JP2016044092A - 撥水コート膜及び該撥水コート膜を有する物品、並びに分散液 - Google Patents

撥水コート膜及び該撥水コート膜を有する物品、並びに分散液 Download PDF

Info

Publication number
JP2016044092A
JP2016044092A JP2014168503A JP2014168503A JP2016044092A JP 2016044092 A JP2016044092 A JP 2016044092A JP 2014168503 A JP2014168503 A JP 2014168503A JP 2014168503 A JP2014168503 A JP 2014168503A JP 2016044092 A JP2016044092 A JP 2016044092A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating film
particle size
water
repellent coating
volume
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014168503A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6329848B2 (ja
Inventor
木本 訓弘
Kunihiro Kimoto
訓弘 木本
智弘 磯貝
Toshihiro Isogai
智弘 磯貝
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daikin Industries Ltd
Daicel Corp
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
Daicel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daikin Industries Ltd, Daicel Corp filed Critical Daikin Industries Ltd
Priority to JP2014168503A priority Critical patent/JP6329848B2/ja
Publication of JP2016044092A publication Critical patent/JP2016044092A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6329848B2 publication Critical patent/JP6329848B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】その表面において優れた撥水性を発揮する撥水コート膜を提供する。
【解決手段】溶媒中にフッ素化ナノダイヤモンドが分散した分散液を基材表面に塗布し、次いで、乾燥させることにより製造される、フッ素化ナノダイヤモンドを含有するコート膜であり、
前記分散液が、該分散液に含まれるフッ素化ナノダイヤモンドの全量を100体積%として、動的光散乱式粒度分布測定装置により測定されるフッ素化ナノダイヤモンドの体積基準の粒度分布が、下記(A)〜(D)を全て満足する分散液であることを特徴とする撥水コート膜。
(A)粒径50nm以上100nm未満の粒子:5〜15体積%
(B)粒径100nm以上200nm未満の粒子:70〜80体積%
(C)粒径200nm以上800nm未満の粒子:10〜20体積%
(D)粒径50nm以上1000nm未満の粒子:90〜100体積%
【選択図】なし

Description

本発明は、その表面において優れた撥水性を発揮する撥水コート膜及びその製造方法、並びに上記撥水コート膜を有する物品に関する。また、本発明は、上記撥水コート膜の形成に特に有用な分散液に関する。
従来、水や汚染物質の付着を防止するために、各種物品の表面に対して撥水性を付与することが行われている。このような表面に対する撥水性付与の技術としては、主に、各種物品自体を撥水性の高い材料で構成することや、各種物品の表面を撥水性の高い膜(被覆膜)でコーティングすること等が知られているが、様々な形状・材質の物品に対して適用できる点で、後者の技術の有用性が高い。
例えば、特許文献1には、シリコーングラフトポリマー又はシリコーンブロックポリマー部を含むポリマー成分と、活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有するオリゴマー成分とを含む組成物を活性エネルギー線の照射により硬化させることにより得られた硬化物からなる撥水性被膜であって、上記ポリマー成分と上記オリゴマー成分とが反応しており、上記硬化物が特定の構造部分を有することを特徴とする撥水性被膜が開示されており、この撥水性被膜は各種の被覆材として使用できることが記載されている。
特開2003−292829号公報
しかしながら、上述の特許文献1に開示された撥水性被膜の表面の水の接触角はせいぜい100°程度であり、より高い撥水性が求められる用途に使用するためには十分なものとは言えなかった。このため、様々な物品(製品、部材等)に対して適用可能であり、これら物品の表面に対してより優れた撥水性を付与することができる被覆材(撥水コート膜)が求められているのが現状である。
従って、本発明の目的は、その表面において優れた撥水性を発揮する撥水コート膜及び該撥水コート膜を有する物品を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、優れた撥水性を発揮する撥水コート膜を形成するための前駆体(原料)として特に有用な分散液を提供することにある。
本発明者らは、フッ素化ナノダイヤモンドを含有し、特定の方法によって製造された撥水コート膜、及び、フッ素化ナノダイヤモンドを特定量含有し、その表面の表面形状パラメータが特定範囲に制御された撥水コート膜が、その表面において優れた撥水性を発揮し、当該撥水コート膜を各種物品の表面に形成することによって、優れた撥水性や防汚性を有する物品が得られることを見出した。また、本発明者らは、フッ素化ナノダイヤモンドを含有する分散液であって、その粒度分布が特定の状態に制御された分散液が、優れた撥水性を発揮する撥水コート膜を形成するための前駆体として特に有用であることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、溶媒中にフッ素化ナノダイヤモンドが分散した分散液であり、
該分散液に含まれるフッ素化ナノダイヤモンドの全量を100体積%として、動的光散乱式粒度分布測定装置により測定されるフッ素化ナノダイヤモンドの体積基準の粒度分布が、下記(A)〜(D)を全て満足することを特徴とする分散液を提供する。
(A)粒径50nm以上100nm未満の粒子:5〜15体積%
(B)粒径100nm以上200nm未満の粒子:70〜80体積%
(C)粒径200nm以上800nm未満の粒子:10〜20体積%
(D)粒径50nm以上1000nm未満の粒子:90〜100体積%
また、本発明は、溶媒中にフッ素化ナノダイヤモンドが分散した分散液を基材表面に塗布し、次いで、乾燥させることにより製造される、フッ素化ナノダイヤモンドを含有するコート膜であり、
前記分散液が、該分散液に含まれるフッ素化ナノダイヤモンドの全量を100体積%として、動的光散乱式粒度分布測定装置により測定されるフッ素化ナノダイヤモンドの体積基準の粒度分布が、下記(A)〜(D)を全て満足する分散液であることを特徴とする撥水コート膜を提供する。
(A)粒径50nm以上100nm未満の粒子:5〜15体積%
(B)粒径100nm以上200nm未満の粒子:70〜80体積%
(C)粒径200nm以上800nm未満の粒子:10〜20体積%
(D)粒径50nm以上1000nm未満の粒子:90〜100体積%
さらに、前記フッ素化ナノダイヤモンドの含有量が、コート膜(100重量%)に対して60重量%以上である前記の撥水コート膜を提供する。
さらに、表面の平均粗さRaが0.1〜15nm、二乗平均平方根粗さRqが1.0〜20nm、粗さ曲線の最大断面高さRtが5〜200nm、粗さ曲線要素の平均長さRsmが0.1〜20μm、かつ傾斜角θaが0.01〜5°である前記の撥水コート膜を提供する。
また、本発明は、フッ素化ナノダイヤモンドを含有するコート膜であり、
前記フッ素化ナノダイヤモンドの含有量が、コート膜(100重量%)に対して60重量%以上であり、
表面の平均粗さRaが0.1〜15nm、二乗平均平方根粗さRqが1.0〜20nm、粗さ曲線の最大断面高さRtが5〜200nm、粗さ曲線要素の平均長さRsmが0.1〜20μm、かつ傾斜角θaが0.01〜5°であることを特徴とする撥水コート膜を提供する。
さらに、厚みが0.5〜2000nmである前記の撥水コート膜を提供する。
さらに、前記フッ素化ナノダイヤモンドが、元素分析(酸素フラスコ法)により求めたフッ素含有量が0.1〜20.0質量%のフッ素化ナノダイヤモンドである前記の撥水コート膜を提供する。
さらに、前記フッ素化ナノダイヤモンドが、爆轟法で得られたナノダイヤモンドをフッ素化したフッ素化ナノダイヤモンドである前記の撥水コート膜を提供する。
さらに、表面に対する水の接触角が80°以上である前記の撥水コート膜を提供する。
また、本発明は、前記の撥水コート膜を有する物品を提供する。
また、本発明は、フッ素化ナノダイヤモンドを含有するコート膜の製造方法であって、
溶媒中にフッ素化ナノダイヤモンドが分散した分散液を基材表面に対して塗布し、次いで、乾燥させる工程を含み、
前記分散液が、該分散液に含まれるフッ素化ナノダイヤモンドの全量を100体積%として、動的光散乱式粒度分布測定装置により測定されるフッ素化ナノダイヤモンドの体積基準の粒度分布が、下記(A)〜(D)を全て満足する分散液であることを特徴とする撥水コート膜の製造方法を提供する。
(A)粒径50nm以上100nm未満の粒子:5〜15体積%
(B)粒径100nm以上200nm未満の粒子:70〜80体積%
(C)粒径200nm以上800nm未満の粒子:10〜20体積%
(D)粒径50nm以上1000nm未満の粒子:90〜100体積%
本発明の撥水コート膜は上記構成を有するため、その表面において高い撥水性を発揮し、例えば、フィルム物品やガラス物品等の各種物品の表面に適用することによって、優れた撥水性や防汚性を付与することが可能である。本発明の撥水コート膜を有する物品は、その表面(撥水コート膜表面)において優れた撥水性や防汚性を発揮する。また、本発明の分散液は上記構成を有するため、優れた撥水性を発揮する撥水コート膜を形成するための前駆体(原料)として特に有用である。
実施例1で得られたフッ素化ナノダイヤモンドのメチルエチルケトン分散液におけるフッ素化ナノダイヤモンドの粒度分布曲線である。 実施例1で得られた撥水コート膜の表面についての、非接触表面・層断面形状計測システムによる計測結果(層断面形状を示す図)である。 比較例1で得られたフッ素化ナノダイヤモンドのN−メチルピロリドン分散液におけるフッ素化ナノダイヤモンドの粒度分布曲線である。 粗さ曲線、高さh(h1、h2、h3、・・・、hn)、及び基準線長さLの関係の一例を示す模式図である。
<撥水コート膜>
本発明の撥水コート膜は、ある物品の表面に対して撥水性を付与することを目的として設けられる(即ち、撥水付与用途に使用される)、上記物品の表面の一部又は全部を被覆する膜状の物体(膜)である。本発明の撥水コート膜は、フッ素化ナノダイヤモンドを必須成分として含有するコート膜であることを特徴とする。本発明の撥水コート膜は、さらに、フッ素化ナノダイヤモンド以外の成分を含んでいてもよい。なお、本発明の撥水コート膜には、膜の他、物品の表面の一部又は全部を被覆するものである限り、シートやフィルム等の概念も包含されるものとする。
本発明の撥水コート膜は、下記の2つの態様(「本発明の撥水コート膜[1]」及び「本発明の撥水コート膜[2]」)として表される。なお、本明細書においては、本発明の撥水コート膜[1]と本発明の撥水コート膜[2]とを、「本発明の撥水コート膜」と総称する場合がある。本発明の撥水コート膜は、下記の各態様の構成を有することにより、その表面において優れた撥水性を発揮する。
・本発明の撥水コート膜[1]:溶媒中にフッ素化ナノダイヤモンドが分散した分散液を基材表面に塗布し、次いで、乾燥させることにより製造される、フッ素化ナノダイヤモンドを含有するコート膜であり、前記分散液が、該分散液に含まれるフッ素化ナノダイヤモンドの全量を100体積%として、動的光散乱式粒度分布測定装置により測定されるフッ素化ナノダイヤモンドの体積基準の粒度分布が、下記(A)〜(D)を全て満足する分散液であることを特徴とする撥水コート膜。
(A)粒径50nm以上100nm未満の粒子:5〜15体積%
(B)粒径100nm以上200nm未満の粒子:70〜80体積%
(C)粒径200nm以上800nm未満の粒子:10〜20体積%
(D)粒径50nm以上1000nm未満の粒子:90〜100体積%
・本発明の撥水コート膜[2]:フッ素化ナノダイヤモンドを含有するコート膜であり、前記フッ素化ナノダイヤモンドの含有量が、コート膜(100重量%)に対して60重量%以上であり、表面の平均粗さRaが0.1〜15nm、二乗平均平方根粗さRqが1.0〜20nm、粗さ曲線の最大断面高さRtが5〜200nm、粗さ曲線要素の平均長さRsmが0.1〜20μm、かつ傾斜角θaが0.01〜5°であることを特徴とする撥水コート膜。
[フッ素化ナノダイヤモンド]
本発明の撥水コート膜におけるフッ素化ナノダイヤモンドは、一次粒子の粒子径が2〜20nmのダイヤモンド微粒子(ナノダイヤモンド)をフッ素化したもの(例えば、フッ素原子を含有する基で修飾したもの)である。
(ナノダイヤモンド;フッ素化ナノダイヤモンドの原料)
フッ素化する(例えば、フッ素原子を含有する基を修飾する)ためのナノダイヤモンド(ナノダイヤモンド粒子)としては、公知乃至慣用のナノダイヤモンドを使用することができ、特に限定されないが、上記ナノダイヤモンドは炭素からなる元素鉱物(例えば、グラファイト等)を原料として、例えば、爆轟法、フラックス法、静的高圧法、高温高圧法等により製造することができる。中でも、一次粒子の平均粒子径が極めて小さいナノダイヤモンド粒子を得ることができる点で、爆轟法(特に、酸素欠乏爆轟法)で得られたナノダイヤモンドが好ましい。即ち、上記フッ素化ナノダイヤモンドとしては、爆轟法で得られたナノダイヤモンドをフッ素化したものが好ましい。
上記爆轟法は、爆薬を爆発させることによって動的な衝撃を加え、炭素からなる元素鉱物をダイヤモンド構造の粒子に直接変換する方法である。上記爆薬としては、特に限定されないが、例えば、シクロトリメチレントリニトロアミン(RDX)、シクロテトラメチレンテトラニトラミン(HMX)、トリニトロトルエン(TNT)、トリニトロフェニルメチルニトロアミン、四硝酸ペンタエリトリット、テトラニトロメタン、及びこれらの混合物(例えば、TNT/HMX、TNT/RDX等)等が挙げられる。
一般に、爆轟法で得られた未精製のナノダイヤモンドは、ナノダイヤモンドの表面をグラファイト系炭素が覆ったコア/シェル構造を有しており、黒く着色している。上記フッ素化ナノダイヤモンドの原料としてのナノダイヤモンド(爆轟法で得られたナノダイヤモンド)としては、未精製のナノダイヤモンドを用いてもよいが、より着色の少ない撥水コート膜を得る観点では、未精製のナノダイヤモンドを酸化処理し、グラファイト相の一部又はほぼ全部を除去したものを用いることが好ましい。
上記爆轟法で得られるナノダイヤモンドには、製造装置等に含まれるFe、Co、及びNiから選択される少なくとも1種の金属の酸化物(例えば、Fe23、Fe34、Co23、Co34、NiO、Ni23等から選択される少なくとも1種の金属酸化物)が混入し易い。そのため、上記爆轟法で得られたナノダイヤモンドは、強酸を使用して金属酸化物を溶解・除去する工程に付すことが好ましい。上記強酸としては、例えば、塩酸、硫酸(濃硫酸、発煙硫酸等)、硝酸(濃硝酸等)等、及びこれらの塩(硝酸カリウム等の硝酸塩等)等が挙げられる。上記強酸及びその塩は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、上記強酸とともに、例えば、過塩素酸、クロム酸、過マンガン酸等の酸化剤やその塩を併用してもよい。上記酸化剤やその塩を併用することにより、処理温度を低くすることが可能となる。なお、強酸を使用した金属酸化物の溶解・除去は、例えば、強酸を含有する処理液中で加熱(例えば、100℃以上の温度で2時間以上加熱)することにより行うことができる。
(ナノダイヤモンドのフッ素化)
上記ナノダイヤモンドをフッ素化することにより、上記フッ素化ナノダイヤモンドが得られる。上記ナノダイヤモンドのフッ素化は、公知乃至慣用のフッ素化手段により実施することができ、特に限定されないが、例えば、第26回フッ素化学討論会要旨集、平成14年11月14日発行、第24〜25頁において開示された公知の方法で行うことができる。即ち、ニッケル又はニッケルを含む合金等の、フッ素に耐食性を有する材料からなる反応器中にナノダイヤモンドを封入し、フッ素ガスを導入してフッ素化する方法が採用できる。
上記方法において用いるフッ素化用のガスは、フッ素ガスの純度が高いものが好ましいが、フッ素濃度が1.0質量%以上であるものであればよく、例えば、99質量%以下の窒素やアルゴン、ヘリウム等により希釈されているものであってもよい。フッ素化用のガスのフッ素濃度は、反応途中で随時変化させることができるが、生産性の観点から、10質量%以上がより好ましい。また、フッ素化用のガスは、テトラフルオロエタンやヘキサフルオロエタンのようなフルオロカーボン類、又は、フッ化水素、三フッ化窒素、五フッ化ヨウ素等の無機フッ化物等を含んでいても差し支えない。特に微量のフッ化水素の含有は、その触媒効果により反応速度を加速する効果があることがグラファイトのフッ素化において知られているので、積極的に添加してもよい。
上記方法におけるフッ素化反応は、十分な容積を有する反応器においてバッチ式で行ってもよく、適宜、フッ素ガスを置換しながら行うセミバッチ式としてもよく、さらに、流通式で行ってもよい。また、一度に大量のナノダイヤモンドのフッ素化を行う場合は、反応を均一化するために反応器に適当な撹拌機構を設けることが好ましい。撹拌機構としては、各種撹拌翼による撹拌、反応器を機械的に回転又は振動させる方法、ナノダイヤモンドの粉体層を気体の流通により流動させる方法等が用いられるが、過度の撹拌は粉塵爆発するおそれがあるので注意しなければならない。
上記方法におけるフッ素化反応温度は、特に限定されず、−100℃〜600℃の範囲で生産性、経済性、安全性を考慮して選定すればよく、より好ましくは室温(25℃)〜350℃であり、さらに好ましくは室温〜300℃である。フッ素化反応温度が低すぎるとフッ素化の速度が遅くなり、高すぎるとフッ素化ナノダイヤモンドの分解反応が速くなるので、注意を要する。フッ素化反応時間は、反応方式、反応条件にもよるが、特に限定されず、10秒間から1000時間の範囲内で適宜設定することが好ましい。フッ素化反応時間が短すぎると充分なフッ素化を行うことが難しくなり、十分なフッ素化の効果を得ることができない傾向にあり、また長くなりすぎるとフッ素化ナノダイヤモンドの分解反応を助長するだけでなく、長時間を要するため工業的に生産効率が低くなる傾向がある。
上記方法におけるフッ素化反応圧力は、特に限定されないが、0.002〜1.0MPaが好ましい。反応圧力が低すぎるとフッ素化速度が遅くなり、高すぎると反応装置が大がかりとなって、生産性、経済性が低くなる傾向がある。フッ素化反応圧力は、0.005〜0.2MPaがより好ましい。
上記フッ素化ナノダイヤモンドにおけるフッ素含有量は、特に限定されないが、元素分析(酸素フラスコ法)により求めたフッ素含有量が0.1〜20.0質量%であることが好ましい。フッ素含有量が少ないと、十分なフッ素化の効果(例えば、撥水コート膜の撥水性)を得ることができなくなるという問題があり、多すぎると、ナノダイヤモンドとしての効果(例えば、有機溶媒中での高い分散性)を得ることができなくなるという問題がある。上記フッ素含有量は、1.0質量%以上がより好ましく、5.0質量%以上がさらに好ましく、10.0質量%以下がより好ましい。
なお、上記フッ素化ナノダイヤモンドは、フッ素化以外の処理(例えば、フッ素原子を含有する基以外の基による修飾等)が施されたものであってもよい。
本発明の撥水コート膜[1]におけるフッ素化ナノダイヤモンドの含有量(総量)は、特に限定されないが、撥水コート膜(100重量%)に対して、60重量%以上(例えば、60〜98重量%)が好ましく、より好ましくは75重量%以上(例えば、75〜95重量%)、さらに好ましくは80重量%以上(例えば、80〜90重量%)である。一方、本発明の撥水コート膜[2]におけるフッ素化ナノダイヤモンドの含有量(総量)は、撥水コート膜(100重量%)に対して60重量%以上(例えば、60〜98重量%)であり、好ましくは75重量%以上(例えば、75〜95重量%)、より好ましくは80重量%以上(例えば、80〜90重量%)である。また、フッ素化ナノダイヤモンドと後述のバインダー樹脂の総量(100重量%)に対するフッ素化ナノダイヤモンドの割合は、特に限定されないが、60重量%以上(例えば、60〜98重量%)が好ましく、より好ましくは75重量%以上(例えば、75〜95重量%)、さらに好ましくは80重量%以上(例えば、80〜90重量%)である。フッ素化ナノダイヤモンドの上記含有量又は割合を60重量%以上とすることにより、撥水コート膜に対してより優れた撥水性を発揮させることができ、各種物品の表面に対してより優れた撥水性や防汚性を付与することができる傾向がある。
[バインダー樹脂]
本発明の撥水コート膜は、フッ素化ナノダイヤモンドの他、バインダー樹脂を含有することが好ましい。本発明の撥水コート膜においてバインダー樹脂は、例えば、フッ素化ナノダイヤモンドを撥水コート膜中に保持したり、また、各種物品の表面に対する撥水コート膜の接着性を高める等の役割を果たす。バインダー樹脂としては、公知乃至慣用のコート膜において使用される各種バインダー樹脂(例えば、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、ポリエステル系等)を使用することができ、特に限定されないが、例えば、硬化性アクリル樹脂、硬化性ポリウレタン、硬化性ポリエステル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、マレイミド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ジアリルイソフタレート樹脂、硬化性シリコーン樹脂、ポリイミド、メラミン樹脂、ポリエステル−メラミン樹脂、エポキシ−メラミン樹脂等の熱又は活性エネルギー線硬化性樹脂;熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン等)、ポリビニルアセタール、熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース誘導体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体等の合成ゴム、熱可塑性エラストマー等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。なお、本発明の撥水コート膜においてバインダー樹脂は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の撥水コート膜におけるバインダー樹脂の含有量(総量)は、特に限定されないが、撥水コート膜の全量(100重量%)に対して、5〜35重量%が好ましく、より好ましくは10〜25重量%である。バインダー樹脂の含有量を5重量%以上とすることにより、撥水コート膜においてフッ素化ナノダイヤモンドが強固に保持されるため、長期にわたって優れた撥水性を発揮させることができ、また、撥水コート膜の機械的耐久性や物品に対する接着性がより向上する傾向がある。一方、バインダー樹脂の含有量を35重量%以下とすることにより、相対的にフッ素化ナノダイヤモンドの含有量を増量することができるため、その結果、撥水コート膜の撥水性や防汚性をいっそう高めることができる傾向がある。
本発明の撥水コート膜は、上述のフッ素化ナノダイヤモンド及びバインダー樹脂以外の成分(「その他の成分」と称する場合がある)を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定剤、結晶核剤、難燃剤、難燃助剤、充填剤、増量剤、可塑剤、軟化剤、耐衝撃性改良剤、補強剤、分散剤、帯電防止剤、発泡剤、抗菌剤、着色剤、重合開始剤、硬化触媒、滑剤、レベリング剤、消泡剤、顔料、染料等の公知乃至慣用の添加剤等が挙げられる。これらは1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、上記添加剤(特に、撥水コート膜を形成するために使用される重合開始剤等)は、そのままの状態で含まれていてもよいし、反応した状態で(例えば、開始剤切片等として)含まれていてもよい。また、本発明の撥水コート膜には、溶媒(例えば、撥水コート膜を作製する際に使用した溶媒等)が含まれていてもよいが、環境への影響の観点で、その含有量はできるだけ低減されていることが望ましい。これらのその他の成分の含有量(総量)は、特に限定されないが、例えば、撥水コート膜(100重量%)に対して、0〜10重量%(より好ましくは0〜5重量%)の範囲で適宜選択することができる。
本発明の撥水コート膜は、一層のみの単層構成を有するものであってもよいし、二層以上が積層された積層構成(多層構成)を有するものであってもよい。本発明の撥水コート膜が積層構成を有する場合、各層は同じ組成を有していてもよいし、異なる組成を有していてもよい。
本発明の撥水コート膜の厚み(総厚み)は、特に限定されないが、0.5〜2000nmが好ましく、より好ましくは5〜1500nm、さらに好ましくは10〜1000nmである。厚みを0.5nm以上とすることにより、撥水コート膜の強度が向上し、物品に対して撥水性をより効率的に付与できる傾向がある。一方、厚みを2000nm以下とすることにより、撥水コート膜を形成しやすく、製造コストが低減される傾向がある。
本発明の撥水コート膜[1]の表面は、より優れた撥水性を発揮するために、下記の表面形状パラメータ(Ra、Rq、Rt、Rsm、及びθa)が下記の範囲を満たすことが好ましい。また、本発明の撥水コート膜[2]の表面は、下記の表面形状パラメータ(Ra、Rq、Rt、Rsm、及びθa)が下記の好ましい範囲を満たすものである。具体的には、本発明の撥水コート膜の表面粗さを表す指標である平均粗さRaは、0.1〜15nmが好ましく、より好ましくは0.5〜12nm、さらに好ましくは3〜10nmである。また、二乗平均平方根粗さRqは、1.0〜20nmが好ましく、より好ましくは2〜18nm、さらに好ましくは5〜15nmである。また、粗さ曲線の最大断面高さRtは、5〜200nmが好ましく、より好ましくは20〜150nm、さらに好ましくは50〜100nmである。また、粗さ曲線要素の平均長さRsmは、0.1〜20μmが好ましく、より好ましくは0.5〜10μm、さらに好ましくは1〜8μmである。また、傾斜角θaは、0.01〜5°が好ましく、より好ましくは0.05〜2°、さらに好ましくは0.1〜1°である。本発明の撥水コート膜の上述の表面形状パラメータ(Ra、Rq、Rt、Rsm、及びθa)は、例えば、後述のように、フッ素化ナノダイヤモンドの粒度分布が(A)〜(D)を全て満足するように制御された分散液を撥水コート膜の前駆体として使用することによって、上記範囲に簡便に制御できる。上記分散液を撥水コート膜の前駆体として使用することに加えて、さらに撥水コート膜の厚み(総厚み)を0.5〜2000nmとすることによって、より簡便に表面形状パラメータを上記範囲に制御できる。
本発明の撥水コート膜の上述の表面形状パラメータ(Ra、Rq、Rt、Rsm、及びθa)は、例えば、非接触表面・層断面形状計測システムVertScan2.0((株)菱化システム製)を使用して測定することができる。なお、Ra、Rq、Rt、及びRsmの意義は、JIS B0601:2013に記載されている通りである。θaは、下記数式(1)で定義される値である。
θa=tan-1Δa (1)
上記数式(1)において、Δaは、下記数式(2)に示すように、JIS B0601:1994に規定される粗さ曲線の基準長さLにおいて、隣り合う山の頂点と谷の最下点との差(高さh)の合計(h1+h2+h3+・・・・+hn)を上記基準長さLで割った値である。上記粗さ曲線は、断面曲線から、所定の波長より長い表面うねり成分を位相差補償型高域フィルタで除去した曲線である。また、上記断面曲線とは、対称面に直角な平面で対象面を切断したときに、その切り口に現れる輪郭である。図4に、上記粗さ曲線、高さhおよび基準線Lの一例を示す。
Δa=(h1+h2+h3+・・・・+hn)/L (2)
本発明の撥水コート膜の表面は優れた撥水性を有する。当該表面に対する水の接触角は、特に限定されないが、80°以上が好ましく、より好ましくは100°以上、さらに好ましくは110°以上(例えば、110〜160°)である。なお、水の接触角は、協和界面科学(株)製CA−Zにより測定できる。
<撥水コート膜の製造方法>
本発明の撥水コート膜[1]は、上述のように、溶媒中にフッ素化ナノダイヤモンドが分散した分散液を適宜な基材の表面(基材表面)に対して塗布(塗工)し、次いで、乾燥させる工程を必須の工程として含む方法であって、上記分散液が、該分散液に含まれるフッ素化ナノダイヤモンドの全量を100体積%として、動的光散乱式粒度分布測定装置により測定されるフッ素化ナノダイヤモンドの体積基準の粒度分布が、下記(A)〜(D)を全て満足する分散液であることを特徴とする製造方法(「本発明の撥水コート膜の製造方法」と称する場合がある)によって得られる。
(A)粒径50nm以上100nm未満の粒子:5〜15体積%
(B)粒径100nm以上200nm未満の粒子:70〜80体積%
(C)粒径200nm以上800nm未満の粒子:10〜20体積%
(D)粒径50nm以上1000nm未満の粒子:90〜100体積%
一方、本発明の撥水コート膜[2]は、フッ素化ナノダイヤモンドの含有量及び上記表面形状パラメータ(Ra、Rq、Rt、Rsm、及びθa)が上述の範囲に制御される限り、公知乃至慣用のコート膜の製造方法により製造することができ、その製造方法は特に限定されないが、例えば、溶媒中にフッ素化ナノダイヤモンドが分散した分散液を適宜な基材表面に塗布し、次いで、乾燥させる工程を必須の工程として含む方法により製造できる。中でも、特別な加工等を施すことなく、各表面形状パラメータを上記範囲に容易に制御できる点で、上述の本発明の撥水コート膜の製造方法により製造することが好ましい。また、鋳型を使用する方法や、公知乃至慣用の微細加工を施す方法等によって、各表面形状パラメータを上記範囲に制御する方法によっても製造し得る。
[フッ素化ナノダイヤモンドの分散液]
本発明の撥水コート膜の製造方法において使用される、上述の溶媒中にフッ素化ナノダイヤモンドが分散した分散液は、上述のように、溶媒中にフッ素化ナノダイヤモンドが分散した分散液であって、該分散液に含まれるフッ素化ナノダイヤモンドの全量を100体積%として、動的光散乱式粒度分布測定装置により測定されるフッ素化ナノダイヤモンドの体積基準の粒度分布が、上記(A)〜(D)を全て満足する分散液(フッ素化ナノダイヤモンドの分散液;これを「本発明の分散液」と称する場合がある)である。本発明の撥水コート膜の製造方法において本発明の分散液は、本発明の撥水コート膜の前駆体(原料)と位置付けられる。
本発明の分散液は、本発明の撥水コート膜のような優れた撥水性を発揮する撥水コート膜を形成するための前駆体(原料)として特に有用である。本発明の分散液は、当該製造方法(本発明の撥水コート膜の製造方法)以外の用途に使用することもできる。
本発明の分散液は、通常、分散媒としての溶媒と、該溶媒中に分散したフッ素化ナノダイヤモンドと、バインダー樹脂又はその前駆体と、必要に応じてその他の成分とを含有する。
本発明の分散液におけるフッ素化ナノダイヤモンドは、本発明の撥水コート膜を構成するフッ素化ナノダイヤモンドである。
本発明の分散液における溶媒としては、水や有機溶媒を使用することができ、特に限定されないが、有機溶媒が好ましく、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール;ジメチルスルホキシド;N−メチル−2−ピロリドン等の複素環化合物;メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン等の有機溶媒を使用できる。中でも、本発明の分散液におけるフッ素化ナノダイヤモンドの粒度分布を上記(A)〜(D)を満足するように制御しやすく、また、撥水コート膜の成膜時のプロセス上、ケトン(特に、メチルエチルケトン)が好ましい。なお、本発明の分散液において、溶媒は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の分散液は、フッ素化ナノダイヤモンドの粒度分布の制御のために必要に応じて、さらに分散剤を含んでいてもよい。分散剤としては、例えば、ビックケミー・ジャパン(株)製「DISPER BYK」シリーズの101、102、103、106、108、109、110、111、112、116、130、140、142、145、161、162、163、164、166、167、168、170、171、174、180、182、183、184、185、190、191、194、2000、2001、2010、2015、2020、2050、2070、2096、2150等;BASF製「EFKA」シリーズの4008、4009、4010、4015、4020、4046、4047、4050、4055、4060、4080、4300、4330、4340、4400、4401、4402、4403、4406、4800、5010、5044、5054、5055、5063、5064、5065、5066、5070、5244等;日本ルーブリゾール(株)製「ソルスパース」シリーズの3000、11200、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000SC、24000GR、26000、28000、31845、32000、32500、32550、32600、33000、34750、35100、35200、36000、36600、37500、38500、39000、53095、54000、55000、56000、71000、76500等;楠本化成(株)製「DISPARLON」シリーズの1210、1220、1831、1850、1860、2100、2150、2200、7004、KS−260、KS−273N、KS−860、KS−873N、PW−36、DN−900、DA−234、DA−325、DA−375、DA−550、DA−1200、DA−1401、DA−7301等;味の素ファインテクノ(株)製「アジスパー」シリーズのPB−711、PB−821、PB−822、PB880、PB881、PN−411、PA−111等;エアープロダクツ(株)製「サーフィノール」シリーズの104A、104C、104E、104H、104S、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、420、440、DF110D、DF110L、DF37、DF58、DF75、DF210、CT111、CT121、CT131、CT136、GA、TG、TGE等;共栄社化学(株)製「フローレン」シリーズのD90、G−700、DOPA−33、DOPA−15BHF、DOPA−17HF、NC−500等;日信化学工業(株)製「オルフィン」シリーズのSTG、E1004等;サンノプコ(株)製「SNスパース」シリーズの70、2120、2190等;ADEKA(株)製「アデカコール」シリーズ及び「アデカトール」シリーズ等;三洋化成工業(株)製「サンノニック」シリーズ、「ナロアクティーCL」シリーズ、「エマルミン」シリーズ、「ニューポールPE」シリーズ、「イオネットM」シリーズ、「イオネットD」シリーズ、「イオネットS」シリーズ、「イオネットT」シリーズ、サンセパラー100等;センカ(株)製アンチホーム−4Bコンク、アンチホームKH、NFR−1000、EDP−S6R、ED−03、ロスビゲンD−10、GD−19R、KG−406R等の市販の分散剤を使用することができる。なお、分散剤は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、本発明の分散液における分散剤の含有量は、特に限定されず、例えば、フッ素化ナノダイヤモンド100重量部に対して、0.1〜30重量部(例えば、1〜20重量部)の範囲から適宜選択することができる。
本発明の分散液におけるバインダー樹脂としては、撥水コート膜の項で例示したバインダー樹脂が挙げられる。また、本発明の分散液におけるバインダー樹脂の前駆体としては、例えば、撥水コート膜の項で例示したバインダー樹脂のうち、硬化性樹脂の前駆体(硬化させることにより樹脂へと転化させることができるもの)が挙げられる。このような前駆体としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、ビニルエステル樹脂、アリル樹脂(例えば、ジアリルフタレート樹脂等)、フェノール樹脂、ポリイミドの前駆体(ポリアミック酸等)、シアネート樹脂、マレイミド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、多官能モノマー(多官能アクリルモノマー等)等が挙げられる。特に、上記バインダー樹脂の前駆体としては、例えば、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエン系ポリ(メタ)アクリレート、メラミンポリ(メタ)アクリレート、ポリアセタールポリ(メタ)アクリレート、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロイルオキシジエトキシ)フェニル]プロパン等の多官能モノマー(多官能アクリルモノマー等)の1種又は2種以上と、該多官能モノマーの重合反応を開始乃至促進させるための重合開始剤とを少なくとも含む組成物等を好ましく使用できる。なお、重合開始剤としては、公知乃至慣用の重合開始剤を使用でき、特に限定されないが、熱重合開始剤(特に、熱ラジカル重合開始剤)、光重合開始剤(特に、光ラジカル重合開始剤)等を使用できる。なお、上記「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び「メタクリレート」のいずれか一方又は両方を意味し、「(メタ)アクリロイル」等も同様である。なお、本発明の分散液がバインダー樹脂の前駆体を含む場合は、本発明の分散液を基材表面に塗布し、乾燥させた後又は乾燥させるとともに、硬化処理(加熱、活性エネルギー線照射等)を施すことによって、バインダー樹脂へと転化させて撥水コート膜を得ることができる。
本発明の分散液が含んでいてもよいその他の成分としては、撥水コート膜の項で例示したその他の成分等が挙げられる。
本発明の分散液は、該分散液に含まれるフッ素化ナノダイヤモンドの全量を100体積%として、動的光散乱式粒度分布測定装置により測定されるフッ素化ナノダイヤモンドの体積基準の粒度分布が、上記(A)〜(D)を全て満足する分散液であることが重要である。このようなフッ素化ナノダイヤモンドの分散状態(粒度分布)が特定の状態に制御された分散液を使用することによって、その表面において優れた撥水性を発揮する撥水コート膜が得られる。これは、本発明の分散液においてフッ素化ナノダイヤモンドが上記粒度分布を有することにより、撥水コート膜表面にサブミクロンの凹凸が形成され、このような表面(フラクタル表面;例えば、表面形状パラメータが上記範囲に制御された表面)によって発現されるフラクタル効果と、フッ素化ナノダイヤモンドにおけるフッ素化による撥水効果との相乗効果によるものと推測される。特に、上述のフラクタル効果は、撥水コート膜の厚み(総厚み)を0.5〜2000nmとした場合に顕著に得られる傾向がある。
本発明の分散液は、少なくとも溶媒中にフッ素化ナノダイヤモンドを分散させることによって製造することができるが、重要なことは、フッ素化ナノダイヤモンドの粒度分布が上記(A)〜(D)を全て満足するように製造することである。本発明の分散液は、該分散液を構成する全ての成分(フッ素化ナノダイヤモンド、バインダー樹脂又はその前駆体、その他の成分等)を一括で混合することによって製造することもできるし、各成分を逐次混合することによって製造することもできる。特に、フッ素化ナノダイヤモンドの粒度分布を制御するための操作を行いやすい点で、まず、溶媒とフッ素化ナノダイヤモンドとを混合し、フッ素化ナノダイヤモンドの粒度分布を上記(A)〜(D)の全てを満足するものとするための操作(例えば、後述の分散操作及び除去操作)を行い、その後、得られた分散液にバインダー樹脂又はその前駆体、その他の成分等を配合する方法によって、製造することが好ましい。
なお、本発明の分散液におけるフッ素化ナノダイヤモンドの粒度分布は、以下のように、主に、分散液の調製時におけるフッ素化ナノダイヤモンドの濃度(固形分濃度)を選択すること、分散媒を選択すること、下記分散操作に用いる分散装置を選択すること、分散液の調製時に粗大粒子を除去すること、及び分散操作の時間を調整(制御)すること等により、上記(A)〜(D)を全て満足するものとすることができる。
フッ素化ナノダイヤモンドの粒度分布を上記(A)〜(D)の全てを満足するものとするための操作としては、周知慣用の分散方法を適用でき、特に限定されないが、例えば、分散装置を使用した分散操作と、遠心分離等を使用した粗大粒子の除去操作とを組み合わせる方法等が挙げられる。上記分散装置としては、粒度分布制御の観点で、ホモジナイザー(特に、超音波ホモジナイザー等)を使用することが好ましい。これに対し、分散装置としてビーズミル等の解砕メディアを使用した場合には、微粒子化が進行し過ぎて、粒径200nm以上の成分の含有量が少なくなり過ぎる(例えば、上記(C)が満たされない)場合がある。上記分散操作によって、主に上記(A)〜(C)が満たされ、上記除去操作によって、主に上記(D)が満たされる。
上記分散操作は、通常、溶媒とフッ素化ナノダイヤモンドとを混合し、分散装置(特に、超音波ホモジナイザー)を用いて行うが、その際の溶媒とフッ素化ナノダイヤモンドの総量(100重量%)に対するフッ素化ナノダイヤモンドの濃度(固形分濃度)は、特に限定されないが、0.1〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜4重量%、さらに好ましくは1〜3重量%である。分散操作の際の上記固形分濃度を上記範囲に制御することにより、フッ素化ナノダイヤモンドの粒度分布を効率的に上記(A)〜(D)の全てを満足するように制御できる傾向がある。例えば、上記固形分濃度が小さ過ぎる(例えば、0.1重量%未満である)と、例えば、分散時間を長くすると微粒子化が進行し過ぎて、粒径200nm以上の成分の割合が少なくなり過ぎる場合がある。
上記分散操作において分散装置(特に、超音波ホモジナイザー)を用いて分散させる時間は、特に限定されないが、5〜200分間が好ましく、より好ましくは15〜120分間、さらに好ましくは25〜60分間である。分散装置により分散させる時間を上記範囲に制御することにより、フッ素化ナノダイヤモンドの粒度分布を効率的に上記(A)〜(D)の全てを満足するように制御できる傾向がある。例えば、上記時間を長くし過ぎると(例えば、200分を超える時間とすると)、微粒子化が進行し過ぎて、粒径200nm以上の成分の割合が少なくなり過ぎる場合がある。
なお、上記分散操作においては、上述の市販の分散剤を使用することもできる。
上述の分散装置(特に、超音波ホモジナイザー)を用いた分散操作においては、分散開始後、初期の段階でフッ素化ナノダイヤモンドの凝集体の大部分が解れ、粒径1μm以上の凝集体が少なくなり、粒径100〜800nmの分布が増加して、少しずつ上記(A)〜(C)を満たす状態となる。そして、さらにこのまま長時間分散操作を継続した場合には、さらに微粒子化が進行して、粒径200nm以上の粒子の割合が少なくなる傾向がある。このため、分散操作に付した試料(分散媒、フッ素化ナノダイヤモンド、及びその他の成分)を経時でサンプリングして各時点におけるフッ素化ナノダイヤモンドの粒度分布を確認し、少なくとも上記(A)〜(C)の全てを満たす粒度分布となった段階で分散操作を終了させることが好ましい。なお、上記フッ素化ナノダイヤモンドの粒度分布の経時変化は、上述のように、分散時間の他、主に、分散液の調製時におけるフッ素化ナノダイヤモンドの濃度(固形分濃度)、分散媒の種類、分散装置等によって影響を受ける。
上記(A)〜(C)の全てを満たす粒度分布のフッ化ナノダイヤモンドを含む分散液を製造するためには、特に、分散媒としてケトン(特にメチルエチルケトン)を使用し、なおかつ分散装置として超音波ホモジナイザーを使用することが好ましい。
一方、上記除去操作(粗大粒子の除去操作)は、例えば、遠心分離を行った後、上清を回収する方法等により行うことができる。このような除去操作によって、分散液から粗大粒子(例えば、1μm以上の粗大粒子)を除去することができる。遠心分離の条件は、特に限定されないが、例えば、遠心力100〜1500G、1〜30分の条件から適宜選択できる。
なお、上記分散操作及び除去操作の先後は特に限定されないが、分散操作を行った後に除去操作を行うことが好ましい。また、上記分散操作及び除去操作は、それぞれ1回のみ行うこともできるし、それぞれ2回以上行うこともできる。
上記分散操作及び除去操作の後、バインダー樹脂又はその前駆体やその他の成分を配合する方法は、特に限定されず、公知乃至慣用の混合撹拌装置を使用した方法等を適用できる。通常、この段階では、フッ素化ナノダイヤモンドの粒度分布は実質的に変化しない。
本発明の分散液におけるフッ素化ナノダイヤモンドの濃度は、特に限定されないが、0.05重量%以上、10重量%未満が好ましく、より好ましくは0.5重量%以上、5重量%未満が好ましい。上記濃度が0.05重量%未満であると、撥水コート膜を所望の厚みに調節することが困難となる傾向がある。また、上記濃度が0.05重量%未満又は10重量%以上であると、フッ素化ナノダイヤモンドの分散状態が所望の粒度分布(上記(A)〜(D)を全て満足する粒度分布)に制御された分散液を調製することが難しくなる傾向がある。
本発明の分散液の基材表面への塗布は、特に限定されず、エアレススプレー、エアスプレー、ロールコート、バーコート、グラビアコート、ダイコート等の公知乃至慣用の手段を利用して実施できる。なお、塗布は、物品の製造工程中で行う、いわゆるインラインコート法で実施することもできるし、既に製造された物品に対して塗布を行う(物品の製造とは別工程で塗布を行う)、いわゆるオフラインコート法で実施することもできる。本発明の分散液の塗工膜の厚みは、所望する撥水コート膜の厚みに応じて適宜調整可能であり、特に限定されない。また、乾燥の方法は、塗工膜より溶媒を除去できる方法であればよく、特に限定されないが、例えば、必要に応じて常圧下又は減圧下で加熱する方法等の公知乃至慣用の方法を適用できる。上記工程では、さらに、加熱や活性エネルギー線照射を施すことにより、バインダー樹脂の前駆体の重合反応を進行させてバインダー樹脂へと転化させてもよい。このようなバインダー樹脂の前駆体をバインダー樹脂へと転化させる工程は、塗工膜を乾燥させた後、別の工程として設けられていてもよい。
[基材]
上記基材としては、公知乃至慣用の基材を使用することができ、特に限定されないが、例えば、離型フィルム(剥離フィルム)や各種物品(撥水性の付与を求める物品)等を使用することができる。上記基材として離型フィルムを使用する場合は、例えば、離型フィルム上に形成した本発明の撥水コート膜を、必要に応じて適宜の接着剤層等を介して、各種物品の表面上に積層することによって、各種物品における撥水性の付与が必要な部分に対して本発明の撥水コート膜を形成することができる。また、上記基材として各種物品を使用することで、各種物品の表面における撥水性の付与が必要な部分に対して、本発明の撥水コート膜を直接形成することができる。上記離型フィルムとしては、公知乃至慣用の離型フィルム(例えば、シリコーン処理等の離型処理が施された離型フィルム、フッ素系フィルム、ポリオレフィン系フィルム等)を使用することができる。また、上記基材としての物品としては、特に限定されず、下記の物品の項に例示した物品等が挙げられる。
<物品>
本発明の撥水コート膜を少なくとも有する物品(「本発明の物品」と称する場合がある)は、上記撥水コート膜の表面において優れた撥水性を発現するため、水や汚染物質に対する耐性が高い。なお、本発明の物品において本発明の撥水コート膜は、一部の表面を形成するものであってもよいし、全部の表面(全面)を形成するものであってもよい。また、本発明の物品における本発明の撥水コート膜表面は、物品の外側の表面であってもよいし、内側(内部)の表面であってもよい。また、本発明の物品における本発明の撥水コート膜の形状、厚み、面積等は特に限定されず、適宜選択可能である。本発明の物品において本発明の撥水コート膜が形成される表面を構成する材質は、特に限定されず、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、セロファン、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、アクリル樹脂等の樹脂(プラスチック);木材;鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、銅、銀等の金属;セラミックス;陶器;天然大理石や人工大理石等の石材;ガラス;布;紙;その他の有機物、無機物、有機−無機ハイブリッド材料;これらの複合材料等が挙げられる。また、上記表面には、公知乃至慣用の表面処理(例えば、シランカップリング剤等による化学的表面処理;コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、サンドブラスト等による物理的表面処理等)が施されていてもよい。
本発明の物品は有体物であればよく、フィルム、シート、ボード、チューブ、ディスク、布、成型品、加工品、組立品、建造物等のいずれであってもよい。本発明の物品としては具体的には、各種製品や該製品を構成する部材等が挙げられ、特に限定されないが、上記製品としては、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどの表示装置;タッチパネルなどの入力装置:太陽電池;各種家電製品;各種電気・電子製品;携帯電子端末(例えば、ゲーム機器、パソコン、タブレット、スマートフォン、携帯電話等);各種光学機器;衣類等のファブリック製品;車両、船舶、航空機等の乗物;化粧板、建具、キッチン扉、ドア、屋根裏材、床材、壁材、垂木、柱、板、合板、MDF等の各種建材等が挙げられる。なお、本発明の物品は、上述のように、例えば、上述の各種物品を基材として使用し、その表面の一部又は全部を本発明の撥水コート膜によって被覆することによって製造できる。また、本発明の物品は、離型フィルム上に形成した本発明の撥水コート膜を上述の各種物品の一部又は全部の表面に対して、必要に応じて適宜の接着剤層等を介して、積層することによっても製造できる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
[ナノダイヤモンドのフッ素化(フッ素化ナノダイヤモンドの製造)]
ナノダイヤモンドとして、爆轟法により合成された一次粒子径4〜6nm、比表面積250〜350m2/g、純度90重量%以上のものを用いた。
上記ナノダイヤモンド10.0gをニッケル製の皿に載せ、ニッケル製反応器(内容積約2000cm3)に封入した。そして、反応器内部に高純度窒素ガス(純度99.999%)を流速300ml/minにて流通させて、反応器内の空気を十分に置換した。その後、高純度窒素ガスを流通したまま反応器を250℃まで加熱し、反応器内温が安定したところで、高純度フッ素ガス(純度99.5%)と高純度窒素ガスとの混合ガス(フッ素濃度:15容積%以下)を流速300ml/min以下で流通した。フッ素ガス吸蔵に伴う発熱が収束し安定となってから、反応温度の急激な上昇に留意しながらフッ素ガスの濃度を100%まで徐々に上げた。その後、フッ素ガスの流通を中止して反応器の圧力変化を監視し、1時間で0.5kPa以下の圧力変化となったことを確認し、フッ素化の終点とした。反応終了後35℃以下まで放冷してから、高純度窒素ガスを流速300ml/minで30分以上流通させて反応器内部に残存するフッ素ガスを十分に置換したのち反応器を開放し、ニッケル製の皿に付着した分、飛散により反応器内外に散逸した分を除いて質量9.72gの灰白色を呈するフッ素化ナノダイヤモンドを回収し、ガラス製容器内に保存した。
得られたフッ素化ナノダイヤモンドのフッ素含有量は、9.1質量%であった。元素分析の結果、水素、炭素、窒素の含有量は、それぞれ、H:0.32質量%、C:86.49質量%、N:2.56質量%であった。また、XPS測定によると、F/Cは0.20、O/Cは0.1以下であった。
[フッ素化ナノダイヤモンドのメチルエチルケトン分散液の調製]
上記で得られたフッ素化ナノダイヤモンド0.6gを秤量し、これをメチルエチルケトン30mlに懸濁させた。懸濁に際しては、ホモジナイザーを用いて粗大粒子がなくなるまで強力に撹拌混合を行った。粗大粒子がなくなったことを目視で確認した後、超音波ホモジナイザー(SMT(株)製、UH−300)により、フッ素化ナノダイヤモンドをメチルエチルケトンに分散させた。動的光散乱式粒度分布測定装置により粒度分布を測定し、メインピークが80〜600nmの幅広い粒度分布を示した時点で分散を停止した。その後、遠心分離機により、800Gで10分間処理し、上清を回収することによって粒径1μm以上の粒子を除去し、分散液(フッ素化ナノダイヤモンドのメチルエチルケトン分散液)を調製した。得られた分散液におけるフッ素化ナノダイヤモンドの粒度分布を動的光散乱式粒度分布測定装置により測定した結果を図1に示す。
なお、図1から算出される上記分散液におけるフッ素化ナノダイヤモンドの体積基準の粒度分布(上記(A)〜(D))は、以下の通りである。
(A)粒径50nm以上100nm未満の粒子:9.0体積%
(B)粒径100nm以上200nm未満の粒子:76.4体積%
(C)粒径200nm以上800nm未満の粒子:14.4体積%
(D)粒径50nm以上1000nm未満の粒子:99.8体積%
[フッ素化ナノダイヤモンドを含有する撥水コート膜(撥水膜)の製造]
上記で得られたフッ素化ナノダイヤモンドの分散液に、UV硬化樹脂である商品名「PETIA」(ペンタエリスリトールトリアクリレート、ダイセル・オルネクス(株)製)、及び開始剤である商品名「IRGACURE184」(豊通ケミプラス(株)製)を加えて混合し、フッ素化ナノダイヤモンドとPETIAの重量比が、85:15(重量%)になるようにした。IRGACURE184は、PETIAに対して3重量%を加えた。超音波洗浄機にて20分間、超音波を照射した後、1時間撹拌して塗工液を作製した。なお、上記塗工液におけるフッ素化ナノダイヤモンドの粒度分布は、上記フッ素化ナノダイヤモンドの分散液における同粒度分布からは実質的に変化していなかった。この塗工液を、PETフィルム(A4300、#125)上にメイヤーバーを用いて塗布し、すぐに60℃の乾燥機に入れて、溶媒を除去した。次に、溶媒を除去した後の塗工フィルムを、窒素置換が可能な容器に入れて窒素置換した後、UVを照射してUV硬化樹脂(PETIA)を硬化させることによって、厚み1000nmの撥水コート膜(PETフィルムの一方の表面に撥水コート膜を有する物品)を作製した。
実施例2
得られる撥水コート膜の厚みが138nmとなるようにメイヤーバーを選択したこと以外は実施例1と同様にして、厚み138nmの撥水コート膜(PETフィルムの一方の表面に撥水コート膜を有する物品)を作製した。
実施例3
得られる撥水コート膜の厚みが2000nmとなるようにメイヤーバーを選択したこと以外は実施例1と同様にして、厚み2000nmの撥水コート膜(PETフィルムの一方の表面に撥水コート膜を有する物品)を作製した。
比較例1
実施例1で得られたフッ素化ナノダイヤモンド0.15gを秤量し、これをN−メチルピロリドン30mlに懸濁させた。懸濁に際しては、ホモジナイザーを用いて粗大粒子がなくなるまで強力に撹拌混合を行った。粗大粒子がなくなったことを目視で確認した後、超音波ホモジナイザー(SMT(株)製、UH−300)により、フッ素化ナノダイヤモンドをN−メチルピロリドンに分散させた。動的光散乱式粒度分布測定装置により粒度分布を測定し、メインピークが10〜100nmの狭い粒度分布を示した時点で分散を停止した。その後、遠心分離機により、800Gで10分間処理し、上清を回収することによって粒径1μm以上の粒子を除去し、分散液(フッ素化ナノダイヤモンドのN−メチルピロリドン分散液)を調製した。得られた分散液におけるフッ素化ナノダイヤモンドの粒度分布を動的光散乱式粒度分布測定装置により測定した結果を図3に示す。さらに、乾燥温度を100℃にした以外は、実施例1と同様にして、厚み1000nmのコート膜を作製した。
なお、図3から算出される上記分散液におけるフッ素化ナノダイヤモンドの体積基準の粒度分布(上記(A)〜(D))は、以下の通りである。なお、粒径50nm未満の粒子の体積%は(E)の通りである。
(A)粒径50nm以上100nm未満の粒子:12.4体積%
(B)粒径100nm以上200nm未満の粒子:0.3体積%
(C)粒径200nm以上800nm未満の粒子:0.0体積%
(D)粒径50nm以上1000nm未満の粒子:12.7体積%
(E)粒径10nm以上50nm未満の粒子:87.3体積%
実施例及び比較例で得られた撥水コート膜表面に対する水の接触角を、協和界面科学(株)製CA−Zを用いて測定した。その結果、実施例1で得られた撥水コート膜表面に対する水の接触角は113°、実施例2で得られた撥水コート膜表面に対する水の接触角は105°、実施例3で得られた撥水コート膜表面に対する水の接触角は105°であった。これに対して、比較例1で得られたコート膜表面に対する水の接触角は88°であった。このように本発明の撥水コート膜は、その表面において非常に優れた撥水性を発揮することが確認された。
また、実施例1で得られた撥水コート膜及び比較例1で得られたコート膜について、各コート膜表面の表面形状パラメータ(Ra、Rq、Rt、Rsm、及びθa)を、非接触表面・層断面形状計測システムVertScan2.0((株)菱化システム製)を使用して測定した。結果を表1に示す。また、実施例1で得られた撥水コート膜表面の計測結果を図2に示す。
Figure 2016044092

Claims (11)

  1. 溶媒中にフッ素化ナノダイヤモンドが分散した分散液であり、
    該分散液に含まれるフッ素化ナノダイヤモンドの全量を100体積%として、動的光散乱式粒度分布測定装置により測定されるフッ素化ナノダイヤモンドの体積基準の粒度分布が、下記(A)〜(D)を全て満足することを特徴とする分散液。
    (A)粒径50nm以上100nm未満の粒子:5〜15体積%
    (B)粒径100nm以上200nm未満の粒子:70〜80体積%
    (C)粒径200nm以上800nm未満の粒子:10〜20体積%
    (D)粒径50nm以上1000nm未満の粒子:90〜100体積%
  2. 溶媒中にフッ素化ナノダイヤモンドが分散した分散液を基材表面に塗布し、次いで、乾燥させることにより製造される、フッ素化ナノダイヤモンドを含有するコート膜であり、
    前記分散液が、該分散液に含まれるフッ素化ナノダイヤモンドの全量を100体積%として、動的光散乱式粒度分布測定装置により測定されるフッ素化ナノダイヤモンドの体積基準の粒度分布が、下記(A)〜(D)を全て満足する分散液であることを特徴とする撥水コート膜。
    (A)粒径50nm以上100nm未満の粒子:5〜15体積%
    (B)粒径100nm以上200nm未満の粒子:70〜80体積%
    (C)粒径200nm以上800nm未満の粒子:10〜20体積%
    (D)粒径50nm以上1000nm未満の粒子:90〜100体積%
  3. 前記フッ素化ナノダイヤモンドの含有量が、コート膜(100重量%)に対して60重量%以上である請求項2に記載の撥水コート膜。
  4. 表面の平均粗さRaが0.1〜15nm、二乗平均平方根粗さRqが1.0〜20nm、粗さ曲線の最大断面高さRtが5〜200nm、粗さ曲線要素の平均長さRsmが0.1〜20μm、かつ傾斜角θaが0.01〜5°である請求項2又は3に記載の撥水コート膜。
  5. フッ素化ナノダイヤモンドを含有するコート膜であり、
    前記フッ素化ナノダイヤモンドの含有量が、コート膜(100重量%)に対して60重量%以上であり、
    表面の平均粗さRaが0.1〜15nm、二乗平均平方根粗さRqが1.0〜20nm、粗さ曲線の最大断面高さRtが5〜200nm、粗さ曲線要素の平均長さRsmが0.1〜20μm、かつ傾斜角θaが0.01〜5°であることを特徴とする撥水コート膜。
  6. 厚みが0.5〜2000nmである請求項2〜5のいずれか1項に記載の撥水コート膜。
  7. 前記フッ素化ナノダイヤモンドが、元素分析(酸素フラスコ法)により求めたフッ素含有量が0.1〜20.0質量%のフッ素化ナノダイヤモンドである請求項2〜6のいずれか1項に記載の撥水コート膜。
  8. 前記フッ素化ナノダイヤモンドが、爆轟法で得られたナノダイヤモンドをフッ素化したフッ素化ナノダイヤモンドである請求項2〜7のいずれか1項に記載の撥水コート膜。
  9. 表面に対する水の接触角が80°以上である請求項2〜8のいずれか1項に記載の撥水コート膜。
  10. 請求項2〜9のいずれか1項に記載の撥水コート膜を有する物品。
  11. フッ素化ナノダイヤモンドを含有するコート膜の製造方法であって、
    溶媒中にフッ素化ナノダイヤモンドが分散した分散液を基材表面に対して塗布し、次いで、乾燥させる工程を含み、
    前記分散液が、該分散液に含まれるフッ素化ナノダイヤモンドの全量を100体積%として、動的光散乱式粒度分布測定装置により測定されるフッ素化ナノダイヤモンドの体積基準の粒度分布が、下記(A)〜(D)を全て満足する分散液であることを特徴とする撥水コート膜の製造方法。
    (A)粒径50nm以上100nm未満の粒子:5〜15体積%
    (B)粒径100nm以上200nm未満の粒子:70〜80体積%
    (C)粒径200nm以上800nm未満の粒子:10〜20体積%
    (D)粒径50nm以上1000nm未満の粒子:90〜100体積%
JP2014168503A 2014-08-21 2014-08-21 撥水コート膜及び該撥水コート膜を有する物品、並びに分散液 Active JP6329848B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014168503A JP6329848B2 (ja) 2014-08-21 2014-08-21 撥水コート膜及び該撥水コート膜を有する物品、並びに分散液

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014168503A JP6329848B2 (ja) 2014-08-21 2014-08-21 撥水コート膜及び該撥水コート膜を有する物品、並びに分散液

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016044092A true JP2016044092A (ja) 2016-04-04
JP6329848B2 JP6329848B2 (ja) 2018-05-23

Family

ID=55634985

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014168503A Active JP6329848B2 (ja) 2014-08-21 2014-08-21 撥水コート膜及び該撥水コート膜を有する物品、並びに分散液

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6329848B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017213539A (ja) * 2016-06-02 2017-12-07 株式会社ダイセル 硬化樹脂膜製造方法および硬化樹脂膜
JP2018058735A (ja) * 2016-10-07 2018-04-12 株式会社Kri フルオロアルキル基で修飾されたダイアモンド微粒子及びその製造方法
JP2019035912A (ja) * 2017-08-21 2019-03-07 国立大学法人電気通信大学 感光性組成物、ホログラフィック回折格子記録層、ホログラフィック回折格子記録媒体、およびホログラフィックパターン形成方法
WO2020095581A1 (ja) * 2018-11-05 2020-05-14 株式会社ダイセル ナノダイヤモンド分散組成物
JP2020089864A (ja) * 2018-12-07 2020-06-11 株式会社ダイセル ナノダイヤモンドの製造方法及びナノダイヤモンド
WO2020241404A1 (ja) * 2019-05-30 2020-12-03 株式会社ダイセル ナノダイヤモンド分散組成物

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005162795A (ja) * 2003-11-28 2005-06-23 Nof Corp 撥水撥油性被膜及びその製造方法
US20050158549A1 (en) * 2003-11-26 2005-07-21 William Marsh Rice University Functionalization of nanodiamond powder through fluorination and subsequent derivatization reactions
JP2008075064A (ja) * 2006-08-21 2008-04-03 Kobe Steel Ltd 撥水性塗料および撥水金属板
WO2008072707A1 (ja) * 2006-12-15 2008-06-19 Asahi Glass Company, Limited 撥水性表面を有する物品
JP2008147617A (ja) * 2006-11-13 2008-06-26 Central Glass Co Ltd 化学機械的研磨スラリー
JP2010262291A (ja) * 2009-05-06 2010-11-18 Xerox Corp フッ素化ナノダイヤモンドを含むヴィトン定着器部材
JP2011084444A (ja) * 2009-10-17 2011-04-28 Univ Of Fukui フッ素化炭素微粒子分散液
JP2011113068A (ja) * 2009-11-30 2011-06-09 Vision Development Co Ltd ダイヤモンド微粒子を含有する透過型スクリーン
JP2013513734A (ja) * 2009-12-09 2013-04-22 テイジン・アラミド・ビー.ブイ. 抗ウィッキング用途のためのコアシェル粒子でコーティングされた糸または布の使用

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20050158549A1 (en) * 2003-11-26 2005-07-21 William Marsh Rice University Functionalization of nanodiamond powder through fluorination and subsequent derivatization reactions
JP2005162795A (ja) * 2003-11-28 2005-06-23 Nof Corp 撥水撥油性被膜及びその製造方法
JP2008075064A (ja) * 2006-08-21 2008-04-03 Kobe Steel Ltd 撥水性塗料および撥水金属板
JP2008147617A (ja) * 2006-11-13 2008-06-26 Central Glass Co Ltd 化学機械的研磨スラリー
WO2008072707A1 (ja) * 2006-12-15 2008-06-19 Asahi Glass Company, Limited 撥水性表面を有する物品
JP2010262291A (ja) * 2009-05-06 2010-11-18 Xerox Corp フッ素化ナノダイヤモンドを含むヴィトン定着器部材
JP2011084444A (ja) * 2009-10-17 2011-04-28 Univ Of Fukui フッ素化炭素微粒子分散液
JP2011113068A (ja) * 2009-11-30 2011-06-09 Vision Development Co Ltd ダイヤモンド微粒子を含有する透過型スクリーン
JP2013513734A (ja) * 2009-12-09 2013-04-22 テイジン・アラミド・ビー.ブイ. 抗ウィッキング用途のためのコアシェル粒子でコーティングされた糸または布の使用

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017213539A (ja) * 2016-06-02 2017-12-07 株式会社ダイセル 硬化樹脂膜製造方法および硬化樹脂膜
JP2018058735A (ja) * 2016-10-07 2018-04-12 株式会社Kri フルオロアルキル基で修飾されたダイアモンド微粒子及びその製造方法
JP2019035912A (ja) * 2017-08-21 2019-03-07 国立大学法人電気通信大学 感光性組成物、ホログラフィック回折格子記録層、ホログラフィック回折格子記録媒体、およびホログラフィックパターン形成方法
JP7011249B2 (ja) 2017-08-21 2022-01-26 国立大学法人電気通信大学 感光性組成物、ホログラフィック回折格子記録層、ホログラフィック回折格子記録媒体、およびホログラフィックパターン形成方法
WO2020095581A1 (ja) * 2018-11-05 2020-05-14 株式会社ダイセル ナノダイヤモンド分散組成物
JP2020089864A (ja) * 2018-12-07 2020-06-11 株式会社ダイセル ナノダイヤモンドの製造方法及びナノダイヤモンド
WO2020241404A1 (ja) * 2019-05-30 2020-12-03 株式会社ダイセル ナノダイヤモンド分散組成物
CN113891914A (zh) * 2019-05-30 2022-01-04 株式会社大赛璐 纳米金刚石分散组合物

Also Published As

Publication number Publication date
JP6329848B2 (ja) 2018-05-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6329848B2 (ja) 撥水コート膜及び該撥水コート膜を有する物品、並びに分散液
WO2014185518A1 (ja) 赤外線遮蔽シート及びその製造方法並びにその用途
EP2910985B1 (en) Heat-ray-shielding sheet
WO2016031969A1 (ja) 六ホウ化物微粒子の集合体、六ホウ化物微粒子分散液、六ホウ化物微粒子分散体、六ホウ化物微粒子分散体合わせ透明基材、赤外線吸収フィルムおよび赤外線吸収ガラス
US20070259768A1 (en) Nanocomposite ceramic and method for producing the same
SG186696A1 (en) Method for producing multilayer graphene coated substrate
CN109313297A (zh) 红外线屏蔽片、红外线屏蔽夹层玻璃用中间膜以及红外线屏蔽夹层玻璃及其制造方法
JP6828514B2 (ja) 熱線遮蔽微粒子、熱線遮蔽微粒子分散液、熱線遮蔽膜用塗布液、およびこれらを用いた熱線遮蔽膜、熱線遮蔽樹脂フィルム、熱線遮蔽微粒子分散体
KR102466871B1 (ko) 근적외선 차폐 초미립자 분산체, 근적외선 차폐 중간막, 근적외선 차폐 접합 구조체, 및 근적외선 차폐 초미립자 분산체의 제조 방법
JP6173768B2 (ja) 赤外線遮蔽シート及びその製造方法
US8038786B2 (en) Composition for cutting off heat-ray, film formed therefrom, and method for forming the composition and the film
CN106573779B (zh) 导热片材及其制造方法
TWI778130B (zh) 黏著劑層、近紅外線吸收薄膜、夾層構造體、積層體、黏著劑組成物及其製造方法
JP2009286939A (ja) ナノ物質含有組成物、ナノ物質含有多孔質体、その製造方法、積層体およびその製造方法
KR102184435B1 (ko) 그래핀계 탄소 입자를 포함하는 흑색 안료
Yin et al. Simultaneously altering the energy release and promoting the adhesive force of an electrophoretic energetic film with a fluoropolymer
Lee et al. Effect of Mg (OH) 2/silica composite aerogel filler on the glass transition temperature and flame retardancy of detachable polymer coatings
KR102600382B1 (ko) 광열 변환층과 그의 제조 방법, 및 당해 광열 변환층을 사용한 도너 시트
Nguyen et al. Porous nonhierarchical CeO2-SiO2 nanocomposites for improving the ultraviolet resistance capacity of polyurethane coatings
WO2022019252A1 (ja) 粉体組成物及び複合粒子
Lin et al. Synthesis and pyrolysis mechanism of a novel asphalt-Zr (acac) 4 precursor for C-ZrC binary matrix
TW201936763A (zh) 近紅外線吸收材料微粒子分散體、近紅外線吸收體、近紅外線吸收物積層體及近紅外線吸收用夾層構造體
JP7354708B2 (ja) 複合タングステン酸化物微粒子の製造方法、複合タングステン酸化物微粒子分散液の製造方法、および複合タングステン酸化物微粒子分散体の製造方法
JP6531630B2 (ja) 熱線遮蔽微粒子分散体および熱線遮蔽合わせ透明基材
JP2022118579A (ja) 電磁波吸収粒子、電磁波吸収粒子分散液、電磁波吸収粒子分散体、電磁波吸収積層体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170321

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171219

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180216

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180327

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180423

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6329848

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350