JP2011084444A - フッ素化炭素微粒子分散液 - Google Patents

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Abstract

【課題】フッ素化炭素微粒子の分散安定性に優れたフッ素化炭素微粒子分散液およびその製造方法、ならびに当該フッ素化炭素微粒子分散液を含有する有機溶媒系塗料を提供すること。
【解決手段】フッ素化炭素微粒子を非プロトン性極性有機溶媒中に分散させてなるフッ素化炭素微粒子分散液、フッ素ガス雰囲気中で炭素微粒子を0.1〜80kPaの減圧下でフッ素化させ、得られたフッ素化炭素微粒子を非プロトン性極性有機溶媒中に分散させることを特徴とするフッ素化炭素微粒子分散液の製造方法、および前記フッ素化炭素微粒子分散液を含有してなる有機溶媒系塗料。
【選択図】なし

Description

本発明は、フッ素化炭素微粒子分散液に関する。さらに詳しくは、例えば、塗料、研磨剤、エンジニアリングプラスチックス、接着剤などの用途に有用なフッ素化炭素微粒子分散液およびその製造方法ならびに当該フッ素化炭素微粒子分散液を含有する有機溶媒系塗料に関する。
一次粒子の粒子径が数ナノメートルの炭素微粒子は、その粒子の大きさを生かして種々の用途に応用することが期待されている。例えば、ナノダイヤモンド粒子に代表される炭素微粒子は、塗膜の耐摩耗性を向上させることから、塗料などに使用することが考えられている。
しかし、炭素微粒子、なかでも特に一次粒子の粒子径が数ナノメートルから数十ナノメートルのダイヤモンド微粒子は、非常に強く凝集するため、通常、マイクロメートルオーダーの粒子径を有する凝集体として存在している。したがって、このように凝集した炭素微粒子は、塗料における分散安定性が悪いのみならず、塗膜の平滑性を阻害することから、塗料中でその凝集体を解砕させて均一に分散させなければならない。
ナノダイヤモンド粒子の分散液として、水とエタノールとの混合溶媒にナノダイヤモンド粒子の凝集体を添加し、これにポリエチレングリコール単位を含有する高分子アゾ系重合開始剤を添加した後、加熱することによって得られるナノダイヤモンド粒子の分散液や、ナノダイヤモンド粒子の凝集体とポリマーとからなるミセルに硫酸ニッケルが添加されたナノダイヤモンド粒子の分散液が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、これらのナノダイヤモンド粒子の分散液には、ナノダイヤモンド粒子以外の成分が含まれており、その成分が塗料などの製品において不純物として作用するという欠点がある。
また、他のナノダイヤモンド粒子の分散液として、ナノダイヤモンド粒子の凝集体と非水系液状媒体との混合物をビーズミルで湿式微粉砕することによって得られるナノダイヤモンド粒子の非水分散液が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、このナノダイヤモンド粒子の非水分散液は、ビーズミルで湿式微粉砕することによって得られるものであるため、長期間にわたる分散安定性に劣るという欠点がある。
近年、フッ素化ナノダイヤモンド粒子は、精密研磨剤などとして有用であることから注目されているが、フッ素化ナノダイヤモンド粒子も例に洩れず、通常、凝集体として存在しているため、分散安定性に劣る。そこで、フッ素化ナノダイヤモンド粒子の分散安定性が改善されたフッ素化ナノダイヤモンド粒子の分散液として、フッ素化ナノダイヤモンド粒子の凝集体と20℃における粘度が2.5cP以下の液体との懸濁液を調製し、得られた懸濁液を分級し、この分級によって得られた分散液と20℃における粘度が4cP以上の液体の分散液とを混合することによって得られるフッ素化ナノダイヤモンド粒子の分散液が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、このフッ素化ナノダイヤモンド粒子の分散液には、当該分散液を製造するために粘度が異なる2種類の溶媒を必要とするとともに、その製造工程が煩雑であるという欠点があるのみならず、フッ素化ナノダイヤモンド粒子の分散液からフッ素化ナノダイヤモンド粒子を取り出すために、当該分散液から溶媒を除去し、フッ素化ナノダイヤモンド粒子を乾燥させたとき、そのフッ素化ナノダイヤモンド粒子が再凝集するという欠点がある。
特開2008−150250号公報 特開2005−97375号公報 特開2009−190902号公報
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、フッ素化炭素微粒子の分散安定性に優れたフッ素化炭素微粒子分散液およびその製造方法、ならびに当該フッ素化炭素微粒子分散液を含有する有機溶媒系塗料を提供することを課題とする。
本発明は、
(1)フッ素化炭素微粒子を非プロトン性極性有機溶媒中に分散させてなるフッ素化炭素微粒子分散液、
(2)前記フッ素化炭素微粒子分散液を含有してなる有機溶媒系塗料、および
(3)フッ素ガス雰囲気中で炭素微粒子を0.1〜80kPaの減圧下でフッ素化させ、得られたフッ素化炭素微粒子を非プロトン性極性有機溶媒中に分散させることを特徴とするフッ素化炭素微粒子分散液の製造方法
に関する。
本発明によれば、フッ素化炭素微粒子の分散安定性に優れたフッ素化炭素微粒子分散液が提供される。また、本発明の有機溶媒系塗料は、それに含まれているフッ素化炭素微粒子が分散安定性に優れているので、当該塗料から形成された塗膜が耐摩耗性および塗膜の均一性に優れるという効果を奏する。
製造例1〜4で得られたフッ素化されたナノダイヤモンド粒子および比較製造例1のフッ素化させる前のナノダイヤモンド粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 製造例1〜4で得られたフッ素化されたナノダイヤモンド粒子および比較製造例1のフッ素化させる前のナノダイヤモンド粒子のX線光学分光分析(XPS)によるC1sスペクトルおよびF1sスペクトルを示す図である。 実施例1で得られたフッ素化炭素微粒子分散液の超音波の照射前後の外観を示す図面代用写真である。 実施例1〜2で得られたフッ素化炭素微粒子分散液におけるフッ素化されたナノダイヤモンド粒子の粒度分布および比較例1で得られたフッ素化されていない炭素微粒子の分散液におけるナノダイヤモンド粒子の粒度分布を示すグラフである。 製造例10で得られたフッ素化されたナノダイヤモンド粒子の粉末X線回折図である。
一般に、炭素微粒子は、マイクロメートルオーダーの凝集体として存在している。なかでも一次粒子の粒子径が数ナノメートルから数十ナノメートルのダイヤモンド微粒子であるナノダイヤモンド粒子は、非常に強く凝集し、粒子径が数マイクロメートルの二次粒子や三次粒子のナノダイヤモンド粒子の凝集体として存在している。
本発明者らは、炭素微粒子の凝集体、特にナノダイヤモンド粒子の凝集体を如何にして解砕し、一次粒子に近づけて有機溶媒中で分散させるかを技術的課題として鋭意研究を重ねたところ、驚くべきことに、この炭素微粒子をフッ素化させることによって得られるフッ素化炭素微粒子を特定の溶媒、すなわち、非プロトン性極性有機溶媒に分散させた場合には、当該フッ素化炭素微粒子が非プロトン性極性有機溶媒中で均一に分散し、しかも分散安定性に優れることが見出された。
本発明者らは、さらに研究を重ねたところ、フッ素化炭素微粒のなかでも、特定の減圧度に減圧させたフッ素ガス雰囲気中で炭素微粒子をフッ素化させた場合には、得られるフッ素化炭素微粒子が非プロトン性極性有機溶媒中で凝集せずに分散するとともに、分散安定性がより一層優れることが見出された。
本発明は、前記知見に基づいて完成されたものである。
本発明のフッ素化炭素微粒子分散液は、前記したように、フッ素化炭素微粒子を非プロトン性極性有機溶媒中に分散させたものである。
フッ素化炭素微粒子は、炭素微粒子をフッ素化させたものである。炭素微粒子としては、例えば、ダイヤモンド微粒子、黒鉛微粒子、フラーレン微粒子などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記炭素微粒子は、必要により、水素化されたものであってもよい。
本発明の製造方法によれば、炭素微粒子のなかでも、ダイヤモンド微粒子の一次粒子が非常に強く凝集することによって形成されているナノダイヤモンド粒子の凝集体についても、有機溶媒中で凝集させずに均一に分散させることができるフッ素化ナノダイヤモンド粒子を製造することができ、その分散液は、分散安定性に優れている。ダイヤモンド微粒子は、例えば、国際公開第2007/001031号パンフレットに記載されているように、アダマンタンなどの炭素数4〜15のシクロ環を有する化合物、フラーレン、カーボンナノチューブなどの炭素原料および爆薬成分を含有する爆薬組成物を密閉容器内または水中で爆発させることによって製造することができる。
炭素微粒子の一次粒子の粒子径は、通常、数ナノメートルから数十ナノメートルである。例えば、ダイヤモンド微粒子は、一般に衝撃圧縮法で製造されているが、その一次粒子の粒子径は、1〜30nmである。また、酸素欠如爆轟法によって得られるダイヤモンド微粒子の一次粒子の粒子径は、通常、3〜8nm程度である。これらのダイヤモンド微粒子は、一般にナノダイヤモンド粒子と称されている。
原料として用いられる炭素微粒子の凝集体は、炭素微粒子の一次粒子が凝集した二次粒子または三次粒子であり、通常、0.1〜10μm程度の粒子径を有する。
炭素微粒子の凝集体をフッ素化させるにあたり、炭素微粒子に水分が含まれている場合には、当該炭素微粒子をフッ素化させたときに水分とフッ素とが反応するおそれがある。したがって、炭素微粒子に水分が含まれている場合には、あらかじめ炭素微粒子を乾燥させておくことが好ましい。炭素微粒子を乾燥させる方法としては、例えば、減圧乾燥法、加熱乾燥法、除湿剤による乾燥方法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
炭素微粒子の凝集体のフッ素化は、通常、フッ素ガス雰囲気中で行なうことができる。フッ素ガス雰囲気は、例えば、閉鎖空間を形成することができる反応容器の内部空間を減圧することによって大気を除去した後、その内部空間にフッ素ガスを導入する方法、閉鎖空間を形成することができる反応容器の内部空間に窒素ガスを直接導入することによって大気を窒素ガスで置換する方法などによって形成することができるが、本発明は、かかる方法のみに限定されるものではない。
前記閉鎖空間を形成することができる反応容器を用いる場合、炭素微粒子の凝集体を当該反応容器内に入れた後、炭素微粒子の凝集体のフッ素化を行なうことが安全性の観点から好ましい。
本明細書にいうフッ素ガス雰囲気とは、フッ素ガスのみで形成されている雰囲気のみならず、本発明の目的が阻害されない範囲内で、例えば、ヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガスなどの不活性ガスで希釈されたフッ素ガスで形成されている雰囲気を意味する。これらのなかでは、フッ素化の効率を高める観点から、フッ素ガス雰囲気に占めるフッ素ガス分圧が高いことが好ましい。
炭素微粒子の凝集体をフッ素ガス雰囲気中でフッ素化させるとき、非プロトン性極性有機溶媒中で凝集せずに分散するとともに分散安定性に優れたフッ素化炭素微粒子を得る観点から、そのフッ素ガス雰囲気の圧力は、好ましくは0.1〜80kPa、より好ましくは0.1〜60kPa、さらに好ましくは0.1〜55kPa、特に好ましくは0.3〜55kPaである。
炭素微粒子の凝集体をフッ素化させる際のフッ素ガス雰囲気の温度は、特に限定されないが、非プロトン性極性有機溶媒中で凝集せずに微分散するとともに分散安定性に優れたフッ素化炭素微粒子を効率よく製造する観点から、好ましくは0〜500℃、より好ましくは5〜450℃、さらに好ましくは5〜400℃、より一層好ましくは5〜200℃、特に好ましくは10〜100℃である。
炭素微粒子の凝集体のフッ素化は、得られるフッ素化炭素微粒子を例えばX線光学分光分析などにより、炭素微粒子による炭素原子が検出されなくなるまで行なうことが好ましい。
炭素微粒子の凝集体のフッ素化に要する時間は、フッ素ガス雰囲気の圧力およびその温度、炭素微粒子の凝集体の量などによって異なるので一概には決定することができない。通常、炭素微粒子の凝集体をフッ素ガス雰囲気中でフッ素化させるのに要する時間は、有機溶媒中で凝集せずに微分散するとともに分散安定性に優れたフッ素化炭素微粒子を効率よく製造する観点から、好ましくは0.3〜5時間、より好ましくは0.5〜3時間、さらに好ましくは0.5〜1.5時間である。
以上のようにして得られるフッ素化炭素微粒子は、以下の実施例によって明らかにされているように、少なくともその粒子の表面がフッ素化されているが、その中心部にまでフッ素化が進行しておらず、その表面が適切にフッ素化されているので、有機溶媒中で凝集せずに分散するとともに分散安定性に優れていると考えられる。このフッ素化炭素微粒子は、少なくともその粒子の表面がフッ素化されている点を除き、基本的にはフッ素化前の炭素微粒子の形状および大きさとほとんど同一である。
なお、得られたフッ素化炭素微粒子の表面にはフッ素ガスが付着しており、当該フッ素ガスと大気中の水分とが反応することを回避する観点から、フッ素化炭素微粒子を大気中に取り出す前に、その表面に付着しているフッ素ガスを不活性ガスで除去することが好ましい。フッ素化炭素微粒子の表面に付着しているフッ素ガスの除去は、例えば、前記反応容器を用いた場合には、前記反応容器内のフッ素ガスを不活性ガスに置換することによって行なうことができる。不活性ガスとしては、例えば、ヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガスなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
次に、フッ素化炭素微粒子を非プロトン性極性有機溶媒中に分散させることにより、フッ素化炭素微粒子分散液が得られる。
非プロトン性極性有機溶媒の溶解度パラメータ(SP値)は、フッ素化炭素微粒子を非プロトン性極性有機溶媒中で凝集させずに均一に分散させるとともに分散安定性を高める観点から、15(MJ/m31/2以上であることが好ましい。非プロトン性極性有機溶媒の溶解度パラメータは、例えば、向井淳二および金城徳幸、「技術者のための実学高分子」、講談社、1981年10月1日、p.66−87に記載されており、フェダーズ(Fedors)の方法〔R.F.Fedors,Polym.Eng.Sci.,14(2),147(1974)参照〕によって求められた値である。
好適な非プロトン性極性有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、シクロペンタノン、γ−ブチルラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−プロピル−2−ピロリドン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルプロピオンアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、テトラヒドロフランなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの非プロトン性極性有機溶媒のなかでは、透明性および分散安定性の観点から、プロピレンカーボネート、シクロペンタノン、γ−ブチルラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−プロピル−2−ピロリドン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルプロピオンアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オンおよび1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが好ましい。これらの非プロトン性極性有機溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、必要により2種以上を併用してもよい。
非プロトン性極性有機溶媒中に分散させるフッ素化炭素微粒子の量は、本発明のフッ素化炭素微粒子分散液の用途などによって異なるので一概には決定することができない。通常、形成される皮膜の高硬度化および分散安定性の観点から、非プロトン性極性有機溶媒100重量部あたり、好ましくは0.05〜20重量部、より好ましくは0.1〜15重量部である。
以上のようにして得られるフッ素化炭素微粒子分散液は、例えば、有機溶媒系塗料に代表される塗料、研磨剤、エンジニアリングプラスチックス、接着剤などに好適に用いることができる。
本発明の有機溶媒系塗料は、前記フッ素化炭素微粒子分散液を含有するものである。本発明の有機溶媒系塗料は、一般に使用されている有機溶媒系塗料であればよく、特に限定されない。しかし、有機系塗料におけるフッ素化炭素微粒子の分散安定性を高める観点から、有機溶媒系塗料に含まれる有機溶媒は、前記フッ素化炭素微粒子分散液と同様に、非プロトン性極性有機溶媒であることが好ましい。非プロトン性極性有機溶媒としては、前記フッ素化炭素微粒子分散液に用いられるものを例示することができる。
本発明の有機溶媒系塗料における本発明のフッ素化炭素微粒子分散液の含有量は、その有機溶媒系塗料の用途などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、耐摩耗性および分散安定性を向上させる観点から、有機溶媒系塗料におけるフッ素化炭素微粒子の含有量が0.03〜10重量%となるように調整することが好ましい。
本発明の有機溶媒系塗料には、フッ素化炭素微粒子が含まれており、このフッ素化炭素微粒子が凝集せずに分散するとともに分散安定性に優れているので、この有機溶媒系塗料から形成された塗膜は、耐摩耗性および塗膜の均一性に優れている。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
製造例1〜4および比較製造例1
炭素微粒子としてナノダイヤモンド粒子〔日本化薬(株)製、水素化ナノダイヤモンド粒子、商品名:Ustalla−Type C、一次粒子の平均粒子径:4nm±1nm、二次粒子の平均粒子径:0.5μm±0.5μm〕1.0gをニッケル製反応管内に入れ、この反応管を反応容器に入れた後、室温で反応容器内を1.0×10-1Paに減圧することにより、ナノダイヤモンド粒子を乾燥させた。この乾燥させたナノダイヤモンド粒子の外観を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した。その走査型電子顕微鏡写真を図1の(a)に示す(比較製造例1)。
次に、室温でフッ素ガスの圧力が0.67kPa(製造例1)、13.3kPa(製造例2)、50.7kPa(製造例3)または101.3kPa(製造例4)となるまでフッ素ガスを反応容器内に導入し、ナノダイヤモンド粒子のフッ素化を1時間行なった後、反応容器内にアルゴンガスを導入してアルゴンガス置換を行ない、反応管を反応容器から取り出した。
反応管内からフッ素化されたナノダイヤモンド粒子(フッ素化ナノダイヤモンド粒子)を取り出し、その外観を走査型電子顕微鏡にて観察した。フッ素ガスの圧力0.67kPa、13.3kPa、50.7kPaまたは101.3kPaでフッ素化されたナノダイヤモンド粒子の走査型電子顕微鏡写真を、それぞれ順に図1の(b)〜(e)に示す。なお、各写真における尺度は、各写真の右下に示されている。
図1に示された結果から、フッ素化させる前のナノダイヤモンド粒子では(比較製造例1)、一次粒子がほとんど観察されず〔図1(a)〕、フッ素ガスの圧力101.3kPaでフッ素化させたナノダイヤモンド粒子では、解砕して一次粒子に近づいた微小粒子が少量で存在していることがわかる〔図1(e)〕。これに対して、フッ素ガスの圧力0.67〜50.7kPaでフッ素化させたナノダイヤモンド粒子では、多数の一次粒子に近い微小粒子が存在していることがわかる〔図1(b)〜(d)〕。
したがって、ナノダイヤモンド粒子をフッ素化させる際のフッ素ガスの圧力を制御することにより、ナノダイヤモンド粒子から多数の球状のフッ素化されたナノダイヤモンド粒子の一次粒子または一次粒子の粒子径に近い大きさに解砕された微細な二次粒子を形成させることができることがわかる。
次に、製造例1〜4で得られたフッ素化されたナノダイヤモンド粒子および比較製造例1のフッ素化させる前のナノダイヤモンド粒子のX線光電子分光分析(XPS)を行なった。その際、X線光電子分光分析装置〔日本電子(株)製、品番:XPS−9010〕を用い、X線:Mg−Kα線、電圧:10kV、電流:2.5mAの条件でX線光電子分光分析を行なった。なお、帯電補正は、炭素の1s電子の結合エネルギーを基準に行なった。X線光電子分光分析(XPS)によるC1sスペクトルおよびF1sスペクトルをそれぞれ図2(a)および(b)に示す。
図2(a)および(b)において、pは比較製造例1のデータ、qは製造例1のデータ、rは製造例2のデータ、sは製造例3のデータ、tは製造例4のデータを示す。
図2(a)に示された結果から、C1s電子について、原子核への結合エネルギー(B.E.)288eV付近のピークは、1個以上のフッ素原子と結合した炭素原子(−CHF−または−CF2−)に由来するものであり、フッ素と結合することによって純粋なダイヤモンド中の炭素原子に由来のピーク(285eV付近)と比較して高エネルギー側に移動していると考えられる。
また、フッ素ガスと反応させた場合には、圧力が高くなるにしたがって、C1s電子について、原子核への結合エネルギー(B.E.)が大きくなり、ナノダイヤモンド粒子の表面にフッ素が順次導入されていることがわかる。
しかし、フッ素ガスの圧力が高くなると、そのピークの頂部が低エネルギー側にシフトし、最終的には原子核への結合エネルギー289eV付近に頂部を有する非対称なプロファイルを示すようになる。これは、ナノダイヤモンド粒子の表面における結合手数を超える過剰量のフッ素が導入されたことにより、部分的な結合の切断などが生じ、−CHF−や−CF2−という結合状態を有する炭素原子が減少するとともに、少量の−CF3という結合状態などが生じ、その結果、原子核への結合エネルギー288eV付近のCHFやCF2という結合状態を有する炭素原子のピークおよび粒子内部の基本構造を支持する炭素に由来する原子核への結合エネルギー285eV付近のピークに加え、−CF3という結合状態を持つ炭素に由来する原子核への結合エネルギー290eV付近のピークを、それぞれの結合状態にある炭素原子の試料表面における濃度比率に比例した強度比率で加算し、合成した形状として出現したことによるものと考えられる。
また、図2(b)に示された結果から、C−F結合に基づくと考えられるF1s電子についての原子核への結合エネルギー689eV付近のピークが観測され、その強度は、フッ素ガスの圧力を大きくすることによって増大した。
以上のことから、反応時のフッ素ガスの圧力が高くなるにしたがってナノダイヤモンド粒子の表面により多くのフッ素が導入されることがわかる。
さらに実験を進め、フッ素ガスの圧力13.3kPaにてフッ素化されたナノダイヤモンド粒子(製造例2)についてAr+エッチングを行なったところ、そのC1sXPSスペクトルおよびF1sXPSスペクトルは、いずれもフッ素化させる前のナノダイヤモンド粒子(比較製造例1)と同様であった。このことから、フッ素化は、ナノダイヤモンド粒子のごく表面でのみ進行し、その内部はフッ素化されていないと考えられる。
製造例5〜6
製造例1において、フッ素ガスの圧力およびフッ素化の時間を0.67kPaで1時間から、1.3kPaで1時間(製造例5)または101.3kPaで12時間(製造例6)に変更したこと以外は、製造例1と同様にして、フッ素化されたナノダイヤモンド粒子を製造した。
実施例1
製造例5で得られたフッ素化されたナノダイヤモンド粒子を非プロトン性極性有機溶媒(プロピレンカーボネート)100質量部あたり0.1質量部の割合で当該非プロトン性極性有機溶媒中に投入し、得られた混合溶液を透明ガラス容器に入れ、軽く振とうすることにより、フッ素化炭素微粒子分散液を得た。
得られたフッ素化炭素微粒子分散液の外観を図3(a)に示す。図3(a)は、このフッ素化炭素微粒子分散液の図面代用写真である。
次に、このフッ素化炭素微粒子分散液に超音波洗浄機で1時間超音波を照射したところ、このフッ素化炭素微粒子分散液は、透明となった。このフッ素化炭素微粒子分散液の外観を図3(b)に示す。図3(b)は、このフッ素化炭素微粒子分散液の図面代用写真である。
図3(a)および(b)に示された結果から、実施例1で得られたフッ素化炭素微粒子分散液は、超音波を照射することにより、フッ素化炭素微粒子を均一に分散させることができることがわかる。
実施例2
実施例1において、製造例5で得られたフッ素化されたナノダイヤモンド粒子の代わりに、製造例1で得られたフッ素化されたナノダイヤモンド粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてフッ素化炭素微粒子分散液を調製した。
比較例1
実施例1において、製造例5で得られたフッ素化されたナノダイヤモンド粒子の代わりに、比較製造例1のフッ素化させる前のナノダイヤモンド粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてフッ素化炭素微粒子分散液を調製した。
次に、実施例1および2で得られたフッ素化炭素微粒子分散液ならびに比較例1で得られたフッ素化されていない炭素微粒子の分散液に超音波洗浄機で1時間超音波を照射し、24時間放置した後の粒度分布を、動的光散乱式粒度分布計を用いて測定した。実施例1で得られたフッ素化炭素微粒子分散液、実施例2で得られたフッ素化炭素微粒子分散液および比較例1で得られたフッ素化されていない炭素微粒子の粒度分布をそれぞれ順に図4のa〜cに示す。
図4に示された結果から、実施例1〜2で得られたフッ素化炭素微粒子分散液を超音波で均一な組成となるように分散させると、フッ素化炭素微粒子が解砕され、その分散状態が維持されることがわかる。
これらのことから、フッ素化炭素微粒子分散液に含まれるフッ素化されたナノダイヤモンド粒子を均一な組成となるように分散させることにより、一次粒子または一次粒子に近い大きさに解砕された粒子が生じ、その粒子が安定して分散することがわかる。
製造例7
製造例1において、フッ素ガスの圧力を0.67kPaから6.66kPaに変更するとともにフッ素化の際の温度を室温から400℃に変更したこと以外は、製造例1と同様にして、フッ素化されたナノダイヤモンド粒子を製造した。
次に、前記で得られたフッ素化されたナノダイヤモンド粒子の粉末X線回折を調べたところ、その粉末X線回折は、比較製造例1のフッ素化させる前のナノダイヤモンド粒子の粉末X線回折と同様であった。このことから、ナノダイヤモンド粒子をフッ素化させても、当該ナノダイヤモンド粒子の内部構造は影響を受けないことがわかる。
なお、前記粉末X線回折は、粉末X線回折測定装置〔(株)島津製作所製、商品名:粉末X線回折測定装置XD−6100〕を用いて測定し、そのときの測定条件は、電圧:40kV、電流:30mA、走査モード:連続スキャン、走査範囲:40〜160°、走査速度:2.0°/min、雰囲気:大気とした。
製造例8〜9
製造例1において、フッ素ガスの圧力を0.6kPaから1.3kPa(製造例8)または80.0kPa(製造例9)に変更したこと以外は、製造例1と同様にして、フッ素化されたナノダイヤモンド粒子を製造した。各製造例で得られたフッ素化されたナノダイヤモンド粒子は、製造例1と同様に、多数の一次粒子に近い微小粒子が存在していることが確認された。
製造例10
製造例7で得られたフッ素化されたナノダイヤモンド粒子を、さらに製造例7と同様にしてフッ素ガスの圧力6.66kPa、フッ素化の際の温度400℃で、フッ素化させる操作を4回繰り返した後、その粉末X線回折を調べた。その粉末X線回折図を図5のxに示す。
また、参考のため、比較製造例1のフッ素化させる前のナノダイヤモンド粒子についても粉末X線回折を調べた。その粉末X線回折図を図5のyに示す。
図5に示されるように、製造例10で得られたフッ素化されたナノダイヤモンド粒子には、フッ素化が5回施されているが、そのフッ素化されたナノダイヤモンド粒子のX線回折が比較製造例1のフッ素化させる前のナノダイヤモンド粒子のX線回折と同様であった。
このことから、ナノダイヤモンド粒子をフッ素化させても、その結晶構造が変化しないので、フッ素化は、ナノダイヤモンド粒子のごく表面でのみ進行し、その内部がフッ素化されていないと考えられる。
実施例3〜10および比較例2
表1に示すように、製造例1〜8のいずれかで得られたフッ素化されたナノダイヤモンド粒子0.01gまたは比較製造例1のナノダイヤモンド粒子0.01gと表1に示す有機溶媒10mLとを試験管内に入れ、室温中にて超音波洗浄機で1時間超音波を照射することによって分散させた。
各実施例で得られたフッ素化炭素微粒子分散液および比較例2で得られた炭素微粒子分散液の物性として、分散安定性およびナノダイヤモンド粒子の平均粒子径を以下の方法に基づいて調べた。その結果を表1に併記する。
〔分散安定性〕
前記で得られた分散液を垂直に保持して放置し、24時間経過後に試験管の丸底部に生じた沈殿物の直径を測定し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:沈殿物の直径が3mm未満
○:沈殿物の直径が3mm以上7mm未満
△:沈殿物の直径が7mm以上10mm未満
×:沈殿物の直径が10mm以上
〔平均粒子径〕
分散液が入っている各試験管を垂直状態で24時間静置した後、各試験管の丸底部に生じている沈殿物を分離することによって除去した透明性のある分散液に含まれているナノダイヤモンド粒子の粒径分布をゼータ電位・粒径測定システム〔大塚電子(株)製、品番:ELSZ−2〕で測定した後、ヒストグラムの統計処理を行なうことにより、そのナノダイヤモンド粒子の平均粒子径を求めた。
なお、表1中、有機溶媒の各略号は、以下のことを意味する。
〔非プロトン性極性有機溶媒〕
PC:プロピレンカーボネート
CP:シクロペンタノン
GB:γ−ブチルラクトン
MP:N−メチル−2−ピロリドン
DFA:N,N−ジメチルホルムアミド
AN:アセトニトリル
THF:テトラヒドロフラン
〔プロトン性極性有機溶媒〕
IPA:イソプロピルアルコール
DMC:ジメチルカーボネート
DME:ジメトキシエタン
MEK:メチルエチルケトン
〔非極性有機溶媒〕
TOL:トルエン
EDA:エチレンジアミン
表1に示された結果から、各実施例で得られたフッ素化炭素微粒子の非プロトン性極性有機溶媒分散液は、各実施例で得られたフッ素化炭素微粒子のプロトン性極性有機溶媒分散液および非極性有機溶媒分散液と対比して、分散安定性に優れていることがわかる。
また、各実施例で得られたフッ素化炭素微粒子の非プロトン性極性有機溶媒分散液は、比較例2で得られたフッ素化炭素微粒子の非プロトン性極性有機溶媒、プロトン性極性有機溶媒分散液および非極性有機溶媒分散液と対比して、分散安定性に優れていることがわかる。
さらに、実施例4および実施例6で得られたフッ素化炭素微粒子分散液は、そのフッ素化炭素微粒子粒子径が100nm以上であり、分散安定性の評価が△〜○であるのに対し、実施例1〜3、5および7〜8で得られたフッ素化炭素微粒子分散液は、そのフッ素化炭素微粒子粒子径が90nm未満であるとともに、分散安定性の評価が○〜◎であるので分散安定性に優れている。このことから、実施例1〜3、5および7〜8で得られたフッ素化炭素微粒子分散液では、フッ素ガス雰囲気中で炭素微粒子を0.1〜80kPaの減圧下でフッ素化させることによって得られたフッ素化炭素微粒子が用いられているので、分散安定性がより一層優れていることがわかる。
実験例
各実施例で得られたフッ素化炭素微粒子分散液または比較例2で得られた炭素微粒子分散液100mLと酸化チタン〔石原産業(株)製、品番:CR−97〕5gとアルミニウムペースト〔東洋アルミニウム(株)製、商品名:アルペースト7160〕5gとを混合することにより、有機溶媒系塗料を調製した。
得られた塗料を平滑な表面を有するダル鋼板に完走後の塗膜の厚さが約20μmとなるようにバーコーターにて塗布し、100℃の雰囲気中で30分間乾燥させることにより、塗膜を形成させた。
形成された塗膜を目視にて観察したところ、各実施例で得られたフッ素化炭素微粒子分散液が用いられた塗料で形成された塗膜は、いずれも平滑であり、塗膜の均一性に優れていることが確認された。これに対して、比較例2で得られた炭素微粒子分散液が用いられた塗料で形成された塗膜には、凹凸が観察され、塗膜の平滑性に劣っていた。
次に、形成された塗膜の物性として、耐摩耗性を以下の方法に基づいて調べた。その結果を表2に示す。
〔耐摩耗性〕
約200kPaの荷重を綿布にかけながら、この綿布を塗膜面上に5回往復させた後、その塗膜面を目視により観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
○:塗膜面には傷が見当たらない。
△:塗膜面には支障のない程度の傷が見受けられる。
×:塗膜面に支障をきたす傷が見受けられる。
表2に示された結果から、各実施例で得られたフッ素化炭素微粒子分散液が用いられている有機溶媒系塗料は、いずれも、プロトン性極性有機溶媒分散液におけるフッ素化炭素微粒子の分散安定性が優れているので、当該塗料から形成された塗膜は、塗膜の均一性に優れるのみならず、耐摩耗性にも優れていることがわかる。さらに、実施例1〜3、5および7〜8で得られたフッ素化炭素微粒子分散液が用いられている有機溶媒系塗料は、耐摩耗性により一層優れていることがわかる。
実施例9〜16および比較例3
表3に示す有機溶媒105.3mLをガラス製ビーカーに入れた後、各製造例で得られたフッ素化炭素微粒子または比較製造例1で得られた炭素微粒子1.0gを別々に入れ、超音波洗浄機〔アズワン(株)製、品番:UT−106H〕を用いて超音波を照射することにより、フッ素化炭素微粒子または炭素微粒子の解砕および分散を行ない、フッ素化炭素微粒子分散液または炭素微粒子分散液を得た。
次に、前記で得られた分散液に、室温で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂〔東都化成(株)製、品番:YD−8125〕10.0gを添加し、攪拌機〔アズワン(株)製、商品名:トルネード スタンダード SM−102〕を用いて混練し、塗料を調製した。
得られた塗料を平滑な表面を有する鉄製ハルセル試験板にスピンコーターにて塗布し、室温で真空乾燥することにより、塗膜を形成させた。
形成された塗膜を目視にて観察したところ、各製造例で得られたフッ素化炭素微粒子を用いて調製されたフッ素化炭素微粒子分散液を含有する塗料で形成された塗膜は、平滑であり、塗膜の均一性に優れていることが確認された。これに対して、比較製造例1で得られた炭素微粒子を用いて調製された炭素微粒子分散液を含有する塗料で形成された塗膜は、その表面に凹凸が観察され、塗膜の平滑性に劣っていることが確認された。
次に、形成された塗膜の物性として、耐摩耗性を以下の方法に基づいて調べた。その結果を表3に示す。
〔耐摩耗性の測定方法〕
ボール・オン・ディスク型摩擦試験機〔レスカ(株)製、品番:FPR−2000〕を用い、塗膜が形成されている試料の塗膜に5Nの一定荷重でステンレス小球を押し付け、両者を一定の相対速度で摺動させ、そのときの摩擦係数の相対移動距離に対する変化を測定し、以下の評価基準に基づいて耐摩耗性を評価した。
(評価基準)
○:摩擦係数の急激な変動が起きまるでのボールの走行距離が80m以上
△:摩擦係数の急激な変動が起きまるでのボールの走行距離が50m以上80m未満
×:摩擦係数の急激な変動が起きるまでのボールの走行距離が50m未満
なお、表3において、製造例番号および比較製造例番号は、それぞれ、その製造例番号で得られたフッ素化炭素微粒子またはその比較製造例で得られた炭素微粒子が使用されていることを意味する。
表3に示された結果から、各製造例で得られたフッ素化炭素微粒子が用いられた塗料は、分散安定性に優れていることから、当該塗料から形成された塗膜は、塗膜の均一性に優れているのみならず、耐摩耗性にも優れていることがわかる。
以上の結果から、本発明のフッ素化炭素微粒子分散液は、フッ素化炭素微粒子の分散安定性に優れていることがわかる。また、本発明の有機溶媒系塗料から形成された塗膜は、それに含まれているフッ素化炭素微粒子が分散安定性に優れているので、耐摩耗性および均一性に優れることがわかる。
本発明のフッ素化炭素微粒子分散液は、例えば、塗料、研磨剤、エンジニアリングプラスチックス、接着剤などの用途などに使用することが期待される。

Claims (8)

  1. フッ素化炭素微粒子を非プロトン性極性有機溶媒中に分散させてなるフッ素化炭素微粒子分散液。
  2. 非プロトン性極性有機溶媒の溶解度パラメータが15(MJ/m31/2以上である請求項1に記載のフッ素化炭素微粒子分散液。
  3. フッ素化炭素微粒子が、フッ素ガス雰囲気中で炭素微粒子を0.1〜80kPaの減圧下でフッ素化させてなるフッ素化炭素微粒子である請求項1または2に記載のフッ素化炭素微粒子分散液。
  4. 炭素微粒子が、ダイヤモンド微粒子である請求項1〜3のいずれかに記載のフッ素化炭素微粒子分散液。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のフッ素化炭素微粒子分散液を含有してなる有機溶媒系塗料。
  6. フッ素ガス雰囲気中で炭素微粒子を0.1〜80kPaの減圧下でフッ素化させ、得られたフッ素化炭素微粒子を非プロトン性極性有機溶媒中に分散させることを特徴とするフッ素化炭素微粒子分散液の製造方法。
  7. 炭素微粒子の凝集体をフッ素化させる際のフッ素ガス雰囲気の温度が0〜500℃である請求項6に記載のフッ素化炭素微粒子分散液の製造方法。
  8. 炭素微粒子が、ダイヤモンド微粒子である請求項6または7に記載のフッ素化炭素微粒子分散液分散液の製造方法。
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