JP2016068541A - 熱転写受像シートおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材2の一方の面に、断熱層3、下引き層4、染料受容層5を順次積層形成した熱転写受像シート1において、前記下引き層4がアルコキシド、アルコキシドの加水分解物、又は塩化錫の少なくとも一つと、水溶性高分子と、ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体と、ウレタン系樹脂とを主成分として含む塗布液を、塗布、乾燥して形成されたことを特徴とする熱転写受像シート。
【選択図】図1
Description
さらに昨今の高速印画プリンタにおいて、特に高温・高湿環境下における印画では、熱転写層と染料受容層が熱融着することで色相変動が起こり、その結果、印画物表面が部分的にマット化して最高反射濃度が低下する、いわゆる「テカリ」が発生するようになってきた。
また特許文献2では、ポリオレフィン支持体と染料像受容層との間に、チタン酸有機塩またはチタニウムアルコキシドから形成されるチタンの酸化物である無機主鎖を有するポリマーからなる下塗り層を設けることで、染料受容層の支持体への粘着を改善した染料受容素子が提案されている。
また特許文献2および3に提案されている染料受容素子を用いて、昨今の高速印画プリンタにて印画を行ったところ、十分な印画濃度を得ることができないばかりか、染料受容層が熱転写層表面に融着してしまう、異常転写が発生してしまった。
また特許文献4および5に提案されている熱転写受像シートを用いて、昨今の高速印画プリンタにて印画を行ったところ、高温・高湿環境下では実用上問題となるコゲ(テカリ)が発生することがわかった。
本発明は、そのような点に着目してなされたもので、高速印画においても、印画濃度が高く、基材密着性も良好であり、かつ高温・高湿環境下における高速印画にてテカリの発生を軽減できる熱転写受像シートを提供することを目的としている。
すなわち、本発明の一態様である熱転写受像シートは、基材の一方の面に、断熱層、下引き層、染料受容層を順次積層して形成した熱転写受像シートにおいて、前記下引き層は、アルコキシド、アルコキシドの加水分解物、および塩化錫の少なくとも一つと、水溶性高分子と、ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体と、ウレタン系樹脂とからなる重縮合物を主成分としていることを特徴とする。
前記水溶性高分子は、ポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドン、またはそれらの混合物であってもよい。
前記アルコキシドは、テトラエトキシシランまたはトリイソプロポキシアルミニウム、またはそれらの混合物であってもよい。
また本発明の一態様である熱転写受像シートの製造方法は、基材の一方の面に、断熱層、下引き層、染料受容層を順次積層して形成される熱転写受像シートの製造方法であって、前記下引き層を、アルコキシド、アルコキシドの加水分解物、および塩化錫の少なくとも一つと、水溶性高分子と、ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体と、ウレタン系樹脂とを主成分として含む塗布液を、塗布、乾燥して形成することを特徴とする。
基材2の厚さは、印画物としてのコシ、強度や耐熱性等を考慮し、25μm以上250μm以下の範囲のものが使用可能であるが、より好ましくは50μm以上200μm以下のものが好ましい。
断熱層3の厚さは、10μm以上80μm以下の範囲のものが使用可能であるが、より好ましくは20μm以上60μm以下のものが好ましい。
染料受容層5に用いられるバインダ樹脂としては、例えばポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタール、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリル共重合体、スチレン−アクリル共重合体、ポリブタジエン、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリカプロラクトン、エポキシ樹脂、ケトン樹脂、あるいはこれらの変性樹脂等を挙げることができるが、特に塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を用いることが好ましい。
この下引き層4の形成は、アルコキシドまたは/およびその加水分解物、または塩化錫の少なくとも一つと、水溶性高分子と、ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体と、ウレタン系樹脂とを主成分として含む塗布液を、塗布、乾燥して形成される。この下引き層4を使用することによって、後述の実施例から分かるように、昨今の高速印画プリンタにて印画を行っても、印画濃度が十分に高く、隣接して積層する断熱層または/および染料受容層との密着性が良好であり、かつ高温・高湿環境下における高速印画にてテカリの発生を軽減できる熱転写受像シートを得ることができる。
またウレタン系樹脂は、断熱層3または/および染料受容層5との更なる密着性の向上に寄与するものと考えられ、より高速印画となった場合においても、異常転写の発生を防ぐことができるという効果を発現する。
またビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体は、水溶性高分子成分とビニルピロリドン成分の耐熱性、耐湿性が劣る点をビニルカプロラクタム成分が補ったものと考えられ、高温・高湿環境下における高速印画にてテカリの発生を軽減する機能を発揮できる。
M(OR)n ・・・(1)
ここで、
M:Si、Ti、Al、Zr等の金属
R:CH3、C2H5等のアルキル基
n:Mの種類によって異なる1〜4の整数
である。
基材として厚さ140μmの上質紙を使用し、一方の面に溶融押し出し法により、裏面層として厚さ30μmの第1ポリエチレン樹脂層を形成した。
塩化第一錫 2.0部
メチルセルロース 1.5部
(メトローズSM4000、信越化学工業(株)製)
エマルジョン型エーテル系ポリウレタン 2.5部
ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体 1.5部
純水 61.0部
エチルアルコール 28.0部
イソプロピルアルコール 3.5部
<染料受容層塗布液>
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 19.5部
(ソルバインC、日信化学工業(株)製)
アミノ変性シリコーン 0.5部
(KF−393、信越化学工業(株)製)
メチルエチルケトン 40.0部
トルエン 40.0部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−2にした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−2>
塩化第一錫 2.0部
メチルセルロース 1.5部
(メトローズSM4000、信越化学工業(株)製)
エマルジョン型エステル系ポリウレタン 2.5部
ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体 1.5部
純水 61.0部
エチルアルコール 28.0部
イソプロピルアルコール 3.5部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−3にした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−3>
塩化第一錫 2.0部
ポリビニルアルコール 1.5部
(PVA424H、(株)クラレ製)
エマルジョン型エーテル系ポリウレタン 2.5部
ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体 1.5部
純水 61.0部
エチルアルコール 28.0部
イソプロピルアルコール 3.5部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−4にした以外は、実施例1と同様にして、実施例4の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−4>
テトラエトキシシラン 6.0部
メチルセルロース 2.0部
(メトローズSM4000、信越化学工業(株)製)
エマルジョン型エーテル系ポリウレタン 2.0部
ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体 2.5部
0.1N塩酸 51.5部
純水 32.5部
イソプロピルアルコール 3.5部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−5にした以外は、実施例1と同様にして、実施例5の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−5>
塩化第一錫 2.0部
ポリビニルアルコール 1.5部
(PVA424H、(株)クラレ製)
エマルジョン型エステル系ポリウレタン 2.5部
ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体 1.5部
純水 61.0部
エチルアルコール 28.0部
イソプロピルアルコール 3.5部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−6にした以外は、実施例1と同様にして、実施例6の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−6>
塩化第一錫 2.0部
ポリビニルアルコール 1.5部
(PVA424H、(株)クラレ製)
アイオノマー型エーテル系ポリウレタン 2.5部
ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体 1.5部
純水 61.0部
エチルアルコール 28.0部
イソプロピルアルコール 3.5部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−7にした以外は、実施例1と同様にして、実施例7の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−7>
塩化第一錫 2.0部
ポリビニルピロリドン 1.5部
(ISPジャパン(株)製)
エマルジョン型エステル系ポリウレタン 2.5部
ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体 1.5部
純水 61.0部
エチルアルコール 28.0部
イソプロピルアルコール 3.5部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−8にした以外は、実施例1と同様にして、実施例8の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−8>
塩化第一錫 2.0部
ポリビニルピロリドン 1.5部
(ISPジャパン(株)製)
アイオノマー型エーテル系ポリウレタン 2.5部
ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体 1.5部
純水 61.0部
エチルアルコール 28.0部
イソプロピルアルコール 3.5部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−9にした以外は、実施例1と同様にして、実施例9の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−9>
テトラエトキシシラン 6.0部
ポリビニルアルコール 2.0部
(PVA424H、(株)クラレ製)
エマルジョン型エステル系ポリウレタン 2.0部
ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体 2.5部
0.1N塩酸 51.5部
純水 32.5部
イソプロピルアルコール 3.5部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−10にした以外は、実施例1と同様にして、実施例10の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−10>
テトラエトキシシラン 6.0部
ポリビニルアルコール 2.0部
(PVA424H、(株)クラレ製)
アイオノマー型エーテル系ポリウレタン 2.0部
ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体 2.5部
0.1N塩酸 51.5部
純水 32.5部
イソプロピルアルコール 3.5部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−11にした以外は、実施例1と同様にして、実施例11の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−11>
テトラエトキシシラン 6.0部
ポリビニルピロリドン 2.0部
(ISPジャパン(株)製)
エマルジョン型エステル系ポリウレタン 2.0部
ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体 2.5部
0.1N塩酸 51.5部
純水 32.5部
イソプロピルアルコール 3.5部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−12にした以外は、実施例1と同様にして、実施例12の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−12>
テトラエトキシシラン 6.0部
ポリビニルピロリドン 2.0部
(ISPジャパン(株)製)
アイオノマー型エーテル系ポリウレタン 2.0部
ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体 2.5部
0.1N塩酸 51.5部
純水 32.5部
イソプロピルアルコール 3.5部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−13にした以外は、実施例1と同様にして、実施例13の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−13>
トリイソプロポキシアルミニウム 6.0部
ポリビニルアルコール 2.0部
(PVA424H、(株)クラレ製)
エマルジョン型エステル系ポリウレタン 2.0部
ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体 2.5部
0.1N塩酸 51.5部
純水 32.5部
イソプロピルアルコール 3.5部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−14にした以外は、実施例1と同様にして、実施例14の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−14>
トリイソプロポキシアルミニウム 6.0部
ポリビニルアルコール 2.0部
(PVA424H、(株)クラレ製)
アイオノマー型エーテル系ポリウレタン 2.0部
ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体 2.5部
0.1N塩酸 51.5部
純水 32.5部
イソプロピルアルコール 3.5部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−15にした以外は、実施例1と同様にして、実施例15の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−15>
トリイソプロポキシアルミニウム 6.0部
ポリビニルピロリドン 2.0部
(ISPジャパン(株)製)
エマルジョン型エステル系ポリウレタン 2.0部
ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体 2.5部
0.1N塩酸 51.5部
純水 32.5部
イソプロピルアルコール 3.5部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−16にした以外は、実施例1と同様にして、実施例16の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−16>
トリイソプロポキシアルミニウム 6.0部
ポリビニルピロリドン 2.0部
(ISPジャパン(株)製)
アイオノマー型エーテル系ポリウレタン 2.0部
ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体 2.5部
0.1N塩酸 51.5部
純水 32.5部
イソプロピルアルコール 3.5部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−17にした以外は、実施例1と同様にして、比較例1の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−17>
塩化第一錫 2.5部
ポリビニルアルコール 1.9部
(PVA424H、(株)クラレ製)
エマルジョン型エステル系ポリウレタン 3.1部
純水 61.0部
エチルアルコール 28.0部
イソプロピルアルコール 3.5部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−18にした以外は、実施例1と同様にして、比較例2の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−18>
塩化第一錫 3.1部
ポリビニルアルコール 2.2部
(PVA424H、(株)クラレ製)
ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体 2.2部
純水 61.0部
エチルアルコール 28.0部
イソプロピルアルコール 3.5部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−19にした以外は、実施例1と同様にして、比較例3の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−19>
塩化第一錫 2.5部
エマルジョン型エステル系ポリウレタン 3.1部
ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体 1.9部
純水 61.0部
エチルアルコール 28.0部
イソプロピルアルコール 3.5部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−20にした以外は、実施例1と同様にして、比較例4の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−20>
ポリビニルアルコール 2.1部
(PVA424H、(株)クラレ製)
エマルジョン型エステル系ポリウレタン 3.3部
ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体 2.1部
純水 61.0部
エチルアルコール 28.0部
イソプロピルアルコール 3.5部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−21にした以外は、実施例1と同様にして、比較例5の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−21>
塩化第一錫 4.3部
ポリビニルアルコール 3.2部
(PVA424H、(株)クラレ製)
純水 61.0部
エチルアルコール 28.0部
イソプロピルアルコール 3.5部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−22にした以外は、実施例1と同様にして、比較例6の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−22>
塩化第一錫 3.3部
エマルジョン型エステル系ポリウレタン 4.2部
純水 61.0部
エチルアルコール 28.0部
イソプロピルアルコール 3.5部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−23にした以外は、実施例1と同様にして、比較例7の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−23>
塩化第一錫 4.3部
ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体 3.2部
純水 61.0部
エチルアルコール 28.0部
イソプロピルアルコール 3.5部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−24にした以外は、実施例1と同様にして、比較例8の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−24>
ポリビニルアルコール 2.8部
(PVA424H、(株)クラレ製)
エマルジョン型エステル系ポリウレタン 4.7部
純水 61.0部
エチルアルコール 28.0部
イソプロピルアルコール 3.5部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−25にした以外は、実施例1と同様にして、比較例9の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−25>
ポリビニルアルコール 3.7部
(PVA424H、(株)クラレ製)
ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体 3.7部
純水 61.0部
エチルアルコール 28.0部
イソプロピルアルコール 3.6部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−26にした以外は、実施例1と同様にして、比較例10の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−26>
エマルジョン型エステル系ポリウレタン 4.7部
ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体 2.8部
純水 61.0部
エチルアルコール 28.0部
イソプロピルアルコール 3.5部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−27にした以外は、実施例1と同様にして、比較例11の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−27>
塩化第一錫 7.5部
純水 61.0部
エチルアルコール 28.0部
イソプロピルアルコール 3.5部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−28にした以外は、実施例1と同様にして、比較例12の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−28>
ポリビニルアルコール 7.5部
(PVA424H、(株)クラレ製)
純水 61.0部
エチルアルコール 28.0部
イソプロピルアルコール 3.5部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−29にした以外は、実施例1と同様にして、比較例13の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−29>
エマルジョン型エステル系ポリウレタン 7.5部
純水 61.0部
エチルアルコール 28.0部
イソプロピルアルコール 3.5部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−30にした以外は、実施例1と同様にして、比較例14の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−30>
ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体 7.5部
純水 61.0部
エチルアルコール 28.0部
イソプロピルアルコール 3.5部
実施例1の発泡ポリプロピレンフィルムのスキン層側に、下引き層を設けることなく、実施例1と同様の染料受容層塗布液を、乾燥後の厚さが3μmとなるように塗布、乾燥することで、染料受容層を形成し、比較例15の熱転写受像シートを得た。
基材として、4.5μmの片面易接着処理付きポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その非易接着処理面に下記組成の耐熱滑性層塗布液を、乾燥後の塗布量が1.0g/m2となるように塗布、乾燥し、耐熱滑性層付き基材を得た。次に、耐熱滑性層付き基材の易接着処理面に、下記組成の熱転写層塗布液を、乾燥後の塗布量が1.0g/m2となるように塗布、乾燥して熱転写層を形成し、熱転写記録媒体を得た。
シリコーン系アクリルグラフトポリマー 50.0部
(東亜合成(株)US−350)
メチルエチルケトン 50.0部
<熱転写層塗布液>
C.I.ソルベントブルー36 2.5部
C.I.ソルベントブルー63 2.5部
ポリビニルアセタール樹脂 5.0部
トルエン 45.0部
メチルエチルケトン 45.0部
実施例1〜16、比較例1〜15の熱転写受像シートおよび熱転写記録媒体を使用し、解像度が300×300DPIの、印画速度が1.5msec/line、1.4msec/lineと印画速度を変更できる評価用サーマルプリンタにてベタ画像の印画を行い、以下の評価を行った。
昨今の高速印画プリンタ相当の印画速度である1.5msec/lineでは、最高反射濃度、異常転写、剥離試験の評価を行った。また高温・高湿環境下にプリンタを設置し、同じく1.5msec/lineの印画速度にて印画を行い、テカリの評価を行った。また昨今の高速印画プリンタより速い印画速度の1.4msec/lineでは、異常転写および剥離試験の評価を行った。評価結果を表1に示す。なお、ここで言う異常転写とは、熱転写時に熱転写受像シート側のいずれかの層間にて剥離し、熱転写層へ転写してしまうことを言う。
・最高反射濃度は、X−rite528にて測定を行った。
・異常転写の評価は、以下の基準にて行った。
○ :異常転写の発生無し。
× :異常転写が部分的に発生。
××:異常転写が全面に発生。
・剥離試験は、ベタ画像にセロテープ(登録商標)CT−24(ニチバン(株)製)を貼り付けて試験を行った。剥離試験の評価は、以下の基準にて行った。
○ :剥離無し。
△ :いずれかの層より、セロテープ(登録商標)を貼り付けた面積の4分の1未満の面積が剥離。
× :いずれかの層より、セロテープ(登録商標)を貼り付けた面積の4分の1以上の面積が剥離。
・テカリの評価は、目視で以下の基準にて行った。
○ :テカリが目視にて確認できない
× :テカリが目視にて確認できる
またウレタン系樹脂をエステル系ポリウレタン、またはアイオノマー型ポリウレタンとした実施例2,5〜16では、昨今の高速印画プリンタより速い速度の1.4msec/lineにて印画を行った際でも、印画物の剥離試験においては熱転写受像シートのいずれの層からも剥離することなく、十分な密着強度を有しており、本発明による効果が確認できた。
また実施例3,5,6,9,10,13,14では水溶性高分子をポリビニルアルコールとすることで、また7,8,11,12,15,16では水溶性高分子をポリビニルピロリドンとすることで、最高反射濃度が更に大きくなり、本発明による効果が確認できた。
実施例4,9〜12ではテトラエトキシシランを用いることで、また実施例13〜16ではトリイソプロポキシアルミニウムを用いることで、昨今の高速印画プリンタ相当の印画速度である1.5msec/lineでは、最高反射濃度も十分に高く、異常転写の不具合も発生せず、剥離試験においても熱転写受像シートの各層が剥離することなく、十分な密着強度を有しており、本発明による効果が確認できた。
比較例2,5,7,9,11,12,14の熱転写受像シートは、下引き層にウレタン系樹脂を用いなかったため、1.5msec/lineの印画速度においては、剥離試験では断熱層と下地層間で一部分が剥離するか、異常転写が発生してしまうことが確認できた。また1.4msec/lineの印画速度においては、異常転写が発生する結果となった。
比較例3,6,7,10,11,13,14の熱転写受像シートは、下引き層に水溶性高分子を用いなかったため、最高反射濃度が大幅に低下することがわかった。
比較例4,8,9,10,12,13,14の熱転写受像シートは、下引き層に塩化錫およびアルコキシド、その加水分解物の少なくとも一つを用いなかったため、1.5msec/lineの印画速度においては、剥離試験では断熱層と下地層間で一部分が剥離するか、異常転写が発生してしまうことが確認できた。また1.4msec/lineの印画速度においては、異常転写が発生する結果となった。
比較例15の熱転写受像シートは、染料受容層と断熱層の間に下引き層を設けなかったことにより、全面に異常転写が発生してしまった。その結果、最高反射濃度の測定も実施できなかった。
2:基材
3:断熱層
4:下引き層
5:染料受容層
Claims (5)
- 基材の一方の面に、断熱層、下引き層、染料受容層を順次積層して形成した熱転写受像シートにおいて、前記下引き層は、アルコキシド、アルコキシドの加水分解物、および塩化錫の少なくとも一つと、水溶性高分子と、ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体と、ウレタン系樹脂とからなる重縮合物を主成分としていることを特徴とする熱転写受像シート。
- 前記ウレタン系樹脂が、エステル系ポリウレタンおよび/またはアイオノマー型ポリウレタンであることを特徴とする請求項1に記載の熱転写受像シート。
- 前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルピロリドンであることを特徴とする請求項1〜請求項2のいずれか1項に記載の熱転写受像シート。
- 前記アルコキシドが、テトラエトキシシランおよび/またはトリイソプロポキシアルミニウムであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の熱転写受像シート。
- 基材の一方の面に、断熱層、下引き層、染料受容層を順次積層して形成される熱転写受像シートの製造方法であって、前記下引き層を、アルコキシド、アルコキシドの加水分解物、および塩化錫の少なくとも一つと、水溶性高分子と、ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体と、ウレタン系樹脂とを主成分として含む塗布液を、塗布、乾燥して形成することを特徴とする熱転写受像シートの製造方法。
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