JP2016068558A - ポリマーフィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い硬度を有すると共に、干渉ムラの発生を抑制することができるポリマーフィルムの製造方法を提供すること。
【解決手段】ポリマーフィルムの製造方法は、有機溶剤可溶性樹脂と重合性化合物とを含むドープを流延してウェブとする工程と、重合性化合物の反応率が3%以上30%以下となるようにウェブに紫外線を照射する工程と、紫外線照射されたウェブを140℃以上の温度で加熱して、ポリマーフィルムを得る工程と、を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリマーフィルムの製造方法に関する。
陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、蛍光表示ディスプレイ(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、及び液晶表示装置(LCD)のような画像表示装置では、表示面への傷付きを防止するために、高硬度の光学フィルム(ポリマーフィルム)を設けることが好適である。
このような高硬度のフィルムの製造方法が種々提案されている。
たとえば、特許文献1には、セルロースアシレートフィルムなどの基材フィルム上に重合性化合物を含む組成物を塗布し、その後重合性化合物に重合処理を施してハードコート層を形成する方法が従来知られている。
また、たとえば、特許文献2〜5には、セルロースアシレートと重合性化合物を含む組成物(ドープ)を流延し、重合性化合物を重合させて高硬度のセルロースアシレートフィルムを製造する方法が記載されている。
特開2009−186760号公報 特開2004−143392号公報 特開2004−285159号公報 特許4352592号 特開2012−96523号公報
特許文献2〜4では、セルロースアシレートと重合性化合物とを含むウェブを乾燥させるまでの間、又はウェブの乾燥後に紫外線を照射することが記載されている。
特許文献5には、紫外線を2段階で照射することが記載されている。
しかしながら、高硬度フィルムとして更なる硬度の向上が求められている。高硬度化のためにポリマーフィルム上にハードコート層を形成することは、基材との間に屈折率差が生じることによって干渉ムラが発生するおそれがあるため別の解決策が望まれる。
本発明の目的は、高い硬度を有すると共に、干渉ムラの発生を抑制することができるポリマーフィルムの製造方法を提供することにある。
本発明者らが鋭意検討した結果、有機溶剤可能性樹脂と重合性化合物とを含むドープから得られたウェブに対して、重合性化合物の反応率を適切に制御しながら紫外線を照射し、その後、加熱を行って重合を終了させることにより、高い硬度を有すると共に、干渉ムラの発生を抑制することができるポリマーフィルムを製造することができることを見出した。
本発明が解決しようとする課題は、下記の手段である本発明により解決することができる。
[1]
有機溶剤可溶性樹脂と重合性化合物とを含むドープを流延してウェブを形成する流延工程と、
上記ウェブに紫外線を照射し、上記重合性化合物の反応率を3%以上30%以下にする紫外線照射工程と、
上記紫外線照射されたウェブを140℃以上で加熱して、ポリマーフィルムを得る加熱工程と、
を有するポリマーフィルムの製造方法。
[2]
上記重合性化合物の分子量は300以上20000以下である[1]に記載のポリマーフィルムの製造方法。
[3]
上記紫外線照射工程における重合性化合物の反応率が3%以上10%以下である[1]又は[2]に記載のポリマーフィルムの製造方法。
[4]
上記加熱工程における加熱温度が180℃以上210℃以下である[1]〜[3]のいずれか1項に記載のポリマーフィルムの製造方法。
[5]
上記ドープ中において、上記有機溶剤可溶性樹脂100質量部に対して上記重合性化合物は100質量部以上である[1]〜[4]のいずれか1項に記載のポリマーフィルムの製造方法。
[6]
上記有機溶剤可溶性樹脂はセルロースアシレートである[1]〜[5]のいずれか1項に記載のポリマーフィルムの製造方法。
[7]
上記セルロースアシレートのアセチル基置換度が2.7以上3.0以下である[6]に記載のポリマーフィルムの製造方法。
[8]
上記ドープは光重合開始剤を含まないものである[1]〜[7]のいずれか1項に記載のポリマーフィルムの製造方法。
[9]
上記紫外線照射工程において、紫外線の照射量を150mJ/cm以上2000mJ/cm以下とする[8]に記載のポリマーフィルムの製造方法。
[10]
上記ドープは光重合開始剤を含むものである[1]〜[7]のいずれか1項に記載のポリマーフィルムの製造方法。
[11]
上記紫外線照射工程において、紫外線の照射量を30mJ/cm以下とする[10]に記載のポリマーフィルムの製造方法。
[12]
上記流延工程において、
有機溶剤可溶性樹脂及び重合性化合物を含む第1のドープと、
有機溶剤可溶性樹脂を含み上記第1のドープとは異なる第2のドープと、
を共流延する[1]〜[11]のいずれか1項に記載のポリマーフィルムの製造方法。
[13]
上記紫外線照射工程において、上記ウェブを凹凸を有する鋳型に密着させ、ウェブの鋳型と反対側の面から紫外線を照射する[1]〜[12]のいずれか1項に記載のポリマーフィルムの製造方法。
[14]
上記凹凸を有する鋳型の凹凸形状が反射防止機能を形成しうる微細凹凸である[13]に記載のポリマーフィルムの製造方法。
本発明によれば、高い硬度を有すると共に、干渉ムラの発生を抑制することができるポリマーフィルムの製造方法を提供することができる。
溶液流延製膜装置(流延支持体:ドラム)の一例の説明図である。 共流延可能な流延ダイを含む溶液流延製膜装置の一部拡大図である。 流延室、ピンテンタ、およびこれらの間の渡り部の概要を示す側面図である。 溶液流延製膜装置(流延支持体:バンド)の一例の説明図である。
以下の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本発明および本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
<ポリマーフィルムの製造方法>
本発明のポリマーフィルムの製造方法は、有機溶剤可溶性樹脂と重合性化合物とを含むドープを流延してウェブを形成する流延工程と、上記ウェブに紫外線を照射し、上記重合性化合物の反応率を3%以上30%以下にする紫外線照射工程と、上記紫外線照射されたウェブを140℃以上で加熱して、ポリマーフィルムを得る加熱工程と、を有するポリマーフィルムの製造方法である。
以下、ポリマーフィルムの製造方法において、用いる化合物及び製造条件等について詳細に説明する。
先ず、ドープについての詳細を記載する。
本発明の製造方法に用いられるドープは、有機溶剤可溶性樹脂と重合性化合物とを含む組成物である。
[有機溶剤可溶性樹脂]
本発明において「有機溶剤可溶性樹脂」とは、液温25℃の有機溶剤に1質量%以上溶解する樹脂を言うものとする。ここでいう有機溶剤とは、例えば、炭素数1以上8以下の有機化合物からなる群から選ばれる一種または複数を任意の割合で混合した組成物で、25℃1気圧において液体であるものを言う。具体的には、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−オクタノール、エチレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等のエステル類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化アルキル類、およびこれらを任意の割合で混合した組成物が挙げられる。
なお、本発明におけるポリマーフィルムの製造方法で使用可能な溶剤は、上記のものに限定されるものではない。
有機溶剤可溶性樹脂の一例としては、画像表示装置等の保護フィルムとして用いられるために透明性が高い材料が好ましく、(i)セルロースアシレートが透明性に優れており、好ましい。また、他の例としては、積層構造を有するポリマーフィルムのベースフィルム材料として通常使用される各種熱可塑性樹脂、例えば、(ii)(メタ)アクリレート系樹脂、(iii)ポリカーボネート系樹脂、(iv)ポリスチレン系樹脂、(v)環状ポリオレフィン系樹脂、(vi)グルタル酸無水物系樹脂、(vii)グルタルイミド系樹脂等を挙げることができる。
以下、上記有機溶剤可溶性樹脂の具体的態様について説明するが、本発明は下記の態様に限定されるものではない。有機溶剤可溶性樹脂としては、前述の規定に当てはまるものであれば、何ら制限なく用いることができる。
{(i)セルロースアシレート}
セルロースアシレートとしては、特に制限はない。セルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基の置換するアシル基の詳細については、特開2012−215812号公報段落0017を参照できる。好ましくは、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基であり、より好ましくはアセチル基、プロピオニル基であり、更に好ましくはアセチル基である。溶剤溶解性等の観点からは、アセチル置換度が2.7以上のセルロースアシレートが好ましく、より好ましくは2.75以上、更に好ましくは2.82以上である。一方、光学性能の観点からは、アセチル置換度が3.0以下のセルロースアシレートが好ましく、2.95以下のセルロースアシレートがより好ましく、更に好ましくは2.90以下、最も好ましくは2.89以下である。同様の観点から、セルロースアシレートの総アシル置換度も、アセチル置換度について上記した範囲にあることが好ましい。なお総アシル置換度およびアセチル置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法に準じて測定することができる。アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在している。その他、セルロースアシレートの詳細については、特開2012−215812号公報段落0018〜0020も参照できる。
{(ii)(メタ)アクリレート系樹脂}
(メタ)アクリレートは、メタクリレートとアクリレートの両方を含む概念である。また、(メタ)アクリレート系樹脂には、アクリレートエステルとメタクリレートエステルとの共重合体も含まれる。(メタ)アクリレート系樹脂の繰り返し構造単位は、特に限定されない。(メタ)アクリレート系樹脂は、繰り返し構造単位として(メタ)アクリル酸エステル単量体由来の繰り返し構造単位を有することが好ましい。
(メタ)アクリレート系樹脂は、繰り返し構造単位として、更に、水酸基含有単量体、不飽和カルボン酸および下記一般式(101)で表される単量体から選ばれる少なくとも1種を重合して得られる繰り返し構造単位を含んでいてもよい。
一般式(101)
CH=C(X)R201
一般式(101)中、R201は水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、−CN基、−CO−R202基、またはO−CO−R203基を表し、R202およびR203は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。
(メタ)アクリル酸エステルは、特に限定されない。詳細については、特開2013−099875号公報段落0034を参照できる。
水酸基含有単量体も、特に限定されない。詳細については、特開2013−099875号公報段落0035を参照できる。
不飽和カルボン酸も、特に限定されない。詳細については、特開2013−099875号公報段落0036を参照できる。
一般式(101)で表される単量体の詳細については、特開2013−099875号公報段落0037を参照できる。
(メタ)アクリレート系樹脂は、1つ以上のラクトン環構造を含んでいてもよい。ラクトン環構造の一態様としては、下記一般式(201)で示されるラクトン環構造を挙げることができる。
一般式(201)
一般式(201)中、R401、R402およびR403は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1〜20の有機残基を表し、有機残基は酸素原子を含有していてもよい。ここで、炭素原子数1〜20の有機残基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基などが好ましい。
ラクトン環含有(メタ)アクリレート系樹脂の構造中における上記一般式(201)で示されるラクトン環構造の含有割合は、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは10〜70質量%、更に好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは10〜50質量%である。ラクトン環構造の含有割合を5質量%以上とすることにより、樹脂の耐熱性、および表面硬度が向上する傾向にあり、ラクトン環構造の含有割合を90質量%以下とすることにより、樹脂の成形加工性が向上する傾向にある。
ラクトン環含有(メタ)アクリレート系樹脂の製造方法については、特に制限はない。例えば、重合工程によって分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体(p)を得た後に、得られた重合体(p)を加熱処理することによりラクトン環構造を重合体に導入すること(ラクトン環化縮合工程)により、ラクトン環含有(メタ)アクリレートを得ることができる。ラクトン環含有(メタ)アクリレートの好ましい物性等の詳細については、特開2012−250535号公報段落0040〜0047を参照できる。
また、(メタ)アクリレート系樹脂の重量平均分子量Mwは80000以上であることが好ましい。(メタ)アクリレート系樹脂の重量平均分子量Mwが80000以上であれば、機械的強度が高く、フィルム製造時のハンドリング適性に優れる。この観点から、(メタ)アクリレート系樹脂の重量平均分子量Mwは100000以上であることが好ましい。なお本発明において重量平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によりポリスチレン換算で測定される値とする。
(メタ)アクリレートとしては、市販品または公知の合成方法により合成されたものを使用することができる。市販品としては、これらに限定されるものではないが、例えば、デルペット60N、80N(旭化成ケミカルズ製)、ダイヤナールBR80、BR85、BR88、BR102(三菱レイヨン製)、KT75(電気化学工業製)等が挙げられる。
{(iii)ポリカーボネート系樹脂}
ポリカーボネート系樹脂としては、特に限定されるものではない。例えば、市販品をそのまま、または市販品に適宜剥離力や靭性を制御するべく添加剤を添加したものを用いることができる。市販品の具体例としては、これらに限定されるものではないが、パンライトL−1225L、L−1250Y、K−1300Y、AD−5503(帝人化成製)、ノバレックス7020R、7022R、7025R、7027R、7030R(三菱エンジニアリングプラスチックス製)等が挙げられる。
{(iv)ポリスチレン系樹脂}
ポリスチレン系樹脂としては、市販品をそのまま、または適宜剥離力や靭性を制御するべく添加剤を添加したものを用いることができる。また、物性制御のため、ポリスチレンに、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メチルビニルケトン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、無水マレイン酸などが共重合されたものを用いてもよい。市販品の具体例としては、これらに限定されるものではないが、PSJポリスチレンG9401、G9305、SGP−10(ポリスチレンジャパン製)、ハイブランチXC−540HB、XC−520、ディックスチレンCR−250、CR−350、CR−450(DIC製)、スチレン−アクリロニトリル共重合体としては、セビアンN020SF、050SF、070SF、080SF(ダイセルポリマー製)、スチレン−無水マレイン酸共重合体としては、XIRAN SZ28110、SZ26180、SZ26120、SZ26080、SZ23110、SZ15170、SZ08250(ポリスコープポリマーズB.V.製)等が挙げられる。
{(v)環状ポリオレフィン系樹脂}
環状ポリオレフィン系樹脂とは、環状オレフィン構造を有する樹脂を言うものとする。
環状オレフィン構造を有する樹脂の例としては、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィンの重合体、(3)環状共役ジエンの重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、および(1)〜(4)の水素化物等を挙げることができる。より具体的態様としては、下記一般式(II)で表される繰り返し単位を少なくとも1種以上含む付加(共)重合体である環状ポリオレフィン系樹脂、および必要に応じ、一般式(I)で表される繰り返し単位の少なくとも1種以上を更に含む付加(共)重合体である環状ポリオレフィン系樹脂を挙げることができる。また、一般式(III)で表される環状繰り返し単位を少なくとも1種含む開環(共)重合体も挙げることができる。
一般式(I)〜(III)中、mは0〜4の範囲の整数を表す。R〜Rは、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基、X〜X、Y〜Yは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、−(CHCOOR11、−(CHOCOR12、−(CHNCO、−(CHNO、−(CHCN、−(CHCONR1314、−(CHNR1314、−(CHOZ、−(CHW、または、XとYもしくはXとYもしくはXとYから構成された(−CO)O、(−CO)NR15を示す。なお、R11、R12、R13、R14、R15は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Zは炭化水素基またはハロゲンで置換された炭化水素基を表し、WはSiR16 3−p(R16は炭素数1〜10の炭化水素基、Dはハロゲン原子、−OCOR16またはOR16、pは0〜3の整数を示す)、nは0〜10の範囲の整数を示す。
およびRは、それぞれ独立に水素原子または−CHであることが好ましく、X、およびYは、それぞれ独立に水素原子、塩素原子、または−COOCHであることが好ましい。その他の基については、上記の中から適宜選択することが好ましい。ノルボルネン系重合体は、市販品としては、JSRからアートン(Arton)GまたはアートンFとの商品名で発売されている。また、日本ゼオンからは、ゼオノア(Zeonor)ZF14、ZF16、ゼオネックス(Zeonex)250またはゼオネックス280との商品名で市販されている。ノルボルネン系重合体として、これら市販品を用いることも、もちろん可能である。ノルボルネン系重合体および環状ポリオレフィン系樹脂の詳細については、特開2013−029792号公報段落0032および0033も参照できる。
{(vi)グルタル酸無水物系樹脂}
グルタル酸無水物系樹脂とは、グルタル酸無水物単位を有する重合体である樹脂を表す。グルタル酸無水物単位を有する重合体は、下記一般式(301)で表されるグルタル酸無水物単位(以下、グルタル酸無水物単位と呼ぶ)を有することが好ましい。
一般式(301)
一般式(301)中、R31、R32は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。なお、有機残基は酸素原子を含んでいてもよい。R31、R32は、好ましくは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。
グルタル酸無水物単位を有する重合体の詳細については、特開2012−250535号公報段落0052〜0065を参照できる。
{(vii)グルタルイミド系樹脂}
グルタルイミド系樹脂とは、グルタルイミド単位を有する重合体である樹脂を表す。
グルタルイミド系樹脂は、側鎖に置換または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂である。側鎖に置換または非置換イミド基を有することによって光学特性や耐熱性などの点で好ましい特性バランスを発現できる。グルタルイミド系樹脂としては、少なくとも下記一般式(401)で表されるグルタルイミド単位を有することが好ましい。
一般式(401)
式中、R301、R302、R303は、それぞれ独立に水素または炭素数1〜12個の非置換のまたは置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表す。
グルタルイミド系樹脂を構成する好ましいグルタルイミド単位としては、R301、R302がそれぞれ独立に水素またはメチル基であり、R303がメチル基またはシクロヘキシル基である。樹脂に含まれるグルタルイミド単位は、単一の種類でもよく、R301、R302、R303が異なる複数の種類が含まれていてもよい。
グルタルイミド系樹脂には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル構成単位が含まれていることが好ましい。別の好ましい構成単位としては、N−メチルメタクリルアミドや、N−エチルメタクリルアミドのような、N−アルキルメタクリルアミドが挙げられる。これらのグルタルイミド単位以外の構成単位は単独の種類でもよく、複数の種類が含まれていてもよい。
グルタルイミド系樹脂の一般式(401)で表されるグルタルイミド単位の含有量は、耐熱性および透明性の観点から、グルタルイミド系樹脂の総繰り返し単位を基準として、20〜95質量%の範囲であることが好ましい。より好ましくは50〜90質量%、更に好ましくは、60〜80質量%である。
その他の共重合可能な成分については、特開2005−189623号公報段落0030を参照できる。また、グルタルイミド系樹脂の合成方法等の詳細については、特開2005−189623号公報段落0031を参照できる。グルタルイミド系樹脂の重量平均分子量は、1×10〜5×10の範囲であることが好ましい
[重合性化合物]
本発明において「重合性化合物」とは、1分子中に重合性基を1つ以上有する化合物を言うものとし、1分子中に重合性基を2つ以上有する多官能重合性化合物であることが好ましく、1分子中に重合性基を3つ以上有する多官能重合性化合物であることがより好ましい。
多官能重合性化合物としては、重合性基を1分子中に2つ以上有するものであれば、モノマーであっても、オリゴマーやプレポリマー等の多量体であってもよい。また、重合性化合物には、多官能重合性化合物とともに、1分子中に含まれる重合性基の数が1つである単官能性化合物が含まれていてもよい。単官能性化合物も、モノマーであっても、オリゴマーやプレポリマー等の多量体であってもよい。
より高い硬度を得るためにはモノマーの濃度が高いことと、架橋密度が大きいことが重要となるが、そのためにポリマーフィルムの膜厚方向へのモノマー拡散は少ないほうが好ましく、一方で重合反応を促進するためにはある程度の拡散性を有することが必要となる。このような特性を有するために、重合性化合物の分子量は、300以上20000以下であることが好ましく、500以上5000以下であることがより好ましく、800以上3000以下であることが更に好ましい。また、重合性化合物の官能基数/分子量は大きいほど好ましい。本発明において分子量とは、多量体については、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で測定される重量平均分子量を言うものとする。
なお、本発明においては、重合性化合物として、分子量の異なる2種以上の重合性化合物を含むものでもよいが、2種以上の重合性化合物を混合する場合は、GPCによる標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が300以上20000以下 であることが好ましく、500以上52000以下であることがより好ましく、800以上3000以下であることが更に好ましい。また、複数の重合性化合物を混合して用いる場合、分子量が800以上3000以下である重合性化合物の含有量は、重合性化合物全量に対して40質量%以上であることが好ましい。
重合性化合物全量100質量%に対する多官能重合性化合物の含有量は、より高硬度のポリマーフィルムを得る観点からは、20質量%以上とすることが好ましく、40質量%以上とすることがより好ましい。重合性化合物全量が多官能重合性化合物の一種以上であってもよい。一方、ポリマーフィルムの脆性の観点からは、重合性化合物全量100質量%に対する多官能重合性化合物量を、99質量%以下とすることが好ましく、95質量%以下とすることがより好ましい。一方、単官能重合性化合物は、多官能重合性化合物と併用してもよく、併用しなくてもよい。併用する場合、単官能重合性化合物は、重合性化合物の粘度を下げ、取り扱いを容易にする観点から、重合性化合物全量100質量%に対して、例えば1〜20質量%使用することが好ましい。
重合性化合物が有する重合性基としては、ラジカル重合性基であってもカチオン重合性基であってもよく、ラジカル重合性基が好ましい。エチレン性不飽和結合含有基、エポキシ基、オキセタン基、メチロール基等の重合性基が、反応を良好に進行させて架橋構造を形成するうえで好ましく、エチレン性不飽和結合含有基が更に好ましい。エチレン性不飽和結合含有基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基を挙げることができ、(メタ)アクリロイルオキシ基および(メタ)アクリロイル基がより好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基がいっそう好ましい。なお本発明において、「(メタ)アクリロイルオキシ基」との記載は、アクリロイルオキシ基とメタクリロイルオキシ基の少なくともいずれかの意味で用いるものとする。「(メタ)アクリロイル基」、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル」等も同様である。多官能重合性化合物に含まれる重合性基の数は1分子中に2以上であり、好ましくは2〜20の範囲であり、より好ましくは3〜12の範囲である。
多官能重合性化合物の好ましい一態様としては、エチレン性不飽和結合含有基を1分子中に2つ以上有する多官能性(メタ)アクリレート系化合物を挙げることができる。
具体例として、2官能(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。市販品の一例としては、共栄社化学製:ライトアクリレートNP−A(ネオペンチルグリコールジアクリレート、分子量212)等を挙げることもできる。
3官能以上の(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。市販品の一例としては、日本化薬製:KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、分子量579)、東亜合成製:アロニックスM−309(トリメチロールプロパントリアクリレート、分子量296)等を挙げることもできる。
また、上記(メタ)アクリレート系化合物は、分子骨格の一部が変性されているものでもよい。例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものを使用することができる。
また、多官能重合性化合物としては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート系重合体等を挙げることもできる。これらの中でも、透明性および屈折率の点からウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートは、多価アルコールおよび有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得ることができる。
上記多価アルコールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリシクロデカンジメチロール、ビス−[ヒドロキシメチル]−シクロヘキサン等;上記多価アルコールと多塩基酸(例えば、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等)との反応によって得られるポリエステルポリオール;上記多価アルコールとε−カプロラクトンとの反応によって得られるポリカプロラクトンポリオール;ポリカーボネートポリオール(例えば、1,6−ヘキサンジオールとジフェニルカーボネートとの反応によって得られるポリカーボネートジオール等);および、ポリエーテルポリオールを挙げることができる。上記ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA等を挙げることができる。
上記有機ポリイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロペンタニルイソシアネート等のイソシアネート化合物、これらイソシアネート化合物の付加体、またはこれらイソシアネートの多量体等が挙げられる。
上記ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチロールシクロヘキシルモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシカプロラクトン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
中でも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートであることが、フィルムの一層の高硬度化の面から好ましい。
上記ウレタン(メタ)アクリレートは、6官能以上であることが好ましく、6〜15官能であることがより好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、日本合成化学工業社製:UV1700B(質量平均分子量2000、10官能)、UV7600B(質量平均分子量1500、6官能)、日本化薬社製:DPHA40H(質量平均分子量7000、10官能)、UX5003(質量平均分子量700、6官能)、根上工業社製:UN3320HS(質量平均分子量5000、15官能)、UN904(質量平均分子量4900、15官能)、UN3320HC(質量平均分子量1500、10官能)、UN3320HA(質量平均分子量1500、6官能)、荒川化学工業社製:BS577(質量平均分子量1000、6官能)、および、新中村化学工業社製:U15HA(質量平均分子量2300、15官能)、U−6LPA(質量平均分子量800、6官能)、等を挙げることができる。
多官能重合性化合物としては、1分子中に1つ以上のフッ素原子を含むフッ素含有重合性化合物、1分子中に1つ以上のシロキサン結合を有するシリコーン系重合性化合物等を用いることもできる。フッ素含有重合性化合物としては、例えば、特開2013−130865公報段落0077〜0103に記載の各種化合物を用いることができる。一方、シリコーン系重合性化合物については、特開2013−130865公報段落0141および特開2012−103689号公報0119〜0120を参照できる。
上記多官能重合性化合物と併用可能な単官能性化合物としては、特に限定されるものではない。例えば、WO2012/077807A1段落0022に記載の単官能(メタ)アクリレート系化合物、特開2008−178995号公報段落0022に記載のビニル結合を1分子中に1つのみ有する単官能重合性化合物、特開2008−119684号公報段落0022に記載の単官能ラジカル重合性モノマー等を使用することができる。
上記重合性化合物は、熱重合性化合物であっても光重合性化合物であってもよい。光照射により重合を行う場合には紫外線吸収性を有する成分の併用は通常行われないが、熱重合により重合処理を行う場合には、紫外線吸収性基を有する重合性化合物を用いることもできる。紫外線吸収性基としては、例えばオキシベンゾフェノン骨格を含む基、ベンゾフェノン骨格を含む基、ベンゾトリアゾール骨格を含む基、トリアジン骨格を含む基、サリチル酸エステル骨格、シアノアクリレート骨格、ベンゼン骨格を含む基等が挙げられる。紫外線吸収性基を有する重合性化合物の詳細については、特開2004−67816号公報段落0060〜0079を参照できる。
本発明において、ドープ中における重合性化合物量は、有機溶剤可溶性樹脂の全量を100質量部として100質量部以上とすることが好ましく、150質量部以上とすることがより好ましく、200質量部以上とすることが更に好ましい。また、有機溶剤可溶性樹脂の全量を100質量部として500質量部以下とすることが好ましく、300質量部以下とすることがより好ましい。上記範囲で重合性化合物を含むドープからポリマーフィルムを得ることは、フィルム硬度および脆性改良の観点から好ましい。
また、ドープ全量を100質量部として、重合性化合物量は、8質量部以上とすることが好ましく、10質量部以上とすることがより好ましく、12質量部以上とすることが更に好ましい。更に、ドープ全量を100質量部として、重合性化合物量は、溶解性の観点からは、20質量部以下とすることが好ましく、17質量部以下とすることがより好ましい。
ドープに含まれる有機溶剤としては、一般に流延製膜に用いられる有機溶剤を何ら制限なく用いることができる。例えば、先に有機溶剤可溶性に関して提示した各種有機溶剤の一種またはこれらの二種もしくは三種を任意の割合で混合した混合溶剤であるが、これらに限定されるものではない。
また、一態様では、有機溶剤の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、γ−ブチロラクトン等のエステル類の他、メチルセロソルブ、ジメチルイミダゾリノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルフォキシド、スルホラン、ニトロエタン、塩化メチレン、アセト酢酸メチルなどが挙げられる。1,3−ジオキソラン、THF、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸メチルおよびメチレンクロライドが好ましい。二種以上の溶剤を混合した混合溶剤においては、上記例示した有機溶剤が最も多くの割合(例えば混合溶剤全量100質量%に対して50質量%以上99質量%未満)を占める主溶剤であることが好ましい。
混合溶剤に主溶剤とともに含まれる有機溶剤(副溶媒)としては、炭素原子数1〜4のアルコールが好ましい。炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルの一種または二種以上を挙げることができる。副溶媒は、混合溶剤全量100質量%に対して、例えば1質量%以上50質量%未満、好ましくは1質量%以上40質量%以下の割合で混合溶剤に含まれ得る。なお有機溶剤可溶性樹脂としてセルロースアシレートを用いる場合、セルロースアシレートは水酸基やエステル、ケトン等の水素結合性の官能基を含むため、有機溶剤は、溶剤全量100質量%に対して5〜30質量%、より好ましくは7〜25質量%、更に好ましくは10〜20質量%のアルコールを含有することが、支持体からのウェブの剥離が容易となり好ましい。なおドープには、有機溶剤に加えて少量の水が含まれていてもよい。水を含む場合、溶剤全量100質量%に対する水の含有量は、例えば0.1〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは0.2〜2質量%とすることができる。
ドープ全量を100質量%として、溶剤全量の占める割合は、例えば60〜95質量%の範囲であり、好ましくは70〜85質量%の範囲である。上記範囲で溶剤を含むドープは、溶剤の揮発による濃度・組成の変化や固形分の析出を起こしにくく、また、安定した流延に適した粘度が得られるため、好ましい。
ドープにおける有機溶剤可溶性樹脂の含有量は、ドープ全量を100質量%として、例えば1〜40質量%の範囲である。流延の容易性の観点からは、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。また、流延のための送液の容易性の観点からは、35質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
本発明の製造方法に用いられるドープには、上記成分に加えて各種添加剤を任意に添加することができる。そのような添加剤の具体例としては、(a)紫外線吸収剤、(b)界面活性剤、(c)重合開始剤を挙げることができる。以下に詳細を記載するが、ドープに添加可能な添加剤は、これらに限定されるものではない。
{(a)紫外線吸収剤}
紫外線吸収剤は、ポリマーフィルムの耐久性の改善に寄与することができる。中でも表面保護フィルムとして使用されるポリマーフィルムが紫外線吸収剤を含むことは好ましい。紫外線吸収剤の添加量は、紫外線吸収剤の種類等により適宜設定すればよい。例えば、有機溶剤可溶性樹脂100質量部に対して、1〜10質量部の紫外線吸収剤を、ドープに添加することができる。紫外線吸収剤については特に制限はない。ポリマーフィルムに通常使用される各種紫外線吸収剤を用いることができる。なお本発明において紫外線とは、200〜400nmの波長域の光を言うものとする。紫外線吸収剤は、例えば400nm以下の紫外線を吸収することでポリマーフィルムの耐久性を向上させることができ、中でも紫外線吸収剤を含むことでポリマーフィルムの波長370nmでの透過率が10%以下となることが好ましく、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。
紫外線吸収剤としては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。紫外線吸収剤の具体例等の詳細については、特開2006−184874号公報段落0109〜0190を参照できる。また、高分子紫外線吸収剤も使用可能であり、例えば特開平6−148430号公報に記載のポリマータイプの紫外線吸収剤を用いることができる。特開2012−215812号公報段落0054に記載の紫外線吸収剤の使用も可能である。また、後述の実施例で用いる紫外線吸収剤は、好ましい紫外線吸収剤の一つである。
なお、本発明においては、紫外線照射工程において重合性化合物の一部を重合させるが、紫外線吸収剤を含むドープを用いる場合には、重合のために照射した紫外線が紫外線吸収剤に吸収されて反応効率が低下するため、重合性化合物の反応率が本発明の範囲となるように、照射条件等を適切に調整する必要がある。
{(b)界面活性剤}
界面活性剤としては、特に制限はなく、市販品または公知の方法で合成可能な各種界面活性剤を用いることができる。具体例としては、下記に限定されるものではないが、シリコーン系化合物およびフッ素系化合物を挙げることができる。
シリコーン系化合物の好ましい例としては、ジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物鎖の末端および側鎖の少なくとも一方に置換基を有するものが挙げられる。
ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中には、ジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていてもよく、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基またはこれらの基を含む基が挙げられる。分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることが特に好ましく、3000〜30000であることが最も好ましい。ここで分子量とは、質量平均分子量を言うものとする。後述のフッ素系化合物についても同様である。シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量には特に制限はないが、18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることがより好ましく、30.0〜37.0量%であることが更に好ましい。
好ましいシリコーン系化合物の例としては、信越化学製X−22−174DX、X−22−2426、X−22−164B、X22−164C、X−22−170DX、X−22−176D、X−22−1821(以上商品名);チッソ製FM−0725、FM−7725、DMS−U22、RMS−033、RMS−083、UMS−182(以上商品名)などが挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。フルオロアルキル基は、炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜10であり、直鎖(例えば−CFCF、−CH(CFH、−CH(CFCF、−CHCH(CFH等)であっても、分岐構造(例えばCH(CF、CHCF(CF、CH(CH)CFCF、CH(CH)(CFCFH等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であってもよい。また、エーテル結合を有していてもよい(例えばCHOCHCFCF、CHCHOCHH、CHCHOCHCH17、CHCHOCFCFOCFCFH等)。フルオロアルキル基は、同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、更に、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基等の置換基を1つまたは複数個含んでいてもよい。また、フッ素系化合物は、フッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限はないが、20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましく、40〜70質量%であることが更に好ましい。
好ましいフッ素系化合物の例としては、ダイキン化学工業製R−2020、M−2020、R−3833、M−3833(以上商品名);DIC製メガファックF−784、F−171、F−172、F−179A、F−114、F−251、F−281、F−410、F−430、F−444、F−477、F−510、F−511、F−552、F−553、F−554、F−555、F−556、F−557、F−558、F−559、F−560、F−561、F−562、F−563、F−563、F−567、F−567、F−569、F−570、F−571、R−40、R−41、R−43、R−94、RS−72−K、RS−72−K、RS−76−E、RS−76−NS、RS−90、ディフェンサMCF−300(以上商品名)等を挙げることができる。
界面活性剤は、表面平滑性に優れたポリマーフィルムを得ることに寄与すると本発明者らは考えている。これは、界面活性剤がレベリング性を発揮することによるものであると推察される。
また、防塵性、帯電防止等の特性を付与する目的で、公知のカチオン系界面活性剤またはポリオキシアルキレン系化合物等の防塵剤、帯電防止剤等を適宜添加することもできる。これら防塵剤、帯電防止剤は、前述のシリコーン系化合物やフッ素系化合物に、その構造単位が含まれていてもよい。好ましい化合物の例としては、DIC製メガファックF−150;東レダウコーニング製SH−3748等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
界面活性剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上任意の割合で組み合わせて用いてもよい。ドープにおける界面活性剤量は特に限定されるものではないが、例えば、ドープ中の固形分100質量部に対して、0.001〜10質量部とすることができる。
{(c)重合開始剤}
重合開始剤は、ラジカル重合開始剤であってもカチオン重合開始剤であってもよい。併用される重合性化合物の種類に応じて適切な重合開始剤を選択すればよい。上記の通り、重合性化合物が有する重合性基としてはラジカル重合性基が好ましいため、ラジカル重合開始剤の使用が好適である。なお重合処理を施すことにより重合性化合物に含まれる重合性基がラジカルを発生し開始剤として機能する場合もある。そのような場合には、ドープに重合開始剤を添加することなく重合性化合物の重合反応を進行させることができる。
熱重合開始剤の構造については、特に限定されるものではない。熱重合開始剤の具体的態様としては、アゾ化合物、ヒドロキシルアミンエステル化合物、有機過酸化物、過酸化水素等を挙げることができる。有機過酸化物の具体例については、特許第5341155号公報段落0031に記載のものを挙げることができる。
アゾ化合物は、少なくとも1つのアゾ結合を含めばよく、アゾ結合とともに各種置換基を含むことができる。具体的には、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド等のアゾニトリル化合物、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジメチル1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)等のアゾエステル化合物、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)等のアゾアミド化合物、2,2’−アゾビス[2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン]ジヒドロキシクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等のアゾイミダゾリン化合物、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン等のアゾアルキル化合物、更にはアゾアミジン化合物、アゾ結合を有する繰り返し単位を含むポリマーの使用も可能である。アゾ化合物は、レドックス分解や誘発分解が生じにくい点等で好ましい熱重合開始剤である。
また、ヒドロキシルアミンエステル化合物としては、特表2012−521573号公報に記載の式Iで表されるヒドロキシルアミンエステル化合物を挙げることができる。具体的な化合物を以下に示す。ただしこれらに限定されるものではない。
光重合開始剤も特に限定されるものではない。アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類が挙げられる。アセトフェノン類の例には、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが含まれる。ベンゾイン類の例には、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノンが含まれる。ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
最新UV硬化技術(P.159,発行人;高薄一弘,発行所;技術情報協会,1991年発行)にも種々の光重合開始剤の例が記載されており、これらも使用可能である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、BASF製のイルガキュアシリーズ(IrgOXE01、Irg127、Irg651、Irg184、Irg819、Irg907)等が好ましい例として挙げられる。
また、光重合開始剤として、界面活性作用と光重合開始作用とを有する化合物も使用可能である。そのような化合物としては、例えば、特開2009−035642号公報に界面活性光重合開始剤(D)として記載されている化合物を挙げることができる。詳細については、特開2009−035642号公報段落0077〜0094を参照できる。
本発明の製造方法では、紫外線照射工程における重合性化合物の反応率を、一般的な重合反応工程よりも低い範囲で制御するため、ドープには光重合開始剤が含まれない方が好ましい。光重合開始剤を含まないドープを使用する場合には、紫外線照射工程において、紫外線の照射量を150mJ/cm以上2000mJ/cm以下とすることが好ましく、300mJ/cm以上600mJ/cm以下とすることがより好ましい。光重合開始剤を含まないドープを使用する場合には、紫外線照射工程における重合反応は紫外線のエネルギーのみで行う。
光重合開始剤を含まないドープを使用することにより、耐光性が悪化せず、且つ透明性低下しないという効果が得られて好ましい。
なお、ドープが光重合開始剤を含む場合、反応率を制御し、ポリマーフィルムの透明性を確保するためには、重合性化合物を100質量部に対して、光重合開始剤は10質量部以下とすることが好ましく、5質量部以下とすることがより好ましく、3質量部以下とすることが更に好ましい。
また、光重合開始剤を含むドープを使用する場合には、紫外線照射工程において、紫外線の照射量を30mJ/cm以下とすることが好ましい。
以上記載した重合開始剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
ドープは、上記成分を同時にまたは任意の順序で混合することにより調製することができる。調製方法は特に限定されるものではなく、流延製膜に関する公知技術を何ら制限なく適用することができる。
次に、ポリマーフィルムの製造条件について詳細に説明する。
[紫外線照射工程及び加熱工程]
本発明においては、紫外線照射工程と後述する加熱工程において、2段階で重合性化合物を重合させることにより、高い硬度を有すると共に、干渉ムラの発生が抑制されたポリマーフィルムを得ることができる。紫外線照射工程のみで重合性化合物を重合させると、重合にムラが発生し、得られるポリマーフィルムの硬度が低下することがある。一方、加熱工程のみで重合性化合物を重合させると、温度上昇によって流動性を持った重合性化合物が基材成分から分離することによって、得られるポリマーフィルムにおける重合性化合物領域と基材成分領域との境界面が明確となり、屈折率が急激に変化することから、干渉ムラが発生することがある。本発明では、特に、紫外線照射工程における重合性化合物の反応率を制御することにより、硬度及び干渉ムラの問題を解決することができる。
[紫外線照射工程による重合性化合物の反応率が3%以上30%以下]
上述の通り、紫外線照射工程においては、ウェブ中の重合性化合物の反応率を制御することが重要であり、3%以上30%以下とする。反応率を3%以上とすることにより、加熱工程のみで重合反応を行う場合と異なり、干渉ムラの発生を抑制することができる。また、反応率を30%以下とすることにより、紫外線照射工程のみで重合反応を行う場合と異なり、高い硬度を有するポリマーフィルムを得ることができる。
紫外線照射工程による重合性化合物の反応率は、3%以上30%以下であることが好ましく、3%以上10%以下であることがより好ましい。
[加熱工程における加熱温度]
加熱工程においては、紫外線照射されたウェブを加熱することにより、紫外線照射工程において重合しなかった重合性化合物の反応を進行させることができる。本発明においては、加熱温度を140℃以上としているため、未重合のまま残っていた重合性化合物が活発に熱運動することによって、高い確率で熱重合反応が進行し、高硬度のポリマーフィルムを得ることができる。
加熱工程における加熱温度は、160℃以上であることが好ましく、180℃以上であることがより好ましい。また。220℃以下とすることが好ましく、210℃以下とすることがより好ましい。
[共流延によるポリマーフィルムの製造方法]
本発明のポリマーフィルムの製造方法は、
上記流延工程において、有機溶剤可溶性樹脂及び重合性化合物を含む第1のドープと、有機溶剤可溶性樹脂を含み上記第1のドープとは異なる第2のドープと、を共流延するポリマーフィルムの製造方法であることが好ましい。
第1のドープと第2のドープにおける有機溶媒可溶性樹脂は同じであっても異なっていてもよい。有機溶媒可溶性樹脂及び重合性化合物の好ましい範囲は前述のとおりである。第2のドープには重合性化合物を含まないことが好ましい。
ポリマーフィルムを共流延で作成することにより、フィルムのハンドリング性が向上するという効果が得られるため好ましい。すなわち共流延で作成したフィルムは破断しにくく、また刃で裁断したときにクラックが入りにくい。
次に、流延製膜法によりポリマーフィルムを製造する具体的態様について、図面を参照し説明する。ただし以下の具体的態様は例示であって、本発明は下記具体的態様に何ら限定されるものではない。
流延製膜法では、ドープを、走行する支持体上に流延してウェブを形成し、形成したウェブを走行させながら、紫外線照射処理、加熱処理等の各種処理を施すことにより、ポリマーフィルムを製膜することができる。このような流延製膜法に使用可能な、流延支持体としてドラムを用いた装置の一例を、図1に示す。図1に示す溶液流延製膜装置10は、流延室12、光源(図示せず)、ピンテンタ13、乾燥室(加熱室)15、冷却室16、巻取室17を有する。流延室12には、流延ダイ21、流延ドラム22、減圧チャンバ23、および剥取ローラ24が設けられる。
流延ダイ21は、ドープ28を流出するものであり、ドープ28が流出するスリット出口は、流延ダイ21の先端に設けられる。二種のドープ(第1のドープおよび第2のドープ)を用いる場合には、流延ダイ21としては、供給されたドープが流れる第1流路と、供給された第2のドープが流れる第2流路と、第1流路と第2流路が合流位置で合流し、上記二種のドープが共に流れる共流路とが内部に形成されている流延ダイを用いる。上記二種のドープを異なる供給口から独立して供給し、流延ダイ21の内部で第1のドープと第2のドープとを合流させて流延ダイ21から流出させる。図2は、このような共流延可能な流延ダイ21を含む流延装置の一部拡大図である。図2に示すように、流延ダイ21は、第1のドープ(ドープa)の流れと第2のドープ(ドープb)の流れとを合流させた後、先端の吐出口から走行する流延ドラム22上に流出させることによって、ドープa由来のウェブ40aとドープb由来のウェブ40bの積層体としてウェブ(ウェブ)40が形成される。本発明における第1のドープと第2のドープは、どちらをドープaとしてもドープbとしても良いが、ドラムからの剥ぎ取り性の観点から、第1のドープをドープaとすることがより好ましい。
流延ドラム22は、流延ダイ21の下方に位置し、軸方向が水平となるように配される。そして、流延ドラム22は、周面22aがスリット出口と近接するように配される。更に、流延ドラム22は、軸を中心に回転自在となっている。制御部(図示しない)の制御の下、駆動装置(図示しない)により、流延ドラム22が回転すると、流延ドラム22の周面22aはA方向へ所定の速度で走行する。流延ダイ21のスリット出口から流出したドープ28は、周面22a上で延ばされる結果、帯状のウェブ40を形成する。流延ダイ21および流延ドラム22は、ステンレス製であることが好ましく、十分な耐腐食性と強度とを有する点から、SUS316製であることがより好ましい。
流延ドラム22には温調装置43が接続される。温調装置43は、伝熱媒体の温度を調節する温度調節部を内蔵する。温調装置43は、温度調節部および流延ドラム22内に設けられる流路との間で、所望の温度に調節された伝熱媒体を循環させる。この伝熱媒体の循環により、流延ドラム22の周面22aの温度を所望の温度に保つことができる。また、図示は省略するが、流延室12内の雰囲気に含まれる溶剤を凝縮する凝縮装置、凝縮した溶剤を回収する回収装置を設けることにより、流延室12内の雰囲気に含まれる溶剤の濃度を一定の範囲に保つことができる。また、流延室12には、流延ドラム22上のウェブ40に送風するために、温風、冷風、除湿風の任意に温度湿度制御した送風が可能な送風機構(図示しない)を設けてもよい。
減圧チャンバ23は、流延ダイ21よりもA方向の上流側に配置される。制御部の制御の下、減圧チャンバ23は、ドープ28によってスリット出口から周面22aにかけて形成される流延ビードの上流側の気体を吸引する。これにより、流延ビードの上流側の圧力が流延ビードの下流側の圧力よりも低い状態をつくることができる。流延ビードの上流側および下流側の圧力差は、10Pa以上2000Pa以下であることが好ましい。
図3に示すように、剥取ローラ24は、流延ダイ21よりもA方向の下流側に配される。剥取ローラ24は、周面22a上に形成されたウェブ40を剥ぎ取って、流延室12の下流側へ案内する。
剥取ローラ24よりもA方向上流側にはラビリンスシール45aが設けられ、剥取ローラ24よりもA方向下流側にラビリンスシール45bが設けられる。ラビリンスシール45a、45bは、流延室12の内壁面から、流延ドラム22の周面22aに向かって伸びるように形成される。ラビリンスシール45a、45bの先端は、周面22aに近接するため、溶剤が流延室12の外部へ漏れることを防ぐことができる。
図1に示すように、流延室12の下流には、光源(図示せず)、ピンテンタ13、乾燥室15、冷却室16、および巻取室17が順に設置されている。流延室12とピンテンタ13との間の渡り部50には、ウェブ40を支持する支持ローラ52が複数並べられており、図示しないが、例えばこの領域で光源によりウェブ40に紫外線が照射される。支持ローラ52は、図示しないモータにより、軸を中心に回転する。支持ローラ52は、流延室12から送り出されたウェブ40を支持して、ピンテンタ13へ案内する。なお、図では、渡り部50に2つの支持ローラ52を並べた場合をしているが、本発明はこれに限られず、渡り部50に3つ以上の支持ローラ52を並べてもよい。
本発明においては、流延室12と乾燥室15と間の任意の位置に光源を配置し、ウェブ40に光照射することにより、重合性化合物の一部を重合させることができる。光源としては、例えば紫外線を照射可能なUV光源を用いることができるが、特に限定されるものではない。具体例としては、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアーク、メタルハライドランプ、太陽光線等を挙げることができる。また、光照射条件は、重合性化合物の反応率が3%以上30%以下となる条件であれば、特に限定されるものではなく、重合性化合物や重合開始剤の有無、その種類に応じて決定すればよい。紫外線照射による光重合は、例えば、空気中または不活性気体中で行うことができる。エチレン性不飽和結合を含有する重合性化合物を使用する場合には、紫外線照射量を減らすために酸素濃度が少ない雰囲気中で重合処理を行うことが好ましい。
図3に示すように、ピンテンタ13は、ウェブ40の幅方向の両端を貫通して保持する複数のピン60を有する環状の保持部材61と、保持装置61を循環走行させるプーリ62と、ピンプレートにより保持されるウェブ40に乾燥風を供給する乾燥風供給機(図示しない)とを有する。ピンテンタ13の入り口には、ウェブ40の幅方向の両端をピン60に噛み込ませるブラシ65が設けられる。また、ブラシ65よりも搬送方向上流側に、ウェブ40の幅方向の両端に冷却風を供給する冷風供給機66を設けてもよい。ブラシ65の押し付けによって、ピン60がウェブ40の幅方向の両端を貫通する。そして、ピン60により両端を保持されたウェブ40は、保持部材61の循環走行により、搬送される。
ピンテンタ13と乾燥室15との間には耳切装置75が設けられている。耳切装置75に送り出されたウェブ40の幅方向の両端は、ピン60によって形成された貫通痕が形成される。耳切装置75は、この貫通痕を有する両端部分を切り離す。この切り離された部分は、送風によりカットブロワ(図示しない)およびクラッシャ(図示しない)へ順次に送られて、細かく切断され、ドープ等の原料として再利用、または廃棄される。
乾燥室15には、多数のローラ81が設けられており、これらにウェブ40が巻き掛けられて搬送される。乾燥室15や冷却室16内の雰囲気の温度や湿度などは、図示しない空調機により調節されている。乾燥室15ではウェブ40の加熱処理及び乾燥処理が行われる。乾燥室15には吸着回収装置83が接続される。吸着回収装置83は、ウェブ40から蒸発した溶剤を吸着により回収する。
以上の通り、乾燥室15においてウェブ40の加熱処理及び乾燥処理が行われる。また、流延室12およびピンテンタ13の一方または両方においても、乾燥処理が行われることがある。本実施形態においては、ウェブを140℃以上の加熱温度で5〜60分間加熱する加熱処理が含まれており、この加熱処理によりウェブ40中に存在する残りの重合性化合物の重合を進行させることができる。なお本発明において加熱温度とは、加熱されているウェブの温度をいうものとする。また、ウェブは、走行しながら加熱されてもよく、停止した状態で加熱されてもよい。生産性の観点から、ウェブは、通常、走行しながら加熱される。
重合処理のための加熱条件は、140℃以上であれば、重合性化合物の種類や重合開始剤の種類に応じて設定すればよく、特に限定されるものではない。熱重合反応を進行させるための加熱処理は、例えば、ウェブを140〜220℃の加熱温度で5〜60分間加熱することにより行うことができる。なお加熱処理中のウェブの温度は、非接触式の温度計によりモニターすることができる。乾燥室15における加熱は、温風の吹付により行ってもよく、乾燥室の雰囲気温度を制御することにより行ってもよい。本実施形態においては、紫外線照射処理の後に熱処理により重合を進めており、重合処理と併せて乾燥工程を行うことができるため、工程を簡略化することができる。
乾燥室15から搬出されたウェブ40は冷却室16へ搬送される。なお冷却室を設けることは必須ではない。冷却室16は、ウェブ40の温度が略室温となるまで、ウェブ40を冷却する。冷却室16および巻取室17の間では、上流側から順に、除電バー91、ナーリング付与ローラ92、および耳切装置93が設けられる。除電バー91は、冷却室16から送り出され、帯電したウェブ40から電気を除く除電処理を行う。ナーリング付与ローラ92は、ウェブ40の幅方向両端に巻き取り用のナーリングを付与する。耳切装置93は、切断後のフィルム70の幅方向両端にナーリングが残るように、ウェブ40の幅方向両端を切断する。
巻取室17には、プレスローラ96と巻き芯97を有する巻取機98とが設置されており、巻取室17に送られたウェブ40は、プレスローラ96によって押し付けられながら巻き芯97に巻き取られ、ロール状となる。
溶液流延製膜法の一実施形態のその他詳細については、特開2011−178043号を参照できる。なお上記では流延支持体としてドラムを用いる態様を例に説明したが、流延支持体は、ドラムに限定されるものではない。例えばドラムに代えて、少なくとも2つのバックアップローラに支持されて長手方向に搬送されるバンドを流延支持体としてもよい。通常、ウェブを冷却することによりゲル化させる、いわゆる冷却流延方式の場合には、流延支持体はドラムとすることが多い。これに対して、ウェブを冷却することなく乾燥処理のみでゲル化を促進する、いわゆる乾燥流延方式の場合には、流延支持体はバンドとすることが多い。
次に、流延支持体としてバンドを用いる態様について、具体的態様に基づき説明する。ただし本発明は、下記具体的態様に限定されるものではない。
図4に、流延支持体としてバンドを用いた装置の一例を示す。図4に示す溶液製膜設備100は、流延装置112と、光源(図示せず)、クリップテンタ113と、乾燥室115と、冷却室116と、巻取装置117とを備える。
流延装置112は、ダイユニット121と、バンド122と、第1ローラ123および第2ローラ124と、流延室125とを有する。ダイユニット121は、フィードブロック128と流延ダイ129とから構成される。二種のドープを用いる場合の流延ダイの構成については、先に記載した通りである。フィードブロック128に供給されてきたドープ131を流延ダイ129から連続的に流出する。
バンド122は、環状に形成された無端の流延支持体であり、第1ローラ123および第2ローラ124の周面に巻き掛けられる。第1ローラ123は、円形の側面の中心に回転軸123aを備え、この回転軸123aはモータ132により周方向に回転する。これにより、第1ローラ123は周方向に回転する。モータ132は、コントローラ133により駆動を制御され、これにより回転軸123aの回転速度が制御される。第1ローラ123の回転により、バンド122は長手方向に走行する。第2ローラ124は、円形の側面の中心に回転軸124aを備え、巻き掛けられたバンド122の走行に伴い回転軸124aを回転中心にして回転する。なお、本実施形態では、第1ローラ123の回転によりバンド122を走行させているが、バンド122の走行は、第1ローラ123と第2ローラ124との少なくともいずれか一方を周方向に回転させればよい。
走行しているバンド122上に、流延ダイ129から連続してドープ131を流出することにより、バンド122上にウェブ(ウェブ)136が連続的に形成される。
本実施形態では、図4に示すように、第1ローラ123に巻き掛けられたバンド122の巻き掛け領域の下流端と流延ダイ129の流出口とが対向するように、流延ダイ129を配してある。しかし、流延ダイ129の位置はこれに限定されない。例えば、第1ローラ123から第2ローラ124に向かうバンド122に流出口が対向するように流延ダイ129を配してもよい。
第1ローラ123の回転方向におけるダイユニット121の上流には、空気を吸引する減圧チャンバ147が配される。減圧チャンバ147が空気を吸引することにより、流延ダイ129からバンド122に至るドープ、すなわちビードよりも第1ローラ123の回転方向における上流側のエリアが減圧される。これにより、ビードの形状が安定する。
第1ローラ123と第2ローラ124とは、周面温度を制御する温調機(図示しない)を備える。第1ローラ123と第2ローラ124との周面温度を制御することにより、バンド122の温度が制御される。バンド122の温度の制御により、ウェブ136の温度が制御され、ウェブ136の乾燥速度が調整される。
第1ローラ123の近傍には、剥取ローラ138が配される。剥取ローラ138は、長手方向が第1ローラ123の回転軸123aと略平行となるように配される。この剥取ローラ138は、剥ぎ取られたウェブ136を支持し、これにより、ウェブ136がバンド122から剥ぎ取られる剥取位置を一定に保持する。
流延室125は、ダイユニット121、第1ローラ123、第2ローラ124、バンド122、剥取ローラ138を収容しており、これにより、ウェブ136から蒸発した溶剤が下流側のクリップテンタ等へ拡散することを防ぐことができる。流延室125から流延室125の下流のクリップテンタ113への渡りには、ウェブ136を下方から支持してクリップテンタ113へ案内するローラ142が設けられており、図示しないが、例えばこの領域で光源によりウェブに紫外線が照射される。光源の種類及び照射条件等に関しては、上述の通りである。
クリップテンタ113は、ウェブ136の幅方向における各側部を把持する複数のクリップ(図示しない)を有し、このクリップが軌道(図示しない)上を走行する。クリップの走行により、ウェブ136は搬送される。ウェブ136の搬送路の上方と下方との少なくともいずれか一方には、送風機(図示しない)が配される。送風機からの乾燥風の流出により、ウェブ136は搬送されながら乾燥が進行する。
軌道をウェブ136の幅方向に変位させることにより、ウェブ136を幅方向に拡げたり、狭めたりしてもよい。例えば、ウェブ136を幅方向に拡げ、その拡幅率を大きくすることができる。また、例えば、幅を一定に保持する等して、拡幅率を0(ゼロ)もしくは小さく抑えることもできる。また、送風機からの乾燥風の温度を制御することにより、ウェブ136の温度を制御することもできる。なお、クリップテンタ113では、幅を一定に保持したり拡幅した場合には、その後に幅を狭めることで、ウェブ136の応力緩和を行うことが好ましく、応力緩和後にクリップテンタ113から次工程にウェブ136を送ることが好ましい。
クリップテンタ113を出たウェブ136の両側端部には、通常、クリップテンタ113のクリップによる保持跡が形成される。そこで、クリップテンタ113の下流には耳切装置143を設けることが好ましい。耳切装置143は、案内されてくるウェブ136のクリップによる保持跡を含む両側部を切り離す。これにより、乾燥室115およびその下流における搬送を安定化することができる。ウェブ136から切り離された両側部は、風によりクラッシャ146に送られて破砕され、ドープ131等の原料として再利用、または廃棄される。
乾燥室115には、多数のローラ115aが設けられており、これらにウェブ136が巻き掛けられて搬送される。乾燥室115内の雰囲気の温度や湿度などは、図示しない空調機により調節されており、ウェブ136は乾燥装置115を通過する間に加熱され、ウェブ136中に残存している重合性化合物の重合が進められ、乾燥が進められる。乾燥室における加熱については、図1に示す態様について記載した通りである。
乾燥室15の下流には、乾燥室15よりも内部の温度を低くした冷却室116を配することもできる。これにより、ウェブ136は、冷却室116の内部を通過する間に冷却され、例えば室温程度になる。
冷却室116の下流側には、ナーリング付与ローラ対162が設けられており、これによりウェブ136の両側部にナーリングが付与される。
巻取装置117には巻芯152がセットされ、巻取装置117はこの巻芯152を回転することにより、案内されてくるウェブ136をロール状に巻き取る。
以上、本発明の一態様にかかるポリマーフィルムの製造方法を、具体的態様を示しつつ説明した。ただし本発明の製造方法は、上述の製造方法に限定されるものではない。所定のドープをウェブとし、重合性化合物の反応率が3%以上30%以下となるようにウェブに紫外線を照射する工程と、紫外線照射されたウェブを140℃以上の温度で加熱する工程を有することにより、本発明のポリマーフィルムの製造方法とすることができる。
(ポリマーフィルムに積層可能な層)
上記ポリマーフィルムは、その一方または両方の表面に、一層以上の他の層を積層して積層フィルムとすることもできる。ポリマーフィルムの表面上に一層以上の他の層が設けられる場合、他の層の厚さ(二層以上の場合には総厚)は、耐擦傷性や密着性の観点から、5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることが更に好ましく、0.5μm以下であることがいっそう好ましい。下限については、例えば0.05μm以上である。なお上記の他の層の厚さは、公知の膜厚測定方法により求めることができる。他の層としては、特に限定されるものではなく、防眩層、高屈折率層、低屈折率層等の公知の層を挙げることができる。防眩層については、例えば特開2013−101331号公報段落0181〜0182、高屈折率層および低屈折率層については、例えば特開2013−101331号公報段落0183〜0186を参照できる。
(パターン形成方法)
本発明のポリマーフィルムの製造方法において、紫外線照射工程において凹凸パターン(特に、微細凹凸パターン)を形成することも可能である。本発明のポリマーフィルムに鋳型を密着(好ましくは圧接)した状態で、ポリマーフィルムの鋳型に密着された面とは反対側の面から紫外線を照射することで、凹凸パターンを形成することができる。
凹凸パターンとしては、マイクロ電気機械システム(MEMS)、センサ素子、回折格子やレリーフホログラム等の光学部品、ナノデバイス、光学デバイス、フラットパネルディスプレイ製作のための光学フィルムや偏光素子、液晶ディスプレイの薄膜トランジタ、有機トランジスタ、カラーフィルタ、オーバーコート層、柱材、液晶配向用のリブ材、マイクロレンズアレイ、免疫分析チップ、DNA分離チップ、マイクロリアクター、ナノバイオデバイス、光導波路、光学フィルター、フォトニック液晶など、任意の凹凸パターンを形成することができる。特に反射防止機能を形成しうる微細凹凸であることが好ましい。
鋳型に圧接する直前にポリマーフィルムに溶剤を塗布することでより凹凸パターンを転写しやすくすることも可能である。溶剤を塗布する方法としては、バーコーター、溶剤を充填した浴槽を潜らす等の塗布方法を用いることができる。
鋳型としては平板状のもの、ドラム状のもの、バンド状のものを用いることができる。
微細凹凸は、凸型の構造でも凹型の構造でも反射防止性能を得ることが出来る。また一つの構造が周期的に並んだものでもランダムに並んだものでも反射防止性能を得ることが出来る。凹凸構造の深さ(最高部と最低部の距離)は50〜1000nmが好ましく、120〜400nmがより好ましく、150〜300nmが特に好ましい。凸部の高さが50nm以上であれば、反射率が十分低くなり、かつ反射率の波長依存性が少ない。凸部の高さが1000nm以下であれば、凸部の耐擦傷性が良好となる。凸部間もしくは凹部間の平均間隔は50〜400nmが好ましく、100〜300nmがより好ましく、150〜200nmが特に好ましい。凸部の高さが50nm以上であれば、反射率が十分低くなり、かつ反射率の波長依存性が少ない。平均間隔が400nm以下であれば、回折光による虹色の着色が抑えられる。平均間隔が50nm以下であれば耐擦傷性が良好となる。
{偏光板}
本発明の製造方法により製造されたポリマーフィルムは、偏光子と共に使用して、偏光板とすることができる。本発明の製造方法により製造されたポリマーフィルムは、偏光板保護フィルムとして機能することができる。中でも上記ポリマーフィルムの重合処理が施された面を、偏光板の最表層となるように偏光板保護フィルムとして配置することが、耐擦傷性に優れる偏光板を得るうえで好ましい。
偏光板は、通常、偏光子が2枚の保護フィルムの間に配置される。本発明の製造方法により得られたポリマーフィルムは、2枚の保護フィルムの少なくとも一方または両方であることができる。また、液晶表示装置には、通常、液晶セルを挟んで2枚の偏光板(視認側偏光板、バックライト側偏光板)が配置される。本発明の製造方法により得られたポリマーフィルムを有する偏光板は、2枚の偏光板のいずれに用いてもよく、一態様では、視認側偏光板として用いられる。視認側偏光板に含まれる2枚の保護フィルムは、一方が視認側、他方が液晶セル側に配置される。この場合、本発明の製造方法により得られたポリマーフィルムは、視認側保護フィルム、液晶セル側保護フィルムのいずれに用いてもよく、一態様では、視認側保護フィルムとして用いられる。バックライト側偏光板に含まれる2枚の保護フィルムは、一方がバックライト側、他方が液晶セル側に配置される。この場合、本発明の製造方法により得られたポリマーフィルムは、バックライト側保護フィルム、液晶セル側保護フィルムのいずれに用いてもよく、一態様では、バックライト側保護フィルムとして用いられる。
上記偏光板に含まれる偏光子としては、ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素溶液中に浸漬して延伸したもの等を用いることができる。偏光子の詳細については、例えば特開2011−136503号段落0117を参照できる。
一態様では、偏光板に含まれる2枚の保護フィルムの一方が、本発明の製造方法により得られるポリマーフィルムであり、他方が光学補償フィルムであることもできる。光学補償フィルムとしては、公知のフィルムを用いることができる。
{画像表示装置}
本発明の製造方法により得られたポリマーフィルムは、画像表示装置の構成部材として用いることができる。
画像表示装置としては、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)等の各種画像表示装置を挙げることができる。
一態様では、上記ポリマーフィルムは、画像表示装置の表示面外側に配置される保護フィルムであることができる。ポリマーフィルム作成時の空気面側が最表層となるように配置することが、画像表示装置の耐擦傷性向上の観点から好ましい。
また、一態様では、画像表示装置は、偏光板を必須の構成部材として含む液晶表示装置であることができる。この場合、上記ポリマーフィルムは、偏光板の保護フィルムとして含まれることが好ましい。そのような偏光板の詳細は、先に記載した通りである。
液晶表示装置の液晶セルは、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモード、ECBモード等の各種駆動モードの液晶セルであることができる。
本発明の製造方法によれば、鉛筆硬度試験において優れた硬度を示し、干渉ムラの発生も抑制することができるポリマーフィルムを得ることができる。このようなポリマーフィルムを保護フィルムとして組み込むことにより、長期間優れた耐擦傷性を維持することができる画像表示装置の提供が可能となる。
以下に実施例に基づき本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
以下に記載の流延製膜工程におけるウェブの温度は、非接触の温度計により常時モニターした。
また、以下の実施例、比較例で作製したポリマーフィルムの評価に当たっては、ポリマーフィルムの四方の外側面からそれぞれ1cm以上離れた位置から、10cm四方のポリマーフィルムを切り出して測定試料とした。また、以下の実施例中で示す表面側とは、フィルム作成時の空気面側を示し、裏面側とはフィルム作成時の支持対面側を示す。
以下の実施例および比較例は、図1に示す溶液流延製膜装置の構成を簡略化した試験用製膜装置を用いて実施した。共流延を行った実施例および比較例では、流延ダイとして、図2に示す構成の流延ダイを用いた。試験用製膜装置は、流延ドラムを備え、流延ドラムからはぎ取られたフィルムが渡り部、ピンテンタを経て1次乾燥室、ハロゲンランプの紫外線照射装置、2次乾燥室(加熱室)に搬送される。乾燥室以外は開放系とした。加熱時間は、乾燥室の搬送距離を変更することにより制御した。
[実施例1]
<流延製膜用組成物(重合性化合物含有セルロースアシレートドープA)の調製>
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、ドープAを調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(固形分)
セルロースアセテート(置換度2.86,重合度350) 100質量部
多官能重合性化合物 150質量部
(10官能ウレタンアクリレート(日本合成化学製UV−1700B)、重量平均分子量2000)
固形分濃度(組成物全量100質量%に対して) 24質量%
(溶剤組成比:溶剤全量100質量%に対して、括弧内はセルロースアセテート100質量部に対する含有量)
メチレンクロライド 79質量%(500質量部)
メタノール 20質量%(127質量部)
1−ブタノール 1質量%( 6質量部)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<共流延用組成物(セルロースアシレートドープB)の調製>
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、ドープBを調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(固形分)
セルロースアセテート(置換度2.86,重合度350)
固形分濃度(組成物全量100質量%に対して) 24質量%
(溶剤組成比:溶剤全量100質量%に対して、括弧内はセルロースアセテート100質量部に対する含有量)
メチレンクロライド 79質量%(625質量部)
メタノール 20質量%(158質量部)
1−ブタノール 1質量%(8質量部)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<セルロースアシレートフィルムの流延製膜>
図2に示すドープaとして上記のドープAを、ドープbとして上記のドープBを用い、空気面側から支持体面側に向かってA、Bの順序になるように、それぞれが膜厚(設定膜厚)30μm相当になるように流量を調節して、流延ダイから表面温度5℃のドラム支持体上に共流延してウェブを形成した。その後、ドラム支持体上で40℃の除湿風を当て、ドラム支持体からウェブを剥ぎとった。
走行するウェブに1次乾燥室において乾燥風をあて70℃の加熱温度で6分間加熱し、溶剤を乾燥させた。このときウェブ中の残留溶媒は7%であった。次にUV露光機でUV光300mJ/cmを照射し、光重合させた。更にウェブを走行させながら2次乾燥室において190℃の加熱温度で20分間加熱した。上記多官能重合性化合物は、約140℃以上において重合性基がラジカルを発生することで重合反応が開始される。加熱温度は、乾燥風の温度設定により制御した。こうして形成されたポリマーフィルムの総厚は60μmであった。
ここでフィルム表面側に分布する多官能重合性化合物の反応率を分析するために、UV光を照射後及び2次乾燥室通過後のポリマーフィルムをそれぞれサンプリングし、FT−IR分析(フーリエ変換赤外分光分析)を行った。ATR法を用いて表面側のフィルム表面近傍の波数810cm−1の吸収強度を測定し、未重合品の吸収強度と下記式で比較することで、反応率を見積もった。
反応率=(未重合品の吸収強度―サンプルの吸収強度)/未重合品の吸収強度
以上より、実施例1で作製したポリマーフィルムにおいて、UV光照射後の反応率が3%、2次乾燥後の反応率が90%であることを確認した。
[実施例2〜6、実施例11〜16、実施例21〜26、実施例31〜36、実施例41〜47、比較例1〜5、比較例11〜15、比較例21〜25、比較例31〜35、比較例41]
重合方法、光重合後の重合性化合物の反応率、熱重合後の重合性化合物の反応率、重合性化合物の種類を下記表に記載したように変更した以外は、実施例1と同様にポリマーフィルムを作成した。
ただし、実施例31〜36、比較例32〜35においては、UV光の照射量を25mJ/cmとした。
なお、実施例46は、共流延ではなく、単層流延でポリマーフィルムを作成した。
後述の実施例、比較例についても同様に反応率の分析を行った。
[実施例48]
外径126mmのガラスロール原盤表面にレジスト膜を塗布し、露光現像ののちプラズマエッチングしその後フォトレジストを除去することにより、楕円錘の凹部を有する六方格子パターンの深さ約300nm、ピッチ約300nmのモスアイガラスロールマスタを形成した。上記ガラスロールマスタはフッ素系のシランカップリング剤で疎水化処理を行った。 実施例1と同じ条件で、ウェブを上記モスアイガラスロールマスタと圧着させながら密着させ、ウェブの裏面側から300mJ/cmの条件で高圧水銀灯を用いて露光した。連続してウェブを搬送しモールドから硬化後のウェブを剥離することで、微細パターン付きウェブを得た。この微細パターン付きウェブを2次乾燥室において190℃の加熱温度で20分間加熱した。このようにして得られたポリマーフィルムは、ガラスロールマスタのパターンが再現性よく転写され、反射率が低く、且つ強度が強いポリマーフィルムが得られることが確認された。
評価方法
(1)鉛筆硬度試験
ポリマーフィルムを、25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、JIS−S6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS−K5400が規定する鉛筆硬度評価法に従い、500gのおもりを用いて硬度3Hの鉛筆でポリマーフィルム表面側を5回繰り返し引っ掻き、傷が視認されない本数をカウントして得点とした。すなわち5回全てで傷が付く場合は0点であり、1回も傷が付かない場合は5点となる。なお、JIS−K5400で定義される傷は塗膜の破れ、塗膜のすり傷であり、塗膜のへこみは対象としないと記載されているが、本評価では、塗膜のへこみも含めて傷と判断する。
(2)干渉ムラの評価
作製したポリマーフィルムについて、干渉ムラを、以下の方法により評価した。
ポリマーフィルムの裏面側に粘着剤を介して黒色に着色したアクリル板を貼合し、ポリマーフィルムの表面側から三波長蛍光灯(ナショナルパルック蛍光灯FL20SS・EX−D/18)でサンプルを照らして、干渉ムラ(不規則な形状を有し、場所によってマゼンタ色を帯びたり緑色を帯びたりする)の発生を観察した。干渉ムラが僅かでも視認されたら不合格(B評価)とし、全く見えないときを合格(A評価)とした。





上記表において、
「樹脂1」は、セルロースアセテート(置換度2.86,重合度350)を示す。
「樹脂2」は、セルロースアセテート(置換度2.70,重合度350)を示す。
「DPHA」は、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(日本化薬(株)製)を示す。表2におけるDPHAの「分子量」は「重量平均分子量」である。「A−TMMT」は、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業(株)製)を示す。「Irg−OXE01」は、BASF製の光重合開始剤「イルガキュアOXE01」を示す。
イルガキュアOXE01はセルロースアセテート(置換度2.86,重合度350)
100質量部に対して3質量部添加し、固形分濃度は24質量%となるように溶剤量を調整した。
評価結果
実施例と比較例との対比により、実施例で作製されたポリマーフィルムは、鉛筆硬度試験、干渉ムラ評価の両試験方法において良好な結果を示す(高い耐擦傷性を有する)ことが確認できる。
なお、実施例46のポリマーフィルムは高硬度及び干渉ムラ抑制の観点では優れていたが、トムソン刃で打ち抜いた際にクラックが入る場合があった。同条件で、共流延で作製した実施例1では打ち抜きが良好であったことから、共流延は裁断性の観点でより好ましいことを確認した。
<偏光板の作製>
(偏光板保護フィルムの鹸化処理)
実施例1〜48で得られた各ポリマーフィルムを、2.3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で3分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、更に100℃の温風で乾燥した。このようにしてポリマーフィルムについて表面側・裏面側の表面の鹸化処理を行った。
(偏光板の作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムに沃素を吸着させて偏光子を作製した。
鹸化処理したポリマーフィルムを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、ポリマーフィルムの表面側が最表層に位置するように、ポリマーフィルムの裏面側に偏光子の片側面に貼り付けた。市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム製)に同様の鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記で作製した各ポリマーフィルムを貼り付けてある側とは反対側の偏光子の面に鹸化処理後のセルローストリアセテートフィルムを貼り付けた。
この際、偏光子の透過軸とポリマーフィルムの遅相軸とは平行するように配置した。また、偏光子の透過軸と市販のセルローストリアセテートフィルムの遅相軸については、直交するように配置した。
このようにして実施例で得たポリマーフィルムを保護フィルムとして含む偏光板を作製した。
<液晶表示装置の作製>
市販の液晶テレビ(SONY製:ブラビアJ5000)の視認側の偏光板を剥がし、作製した各偏光板を、上記各実施例のポリマーフィルムが液晶セル側と反対側となるように、粘着剤を介して、視認側(観察者側)に一枚ずつ貼り付けて液晶表示装置を得た。
このようにして液晶表示装置を作製した。
作製した液晶表示装置の表示性能は良好であった。
本発明は、液晶表示装置等の各種画像表示装置の製造分野において有用である。
10,100 溶液流延製膜装置
12,125 流延室
13 ピンテンタ
15,115 乾燥室(加熱室)
16,116 冷却室
17 巻取室
21,129 流延ダイ
22 流延ドラム
23,147 減圧チャンバ
24 剥取ローラ
28,131 ドープ
40,136 ウェブ
43 温調装置
50 渡り部
52 支持ローラ
61 保持装置
66 冷風供給機
70 フィルム
75,93,143 耳切装置
83 吸着回収装置
98 巻取機
112 流延装置
113 クリップテンタ
117 巻取装置
121 ダイユニット
122 バンド

Claims (14)

  1. 有機溶剤可溶性樹脂と重合性化合物とを含むドープを流延してウェブを形成する流延工程と、
    前記ウェブに紫外線を照射し、前記重合性化合物の反応率を3%以上30%以下にする紫外線照射工程と、
    前記紫外線照射されたウェブを140℃以上で加熱して、ポリマーフィルムを得る加熱工程と、
    を有するポリマーフィルムの製造方法。
  2. 前記重合性化合物の分子量は300以上20000以下である請求項1に記載のポリマーフィルムの製造方法。
  3. 前記紫外線照射工程における重合性化合物の反応率が3%以上10%以下である請求項1又は2に記載のポリマーフィルムの製造方法。
  4. 前記加熱工程における加熱温度が180℃以上210℃以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリマーフィルムの製造方法。
  5. 前記ドープ中において、前記有機溶剤可溶性樹脂100質量部に対して前記重合性化合物は100質量部以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリマーフィルムの製造方法。
  6. 前記有機溶剤可溶性樹脂はセルロースアシレートである請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリマーフィルムの製造方法。
  7. 前記セルロースアシレートのアセチル基置換度が2.7以上3.0以下である請求項6に記載のポリマーフィルムの製造方法。
  8. 前記ドープは光重合開始剤を含まないものである請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリマーフィルムの製造方法。
  9. 前記紫外線照射工程において、紫外線の照射量を150mJ/cm以上2000mJ/cm以下とする請求項8に記載のポリマーフィルムの製造方法。
  10. 前記ドープは光重合開始剤を含むものである請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリマーフィルムの製造方法。
  11. 前記紫外線照射工程において、紫外線の照射量を30mJ/cm以下とする請求項10に記載のポリマーフィルムの製造方法。
  12. 前記流延工程において、
    有機溶剤可溶性樹脂及び重合性化合物を含む第1のドープと、
    有機溶剤可溶性樹脂を含み前記第1のドープとは異なる第2のドープと、
    を共流延する請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリマーフィルムの製造方法。
  13. 前記紫外線照射工程において、前記ウェブを凹凸を有する鋳型に密着させ、ウェブの鋳型と反対側の面から紫外線を照射する請求項1〜12のいずれか1項に記載のポリマーフィルムの製造方法。
  14. 前記凹凸を有する鋳型の凹凸形状が反射防止機能を形成しうる微細凹凸である請求項13に記載のポリマーフィルムの製造方法。
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