JP5510459B2 - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は光学フィルムの製造方法、光学フィルム、偏光板及び液晶表示装置に関する。
近年、CRTの他、液晶テレビやプラズマディスプレイ(PDP)、有機ELディスプレイ等種々の表示装置が開発されてきており、それらの画面サイズが大型化してきている。大画面化及び高画質化に伴って、表示装置に用いられる光学フィルムも大面積化し、また、フィルムの均一性に対する要求も高くなってきている。このような光学フィルムとしては、例えば、液晶表示装置の偏光板に用いられる、偏光子を保護するための偏光板保護フィルム等がある。
このような表示装置用の光学フィルムとしては、特に最近の大画面化により1000mm以上、更に1400mm以上の幅広フィルムが必要となってきている。また、生産性の向上や、装置の軽量化のために、厚みが40μm程度の薄い光学フィルムを高速で生産することが望まれている。
しかし、上記のように光学フィルムの幅が広くなり、また、膜厚が薄くなると共に、生産速度を速くした場合、光学フィルムを巻き取る段階で、ロールの巻き締まりやフィルムの変形が発生しやすくなる。ロールの巻き締まりの不均一さやフィルムの変形は、ロールの円周上に黒い帯(以降、ブラックバンドと称する)として認められる。また、ロールの巻き締まりは、フィルム表面同士の密着(以降、ブロッキングと称する)も起こしやすくする。ブラックバンドやブロッキングの発生したロールから繰り出した光学フィルムは、しわや傷などが発生し、表示装置への適応が出来なくなり、収率の低下を招く。
このような問題に対して、従来より光学フィルムの巻きとり状態でのフィルムの変形を防止する目的で、フィルムの幅方向両側部にナーリング或いはエンボッシングと呼ばれるフィルム面よりも嵩高くした部分(ナーリング部とも呼ぶ)を設けることが提案されている。
例えば、特許文献1においては、歯の先端形状を90〜130°にしたエンボスロールを用いて、フィルム端部の表面に押し当て、フィルム端部の膜厚を嵩高く変形させてナーリング加工を行う方法が提案されている。
特開平11−262950号公報
しかしながら、特許文献1の方法を用いてナーリング加工を行っても、光学フィルムを巻きとる速度を従来よりも速くした場合や、光学フィルムの巻きとり長をより長尺にした場合に、ロール状に巻いた状態でのブラックバンドやブロッキングという問題を十分に抑制することができないことが分かった。本発明者等は、このような問題について鋭意検討したところ、巻きとる速度を速くしたり、巻きとり長を長くしていくと、巻き締まりが強くなり、特許文献1の方法では、ナーリング加工により嵩高くなった凸部が、ロール状に巻きとる際につぶれることが判った。図9(a)、(b)、(c)、(d)を用いて、エンボスロールをフィルム表面に押し当てて、フィルム端部の高さを嵩高くする方法とその問題点について説明する。図9(a)は、光学フィルム101の端部に、エンボスロール102と表面が平坦なバックアップロール103とによりナーリング加工を施している状態の概略図である。図9(b)は、エンボスロール102の歯104を示し、平坦な先端をもつ四角錘状の歯の断面形状である。図9(c)は、ナーリング加工後のフィルムの断面を拡大した図である。フィルム101の表面にエンボスロール102の歯104を押し当てると、エンボスロール102の歯104により押しのけられたフィルム材料が、歯104の外周部に押しやられて、フィルム101の表面には、凹部107と凹部107の周囲に凸部(隆起部)106が形成される。このような凸部(隆起部)106を持つフィルム101をロール状に巻いていくと、巻き締まりやフィルムの重さにより、図9(d)に示すように、凸部(隆起部)106がその荷重に耐えられなくなり、つぶれてしまい、ブラックバンドやブロッキングという問題を起こす原因となる。このことから、本発明者は、つぶれにくい凹凸部の形状に着目し、本発明に至った。
よって、本発明の目的は、フィルム表面の異物故障やロール状でのブラックバンドやブロッキングの発生が無く、しわや傷のない光学フィルム及びその製造方法を提供することであり、また、該光学フィルムを用いた偏光板、及び該偏光板を用いた液晶表示装置を提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.長尺状のフィルムの幅方向の両側端部に、凹部と凹部の周囲に形成された凸部とを一対とする凹凸を複数形成された光学フィルムにおいて、
前記長尺状のフィルムの幅が1400mm以上であり、
前記一対の凹凸の前記凸部を、該凸部の前記フィルムの表面から平均高さの1/2のところで前記フィルムの表面と平行な平面で切断したとき、前記凸部の1つ当たりの断面積Sが、2500〜10000μmで、前記凸部の平均幅Wが3〜20μmであることを特徴とする光学フィルム。

2.前記一対の凹凸において、
前記断面積Sμmと前記凸部の前記フィルムの表面からの平均高さHμmとの比S/Hが、100〜3000であることを特徴とする前記1に記載の光学フィルム。
3.前記一対の凹凸において、
前記断面積Sμmと前記凹部の最も広い幅Yμmとの比S/Yが、10〜300であることを特徴とする前記1又は2に記載の光学フィルム。
4.前記フィルムの幅方向の両側端部に、前記一対の凹凸が、10〜300個/cm形成されていることを特徴とする前記1から3の何れか1項に記載の光学フィルム。
5.長尺状のフィルムの幅方向の両側端部に複数の突起部を有する部材を押しつけて、凹凸によるナーリングを付与する工程と、前記フィルムを巻きとる工程と、を有し、
前記1から4の何れか1項の光学フィルムを製造する方法において、
前記ナーリングを付与する工程は、
前記突起部を前記フィルムの表面に押しつけた際に、前記突起部により押しのけられたフィルム部材により形成される凸部の高さを、前記突起部の基部を構成する平坦部で制限し、前記凸部の高さを所定の高さにすることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
6.偏光子の表面に、前記1から4の何れか1項に記載の光学フィルムを配置したことを特徴とする偏光板。
7.前記6に記載の偏光板を配置したことを特徴とする液晶表示装置。
本発明によれば、幅広及び薄膜化された光学フィルムであっても、ブラックバンドやブロッキングの発生が無く、しわや傷のない光学フィルム及びその製造方法を提供することができる。また、該光学フィルムを用いた品質の高い偏光板及び該偏光板を用いた液晶表示装置を提供することができる。
本発明の光学フィルムを示す模式図である。 凸部の高さHの1/2のところで、凸部を平面で切断した断面図を示す。 ナーリング加工工程の模式図である。 従来のナーリング加工工程の拡大図である。 別の従来のナーリング加工工程の拡大図である。 本発明の光学フィルムの製造方法を溶液流延製膜法により実施する装置を模式的に示すフローシートである。 本発明の光学フィルムの製造方法を溶融流延製膜法により実施する装置を模式的に示すフローシートである。 突起部の形状を示す断面図である。 従来技術であるエンボスロールをフィルム表面に押し当てて、フィルム端部の高さを嵩高くする方法を説明するための図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の光学フィルムにおいては、長尺状のフィルムの幅方向の両側端部に、凹部と凹部の周囲に形成された凸部(隆起部)とを一対とする凹凸を複数形成するナーリング加工が施され、一対の凹凸の凸部を、該凸部のフィルムの表面から平均高さの1/2のところでフィルムの表面と平行な平面で切断したとき、凸部の1つ当たりの断面積Sが、2500〜10000μmで、凸部の平均幅Wが3〜20μmであることを特徴とする。
図1(a)は、本発明の光学フィルム1の平面図を示し、光学フィルムの幅方向の側端部に複数の凹凸(凸部13、凹部14)からなるナーリング加工部分12を有している。
図1(b)は、形成されたナーリング加工部分12の複数の凹凸のうち、一対の凹凸(13、14)を光学フィルム1の厚さ方向に切断した断面図を示す。
図2は、図1の凸部13を光学フィルム1の表面と平行な平面(図1のA−A断面)で、凸部13の高さHの1/2のところで切断した断面図を示す。
本発明の光学フィルムにおいては、この断面部分における凸部の平均幅Wが3〜20μm、断面積Sが2500〜10000μmの範囲とすることで、巻きとる速度を速くしたり、また、巻きとり長を長くしても、ロール状に巻いた状態でのブラックバンドやブロッキングの発生を抑制することができ、シワや傷の少ない光学フィルムを得ることができる。ここで、平均幅Wとは、図2の凸部13の断面形状の各辺の中央部の幅W1、W2、W3、W4を測定し、その平均値を平均幅Wとする。また、断面形状が図2のような四角形でない場合は、ほぼ等間隔で4カ所測定し、その平均値を算出する。
また、上記の断面積S(μm)と凸部のフィルムの表面からの平均高さH(μm)との比S/Hが、100〜3000であることが好ましい。S/Hをこの範囲とすることで、ロール状に巻いた状態でのブラックバンドやブロッキングの発生を、さらに抑制することができ、よりシワや傷の少ない光学フィルムを得ることができる。フィルム表面からの平均高さHとは、凸部のフィルム表面からの高さをほぼ均等な間隔で10カ所測定し、その平均値とした。
また、上記の断面積Sμmと凹部の最も広い幅Yμm(図2参照。)との比S/Yが、10〜300であることが好ましい。S/Yをこの範囲とすることで、ロール状に巻いた状態でのブラックバンドやブロッキングの発生を、さらに抑制することができ、よりシワや傷の少ない光学フィルムを得ることができる。凹部の最も広い幅Yとは、図2の断面図のように凹部の幅で最も広い距離の部分である。
また、ナーリング加工が施されたフィルムの側端部には、一対の凹凸が、10〜300個/cm形成されていることが好ましい。一対の凹凸を10〜300個/cm形成することで、ロール状に巻いた状態でのブラックバンドやブロッキングの発生を、さらに抑制することができ、よりシワや傷の少ない光学フィルムを得ることができる。
本発明の光学フィルムを製造する方法としては、ナーリングを付与する工程において、複数の突起部をフィルムの側端部の表面に押しつけて、複数の凹凸の対を形成するものであって、突起部をフィルムに押しつけた際に、突起部により押しのけられたフィルム部材により形成される凸部の高さを、突起部の基部を構成する平坦部で制限し、凸部の高さを所定の高さにすることを特徴とする製造方法である。
図3(a)は、円筒状の平坦な表面21(平坦部ともいう。)に複数の突起部20を有するエンボスロール61と、エンボスロール61と光学フィルム1を挟んで対向して配置されたバックアップロール62とにより光学フィルム1の両端部にナーリング加工を行うナーリング工程を模式的に示した図である。
図3(b)は、突起部20により光学フィルムに凹凸を形成する形成部を拡大した図である。突起部20は、先端部20aが平坦な面を有する四角錐状をしている。この突起部20をフィルム1の表面に押しつけ、凸部13を形成している。凸部13の頂部13aは、突起部20の基部を構成する平坦部21で押さえられ、高さH0が制限されている。このように凸部13の頂部13aを平坦部21で制限して所定の高さを得るようにすることで、突起部で押しのけられたフィルム材料は、一定の高さになると幅方向に広がる。よって、凸部13の高さを安定して形成できると共に、高さを制限することにより、幅の値も安定して形成することができる。
図4、図5は、図3のように平坦部で高さを制限せずに凸部13を形成している状態を示す。図4、図5は、凸部13の頂部13aを制限していないので、形成される凸部の高さと幅は、バラツキが出やすい。例えば、図4のように突起部31の側面に沿って隆起した凸部の幅W01が、細くなったり、また、図5のように頂部13aの幅が狭く、底部の幅が広い山形の凸形状となったりする。よって、好ましくは、図3のように凸部の高さを制限するのがよい。
図3に示すように、本発明の光学フィルムの製造方法を用い、突起部20の形状(先端面形状、底面形状、高さH0等)を変更することにより、本発明の範囲にある所定の幅及び高さを有する凸部と、凹部の形状を安定して形成することができる。
即ち、フィルム巻き取り速度を早くしたり、巻き取り長さを長くしたりしても、頂部13aにかかる荷重により、凸部が押しつぶされることのない所定の形状の凸部及び凹部を安定して形成することができるので、フィルムを巻きとったロール状態でのブロッキングやブラックバンドの現象を抑制することができる。その結果、フィルムに発生するシワや傷を低減することができる。
突起部の形状としては、頂部13aが平坦な面を有する四角錐を例として用いたが、三角錐や円錐状でも良く、また、頂部が円弧状であっても良い。突起部をフィルムに押しつけた際に、押し出されたフィルム材料を突起部の基部を構成する平坦部で規制する構成であればよい。このような構成にすることで安定して所定の高さと幅を有する凸部を形成することができる。
以下、本発明について詳述する。
本発明の光学フィルムの製造方法においては、溶液流延製膜法または溶融流延製膜法により作製された光学フィルムのナーリング加工に関するものであり、まず、溶液流延製膜法による光学フィルムの製造方法について、説明する。
溶液流延製膜法による光学フィルムの製造方法においては、フィルム材料として、種々の樹脂を用いることができるが、中でもセルロースエステルが好ましい。
セルロースエステルは、セルロース由来の水酸基がアシル基などで置換されたセルロースエステルである。例えば、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレートなどのセルロースアシレートや、脂肪族ポリエステルグラフト側鎖を有するセルロースアセテートなどが挙げられる。中でも、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、脂肪族ポリエステルグラフト側鎖を有するセルロースアセテートが好ましい。本発明の効果を阻害しない範囲であれば、その他の置換基が含まれていてもよい。
セルローストリアセテートの例としては、アセチル基の置換度が2.0以上3.0以下であることが好ましい。置換度をこの範囲にすることで、良好な成形性が得られ、かつ所望の面内リタデーション(Ro)、及び厚み方向リタデーション(Rt)を得ることができるのである。アセチル基の置換度が、この範囲より低いと、位相差フィルムとしての耐湿熱性、特に湿熱下での寸法安定性に劣る場合があり、置換度が大きすぎると、必要なリタデーション特性が発現しなくなる場合がある。
本発明に用いられるセルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどを挙げることができる。また、それらから得られたセルロースエステルは、それぞれ任意の割合で混合使用することができる。
本発明において、セルロースエステルの数平均分子量は、60000〜300000の範囲が、得られるフィルムの機械的強度が強く好ましい。さらに70000〜200000が好ましい。本発明で用いられるセルロースエステルは、Mw/Mn比が1.4〜3.0が好ましく、さらに好ましくは1.4〜2.3である。
セルロースエステルの平均分子量及び分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用い測定できるので、これを用いて数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)を算出し、その比を計算することができる。
測定条件は以下の通りである。
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工株式会社製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所株式会社製)
流量:1.0ml/分
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー株式会社製)Mw=1,000,000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
セルロースエステルの総アシル基置換度は2.3〜2.9が用いられ、2.6〜2.9が好ましく用いられる。総アシル基置換度はASTM−D817−96に準じて測定することができる。
本発明において、セルロースエステルには、種々の添加剤を配合することができる。
本発明による光学フィルムの製造方法では、セルロースエステルと厚み方向リタデーション(Rt)を低減する添加剤とを含有するドープ組成物を用いるのが、好ましい。
本発明において、光学フィルムの厚み方向リタデーション(Rt)を低減することが、IPSモードで動作する液晶表示装置の視野角拡大の意味において重要であるが、本発明において、このようなリタデーション低減添加剤としては、下記のものが挙げられる。
一般に、光学フィルムのリタデーションは、セルロースエステル由来のリタデーションと、添加剤由来のリタデーションの和として現れる。従って、セルロースエステルのリタデーションを低減させるための添加剤とは、セルロースエステルの配向を乱し、かつ自身が配向しにくいおよび/または分極率異方性が小さい添加剤が厚み方向リタデーション(Rt)を効果的に低下させる化合物である。従って、セルロースエステルの配向を乱すための添加剤としては、芳香族系化合物より、脂肪族系化合物が好ましい。
ここで、具体的なリタデーション低減剤として、例えば、つぎの一般式(1)または(2)で表わされるポリエステルが挙げられる。
一般式(1) B−(G−A−)mG−B
一般式(2) B−(G−A−)nG−B
上記式中、Bはモノカルボン酸成分を表わし、Bはモノアルコール成分を表わし、Gは2価のアルコール成分を表わし、Aは2塩基酸成分を表わし、これらによって合成されたことを表わす。B、B、G、およびAは、いずれも芳香環を含まないことが特徴である。m、nは、繰り返し数を表わす。
で表わされるモノカルボン酸成分としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸等を用いることができる。
好ましいモノカルボン酸の例としては、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることがさらに好ましく、炭素数1〜12であることが特に好ましい。酢酸を含有させると、セルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましいモノカルボン酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
で表わされるモノアルコール成分としては、特に制限はなく、公知のアルコール類を用いることができる。例えば炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪族飽和アルコールまたは脂肪族不飽和アルコールを好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることがさらに好ましく、炭素数1〜12であることが特に好ましい。
Gで表わされる2価のアルコール成分としては、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等を挙げることができるが、これらのうち、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールが好ましく、さらに、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールが好ましく用いられる。
Aで表わされる2塩基酸(ジカルボン酸)成分としては、脂肪族2塩基酸、脂環式2塩基酸が好ましく、例えば脂肪族2塩基酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等、特に、脂肪族カルボン酸としては、炭素数4〜12を有するもの、これらから選ばれる少なくとも1つのものを使用する。つまり、2種以上の2塩基酸を組み合わせて使用してよい。
上記の一般式(1)または(2)における繰り返し数m、nは、1以上で170以下が好ましい。
ポリエステルの質量平均分子量は、20000以下が好ましく、10000以下であることがさらに好ましい。特に質量平均分子量が500〜10000のポリエステルは、セルロースエステルとの相溶性が良好で、製膜において蒸発も揮発も起こらない。
ポリエステルの重縮合は常法によって行われる。例えば上記2塩基酸とグリコールの直接反応、上記の2塩基酸またはこれらのアルキルエステル類、例えば2塩基酸のメチルエステルとグリコール類とのポリエステル化反応またはエステル交換反応により熱溶融縮合法か、あるいはこれらの酸の酸クロライドとグリコールとの脱ハロゲン化水素反応の何れかの方法により用意に合成し得るが、質量平均分子量がさほど大きくないポリエステルは直接反応によるのが、好ましい。低分子量側に分布が高くあるポリエステルは、セルロースエステルとの相溶性が非常によく、フィルム形成後、透湿度も小さく、しかも透明性に富んだセルロースエステルフィルムを得ることができる。
分子量の調節方法は、特に制限がなく、従来の方法を使用できる。例えば、重合条件にもよるが、1価の酸または1価のアルコールで分子末端を封鎖する方法により、これらの1価のものの添加する量によりコントロールできる。この場合、1価の酸がポリマーの安定性から好ましい。例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸等を挙げることができるが、重縮合反応中には系外に溜去せず、停止して、このような1価の酸を反応系外に除去するときに溜去しやすいものが選ばれる。これらを混合使用しても良い。また、直接反応の場合には、反応中に溜去してくる水の量により反応を停止するタイミングを計ることよっても質量平均分子量を調節できる。その他、仕込むグリコールまたは2塩基酸のモル数を偏らせることよってもできるし、反応温度をコントロールしても調節できる。
上記一般式(1)または(2)で表わされるポリエステルは、セルロースエステルに対し、1〜40質量%含有することが好ましい。特に5〜15質量%含有することが好ましい。
本発明において、リタデーション低減添加剤としては、さらに下記のものが挙げられる。
本発明の光学フィルムの製造に使用するドープは、主に、セルロースエステル、リタデーション低減添加剤としてのポリマー(エチレン性不飽和モノマーを重合して得られるポリマー、アクリル系ポリマー)、及び有機溶媒を含有する。
本発明において、リタデーション低減添加剤としてのポリマーを合成するには、通常の重合では分子量のコントロールが難しく、分子量をあまり大きくしない方法でできるだけ分子量を揃えることのできる方法を用いることが望ましい。かかる重合方法としては、クメンペルオキシドやt−ブチルヒドロペルオキシドのような過酸化物重合開始剤を使用する方法、重合開始剤を通常の重合より多量に使用する方法、重合開始剤の他にメルカプト化合物や四塩化炭素等の連鎖移動剤を使用する方法、重合開始剤の他にベンゾキノンやジニトロベンゼンのような重合停止剤を使用する方法、さらに特開2000−128911号公報または特開2000−344823号公報にあるような一つのチオール基と2級の水酸基とを有する化合物、あるいは、該化合物と有機金属化合物を併用した重合触媒を用いて塊状重合する方法等を挙げることができ、何れも本発明において好ましく用いられるが、特に、該公報に記載の方法が好ましい。
本発明において、有用なリタデーション低減添加剤としてのポリマーを構成するモノマー単位としてのモノマーを下記に挙げるがこれに限定されない。
エチレン性不飽和モノマーを重合して得られるリタデーション低減添加剤としてのポリマーを構成するエチレン性不飽和モノマー単位としては、まず、ビニルエステルとして、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、オクチル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等が挙げられる。
つぎに、アクリル酸エステルとして、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェネチル、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸−p−ヒドロキシメチルフェニル、アクリル酸−p−(2−ヒドロキシエチル)フェニル等;メタクリル酸エステルとして、上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものが挙げられる。
さらに、不飽和酸として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸等を挙げることができる。
上記モノマーで構成されるポリマーはコポリマーでもホモポリマーでもよく、ビニルエステルのホモポリマー、ビニルエステルのコポリマー、ビニルエステルとアクリル酸またはメタクリル酸エステルとのコポリマーが好ましい。
本発明において、アクリル系ポリマーという(単にアクリル系ポリマーという)のは、芳香環あるいはシクロヘキシル基を有するモノマー単位を有しないアクリル酸またはメタクリル酸アルキルエステルのホモポリマーまたはコポリマーを指す。
芳香環及びシクロヘキシル基を有さないアクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−メトキシエチル)、アクリル酸(2−エトキシエチル)等、または上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものを挙げることができる。
アクリル系ポリマーは、上記モノマーのホモポリマーまたはコポリマーであるが、アクリル酸メチルエステルモノマー単位が30質量%以上を有していることが好ましく、また、メタクリル酸メチルエステルモノマー単位が40質量%以上有することが好ましい。特にアクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルのホモポリマーが好ましい。
上述のエチレン性不飽和モノマーを重合して得られるポリマー、アクリル系ポリマーは、いずれもセルロースエステルとの相溶性に優れ、蒸発や揮発もなく生産性に優れ、偏光板用保護フィルムとしての保留性がよく、透湿度が小さく、寸法安定性に優れている。
本発明において、水酸基を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマーの場合はホモポリマーではなく、コポリマーの構成単位である。この場合、好ましくは、水酸基を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマー単位がアクリル系ポリマー中2〜20質量%含有することが好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法においては、ドープ組成物が、セルロースエステルと、リタデーション低減添加剤としての質量平均分子量500以上3000以下のアクリル系ポリマーとを含有することが好ましい。
また、本発明の光学フィルムの製造方法においては、ドープ組成物が、セルロースエステルと、リタデーション低減添加剤としての質量平均分子量5000以上30000以下のアクリル系ポリマーとを含有するが好ましい。
本発明において、リタデーション低減添加剤としてのポリマーの質量平均分子量が500以上3000以下、あるいはまたポリマーの質量平均分子量が5000以上30000以下のものであれば、セルロースエステルとの相溶性が良好で、製膜中において蒸発も揮発も起こらない。また、製膜後の光学フィルムの透明性が優れ、透湿度も極めて低く、偏光板用保護フィルムとして優れた性能を示す。
本発明において、リタデーション低減添加剤として、側鎖に水酸基を有するポリマーも好ましく用いることができる。水酸基を有するモノマー単位としては、前記したモノマーと同様であるが、アクリル酸またはメタクリル酸エステルが好ましく、例えば、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸−p−ヒドロキシメチルフェニル、アクリル酸−p−(2−ヒドロキシエチル)フェニル、またはこれらアクリル酸をメタクリル酸に置き換えたものを挙げることができ、好ましくは、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル及びメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルである。ポリマー中に水酸基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルモノマー単位はポリマー中2〜20質量%含有することが好ましく、より好ましくは2〜10質量%である。
前記のようなポリマーが上記の水酸基を有するモノマー単位を2〜20質量%含有したものは、勿論、セルロースエステルとの相溶性、保留性、寸法安定性が優れ、透湿度が小さいばかりでなく、偏光板用保護フィルムとしての偏光子との接着性に特に優れ、偏光板の耐久性が向上する効果を有している。
また、本発明においては、上記ポリマーの主鎖の少なくとも一方の末端に水酸基を有することが好ましい。主鎖末端に水酸基を有するようにする方法は、特に主鎖の末端に水酸基を有するようにする方法であれば限定ないが、アゾビス(2−ヒドロキシエチルブチレート)のような水酸基を有するラジカル重合開始剤を使用する方法、2−メルカプトエタノールのような水酸基を有する連鎖移動剤を使用する方法、水酸基を有する重合停止剤を使用する方法、リビングイオン重合により水酸基を末端に有するようにする方法、特開2000−128911号公報または特開2000−344823号公報にあるような一つのチオール基と2級の水酸基とを有する化合物、あるいは、該化合物と有機金属化合物を併用した重合触媒を用いて塊状重合する方法等により得ることができ、特に該公報に記載の方法が好ましい。この公報記載に関連する方法で作られたポリマーは、綜研化学社製のアクトフロー・シリーズとして市販されており、好ましく用いることができる。
上記の末端に水酸基を有するポリマー及び/または側鎖に水酸基を有するポリマーは、本発明において、セルロースエステルに対するポリマーの相溶性、透明性を著しく向上する効果を有する。
本発明において、有用なリタデーション低減添加剤としては、上記のほかにも、例えば特開2000−63560号公報記載のジグリセリン系多価アルコールと脂肪酸とのエステル化合物、特開2001−247717号公報記載のヘキソースの糖アルコールのエステルまたはエーテル化合物、特開2004−315613号公報記載のリン酸トリ脂肪族アルコールエステル化合物、特開2005−41911号公報記載の一般式(1)で表わされる化合物、特開2004−315605号公報記載のリン酸エステル化合物、特開2005−105139号公報記載のスチレンオリゴマー、および特開2005−105140号公報記載のスチレン系モノマーの重合体が挙げられる。
上述したリタデーション低減添加剤の含有量は、セルロースエステル系樹脂に対して5〜25質量%含有させることが好ましい。リタデーション低減添加剤の含有量が5質量%未満であれば、フィルムのリタデーション低減効果が発現しないので、好ましくない。またリタデーション低減添加剤の含有量が25質量%を超えると、いわゆるブリードアウトが生じるなど、フィルム中の安定性が低下するので、好ましくない。
本発明による光学フィルムの製造方法において、上記セルロース誘導体に対して良好な溶解性を有する有機溶媒を良溶媒といい、また溶解に主たる効果を示し、その中で大量に使用する有機溶媒を主(有機)溶媒または主たる(有機)溶媒という。
良溶媒の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、蟻酸メチル、蟻酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、γ−ブチロラクトン等のエステル類の他、メチルセロソルブ、ジメチルイミダゾリノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルフォキシド、スルホラン、ニトロエタン、塩化メチレン、アセト酢酸メチルなどが挙げられるが、1,3−ジオキソラン、THF、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸メチル及び塩化メチレンが好ましい。
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。これらは、ドープを金属支持体に流延した後、溶媒が蒸発し始めてアルコールの比率が多くなることで、ウェブ(金属支持体上にセルロース誘導体のドープを流延した以降のドープ膜の呼び方をウェブとする)をゲル化させ、ウェブを丈夫にして、金属支持体から剥離することを容易にするゲル化溶媒として用いられたり、これらの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒のセルロース誘導体の溶解を促進したりする役割もある。
炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルを挙げることができる。これらのうち、ドープの安定性に優れ、沸点も比較的低く、乾燥性も良く、かつ毒性がないことなどからエタノールが好ましい。これらの有機溶媒は、単独ではセルロース誘導体に対して溶解性を有しておらず、貧溶媒という。
このような条件を満たす好ましい高分子化合物であるセルロース誘導体を高濃度に溶解する溶剤として最も好ましい溶剤は塩化メチレン:エチルアルコールの比が95:5〜80:20の混合溶剤である。あるいは、酢酸メチル:エチルアルコール60:40〜95:5の混合溶媒も好ましく用いられる。
本発明におけるフィルムには、フィルムに加工性・柔軟性・防湿性を付与する可塑剤、フィルムに滑り性を付与する微粒子(マット剤)、紫外線吸収機能を付与する紫外線吸収剤、フィルムの劣化を防止する酸化防止剤等を含有させても良い。
本発明において使用する可塑剤としては、特に限定はないが、フィルムにヘイズを発生させたり、フィルムからブリードアウトあるいは揮発しないように、セルロース誘導体や加水分解重縮合が可能な反応性金属化合物の重縮合物と、水素結合などによって相互作用可能である官能基を有していることが好ましい。
このような官能基としては、水酸基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、カルボン酸残基、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基、スルホン酸残基、ホスホニル基、ホスホン酸残基等が挙げられるが、好ましくはカルボニル基、エステル基、ホスホニル基である。
このような可塑剤の例として、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、カルボン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤などを好ましく用いることができるが、特に好ましくは多価アルコールエステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤等の非リン酸エステル系可塑剤である。
多価アルコールエステルは、2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。
本発明に用いられる多価アルコールは、つぎの一般式(3)で表される。
一般式(3) R−(OH)n
(ただし、Rはn価の有機基、nは2以上の正の整数を表す)
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
好ましい多価アルコールの例としては、アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
本発明の多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることがさらに好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させると、セルロース誘導体との相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸の例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができるが、特に安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステルの分子量は、特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることが、さらに好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロース誘導体との相溶性の点では、小さい方が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
グリコレート系可塑剤は、特に限定されないが、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有するグリコレート系可塑剤を、好ましく用いることができる。好ましいグリコレート系可塑剤としては、例えばブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート等を用いることができる。
リン酸エステル系可塑剤では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系可塑剤では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等を用いることができるが、本発明では、リン酸エステル系可塑剤を実質的に含有しないことが好ましい。
ここで、「実質的に含有しない」とは、リン酸エステル系可塑剤の含有量が1質量%未満、好ましくは0.1質量%であり、特に好ましいのは添加していないことである。
これらの可塑剤は、単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
可塑剤の使用量は、1〜20質量%が好ましい。6〜16質量%がさらに好ましく、特に好ましくは8〜13質量%である。可塑剤の使用量が、セルロース誘導体に対して1質量%未満では、フィルムの透湿度を低減させる効果が少ないため、好ましくなく、20質量%を越えると、フィルムから可塑剤がブリードアウトし、フィルムの物性が劣化するため、好ましくない。
本発明におけるセルロース誘導体には、滑り性を付与するために、マット剤等の微粒子を添加するのが好ましい。微粒子としては、無機化合物の微粒子または有機化合物の微粒子が挙げられる。
無機化合物の微粒子の例としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化錫等の微粒子が挙げられる。この中では、ケイ素原子を含有する化合物の微粒子であることが好ましく、特に二酸化ケイ素微粒子が好ましい。二酸化ケイ素微粒子としては、例えばアエロジル株式会社製のAEROSIL 200、200V、300、R972、R972V、R974、R202、R812、R805、OX50、TT600などが挙げられる。
有機化合物の微粒子の例としては、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素化合物樹脂、ウレタン樹脂等の微粒子が挙げられる。
微粒子の1次粒径は、特に限定されないが、最終的にフィルム中での平均粒径は、0.05〜5.0μm程度が好ましい。さらに好ましくは、0.1〜1.0μmである。
微粒子の平均粒径は、セルロースエステルフィルムを電子顕微鏡や光学顕微鏡で観察した際に、フィルムの観察場所における、粒子の長軸方向の長さの平均値を指す。フィルム中で観察される粒子であれば、1次粒子であっても、1次粒子が凝集した2次粒子であってもよいが、通常観察される多くは2次粒子である。
測定方法の一例としては、1つのフィルムにつき、ランダムに10箇所の垂直断面写真を撮影し、各断面写真について、長軸長さが、0.05〜5μmの範囲にある100μm中の粒子個数をカウントする。このときカウントした粒子の長軸長さの平均値を求め、10箇所の平均値を平均した値を平均粒径とする。
微粒子の場合は、1次粒径、溶媒に分散した後の粒径、フィルムに添加された粒径が変化する場合が多く、重要なのは、最終的にフィルム中で微粒子がセルロースエステルと複合し凝集して形成される粒径をコントロールすることである。
ここで、微粒子の平均粒径が、5μmを超えた場合は、ヘイズの劣化等が見られたり、異物として巻状態での故障を発生する原因にもなる。また、微粒子の平均粒径が、0.05μm未満の場合は、フィルムに滑り性を付与するのが難しくなる。
上記の微粒子は、セルロースエステルに対して、0.04〜0.5質量%添加して使用される。好ましくは、0.05〜0.3質量%、さらに好ましくは0.05〜0.25質量%添加して使用される。微粒子の添加量が0.04質量%以下では、フィルム表面粗さが平滑になりすぎて、摩擦係数の上昇によりブロッキングを発生する。微粒子の添加量が0.5質量%を超えると、フィルム表面の摩擦係数が下がりすぎて、巻き取り時に巻きズレが発生したり、フィルムの透明度が低く、ヘイズが高くなるため、液晶表示装置用フィルムとしての価値を持たなくなるので、上記の範囲が必須である。
微粒子の分散は、微粒子と溶剤を混合した組成物を高圧分散装置で処理することが好ましい。本発明で用いる高圧分散装置は、微粒子と溶媒を混合した組成物を、細管中に高速通過させることで、高剪断や高圧状態など特殊な条件を作りだす装置である。
高圧分散装置で処理することにより、例えば、管径1〜2000μmの細管中で装置内部の最大圧力条件が980N/cm以上であることが好ましい。さらに好ましくは、装置内部の最大圧力条件が1960N/cm以上である。またその際、最高到達速度が100m/sec以上に達するもの、伝熱速度が420kJ/h以上に達するものが、好ましい。
上記のような高圧分散装置としては、例えば、Microfluidics Corporation社製の超高圧ホモジナイザー(商品名マイクロフルイダイザー)あるいはナノマイザー社製ナノマイザーが挙げられ、他にもマントンゴーリン型高圧分散装置、例えばイズミフードマシナリ製ホモゲナイザーなどが挙げられる。
本発明において、微粒子は、低級アルコール類を25〜100質量%含有する溶剤中で分散した後、セルロースエステル(セルロース誘導体)を溶剤に溶解したドープと混合し、該混合液を金属支持体上に流延し、乾燥して製膜することを特徴とするセルロースエステルフィルムを得る。
ここで、低級アルコールの含有比率としては、好ましくは50〜100質量%、さらに好ましくは75〜100質量%である。
また、低級アルコール類の例としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。
低級アルコール以外の溶媒としては、特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
微粒子は、溶媒中で1〜30質量%の濃度で分散される。これ以上の濃度で分散すると、粘度が急激に上昇し、好ましくない。分散液中の微粒子の濃度としては、好ましく、5〜25質量%、さらに好ましくは、10〜20質量%である。
フィルムの紫外線吸収機能は、液晶の劣化防止の観点から、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、光学補償フィルムなどの各種光学フィルムに付与されていることが好ましい。このような紫外線吸収機能は、紫外線を吸収する材料をセルロース誘導体中に含ませても良く、セルロース誘導体からなるフィルム上に紫外線吸収機能のある層を設けてもよい。
本発明において、使用し得る紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報に記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報に記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。
紫外線吸収剤としては、偏光子や液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、かつ液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
本発明において、有用な紫外線吸収剤の具体例としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。
また、紫外線吸収剤の市販品として、チヌビン(TINUVIN)109、チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)326(何れもチバ・ジャパン(株)製)を、好ましく使用できる。
また、本発明において使用し得る紫外線吸収剤であるベンゾフェノン系化合物の具体例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
本発明において、これらの紫外線吸収剤の配合量は、セルロースエステル(セルロース誘導体)に対して、0.01〜10質量%の範囲が好ましく、さらに0.1〜5質量%が好ましい。紫外線吸収剤の使用量が少なすぎると、紫外線吸収効果が不充分の場合があり、紫外線吸収剤の多すぎると、フィルムの透明性が劣化する場合があるので、好ましくない。紫外線吸収剤は熱安定性の高いものが好ましい。
また、本発明の光学フィルムに用いることのできる紫外線吸収剤は、特開平6−148430号公報及び特開2002−47357号公報に記載の高分子紫外線吸収剤(または紫外線吸収性ポリマー)を好ましく用いることができる。とりわけ特開平6−148430号公報に記載の一般式(1)、あるいは一般式(2)、あるいは特開2002−47357号公報に記載の一般式(3)、(6)、(7)で表される高分子紫外線吸収剤が、好ましく用いられる。
酸化防止剤は、一般に、劣化防止剤ともいわれるが、光学フィルムとしてのセルロースエステルフィルム中に含有させるのが好ましい。すなわち、液晶画像表示装置などが高湿高温の状態に置かれた場合には、光学フィルムとしてのセルロースエステルフィルムの劣化が起こる場合がある。酸化防止剤は、例えばフィルム中の残留溶媒中のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸などによりフィルムが分解するのを遅らせたり、防いだりする役割を有するので、フィルム中に含有させるのが好ましい。
このような酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等を挙げることができる。特に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。
これらの化合物の添加量は、セルロース誘導体に対して質量割合で1ppm〜10000ppmが好ましく、10〜1000ppmがさらに好ましい。
以下、本発明による光学フィルムの製造方法について詳しく述べる。フィルムは、溶液流延製膜方法により作製できる。
図6は、本発明の光学フィルムの製造方法を溶液流延製膜法により実施する装置を模式的に示すフローシートである。なお、本発明の実施にあたっては、図6のプロセスに限定されるものではない。
本発明の溶液流延製膜法による光学フィルムの製造方法は、熱可塑性樹脂溶液(ドープ)を金属製支持体50上に流延して流延膜(ウェブ)を形成し、溶剤の一部を蒸発させた後に、ウェブ1を金属製支持体50から剥離する工程と、剥離したウェブ1をテンター53により幅手方向に延伸する工程と、延伸したウェブ1を乾燥装置54で乾燥する工程と、乾燥後にウェブ1の両端部をスリッター56、57により両端部を切断する工程と、両端部を切断した後、表面に突起部を有するエンボスロール61と、ウェブ1を介して対応する位置に配置したバックアップロール62と、によりウェブ1の両端部にナーリング加工を行うナーリング工程と、ナーリング加工後のフィルム(ウェブ)1を巻き取る巻取り工程とを具備している。
まず、図示しない溶解釜において、熱可塑性樹脂、例えばセルロースエステル系樹脂を、良溶媒及び貧溶媒の混合溶媒に溶解し、これに上記の可塑剤や紫外線吸収剤等の添加剤を添加して樹脂溶液(ドープ)を調製する。
ついで、溶解釜で調整されたドープを、例えば加圧型定量ギアポンプを通して、導管によって流延ダイ51に送液し、図6に示す無限に移送する回転駆動ステンレス鋼製エンドレスベルトよりなる金属製支持体50上の流延位置に、流延ダイ51からドープを流延する。
なお、図示は省略したが、例えば加圧型定量ギアポンプを通して流延ダイ51に送液されたドープを、流延ダイ51からハードクロム鍍金により鏡面処理された表面を有するステンレス鋼製回転の冷却ドラム上に流延しても、良い。
流延ダイ51によるドープの流延には、流延されたドープ膜(ウェブ)をブレードで膜厚を調節するドクターブレード法、あるいは逆回転するロールで調節するリバースロールコーターによる方法等があるが、口金部分のスリット形状を調製でき、膜厚を均一にしやすい加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があるが、何れも好ましく用いられる。
なお、流延ダイ51としては、口金部分のスリット形状を調製でき、膜厚を均一にしやすい加圧ダイが好ましい。
ここで、セルロースエステル溶液(ドープ)の固形分濃度が、20〜30質量%であるのが、好ましい。
ここで、セルロースエステル溶液(ドープ)の固形分濃度が、20質量%未満であれば、金属製支持体50上で充分な乾燥ができず、剥離時にドープ膜の一部が金属製支持体50上に残り、ドラム汚染につながるため、好ましくない。また固形分濃度が30%を超えると、ドープ粘度が高くなり、ドープ調整工程でフィルター詰まりが早くなったり、金属製支持体50上への流延時に圧力が高くなり、押し出せなくなったりするため、好ましくない。
金属製支持体50として回転駆動エンドレスベルトを具備する図示の製膜装置では、該ベルト金属製支持体50は一対のドラムおよびその中間に配置されかつエンドレスベルト金属製支持体50の上部移行部及び下部移行部をそれぞれ裏側より支えている複数のロール(図示略)より構成される。
金属製支持体50の両端巻回部のドラムの一方、もしくは両方に、金属製支持体50に張力を付与する駆動装置が設けられ、これによってベルト金属製支持体50は張力が掛けられて張った状態で使用される。
また、金属製支持体50の周速度が50〜150m/minであるのが、好ましい。
金属製支持体50としてエンドレスベルトを用いる場合には、製膜時のベルト温度は、一般的な温度範囲0℃〜溶剤の沸点未満の温度、混合溶剤では最も沸点の低い溶剤の沸点未満の温度で流延することができ、さらには5℃〜溶剤沸点−5℃の範囲が、より好ましい。このとき、周囲の雰囲気湿度は露点以上に制御する必要がある。
上記のようにして金属製支持体50表面に流延されたドープは、冷却ゲル化によりゲル膜の強度(フィルム強度)が増加して、さらに剥ぎ取りまでの間で乾燥が促進されることによってもゲル膜の強度(フィルム強度)が増加する。
また、製膜速度を上げるために、流延ダイ51を金属製支持体50上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層製膜してもよい。
金属製支持体50としてエンドレスベルトを用いる方式においては、金属製支持体50上では、ウェブ1が金属製支持体50から剥離ロール52によって剥離可能な膜強度となるまで乾燥固化させるため、ウェブ1中の残留溶媒量が150質量%以下まで乾燥させるのが好ましく、80〜120質量%が、より好ましい。また、金属製支持体50からウェブ1を剥離するときのウェブ温度は、0〜30℃が好ましい。また、ウェブ1は、金属製支持体50からの剥離直後に、金属製支持体50密着面側からの溶媒蒸発で温度が一旦急速に下がり、雰囲気中の水蒸気や溶剤蒸気など揮発性成分がコンデンスしやすいため、剥離時のウェブ温度は5〜30℃がさらに好ましい。
ここで、残留溶媒量は、下記の式で表わせる。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
式中、Mは、フィルムの任意時点での質量、Nは、質量Mのものを110℃で3時間乾燥させた後の質量を表わす。
エンドレスベルト金属製支持体50上に流延されたドープにより形成されたドープ膜(ウェブ)を、金属製支持体50上で加熱し、金属製支持体50から剥離ロール52によってウェブが剥離可能になるまで溶媒を蒸発させる。
溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法、及び/または金属製支持体50の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等がある。
金属製支持体50にエンドレスベルトを用いる方式においては、金属製支持体50とウェブ1を剥離ロール52によって剥離する際の剥離張力は、通常100N/m〜200N/mで剥離が行われるが、従来よりも薄膜化されている本発明により作製された光学フィルムでは、剥離の際にウェブ1の残留溶媒量が多く、搬送方向に伸びやすいために、幅手方向にフィルムは縮みやすく、乾燥と縮みが重なると、端部がカールし、折れ込むことにより、シワが入りやすいため、剥離できる最低張力〜170N/mで剥離することが好ましく、さらに好ましくは、最低張力〜140N/mで剥離することである。
金属製支持体50上でウェブ1が剥離可能な膜強度となるまで乾燥固化させた後に、ウェブ1を剥離ロール52によって剥離する。
ついで、剥離後のウェブ1を、延伸工程のテンター53に導入する。本発明の方法において、延伸工程におけるテンター53としては、ピン・テンター、およびクリップ・テンターを用いることができるが、中でも、液晶表示装置用フィルムとしては、ウェブ(またはフィルム)1の両側縁部をクリップで固定して延伸するクリップ・テンターであることが好ましく、フィルムの平面性や寸法安定性を向上させるために好ましい。
延伸工程のテンター53に入る直前のウェブ(フィルム)1の残留溶媒量が、10〜50質量%であることが好ましい。
延伸工程においては、テンター53の底の前寄り部分の温風吹出し手段すなわち温風吹出しスリット口から温風が吹込まれ、テンター53の天井の後寄り部分の排出口から排気風が排出せられることによって、ウェブ1が延伸されるとともに、乾燥される。
本発明において、テンター53におけるウェブ1の延伸率は、3〜80%であることが好ましく、さらに6〜60%であることが好ましい。
テンター53におけるウェブ1の幅手方向の延伸率が3%未満であれば、最も幅広いベルトや流延幅の装置を用いても、広幅のフィルムを得ることが不可能となるので、好ましくない。またテンター53におけるウェブ1の幅手方向の延伸率が80%を超えると、延伸温度によってはフィルムが裂けてしまうので、好ましくない。
なお、本発明における延伸工程における温風吹出し手段とは、具体的には、延伸工程のテンター53の温風吹出しスリット口をいうが、温風の吹き出しによりフィルムを効率的に加熱する形状であれば、特に限定されない。温風の温度は、165〜190℃であることが好ましく、さらに170〜185℃であることが望ましい。
つぎに、延伸後のフィルム(ウェブ)1は、ロール搬送型の乾燥装置54に導入し、乾燥装置54において非駆動のフリーロールよりなる搬送ロール55により搬送しながら乾燥する。
この乾燥装置54内では、50〜1000本の側面から見て千鳥配置せられた搬送ロール55によってウェブ1が蛇行せられ、その間にウェブ1が乾燥せられるものである。また、乾燥装置54でのフィルム搬送張力は、ドープの物性、剥離時及びフィルム搬送工程での残留溶媒量、乾燥装置54での温度等に影響を受けるが、30〜250N/mが好ましく、60〜150N/mがさらに好ましい。80〜120N/mが最も好ましい。
なお、ウェブ(またはフィルム)1を乾燥させる手段は、特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行う。簡便さの点から熱風で乾燥するのが好ましく、例えば乾燥装置54の底の前寄り部分の温風入口から吹込まれる乾燥風によって乾燥され、乾燥装置54の天井の後寄り部分の出口から排気風が排出せられることによって乾燥される。乾燥風の温度は40〜160℃が好ましく、50〜160℃が平面性、寸法安定性を良くするため、さらに好ましい。
これら流延から最終的な後乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。この場合、乾燥雰囲気を溶媒の爆発限界濃度を考慮して実施することは勿論のことである。
乾燥装置54による乾燥後に、フィルム両端部を、上下一対のスリッター56、57により製品となる幅にスリットして、断裁切除し、製品幅に合わせてフィルムを形成した後、該フィルムの幅手方向の端郎にナーリング加工を施してナーリング部を形成し、巻き取ることによってロール状の光学フィルムを製造する。
そして、本発明による光学フィルムの製造方法では、ナーリング加工を施す工程は、複数の突起部をフィルムの側端部の表面に押しつけて、複数の凹凸の対を形成するものであって、突起部をフィルムに押しつけた際に、突起部により押しのけられたフィルム部材により形成される凸部の高さを、突起部の基部を構成する平坦部で制限し、凸部の高さを所定の高さにすることを特徴とするものである。このナーリング加工については、すでに述べているので、ここでの説明は省く。
本発明の方法により製造された光学フィルムは、ロール状フィルムの巻き長が、500m以上、12000m以下であることがより好ましい。
ここで、ロール状フィルムの巻き長が500m以上であれば、生産速度が速くなっても巻き上がったロールの切替時間を多く取る必要が無く、好ましい。また偏光板加工時にもフィルムの切替作業の頻度が高くならないので生産性を低下せず、好ましい。
また、ロール状フィルムの巻き長が12000m以下であれば、フィルムの自重により巻き芯の荷重が大きくなり、ナーリングを高くしても凸部がつぶれやすくなることがなく、貼り付きが発生する恐れがないので、好ましい。
なお、巻取り装置58によって巻き取るフィルムの残留溶媒量は、0.5質量%以下、好ましくは0.1質量%以下とすることにより寸法安定性の良好なフィルムを得ることができる。
以上のようにして、溶液流延製膜法により、ロール状に巻きとられた本発明の光学フィルムを製造することができる。
つぎに、本発明の溶融流延製膜方法による光学フィルムの製造方法について説明する。
図7は、本発明の溶融流延製膜方法による光学フィルムの製造方法を実施する装置を模式的に示すフローシートである。
溶融流延製膜法による光学フィルムの製造方法において、用いられる熱可塑性樹脂は、溶融流延製膜法により製膜可能であれば、特に限定されない。例えば、セルロースエステル、ポリカーボネート、脂環式構造含有ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステルなどが挙げられる。中でも光弾性係数が小さいことから、セルロースエステルや脂環式構造含有ポリマーが好ましく、特に吸水率の小さいことから脂環式構造含有ポリマーが好ましい。
また、本発明において、光学フィルムには、添加剤として有機酸と3価以上のアルコールが縮合した構造を有するエステル系可塑剤、多価アルコールと1価のカルボン酸からなるエステル系可塑剤、多価カルボン酸と1価のアルコールからなるエステル系可塑剤の少なくとも1種の可塑剤、フェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン光安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤から選択される少なくとも1種の安定剤を含んでいることが好ましく、さらにこの他に過酸化物分解剤、ラジカル捕捉剤、金属不活性化剤、紫外線吸収剤、マット剤、染料、顔料、さらには前記以外の可塑剤、ヒンダードフェノール酸化防止剤以外の酸化防止剤などを含むことができる。
本発明の溶融流延製膜法による光学フィルムの製造方法は、熱可塑性樹脂を含む原料を供給ホッパー71に投入し、混合機72で混合する工程と、混合した後、押出機73で溶融混錬する工程と、溶融混練された溶融物を流延ダイ74から冷却ロール76上に流延する工程と、流延されたフィルム70をテンター77により幅手方向に延伸する工程と、延伸後、スリッター78、79によりフィルム70の両端部を切断する工程と、両端部を切断した後、表面に凸部を有する第1の部材としての第1エンボスロール80と、第1エンボスロールの凸部に対応する位置に、該凸部と略相似形の凹部を有する第2の部材としての第2エンボスロール81とによりフィルム70の両端部にナーリング加工を行うナーリング工程と、ナーリング加工後のフィルム70を巻き取る巻取り工程とを具備している。
本発明において、フィルム製膜に用いる押出機73は、単軸押出機でも2軸押出機でも良い。材料からペレットを作製せずに直接製膜する場合では適当な混練度が必要であるため、2軸押出機を用いることが好ましいが、単軸押出機でも、スクリューの形状をマドック型、ユニメルト型、ダルメージ等の混練型のスクリューに変更することにより適度の混練が得られ製膜が可能となる。1軸押出機においても、2軸押出機においてもベント口を設け、真空ポンプなどを用いてベント口からガスを除去することが望ましい。一旦、ペレットやおこし状の半溶融物を作製する場合は、単軸押出機でも2軸押出機でも良い。
押出機73内および押し出した後の冷却工程は、窒素ガス等の不活性ガスで置換するか、あるいは減圧することにより、酸素の濃度を下げることが好ましい。
押出機73内の樹脂の溶融温度は樹脂の粘度や吐出量、製造するシートの厚み等によって好ましい条件が異なるが、一般的には成形材料のガラス転移温度(Tg)に対して、Tg以上、Tg+100℃以下の範囲であることが好ましい。さらに好ましくは溶融温度はTg+10℃以上、Tg+90℃以下である。押出し時の溶融粘度は10〜100000ポイズ、好ましくは100〜10000ポイズである。また、押出機73内での樹脂の滞留時間は短い方が好ましく、5分以内、より好ましくは3分以内、最もこのましくは2分以内である。滞留時間は、押出機73の種類、押出す条件にも左右されるが、材料の供給量やL/D、スクリュー回転数、スクリューの溝の深さ等を調整することにより短縮することが可能である。
押出機73のスクリューの形状や回転数等は、樹脂の粘度や吐出量等により適宜選択される。押出機73でのせん断速度は、好ましくは1/秒〜10000/秒、より好ましくは5/秒〜1000/秒、もっとも好ましくは10/秒〜100/秒である。ギアポンプ噛み込み防止、メインフィルタ負荷低減のため、押出機73の出側にプレフィルターを設けることが好ましい。
例えば必要に応じて50/80/100メッシュのスクリーンや金属繊維の焼結フィルターを設けることが好ましい。オンラインチェンジ可能なタイプを使用することが好ましい。
混合機72で混合された原材料は、押出機73に運ばれ、例えば250℃で加熱溶融され、溶融物は、本発明による流延ダイ74から押出成形される。流延ダイ74から押出された溶融物は、ステンレス鋼製冷却ロール(金属支持体)76にて冷却、表面矯正される。この場合、フィルム70と冷却ロール76は密着することが好ましく、フィルム70を冷却ロール76に密着させる方法として、タッチロール75を用いて押し付ける。
冷却ロール76に密着する直前の樹脂の温度はTg以上であることが好ましく、より好ましくはTg+50℃以上。樹脂の温度を高く保つことでリボンの伸張により発生する流れ方向のリタデーションを小さくすることができる。流延ダイ74出口から樹脂が冷却ロール76に密着する直前のエアギャップにおいて樹脂を保温することが好ましい。保温方法としてはマイクロ波による誘導加熱、赤外線ヒーターによる輻射熱加熱等が好ましく利用できる。赤外線ヒーターは、電気式、ガス式、オイル式あるいはスチーム式の遠赤外セラミックヒーターが利用できる。
冷却ロール76は1本以上であれば良いが、フィルムの両面に対して平滑性を高めるために2本以上とし、両面とも冷却ロール76に接触させることが好ましい。また、冷却ロール76には、クリーニングロール等の清掃設備を付与することも可能である。冷却ロール76の温度ムラは0.5℃以下が好ましい。速度ムラは0.5%以下が好ましい。冷却ロール76表面はハードクロムメッキを使用することができるが、これに限定されない。表面粗度は0.1s以下が好ましい。
一方、タッチロール75の材質としては金属、または金属ロールの周りに樹脂、ゴムなどを巻いたものを用いることができる。また、幅手中央部からサイドへいくに従い、径を変化させたクラウンロールを用いることもできる。
また、タッチロール75に密着する直前の温度は、樹脂のガラス転移温度(Tg)以上が好ましく、より好ましくはTg+50℃以上である。
冷却ロール76の温度調整は冷却ロール76内部に水や油などの熱媒体を流すことにより調整することが好ましい。
ついで、冷却固化されたフィルムを冷却ロール76から剥離し、幅手方向に延伸する。延伸により分子が配向される。延伸する方法は、公知のテンター77などを好ましく用いることができる。
延伸は、制御された均一な温度分布下で行うことが好ましい。好ましくは±2℃以内、より好ましくは±1℃以内、特に好ましくは±0.5℃以内である。
上記の方法で作製した熱可塑性樹脂フィルムの寸法変化率を小さくする目的等で、フィルムを長手方向や幅手方向に延伸または収縮させてもよい。長手方向に収縮するには、例えば、幅延伸を一時クリップアウトさせて長手方向に弛緩させる、または横延伸機の隣り合うクリップの間隔を徐々に狭くすることによりフィルムを収縮させるという方法がある。後者の方法は一般の同時二軸延伸機を用いて、縦方向の隣り合うクリップの間隔を、例えばパンタグラフ方式やリニアドライブ方式でクリップ部分を駆動して滑らかに徐々に狭くする方法によって行うことができる。必要により任意の方向(斜め方向)の延伸と組み合わせてもよい。長手方向、幅手方向とも0.5%から10%収縮させることで光学フィルムの寸法変化率を小さくすることができる。
光学フィルムの膜厚変動は、±3%、さらに±1%の範囲とすることが好ましい。膜厚変動を小さくする目的で、互いに直交する2軸方向に延伸する方法は有効であり、互いに直交する2軸方向の延伸倍率は、それぞれ最終的には流延方向に1.0〜2.0倍、幅手方向に1.01〜2.5倍の範囲とすることが好ましく、流延方向に1.01〜1.5倍、幅手方向に1.05〜2.0倍に範囲で行うことが好ましい。
フィルムを延伸する方法には特に限定はなく、例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、フィルム70の両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、あるいは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法などが挙げられる。また、これ等の方法は、組み合わせて用いてもよい。
テンター77による延伸後に、フィルム両端部を、上下一対のスリッター78、79により製品となる幅にスリットして裁ち落とし、製品幅に合わせてフィルムを形成した後、該フィルムの幅手方向の端郎にナーリング加工を施してナーリング部を形成し、巻取り装置82で巻き取ることによってロール状の光学フィルムを製造する。
そして、本発明による光学フィルムの製造方法では、ナーリング加工を施す工程は、複数の突起部をフィルムの側端部の表面に押しつけて、複数の凹凸の対を形成するものであって、突起部をフィルムに押しつけた際に、突起部により押しのけられたフィルム部材により形成される凸部の高さを、突起部の基部を構成する平坦部で制限し、凸部の高さを所定の高さにすることを特徴とするものである。このナーリング加工については、すでに述べているので、ここでの説明は省く。
以上のようにして溶融流延製膜法によりロール状に巻かれた本発明の光学フィルムを製造することができる。
本発明による光学フィルムの製造方法において、フィルムの巻き取り方法は、溶液流延製膜法または溶融流延製膜法のいずれにおいても、一般に使用されているワインダーを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等の張力をコントロールする方法があり、それらを使い分ければよい。
次に、本発明の光学フィルムを用いた偏光板及び該偏光板を用いた表示装置について説明する。
(偏光板)
偏光板は一般的な方法で作製することが出来る。本発明の光学フィルムの裏面側をアルカリ鹸化処理し、処理した光学フィルムを、ヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。もう一方の面にも該光学フィルムを用いても、別の偏光板保護フィルムを用いてもよい。本発明の光学フィルムに対して、もう一方の面に用いられる偏光板保護フィルムは面内リタデーションRoが590nmで、20〜70nm、Rtが100〜400nmの位相差を有していることが好ましい。これらは例えば、特開2002−71957号公報記載の方法で作成することが出来る。或いは更にディスコチック液晶等の液晶化合物を配向させて形成した光学異方層を有している光学補償フィルムを兼ねる偏光板保護フィルムを用いることが好ましい。例えば、特開2003−98348号公報記載の方法で光学異方性層を形成することが出来る。本発明の光学フィルムと組み合わせて使用することによって、平面性に優れ、安定した視野角拡大効果を有する偏光板を得ることが出来る。
裏面側に用いられる偏光板保護フィルムとしては、市販の透明支持体として、KC8UX2MW、KC4UX、KC5UX、KC4UY、KC8UY、KC12UR、KC8UCR−3(コニカミノルタオプト(株)製)等が好ましく用いられる。
偏光板の主たる構成要素である偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。偏光膜は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。該偏光膜の面上に、本発明の光学フィルムの片面を貼り合わせて偏光板を形成する。好ましくは完全鹸化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせる。
従来の光学フィルムを使用した偏光板は平面性に劣り、反射像を見ると細かい波打ち状のむらが認められ、60℃、90%RHの条件での耐久性試験により、波打ち状のむらが増大したが、これに対して本発明の光学フィルムを用いた偏光板は、平面性に優れていた。また、60℃、90%RHの条件での耐久性試験によっても波打ち状のむらが増加することはなく、裏面側に光学補償フィルムを有する偏光板であっても、耐久性試験後に視野角特性が変動することなく良好な視認性を提供することが出来た。
(表示装置)
上記偏光板を表示装置に組み込むことによって、種々の視認性に優れた表示装置を作製することが出来る。本発明の光学フィルムは反射型、透過型、半透過型LCD或いはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型等の各種駆動方式のLCDで好ましく用いられる。また、本発明の反射防止フィルムは反射防止層の反射光の色むらが著しく少なく、また、平面性に優れ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、電子ペーパー等の各種表示装置にも好ましく用いられる。特に画面が30型以上の大画面の表示装置では、色むらや波打ちむらが少なく、長時間の鑑賞でも目が疲れないという効果があった。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
実施例1〜17、比較例1〜8
本発明の溶液流延製膜法による光学フィルムの製造方法により、セルローストリアセテートフィルムを、つぎのようにして作製した。
(ドープ組成1)
セルローストリアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート 8質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 2質量部
メチレンクロライド 440質量部
エタノール 40質量部
チヌビン109(チバ・ジャパン(株)製) 0.5質量部
チヌビン171(チバ・ジャパン(株)製) 0.5質量部
アエロジル972V(日本アエロジル株式会社製) 0.2質量部
上記のドープ組成1の材料を、密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、濾過した。濾過は、フィルタープレスによる濾過の後、金属焼結フィルター(捕捉粒子径=10ミクロン)を通過させた。ついで、ドープを、図6に示す溶液流延製膜装置を用い、温度35℃で、幅2000mmのステンレスバンド支持体上に幅1800mmに均一に流延した。また、セルローストリアセテートの分子量分布の違うものを用いて、表1に示す2種類のガラス転移温度Tg(℃)を示すものを用いた。
ステンレスバンド支持体上で、残留溶媒量が100質量%になるまで溶媒を蒸発させ、ウェブをステンレスバンド支持体から剥離した。ついで、テンターでウェブの幅手方向(TD方向)の両端部を把持し、ウェブの幅手方向に延伸率10%で延伸した。なお、延伸工程のテンターに入る直前のウェブの残留溶媒量を、30質量%とした。
延伸工程においては、テンターの底の前寄り部分の温風吹出し手段すなわち温風吹出しスリット口から温度180℃で温風が吹込まれ、テンターの天井の後寄り部分の排出口から排気風が排出せられることによって、ウェブを延伸するとともに、乾燥した。
つぎに、延伸後のフィルムを、乾燥装置に導入し、このフィルムを、乾燥装置において表面粗さ(Rmax)0.8μmの鏡面搬送ロール(面長2200mm、径110mm)よりなる500本の非駆動のフリーロールによって構成される搬送ロールにより搬送しながら乾燥した。乾燥装置でのフィルム搬送張力は、80N/mとした。乾燥装置では、これの底の前寄り部分の温風入口から吹込まれる温度150℃の乾燥風によって乾燥させた。
乾燥装置による乾燥後に、フィルム両端部を上下一対のスリッターにより幅1600mmにスリットして、断裁切除した。
ついで、スリット後のフィルムの左右両端部それぞれ端部から30mmまでの幅に、ナーリング加工を行った。
ナーリング加工は、表面に突起部を有するエンボスロール61と、エンボスロール61とフィルムを介して対向配置したバックアップロール62とにより行った。
図8にエンボスロール61に用いた突起部の断面形状を示す。突起部の形状としては、底面が一辺の長さL1と、L1と同じか又は違う長さの辺を有する四角形、先端の面が一辺の長さL2と、L2と同じか又は違う長さの辺を有する四角形を持ち、高さがhの四角錐を用いて、ナーリング加工を施した。この時、突起部の基部を構成する平坦部で、フィルム面に形成される凸部の高さを制限するようにした。この底面及び先端の面の四角形の各辺の長さと高さhの値を変化させて、フィルム表面に凹凸を形成し、表1に示す平均幅W、断面積S、断面積Sと平均高さHとの比S/H、断面積Sと凹部の最も広い幅Yとの比S/Yの値を持つナーリング加工を施した。なお、平均幅W、断面積S、凹部の最も広い幅Yは、凸部の高さの1/2のところで、フィルム表面と平行な平面で切断したときの値である(図2参照。)。
また、ナーリング部の表面に形成した凹凸の個数は、表1に示す個数になるようにした。
ナーリング加工後、光学フィルムを直径600mmの円筒管にまきとり、長さ3000m、厚さ50μmm、幅m1600の実施例1〜17、比較例1〜8の光学フィルムを作製した。
(評価)
上記の方法により作製した実施例1〜17、比較例1〜8の光学フィルムについて、ロール状態でのブラックバンドの発生の有無を目視により観察し、全く認められないものをまる◎、わずかに認められるが製品として問題ないレベルのものを○、認められるものを△、多く認められるものを×とした。また、ロール状態から光学フィルムを繰り出したときのブロッキングの発生の有無を観察し、全く認められないものをまる◎、わずかに認められるが製品として問題ないレベルのものを○、認められるものを△、フィルムの変形、破れが発生したものを×とした。ブラックバンドやブロッキングが△レベルで観察されると、フィルムにシワや異物が発生し、製品としては使用できない。評価結果を表1に示す。
表1の結果から、実施例1〜5と比較例1〜8とを比較すると、ナーリング加工した光学フィルム表面の一対の凹凸において、一対の凹凸の凸部を、該凸部のフィルムの表面から平均高さの1/2のところでフィルムの表面と平行な平面で切断したとき、凸部の断面積Sが、2500〜10000μmで、凸部の平均幅Wが3〜20μmであることが好ましいことが判る。また、実施例3と実施例6〜9を比較すると、断面積Sμmと凸部のフィルムの表面からの平均高さHμmとの比S/Hが、100〜3000であることが好ましいことが判る。また、実施例3と実施例10〜13を比較すると、断面積Sμmと凹部の最も広い幅Yμmとの比S/Yが、10〜300であることが好ましいことが判る。また、実施例3と実施例14〜17を比較すると、ナーリング加工が施された領域には、一対の凹凸が、10〜300個/cm形成されていることが好ましいことが判る。
上記実施例1〜17及び比較例1〜8で作製した光学フィルムを用いて、下記のようにして偏光板を作製し、さらに、それら偏光板を液晶表示パネル(液晶表示装置)に組み込み、視認性を評価した。
下記の方法に従って、実施例1〜17及び比較例1〜8の光学フィルムと、セルロースエステル系光学補償フィルムであるKC8UCR5(コニカミノルタオプト株式会社製)各々1枚とを偏光板保護フィルムとして用いて本発明の偏光板、及び比較例の偏光板を作製した。
(a)偏光膜の作製
けん化度99.95モル%、重合度2400のポリビニルアルコール(以下PVAと略す)100質量部に、グリセリン10質量部、及び水170質量部を含浸させたものを溶融混練し、脱泡後、Tダイから金属ロール上に溶融押出し、製膜した。その後、乾燥・熱処理してPVAフィルムを得た。得られたPVAフィルムは平均厚みが40μm、水分率が4.4%、フィルム幅が3mであった。
つぎに前記PVAフィルムを以下に記載する予備膨潤、染色、湿式法による一軸延伸、固定処理、乾燥、熱処理の順番で連続的に処理して偏光膜フィルムを作製した。
PVAフィルムを30℃の水中に30秒間浸して予備膨潤し、ヨウ素濃度0.4g/リットル、ヨウ化カリウム濃度40g/リットルの35℃の水溶液中に3分間浸した。続いて、ホウ酸濃度4%の50℃の水溶液中でフィルムにかかる張力が700N/mの条件下で6倍に一軸延伸を行い、ヨウ化カリウム濃度40g/リットル、ホウ酸濃度40g/リットル、塩化亜鉛濃度10g/リットルの30℃の水溶液中に5分間浸漬して固定処理を行った。その後、PVAフィルムを取り出し、40℃で熱風乾燥し、さらに100℃で5分間熱処理を行った。得られた偏光膜は平均厚みが13μm、偏光性能については透過率が43.0%、偏光度が99.5%、2色性比が40.1であった。
(b)偏光板の作製
ついで、下記工程1〜5に従って、偏光膜フィルムと偏光板用保護フィルムとを貼り合わせて本発明の偏光板、及び比較例の偏光板を作製した。
工程1:光学補償フィルムと光学フィルムを3mol/Lの水酸化ナトリウム溶液に60℃で90秒間浸漬し、ついで水洗、乾燥させた。
同様に光学補償フィルムを3mol/Lの水酸化ナトリウム溶液に、温度60℃で90秒間浸漬し、ついで水洗、乾燥させた。
工程2:前述の偏光膜フィルムを固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒間浸漬した。
工程3:工程2で偏光膜フィルムに付着した過剰の接着剤を軽く取り除き、それを工程1でアルカリ処理した光学補償フィルムと光学フィルムで挟み込んで、積層配置した。
工程4:2つの回転するローラにて20〜30N/cmの圧力で約2m/minの速度で貼り合わせた。このとき気泡が入らないように注意して実施した。
工程5:温度80℃の乾燥機中にて、工程4で作製した試料を2分間乾燥処理し、偏板を作製した。
市販の液晶表示パネル(VA型)の最表面の偏光板を注意深く剥離し、ここに偏光方向を合わせた本発明の偏光板、及び比較例の偏光板を張り付けた。
(視認性評価)
上記のようにして得られた本発明の液晶パネル、及び比較例の液晶パネルを、床から80cmの高さの机上に配置し、床から3mの高さの天井部に昼色光直管蛍光灯(FLR40S・D/M−X 松下電器産業株式会社製)40W×2本を1セットとして1.5m間隔で10セット配置した。このとき、評価者が液晶パネル表示面正面にいるときに、評価者の頭上より後方に向けて天井部に前記蛍光灯がくるように配置した。液晶パネルは机に対する垂直方向から25°傾けて蛍光灯が写り込むようにして、画面の見易さ(視認性)を下記のようにランク分けして、評価した。
A:最も近い蛍光灯の写り込みから気にならず、フォントの大きさ8以下の文字もはっきりと読める
B:近くの蛍光灯の写り込みはやや気になるが、遠くは気にならず、フォントの大きさ8以下の文字もなんとかと読める
C:遠くの蛍光灯の写り込みも気になり、フォントの大きさ8以下の文字を読むのは困難である
D:蛍光灯の写り込みがかなり気になり、写り込みの部分はフォントの大きさ8以下の文字を読むことはできない
評価の結果、本発明の実施例1〜17で作製した光学フィルムを用いた偏光板を組み込んだ液晶パネルは、何れもランクB以上の評価結果であり、良好であった。これに対し、比較例1〜8で作製した光学フィルムを用いた偏光板を組み込んだ液晶パネルは、ランクDの評価結果であった。
1、70 フィルム、ウェブ
12 ナーリング加工面
13 凸部
14 凹部
21 平坦部
50 金属製支持体
51、74 流延ダイ
52 剥離ロール
53、77 テンター
54 乾燥装置
55 搬送ロール
56、57、78、79 スリッター
58、82 巻取り装置
61、80 エンボスロール
62、81 バックアップロール
71 供給ホッパー
72 混合機
73 押出機
75 タッチロール
76 冷却ロール

Claims (4)

  1. 長尺状のフィルムの幅方向の両側端部に、凹部と凹部の周囲に形成された凸部とを一対とする凹凸複数形成され、前記長尺状のフィルムの幅が1400mm以上であり、前記一対の凹凸の前記凸部を、該凸部の前記フィルムの表面から平均高さの1/2のところで前記フィルムの表面と平行な平面で切断したとき、前記凸部の1つ当たりの断面積Sが、2500〜10000μmで、前記凸部の平均幅Wが3〜20μmである光学フィルムを製造する方法において、
    前記両側端部に複数の突起部を有する部材を押しつけて、凹凸によるナーリングを付与する工程と、前記フィルムを巻きとる工程と、を有し、
    前記ナーリングを付与する工程は、前記突起部を前記フィルムの表面に押しつけた際に、前記突起部により押しのけられたフィルム部材により形成される凸部の高さを、前記突起部の基部を構成する平坦部で制限し、前記凸部の高さを所定の高さにすることを特徴とする光学フィルムの製造方法
  2. 前記一対の凹凸において、
    前記断面積Sμmと前記凸部の前記フィルムの表面からの平均高さHμmとの比S/Hが、100〜3000であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法
  3. 前記一対の凹凸において、
    前記断面積Sμmと前記凹部の最も広い幅Yμmとの比S/Yが、10〜300であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学フィルムの製造方法
  4. 前記フィルムの幅方向の両側端部に、前記一対の凹凸が、10〜300個/cm形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法
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