JP2005232328A - セルロースアシレートドープ液、およびセルロースアシレートフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 セルロースアシレートと、ノルボルネン系化合物、チオール系化合物及び重合開始剤とを、有機溶剤に溶解してセルロースアシレートドープ液とする。このセルロースアシレートドープ液を流延する製膜工程と、得られた膜に活性エネルギー線を照射して重合させる工程と、有機溶媒を除去する加熱・乾燥工程とを経て、セルロースアシレートフィルムを製造できる。
【選択図】 図1
Description
また、セルロースアシレートと、これに相溶可能な光重合性モノマー及び光重合開始剤とを均一な濃厚液(ドープ液)とし、このドープ液を流延製膜工程で紫外線照射し、セルロースアシレート中にポリマーのネットワークを形成させる方法も提案されている(特許文献2参照)。
また、上記特許文献2で用いられている光重合性モノマーは、エチレン性不飽和モノマー及び/又は官能基を有するエチレン性不飽和モノマーであり、これらは光重合開始剤の存在下に光重合が進行するものの、ポリマーネットワークの形成が不十分であるせいか、湿度に対するレターデーション変化が満足できるほど充分に低くすることができない。
本発明の主たる課題は、従来用いられているポリマーとは異なるポリマーを与える重合性モノマーを用いて、セルロースアシレート中にポリマーのネットワークを形成させ、湿度に対するレターデーション変化の小さい(すなわち、レターデーション安定性の高い)セルロースアシレートフィルムを提供することであり、また、そのようなセルロースアシレートフィルムの製造に好適なセルロースアシレートドープ液を提供することである。また、別の課題は、得られた上記セルロースアシレートフィルムを液晶表示装置の偏光板に用いることで、光漏れなどの問題を起こしにくく表示品位の高い液晶表示装置を提供することである。
すなわち、本発明は、セルロースアシレートと、ノルボルネン系化合物、チオール系化合物及び重合開始剤とを、有機溶剤に溶解してなることを特徴とするセルロースアシレートドープ液である。
また、本発明のセルロースアシレートフィルムは、光学フィルムや偏光板保護フィルムに利用できる。特に、VA(vertically aligned)型、IPS(in−phase switching)型等の液晶表示装置に好適に用いられ、光漏れなどの問題の少ない表示品位の高い液晶表示装置を提供できる。
本発明者は、セルロースアシレートに混ぜ込むポリマーを種々検討した結果、重合性のノルボルネン系化合物をチオール系化合物及び重合開始剤の存在下に、光照射して得られるポリマーを、セルロースアシレート中にネットワークとして形成させることにより、セルロースアシレートフィルムの吸水性が低下し、その結果、湿度変化に対するレターデーション安定性が飛躍的に向上することを見出し、本発明に至ることができたのである。
以下、必須的構成成分から順に、さらに説明する。
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部をエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位および6位のそれぞれについて、セルロースがエステル化している割合(100%のエステル化は置換度1)の合計を意味する。
セルロースの2位、3位および6位のそれぞれの水酸基の置換度は特に限定されないが、セルロースアシレートの6位の置換度の総和は、好ましくは0.8以上、さらに好ましくは0.85以上、特に好ましくは0.90以上である。セルロースアシレートの溶解性を向上させることができ、特に非塩素系有機溶媒において、良好な溶液の作製が可能だからである。
異なる2種類以上のセルロースアシレートを混合して使用してもよい。
好ましいアシル基の例としては、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ヘプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、イソブチリル、t‐ブチリル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフタレンカルボニル、フタロイル、シンナモイルなどを挙げることができる。これらの中でも、更に好ましいものは、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t‐ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどであり、特に好ましいものはアセチル、プロピオニル、ブチリルである。
反応温度は目的とするセルロースアシレートの特性に応じて任意に選択することができるが、−30℃〜70℃であることが好ましく、−20℃〜60℃であることが好ましく、−10℃〜50℃であることが特に好ましい。反応温度は反応の段階に応じて変化させても良い。反応温度の調節は、アシル化剤混液の温度や反応容器の温度制御で行うことができる。
セルロースアシレートの他の合成法としては、塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、ピリジン、トリエチルアミン、t−ブトキシカリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなど)の存在下に、カルボン酸ハライドと反応させる方法、アシル化剤として混合酸無水物(カルボン酸・トリフルオロ酢酸混合無水物、カルボン酸・メタンスルホン酸混合無水物など)を用いる方法によってもでき、特に炭素数の多いアシル基や、カルボン酸無水物−酢酸−硫酸触媒による液相アシル化法が困難なアシル基を導入する際には有効である。
セルロースアシレートの原料綿や合成方法については、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)の7頁〜12頁に詳細に記載されている。
用いるノルボルネン系化合物は、ノルボルネン性二重結合を含むノルボルネン部位を1つ又は2つ以上有する化合物、すなわち、次の一般式(化1)で表される化合物である。
エトキシ化ビスフェノールAを44.3g、ノルボルネン−5−カルボン酸クロライドを340g及びピリジンを63g、トルエン1.2L中に仕込み、還流下6時間攪拌する。室温に冷却後、3N塩酸水溶液1.2Lを添加し、分液抽出する。脱イオン水で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過する。この溶液を加熱しながら、エバポレーターで約1Lまで減圧濃縮し、溶液を室温に放置すると、NB−2の白色結晶700gを得る。
1,8−オクタンジオール15.3g及びピリジン17gを、トルエン30mL中に仕込み、ノルボルネン−5−カルボン酸クロライド32gを滴下する。還流下3時間攪拌する。室温に冷却後、水を加え、分液抽出する。脱イオン水で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過する。この溶液を加熱しながら、エバポレーターで減圧濃縮する。溶液をカラムクロマトグラフィーで精製すると、NB−48の粘性液体25gを得る。
本発明で用いるチオール系化合物は、分子中にチオール基を1つ又は2つ以上有する化合物である。具体例としては、特開平10−60114号、米国特許第4,119,617号、同第3,445,419号、同第4,289,867号公報などに記載されている化合物である。
本発明で用いる重合開始剤とは、活性エネルギー線により、活性なラジカル種又はカチオン種を発生し、重合反応を開始、促進する化合物をいう。活性エネルギー線としては、放射線、ガンマー線、アルファ線、電子線、紫外線などが用いられる。中でも、紫外線が好ましく用いられる。紫外線としては、極大吸収波長が400nm以下の紫外線領域に紫外線が好ましい。それにより、白灯下で取り扱うことができる。
有機溶媒としては、セルロースアシレートを溶解するために使用される有機溶媒が使用でき、低級脂肪族炭化水素の塩化物や低級脂肪族アルコールを用いる。
低級脂肪族炭化水素の塩化物の例には、メチレンクロライドを挙げることができる。
低級脂肪族アルコールの例には、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール及びn−ブタノールが含まれる。
その他の溶媒の例としては、ハロゲン化炭化水素を実質的に含まない混合溶媒が有用であり、このような混合有機溶媒を構成する溶媒としては、アセトン、炭素原子数4から12までのケトン(例えばメチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノン等)、炭素原子数3〜12のエステル(例えば、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル及び2−エトキシ−エチルアセテート等)、炭素原子数1〜6のアルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、t-ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール等)、炭素原子数3〜12のエーテル(例えば、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール等)、炭素原子数5〜8の環状炭化水素類(例えばシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等)が挙げられる。
また、メチレンクロライドのようなハロゲン化炭化水素を含まない非ハロゲン系有機溶媒系の具体例として、例えば、特開2002−146043号公報の段落番号〔0021〕〜〔0025〕、特開2002−146045号公報の段落番号〔0016〕〜〔0021〕等に記載の溶媒系の例が挙げられる。
(a)微粒子
フィルムの耐傷性や搬送性を良好に保持するために、本発明におけるセルロースアシレートドープ液に微粒子を添加することができる。マット剤、ブロッキング防止剤あるいはキシミ防止剤と称されて従来から利用されているものである。これら微粒子は、フィルムの耐傷性や搬送性を良好に保持する素材であれば、無機化合物でも有機化合物でもよい。具体的には、無機化合物として、ケイ素を含む化合物、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化ジルコニウム、酸化ストロンチウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化スズ・アンチモン、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等があり、好ましくは、ケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであり、更に好ましくは、セルロースアシレートフィルムの濁度を低減できるので、二酸化ケイ素である。
また、表面処理された無機微粒子もセルロースアシレート中への分散性が良好となるので、好ましく用いられる。表面処理法としては、例えば、特開昭54−57562号公報に記載の方法が挙げられる。無機微粒子としては、例えば、特開2001−151936号公報に記載のものが挙げられる。
有機化合物としては、例えば、架橋ポリスチレン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂等のポリマーが好ましく、なかでも、シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するシリコーン樹脂が好ましい。
セルロースアシレート(100質量部)に対する微粒子の添加量は、通常0.3質量部以下、好ましくは0.01〜0.3質量部、更に好ましくは0.05〜0.2質量部とする。
セルロースアシレートドープ液には、上記微粒子のほかに、用途に応じた種々の添加剤、例えば、可塑剤、紫外線防止剤(吸収剤)、劣化防止剤、光学異方性コントロール剤、剥離剤、赤外吸収剤等を適当な工程で加えることができる。それら添加剤は固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば、融点20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に可塑剤の混合などであり、例えば、特開2001−151901号公報などに記載されている。さらにまた、赤外吸収染料としては、例えば、特開2001−194522号公報に記載されている。またその添加する時期はドープ作製工程において何れで添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、セルロースアシレートフィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開2001−151902号公報などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。さらにこれらの詳細は、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)の16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。これらの添加剤の使用量は、セルロールアシレート全組成物中、0.001〜20質量%の範囲で適宜用いられることが好ましい。
セルロースアシレートドープ液の全組成分中、用いる重合性化合物のノルボルネン系化合物およびチオール系化合物は、1〜50質量%の割合で使用するのが好ましく、より好ましくは2〜30質量%である。
セルロースアシレートは、有機溶媒に10〜30質量%溶解している溶液であることが好ましい。これらの濃度にセルロースアシレートを実施する方法は、溶解する段階で所定の濃度になるように実施してもよく、また予め低濃度溶液(例えば、9〜14質量%)として作製した後に後述する濃縮工程で所定の高濃度溶液に調製してもよい。さらに、予め高濃度のセルロースアシレート溶液として後に、種々の添加物を添加することで所定の低濃度のセルロースアシレート溶液としてもよく、いずれの方法でも、所定のセルロースアシレート溶液濃度になるように実施されれば特に問題ない。
次に、本発明のセルロースアシレートドープを用いたフィルムの製造方法について述べる。本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。ハロゲン化銀写真感光材料や電子ディスプレイ用機能性保護膜に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらの各製造工程については、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)の25頁〜30頁に詳細に記載され、流延(共流延を含む)、金属支持体、乾燥、剥離、延伸などに分類される。
2層以上の複数のセルロースアシレート溶液を共流延する方法としては、例えば、支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させる方法(例えば、特開平11−198285号公報記載の方法)、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延する方法(特開平6−134933号公報記載の方法)、高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高、低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押出す方法(特開昭56−162617号公報記載の方法)等が挙げられる。本発明ではこれらに限定されるものではない。
更に残留溶媒を除去するために、50℃〜160℃で乾燥させ、その場合逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることが好ましい。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載されている。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することができる。使用する溶媒によって乾燥温度、乾燥風量及び乾燥時間が異なり、使用溶媒の種類、組み合わせに応じて適宜選ぶことができる。最終仕上がりフィルムの残留溶媒量は2質量%以下、更に0.4質量%以下であることが、寸度安定性良好なフィルムを得る上で好ましい。これらの乾燥工程の具体的な方法は、例えば、前述の発明協会公開技報に記載の従来公知の方法及び装置のいずれを用いてもよく、特に限定されるものではない。
本発明で作製されたセルロースアシレートの用途についてまず簡単に述べる。
本発明の光学フィルムは特に偏光板保護フィルム用として有用である。偏光板保護フィルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られたセルロースアシレートフィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号公報、特開平6−118232号公報に記載されているような易接着加工を施してもよい。保護フィルム処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、本発明の光学フィルムを適用した偏光板保護フィルムはどの部位に配置しても優れた表示性が得られる。特に液晶表示装置の表示側最表面の偏光板保護フィルムには透明ハードコート層、防眩層、反射防止層等が設けられるため、該偏光板保護フィルムをこの部分に用いることが特に好ましい。
以上述べてきたこれらの詳細なセルロースアシレートフィルムの用途は発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)の45頁〜59頁に詳細に記載されている。
本発明のセルロースアシレートドープの組成例(組成例1〜組成例4)を以下に示す。
〔組成例1〕
セルローストリアセテート(アセチル置換度2.8、粘度平均重合度320)
18.0質量部
ノルボルネン系化合物:NB−2(logP=6.9) 1.4質量部
ポリチオール系化合物:PT−1(シグマアルドリッチ社製) 0.6質量部
重合開始剤:IRG184(チバガイギー社製)(化6) 0.05質量部
微粒子:二酸化ケイ素(粒径20nm) 0.1質量部
紫外線吸収剤:2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール 0.15質量部
メチレンクロライド 72.0質量部
メタノール 8.0質量部
セルローストリアセテート(アセチル置換度2.8、粘度平均重合度320)
18.0質量部
ノルボルネン系化合物:NB−48(logP=4.7) 0.9質量部
ポリチオール系化合物:PT−1(シグマアルドリッチ社製) 1.1質量部
重合開始剤:IRG184(チバガイギー社製) 0.05質量部
微粒子:二酸化ケイ素(粒径20nm)) 0.1質量部
紫外線吸収剤:2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール 0.15質量部
メチレンクロライド 72.0質量部
メタノール 8.0質量部
セルロースアセテートプロピオネート(アセチル置換度0.8、プロピオニル置換度2.0、粘度平均重合度350) 18.0質量部
ノルボルネン系化合物:NB−2(logP=6.9) 1.4質量部
ポリチオール系化合物:PT−1(シグマアルドリッチ社製) 0.6質量部
重合開始剤:IRG184(チバガイギー社製) 0.05質量部
微粒子:二酸化ケイ素(粒径20nm) 0.1質量部
紫外線吸収剤:2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール 0.15質量部
メチレンクロライド 72.0質量部
メタノール 8.0質量部
セルロースアセテートブチレート(アセチル置換度1.1、ブチリル置換度1.7、粘度平均重合度300) 18.0質量部
ノルボルネン系化合物:NB−2(logP=6.9) 1.4質量部
ポリチオール系化合物:PT−1(シグマアルドリッチ社製) 0.6質量部
重合開始剤:IRG184(チバガイギー社製) 0.05質量部
微粒子:二酸化ケイ素(粒径20nm) 0.1質量部
紫外線吸収剤:2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール 0.15質量部
メチレンクロライド 72.0質量部
メタノール 8.0質量部
〔組成例5(比較)〕
セルローストリアセテート(アセチル置換度2.8、粘度平均重合度320)
18.0質量部
エチレン性不飽和モノマー:A(化7) 2.0質量部
重合開始剤:IRG184(チバガイギー社製) 0.05質量部
微粒子:二酸化ケイ素(粒径20nm) 0.1質量部
紫外線吸収剤:2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール 0.15質量部
メチレンクロライド 72.0質量部
メタノール 8.0質量部
セルローストリアセテート(アセチル置換度2.8、粘度平均重合度320)
18.0質量部
エポキシモノマー:B(化8) 2.0質量部
重合開始剤:4,4’−ビス(ジ(β-ヒドロキシエトキシ)フェニルスルフォニオ)フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート 0.05質量部
微粒子:二酸化ケイ素(粒径20nm)) 0.1質量部
紫外線吸収剤:2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール 0.15質量部
メチレンクロライド 72.0質量部
メタノール 8.0質量部
(セルロースアシレートドープの調製)
攪拌羽根を有するステンレス製溶解タンクに、それぞれの溶媒混合溶液によく攪拌しつつ、セルロースアシレート粉体を徐々に添加してドープを調製する。添加後、室温(25℃)に1時間放置後、35℃に維持してセルロースアシレートを膨潤させる。これにメチレンクロライドとメタノールに溶解させた重合性モノマー、メチレンクロライドに溶解させた重合開始剤、さらに微粒子と紫外線吸収剤を添加する。つぎに、このドープは弱い超音波照射することで泡抜きを実施する。脱泡したドープは1.5MPaに加圧した状態で、最初公称孔径5μmの焼結金属フィルターを通過させ、ついで同じく2.5μmの焼結金属フィルターを通過させる。濾過後のドープの温度は35℃に調整してステンレス製のストックタンク内に貯蔵する。ストックタンクは中心軸にアンカー翼を有して周速0.3m/secで常時攪拌される。
上記の溶解法で得られたドープを40℃にし、流延ギーサーを通して表面温度20℃とした鏡面ステンレス支持体上に流延して製膜する。
バンド上に流延されたドープは、最初に平行流の乾燥風を送り乾燥する。乾燥する際の乾燥風からのドープへの総括伝熱係数は24kcal/m2・hr・℃とする。乾燥風の温度はバンド上部で140℃、下部で100℃とする。
流延後5秒間は遮風装置により乾燥風が直接ドープに当らない様にし、その後、2kW高圧水銀灯を用いて、ドープ表面の全光照射量が900mJ/cm2となる条件で光照射する。しかる後に、多数のロールを有する乾燥ゾーンを搬送することで、厚さ60μmのセルロースアシレートフィルムを作製する。
上記の得られたセルロースアシレートフィルムのレターデーション評価を以下の通りにして行なう。なお、フィルムのRe(レターデーション)値およびRth(厚み方向レターデーション)値は、下記(I)および(II)で定義される。
(I):Re=(nx−ny)×d
(II):Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
上記(I)および(II)において、nxは、フィルム面内の遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率、nyはフィルム面内の進相軸方向(屈折率が最小となる方向)の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率、dは単位をnmとするフィルムの厚さである。
湿度Re変化=Re(80)とRe(10)の差の絶対値
湿度Rth変化=Rth(80)とRth(10)の差の絶対値
得られた結果を、表1(後記)に示す。
iso-プロパノール80重量部に水20重量部を加え、これにKOHを1.5規定となるように溶解し、これを60℃に調温したものを鹸化液として用いる。これを60℃で、上記の各製膜したセルロースアシレートフィルム上に10g/m2塗布し、1分間鹸化する。この後、50℃の温水スプレーを用い、10L/m2・分で1分間吹きかけ洗浄する。特開2001−141926の実施例1に従い、2対のニップロール間に周速差を与え、長手方向に延伸し、厚み20μmの偏光層を調製する。このようにして得た偏光層と、上記鹸化処理したセルロースアシレートフィルムのうちから2枚選び、これらで上記偏光層を挟んだ後、PVA((株)クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、偏光軸とセルロースアシレートフィルムの長手方向が90度となるように張り合わせ、偏光板とする。
上記のように作製した偏光板を特開2000−154261号公報の図2〜9に記載の20インチVA型液晶表示装置液晶表示装置に25℃60%rh下で取り付けた後、これを25℃10%rhの中に持ち込み、目視で色調変化の大小を10段階評価(大きいものほど変化が大きい)で評価する。表示むらの発生している領域を目視で評価し、それが発生している割合(%)を示す。得られた結果を表1に示す。
特開平11−316378号の実施例1の液晶層を塗布したセルロースアセテートフィルムの代わりに、本発明の鹸化済みのセルロースアシレートフィルムを使用し、これを、特開2002−62431の実施例9に記載のベンド配向液晶セルに25℃60%rh下で取り付けた後、これを25℃10%rhの中に持ち込み、コントラストの変化を目視評価し、色変化の大小を10段階評価(大きいものほど変化が大きい)する。得られた結果を表1に示す。
各組成物より作製したセルロースアシレートフィルムおよびこれを用いた偏光板および光学フィルムの評価結果を以下に示す。
以上の様に、本発明のセルロースアシレートフィルム及びこれを用いて作製した偏光板および光学補償フィルムは、優れた性能を示す。
12 送液ポンプ
13 フィルタ
14 流延ダイ
15 流延バンド
16 流延側部回転ドラム
17 非流延部側回転ドラム
18 ガイドロール
19 剥ぎ取りロール
20 ガイドロール
21 巻取りロール
22 乾燥部
23 フィルム
Claims (10)
- セルロースアシレートと、
ノルボルネン系化合物、チオール系化合物及び重合開始剤とを、
有機溶剤に溶解してなることを特徴とする
セルロースアシレートドープ液。 - ノルボルネン系化合物及びチオール系化合物は、いずれか一方又は両方が多官能性化合物である
請求項1に記載のセルロースアシレートドープ液。 - ノルボルネン系化合物及びチオール系化合物の分子量が、いずれも1,500以下である
請求項1又は2に記載のセルロースアシレートドープ液。 - ノルボルネン系化合物の水オクタノール分配係数が、3.0〜15.0である
請求項1〜3のいずれか一つに記載のセルロースアシレートドープ液。 - セルロースアシレートと、
ノルボルネン系化合物をチオール系化合物及び重合開始剤の存在下に重合させたポリマーとを含有してなることを特徴とする
セルロースアシレートフィルム。 - セルロースアシレートと、ノルボルネン系化合物、チオール系化合物及び重合開始剤とを、有機溶剤に溶解してなるセルロースアシレートドープ液を流延する製膜工程、
及び有機溶媒を除去する加熱・乾燥工程、
を含むセルロースアシレートフィルムの製造方法。 - セルロースアシレートと、ノルボルネン系化合物、チオール系化合物及び重合開始剤とを、有機溶剤に溶解してなるセルロースアシレートドープ液を流延する製膜工程、
得られた膜に活性エネルギー線を照射して重合する工程、及び
有機溶媒を除去する加熱・乾燥工程、
を含む請求項6に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。 - 記載の方法で製造されたセルロースアシレートフィルムを用いた光学フィルム。
- 請求項5に記載のフィルム、または請求項6〜7に記載の方法により製造されたセルロースアシレートフィルムを貼り付けた偏光板。
- 請求項8に記載の光学フィルム又は請求項9に記載の偏光板を用いた液晶表示装置。
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KR101789456B1 (ko) | 2013-09-13 | 2017-10-23 | 후지필름 가부시키가이샤 | 폴리머 필름, 폴리머 필름의 제조 방법, 편광판 및 액정 표시 장치 |
-
2004
- 2004-02-20 JP JP2004043870A patent/JP2005232328A/ja active Pending
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