JP2017100372A - フィルムロールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光学フィルムの幅手方向の凸部のピッチを考慮した適切なオシレート量で光学フィルムを巻き取ることにより、オシレートによる貼り付き防止の効果を十分に発揮させ、高温高湿環境下でのフィルムロールにおける光学フィルム同士の貼り付きを抑える。【解決手段】フィルムロールの製造方法は、光学フィルムFを巻芯に対して相対的に、幅手方向にオシレートさせながら、巻芯に巻き取るオシレート巻き工程を有している。光学フィルムFの幅手方向における凸部のピッチをP(mm)としたとき、13mm≦P≦40mmである。巻き取りによって積層される光学フィルムFの各層の幅手方向を含む同一断面内で、積層方向に隣り合う各層間での、オシレートによる幅手方向のズレ量をA(mm)としたとき、オシレート巻き工程では、積層方向に隣り合う各層間で、A>Pを満足するように、光学フィルムFを巻芯に対して相対的にオシレートさせて巻き取る。【選択図】図9
Description
本発明は、光学フィルムを幅手方向に振動(オシレート)させて巻芯に巻き取り、ロール状の光学フィルムを製造するフィルムロールの製造方法に関するものである。
現在、偏光板の保護フィルムなどに用いられる光学フィルムの薄膜化のニーズが増大している。光学フィルムが薄膜化すると、製膜後の光学フィルムを巻き取ったときに巻取不良が生じやすくなる。そこで、光学フィルムの巻取品質を改善する方法が従来から種々提案されている。
例えば特許文献1では、光学フィルムの側縁が揃うように、光学フィルムを巻芯に巻き取るストレート巻きを行った後、光学フィルムまたは巻芯を、光学フィルムの幅手方向に周期的に振動させながら、光学フィルムを巻芯に巻き取るオシレート巻きを行うことにより、巻取後のフィルムロールに耳伸びや巻きズレが生じないようにしている。
なお、上記の耳伸びとは、光学フィルムの両側端部(耳部)にナーリング付与ローラによって形成された凹凸状のエンボスが、光学フィルムの巻き取りによって崩れ、耳部が幅手方向に伸びてしまう現象を指す。また、上記の巻きズレとは、フィルムロールを輸送する際の振動などにより、所期の巻き姿(ロール形状)が保持されずに変わってしまう現象を指す。
また、例えば特許文献2では、光学フィルムを巻芯に巻き取る際に、巻芯に垂直な方向(フィルムロールの厚み方向)において、巻芯に近い側では、遠い側よりも、巻芯方向の振動(オシレート)の周期が小さいか、オシレートの振幅が大きいかのどちらか一方、または両方となるように、オシレート巻きを行っている。これにより、ブロッキングまたはブラックバンドと称される不良(黒帯不良)と、巻きズレ不良との両方を低減するようにしている。
ところが、特許文献1および2の巻取方法では、フィルムロールから光学フィルムを繰り出して偏光板を作製し、作製した偏光板を表示装置(例えば液晶表示装置)に適用したときに、表示ムラが発生することがわかった。調査の結果、長尺状の光学フィルムをフィルムロールの状態で、高温高湿環境下で保管したときに、フィルム同士が貼り付いている箇所と、貼り付いていない箇所とが発生し、貼り付いている箇所では位相差変動(例えば厚み方向のリタデーションRth変動)が起こり、貼り付いていない箇所では位相差変動が起こっていない結果、表示ムラが発生することが判明した。
また、オシレート巻きを行っても、フィルムロールにおけるフィルム同士の貼り付きが発生するのは、製膜された光学フィルムの表面において、幅手方向に複数の凹凸が存在しており、光学フィルムの幅手方向の凸部のピッチを考慮して、オシレートによる幅手方向の各層のズレ量(オシレート量)が適切に設定されていないため、オシレートによる貼り付き防止の効果が十分に発揮されていないことが原因であることがわかった。
なお、光学フィルムの幅手方向に並ぶ凹部および凸部は、光学フィルムを溶液流延製膜法で製膜する際の各ヒートボルトの位置に対応して形成されていることがわかった。上記のヒートボルトは、ドープを支持体上に流延する流延ダイにおいて、ドープの流出口となるスリットのドープ流延方向(支持体移動方向)の長さ(スリットギャップ)を調整するために、幅手方向に所定間隔で並んで設けられている。各ヒートボルトを熱伸縮させて流延ダイのスリットギャップを調整することにより、支持体上に流延するドープの量を調整し、これによって、製膜する光学フィルムの厚みを調整することができる。このとき、各ヒートボルトは、幅手方向に点在しているため、スリットの幅手方向の位置によって、スリットギャップの調整量にばらつきが生じる。このため、支持体上に流延するドープの厚みムラが幅手方向に生じ、製膜される光学フィルムの厚みムラが幅手方向に生じることになる。なお、製膜された光学フィルムを横延伸(幅手方向への延伸)する場合でも、幅手方向の厚みムラが維持されたまま光学フィルムが横延伸されるため、各ヒートボルトの位置に対応した厚みムラ(表面凹凸)が、光学フィルムの幅手方向に生じることになる。
したがって、高温高湿環境下でのフィルムロールにおけるフィルム同士の貼り付きを抑えて上記した表示ムラを抑えるためには、光学フィルムの幅手方向の凸部のピッチを考慮して、適切なオシレート量で光学フィルムを巻き取り、これによって、オシレートによる貼り付き防止の効果を十分に発揮させることが必要となる。しかし、このようなオシレート巻きについては、従来、一切検討されていない。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、その目的は、光学フィルムの幅手方向の凸部のピッチを考慮した適切なオシレート量で光学フィルムを巻き取ることにより、オシレートによる貼り付き防止の効果を十分に発揮させ、これによって、高温高湿環境下でのフィルムロールにおける光学フィルム同士の貼り付きを抑えることができるフィルムロールの製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の製造方法により達成される。
1.光学フィルムを巻芯に巻き取ってフィルムロールを製造するフィルムロールの製造方法であって、
前記光学フィルムを前記巻芯に対して相対的に、幅手方向にオシレートさせながら、前記巻芯に巻き取るオシレート巻き工程を有しており、
前記光学フィルムは、前記幅手方向において、複数の凹凸を表面に有しており、
前記光学フィルムの前記幅手方向における凸部のピッチをP(mm)としたとき、
13mm≦P≦40mm
であり、
巻き取りによって積層される前記光学フィルムの各層の前記幅手方向を含む同一断面内で、積層方向に隣り合う各層間での、オシレートによる前記幅手方向のズレ量をA(mm)としたとき、
前記オシレート巻き工程では、積層方向に隣り合う各層間で、
A>P
を満足するように、前記光学フィルムを前記巻芯に対して相対的にオシレートさせて巻き取ることを特徴とするフィルムロールの製造方法。
前記光学フィルムを前記巻芯に対して相対的に、幅手方向にオシレートさせながら、前記巻芯に巻き取るオシレート巻き工程を有しており、
前記光学フィルムは、前記幅手方向において、複数の凹凸を表面に有しており、
前記光学フィルムの前記幅手方向における凸部のピッチをP(mm)としたとき、
13mm≦P≦40mm
であり、
巻き取りによって積層される前記光学フィルムの各層の前記幅手方向を含む同一断面内で、積層方向に隣り合う各層間での、オシレートによる前記幅手方向のズレ量をA(mm)としたとき、
前記オシレート巻き工程では、積層方向に隣り合う各層間で、
A>P
を満足するように、前記光学フィルムを前記巻芯に対して相対的にオシレートさせて巻き取ることを特徴とするフィルムロールの製造方法。
2.前記ピッチPに関して、
20mm≦P≦30mm
であり、
前記オシレート巻き工程では、積層方向に隣り合う各層間で、A>Pを満足しつつ、
25mm≦A≦35mm
を満足するように、前記光学フィルムを前記巻芯に対して相対的にオシレートさせて巻き取ることを特徴とする前記1に記載のフィルムロールの製造方法。
20mm≦P≦30mm
であり、
前記オシレート巻き工程では、積層方向に隣り合う各層間で、A>Pを満足しつつ、
25mm≦A≦35mm
を満足するように、前記光学フィルムを前記巻芯に対して相対的にオシレートさせて巻き取ることを特徴とする前記1に記載のフィルムロールの製造方法。
3.前記光学フィルムの前記幅手方向に並ぶ各凸部の厚さの最大値と最小値との差が、0.1μm以上であることを特徴とする前記1または2に記載のフィルムロールの製造方法。
4.前記光学フィルムを溶液流延製膜法によって製膜する製膜工程をさらに有しており、
前記オシレート巻き工程では、前記製膜工程にて製膜された前記光学フィルムを、前記巻芯に対して相対的にオシレートさせて巻き取ることを特徴とする前記1から3のいずれかに記載のフィルムロールの製造方法。
前記オシレート巻き工程では、前記製膜工程にて製膜された前記光学フィルムを、前記巻芯に対して相対的にオシレートさせて巻き取ることを特徴とする前記1から3のいずれかに記載のフィルムロールの製造方法。
上記の製造方法によれば、光学フィルムの幅手方向における凸部のピッチPを考慮して、光学フィルムの巻き取りによって積層される各層の、オシレートによる幅手方向のズレ量A(オシレート量)を設定している。そして、積層方向に隣り合う各層間で、A>Pを満足するように、光学フィルムを相対的にオシレートさせて巻き取る。これにより、オシレートによる貼り付き防止の効果を十分に発揮させることができ、高温高湿環境下でフィルムロールを保管した場合でも、光学フィルム同士の貼り付きを抑えることができる。
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、本明細書において、数値範囲をA〜Bと表記した場合、その数値範囲に下限Aおよび上限Bの値は含まれるものとする。また、本発明は、以下の内容に限定されるものではない。
本願発明者らは、上述した課題を解決すべく、以下のフィルムロールの製造方法を検討した。すなわち、本実施形態のフィルムロールの製造方法は、光学フィルムを巻芯に巻き取ってフィルムロールを製造するフィルムロールの製造方法であって、前記光学フィルムを前記巻芯に対して相対的に、幅手方向にオシレートさせながら、前記巻芯に巻き取るオシレート巻き工程を有しており、前記光学フィルムは、前記幅手方向において、複数の凹凸を表面に有しており、前記光学フィルムの前記幅手方向における凸部のピッチをP(mm)としたとき、
13mm≦P≦40mm ・・・(1)
であり、
巻き取りによって積層される前記光学フィルムの各層の前記幅手方向を含む同一断面内で、積層方向に隣り合う各層間での、オシレートによる前記幅手方向のズレ量をA(mm)としたとき、
前記オシレート巻き工程では、積層方向に隣り合う各層間で、
A>P ・・・(2)
を満足するように、前記光学フィルムを前記巻芯に対して相対的にオシレートさせて巻きことを特徴とするフィルムロールの製造方法である。この特徴は、特許請求の範囲に記載した各請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
13mm≦P≦40mm ・・・(1)
であり、
巻き取りによって積層される前記光学フィルムの各層の前記幅手方向を含む同一断面内で、積層方向に隣り合う各層間での、オシレートによる前記幅手方向のズレ量をA(mm)としたとき、
前記オシレート巻き工程では、積層方向に隣り合う各層間で、
A>P ・・・(2)
を満足するように、前記光学フィルムを前記巻芯に対して相対的にオシレートさせて巻きことを特徴とするフィルムロールの製造方法である。この特徴は、特許請求の範囲に記載した各請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
上記のように、光学フィルムの幅手方向における凸部のピッチPを考慮して、光学フィルムの各層の幅手方向のズレ量A(オシレート量、振動量)を設定している。そして、ピッチPよりもズレ量Aが大きくなるように、光学フィルムを巻芯に対して相対的にオシレートさせて巻き取ることにより、高温高湿環境下でのフィルムロールにおけるフィルム同士の貼り付きを抑えることができる。このような効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
ピッチPが条件式(1)を満足する範囲内にあるときに、条件式(2)を満足するように光学フィルムまたは巻芯を幅手方向にオシレート(周期的に振動)させて、光学フィルムを巻芯に巻き取り、ロール状の光学フィルム(フィルムロール)を得ることにより、例えば、フィルムロールにおいて連続して積層される2層のうちの上層の凸部は、該凸部とはプロファイル(例えば膜厚)の異なる下層の凸部と重なる。
ここで、上下の層で、同じプロファイルの凸部(例えば膜厚が最大の凸部)の幅手方向のズレ量が小さいと、巻き取りによって発生する圧力が、幅手方向のほぼ同じ領域(幅手方向において同じプロファイルの凸部が存在する領域)に集中し、ブロッキングが生じやすくなる。しかし、条件式(2)を満足するようなオシレートにより、上層の凸部を、これとはプロファイルの異なる下層の凸部に重ねて、プロファイルの異なる凸部を積み重ねることができる。あるいは、上記オシレートにより、上層の凸部と下層の凹部とを積み重ねることができる。これにより、巻き取りによって発生する圧力が局所的に集中するのを抑えてことができ、オシレートによる貼り付き防止効果を十分に発揮させることができる。したがって、オシレート巻きされたフィルムロールを高温高湿環境下で保管した場合でも、光学フィルムが局所的に貼り付くのを抑えることができる。
このように、光学フィルムの局所的な貼り付きを抑えることができるため、光学フィルムの場所によって位相差(例えば厚み方向のリタデーションRth)が変動する位相差ムラが発生するのを抑えることができる。その結果、フィルムロールから光学フィルムを繰り出して偏光板を作製し、作製した偏光板を表示装置(例えば液晶表示装置)に適用したときでも、光学フィルムの位相差変動に起因する表示ムラを抑えることができる。
以下、本実施形態のフィルムロールの製造方法について説明する前に、製造したフィルムロールから繰り出される光学フィルムが適用される液晶表示装置と、その光学フィルムの構成について、まず説明する。
〔垂直配向型液晶表示装置〕
図1は、本実施形態に係る垂直配向型(VA型)の液晶表示装置1の概略の構成を示す断面図である。液晶表示装置1は、液晶表示パネル2およびバックライト3を備えている。バックライト3は、液晶表示パネル2を照明するための光源である。
図1は、本実施形態に係る垂直配向型(VA型)の液晶表示装置1の概略の構成を示す断面図である。液晶表示装置1は、液晶表示パネル2およびバックライト3を備えている。バックライト3は、液晶表示パネル2を照明するための光源である。
液晶表示パネル2は、VA方式で駆動される液晶セル4の視認側に偏光板5を配置し、バックライト3側に偏光板6を配置して構成されている。液晶セル4は、液晶層を一対の透明基板(不図示)で挟持して形成される。液晶セル4としては、カラーフィルタが液晶層に対してバックライト3側の透明基板、つまり、TFT(Thin Film Transistor)形成側の基板に配置された、いわゆるカラーフィルタ・オン・アレイ(COA)構造の液晶セルを用いることができるが、カラーフィルタが液晶層に対して視認側の透明基板に配置された液晶セルであってもよい。
偏光板5は、偏光子11と、光学フィルム12・13とを備えている。偏光子11は、所定の直線偏光を透過する。光学フィルム12は、偏光子11の視認側に配置される保護フィルムである。光学フィルム13は、偏光子11のバックライト3側(液晶セル4側)に配置される保護フィルム兼位相差フィルムである。偏光板5は、液晶セル4の視認側に粘着層7を介して貼り付けられている。つまり、偏光板5は、液晶セル4に対して視認側に位置し、かつ、光学フィルム13が偏光子11に対して液晶セル4側となるように、液晶セル4に貼り合わされている。
偏光板6は、偏光子14と、光学フィルム15・16とを備えている。偏光子14は、所定の直線偏光を透過する。光学フィルム15は、偏光子14の視認側に配置される保護フィルムであり、位相差フィルムとして機能することもできる。光学フィルム16は、偏光子14のバックライト3側に配置される保護フィルムである。このような偏光板6は、液晶セル4のバックライト3側に粘着層8を介して貼り付けられている。なお、視認側の光学フィルム15を省略し、偏光子14を粘着層8に直接接触させても良い。偏光子11と偏光子14とは、クロスニコル状態となるように配置される。
本実施形態の光学フィルムは、例えば後述する溶液流延製膜法によって製膜され、偏光板5の光学フィルム13や、偏光板6の光学フィルム15に適用される。以下、本実施形態の光学フィルムの詳細について説明する。
〔光学フィルムについて〕
光学フィルムは、熱可塑性樹脂から構成されているフィルムであれば何でも良いが、光学用途に使用する場合には、所望の波長に対して透明な性質を有する樹脂からなるフィルムであることが好ましい。このようなフィルムを構成する樹脂としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテルスルフォン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、脂環構造を有するオレフィンポリマー系樹脂(脂環式オレフィンポリマー系樹脂)、セルロースエステル系樹脂などが挙げられる。
光学フィルムは、熱可塑性樹脂から構成されているフィルムであれば何でも良いが、光学用途に使用する場合には、所望の波長に対して透明な性質を有する樹脂からなるフィルムであることが好ましい。このようなフィルムを構成する樹脂としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテルスルフォン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、脂環構造を有するオレフィンポリマー系樹脂(脂環式オレフィンポリマー系樹脂)、セルロースエステル系樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、透明性や機械強度などの観点から、ポリカーボネート系樹脂、脂環式オレフィンポリマー系樹脂、セルロースエステル系樹脂が好ましい。その中でも、光学フィルムとした場合の位相差を調整することが容易であるセルロースエステル系樹脂が更に好ましい。
(セルロースエステル系樹脂)
好ましいセルロースエステル系樹脂としては、下記式(1)および(2)を満たすセルロースアシレートが挙げられる。
式(1) 2.0≦Z1<3.0
式(2) 0≦X<3.0
(式(1)および(2)において、Z1はセルロースアシレートの総アシル基置換度を表し、Xはセルロースアシレートのプロピオニル基置換度およびブチリル基置換度の総和を表す。)
好ましいセルロースエステル系樹脂としては、下記式(1)および(2)を満たすセルロースアシレートが挙げられる。
式(1) 2.0≦Z1<3.0
式(2) 0≦X<3.0
(式(1)および(2)において、Z1はセルロースアシレートの総アシル基置換度を表し、Xはセルロースアシレートのプロピオニル基置換度およびブチリル基置換度の総和を表す。)
セルロースエステルの原料のセルロースとしては、例えば綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどを挙げることができるが、特にこれらに限定されるわけではない。また、それらから得られたセルロースエステルを各々任意の割合で混合して使用することができる。
セルロースアシレートは、総アシル基置換度が2.0〜2.7の範囲内のセルロースアシレートであることが、耐水性を向上する観点から好ましく、また、製膜の際の流延性及び延伸性を向上させ、膜厚の均一性が一層向上する観点からは、セルロースアシレートの総アシル基置換度は、2.1〜2.5であることが好ましい。
なお、アセチル基の置換度や他のアシル基の置換度は、ASTM(American Society for Testing and Materials;米国試験材料協会)が策定・発行する規格の一つであるASTM−D817−96の規定に準じて測定することができる。
セルロースアシレートとしては、特にセルロースアセテート(セルロースジアセテート、セルローストリアセテート)、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートベンゾエート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレートから選ばれる少なくとも1種であることが好ましいが、これらの中でより好ましいセルロースアシレートは、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートである。
セルロースエステル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは75000以上であり、75000〜300000の範囲であることがより好ましく、100000〜240000の範囲内であることが更に好ましく、160000〜240000のものが特に好ましい。セルロースエステル系樹脂の重量平均分子量(Mw)が75000以上であれば、セルロースエステル系樹脂を含む層自身の自己成膜性や密着の改善効果が発揮され、好ましい。
セルロースエステル系樹脂の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、それぞれゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより以下の測定条件で測定することができる。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=500〜2800000の範囲内の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=500〜2800000の範囲内の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
(リタデーション上昇剤)
本実施形態の光学フィルムは、位相差フィルムとして用いられる場合に、リタデーション上昇剤を含んでいてもよい。リタデーション上昇剤とは、測定波長590nmにおけるフィルムのリタデーション(特に厚み方向のリタデーションRth)を、リタデーション上昇剤が未添加のものに比べて増大させる機能を有する化合物をいう。
本実施形態の光学フィルムは、位相差フィルムとして用いられる場合に、リタデーション上昇剤を含んでいてもよい。リタデーション上昇剤とは、測定波長590nmにおけるフィルムのリタデーション(特に厚み方向のリタデーションRth)を、リタデーション上昇剤が未添加のものに比べて増大させる機能を有する化合物をいう。
光学フィルムがリタデーション上昇剤を含むことにより、光学フィルムの面内方向のリタデーションおよび厚み方向のリタデーションをそれぞれRoおよびRthとしたとき、
30nm<Ro<70nm、かつ、100nm<Rth<300nm
となる光学フィルムを実現することができる。
30nm<Ro<70nm、かつ、100nm<Rth<300nm
となる光学フィルムを実現することができる。
上記のRoおよびRthは、例えば、自動複屈折率計アクソスキャン(Axo Scan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)を用いて、温度23℃、相対湿度55%RHの環境下、測定波長590nmにおいて、三次元屈折率測定を行って得られた屈折率nx、ny、nzから、以下の式に基づいて算出できる。
Ro=(nx−ny)×d(nm)
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d(nm)
(式中、nxはフィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nyはフィルムの面内方向において前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nzはフィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dはフィルムの厚さ(nm)を表す。)
Ro=(nx−ny)×d(nm)
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d(nm)
(式中、nxはフィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nyはフィルムの面内方向において前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nzはフィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dはフィルムの厚さ(nm)を表す。)
本実施形態では、分子量が100〜800の範囲内である含窒素複素環化合物をリタデーション上昇剤(添加剤)として使用することができる。上記の含窒素複素環化合物としては、例えば国際公開番号WO2014/109350A1の段落〔0140〕〜〔0214〕に記載の化合物を用いることができる。
(添加剤)
本実施形態の光学フィルムは、有機エステルとして、糖エステル、重縮合エステル、多価アルコールエステルから選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
本実施形態の光学フィルムは、有機エステルとして、糖エステル、重縮合エステル、多価アルコールエステルから選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
また、本実施形態の光学フィルムは、リン酸エステルを含有することもできる。リン酸エステルとしては、トリアリールリン酸エステル、ジアリールリン酸エステル、モノアリールリン酸エステル、アリールホスホン酸化合物、アリールホスフィンオキシド化合物、縮合アリールリン酸エステル、ハロゲン化アルキルリン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合ホスホン酸エステル、含ハロゲン亜リン酸エステル等が挙げられる。
具体的なリン酸エステルとしては、トリフェニルホスフェート、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキシド、フェニルホスホン酸、トリス(β−クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート等が挙げられる。
また、多価アルコールエステル類の1種として、グリコール酸のエステル類(グリコレート化合物)を用いることができる。グリコレート化合物としては、特に限定されないが、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が好ましく用いることができる。
アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、例えば、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられ、好ましくはエチルフタリルエチルグリコレートである。
また、本実施形態の光学フィルムは、表面の滑り性を高めるため、必要に応じて微粒子(マット剤)をさらに含有してもよい。上記微粒子は、無機微粒子であっても有機微粒子であってもよい。無機微粒子の例には、二酸化ケイ素(シリカ)、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムなどが含まれる。中でも、二酸化ケイ素や酸化ジルコニウムが好ましく、得られるフィルムのヘイズの増大を少なくするためには、より好ましくは二酸化ケイ素である。
二酸化ケイ素の微粒子の例には、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600、NAX50(以上日本アエロジル(株)製)、シーホスターKE−P10、KE−P30、KE−P50、KE−P100(以上日本触媒(株)製)などが含まれる。
〔光学フィルムの製造方法〕
次に、本実施形態の光学フィルムの製造方法(フィルムロールの製造方法)について説明する。図2は、本実施形態の光学フィルムの製造に用いられる製造装置20の概略の構成を示す説明図である。本実施形態の光学フィルムの製造方法は、溶液流延製膜法によって光学フィルムを製膜する方法である。この溶液流延製膜法では、樹脂と溶媒とを含むドープを、走行する支持体上に流延ダイから流延して支持体上で乾燥させ、流延膜(ウェブ)を支持体から剥離した後、ウェブを延伸、乾燥させてフィルムを製膜する。以下、溶液流延製膜法による光学フィルムの製造ついて、より詳細に説明する。
次に、本実施形態の光学フィルムの製造方法(フィルムロールの製造方法)について説明する。図2は、本実施形態の光学フィルムの製造に用いられる製造装置20の概略の構成を示す説明図である。本実施形態の光学フィルムの製造方法は、溶液流延製膜法によって光学フィルムを製膜する方法である。この溶液流延製膜法では、樹脂と溶媒とを含むドープを、走行する支持体上に流延ダイから流延して支持体上で乾燥させ、流延膜(ウェブ)を支持体から剥離した後、ウェブを延伸、乾燥させてフィルムを製膜する。以下、溶液流延製膜法による光学フィルムの製造ついて、より詳細に説明する。
(ドープ調製工程)
図示しない調製部にて、支持体22上に流延するドープを調製する。
図示しない調製部にて、支持体22上に流延するドープを調製する。
(流延、乾燥、剥離工程)
次に、調製部にて調製されたドープを、流延ダイ21から支持体22上に流延する。そして、支持体22で搬送しながら乾燥させて形成した流延膜としてのウェブ25を、支持体22から剥離する。より具体的には、以下の通りである。
次に、調製部にて調製されたドープを、流延ダイ21から支持体22上に流延する。そして、支持体22で搬送しながら乾燥させて形成した流延膜としてのウェブ25を、支持体22から剥離する。より具体的には、以下の通りである。
調製部にて調製されたドープを、加圧型定量ギヤポンプ等を通して、導管によって流延ダイ21に送液し、無限に移送する回転駆動ステンレス鋼製エンドレスベルトよりなる支持体22上の流延位置に、流延ダイ21からドープを流延し、これにより支持体22上に流延膜としてのウェブ25を形成する。
支持体22は、一対のドラム23・23およびこれらの間に位置する複数のロール(不図示)によって保持されている。ドラム23・23の一方または両方には、支持体22に張力を付与する駆動装置(不図示)が設けられており、これによって支持体22は張力が掛けられて張った状態で使用される。
支持体22上に流延されたドープにより形成されたウェブ25を、支持体22上で加熱し、支持体22から剥離ロール24によってウェブ25が剥離可能になるまで溶媒を蒸発させる。溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法や、支持体22の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があり、適宜、単独であるいは組み合わせて用いればよい。支持体22上でウェブ25が剥離可能な膜強度となるまで乾燥固化あるいは冷却凝固させた後、ウェブ25を、自己支持性を持たせたまま剥離ロール24によって剥離する。
なお、剥離時点での支持体22上でのウェブ25の残留溶媒量は、乾燥の条件の強弱、支持体22の長さ等により、50〜120質量%の範囲であることが望ましい。残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、ウェブ25が柔らか過ぎると剥離時平面性を損ね、剥離張力によるシワや縦スジが発生しやすいため、経済速度と品質との兼ね合いで剥離時の残留溶媒量が決められる。なお、残留溶媒量は、下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)=(ウェブの加熱処理前質量−ウェブの加熱処理後質量)/
(ウェブの加熱処理後質量)×100
ここで、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、115℃で1時間の加熱処理を行うことを表す。
(ウェブの加熱処理後質量)×100
ここで、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、115℃で1時間の加熱処理を行うことを表す。
(延伸工程)
この工程では、支持体22から剥離されたウェブ25を、テンター26によって延伸する。このときの延伸方向としては、フィルム搬送方向(MD方向;Machine Direction)、フィルム面内で上記搬送方向に垂直な幅手方向(TD方向;Transverse Direction)、これらの両方向、のいずれかである。液晶表示装置用のフィルムを製膜する場合、延伸工程では、ウェブ25の両側縁部をクリップ等で固定して延伸するテンター方式が、フィルムの平面性や寸法安定性を向上させるために好ましい。なお、テンター26内では、延伸に加えて乾燥を行ってもよい。
この工程では、支持体22から剥離されたウェブ25を、テンター26によって延伸する。このときの延伸方向としては、フィルム搬送方向(MD方向;Machine Direction)、フィルム面内で上記搬送方向に垂直な幅手方向(TD方向;Transverse Direction)、これらの両方向、のいずれかである。液晶表示装置用のフィルムを製膜する場合、延伸工程では、ウェブ25の両側縁部をクリップ等で固定して延伸するテンター方式が、フィルムの平面性や寸法安定性を向上させるために好ましい。なお、テンター26内では、延伸に加えて乾燥を行ってもよい。
(乾燥工程)
テンター26にて延伸されたウェブ25は、乾燥装置27にて乾燥される。乾燥装置27内では、側面から見て千鳥状に配置された複数の搬送ロールによってウェブ25が蛇行させられ、その間にウェブ25が乾燥される。乾燥装置27での乾燥方法は、特に制限はなく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等を用いてウェブ25を乾燥させる。簡便さの点から、熱風でウェブ25を乾燥させる方法が好ましい。
テンター26にて延伸されたウェブ25は、乾燥装置27にて乾燥される。乾燥装置27内では、側面から見て千鳥状に配置された複数の搬送ロールによってウェブ25が蛇行させられ、その間にウェブ25が乾燥される。乾燥装置27での乾燥方法は、特に制限はなく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等を用いてウェブ25を乾燥させる。簡便さの点から、熱風でウェブ25を乾燥させる方法が好ましい。
ウェブ25は、乾燥装置27にて乾燥後、光学フィルムFとして巻取装置40に向かって搬送される。したがって、上記したドープの流延から乾燥までの各工程の少なくともいずれかは、光学フィルムFを溶液流延製膜法によって製膜する製膜工程に含まれる。
(切断、エンボス加工工程)
乾燥装置27と巻取装置40との間には、切断部28およびエンボス加工部29がこの順で配置されている。切断部28では、製膜された光学フィルムFを搬送しながら、その幅手方向の両端部を、スリッターによって切断する切断工程が行われる。光学フィルムFにおいて、両端部の切断後に残った部分は、フィルム製品となる製品部を構成する。一方、光学フィルムFから切断された部分(トリム部)は、シュータにて回収され、次のフィルムの製膜に再利用される。
乾燥装置27と巻取装置40との間には、切断部28およびエンボス加工部29がこの順で配置されている。切断部28では、製膜された光学フィルムFを搬送しながら、その幅手方向の両端部を、スリッターによって切断する切断工程が行われる。光学フィルムFにおいて、両端部の切断後に残った部分は、フィルム製品となる製品部を構成する。一方、光学フィルムFから切断された部分(トリム部)は、シュータにて回収され、次のフィルムの製膜に再利用される。
切断工程の後、光学フィルムFの幅手方向の両端部には、エンボス加工部29により、エンボス加工(ナーリング加工)が施される。エンボス加工は、加熱されたエンボスローラーを光学フィルムFの両端部に押し当てることにより行われる。エンボスローラーの表面には細かな凹凸が形成されており、エンボスローラーを光学フィルムFの両端部に押し当てることで、上記両端部に凹凸が形成される。このようなエンボス加工により、次の巻取工程での巻きズレやブロッキング(フィルム同士の貼り付き)を極力抑えることができる。
(巻取工程)
最後に、エンボス部の形成加工が終了した光学フィルムFを、巻取装置40によって巻き取り、光学フィルムFの元巻(フィルムロール)を得る。すなわち、巻取工程では、光学フィルムFを搬送しながら巻芯に巻き取ることにより、フィルムロールが製造される。光学フィルムFの巻き取り方法は、一般に使用されているワインダーを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等の張力をコントロールする方法があり、それらを使い分ければよい。光学フィルムFの巻長は、1000〜7200mであることが好ましい。
最後に、エンボス部の形成加工が終了した光学フィルムFを、巻取装置40によって巻き取り、光学フィルムFの元巻(フィルムロール)を得る。すなわち、巻取工程では、光学フィルムFを搬送しながら巻芯に巻き取ることにより、フィルムロールが製造される。光学フィルムFの巻き取り方法は、一般に使用されているワインダーを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等の張力をコントロールする方法があり、それらを使い分ければよい。光学フィルムFの巻長は、1000〜7200mであることが好ましい。
〔流延ダイの詳細について〕
次に、上記した流延ダイ21の詳細について説明する。図3は、流延ダイ21の水平断面図である。流延ダイ21は、ドープの流出口となるスリット31を有している。スリット31は、一対のリップで形成されている。一方のリップは、剛性が低く、変形しやすいフレキシブルリップ32であり、他方のリップは、固定リップ33である。
次に、上記した流延ダイ21の詳細について説明する。図3は、流延ダイ21の水平断面図である。流延ダイ21は、ドープの流出口となるスリット31を有している。スリット31は、一対のリップで形成されている。一方のリップは、剛性が低く、変形しやすいフレキシブルリップ32であり、他方のリップは、固定リップ33である。
また、流延ダイ21には、スリット31の幅(ドープ流延方向の長さ)を調整するためのスリットギャップ調整部材である複数のヒートボルト34が設けられている。複数のヒートボルト34は、流延ダイ21の幅手方向(スリット31の長手方向)にほぼ一定の間隔で並んで配置されている。なお、複数のヒートボルト34の間隔は、どのような値に設定されてもよい。
流延ダイ21には、埋め込み電気ヒータおよび冷却媒体通路を備えたブロック(図示せず)が各ヒートボルト34に対応して設けられており、各ヒートボルト34が各ブロックを貫通している。上記ブロックを常時空冷しながら、埋め込み電気ヒータの入力を増減してブロックの温度を上下させ、ヒートボルト34を熱伸縮させることにより、フレキシブルリップ32を変位させてスリットギャップを調整することができる。これにより、スリット31から支持体22上に流延されるドープの厚さを調整して、光学フィルムの厚さを調整することができる。光学フィルムの厚さは、例えば15〜60μmであることが、薄膜の光学フィルムを実現できる点で望ましい。
このとき、各ヒートボルト34は、流延ダイ21の幅手方向に点在しているため、スリット31の上記幅手方向の位置によって、スリットギャップの調整量にばらつきが生じる(図3参照)。このため、支持体22上に流延するドープの厚みムラが幅手方向に生じ、製膜される光学フィルムの幅手方向に厚みムラ(表面凹凸)が生じることになる。つまり、製膜された光学フィルムの表面には、各ヒートボルト34の位置に対応する凹部または凸部が幅手方向に並んで形成される。なお、光学フィルムの上記凹部および上記凸部は、光学フィルムにおいて、流延時の支持体22とは反対側の面に形成される。ちなみに、光学フィルムにおいて、流延時の支持体22側の面は、支持体22と接するため、平面である。光学フィルムの凸部の厚さ(図9の凸部H2と凹部L1との膜厚差に相当)は、5μm以下であることが、本実施形態の効果発現の観点から望ましい。
なお、各ヒートボルト34によるスリットギャップの調整量にばらつきがあるため、光学フィルムの凸部の厚み(高さ)は、幅手方向において均一ではなく、凸部同士でも若干の厚みムラがある(図9参照)。
〔巻取装置の詳細について〕
次に、上述した巻取工程で用いられる巻取装置40の詳細について説明する。図4は、巻取装置40の構成の一例を示す説明図である。巻取装置40は、光学フィルムFを巻き取る巻芯41と、巻芯41を駆動する駆動機構42とを備えている。駆動機構42は、巻芯41を周方向に回転させる第1の駆動機構42aと、巻芯41を光学フィルムFの幅手方向(巻芯の回転軸方向)にオシレートさせる第2の駆動機構42bとを含む。第1の駆動機構42aおよび第2の駆動機構42bは、モータ、ギア、シャフト、カム機構などを備えた機械的な駆動機構で構成されている。
次に、上述した巻取工程で用いられる巻取装置40の詳細について説明する。図4は、巻取装置40の構成の一例を示す説明図である。巻取装置40は、光学フィルムFを巻き取る巻芯41と、巻芯41を駆動する駆動機構42とを備えている。駆動機構42は、巻芯41を周方向に回転させる第1の駆動機構42aと、巻芯41を光学フィルムFの幅手方向(巻芯の回転軸方向)にオシレートさせる第2の駆動機構42bとを含む。第1の駆動機構42aおよび第2の駆動機構42bは、モータ、ギア、シャフト、カム機構などを備えた機械的な駆動機構で構成されている。
また、巻芯41のフィルム搬送方向の上流側には、光学フィルムFを巻芯41に向けて搬送する搬送ロール43が配置されている。搬送ロール43は、同図のように、単一のロールで構成されていてもよいし、一対のロールで構成されて光学フィルムFをニップして搬送してもよい。
駆動機構42によって、巻芯41を周方向に回転させながら、巻芯41を光学フィルムFに対して相対的に幅手方向にオシレートさせることにより、光学フィルムFは、巻取位置が幅手方向に周期的に変化しながら、巻芯41にロール状に巻き取られ、図5に示すフィルムロールRとなる。フィルムロールRにおいては、図6に示すように、各層の光学フィルムFが幅手方向に周期的にずれながら積層されている。なお、図6の断面図は、図5のフィルムロールRを、幅手方向を含む平面Sで切ったときの断面図に相当している。また、図6では、便宜的に、各層の光学フィルムFの幅手方向の厚みを均一にしているが、実際は、幅手方向において厚みムラがある(図9参照)。
図7は、巻取装置40の他の構成を模式的に示す説明図である。巻取装置40は、図4の構成に加えて、ニップロール44と、駆動機構45とをさらに備えた構成であってもよい。ニップロール44は、一対のロール44a・44bからなり、巻芯41と搬送ロール43との間で、搬送ロール43と異なる高さ位置に設けられている。駆動機構45は、ニップロール44の各ロール44a・44bを周方向に回転させる第1の駆動機構45aと、各ロール44a・44bを光学フィルムFの幅手方向(ロールの回転軸方向)にオシレートさせる第2の駆動機構45bとを含む。第1の駆動機構45aおよび第2の駆動機構45bは、モータ、ギア、シャフト、カム機構などを備えた機械的な駆動機構で構成される。なお、図7では、巻芯41を駆動する駆動機構42は、巻芯41を周方向に回転させる第1の駆動機構42aのみで構成されているが、図4と同様に、巻芯41を幅手方向にオシレートする第2の駆動機構42bを備えて、第2の駆動機構42bおよび第2の駆動機構45bの一方または両方を駆動する構成としてもよい。
駆動機構45によって、ニップロール44の各ロール44a・44bを周方向に回転させながら、各ロール44a・44bを同時に幅手方向にオシレートさせることにより、図8に示すように、光学フィルムFは、巻芯41に対して相対的に、幅手方向にオシレートしながら、巻芯41にロール状に巻き取られる。その結果、図5および図6と同様のフィルムロールRが得られる。
このように、巻取装置40では、光学フィルムFおよび巻芯41の一方を他方に対して相対的に、光学フィルムFの搬送方向に垂直な幅手方向にオシレートさせながら、光学フィルムFを巻芯41に巻き取る。以下では、このような光学フィルムFの巻取方法をオシレート巻きとも称し、オシレート巻きによって光学フィルムFを巻芯41に巻き取る工程を、オシレート巻き工程とも称する。
なお、図7の構成において、駆動機構45は、ニップロール44の各ロール44a・44bを幅手方向にオシレートさせるのではなく、光学フィルムFの面内で幅手方向に対して各ロール44a・44bの角度を周期的に変化させることにより、光学フィルムFを巻芯41に対して相対的に幅手方向にオシレートさせてもよい。
〔オシレート巻きの詳細について〕
次に、本実施形態のオシレート巻きの詳細について説明する。図9は、本実施形態のオシレート巻きによって積層方向に隣り合う光学フィルムFの各層の位置関係の一例を示す断面図である。ここで、オシレート巻きの対象となる光学フィルムFは、幅手方向において、複数の凹凸を表面に有しているものとする。図9では、便宜的に、光学フィルムFの凸部を、側端部側からH1、H2、・・・とし、表面の凹部を側端部側からL1、L2、・・・として示す。このように光学フィルムFの表面に凹凸が生じるのは、上述したように、溶液流延製膜法で光学フィルムFを製膜した場合、流延ダイ21の幅手方向に並ぶ各ヒートボルト34によるスリットギャップの調整量にばらつきが生じ、幅手方向におけるドープの厚みムラが、幅手方向における光学フィルムFの厚みムラとなって現れるためである。また、各ヒートボルト34によるスリットギャップの調整量にばらつきが生じるため、光学フィルムFの各凸部の膜厚も、幅手方向にばらついている。なお、図9では、便宜的に、巻き取りによって上下に積層される2つの光学フィルムFを離間して図示しているが、実際は、部分的に接触しているものとする。
次に、本実施形態のオシレート巻きの詳細について説明する。図9は、本実施形態のオシレート巻きによって積層方向に隣り合う光学フィルムFの各層の位置関係の一例を示す断面図である。ここで、オシレート巻きの対象となる光学フィルムFは、幅手方向において、複数の凹凸を表面に有しているものとする。図9では、便宜的に、光学フィルムFの凸部を、側端部側からH1、H2、・・・とし、表面の凹部を側端部側からL1、L2、・・・として示す。このように光学フィルムFの表面に凹凸が生じるのは、上述したように、溶液流延製膜法で光学フィルムFを製膜した場合、流延ダイ21の幅手方向に並ぶ各ヒートボルト34によるスリットギャップの調整量にばらつきが生じ、幅手方向におけるドープの厚みムラが、幅手方向における光学フィルムFの厚みムラとなって現れるためである。また、各ヒートボルト34によるスリットギャップの調整量にばらつきが生じるため、光学フィルムFの各凸部の膜厚も、幅手方向にばらついている。なお、図9では、便宜的に、巻き取りによって上下に積層される2つの光学フィルムFを離間して図示しているが、実際は、部分的に接触しているものとする。
光学フィルムFの表面の幅手方向における凸部のピッチをP(mm)とする。例えば、凸部H1と凸部H2との幅手方向の距離(頂点間距離)、凸部H2と凸部H3との幅手方向の距離(頂点間距離)は、ともにPである。また、巻き取りによって積層される光学フィルムFの各層の幅手方向を含む同一断面(図5の平面Sで切ったときの断面)内で、積層方向に隣り合う各層間での、オシレートによる幅手方向のズレ量(オシレート量)を、A(mm)とする。なお、幅手方向のオシレートによる振動振幅は、上記ズレ量の半分、つまり、A/2となる。
光学フィルムFの各層の幅手方向のズレ量がAであるとき、上記断面内で、例えば上層の凸部H1と下層の凸部H1とは、幅手方向にAだけずれており、上層の凹部L1と下層の凹部L1とは、幅手方向にAだけずれていることになる。なお、オシレートの周期と巻芯41の回転周期とを適切に設定することにより、上記断面内で各層を幅手方向にずらして積層することができる。
本実施形態では、上記のピッチPに関して、
13mm≦P≦40mm ・・・(1)
であるとき、オシレート巻き工程では、積層方向に隣り合う各層間で、
A>P ・・・(2)
を満足するように、光学フィルムFを巻芯41(図4等参照)に対して相対的にオシレートさせて巻き取るようにしている。
13mm≦P≦40mm ・・・(1)
であるとき、オシレート巻き工程では、積層方向に隣り合う各層間で、
A>P ・・・(2)
を満足するように、光学フィルムFを巻芯41(図4等参照)に対して相対的にオシレートさせて巻き取るようにしている。
ピッチPが条件式(1)を満足する範囲内にあるときに、条件式(2)を満足するように光学フィルムFまたは巻芯41を幅手方向にオシレートさせてフィルムロールRを得ることにより、例えば、下層で膜厚の最も大きい凸部H2と、上層で膜厚の最も大きい凸部H2とが、幅手方向に大きくずれて位置し、かつ、下層の凸部H2は、それよりも膜厚の小さい上層の凸部H1と重なる。
ここで、図10は、積層方向に隣り合う光学フィルムFの各層の位置関係の他の例を示すものであって、A<Pとなるように、光学フィルムFをオシレートさせて巻き取ったときの上下の層の位置関係を示している。図10のように、A<Pのとき、上下の層で、プロファイル(例えば膜厚)の同じ凸部H2の幅手方向のズレ量が小さい。この場合、巻き取りによって発生する圧力が、幅手方向のほぼ同じ領域(上記の例では、凸部H2が存在する領域W)に集中し、その結果、ブロッキングが生じやすくなる。
しかし、本実施形態では、条件式(2)を満足することにより、図9に示すように、上下の層でプロファイルの異なる凸部が重なったり(例えば上層の凸部H1の一部と下層の凸部H2の一部とが重なったり)、図示はしないが、上層の凸部と下層の凹部とが積層方向に重なったりする。これにより、巻き取りによって発生する圧力が図10のように局所的に集中することがなくなり、ブロッキングが生じにくくなる。したがって、オシレートによる貼り付き防止の効果を十分に発揮させることができる。
よって、フィルムロールRを高温高湿環境下で保管した場合でも、光学フィルムFに貼り付きのある箇所と貼り付きのない箇所とが併存し、これらの箇所で位相差(例えば厚み方向のリタデーションRth)が異なる位相差ムラが発生するのを抑えることができる。その結果、フィルムロールRから光学フィルムFを繰り出して偏光板を作製し、作製した偏光板を液晶表示装置に適用したときでも、光学フィルムFの位相差変動に起因する表示ムラを抑えることができる。
また、幅手方向の凸部のピッチPに関して、条件式(1)を満足することにより、巻状品質の改善を確実に図ることができる。ちなみに、P>40mmの場合、条件式(2)を満足しようとすると、ズレ量Aが大きくなりすぎて、フィルムロールRの運搬時に巻き崩れを起こすおそれがある。また、偏光板作製時にフィルムロールRを繰り出し装置にセットする際に、フィルムロールRの端部がその装置と接触し、偏光板の生産性が低下することも懸念される。一方、P<13mmの場合、凸部の幅手方向の間隔が狭くなりすぎて、条件式(2)を満足するようにオシレートを行っても、ランダムな貼り付きが発生し、巻状品質の良好なフィルムロールRを安定して生産することができなくなることがわかった。
上記のピッチPに関して、
20mm≦P≦30mm ・・・(1a)
であるとき、オシレート巻き工程では、積層方向に隣り合う各層間で、上述したA>Pを満足しつつ、
25mm≦A≦35mm ・・・(3)
を満足するように、光学フィルムFを巻芯41に対して相対的にオシレートさせて巻き取ることが望ましい。
20mm≦P≦30mm ・・・(1a)
であるとき、オシレート巻き工程では、積層方向に隣り合う各層間で、上述したA>Pを満足しつつ、
25mm≦A≦35mm ・・・(3)
を満足するように、光学フィルムFを巻芯41に対して相対的にオシレートさせて巻き取ることが望ましい。
ピッチPが条件式(1a)を満足する範囲内にあるときに、条件式(2)および(3)を満足するようにオシレートを行うことにより、ピッチPおよびズレ量Aの範囲が最適化されているため、光学フィルムFの貼り付き防止効果を十分に得て、光学フィルムFの位相差ムラを確実に抑えることができる。その結果、液晶表示装置において、光学フィルムFの位相差変動に起因する表示ムラを確実に抑えることができる。また、条件式(1a)を満足するピッチPに対して、ズレ量Aが必要最小限の量で済むため、オシレートを行う機構(例えば駆動機構42・45)を大型化したり、構成を複雑化することなく、上述した効果を得ることができる。
ところで、上述したように、光学フィルムFの各層において、幅手方向に並ぶ各凸部の厚さは、全て同じではなく、各凸部間でバラツキがある。幅手方向に並ぶ各凸部間で厚みのバラツキが大きい場合(例えば凸部の厚みの最大値と最小値との差が、0.1μm以上である場合)、A>Pであれば、A=nP(ただし、nを2以上の整数とする)であっても、オシレート巻きにより、隣り合う各層間で異なるプロファイルの凸部を積層方向に重ねることができるため、上述した本実施形態の効果を得ることができる。なお、A≠nPである場合は、隣り合う各層間でプロファイルの同じ凸部同士が幅手方向に確実にずれて積層されるため、上述した本実施形態の効果を当然得ることができる。一方、幅手方向に並ぶ各凸部間で厚みのバラツキが小さい場合(例えば凸部の厚みの最大値と最小値との差が、0μmよりも大きく、0.1μm未満である場合)、A>Pで、かつ、A=nPとなるようなオシレート巻きを行ってもよいが、A>Pで、かつ、A≠nPとなるようなオシレート巻きを行うほうが、隣り合う各層間でプロファイルの同じ凸部同士が幅手方向にずれて、フィルムの貼り付きを防止する本実施形態の効果が確実に得られるため、望ましい。
本実施形態のフィルムロールRの製造方法は、光学フィルムFを溶液流延製膜法によって製膜する、上述した製膜工程を含んでいる。そして、オシレート巻き工程では、製膜工程にて製膜された光学フィルムFを、巻芯41に対して相対的にオシレートさせて巻き取る。光学フィルムFが溶液流延製膜法によって製膜される場合、上述のように、光学フィルムFの幅手方向に厚みムラが生じやすくなり、オシレートを適切に行わないとフィルムの貼り付きが発生するため、フィルムの貼り付き防止効果を十分に発揮させることができる本実施形態のオシレート巻きの手法が非常に有効となる。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるわけではない。
以下、本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるわけではない。
<実施例1>
(ドープ組成)
セルロースアセテートプロピオネート樹脂(アセチル基置換度:1.5、プロピオニル基置換度:1.0、総アシル基置換度:2.5、ガラス転移温度Tg=150℃、Mn=148000、Mw=310000、Mw/Mn=2.1) 100質量部
トリフェニルホスフェート 8質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 2質量部
メチレンクロライド 440質量部
エタノール 40質量部
アエロジルR812(日本アエロジル株式会社製) 0.2質量部
(ドープ組成)
セルロースアセテートプロピオネート樹脂(アセチル基置換度:1.5、プロピオニル基置換度:1.0、総アシル基置換度:2.5、ガラス転移温度Tg=150℃、Mn=148000、Mw=310000、Mw/Mn=2.1) 100質量部
トリフェニルホスフェート 8質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 2質量部
メチレンクロライド 440質量部
エタノール 40質量部
アエロジルR812(日本アエロジル株式会社製) 0.2質量部
上記のドープ組成の材料を、密閉容器に投入し、液温が80℃になるまで昇温させた後、3時間攪拌した。そうすることによって、セルロースアセテートプロピオネート樹脂溶液が得られた。その後、攪拌を終了し、液温が43℃になるまで放置した。そして、得られた樹脂溶液を、濾過精度0.005mmの濾紙を使用して濾過し、濾過後の樹脂溶液を一晩放置することにより、樹脂溶液中の気泡を脱泡させた。このようにして得られた樹脂溶液をドープとして使用し、図2で示した製造装置を用い、温度35℃で、幅2200mmのステンレスバンド支持体上に流延ダイからドープを均一に流延した。なお、流延ダイにおいて、ヒートボルトの幅手方向の間隔は、12mmであった。
次に、ステンレスバンド支持体上で、残留溶媒量が100質量%になるまで溶媒を蒸発させ、ウェブ(フィルム)をステンレスバンド支持体から剥離した。ついで、テンターでウェブの幅手方向の両端部を把持し、幅手方向(TD方向)に延伸した。そのときの延伸倍率は、16.25%であった。その後、搬送ロール500本が設置されているロール搬送乾燥装置で乾燥処理後、切断部にて、フィルム両端をスリッターで除去した。そして、巻き取り用エンボス処理を、フィルムの片面にのみ、フィルム端部から幅13mmの範囲で行い、その後、フィルムを巻取装置によって巻き取り、長さが5200mで、膜厚が30μmのセルロースエステルフィルムの巻回体であるフィルムロールを得た。
上記の巻取装置では、具体的に以下のようにして、フィルムを巻芯にロール状に巻き取り、フィルムロールを製造した。すなわち、幅手方向の両端にエンボス処理を施したフィルムを、巻芯に、速度80m/分、巻き取り初期張力140N、巻き終わり張力90N、タッチローラのニップ力は20Nで一定として、5200m巻き取り、フィルムロールを作製した。また、フィルムを巻芯に巻き取る際に、巻芯を幅手方向に周期的に振動させながら巻き取るオシレート巻きを行った(オシレート巻き工程)。
ここで、フィルム表面の幅手方向の膜厚を、膜厚測定装置(EGS(株)製の全赤外線方式厚み測定機)を用いて測定し、幅手方向における凸部のピッチPを算出したところ、P=13mmであり、幅手方向における各凸部の厚さの最大値と最小値との差を求めたところ、0.1μmであった。また、巻取装置においては、巻き取りによって積層されるフィルムの各層の、幅手方向を含む同一断面内での幅手方向のズレ量Aが上記のPよりも大きい18mmとなるように、巻芯の駆動(幅手方向の振動)を制御した。
<実施例2〜7、比較例1〜3>
フィルムの延伸倍率と、巻き取りによって積層されるフィルムの各層の幅手方向のズレ量Aを、表1のように変更した以外は、実施例1と同様にしてフィルムロールを製造した。なお、実施例2〜7では、製膜されたフィルムの幅手方向における凸部のピッチPを算出した後、ピッチPよりも大きいズレ量Aを設定してオシレート巻きを行い、フィルムロールを製造した。また、比較例1〜3では、ピッチPよりも小さいズレ量Aを設定してオシレート巻きを行い、フィルムロールを製造した。
フィルムの延伸倍率と、巻き取りによって積層されるフィルムの各層の幅手方向のズレ量Aを、表1のように変更した以外は、実施例1と同様にしてフィルムロールを製造した。なお、実施例2〜7では、製膜されたフィルムの幅手方向における凸部のピッチPを算出した後、ピッチPよりも大きいズレ量Aを設定してオシレート巻きを行い、フィルムロールを製造した。また、比較例1〜3では、ピッチPよりも小さいズレ量Aを設定してオシレート巻きを行い、フィルムロールを製造した。
<リタデーション値の測定>
実施例1〜7、比較例1〜3で作製した各フィルムロールから光学フィルムを繰り出して、任意に10点の試料フィルムを切り出し、自動複屈折率計アクソスキャン(Axo Scan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)を用い、23℃55%RH(相対湿度)の環境下、590nmの波長において、三次元屈折率測定を行い、得られた平均屈折率nx、ny、nzを下記式(i)及び(ii)に代入して、面内方向のリタデーションRo1および厚さ方向のリタデーションRth1を求めた。
式(i):Ro=(nx−ny)×d(nm)
式(ii):Rth={(nx+ny)/2−nz}×d(nm)
〔式(i)及び式(ii)において、nxは、フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nyは、フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nzは、フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは、フィルムの厚さ(nm)を表す。〕
実施例1〜7、比較例1〜3で作製した各フィルムロールから光学フィルムを繰り出して、任意に10点の試料フィルムを切り出し、自動複屈折率計アクソスキャン(Axo Scan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)を用い、23℃55%RH(相対湿度)の環境下、590nmの波長において、三次元屈折率測定を行い、得られた平均屈折率nx、ny、nzを下記式(i)及び(ii)に代入して、面内方向のリタデーションRo1および厚さ方向のリタデーションRth1を求めた。
式(i):Ro=(nx−ny)×d(nm)
式(ii):Rth={(nx+ny)/2−nz}×d(nm)
〔式(i)及び式(ii)において、nxは、フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nyは、フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nzは、フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは、フィルムの厚さ(nm)を表す。〕
次に、実施例1〜7、比較例1〜3で作製した各フィルムロールを、40℃90%RHの環境で120時間放置した後、23℃55%RHの環境で24時間放置した。そして、上記と同様に、各フィルムロールから光学フィルムを繰り出して、任意に10点の試料フィルムを切り出し、自動複屈折率計アクソスキャンを用い、590nmの波長において、三次元屈折率測定を行い、面内方向のリタデーションRo2および厚さ方向のリタデーションRth2を求めた。
そして、以下の式に基づいて、厚み方向の位相差変動量ΔRthを求めた。
ΔRth=Rth1−Rth2
ΔRth=Rth1−Rth2
<偏光板の作製>
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸した(温度110℃、延伸倍率5倍)。そして、このポリビニルアルコールフィルムを、ヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いで、ヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。このポリビニルアルコールフィルムを水洗、乾燥し、偏光子を得た。
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸した(温度110℃、延伸倍率5倍)。そして、このポリビニルアルコールフィルムを、ヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いで、ヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。このポリビニルアルコールフィルムを水洗、乾燥し、偏光子を得た。
次に、実施例1〜7、比較例1〜3で取得した光学フィルム(位相差フィルム)と、上記で作製した偏光子と、コニカミノルタタックKC4UY(コニカミノルタ(株)製セルロースエステルフィルム)とを用い、下記工程1〜5に従って、上記それぞれの光学フィルムを有する偏光板を作製した。
工程1:60℃の2モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に、上記光学フィルムを90秒間浸漬し、次いで水洗し、乾燥して、偏光子と貼合する側を鹸化した。同様に、上記水酸化ナトリウム溶液に、コニカミノルタタックKC4UYを90秒間浸漬し、次いで水洗し、乾燥して、偏光子と貼合する側を鹸化した。
工程2:前記偏光子を、固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光子に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除き、その後、工程1で鹸化処理した光学フィルムおよびコニカミノルタタックKC4UYを、偏光子のそれぞれの面に配置し、光学フィルム/偏光子/コニカミノルタタックKC4UYの積層物を、実施例1〜7、比較例1〜3の光学フィルムのそれぞれについて作製した。
工程4:得られた積層物を、ロール機により、圧力20〜30N/cm2、搬送スピード2m/分で貼り合わせた。貼り合わせた積層物を、2分間乾燥させて偏光板とした。そして、上記と同様の工程で、偏光板を2つ(視認側、バックライト側)作製した。
<液晶表示装置の作製>
SONY製40型ディスプレイKLV−40J3000の予め貼合されていた両面の偏光板を剥がして、上記作製した偏光板をそれぞれ液晶セルのガラス面の両面(視認側、バックライト側)に貼合した。その際に、偏光板の上記光学フィルムが液晶セル側となるように、かつ、予め貼合されていた偏光板と同一の方向に吸収軸が向くように、各偏光板を液晶セルに貼り合わせて、液晶表示装置を各々作製した。
SONY製40型ディスプレイKLV−40J3000の予め貼合されていた両面の偏光板を剥がして、上記作製した偏光板をそれぞれ液晶セルのガラス面の両面(視認側、バックライト側)に貼合した。その際に、偏光板の上記光学フィルムが液晶セル側となるように、かつ、予め貼合されていた偏光板と同一の方向に吸収軸が向くように、各偏光板を液晶セルに貼り合わせて、液晶表示装置を各々作製した。
<表示ムラの評価>
23℃55%RHの環境で、各々の液晶表示装置のバックライトを1週間連続して点灯した後、ELDIM社製EZ−Contrast160Dを用い、液晶表示装置における白表示と黒表示とで、表示画面の法線方向からの輝度を測定し、その比を正面コントラストとした。すなわち、
正面コントラスト(%)={(表示装置の法線方向から測定した白表示の輝度)
/(表示装置の法線方向から測定した黒表示の輝度)}×100
である。そして、液晶表示装置の任意の5点の正面コントラストを測定し、以下の基準に基づいて、正面コントラストのムラを表示ムラとして評価した。
《評価基準》
○:正面コントラストが0%以上5%未満のばらつきであり、ムラが小さく、実用上問題のないレベルである。
△:正面コントラストが5%以上10%未満のばらつきであり、ムラがややあるが、実用上問題のないレベルである。
×:正面コントラストが10%以上のばらつきであり、ムラが大きく、実用上問題がある。
23℃55%RHの環境で、各々の液晶表示装置のバックライトを1週間連続して点灯した後、ELDIM社製EZ−Contrast160Dを用い、液晶表示装置における白表示と黒表示とで、表示画面の法線方向からの輝度を測定し、その比を正面コントラストとした。すなわち、
正面コントラスト(%)={(表示装置の法線方向から測定した白表示の輝度)
/(表示装置の法線方向から測定した黒表示の輝度)}×100
である。そして、液晶表示装置の任意の5点の正面コントラストを測定し、以下の基準に基づいて、正面コントラストのムラを表示ムラとして評価した。
《評価基準》
○:正面コントラストが0%以上5%未満のばらつきであり、ムラが小さく、実用上問題のないレベルである。
△:正面コントラストが5%以上10%未満のばらつきであり、ムラがややあるが、実用上問題のないレベルである。
×:正面コントラストが10%以上のばらつきであり、ムラが大きく、実用上問題がある。
表1は、実施例1〜7、比較例1〜3の光学フィルムについての各パラメータおよび評価の結果を示している。
表1より、実施例1〜7の光学フィルムでは、表示ムラについて実用上問題のないレベルである。これは、実施例1〜7のフィルムロールの製造方法では、フィルムロールが高温高湿環境下で放置された場合でも、位相差変動(Rth変動)が比較例1〜3に比べて非常に小さいためと考えられる。また、実施例1〜7において、位相差変動を小さく抑えることができるのは、光学フィルムにおける凸部の幅手方向のピッチPに関して、
13mm≦P≦40mm
である場合に、巻取装置でのオシレート巻き工程において、光学フィルムの巻き取りによって積層方向に隣り合う各層間で、
A>P
を満足するように、光学フィルムを巻芯に対して相対的にオシレートさせて巻き取り、フィルムロールを得ていることによると考えられる。つまり、上記のオシレート巻きにより、積層方向に隣り合う各層間で、プロファイルの同じ凸部が幅手方向に大きくずれ、これによって、プロファイルの異なる凸部同士が積層方向に重なるか、凸部と凹部とが積層方向に重なり、巻き取りによって発生する圧力がフィルム面内で局所的に集中せず、局所的なブロッキングが生じにくくなったためと考えられる。
13mm≦P≦40mm
である場合に、巻取装置でのオシレート巻き工程において、光学フィルムの巻き取りによって積層方向に隣り合う各層間で、
A>P
を満足するように、光学フィルムを巻芯に対して相対的にオシレートさせて巻き取り、フィルムロールを得ていることによると考えられる。つまり、上記のオシレート巻きにより、積層方向に隣り合う各層間で、プロファイルの同じ凸部が幅手方向に大きくずれ、これによって、プロファイルの異なる凸部同士が積層方向に重なるか、凸部と凹部とが積層方向に重なり、巻き取りによって発生する圧力がフィルム面内で局所的に集中せず、局所的なブロッキングが生じにくくなったためと考えられる。
特に、実施例3および4では、表示ムラについて最も良好な評価が得られている。これは、実施例3および4の製造方法では、凸部の幅手方向のピッチPに関して、
20mm≦P≦30mm
であり、オシレート巻き工程では、積層方向に隣り合う各層間で、A>Pを満足しつつ、
25mm≦A≦35mm
を満足するように、光学フィルムを巻芯に対して相対的にオシレートさせて巻き取っており、ピッチPおよびオシレートによるズレ量Aの範囲が最適化されているため、フィルムロールの巻状品質を良好に保つことができ、これによって、光学フィルムの局所的な貼り付きによる位相差変動を確実に抑えることができているためと考えられる。
20mm≦P≦30mm
であり、オシレート巻き工程では、積層方向に隣り合う各層間で、A>Pを満足しつつ、
25mm≦A≦35mm
を満足するように、光学フィルムを巻芯に対して相対的にオシレートさせて巻き取っており、ピッチPおよびオシレートによるズレ量Aの範囲が最適化されているため、フィルムロールの巻状品質を良好に保つことができ、これによって、光学フィルムの局所的な貼り付きによる位相差変動を確実に抑えることができているためと考えられる。
また、実施例1〜7では、光学フィルムの幅手方向に並ぶ各凸部の厚さの最大値と最小値との差が、0.1μmであり、各凸部の厚さのバラツキが大きいため、A>Pとなるようにオシレートを行うことにより、積層方向に隣り合う各層間でプロファイルの異なる凸部同士、または凸部と凹部とが積層方向に重なる。このため、局所的なブロッキングが生じにくくなって上述の効果が確実に得られているものと考えられる。
なお、以上では、セルロースエステル系樹脂を用いて光学フィルムを製膜する例について説明したが、他の樹脂(例えばシクロオレフィンポリマー樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂)を用いて光学フィルムを製膜し、フィルムロールを製造した場合でも、実施例1〜7と同様のオシレート巻きを行うことにより、実施例1〜7と同様の効果が得られることがわかった。すなわち、実施例1〜7で示したオシレート巻きによる上述の効果は、フィルムの材質とは関係なく得られることがわかった。
本発明は、光学フィルムを巻芯に巻き取ってフィルムロールを製造する場合に利用可能である。
41 巻芯
A ズレ量
F 光学フィルム
H1、H2、H3 凸部
P ピッチ
R フィルムロール
A ズレ量
F 光学フィルム
H1、H2、H3 凸部
P ピッチ
R フィルムロール
Claims (4)
- 光学フィルムを巻芯に巻き取ってフィルムロールを製造するフィルムロールの製造方法であって、
前記光学フィルムを前記巻芯に対して相対的に、幅手方向にオシレートさせながら、前記巻芯に巻き取るオシレート巻き工程を有しており、
前記光学フィルムは、前記幅手方向において、複数の凹凸を表面に有しており、
前記光学フィルムの前記幅手方向における凸部のピッチをP(mm)としたとき、
13mm≦P≦40mm
であり、
巻き取りによって積層される前記光学フィルムの各層の前記幅手方向を含む同一断面内で、積層方向に隣り合う各層間での、オシレートによる前記幅手方向のズレ量をA(mm)としたとき、
前記オシレート巻き工程では、積層方向に隣り合う各層間で、
A>P
を満足するように、前記光学フィルムを前記巻芯に対して相対的にオシレートさせて巻き取ることを特徴とするフィルムロールの製造方法。 - 前記ピッチPに関して、
20mm≦P≦30mm
であり、
前記オシレート巻き工程では、積層方向に隣り合う各層間で、A>Pを満足しつつ、
25mm≦A≦35mm
を満足するように、前記光学フィルムを前記巻芯に対して相対的にオシレートさせて巻き取ることを特徴とする請求項1に記載のフィルムロールの製造方法。 - 前記光学フィルムの前記幅手方向に並ぶ各凸部の厚さの最大値と最小値との差が、0.1μm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルムロールの製造方法。
- 前記光学フィルムを溶液流延製膜法によって製膜する製膜工程をさらに有しており、
前記オシレート巻き工程では、前記製膜工程にて製膜された前記光学フィルムを、前記巻芯に対して相対的にオシレートさせて巻き取ることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のフィルムロールの製造方法。
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2016
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