以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
以下に、本発明にかかる電子部品実装装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。本実施形態の電子部品実装装置は、リード線(挿入部)を有し、当該リード線が、基板の基板孔(挿入穴、穴)に挿入されることで、基板に実装される電子部品、いわゆる挿入型電子部品、及び入穴(基板孔)に挿入されずに基板上に搭載される搭載型電子部品を実装する電子部品実装装置である。ここで、挿入型電子部品は、リード線が基板に形成された穴に挿入されることで実装されるものである。また、挿入穴(基板孔)に挿入されずに基板上に搭載される電子部品、例えばSOP、QFP等は、搭載型電子部品とする。なお、電子部品実装装置は、挿入型電子部品(リード型電子部品)を実装する機能のみを備えていてもよい。
次に、本実施形態の電子部品実装装置10について説明する。電子部品実装装置10は、基板上に載せることで実装される搭載型電子部品とリードを基板の挿入穴に差し込んで実装する挿入型電子部品(リード型電子部品)との両方を実装することができる装置である。電子部品実装装置10は、1台で搭載型電子部品と挿入型電子部品の両方を実装することも、いずれか一方のみを実装することもできる。つまり電子部品実装装置10は、搭載型電子部品と挿入型電子部品の両方を実装することが可能で、製造する基板や他の電子部品実装装置のレイアウトに応じて、種々の用途で使用することができる。
図1は、電子部品実装装置の概略構成を示す模式図である。図1に示す電子部品実装装置10は、基板8の上に電子部品を搭載する装置である。電子部品実装装置10は、筐体11と、基板搬送部12と、部品供給ユニット14f、14rと、ヘッド15f、15rと、XY移動機構16と、VCSユニット17と、交換ノズル保持機構18と、部品貯留部19と、制御装置20と、操作部40と、表示部42と、を有する。なお、XY移動機構16は、X軸駆動部22f、22rと、Y軸駆動部24と、を備える。ここで、本実施形態の電子部品実装装置10は、図1に示すように、基板搬送部12を中心にしてフロント側とリア側に部品供給ユニット14f、14r、ヘッド15f、15r、X軸駆動部22f、22rを備える。電子部品実装装置10は、部品供給ユニット14f、ヘッド15f、X軸駆動部22fが電子部品実装装置10のフロント側に配置され、部品供給ユニット14r、ヘッド15r、X軸駆動部22rが電子部品実装装置10のリア側に配置される。また、以下では、2つの部品供給ユニット14f、14r、2つのヘッド15f、15r、2つのX軸駆動部22f、22rを特に区別しない場合、部品供給ユニット14、ヘッド15、X軸駆動部22とする。
基板8は、電子部品を搭載する部材であればよく、その構成は特に限定されない。本実施形態の基板8は、板状部材であり、表面に配線パターンが設けられている。基板8に設けられた配線パターンの表面には、リフローによって板状部材の配線パターンと電子部品とを接合する接合部材であるはんだが付着している。また、基板8には、電子部品が挿入されるスルーホール(挿入穴、基板孔)も形成されている。
基板搬送部12は、基板8を図中X軸方向に搬送する搬送機構である。基板搬送部12は、X軸方向に延在するレールと、基板8を支持し、基板8をレールに沿って移動させる搬送機構とを有する。基板搬送部12は、基板8の搭載対象面がヘッド15と対面する向きで、基板8を搬送機構によりレールに沿って移動させることで基板8をX軸方向に搬送する。基板搬送部12は、電子部品実装装置10に供給する機器から供給された基板8を、レール上の所定位置まで搬送する。ヘッド15は、所定位置で、電子部品を基板8の表面に搭載する。基板搬送部12は、前記所定位置まで搬送した基板8上に電子部品が搭載されたら、基板8を、次の工程を行う装置に搬送する。なお、基板搬送部12の搬送機構としては、種々の構成を用いることができる。例えば、基板8の搬送方向に沿って配置されたレールと前記レールに沿って回転するエンドレスベルトとを組合せ、前記エンドレスベルトに基板8を搭載した状態で搬送する。これは、搬送機構を一体としたベルト方式の搬送機構である。
電子部品実装装置10は、フロント側に部品供給ユニット14fが配置され、リア側に部品供給ユニット14rが配置されている。フロント側の部品供給ユニット14fと、リア側の部品供給ユニット14rは、それぞれ基板8上に搭載する電子部品を多数保持し、ヘッド15に供給可能である。つまり、ヘッド15で保持(吸着又は把持)可能な状態で保持位置に供給する電子部品供給装置を備える。本実施形態の部品供給ユニット14f、14rはともに、本体と、本体に連結されたリードとを有するリード型電子部品を供給する。
図2は、部品供給ユニットの一例の概略構成を示す模式図である。部品供給ユニット14は、図2に示すように、支持台(バンク)96に保持されている複数の電子部品供給装置(以下、単に「部品供給装置」ともいう。)90、90aで構成されている。これらの電子部品供給装置90、90aは、搭載する電子部品の種類により、その電子部品を保持する機構や供給機構が異なる。また、部品供給ユニット14は、同一種類の電子部品供給装置90、90aを複数備えていてもよい。また、部品供給ユニット14は、装置本体に対して着脱可能な構成とすることが好ましい。部品供給ユニット14は、その他電子部品供給装置90としてスティックフィーダやトレイフィーダをリア側バンクに設置してもよい。また、支持台96は、部品供給装置90、90aの他の装置(例えば、計測装置やカメラ等)を搭載することができる。
部品供給装置90は、テープに複数のラジアルリード型電子部品のリードを貼り付けて構成される電子部品保持テープを使用してヘッド15にラジアルリード型電子部品を供給する。また、部品供給装置90は、電子部品保持テープを保持し、保持している電子部品保持テープを送り、保持しているラジアルリード型電子部品をヘッド15のノズルにより電子部品が保持できる保持領域(吸着位置、把持位置、保持位置)まで移動するテープフィーダである。さらに、部品供給装置90は、保持領域まで移動させたラジアルリード型電子部品のリードを切断して分離することで、当該テープでリードが固定されたラジアルリード型電子部品を所定位置に保持可能な状態とすることができ、当該ラジアルリード型電子部品をヘッド15のノズルにより保持(吸着、把持)することができる。
なお、複数の部品供給装置90は、それぞれ異なる品種の電子部品を供給しても、別々の電子部品を供給してもよい。また、部品供給装置90は、テープに複数のラジアルリード型電子部品を貼り付けて供給するテープフィーダに限定されず、ボウルフィーダや、アキシャルフィーダ、スティックフィーダ、トレイフィーダ等を用いて種々のリード型電子部品を供給することができる。
電子部品供給装置90aは、テープに基板搭載するチップ型の電子部品を貼り付けて構成される電子部品保持テープを使用してヘッド15に電子部品を供給する。なお、電子部品保持テープは、テープに複数の格納室が形成されており、当該格納室に電子部品が格納されている。電子部品供給装置90aは、電子部品保持テープを保持し、保持している電子部品保持テープを送り、格納室をヘッド15のノズルにより電子部品が吸着できる保持領域まで移動させるテープフィーダである。なお、格納室を保持領域に移動させることで、当該格納室に収容されている電子部品を所定位置に露出した状態とすることができ、当該電子部品をヘッド15のノズルにより吸着、把持することができる。電子部品供給装置90aは、テープフィーダに限定されず、チップ型電子部品を供給する種々のチップ部品フィーダとすることができる。チップ部品フィーダとしては、例えば、スティックフィーダ、バルクフィーダを用いることができる。
ヘッド15は、部品供給ユニット14fに保持された電子部品又は部品供給ユニット14rに保持された電子部品をノズルで保持(吸着又は把持)し、保持した電子部品を基板搬送部12によって所定位置に移動された基板8上に実装する機構である。また、ヘッド15は、部品供給ユニット14rが電子部品供給装置90aを備えている場合、電子部品供給装置90aに保持されたチップ型電子部品(搭載型電子部品)を基板8上に搭載(実装)する機構である。なお、ヘッド15の構成については、後述する。なお、チップ型電子部品(搭載型電子部品)とは、基板に形成された挿入穴(スルーホール)に挿入するリードを備えないリードなし電子部品である。搭載型電子部品としては、上述したようにSOP、QFP等が例示される。チップ型電子部品は、リードを挿入穴に挿入せずに、基板に実装される。
XY移動機構(ヘッド移動機構とも称する)16は、ヘッド15f、15rを図1中X軸方向及びY軸方向、つまり、基板8の表面と平行な面上で移動させる移動機構である。XY移動機構16は、X軸駆動部22f、22rとY軸駆動部24とを有する。X軸駆動部22fは、ヘッド15fと連結しており、ヘッド15fをX軸方向に移動させる。X軸駆動部22rは、ヘッド15rと連結しており、ヘッド15rをX軸方向に移動させる。Y軸駆動部24は、X軸駆動部22を介してヘッド15と連結しており、X軸駆動部22fをY軸方向に移動させることで、ヘッド15fをY軸方向に移動させる。また、Y軸駆動部24は、X軸駆動部22rをY軸方向に移動させることで、ヘッド15rをY軸方向に移動させる。XY移動機構16は、ヘッド15fをXY軸方向に移動させることで、ヘッド15fを基板8と対面する位置、または、部品供給ユニット14fと対面する位置に移動させることができる。
XY移動機構16は、ヘッド15rをXY軸方向に移動させることで、ヘッド15rを基板8と対面する位置、または、部品供給ユニット14rと対面する位置に移動させることができる。
また、XY移動機構16は、ヘッド15を移動させることで、ヘッド15と基板8との相対位置を調整する。これにより、ヘッド15が保持した電子部品を基板8の表面の任意の位置に移動させることができ、電子部品を基板8の表面の任意の位置に搭載することが可能となる。つまり、XY移動機構16は、ヘッド15f、15rを水平面(XY平面)上で移動させて、部品供給ユニット14f、14rの電子部品供給装置90、90aにある電子部品を基板8の所定位置(搭載位置、実装位置)に移送する移送手段となる。
なお、X軸駆動部22としては、ヘッド15を所定の方向に移動させる種々の機構を用いることができる。Y軸駆動部24としては、X軸駆動部22を所定の方向に移動させる種々の機構を用いることができる。対象物を所定の方向に移動させる機構としては、例えば、リニアモータ、ラックアンドピニオン、ボールねじを用いた搬送機構、ベルトを利用した搬送機構等を用いることができる。
VCSユニット17と、交換ノズル保持機構18と、部品貯留部19とは、XY平面において、ヘッド15の可動領域と重なる位置で、かつ、Z軸方向における位置がヘッド15よりも鉛直方向下側となる位置に配置されている。本実施形態では、VCSユニット17と、交換ノズル保持機構18と、部品貯留部19とは、基板搬送部12と部品供給ユニット14rとの間に、隣接して配置される。
VCSユニット17は、画像認識装置であり、ヘッド15のノズル近傍を撮影するカメラや、撮影領域を照明する照明ユニットを有する。VCSユニット17は、ヘッド15のノズルで吸着された電子部品の形状や、ノズルによる電子部品の保持状態を認識する。より具体的には、VCSユニット17は、対面する位置にヘッド15が移動されると、ヘッド15のノズルを鉛直方向下側から撮影し、撮影した画像を解析することで、ノズルで保持された電子部品の形状や、ノズルによる電子部品の保持状態を認識する。VCSユニット17は、ノズルよりも基板8側に配置され、基板8側からノズルに保持された電子部品を撮影することで、電子部品の基板8と対面する面を、撮影することができる。VCSユニット17は、取得した情報を制御装置20に送る。
交換ノズル保持機構18は、複数種類のノズルを保持する機構である。交換ノズル保持機構18は、複数種類のノズルをヘッド15が着脱交換可能な状態で保持する。ここで、本実施形態の交換ノズル保持機構18は、電子部品を吸引することで保持する吸引ノズルと、電子部品を把持することで保持する把持ノズルと、を保持している。ヘッド15は、交換ノズル保持機構18で装着するノズルを変更し、装着されたノズルに対して空気圧を供給して駆動することで、保持する電子部品を適切な条件(吸引又は把持)で保持することができる。
部品貯留部19は、ヘッド15がノズルで保持し、基板8に実装しない電子部品を貯留する箱である。つまり、電子部品実装装置10では、基板8に実装しない電子部品を廃棄する廃棄ボックスとなる。電子部品実装装置10は、ヘッド15が保持している電子部品の中に基板8に実装しない電子部品がある場合、ヘッド15を部品貯留部19と対面する位置に移動させ、保持している電子部品を解放することで、電子部品を部品貯留部19に投入する。
制御装置20は、電子部品実装装置10の各部を制御する。制御装置20は、各種制御部の集合体である。操作部40は、作業者が操作を入力する入力デバイスである。操作部40としては、キーボード、マウスと、タッチパネル等が例示される。操作部40は検出した各種入力を制御装置20に送る。表示部42は、作業者に各種情報を表示する画面である。表示部42としては、タッチパネル、ビジョンモニタ等がある。表示部42は、制御装置20から入力される画像信号に基づいて各種画像を表示させる。
なお、本実施形態の電子部品実装装置10は、基板搬送部12を平行に2つ配置することも好ましい。電子部品実装装置10は、2つの基板搬送部12で2つの基板8を交互に電子部品の搭載位置に移動させ、前記2つのヘッド15で交互に部品搭載すれば、効率よく基板8に電子部品を搭載することができる。
次に、図3及び図4を用いて、ヘッド15の構成について説明する。図3は、電子部品実装装置のヘッド15の概略構成を示す模式図である。図4は、電子部品実装装置のヘッド15の概略構成を示す模式図である。なお、図3には、電子部品実装装置10を制御する制御装置20の各種制御部と部品供給ユニット14rの1つの部品供給装置90もあわせて示す。
ヘッド15は、図3及び図4に示すように、ヘッド本体30と、撮像装置36と高さセンサ37と、レーザ認識装置38と、を有する。また、電子部品実装装置10は、図3に示すように、制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64と、画像処理部66と、を有する。制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64と、画像処理部66と、は、上述した制御装置20の一部である。また、電子部品実装装置10は、電源と接続されており電源から供給される電力を制御部60、ヘッド制御部62、部品供給制御部64、画像処理部66、及び各種回路を用いて、各部に供給する。制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64と、画像処理部66と、については後述する。
電子部品供給装置90は、電子部品保持テープ(ラジアル部品テープ)にリードが保持された電子部品80の本体が上方に露出している。なお、電子部品80としては、アルミ電解コンデンサが例示される。なお、電子部品80として、アルミ電解コンデンサの他にも、リードを有する各種電子部品を用いることができる。電子部品供給装置90は、電子部品保持テープを引き出し、移動させることで、電子部品保持テープに保持された電子部品80を保持領域(吸着領域、把持領域)に移動させる。本実施形態では、部品供給装置90のY軸方向の先端近傍が、電子部品保持テープに保持された電子部品80をヘッド15のノズルが保持する保持領域となる。電子部品供給装置90の構成については後述する。また、電子部品供給装置90aの場合も同様に、所定の位置が、ヘッド15のノズルが電子部品保持テープに保持された電子部品80を保持する保持領域となる。
ヘッド本体30は、各部を支持するヘッド支持体31と、複数のノズル32と、ノズル駆動部34と、を有する。本実施形態のヘッド本体30には、図4に示すように、6本のノズル32が一列に配置されている。6本のノズル32は、X軸に平行な方向に並んでいる。なお、図4に示すノズル32は、いずれも電子部品80を吸着して保持する吸着ノズルが配置されている。
ヘッド支持体31は、X軸駆動部22と連結している支持部材であり、ノズル32及びノズル駆動部34を支持する。なお、ヘッド支持体31は、レーザ認識装置38も支持している。
ノズル32は、電子部品80を吸着し、保持する吸着機構である。ノズル32は、先端に開口32aを有する。開口32aは、内部の空洞及びノズル支持部33の空洞を介してノズル駆動部34に連結されている。ノズル32は、この開口32aから空気を吸引することで、先端に電子部品80を吸着し、保持する。ノズル32は、ノズル支持部33に対して着脱可能であり、ノズル支持部33に装着されていない場合、交換ノズル保持機構18に保管(格納)される。また、ノズル32は、開口32aの形状や、大きさが種々のものがある。また、本実施形態では、電子部品80を吸着するための開口32aを備える吸着型のノズルを示したが、空気圧により稼動するアームを用い、電子部品80を挟み込むことで保持する把持型のノズルも用いることができる。
ノズル支持部33は、鉛直方向下側の端部(先端)でノズル32を保持する機構であり、例えば、ノズル駆動部34にとってヘッド支持体31に対して移動されるシャフトと、ノズル32と連結するソケットと、を有する。シャフトは、棒状の部材であり、Z軸方向に延在して配置されている。シャフトは、鉛直方向下側の端部に配置されたソケットを支持する。シャフトは、ソケットに連結する部分がZ軸方向に移動可能な状態及びθ方向に回転可能な状態でヘッド支持体31に対して支持されている。ここで、Z軸は、XY平面に対して直交する軸であり、基板8の表面に対して直交する方向となる。θ方向とは、すなわち、ノズル駆動部34がノズル32を移動させる方向と平行な軸であるZ軸を中心とした円の円周方向と平行な方向である。θ方向は、ノズル32の回動方向となる。シャフトは、ソケットに連結する部分がノズル駆動部34によってZ軸方向及びθ方向に移動、回転される。
ノズル駆動部34は、ノズル支持部33をZ軸方向に移動させることでノズル32をZ軸方向に移動させ、ノズル32の開口32aで電子部品80を吸着させる。また、ノズル駆動部34は、電子部品80の実装時等にノズル支持部33をθ方向に回転させることでノズル32をθ方向に回転させる。
ノズル駆動部34は、ノズル32をZ軸方向に移動させる機構として、Z軸モータ34a、具体的には、Z軸方向が駆動方向となる直動リニアモータを有する機構がある。ノズル駆動部34は、Z軸モータ34aでノズル支持部33とともにノズル32をZ軸方向に移動させることで、ノズル32の先端部の開口32aのシャフトをZ軸方向に移動させる。また、ノズル駆動部34は、ノズル32をθ方向に回転させる機構として、例えばモータとノズル支持部33のシャフトに連結された伝達要素とで構成された機構がある。ノズル駆動部34は、モータから出力された駆動力を伝達要素でノズル支持部33のシャフトに伝達し、シャフトをθ方向に回転させることで、ノズル32の先端部もθ方向に回転させる。
ノズル駆動部34は、ノズル32の開口32aで電子部品80を吸着させる機構、つまり吸引機構としては、例えば、ノズル32の開口32aと連結された空気管と、当該空気管と接続されたポンプと、空気管の管路の開閉を切り換える電磁弁と、を有する機構がある。ノズル駆動部34は、ポンプで空気管の空気を吸引し、電磁弁の開閉を切り換えることで開口32aから空気を吸引するか否かを切り換える。ノズル駆動部34は、電磁弁を開き開口32aから空気を吸引することで開口32aに電子部品80を吸着(保持)させ、電磁弁を閉じ開口32aから空気を吸引しないことで開口32aに吸着していた電子部品80を解放する、つまり開口32aで電子部品80を吸着しない状態(保持しない状態)とする。
また、本実施形態のヘッド15は、電子部品80の本体を保持するときに本体上面がノズル(吸着ノズル)32で吸着できない形状である場合には、後述する把持ノズルを用いる。把持ノズルは、吸着ノズルと同様に空気を吸引解放することで固定片に対して可動片が開閉することで電子部品80の本体を上方から把持解放することができる。また、ヘッド15は、ノズル駆動部34でノズル32を移動させ、交換動作を実行することで、ノズル駆動部34が駆動させるノズルを換えることができる。
図4に示す、撮像装置36は、ヘッド本体30のヘッド支持体31に固定されており、ヘッド15と対面する領域、例えば、基板8や電子部品80が搭載された基板8等を撮影する。撮像装置36は、カメラと、照明装置と、を有し、照明装置で視野を照明しつつ、カメラで画像を取得する。これにより、ヘッド本体30に対面する位置の画像、例えば、基板8や、部品供給ユニット14の各種画像を撮影することができる。例えば、撮像装置36は、基板8の表面に形成された基準マークとしてのBOCマーク(以下単にBOCともいう。)やスルーホール(挿入穴)の画像を撮影する。ここで、BOCマーク以外の基準マークを用いる場合、当該基準マークの画像を撮影する。撮像装置36は、1つのヘッド15に対して1つ設けられている。また、撮像装置36は、カメラがZ軸方向に平行に配置されており、Z軸方向に平行な方向から撮影する。
高さセンサ37は、ヘッド本体30のヘッド支持体31に固定されており、ヘッド15と対面する領域、例えば、基板8や電子部品80が搭載された基板8との距離を計測する。高さセンサ37としては、レーザ光を照射する発光素子と、対面する位置で反射して戻ってくるレーザ光を受光する受光素子とを有し、レーザ光を発光してから受光するまでの時間で対面する部分との距離を計測するレーザセンサを用いることができる。また、高さセンサ37は、測定時の自身の位置及び基板の位置を用いて、対面する部分との距離を処理することで、対面する部分、具体的には電子部品80の高さを検出する。なお、電子部品80との距離の測定結果に基づいて電子部品80の高さを検出する処理は制御部60で行ってもよい。
レーザ認識装置38は、光源38aと、受光素子38bと、を有する。レーザ認識装置38は、ブラケット50に内蔵されている。ブラケット50は、図3に示すように、ヘッド支持体31の下側、基板8及び部品供給装置90側に連結されている。レーザ認識装置38は、ヘッド本体30のノズル32で吸着した電子部品80に対して、レーザ光を照射することで、電子部品80の状態を検出する装置である。ここで、電子部品80の状態とは、電子部品80の形状、ノズル32で電子部品80を正しい姿勢で吸着しているか等である。光源38aは、レーザ光を出力する発光素子である。受光素子38bは、Z軸方向における位置、つまり高さが同じ位置であり、光源38aに対向する位置に配置されている。
次に、電子部品実装装置10の装置構成の制御機能について説明する。電子部品実装装置10は、図3に示すように、制御装置20として、制御部60と、記憶部61と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64と、画像処理部66と、を有する。各種制御部は、それぞれ、CPU、ROMやRAM等の演算処理機能と記憶機能とを備える部材で構成される。また、本実施形態では、説明の都合で複数の制御部としたが、1つの制御部としてもよい。また、電子部品実装装置10の制御機能を1つの制御部とした場合、1つの演算装置で実現しても複数の演算装置で実現してもよい。
制御部60は、電子部品実装装置10の各部と接続されており、入力された操作信号や、電子部品実装装置10の各部で検出された情報に基づいて、記憶されているプログラムを実行し、各部の動作を制御する。制御部60は、例えば、基板8の搬送動作、XY移動機構16によるヘッド15の駆動動作、レーザ認識装置38による形状の検出動作等を制御する。また、制御部60は、上述したようにヘッド制御部62に各種指示を送り、ヘッド制御部62による制御動作も制御する。制御部60は、部品供給制御部64による制御動作も制御する。
記憶部61は、制御部60と接続されており、ROMやRAM等の記憶機能を備えている。なお、記憶部61は、制御部60と一体で設けてもよいし、別体で設けてもよい。記憶部61は、制御部60が各部から取得したデータや、制御部60で演算して算出したデータを記憶する。記憶部61は、例えば、スルーホール座標設計値と、基準マーク座標設計値と、電子部品搭載座標設計値と、を含む設計図のデータや、各種電子部品の形状、吸着条件、吸着処理の補正条件、生産プログラム等を記憶する。また、記憶部61は、ラジアルリード型電子部品等、リードを有する挿入型電子部品のリードの形状を検出する際の条件である作成条件を挿入型電子部品の種類に対応付けて記憶する。さらに記憶部61は、作成条件を決定する際の動作(パラメータ取得処理)を制御するためのプログラムも記憶する。なお、記憶部61は、制御部60の制御により、不要となったデータは削除することもできる。
ヘッド制御部62は、ノズル駆動部34、ヘッド支持体31に配置された各種センサ及び制御部60に接続されており、ノズル駆動部34を制御し、ノズル32の動作を制御する。ヘッド制御部62は、制御部60から供給される操作指示及び各種センサ(例えば、距離センサ)の検出結果に基づいて、ノズル32の電子部品80の吸着(保持)/解放動作、各ノズル32の回動動作、Z軸方向の移動動作を制御する。ヘッド制御部62の制御については、後述する。
部品供給制御部64は、部品供給ユニット14f、14rによる電子部品80の供給動作を制御する。部品供給制御部64は、電子部品供給装置90、90a毎に設けても、1つですべての電子部品供給装置90、90aを制御してもよい。例えば、部品供給制御部64は、電子部品供給装置90による電子部品保持テープの引き出し動作(移動動作)、リードの切断動作及びラジアルリード型電子部品の保持動作を制御する。また、部品供給制御部64は、部品供給ユニット14が電子部品供給装置90aを備えている場合、電子部品供給装置90aによる電子部品保持テープの引き出し動作(移動動作)等を制御する。部品供給制御部64は、制御部60による指示に基づいて各種動作を実行する。部品供給制御部64は、電子部品保持テープ又は電子部品保持テープの引き出し動作を制御することで、電子部品保持テープ又は電子部品保持テープの移動を制御する。
画像処理部66は、VCSユニット17での撮影動作を制御し、取得した画像を処理する。画像処理部66は、画像処理して得た情報や、画像の情報を制御部60に送る。画像処理部66は、挿入型電子部品の画像を取得する場合、挿入型電子部品との距離が異なる複数の位置で撮影した画像を合成する。つまり、画像処理部66は、挿入型電子部品のリードが形成されている側の面の画像を全焦点認識処理で取得し、リードの形状の情報を取得する。また、画像処理部66は、VCSユニット17で取得した画像に種々の画像処理を行う。画像処理としては、1次(微分)フィルタを用いたエッジ強調処理、2次(微分)フィルタを用いた平滑化処理、二値化処理等である。制御装置60による処理については後述する。
ここで、上記実施形態では、ヘッド15に装着するノズルに吸着ノズルを用いる場合として説明したがこれに限定されない。ヘッド15に装着するノズルとしては、電子部品を把持する把持ノズルも用いることができる。電子部品実装装置10は、保持する電子部品80の種類に応じて、当該電子部品80を保持するノズルの種類を選択することで、電子部品80を適切に保持することができる。具体的には、保持する電子部品80に応じて、吸着ノズルを用いるか把持ノズルを用いるかを選択し、さらにそれぞれの種類のノズルの中でもどのノズルを用いるかを切り換えることで、1台の電子部品実装装置でより多くの種類の電子部品80を実装することができる。
次に、電子部品実装装置の各部の動作について説明する。なお、下記で説明する電子部品の各部の動作は、いずれも制御装置20に基づいて各部の動作を制御することで実行することができる。
図5は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図5を用いて、電子部品実装装置10の全体の処理動作の概略を説明する。なお、図5に示す処理は制御装置20が各部を制御することで実行される。電子部品実装装置10は、ステップS52として、生産プログラムを読み込む。生産プログラムは、専用の生産プログラム作成装置で作成されたり、入力された各種データに基づいて制御装置20によって作成されたりする。
電子部品実装装置10は、ステップS52で生産プログラムを読み込んだら、ステップS54として、装置の状態を検出する。具体的には、部品供給ユニット14f、14rの構成、充填されている電子部品80の種類、準備されているノズル32の種類等を検出する。電子部品実装装置10は、ステップS54で装置の状態を検出し、準備が完了したら、ステップS56として、基板8を搬入する。電子部品実装装置10は、ステップS56で基板を搬入し、電子部品を実装する位置に基板を配置したら、ステップS58として電子部品を基板に実装する。電子部品実装装置10は、ステップS58で電子部品の実装が完了したら、ステップS60として基板を搬出する。電子部品実装装置10は、ステップS60で基板を搬出したら、ステップS62として生産終了かを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS62で生産終了ではない(No)と判定した場合、ステップS56に進み、ステップS56からステップS62の処理を実行する。つまり、生産プログラムに基づいて、基板に電子部品を実装する処理を実行する。電子部品実装装置10は、ステップS62で生産終了である(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、以上のようにして、生産プログラムを読み込み、各種設定を行った後、基板に電子部品を実装することで、電子部品が実装された基板を製造することができる。また、電子部品実装装置10は、電子部品として、本体と当該本体に接続されたリードとを有するリード型電子部品を基板に実装、具体的には、リードを基板に形成された穴(挿入穴)に挿入することで当該電子部品を基板に実装することができる。
図6は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図6に示す処理動作は、基板を搬入してから、基板への電子部品の搭載が完了するまでの動作である。また、図6に示す処理動作は、制御部60が各部の動作を制御することで実行される。
制御部60は、ステップS102として、基板8を搬入する。具体的には、制御部60は、電子部品を搭載する対象の基板を基板搬送部12で所定位置まで搬送する。制御部60は、ステップS102で基板を搬入したら、ステップS104として保持移動を行う。ここで、保持移動(吸着移動)とは、ノズル32が部品供給ユニット14の保持領域にある電子部品80と対面する位置までヘッド本体30を移動させる処理動作である。
制御部60は、ステップS104で保持移動を行ったら、ステップS106として、ノズル32を下降させる。つまり、制御部60は、電子部品80を保持(吸着、把持)できる位置までノズル32を下方向に移動させる。制御部60は、ステップS106でノズル32を下降させたら、ステップS108として、ノズル32で電子部品を保持し、ステップS110として、ノズル32を上昇させる。制御部60は、ステップS110でノズルを所定位置まで上昇させたら、ステップS112として、検査移動を行う。具体的には、電子部品80の形状を検出する位置まで電子部品80を移動させる。具体的には、VCSユニット17と対面する位置まで移動する。電子部品80の種類によってはノズル32の位置を移動させ、電子部品をレーザ認識装置38の計測位置まで移動させる場合もある。制御部60は、電子部品80の検査を行う位置まで移動させた場合、ステップS114として、ノズル32で吸着している電子部品80の形状を検出する。ステップS114の処理については後述する。なお、制御部60は、上述したようにステップS114で電子部品の形状を検出し、保持した電子部品が搭載不可であると判定した場合、電子部品を廃棄し、再び電子部品を吸着する。
制御部60は、ステップS114で電子部品の形状を検出したら、ステップS116として、搭載移動、つまりノズル32で吸着している電子部品を基板8の搭載位置(実装位置)に対向する位置まで移動させる処理動作を行い、ステップS118として、ノズル32を下降させ、ステップS120として部品搭載(部品実装)、つまりノズル32から電子部品80を開放する処理動作を行い、ステップS122として、ノズル32を上昇させる。つまり、制御部60は、ステップS112からステップS120の処理動作で、上述した実装処理を実行する。
制御部60は、ステップS122でノズル32を上昇させた場合、ステップS124として全部品の搭載が完了したか、つまり基板8に搭載する予定の電子部品の実装処理が完了したかを判定する。制御部60は、ステップS124で全部品の搭載が完了していない(No)、つまり搭載する予定の電子部品が残っていると判定した場合、ステップS104に進み、次の電子部品を基板8に搭載する処理動作を実行する。このように制御部60は、基板8に全部品の搭載が完了するまで、上記処理動作を繰り返す。制御部60は、ステップS124で全部品の搭載が完了した(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
次に、電子部品として挿入型電子部品を基板に実装、つまりリード線を基板の穴に挿入して実装する場合に実行する、電子部品の認識処理及び実装処理について説明する。つまり、上述した図6の処理のステップS112、S114について詳細に説明する。
図7Aから図7Dは、それぞれ挿入型電子部品の一例を示す斜視図である。本実施形態の電子部品実装装置10は、種々の挿入型電子部品を基板に実装することができる。図7Aに示す挿入型電子部品80Aは、本体82aに複数本のリード線84aが接続されている。挿入型電子部品80Aは、複数本のリード線84aが、2列で形成され、一方の列が5本、他方の列が4本配置されている。リード線84aは、それぞれの列で等間隔に配置されている。図7Bに示す挿入型電子部品80Bは、本体82bに複数本のリード線84bが接続されている。挿入型電子部品80Bは、複数本のリード線84bが、2列で形成され、一方の列が5本、他方の列が4本配置されている。リード線84bは、5本の列のリード線84bが等間隔で配置されている。4本のリード線84bは、5本のリード線84bと同じ間隔で配置され、中央の1本が抜けている状態で配置されている。図7Cに示す挿入型電子部品80Cは、本体82cに複数本のリード線84c、85が接続されている。挿入型電子部品80Cは、複数本のリード線84c、85が配置されている。リード線84cは、直線の棒状の形状である。リード線85は、屈曲した形状である。挿入型電子部品80Cは、基板じぇの挿入時に屈曲したリード線85が基板の穴に引っかかるため抜けにくくなる。図7Dに示す挿入型電子部品80Dは、本体82dに複数本のリード線84d、86が接続されている。挿入型電子部品80Dは、複数本のリード線84d、86が配置されている。リード線84dは、直線の棒状の形状である。リード線86は、屈曲した形状である。挿入型電子部品80Dは、基板への挿入時に屈曲したリード線86が基板の穴に引っかかるため抜けにくくなる。
電子部品実装装置10は、図7Aから図7Dに示す挿入型電子部品80A、80B、80C、80Dのように、リード線の配置間隔が不均一であったり、複数種類のリード線が配置されていたりする挿入型電子部品も基板に実装する。実装装置10は、種々の挿入型電子部品のリードの形状を検出し、検出結果に基づいて、実装を行う。
次に、図8から図12を用いて処理動作について説明する。図8は、電子部品実装装置の動作の例を示すフローチャートである。図8は、挿入型電子部品の形状、具体的にはリード線の測定時の挿入型電子部品の動き、具体的には、挿入型電子部品を保持するノズル及びヘッドの動作の一例を示している。図8に示す処理は、制御部60によって各部、特にヘッド制御部62で動作を制御することで実現できる。また、制御部60は、ノズルに保持している挿入型電子部品の種類に基づいて記憶部61に記憶されている作成条件をよいだし、作成条件に基づいて処理を行う。
制御部60は、挿入型電子部品をVCSユニット17上に移動させる(ステップS150)。具体的には、制御部60は、XY移動機構16でヘッド15をXY軸方向に移動させ、ノズルで保持している挿入型電子部品をVCSユニット17上に移動させる。なお、この処理は、上述した図5の処理のステップS112と同様の処理である。
制御部60は、挿入型電子部品をVCSユニット17と対面する位置に移動させたらZスタートポジションに移動させる(ステップS152)。Zスタートポジションは、挿入型電子部品の計測(合成画像の作成)を開始するZ軸方向の位置である。Zスタートポジションは、作成条件の1つとして含んでもよいし、同じ位置としてもよい。つまり、ノズル駆動部34でノズル32のZ軸方向の位置を調整することで、挿入型電子部品のZ軸方向の位置を調整する。
次に、制御部60は、画像処理部66を介して、VCSユニット17に撮像コマンドを発行する(ステップS154)。撮像コマンドは、VCSユニット17で画像を取得する動作を実行する指示を含む。制御部60は、撮像コマンドを発行したら、VCSユニット17から応答レスポンス、つまり撮影を実行したことを示す情報があったかを判定する(ステップS156)。制御部60は、応答レスポンスなし(ステップS156でNo)と判定した場合、ステップS156に戻る。つまり制御部60は、応答レスポンスを検出するまで、ステップS156の処理を繰り返す。
制御部60は、応答レスポンスあり(ステップS156でYes)と判定した場合、挿入型電子部品をZ軸方向に下降させる(ステップS158)。ここで、Z軸方向の移動距離は作成条件に設定されている距離である。つまり、制御部60は、ノズル駆動部34でノズル32のZ軸方向の位置を調整することで、挿入型電子部品をVCSユニット17に所定距離近づける。
制御部60は、挿入型電子部品をZ軸方向に下降させたら、画像処理部66を介して、VCSユニット17に撮像コマンドを発行する(ステップS160)。撮像コマンドは、VCSユニット17で画像を取得する動作を実行する指示を含む。制御部60は、撮像コマンドを発行したら、VCSユニット17から応答レスポンス、つまり撮影を実行したことを示す情報があったかを判定する(ステップS162)。制御部60は、応答レスポンスなし(ステップS162でNo)と判定した場合、ステップS162に戻る。
制御部60は、応答レスポンスあり(ステップS162でYes)と判定した場合、最後の認識か、つまり必要な枚数の画像を取得したかを判定する(ステップS164)。
制御部60は、最後の認識ではない(ステップS164でNo)と判定した場合、ステップS158に戻り、ステップS158からステップS164の処理を再び行う。制御部60は、最後の認識である(ステップS164でYes)と判定した場合、移動可能高さへ移動する(ステップS166)。つまり、ヘッド15をXY軸方向に移動できる位置まで、ノズル32及び挿入型電子部品をZ軸方向に上昇させる。制御部60は、以上のようにして、画像の撮影時に挿入型電子部品の位置を移動させる。
図9は、電子部品実装装置の動作の例を示すフローチャートである。図9に示す処理は、図8の処理に対応して、制御部60が画像処理部66及びVCSユニット17で実行する処理である。以下、画像処理部66の処理として説明する。
画像処理部66は、撮像コマンドを検出したかを判定する(ステップS170)。画像処理部66は、撮像コマンドを検出していない(ステップS170でNo)と判定した場合、ステップS170に戻る。画像処理部66は、撮像コマンドを検出するまでステップS170の判定を繰り返す。
画像処理部66は、撮像コマンドを検出した(ステップS170でYes)と判定した場合、VCSユニット17で撮影を行って画像を取得し(ステップS172)、応答レスポンスを制御部60に出力する(ステップS174)。つまり、画像処理部66は、挿入型電子部品のリードが配置されている面側の画像を撮影し、撮影を行ったことを示す応答レスポンスを出力する。
画像処理部66は、応答レスポンスを出力したら、撮影が完了したか、つまり対象の挿入型電子部品の各位置での撮影が終了したかを判定する(ステップS176)。画像処理部66は、撮影を完了していない(ステップS176でNo)と判定した場合、ステップS170に戻る。
画像処理部66は、撮影が完了した(ステップS176でYes)と判定した場合、合成画像を生成する(ステップS178)。以下図10を用いて、VCSユニット17と挿入型電子部品との距離が異なる複数の画像を合成した合成画像を取得する処理について説明する。図10は、電子部品実装装置の動作を説明するための説明図である。画像処理部66は、図10に示すようにZ軸方向の座標が異なる、例えば、Z=1.00、0.50、0.00、−0.50、−1.00のそれぞれの位置の画像100a、100b、100c、100d、100eの5つの画像を取得する。ここで、Zは、VCSユニット17と挿入型電子部品との基準距離0との差である。画像処理部66は、VSCユニット17で撮影した画像を、一次フィルタ、二次フィルタを用いて、リード線をわかりやすくした状態で、二値化処理を行い、リード線とそれ以外の部分とを分離する。これにより、画像100a、100b、100c、100d、100eは、リード線102a、102b、102c、102d、102eが白、それ以外の部分が黒となる。画像処理部66は、100a、100b、100c、100d、100eを合成して、画像110を生成する。画像110は、リード線112eがより明確に特定できる画像となる。なお、抽出する対象は異なるが、複数の画像から特定の部分の画像を抽出する処理は、特開2012−23340号公報と同様の処理であり、一次フィルタ、二次フィルタを用いた処理、二値化処理、画像の合成処理は同様の処理で行うことができる。
画像処理部66は、合成画像を生成したら、合成画像に基づいて補正値を算出する(ステップS180)。具体的には、合成画像で検出したリード線の位置に基づいて、設計データ、部品の形状等の基準データと実際の挿入型電子部品のリード線の位置とのずれを検出し、ずれに基づいて、実装時のヘッドのXY軸方向の位置、ノズルのθ方向の位置の補正値を算出する。画像処理部66は、補正値を算出したら、認識レスポンスを出力する(ステップS182)。
図11は、電子部品実装装置の動作の例を示すフローチャートである。図8の処理を行った後の制御部60及びヘッド15の処理動作の一例を示している。制御部60は、認識レスポンスがあるかを判定する(ステップS190)。制御部60は、認識レスポンスなし(ステップS190でNo)と判定した場合、ステップS190に戻る。
制御部60は、認識レスポンスあり(ステップS190でYes)と判定した場合、実装位置の補正を行い(ステップS192)、挿入型電子部品を基板に挿入する(ステップS194)。つまり、挿入型電子部品を挿入する位置を、合成画像に基づいて算出した補正値に基づいてXY軸方向及びθ方向に補正し、補正した位置で、挿入型電子部品を基板に実装する。
電子部品実装装置10は、以上のように、挿入型電子部品を保持するノズルの鉛直方向下側(基板側)に配置されたVSCユニット17を用いて、VCSユニット17と挿入型電子部品とのZ軸方向の距離を変化させつつ、複数の画像を作成し、リード線を抽出する処理を行い、その後合成することで、挿入型電子部品を挿入する方向から画像におけるリード線の位置を高精度に検出することができる。また、図7Aから図7Dのように、リード線が不規則に並んでいたり、複雑な形状であったりする場合も、それぞれのリード線の状態を検出することができる。つまり、実装装置10は、挿入型電子部品のリード線側から撮影した画像に基づいて、リード線の位置を取得することで、二次元配列されているリード線のそれぞれ、つまり外周の形状以外のリード線の位置も検出することができる。
これにより、上述した処理でリード線の位置を検出することで高い精度でリード線の位置を検出することができる。また、電子部品実装装置10は、挿入型電子部品のリード線側から撮影した画像に基づいて、リード線の形状を検出することで、リード線が最初に基板と接触する位置の座標を検出することができる。これにより、挿入の際に挿入できるかの基準となる位置を検出することができる。また、その結果に基づいて、実装する位置を補正し、挿入型電子部品を基板に実装することで、高い確率で基板に挿入型電子部品を挿入することができる。また、リード線の位置が正確に検出できることで、実装できるか否かをより高い精度で検出することができ、実装できない挿入型電子部品を基板に押し付けることを抑制できる。
図12Aから図12Cは、それぞれ電子部品実装装置の動作を説明するための説明図である。図12A及び図12Bに示す挿入型電子部品80Eは、本体82eと、本体82eに連結したリード線84eとリード線87とを有する。電子部品実装装置10は、図12A及び図12Bに示す挿入型電子部品80Eを図12Cに示すようにリード線87のみ基板130の穴に挿入する場合がある。この場合、制御部60は、挿入型電子部品80Eのリード線87の形状のみを抽出することが好ましい。また、本実施形態の電子部品実装装置10は、リード線を別々に検出できるため、設定により、リード線87の形状を検出し、リード線84eを検出しない処理も可能となる。このように処理に必要なリード線を選択的に検出することで、位置の補正もより的確にでき、実際の実装に関係しないリード線によって、実装位置がずれることを抑制できる。
図13は、電子部品実装装置が表示する画面の一例を示す説明図である。図14及び図15は、電子部品実装装置の動作を説明するための説明図である。次に図13から図15を用いて、上述した処理で検出したリード線の位置と基板穴との関係に基づいた実装の可否の判定処理を説明する。
図13に示す画面120は、挿入型電子部品と、挿入型電子部品のリード線を挿入する穴との関係に関する各種数値を入力する画面である。画面120は、表示欄122、124、126を有する。表示欄122は、基板に実装する挿入型電子部品の位置の情報が表示されている。表示欄122は、複数の挿入型電子部品の中から設定操作を行う挿入型電子部品を特定する際に操作が行われる。表示欄124は、表示欄122で指定されている挿入型電子部品の情報、種類、形状等の情報を表示する。表示欄126は、表示欄122で指定されている挿入型電子部品のリード線の情報、及びリード線を挿入する基板の穴の情報を入力する画面であり、入力結果の数値が表示される。
ここで、表示欄126の数値を入力する項目としては、スルーホール径、リード径がある。また、表示欄126には、リード径とスルーホール径から算出されるX軸方向、Y軸方向のマージンが表示される。図14に示すように、リード線84と基板のスルーホール(穴)129との関係において、距離130がスルーホール径となり、距離132がリード径となり、距離134がX軸方向のマージンとなり、距離136がY軸方向のマージンとなる。
電子部品実装装置10は、上述した方法で計測した挿入型電子部品のリード線の位置と、画面120に入力された情報と、に基づいて、リード線の曲りを検出し、挿入可能かを判定する。以下、図15を用いて、処理の一例について説明する。なお、図15は、1つの挿入型電子部品と、挿入型電子部品を挿入する基板のスルーホール144との関係を示している。
具体的には、電子部品実装装置10は、ステップS202に示すように、設計データ上での挿入型電子部品140の中心を基準として、座標を設定する。設計データ上では、挿入型電子部品140のリード線142が、スルーボール144に挿入できる位置関係となっている。中心からリード線142のX軸方向距離がXとなり、中心からリード線142のY軸方向距離がYとなる。
次に、電子部品実装装置10は、ステップS204に示すように、実装する実際の挿入型電子部品150のリード線152の形状を計測する。ここで、リード線152の形状は、上述したようにVCSユニットでリード線の画像を複数撮影し、合成した画像を作成することで生成する。電子部品実装装置10は、リード線152の位置を検出したら、リード線152の位置に基づいて、挿入型電子部品150の中心位置154を検出する。その後、ステップS206に示すように、実装装置10は、挿入型電子部品150の中心位置154を座標の中心とした座標軸を設定し、中心からリード線152のX軸方向距離X´と、中心からリード線152のY軸方向距離Y´を算出する。
次に、電子部品実装装置10は、ステップS208に示すように、実際の挿入型電子部品150と設計データの座標上でのスルーホール144またはリード線142とのずれ(dx、dy)を検出する。
電子部品実装装置10は、ずれdx、dyが0ではない場合、リード線が曲がっていると判定する。また、電子部品実装装置10は、ずれdx、dyのいずれか一方が上述したマージンより大きい場合、挿入不可と判定する。
このように、中心位置を合わせて、検出したリードの位置と設計値を比較することで、リードとそれぞれのスルーホールとの相対位置を高い精度で比較することができる。
電子部品実装装置10は、挿入型電子部品のリードの形状を検出する場合の複数のパラメータを含む作成条件を自動設定することが好ましい。以下、図16から図22を用いて、作成条件を自動設定する処理について説明する。図16及び図17は、それぞれ電子部品実装装置が表示する画面の一例を示す説明図である。図18は、設定パラメータの一例を示す説明図である。図19は、電子部品実装装置の動作の例を示すフローチャートである。図20から図22は、それぞれ電子部品実装装置が表示する画面の一例を示す説明図である。
図16に示す画面160及び図17に示す画面162は、作成条件を設定する挿入型電子部品の情報と作成条件を設定する際の条件を入力する画面である。操作者は、画面160、画面162を表示させ、各種条件を入力する。制御部60は、入力された条件に基づいて、パラメータを組み合わせて、作成条件を決定するために試験を行うパラメータの組み合わせを作成する。ここで、パラメータは、図18の画面164に示すように、撮影枚数、撮影ピッチ、下方照明、同軸照明、一次フィルタ、二次フィルタ、しきい値を含む。なお、図18に示す表は、パラメータの組み合わせの一部のみを示しており、組み合わせは8つに限定されない。撮影枚数は、リードを計測するために撮影する画像の枚数(撮影する位置の数)である。撮影ピッチは、Z軸方向における撮影位置と撮影位置の距離(リード線長さ)である。下方照明、同軸照明は、VCSユニット17の照明の光量である。本実施形態では、下方照明、同軸照明の両方を調整可能としたが照明を調整できればよく、数は限定されない。一次フィルタは、エッジ強調処理に用いるフィルタの値であり、二次フィルタは、平滑化処理に用いるフィルタの値であり、しきい値は、二値化処理を行う際に白と黒の境目となる値である。
次に、図19を用いて、作成条件を設定する処理動作を説明する。図19に示す処理は、制御装置20の制御部60と画像認識部66を含む各部で処理を実行することで実現できる。制御装置20は、推奨パラメータパターンで全焦点認識を実行する(ステップS230)。ここで、推奨パラメータパターンは、試験の対象として、設定されたパラメータの組み合わせの1つである。例えば、1番に設定されているパラメータの組み合わせを最初に選択する推奨パラメータパターンとしてもよい。また全焦点認識とは、上述した図8及び図9の処理である。制御部60は、推奨パラメータパターンの条件で、対象の挿入型電子部品をノズルで保持した状態で、画像を撮影し、合成画像を作成し、リード線を検出する。
制御装置20は、全焦点認識を実行したら、認識できたパラメータパターンがあるか、設定したパラメータパターンで全焦点認識を実行してリード線が検出できたかを判定する(ステップS232)。制御装置20は、設計データと検出したリード線とを比較して、リード線の本数、位置等が設計データと一致する場合、認識できたと判定する。
制御装置20は、認識できたパラメータパターンがある(ステップS232でYes)と判定した場合、認識できたパラメータパターンで繰り返し精度を測定する(ステップS234)。つまり、パラメータパターンで全焦点認識を複数回、具体的には設定されている繰り返し回数、例えば、10回、20回行い、リード線の検出精度を測定する。検出精度は、リード線の本数、位置等が設計データと一致する回数を判定してもよいし、さらに検出したリード線の太さを判定の基準としてもよい。
制御装置20は、繰り返し精度を測定したら、精度が許容範囲であるかを判定する(ステップS236)。制御装置20は、精度が許容範囲である(ステップS236でYes)と判定した場合、認識ができ精度が最もよいパラメータパターンを作成条件に設定する(ステップS242)。
制御装置20は、認識できたパラメータがない(ステップS232でNo)と判定した場合、精度が許容範囲に含まれない(ステップS236でNo)と判定した場合または、ステップS242の処理を実行した場合、別の推奨パラメータパターンがあるか、つまり実行していない推奨パラメータパターンがあるかを判定する(ステップS244)。
制御装置20は、別の推奨パラメータパターンがある(ステップS244でYes)と判定した場合、ステップS230に戻り、別の推奨パラメータパターンで全焦点認識を実行する。制御装置20は、図20の画面166に示すように、このような繰り返し処理を行って、判定結果がでたパラメータパターンについての結果を表示させる。
制御装置20は、別の推奨パラメータパターンがない(ステップS244でNo)と判定した場合、処理を終了する。これにより、最終的にステップS242で設定されたパラメータパターンが作成条件に設定される。また、認識できたパラメータがない場合、全焦点認識ができないと判定する。制御装置20は、図21の画面167及び図22の画面168に示すように、設定した作成条件を画面に表示させる。
電子部品実装装置10は、このように繰り返し計算を行い、作成条件を設定することで、自動でパラメータを調整することができ、ユーザの負担を低減することができる。つまり、1つ1つの挿入型電子部品について条件を設定する必要がなくなるため、作業負担が大きく低減される。また、実際に試験を行うため、より適切なパラメータパターンを設定することができる。
図23は、電子部品実装装置の動作の例を示すフローチャートである。図24から図26は、それぞれ電子部品実装装置の動作を説明するための説明図である。また、電子部品実装装置10は、検出したリードの形状に基づいて、挿入型電子部品の向きを検出し、その結果に基づいて、挿入型電子部品の向きを補正することができる。
制御装置20は、検出したリードの形状に基づいて認識がOKであるかを判定する(ステップS302)。例えば、図24示す挿入型電子部品300は、本体302に2列のリード線306a、306bが設けられている。挿入型電子部品300は、4本のリード線306aが一列で配置され、5本のリード線306bが一列で配置されている。5本のリード線306bは、等間隔で配置されている。4本のリード線306aは、5本のリード線306bと同じ間隔で配置され、中央の1本が抜けている状態で配置されている。制御装置20は、挿入型電子部品300のリードの形状を計測した場合、図25に示す画像310のリード線316a、316b配置になった場合、認識OKと判定し、図26に示す画像312のリード線316a、316b配置になった場合、認識NGと判定する。
制御装置20は、認識OK(ステップS302でYes)と判定した場合、つまり向きが設定した向きであるので指定角度を維持する(ステップS304)。制御装置20は、認識NG(ステップS302でNo)と判定した場合、向きが設定した向きではないので、認識角度を180°回転させて認識を行う(ステップS306)。つまり取得した画像を180°回転させて、画像を判定する。制御装置20は、認識を行ったら、認識がOKであるかを判定する(ステップS308)。制御装置20は、認識OK(ステップS308でYes)と判定した場合、向きを180°回転させた画像が設定した向きであるので指定角度を180°変更する(ステップS310)。つまり、実装時に挿入型電子部品を反転させる設定とする。また、制御装置20は、認識NG(ステップS308でNo)と判定した場合、認識NGである(ステップS312)、つまり向き以外の理由で認識ができないと判定し、処理を終了する。
このように、リード線の画像に基づいて向きを判定し、その結果に基づいて、挿入時に向きを補正することで、部品供給装置で挿入型電子部品の向きを合わせる必要が無くなり、供給が簡単になる。また、画像を反転(180°回転)させて判定を行うことで、計測を2回行わずに向きの判定を行うことができるため、生産効率を向上させることができる。また、上述した処理で検出したリードの形状に基づいて判定することで、図24のように、内部の一部のリードの形状が異なる挿入型電子部品であっても向きを判定することができ、種々の挿入型電子部品の向きを判定することができる。