JP2016049810A - 車両の前部車体構造 - Google Patents
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Abstract
Description
クラッシュカンの後端部に連結されたバンパ側セットプレートがフロントサイドフレームの前端部に連結された車体側セットプレートに前後方向に配設されたボルトによって締結されているため、低速衝突等の軽衝突時、ボルトを取り外して破損したクラッシュカンを新しいクラッシュカンに取り替えることができ、リペア性を確保することができる。
そこで、車体前部の固有振動数を変えることでNVH性能を改善する技術が種々提案されている。
それ故、SOL衝突を対策しつつ衝撃エネルギー吸収量を増加するために、既存の車幅方向内側のクラッシュカン(以下、内側クラッシュカンという)の車幅方向外側に新たな外側クラッシュカンを設けることが行われている。
しかし、特許文献1の車両の前部車体構造では、第1セットプレートと第2セットプレートの両方に突出部と減衰部材を収容するための収容部とを成形する加工工程の増加や減衰部材の追加による部品点数の増加が発生し、生産性の面で改善すべき余地が残っている。
内側クラッシュカンの後端側部分が少なくともセットプレート前端壁とセットプレート後端壁に連結されているため、結合領域の前後長を確保でき、内側クラッシュカンの支持強度を増加することができる。外側クラッシュカンの後端側部分がセットプレート中間壁とセットプレート後端壁に連結されているため、結合領域の前後長を確保でき、外側クラッシュカンの支持強度を増加することができる。
これにより、連結フレームを用いてセットプレートの支持強度を増加できるため、一層内側クラッシュカン及び外側クラッシュカンの支持強度を増加することができる。
この構成により、前面衝突の衝撃エネルギーをセットプレートからアウタパネルの前端部に最短距離で直接的に伝達できるため、衝撃エネルギー伝達効率を向上することができる。
以下の説明は、本発明を車両に適用したものを例示したものであり、本発明、その適用物、或いは、その用途を制限するものではない。
図1〜図3に示すように、車両Vには、車室とエンジンルームEとを前後に仕切るダッシュパネル(図示略)の前側に配設された左右1対のフロントサイドフレーム1と、これら1対のフロントサイドフレーム1の前端部に左右1対の内側クラッシュカン5を介して支持されたバンパレインフォースメント(以下、バンパレインと略す)2と、1対のフロントサイドフレーム1の車幅方向外側上方に配置された左右1対のエプロンレインフォースメント(以下、エプロンレインと略す)3と、これら1対のエプロンレイン3と1対のフロントサイドフレーム1とを夫々連結する左右1対の連結フレーム4と、1対の内側クラッシュカン5よりも車幅方向外側に夫々配設された左右1対の外側クラッシュカン6等が設けられている。
尚、左右1対の各部材は、左右対称構造であるため、左側部材について主に説明する。また、説明の便宜上、矢印F方向を前方とし、矢印L方向を左方として説明する。
1対のフロントサイドフレーム1は、車室の前端を仕切るダッシュパネルの前側においてエンジンルームEの左部と右部に夫々前後方向に延びるように配設されている。
1対のフロントサイドフレーム1は、車両Vの前端側位置から後方へ向かって略水平状に延び且つ後端側途中部がダッシュパネルの縦壁部に接合され、後端側部分が傾斜部とフロアパネル(図示略)の下面に沿って後方下り傾斜状に延びるように接合されている。
フロントサイドフレーム1の後端側部分はダッシュパネルに接合されている。
両パネル1a,1bは、ハイテン鋼板をプレス加工することによって成形されている。
アウタパネル1aは、上端側部分のアウタ上フランジ部1pと、下端側部分のアウタ下フランジ部1qと、両者の中間位置において僅かに左側に突出した鉛直断面略コ字状のアウタパネル本体部1rとを備えている。
インナパネル1bは、上端側部分のインナ上フランジ部1sと、下端側部分のインナ下フランジ部1tと、両者の中間位置において右側に突出した鉛直断面略コ字状のインナパネル本体部1uと、このインナパネル本体部1uの中段位置から右側に突出した鉛直断面略コ字状の突出部1vとを備えている。
図2,図8に示すように、突出部1vは、前後方向に延びるように形成され、後側程右側への突出量が小さくなるように形成されている。
これにより、フロントサイドフレーム1は、第1前端側途中部から第1前端側途中部よりも後側の第2前端側途中部までの領域において、アウタパネル1aとインナパネル1bとによって鉛直断面略横向き凸状の閉断面を構成し(図4及び図5参照)、第2前端側途中部から後端側途中部までの領域において、アウタパネル1aとインナパネル1bとによって鉛直断面略矩形状の閉断面を構成している。
第1セットプレート10は、水平断面略クランク状の鋼板からなり、前後方向に延びる中間壁10aと、中間壁10aの前端から右側に延びる前端壁10bと、中間壁10aの後端から左側に延びる後端壁10cとを有している。
第1セットプレート10は、第1セットプレート10の前後長をA1、左右長をB1としたとき、次の関係式が成り立つように寸法が設定されている。
B1≦2×A1
これにより、結合領域の前後長を長くすることができ、内側クラッシュカン5と外側クラッシュカン6の支持強度を大幅に増加できる。
インナパネル1bのインナ上フランジ部1s及びインナ下フランジ部1tが中間壁10aの右面部に接合され、インナパネル1bの前端部が前端壁10bの後面部に接合され、アウタパネル1aの前端部が中間壁10aの後端部に接合されている。これにより、フロントサイドフレーム1の前端部から第1前端側途中部までの領域において、中間壁10aとインナパネル1bとにより鉛直断面略横向き凸状の閉断面が構成されている(図12〜図15参照)。
メンバ部2bの上端フランジ部及び下端フランジ部がプレート部2aの後面部に接合され、車幅方向に延びる閉断面が構成されている。
エプロンレイン3は、フロントヒンジピラー(図示略)の付け根部分からサスペンションタワー(以下、サスタワーと略す)8の前側近傍位置までフロントサイドフレーム1に対して略平行に下側前方へ夫々延設されている。
左右1対のエプロンレイン3の各々の前端部は、車幅方向に延びるシュラウド部材9によって連結され、エプロンレイン3の後端側部分は、サスタワー8を支持している。
1対の筒状のサスタワー8は、フロントサイドフレーム1とエプロンレイン3との間でダッシュパネルに近接配置されている。
図1〜図6に示すように、連結フレーム4は、側面視にてエプロンレイン3の前端部からアウタパネル1aの前端部まで前方下り傾斜状に延びるように形成されている。
連結フレーム4は、エプロンレイン3に連なるようにアウタパネル4aとインナパネル4bとを備え、両者が協働して水平断面略矩形状の閉断面Cを構成している。
連結フレーム4の下端側部分の前面部は、後端壁10cの後面部が溶接にて接合されている。これにより、後述する外側クラッシュカン6に入力された衝撃エネルギーを第1セットプレート10及び第2セットプレート11を介してフロントサイドフレーム1に伝達する第1経路と、連結フレーム4を介してエプロンレイン3に伝達する第3経路とを形成している。
図5,図7〜図9に示すように、連結部材7は、閉断面Cの下端側部分において、後端壁10cの後側に設けられ、閉断面Cを部分的に左右に区画するように配設されている。
連結部材7は、前端フランジ部と後端フランジ部とを備え、前端フランジ部がアウタパネル4aの前壁部を挟着して後端壁10cに3重接合され、後端フランジ部がアウタパネル1aに接合されているため、平面視にて前側程左側へ移行するように配設されている。
連結部材7は、側面視にて後側程上下幅が大きく且つ上下線対称の台形状に形成されている。これにより、前端側部分に入力された衝撃エネルギーを後端側部分で均一に分散することができ、フロントサイドフレーム1への分散効率を向上している。
連結部材7は、後端側部分の上下幅がアウタパネル本体部2rの上下幅と略同じ幅に設定されると共に後端フランジ部の上下両端部がアウタパネル本体部2rの上稜線及び下稜線に夫々一致するように配置され、上下方向に亙ってスポット溶接により接合されている。
内側クラッシュカン5は、バンパレイン2の左側後部に連結され、バンパレイン2を介して前方から作用する衝撃エネルギーにより圧縮変形して潰れることで衝撃エネルギーを吸収し、所期の衝撃エネルギー吸収性能を達成し得るサイズ、形状に構成されている。
図8,図9,図11に示すように、内側クラッシュカン5は、フロントサイドフレーム1と略平行に延びるように形成され、車幅方向外側のアウタパネル5aと、このアウタパネル5aよりも前後長が短い車幅方向内側のインナパネル5bとを備えている。
内側クラッシュカン5の前端部は、メンバ部2bの後端側縦壁部に内側クラッシュカン5の軸心が直交するように連結されている。左右の突出部5u,5vの上下幅は、メンバ部2bの突状部の上下幅よりも小さくなるように設定されている。
これにより、バンパレイン2に作用した衝撃エネルギーが適切に内側クラッシュカン5に伝達され、衝突時、内側クラッシュカン5による一様な軸圧縮変形を達成することができる。
図12〜図15に示すように、内側クラッシュカン5の途中部からフロントサイドフレーム1の第1前端側途中部に対応した後端部までの領域において、第2セットプレート11の中間壁11aとアウタパネル5aとにより鉛直断面略横向き凸状の閉断面が構成されている。尚、フロントサイドフレーム1の前端部から第1前端側途中部までの領域において、中間壁10aとインナパネル1bとにより鉛直断面略横向き凸状の閉断面が構成されているため、アウタパネル5aとインナパネル1bとによって鉛直断面略十字状の断面部を構成している。
第2セットプレート11は、水平断面略クランク状の鋼板からなり、前後方向に延びる中間壁11aと、中間壁11aの前端から右側に延びる前端壁11bと、中間壁11aの後端から左側に延びる後端壁11cとを有している。
第2セットプレート11は、第2セットプレート11の前後長をA2、左右長をB2としたとき、次の関係式が成り立つように寸法が設定されている。
B2≦2×A2
これにより、結合領域の前後長を長くすることができ、内側クラッシュカン5と外側クラッシュカン6の支持強度を大幅に増加できる。
図10,図16に示すように、第2セットプレート11は、前後方向に配設された複数(例えば、上下1対且つ左右2組の4本)の締結ボルト12により第2セットプレート11よりも一回り大きな第1セットプレート10に対して密着状態で締結可能に構成されている。
これにより、ボルト12の取付けスペースを確保している。
ここで、第1セットプレート10と、この第1セットプレート10に対して前後方向から複数のボルト12を介して着脱自在な第2セットプレート11とが、本発明のセットプレートに相当している。
外側クラッシュカン6は、内側クラッシュカン5よりも左側に設けられ、バンパレイン2を介して斜め前方から作用する衝撃エネルギーにより圧縮変形して潰れることで衝撃エネルギーを吸収し、所期の衝撃エネルギー吸収性能を達成し得るサイズ、形状に構成されている。図7〜図9,図11〜図15に示すように、外側クラッシュカン6は、断面略コ字状のアウタパネル6aと、断面略コ字状のインナパネル6bとを備え、アウタパネル6aの頂壁部分と底壁部分とがインナパネル6bの頂壁部分と底壁部分とに夫々接合され、軸心直交断面が略矩形状の閉断面を構成している。
外側クラッシュカン6の後端側部分は、中間壁11aの後端側部分及び後端壁11cに連結されることにより、平面視にて前側程左側へ移行するように形成されている。
図3及び図7に示すように、外側クラッシュカン6の上下幅は、側面視にて後側程小さくなるように形成され、図15に示すように、後端部の上下幅は、内側クラッシュカン5の左側面の突出部5uの上下幅よりも僅かに大きな幅に設定されている。これにより、外側クラッシュカン6に入力した衝撃エネルギーを剛性の高い突出部5uに収束させている。
この構成により、外側クラッシュカン6に入力した衝撃エネルギーを突出部5uを介してフロントサイドフレーム1に伝達する第1経路に加えて、連結部材7を介してフロントサイドフレーム1に伝達する第2経路によって分散伝達している。
図8及び図9に示すように、アウタパネル6aの左側縦壁部を平面視にて連結部材7と略直線状になるように配設することにより、外側クラッシュカン6に入力した衝撃エネルギーを最短且つ直線状にフロントサイドフレーム1に伝達する第2経路を形成している。
インナパネル6bの後端側右端部分が中間壁11aの左面部に溶接にて接合され、後端部が後端壁11cの前面部に溶接にて接合されている。突出部5uの後端側部分は外側クラッシュカン6の閉断面内に収容されている。
図16に示すように、バンパレイン2に左右1対の内側クラッシュカン5と左右1対の外側クラッシュカン6とを夫々連結し、左右各々のクラッシュカン5,6の後端部に第2セットプレート11を夫々溶接したバンパレイン側ユニットU1を準備する。
このとき、外側クラッシュカン6の後端側部分を内側クラッシュカン5の車幅方向外側面の突出部5uに突出部5uを上下から挟んだ状態で接合している。
また、左右1対の第1セットプレート10を左右1対のフロントサイドフレーム1と左右1対の連結フレーム4とに夫々溶接した車体側ユニットU2を準備する。
第1セットプレート10と第2セットプレート11との位置決め完了後、各ボルト12を前方から締結固定してバンパレイン側ユニットU1を車体側ユニットU2に取り付ける。
これにより、軽衝突等のように衝撃荷重が比較的小さい場合には、フロントサイドフレーム1を破損させることなく、内側クラッシュカン5又は外側クラッシュカン6又は両クラッシュカン5,6が潰れることによって衝撃エネルギーを吸収し、容易にバンパレイン側ユニットU1を取り替えることができる。
この車両Vの前部車体構造によれば、内側クラッシュカン5及び外側クラッシュカン6をフロントサイドフレーム1に結合する第1,第2セットプレート10,11を備えるため、軽衝突時の内側クラッシュカン5及び外側クラッシュカン6のリペア性と生産性を確保することができる。内側クラッシュカン5の後端側部分が少なくとも前端壁11bと後端壁11cに連結されているため、結合領域の前後長を確保でき、内側クラッシュカン5の支持強度を増加することができる。外側クラッシュカン6の後端側部分が中間壁11aと後端壁11cに連結されているため、結合領域の前後長を確保でき、外側クラッシュカン6の支持強度を増加することができる。
これにより、連結フレーム4を用いて第1,第2セットプレート10,11の支持強度を増加できるため、一層内側クラッシュカン5及び外側クラッシュカン6の支持強度を増加することができる。
この構成により、前面衝突の衝撃エネルギーを第1,第2セットプレート10,11からアウタパネル1aの前端部に最短距離で直接的に伝達できるため、衝撃エネルギー伝達効率を向上することができる。
1〕前記実施形態においては、第1セットプレートが第2セットプレートよりも大きく設定された例を説明したが、少なくとも第1,第2セットプレートが衝撃エネルギーを伝達可能であれば良く、同じ大きさに形成しても良い。
また、第1,第2セットプレートが上下1対且つ左右2組の締結ボルトで締結可能に構成された例を説明したが、少なくとも前後方向に配設された締結ボルトで着脱可能であれば良く、仕様に応じて締結ボルトの本数を任意に設定することができる。
この場合、バンパレイン側ユニットに装着された内側クラッシュカンと外側クラッシュカンの後端部に単一のセットプレートを設け、フロントサイドフレームと連結フレームとにボルト締結用の締結部を夫々形成するしてセットプレートを締結固定する。
1 フロントサイドフレーム
1a アウタパネル
1b インナパネル
2 バンパレイン
4 連結フレーム
5 内側クラッシュカン
6 外側クラッシュカン
10 第1セットプレート
10a (第1セットプレート)中間壁
10b (第1セットプレート)前端壁
10c (第1セットプレート)後端壁
11 第2セットプレート
11a (第2セットプレート)中間壁
11b (第2セットプレート)前端壁
11c (第2セットプレート)後端壁
Claims (3)
- 車幅方向に延びるバンパレインフォースメントと、このバンパレインフォースメントを左右1対の内側クラッシュカンを介して支持する左右1対のフロントサイドフレームと、前記1対の内側クラッシュカンよりも車幅方向外側に夫々配設され且つ前記1対のフロントサイドフレームの前端側途中部から前方程車幅方向外側へ移行するように延びて前記バンパレインフォースメントの車幅方向外側端部に夫々連結された左右1対の外側クラッシュカンとを備えた車両の前部車体構造において、
前記内側クラッシュカン及び外側クラッシュカンを前記フロントサイドフレームに結合するセットプレートを備え、
前記セットプレートが、車体前後方向に延びるセットプレート中間壁と、前記セットプレート中間壁の前端から車幅方向内側に延びるセットプレート前端壁と、前記セットプレート中間壁の後端から車幅方向外側に延びるセットプレート後端壁とを有し、
前記内側クラッシュカンの後端側部分が少なくとも前記セットプレート前端壁とセットプレート後端壁に連結されると共に前記外側クラッシュカンの後端側部分がセットプレート中間壁とセットプレート後端壁に連結されたことを特徴とする車両の前部車体構造。 - 前記1対のフロントサイドフレームよりも上側且つ車幅方向外側位置に夫々配設された左右1対のエプロンレインフォースメントと、
前記1対のフロントサイドフレームの車幅方向外側端部と前記1対のエプロンレインフォースメントとを夫々連結する左右1対の連結フレームとを備え、
前記セットプレート後端壁が前記連結フレームの前端部に連結されたことを特徴とする請求項1に記載の車両の前部車体構造。 - 前記フロントサイドフレームがパネル状のアウタパネルとこのアウタパネルと協働して閉断面を構成する断面ハット状のインナパネルとを備え、
前記セットプレート中間壁が前記アウタパネルの前端側部分を構成していることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の前部車体構造。
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