つぎに、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明による光学フィルムは、溶液流延製膜法により、樹脂溶液(ドープ)を流延支持体上に流延し、流延膜(ウェブ)が支持体上を移行する間に、ウェブの表面に、常圧プラズマ装置により、0.1〜36W/cm2 の処理強度および0.001〜0.6秒間の処理条件でプラズマ照射による高エネルギー処理を施し、あるいはまたエキシマUV照射装置により、1〜3000mJ/cm2 の光量および0.001〜0.6秒間の処理条件で、エキシマUV照射による高エネルギー処理を施すことにより作製された光学フィルムであって、高エネルギー処理されたフィルムの表面エネルギーが、60〜100mN/mであることを特徴としている。
すなわち、本発明による光学フィルムの製造方法は、ドープを金属支持体上に流延した流延膜を、いわゆるオンラインで、金属支持体上で搬送されている間の任意の区間において、常圧プラズマ装置やエキシマUV装置により高エネルギー表面処理を施すことにより、流延膜の表面を改質するものである。
本発明による光学フィルムは、流延膜表面を、このような高エネルギー表面処理することによって、接着性を大幅に向上させることができ、経時劣化をなくすことができた。
さらには、液膜にラジカル含有ガスを吹き付けるため、流延膜表面は溶剤が蒸発して固まり、その後の搬送で吹き付けられる乾燥風による表面の乱れがなく、平面性に優れる。
このような常圧プラズマ装置、エキシマUV装置よる高エネルギー表面処理については、現時点では、そのメカニズムは十分、解明されていないため、推測であるが、一般に基材にプラズマ処理を施すと、基材表面に酸素を含んだ官能基が形成し、接着性が向上する。しかし、この官能基は経時で反転し、基材内部に潜り込むため、接着性は処理前同等に戻ってしまう。
ところが、本発明のように、樹脂が溶剤を含んだ状態、すなわちまだ柔らかい液膜状態時に高エネルギー処理することにより、処理面に活性層、官能基が形成されてからフィルムが固まっていくため、処理層が安定化し、従来のように出来上がったフィルムに処理した場合と比較して接着性が大きく向上し、さらに経時劣化を小さくすることができるものと考えられる。
以上のように、本発明による光学フィルムによれば、接着性の経時劣化解消により、加工性の高い偏光板用保護フィルムおよびこれらを用いた偏光板、液晶ディスプレイを提供することができるものである。
以下、本発明による光学フィルムの製造方法について詳しく述べる。フィルムは、溶液流延製膜方法により作製できる。
図1は、本発明の光学フィルムを溶液流延製膜法により製造する装置の具体例を示すフローシートである。なお、本発明の実施にあたっては、以下に示す図面のプロセスに限定されるものではない。
同図において、まず、溶解釜(1)で、例えばセルロースエステル系樹脂を、良溶媒及び貧溶媒の混合溶媒に溶解し、これに可塑剤や紫外線吸収剤等の添加剤を添加して樹脂溶液(ドープ)を調製する。
ついで、溶解釜(1)で調整されたドープを、例えば加圧型定量ギヤポンプ(2)を通して、導管によって流延ダイ(3)に送液し、無限に移送する例えば回転駆動ステンレス鋼製エンドレスベルトよりなる金属製支持体(6)上の流延位置に、流延ダイ(3)からドープを流延する。
ここで、ドープを流延する金属支持体(6)は、例えばステンレス鋼(SUS316やSUS304)製であり、その表面の走査型原子間力顕微鏡(AFM)による3次元表面粗さ(Ra)が、平均1.0nmの超鏡面に研磨したエンドレスベルト(6)を用いる。
流延ダイ(3)によるドープの流延には、流延されたドープ膜(ウェブ)をブレードで膜厚を調節するドクターブレード法、あるいは逆回転するロールで調節するリバースロールコーターによる方法等があるが、口金部分のスリット形状を調製でき、膜厚を均一にしやすい加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があるが、何れも好ましく用いられる。
なお、流延ダイ(3)としては、口金部分のスリット形状を調製でき、膜厚を均一にしやすい加圧ダイが好ましい。また、流延ダイ(3)には、通常、減圧チャンバ(4)が付設されている。
ここで、セルロースエステル溶液(ドープ)の固形分濃度が、15〜30重量%であるのが、好ましい。セルロースエステル溶液(ドープ)の固形分濃度が、15重量%未満であれば、金属支持体(6)上で充分な乾燥ができず、剥離時にドープ膜の一部が金属支持体(6)上に残り、ベルト汚染につながるため、好ましくない。また固形分濃度が30重量%を超えると、ドープ粘度が高くなり、ドープ調整工程でフィルター詰まりが早くなったり、金属支持体(6)上への流延時に圧力が高くなり、押し出せなくなるため、好ましくない。
金属製支持体(6)として回転駆動エンドレスベルトを具備する図示の製膜装置では、ベルト金属製支持体(6)は、前後一対の巻回ドラム(5)(5)および中間の複数のロール(図示略)より保持されている。
回転駆動エンドレスベルト金属製支持体(6)の両端巻回部の巻回ドラム(5)(5)の一方、もしくは両方に、ベルト金属製支持体(6)に張力を付与する駆動装置が設けられ、これによってベルト金属製支持体(7)は張力が掛けられて張った状態で使用される。
金属支持体(6)の幅は1700〜2500mm、セルロースエステル溶液の流延幅は1600〜2400mm、巻き取り後のフィルムの幅は1400〜2400mmであるのが好ましい。これにより、金属支持体方式によって幅の広い液晶表示装置用光学フィルムを製造することができる。
また、金属支持体(6)の周速度が40〜200m/minであるのが、好ましい。
金属製支持体(6)としてエンドレスベルトを用いる場合には、製膜時のベルト温度は、一般的な温度範囲0℃〜溶剤の沸点未満の温度、混合溶剤では最も沸点の低い溶剤の沸点未満の温度で流延することができ、さらには5℃〜(溶剤沸点−5℃)の範囲が、より好ましい。このとき、周囲の雰囲気湿度は露点以上に制御する必要がある。
上記のようにして金属支持体(6)表面に流延されたドープは、剥ぎ取りまでの間で乾燥が促進されることによってもゲル膜の強度(フイルム強度)が増加する。
金属製支持体(6)としてエンドレスベルトを用いる方式においては、金属製支持体(6)上では、ウェブ(9)が金属製支持体(6)から剥離ロール(8)によって剥離可能な膜強度となるまで乾燥固化させるため、ウェブ(9)中の残留溶媒量が150重量%以下まで乾燥させるのが好ましく、80〜120重量%が、より好ましい。また、金属製支持体(6)からウェブ(9)を剥離するときのウェブ温度は、0〜30℃が好ましい。また、ウェブ(9)は、金属製支持体(6)からの剥離直後に、金属製支持体(6)密着面側からの溶媒蒸発で温度が一旦急速に下がり、雰囲気中の水蒸気や溶剤蒸気など揮発性成分がコンデンスしやすいため、剥離時のウェブ温度は5〜30℃がさらに好ましい。
ここで、残留溶媒量は、下記の式で表わせる。
残留溶媒量(重量%)={(M−N)/N}×100
式中、Mはウェブの任意時点での重量、Nは重量Mのものを温度110℃で、3時間乾燥させたときの重量である。
高エネルギー処理時の流延膜の残留溶媒量は300〜100重量%が好ましい。さらに好ましくは200〜150重量%で処理することである。ここで、残留溶媒量が300重量%以上であれば、処理層、官能基が直ちに流延膜内部に潜り込んでしまうので好ましくない。また、残留溶媒量が100重量%以下であれば安定な処理層が形成されず、経時で処理前の表面状態に戻ってしまうため好ましくない。
エンドレスベルト金属製支持体(6)上に流延されたドープにより形成されたドープ膜(ウェブ)(9)を、金属製支持体(6)上で加熱し、金属製支持体(6)から剥離ロール(8)によってウェブが剥離可能になるまで溶媒を蒸発させる。
溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法、及び/または金属製支持体(6)の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等がある。
金属製支持体(6)にエンドレスベルトを用いる方式においては、金属製支持体(6)とウェブ(9)を剥離ロール(8)によって剥離する際の剥離張力は、通常、50N/m〜200N/mで剥離が行なわれるが、従来よりも薄膜化されている本発明による光学フィルムでは、剥離の際にウェブ(9)の残留溶媒量が多く、搬送方向に伸びやすいために、幅手方向にフィルムは縮みやすく、乾燥と縮みが重なると、端部がカールし、折れ込むことにより、シワが入りやすいため、剥離できる最低張力〜170N/mで剥離することが好ましく、さらに好ましくは、最低張力〜140N/mで剥離することである。
本発明において、金属支持体(6)上でウェブ(9)が剥離可能な膜強度となるまで乾燥固化させた後に、ウェブ(9)を剥離ロール(8)によって剥離し、ついで、後述する延伸工程のテンター(11)においてウェブ(9)を延伸する。
図2は、本発明の光学フィルムを、溶液流延製膜法により製造する装置のいま1つの具体例を示すフローシートで、ドープを流延する金属支持体(7)は、例えばステンレス鋼製のドラムの表面にハードクロムメッキ処理を施したものであり、その表面の走査型原子間力顕微鏡(AFM)による3次元表面粗さ(Ra)が、平均1.0nmの超鏡面に研磨したドラム(7)を用いる。
なお、図2の光学フィルム製造装置のその他の点は、上記図1の光学フィルム製造装置の場合と同様であるので、図面において同一のものには、同一の符号を付した。
本発明による光学フィルムは、溶液流延製膜法により、樹脂溶液(ドープ)を流延支持体(6)(7)上に流延し、流延膜(ウェブ)(9)が支持体上(6)(7)を移行する間に、ウェブ(9)の表面に、常圧プラズマ装置により0.1〜36W/cm2 の処理強度および0.001〜0.6秒間の処理条件でプラズマ照射による高エネルギー処理を施し、あるいはまたエキシマUV照射装置により、1〜3000mJ/cm2 の光量および0.001〜0.6秒間の処理条件で、エキシマUV照射による高エネルギー処理を施すことにより、ウェブ(9)の表面を改質するものである。
ここで、常圧プラズマ装置の処理強度(W/cm2 )は、リアクタの対向電極間に供給する電力であり、電極の印加面積(/cm2 )は、放電が起こる範囲の面積のことを指す。
本発明による光学フィルムは、上記の高エネルギー処理されたフィルムの表面エネルギーが、60〜100mN/mであることを特徴としている。
ここで、高エネルギー表面処理を行なう場所、換言すれば、常圧プラズマ装置またはエキシマUV照射装置よりなる高エネルギー表面処理装置(20)を設置する場所は、図1と図2に示す溶液流延製膜法による光学フィルムの製造装置において、それぞれ符号「A」で示す区間である。換言すれば、高エネルギー表面処理装置(20)を設置する場所は、ドープが金属支持体(6)(7)上へ流延された直後からウェブ(フィルム)(9)が剥離される間の区間(A)に限られる。
上記常圧プラズマ装置による高エネルギー処理の処理条件において、処理強度が、0.1W/m2 未満であれば、表面改質の効果が弱く、十分な接着性が得られないので、好ましくない。また処理強度が、36W/cm2 を超えると、フィルム表面が劣化するので、好ましくない。またプラズマ照射の時間が、0.001秒未満であれば、表面改質の効果が弱く、短時間で処理前の表面状態に戻ってしまうので、好ましくない。プラズマ照射の時間が、0.6秒を超えると、いわゆる、弱境界層(Weak Boundary Layer:WBL)が形成され、逆に密着性が低下するので、好ましくない。
一方、エキシマUV照射装置による高エネルギー処理の処理条件において、光量が、1mJ/cm2 未満であれば、表面改質の効果が弱く、十分な接着性が得られないので、好ましくない。また光量が、3000mJ/cm2 を超えると、フィルム表面が劣化するので、好ましくない。またエキシマUV照射の時間が、0.001秒未満であれば、表面改質の効果が弱く、短時間で処理前の表面状態に戻ってしまうので、好ましくない。エキシマUV照射の時間が、0.6秒を超えると、弱境界層(WBL)が形成され、逆に密着性が低下するので、好ましくない。
本発明による光学フィルムは、高エネルギー処理されたフィルムの表面エネルギーが、60mN/m未満であれば、十分な接着性が得られていないので、好ましくない。また、高エネルギー処理されたフィルムの表面エネルギーが、100mN/mを超えると、密着性が高過ぎて貼り付き等の故障が発生してしまうので、好ましくない。
つぎに、本発明による光学フィルムの製造に用いる常圧プラズマ装置について、詳細に説明する。
本実施の形態における常圧プラズマ装置は、対向する電極間に、高周波電圧を印加して放電させることにより、反応性ガスをプラズマ状態とし、流延膜表面をこのプラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、流延膜の表面を改質するものである。
常圧プラズマ装置には、被処理基板をはさむように対向配置された電極間に高周波電力を加えて、供給ガスをプラズマ化するダイレクト方式、プラナー方式と呼ばれる方式と、反応性ガスを高周波電圧が加えられた電極の間を通して導入し、プラズマ化するリモート式、ダウンストリーム方式と呼ばれる方式とがあり、いずれの方式も本発明に使えるが、本実施の形態の光学フィルムの製造方法では、流延膜表面への表面処理膜形成には、後者のリモート方式、ダウンストリーム方式と呼ばれる方式を用いるのが好ましい。
図3は、常圧プラズマ装置の原理を説明するための説明図である。
図3において、(a)、(b)は常圧プラズマ装置の対向電極、(g)は反応性ガス、(s)は流延膜である。
図3における常圧プラズマ装置の簡単な構造として、高周波電圧が加えられた対向電極(a)、(b)間に、反応性ガス(g)を導入、通過させてプラズマ化し、流延膜(s)表面に噴射供給し、表面処理膜を形成する。
本実施の形態においては、このようなハイパワーの電圧を印加して、均一なグロー放電状態を保つことができる電極を常圧プラズマ装置に採用する必要がある。
このような電極としては、金属母材上に誘電体を被覆したものであることが好ましい。少なくとも対向する印加電極とアース電極の片側に誘電体を被覆すること、さらに好ましくは、対向する印加電極とアース電極の両方に誘電体を被覆することである。誘電体としては、比誘電率が6〜45の無機物であることが好ましく、このような誘電体としては、アルミナ、窒化珪素等のセラミックス、あるいは、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス等のガラスライニング材等が挙げられる。
また、透明フィルム基材であるセルロースエステルフィルムを、電極間に載置あるいは電極間を搬送してプラズマに晒す場合には、透明フィルム基材を片方の電極に接して搬送できるロール電極仕様にするだけでなく、さらに、誘電体表面を研磨仕上げし、電極の表面粗さRmax(JIS B 0601)を10μm以下にすることで、誘電体の厚み、及び電極間のギャップを一定に保つことができ、放電状態を安定化できること、さらに熱収縮差や残留応力による歪やひび割れを無くし、かつポーラスで無い高精度の無機誘電体を被覆することで、大きく耐久性を向上させることができるため、好ましい。
また、プラズマの噴射供給を行う吹出しスリットと流延膜(s)の表面との間隙は、0.5〜6mmが好ましく、さらには、1〜4mmがより好ましい。近づけすぎると、流延膜(s)の表面に接触、損傷させる危険があり、離しすぎると、表面の改質の効果が弱くなる。
また、反応ガス(g)には、窒素や酸素、アルゴン、ヘリウムなど種々のものが利用可能であるが、環境面、排気の後処理、ランニングコストの観点から、窒素が好ましく、さらには窒素に微量の酸素を混合する好ましい。酸素の混合比率は、原料ガスの体積に対して2体積%以下が望ましい。
また、常圧プラズマの原料ガスの風量は、プラズマ照射の有効幅1m当たり、20〜5000L/minが望ましい。さらには、40〜2500L/minがより好ましい。
しかしながら、このプラズマ処理は、同時にフィルム表面を劣化させる作用があることから、プラズマ処理強度が、ある上限を超えると、いわゆる、弱境界層(Weak Boundary Layer:WBL)が形成され、逆に密着性が低下する。
また、常圧プラズマ装置では、誘導電流あるいは放電による流延膜表面の粗面化等のダメージが懸念されるため、シールド機構を有する装置を用いるのが望ましい。
つぎに、本発明による光学フィルムの製造に用いるエキシマUV装置について説明する。
図4は、エキシマUV装置の原理を説明するための説明図である。
同図において、(u)はエキシマUVランプ、(r)は反射板、(p)はパージガス、(s)は流延膜である。
本発明においては、図4に示すエキシマUVランプ(u)を用いて、主として波長が172nmの紫外線を1〜3,000mJ/cm2 の光量で、流延膜(s)に照射するものである。このような紫外線をポリマーフィルムの表面に照射した場合には、表面にヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基等の親水性基を生成し、密着性を向上させることができる。
また、エキシマUVランプ(u)と流延膜(s)との間隙は、近づけすぎると流延膜表面に接触、損傷させる危険があり、離しすぎると、酸素や水に、エキシマUVの高エネルギーが吸収されてしまい、流延膜表面の改質の効果が弱くなるため、0.5〜4mmが好ましく、さらには、1〜3mmがより好ましい。
これらの高エネルギー表面処理装置を、光学用途のフィルム製膜ラインに持ち込む場合には、クリーン度維持の対策が課題となる。特に、構造上、発塵したものをライン内に吐き出す構造の常圧プラズマ装置では、クリーン度維持の対策が重要である。
本発明による光学フィルムは、溶液流延製膜法により、樹脂溶液(ドープ)を流延支持体(6)(7)上に流延し、流延膜(ウェブ)(9)が支持体上(6)(7)を移行する間に、ウェブ(9)の表面に、常圧プラズマ装置により0.1〜36W/cm2 の処理強度および0.001〜0.6秒間の処理条件でプラズマ照射による高エネルギー処理を施し、あるいはまたエキシマUV照射装置により、1〜3000mJ/cm2 の光量および0.001〜0.6秒間の処理条件で、エキシマUV照射による高エネルギー処理を施すことにより、流延膜(9)の表面を改質するものである。
高エネルギー表面処理を行なう場所は、前述したように、ドープを金属支持体上(6)(7)に流延して製膜中の場合は、図1と図2に符号「A」で示す区間である。すなわちドープが金属支持体(6)(7)上へ流延された直後からウェブ(フィルム)(9)が剥離される間の区間(A)に限られる。
本発明によれば、流延膜表面を高エネルギー処理により改質することで、接着性を大幅に向上、経時劣化を解消できるとともに、流延膜表面を固め、平面性を向上することができ、ひいては近年の偏光板用保護フィルム等の薄膜化、広幅化、及び高品質化の要求に応えることができるものである。
つぎに、本発明において、光学フィルムを製造するための樹脂溶液(ドープ)は、主材としてセルロースエステル樹脂等の樹脂を含み、これらに、可塑剤、リタデーション調整剤、紫外線吸収剤、微粒子、及び低分子量物質のうちの少なくとも1種以上の物質と、溶媒とを含むものである。
以下、これらについて説明する。
本発明の光学フィルムを製造する方法においては、フィルム材料として、種々の樹脂を用いることができるが、中でもセルロースエステルが好ましい。
セルロースエステルは、セルロース由来の水酸基がアシル基などで置換されたセルロースエステルである。例えば、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレートなどのセルロースアシレートや、脂肪族ポリエステルグラフト側鎖を有するセルロースアセテートなどが挙げられる。中でも、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、脂肪族ポリエステルグラフト側鎖を有するセルロースアセテートが好ましい。本発明の効果を阻害しない範囲であれば、その他の置換基が含まれていてもよい。
セルローストリアセテートの例としては、アセチル基の置換度が2.0以上3.0以下であることが好ましい。置換度をこの範囲にすることで、良好な成形性が得られ、かつ所望の面内方向リタデーション(Ro)、及び厚み方向リタデーション(Rt)を得ることができるのである。アセチル基の置換度が、この範囲より低いと、位相差フィルムとしての耐湿熱性、特に湿熱下での寸法安定性に劣る場合があり、置換度が大きすぎると、必要なリタデーション特性が発現しなくなる場合がある。
本発明の光学フィルムに用いられるセルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどを挙げることができる。また、それらから得られたセルロースエステルは、それぞれ任意の割合で混合使用することができる。
本発明において、セルロースエステルの数平均分子量は、60000〜300000の範囲が、得られるフィルムの機械的強度が強く好ましい。さらに70000〜200000が好ましい。
本発明において、セルロースエステルには、種々の添加剤を配合することができる。
本発明による光学フィルムを製造する方法では、セルロースエステルと厚み方向リタデーション(Rt)を低減する添加剤とを含有するドープ組成物を用いるのが、好ましい。
本発明において、セルロースエステルフィルムの厚み方向リタデーション(Rt)を低減することが、IPSモードで動作する液晶表示装置の視野角拡大の意味において重要であるが、本発明において、このような厚み方向リタデーション(Rt)を低減する添加剤としては、下記のものが挙げられる。
一般に、セルロースエステルフィルムのリタデーションは、セルロースエステル由来のリタデーションと、添加剤由来のリタデーションの和として現れる。従って、セルロースエステルのリタデーションを低減させるための添加剤とは、セルロースエステルの配向を乱し、かつ自身が配向しにくいおよび/または分極率異方性が小さい添加剤が厚み方向リタデーション(Rt)を効果的に低下させる化合物である。従って、セルロースエステルの配向を乱すための添加剤としては、芳香族系化合物より、脂肪族系化合物が好ましい。
ここで、具体的なリタデーション低減剤として、例えば、つぎの一般式(1)または(2)で表わされるポリエステルが挙げられる。
B1−(G−A−)mG−B1 …(1)
B2−(G−A−)nG−B2 …(2)
上記式中、B1はモノカルボン酸成分を表わし、B2はモノアルコール成分を表わし、Gは2価のアルコール成分を表わし、Aは2塩基酸成分を表わし、これらによって合成されたことを表わす。B1、B2、G、およびAは、いずれも芳香環を含まないことが特徴である。m、nは、繰り返し数を表わす。
B1で表わされるモノカルボン酸成分としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸等を用いることができる。
好ましいモノカルボン酸の例としては、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることがさらに好ましく、炭素数1〜12であることが特に好ましい。酢酸を含有させると、セルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましいモノカルボン酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
B2で表わされるモノアルコール成分としては、特に制限はなく、公知のアルコール類を用いることができる。例えば炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪族飽和アルコールまたは脂肪族不飽和アルコールを好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることがさらに好ましく、炭素数1〜12であることが特に好ましい。
Gで表わされる2価のアルコール成分としては、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等を挙げることができるが、これらのうち、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールが好ましく、さらに、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールが好ましく用いられる。
Aで表わされる2塩基酸(ジカルボン酸)成分としては、脂肪族2塩基酸、脂環式2塩基酸が好ましく、例えば脂肪族2塩基酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等、特に、脂肪族カルボン酸としては、炭素数4〜12を有するもの、これらから選ばれる少なくとも1つのものを使用する。つまり、2種以上の2塩基酸を組み合わせて使用してよい。
上記の一般式(1)または(2)における繰り返し数m、nは、1以上で170以下が好ましい。
ポリエステルの重量平均分子量は、20000以下が好ましく、10000以下であることがさらに好ましい。特に重量平均分子量が500〜10000のポリエステルは、セルロースエステルとの相溶性が良好で、製膜において蒸発も揮発も起こらない。
ポリエステルの重縮合は常法によって行なわれる。例えば上記2塩基酸とグリコールの直接反応、上記の2塩基酸またはこれらのアルキルエステル類、例えば2塩基酸のメチルエステルとグリコール類とのポリエステル化反応またはエステル交換反応により熱溶融縮合法か、あるいはこれらの酸の酸クロライドとグリコールとの脱ハロゲン化水素反応の何れかの方法により用意に合成し得るが、重量平均分子量がさほど大きくないポリエステルは直接反応によるのが、好ましい。低分子量側に分布が高くあるポリエステルは、セルロースエステルとの相溶性が非常によく、フィルム形成後、透湿度も小さく、しかも透明性に富んだセルロースエステルフィルムを得ることができる。
分子量の調節方法は、特に制限がなく、従来の方法を使用できる。例えば、重合条件にもよるが、1価の酸または1価のアルコールで分子末端を封鎖する方法により、これらの1価のものの添加する量によりコントロールできる。この場合、1価の酸がポリマーの安定性から好ましい。例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸等を挙げることができるが、重縮合反応中には系外に溜去せず、停止して、このような1価の酸を反応系外に除去するときに溜去しやすいものが選ばれる。これらを混合使用しても良い。また、直接反応の場合には、反応中に溜去してくる水の量により反応を停止するタイミングを計ることよっても重量平均分子量を調節できる。その他、仕込むグリコールまたは2塩基酸のモル数を偏らせることよってもできるし、反応温度をコントロールしても調節できる。
上記一般式(1)または(2)で表わされるポリエステルは、セルロースエステルに対し、1〜40重量%含有することが好ましい。特に5〜15重量%含有することが好ましい。
本発明において、厚み方向リタデーション(Rt)を低減する添加剤としては、さらに下記のものが挙げられる。
本発明の光学フィルムの製造に使用するドープは、主に、セルロースエステル、リタデーション(Rt)を低減する添加剤としてのポリマー(エチレン性不飽和モノマーを重合して得られるポリマー、アクリル系ポリマー)、及び有機溶媒を含有する。
本発明において、厚み方向リタデーション(Rt)を低減する添加剤としてのポリマーを合成するには、通常の重合では分子量のコントロールが難しく、分子量をあまり大きくしない方法でできるだけ分子量を揃えることのできる方法を用いることが望ましい。かかる重合方法としては、クメンペルオキシドやt−ブチルヒドロペルオキシドのような過酸化物重合開始剤を使用する方法、重合開始剤を通常の重合より多量に使用する方法、重合開始剤の他にメルカプト化合物や四塩化炭素等の連鎖移動剤を使用する方法、重合開始剤の他にベンゾキノンやジニトロベンゼンのような重合停止剤を使用する方法、さらに特開2000−128911号公報または特開2000−344823号公報にあるような一つのチオール基と2級の水酸基とを有する化合物、あるいは、該化合物と有機金属化合物を併用した重合触媒を用いて塊状重合する方法等を挙げることができ、何れも本発明において好ましく用いられるが、特に、該公報に記載の方法が好ましい。
本発明において、有用な厚み方向リタデーション(Rt)を低減する添加剤としてのポリマーを構成するモノマー単位としてのモノマーを下記に挙げるがこれに限定されない。
エチレン性不飽和モノマーを重合して得られる厚み方向リタデーション(Rt)を低減する添加剤としてのポリマーを構成するエチレン性不飽和モノマー単位としては、まず、ビニルエステルとして、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、オクチル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等が挙げられる。
つぎに、アクリル酸エステルとして、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェネチル、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸−p−ヒドロキシメチルフェニル、アクリル酸−p−(2−ヒドロキシエチル)フェニル等;メタクリル酸エステルとして、上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものが挙げられる。
さらに、不飽和酸として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸等を挙げることができる。
上記モノマーで構成されるポリマーはコポリマーでもホモポリマーでもよく、ビニルエステルのホモポリマー、ビニルエステルのコポリマー、ビニルエステルとアクリル酸またはメタクリル酸エステルとのコポリマーが好ましい。
本発明において、アクリル系ポリマーという(単にアクリル系ポリマーという)のは、芳香環あるいはシクロヘキシル基を有するモノマー単位を有しないアクリル酸またはメタクリル酸アルキルエステルのホモポリマーまたはコポリマーを指す。
芳香環及びシクロヘキシル基を有さないアクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−メトキシエチル)、アクリル酸(2−エトキシエチル)等、または上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものを挙げることができる。
アクリル系ポリマーは、上記モノマーのホモポリマーまたはコポリマーであるが、アクリル酸メチルエステルモノマー単位が30重量%以上を有していることが好ましく、また、メタクリル酸メチルエステルモノマー単位が40重量%以上有することが好ましい。特にアクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルのホモポリマーが好ましい。
上述のエチレン性不飽和モノマーを重合して得られるポリマー、アクリル系ポリマーは、いずれもセルロースエステルとの相溶性に優れ、蒸発や揮発もなく生産性に優れ、偏光板用保護フィルムとしての保留性がよく、透湿度が小さく、寸法安定性に優れている。
本発明において、水酸基を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマーの場合はホモポリマーではなく、コポリマーの構成単位である。この場合、好ましくは、水酸基を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマー単位がアクリル系ポリマー中2〜20重量%含有することが好ましい。
本発明の光学フィルムを製造する方法においては、ドープ組成物が、セルロースエステルと、厚み方向リタデーション(Rt)を低減する添加剤としての重量平均分子量500以上3000以下のアクリル系ポリマーとを含有することが好ましい。
また、本発明の光学フィルムを製造する方法においては、ドープ組成物が、セルロースエステルと、厚み方向リタデーション(Rt)を低減する添加剤としての重量平均分子量5000以上30000以下のアクリル系ポリマーとを含有するが好ましい。
本発明において、厚み方向リタデーション(Rt)を低減する添加剤としてのポリマーの重量平均分子量が500以上3000以下、あるいはまたポリマーの重量平均分子量が5000以上30000以下のものであれば、セルロースエステルとの相溶性が良好で、製膜中において蒸発も揮発も起こらない。また、製膜後のセルロースエステルフィルムの透明性が優れ、透湿度も極めて低く、偏光板用保護フィルムとして優れた性能を示す。
本発明において、厚み方向リタデーション(Rt)を低減する添加剤として、側鎖に水酸基を有するポリマーも好ましく用いることができる。水酸基を有するモノマー単位としては、前記したモノマーと同様であるが、アクリル酸またはメタクリル酸エステルが好ましく、例えば、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸−p−ヒドロキシメチルフェニル、アクリル酸−p−(2−ヒドロキシエチル)フェニル、またはこれらアクリル酸をメタクリル酸に置き換えたものを挙げることができ、好ましくは、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル及びメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルである。ポリマー中に水酸基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルモノマー単位はポリマー中2〜20重量%含有することが好ましく、より好ましくは2〜10重量%である。
前記のようなポリマーが上記の水酸基を有するモノマー単位を2〜20重量%含有したものは、勿論、セルロースエステルとの相溶性、保留性、寸法安定性が優れ、透湿度が小さいばかりでなく、偏光板用保護フィルムとしての偏光子との接着性に特に優れ、偏光板の耐久性が向上する効果を有している。
また、本発明においては、上記ポリマーの主鎖の少なくとも一方の末端に水酸基を有することが好ましい。主鎖末端に水酸基を有するようにする方法は、特に主鎖の末端に水酸基を有するようにする方法であれば限定ないが、アゾビス(2−ヒドロキシエチルブチレート)のような水酸基を有するラジカル重合開始剤を使用する方法、2−メルカプトエタノールのような水酸基を有する連鎖移動剤を使用する方法、水酸基を有する重合停止剤を使用する方法、リビングイオン重合により水酸基を末端に有するようにする方法、特開2000−128911号公報または特開2000−344823号公報にあるような一つのチオール基と2級の水酸基とを有する化合物、あるいは、該化合物と有機金属化合物を併用した重合触媒を用いて塊状重合する方法等により得ることができ、特に該公報に記載の方法が好ましい。この公報記載に関連する方法で作られたポリマーは、綜研化学社製のアクトフロー・シリーズとして市販されており、好ましく用いることができる。
上記の末端に水酸基を有するポリマー及び/または側鎖に水酸基を有するポリマーは、本発明において、セルロースエステルに対するポリマーの相溶性、透明性を著しく向上する効果を有する。
本発明において、有用な厚み方向リタデーション(Rt)を低減する添加剤としては、上記のほかにも、例えば特開2000−63560号公報記載のジグリセリン系多価アルコールと脂肪酸とのエステル化合物、特開2001−247717号公報記載のヘキソースの糖アルコールのエステルまたはエーテル化合物、特開2004−315613号公報記載のリン酸トリ脂肪族アルコールエステル化合物、特開2005−41911号公報記載の一般式(1)で表わされる化合物、特開2004−315605号公報記載のリン酸エステル化合物、特開2005−105139号公報記載のスチレンオリゴマー、および特開2005−105140号公報記載のスチレン系モノマーの重合体が挙げられる。
また、本発明において、厚み方向リタデーション(Rt)を低減する添加剤は、以下の方法によっても見出すことができる。
セルロースエステルを酢酸メチルとアセトンからなる混合有機溶媒に溶解したドープ処方をガラス板上に製膜し、120℃/15minで乾燥して膜厚80μmのセルロースエステルフィルムを作成する。このセルロースエステルフィルムの厚み方向のリターデーションを測定して、これをRt1 とする。
つぎに、セルロースエステルに、上記ポリマー添加剤を10重量%添加し、酢酸メチルとアセトンからなる混合有機溶媒で溶解して、ドープ処方を作成する。このドープ処方を、上記と同様にして、膜厚80μmのセルロースエステルフィルムを作成する。このセルロースエステルフィルムの厚み方向のリターデーションを測定して、これをRt2 とする。
そして、上記の2つのセルロースエステルフィルムの厚み方向のリターデーションの関係が
Rt2 <Rt1
であれば、セルロースエステルに添加したポリマー添加剤は、厚み方向リタデーション(Rt)を低減する添加剤であると言える。
本発明において、セルロースエステルの厚み方向リタデーション(Rt)は、−10nm〜+10nm、好ましくは−5nm〜+5nmである。ここで、セルロースエステルの厚み方向リタデーション(Rt)が−10nmより小さい場合、あるいはまた+10nmより大きい場合のいずれの場合にも、視野角が狭くなり、本発明の効果が現れない。
また、本発明において、セルロースエステルの面内方向リタデーション(Ro)は、0nm〜+5nm、好ましくは0nm〜+2nm、さらに好ましくは0nm〜+1nm、特に好ましくは0nm程度である。ここで、面内方向リタデーション(Ro)が0nmより小さい場合、あるいはまた+5nmより大きい場合のいずれの場合にも、視野角が狭くなり、本発明の効果が現れない。
上述した厚み方向リタデーション(Rt)を低減する添加剤の含有量は、セルロースエステル系樹脂に対して5〜25重量%含有させることが好ましい。厚み方向リタデーション(Rt)を低減する添加剤の含有量が5重量%未満であれば、フィルムの厚み方向リタデーション(Rt)を低減する効果が発現しないので、好ましくない。また厚み方向リタデーション(Rt)を低減する添加剤の含有量が25重量%を超えると、いわゆるブリードアウトが生じるなど、フィルム中の安定性が低下するので、好ましくない。
本発明において、フィルムのリタデーション値は、自動複屈折率計KOBRA−21ADH(王子計測機器株式会社製)を用いて、590nmの波長において、三次元屈折率測定を行ない、得られた屈折率Nx、Ny、Nzから算出することができる。
Ro=(Nx−Ny)×d
Rt=((Nx+Ny)/2−Nz)×d
式中、Nx、Ny、Nzはそれぞれ屈折率楕円体の主軸x、y、z方向の屈折率を表わし、かつ、Nx、Nyはフィルム面内方向の屈折率を、Nzはフィルムの厚み方向の屈折率を表わす。また、Nx≧Nyであり、dはフィルムの厚み(nm)を表わす。
本発明において、セルロースエステルフィルムは、遅相軸方向と製膜方向とのなす角度θ(ラジアン)と面内方向のリタデーション値(Ro)が下記の関係にあり、特に偏光板用保護フィルム等のセルロースエステルフィルムとして好ましく用いられる。
P≦1−sin2(2θ)sin2(πRo/λ)
ここで、Pは0.9999以下である。
θはフィルム面内の遅相軸方向と製膜方向(フィルムの直尺方向)とのなす角度(°ラジアン)、λは上記Nx、Ny、Nz、θを求める三次元屈折率測定の際の光の波長590nm、πは円周率である。
本発明による光学フィルムを製造する方法において、上記セルロース誘導体に対して良好な溶解性を有する有機溶媒を良溶媒といい、また溶解に主たる効果を示し、その中で大量に使用する有機溶媒を主(有機)溶媒または主たる(有機)溶媒という。
良溶媒の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、蟻酸メチル、蟻酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、γ−ブチロラクトン等のエステル類の他、メチルセロソルブ、ジメチルイミダゾリノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルフォキシド、スルホラン、ニトロエタン、塩化メチレン、アセト酢酸メチルなどが挙げられるが、1,3−ジオキソラン、THF、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸メチル及び塩化メチレンが好ましい。
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40重量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。これらは、ドープを金属支持体に流延した後、溶媒が蒸発し始めてアルコールの比率が多くなることで、ウェブ(金属支持体上にセルロース誘導体のドープを流延した以降のドープ膜の呼び方をウェブとする)をゲル化させ、ウェブを丈夫にして、金属支持体から剥離することを容易にするゲル化溶媒として用いられたり、これらの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒のセルロース誘導体の溶解を促進したりする役割もある。
炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルを挙げることができる。これらのうち、ドープの安定性に優れ、沸点も比較的低く、乾燥性も良く、かつ毒性がないことなどからエタノールが好ましい。これらの有機溶媒は、単独ではセルロース誘導体に対して溶解性を有しておらず、貧溶媒という。
このような条件を満たす好ましい高分子化合物であるセルロース誘導体を高濃度に溶解する溶剤として最も好ましい溶剤は塩化メチレン:エチルアルコールの比が95:5〜80:20の混合溶剤である。あるいは、酢酸メチル:エチルアルコール60:40〜95:5の混合溶媒も好ましく用いられる。
本発明における光学フィルムには、フィルムに加工性・柔軟性・防湿性を付与する可塑剤、フィルムに滑り性を付与する微粒子(マット剤)、紫外線吸収機能を付与する紫外線吸収剤、フィルムの劣化を防止する酸化防止剤等を含有させてもよい。
本発明において使用する可塑剤としては、特に限定はないが、フィルムにヘイズを発生させたり、フィルムからブリードアウトあるいは揮発しないように、セルロース誘導体や加水分解重縮合が可能な反応性金属化合物の重縮合物と、水素結合などによって相互作用可能である官能基を有していることが好ましい。
このような官能基としては、水酸基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、カルボン酸残基、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基、スルホン酸残基、ホスホニル基、ホスホン酸残基等が挙げられるが、好ましくはカルボニル基、エステル基、ホスホニル基である。
このような可塑剤の例として、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、カルボン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤などを好ましく用いることができるが、特に好ましくは多価アルコールエステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤等の非リン酸エステル系可塑剤である。
多価アルコールエステルは、2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。
本発明に用いられる多価アルコールは、つぎの一般式(3)で表わされる。
R1 −(OH)n …(3)
式中、R1 はn価の有機基、nは2以上の正の整数を表わす。
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
好ましい多価アルコールの例としては、アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
本発明において、多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることがさらに好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させると、セルロース誘導体との相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸の例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができるが、特に安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステルの分子量は、特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることが、さらに好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロース誘導体との相溶性の点では、小さい方が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
グリコレート系可塑剤は、特に限定されないが、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有するグリコレート系可塑剤を、好ましく用いることができる。好ましいグリコレート系可塑剤としては、例えばブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート等を用いることができる。
リン酸エステル系可塑剤では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系可塑剤では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等を用いることができるが、本発明では、リン酸エステル系可塑剤を実質的に含有しないことが好ましい。
ここで、「実質的に含有しない」とは、リン酸エステル系可塑剤の含有量が1重量%未満、好ましくは0.1重量%であり、特に好ましいのは添加していないことである。
これらの可塑剤は、単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
可塑剤の使用量は、1〜20重量%が好ましい。6〜16重量%がさらに好ましく、特に好ましくは8〜13重量%である。可塑剤の使用量が、セルロース誘導体に対して1重量%未満では、フィルムの透湿度を低減させる効果が少ないため、好ましくなく、20重量%を越えると、フィルムから可塑剤がブリードアウトし、フィルムの物性が劣化するため、好ましくない。
本発明において、セルロース誘導体には、滑り性を付与するために、マット剤等の微粒子を添加するのが好ましい。微粒子としては、無機化合物の微粒子または有機化合物の微粒子が挙げられる。
無機化合物の微粒子の例としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化錫等の微粒子が挙げられる。この中では、ケイ素原子を含有する化合物の微粒子であることが好ましく、特に二酸化ケイ素微粒子が好ましい。二酸化ケイ素微粒子としては、例えばアエロジル株式会社製のAEROSIL 200、200V、300、R972、R972V、R974、R202、R812,R805、OX50、TT600などが挙げられる。
有機化合物の微粒子の例としては、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素化合物樹脂、ウレタン樹脂等の微粒子が挙げられる。
微粒子の1次粒径は、特に限定されないが、最終的にフィルム中での平均粒径は、0.05〜5.0μm程度が好ましい。さらに好ましくは、0.1〜1.0μmである。
微粒子の平均粒径は、セルロースエステルフィルムを電子顕微鏡や光学顕微鏡で観察した際に、フィルムの観察場所における、粒子の長軸方向の長さの平均値を指す。フィルム中で観察される粒子であれば、1次粒子であっても、1次粒子が凝集した2次粒子であってもよいが、通常観察される多くは2次粒子である。
測定方法の一例としては、1つのフィルムにつき、ランダムに10箇所の垂直断面写真を撮影し、各断面写真について、長軸長さが、0.05〜5μmの範囲にある100μm2中の粒子個数をカウントする。このときカウントした粒子の長軸長さの平均値を求め、10箇所の平均値を平均した値を平均粒径とする。
微粒子の場合は、1次粒径、溶媒に分散した後の粒径、フィルムに添加されたの粒径が変化する場合が多く、重要なのは、最終的にフィルム中で微粒子がセルロースエステルと複合し凝集して形成される粒径をコントロールすることである。
ここで、微粒子の平均粒径が、5μmを超えた場合は、ヘイズの劣化等が見られたり、異物として巻状態での故障を発生する原因にもなる。また、微粒子の平均粒径が、0.05μm未満の場合は、フィルムに滑り性を付与するのが難しくなる。
上記の微粒子は、セルロースエステルに対して、0.04〜0.5重量%添加して使用される。好ましくは、0.05〜0.3重量%、さらに好ましくは0.05〜0.25重量%添加して使用される。微粒子の添加量が0.04重量%以下では、フィルム表面粗さが平滑になりすぎて、摩擦係数の上昇によりブロッキングを発生する。微粒子の添加量が0.5重量%を超えると、フィルム表面の摩擦係数が下がりすぎて、巻き取り時に巻きズレが発生したり、フィルムの透明度が低く、ヘイズが高くなるため、液晶表示装置用フィルムとしての価値を持たなくなるので、上記の範囲が必須である。
微粒子の分散は、微粒子と溶剤を混合した組成物を高圧分散装置で処理することが好ましい。本発明で用いる高圧分散装置は、微粒子と溶媒を混合した組成物を、細管中に高速通過させることで、高剪断や高圧状態など特殊な条件を作りだす装置である。
高圧分散装置で処理することにより、例えば、管径1〜2000μmの細管中で装置内部の最大圧力条件が980N/cm2以上であることが好ましい。さらに好ましくは、装置内部の最大圧力条件が1960N/cm2以上である。またその際、最高到達速度が100m/sec以上に達するもの、伝熱速度が100kcal/hr以上に達するものが、好ましい。
上記のような高圧分散装置としては、例えばMicrofluidics Corporation社製の超高圧ホモジナイザー(商品名マイクロフルイダイザー)あるいはナノマイザー社製ナノマイザーが挙げられ、他にもマントンゴーリン型高圧分散装置、例えばイズミフードマシナリ製ホモゲナイザーなどが挙げられる。
本発明において、微粒子は、低級アルコール類を25〜100重量%含有する溶剤中で分散した後、セルロースエステル(セルロース誘導体)を溶剤に溶解したドープと混合し、該混合液を金属支持体上に流延し、乾燥して製膜することを特徴とするセルロースエステルフィルムを得る。
ここで、低級アルコールの含有比率としては、好ましくは50〜100重量%、さらに好ましくは75〜100重量%である。
また、低級アルコール類の例としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。
低級アルコール以外の溶媒としては、特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
微粒子は、溶媒中で1〜30重量%の濃度で分散される。これ以上の濃度で分散すると、粘度が急激に上昇し、好ましくない。分散液中の微粒子の濃度としては、好ましく、5〜25重量%、さらに好ましくは、10〜20重量%である。
フィルムの紫外線吸収機能は、液晶の劣化防止の観点から、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、光学補償フィルムなどの各種光学フィルムに付与されていることが好ましい。このような紫外線吸収機能は、紫外線を吸収する材料をセルロース誘導体中に含ませても良く、セルロース誘導体からなるフィルム上に紫外線吸収機能のある層を設けてもよい。
本発明において、使用し得る紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報に記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報に記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。
紫外線吸収剤としては、偏光子や液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、かつ液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
本発明において、有用な紫外線吸収剤の具体例としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。
また、紫外線吸収剤の市販品として、チヌビン(TINUVIN)109、チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)326(何れもチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を、好ましく使用できる。
また、本発明において使用し得る紫外線吸収剤であるベンゾフェノン系化合物の具体例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
本発明において、これらの紫外線吸収剤の配合量は、セルロースエステル(セルロース誘導体)に対して、0.01〜10重量%の範囲が好ましく、さらに0.1〜5重量%が好ましい。紫外線吸収剤の使用量が少なすぎると、紫外線吸収効果が不充分の場合があり、紫外線吸収剤の多すぎると、フィルムの透明性が劣化する場合があるので、好ましくない。紫外線吸収剤は熱安定性の高いものが好ましい。
また、本発明の光学フィルムに用いることのできる紫外線吸収剤は、特開平6−148430号公報及び特開2002−47357号公報に記載の高分子紫外線吸収剤(または紫外線吸収性ポリマー)を好ましく用いることができる。とりわけ特開平6−148430号公報に記載の一般式(1)、あるいは一般式(2)、あるいは特開2002−47357号公報に記載の一般式(3)(6)(7)で表される高分子紫外線吸収剤が、好ましく用いられる。
酸化防止剤は、一般に、劣化防止剤ともいわれるが、光学フィルムとしてのセルロースエステルフィルム中に含有させるのが好ましい。すなわち、液晶画像表示装置などが高湿高温の状態に置かれた場合には、光学フィルムとしてのセルロースエステルフィルムの劣化が起こる場合がある。酸化防止剤は、例えばフィルム中の残留溶媒中のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸などによりフィルムが分解するのを遅らせたり、防いだりする役割を有するので、フィルム中に含有させるのが好ましい。
このような酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等を挙げることができる。特に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。
これらの化合物の添加量は、セルロース誘導体に対して重量割合で1ppm〜1.0重量%が好ましく、10〜1000ppmがさらに好ましい。
なお、図1と図2に示す本発明の光学フィルムを製造する装置の具体例において、延伸工程は、液晶表示装置用フィルムとしては、ウェブ(またはフィルム)(9)の両側縁部をクリップ等で固定して延伸するテンター方式が、フィルムの平面性や寸法安定性を向上させるために好ましい。
延伸工程のテンター(11)に入る直前のウェブ(フィルム)(9)の残留溶媒量が、10〜35重量%であることが好ましい。
本実施の形態において、延伸工程のテンター(11)におけるウェブの延伸率が3〜100%であり、5〜80%であることが好ましく、さらに5〜60%であることが望ましい。またテンター(11)における温風吹出しスリット口から吹き出す温風の温度が100〜200℃であり、110〜190℃であることが好ましく、さらに115〜185℃であることが望ましい。
図1と図2に示すように、延伸工程のテンター(11)の後側には、乾燥装置(10)を設けることが好ましい。なお、図示は省略したが、延伸工程のテンター(11)の前後両側に乾燥装置(10)を設けることもある。
乾燥装置(10)内では、側面から見て千鳥配置せられた複数の搬送ロールによってウェブ(9)が蛇行せられ、その間にウェブ(9)が乾燥せられるものである。また、乾燥装置(10)でのフィルム搬送張力は、ドープの物性、剥離時及びフィルム搬送工程での残留溶媒量、乾燥温度等に影響を受けるが、乾燥時のフィルム搬送張力は、30〜300N/幅mであり、40〜270N/幅mが、より好ましい。
なお、ウェブ(フィルム)(9)を乾燥させる手段は、特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行なう。簡便さの点から熱風で乾燥するのが好ましく、例えば乾燥装置(10)の底の前寄り部分の温風入口から吹込まれる乾燥風(12)によって乾燥され、乾燥装置(10)の天井の後寄り部分の出口から排気風が排出せられることによって乾燥される。乾燥風(12)の温度は40〜160℃が好ましく、50〜160℃が平面性、寸法安定性を良くするためさらに好ましい。
これら流延から後乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。この場合、乾燥雰囲気を溶媒の爆発限界濃度を考慮して実施することは勿論のことである。
搬送乾燥工程を終えた例えばセルロースエステルフィルムに対し、巻取工程に導入する前段において、一般に、エンボス加工装置によりフィルムにエンボスを形成する加工が行なわれる。
ここで、エンボスの高さh(μm)は、フィルム膜厚Tの0.05〜0.3倍の範囲、幅Wは、フィルム幅Lの0.005〜0.02倍の範囲に設定する。エンボスは、フィルムの両面に形成してもよい。この場合、エンボスの高さh1+h2(μm)は、フィルム膜厚Tの0.05〜0.3倍の範囲、幅Wはフィルム幅Lの0.005〜0.02倍の範囲に設定する。例えばフィルム膜厚40μmであるとき、エンボスの高さh1+h2(μm)は2〜12μmに設定する。エンボス幅は5〜30mmに設定する。
乾燥が終了したフィルムを巻取り装置(13)によって巻き取り、光学フィルムの元巻を得るものである。乾燥を終了するフィルムの残留溶媒量は、0.5重量%以下、好ましくは0.1重量%以下とすることにより寸法安定性の良好なフィルムを得ることができる。
フィルムの巻き取り方法は、一般に使用されているワインダーを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等の張力をコントロールする方法があり、それらを使い分ければよい。
巻取りコア(巻芯)への、フィルムの接合は、両面接着テープでも、片面接着テープでもどちらでもよい。
本発明による光学フィルムは、巻き取り後のフィルムの幅が、1200〜2500mmであることが好ましい。
本発明においては、セルロースエステルフィルムの乾燥後の膜厚は、液晶表示装置の薄型化の観点から、仕上がりフィルムとして、20〜150μmの範囲が好ましい。ここで、乾燥後のフィルム膜厚とは、フィルム中の残留溶媒量が0.5重量%以下の状態のフィルムを言うものである。
ここで、巻き取り後のセルロースエステルフィルムの膜厚が薄過ぎると、例えば偏光板用保護フィルムとしての必要な強度が得られない場合がある。フィルムの膜厚が厚過ぎると、従来のセルロースエステルフィルムに対して薄膜化の優位性がなくなる。膜厚の調節には、所望の厚さになるように、ドープ濃度、ポンプの送液量、流延ダイの口金のスリット間隙、流延ダイの押し出し圧力、金属支持体の速度等をコントロールするのがよい。また、膜厚を均一にする手段として、膜厚検出手段を用いて、プログラムされたフィードバック情報を上記各装置にフィードバックさせて調節するのが好ましい。
溶液流延製膜法を通しての流延直後からの乾燥までの工程において、乾燥装置内の雰囲気を、空気とするのもよいが、窒素ガスや炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気で行なってもよい。ただ、乾燥雰囲気中の蒸発溶媒の爆発限界の危険性は常に考慮されなければならないことはもちろんである。
本発明において、セルロースエステルフィルムは、含水率としては0.1〜5%が好ましく、0.3〜4%がより好ましく、0.5〜2%であることがさらに好ましい。
本発明において、セルロースエステルフィルムは、透過率が90%以上であることが望ましく、さらに好ましくは92%以上であり、さらに好ましくは93%以上である。
また、本発明による光学フィルムは、3枚重ねた場合のヘイズが、0.3〜2.0であるもので、本発明の光学フィルムによれば、フィルムのヘイズが非常に低いものであり、透明性、平面性に優れた光学特性を有するものである。
ここで、光学フィルムのヘイズの測定は、例えば、JIS K6714に規定される方法に従って、ヘイズ・メーター(1001DP型、日本電色工業株式会社製)を用いて測定すればよい。
また、本発明による光学フィルムとしてのセルロースエステルフィルムの機械方向(MD方向)の引張弾性率が、1500MPa〜3500MPa、機械方向に垂直な方向(TD方向)の引張弾性率が、3000MPa〜4500MPaであるのが好ましく、フィルムのTD方向弾性率/MD方向弾性率の比が、1.40〜1.90であるのが好ましい。
ここで、光学フィルムのTD方向弾性率/MD方向弾性率の比が、1.40未満であれば、1650mmを超える幅のフィルムの巻取りでは中央部のたるみが大きくなり、巻き芯のフィルムの貼り付きが多くなるため、好ましくない。また、フィルムのTD方向弾性率/MD方向弾性率の比が、1.90を超えると、偏向板での過熱後のそりが生じたり、液晶パネルに組み込んだ際にバックライトの熱によりバックライト側と表面側の偏光板の寸法変化の挙動が大きく異なることにより、コーナーにムラが生じるので、好ましくない。
フィルムのMD方向、及びTD方向の引張弾性率の具体的な測定方法としては、例えばJIS K7217の方法が挙げられる。
すなわち、引っ張り試験器(ミネベア社製、TG−2KN)を用い、チャッキング圧:0.25MPa、標線間距離:100±10mmで、サンプルをセットし、引っ張り速度:100±10mm/分の速度で引っ張る。その結果、得られた引張応力−歪み曲線から、弾性率算出開始点を10N、終了点を30Nとし、その間に引いた接線を外挿し、弾性率を算出するものである。
本発明の光学フィルムでは、下記式で定義される面内方向リタデーション(Ro)が、温度23℃、湿度55%RHの条件下で30〜300nm、厚み方向リタデーション(Rt)が、温度23℃、湿度55%RHの条件下で70〜400nmであることが好ましい。
Ro=(nx−ny)×d
Rt={(nx+ny)/2−nz}×d
式中、Roはフィルム面内リタデーション値、Rtはフィルム厚み方向リタデーション値、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率(屈折率は波長590nmで測定)、dはフィルムの厚さ(nm)を表す。
なお、リタデーション値Ro、Rtは、自動複屈折率計を用いて測定することができる。例えば、KOBRA−21ADH(王子計測機器株式会社製)を用いて、温度23℃、湿度55%RHの環境下で、波長が590nmで求めることができる。
本発明による光学フィルムは、液晶表示用部材、詳しくは偏光板用保護フィルムに用いられるのが好ましい。特に、透湿度と寸法安定性に対して共に厳しい要求のある偏光板用保護フィルムにおいて、本発明による光学フィルムは好ましく用いられる。
本発明の光学フィルムからなる偏光板用保護フィルムを用いることにより、薄膜化とともに、耐久性及び寸法安定性、光学的等方性に優れた偏光板を提供することができる。
上記偏光板には、本発明による光学フィルムを位相差フィルムとして貼り合わせて作製してもよいし、また本発明による光学フィルムを位相差フィルムと保護フィルムとを兼ねて、直接偏光フィルムと貼り合わせて作製してもよい。貼り合わせる方法は、特に限定はないが、水溶性ポリマーの水溶液からなる接着剤により行なうことができる。この水溶性ポリマー接着剤は完全鹸化型のポリビニルアルコール水溶液が好ましく用いられる。さらに、長手方向に延伸し、二色性染料処理した長尺の偏光フィルムと長尺の本発明による位相差フィルムとを貼り合わせることによって長尺の偏光板を得ることができる。偏光板はその片面または両面に感圧性接着剤層(例えば、アクリル系感圧性接着剤層など)を介して剥離性シートを積層した貼着型のもの(剥離性シートを剥すことにより、液晶セルなどに容易に貼着することができる)としてもよい。
このようにして得られた偏光板は、種々の表示装置に使用できる。特に電圧無印加時に液晶性分子が実質的に垂直配向しているVAモードや、電圧無印加時に液晶性分子が実質的に水平かつねじれ配向しているTNモードの液晶セルを用いた液晶表示装置が好ましい。
本発明の光学フィルムには、ハードコート層、防眩層、反射防止層、防汚層、帯電防止層、導電層、光学異方層、液晶層、配向層、粘着層、接着層、下引き層等の各種機能層を付与することができる。これらの機能層は塗布あるいは蒸着、スパッタ、プラズマCVD、常圧プラズマ処理等の方法で設けることができる。
このようにして得られた偏光板が、液晶セルの片面または両面に設けられ、これを用いて、液晶表示装置が得られる。
本発明において、液晶表示装置は、棒状の液晶分子が一対のガラス基板に挟持された液晶セルと、液晶セルを挾むように配置された偏光膜及びその両側に配置された透明保護層からなる2枚の偏光板を持つものである。
本発明による光学フィルムからなる偏光板用保護フィルムを用いることにより、薄膜化とともに、耐久性及び寸法安定性、光学的等方性に優れた偏光板を提供することができる。さらに、この偏光板あるいは位相差フィルムを用いた液晶表示装置は、長期間に亘って安定した表示性能を維持することができる。
本発明による光学フィルムは、反射防止用フィルムあるいは光学補償フィルムの基材としても使用できる。