JP2016044092A - 撥水コート膜及び該撥水コート膜を有する物品、並びに分散液 - Google Patents
撥水コート膜及び該撥水コート膜を有する物品、並びに分散液 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2016044092A JP2016044092A JP2014168503A JP2014168503A JP2016044092A JP 2016044092 A JP2016044092 A JP 2016044092A JP 2014168503 A JP2014168503 A JP 2014168503A JP 2014168503 A JP2014168503 A JP 2014168503A JP 2016044092 A JP2016044092 A JP 2016044092A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- coating film
- particle size
- water
- repellent coating
- volume
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Abstract
【解決手段】溶媒中にフッ素化ナノダイヤモンドが分散した分散液を基材表面に塗布し、次いで、乾燥させることにより製造される、フッ素化ナノダイヤモンドを含有するコート膜であり、
前記分散液が、該分散液に含まれるフッ素化ナノダイヤモンドの全量を100体積%として、動的光散乱式粒度分布測定装置により測定されるフッ素化ナノダイヤモンドの体積基準の粒度分布が、下記(A)〜(D)を全て満足する分散液であることを特徴とする撥水コート膜。
(A)粒径50nm以上100nm未満の粒子:5〜15体積%
(B)粒径100nm以上200nm未満の粒子:70〜80体積%
(C)粒径200nm以上800nm未満の粒子:10〜20体積%
(D)粒径50nm以上1000nm未満の粒子:90〜100体積%
【選択図】なし
Description
また、本発明の他の目的は、優れた撥水性を発揮する撥水コート膜を形成するための前駆体(原料)として特に有用な分散液を提供することにある。
該分散液に含まれるフッ素化ナノダイヤモンドの全量を100体積%として、動的光散乱式粒度分布測定装置により測定されるフッ素化ナノダイヤモンドの体積基準の粒度分布が、下記(A)〜(D)を全て満足することを特徴とする分散液を提供する。
(A)粒径50nm以上100nm未満の粒子:5〜15体積%
(B)粒径100nm以上200nm未満の粒子:70〜80体積%
(C)粒径200nm以上800nm未満の粒子:10〜20体積%
(D)粒径50nm以上1000nm未満の粒子:90〜100体積%
前記分散液が、該分散液に含まれるフッ素化ナノダイヤモンドの全量を100体積%として、動的光散乱式粒度分布測定装置により測定されるフッ素化ナノダイヤモンドの体積基準の粒度分布が、下記(A)〜(D)を全て満足する分散液であることを特徴とする撥水コート膜を提供する。
(A)粒径50nm以上100nm未満の粒子:5〜15体積%
(B)粒径100nm以上200nm未満の粒子:70〜80体積%
(C)粒径200nm以上800nm未満の粒子:10〜20体積%
(D)粒径50nm以上1000nm未満の粒子:90〜100体積%
前記フッ素化ナノダイヤモンドの含有量が、コート膜(100重量%)に対して60重量%以上であり、
表面の平均粗さRaが0.1〜15nm、二乗平均平方根粗さRqが1.0〜20nm、粗さ曲線の最大断面高さRtが5〜200nm、粗さ曲線要素の平均長さRsmが0.1〜20μm、かつ傾斜角θaが0.01〜5°であることを特徴とする撥水コート膜を提供する。
溶媒中にフッ素化ナノダイヤモンドが分散した分散液を基材表面に対して塗布し、次いで、乾燥させる工程を含み、
前記分散液が、該分散液に含まれるフッ素化ナノダイヤモンドの全量を100体積%として、動的光散乱式粒度分布測定装置により測定されるフッ素化ナノダイヤモンドの体積基準の粒度分布が、下記(A)〜(D)を全て満足する分散液であることを特徴とする撥水コート膜の製造方法を提供する。
(A)粒径50nm以上100nm未満の粒子:5〜15体積%
(B)粒径100nm以上200nm未満の粒子:70〜80体積%
(C)粒径200nm以上800nm未満の粒子:10〜20体積%
(D)粒径50nm以上1000nm未満の粒子:90〜100体積%
本発明の撥水コート膜は、ある物品の表面に対して撥水性を付与することを目的として設けられる(即ち、撥水付与用途に使用される)、上記物品の表面の一部又は全部を被覆する膜状の物体(膜)である。本発明の撥水コート膜は、フッ素化ナノダイヤモンドを必須成分として含有するコート膜であることを特徴とする。本発明の撥水コート膜は、さらに、フッ素化ナノダイヤモンド以外の成分を含んでいてもよい。なお、本発明の撥水コート膜には、膜の他、物品の表面の一部又は全部を被覆するものである限り、シートやフィルム等の概念も包含されるものとする。
・本発明の撥水コート膜[1]:溶媒中にフッ素化ナノダイヤモンドが分散した分散液を基材表面に塗布し、次いで、乾燥させることにより製造される、フッ素化ナノダイヤモンドを含有するコート膜であり、前記分散液が、該分散液に含まれるフッ素化ナノダイヤモンドの全量を100体積%として、動的光散乱式粒度分布測定装置により測定されるフッ素化ナノダイヤモンドの体積基準の粒度分布が、下記(A)〜(D)を全て満足する分散液であることを特徴とする撥水コート膜。
(A)粒径50nm以上100nm未満の粒子:5〜15体積%
(B)粒径100nm以上200nm未満の粒子:70〜80体積%
(C)粒径200nm以上800nm未満の粒子:10〜20体積%
(D)粒径50nm以上1000nm未満の粒子:90〜100体積%
・本発明の撥水コート膜[2]:フッ素化ナノダイヤモンドを含有するコート膜であり、前記フッ素化ナノダイヤモンドの含有量が、コート膜(100重量%)に対して60重量%以上であり、表面の平均粗さRaが0.1〜15nm、二乗平均平方根粗さRqが1.0〜20nm、粗さ曲線の最大断面高さRtが5〜200nm、粗さ曲線要素の平均長さRsmが0.1〜20μm、かつ傾斜角θaが0.01〜5°であることを特徴とする撥水コート膜。
本発明の撥水コート膜におけるフッ素化ナノダイヤモンドは、一次粒子の粒子径が2〜20nmのダイヤモンド微粒子(ナノダイヤモンド)をフッ素化したもの(例えば、フッ素原子を含有する基で修飾したもの)である。
フッ素化する(例えば、フッ素原子を含有する基を修飾する)ためのナノダイヤモンド(ナノダイヤモンド粒子)としては、公知乃至慣用のナノダイヤモンドを使用することができ、特に限定されないが、上記ナノダイヤモンドは炭素からなる元素鉱物(例えば、グラファイト等)を原料として、例えば、爆轟法、フラックス法、静的高圧法、高温高圧法等により製造することができる。中でも、一次粒子の平均粒子径が極めて小さいナノダイヤモンド粒子を得ることができる点で、爆轟法(特に、酸素欠乏爆轟法)で得られたナノダイヤモンドが好ましい。即ち、上記フッ素化ナノダイヤモンドとしては、爆轟法で得られたナノダイヤモンドをフッ素化したものが好ましい。
上記ナノダイヤモンドをフッ素化することにより、上記フッ素化ナノダイヤモンドが得られる。上記ナノダイヤモンドのフッ素化は、公知乃至慣用のフッ素化手段により実施することができ、特に限定されないが、例えば、第26回フッ素化学討論会要旨集、平成14年11月14日発行、第24〜25頁において開示された公知の方法で行うことができる。即ち、ニッケル又はニッケルを含む合金等の、フッ素に耐食性を有する材料からなる反応器中にナノダイヤモンドを封入し、フッ素ガスを導入してフッ素化する方法が採用できる。
本発明の撥水コート膜は、フッ素化ナノダイヤモンドの他、バインダー樹脂を含有することが好ましい。本発明の撥水コート膜においてバインダー樹脂は、例えば、フッ素化ナノダイヤモンドを撥水コート膜中に保持したり、また、各種物品の表面に対する撥水コート膜の接着性を高める等の役割を果たす。バインダー樹脂としては、公知乃至慣用のコート膜において使用される各種バインダー樹脂(例えば、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、ポリエステル系等)を使用することができ、特に限定されないが、例えば、硬化性アクリル樹脂、硬化性ポリウレタン、硬化性ポリエステル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、マレイミド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ジアリルイソフタレート樹脂、硬化性シリコーン樹脂、ポリイミド、メラミン樹脂、ポリエステル−メラミン樹脂、エポキシ−メラミン樹脂等の熱又は活性エネルギー線硬化性樹脂;熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン等)、ポリビニルアセタール、熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース誘導体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体等の合成ゴム、熱可塑性エラストマー等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。なお、本発明の撥水コート膜においてバインダー樹脂は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
θa=tan-1Δa (1)
上記数式(1)において、Δaは、下記数式(2)に示すように、JIS B0601:1994に規定される粗さ曲線の基準長さLにおいて、隣り合う山の頂点と谷の最下点との差(高さh)の合計(h1+h2+h3+・・・・+hn)を上記基準長さLで割った値である。上記粗さ曲線は、断面曲線から、所定の波長より長い表面うねり成分を位相差補償型高域フィルタで除去した曲線である。また、上記断面曲線とは、対称面に直角な平面で対象面を切断したときに、その切り口に現れる輪郭である。図4に、上記粗さ曲線、高さhおよび基準線Lの一例を示す。
Δa=(h1+h2+h3+・・・・+hn)/L (2)
本発明の撥水コート膜[1]は、上述のように、溶媒中にフッ素化ナノダイヤモンドが分散した分散液を適宜な基材の表面(基材表面)に対して塗布(塗工)し、次いで、乾燥させる工程を必須の工程として含む方法であって、上記分散液が、該分散液に含まれるフッ素化ナノダイヤモンドの全量を100体積%として、動的光散乱式粒度分布測定装置により測定されるフッ素化ナノダイヤモンドの体積基準の粒度分布が、下記(A)〜(D)を全て満足する分散液であることを特徴とする製造方法(「本発明の撥水コート膜の製造方法」と称する場合がある)によって得られる。
(A)粒径50nm以上100nm未満の粒子:5〜15体積%
(B)粒径100nm以上200nm未満の粒子:70〜80体積%
(C)粒径200nm以上800nm未満の粒子:10〜20体積%
(D)粒径50nm以上1000nm未満の粒子:90〜100体積%
本発明の撥水コート膜の製造方法において使用される、上述の溶媒中にフッ素化ナノダイヤモンドが分散した分散液は、上述のように、溶媒中にフッ素化ナノダイヤモンドが分散した分散液であって、該分散液に含まれるフッ素化ナノダイヤモンドの全量を100体積%として、動的光散乱式粒度分布測定装置により測定されるフッ素化ナノダイヤモンドの体積基準の粒度分布が、上記(A)〜(D)を全て満足する分散液(フッ素化ナノダイヤモンドの分散液;これを「本発明の分散液」と称する場合がある)である。本発明の撥水コート膜の製造方法において本発明の分散液は、本発明の撥水コート膜の前駆体(原料)と位置付けられる。
上記基材としては、公知乃至慣用の基材を使用することができ、特に限定されないが、例えば、離型フィルム(剥離フィルム)や各種物品(撥水性の付与を求める物品)等を使用することができる。上記基材として離型フィルムを使用する場合は、例えば、離型フィルム上に形成した本発明の撥水コート膜を、必要に応じて適宜の接着剤層等を介して、各種物品の表面上に積層することによって、各種物品における撥水性の付与が必要な部分に対して本発明の撥水コート膜を形成することができる。また、上記基材として各種物品を使用することで、各種物品の表面における撥水性の付与が必要な部分に対して、本発明の撥水コート膜を直接形成することができる。上記離型フィルムとしては、公知乃至慣用の離型フィルム(例えば、シリコーン処理等の離型処理が施された離型フィルム、フッ素系フィルム、ポリオレフィン系フィルム等)を使用することができる。また、上記基材としての物品としては、特に限定されず、下記の物品の項に例示した物品等が挙げられる。
本発明の撥水コート膜を少なくとも有する物品(「本発明の物品」と称する場合がある)は、上記撥水コート膜の表面において優れた撥水性を発現するため、水や汚染物質に対する耐性が高い。なお、本発明の物品において本発明の撥水コート膜は、一部の表面を形成するものであってもよいし、全部の表面(全面)を形成するものであってもよい。また、本発明の物品における本発明の撥水コート膜表面は、物品の外側の表面であってもよいし、内側(内部)の表面であってもよい。また、本発明の物品における本発明の撥水コート膜の形状、厚み、面積等は特に限定されず、適宜選択可能である。本発明の物品において本発明の撥水コート膜が形成される表面を構成する材質は、特に限定されず、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、セロファン、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、アクリル樹脂等の樹脂(プラスチック);木材;鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、銅、銀等の金属;セラミックス;陶器;天然大理石や人工大理石等の石材;ガラス;布;紙;その他の有機物、無機物、有機−無機ハイブリッド材料;これらの複合材料等が挙げられる。また、上記表面には、公知乃至慣用の表面処理(例えば、シランカップリング剤等による化学的表面処理;コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、サンドブラスト等による物理的表面処理等)が施されていてもよい。
[ナノダイヤモンドのフッ素化(フッ素化ナノダイヤモンドの製造)]
ナノダイヤモンドとして、爆轟法により合成された一次粒子径4〜6nm、比表面積250〜350m2/g、純度90重量%以上のものを用いた。
上記ナノダイヤモンド10.0gをニッケル製の皿に載せ、ニッケル製反応器(内容積約2000cm3)に封入した。そして、反応器内部に高純度窒素ガス(純度99.999%)を流速300ml/minにて流通させて、反応器内の空気を十分に置換した。その後、高純度窒素ガスを流通したまま反応器を250℃まで加熱し、反応器内温が安定したところで、高純度フッ素ガス(純度99.5%)と高純度窒素ガスとの混合ガス(フッ素濃度:15容積%以下)を流速300ml/min以下で流通した。フッ素ガス吸蔵に伴う発熱が収束し安定となってから、反応温度の急激な上昇に留意しながらフッ素ガスの濃度を100%まで徐々に上げた。その後、フッ素ガスの流通を中止して反応器の圧力変化を監視し、1時間で0.5kPa以下の圧力変化となったことを確認し、フッ素化の終点とした。反応終了後35℃以下まで放冷してから、高純度窒素ガスを流速300ml/minで30分以上流通させて反応器内部に残存するフッ素ガスを十分に置換したのち反応器を開放し、ニッケル製の皿に付着した分、飛散により反応器内外に散逸した分を除いて質量9.72gの灰白色を呈するフッ素化ナノダイヤモンドを回収し、ガラス製容器内に保存した。
得られたフッ素化ナノダイヤモンドのフッ素含有量は、9.1質量%であった。元素分析の結果、水素、炭素、窒素の含有量は、それぞれ、H:0.32質量%、C:86.49質量%、N:2.56質量%であった。また、XPS測定によると、F/Cは0.20、O/Cは0.1以下であった。
上記で得られたフッ素化ナノダイヤモンド0.6gを秤量し、これをメチルエチルケトン30mlに懸濁させた。懸濁に際しては、ホモジナイザーを用いて粗大粒子がなくなるまで強力に撹拌混合を行った。粗大粒子がなくなったことを目視で確認した後、超音波ホモジナイザー(SMT(株)製、UH−300)により、フッ素化ナノダイヤモンドをメチルエチルケトンに分散させた。動的光散乱式粒度分布測定装置により粒度分布を測定し、メインピークが80〜600nmの幅広い粒度分布を示した時点で分散を停止した。その後、遠心分離機により、800Gで10分間処理し、上清を回収することによって粒径1μm以上の粒子を除去し、分散液(フッ素化ナノダイヤモンドのメチルエチルケトン分散液)を調製した。得られた分散液におけるフッ素化ナノダイヤモンドの粒度分布を動的光散乱式粒度分布測定装置により測定した結果を図1に示す。
なお、図1から算出される上記分散液におけるフッ素化ナノダイヤモンドの体積基準の粒度分布(上記(A)〜(D))は、以下の通りである。
(A)粒径50nm以上100nm未満の粒子:9.0体積%
(B)粒径100nm以上200nm未満の粒子:76.4体積%
(C)粒径200nm以上800nm未満の粒子:14.4体積%
(D)粒径50nm以上1000nm未満の粒子:99.8体積%
上記で得られたフッ素化ナノダイヤモンドの分散液に、UV硬化樹脂である商品名「PETIA」(ペンタエリスリトールトリアクリレート、ダイセル・オルネクス(株)製)、及び開始剤である商品名「IRGACURE184」(豊通ケミプラス(株)製)を加えて混合し、フッ素化ナノダイヤモンドとPETIAの重量比が、85:15(重量%)になるようにした。IRGACURE184は、PETIAに対して3重量%を加えた。超音波洗浄機にて20分間、超音波を照射した後、1時間撹拌して塗工液を作製した。なお、上記塗工液におけるフッ素化ナノダイヤモンドの粒度分布は、上記フッ素化ナノダイヤモンドの分散液における同粒度分布からは実質的に変化していなかった。この塗工液を、PETフィルム(A4300、#125)上にメイヤーバーを用いて塗布し、すぐに60℃の乾燥機に入れて、溶媒を除去した。次に、溶媒を除去した後の塗工フィルムを、窒素置換が可能な容器に入れて窒素置換した後、UVを照射してUV硬化樹脂(PETIA)を硬化させることによって、厚み1000nmの撥水コート膜(PETフィルムの一方の表面に撥水コート膜を有する物品)を作製した。
得られる撥水コート膜の厚みが138nmとなるようにメイヤーバーを選択したこと以外は実施例1と同様にして、厚み138nmの撥水コート膜(PETフィルムの一方の表面に撥水コート膜を有する物品)を作製した。
得られる撥水コート膜の厚みが2000nmとなるようにメイヤーバーを選択したこと以外は実施例1と同様にして、厚み2000nmの撥水コート膜(PETフィルムの一方の表面に撥水コート膜を有する物品)を作製した。
実施例1で得られたフッ素化ナノダイヤモンド0.15gを秤量し、これをN−メチルピロリドン30mlに懸濁させた。懸濁に際しては、ホモジナイザーを用いて粗大粒子がなくなるまで強力に撹拌混合を行った。粗大粒子がなくなったことを目視で確認した後、超音波ホモジナイザー(SMT(株)製、UH−300)により、フッ素化ナノダイヤモンドをN−メチルピロリドンに分散させた。動的光散乱式粒度分布測定装置により粒度分布を測定し、メインピークが10〜100nmの狭い粒度分布を示した時点で分散を停止した。その後、遠心分離機により、800Gで10分間処理し、上清を回収することによって粒径1μm以上の粒子を除去し、分散液(フッ素化ナノダイヤモンドのN−メチルピロリドン分散液)を調製した。得られた分散液におけるフッ素化ナノダイヤモンドの粒度分布を動的光散乱式粒度分布測定装置により測定した結果を図3に示す。さらに、乾燥温度を100℃にした以外は、実施例1と同様にして、厚み1000nmのコート膜を作製した。
なお、図3から算出される上記分散液におけるフッ素化ナノダイヤモンドの体積基準の粒度分布(上記(A)〜(D))は、以下の通りである。なお、粒径50nm未満の粒子の体積%は(E)の通りである。
(A)粒径50nm以上100nm未満の粒子:12.4体積%
(B)粒径100nm以上200nm未満の粒子:0.3体積%
(C)粒径200nm以上800nm未満の粒子:0.0体積%
(D)粒径50nm以上1000nm未満の粒子:12.7体積%
(E)粒径10nm以上50nm未満の粒子:87.3体積%
Claims (11)
- 溶媒中にフッ素化ナノダイヤモンドが分散した分散液であり、
該分散液に含まれるフッ素化ナノダイヤモンドの全量を100体積%として、動的光散乱式粒度分布測定装置により測定されるフッ素化ナノダイヤモンドの体積基準の粒度分布が、下記(A)〜(D)を全て満足することを特徴とする分散液。
(A)粒径50nm以上100nm未満の粒子:5〜15体積%
(B)粒径100nm以上200nm未満の粒子:70〜80体積%
(C)粒径200nm以上800nm未満の粒子:10〜20体積%
(D)粒径50nm以上1000nm未満の粒子:90〜100体積% - 溶媒中にフッ素化ナノダイヤモンドが分散した分散液を基材表面に塗布し、次いで、乾燥させることにより製造される、フッ素化ナノダイヤモンドを含有するコート膜であり、
前記分散液が、該分散液に含まれるフッ素化ナノダイヤモンドの全量を100体積%として、動的光散乱式粒度分布測定装置により測定されるフッ素化ナノダイヤモンドの体積基準の粒度分布が、下記(A)〜(D)を全て満足する分散液であることを特徴とする撥水コート膜。
(A)粒径50nm以上100nm未満の粒子:5〜15体積%
(B)粒径100nm以上200nm未満の粒子:70〜80体積%
(C)粒径200nm以上800nm未満の粒子:10〜20体積%
(D)粒径50nm以上1000nm未満の粒子:90〜100体積% - 前記フッ素化ナノダイヤモンドの含有量が、コート膜(100重量%)に対して60重量%以上である請求項2に記載の撥水コート膜。
- 表面の平均粗さRaが0.1〜15nm、二乗平均平方根粗さRqが1.0〜20nm、粗さ曲線の最大断面高さRtが5〜200nm、粗さ曲線要素の平均長さRsmが0.1〜20μm、かつ傾斜角θaが0.01〜5°である請求項2又は3に記載の撥水コート膜。
- フッ素化ナノダイヤモンドを含有するコート膜であり、
前記フッ素化ナノダイヤモンドの含有量が、コート膜(100重量%)に対して60重量%以上であり、
表面の平均粗さRaが0.1〜15nm、二乗平均平方根粗さRqが1.0〜20nm、粗さ曲線の最大断面高さRtが5〜200nm、粗さ曲線要素の平均長さRsmが0.1〜20μm、かつ傾斜角θaが0.01〜5°であることを特徴とする撥水コート膜。 - 厚みが0.5〜2000nmである請求項2〜5のいずれか1項に記載の撥水コート膜。
- 前記フッ素化ナノダイヤモンドが、元素分析(酸素フラスコ法)により求めたフッ素含有量が0.1〜20.0質量%のフッ素化ナノダイヤモンドである請求項2〜6のいずれか1項に記載の撥水コート膜。
- 前記フッ素化ナノダイヤモンドが、爆轟法で得られたナノダイヤモンドをフッ素化したフッ素化ナノダイヤモンドである請求項2〜7のいずれか1項に記載の撥水コート膜。
- 表面に対する水の接触角が80°以上である請求項2〜8のいずれか1項に記載の撥水コート膜。
- 請求項2〜9のいずれか1項に記載の撥水コート膜を有する物品。
- フッ素化ナノダイヤモンドを含有するコート膜の製造方法であって、
溶媒中にフッ素化ナノダイヤモンドが分散した分散液を基材表面に対して塗布し、次いで、乾燥させる工程を含み、
前記分散液が、該分散液に含まれるフッ素化ナノダイヤモンドの全量を100体積%として、動的光散乱式粒度分布測定装置により測定されるフッ素化ナノダイヤモンドの体積基準の粒度分布が、下記(A)〜(D)を全て満足する分散液であることを特徴とする撥水コート膜の製造方法。
(A)粒径50nm以上100nm未満の粒子:5〜15体積%
(B)粒径100nm以上200nm未満の粒子:70〜80体積%
(C)粒径200nm以上800nm未満の粒子:10〜20体積%
(D)粒径50nm以上1000nm未満の粒子:90〜100体積%
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014168503A JP6329848B2 (ja) | 2014-08-21 | 2014-08-21 | 撥水コート膜及び該撥水コート膜を有する物品、並びに分散液 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014168503A JP6329848B2 (ja) | 2014-08-21 | 2014-08-21 | 撥水コート膜及び該撥水コート膜を有する物品、並びに分散液 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016044092A true JP2016044092A (ja) | 2016-04-04 |
JP6329848B2 JP6329848B2 (ja) | 2018-05-23 |
Family
ID=55634985
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014168503A Active JP6329848B2 (ja) | 2014-08-21 | 2014-08-21 | 撥水コート膜及び該撥水コート膜を有する物品、並びに分散液 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6329848B2 (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017213539A (ja) * | 2016-06-02 | 2017-12-07 | 株式会社ダイセル | 硬化樹脂膜製造方法および硬化樹脂膜 |
JP2018058735A (ja) * | 2016-10-07 | 2018-04-12 | 株式会社Kri | フルオロアルキル基で修飾されたダイアモンド微粒子及びその製造方法 |
JP2019035912A (ja) * | 2017-08-21 | 2019-03-07 | 国立大学法人電気通信大学 | 感光性組成物、ホログラフィック回折格子記録層、ホログラフィック回折格子記録媒体、およびホログラフィックパターン形成方法 |
WO2020095581A1 (ja) * | 2018-11-05 | 2020-05-14 | 株式会社ダイセル | ナノダイヤモンド分散組成物 |
JP2020089864A (ja) * | 2018-12-07 | 2020-06-11 | 株式会社ダイセル | ナノダイヤモンドの製造方法及びナノダイヤモンド |
WO2020241404A1 (ja) * | 2019-05-30 | 2020-12-03 | 株式会社ダイセル | ナノダイヤモンド分散組成物 |
Citations (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005162795A (ja) * | 2003-11-28 | 2005-06-23 | Nof Corp | 撥水撥油性被膜及びその製造方法 |
US20050158549A1 (en) * | 2003-11-26 | 2005-07-21 | William Marsh Rice University | Functionalization of nanodiamond powder through fluorination and subsequent derivatization reactions |
JP2008075064A (ja) * | 2006-08-21 | 2008-04-03 | Kobe Steel Ltd | 撥水性塗料および撥水金属板 |
WO2008072707A1 (ja) * | 2006-12-15 | 2008-06-19 | Asahi Glass Company, Limited | 撥水性表面を有する物品 |
JP2008147617A (ja) * | 2006-11-13 | 2008-06-26 | Central Glass Co Ltd | 化学機械的研磨スラリー |
JP2010262291A (ja) * | 2009-05-06 | 2010-11-18 | Xerox Corp | フッ素化ナノダイヤモンドを含むヴィトン定着器部材 |
JP2011084444A (ja) * | 2009-10-17 | 2011-04-28 | Univ Of Fukui | フッ素化炭素微粒子分散液 |
JP2011113068A (ja) * | 2009-11-30 | 2011-06-09 | Vision Development Co Ltd | ダイヤモンド微粒子を含有する透過型スクリーン |
JP2013513734A (ja) * | 2009-12-09 | 2013-04-22 | テイジン・アラミド・ビー.ブイ. | 抗ウィッキング用途のためのコアシェル粒子でコーティングされた糸または布の使用 |
-
2014
- 2014-08-21 JP JP2014168503A patent/JP6329848B2/ja active Active
Patent Citations (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20050158549A1 (en) * | 2003-11-26 | 2005-07-21 | William Marsh Rice University | Functionalization of nanodiamond powder through fluorination and subsequent derivatization reactions |
JP2005162795A (ja) * | 2003-11-28 | 2005-06-23 | Nof Corp | 撥水撥油性被膜及びその製造方法 |
JP2008075064A (ja) * | 2006-08-21 | 2008-04-03 | Kobe Steel Ltd | 撥水性塗料および撥水金属板 |
JP2008147617A (ja) * | 2006-11-13 | 2008-06-26 | Central Glass Co Ltd | 化学機械的研磨スラリー |
WO2008072707A1 (ja) * | 2006-12-15 | 2008-06-19 | Asahi Glass Company, Limited | 撥水性表面を有する物品 |
JP2010262291A (ja) * | 2009-05-06 | 2010-11-18 | Xerox Corp | フッ素化ナノダイヤモンドを含むヴィトン定着器部材 |
JP2011084444A (ja) * | 2009-10-17 | 2011-04-28 | Univ Of Fukui | フッ素化炭素微粒子分散液 |
JP2011113068A (ja) * | 2009-11-30 | 2011-06-09 | Vision Development Co Ltd | ダイヤモンド微粒子を含有する透過型スクリーン |
JP2013513734A (ja) * | 2009-12-09 | 2013-04-22 | テイジン・アラミド・ビー.ブイ. | 抗ウィッキング用途のためのコアシェル粒子でコーティングされた糸または布の使用 |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017213539A (ja) * | 2016-06-02 | 2017-12-07 | 株式会社ダイセル | 硬化樹脂膜製造方法および硬化樹脂膜 |
JP2018058735A (ja) * | 2016-10-07 | 2018-04-12 | 株式会社Kri | フルオロアルキル基で修飾されたダイアモンド微粒子及びその製造方法 |
JP2019035912A (ja) * | 2017-08-21 | 2019-03-07 | 国立大学法人電気通信大学 | 感光性組成物、ホログラフィック回折格子記録層、ホログラフィック回折格子記録媒体、およびホログラフィックパターン形成方法 |
JP7011249B2 (ja) | 2017-08-21 | 2022-01-26 | 国立大学法人電気通信大学 | 感光性組成物、ホログラフィック回折格子記録層、ホログラフィック回折格子記録媒体、およびホログラフィックパターン形成方法 |
WO2020095581A1 (ja) * | 2018-11-05 | 2020-05-14 | 株式会社ダイセル | ナノダイヤモンド分散組成物 |
JP2020089864A (ja) * | 2018-12-07 | 2020-06-11 | 株式会社ダイセル | ナノダイヤモンドの製造方法及びナノダイヤモンド |
WO2020241404A1 (ja) * | 2019-05-30 | 2020-12-03 | 株式会社ダイセル | ナノダイヤモンド分散組成物 |
CN113891914A (zh) * | 2019-05-30 | 2022-01-04 | 株式会社大赛璐 | 纳米金刚石分散组合物 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP6329848B2 (ja) | 2018-05-23 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6329848B2 (ja) | 撥水コート膜及び該撥水コート膜を有する物品、並びに分散液 | |
WO2014185518A1 (ja) | 赤外線遮蔽シート及びその製造方法並びにその用途 | |
EP2910985B1 (en) | Heat-ray-shielding sheet | |
WO2016031969A1 (ja) | 六ホウ化物微粒子の集合体、六ホウ化物微粒子分散液、六ホウ化物微粒子分散体、六ホウ化物微粒子分散体合わせ透明基材、赤外線吸収フィルムおよび赤外線吸収ガラス | |
US20070259768A1 (en) | Nanocomposite ceramic and method for producing the same | |
SG186696A1 (en) | Method for producing multilayer graphene coated substrate | |
CN109313297A (zh) | 红外线屏蔽片、红外线屏蔽夹层玻璃用中间膜以及红外线屏蔽夹层玻璃及其制造方法 | |
JP6828514B2 (ja) | 熱線遮蔽微粒子、熱線遮蔽微粒子分散液、熱線遮蔽膜用塗布液、およびこれらを用いた熱線遮蔽膜、熱線遮蔽樹脂フィルム、熱線遮蔽微粒子分散体 | |
KR102466871B1 (ko) | 근적외선 차폐 초미립자 분산체, 근적외선 차폐 중간막, 근적외선 차폐 접합 구조체, 및 근적외선 차폐 초미립자 분산체의 제조 방법 | |
JP6173768B2 (ja) | 赤外線遮蔽シート及びその製造方法 | |
US8038786B2 (en) | Composition for cutting off heat-ray, film formed therefrom, and method for forming the composition and the film | |
CN106573779B (zh) | 导热片材及其制造方法 | |
TWI778130B (zh) | 黏著劑層、近紅外線吸收薄膜、夾層構造體、積層體、黏著劑組成物及其製造方法 | |
JP2009286939A (ja) | ナノ物質含有組成物、ナノ物質含有多孔質体、その製造方法、積層体およびその製造方法 | |
KR102184435B1 (ko) | 그래핀계 탄소 입자를 포함하는 흑색 안료 | |
Yin et al. | Simultaneously altering the energy release and promoting the adhesive force of an electrophoretic energetic film with a fluoropolymer | |
Lee et al. | Effect of Mg (OH) 2/silica composite aerogel filler on the glass transition temperature and flame retardancy of detachable polymer coatings | |
KR102600382B1 (ko) | 광열 변환층과 그의 제조 방법, 및 당해 광열 변환층을 사용한 도너 시트 | |
Nguyen et al. | Porous nonhierarchical CeO2-SiO2 nanocomposites for improving the ultraviolet resistance capacity of polyurethane coatings | |
WO2022019252A1 (ja) | 粉体組成物及び複合粒子 | |
Lin et al. | Synthesis and pyrolysis mechanism of a novel asphalt-Zr (acac) 4 precursor for C-ZrC binary matrix | |
TW201936763A (zh) | 近紅外線吸收材料微粒子分散體、近紅外線吸收體、近紅外線吸收物積層體及近紅外線吸收用夾層構造體 | |
JP7354708B2 (ja) | 複合タングステン酸化物微粒子の製造方法、複合タングステン酸化物微粒子分散液の製造方法、および複合タングステン酸化物微粒子分散体の製造方法 | |
JP6531630B2 (ja) | 熱線遮蔽微粒子分散体および熱線遮蔽合わせ透明基材 | |
JP2022118579A (ja) | 電磁波吸収粒子、電磁波吸収粒子分散液、電磁波吸収粒子分散体、電磁波吸収積層体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20170321 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20171213 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20171219 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180216 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20180327 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20180423 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6329848 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |