JP2016049810A - 車両の前部車体構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】内側クラッシュカン及び外側クラッシュカンのリペア性を確保しつつ、NVH性能と生産性とを両立することができる車両の前部車体構造を提供する。【解決手段】内側クラッシュカン5よりも外側に配設され且つフロントサイドフレーム1の前端側途中部から前方程車幅方向外側へ移行するように延びてバンパレイン2の外側端部に連結された外側クラッシュカン6と、内側クラッシュカン5及び外側クラッシュカン6をフロントサイドフレーム1に結合する第2セットプレート11とを備え、第2セットプレート11が、前後方向に延びる中間壁11aと、中間壁11aの前端から内側に延びる前端壁11bと、中間壁11aの後端から外側に延びる後端壁11cとを有し、内側クラッシュカン5の後端側部分が少なくとも前端壁11bと後端壁11cに連結されると共に外側クラッシュカン6の後端側部分が中間壁11aと後端壁11cに連結されている。【選択図】 図9

Description

本発明は、車両の前部車体構造に関し、特にバンパレインフォースメントを支持する1対の内側クラッシュカンと、これら1対の内側クラッシュカンよりも車幅方向外側に配設された1対の外側クラッシュカンとを備えた車両の前部車体構造に関する。
従来より、車両の前面衝突時の乗員に対する衝撃エネルギーを低減する為に、車体前後方向に延びる左右1対のフロントサイドフレームの前端部と車幅方向に延びるバンパレインフォースメントとの間に左右1対の筒状のクラッシュカンを設け、これらのクラッシュカンを衝突初期に軸心方向に座屈変形(潰れ変形)させることにより、衝突初期の衝撃エネルギーを吸収する技術が知られている。
通常、これらのクラッシュカンは、左右1対のフロントサイドフレームの前端部に着脱自在な2枚1組のセットプレートを介して装着されている。
クラッシュカンの後端部に連結されたバンパ側セットプレートがフロントサイドフレームの前端部に連結された車体側セットプレートに前後方向に配設されたボルトによって締結されているため、低速衝突等の軽衝突時、ボルトを取り外して破損したクラッシュカンを新しいクラッシュカンに取り替えることができ、リペア性を確保することができる。
一方、クラッシュカンに連結されたバンパ側セットプレートが、フロントサイドフレーム前端部の車体側セットプレートにボルトによって締結固定された構造、所謂接合面で支持された片持ち構造では、大重量であるバンパレインとクラッシュカンとが車両の走行振動に起因して上下方向に振動し易いため、車体としてのNVH(Noise Vibration Harshness)性能が低下し、乗員に対する室内居住性が悪化するという問題が存在する。
そこで、車体前部の固有振動数を変えることでNVH性能を改善する技術が種々提案されている。
特許文献1の車両の前部車体構造は、フロントサイドフレームの前端部に連結された第1のセットプレートと、クラッシュカンの後端部に連結され且つ第1セットプレートにボルトによって締結可能な第2のセットプレートとを備え、これら第1セットプレートと第2セットプレートに、互いに当接状態でボルト締結された突出部によって構成された剛結合部と、減衰部材を介して結合された柔結合部とが夫々形成されている。
車両の前面衝突では、フロントサイドフレームよりも車幅方向外側の車体部分に衝撃エネルギーが作用することがある。このスモールオーバーラップ衝突(以下、SOL衝突と略す)では、衝突物とフロントサイドフレームとがオーバーラップする場合に比べてフロントサイドフレームへの衝撃エネルギー伝達効率が低下し、フロントサイドフレームの変形による衝撃エネルギー吸収量が減少し、車室側へ伝達される衝撃エネルギーが増加する。
それ故、SOL衝突を対策しつつ衝撃エネルギー吸収量を増加するために、既存の車幅方向内側のクラッシュカン(以下、内側クラッシュカンという)の車幅方向外側に新たな外側クラッシュカンを設けることが行われている。
特開2011−255815号公報
特許文献1の車両の前部車体構造は、剛結合部によって結合力を維持することができ、柔結合部によって振動エネルギーを歪エネルギーとして吸収することができる。
しかし、特許文献1の車両の前部車体構造では、第1セットプレートと第2セットプレートの両方に突出部と減衰部材を収容するための収容部とを成形する加工工程の増加や減衰部材の追加による部品点数の増加が発生し、生産性の面で改善すべき余地が残っている。
しかも、SOL衝突の対策のために、新たに外側クラッシュカンを設ける場合、外側クラッシュカンを装着するための第1,第2セットプレートが必要になる上、前述した内側クラッシュカン用の加工工程及び減衰部材の増加に加えて外側クラッシュカン用の加工工程及び減衰部材が増加することにより、更に生産性が低下する虞がある。
本発明の目的は、クラッシュカンのリペア性を確保しつつ、NVH性能と生産性とを両立できる車両の前部車体構造等を提供することである。
請求項1の車両の前部車体構造は、車幅方向に延びるバンパレインフォースメントと、このバンパレインフォースメントを左右1対の内側クラッシュカンを介して支持する左右1対のフロントサイドフレームと、前記1対の内側クラッシュカンよりも車幅方向外側に夫々配設され且つ前記1対のフロントサイドフレームの前端側途中部から前方程車幅方向外側へ移行するように延びて前記バンパレインフォースメントの車幅方向外側端部に夫々連結された左右1対の外側クラッシュカンとを備えた車両の前部車体構造において、前記内側クラッシュカン及び外側クラッシュカンを前記フロントサイドフレームに結合するセットプレートを備え、前記セットプレートが、車体前後方向に延びるセットプレート中間壁と、前記セットプレート中間壁の前端から車幅方向内側に延びるセットプレート前端壁と、前記セットプレート中間壁の後端から車幅方向外側に延びるセットプレート後端壁とを有し、前記内側クラッシュカンの後端側部分が少なくとも前記セットプレート前端壁とセットプレート後端壁に連結されると共に前記外側クラッシュカンがセットプレート中間壁とセットプレート後端壁に連結されたことを特徴としている。
この車両の前部車体構造では、内側クラッシュカン及び外側クラッシュカンをフロントサイドフレームに結合するセットプレートを備えているため、軽衝突時の内側クラッシュカン及び外側クラッシュカンのリペア性と生産性を確保することができる。
内側クラッシュカンの後端側部分が少なくともセットプレート前端壁とセットプレート後端壁に連結されているため、結合領域の前後長を確保でき、内側クラッシュカンの支持強度を増加することができる。外側クラッシュカンの後端側部分がセットプレート中間壁とセットプレート後端壁に連結されているため、結合領域の前後長を確保でき、外側クラッシュカンの支持強度を増加することができる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記1対のフロントサイドフレームよりも上側且つ車幅方向外側位置に夫々配設された左右1対のエプロンレインフォースメントと、前記1対のフロントサイドフレームの車幅方向外側端部と前記1対のエプロンレインフォースメントとを夫々連結する左右1対の連結フレームとを備え、前記セットプレート後端壁が前記連結フレームの前端部に連結されたことを特徴としている。
これにより、連結フレームを用いてセットプレートの支持強度を増加できるため、一層内側クラッシュカン及び外側クラッシュカンの支持強度を増加することができる。
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記フロントサイドフレームがパネル状のアウタパネルとこのアウタパネルと協働して閉断面を構成する断面ハット状のインナパネルとを備え、前記セットプレート中間壁が前記アウタパネルの前端側部分を構成していることを特徴としている。
この構成により、前面衝突の衝撃エネルギーをセットプレートからアウタパネルの前端部に最短距離で直接的に伝達できるため、衝撃エネルギー伝達効率を向上することができる。
本発明の車両の前部車体構造によれば、既存のセットプレートの構造変更により、内側クラッシュカン及び外側クラッシュカンのリペア性を確保しつつ、NVH性能と生産性とを両立することができる。
実施例1に係る車両の左側前方から視た前部車体構造の斜視図である。 平面図である。 側面図である。 図3のIV−IV線断面図である。 図3のV−V線断面図である。 フロントサイドフレームと第1セットプレートと連結フレームとの分解斜視図である。 連結フレームを取り外した側面図である。 図7の要部平面図である。 図7を水平断面視で視た要部斜視図である。 第1,第2セットプレートの分解斜視図である。 図3のXI−XI線断面図である。 図3のXII−XII線断面図である。 図3のXIII−XIII線断面図である。 図3のXIV−XIV線断面図である。 図3のXV−XV線断面図である。 バンパレイン側ユニットと車体側ユニットの組み付け手順の説明図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
以下の説明は、本発明を車両に適用したものを例示したものであり、本発明、その適用物、或いは、その用途を制限するものではない。
以下、本発明の実施例1について図1〜図16に基づいて説明する。
図1〜図3に示すように、車両Vには、車室とエンジンルームEとを前後に仕切るダッシュパネル(図示略)の前側に配設された左右1対のフロントサイドフレーム1と、これら1対のフロントサイドフレーム1の前端部に左右1対の内側クラッシュカン5を介して支持されたバンパレインフォースメント(以下、バンパレインと略す)2と、1対のフロントサイドフレーム1の車幅方向外側上方に配置された左右1対のエプロンレインフォースメント(以下、エプロンレインと略す)3と、これら1対のエプロンレイン3と1対のフロントサイドフレーム1とを夫々連結する左右1対の連結フレーム4と、1対の内側クラッシュカン5よりも車幅方向外側に夫々配設された左右1対の外側クラッシュカン6等が設けられている。
尚、左右1対の各部材は、左右対称構造であるため、左側部材について主に説明する。また、説明の便宜上、矢印F方向を前方とし、矢印L方向を左方として説明する。
まず、フロントサイドフレーム1について、説明する。
1対のフロントサイドフレーム1は、車室の前端を仕切るダッシュパネルの前側においてエンジンルームEの左部と右部に夫々前後方向に延びるように配設されている。
1対のフロントサイドフレーム1は、車両Vの前端側位置から後方へ向かって略水平状に延び且つ後端側途中部がダッシュパネルの縦壁部に接合され、後端側部分が傾斜部とフロアパネル(図示略)の下面に沿って後方下り傾斜状に延びるように接合されている。
フロントサイドフレーム1の後端側部分はダッシュパネルに接合されている。
図1〜図6に示すように、フロントサイドフレーム1は、左側のアウタパネル1aと、このアウタパネル1aよりも前後長が長い右側のインナパネル1bとを有している。
両パネル1a,1bは、ハイテン鋼板をプレス加工することによって成形されている。
アウタパネル1aは、上端側部分のアウタ上フランジ部1pと、下端側部分のアウタ下フランジ部1qと、両者の中間位置において僅かに左側に突出した鉛直断面略コ字状のアウタパネル本体部1rとを備えている。
インナパネル1bは、上端側部分のインナ上フランジ部1sと、下端側部分のインナ下フランジ部1tと、両者の中間位置において右側に突出した鉛直断面略コ字状のインナパネル本体部1uと、このインナパネル本体部1uの中段位置から右側に突出した鉛直断面略コ字状の突出部1vとを備えている。
図2,図8に示すように、突出部1vは、前後方向に延びるように形成され、後側程右側への突出量が小さくなるように形成されている。
アウタパネル1aとインナパネル1bは、第1前端側途中部から後端側途中部(ダッシュパネルの縦壁部)までの領域において、上フランジ部1p,1s同士がスポット溶接されると共に下フランジ部1q,1t同士がスポット溶接されている。
これにより、フロントサイドフレーム1は、第1前端側途中部から第1前端側途中部よりも後側の第2前端側途中部までの領域において、アウタパネル1aとインナパネル1bとによって鉛直断面略横向き凸状の閉断面を構成し(図4及び図5参照)、第2前端側途中部から後端側途中部までの領域において、アウタパネル1aとインナパネル1bとによって鉛直断面略矩形状の閉断面を構成している。
図1〜図3,図6〜図10,図16に示すように、フロントサイドフレーム1の前端部には、第1セットプレート10が溶接によって接合されている。
第1セットプレート10は、水平断面略クランク状の鋼板からなり、前後方向に延びる中間壁10aと、中間壁10aの前端から右側に延びる前端壁10bと、中間壁10aの後端から左側に延びる後端壁10cとを有している。
第1セットプレート10は、第1セットプレート10の前後長をA1、左右長をB1としたとき、次の関係式が成り立つように寸法が設定されている。
B1≦2×A1
これにより、結合領域の前後長を長くすることができ、内側クラッシュカン5と外側クラッシュカン6の支持強度を大幅に増加できる。
アウタパネル本体部1rが、中間壁10aに略直線状に連なるようにアウタパネル本体部1rの前端部が中間壁10aの後端部に当接している。即ち、図6に示すように、フロントサイドフレーム1の前端部から第1前端側途中部までの領域では、中間壁10aがフロントサイドフレーム1のアウタパネル部分を構成している。
インナパネル1bのインナ上フランジ部1s及びインナ下フランジ部1tが中間壁10aの右面部に接合され、インナパネル1bの前端部が前端壁10bの後面部に接合され、アウタパネル1aの前端部が中間壁10aの後端部に接合されている。これにより、フロントサイドフレーム1の前端部から第1前端側途中部までの領域において、中間壁10aとインナパネル1bとにより鉛直断面略横向き凸状の閉断面が構成されている(図12〜図15参照)。
バンパレイン2は、車幅方向に延びる帯板状のプレート部2aと、このプレート部2aの後側において車幅方向に延びる鉛直断面略ハット条のメンバ部2bとを備えている。
メンバ部2bの上端フランジ部及び下端フランジ部がプレート部2aの後面部に接合され、車幅方向に延びる閉断面が構成されている。
エプロンレイン3は、フロントヒンジピラー(図示略)の付け根部分からサスペンションタワー(以下、サスタワーと略す)8の前側近傍位置までフロントサイドフレーム1に対して略平行に下側前方へ夫々延設されている。
図1〜図5に示すように、エプロンレイン3は、上壁部と外壁部とからなるアウタパネル3aと、下壁部と内壁部とからなるインナパネル3bとにより前後方向に延びる断面略矩形状の閉断面を構成している。これらエプロンレイン3の車幅方向外側部分には、左右両側のフェンダパネル(図示略)が夫々装着されている。
左右1対のエプロンレイン3の各々の前端部は、車幅方向に延びるシュラウド部材9によって連結され、エプロンレイン3の後端側部分は、サスタワー8を支持している。
1対の筒状のサスタワー8は、フロントサイドフレーム1とエプロンレイン3との間でダッシュパネルに近接配置されている。
次に、連結フレーム4について、説明する。
図1〜図6に示すように、連結フレーム4は、側面視にてエプロンレイン3の前端部からアウタパネル1aの前端部まで前方下り傾斜状に延びるように形成されている。
連結フレーム4は、エプロンレイン3に連なるようにアウタパネル4aとインナパネル4bとを備え、両者が協働して水平断面略矩形状の閉断面Cを構成している。
連結フレーム4の下端側部分の前面部は、後端壁10cの後面部が溶接にて接合されている。これにより、後述する外側クラッシュカン6に入力された衝撃エネルギーを第1セットプレート10及び第2セットプレート11を介してフロントサイドフレーム1に伝達する第1経路と、連結フレーム4を介してエプロンレイン3に伝達する第3経路とを形成している。
連結フレーム4の閉断面C内には、プレート状の連結部材7が配設されている。
図5,図7〜図9に示すように、連結部材7は、閉断面Cの下端側部分において、後端壁10cの後側に設けられ、閉断面Cを部分的に左右に区画するように配設されている。
連結部材7は、前端フランジ部と後端フランジ部とを備え、前端フランジ部がアウタパネル4aの前壁部を挟着して後端壁10cに3重接合され、後端フランジ部がアウタパネル1aに接合されているため、平面視にて前側程左側へ移行するように配設されている。
連結部材7は、側面視にて後側程上下幅が大きく且つ上下線対称の台形状に形成されている。これにより、前端側部分に入力された衝撃エネルギーを後端側部分で均一に分散することができ、フロントサイドフレーム1への分散効率を向上している。
図7に示すように、連結部材7は、前端側部分が外側クラッシュカン6の後端側部分の上下幅と略同じ上下幅になるように設定され、前端フランジ部が外側クラッシュカン6のアウタパネル6aの左側縦壁部後端に略一致するように配置されている。
連結部材7は、後端側部分の上下幅がアウタパネル本体部2rの上下幅と略同じ幅に設定されると共に後端フランジ部の上下両端部がアウタパネル本体部2rの上稜線及び下稜線に夫々一致するように配置され、上下方向に亙ってスポット溶接により接合されている。
次に、内側クラッシュカン5について、説明する。
内側クラッシュカン5は、バンパレイン2の左側後部に連結され、バンパレイン2を介して前方から作用する衝撃エネルギーにより圧縮変形して潰れることで衝撃エネルギーを吸収し、所期の衝撃エネルギー吸収性能を達成し得るサイズ、形状に構成されている。
図8,図9,図11に示すように、内側クラッシュカン5は、フロントサイドフレーム1と略平行に延びるように形成され、車幅方向外側のアウタパネル5aと、このアウタパネル5aよりも前後長が短い車幅方向内側のインナパネル5bとを備えている。
内側クラッシュカン5は、アウタパネル5aの頂壁部分と底壁部分とがインナパネル5bの頂壁部分と底壁部分とに夫々接合され、上下左右の側面部分に設けた前後方向に延びる4つの突出部5s〜5vによって軸心直交断面が略十字状に形成されている。
内側クラッシュカン5の前端部は、メンバ部2bの後端側縦壁部に内側クラッシュカン5の軸心が直交するように連結されている。左右の突出部5u,5vの上下幅は、メンバ部2bの突状部の上下幅よりも小さくなるように設定されている。
これにより、バンパレイン2に作用した衝撃エネルギーが適切に内側クラッシュカン5に伝達され、衝突時、内側クラッシュカン5による一様な軸圧縮変形を達成することができる。
内側クラッシュカン5は、その前端部からフロントサイドフレーム1の前端部に対応した途中部までの領域において、アウタパネル5aとインナパネル5bとにより鉛直断面略十字状の閉断面を構成している。
図12〜図15に示すように、内側クラッシュカン5の途中部からフロントサイドフレーム1の第1前端側途中部に対応した後端部までの領域において、第2セットプレート11の中間壁11aとアウタパネル5aとにより鉛直断面略横向き凸状の閉断面が構成されている。尚、フロントサイドフレーム1の前端部から第1前端側途中部までの領域において、中間壁10aとインナパネル1bとにより鉛直断面略横向き凸状の閉断面が構成されているため、アウタパネル5aとインナパネル1bとによって鉛直断面略十字状の断面部を構成している。
図1〜図3,図7〜図16に示すように、内側クラッシュカン5の後端部には、第2セットプレート11が溶接によって接合されている。
第2セットプレート11は、水平断面略クランク状の鋼板からなり、前後方向に延びる中間壁11aと、中間壁11aの前端から右側に延びる前端壁11bと、中間壁11aの後端から左側に延びる後端壁11cとを有している。
第2セットプレート11は、第2セットプレート11の前後長をA2、左右長をB2としたとき、次の関係式が成り立つように寸法が設定されている。
B2≦2×A2
これにより、結合領域の前後長を長くすることができ、内側クラッシュカン5と外側クラッシュカン6の支持強度を大幅に増加できる。
アウタパネル5aの後端部が後端壁11cの前面部に接合され、アウタパネル5aの後端側右端部分が中間壁11aの左面部に接合され、インナパネル5bの後端部が前端壁11bの前面部に接合されている。中間壁11aは、中間壁10aの左側に重なり合うように面当接状態で配設され、中間壁10aと協働してフロントサイドフレーム1のアウタパネル部分を構成している。
図10,図16に示すように、第2セットプレート11は、前後方向に配設された複数(例えば、上下1対且つ左右2組の4本)の締結ボルト12により第2セットプレート11よりも一回り大きな第1セットプレート10に対して密着状態で締結可能に構成されている。
図7に示すように、4本のボルト12のうち左側の上下1対のボルト12は、両ボルト12の離隔距離が連結部材7の前端側部分の上下幅よりも大きく設定され、連結部材7の前端側部分を上下から挟み込む位置に配設されている。
これにより、ボルト12の取付けスペースを確保している。
ここで、第1セットプレート10と、この第1セットプレート10に対して前後方向から複数のボルト12を介して着脱自在な第2セットプレート11とが、本発明のセットプレートに相当している。
次に、外側クラッシュカン6について、説明する。
外側クラッシュカン6は、内側クラッシュカン5よりも左側に設けられ、バンパレイン2を介して斜め前方から作用する衝撃エネルギーにより圧縮変形して潰れることで衝撃エネルギーを吸収し、所期の衝撃エネルギー吸収性能を達成し得るサイズ、形状に構成されている。図7〜図9,図11〜図15に示すように、外側クラッシュカン6は、断面略コ字状のアウタパネル6aと、断面略コ字状のインナパネル6bとを備え、アウタパネル6aの頂壁部分と底壁部分とがインナパネル6bの頂壁部分と底壁部分とに夫々接合され、軸心直交断面が略矩形状の閉断面を構成している。
外側クラッシュカン6は、その前端部が内側クラッシュカン5とメンバ部2bとの連結部から左側に所定距離離隔したメンバ部2bの左端後部に連結され、メンバ部2bの縦壁部に外側クラッシュカン6の軸心が直交するように連結されている。
外側クラッシュカン6の後端側部分は、中間壁11aの後端側部分及び後端壁11cに連結されることにより、平面視にて前側程左側へ移行するように形成されている。
図3及び図7に示すように、外側クラッシュカン6の上下幅は、側面視にて後側程小さくなるように形成され、図15に示すように、後端部の上下幅は、内側クラッシュカン5の左側面の突出部5uの上下幅よりも僅かに大きな幅に設定されている。これにより、外側クラッシュカン6に入力した衝撃エネルギーを剛性の高い突出部5uに収束させている。
アウタパネル6aの後端部は、アウタパネル6aの左側縦壁部が連結部材7の前端フランジ部に対応するように後端壁11cの前面部に溶接にて接合されている。
この構成により、外側クラッシュカン6に入力した衝撃エネルギーを突出部5uを介してフロントサイドフレーム1に伝達する第1経路に加えて、連結部材7を介してフロントサイドフレーム1に伝達する第2経路によって分散伝達している。
図8及び図9に示すように、アウタパネル6aの左側縦壁部を平面視にて連結部材7と略直線状になるように配設することにより、外側クラッシュカン6に入力した衝撃エネルギーを最短且つ直線状にフロントサイドフレーム1に伝達する第2経路を形成している。
インナパネル6bの後端側部分には、矩形状の切欠部6cが形成されている。インナパネル6bの後端側部分は、突出部5uの縦壁部に接合されると共に、突出部5uの上壁部及び下壁部を上下から挟んだ状態で突出部5uの上下両方の稜線を含んで接合されている。これにより、外側クラッシュカン6に入力した衝撃エネルギーを突出部5uの縦壁部と上壁部及び下壁部を介して突出部5uに収束させている。
インナパネル6bの後端側右端部分が中間壁11aの左面部に溶接にて接合され、後端部が後端壁11cの前面部に溶接にて接合されている。突出部5uの後端側部分は外側クラッシュカン6の閉断面内に収容されている。
次に、バンパレイン2の組み付け手順について、説明する。
図16に示すように、バンパレイン2に左右1対の内側クラッシュカン5と左右1対の外側クラッシュカン6とを夫々連結し、左右各々のクラッシュカン5,6の後端部に第2セットプレート11を夫々溶接したバンパレイン側ユニットU1を準備する。
このとき、外側クラッシュカン6の後端側部分を内側クラッシュカン5の車幅方向外側面の突出部5uに突出部5uを上下から挟んだ状態で接合している。
また、左右1対の第1セットプレート10を左右1対のフロントサイドフレーム1と左右1対の連結フレーム4とに夫々溶接した車体側ユニットU2を準備する。
次に、バンパレイン側ユニットU1を車体側ユニットU2の前側位置に移動した後、第1セットプレート10と第2セットプレート11との位置決めを行う。
第1セットプレート10と第2セットプレート11との位置決め完了後、各ボルト12を前方から締結固定してバンパレイン側ユニットU1を車体側ユニットU2に取り付ける。
これにより、軽衝突等のように衝撃荷重が比較的小さい場合には、フロントサイドフレーム1を破損させることなく、内側クラッシュカン5又は外側クラッシュカン6又は両クラッシュカン5,6が潰れることによって衝撃エネルギーを吸収し、容易にバンパレイン側ユニットU1を取り替えることができる。
次に、上記車両Vの前部車体構造の作用・効果について説明する。
この車両Vの前部車体構造によれば、内側クラッシュカン5及び外側クラッシュカン6をフロントサイドフレーム1に結合する第1,第2セットプレート10,11を備えるため、軽衝突時の内側クラッシュカン5及び外側クラッシュカン6のリペア性と生産性を確保することができる。内側クラッシュカン5の後端側部分が少なくとも前端壁11bと後端壁11cに連結されているため、結合領域の前後長を確保でき、内側クラッシュカン5の支持強度を増加することができる。外側クラッシュカン6の後端側部分が中間壁11aと後端壁11cに連結されているため、結合領域の前後長を確保でき、外側クラッシュカン6の支持強度を増加することができる。
1対のフロントサイドフレーム1よりも上側且つ車幅方向外側位置に夫々配設された左右1対のエプロンレイン3と、1対のフロントサイドフレーム1の車幅方向外側端部と1対のエプロンレイン2とを夫々連結する左右1対の連結フレーム4とを備え、後端壁11cが連結フレーム4の前端部に後端壁10cを介して連結されている。
これにより、連結フレーム4を用いて第1,第2セットプレート10,11の支持強度を増加できるため、一層内側クラッシュカン5及び外側クラッシュカン6の支持強度を増加することができる。
フロントサイドフレーム1がパネル状のアウタパネル1aとこのアウタパネル1aと協働して閉断面を構成する断面ハット状のインナパネル1bとを備え、中間壁10a,11aがアウタパネル1aの前端側部分を構成している。
この構成により、前面衝突の衝撃エネルギーを第1,第2セットプレート10,11からアウタパネル1aの前端部に最短距離で直接的に伝達できるため、衝撃エネルギー伝達効率を向上することができる。
次に、前記実施形態を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施形態においては、第1セットプレートが第2セットプレートよりも大きく設定された例を説明したが、少なくとも第1,第2セットプレートが衝撃エネルギーを伝達可能であれば良く、同じ大きさに形成しても良い。
また、第1,第2セットプレートが上下1対且つ左右2組の締結ボルトで締結可能に構成された例を説明したが、少なくとも前後方向に配設された締結ボルトで着脱可能であれば良く、仕様に応じて締結ボルトの本数を任意に設定することができる。
2〕前記実施形態においては、第1セットプレートと、この第1セットプレートに対して前後方向から複数のボルトを介して着脱自在な第2セットプレートによってセットプレートを形成した例を説明したが、少なくともバンパレイン側ユニットをセットプレートの取り外すことによって容易に交換できれば良く、1枚のセットプレートであっても良い。
この場合、バンパレイン側ユニットに装着された内側クラッシュカンと外側クラッシュカンの後端部に単一のセットプレートを設け、フロントサイドフレームと連結フレームとにボルト締結用の締結部を夫々形成するしてセットプレートを締結固定する。
3〕前記実施形態においては、第1,第2セットプレートがフロントサイドフレームのアウタパネルの前端側部分を構成した例を説明したが、フロントサイドフレームのアウタパネルとインナパネルの前後長を同じに形成し、アウタパネルの車幅方向外側にセットプレートの中間壁を配置しても良い。
3〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
V 車両
1 フロントサイドフレーム
1a アウタパネル
1b インナパネル
2 バンパレイン
4 連結フレーム
5 内側クラッシュカン
6 外側クラッシュカン
10 第1セットプレート
10a (第1セットプレート)中間壁
10b (第1セットプレート)前端壁
10c (第1セットプレート)後端壁
11 第2セットプレート
11a (第2セットプレート)中間壁
11b (第2セットプレート)前端壁
11c (第2セットプレート)後端壁

Claims (3)

  1. 車幅方向に延びるバンパレインフォースメントと、このバンパレインフォースメントを左右1対の内側クラッシュカンを介して支持する左右1対のフロントサイドフレームと、前記1対の内側クラッシュカンよりも車幅方向外側に夫々配設され且つ前記1対のフロントサイドフレームの前端側途中部から前方程車幅方向外側へ移行するように延びて前記バンパレインフォースメントの車幅方向外側端部に夫々連結された左右1対の外側クラッシュカンとを備えた車両の前部車体構造において、
    前記内側クラッシュカン及び外側クラッシュカンを前記フロントサイドフレームに結合するセットプレートを備え、
    前記セットプレートが、車体前後方向に延びるセットプレート中間壁と、前記セットプレート中間壁の前端から車幅方向内側に延びるセットプレート前端壁と、前記セットプレート中間壁の後端から車幅方向外側に延びるセットプレート後端壁とを有し、
    前記内側クラッシュカンの後端側部分が少なくとも前記セットプレート前端壁とセットプレート後端壁に連結されると共に前記外側クラッシュカンの後端側部分がセットプレート中間壁とセットプレート後端壁に連結されたことを特徴とする車両の前部車体構造。
  2. 前記1対のフロントサイドフレームよりも上側且つ車幅方向外側位置に夫々配設された左右1対のエプロンレインフォースメントと、
    前記1対のフロントサイドフレームの車幅方向外側端部と前記1対のエプロンレインフォースメントとを夫々連結する左右1対の連結フレームとを備え、
    前記セットプレート後端壁が前記連結フレームの前端部に連結されたことを特徴とする請求項1に記載の車両の前部車体構造。
  3. 前記フロントサイドフレームがパネル状のアウタパネルとこのアウタパネルと協働して閉断面を構成する断面ハット状のインナパネルとを備え、
    前記セットプレート中間壁が前記アウタパネルの前端側部分を構成していることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の前部車体構造。
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