JP2016046464A - サセプタ - Google Patents
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Abstract
【課題】炭化ケイ素で構成され、しかも軽量化されていても、破損防止となる構造にされたサセプタを提供することを課題とする。【解決手段】サセプタは、ウェハが載置されるウェハポケット16を上面側に有する、炭化ケイ素からなる板状の上側部材12と、上側部材12が積層され、上側部材12を支持するとともに下方に突出する軸受部18を回転中心位置に有する、炭化ケイ素からなる下側部材14と、を備える。下側部材14は、軸受部18の下面側を形成する軸受下面18sと、軸受下面18sの外周縁18eから斜め上方になだらかに広がり、軸受部周囲の下側部材本体下面14msに連続する広がり面19sと、を有する。軸受下面18sの仮想延長面Jと広がり面19sとのなす角度θが15〜80?の範囲であり、かつ、広がり面19sは、下側部材本体下面14msに繋がる曲率半径0.1〜10mmの範囲の湾曲面21sを有する。【選択図】図2
Description
本発明は、ウェハを載置するウェハポケットを上面側に有するサセプタに関する。
半導体を製造する際に用いられる半導体熱処理炉の半導体装置用治具(ウェハボート,サセプター,ホルダー)等の各種部材には、高耐熱、高耐久、高強度等の特性が要求されることから、高純度の炭化ケイ素(SiC)を用いた炭化ケイ素部材やカーボン(C)の基材にSiC被膜等をコーティングしたものが広く使用されている。
ところで、近年、ウェハの大口径化等に伴ってサセプタのウェハ載置面のサイズも拡大しており、サセプタには高均熱性が益々求められている。従って、サセプタの昇温速度および熱利用効率の観点では、熱伝導率が高い部材によってサセプタを構成することが好ましく、炭化ケイ素(SiC)によって構成されるサセプタを用いることが好ましい。しかし、炭化ケイ素は比重が大きいため、軽量化されることが望まれる。
この対策として、サセプタの裏面側を凹状にすることで、サセプタの重量を低減させる対策が考えられる。
ここで、サセプタを回転させるスピンドル中心では、スピンドルからの熱引けによる均熱性悪化などの不具合を防止するために一定の肉厚を維持する必要がある。このため、サセプタの裏面側では、スピンドル中心では肉厚を厚くしておくことが必要になる。
しかし、サセプタの裏面側で、スピンドル中心の肉厚部と、サセプタ裏面側を凹状にしたことによる肉薄部とで段差が生じる。そしてこの段差により均熱性が悪化して、加熱時の熱応力集中やサセプタの自重により破損が生じる不具合が考えられる。
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、炭化ケイ素で構成され、しかも軽量化されていても、破損防止となる構造にされたサセプタを提供することを課題とする。
本発明の第1の特徴に係るサセプタは、ウェハが載置されるウェハ載置面を有する、炭化ケイ素からなる板状の上側部材と、前記上側部材が積層され、前記上側部材を支持するとともに下方に突出する軸受部を回転中心位置に有する、炭化ケイ素からなる下側部材と、を備え、前記下側部材は、前記軸受部の下面側を形成する軸受下面と、前記軸受下面の外周縁から斜め上方になだらかに広がり、軸受部周囲の下側部材本体の下面に連続する広がり面と、を有し、前記軸受下面の仮想延長面と前記広がり面とのなす角度が15〜80°の範囲であり、かつ、前記広がり面は、前記下側部材本体の下面に繋がる曲率半径0.1〜10mmの範囲の湾曲面を有することを特徴とする。
本発明によれば、炭化ケイ素で構成されしかも軽量化されていても、破損防止となる構造にされたサセプタを提供することができる。
以下において、本発明の実施形態に係るサセプタについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
図1で、(a)は、本発明の一実施形態(以下、本実施形態という)に係るサセプタを示す平面図、(b)は(a)の矢視1b−1bの側面断面図である。図2は、図1(b)の部分拡大図である。
図1、図2に示すように、本実施形態のサセプタ10は、上側部材12と下側部材14とを有する。上側部材12および下側部材14は、何れも、ウェハ配置面と平行な投影面から見て(すなわち平面視で)円板状となっている。上側部材12および下側部材14は、いずれも炭化ケイ素からなる。
上側部材12は、炭化ケイ素からなる板状の部材であり、ウェハが載置されるウェハ載置面を上面側に有する。上面側には、ウェハを載置するウェハポケット16が形成されている。
下側部材14は、炭化ケイ素からなり、積層された上側部材12を支持する。また、下側部材14は、下方から入れられるスピンドル軸を受け止める軸受部18を回転中心位置に有する。この軸受部18は下方に突出している。そして、下側部材14は、軸受部18の下面側を形成する軸受下面18sと、軸受下面18sの外周縁18eから斜め上方になだらかに広がり、軸受部18周囲の下側部材本体下面14ms(下側部材本体14mの下面)に連続する広がり面19sと、を有する。この広がり面19sは、下側部材本体14mに連続して軸受部18との隅部を埋めている肉厚部19によって形成されている。
そして、軸受下面18sの仮想延長面Jと広がり面19sとのなす角度θが15〜80°の範囲である。しかも、広がり面19sは、下側部材本体下面14msに繋がる、曲率半径Rが0.1〜10mmの範囲の湾曲面21sを有する。なお、本実施形態では、軸受下面18sは平面である。
また、本実施形態では、上側部材12の外周部に上側鍔部20が形成されている。そして、上側部材12は、上側鍔部20よりも内周側の位置から下方に突出する嵌合凸部22を下面側に有する。下側部材14は、嵌合凸部22の下面22bに面接触する嵌合凹部32を上面側に有して上側部材12を支える構成になっている。
そして、嵌合凸部22が嵌合凹部32に入れられることで下側部材14に上側部材12がセットされると、平面視では下側部材14は上側部材12によって全面にわたって覆われ、かつ、上側部材12の外周部(上側鍔部20)が下側部材14に非接触になっている。また、下側部材14には、上側部材12が下側部材14にセットされたときに上側鍔部20に対向するように下側外周部30(下側鍔部)が形成されている。
また、本実施形態では、上側部材12が下側部材14にセットされたときには、ウェハポケット16の水平方向位置が全て上側鍔部20よりも内周側の位置となるように、ウェハポケット16の形成位置が予め決められている。
また、本実施形態では、下側外周部30は、下側部材14を構成する下側部材本体14mから外周側へ張り出している。そして、ウェハポケット16の外周側端16eの水平方向位置は、下側部材本体14mの外周壁14eよりも内周側に位置している。
また、上側部材12は、高純度の炭化ケイ素、例えば6N以上の純度を有する炭化ケイ素によって構成される。ここで、Nは純度を表す。3Nは、純度99.9%を意味しており、6Nは、純度99.9999%を意味している。純度は、主金属材料の純度を意味しており、金属不純物を100から差し引いた値であり、「100%−金属不純物(%)=純度(%)」で表される。
具体的な詳細例としては、上側部材12は、2000〜2400℃の温度条件及び300〜700kg/cm2の圧力条件で炭化ケイ素を含む混合物をホットプレスによって加工することによって得られる。上側部材12の炭化ケイ素の純度が6N以上であることによって、サセプタ10の昇温速度及び熱利用効率の低下が抑制される。
下側部材14は、ウェハ配置面に対して直交する方向において上側部材12に積層されており、上側部材12を支持する。すなわち、下側部材14は、上側部材12に対して加熱源(ヒータ)側に配置される。
また、下側部材14は、例えば99〜99.9%の純度を有する炭化ケイ素によって構成される。具体的な詳細例としては、下側部材14は、イットリア(Y2O3)などの焼結助剤を用いて、2000〜2200℃の温度条件で炭化ケイ素を含む混合物を焼結することによって得られる。このように、下側部材14が炭化ケイ素によって構成される場合には、下側部材14を構成する炭化ケイ素の純度は、上側部材12を構成する炭化ケイ素の純度よりも低く、2N〜3Nの範囲であることが好ましい。下側部材14を構成する炭化ケイ素の純度が3N以下であることによって、ヒータのパターンが直接的にウェハに転写されることが抑制される。一方で、下側部材14を構成する炭化ケイ素の純度が2N以上であることによって、サセプタ10の昇温速度及び熱利用効率の低下が抑制される。
本実施形態では、上側部材12の熱伝導率は、下側部材14の熱伝導率よりも高い。例えば、上側部材12の熱伝導率は200W/m・K(RT)以上であり、下側部材14の熱伝導率は140〜170W/m・K(RT)の範囲である。この場合、上側部材12の熱伝導率が200W/m・K(RT)以上である理由は、上側部材12を構成する炭化ケイ素の純度が6N以上である理由と同様である。下側部材14の熱伝導率は、140〜170W/m・K(RT)の範囲である理由は、下側部材14を構成する炭化ケイ素の純度が2N〜3Nの範囲である理由と同様である。
また、上側部材12の熱抵抗値は、下側部材14の熱抵抗値よりも低い。上側部材12の熱抵抗値は、5.0×10−3m・K(RT)/W以下であり、下側部材14の熱抵抗値は、5.8×10−3〜7.1×10−3m・K(RT)/Wの範囲である。上側部材12の熱抵抗値が5.0×10−3m・K(RT)/W以下であることによって、サセプタ10の昇温速度及び熱利用効率の低下が抑制される。下側部材14の熱抵抗値が5.8×10−3m・K(RT)/W以上であることによって、ヒータのパターンが直接的にウェハに転写されることが抑制される。一方で、下側部材14の熱抵抗値が7.1×10−3m・K(RT)/W以下であることによって、サセプタ10の昇温速度及び熱利用効率の低下が抑制される。
(作用、効果)
以下、本実施形態の作用、効果を説明する。
以下、本実施形態の作用、効果を説明する。
本実施形態では、上側部材12と下側部材14とが、いずれも炭化ケイ素で形成されている。そして、下側部材14では、軸受下面18sの仮想延長面Jと広がり面19sとのなす角度θが15〜80°の範囲、すなわち、軸受下面18sと広がり面19sとのなす角度(鈍角)が100〜165°の範囲である。しかも、広がり面19sは、下側部材本体下面14msに繋がる、曲率半径Rが0.1〜10mmの範囲の湾曲面21sを有する。
従って、広がり面19sを有する肉厚部19が軸受部18の周囲に連続している構造になっているので、この肉厚部19を設けていない場合や、熱引けと関係ない部位を削って下側部材本体14mとの大きな段差を形成する肉厚部を設けた場合に比べ、軸受部18およびその周囲での均熱性の悪化を抑えることができ、また強度が補強されている。よって、炭化ケイ素で構成され、しかも軽量化されていても、破損防止となる構造にされたサセプタ10とすることができる。
角度θが15°よりも小さいと、下側部材本体14mの重量が重くなり過ぎてしまう。角度θが80°よりも大きいと、均熱性の悪化により応力集中による破損が下側部材14に生じ易い。この点から、角度θの好ましい範囲は30°以上、55°以下である。
また、湾曲面21sの曲率半径Rが0.1mmよりも小さいと、研削加工する砥石で形成され得る最小の曲率半径を下回ることになり、加工にかかる時間が大幅に増大する。湾曲面21sの曲率半径Rが10mmよりも大きいと、下側部材本体14mの重量軽減を十分には行い難くなる。
また、本実施形態では、嵌合凸部22が嵌合凹部32に入れられることで下側部材14に上側部材12がセットされると、平面視では下側部材14は上側部材12によって全面にわたって覆われる。従って、下側部材14の熱が下側外周部30から上方へ逃げて部分的に温度が下がることが防止される。
また、ウェハ配置面を有する板状の上側部材12の熱伝導率が下側部材14の熱伝導率よりも高い。従って、サセプタ10の昇温速度及び熱利用効率の低下が抑制される。一方で、上側部材12よりもヒータ側に配置される下側部材14の熱伝導率が上側部材12の熱伝導率よりも低い。従って、ヒータのパターンが直接的にウェハに転写されることが抑制され、ウェハ配置面における均熱性を向上させることができる。
また、上側部材12よりもヒータ側に下側部材14を配置することによって、サセプタ10を支持する支持体を介して、サセプタ10の熱が逃げにくくなる。
なお、軸受部18の開口壁下端部18pから外周縁18eまでの長さLが1mm以上であることが好ましい。これにより、軸受部18の均熱性を十分に確保できるとともに軸受部18の強度を十分に高くすることができる。
また、広がり面19sおよび湾曲面21sに代えて、軸受部18の中心線C(図2参照)を面内に含む断面(図3参照)では、軸受下面18sに連続する直線部49sと、直線部49sと下側部材本体下面14msに繋がる、曲率半径Rが0.1〜10mmの範囲の湾曲線51sと、が形成される構成にしてもよい。このような直線部49s、すなわち円錐台斜面50sが軸受下面18sに繋がっていることにより、上記断面で湾曲線が軸受下面18sに繋がっている場合に比べ、応力集中を更に緩和する構造となる。
つまり、湾曲面21sの曲率半径Rが10mmよりも大きいと、直線部49sが少なくなり、曲面と曲面とがつながることで、そのつなぎ目に段差が付き、応力集中による破損につながる可能性がある。この点から、曲率半径Rは1mm以上、8mm以下であることがさらに好ましく、さらに好ましくは2mm以上、6mm以下である。
またつなぎ目の段差が付く可能性を減じる観点から直線部49sの長さは1mm〜3mmであることが好ましい。
また、以上の説明は、軸受部18の周囲に広がり面19sが形成されている場合で説明したが、軸受部18以外で下側部材14の下方に突出する部位によって形成される段差、例えば、図2に示すように、下側部材14の外周部付近で下方に突出するリング状の突出部40によって形成される段差であっても、この段差を埋めるように肉厚部39を形成して広がり面19sと同様の広がり面39sを形成することによって、同様の効果を奏することができる。
また、本実施形態では、下側部材14に上側部材12がセットされたとき、上側鍔部20と下側外周部30との間に形成される隙間が0.1mm以下であることが好ましい。これにより、サセプタ10の使用中に上側部材12が下側部材14から外れて飛び出すことを十分に防止し易い。
また、下側部材14をグラファイトによって構成することも可能である。これにより、更に軽量化される。
[実験例1]
本発明者は、450φの径のサセプタに関し、上記実施形態のサセプタとして実施例1〜7を、比較用のサセプタとして比較例1、2を、それぞれ用いて、耐破壊性、均熱性、および、重量に関して評価した。各サセプタの条件および評価結果を図4に示す。図4で、耐破壊性および均熱性の評価では、「○」は優、「△」は良あるいはやや不良、「×は不良を示し、重量の評価では、「○」は優、「増」はやや増え過ぎあるいは増え過ぎ、「減」は減り過ぎあるいはやや減りすぎ、を意味する。
本発明者は、450φの径のサセプタに関し、上記実施形態のサセプタとして実施例1〜7を、比較用のサセプタとして比較例1、2を、それぞれ用いて、耐破壊性、均熱性、および、重量に関して評価した。各サセプタの条件および評価結果を図4に示す。図4で、耐破壊性および均熱性の評価では、「○」は優、「△」は良あるいはやや不良、「×は不良を示し、重量の評価では、「○」は優、「増」はやや増え過ぎあるいは増え過ぎ、「減」は減り過ぎあるいはやや減りすぎ、を意味する。
本実験例では、角度αが10°(比較例1)では均熱性があまり良くなかったが、15°(実施例2)では、均熱性が良好であった。また、角度αが85°(比較例2)では耐破壊性が悪化していたが、80°(実施例3)では、耐破壊性が優れていた。
[実験例2]
また、本発明者は、117φの径のサセプタに関し、上記実施形態のサセプタとして実施例8〜14を、比較用のサセプタとして比較例3、4を、それぞれ用いて、耐破壊性、均熱性、および、重量に関して評価した。各サセプタの条件および評価結果を図5に示す。本実験例でも、実験例1と同様の評価結果となった。
また、本発明者は、117φの径のサセプタに関し、上記実施形態のサセプタとして実施例8〜14を、比較用のサセプタとして比較例3、4を、それぞれ用いて、耐破壊性、均熱性、および、重量に関して評価した。各サセプタの条件および評価結果を図5に示す。本実験例でも、実験例1と同様の評価結果となった。
10…サセプタ、12…上側部材、14…下側部材、14m…下側部材本体、14ms…下側部材本体下面(下側部材本体の下面)、18…軸受部、18e…外周縁、18s…軸受下面、18p…開口壁下端部、19s…広がり面、21s…湾曲面、49s…直線部、51s…湾曲線、J…仮想延長面、θ…角度
Claims (3)
- ウェハが載置されるウェハ載置面を有する、炭化ケイ素からなる板状の上側部材と、
前記上側部材が積層され、前記上側部材を支持するとともに下方に突出する軸受部を回転中心位置に有する、炭化ケイ素からなる下側部材と、
を備え、
前記下側部材は、前記軸受部の下面側を形成する軸受下面と、前記軸受下面の外周縁から斜め上方になだらかに広がり、軸受部周囲の下側部材本体の下面に連続する広がり面と、
を有し、
前記軸受下面の仮想延長面と前記広がり面とのなす角度が15〜80°の範囲であり、かつ、前記広がり面は、前記下側部材本体の下面に繋がる曲率半径0.1〜10mmの範囲の湾曲面を有することを特徴とするサセプタ。 - 前記軸受部の開口壁下端部から前記外周縁までの長さが1mm以上であることを特徴とする請求項1に記載のサセプタ。
- 前記軸受部の中心線を面内に含む断面では、前記広がり面が、
前記軸受下面に連続する直線部と、
前記直線部および前記下側部材本体の下面に繋がる曲率半径0.1〜10mmの範囲の湾曲線と、
で構成されることを特徴とする請求項1または2に記載のサセプタ。
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