JP2016067211A - 全脂大豆粉及び全脂大豆粉使用ケーキ類 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 粒度分布の最大頻度が5%以下で、粒度分布の細かい側から15%の累積頻度における粒子径(15%粒子径)が15〜30μmであり、粒度分布の細かい側から85%の累積頻度における粒子径(85%粒子径)が150〜200μmである全脂大豆粉、及び該全脂大豆粉を原料に使用したケーキ類。
【選択図】 図3
Description
同じように、小麦粉についても、粒子径の小さい小麦粉を使用することで、食感の良好なスポンジケーキが開発されている。具体的には、小麦粉中粒径30μm以下の小麦粉粒子が80重量%以上であるスポンジケーキ用小麦粉が開発されている(特許文献2)。
本発明の第2の態様は、前記全脂大豆粉が、ケーキ類用である第1の態様に記載の全脂大豆粉である。
本発明の第3の態様は、原料に、第1の態様に記載の全脂大豆粉を用いたことを特徴とするケーキ類である。
本発明の第4の態様は、前記全脂大豆粉の配合量が、原料中10〜40質量%であることを特徴とする第3の態様に記載のケーキ類である。
本発明の第5の態様は、小麦粉を含有しないことを特徴とする第3又は第4の態様に記載のケーキ類である。
本発明の全脂大豆粉は、粒度分布の最大頻度が5%以下、好ましくは2〜5%、より好ましくは3〜4%で、粒度分布の細かい側から15%の累積頻度における粒子径(15%粒子径)が15〜30μmであり、粒度分布の細かい側から85%の累積頻度における粒子径(85%粒子径)が150〜200μmである。
このような粒度分布を有する本発明の全脂大豆粉をケーキ類の原料として使用すると、外観及び食感の良好なケーキ類を得ることができる。特に、シフォンケーキの原料として使用すると、膨らみが良好で、しっとりとした食感のシフォンケーキを得ることができ、また、パウンドケーキの原料として使用すると、ボロボロと崩れにくく、しかも、ふんわり感及びしっとり感もあるパウンドケーキを得ることができる。
また、15%粒子径の値は、全脂大豆粉の粒子径をレーザー回折・散乱法により体積基準分布で測定したときの粒度分布の細かい側から15%の累積頻度における粒子径(μm)の値であり、85%粒子径の値は、粒度分布の細かい側から85%の累積頻度における粒子径(μm)の値である。
レーザー回析・散乱式の粒度分布計として、例えば、日機装社製のMicrotracMT3300EX2を使用することができる。
粉砕処理は、衝撃による粉砕、圧縮による粉砕、剪断による粉砕、摩擦による粉砕、及びこれらの2以上を組み合わせた粉砕により行うことができ、粉砕機は、大豆を2〜600μmの粒子径の粉砕することができる能力を有した粉砕機を使用するのが好ましい。衝撃型粉砕機として、例えば、ホソカワミクロン(株)製の機械「ACMパルベライザA型ACM−10A」を使用することができる。ACMパルベライザA型ACM−10Aの場合、粉砕ローター回転数、分級ローター回転数、及び風量を適宜調整することにより、粉砕粒子の大きさを調整することができる。
分級は、重力を利用した分級、慣性力を利用した分級、遠心力を利用した分級、抗力を利用した分級、及びこれらの2以上を組み合わせた分級により行うことができる。
重力と遠心力を利用した分級機として、例えば、ホソカワミクロン(株)製の機械「ミクロンセパレータMS−1」を使用することができる。ミクロンセパレータMS−1の場合、分級ローター回転数、及び風量を適宜調整することにより、全脂大豆粉を、粒度分布の異なる粉末に分別することができる。
本発明のケーキ類とは、スポンジ生地洋菓子及びバターケーク生地洋菓子のことであり、スポンジ生地洋菓子としては、スポンジケーキ、ロールケーキ、シフォンケーキ、スフレケーキ、ブッセ等があり、バターケーク生地洋菓子としては、パウンドケーキ、マフィン、マドレーヌ、ブラウニー等がある。
また、本発明のケーキ類は、全脂大豆粉以外の小麦粉等の穀粉も使用でき、その場合、全脂大豆粉以外の穀粉の使用量は、本発明の全脂大豆粉100質量部に対して70質量部以下であることが好ましく、1〜50質量部であることがより好ましい。
また、本発明のケーキ類の製造方法は、穀粉原料として本発明の全脂大豆粉を使用する以外は、通常のケーキ類の製造方法により製造することができる。
以下に、ケーキ類であるシフォンケーキ及びパウンドケーキを例に挙げて、その製造方法について説明する。
まず、すべての原料(本発明の全脂大豆粉、糖類、膨張剤、卵、水、植物油脂、製菓用油脂)を、ミキサーボウルに入れ、ホイッパーでミキシングをして起泡させる。ミキシングは、バッチ式のミキサーを使って行うこともできるが、連続式のプレッシャーミキサー等の連続生産ラインを使用しても行ことができる。
ここで、ナッツ類やドライフルーツ、チップチョコ、チャンクチョコなど固形のままの食感を保ちたい材料は、菓子生地を起泡させた後に加えるのが好ましい。
また、クリームチーズ、バター、チョコレート等の脂質含有量が高い材料は、菓子生地の起泡を妨げる場合があるため、起泡させた後に加える方が好ましい。
生地の焼成温度は、160〜190℃であることが好ましく、170〜180℃であることがより好ましい。そして、焼成時間は、使用する焼き型のサイズや使用するオーブン等により異なってくる。
まず、油脂及び糖類をミキサーボウルに入れてすり合わせ、混合しながら卵、必要に応じて水を投入して混合する。
次に、本発明の全脂大豆粉を加え混合し、生地を作る。混合は、バッチ式のミキサーを使って行うこともできるが、連続式のミキサー等の連続生産ラインを使用しても行ことができる。
なお、ナッツ類やドライフルーツ、チップチョコ、チャンクチョコなど固形のままの食感を保ちたい材料は、生地を作る最後の段階で加えるのが好ましい。
生地の焼成温度は、160〜190℃であることが好ましく、170〜180℃であることがより好ましい。そして、焼成時間は、使用する焼き型のサイズや使用するオーブン等により異なってくる。
北米産大豆を脱皮後、大豆の青臭さを除去できる程度に加熱脱臭し、乾燥した。次に、得られた豆を分級機構付粉砕機(ホソカワミクロン(株)製、機械名:ACMパルベライザA型ACM−10A)で粉砕後、粉砕物を分級機(ホソカワミクロン(株)製、機械名:ミクロンセパレータMS−1)で分級し、粒度分布の異なる分級全脂大豆粉1〜10を得た。粉砕及び分級の条件を表1及び表2に示す。なお、ACMパルベライザA型ACM−10Aに付属の分級機構は、整粒目的とする分級(粗大粒子の再粉砕のための分級)であり、ミクロンセパレータMS−1のように、小さい粒子と大きい粒子とを分別する分級機能ではない。
また、得られた分級全脂大豆粉の粒度分布を、日機装社製のレーザー回折・散乱式の粒度分布計「MicrotracMT3300EX2」で測定した。測定結果の数値を表3〜6に示し、測定結果をグラフにしたものを図1及び図2に示す。
次に、得られた分級全脂大豆粉1を比較例1の全脂大豆粉とし、分級全脂大豆粉10を比較例2の全脂大豆粉とした。また、実施例1及び2の全脂大豆粉は、粒度分布の最大頻度が5%以下で、粒度分布の細かい側から15%の累積頻度における粒子径(15%粒子径)が15〜30μm、粒度分布の細かい側から85%の累積頻度における粒子径(85%粒子径)が150〜200μmになるように、分級大豆粉1〜10のうちの2つ又は4つを表7に示す割合で混合することにより製造した。得られた実施例1、2、比較例1、2の全脂大豆粉の粒度分布を、日機装社製のレーザー回折・散乱式の粒度分布計「MicrotracMT3300EX2」で測定した。測定結果の数値を表8及び表9に示し、測定結果をグラフにしたものを図3に示す。
また、日清オイリオグループ(株)販売の全脂大豆粉(商品名:アルファプラスHS−600)を比較例3とし、その粒度分布の測定結果の数値を表8及び表9に示し、測定結果をグラフにしたものを図3に示す。
表8及び表9の結果から、各全脂大豆粉の粒度分布の最大頻度(%)を求めた。
また、実施例1、2、及び比較例1〜3の全脂大豆粉の粒度分布の累積頻度を、日機装社製のレーザー回折・散乱式の粒度分布計「MicrotracMT3300EX2」により求めた。その結果を表10に示し、また、それをグラフにしたものを図4に示す。
なお、任意の%粒子径は、全脂大豆粉の粒子径をレーザー回析・散乱法により体積基準分布で測定したときの粒度分布の細かい側から任意の累積頻度における粒子径の値である。
得られた実施例1、2、比較例1、2の全脂大豆粉を用いて、表11及び表12に示す配合のシフォンケーキを、オールインミックス法で製造した。まず、卓上縦型ミキサーのミキサーボウルに、製菓用油脂と砂糖をすり合わせて入れ、混合しながら水及び全卵を加えた(予備混合工程)。そこへ、全脂大豆粉とベーキングパウダーの混合物を加え、ホイッパーでミキシング(2速)をして起泡させた(ミキシング工程)。ミキシングは、生地比重が0.5になるまで行った。次に、丸型の700ml紙型(上部直径130、底部直径120、高さ66mm)に生地200gを充填し、オーブンで焼成(170℃、30分)した。
なお、製菓用油脂には、日清オイリオグループ(株)販売の商品、ジセル100を使用した。
製造したシフォンケーキの外観、風味及び食感について評価した。結果を表13及び表14に示す。
比較例3の全脂大豆粉(日清オイリオグループ(株)販売、商品名:アルファプラスHS−600)を用いて、表15に示す配合のシフォンケーキを、オールインミックス製法で製造した。まず、卓上縦型ミキサーのミキサーボウルに、製菓用油脂と砂糖をすり合わせて入れ、混合しながら全卵、水及び米油を加えた(予備混合工程)。そこへ、全脂大豆粉とベーキングパウダーの混合物を加え、ホイッパーでミキシング(2速)をして起泡させた(ミキシング工程)。ミキシングは、生地比重が0.5になるまで行った。次に、丸型の700ml紙型(上部直径130、底部直径120、高さ66mm)に生地200gを充填し、オーブンで焼成(170℃、30分)した。
なお、製菓用油脂には、日清オイリオグループ(株)販売の商品、ジセル100を使用した。
製造したシフォンケーキの外観について評価した。結果を表16に示す。
得られた実施例1、2、比較例1、2の全脂大豆粉を用いて、表17及び表18に示す配合のパウンドケーキを製造した。まず、ミキサーボウルにマーガリンと上白糖を入れ、ホバートミキサーでビーターを用いて2速で3分間混合した。そこへ、全卵を添加して2速で3分間混合し、さらに全脂大豆粉及びベーキングパウダーを添加後、1速で15秒間混合し生地を作った。得られた生地を成型し、外形22.5×6.5×6.5cmのパウンド型に入れ、オーブンで焼成(180℃、35分)した。
なお、マーガリンには、日清オイリオグループ(株)製の商品、日清ロイヤルワイド100を使用した。
製造したパウンドケーキの外観、風味及び食感について、表19の評価基準を用いて10名のパネラーにより5点評価を行い、その平均点を算出した。結果を表20に示す。なお、総合評価は、食した時のすべての評価項目及びそれらのバランスを加味して総合的に判断した評価である。
また、原料に実施例1及び2の全脂大豆粉を使用した実施例5及び6のパウンドケーキは、比較例8のパウンドケーキ(市販の大豆粉(比較例3)の粒度分布とほぼ同じ粒度分布を有する比較例2の全脂大豆粉を使用)と比較すると、外観、口当たり及びしっとり感の評価は同程度であったが、ふんわり感の点では優れており、総合的評価が高かった。
Claims (5)
- 粒度分布の最大頻度が5%以下で、粒度分布の細かい側から15%の累積頻度における粒子径(15%粒子径)が15〜30μmであり、粒度分布の細かい側から85%の累積頻度における粒子径(85%粒子径)が150〜200μmであることを特徴とする全脂大豆粉。
- 前記全脂大豆粉が、ケーキ類用である請求項1に記載の全脂大豆粉。
- 原料に、請求項1に記載の全脂大豆粉を用いたことを特徴とするケーキ類。
- 前記全脂大豆粉の配合量が、原料中10〜40質量%であることを特徴とする請求項3に記載のケーキ類。
- 小麦粉を含有しないことを特徴とする請求項3又は4に記載のケーキ類。
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