JP2009296953A - タンパク質粉末とデンプン粉末からなる粉末素材を用いた焼き菓子およびその製造方法 - Google Patents

タンパク質粉末とデンプン粉末からなる粉末素材を用いた焼き菓子およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】小麦粉の代わりとして、タンパク質粉末およびデンプン粉末からなる粉末素材を用いた焼き菓子の提供。
【解決手段】タンパク質粉末として予備加熱してリポキシゲナーゼやトリプシンインヒビターを失活させた大豆微粉末と、デンプン粉末として好ましくは片栗粉とを、重量比にして好ましくは95:5〜50:50の割合で配合し、必要に応じてバニラ香料およびチョコレートチップを添加することにより、雑味・質感が改善されたパウンドケーキ等の焼き菓子とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、小麦粉に代わり、タンパク質粉末とデンプン粉末からなる粉末素材、該粉末素材を材料として含む焼き菓子、特にパウンドケーキおよびその製造方法に関する。
近年、健康志向が一般に浸透し、調理食材や加工素材への関心が一層高まっている。そのような背景の中で、大豆を使用した食品の開発や普及が着実に進展してきた。大豆は、タンパク質、食物繊維、イソフラボンなどの栄養・生理機能成分を豊富に含むとともに、コレステロール抑制作用などの健康機能を兼ね備えている。そのような大豆の特性に注目した商品開発が近年盛んに進められ、大塚製薬(株)のソイジョイ(登録商標)やスゴイダイズ(登録商標)(豆乳飲料)、ハウス食品(株)のハウスソイチップス(登録商標)など大豆を使用した新たな加工食品・商品が市場に出されている。
現在入手可能な大豆加工素材として、生大豆を微粉末にした大豆微粉末製品が挙げられる。これは、物理的性状が小麦粉と似ていることから、小麦加工食品への小麦粉に代わる素材としての利用が期待できる。例えば、大豆微粉末を小麦粉の代わりに使用することで、タンパク質を多く摂取でき、食品に健康機能性を付与することができる。そのような試みとしては、例えば、特開平6−165656号公報において、クッキー類に栄養食品として大豆胚芽の使用、特開平2−49538号公報において、大豆粉末やおから粉末を含むスナック食品、特開平3−67536号公報において、粒状大豆タンパクを含むクッキー、および特開平9−84511号公報において、アルカリ土類金属結合大豆タンパクを配合する焼き菓子がそれぞれ開示されている。しかし、これらは、小麦粉を大豆で全置換したわけではなく、小麦アレルギーに対応した食品としては適さないという欠点を有する。
この点、特開2003−79309号公報において、小麦粉に代わり、低変性で、NSIが40%以上等の条件を満たした大豆タンパク質で全置換した生地を焼成して得られる焼成食品が開示されており、上記欠点も克服した加工食品の提供を試みている。しかし、これは、材料としての低変性脱脂大豆をエタノール洗浄し、乾燥後、分級する工程を要し、手間という点において迅速・簡便性を欠く。更に、生大豆の微粉末の加工食品への利用については、青臭さの原因成分を生成させるリポキシゲナーゼや消化不良を引き起こすタンパク質成分であるトリプシンインヒビターの活性も問題である。
本発明者のこれまでの研究で、生大豆の微粉末における大豆特有の青臭さや消化不良等の問題点を容易に解消する手法、すなわちリポキシゲナーゼやトリプシンインヒビターを容易かつ迅速に失活させる予備加熱法を開発したが、小麦粉を該方法で得られた微粉末で全置換して得られる加工食品にはなお雑味・重い質感が残るという課題が残されていた。
特開平6−165656号公報 特開平2−49538号公報 特開平3−67536号公報 特開平9−84511号公報 特開2003−79309号公報
本発明の目的は、小麦粉の代わりとして、タンパク質粉末およびデンプン粉末からなる粉末素材を用いた焼き菓子、特に、簡便な予備加熱法によりリポキシゲナーゼやトリプシンインヒビターを失活させた大豆微粉末を使用して、片栗粉と組み合わせることで雑味・質感が改善されたパウンドケーキを提供することである。
本発明者は、粉末素材として予備加熱してリポキシゲナーゼやトリプシンインヒビターを失活させた大豆微粉末と、片栗粉とを配合することにより、食感、外観、嗜好性が良好なパウンドケーキを製造することに成功した。
本発明者は、これらの知見に基づいてさらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
[1]小麦由来ではないタンパク質粉末およびデンプン粉末を含む、焼き菓子の材料として用いられる粉末素材;
[2]タンパク質粉末が大豆微粉末である、上記[1]に記載の粉末素材;
[3]デンプン粉末が片栗粉である、上記[2]に記載の粉末素材;
[4]大豆微粉末と片栗粉の配合比が、重量比にして95:5〜50:50である、上記[3]に記載の粉末素材;
[5]大豆微粉末が、予備加熱されている、上記[2]〜[4]のいずれか1つに記載の粉末素材;
[6]上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の粉末素材を含む、焼き菓子;
[7]焼き菓子がパウンドケーキである、上記[6]に記載の焼き菓子;
[8]更に添加物を含む、上記[7]に記載のパウンドケーキ;
[9]添加物が、バニラ香料およびチョコレートチップである、上記[8]に記載のパウンドケーキ;
[10]大豆微粉末および片栗粉を含む粉末素材を材料として含む、パウンドケーキの製造方法;
[11]粉末素材における、大豆微粉末と片栗粉の配合比が、重量比にして95:5〜50:50であることを特徴とする、上記[10]に記載の製造方法;
[12]大豆微粉末が、予備加熱されている、上記[10]または[11]に記載のパウンドケーキの製造方法;
[13]更に添加物を含む、上記[10]〜[12]のいずれか1つに記載のパウンドケーキの製造方法;
[14]添加物が、バニラ香料およびチョコレートチップである、上記[13]に記載のパウンドケーキの製造方法;
等を提供する。
本発明のパウンドケーキに代表される焼き菓子は、小麦粉を含まないため、小麦アレルギーを有する患者に対して、アレルギー症状を誘発しない食品として提供することができる。また、大豆は、タンパク質、食物繊維、イソフラボンなどの栄養・生理機能成分を豊富に含むことから、それらを本発明のパウンドケーキから摂取することができる。更に、大豆がコレステロール抑制作用などの健康機能を兼ね備えていることから、加工食品に健康機能性を付与することができる。
本発明は、タンパク質粉末およびデンプン粉末を含む、焼き菓子の材料として用いられる粉末素材に関する。
本発明におけるタンパク質粉末には、例えば、大豆タンパク質、ホエータンパク質、卵タンパク質およびカゼイン、トウモロコシタンパク質(ゼインまたはツェイン)、家畜・魚介類コラーゲン・ゼラチン、魚肉タンパク質、藻類・クロレラタンパク質、微生物(酵母、カビ等)タンパク質、またはこれらのタンパク質の2種類以上を混合したタンパク質粉末等が挙げられるが、小麦に含まれるアレルギーの原因となるタンパク質(アレルゲン)(例えば、グルテンなど)を含まないことが好ましい。
本発明のタンパク質粉末の好ましい一実施態様としては、大豆微粉末が挙げられる。大豆微粉末としては、例えば、生大豆粉末、おから粉末、分離大豆タンパク粉末、濃縮大豆タンパク粉末およびリポキシゲナーゼ欠損大豆粉末などが挙げられ、好ましくはリポキシゲナーゼ欠損大豆粉末が挙げられる。また、そのような大豆粉末の特徴としては、粒子径として10〜500ミクロン、好ましくは30ミクロンであり、タンパク質含量として25〜45重量%、好ましくは、35重量%である。
本発明におけるデンプン粉末には、例えば、キビ、粟、白玉粉、上新粉、キノア、アマランス、片栗粉、コーンスターチ、タピオカデンプン、葛粉、米糠(例えば、中糠、白糠、上白糠)、または豆類、芋類、栗、もしくは団栗類のデンプン粉などが挙げられる。また、本発明におけるデンプン粉末中のアミロペクチン:アミロースの存在比は、重量比にして100:0〜0:100であり、好ましくは80:20である。そのようなデンプン粉末の例としては、片栗粉が好ましく挙げられる。
本発明における焼き菓子とは、本発明の粉末素材、糖(砂糖、黒糖、異性化糖、コーンシロップ、デキストロース、蜂蜜、メイプルシロップ、糖蜜など)、卵(全卵、卵黄、卵白、乾燥全卵、乾燥卵黄、乾燥卵白など)を主な材料とし、場合によっては油脂、乳製品、膨剤など他の素材も加えた上で生地を作り、焼成した菓子類を指す。また、上記焼き菓子は、小麦粉によるドウ形成および発酵工程を含まないものであることが好ましい。
例えば、本発明の焼き菓子には、パウンドケーキ、クッキー、スポンジ系のケーキ類(カステラ、タルト、ロールケーキ、ショートケーキなど)等が代表的なものとして挙げられる。本発明の焼き菓子は、好ましくは、パウンドケーキである。
さらに、本発明の焼き菓子には、例えば、焼成工程の代わりに「揚げる」、「蒸す」、または「茹でる」等の工程を含む菓子も含まれる。「揚げる」工程を含む菓子の例としては、ドーナツ、かりんとうなど、「蒸す」工程を含む菓子の例としては、饅頭など、「茹でる」工程を含む菓子の例としては、団子などが挙げられる。
本発明における粉末素材は、タンパク質粉末とデンプン粉末とを組み合わせたものであるが、それ以外の粉末を適宜含んでもよい。例えば、トウモロコシ、米、穀類、豆類、および雑穀類などの粉末、ならびに米糠(例えば、中糠、白糠、上白糠)などが挙げられる。本発明の粉末素材は、好ましくは、大豆微粉末と片栗粉とからなる。
また本発明における、大豆微粉末と片栗粉との配合比は、大豆微粉末特有の雑味・質感を改善できるものであればどのような配合比であってもよいが、通常は重量比にして、大豆微粉末:片栗粉が95:5〜5:95であり、好ましくは、95:5〜50:50であり、より好ましくは、85:15である。
本発明における大豆微粉末は、予備加熱されているものが好ましい。本発明における予備加熱とは、生地作りの前に、大豆微粉末を加熱処理することをさす。大豆微粉末は、生粉末の場合、リポキシゲナーゼやトリプシンインヒビターが失活していないため、そのまま粉末素材として用いた場合、青臭さや消化不良を引き起こす原因となる。加熱温度および加熱時間としては、上記酵素活性が失われる範囲であれば、どのような温度、時間であってもよい。具体的には、例えば、加熱温度は、通常は、100℃〜200℃、好ましくは、120℃〜170℃である。加熱時間は、通常は、1分間〜60分間、好ましくは、10分間〜30分間である。好ましくは、140℃で15分間の加熱が挙げられる。
本発明におけるパウンドケーキとは、通常、本発明の粉末素材、砂糖、バター、および全卵を等量ずつ含み、混ぜ合わせた生地を、パウンドケーキ用の型に流し込み、焼成したものをいう。また、必要に応じて、これに添加剤等を使用することもできる。
本発明における添加剤としては、甘味料、着色料、保存料、増粘剤、安定剤、酸化防止剤、発色剤、防かび剤、香料、酸味料、調味料、乳化剤、pH調整剤、膨張剤、栄養強化剤などが挙げられる。本発明における香料としては、パウンドケーキに好ましい香りや味を付けること、パウンドケーキの製造過程で付いた臭いを隠したり、より好ましい香りに改善すること(マスキング)、またはパウンドケーキから失われた香りを補うこと等を目的とするものであればいかなるものであってもよいが、例えば、レモン香料、キャラメル香料、バニラ香料、ココナッツ香料、シナモン香料等が挙げられる。また、本発明の添加剤には、例えば、シナモンパウダー、チョコレートチップ、ドライフルーツ、レーズン、フルーツ等も含まれても良い。本発明における添加剤としては、好ましくは、バニラ香料やチョコレートチップが挙げられる。
本発明におけるパウンドケーキの作製方法としては、公知の方法に従う。作製工程は大きく2工程に分けられ、生地作り工程と焼成工程からなる。またその他の工程も適宜含まれても良い。
パウンドケーキの生地作りは、公知の方法に従って実施することができ、例えば、後述するように共立て法、別立て法、卵の起泡性を生かした方法等が挙げられる。
パウンドケーキの焼成は、公知の方法に従って実施することができる。例えば、パウンドケーキの生地をパウンドケーキ用の型に流し込み、150℃〜190℃で10分間〜
60分間、例えば、オーブンで焼成することにより、焼き上げることができる。
以下に実施例を示して、本発明をより詳細に説明するが、これらは単なる例示であって、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
大豆微粉末の予備加熱
生大豆微粉末はマエダ・スーパー・テクノ社製の製品を用いた。大豆微粉末を、ウォーターオーブン「ヘルシオ」(シャープ社製)を用いて、ロースト設定で140℃で15分間加熱処理した。次いで、室温に冷ました後、卓上型粉砕機(ミルサー)(山本電気(株)製)で1分30秒間粉砕処理し、以下の実施例において使用した。
パウンドケーキの基本的分量
本発明におけるパウンドケーキ材料の基本的な分量は表1に示したとおりである。
添加物として、レモン香料、シナモンパウダー、キャラメル香料、バニラ香料、チョコレートチップ、富有柿(奈良県産)、とろける干し柿(奈良県西吉野産)等の市販品を購入し、使用した。
パウンドケーキの作製
本発明のパウンドケーキの作製方法(生地作り)としては、以下の3種の作製方法を実施し、主には共立て法を用いた。
(1)共立て法
作業1.大豆微粉末と片栗粉を混ぜ合わせて2回ふるっておく。
作業2.バターのみをクリーム状になるまで混ぜる。
作業3.砂糖を入れ、白っぽくなるまで混ぜる。
作業4.ときほぐした全卵を加えて混ぜる。
作業5.作業1の粉末素材を半量ずつ加え、底から持ち上げるようにして混ぜる。
(2)別立て法
作業1.前日から卵白と卵黄を分け、卵白は冷やしておく。
作業2.バターと分量の70%の砂糖をクリーム状になるまで混ぜる。
作業3.卵黄のみを混ぜる。
作業4.分量の15%の砂糖を卵白に入れて泡立て、メレンゲを作る。
作業5.作業4に続いて、残りの砂糖(分量の15%)を加えてしっかりとしたメレンゲを作る。(つのが高さの1/3まで垂れるくらいのかたさ)
作業6.作業3に続けて、作業5のメレンゲの1/3を加えて途中まで混ぜ、粉末素材を全量加えて底からすくいながらさっくり混ぜる。
作業7.作業6に続けて残りのメレンゲを加えてヘラで大きく混ぜる。
(3)卵の起泡性を生かした方法
作業1.全卵をときほぐし、砂糖を加えて混ぜる。
作業2.次いで、湯煎にかけながら混ぜる。
作業3.45℃になったら湯煎からはずし、室温になるまで一気に泡立てる。
作業4.粉末素材を加えてヘラで大きく混ぜる。
作業5.次いで、溶かしバターを少しずつ垂らしこんでヘラで大きく合わせる。
パウンドケーキの焼き上げ方法としては、上記のいずれかの方法で出来た生地をパウンドケーキ型に流し込み、ウォーターオーブン「ヘルシオ」(シャープ社製)を用いて、オーブン設定で160℃、45分〜1時間焼き上げる方法を用いた。
実施例1 各種デンプン素材を組み合わせて作製したパウンドケーキのテキソグラフによるテクスチャー測定
小麦粉に代わるデンプン素材として、片栗粉、コーンスターチおよびタピオカデンプンを検討した。タピオカは小麦デンプンとはかなり異なるが、食品加工によく利用されるデンプンである。コーンスターチは、文献による調査から、離水率が片栗粉に比べて高く、試食すると日数経過とともにぱさつきを感じた。そこで、片栗粉またはタピオカと大豆微粉末との組み合わせでパウンドケーキを作製し、そのテクスチャーを調べた。ここでテクスチャーとは、食感を固さ、弾力性、脆さの数値により表現したものをいう。パウンドケーキの作製方法としては、上記記載の共立て法に従って作製した。
他の材料・分量は変えずに粉末素材として、小麦粉100g、大豆微粉末50gおよび片栗粉50g、ならびに大豆微粉末50gおよびタピオカデンプン50gを使用して、パウンドケーキを作製し、テキソグラフ(株式会社ユービーエム製)でCW・F(固さ)、CM(脆さ)およびRS(弾力性)の測定を行った(図1)。テキソグラフの操作は、該装置に添付の操作方法説明書に記載の方法に従った。タピオカデンプンを併用した場合は、一般のパウンドケーキから外れ、片栗粉を併用した場合は粉末素材として小麦粉のみを使用したパウンドケーキに近いことが示された。
実施例2 大豆微粉末に片栗粉を加えてパウンドケーキを作製した場合の食感・色調・渋味・総合評価
官能検査に用いたパウンドケーキ試料は、粉末素材として大豆微粉末のみ70g、ならびに大豆微粉末80%および片栗粉20%で配合したもの70gをそれぞれ使用して作製した。パウンドケーキの作製方法としては、上記記載の共立て法に従って作製した。SD法(評点法)を用いて図2に示す項目について評価した。
その結果、粉末素材として大豆微粉末のみを使用したパウンドケーキよりも大豆微粉末80%および片栗粉20%の比で配合を行った粉末素材を使用したパウンドケーキの方が断面の色、口どけの良さ、渋みがないかという項目において高い評価を得た(図3)。また、食感は軽く、しっとり感もあり、よりパウンドケーキらしいという評価を得た。
実施例3 パウンドケーキの風味嗜好調査
嗜好調査に用いたパウンドケーキ試料は、粉末素材を小麦粉100%(小麦粉100g)としてレモン香料を添加したもの、粉末素材を大豆微粉末(50g)と片栗粉(50g)とし、レモン香料、シナモンパウダー、キャラメル香料、ならびにバニラ香料およびチョコチップをそれぞれに添加し、5種類を作製した。パウンドケーキの作製方法としては、実施例2に記載の共立て法に従って作製した。作製後3日経過したものを風味嗜好調査に供し、総合的な嗜好について5段階(好ましい、まあまあ好ましい、どちらともいえない、あまり好ましくない、好ましくない)で評価した。結果を図4に示す。
図4に示したように、嗜好調査から、チョコチップとバニラ香料を添加したパウンドケーキが最も高評価であった。これは20代から60代まで、年齢による偏りのない評価結果であり、チョコレート風味は世代に関わらず好まれることが分かった。シナモンパウダーが入ったパウンドケーキは好みが大きく分かれた。また、大豆微粉末と片栗粉で作製したパウンドケーキと小麦粉パウンドケーキの評価の差はあまり感じられず、調査対象者の「2つの違いが分からない」という評価も多かったことから、小麦粉に代わって、大豆微粉末と片栗粉を粉末素材として用いることは、風味嗜好の点からは、可能であることが分かった。
実施例4 2つの作製方法で作製されたそれぞれのパウンドケーキのテキソグラフによるテクスチャー測定
パウンドケーキの作製方法のうち、卵の起泡性を生かした方法と従来用いている共立て法とを比較した場合、テクスチャーにどのような影響を与えるかテキソグラフを用いて調べた(図5)。卵の起泡性を生かした方法は粉末素材として小麦粉のみを使用したパウンドケーキのテクスチャー範囲からかなり外れたものであった。
実施例5 大豆微粉末と片栗粉の配合比がテクスチャーに与える影響の測定
大豆微粉末と片栗粉の配合比を変えてパウンドケーキを作製し、テクスチャーにどのように影響するのかクリープメータ(株式会社山電製)で破断歪率および破断エネルギーを測定した。クリープメータの操作は、該装置に添付の操作方法説明書に記載の方法に従った。作製した粉末素材の大豆微粉末と片栗粉の配合比を表2に示した。
図6に示すように、片栗粉の添加量が多くなると、テクスチャーは日数経過と共に変動(下がって)し、破断歪率が小さくなる。ここで、破断歪率とは、試料が破断した時点における変形の程度のことであり、破断時の試料の厚さを、元の試料の厚さを100として%で表したものをいう。破断歪率が相対的に小さくなることは、試料が崩れにくくなることを示し、破断歪率が相対的に大きくなることは、試料が崩れやすくなることを示す。
また図7に示すように、デンプンの添加量が多くなると固くなり、破断エネルギーが増す傾向がある。ここで、破断エネルギーとは、試料を破断させるのに要したエネルギーをいう。破断エネルギーが相対的に小さくなることは、試料が柔らかくなったことを示し、破断エネルギーが相対的に大きくなることは、試料が固くなったことを示す。
片栗粉の添加量が粉末素材の全体の35%以下であると、2日後以降、テクスチャーが安定した状態となる傾向がある。従って、テクスチャーにおける経日的な変化が小さい、即ち、崩れやすさ及び固さにおいて経日的変化を最小限に留めるという観点からは、片栗粉の添加量は、好ましくは、粉末素材全体に対して重量にして35%以下であり、より好ましくは、粉末素材全体に対して重量にして、10%または35%である。
実施例6 粉末素材量がテクスチャーに与える影響の測定
バター100g、砂糖100g、全卵100gに対して、大豆微粉末と片栗粉の配合比(重量比にして大豆微粉末:片栗粉=4:1)を変えず、粉末素材全体の分量が70gの場合と100gの場合それぞれについてパウンドケーキを作成した。各々についてクリープメータで破断歪率および破断エネルギーを測定し、結果を比較した。破断歪率、破断エネルギーについては、図8、図9に示すように、いずれも2日後に増加がみられたが、粉末素材全体の分量が70gの場合のパウンドケーキの方が、100gの場合のパウンドケーキに比べてより低い程度の増加がみられた。従って、テクスチャーにおける経日的な変化が小さいという観点からは、70gの場合のパウンドケーキの方が、100gの場合のパウンドケーキよりも好ましい。
本発明の大豆微粉末を主原料とした加工食品は、小麦アレルギーを有する患者に対して、アレルギー症状を誘発しない食品として提供することができる。また、大豆は、タンパク質、食物繊維、イソフラボンなどの栄養・生理機能成分を豊富に含むことから、それらを加工食品から摂取することができる。更に、大豆がコレステロール抑制作用などの健康機能を兼ね備えていることから、加工食品に健康機能性を付与することができる。
各種デンプン素材を組み合わせて作製したパウンドケーキのテクスチャーの特徴や違いをテキソグラフで測定し、3次元グラフで表した図である。CW・F:固さを表す。CM:脆さを表す。RS:弾力性を表す。影をつけた部分は、市販されているパウンドケーキのテクスチャーの範囲を示す。◆:小麦粉100g、●:大豆微粉末50g片栗粉50g、▲:大豆微粉末50gタピオカデンプン50g。 大豆微粉末に片栗粉を加えてパウンドケーキを作製した場合の品質特性を知るための官能検査用紙を示す図である。 大豆微粉末に片栗粉を加えてパウンドケーキを作製した場合の嗜好性の評価を示す図である。 香料等を加えて作製した各種パウンドケーキの風味嗜好調査結果を示す図である。 異なる作製方法で作製したパウンドケーキのテクスチャーの特徴や違いをテキソグラフで測定し、3次元グラフで表した図である。CW・F:固さを表す。CM:脆さを表す。RS:弾力性を表す。影をつけた部分は、市販されているパウンドケーキのテクスチャーの範囲を示す。●:大豆56g片栗粉14g、卵の起泡性を生かした方法。■大豆79g、卵の起泡性を生かした方法。●:大豆80g片栗20g、共立て法。■:大豆100g、共立て法。 大豆微粉末と片栗粉との配合比が異なるパウンドケーキをクリープメータで測定し、0日、2日および7日後における破断歪率を表した図である。 大豆微粉末と片栗粉との配合比が異なるパウンドケーキをクリープメータで測定し、0日、2日および7日後における破断エネルギーを表した図である。L:ジュール(J)を表す。m:メートル(m)を表す。L/m^3:J/mを表す。 粉末素材量が異なるパウンドケーキをクリープメータで測定し、0日および2日後における破断歪率を表した図である。左カラム:大豆80g片栗20g。右カラム:大豆56g片栗14g。 粉末素材量が異なるパウンドケーキをクリープメータで測定し、0日および2日後における破断エネルギーを表した図である。左カラム:大豆80g片栗20g。右カラム:大豆56g片栗14g。

Claims (14)

  1. 小麦由来ではないタンパク質粉末およびデンプン粉末を含む、焼き菓子の材料として用いられる粉末素材。
  2. タンパク質粉末が大豆微粉末である、請求項1に記載の粉末素材。
  3. デンプン粉末が片栗粉である、請求項2に記載の粉末素材。
  4. 大豆微粉末と片栗粉の配合比が、重量比にして95:5〜50:50である、請求項3に記載の粉末素材。
  5. 大豆微粉末が、予備加熱されている、請求項2〜4のいずれか1項に記載の粉末素材。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の粉末素材を含む、焼き菓子。
  7. 焼き菓子がパウンドケーキである、請求項6に記載の焼き菓子。
  8. 更に添加物を含む、請求項7に記載のパウンドケーキ。
  9. 添加物が、バニラ香料およびチョコレートチップである、請求項8に記載のパウンドケーキ。
  10. 大豆微粉末および片栗粉を含む粉末素材を材料として含む、パウンドケーキの製造方法。
  11. 粉末素材における、大豆微粉末と片栗粉の配合比が、重量比にして95:5〜50:50であることを特徴とする、請求項10に記載の製造方法。
  12. 大豆微粉末が、予備加熱されている、請求項10または11に記載のパウンドケーキの製造方法。
  13. 更に添加物を含む、請求項10〜12のいずれか1項に記載のパウンドケーキの製造方法。
  14. 添加物が、バニラ香料およびチョコレートチップである、請求項13に記載のパウンドケーキの製造方法。
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