JP2022141437A - 表面処理金属酸化物粒子の分散液及びその製造方法 - Google Patents

表面処理金属酸化物粒子の分散液及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属酸化物粒子の表面に、有機珪素化合物が精密に担持された分散媒中あるいは樹脂中で分散性が高い表面処理金属酸化物粒子を提供する。【解決手段】この表面処理金属酸化物粒子の分散液は、金属酸化物粒子100質量部に対して、官能基を有する有機珪素化合物を固形分として3~60質量部含む。分散液から該粒子を除いた液中の有機珪素化合物は、金属酸化物粒子に対して、固形分として0.20質量部以下である。該粒子の画像解析による一次粒子径の平均(D)は5~120nm、これと、動的光散乱法による平均粒子径(L)との比(L/D)は1.0~1.5である。この分散液によれば、基材との密着性に優れ、高い硬度と強度とを有する被膜を作製可能な塗布液が得られる。【選択図】なし

Description

本発明は、官能基を有する有機珪素化合物で表面処理された金属酸化物粒子の分散液及びその製造方法に関する。
従来、ガラス、プラスチックシート、プラスチックレンズ等の基材表面、表示装置等の鉛筆硬度(硬度)と耐擦傷性(強度)を向上させるために、基材表面にハードコート機能を有する透明被膜を形成させることが知られている。具体的には、透明性を有する有機樹脂膜或いは無機膜をガラスやプラスチック、表示装置基材等の表面に形成させている。この時、被膜中に、シリカ等の粒子を配合することによって、基材との密着性、強度等が向上することが知られている。他にも、被膜中に、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の高屈折率粒子を配合することによって、被膜と基材との屈折率差を縮小させて干渉縞が抑制されることや、被膜中に、五酸化アンチモン、錫ドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化錫等の導電性粒子を配合することによって、帯電防止性能が付与されることが知られている。このような金属酸化物粒子を用いる場合、マトリックス成分への分散性を向上させるために、有機珪素化合物で表面処理することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
有機珪素化合物で表面処理された金属酸化物粒子には、粒子表面のOH基と有機珪素化合物とが化学結合している層と、両者が物理吸着している層がある。この化学結合層が存在することで樹脂中の粒子同士の凝集を抑制する効果があり、物理吸着層が存在することで樹脂への相溶性が向上することが知られている(例えば、特許文献2、3参照)。
WO2011/059081号 特開2005-298740号公報 特開2015-189637号公報
有機珪素化合物で表面処理された金属酸化物粒子を使用した被膜付基材は、高い硬度と強度とを要求される。ところで、金属酸化物粒子に物理吸着している有機珪素化合物がある場合、粒子の樹脂への相溶性向上による硬度及び強度の向上が期待される。ところが、このような表面処理金属酸化物粒子を使用した被膜付基材は、硬度及び強度の向上が不十分である。これは、金属酸化物粒子に対して、物理吸着している有機珪素化合物と、未反応の有機珪素化合物との少なくとも一方が存在していると、金属酸化物粒子と樹脂とが化学結合して三次元的に架橋することを阻害するため、被膜としての緻密性が不十分となるためと思われる。そのため、より精密に表面処理された金属酸化物粒子が要求される。また、この粒子には、分散媒中あるいは樹脂中で分散性が高いことが要求されている。更に、この粒子を使用した被膜付基材には、粒子の凝集が抑制されていて、十分な硬度と強度とを有することが要求されている。
このような課題を解決するため、以下のような表面処理金属酸化物粒子の分散液を見出した。この分散液は、金属酸化物粒子100質量部に対して、官能基を有する有機珪素化合物を固形分として3~60質量部含む表面処理金属酸化物粒子を含む。分散液から表面処理金属酸化物粒子を除いた液中の有機珪素化合物は、金属酸化物粒子に対して、固形分として0.20質量部以下である。
この表面処理金属酸化物粒子の画像解析による一次粒子径の平均(D)は、5~120nmである。また、これと、動的光散乱法による平均粒子径(L)との比(L/D)は、1.0~1.5である。
この表面処理金属酸化物粒子は、高い分散性を有する。また、マトリックス形成成分との重合点を多く有し、かつ、マトリックス形成成分との重合を阻害する「未反応、及び物理吸着している有機珪素化合物」の量が少ない。このような粒子を含む塗布液によれば、高い硬度と高い強度とを有する被膜付基材が得られる。
この表面処理金属酸化物粒子を得るために、以下のような製造方法を見出した。
まず、金属酸化物粒子を含む分散液を準備して、これに、下記式(1)で表される有機珪素化合物を加えて、金属酸化物粒子を表面処理する(第一工程)。次に、この表面処理後の金属酸化物粒子の分散液から、有機珪素化合物を除去する(第二工程)。
-SiX4-n ・・・式(1)
(式中、Rは炭素数1~10の非置換又は置換炭化水素基で、互いに同一であっても異なっていてもよい。置換基としては、例えば、アルキル基、ビニル基、エポキシ基、アルコキシ基、(メタ)アクリロキシ基、メルカプト基、グリシドキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、フェニル基、フェニルアミノ基が挙げられる。Xは炭素数1~4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、水素原子であり、nは0~4の整数を示す。)
前記第二工程で得られた分散液中の表面処理金属酸化物粒子の性状は、前述の表面処理金属酸化物粒子の分散液の性状に準じる。
本発明の表面処理金属酸化物粒子の分散液によれば、基材との密着性に優れ、高い硬度と強度とを有する被膜を作製可能な塗布液が得られる。
[表面処理金属酸化物粒子の分散液]
本発明に係る表面処理金属酸化物粒子(以下、これを単に「粒子」ということがある)の分散液(以下、これを単に「分散液」ということがある)について説明する。
分散液中の粒子は、金属酸化物粒子100質量部に対して、官能基を有する有機珪素化合物を固形分として3~60質量部含む。また、分散液から粒子を除いた液中の有機珪素化合物の量は、金属酸化物粒子100質量部に対して、固形分として0.20質量部以下である。
この粒子の画像解析による一次粒子径の平均(D)は、5~120nmである。また、これと、粒子の動的光散乱法による平均粒子径(L)との比(L/D)は、1.0~1.5である。
粒子は、表面処理剤(式(1)で表される有機珪素化合物)に由来する官能基を含んでいる。その官能基は、ビニル基、エポキシ基、アルコキシ基、(メタ)アクリロキシ基、メルカプト基、グリシドキシ基、ハロゲン基、アミノ基、フェニル基及びフェニルアミノ基から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。これらの中でも、ビニル基、エポキシ基、アルコキシ基、(メタ)アクリロキシ基、アミノ基、メルカプト基が高い重合能を有する点で、より好ましい。
金属酸化物粒子に対する有機珪素化合物の固形分は、熱重量測定から算出できる。500℃の加熱により、金属酸化物粒子、及び、有機珪素化合物由来の珪素分は残存する。そこで、遠心分離により、表面処理金属酸化物粒子のみを取り出して、これを500℃で加熱して、その加熱前後の質量減少量を測定し、金属酸化物粒子量との差から、有機珪素化合物由来の珪素分量を求める。次に、これを、表面処理に使用される有機珪素化合物の構造から、有機珪素化合物由来の固形分(R-SiO(4-n)/2)量に換算することで、有機珪素化合物の固形分量を算出できる。
粒子が、金属酸化物粒子100質量部に対して、有機珪素化合物を固形分として3~60質量部含んでいると、粒子は凝集や沈降せずに分散液中に存在できる。また、塗布液中や被膜中でも分散性が良く、この粒子を使用すると、高い硬度及び強度を持つ被膜を得ることができる。
ここで、有機珪素化合物の量が3質量部よりも少ないと、十分な分散性や安定性が得られず、この粒子を被膜に使用した場合、十分な硬度及び強度を持つ被膜が得られないおそれがある。逆に、60質量部を超えても更に分散性や安定性が向上することもなく、被膜の硬度及び強度についても向上することもない。この有機珪素化合物の量は、好ましくは3~45質量部、より好ましくは3~30質量部である。
分散液から粒子を除いた液中の有機珪素化合物の量は、GC-MS測定から算出できる。遠心操作により、粒子は沈降するのに対し、金属酸化物粒子と反応していない未反応の有機珪素化合物は上清側に抽出される。この上清液についてGC-MS測定を行うことで、分散液から粒子を除いた液中の有機珪素化合物を算出できる。
分散液から粒子を除いた液中の有機珪素化合物の量が、金属酸化物粒子100質量部に対して、固形分として0.20質量部以下であることは、未反応の有機珪素化合物及び物理吸着している有機珪素化合物が少ないことを表している。ここで、このような有機珪素化合物の量が0.20質量部を超えて存在していると、この粒子を被膜に使用した場合、十分な硬度及び強度を持つ被膜が得られないおそれがある。これは、未反応の有機珪素化合物や物理吸着している有機珪素化合物が存在すると、被膜形成時のマトリックス形成成分の重合度が低下し、緻密な膜が得られないためである。この有機珪素化合物の量は、好ましくは0.10質量部以下、より好ましくは0.08質量部以下、更に好ましくは0.05質量部以下であり、特に好ましくは実質的に0質量部である。ここで、「実質的に0質量部」とは、有機珪素化合物が測定機器の検出限界未満であることを意味する。
このように、本発明の粒子は、金属酸化物粒子表面のOH基と化学結合している「官能基を有する有機珪素化合物」を必要量有し、「未反応、及び物理吸着している有機珪素化合物」の含有量を抑制されていること、すなわち、「精密な表面処理」が成されていることが特徴の一つである。
粒子の画像解析による一次粒子径の平均(D)は、5~120nmである。一次粒子径の平均(D)が、この範囲にあると、分散液中で粒子が凝集したり沈降したりせずに存在できる。また、塗布液中や被膜中でも分散性が良く、高い透明性と硬度及び強度を持つ被膜が得られる。
ここで、一次粒子径の平均(D)が5nm未満の粒子は、得ること自体が困難である。逆に、120nmを超えると、透明な被膜が得られないおそれがある。この平均(D)は、好ましくは5~100nm、より好ましくは7~80nm、更に好ましくは7~50nmである。
粒子の動的光散乱法による平均粒子径(L)と、一次粒子径の平均(D)との比(L/D)は、1.0~1.5である。比(L/D)がこの範囲にあることは、凝集粒子の割合が少なく、単分散状態であることを表している。そのため、分散媒中あるいはマトリックス形成成分中で粒子の分散性が高い。また、被膜付基材にした場合、高い硬度、強度、及び透明性が得られる。
ここで、比(L/D)が1.5を超えると、十分な被膜の硬度、強度、及び透明性が得られないおそれがある。
比(L/D)は、好ましくは1.0~1.4、より好ましくは1.0~1.3である。
金属酸化物粒子は、Si、Al、Sn、Sb、Ti、Zr、Zn、W、Fe、In、Baから選ばれる元素を少なくとも1種含むことが好ましい。これらの酸化物は、単独でも、混合物でも、複合酸化物でも構わない。ただし、金属酸化物粒子中の含有量は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは98質量%以上、特に好ましくは100質量%である。
パルスNMRとは、静磁場内で熱平衡状態にある磁化をパルス状の数十MHzのラジオ波を照射して励起させ、励起された磁化が時間の経過とともに元の熱平衡状態に戻る現象を観測する測定方法である。ここで、粒子表面に接触又は吸着している液体分子と、粒子表面と接触していない自由な状態の液体分子とでは、磁場の変化に対する応答が異なる。
一般に、粒子表面に吸着している液体分子の運動は制限を受けるが、粒子表面に吸着していない液体分子は自由に動くことができる。その結果、粒子表面に吸着している液体分子の緩和時間は、それ以外の液体分子の緩和時間よりも短くなる。粒子を分散させた液体で観測される緩和時間は、粒子表面上の液体体積濃度と自由状態の液体体積濃度とを反映した二つの緩和時間の平均値となる。
有機珪素化合物によって表面処理された金属酸化物粒子の分散液中には、金属酸化物粒子と化学結合した有機珪素化合物以外に、金属酸化物粒子と化学結合しなかった未反応の有機珪素化合物、及び物理吸着しているだけの有機珪素化合物が存在することがある。これらの有機珪素化合物は、金属酸化物粒子に比べ非常に小さい分子量であるため、非常に大きな比表面積を有する。また、分散液中の粒子に対して、これら未反応、及び物理吸着しているだけの有機珪素化合物に吸着している液体分子は運動を制限されるため、分散液中に未反応、及び物理吸着しているだけの有機珪素化合物が存在する場合、測定される緩和時間は短くなる、すなわち、緩和時間から算出される比表面積は大きい値となる。
ところで、パルスNMR測定から求められる分散液中の粒子の比表面積(A1)は、分散媒に濡れている部分の粒子の比表面積を示す。有機珪素化合物によって表面処理された金属酸化物粒子は、有機珪素化合物と粒子表面のOH基の反応により粒子表面のOH基が少なくなっているため、親水性の分散媒に濡れている部分の粒子の比表面積は小さい値となる。これに対して、未反応の有機珪素化合物や、有機珪素化合物が物理吸着しているだけの金属酸化物粒子は、OH基が残存していることから、これらが分散液中に存在した場合、親水性の分散媒へ濡れている部分の比表面積は大きな値となる。このことから、この比表面積(A1)は、金属酸化物粒子への有機珪素化合物の表面処理(化学結合)の度合や、分散液中の未反応有機珪素化合物及び物理吸着しているだけの有機珪素化合物の量によっても値が変化する。なお、比表面積(A1)は、測定時の分散媒の種類によっても値が変化する。
一方、金属酸化物粒子の一次粒子径の平均(F)から求められる比表面積(A2)は、BET法による比表面積とおおよそ一致する。したがって、「表面処理された金属酸化物粒子」の比表面積(A1)と、「表面処理されていない金属酸化物粒子」の比表面積(A2)との比(A1/A2)は、粒子表面の疎水化度や、分散液中の未反応有機珪素化合物及び物理吸着しているだけの有機珪素化合物の量の多少の指標となる。ここで、表面処理金属酸化物粒子のメタノール分散液のパルスNMR測定から得られる比表面積(A1)と、金属酸化物粒子の一次粒子径の平均(F)から求められる比表面積(A2)との比(A1/A2)は、0.80以下であることが好ましい。比(A1/A2)がこの範囲にあることは、粒子表面が十分に疎水化されていること、かつ分散液中の未反応の有機珪素化合物及び物理吸着しているだけの有機珪素化合物が少ないことを表している。このような粒子を使用すると、塗布液中や被膜中でも分散性が良く、高い透明性と硬度及び強度を持つ被膜が得られる。
ここで、比(A1/A2)が0.80を超えると、粒子表面の疎水化が不十分であるおそれや、分散液中に未反応の有機珪素化合物及び物理吸着しているだけの有機珪素化合物が多く存在しているおそれがある。比(A1/A2)の下限は、特に設定されないが、粒子径を考慮すると、例えば0.30である。比(A1/A2)は、より好ましくは0.70以下、更に好ましくは0.65以下である。
粒子の比表面積(A1)については、下記式(2)で求められる金属酸化物粒子の体積濃度(Ψp)を用いて、式(3)により得られる。
Ψp=(Sc/Sd)/[(1-Sc)/Td] ・・・式(2)
(ただし、式中、Scは分散液の金属酸化物粒子の固形分濃度(質量%)、Sdは金属酸化物粒子の構成成分の密度(g/cm)、及びTdは25℃における分散媒の密度(g/cm)を示す。)
ここで、固形分濃度とは、対象の物質(ここでは、金属酸化物粒子)を分散液中の固形分として換算した濃度である(以下同様)。なお、Sdは、例えば、金属酸化物粒子の構成成分がシリカの場合は2.2、アルミナの場合は3.9、酸化スズの場合は6.9、酸化アンチモンの場合は5.2、チタニア(アナターゼ)の場合は3.9、チタニア(ルチル)の場合は4.3、ジルコニアの場合は6.0、酸化亜鉛の場合は5.6、酸化タングステンの場合は7.2、酸化鉄(III)の場合は5.2、酸化インジウムの場合は7.2、酸化バリウムの場合は5.7を用いる。なお、金属酸化物粒子が、複合酸化物粒子や、酸化物が混合している粒子、酸化物粒子の混合物といった場合は、Sdは、その酸化物の割合に応じて求めることができる。また、Tdは、例えば、分散媒がメタノールの場合は0.79を用いる。もし、他の種類の分散媒あるいは分散媒の混合物を使用する場合は、それに応じた密度を用いる。
A1={[(Ra/Rb)-1]×Rb}/(Ka×Ψp) ・・・式(3)
(ただし、式中、A1は粒子の比表面積(m/g)、Raは分散液の測定におけるパルスNMRの緩和時間の逆数、及びRbは分散媒の測定におけるパルスNMRの緩和時間の逆数、Kaは使用する分散媒と金属酸化物粒子による係数を示す。)
係数Kaは、金属酸化物粒子の一次粒子径の平均(F)から得られる比表面積(A2)と、金属酸化物粒子の分散液のパルスNMR測定により得られる比表面積(A3)とが同じ値になるものとして算出される。
金属酸化物粒子の比表面積(A2)については、金属酸化物粒子の一次粒子径の平均(F)を用いて、下記式(4)により比表面積(A2)を求めることができる。
A2=6000/Sd/F ・・・式(4)
(式中、Sdは、金属酸化物粒子の密度(g/cm)を示す。)
金属酸化物粒子の比表面積(A3)については、式(2)で求められる金属酸化物粒子の体積濃度(Ψp)を用いて、式(5)により得られる。
A3={[(Rc/Rd)-1]×Rd}/(Ka×Ψp) ・・・式(5)
(ただし、式中、A3は金属酸化物粒子の比表面積(m/g)、Rcは金属酸化物粒子の分散液の測定におけるパルスNMRの緩和時間の逆数、及びRdは分散媒の測定におけるパルスNMRの緩和時間の逆数、Kaは使用する分散媒と金属酸化物粒子による係数を示す。)
ここで、係数Kaは、比表面積(A2)と比表面積(A3)とが同じ値になるように設定されるので、式(4)及び式(5)より、
Ka={[(Rc/Rd)-1]×Rd}/(Ψp×A2) ・・・式(6)
として求めることができる。
分散液の分散媒及び濃度は、液中で粒子が凝集や沈殿を生じることなく安定して分散していれば特に限定されない。
分散媒としては、例えば、アルコール類、エステル類、グリコール類、エーテル類、ケトン類等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
分散液の濃度は、金属酸化物としての固形分濃度が0.1~50質量%であることが好ましい。ここで、濃度が0.1質量%未満だと、塗布液の製造に際して加工に時間がかかるおそれがある。逆に、50質量%を超えると、分散液の安定性が低下したりするおそれがある。分散液の濃度は、より好ましくは5~45質量%、更に好ましくは10~40質量%である。
粒子の不純分であるアルカリ金属及びアルカリ土類金属に属する元素の各々の含有量は、当該元素を酸化物で表した時、粒子に対して、500ppm以下が好ましい。これにより、粒子の合着が少なくなるため、分散液や塗布液の安定性が高い。また、粒子が塗布液中や被膜中で均一に分散され、高い硬度と強度とを有する被膜が得られる。
ここで、各々の含有量が500ppmよりも多いと、粒子同士が固着する割合が増え、十分な分散液や塗布液の安定性が得られなかったり、十分な被膜の硬度及び強度が得られなかったりするおそれがある。含有量は、より好ましくは100ppm以下である。なお、アルカリ金属とは、Li、Na、K、Rb、Cs、Frを、アルカリ土類金属とは、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Raを表す。
なお、粒子の形状は、特に限定されない。例えば、球状、楕球体(ラグビーボール)状、繭状、金平糖状、鎖状、サイコロ状などが挙げられる。中でも、球状粒子は、分散性が高く、被膜中で均一に分散できるため好ましい。
[表面処理金属酸化物粒子の分散液の製造方法]
本発明に係る表面処理金属酸化物粒子の分散液の製造方法は、金属酸化物粒子を式(1)で表される有機珪素化合物で表面処理する第一工程と、この第一工程で得られた表面処理された金属酸化物粒子の分散液から、有機珪素化合物を除去する第二工程とを順に含む。これによって、分散性が高い表面処理金属酸化物粒子の分散液が得られる。
このようにして製造された表面処理金属酸化物粒子は、凝集が抑制されていて、被膜に使用された場合、十分な硬度と強度とを有する。以下に、各工程について述べる。
[第一工程]
本工程で出発物質として準備する金属酸化物粒子は、Si、Al、Sn、Sb、Ti、Zr、Zn、W、Fe、In、Baから選ばれる元素を少なくとも1種含む酸化物が好ましい。これらの酸化物は、単独でも、混合物でも、複合酸化物でも構わない。ただし、粒子中の含有量は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは98質量%以上、特に好ましくは100質量%である。
表面処理は、まず、金属酸化物粒子の分散液を準備する。分散媒としては、水や、メタノール、エタノールといったアルコール類を使用することが好ましい。これに、所定量の式(1)で表される有機珪素化合物を加えて、有機珪素化合物を加水分解して行う。この加水分解には、必要に応じて水を添加することも可能である。添加する水のモル数(Mw)と有機珪素化合物のモル数(Mo)との比(Mw/Mo)は、1以上であることが好ましい。ここで、比(Mw/Mo)が1未満の場合は、加水分解が不十分となり、被膜の硬度や強度、透明性、及びヘイズ等が不十分となるおそれがある。比(Mw/Mo)の上限は特に設定されないが、比(Mw/Mo)が200を超えると、加水分解反応が激しくなり、有機珪素化合物同士が重合し、金属酸化物表面への効率的な有機珪素化合物処理ができないおそれがあるため、例えば200である。この比(Mw/Mo)は、より好ましくは1~100である。
また、この加水分解においては、必要に応じて、加水分解用触媒として酸又はアルカリを使用することも可能である。中でもアンモニアが好ましい。アンモニアを用いると、分散液中に残存しても除去が容易であり、分散液の安定性が維持されやすい。添加するアンモニアのモル数(M)と有機珪素化合物のモル数(Mo)との比(M/Mo)は、0.005~5の範囲にあることが好ましい。ここで、比(M/Mo)が0.005未満の場合は、加水分解が不十分となり、被膜の硬度や強度、透明性、及びヘイズ等が不十分となるおそれがある。この比(M/Mo)が5を超える場合は加水分解反応が激しくなり、有機珪素化合物同士が重合し、金属酸化物表面への効率的な有機珪素化合物処理ができないおそれがある。
表面処理は、均一系で行うことが好ましく、金属酸化物粒子と有機珪素化合物との化学結合を促進させるために、分散媒の沸点未満の温度(例えば、室温~120℃)で0.5~48時間加熱することが好ましい。
この表面処理によって金属酸化物粒子の表面と有機珪素化合物とが化学結合された粒子は、被膜付基材に使用する場合、基材との密着性が高く、高い硬度と強度とを有する。
有機珪素化合物としては、例えば、表1に示すものが挙げられる。これらの有機珪素化合物は、粒子に単独で存在しても良いし、複数種が存在していても良い。表面処理においては、これら有機珪素化合物を単独で処理したり、混合して処理したりすることはもちろん、同一の種類、複数の種類を混合したもの、あるいは複数の種類を別々に、段階的に処理することも可能である。
Figure 2022141437000001
[第二工程]
第一工程にて表面処理された有機珪素化合物には、金属酸化物粒子に化学結合しているものの他に、未反応の有機珪素化合物や、物理吸着しているだけの有機珪素化合物が存在する。第二工程では、金属酸化物粒子に対して「未反応、及び物理吸着している有機珪素化合物」を除去することを目的とする。表面処理された金属酸化物粒子から、これらの有機珪素化合物を除去する方法としては、例えば、限外濾過膜法、遠心分離法、蒸留法等が挙げられる。中でも、除去効率の高さから、限外濾過膜法が好ましい。また、物理吸着しているだけの有機珪素化合物を金属酸化物粒子から分離することを目的として、超音波処理を組み合わせても良い。
この「有機珪素化合物の除去」を効率よく行うためには、第一工程にて表面処理された金属酸化物粒子の分散液の金属酸化物としての濃度が、固形分として10~60質量%であることが好ましい。ここで、濃度が10質量%未満だと、得られる表面処理された金属酸化物粒子に対して、第二工程で使用する洗浄液の量が多くなり、生産性が悪い。逆に、60質量%を超えると、第二工程中に増粘が生じたり、ゲル化したりするおそれがある。また、「有機珪素化合物の除去」に使用する洗浄液の量は、第一工程での表面処理量や、分散液の濃度等にもよるが、第一工程にて表面処理された金属酸化物粒子の分散液の3倍以上が好ましい。ここで、洗浄液量が3倍未満だと「有機珪素化合物の除去」が不十分となるおそれがある。この洗浄液量については特に上限はないが、10倍以上の洗浄液を使用しても「有機珪素化合物の除去」が格段に向上するわけでもないため、例えば10倍である。この洗浄液は、第一工程で使用した分散媒と同じ種類のものを使用することが好ましい。
ここで、第二工程での除去によって、第一工程で加えた有機珪素化合物の少なくとも一部が除去されるため、第一工程での有機珪素化合物の添加量が、そのまま粒子に残存するわけではない。そのため、最終的に粒子に含まれる、官能基を有する有機珪素化合物が、金属酸化物粒子100質量部に対して、固形分として3~60質量部となることと、分散液から粒子を除いた液中の有機珪素化合物の量が、金属酸化物粒子100質量部に対して、固形分として0.20質量部以下となることとが、両立することが必要である。これによって、金属酸化物粒子表面のOH基と化学結合している「官能基を有する有機珪素化合物」を必要量有し、性能低下のおそれがある「未反応、及び物理吸着している有機珪素化合物」の含有量が抑制されているという「精密な表面処理」が実現できる。
また、得られた粒子は、画像解析による一次粒子径の平均(D)が5~120nmである。更に、これと、粒子の動的光散乱法による平均粒子径(L)との比(L/D)は、1.0~1.5である。
なお、これらの物性の好ましい範囲は、前述の表面処理金属酸化物粒子の範囲に準じる。
ところで、その表面処理量の違いに因る場合もあるが、第一工程から第二工程への1回の操作では、前述の「粒子に含まれる、官能基を有する有機珪素化合物量」及び「分散液から粒子を除いた液中の有機珪素化合物量」の2つの範囲を満足することが困難な場合がある。これは、金属酸化物粒子表面のOH基と有機珪素化合物との反応効率にもよるが、金属酸化物粒子表面のOH基との化学結合を進め、目的の粒子を効率的に得るためには、第一工程から第二工程を行った後、再び第一工程から第二工程を行うことを複数回繰り返すことが好ましい。更には、1回あたりの表面処理量を最終的な目標量よりも少なくして、工程を繰り返した方が、より効率的に「精密な表面処理」が実現できる。
[被膜形成用塗布液]
本発明の粒子は、被膜形成用の塗布液に適用できる。この塗布液は、粒子とマトリックス形成成分と有機系分散媒とを含む。これ以外に、重合開始剤、レベリング剤、界面活性剤等の添加剤を含んでいてもよい。
塗布液中の粒子の濃度は、含まれる粒子やマトリックス形成成分等の固形分の合計量に対して、固形分として20~70質量%が好ましい。
ここで、粒子の濃度が20質量%未満であると、被膜の硬度が不十分となるおそれがある。逆に、70質量%より多いと、被膜にクラックが発生するおそれ、基材との密着性が不十分となるおそれ、硬度や強度、透明性、ヘイズ等が悪化するおそれがある。この粒子の濃度は、より好ましくは30~65質量%、更に好ましくは40~60質量%である。
マトリックス形成成分としては、有機樹脂系マトリックス形成成分が好適である。例えば、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等のマトリックスを形成する成分が挙げられる。
紫外線硬化性樹脂としては、(メタ)アクリル系樹脂、γ-グリシルオキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ビニル系樹脂等がある。
熱硬化性樹脂としては、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、ブチラール樹脂、反応性シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性アクリル樹脂等がある。
熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーンゴム等がある。
これらの樹脂は、2種以上の共重合体や変性体でもよく、組み合わせて使用してもよい。また、これらの樹脂は、エマルジョン樹脂、水溶性樹脂、親水性樹脂であってもよい。
これらの樹脂を形成する成分は、粒子の分散性、塗膜の容易さから、モノマーやオリゴマーが好ましい。
塗布液中のマトリックス形成成分の濃度は、含まれる粒子やマトリックス形成成分等の固形分の合計量に対して、固形分として30~80質量%が好ましい。
ここで、マトリックス形成成分の濃度が30質量%未満であると、被膜化が困難である。また、被膜が得られたとしても、被膜にクラックが発生するおそれ、基材との密着性が不十分となるおそれ、硬度や強度、透明性、ヘイズ等が悪化するおそれがある。逆に、80質量%よりも多いと、粒子の量が少ないため、被膜の硬度が不十分となるおそれがある。このマトリックス形成成分の濃度は、より好ましくは35~70質量%、更に好ましくは40~60質量%である。
有機系分散媒としては、粒子を均一に分散でき、マトリックス形成成分や重合開始剤等の添加剤を溶解あるいは分散できるものが用いられる。中でも、親水性の分散媒や極性を有する分散媒が好ましい。表2に示すように、親水性の分散媒としては、例えば、アルコール類、エステル類、グリコール類、エーテル類等が挙げられる。極性を有する分散媒としては、例えば、エステル類、ケトン類等が挙げられる。 これらは、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
Figure 2022141437000002
添加剤としては、被膜形成に従来使用可能なものが任意に使用できる。例えば、マトリックス形成成分の重合促進や造膜性を向上させるために、重合開始剤、レベリング剤等が使用される。
重合開始剤としては、例えば、表3に示すものが挙げられる。
レベリング剤としては、例えば、アクリル系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤、アクリルシリコーン系レベリング剤等が挙げられる。これらのレベリング剤には、強度向上の観点からフッ素基を有するものが好ましく使用される。
これらの添加剤の塗布液中の濃度は、被膜化した際に固形分として含まれるものは、便宜上、マトリックス形成成分として計上し、被膜化後はマトリックスとして計上する。
Figure 2022141437000003
塗布液の固形分濃度(塗布液に対する、粒子の固形分とマトリックス形成成分の固形分とを合計した固形分の割合)は、1~60質量%が好ましい。
ここで、塗布液の固形分濃度が1質量%未満であると、塗料の濃縮安定性が低いため、塗工が困難となり、均一な被膜が得られないおそれがある。また、ヘイズあるいは外観が悪くなるため、生産性、製造信頼性等が低下するおそれがある。逆に、60質量%より高いと、塗布液の安定性が悪くなるおそれがある。また、塗布液の粘度が高くなるため、塗工性が低下するおそれがある。更に、被膜のヘイズが高くなり、強度が不十分となるおそれがある。塗布液の固形分濃度は、より好ましくは5~50質量%である。
[被膜付基材]
上述の塗布液を用いて、被膜を基材に形成する。得られる被膜は、視認性の観点から、透明であることが好ましい。
具体的には、基材上に塗布液を塗布した後、乾燥及び紫外線照射を行い、基材上に被膜を形成する。塗布液の塗布方法としては、基材に被膜を形成できるものであれば特に制限されない。例えば、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、バーコート法、スリットコーター印刷法、グラビア印刷法、マイクログラビア印刷法等の周知の方法が採用できる。乾燥は、例えば、50~150℃程度に加熱し、分散媒を蒸発させて除去する。その後、紫外線を照射し、樹脂成分の重合を促進させて被膜の硬度化を図る。被膜は、主にマトリックス(樹脂)成分と粒子とで形成される。
被膜では、塗布液中の粒子とマトリックス形成成分の固形分の割合が、そのまま被膜中の粒子成分とマトリックスの割合となる。上述のように、塗布液中の添加剤の内、固形分として残存するものはマトリックスとして計上する。
被膜の膜厚は、用途に応じて適宜選択できる。例えば、ハードコート膜であれば、0.5~20μmが好ましい。
ここで、膜厚が0.5μm未満であると、被膜の硬度や強度が不十分となるおそれがある。逆に、膜厚が20μmより厚いと、膜収縮が大きくなり、カーリングが顕著になる場合や、基材との密着性が不十分となるおそれがある。また、収縮が非常に大きい場合には、クラックが発生するおそれもある。この膜厚は、より好ましくは1~15μm、更に好ましくは4~12μmである。
被膜付基材の光透過率は、85.0%以上が好ましい。
ここで、光透過率が85.0%未満であると、表示装置等において画像の鮮明度が不十分となるおそれがある。この光透過率は、より好ましくは90.0%以上である。
また、被膜付基材のヘイズは、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.5%以下である。
被膜の強度(耐擦傷性)は、#0000のスチールウールを用い、荷重1kg/cmにて摺動させて評価する。この摺動回数が少なくとも40回の時点で膜表面に筋状の傷が認められないことが好ましい。この耐擦傷性は、より好ましくは60回の時点で傷が認められないこと、更に好ましくは100回の時点で傷が認められないことである。
被膜の鉛筆硬度は、3H以上が好ましい。
ここで、3H未満では、ハードコート膜として硬度が不十分である。この鉛筆硬度は、より好ましくは4H以上、更に好ましくは5H以上である。
基材は、公知のものが使用可能である。例えば、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタラート、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリメタクリル酸メチル樹脂、シクロオレフィンポリマー等の透明な樹脂基材が好ましい。これらの基材は、上述の塗布液によって形成される被膜との密着性が優れ、硬度、強度等に優れた被膜付基材を得ることができる。このため、薄い基材に好適に用いられる。基材の厚みに特に制限はないが、好ましくは20~100μm、より好ましくは30~80μmである。
被膜と基材との密着性は、被膜付基材の表面にナイフで升目状に傷を付け、これにセロファンテープを接着した後、セロファンテープを剥離して、残存している升目の数が多い程、被膜が剥離せず基材との密着性が高いため好ましい。
また、このような基材上に、他の被膜が形成された被膜付基材を用いこともできる。他の被膜としては、例えば、従来公知の反射防止膜、プライマー膜、高屈折率膜、導電性膜等が挙げられる。
以下、本発明の実施例を説明する。
[実施例1]
〈金属酸化物粒子の分散液の調製〉
シリカ粒子の水分散液(日揮触媒化成(株)製 カタロイドSI-30、固形分濃度30質量%)2000gに陽イオン交換樹脂(三菱ケミカル(株)製 ダイヤイオンSK-1BH)300gを用いて3時間イオン交換し、次いで、陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製 ダイヤイオンSA-20A)200gを用いて3時間イオン交換した。その後、陽イオン交換樹脂100gを用い、80℃で3時間イオン交換し、シリカ粒子の水分散液を調製した。次いで、限外膜濾過法により、分散媒をメタノールに置換した後、濃縮を行い固形分濃度30質量%のシリカ粒子のメタノール分散液を調製した。
〈有機珪素化合物による金属酸化物粒子の表面処理(第一工程)〉
このシリカ粒子のメタノール分散液2000gに、濃度28質量%のアンモニア水4.4gと純水39.8gを添加し、室温で0.5時間撹拌した。
次に、有機珪素化合物としてγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製 KBM-503)90g(シリカ粒子100質量部に対して、R-SiX4-nとして15質量部)を添加し、50℃で19時間撹拌して、表面処理シリカ粒子の分散液を得た。
〈有機珪素化合物の除去(第二工程)〉
この表面処理シリカ粒子の分散液を室温まで冷却し、メタノール10kg(シリカ粒子のメタノール分散液の5倍量に相当)を用いて、限外濾過膜法により、「未反応、及び物理吸着している有機珪素化合物」を除去し、金属酸化物粒子としての固形分濃度が30質量%の本願発明の表面処理シリカ粒子のメタノール分散液を製造した。
表面処理金属酸化物粒子の分散液について、以下の方法で測定した。
粒子の各製造工程における特徴、及び粒子及び分散液の性状を表4に示す(以下の実施例及び比較例も同様)。
(1)官能基を有する有機珪素化合物
粒子中に含まれる官能基の有無、及びその種類については、次の方法により求めた。
まず、分散液をエバポレーターにて乾燥させた後、150℃で乾燥させた。その粉体をフーリエ変換型赤外分光装置(FT-IR)(日本分光(株)製 FT/IR-6100)を使用して、拡散反射法にて、波数領域を700cm-1~4000cm-1、検出器をTGS、分解能を4.0cm-1、積算回数を50回で測定を行い、ピークを検出して、有機化合物のスペクトルデータベースSDBS(https://sdbs.db.aist.go.jp(National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 2021.01))を参照して、官能基を特定した。
(2)官能基を有する有機珪素化合物の固形分量
分散液を、小型超遠心機(日立工機(株)製 CS150GXL)を用いて、温度を10℃、回転数を1,370,000rpm(1,000,000G)の条件下で30分間遠心処理した。処理液の沈殿物を回収し、真空乾燥により乾燥後、熱重量示差熱分析装置(日立ハイテクサイエンス(株)製 TG/DTA EXSTAR6000 MSD)を用いて、500℃加熱前後の質量減少量を測定し、金属酸化物粒子量との差から、有機珪素化合物由来の珪素分量を求めた。次に、これを、表面処理に使用した有機珪素化合物の構造から有機珪素化合物由来の固形分(R-SiO(4-n)/2)量に換算し、官能基を有する有機珪素化合物の固形分量を求めた。
(3)分散液から粒子を除いた液中の有機珪素化合物量
分散液を、小型超遠心機(日立工機(株)製 CS150GXL)を用いて、前述と同様に遠心処理した。処理液の上澄み液を回収し、熱抽出ガスクロマトグラフ(アジレント・テクノロジー(株)製 Agilent5977BGC/MSD)を用いて、粒子を除いた液中の有機珪素化合物量を測定した。
(4)粒子の一次粒子径の平均(D)、及び金属酸化物粒子の一次粒子径の平均(F)
粒子の分散液を0.01質量%に希釈した後、電子顕微鏡用銅セルのコロジオン膜上で乾燥させた。次に、これを電界放出型走査電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製 S-5500)にて、所定の倍率で写真撮影した。得られた写真投影図(SEM像)の任意の300個の粒子について、画像処理から粒子の面積を求め、その面積から円相当径を求めた。その円相当径の平均値を粒子の一次粒子径の平均(D)とした。
また、シリカ粒子の分散液についても同様に画像解析して、シリカ粒子の一次粒子径の平均(F)を求めた。
(5)動的光散乱法による平均粒子径(L)
エタノールを用いて、分散液を適正濃度に調整して、動的光散乱粒子径測定装置(大塚電子(株)製 FPAR-1000)にて、粒子径を測定し、平均粒子径(L)とした。ここで、適正濃度とは、散乱光量が15000~30000CPSとなる濃度を意味する。なお、測定条件は、溶媒屈折率を1.3614、温度を20℃で行った。
(6)金属元素、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属の含有量
粒子及び金属酸化物粒子中の金属元素(Si、Al、Sn、Sb、Ti、Zr、Zn、W、Fe、In、Ba)の含有量、アルカリ金属の含有量、及びアルカリ土類金属の含有量については、粒子をフッ酸で溶解し、加熱してフッ酸を除去した後、必要に応じて純水を加え、得られた溶液についてICP誘導結合プラズマ発光分光質量分析装置((株)島津製作所製 ICPM-8500)を用いて測定した。
(7)パルスNMRによる比表面積(A1)
パルスNMR(Xigo nanotools製Acorn Area)を使用して、分散液及び分散媒について各々の緩和時間を測定し、前述の式(2)より比表面積(A1)を求めた。なお、測定条件は、磁場を0.3T、測定周波数を13MHz、測定核をH NMR、測定方法はCPMGパルスシークエンス法にて、サンプル量を1ml、Ka値を0.000039、温度を25℃で行った。ここで、Ka値は、固形分濃度30質量%、25℃の金属酸化物粒子(ここでは、シリカ粒子)のメタノール分散液及びメタノール分散媒についてパルスNMR測定を行い、前述の式(4)~(6)により算出したものを使用した。
(8)比表面積(A2)
金属酸化物粒子の一次粒子径の平均(F)を用いて、下記式(4)により、比表面積(A2)を求めた。
A2=6000/Sd/F ・・・式(4)
(式中、Sdは、金属酸化物粒子の密度(g/cm)を示す。)
〈被膜形成用の塗布液の製造〉
製造された表面処理シリカ粒子のメタノール分散液を遠心分離法と超音波分散法を用いて、分散媒をメチルイソブチルケトン(MIBK)に置換し、固形分濃度40質量%の表面処理シリカ粒子のMIBK分散液を調製した。
この粒子のMIBK分散液6.00gと、多官能アクリレート樹脂(共栄社化学(株)製 ライトアクリレートDPE-6A)1.60gと、光重合開始剤(IGM Resins B.V.製 Omnirad 184)0.10gと、アクリルシリコーン系レベリング剤(楠本化成(株)製 ディスパロンNSH-8430HF、固形分濃度10質量%)0.10gと、MIBK1.20gとアセトン1.00gとを十分に混合して、固形分濃度40質量%の被膜形成用の塗布液を製造した。
〈被膜付基材の製造〉
この塗布液を、TACフィルム(富士フイルム(株)製 FT-PB40UL-M、厚さ 40μm)にバーコーター法(#16)で塗布し、80℃で120秒間乾燥した後、N雰囲気下で、300mJ/cmの紫外線を照射して硬化させ、被膜付基材を製造した。
被膜付基材を以下の項目について測定した。結果を表5に示す(以下の実施例及び比較例も同様)。
(9)膜厚
膜厚は、デジタルゲージ((株)小野測器製 ゲージスタンドST-0230及びデジタルゲージカウンターDG-5100)により、被膜の任意の5か所を測定した値の平均値とした。
(10)ヘイズ、全光線透過率
ヘーズメーター(日本電色工業(株)製 NDH-5000)により被膜付基材のヘイズ、全光線透過率を測定した。
(11)耐擦傷性の測定
#0000のスチールウールを用い、荷重1kg/cmにおいて、所定の回数を摺動した。各摺動回数において被膜の表面を目視観察した。これを以下の様に分類して強度を評価した。
評価基準:
60回以上 :◎
40回以上60回未満 :○
20回以上40回未満 :△
20回以下 :×
(12)鉛筆硬度
鉛筆硬度は、JIS K 5400に準じて、鉛筆硬度試験器で測定した。即ち、被膜表面に対して45度の角度に鉛筆をセットし、所定の荷重を負荷して一定速度で引っ張り、傷の有無を観察した。これを以下の様に分類して硬度を評価した。
評価基準:
4H以上:◎
3H :○
2H :△
H以下 :×
(13)強度と硬度の総合評価
耐擦傷性と鉛筆硬度の評価に対し、以下の様に点数をつけた。
◎:4点
○:3点
△:2点
×:1点
これらの点数を用いて、以下の式にて合計点を算出し、4段階に分類することで総合判定を行った。
合計点算出式:(鉛筆硬度の点数)×(耐擦傷性の点数)
総合判定は、下記「◎」又は「○」を合格とした。
12以上16以下 :◎
9以上12回未満 :○
6以上9未満 :△
6未満 :×
(14)密着性
被膜付基材の表面にナイフで縦横1mmの間隔で11本の平行な傷を付け100個の升目を作り、これにセロファンテープを接着した。次いで、セロファンテープを剥離して、被膜が剥離せず残存している升目の数を数えた。これを以下の様に分類して密着性を評価した。
評価基準:
残存升目の数100個 :○
残存升目の数99個以下:×
[実施例2]
実施例1において、第二工程後に、再び第一工程と第二工程とを順に行って、表面処理シリカ粒子のメタノール分散液を製造した(第一工程と第二工程の繰り返し回数=2回)。
次に、この分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造し、各特性を評価した。
[実施例3]
γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン30g(シリカ粒子100質量部に対して、R-SiX4-nとして5質量部)を使用した以外は実施例2と同様にして、表面処理シリカ粒子のメタノール分散液を製造した。
次に、この分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造し、各特性を評価した。
[実施例4]
γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン300g(シリカ粒子100質量部に対して、R-SiX4-nとして50質量部)を使用し、第一工程と第二工程とを、順に10回繰り返した以外は実施例1と同様にして、表面処理シリカ粒子のメタノール分散液を製造した。
次に、この分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造し、各特性を評価した。
[実施例5]
第二工程にて、メタノール6kgを使用した以外は実施例2と同様にして、表面処理シリカ粒子のメタノール分散液を製造した。
次に、この分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造し、各特性を評価した。
[実施例6]
第二工程にて、メタノール4.8kgを使用した以外は実施例2と同様にして、表面処理シリカ粒子のメタノール分散液を製造した。
次に、この分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造し、各特性を評価した。
[実施例7]
シリカ粒子の水分散液(日揮触媒化成(株)製 カタロイドSI-80P、固形分濃度40質量%)1500gを水500gで希釈して使用した以外は実施例2と同様にして、表面処理シリカ粒子のメタノール分散液を製造した。
次に、この分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造し、各特性を評価した。
[実施例8]
シリカアルミナ粒子の水分散液(日揮触媒化成(株)製 カタロイドSN-350、固形分濃度16質量%)3750gを、限外膜濾過法により、分散媒をメタノールに置換した後、濃縮を行い固形分濃度30質量%のシリカアルミナ粒子のメタノール分散液を調製した。この分散液を使用したこと以外は実施例2と同様にして、表面処理シリカアルミナ粒子のメタノール分散液を製造した。
次に、この分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造し、各特性を評価した。
[実施例9]
シリカ粒子の水分散液(日揮触媒化成(株)製 カタロイドSI-550、固形分濃度20質量%)3000gを使用したこと以外は実施例2と同様にして、表面処理シリカ粒子のメタノール分散液を製造した。
次に、この分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造し、各特性を評価した。
[実施例10]
シリカ粒子の水分散液(日揮触媒化成(株)製 スフェリカスラリーSS-120、固形分濃度18質量%)3333gを使用した以外は実施例2と同様にして、表面処理シリカ粒子のメタノール分散液を製造した。
次に、この分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造し、各特性を評価した。
[実施例11]
シリカ粒子の水分散液(日揮触媒化成(株)製 カタロイドSI-80P)1500gを水500gで希釈したものと、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン18g(シリカ粒子100質量部に対して、R-SiX4-nとして3質量部)とを使用した以外は実施例2と同様にして、表面処理シリカ粒子のメタノール分散液を製造した。
次に、この分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造し、各特性を評価した。
[実施例12]
シリカアルミナ粒子の水分散液(日揮触媒化成(株)製 カタロイドSN、固形分濃度20質量%)3000gを、限外膜濾過法により、分散媒をメタノールに置換した後、濃縮を行い固形分濃度30質量%のシリカアルミナ粒子のメタノール分散液を調製した。この分散液を使用したこと以外は実施例2と同様にして、表面処理シリカ粒子のメタノール分散液を製造した。
次に、この分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造し、各特性を評価した。
[実施例13]
四塩化チタンをTiO換算で2質量%含む四塩化チタン水溶液4500gと、濃度15質量%のアンモニア水1760gとを混合し、白色のスラリーを調製した。スラリーを濾過した後、純水で洗浄し、固形分濃度が5質量%のケーキ1800gを得た。これに35質量%の過酸化水素水2056gと純水5144gを加え、80℃で1時間加熱して、過酸化チタン酸をTiO換算で1質量%含む過酸化チタン酸水溶液9000gを得た。
次に、この過酸化チタン酸水溶液9000gを、シリカアルミナ粒子の水分散液(日揮触媒化成(株)製 カタロイドSN-350)92gを純水5890gで希釈した水分散液に添加した。その後、この水分散液をオートクレーブ中にて165℃で18時間加温した。次に、得られた水分散液を室温まで冷却した後、限外濾過膜装置を用いて濃縮した。次いで、陽イオン交換樹脂を用いてイオン交換し、固形分濃度1質量%のチタニアシリカ粒子の水分散液10472gを得た。
この水分散液に、有機珪素化合物としてSiO換算で28.8質量%のテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製)79.9g(チタニアシリカ粒子100質量部に対して、R-SiX4-nとして22質量部)と、メタノール10472gとを添加した後、50℃で19時間撹拌した。この分散液を室温まで冷却した後、限外膜濾過法により、分散媒をメタノールに置換、及び濃縮を行い、金属酸化物粒子としての固形分濃度が30質量%のチタニアシリカ粒子のメタノール分散液を調製した。
このチタニアシリカ粒子のメタノール分散液425.8gに、濃度28質量%のアンモニア水2.3gと純水10.5gとを添加し、室温で0.5時間撹拌した。次に、有機珪素化合物としてγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン63.9g(チタニアシリカ粒子100質量部に対して、R-SiX4-nとして50質量部)を添加し、50℃で19時間撹拌して、表面処理チタニアシリカ粒子の分散液を得た。
この表面処理チタニアシリカ粒子の分散液を室温まで冷却し、メタノール2.1kg(チタニアシリカ粒子のメタノール分散液の5倍量に相当)を用いて、限外濾過膜法により、「未反応、及び物理吸着している有機珪素化合物」を除去した。
次に、再度、前述のγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランによる表面処理、及び、限外濾過膜法による「未反応、及び物理吸着している有機珪素化合物」の除去を行って、金属酸化物粒子としての固形分濃度が30質量%の本願発明の表面処理チタニアシリカ粒子のメタノール分散液を製造した。
次に、この分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造し、各特性を評価した。
[実施例14]
有機珪素化合物として、γ-メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製 KBM-5803)を使用した以外は実施例2と同様にして、表面処理シリカ粒子のメタノール分散液を製造した。
次に、この分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造し、各特性を評価した。
[比較例1]
γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン6g(シリカ粒子100質量部に対して、R-SiX4-nとして1質量部)を使用した以外は実施例1と同様にして、表面処理シリカ粒子のメタノール分散液を製造した。
次に、この分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造し、各特性を評価した。
[比較例2]
第二工程を実施せずに、モレキュラーシーブ(関東化学(株)製 3A 1/16)を使用して、第一工程で得られた表面処理シリカ粒子の分散液から、水分及びアンモニアを除去して、金属酸化物粒子としての固形分濃度を30質量%に調整した以外は実施例1同様にして、表面処理シリカ粒子のメタノール分散液を製造した。
次に、この分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造し、各特性を評価した。
[比較例3]
第二工程にて、メタノール2kg(シリカ粒子のメタノール分散液の1倍量に相当)を使用した以外は実施例1と同様にして、表面処理シリカ粒子のメタノール分散液を製造した。
次に、この分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造し、各特性を評価した。
[比較例4]
シリカ粒子の水分散液(日揮触媒化成(株)製 スフェリカスラリー160、固形分濃度16質量%)3750gを使用した以外は実施例2と同様にして、表面処理シリカ粒子のメタノール分散液を製造した。
次に、この分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造し、各特性を評価した。
Figure 2022141437000004
Figure 2022141437000005

Claims (5)

  1. 金属酸化物粒子100質量部に対して、官能基を有する有機珪素化合物を固形分として3~60質量部含む表面処理金属酸化物粒子の分散液であって、
    前記分散液から前記表面処理金属酸化物粒子を除いた液中の前記有機珪素化合物が、前記金属酸化物粒子に対して、固形分として0.20質量部以下であり、
    前記表面処理金属酸化物粒子の画像解析による一次粒子径の平均(D)が5~120nm、前記表面処理金属酸化物粒子の動的光散乱法による平均粒子径(L)と、前記一次粒子径の平均(D)との比(L/D)が1.0~1.5であることを特徴とする分散液。
  2. 前記金属酸化物粒子が、Si、Al、Sn、Sb、Ti、Zr、Zn、W、Fe、In、Baから選ばれる元素を少なくとも1種含むことを特徴とする請求項1記載の分散液。
  3. 前記表面処理金属酸化物粒子のメタノール分散液のパルスNMR測定から求められる前記表面処理金属酸化物粒子の比表面積(A1)と、前記金属酸化物粒子の画像解析による一次粒子径の平均(F)から求められる前記金属酸化物粒子の比表面積(A2)との比(A1/A2)が0.80以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の分散液。
  4. 金属酸化物粒子を含む分散液に、下記式(1)で表される有機珪素化合物を加えて、前記金属酸化物粒子を表面処理する第一工程と、
    前記第一工程で得られた表面処理後の金属酸化物粒子の分散液から、前記有機珪素化合物を除去する第二工程と、を順に備え、
    前記第二工程で得られた分散液中の表面処理金属酸化物粒子が、前記金属酸化物粒子100質量部に対して、官能基を有する有機珪素化合物を固形分として3~60質量部含み、
    前記分散液から前記表面処理金属酸化物粒子を除いた液中の前記有機珪素化合物が、前記金属酸化物粒子に対して、固形分として0.20質量部以下であり、
    前記表面処理金属酸化物粒子の画像解析による一次粒子径の平均(D)が5~120nm、前記表面処理金属酸化物粒子の動的光散乱法による平均粒子径(L)と、前記一次粒子径の平均(D)との比(L/D)が1.0~1.5であることを特徴とする表面処理金属酸化物粒子の分散液の製造方法。
    -SiX4-n (1)
    (式中、Rは炭素数1~10の非置換又は置換炭化水素基で、Xは炭素数1~4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、水素原子であり、nは0~4の整数を示す。)
  5. 前記第二工程の後に、再び前記第一工程と前記第二工程とを順に繰り返すことを特徴とする請求項4記載の表面処理金属酸化物粒子の分散液の製造方法。
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