JP5920164B2 - フロントサブフレーム構造 - Google Patents
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Description
上記フロントサイドメンバを、パワートレインの大きさや、アプローチアングル(前オーバハング角)、またはコンパチビリティ(compatibility 共生性)などのレイアウト条件により、側面視で下方に湾曲させる必要がある場合、フロントサイドメンバが屈曲して荷重伝達効率が低下し、荷重吸収量が小さくなる問題点があった。
しかしながら、該特許文献1で開示された従来構造においては、上記フロントサイドメンバが直線状に形成されているので、パワートレインの下方レイアウトのスペースが確保できない。また、サスクロス本体とフロントサイドメンバとは下方から締付けるボルトを用いて締結されている関係上、作業性がよい反面で、ボルトの弛みが発生した場合に、そのまま長期間走行振動を受け続けると弛みが拡大する懸念があり、ボルトの落下に起因してフロントサイドメンバが横ずれすると、該フロントサイドメンバによる荷重伝達が不可となる問題点があった。
また、特許文献2には、ロアクラッシュカンが開示されているが、該特許文献2にはフロントサイドメンバの折れを抑制する技術思想については何等の開示も示唆もない。
また、上記ブラケットにロアクラッシュカンを設けることができるので、ロアクラッシュカンを相手車両のバンパ高さに合わせることができる。
しかも、上記ブラケットは少なくともフロントサイドメンバ前端よりも下方部位の前側に位置するので、ロアクラッシュカンで吸収し切れなかった前突荷重をブラケットで直接衝突物から受け、ブラケット下部からフロントサイドメンバを介してその後方のサスクロス本体に至る荷重伝達経路を形成し、フロントサイドメンバの折れ(縦方向曲げモーメント)を抑制し、後方への荷重伝達性能の向上を図ることができる。
上述の上方の車体は、フロントサイドフレームに設定してもよい。
ここで、サスクロス本体を離脱させる時期は、パワートレインがサスクロス本体に当たって、車両の後向きの加速度が過大になる前であればよく、車両の後ろ向きの加速度が過大にならない範囲で、サスクロス本体をパワートレイン後退と同時に離脱させてもよい。
また、軽量かつ下方に曲がったフロントサイドメンバを用いても、斯る作用、効果が得られる。
図1は本発明のフロントサブフレーム構造を示す全体斜視図、図2はサスペンションアームとしてのロアアームを取外した状態で示す図1の側面図、図3は図1の底面図である。
図1〜図3において、エンジンルームと車室とを前後方向に区画するダッシュパネルとしてのダッシュロアパネル1を設けている。このダッシュロアパネル1はその車幅方向中央部にトンネル部2とを備えている。
またダッシュロアパネル1のトンネル部2およびフロアパネルのトンネル部の下部と対応して、車両の前後方向に延びるトンネルロアフレーム4,4を設けている。そして、このトンネルロアフレーム4と上述のサイドシル3との車幅方向中間部には、車両の前後方向に延びるフロアフレーム5,5を設けている。
さらに、フロアフレーム5の前部とサイドシル3の前部とを車幅方向に連結する左右一対のトルクボックス6,6を設けている。
上述のビード7a,7bは、重衝突時に折れの切っ掛けとなり、このビード7a,7bの形成位置でフロントサイドフレーム7の座屈変形を許容するものである。
左右一対のフロントサイドフレーム7の前端部には、セットプレート8を介してアッパクラッシュカン9,9をそれぞれ取付けており、これら左右のアッパクラッシュカン9,9間には車幅方向に延びるバンパレイン10を横架している。
図3に示すように、アッパクラッシュカン9、フロントサイドフレーム7、フロアフレーム5は、平面視にて車両の前後方向に略一直線状に延びるように配設されている。
図2,図3において、11はエンジン12、トランスミッション13、ドライブシャフト14を備えたパワートレインである。
このフロントサイドメンバ18は1000MPa以上の耐力をもつ超高張力鋼板で形成されており、図2に側面図で示すように、ロアクラッシュカン17より下方に配設され、該フロントサイドメンバ18の前部はその後部に対して前上に曲がっている。
このブラケット19の詳細構造については、図8,図9,図10を参照して後述するが、該ブラケット19はフロントブラケット20とバックブラケット21とを備えている。
上述のバックブラケット21はクロスメンバ取付け部21aを有し、左右のブラケット19,19におけるバックブラケット21のクロスメンバ取付け部21a相互間には、車幅方向に延びる閉断面構造のフロントクロスメンバ(第1クロスメンバ)22を取付けている。
ここで、上述のロアクラッシュカン17は、アプローチアングル(前オーバハング角)およびコンパチビリティ(compatibility 共生性)を考慮して、フロントサイドメンバ18の前端よりも上方位置に取付けられている。
サスクロス本体16は左右一対のフロントサイドフレーム7,7の下側に位置するもので、該サスクロス本体16は、車両前後方向に延びるパイプ製の左右一対のリヤサイドメンバ30,30と、リヤサイドメンバ30,30の前部間に車幅方向に向けて架設されたセンタクロスメンバ(第2クロスメンバ)31と、該センタクロスメンバ31の後部車幅方向中間部とリヤサイドメンバ30,30の後端部との間に、平面視で略V字状に架設されたクロスメンバとしての傾斜メンバ32(いわゆるV字ブレース)と、リヤサイドメンバ30,30の後端と対応する傾斜メンバ32の左右の後部間に車幅方向に延びるように架設されたリヤクロスメンバ33(第3クロスメンバ)と、リヤサイドメンバ30の前端に対応するセンタクロスメンバ31の左右から上方に延設されて、図1,図2で示した左右のフロントサイドフレーム7,7におけるサス取付けブラケット34,34にそれぞれ連結される左右の車体取付け部35,35(以下単にタワー部と略記する)と、を備えている。
つまり、サスクロス本体16は片側3点、左右両側で計6点にて車体にマウントされたものである。
また、図3,図7に示すように、平面視において、ロアクラッシュカン17、フロントサイドメンバ18、リヤサイドメンバ30、トンネルロアフレーム4が車両の前後方向に略一直線状に連続するように配設されている。
さらに、上述の各マウント部M2,M3,M4は、フロントサイドメンバ18から伝達される前突荷重を受けて車体から離脱するように構成されている。この車体から離脱する構造としては、マウント部M2,M3,M4それ自体が変形、破断する構造であってもよく、あるいは、車体側の支持部が変形、破断する構造であってもよい。
また、同図に示すように、傾斜メンバ32の車幅方向外方への延設部とリヤサイドメンバ30との間には、図1に示すロアアーム15の後側を上側、下側からそれぞれ支持するロアアーム支持部としてのアッパブラケット36、ロアブラケット37が取付けられており、これら上下のアッパブラケット36、ロアブラケット37にはビード等の凹凸部が一体形成されていて、各ブラケット36,37それ自体の剛性が高められている。
上側に位置するアッパブラケット36は、平面から見て相対的に小さい面積の略三角形状に形成されており、下側に位置するロアブラケット37は、平面から見て相対的に大きい面積の略扇形状に形成されている。
フロントサイドメンバ18の後端部とサスクロス本体16の車幅方向端部における閉断面構造のタワー部35との間には、連結部としての連結ブラケット40を設けている。
上述の各壁40A,40B,40C,40D,40Eは展開状態の一枚の板材を折曲げて形成することができる。一方、ロアアームブッシュ42は、図4,図5に断面で示すように、内筒42aと、外筒42bと、内筒42aおよび外筒42b間に介設されたラバー部材42cとを有する。
詳しくは、フロントサイドメンバ18の後端部をアーム取付けボルト41よりも車幅方向外側にずらして、ロアアーム15の組付性を確保すると共に、フロントサイドメンバ18の後端部を上ガイド壁40B、下ガイド壁40C、外側壁40Aの三方で覆い、次に述べる溶接が外れた場合にあっても、フロントサイドメンバ18が車幅方向内側にしかずれないように構成している。
上述の溶接孔43を利用しての両者18,40Aの溶接が万一外れた場合であっても、フロントサイドメンバ18は各壁40A,40B,40Cで三方から囲繞されているので、車幅方向内側にしかずれないものである。
また、図4,図5に示すように、上述のアーム取付けボルト41は、2部材にて閉断面構造に形成されたタワー部35の閉断面内に予め溶接固定されたナット44(いわゆるウエルドナット)に対して、締結されている。
なお、図5において、45はロアアーム15の車幅方向内側後部のロアアームブッシュで、このロアアームブッシュ45の軸は上下方向に指向させている。また図5において、46はセンタクロスメンバ31内に設けたレインフォースメントである。さらに図2において、47はラジエータ(熱交換器)であり、図7に示すようにフロントクロスメンバ22はその左右両端部の取付け部に対して車幅方向中間部が下方に位置しており、これによりフロントクロスメンバ22に対するラジエータ配置スペースを確保するように構成している。
図8はクロスメンバとブラケットとフロントサイドメンバの関連構造を示す斜視図、図9は図8からフロントブラケットを取除いた状態の斜視図、図10はフロントブラケットとバックブラケットの分解斜視図である。
また、上壁20bの車幅方向内側と車幅方向外側との2箇所には、図6で示したボルト、ナット25のボルトを挿通させる内側締結孔20eと外側締結孔20fとが開口形成されており、これにより、フロントサイドメンバ18の前端部が、ブラケット19の車幅方向に並ぶ2点(各締結孔20e,20f参照)で、支持部材24を介して上方の車体であるフロントサイドフレーム7に支持されている。
さらにフロントブラケット20の前壁20aには、複数のロアクラッシュカン締結孔20gが形成されている。
また内側側壁21cの下端を折曲げて外側側壁21dの下縁に溶接することで前述のクロスメンバ取付け部21aを形成し、これにより剛性が高いクロスメンバ支持部を形成すると共に、前突時の荷重伝達に関わる前後剛性を確保している。
そして、図6で示したように、ロアクラッシュカン17前部よりも後方で、かつフロントサイドメンバ18の前端よりも下方の部位の前側にブラケット19の少なくとも一部が位置するように、構成したものである。
図11の(a)に示すように、車両が重衝突すると、矢印X1,X2で示す衝突荷重入力により、アッパクラッシュカン9およびロアクラッシュカン17が潰れ、これら上下の各クラッシュカン9,17が潰れ切ると図11の(b)のようになる。
なお、図中、矢印Fは車両の前方を示し、矢印Rは車両の後方を示し、矢印INは車幅方向内方を示し、矢印OUTは車幅方向外方を示す。
また、上記ブラケット19にロアクラッシュカン17を設けることができるので、ロアクラッシュカン17を相手車両のバンパ高さに合わせることができる。
しかも、上記ブラケット19は少なくともフロントサイドメンバ18前端よりも下方部位の前側に位置するので、ロアクラッシュカン17で吸収し切れなかった前突荷重をブラケット19で直接衝突物から受け、ブラケット19下部からフロントサイドメンバ18を介してその後方のサスクロス本体16に至る荷重伝達経路Y1(図11参照)を形成し、フロントサイドメンバ18の折れ(縦方向曲げモーメント)を抑制し、後方への荷重伝達性能の向上を図ることができる。
また、上記フロントサイドメンバ18の前端中心18aよりも上方にずれて上記ロアクラッシュカン17の後端中心17aが配され、上記フロントサイドメンバ18前端と上記ロアクラッシュカン17後端とが上下方向で一部重なるものである(図6参照)。
さらに、上記ブラケット19は上記フロントサイドメンバ18と上記ロアクラッシュカン17と、上方の車体(フロントサイドフレーム7参照)とを連結するものである(図6参照)。
加えて、上記フロントサイドメンバ18の前端部は、車幅方向に並ぶ2点(締結孔20e,20f参照)で車体(フロントサイドフレーム7参照)に支持され、上記ブラケット19はクロスメンバ取付け部21aを有するものである(図6,図7参照)。
さらにまた、上記サスクロス本体16は、上記フロントサイドメンバ18から伝達される前突荷重を受けて車体から離脱するマウント部(M2,M3,M4)を備えたものである(図7,図11参照)。
またアーム支持部である連結ブラケット40は、所定荷重で下方に離脱するマウント部M2に連結しているので、前突時に所定荷重が入力すると、このマウント部M2は前突荷重を受けて車体(フロントサイドフレーム7)から離脱し、サスクロス本体16を下方に変位させるため、パワートレイン11の後退が容易となり、変形後期における車両の後方への加速度を低下させることができる。
さらに、実施例1に対してフロントサイドメンバ18後端の取付け部18bの幅が小さくなるので、該フロントサイドメンバ18後端のスリム化を図ることができると共に、軽衝突時におけるフロントサイドメンバ18の交換が可能となる。
また上述のスラント壁40Sを設けたので、衝突時にフロントサイドメンバ18と外側壁40Aとの溶接が外れた場合、フロントサイドメンバ18の後端はスラント壁40Sで案内されてロアアームブッシュ42の外筒42b側へ変位し、これにより良好な荷重伝達効果を確保することができる。
図13で示した実施例3においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例1と同様であるから、図13において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
つまり、この実施例においては、連結ブラケット40の前壁40Dにおける車幅方向外側部に、位置決めピン52を前方に向けて突設すると共に、アーム取付けボルト41の頭部を回避する開口部53aと位置決め孔53bとを有するラバーシート53を設け、さらに、フロントサイドメンバ18の後端部には後端部ラケット54を一体または一体的に設けている。
また、通常時にあっては、上述のラバーシート53で振動防止効果、異音発生防止効果を確保することができる。
図14で示した実施例4においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例1と略同様であるから、図14において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
この発明のサスペンションアームは、実施例のロアアーム15に対応し、
以下同様に、
上方の車体は、フロントサイドフレーム7に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、上記ブラケット19の前方に、ロアクラッシュカン17の前方よりもさらに前方へ突出する歩行者の脚払い用のスティフナ49(図11参照)を設けてもよい。また、フロントサイドメンバ18は図示実施例のように全体が下方に湾曲するものに代えて、前部のみがその後部に対して前方かつ上方に曲がった構成のフロントサイドメンバであってもよい。
15…ロアアーム(サスペンションアーム)
16…サスクロス本体
17…ロアクラッシュカン
17a…後端中心
18…フロントサイドメンバ
18a…前端中心
19…ブラケット
21a…クロスメンバ取付け部
M2,M3,M4…マウント部
Claims (5)
- サスペンションアームを支持するサスクロス本体とロアクラッシュカンとの間に、フロントサイドメンバを設けるフロントサブフレーム構造であって、
上記ロアクラッシュカンより上記フロントサイドメンバの後部が下方に配設され、
該フロントサイドメンバの前部は上記後部に対して前上に曲がっており、
上記ロアクラッシュカンと上記フロントサイドメンバとの間には、少なくとも該フロントサイドメンバ前端よりも下方部位の前側に位置するブラケットが設けられ、
該ブラケットで上記フロントサイドメンバと上記ロアクラッシュカンとが連結されたことを特徴とする
フロントサブフレーム構造。 - 上記フロントサイドメンバの前端中心よりも上方にずれて上記ロアクラッシュカンの後端中心が配され、
上記フロントサイドメンバ前端と上記ロアクラッシュカン後端とが上下方向で一部重なる
請求項1記載のフロントサブフレーム構造。 - 上記ブラケットは上記フロントサイドメンバと上記ロアクラッシュカンと、上方の車体とを連結する
請求項1または2記載のフロントサブフレーム構造。 - 上記フロントサイドメンバの前端部は、車幅方向に並ぶ2点で車体に支持され、
上記ブラケットはクロスメンバ取付け部を有する
請求項1〜3の何れか1項に記載のフロントサブフレーム構造。 - 上記サスクロス本体は、上記フロントサイドメンバから伝達される前突荷重を受けて車体から離脱するマウント部を備えた
請求項1〜4の何れか1項に記載のフロントサブフレーム構造。
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