1.第1実施形態
(1)パチンコ遊技機の構造
本発明の第1実施形態に係るパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。図1に示すように、第1実施形態のパチンコ遊技機1は、前面枠10の内側に取着された遊技盤2を備えている。遊技盤2には、ハンドル11の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材12で囲まれて形成されている。遊技領域3には、遊技球を誘導する案内釘(図示せず)が多数突設されている。前面枠10には、複数の枠ランプ17及びスピーカ18が配設されている。また、遊技盤2には、盤ランプ19が設けられている。
遊技領域3には、液晶表示装置である画像表示器4の表示部4aが配置されている。画像表示器4は、客待ち用のデモ表示、装飾図柄変動演出、大当たり遊技に並行して行われる大当たり演出などを表示部4aに表示する。装飾図柄変動演出は、数字等の装飾図柄と装飾図柄以外の画像とにより構成されて、変動表示を経て停止表示された装飾図柄により、大当たり抽選(即ち、大当たり乱数の取得とその大当たり乱数を用いた判定)の結果を報知する演出である。この装飾図柄変動演出は、特別図柄変動に並行して行われる。また、大当たり抽選は、遊技球の第1始動口51aまたは第2始動口51bへの入賞に対して行われる。
遊技領域3の中央部であって画像表示器4の前方には、センター役物装置30が配置されている。センター役物装置30は、表示部4aの周縁部前方に配設された枠体部31を備えている。枠体部31の左部には、入口から遊技球を流入させ、出口から後述するステージ部41へ遊技球を流出するワープ部40が配設されている。枠体部31の下部には、上面を転動する遊技球を、第1始動口51aへと案内可能なステージ部41が形成されている。
また、遊技領域3の左右方向における中央下部には、第1始動入賞装置5が設けられ、第1始動入賞装置5の下方には、後述する第2始動入賞装置44が設けられている。第1始動入賞装置5は、遊技球の入球し易さが常時変わらない第1始動口51aを備えている。第2始動入賞装置44は、後述するように、進退部材56(図2参照)により開閉される第2始動口51bを備えている。なお、進退部材56は、ソレノイド64(図2参照)により駆動され、第2始動口51bは、進退部材56が前進しているときのみ遊技球が入賞可能となる。
また、遊技領域3には、大入賞装置7が設けられている。大入賞装置7は、第1始動入賞装置5の右方に配置されており、大入賞口71と、大入賞口ソレノイド72(図6参照)により動作する開閉部材73とを備えている。大入賞口71は、開閉部材73により開閉される。
また、遊技領域3には、複数の普通入賞装置9及び遊技球が通過可能なゲート8が設けられている。各普通入賞装置9は、第1始動入賞装置5の左方に配置されている。各普通入賞装置9に入った遊技球は、その普通入賞装置9内の普通入賞口90に入賞する。ゲート8は、センター役物装置30の左方に配置されている。
遊技領域3の外側には、普通図柄表示器13、第1特別図柄表示器14a、及び、第2特別図柄表示器14bが設けられるとともに、普通図柄保留ランプ15、第1特別図柄保留ランプ16a、第2特別図柄保留ランプ16bがそれぞれ4つ設けられている。
第1特別図柄表示器14a、第2特別図柄表示器14bは、それぞれ、遊技球の第1始動口51a、第2始動口51bへの入賞を契機として行われる大当たり抽選の結果を、変動表示を経て停止表示された図柄により報知する(これを「特別図柄変動」という)ものである。第1特別図柄表示器14a、第2特別図柄表示器14bに停止表示された図柄(特別図柄)が大当たり図柄であれば、大入賞口71を所定回数開閉する大当たり遊技が行われる。
遊技球が第1始動口51aまたは第2始動口51bに入賞すると、メイン制御基板20(図6参照)は、その入賞に対して取得した大当たり乱数を、第1始動口51aへの入賞であれば第1保留記憶部27a(図6参照)に、第2始動口51bへの入賞であれば第2保留記憶部27b(図6参照)に記憶する。そして、特別図柄変動を実行可能になったとき、即ち、前の入賞に対する特別図柄変動も、大当たり遊技も実行されていない状態になったときに、記憶しておいた大当たり乱数を用いて大当たりか否かの判定を行い、特別図柄変動を実行する。
第1特別図柄保留ランプ16a、第2特別図柄保留ランプ16bは、それぞれ、第1保留記憶部27a、第2保留記憶部27bに記憶されている大当たり乱数の個数を表示するものである。なお、第1保留記憶部27a、第2保留記憶部27bに記憶される大当たり乱数は、それぞれ4個が上限とされているため、第1保留記憶部27aに4個の大当たり乱数が記憶されている状態で遊技球が第1始動口51aに入賞したときや、第2保留記憶部27bに4個の大当たり乱数が記憶されている状態で遊技球が第2始動口51bに入賞したときは、その入賞に対する大当たり乱数の取得は行われない。
普通図柄表示器13は、ゲート8への遊技球の通過を契機として行われる普通図柄抽選の結果を、変動表示を経て停止表示される普通図柄により報知するものである。停止表示された普通図柄が当たり図柄であれば、所定時間及び所定回数、進退部材56を前進させ第2始動口51bを開放状態とする補助遊技が行われる。
普通図柄の変動表示中または補助遊技中に、遊技球がゲート8を通過すると、メイン制御基板20(図6参照)は、その通過に対して取得した当たり乱数を記憶する。そして、普通図柄の変動表示を開始可能な状態になったときに、記憶しておいた当たり乱数を用いて当たりか否かの判定を行い、普通図柄の変動表示を開始して、その判定結果を示す普通図柄を停止表示する。普通図柄保留ランプ15は、このように記憶されている当たり乱数の個数を表示するものである。なお、記憶される当たり乱数は4個が上限とされているため、4個の当たり乱数が記憶されている状態で遊技球がゲート8を通過しても、その通過に対する当たり乱数の取得は行われない。
次に、図2から5に基づいて、第2始動入賞装置44について詳述する。図2に示すように、第2始動入賞装置44は、取着基板46に対して、進退部材(所謂ベロ部材)56、ソレノイド(駆動手段に相当する)64、連繋部材76、指標部材83,85、カバー部材93,95、遮蔽部材97を組み付けて構成されている。なお、ソレノイド64は、第2始動口SW54b(図6参照)と共に、図示しないホルダ部材に収納保持されて、後方から取着基板46に取着固定される。また、図3から5において、(A)は、ソレノイド64の非作動時であり、進退部材56が第2始動口51bの後方へ格納された後退状態を示し、(B)は、ソレノイド64の作動時であり、進退部材56が第2始動口51bの前方へ進出した前進状態を示している。進退部材56が後退状態にあるとき、第2始動口51bは遊技球の流入不可能な状態にあり、これを第2始動口51bの閉塞状態という。進退部材56が前進状態にあるとき、第2始動口51bは遊技球の流入可能な状態にあり、これを第2始動口51bの開放状態という。
取着基板46は、正面から見て左右方向に長い楕円形状とされ、前後方向を薄肉とした平板部材である。取着基板46は、左端及び右端にねじ止め用の孔部47,47を有しており、第2始動入賞装置44は、このねじ止め用孔部47,47を利用して遊技盤2にねじ止めされて取り付けられる。取着基板46の前面46aは、第2始動入賞装置44を遊技盤2に配設した状態において、遊技盤面と略面一に配置される。また、取着基板46は、左右方向の略中央に、遊技球が通過可能な開口48を有している。この開口48は、上述した第2始動口51bに相当するもので、開口48を通過した遊技球は、図示しない球通路部を転動して、第2始動口SW54b(図6参照)に検知される。なお、第2始動口SW54bは、遊技球を検出すると検出信号をメイン制御基板20(図6参照)に出力する。
進退部材56は、第2始動口51b(開口48)の下部48aを通って前後に進退するもので、上方から見て内側を肉抜きした枠型の矩形状とされている。また、進退部材56は、上下方向を薄肉とし、左右方向の幅寸法を略遊技球の直径程度としている。進退部材56は、前端側に、前方から後方にかけて下方へ向かって傾斜した受け面57を有している。受け面57は、図4(B)に示すように、進退部材56の進出状態において第2始動口51bよりも前方へ突出し、遊技領域3を転動してきた遊技球を受け止め、受け止めた遊技球を後方へ転動させて第2始動口51bへ流入させる。進退部材56の前壁58は、上下方向の高さ寸法を5mm程度として形成されており、受け面57に受け止められた遊技球が前方へ落下するのを防止する。
また、進退部材56の左側面及び右側面には、進退部材56の前進時、後述する指標部材83,85と係合して指標部材83,85を変位させる係合片部59,59が延設されている。係合片部59,59の前端59a,59aは、左右方向における内側から外側にかけて徐々に後方へ傾斜している。係合片部59,59は、進退部材56の進出時、第2始動口51b(開口48)よりも前方へ突出する。そのため、第2始動口51b(開口48)の下端部48bは、左右方向に幅広に開口されており、係合片部59,59の通過を許容している。
また、進退部材56の左側面及び右側面には、前後方向に沿って延びるガイド部60,60が形成されている。ガイド部60,60は、進退部材56の移動時、図示しないホルダ部材に形成されるガイド溝に沿って摺動し、進退部材56の移動をガイドする。ガイド部60,60の後方には、後述する連繋部材76の下部係合軸78,78が係合する係合溝61,61(図2には右側のみを図示する)が設けられている。
ソレノイド64は、略直方体のソレノイド本体65と、ソレノイド本体65に対して前後に移動可能なプランジャー66とを備えている。ソレノイド本体65は、メイン制御基板20(図6参照)による通電制御により磁力を発生させて、プランジャー66を移動させる。プランジャー66は、小径の軸形状とされた軸部66aと、軸部66aより大径の円盤形状とされた先端部66bから構成されている。プランジャー66の軸部66aには、圧縮コイルばね67が装着されている。圧縮コイルばね67は、常時、プランジャー66を前方へ向けて押し出すよう付勢している(図3(A)参照)。なお、ソレノイド64が作動される(励磁される)と、プランジャー66は、圧縮コイルばね67の付勢力に抗して後方へ移動する(図3(B)参照)。
連繋部材76は、ソレノイド64と進退部材56とを繋ぐもので、上部に、プランジャー66の先端部66bと係合する上部係合部77を備え、下部に、進退部材56の係合溝61,61と係合する下部係合部78,78(図2には右側のみを図示する)を備えている。また、連繋部材76は、左側面および右側面から外側に向かって左右方向に沿って突設された揺動軸79,79(図2には右側のみを図示する)を備えている。揺動軸79,79は、第2始動入賞装置44の組み立て時、図示しないホルダ部材に軸支される。これにより、各部材が組み付けられた状態の第2始動入賞装置44において、プランジャー66が移動すると、連繋部材76は、この揺動軸79,79を中心として前後に揺動することとなる(図3参照)。
指標部材83,85は、正面視を略三角形状として後方へ伸びる略三角柱形状の部材で、有色とされている。ここで有色とは無色透明でないことをいう。指標部材83,85の後面には、前後方向に沿って延びる揺動軸84,86が延設されている。指標部材83,85は、開口48を挟んで(すなわち進退部材56を挟んで)左右対称に配置される2つの部材からなっており、開口48(進退部材56)の左側に配される部材を左側指標部材83と称し、開口48(進退部材56)の右側に配される部材を右側指標部材85と称する。
左側指標部材83及び右側指標部材85は、それぞれの揺動軸84,86を、取着基板46に形成された挿通孔49,49に挿通させて、第2始動入賞装置44に組み付けられる。なお、挿通孔49,49は、開口48の下部48aの左方および右方に左右対称に設けられている。また、左側指標部材83及び右側指標部材85は、ソレノイド64の非作動時、図5(A)に示すように、その上面83a,85aを左右方向における内側(中央側)から外側に向かって下方へ傾斜させた正面視略八の字状にして、下端部83b,85bを後述するカバー部材93,95の下壁部93b,95bに支持されている。そして、ソレノイド64が作動されると、図5(B)に示すように、前後方向に沿った揺動軸84,86を中心として、左側指標部材83は正面視時計方向(矢印aの方向)に揺動し、右側指標部材85は正面視反時計方向(矢印bの方向)に揺動して、その上面83a,85aが左右方向における外側から内側に向かって下方へ傾斜した正面視略逆八の字状になるよう変位する。換言すれば、左側指標部材83及び右側指標部材85は、進退部材56の前進時、左側指標部材83の上面83a及び右側指標部材85の上面85aが進退部材56の受け面57に向かって下がる傾斜面となるように変位する。
カバー部材93,95は、左側指標部材83および右側指標部材85の周囲を囲う正面視略コ字形状の部材で、カバー部材93,95を通して指標部材83,85を視認することができるよう透明の合成樹脂材料で形成されている。左側指標部材83を覆う左側カバー部材93と、右側指標部材85を覆う右側カバー部材95とは、開口48を挟んで左右対称の形状となっており、各カバー部材93,95は、指標部材83,85の上方を覆う上壁部93a,95a、指標部材83,85の下方を覆う下壁部93b,95b、および、指標部材83,85の開口48とは反対側の側方を覆う側壁部93c,95cとから構成されている。カバー部材93,95の上壁部93a,95aは、進退部材56が前進したときの指標部材83,85の上面83a,85aに合わせた形状、すなわち、左右方向における外側から内側に向かって下方へ傾斜した形状とされている。
指標部材83,85および開口48の前方には、前後方向を薄肉とする平板状の遮蔽部材97が取り付けられる。遮蔽部材97は、左側指標部材83の前方に位置する左部97aと、右側指標部材85の前方に位置する右部97b、および、開口48(進退部材56)の前方に位置する中央部97cからなり、左部97aおよび右部97bは、進退部材56の後退状態において正面から指標部材83,85が視認できないよう不透明とされ、中央部97cは、常に進退部材56の動作、すなわち第2始動口51bが開放状態であるか閉塞状態であるかを視認できるよう透明とされている。なお、進退部材56の前進状態においては、左側指標部材83および右側指標部材85は揺動して遮蔽部材97の左部97aおよび右部97bの上端よりも上方に露出するため、正面から視認可能となる(図5(B)参照)。
なおここで、第2始動口51bの入口の寸法について説明すると、第2始動口51bの入口の寸法は、図5(A)に示すように、左側カバー部材93の上壁部93aの左側の端部から右側カバー部材95の上壁部95aの右側の端部までを結んだ距離Lとなる。遊技機規則によれば、普通電動役物(第2始動入賞装置44の進退部材56)により開き又は拡大した場合の入賞口(第2始動口51b)の大きさは55mmを超えないこととされているため、実施形態では、この距離Lは55mm未満に形成されている。
次に、第2始動入賞装置44の動作について、図3から5に基づいて説明する。初期状態では、第2始動入賞装置44は、図3(A),図4(A),図5(A)に示す状態にある。すなわち、図3(A)に示すように、ソレノイド64が非作動であるとき、プランジャー66は、圧縮コイルばね67により前方へ付勢されている。このとき、進退部材56は、後退状態にあり、図4(A)に示すように、受け面57を第2始動口51bより後方に格納させて、第2始動口51bを閉塞状態にしている。従って、第2始動口51bへ向かって遊技球が流下しても、遊技球は、カバー部材93,95の上面93a,95a(図4(A)では左カバー部材93の上面93a)を転動し、左側カバー部材93と右側カバー部材95の間を通って下方へ流下してしまい、第2始動口51bには流入しない。またこのとき、指標部材83,85は、図5(A)に示すように、下端部83b,85bをカバー部材93,95に支持された状態で、遮蔽部材97の左部97aおよび右部97bの後方に位置して、正面から視認不能な状態にある。遊技者は、このように指標部材83,85が正面から視認されないことをもって、進退部材56が後退状態にあり、第2始動口51bが閉塞されていると認識することができる。
ソレノイド64が作動されると、第2始動入賞装置44は、図3(B),図4(B),図5(B)に示す状態になる。すなわち、ソレノイド64が励磁されることにより、プランジャー66は、ソレノイド本体65に吸引され、圧縮コイルばね67の付勢力に抗して図3(A)に示す矢印aの方向(後方)に移動する。すると、これに伴って連繋部材76は、左右方向に沿う揺動軸79,79を中心として下部を前方へ突き出すように図3(A)に示す矢印cの方向(右側面視時計方向)に揺動する。これにより、進退部材56は、ガイド部60,60をガイド溝(図示せず)に沿わせて前進して、図3(B)に示す前進状態となり、受け面57を、図4(B)に示すように第2始動口51bより前方へ突出させて、第2始動口51bを開放状態にする。第2始動口51bの開放状態では、遊技領域3を第2始動口51bへ向かって流下した遊技球は、カバー部材93,95の上面93a,95a(図4(B)では左カバー部材93の上面93a)を転動して、受け面57に受け止められ、受け面57上を後方へ向かって転動して、第2始動口51bに流入し得る。
また、図3(A)(B)に示すように、進退部材56が前進するのに伴って、係合片部59,59の前端59a,59aは、その内側から外側にかけて左側指標部材83および右側指標部材85の後面の下縁に当たって、左側指標部材83および右側指標部材85を押して進んでいくので、左側指標部材83および右側指標部材85は、それぞれの揺動軸84,86を中心として図5(A)図示矢印aおよびbの方向に揺動する。そして、進退部材56が前進を完了したときには、左側指標部材83および右側指標部材85は、図3(B)および図5(B)に示すように、係合片部59,59の上面に載り上げて、係合片部59,59によりこの状態に支持される。この状態では、左側指標部材83及び右側指標部材85は、それぞれの上面83a,85aを進退部材56の受け面57に向かって下がる傾斜面とした姿勢となっており、遮蔽部材97の左部97aおよび右部97bの上端よりも上方に露出して、正面から視認可能となっている。遊技者は、このように指標部材83,85が変位して正面から視認可能となったことをもって、進退部材56が前進状態にあり、第2始動口51bが開放されていると認識することができる。なお、カバー部材93,95は透明の合成樹脂部材であるため、図4(B)に示すように、上方からカバー部材93,95を介して指標部材83,85を視認しても、指標部材83,85がどちらの状態にあるか認識することができる。
なお、ソレノイド64が非作動に戻ると、プランジャー66は圧縮コイルばね67により前方へ付勢されて図3(B)に示す矢印bの方向(前方)に移動し、これに伴って連繋部材76は、左右方向に沿う揺動軸79,79を中心として下部を後方へ引き付けるように図3(B)に示す矢印dの方向(右側面視反時計方向)に揺動する。これにより、進退部材56は、後退して図3(A)に示す後退状態に戻り、受け面57を、図4(A)に示すように第2始動口51bより後方へ格納させて、第2始動口51bを閉塞状態にする。また、進退部材56が後退するのに伴って、係合片部59,59による指標部材83,85の支持が解除されるため、指標部材83,85は、図5(A)に示す初期状態に戻って再び正面から視認不可能となる。遊技者は、このように指標部材83,85が再び正面から視認されなくなったことをもって、進退部材56が後退状態に戻り、第2始動口51bが閉塞されたと認識することができる。
(2)パチンコ遊技機の電気系統
次に、図6に基づいて第1実施形態のパチンコ遊技機1の電気系統について説明する。図6に示すように、第1実施形態のパチンコ遊技機1は、メイン制御基板(遊技制御基板)20、払出制御基板21、サブ制御基板25を備え、サブ制御基板25は、演出制御基板22、画像制御基板23、及び、ランプ制御基板24を備えている。そして、払出制御基板21及び演出制御基板22はメイン制御基板20に接続され、画像制御基板23及びランプ制御基板24は演出制御基板22に接続されている。各制御基板は、CPU、ROM、RAM等を備えている。また、メイン制御基板20は、RAM63内に、第1保留記憶部27a及び第2保留記憶部27bを有する保留記憶部27を備えている。
メイン制御基板20は、大当たりの抽選や遊技状態の移行など主に利益に関わる制御を行うものである。メイン制御基板20には、第1始動口51a内に設けられて第1始動口51aに入賞した遊技球を検出する第1始動口SW(スイッチ)54a、第2始動口51b内に設けられて第2始動口51bに入賞した遊技球を検出する第2始動口SW54b、進退部材56を駆動するソレノイド64、ゲート8内に設けられてゲート8を通過した遊技球を検出するゲートSW81、大入賞口71内に設けられて大入賞口71に入賞した遊技球を検出する大入賞口SW74、開閉部材73を駆動する大入賞口ソレノイド72、各普通入賞口90内にそれぞれ設けられてその普通入賞口90に入賞した遊技球を検出する普通入賞口SW91、第1特別図柄保留ランプ16a、第2特別図柄保留ランプ16b、普通図柄保留ランプ15、第1特別図柄表示器14a、第2特別図柄表示器14b、普通図柄表示器13がそれぞれ接続され、図6の矢印で示すように、各スイッチからはメイン制御基板20に信号が入力され、各ソレノイドやランプ等にはメイン制御基板20から信号が出力される。
また、メイン制御基板20は、払出制御基板21に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板21から信号を受信する。払出制御基板21には、図示しない払出装置を駆動する払出駆動モータ26が接続され、払出制御基板21は、メイン制御基板20から受信したコマンドに従って払出駆動モータ26を動作させ、賞球の払出を行わせる。
さらに、メイン制御基板20は、演出制御基板22に対し各種コマンドを送信し、演出制御基板22は、画像制御基板23との間でコマンドや信号の送受信を行う。画像制御基板23には画像表示器4及びスピーカ18が接続され、画像制御基板23は、演出制御基板22から受信したコマンドに従って、画像表示器4の表示部4aに装飾図柄その他の画像を表示し、スピーカ18から音声を出力する。また、演出制御基板22は、ランプ制御基板24との間でコマンドや信号の送受信を行う。ランプ制御基板24には枠ランプ17及び盤ランプ19が接続され、ランプ制御基板24は、演出制御基板22から受信したコマンドに従って、枠ランプ17や盤ランプ19を点灯・消灯する。
(3)遊技状態等の説明
次に、第1実施形態のパチンコ遊技機1の遊技状態等について説明する。第1実施形態のパチンコ遊技機1は、通常遊技状態、時短遊技状態、確変遊技状態、潜確遊技状態の4つの遊技状態と、大当たり遊技、小当たり遊技とを有している。
時短遊技状態とは、通常遊技状態よりも第2始動口51bへ遊技球が入賞し易い状態をいい、通常遊技状態では、普通図柄抽選の当選確率が約1/10、普通図柄変動時間が4秒、第2始動口51bの開放時間が0.15秒、第2始動口51bの開放回数が1回であるのに対して、時短遊技状態では、普通図柄抽選の当選確率が約9/10、普通図柄変動時間が1.5秒、第2始動口51bの開放時間が1.80秒、第2始動口51bの開放回数が3回となっている。
確変遊技状態とは、通常遊技状態よりも大当たりに当選しやすく、かつ第2始動口51bへ遊技球が入賞し易い状態をいい、通常遊技状態では、大当たり当選確率が約1/300であるのに対して、確変遊技状態では、大当たり当選確率が約1/30となっている。また、確変遊技状態では、時短遊技状態と同様、普通図柄抽選の当選確率が約9/10、普通図柄変動時間が1.5秒、第2始動口51bの開放時間が1.80秒、第2始動口51bの開放回数が3回となっている。
潜確遊技状態とは、通常遊技状態よりも大当たりに当選しやすい状態をいい、潜確遊技状態では、確変遊技状態と同様、大当たり当選確率が約1/30となっている。また、潜確遊技状態では、通常遊技状態と同様、普通図柄抽選の当選確率が約1/10、普通図柄変動時間が4秒、第2始動口51bの開放時間が0.15秒、第2始動口51bの開放回数が1回となっている。
そして、初期状態では(即ち、電源が投入されて最初の遊技が開始されるときは)通常遊技状態であり、大当たりが発生すれば、大入賞口71を所定回数開閉する大当たり遊技を経て、その大当たりの種類に応じた遊技状態に遷移する。大当たりの種類には、ほとんど賞球の獲得が望めない短当たりとして、2R(ラウンド)潜確大当たりがあり、多くの賞球を獲得可能な長当たりとして、15R(ラウンド)確変大当たり、15R(ラウンド)通常大当たりがある。また、これら大当たりの他に小当たりがある。なお、ラウンドとは大入賞口71の開放期間を言う。2R潜確大当たりでは、大入賞口71を極短時間2回開放する大当たり遊技を行った後、潜確遊技状態に遷移し、15R確変大当たりでは、大入賞口71を15回開放する大当たり遊技を行った後、確変遊技状態に遷移し、15R通常大当たりでは、大入賞口71を15回開放する大当たり遊技を行った後、時短遊技状態に遷移する。また、小当たりは、見かけ上2R潜確大当たりと変わらない動作をするもので、大入賞口71を極短時間2回開放する小当たり遊技を行うが、遊技状態は遷移しない。なお、時短遊技状態において途中で大当たりが発生することなく100回の特別図柄変動が行われたときも、通常遊技状態に遷移する。
なお、大当たり及び小当たりの抽選は大当たり乱数を用いて行われ、大当たりに当選した場合に当選した大当たりがいずれの種類の大当たりとなるかの抽選は、大当たり図柄乱数を用いて行われる。大当たり乱数は、図7(a)(b)に示すように、0〜299までの範囲で値をとることとされ、通常遊技状態時又は時短遊技状態時では、大当たりに当選する割合が1/300となるよう大当たりに当選する乱数値が定められるとともに、小当たりに当選する割合が3/300となるよう、小当たりに当選する乱数値が定められている。また、大当たり乱数は、確変遊技状態時又は潜確遊技状態時では、大当たりに当選する割合が10/300となるよう、大当たりに当選する乱数値が定められるとともに、小当たりに当選する割合が3/300となるよう、小当たりに当選する乱数値が定められている。大当たり図柄乱数は、図7(c)(d)に示すように、0〜249までの範囲で値をとることとされ、第1始動口51aへの入賞に対しては、15R通常大当たりに当選する割合が100/250となり、15R確変大当たりに当選する割合が75/250となり、2R潜確大当たりに当選する割合が75/250になるよう各大当たりに当選する乱数値が定められ、第2始動口51bへの入賞に対しては、15R通常大当たりに当選する割合が100/250となり、15R確変大当たりに当選する割合が125/250となり、2R潜確大当たりに当選する割合が25/250になるよう各大当たりに当選する乱数値が定められており、第1始動口51aへ入賞したときよりも長当たりに当選する割合が高くなっている。
(4)パチンコ遊技機の動作
次に、図8〜15に基づいてメイン制御基板20の動作について説明する。なお、後述する各カウンタは、RAMに設けられ、パチンコ遊技機1の電源投入時にゼロクリアされる。
[メイン側タイマ割込処理]メイン制御基板20は、図8に示すメイン側タイマ割込処理を例えば4msecといった短時間毎に繰り返す。まず、メイン制御基板20は、大当たり抽選に用いる大当たり乱数、大当たり図柄の種類を決めるための図柄乱数、変動パターンを決めるための変動パターン乱数、普通図柄抽選に用いる当たり乱数等を更新する乱数更新処理を行う(ステップS101)。
次に、メイン制御基板20は、後述する始動口SW処理(S102)、ゲートSW処理(S103)の他、大入賞口SW処理(S104)及び普通入賞口SW処理(S105)を行う。大入賞口SW処理は、大入賞口SW74がONしていれば、大当たり遊技中又は小当たり遊技中(後述する当たり遊技フラグがON)か否かを判定して、大当たり遊技中又は小当たり遊技中であれば、入賞個数カウンタの値Cに1を加算するとともに、大入賞口カウンタの値に1を加算する処理である。普通入賞口SW処理は、普通入賞口SW91がONしていれば普通入賞口カウンタの値に1を加算する処理である。
続いて、メイン制御基板20は、後述する特別図柄処理(S106)、普通図柄処理(S107)、大入賞口処理(S108)、及び、電チュー処理(S109)を行う。そして、メイン制御基板20は、大入賞口カウンタの値に応じた数の賞球、及び、普通入賞口カウンタの値に応じた数の賞球を払い出すためのコマンドをセットして、それらのカウンタをゼロクリアする賞球処理(S110)を行い、以上の各処理においてセットしたコマンドを払出制御基板21及び演出制御基板22に出力する出力処理(S111)を行う。
[始動口SW処理]図9に示すように、始動口SW処理では、メイン制御基板20は第1始動口SW54aがONしたか否かを判定し(S201)、ONしていなければステップS206に進み、ONしていれば、第1保留記憶部27aに記憶されている大当たり乱数の個数を数える第1始動口保留カウンタの値U1が、上限値の4未満か否かを判定する(S202)。そして、4未満でない場合はステップS206に進み、4未満の場合は、U1に1を加算して(S203)、大当たり乱数を取得して第1保留記憶部27aに格納するとともに、大当たり図柄乱数等を取得して所定記憶域に記憶し(S204)、第1保留数増加コマンドをセットする(S205)。
ステップS206では、メイン制御基板20は第2始動口SW54bがONしたか否かを判定し、ONしていなければ始動口SW処理を終え、ONしていれば、第2保留記憶部27bに記憶されている大当たり乱数の個数を数える第2始動口保留カウンタの値U2が、上限値の4未満か否かを判定する(S207)。そして、4未満でない場合は始動口SW処理を終え、4未満の場合は、U2に1を加算して(S208)、大当たり乱数を取得して第2保留記憶部27bに格納するとともに、大当たり図柄乱数等を取得して所定記憶域に記憶し(S209)、第2保留数増加コマンドをセットして(S210)、始動口SW処理を終える。
[ゲートSW処理]図10に示すように、ゲートSW処理では、メイン制御基板20はゲートSW81がONしたか否かを判定し(S301)、ONしていなければゲートSW処理を終え、ONしていれば、ゲート保留カウンタの値Gが上限値の4未満か否かを判定する(S302)。そして、4未満でない場合はゲートSW処理を終え、4未満であればGに1を加算して(S303)、普通図柄抽選に用いる当たり乱数を取得して所定記憶域に格納し(S304)、ゲートSW処理を終える。
[特別図柄処理]図11に示すように、特別図柄処理では、メイン制御基板20は、当たり遊技中か否かを示す当たり遊技フラグ(即ち、小当たり遊技フラグ、長当たり遊技フラグ、又は、短当たり遊技フラグ)がONか否かを判定し(S401)、ONであれば特別図柄処理を終え、ONでなければ特別図柄の変動中か否かを判定する(S402)。そして、変動中であればステップS411に進み、変動中でなければ、第2始動口保留カウンタの値U2又は第1始動口保留カウンタの値U1が1以上か否かを判定する(S403,S405)。そして、U2又はU1が1以上でなければ特別図柄処理を終え、U2又はU1が1以上であればU2又はU1から1を減算して(S404,S406)、ステップS204又はS209で格納しておいた大当たり乱数を用いて大当たり判定処理を行う(S407)。
大当たり判定処理(S407)では、図12に示すように、メイン制御基板20は、大当たり判定用テーブルを用いてステップS204又はS209で格納した大当たり乱数が大当たりか否かの判定を行い(S501)、大当たりであれば大当たり図柄乱数がどの大当たり図柄を示すものかを判定して、その大当たり図柄をセットし(S502でYES,S503,S504)、小当たりであれば小当たり図柄をセットし(S502でNO,S505でYES,S506)、大当たりでも小当たりでもなければハズレ図柄をセットする(S505でNO,S507)。なお、大当たり図柄によって、大当たりの種類が決まる(図7(c)(d)参照)。
続いて、メイン制御基板20は、図11に示すように、変動パターン選択処理を行う(S408)。変動パターン選択処理では、直前の大当たり判定処理において大当たりと判定していれば、乱数値と変動パターンとの対応を示す変動パターンテーブルとして大当たり用テーブルを参照し、小当たりと判定していれば小当たり用テーブルを参照し、大当たりでも小当たりでもないと判定していればハズレ用テーブルを参照して、ステップS204又はS209で格納しておいた変動パターン乱数がいずれの変動パターンを示すかの判定を行い、変動パターンをセットする。なお、変動パターンには変動時間を示す情報が含まれている。
その後、メイン制御基板20は、第1特別図柄表示器14aまたは第2特別図柄表示器14bにおいて特別図柄の変動を開始し(S409)、変動開始コマンドをセットして(S410)、ステップS411に進む。ステップS411では、特別図柄の変動時間が経過したか否かを判定し、経過していなければ特別図柄処理を終えるが、経過していれば特別図柄の変動を停止して、大当たり判定処理でセットされた図柄で特別図柄を確定表示し(S412)、変動停止コマンドをセットする(S413)。そして、停止中処理(S414)として、各種遊技フラグ(時短遊技フラグ、確変遊技フラグ、潜確遊技フラグ、小当たり遊技フラグ、長当たり遊技フラグ、短当たり遊技フラグ)のON/OFFに関する処理をし、大当たり又は小当たりであれば、オープニングを開始するとともに、オープニングコマンドをセットして、特別図柄処理を終える。
[普通図柄処理]図13に示すように、普通図柄処理では、メイン制御基板20は、補助遊技中か否かを示す補助遊技フラグがONか否かを判定し(S601)、ONであれば普通図柄処理を終え、ONでなければ普通図柄の変動中か否かを判定する(S602)。そして、変動中の場合にはステップS609に進み、変動中でない場合には、ゲート保留カウンタの値Gが1以上か否かを判定し(S603)、Gが1以上でなければ普通図柄処理を終え、Gが1以上であればGから1を減算して(S604)、ステップS304で格納しておいた当たり乱数が当たりか否かを判定して(S605)、停止図柄を選択する(S606)。そして、遊技状態に応じた変動時間(本実施形態では、通常遊技状態または潜確遊技状態であれば4秒、時短遊技状態または確変遊技状態であれば1.5秒)を選択し(S607)、普通図柄の変動を開始して(S608)、ステップS609に進む。
ステップS609では、メイン制御基板20は、変動時間が経過したか否かを判定し、経過していなければ普通図柄処理を終えるが、経過していれば、普通図柄の変動を停止して停止図柄を表示する(S610)。そして、停止図柄が当たりを示す図柄であれば(S611でYES)、補助遊技フラグをONし(S612)、ハズレを示す図柄であれば(S611でNO)、普通図柄処理を終える。
[大入賞口処理]図14に示すように、大入賞口処理では、メイン制御基板20は、まず、当たり遊技フラグがONか否かを判定し(S701)、ONでなければ大入賞口処理を終えるが、ONであれば、オープニング中であるか否かを判定する(S702)。オープニングとは、大当たり遊技の開始から第1ラウンドの開始までの期間をいう。メイン制御基板20は、オープニング中と判定した場合には、オープニング時間が経過したか否かを判定し(S703)、経過していなければ大入賞口処理を終え、経過していれば、大当たりの種類に応じた最大R数(ラウンド数)と作動パターンとを設定する(S704)。そして、入賞個数カウンタの値Cをゼロクリアし(S705)、ラウンドカウンタの値Rに1を加算し(S706)、大入賞口71の作動(開放)を開始する(S707)。
次に、メイン制御基板20は、大入賞口71の作動時間(開放時間。例えば、長当たりであれば29.5秒、短当たりまたは小当たりであれば0.1秒等)が経過したか否かを判定し(S708)、経過していれば大入賞口71を閉口し(S710)、経過していなければ、入賞個数カウンタの値Cが規定個数であるか否かを判定して(S709)、規定個数でなければ大入賞口処理を終え、規定個数であれば大入賞口71を閉口する(S710)。
そして、メイン制御基板20は、ラウンドカウンタの値Rが最大R数であるか否かを判定し(S711)、最大R数でなければ大入賞口処理を終え、最大R数であれば、エンディングを開始して(S712)、エンディングコマンドをセットし(S713)、ラウンドカウンタの値Rをゼロクリアする(S714)。なお、エンディングとは、最終ラウンドの終了から大当たり遊技の終了までの期間をいう。次に、メイン制御基板20は、エンディング時間が経過したか否かを判定し(S717)、経過していなければ大入賞口処理を終え、経過していれば遊技状態設定処理を行って(S718)、当たり遊技フラグをOFFする(S719)。遊技状態設定処理では、メイン制御基板20は、今終了した当たり遊技が、小当たりであれば、遊技状態を遷移させないので遊技状態設定処理を終え、15R通常大当たりであれば、時短遊技状態に遷移させるため時短遊技フラグをONし、15R確変大当たりであれば、確変遊技状態に遷移させるため確変遊技フラグをONし、2R潜確大当たりであれば、潜確遊技状態に遷移させるため潜確遊技フラグをONする。
一方、メイン制御基板20は、ステップS702においてオープニング中でないと判定したときは、大入賞口71がエンディング中であるか否かを判定し(S715)、エンディング中であればステップS717に移行し、エンディング中でなければ大入賞口71の作動中か否かを判定する(S716)。そして、作動中でなければステップS705に移行し、作動中であればステップS708に移行する。
[電チュー処理]図15に示すように、電チュー処理では、メイン制御基板20は、補助遊技フラグがONか否かを判定し(S801)、ONでないと判定すれば電チュー処理を終える。一方、ONと判定すれば、進退部材56が前進状態か、すなわちソレノイド64が作動中か否かを判定し(S802)、作動中でなければ、現在の遊技状態に応じたソレノイド64の作動パターン(本実施形態では、通常遊技状態または潜確遊技状態であれば0.15秒の通電を1回、時短遊技状態または確変遊技状態であれば1.80秒の通電を3回)を選択して(S803)、その作動パターンに則った作動を開始する(S804)。次に、メイン制御基板20は、作動時間(複数回の通電による第2始動口51bの開放を含む作動パターンでは、開放間のインターバル時間を含む。)が経過したか否かを判定し(S805)、経過していなければ電チュー処理を終え、経過していれば補助遊技フラグをOFFして(S806)、電チュー処理を終える。
(5)実施形態の効果
以上説明したように、第1実施形態のパチンコ遊技機1は、第2始動入賞装置44を備え、第2始動入賞装置44は、遊技領域3を流下する遊技球が通過可能な第2始動口51b(開口48)と、第2始動口51bを通って前後に進退する進退部材56と、進退部材56を進退移動させるソレノイド(駆動手段)64とを備え、進退部材56は、遊技球を受ける受け面57を備え、前方へ進出した前進状態において受け面57を第2始動口51bより前方へ突出させて第2始動口51bへの遊技球の流入を可能とし、後方へ退いた後退状態において受け面57を第2始動口51bより後方へ格納させて第2始動口51bへの遊技球の流入を不可能とする。そして、第2始動入賞装置44は、進退部材56の状態を遊技者に示す進退部材56とは別体の指標部材83,85であって進退部材56の動作に連動して変位する指標部材83,85を備え、指標部材83,85は、少なくとも進退部材56が前進状態にあるときは遊技者から視認可能とされている。
したがって、進退部材56が後退状態から進出状態に変化するのに伴って指標部材83,85も変位するため、指標部材83,85の位置を視認することで、進退部材56の状態を把握して第2始動口51bが開放状態にあるのか閉塞状態にあるのか認識することができる。
また、第1実施形態のパチンコ遊技機1では、指標部材83,85は、進退部材56が後退状態にあるときは遊技者から視認不能に遮蔽されている。したがって、進退部材56が前進することで、非露出状態の指標部材83,85が露出状態となるので、指標部材83,85が露出しているかを確認することにより、進退部材56の状態を一目で判断することができる。
また、第1実施形態のパチンコ遊技機1では、指標部材83,85は、進退部材56の左側に配される左側指標部材83と、進退部材56を挟んで左側指標部材83と左右対称となるように進退部材56の右側に配される右側指標部材85とを備えて構成され、左側指標部材83及び右側指標部材85は、進退部材56の前進時、左側指標部材83の上面83a及び右側指標部材85の上面85aが進退部材56の受け面57に向かって下がる傾斜面となるように変位する。
したがって、進退部材56の前進時、進退部材56を挟んで左右両側に配置された指標部材83,85は、その上面83a,85aが進退部材56の受け面57に向かって下がる傾斜面となるように変位するので、進退部材56が前進して第2始動口51bが開放状態にある第2始動入賞装置44を、従来からよく知られているチューリップ型の入賞装置の開放状態に似せて見せることができる。よって、進退部材56が前進して遊技球が第2始動口51bへ流入可能な状態にあるのか、進退部材56が後退して遊技球が第2始動口51bへ流入不可能な状態にあるのかを、遊技者に対して違和感を与えることなく示すことができる。
また、第1実施形態のパチンコ遊技機1では、第2始動入賞装置44は、指標部材83,85を覆うカバー部材93,95を備えている。したがって、指標部材83,85がカバー部材93,95によって覆われているため、変位する指標部材83,85が、第2始動入賞装置44の第2始動口51bに向かって流下してきた遊技球に当たって、その進路に影響を与えることがない。すなわち、本来なら第2始動口51bに入賞するはずの進路で流下してきた遊技球が、第2始動口51bの近傍で、変位する指標部材83,85によってはじかれて第2始動口51bに入賞しなくなることがない。
また、第1実施形態のパチンコ遊技機1では、カバー部材93,95は、指標部材83,85を視認できる程度に透明とされている。したがって、カバー部材93,95を通して指標部材83,85を視認することが可能であるため、指標部材83,85を真正面以外から視認する場合であっても、確実に視認することができ、進退部材56の状態を判断することができる。
また、第1実施形態のパチンコ遊技機1では、指標部材83,85は、有色とされている。したがって、透明のカバー部材93,95を通して指標部材83,85を視認した場合であっても、指標部材83,85は遊技者にはっきりと視認されるため、遊技者は、進退部材56の状態を容易に判断することができる。
2.第2実施形態
以下、第2実施形態のパチンコ遊技機について図16から18に基づいて説明する。なお、第2実施形態のパチンコ遊技機の説明において、第1実施形態のパチンコ遊技機1と同様の構成については、第1実施形態のパチンコ遊技機1と同様の符号を付して説明を省略する。
図16は、第2実施形態のパチンコ遊技機が備える第2始動入賞装置144を示す分解斜視図である。第1実施形態の第2始動入賞装置44では、左側指標部材83および右側指標部材85は、進退部材56の移動に伴って、前後方向に沿う揺動軸84,86を中心として左右方向に揺動する構成としたが、第2実施形態の第2始動入賞装置144では、左側指標部183および右側指標部材185は、進退部材156の移動に伴って上下に移動する構成となっている。左側指標部183および右側指標部材185は、正面視略台形形状とされ、それぞれの上面183a,185aを左右方向における外側から内側に向かって下方へ下がる傾斜面としている。また、左側指標部183および右側指標部材185の後面下部184,186は、前方へ向かって切り欠かれており、上方から下方にかけて前方へ傾斜した傾斜面となっている。
進退部材156の左右の側面には、進退部材156の前進時、指標部材183,185と係合する係合部159,159が左右方向に沿って延設されている。係合部159,159の前面159a,159aは、上方から下方へかけて前方へ突出した傾斜面とされている。この前面159a,159aの傾斜角は、指標部材183,185の後面下部184,186の傾斜角と略一致している。
なお、取着基板146において、開口148(第2始動口51b)の下端部148bは、進退部材156の移動時に係合部159,159が開口148の前方へ突出できるよう、左右方向に広く切り開かれている。また、開口148を挟んで左右に配置されるカバー部材193,195は、開口148側となる内側に内壁部194,196を有しており、指標部材183,185が落下するのを防止している(図18(B)参照)。
図17,18は、第2始動入賞装置144の動作を示す図である。この第2始動入賞装置144は、ソレノイド64の非作動時、図17(A)に示すように進退部材156が後退状態にあり、受け面57を第2始動口51bより後方へ格納させて、第2始動口51bを閉塞状態としている。このとき、指標部材183,185は、図18(A)に示すように、カバー部材193,195の下壁部193b,195b上に載っており、遮蔽部材97の左部97aおよび右部97bの後方に位置しているため、正面から視認不能となっている。
ソレノイド64が作動されると、進退部材156が前進して、受け面57を第2始動口51bより前方へ突出させて、第2始動口51bを開放状態とする。このとき、図17(A)に二点鎖線で示すように、係合部159,159の前面159a,159aが、指標部材183,185の後面下部184,186に当接する(図17では右側指標部材185の動作のみを示す)。そして、図17(B)に示すように、進退部材156が前進していくのにつれて、係合部159,159は、指標部材183,185に対して後方からくさびのように入り込んでいくため、指標部材183,185は、傾斜した後面下部184,186を係合部159,159の前面159a,159aに摺接させて上昇していき、進退部材156が前進を完了したときには、図17(C)に示すように、係合部159,159の上面159b,159bに載り上げた状態となる。すなわち、図18(B)に示すように、指標部材183,185は、進退部材156の前進に伴って上昇し、遮蔽部材97の左部97aおよび右部97bの上端よりも上方に露出する。
このように、指標部材183,185は、進退部材156の動作に連動して、上下に移動するため、遊技者は、指標部材183,185が下方に位置して前方から視認されないときは(図18(A)参照)、第2始動口51bは閉塞状態にあると認識することができ、指標部材183,185が上方に位置して前方から視認されているときは(図18(B)参照)、第2始動口51bは開放状態にあると認識することができる。また、図18(B)に示す状態では、左側指標部183および右側指標部材185の各上面183a,185aは、それぞれ、第2始動口51bに向かって下がる傾斜面となっており、従来からよく知られているチューリップ型の入賞装置の始動口が開放している状態に似ているため、遊技者は、違和感なく第2始動口51bが開放状態であると認識することができる。
3.変更例
以上実施形態のパチンコ遊技機について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、第1実施形態では、カバー部材93,95は、指標部材83,85の上方、下方、および側方を覆う構成としたが、少なくとも指標部材83,85の上方を覆う構成として、第2始動入賞装置44の第2始動口51bに向かって流下してきた遊技球の進路を指標部材83,85が変更しないよう構成すればよい。
また、第1実施形態では、カバー部材93,95は、透明の合成樹脂部材により構成したが、カバー部材93,95を通して指標部材83,85を視認可能であれば、半透明の合成樹脂部材により構成してもよい。
また、第1実施形態では、進退部材56が後退状態にあるときは、指標部材83,85は遮蔽部材97の後方に隠れて前方から視認不能となるよう構成したが、進退部材56の状態に関わらず、指標部材83,85が常に視認されている構成としてもよい。このような構成では、遊技者は、指標部材83,85の変位を視認することで、進退部材がいずれの状態にあるか把握することができる。
また、実施形態では、本願発明に係る入賞装置を、第2始動口51bを有する第2始動入賞装置44として説明したが、大入賞口を有する大入賞装置として利用しても良い。なお、遊技機規則によれば、特別電動役物(大入賞装置の開閉部材)により開き又は拡大した場合の入賞口(大入賞口)の入口の大きさは55mmを超え135mmを超えないことと規定されているため、進退部材56により入賞口を開閉する入賞装置を、大入賞口を開閉するアタッカーとして設ける場合には、図5(A)に示す距離Lが55mmを超え135mmを超えないように形成する。
また、実施形態では、駆動手段としてソレノイド64を用いて構成したが、電動モータとラックアンドピニオンの組み合わせ等、他の駆動手段に変更して構成してもよい。なお、駆動手段として、電動モータとラックアンドピニオンの組み合わせを用いる場合には、実施形態におけるプランジャー66の役割をラックが行うので、ラックに進退部材を取り付けて入賞装置を構成する。