役物部材」に相当する。排出口184が「第二排出口」に相当する。入賞部材18が「第二役物部材」に相当する。T0〜T1が「第一時間」に相当する。T2〜T4が「第二時間」に相当する。CPU51が「回動制御装置」に相当する。パチンコ機1が「遊技機」に相当する。
本発明は、以上詳述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは言うまでもない。規制部材20は、特定領域196の上方に規制部201が配置されることで(規制位置)、入賞球の特定領域196への通過を規制し、第二案内路193の下部の収容部195に規制部201が収容されることで(開放位置)、入賞球の特定領域196への通過を開放した。これに限らず、例えば、特定領域196の上方に規制部201が配置されることで(規制位置)、入賞球の特定領域196への通過を規制し、非特定領域197の上方に規制部201が配置されることで(開放位置)、入賞球の特定領域196への通過を開放してもよい。このように、特定領域196にとっての規制位置が非特定領域197にとっての開放位置となり、その逆もまた同様となるように規制部201を移動させれば、規制部201の収容部195を別途設けなくとも済むので、Vアタッカー17ひいては役物装置10の小型化を図ることができる。
また、規制部材20を、円盤状や半月盤状、扇盤状などに形成してもよい。この場合、盤面に、入賞球が通過可能な切欠きや孔を形成し、盤を回転させることによって、切欠きや孔の位置を移動できるようにするとよい。切欠や孔を特定領域196の上方に配置させれば(開放位置)、入賞球の特定領域196への通過を開放することができ、切欠や孔を特定領域196の上方からずらした位置に配置させれば(規制位置)、入賞球の特定領域196への通過を規制することができる。
また、第二案内路193の端部198に近い側に特定領域196を配置し、遠い側に非特定領域197を配置したが、その逆の配置とし、端部198に近い側に非特定領域197を配置し、遠い側に特定領域196を配置してもよい。
また、第一案内路192と第二案内路193とでL字型に曲折する入賞球の流路を構成したが、流路が曲折され入賞球の転がる勢いを抑制できれば、L字型に限らず、任意の形状に曲折されていてもよい。あるいは、流路の長さとして第一距離より長く第二距離および第三距離より短い長さを確保できれば、入賞球の流路が曲折されていなくともよい。
また、開閉パターンに従い開閉部材183が入賞口181を開放あるいは閉鎖する時間や、回動パターンに従い規制部材20が規制位置あるいは開放位置に移動する時間やそれらの位置で待機する時間として本実施の形態で示した時間が一例に過ぎないことは言うまでもない。これらの時間やタイミングは、第一案内路192と第二案内路193とからなる流路を入賞球が転がるのにかかる時間に応じて、実施の形態で説明した条件を満たしつつ、適宜設定すればよい。
Vアタッカー17を開放するラウンドは、1回の大当たり遊技において1回(例えば最終ラウンド)である必要はない。また、1回の大当たり遊技において、複数のラウンドでVアタッカー17を開放してもよい。この場合、1回の大当たり遊技におけるVアタッカー17の開放時間の合計を、長時間開放パターンと短時間開放パターンとで変えることで、「確率変動時短状態」へ移行する割合を変えることができる。
前述したように、パチンコ機1が生起できる遊技状態の種類は変更可能である。具体的には、上記実施の形態のパチンコ機1は、大当たり遊技中に遊技球が特定領域196を通過すると、その後に必ず「確率変動時短状態」を生起させる。しかし、パチンコ機1は、遊技球の特定領域196の通過を条件として、「確率変動非時短状態」を生起させてもよい。