以下、本発明に係る役物装置の一実施の形態であるVアタッカー10およびパチンコ機1について、図面を参照して説明する。まず、Vアタッカー10を備えるパチンコ機1の機械的な構成について、図1、図2を参照して説明する。なお、以下の説明において、パチンコ機1の上下方向、左右方向、および表裏方向については、特に断りがない場合、遊技盤2の盤面の向きを基準とする。すなわち、ホールに設置されたパチンコ機1で遊技を行う遊技者からパチンコ機1を見た向き(図1に図示されるパチンコ機1の向き)が基準となる。以下では便宜上、表裏方向を前後方向として説明を行う。また、パチンコ機1に使用される装置や部品についても、パチンコ機1に組み付けられた場合の向きを基準に、上下方向、左右方向、および前後方向を規定するものとする。
図1に示すように、パチンコ機1の上段側には遊技盤2が設けられている。遊技盤2は略正方形であり、透明なガラス板を保持した前面枠13によって前面を保護されている。遊技盤2の下段側には上皿5および下皿6が設けられている。上皿5は遊技盤2の下部に設けられ、発射機(図示外)に遊技球を供給し、且つ賞品球を受ける。上皿5の上部中央には、遊技者によって操作される操作ボタン9が配設されている。下皿6は上皿5の直下に設けられ、上皿5から溢れたり排出されたりする賞品球を受ける。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。また、前面枠13の上部の左右の角には、スピーカ48がそれぞれ設けられている。
遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。遊技領域4の略中央には、LCD(液晶ディスプレイ)等を用いて構成される表示装置28が設けられている。表示装置28の表示画面には、動画、メッセージ等の様々な映像が表示され、特に、大当り判定の結果を報知するためのデモ図柄が表示される。パチンコ機1は、複数(本実施形態では3つ)のデモ図柄を変動させた後に、大当たり判定の結果を示すデモ図柄の組み合わせを確定表示させる報知演出を実行することで、大当たり判定の結果を遊技者に報知する。
表示装置28の外縁を取り囲むように、各種演出を行う演出装置30が設けられている。演出装置30は、モータ等の動力を用いて装飾体31等を駆動し、さらにLED等の発光体を発光させ、表示装置28およびスピーカ48等と連動しながら様々な演出を行う。
表示装置28の右方には普通図柄始動ゲート12が設けられている。普通図柄始動ゲート12の下方には第二特別図柄始動電動役物15が配設されている。第二特別図柄始動電動役物15の左斜め下方には、通常アタッカー16が設けられている。通常アタッカー16は開閉部材を備え、遊技球は、開閉部材が開放した状態でのみ、通常アタッカー16に入賞できる。表示装置28の下方には、第一特別図柄始動入賞口14が設けられている。第一特別図柄始動入賞口14の直下にはVアタッカー10が設けられている。Vアタッカー10の詳細については後述する。第一特別図柄始動入賞口14、第二特別図柄始動電動役物15、通常アタッカー16、Vアタッカー10に遊技球が入賞すると、それぞれ所定数の遊技球が商品球として払い出される。
本実施形態では、第一特別図柄始動入賞口14に入賞すると、第一特別図柄大当たり判定が行われる。その結果、大当たりであると判定されると、通常アタッカー16およびVアタッカー10が所定の順序で開放される大当たり遊技が実行される。後述するが、Vアタッカー10に入賞した遊技球の流路(後述する右排出路127、左排出路128)は、特定領域および非特定領域として設けられている。パチンコ機1では、大当たり遊技中に遊技球がVアタッカー10内の特定領域を通過することが、大当たり遊技終了後に確率変動状態を生起する条件となっている。なお、遊技盤2の背面側には、遊技の主制御、各種演出等を制御する制御部(図示外)が設けられている。
また、普通図柄始動ゲート12を遊技球が通過すると、普通当たり判定が行われる。その結果、普通当たりであると判定されると、第二特別図柄始動電動役物15が開放される。遊技球が第二特別図柄始動電動役物15に入賞すると、第二特別図柄大当たり判定が行われる。その結果、大当たりであると判定されると、上記同様に大当たり遊技が実行される。
図示しないが、パチンコ機1の背面側には、各種基板を備えた制御部が設けられている。制御部の各基板は、CPU、RAM、ROM等を備えており、パチンコ機1の各種動作を制御する。例えば、主基板は、普通当たり判定、大当たり判定等を行い、パチンコ機1の主制御を司る。中継基板は、主基板で行われた制御結果に基づいて、通常アタッカー16の開閉部材の開閉を行うソレノイドを駆動する。また、中継基板は、後述するVアタッカー10の羽部材105(図2参照)の開閉を行うソレノイド106(図3参照)や案内部材150(図2参照)の進退を行うソレノイド190(図4参照)の駆動も制御する。
次に、図2〜図7を参照し、Vアタッカー10の構造の詳細について説明する。前述したように、通常アタッカー16は、ガイドレール3に囲まれる略円形の遊技領域4において、略中央に配置される表示装置28の下方に配置される(図1参照)。図2〜4に示すように、Vアタッカー10は、前面側に、遊技盤2の盤面に露出して配置される化粧板101を備える。化粧板101の上部には第一特別図柄始動入賞口14が設けられている。第一特別図柄始動入賞口14の下方には、遊技球がVアタッカー10に入賞可能な入賞口110が設けられている。入賞口110には遊技球の通過を検出する入賞口スイッチ111が組み付けられている。入賞口110の左右両側には、左右に開閉して入賞口110を開放・閉鎖する羽部材105が設けられている。遊技球は羽部材105が開放した状態(図2において二点差線で示す)でのみ、入賞口110に入賞できる。羽部材105はソレノイド106(図3参照)の駆動によって電気的に開閉される。
入賞口110の下方には収容室120が設けられている。収容室120は入賞口110に入賞した遊技球を収容し、後述する案内部材150で遊技球の振り分けを行う部屋である。収容室120の上部は開口し、球入口121として形成されている。入賞口110の入賞口スイッチ111を通過した遊技球は、球入口121を通って収容室120内に進入する。収容室120は化粧板101とは独立に形成され、収容室120内を囲う側壁のうち前側の側壁(前側壁122)は、化粧板101の羽部材105よりも下方に形成された開口102から露出する。前側壁122は透明な材料を用いて形成されており、遊技者は前側壁122を介して収容室120内を覗き込むことができる。また、前側壁122は、壁面から収容室120内に突出する突出部133を有する。突出部133は、後述する案内部材150の右案内路155が前側壁122に近接した場合において、右案内路155の上部で干渉しない位置に形成されている。
図4、図5に示すように、収容室120は左右両側の側壁にそれぞれ開口を有する。右側の側壁である右側壁123には右球出口125が開口されている。右球出口125は前後方向において遊技球の直径より若干大きい程度の開口幅を有する。Vアタッカー10の筐体の右側側部には、前後方向の略中央に、Vアタッカー10から遊技球を排出する右排出口129が設けられている。右球出口125と右排出口129との間には、筐体内をS字状に縫う流路に沿って遊技球を右球出口125から右排出口129へ導く右排出路127が形成されている。右排出路127の流路上には遊技球の通過を検出するVスイッチ131が設けられている。本実施形態では、Vスイッチ131を配置した右排出路127を、便宜上、特定領域ともよぶ。言い換えると、特定領域とは、Vアタッカー10に入賞した遊技球が外部に排出されるまで流路において、Vスイッチ131によって遊技球の通過が検出可能な領域である。
左側の側壁である左側壁124には左球出口126が開口されている。左球出口126の開口幅は、前後方向において右球出口125の開口幅より大きく形成されている。上記同様、Vアタッカー10の筐体の左側側部で前後方向の略中央に、Vアタッカー10から遊技球を排出する左排出口130が設けられている。そして、左球出口126と左排出口130との間に、筐体内をS字状に縫う流路に沿って遊技球を左球出口126から左排出口130へ導く左排出路128が形成されている。左排出路128の流路上には、スイッチ等は配置されていない。本実施形態では、スイッチ等が配置されていない左排出路128を、便宜上、非特定領域ともよぶ。言い換えると、非特定領域とは、Vアタッカー10に入賞した遊技球が外部に排出されるまで流路において、Vスイッチ131によって遊技球の通過が検出不可能な領域である。
収容室120には、底壁132上を擦り動きつつ、前後方向に往復移動する案内部材150が設けられている。図6、図7に示すように、案内部材150は、前後方向に延びる板状の基体151を有する。基体151の前方側の端部(前端部152)には、基体151の上方へ向けて突出する右案内路155が形成されている。右案内路155は、壁面が基体151の左端側を上方とし、右端側を下方として傾斜する細幅の斜壁156と、壁面が基体151の前端部152側を向く前壁157と、壁面が基体151の後方側の端部(後端部153)側を向く後壁158を有する。斜壁156の壁面は凹面状に形成されている。
また、基体151の前端部152には、右案内路155よりも後端部153側で右案内路155に近接する位置に、基体151の上方へ向けて突出する左案内路160が形成されている。左案内路160も同様に、壁面が基体151の右端側を上方とし、左端側を下方として傾斜する細幅の斜壁161と、壁面が前端部152側を向く前壁162と、壁面が後端部153側を向く後壁163を有する。斜壁161の壁面も、凹面状に形成されている。なお、本実施形態では右案内路155の後壁158と左案内路160の前壁162は前後方向に離れて配置されているが、壁面同士が互いに密着(言い換えると右案内路155と左案内路160とが密着)していてもよい。
さらに、基体151の前端部152には、左案内路160よりも後端部153側で左案内路160に近接する位置に、基体151の上方へ向けて突出する背壁165が形成されている。背壁165は、前後方向と直交する壁面を有し、当該壁面が左案内路160の後壁163と向き合う。背壁165は、左案内路160の斜壁161よりも上方に突出している。なお、本実施形態では背壁165と左案内路160の後壁163は前後方向に離れて配置されているが、壁面同士が互いに密着(言い換えると左案内路160と背壁165とが密着)していてもよい。
左案内路160の前壁162は、右案内路155の斜壁156の下端側よりも上方に突出する。したがって、遊技球が右案内路155の斜壁156を転がるとき、遊技球は、左案内路160の前壁162と、収容室120の前側壁122の突出部133(図4参照)によって、幅方向への移動(ぶれ)が規制される。同様に、右案内路155の後壁158は、左案内路160の斜壁161の下端側よりも上方に突出する。したがって、遊技球が左案内路160の斜壁161を転がるとき、遊技球は、背壁165と右案内路155の後壁158によって、幅方向への移動(ぶれ)が規制される。
案内部材150の基体151の上面で、前端部152と後端部153との間、且つ背壁165よりも後端部153寄りの位置には、上方へ向けて突出しつつ前後方向に並んで延びる2つの突部166が形成されている。また、図3に示すように、Vアタッカー10の筐体の上蓋107には、左右方向の略中央(図6参照)、且つ前後方向の略中央の位置に、下向きに突出しつつ前後方向に延びる突部108が形成されている。図6に示すように、突部108は、案内部材150の2つの突部166間に位置する。案内部材150は、上蓋107の突部108に基体151の突部166を噛み合わせた状態で前後方向に進退し、これにより、基体151の左右方向への移動(ぶれ)が抑制される。また、2つの突部166に噛み合う突部108は、収容室120内に進入する遊技球が右案内路155の斜壁156または左案内路160の斜壁161に衝突する際の衝撃で、基体151が左右方向へ移動することも防止する。
図5〜図7に示すように、案内部材150の基体151の後端部153は、下方へ向けて折り返した後、右方へ延び、さらに後方へ向けて折り返して延びる段状に形成されている。後端部153は、Vアタッカー10の筐体内で後部側に配置される。後端部153の後端には、上方へ向けて突出する棒状のピン154が設けられている。ピン154には後述する伝達部材170の孔172が係合する。
Vアタッカー10の筐体の左側後部には、案内部材150を進退させる駆動力を生ずるソレノイド190が設けられている。ソレノイド190は、可動鉄心191の先端を後方へ向け、可動鉄心191を前後方向に進退する向きに配置されている。可動鉄心191の軸にはつる巻きばね(図示外)が組み付けられ、先端が後方へ向けて付勢されている。可動鉄心191の先端には、可動鉄心191と共に前後方向に進退するキャップ部材180が取り付けられている。キャップ部材180は、板状で、Vアタッカー10の筐体の底壁に沿って右方に延び、さらに前方へ折れ曲がって延びる腕部181を有する。腕部181の先端には、上方へ向けて突出する棒状のピン182が設けられている。ピン182には後述する伝達部材170の孔173が係合する。ピン182は、ソレノイド190への非通電時には、可動鉄心191に対する付勢によって、伝達部材170の支軸171(後述)よりも後方側に位置する(図6参照)。ソレノイド190への通電時には、可動鉄心191がソレノイド190内に引き込まれることによって、ピン182は伝達部材170の支軸171よりも前方側に位置する(図8参照)。
伝達部材170は、案内部材150とキャップ部材180とに係合し、ソレノイド190の駆動力を案内部材150に伝達する部材である。伝達部材170は板状に延び、略中央に支軸171が挿通される軸穴175を有する。図3に示すように、支軸171は上下方向に延び、両端がVアタッカー10の筐体の上蓋107と下蓋109にそれぞれ保持される。図5〜図7に示すように、伝達部材170は支軸171によって水平方向に回動可能に支えられる。ソレノイド190への非通電時において、キャップ部材180のピン182が支軸171よりも後方側に位置することで、孔172に係合する案内部材150のピン154は、支軸171よりも前方側に位置する。ゆえに案内部材150も進退範囲において前方側に位置する。ソレノイド190への通電時には、キャップ部材180のピン182が支軸171よりも前方側に位置することで、案内部材150のピン154は、支軸171よりも後方側に位置し(図8参照)、案内部材150も進退範囲の後方側に位置する。
伝達部材170は、軸穴175を挟んで両側の端部にそれぞれ長円形の孔172,173を有する。孔172と孔173にはそれぞれ案内部材150の後端部153に設けられたピン154と、キャップ部材180の腕部181に設けられたピン182が係合される。各ピン154,182は伝達部材170の厚みよりも長く形成されている。ピン154と孔172の係合、およびピン182と孔173の係合は、各ピン154,182の延びる方向(上下方向)において、それぞれ遊びを有する。言い換えると、筐体の上蓋107と下蓋109に保持され、上下方向の位置が固定された伝達部材170に対し、案内部材150の後端部153やキャップ部材180の腕部181が上下方向に位置ずれしても、各ピン154,182と各孔172,173との係合は維持される。
このような構造のVアタッカー10は、球入口121を通って収容室120内に進入した遊技球を、パチンコ機1における遊技の状態に応じ、特定領域(右排出路127)または非特定領域(左排出路128)を通過するように、案内部材150で振り分ける。以下、ソレノイド190の駆動(通電)によって案内部材150を進退し、球入口121の直下に右案内路155または左案内路160を配置することによって、遊技球を特定領域または非特定領域に案内する際の動作について、図2〜図9を参照して説明する。
Vアタッカー10は大当たり遊技が実行されると羽部材105が開放され、遊技球が入賞口110に入賞可能となる。そして、入賞した遊技球が案内部材150に案内されて特定領域を通過することを条件に、大当たり遊技終了後に確率変動状態が生起される。制御部(図示外)によって遊技球を特定領域に案内する制御が行われる場合には、Vアタッカー10のソレノイド190への通電が行われ、非特定領域に案内する場合には、ソレノイド190への通電が行われない。
前述したように、ソレノイド190の可動鉄心191は先端側が後方へ向けて付勢されている。図5に示すように、ソレノイド190への通電がなされないとき、可動鉄心191に取り付けられたキャップ部材180のピン182は、可動鉄心191の付勢に伴い、伝達部材170の支軸171よりも後方へ向けて移動する。伝達部材170は、支軸171を中心に上から見た場合の時計回りに回動し、ピン182が係合する孔173に対して支軸171の反対側に位置する孔172に係合する案内部材150のピン154を前方へ向けて押圧する。図4に示すように、案内部材150は前方へ向けて押圧され、前端部152に設けられた右案内路155の前壁157(図7参照)が収容室120の前側壁122に近接し、右案内路155の一部が前側壁122の突出部133の下側に入り込む。そして左案内路160が、球入口121の直下に位置する。
図2、図3に示すように、入賞口110に入賞した遊技球は、入賞口スイッチ111を通過すると、そのまま落下して球入口121を通り、収容室120に進入して、左案内路160の斜壁161(図7参照)に衝突する。斜壁161は左端側を下方として傾斜するので、図4、図5に示すように、遊技球は、斜壁161に案内されて左方へ進み、収容室120の左球出口126へ向かう。このとき、図6に示すように、遊技球は、斜壁161の前方側に位置する右案内路155の後壁158と、後方側に位置する背壁165によって幅方向(前後方向)への移動が阻まれる。よって、図4、図5に示すように、遊技球は斜壁161に沿って転がり、左球出口126に案内される。遊技球は、左球出口126から左排出路128、すなわち非特定領域を通過して、左排出口130からVアタッカー10の外部に排出される。このように、ソレノイド190が駆動していないとき(非通電時)、特に、故障等で非駆動状態となったときには、遊技球が非特定領域に案内されるようにすることができる。
大当たり遊技の進行において、遊技球を特定領域に案内する制御が行われる場合には、図8に示すように、Vアタッカー10のソレノイド190への通電が行われ、可動鉄心191がソレノイド190内に引き込まれる。可動鉄心191に取り付けられたキャップ部材180のピン182は、可動鉄心191とともに、伝達部材170の支軸171よりも前方へ向けて移動する。伝達部材170は、支軸171を中心に上から見た場合の反時計回りに回動し、孔172に係合する案内部材150のピン154を後方へ向けて押圧する。図9に示すように、案内部材150は後方へ向けて押圧され、前端部152の右案内路155が収容室120の前側壁122から離れるとともに、右案内路155が球入口121の直下に位置する。
図2、図3に示すように、入賞口110に入賞し、入賞口スイッチ111を通過した遊技球は、そのまま落下して球入口121を通り、収容室120に進入して、右案内路155の斜壁156(図7参照)に衝突する。斜壁156は右端側を下方として傾斜するので、図8、図9に示すように、遊技球は、斜壁156に案内されて右方へ進み、収容室120の右球出口125へ向かう。このとき、図6に示すように、遊技球は、斜壁161の後方側に位置する左案内路160の前壁162によって、前後方向の後方側への移動が阻まれる。一方、図9に示すように、遊技球は、前後方向の前方側への移動が、前側壁122の突出部133によって阻まれる。よって、図8、図9に示すように、遊技球は斜壁156に沿って転がり、右球出口125に案内される。遊技球は、右球出口125から右排出路127、すなわち特定領域を通り、途中、Vスイッチ131を通過して、右排出口129からVアタッカー10の外部に排出される。ソレノイド190への通電が停止されると、上記のように、可動鉄心191がつる巻きばね(図示外)に付勢され、伝達部材170を介して案内部材150が前方へ向けて押圧される。左案内路160が球入口121の直下に位置し、以降、入賞する遊技球は、左排出路128(非特定領域)に案内される。
ところで、遊技球が入賞し、収容室120内に進入する際に、遊技球は落下して右案内路155の斜壁156または左案内路160の斜壁161に衝突する。案内部材150の基体151は収容室120の底壁132上で擦り動く構成であり、底壁132によって案内部材150は支えられている。よって、落下する遊技球が斜壁156または斜壁161に衝突した際の衝撃に対し、案内部材150は十分に耐えることができる。また、遊技球が斜壁156または斜壁161に衝突することで、案内部材150には、下方への応力だけでなく、左方または右方へ向けて生ずる応力の方向成分による応力がかかる。上記したように、案内部材150の基体151に設けられた突部166が、上蓋107の突部108に噛み合うので、応力によって左方または右方へ向けて移動する突部166が突部108に支えられ、案内部材150の左右方向への移動が防止される。よって、案内部材150は、遊技球の案内の確実性を長期にわたって維持することができる。
また、右案内路155および左案内路160は基体151の前端部152に設けられているので、落下する遊技球の衝突による衝撃で、案内部材150の後端部153には上下方向への応力がかかる。上記したように、伝達部材170と案内部材150との接続部位は、伝達部材170の孔172と案内部材150のピン154の係合によってなされ、上下方向への遊びが設けられている。よって、案内部材150の後端部153にかかる上下方向への応力は、ピン154と孔172との間の遊びによって、伝達部材170に伝達されることがない。さらに伝達部材170の孔173とキャップ部材180のピン182との間にも同様の遊びが設けられているので、伝達部材170からキャップ部材180、さらにはソレノイド190に、案内部材150にかかる応力は伝達されないので、ソレノイド190に負荷がかからない。
また、遊技球が左案内路160の斜壁161上に位置するときにソレノイド190が駆動し、案内部材150が後方へ移動した場合、遊技球は右案内路155の後壁158によって前方への移動が規制されるので、斜壁161上に位置したまま、案内部材150とともに後方へ移動する。ここで、左球出口126は、右球出口125よりも開口幅が大きく形成されている。具体的に、左球出口126は、ソレノイド190の非通電時に左案内路160の斜壁161の下端が収容室120の左側壁124に向き合う位置(図4参照)と、ソレノイド190の通電時に同様に向き合う位置(図9参照)とを含め、両者間の全体にわたって開口する。したがって、前後方向に進退する案内部材150がどの位置にあっても、斜壁161の下端は左球出口126に向き合うため、左案内路160は遊技球を確実に左球出口126に案内することができる。言い換えると、上記のように案内部材150とともに遊技球が後方への移動後も、あるいは移動途中であっても左案内路160に案内された遊技球は、確実に、左球出口126へ向かい、非特定領域を通過することができる。特に、案内部材150の移動時であっても遊技球が挟まれることがないので、球詰まり等を生ずることがなく信頼性が高い。
一方、遊技球が右案内路155の斜壁156上に位置するときにソレノイド190が非通電となり、案内部材150が前方へ移動した場合、遊技球は左案内路160の前壁162によって後方への移動が規制されるので、斜壁156上に位置したまま、案内部材150とともに前方へ移動する。右案内路155は一部が前側壁122の突出部133の下側に入り込むため、遊技球は突出部133と前壁162に挟まれる。ここで、案内部材150の移動において加わる力は可動鉄心191に設けられた、つる巻きばねの付勢力によるものであるので、突出部133と前壁162で遊技球を挟む力は比較的小さい。ゆえに、遊技球は右案内路155に案内されて容易に右球出口125へ向かい、特定領域を通過することができる。
ところで、遊技球が右案内路155の斜壁156上に位置するときにソレノイド190が非通電となったタイミングがより早かった場合、遊技球が、斜壁156の上端寄りの位置で斜壁156を転がり始める前に、突出部133と前壁162に挟まれる場合がある。ここで、図2に示すように、正面から見た場合において、右案内路155と左案内路160は互いに交差し、左案内路160は、右案内路155よりも、基体151からの突出高さが低く形成されている。ゆえにこの場合、遊技球は、右案内路155と左案内路160とで形成する谷部を通過して左案内路160側へ移動し、挟まれること(いわゆる玉噛み)を逃れることができるので、球詰まりを生じにくい。
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは言うまでもない。例えば、案内部材150は前後方向に進退したが、左右方向、あるいは前後左右に対する斜め方向に進退してもよい。この場合に右球出口125と左球出口126は、案内部材150の進退方向に対する側方において、案内部材150を挟んで位置すればよい。また、基体151の前端部152に左案内路160が設けられ、左案内路160より後端部153側で左案内路160に近接または密着して右案内路155が設けられてもよい。
右排出路127、左排出路128をそれぞれ特定領域、非特定領域としたが、逆に、非特定領域、特定領域であってもよい。特定領域、非特定領域は流路に限定するものではなく、案内部材150によって択一的に振り分けることのできる任意の領域としてもよい。例えば、特定領域はVスイッチ131としてもよいし、右排出口129としてもよい。
前側壁122に設けた突出部133は、上方から見て球入口121内には突出しないが、球入口121内に突出させてもよい。このようにすれば、球入口121から収容室120に進入する遊技球が突出部に衝突して落下の勢いを弱めた後、案内部材150の右案内路155または左案内路160上に落下するので、衝突時の衝撃を軽減することができる。この場合、突出部は前側壁122に限らず、右側壁123や左側壁124から突出させてもよい。
なお、本発明においては、パチンコ機1が「遊技機」に相当する。Vアタッカー10が「役物装置」に相当する。左右方向が「第一方向」に相当する。右側壁123および左側壁124が「二つの側壁」に相当する。右球出口125、左球出口126がそれぞれ「第一球出口」、「第二球出口」に相当する。前後方向が「第二方向」に相当する。前端部152、後端部153がそれぞれ「一方の端部」、「他方の端部」に相当する。斜壁156、斜壁161がそれぞれ「第一斜壁」、「第二斜壁」に相当する。前壁157、後壁158、前壁162、後壁163がそれぞれ「第一側壁」、「第二側壁」、「第三側壁」、「第四側壁」に相当する。右案内路155、左案内路160がそれぞれ「第一案内路」、「第二案内路」に相当する。ソレノイド190が「駆動源」に相当する。