JP2016200752A - 反射防止物品の製造方法、反射防止物品、カバーガラス、及び画像表示装置 - Google Patents

反射防止物品の製造方法、反射防止物品、カバーガラス、及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高い硬度を有し、モスアイ構造の厚み方向の圧力に対する耐久性が高く、反射率及びヘイズが低い反射防止物品、上記反射防止物品を簡便に製造する製造方法、上記反射防止物品又は上記製造方法により製造された反射防止物品を含むカバーガラス、及び画像表示装置を提供することにある。【解決手段】特定の基材と、特定のバインダー樹脂、特定の金属酸化物粒子、及び金属キレート触媒を含有し、表面に凹凸形状からなるモスアイ構造を有する反射防止層と、を有する反射防止物品であって、上記反射防止層は、凹凸形状の凸部を形成する金属酸化物粒子からなる第一の粒子群と、金属酸化物粒子からなる第二の粒子群と、を有し、隣り合う凸部の頂点間の距離Aと、隣り合う凸部の頂点間の中心と凹部との距離Bとの比B/Aが0.55以上である、反射防止物品、上記反射防止物品を簡便に製造する製造方法、上記反射防止物品又は上記製造方法により製造された反射防止物品を含むカバーガラス、及び画像表示装置。【選択図】なし

Description

本発明は、反射防止物品の製造方法、反射防止物品、カバーガラス、及び画像表示装置に関する。
陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、蛍光表示ディスプレイ(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、及び液晶表示装置(LCD)のような画像表示装置では、表示面での外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために反射防止機能が付与されるのが一般的である。また、画像表示装置以外でも反射防止機能を付与する場合がある。
反射防止機能の付与方法としては、基材上に反射防止層を設けた反射防止物品を用いる方法がある。基材表面に周期が可視光の波長以下の微細な凹凸形状を有する反射防止層、いわゆるモスアイ(moth eye)構造を有する反射防止層が知られている。モスアイ構造により、擬似的に空気から基材の内部のバルク材料に向かって屈折率が連続的に変化する屈折率傾斜層を作り出し、光の反射を防止することができる。
モスアイ構造を有する反射防止層として、特許文献1には、透明樹脂モノマーと微粒子を含有する塗布液を透明基材上に塗布し、硬化して微粒子が分散した透明樹脂を形成し、その後、透明樹脂をエッチングすることにより製造された凹凸構造を有する反射防止層が記載されている。
また、モスアイ構造についての言及はないが、特許文献2には、テトラエトキシシランと超微粒子を含む塗布液をガラス基材上に塗布し、焼成することでテトラエトキシシランが分解してできたSiOの薄膜により超微粒子を固着させた反射防止体を製造することが記載されている。
特許文献3には、モスアイ構造についての言及はないが、ゾルゲル法による機能性薄膜が被覆されたガラス物品が記載されている。
特開2009−139796号公報 特開平5−13021号公報 特開2002−234754号公報
しかしながら、特許文献1に記載された反射防止層は、粒子により形成されているモスアイ構造に厚み方向に高い圧力が加わると粒子がつぶれてしまい、反射防止機能が失われる問題が発生することが分かった。また、スマートフォンやタブレットPCの普及に伴い、屋外での使用機会が増加しており、非常に明るい環境下での視認性を得るために反射率及びヘイズの更なる低下も求められている。
以上のようなことから、本発明の課題は、基材上にモスアイ構造を有する反射防止層を有する反射防止物品において、高い硬度を有し、モスアイ構造の厚み方向の圧力に対する耐久性が高く、反射率及びヘイズが低い反射防止物品を提供することにある。また、本発明の別の課題は、この反射防止物品を簡便に製造する製造方法を提供することにある。更に、本発明の別の課題は、上記反射防止物品、又は上記製造方法により製造された反射防止物品を含むカバーガラス、及び画像表示装置を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の圧縮応力を有する透明基材上に反射防止層を有する反射防止物品において、反射防止層中に特定のバインダーを用いると共に、表面の凹凸形状の凸部を形成する金属酸化物粒子からなる第一の粒子群と、この第一の粒子群と基材との間に、金属酸化物粒子からなる第二の粒子群と、を配置させることにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明の課題は下記構成により解決できる。
<1>
圧縮応力が500MPa以上であり、Al−O結合のみからなる基材、またはAl−O結合とSi−O結合の両方を含む基材と、
上記基材上に、表面に金属酸化物粒子により形成された凹凸形状からなるモスアイ構造を有する反射防止層とを有する反射防止物品の製造方法であって、
下記一般式(1)で表される単量体、下記一般式(2)で表される単量体、及び上記2種の単量体のうち少なくとも1種の単量体が縮合反応したものから選ばれる少なくとも1種である、重量平均分子量300以上2000以下のバインダー(a)、
下記一般式(3)で表される重量平均分子量2000以下のバインダー(b)、
金属酸化物粒子、
金属キレート触媒、および
溶剤
を含有する反射防止層形成用組成物を上記基材上に塗布し、上記凹凸形状の凸部を形成する金属酸化物粒子からなる第一の粒子群と、上記第一の粒子群と上記基材との間に、金属酸化物粒子からなる第二の粒子群と、を配置させる工程と、
上記溶剤を揮発乾燥させる工程と、
上記溶剤を揮発乾燥させる工程の後に、上記バインダー(a)と上記バインダー(b)を加熱硬化させる工程と、を有し、
上記反射防止層の凹凸形状は、隣り合う凸部の頂点間の距離Aと、上記隣り合う凸部の頂点間の中心と凹部との距離Bとの比であるB/Aが0.55以上であり、
上記金属酸化物粒子の平均一次粒径は150nm以上380nm以下であり、
上記金属酸化物粒子の表面のヒドロキシル基量は1.00×10−1以下であり、
上記金属酸化物粒子の押し込み硬度は400MPa以上であり、
上記反射防止層形成用組成物には、上記バインダー(a)と上記バインダー(b)とが、上記バインダー(a)と上記バインダー(b)との混合後のSP値が20〜24となる配合比で配合されている、反射防止物品の製造方法。
一般式(1): R n1−Si−X 4−n1
一般式(2): R n2−Ti−X 4−n2
一般式(3):
一般式(1)〜(3)中、R、R、及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基または水酸基を表し、更に置換基を有していてもよい。X、X、及びXはそれぞれ独立に加水分解可能な基または水酸基を表す。n1及びn2はそれぞれ独立に0〜1の整数を表し、mは1〜22の整数を表す。複数のX及び複数のXはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。X、R、R、及びRが複数存在する場合は、複数のX、複数のR、複数のR、及び複数のRはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
<2>
上記Al−O結合とSi−O結合の両方を含む基材は化学強化層を有し、上記基材の厚みが1.8mm以下であり、上記化学強化層の厚みが300μm以下である、<1>に記載の反射防止物品の製造方法。
<3>
上記Al−O結合のみを含む基材の厚みが1.8mm以下である、<1>に記載の反射防止物品の製造方法。
<4>
上記金属酸化物粒子が焼成シリカ粒子である、<1>〜<3>のいずれかに記載の反射防止物品の製造方法。
<5>
上記金属酸化物粒子の表面のヒドロキシル基量は1.0×10−2以下である、<1>〜<4>のいずれかに記載の反射防止物品の製造方法。
<6>
上記金属キレート触媒が、周期表の第2族、第4族、第5族、及び第13族から選ばれる金属元素と、β−ジケトン、ケトエステル、ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル、アミノアルコール、及びエノール性活性水素化合物の中から選ばれるオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物とから構成される金属錯体である、<1>〜<5>のいずれかに記載の反射防止物品の製造方法。
<7>
残存溶剤量を5質量%とした時点での反射防止層のヘイズが1.5%以下であり、残存溶剤量を0.5質量%とした時点での反射防止層のヘイズが2%以下である、<1>〜<6>のいずれかに記載の反射防止物品の製造方法。
<8>
圧縮応力が500MPa以上であり、Al−O結合のみからなる基材、またはAl−O結合とSi−O結合の両方を含む基材と、
上記基材上に設けられた、バインダー樹脂、金属酸化物粒子、及び金属キレート触媒を含有し、表面に凹凸形状からなるモスアイ構造を有する反射防止層と、
を有する反射防止物品であって、
上記反射防止層は、上記凹凸形状の凸部を形成する金属酸化物粒子からなる第一の粒子群と、上記第一の粒子群と上記基材との間に、金属酸化物粒子からなる第二の粒子群と、を有し、
上記反射防止層の凹凸形状は、隣り合う凸部の頂点間の距離Aと、上記隣り合う凸部の頂点間の中心と凹部との距離Bとの比であるB/Aが0.55以上であり、
上記金属酸化物粒子の平均一次粒径は150nm以上380nm以下であり、
上記金属酸化物粒子の表面のヒドロキシル基量は1.00×10−1以下であり、
上記金属酸化物粒子の押し込み硬度は400MPa以上であり、
上記バインダー樹脂は、
下記一般式(1)で表される単量体、下記一般式(2)で表される単量体、及び上記2種の単量体のうち少なくとも1種の単量体が縮合反応したものから選ばれる少なくとも1種である、重量平均分子量300以上2000以下のバインダー(a)の硬化物、及び
下記一般式(3)で表される重量平均分子量2000以下のバインダー(b)の硬化物を含有し、
上記バインダー(a)の硬化物と上記バインダー(b)の硬化物との配合比が、上記バインダー(a)と上記バインダー(b)との混合後のSP値が20〜24となるものである、反射防止物品。
一般式(1): R n1−Si−X 4−n1
一般式(2): R n2−Ti−X 4−n2
一般式(3):
一般式(1)〜(3)中、R、R、及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基または水酸基を表し、更に置換基を有していてもよい。X、X、及びXはそれぞれ独立に加水分解可能な基または水酸基を表す。n1及びn2はそれぞれ独立に0〜1の整数を表し、mは1〜22の整数を表す。複数のX及び複数のXはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。X、R、R、及びRが複数存在する場合は、複数のX、複数のR、複数のR、及び複数のRはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
<9>
上記第一の粒子群に含まれる上記基材の表面に直交する方向の粒子数が1個であり、かつ上記第二の粒子群に含まれる上記基材の表面に直交する方向の粒子の数も1個であり、上記金属酸化物粒子と上記バインダー樹脂の質量比率が35/65〜50/50である、<8>に記載の反射防止物品。
<10>
少なくとも上記第二の粒子群を構成する金属酸化物粒子同士の間、及び上記第一の粒子群と上記第二の粒子群の間にバインダー樹脂が存在する<8>又は<9>に記載の反射防止物品。
<11>
<1>〜<7>のいずれかに記載の反射防止物品の製造方法で製造された反射防止物品、又は<8>〜<10>のいずれかに記載の反射防止物品を含んでなるカバーガラス。
<12>
<1>〜<7>のいずれかに記載の反射防止物品の製造方法で製造された反射防止物品、<8>〜<10>のいずれかに記載の反射防止物品、又は<11>に記載のカバーガラスを有する画像表示装置。
本発明によれば、高い硬度を有し、モスアイ構造の厚み方向の圧力に対する耐久性が高く、反射率及びヘイズが低い反射防止物品を提供するができる。また、本発明によれば、この反射防止物品を簡便に製造する製造方法を提供することができる。更に、本発明によれば、上記反射防止物品、又は上記製造方法により製造された反射防止物品を含むカバーガラス、及び画像表示装置を提供することができる。
本発明の反射防止物品の一例を表す断面模式図である。 本発明の反射防止物品の一例の製造方法を説明するための断面模式図である。 本発明の反射防止物品の一例の断面の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。
[反射防止物品]
本発明の反射防止物品は、
圧縮応力が500MPa以上であり、Al−O結合のみからなる基材、またはAl−O結合とSi−O結合の両方を含む基材と、
上記基材上に設けられた、バインダー樹脂、金属酸化物粒子、及び金属キレート触媒を含有し、表面に凹凸形状からなるモスアイ構造を有する反射防止層と、
を有する反射防止物品であって、
上記反射防止層は、上記凹凸形状の凸部を形成する金属酸化物粒子からなる第一の粒子群と、上記第一の粒子群と上記基材との間に、金属酸化物粒子からなる第二の粒子群と、を有し、
上記反射防止層の凹凸形状は、隣り合う凸部の頂点間の距離Aと、上記隣り合う凸部の頂点間の中心と凹部との距離Bとの比であるB/Aが0.55以上であり、
上記金属酸化物粒子の平均一次粒径は150nm以上380nm以下であり、
上記金属酸化物粒子の表面のヒドロキシル基量は1.00×10−1以下であり、
上記金属酸化物粒子の押し込み硬度は400MPa以上であり、
上記バインダー樹脂は、
下記一般式(1)で表される単量体、下記一般式(2)で表される単量体、及び上記2種の単量体のうち少なくとも1種の単量体が縮合反応したものから選ばれる少なくとも1種である、重量平均分子量300以上2000以下のバインダー(a)の硬化物、及び
下記一般式(3)で表される重量平均分子量2000以下のバインダー(b)の硬化物を含有し、
上記バインダー(a)の硬化物と上記バインダー(b)の硬化物との配合比が、上記バインダー(a)と上記バインダー(b)との混合後のSP値が20〜24となるものである、反射防止物品。
一般式(1): R n1−Si−X 4−n1
一般式(2): R n2−Ti−X 4−n2
一般式(3):
一般式(1)〜(3)中、R、R、及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基または水酸基を表し、更に置換基を有していてもよい。X、X、及びXはそれぞれ独立に加水分解可能な基または水酸基を表す。n1及びn2はそれぞれ独立に0〜1の整数を表し、mは1〜22の整数を表す。複数のX及び複数のXはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。X、R、R、及びRが複数存在する場合は、複数のX、複数のR、複数のR、及び複数のRはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の反射防止物品の好ましい実施形態の一例を図1に示す。
図1の反射防止物品10は、基材1と反射防止層2とを有する。反射防止層2は、金属酸化物粒子3からなる第一の粒子群3a、金属酸化物粒子3からなる第二の粒子群3b、及びバインダー樹脂4を含んでなる。
反射防止層2は、基材1との界面とは反対側の表面に凹凸形状からなるモスアイ構造を有し、金属酸化物粒子からなる第一の粒子群3aにより凸部が形成されている。金属酸化物粒子からなる第二の粒子群3bは、第一の粒子群3aと基材1との間に存在する。凹凸形状の凹部はバインダー樹脂4又は第二の粒子群3bであることが好ましい。
反射防止層2の凹凸形状は、隣り合う凸部の頂点間の距離Aと、隣り合う凸部の頂点間の中心と凹部との距離Bとの比であるB/Aが0.55以上である。
硬度及び反射率の観点から、少なくとも第二の粒子群3bを構成する金属酸化物粒子同士の間、及び第一の粒子群3aと第二の粒子群3bの間にバインダー樹脂4が存在することが好ましい。
[反射防止層]
(モスアイ構造)
反射防止物品において、反射防止層の基材とは反対側の表面は、金属酸化物粒子によって形成された凹凸形状からなるモスアイ構造を有する。
ここで、モスアイ構造とは、光の反射を抑制するための物質(材料)の加工された表面であって、周期的な微細構造パターンをもった構造のことを指す。特に、可視光の反射を抑制する目的の場合には、780nm未満の周期の微細構造パターンをもった構造のことを指す。微細構造パターンの周期が380nm未満であると、反射光の色味がなくなり好ましい。また、周期が150nm以上であると波長380nmの光が微細構造パターンを認識でき、反射防止性に優れるため好ましい。モスアイ構造の有無は、走査型電子顕微鏡(SEM)、原子間力顕微鏡(AFM)等により表面形状を観察し、上記微細構造パターンが出来ているかどうか調べることによって確認することができる。
反射防止物品の反射防止層の凹凸形状は、隣り合う凸部の頂点間の距離Aと、隣り合う凸部の頂点間の中心と凹部との距離Bとの比であるB/Aが0.55以上である。B/Aが0.55以上であると、隣り合う凸部同士の距離に対して凹部の深さが大きくなり、空気から反射防止層内部にかけてより緩やかに屈折率が変化する屈折率傾斜層を作ることができるため、反射率を低減できる。
隣り合う凸部の頂点間の距離Aと、隣り合う凸部の頂点間の中心と凹部との距離Bとの比であるB/Aの測定方法について、以下に、より具体的に説明する。
B/Aは、反射防止層の断面SEM観察により測定することができる。反射防止物品試料をダイヤモンドカッターなどで傷をつけた後に、傷に沿って割ることで断面を出し、適切な倍率(5000倍程度)でSEM観察する。観察し易いように、試料にはカーボン蒸着、エッチング等適切な処理を施してもよい。B/Aは、空気と試料が作る界面において、隣り合う凸部の頂点間の距離をA、隣り合う凸部の頂点を含み基材面と垂直な面内にて、隣り合う凸部の頂点を結ぶ直線とその垂直二等分線が粒子またはバインダー樹脂に到達する点である凹部との距離をBとして、100点測長したとき、B/Aの平均値として算出する。
SEM写真においては、写っているすべての凹凸について、隣り合う凸部の頂点間の距離Aと、隣り合う凸部の頂点間の中心と凹部との距離Bとを正確に測長できない場合もあるが、その場合はSEM画像で手前側に写っている凸部と凹部に着目して測長すればよい(図3参照)。
なお、凹部は、SEM画像で測長する2つの隣り合う凸部を形成する粒子と同じ深度において測長することが必要である。より手前側に写っている粒子などまでの距離をBとして測長してしまうと、Bを小さく見積もってしまう場合があるからである。
B/Aは、0.55以上であり、0.60以上であることが好ましく、0.65以上であることが更に好ましい。また、モスアイ構造が強固に固定化でき、耐擦傷性に優れるという観点からは、0.9以下であることが好ましい。
金属酸化物粒子は均一に、高い充填率で敷き詰められていることが反射率を下げるためには好ましい。また充填率が高すぎないことも重要であり、充填率が高すぎると隣り合う粒子同士が接触して凹凸形状のB/Aを小さくしてしまい、反射率が高くなってしまうためである。
上記観点から、金属酸化物粒子の含有量は、反射防止層全体で均一になるように調整されるのが好ましい。第一の粒子群の充填率は、SEMなどにより表面から金属酸化物粒子を観察したときの最も表面側に位置した粒子の面積占有率として測定することが出来る。充填率は、50%〜85%が好ましく、60〜80%がより好ましく、65〜75%が更に好ましい。
また第二の粒子群の充填率は、第一の粒子群の充填率と同じでも良いし、異なっていても良い。第二の粒子群の充填率は、60〜95%が好ましく、70〜90%が好ましく、75〜85%が最も好ましい。
(金属酸化物粒子)
反射防止層のモスアイ構造を形成する金属酸化物粒子について説明する。
本発明においては、基材と反対側の表面に金属酸化物粒子からなる第一の粒子群が存在し、第一の粒子群と基材との間には、金属酸化物粒子からなる第二の粒子群が存在するため、粒子が基材の厚さ方向に少なくとも2段積まれた構成となっている。
反射防止層は、第二の粒子群と基材との間に、更に、第三の粒子群、又はそれ以上の粒子群を有していてもよく、即ち、粒子が基材の厚さ方向に3段以上積まれた構成となっていてもよい。
第一の粒子群に対し、第二、更には第三の粒子群は、同一の粒子を用いても良いし、粒子種、粒子径、表面修飾の異なる粒子を組み合わせても良い。
後述の通り、バインダー樹脂の材料及びその配合比を適切に調節して分散性の良好な反射防止層形成用組成物を用い、更に金属酸化物粒子の添加量を調整することにより、金属酸化物粒子を基材の厚み方向に2段以上に配列させることができる。
金属酸化物粒子の平均一次粒径は150nm以上380nm以下であり、150nm以上320nm以下であることが好ましく、150nm以上250nm以下であることがより好ましい。平均一次粒径が150nm以上であると粒子の凝集を抑えることができるので好ましく、380nm以下であるとヘイズが抑えられて好ましい。
金属酸化物粒子の平均一次粒径は、体積平均粒径の累積の50%粒径を指す。反射防止層中に含まれる金属酸化物粒子の平均一次粒径を測定する場合には、電子顕微鏡写真により測定することが出来る。例えば、反射防止物品の切片TEM(透過型電子顕微鏡)像を撮影し、一次粒子100個のそれぞれの直径を測長してその体積を算出し、累積の50%粒径を平均一次粒径とすることができる。粒子が球径でない場合には、長径と短径の平均値をその一次粒子の直径とみなす。
本発明において、粒子表面のヒドロキシル基量を次のように定義する。ヒドロキシル基量は、固体29Si NMR(29Si CP/MAS)で測定する。金属酸化物微粒子の表面の金属元素Mがn個のヒドロキシル基と結合しているもののシグナル強度をQnとしたとき粒子表面の、ヒドロキシル基量は、存在するQn×n÷(粒子半径(単位nm:)の二乗)の総和とする。例えば、粒子がシリカ(粒子半径Rとする)の場合は、中性酸素4原子と結合したケイ素(シグナル強度Q0)、中性酸素3原子とヒドロキシル基1つに結合したケイ素(シグナル強度Q1)、中性酸素2原子とヒドロキシル基2つに結合したケイ素(シグナル強度Q2)が存在し、粒子表面のヒドロキシル基量は、(Q1×1+Q2×2)÷R2である。シリカの場合は、シグナル強度Q2を与えるシグナルは−91〜−94ppm、シグナル強度Q1を与えるシグナルは−100〜−102ppm、シグナル強度Q0を与えるシグナルは−109〜−111ppmの化学シフトに有する。
粒子表面のヒドロキシル基量は焼成によって硬くなるほど小さくなり、本発明においては、1.00×10−1以下であり、1.00×10−5〜1.00×10−1が好ましく、1.00×10−4〜5.00×10−2がより好ましく、5.00×10−4〜1.00×10−3がさらに好ましい。
金属酸化物粒子の押し込み硬度は400MPa以上であり、500MPa以上であることが好ましく、600MPa以上であることがより好ましい。金属酸化物粒子の押し込み硬度が400MPa以上であるとモスアイ構造の厚み方向の圧力に対する耐久性が高くなるため好ましい。また、押し込み硬度が高すぎると脆くて割れやすくなる傾向があるため金属酸化物粒子の押し込み硬度は1000MPa以下であることが好ましい。
金属酸化物粒子の押し込み硬度は、ナノインデンター等によって測定することが出来る。試料は、金属酸化物粒子をそれ自身より硬い基板(ガラス板、石英板等)に一段以上重なりが生じないように並べて粒子表面が露出した状態で樹脂などで動かないように固定したものを準備し、ダイヤモンド圧子で押し込んで測定することができる。トライボインデンターにより押し込み位置を特定するとなお良い
金属酸化物粒子としては、シリカ粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子、アルミナ粒子、五酸化アンチモン粒子などが挙げられるが、後述するバインダー樹脂と屈折率が近いためヘイズを発生しにくく、かつモスアイ構造が形成し易い観点からシリカ粒子もしくはシリカ被覆ジルコニア粒子が好ましい。
金属酸化物粒子は、表面のヒドロキシル基量が適度に存在し、かつ押し込み硬度が高い粒子であるという理由から、焼成シリカ粒子であることが特に好ましい。
焼成シリカ粒子は、加水分解が可能なシリコン化合物を水と触媒とを含む有機溶媒中で加水分解、縮合させることによってシリカ粒子を得た後、シリカ粒子を焼成するという公知の技術により製造することができ、たとえば特開2003−176121号公報、特開2008−137854号公報、特開2012−136363号公報などを参照することができる。
焼成シリカ粒子を製造する原料のシリコン化合物としては特に限定されないが、テトラクロロシラン、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン等のクロロシラン化合物;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のアルコキシシラン化合物;テトラアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジフェニルジアセトキシシラン、トリメチルアセトキシシラン等のアシロキシシラン化合物;ジメチルシランジオール、ジフェニルシランジオール、トリメチルシラノール等のシラノール化合物;等が挙げられる。上記例示のシラン化合物のうち、アルコキシシラン化合物が、より入手し易く、かつ、得られる焼成シリカ粒子に不純物としてハロゲン原子が含まれることが無いので特に好ましい。本発明にかかる焼成シリカ粒子の好ましい形態としては、ハロゲン原子の含有量が実質的に0%であり、ハロゲン原子が検出されないことが好ましい。
焼成温度は特に限定されないが、800〜1300℃が好ましく、1000℃〜1200℃がより好ましい。
金属酸化物粒子の形状は、球形が最も好ましいが、不定形等の球形以外であっても使うことができる。
金属酸化物粒子は市販されている粒子を焼成して用いてもよい。具体的な例としては、スノーテックスMP−2040(平均一次粒径200nm、日産化学工業(株)製シリカ)、シーホスターKE−P10(平均一次粒径150nm、日本触媒(株)製アモルファスシリカ)、シーホスターKE−P20(平均一次粒径200nm、日本触媒(株)製アモルファスシリカ)、ASFP−20(平均一次粒径200nm、日本電気化学工業(株)製アルミナ)などを好ましく用いることができる。さらに本発明における要件を満たすものであれば、市販されている粒子をそのまま用いても良い。具体例としては、シーホスターKE−S30(平均一次粒径300nm、日本触媒(株)製アモルファスシリカ)などが好ましい。
金属酸化物粒子とバインダー樹脂の含有比は、凹凸を形成する第一の粒子群に対し、その下層となる第二の粒子群の厚さで好ましい範囲が異なるが、例えば一列配置の第一の粒子群と、第二の粒子群が一列配置となる粒子二段構成の場合、すなわち、第一の粒子群に含まれる基材の表面に直交する方向の粒子数が1個であり、かつ第二の粒子群に含まれる基材の表面に直交する方向の粒子数が、1個(基材の表面に直交する方向の粒子の数が合計2個)である場合は含有比(金属酸化物粒子の質量/バインダー樹脂の質量)が35/65以上50/50以下が好ましく、37/63以上48/52以下がより好ましく、39/61以上46/54以下が更に好ましい。
基材の表面に直交する方向の粒子数が1個であるという状態は、平均的に1個となればよい。
反射防止層形成用組成物中の全固形分濃度に対して、金属酸化物粒子の含有量は、10質量%以上50質量%以下が好ましく、15質量%以上45質量%以下がより好ましく、20質量%以上40質量%以下が更に好ましい。粒子の含有量が10質量%以上であると、粒子に対して、架橋基を持つバインダー樹脂以外の素材の割合が高くならず、粒子とバインダー樹脂間の結合力が強くなり、粒子脱落を生じにくい。また粒子の含有量が50質量%以下であると、粒子の表面積が大きくなりすぎず、同様に粒子とバインダー樹脂間の結合力が強くなり、好ましい。
(バインダー樹脂)
反射防止層のバインダー樹脂について説明する。
反射防止層のバインダー樹脂は、
下記一般式(1)で表される単量体、下記一般式(2)で表される単量体、及び上記2種の単量体のうち少なくとも1種の単量体が縮合反応したものから選ばれる少なくとも1種である、重量平均分子量300以上2000以下のバインダー(a)の硬化物、及び
下記一般式(3)で表される重量平均分子量2000以下のバインダー(b)の硬化物を含有し、
バインダー(a)の硬化物とバインダー(b)の硬化物との配合比が、バインダー(a)とバインダー(b)との混合後のSP値が20〜24となるものである。
一般式(1): R n1−Si−X 4−n1
一般式(2): R n2−Ti−X 4−n2
一般式(3):
一般式(1)〜(3)中、R、R、及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基または水酸基を表し、更に置換基を有していてもよい。X、X、及びXはそれぞれ独立に加水分解可能な基または水酸基を表す。n1及びn2はそれぞれ独立に0〜1の整数を表し、mは1〜22の整数を表す。複数のX及び複数のXはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。X、R、R、及びRが複数存在する場合は、複数のX、複数のR、複数のR、及び複数のRはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
、X、Xが表す加水分解可能な基としては、アルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基などが挙げられ、アルコキシ基が好ましい。
、R、Rは炭素数1〜10のアルキル基を表し、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、反応性の観点から炭素数1〜3のアルキル基がより好ましい。複数のR、R、Rはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。これらは更に置換基を有していてもよく、炭素原子以外の原子(例えば、ハロゲン原子、S、N、O、Siなど)を置換基中に有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、メルカプト基、アミノ基、(メタ)アクロイル基、オキシラン環含有基等の官能基を例示することができる。
n1及びn2は0であることが好ましい。
一般式(1)の具体例及び一般式(3)の原材料の具体例としては、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシオクチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
また、一般式(2)の具体例としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラオクチルチタネート、ターシャリーアミルチタネート、テトラターシャリーブチルチタネート、テトラステアリルチタネート等が挙げられる。市販品としては、オルガチックスTA−10、TA−21、TA−23、TA−30、TA−12、TA−60、TA−80、TA−90(以上、マツモトファインケミカル(株)製)などが好ましく用いることができる。
一般式(2)で表されるTiを含む化合物は、光励起によるいわゆる光触媒反応(酸化反応)と超親水化反応を示す。光触媒反応はTi化合物の光励起によって生成した電子・正孔対の化合物表面における酸化還元反応に由来する。一方で、光励起によって、水接触角がほとんど0度まで低下する超親水化現象を示す。これは光励起による電荷分離に引き続いて起きる表面構造変化に由来すると考えられている。バインダー樹脂が一般式(2)で表される単量体が縮合反応したアナターゼ型酸化チタン化合物を含有すると、優れた防汚性を得ることができ、たとえば紫外光が照射される屋外用途に特に好適になると考えられる。
バインダー樹脂は、少なくとも2種類の化合物(バインダー(a)の硬化物とバインダー(b)の硬化物)を含有している。具体的には、バインダー(a)は一般式(1)、(2)のX、XがOR(Rはアルキル基)もしくは加水分解可能な基の形で残っており、バインダー(b)は末端OHを有している。
本発明においては、バインダー(a)とバインダー(b)との混合後のSP値を20〜24となる。このように、樹脂の親疎水性を表すSP値を上記の通り限定することにより、平均一次粒径が150nm以上380nm以下の金属酸化物粒子の分散性を非常に良好にすることができ、特に溶媒が揮発した後の分散性への影響が大きく、反射率が低く、かつヘイズが低い反射防止物品を得ることができるものと考えられる。バインダー(a)とバインダー(b)との配合比を適切に選択することにより、混合後のSP値を20〜24とすることができる。金属酸化物粒子の粒子、表面修飾によっても変化するが、例えば金属酸化物粒子として焼成シリカ粒子を用いた場合の混合後のSP値は21〜23がより好ましく、21.5〜22.5が更に好ましい。
なお、バインダー(a)とバインダー(b)との混合後のSP値は、バインダー(a)のSP値とバインダー(b)のSP値をそれぞれの含有率で積算した値である。
本発明におけるSP値(溶解性パラメーター)は、Fedors法によって算出した値であり、Fedors法は、PROPERTYES OF POLYMERSのTABLE 7.3に記載がある。
バインダー(a)は、重量平均分子量が300以上2000以下であり、好ましくは320以上1900以下であり、より好ましくは340以上1800以下である。重量平均分子量を300以上にすることにより、後述するバインダー樹脂を加熱硬化させる工程において、バインダー(a)が揮散することを防止することができる。また、バインダー(a)の重量平均分子量が2000以下であると、樹脂全体の収縮率の低下や、金属酸化物粒子同士の凝集を防止することができる。
本発明における重量平均分子量および数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により下記の条件で測定された値である。
[溶媒] テトラヒドロフラン
[装置名] TOSOH HLC−8220GPC
[カラム] TOSOH TSKgel Super HZM−H
(4.6mm×15cm)を3本接続して使用。
[カラム温度] 25℃
[試料濃度] 0.1質量%
[流速] 0.35ml/min
[校正曲線] TOSOH製TSK標準ポリスチレン Mw=2800000〜1050までの7サンプルによる校正曲線を使用。
バインダー(b)は、重量平均分子量が2000以下であり、好ましくは1900以下であり、より好ましくは1800以下である。バインダー(b)の重量平均分子量が2000以下であると、バインダー樹脂の収縮率の低下や、金属酸化物粒子同士の凝集を防止することができる。
バインダー(a)の具体例としては、エチルシリケート40(コルコート(株)製)、エチルシリケート48(コルコート(株)製)、メチルシリケート51(コルコート(株)製)、メチルシリケート53A(コルコート(株)製)が挙げられる。
また、バインダー(b)としては、エチルシリケート40(コルコート(株)製)、エチルシリケート48(コルコート(株)製)等を事前に酸処理したものが挙げられる。
(金属キレート触媒)
反射防止層は金属キレート触媒を含有する。
金属キレート触媒は、好ましくは上記バインダー(a)及び上記バインダー(b)、並びに金属酸化物粒子を含有する反射防止層形成用組成物中に添加され、バインダー(a)及びバインダー(b)の縮合反応の触媒として作用することが好ましい。また、金属キレート触媒は、金属酸化物粒子とバインダー樹脂との結合力を高める作用も有する。
金属キレート触媒としては、周期表の第2族、第4族、第5族、及び第13族から選ばれる金属元素と、β−ジケトン、ケトエステル、ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル、アミノアルコール、及びエノール性活性水素化合物の中から選ばれるオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物とから構成される金属錯体であることが好ましい。
構成金属元素の中では、Mg、Ca、Sr、Baなどの第2族元素、Ti、Zrなどの第4族元素、V、Nb、Taなどの第5族元素、Al、Gaなどの第13族元素が好ましく、それぞれ触媒効果の優れた錯体を形成する。その中でもZr、Al及びTiから得られる金属錯体が好ましい。
金属錯体の配位子を構成するオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物は、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)、2,4−ヘプタンジオンなどのβジケトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸ブチルなどのケトエステル類、乳酸、乳酸メチル、サリチル酸、サリチル酸エチル、サリチル酸フェニル、リンゴ酸,酒石酸、酒石酸メチルなどのヒドロキシカルボン酸及びそのエステル、4−ヒドロキシー4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ヘプタノン、4−ヒドロキシ−2−ヘプタノンなどのケトアルコール類、モノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチル−モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミノアルコール類、メチロールメラミン、メチロール尿素、メチロールアクリルアミド、マロン酸ジエチルエステルなどのエノール性活性化合物、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)のメチル基、メチレン基またはカルボニル炭素に置換基を有する化合物が挙げられる。
好ましい配位子はアセチルアセトン誘導体であり、アセチルアセトン誘導体は、アセチルアセトンのメチル基、メチレン基またはカルボニル炭素に置換基を有する化合物を指す。アセチルアセトンのメチル基に置換する置換基としては、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基、アシル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基であり、アセチルアセトンのメチレン基に置換する置換基としてはカルボキシル基、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のカルボキシアルキル基及びヒドロキシアルキル基であり、アセチルアセトンのカルボニル炭素に置換する置換基としては炭素数が1〜3のアルキル基であってこの場合はカルボニル酸素には水素原子が付加して水酸基となる。
好ましいアセチルアセトン誘導体の具体例としては、エチルカルボニルアセトン、n−プロピルカルボニルアセトン、i−プロピルカルボニルアセトン、ジアセチルアセトン、1―アセチル−1−プロピオニル−アセチルアセトン、ヒドロキシエチルカルボニルアセトン、ヒドロキシプロピルカルボニルアセトン、アセト酢酸、アセトプロピオン酸、ジアセト酢酸、3,3−ジアセトプロピオン酸、4,4−ジアセト酪酸、カルボキシエチルカルボニルアセトン、カルボキシプロピルカルボニルアセトン、ジアセトンアルコールが挙げられる。中でも、アセチルアセトン及びジアセチルアセトンがとくに好ましい。上記のアセチルアセトン誘導体と上記金属元素の錯体は、金属元素1個当たりにアセチルアセトン誘導体が1〜4分子配位する単核錯体であり、金属元素の配位可能の手がアセチルアセトン誘導体の配位可能結合手の数の総和よりも多い場合には、水分子、ハロゲンイオン、ニトロ基、アンモニオ基など通常の錯体に汎用される配位子が配位してもよい。
好ましい金属錯体の例としては、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)アルミニウム・アコ錯塩、モノ(アセチルアセトナト)アルミニウム・クロロ錯塩、ジ(ジアセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート、トリス(アセチルアセトナト)バリウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、トリス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムトリス(安息香酸)錯塩、等が挙げられる。これらは水系塗布液での安定性及び、加熱乾燥時のゾルゲル反応でのゲル化促進効果に優れているが、中でも、特にエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)が好ましい。
上記した金属錯体の対塩の記載を本明細書においては省略しているが、対塩の種類は、錯体化合物としての電荷の中性を保つ水溶性塩である限り任意であり、例えば硝酸塩、ハロゲン酸塩、硫酸塩、燐酸塩などの化学量論的中性が確保される塩の形が用いられる。
金属錯体のシリカゾルゲル反応での挙動については、J.Sol−Gel.Sci.and Tec.16.209(1999)に詳細な記載がある。
上記の金属キレート触媒は、市販品として容易に入手でき、また公知の合成方法、例えば各金属塩化物とアルコールとの反応によっても得られる。
反射防止層における金属キレート触媒の含有量は、バインダー樹脂に対して、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.5質量%以上5質量%以下がより好ましく、1質量%以上3質量%以下が更に好ましい。0.1質量%以上であれば膜の硬度が十分であり、10質量%以下であればバインダー樹脂の縮合が進行しすぎないため、金属酸化物粒子とバインダー樹脂の結合が十分であり、金属酸化物粒子が脱落しにくくなる。
(基材)
本発明の反射防止物品における基材は、表面の圧縮応力が500MPa以上であって、Al−O結合で構成される基材もしくは、Al−O結合とSi−O結合の両方を含む基材である。
基材の表面の圧縮応力は550MPa以上であることがより好ましく、600MPa以上であることが更に好ましい。また、基材の表面の圧縮応力は4000MPa以下であることがより好ましく、3500MPa以下であることが更に好ましい。
基材としては、可視光領域(特に波長380〜780nm)の全光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。全光線透過率は、JIS−K7361に準じて測定される。測定装置には日本電色工業(株)製ヘーズメーターNDH4000を用いる。
基材の厚みは、1.8mm以下であることが好ましく、0.1mm以上1.5mm以下であることがより好ましく、0.3mm以上1.2mm以下であることが更に好ましい。
また、Al−O結合とSi−O結合の両方を含む基材は化学強化層を有しており、化学強化層の厚みが300μm以下であることが好ましく、250μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることが更に好ましい。
基材としては、市販されているアルミノシリケート(アルミノケイ酸)ガラスやサファイア基板等を用いることができる。たとえば、松浪硝子工業社製化学強化ガラス、コーニング社製「ゴリラガラス」(登録商標)、「ゴリラガラス2」(登録商標)、「ゴリラガラス3」(登録商標)、旭硝子社製「ドラゴントレイル」(登録商標)、日本電気硝子社製「CX−01」、「CX−01P」、「CX−01T」、セントラル硝子社製(ARMOREX)、日本板硝子社製化学強化ガラス、ショット日本株式会社製「Xensation Cover」、「Xensation Cover 3D」があり、またAl−O結合のみからなる基材としては、信光社製のサファイアガラス(Al単結晶基板)などがあり、これらを好ましく用いることができる。
(他の機能層)
本発明の反射防止物品は、反射防止層を有するが、更に、反射防止層以外の機能層を有していてもよい。
たとえば、基材と反射防止層との間にハードコート層を有する態様が好ましく挙げられる。また、密着性を付与するための易接着層、帯電防止性を付与するための層等を備えていても良く、これらを複数備えていても良い。
[反射防止物品の製造方法]
本発明の反射防止物品の製造方法は特に限定されないが、生産効率の観点からは塗布法を用いた製造方法が好ましい。
反射防止物品の製造方法は、
圧縮応力が500MPa以上であり、Al−O結合のみからなる基材、またはAl−O結合とSi−O結合の両方を含む基材と、
上記基材上に、表面に金属酸化物粒子により形成された凹凸形状からなるモスアイ構造を有する反射防止層とを有する反射防止物品の製造方法であって、
下記一般式(1)で表される単量体、下記一般式(2)で表される単量体、及び上記2種の単量体のうち少なくとも1種の単量体が縮合反応したものから選ばれる少なくとも1種である、重量平均分子量300以上2000以下のバインダー(a)、
下記一般式(3)で表される重量平均分子量2000以下のバインダー(b)、
金属酸化物粒子、
金属キレート触媒、および
溶剤
を含有する反射防止層形成用組成物を上記基材上に塗布し、上記凹凸形状の凸部を形成する金属酸化物粒子からなる第一の粒子群と、上記第一の粒子群と上記基材との間に、金属酸化物粒子からなる第二の粒子群と、を配置させる工程と、
上記溶剤を揮発乾燥させる工程と、
上記溶剤を揮発乾燥させる工程の後に、上記バインダー(a)と上記バインダー(b)を加熱硬化させる工程と、を有し、
上記反射防止層の凹凸形状は、隣り合う凸部の頂点間の距離Aと、上記隣り合う凸部の頂点間の中心と凹部との距離Bとの比であるB/Aが0.55以上であり、
上記金属酸化物粒子の平均一次粒径は150nm以上380nm以下であり、
上記金属酸化物粒子の表面のヒドロキシル基量は1.00×10−1以下であり、
上記金属酸化物粒子の押し込み硬度は400MPa以上であり、
上記反射防止層形成用組成物には、上記バインダー(a)と上記バインダー(b)とが、上記バインダー(a)と上記バインダー(b)との混合後のSP値が20〜24となる配合比で配合されている、反射防止物品の製造方法であることが好ましい。
一般式(1): R n1−Si−X 4−n1
一般式(2): R n2−Ti−X 4−n2
一般式(3):
一般式(1)〜(3)中、R、R、及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基または水酸基を表し、更に置換基を有していてもよい。X、X、及びXはそれぞれ独立に加水分解可能な基または水酸基を表す。n1及びn2はそれぞれ独立に0〜1の整数を表し、mは1〜22の整数を表す。複数のX及び複数のXはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。X、R、R、及びRが複数存在する場合は、複数のX、複数のR、複数のR、及び複数のRはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
反射防止層形成用組成物に含まれるバインダー(a)、バインダー(b)、金属キレート触媒、及び金属酸化物粒子は前述したものと同様である。
反射防止層形成用組成物に含まれる溶剤としては、金属酸化物粒子と極性が近い物を選ぶのが分散性を向上させる観点で好ましい。具体的には、アルコール系の溶剤が好ましく、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノールなどが挙げられる。また、例えば疎水化表面修飾がされた金属樹脂粒子の場合には、ケトン系、エステル系、カーボネート系、アルカン、芳香族系等の溶剤が好ましく、メチルエチルケトン(MEK)、炭酸ジメチル、酢酸メチル、アセトン、メチレンクロライド、シクロヘキサノンなどが挙げられる。これらの溶剤は、分散性を著しく悪化させない範囲で複数種混ぜて用いてもかまわない。
図2は、本発明の反射防止物品の製造方法を説明するための模式図である。
反射防止層形成用組成物を基板上に塗布して、溶剤を揮発乾燥させる工程において、図2に示したように、未硬化の反射防止層形成用組成物6の表面は、第一の粒子群の凸部の頂点付近に位置している。その後、バインダー(a)、バインダー(b)とを加熱硬化させる工程により、バインダー(a)、バインダー(b)が硬化収縮し、図1に示すようにバインダー樹脂4の表面を所望の位置まで下げることができる。
本発明の反射防止物品の製造方法においては、残存溶剤量を5質量%とした時点でのヘイズを1.5%以下とし、残存溶剤量を0.5質量%とした時点でのヘイズを2%以下とすることが好ましい。
このように、基板上に第一の粒子群と第二の粒子群による2段構造の粒子を配置し、残存溶剤量とヘイズとの関係を適切に調整することにより、凹凸形状のB/Aを0.55以上とすることができる。
また、本発明の製造方法によると、金属酸化物粒子とバインダー樹脂との結合力を高めるために高温での処理を行わなくても、金属酸化物粒子とバインダー樹脂との結合力が優れた反射防止層を簡便に製造することができる。
また、反射防止層用塗布組成物は、他に、粒子の分散剤、レベリング剤、防汚剤等を含んでいてもよい。
レベリング剤は、塗布液の表面張力を低下させることにより、塗布後の液を安定させ粒子やバインダー樹脂を均一に配置させ易くすることができる。例えば、特開2004−331812号公報、特開2004−163610号公報に記載の化合物等を用いることができる。
防汚剤は、モスアイ構造に撥水撥油性を付与することにより、汚れや指紋の付着を抑制することができる。例えば、特開2012−88699号公報に記載の化合物等を用いることができる。
反射防止層形成用組成物の塗布方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができる。例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ダイコート法等が挙げられる。
均一に塗布しやすい観点から、反射防止層形成用組成物の固形分濃度は、5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、10質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。
反射防止層形成用組成物の溶剤の乾燥方法としては、揮発乾燥させるために18℃〜80℃の温度範囲で乾燥させることが好ましい。揮発乾燥させる温度が18℃以上であれば溶媒の揮発速度が速くなり、揮発乾燥時間が短時間になり生産性が向上する。揮発乾燥させる温度が80℃以下であればバインダーの揮発を抑制でき、第一の粒子群の凸部の頂点付近に反射防止層形成用組成物の表面を維持することが容易になる。
反射防止層形成用組成物のバインダー(a)とバインダー(b)の硬化方法としては、前述の金属キレート触媒を用いた熱硬化が好ましく、100℃〜190℃の温度範囲で硬化させることが好ましい。100℃以上であれば揮発乾燥との温度差が大きく、溶媒が残留せずに、硬化後の反射防止層強度が向上する。また190℃以下であれば基材として化学強化ガラスを用いた場合に、カリウムイオンが抽出されないため好ましい。
また上記金属キレート触媒を用いた熱硬化に、更に光酸発生剤等を用いた光硬化の併用することも好ましい。また、一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物として、(メタ)アクリロイル基を含有する化合物を使用した場合には、光重合開始剤を併用することも好ましい。
[カバーガラス]
本発明の反射防止物品または本発明の製造方法により製造された反射防止物品は、反射防止機能と高い硬度を有するため、カバーガラスとして用いることができる。本発明の反射防止物品を含んでなるカバーガラスは、たとえば画像表示装置の表示面に配置され、特にスマートフォン、タブレットPC、デジタルサイネージなどに好適に用いることができる。
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、本発明の反射防止物品を有する。
本発明の反射防止物品は液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に好適に用いることができ、特に液晶表示装置が好ましい。これらの画像表示装置のカバーガラスとして、本発明の反射防止物品は使用できる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
[シリカ粒子a−1の作製]
撹拌機、滴下装置および温度計を備えた容量200Lの反応器に、メチルアルコール67.54kgと、28質量%アンモニア水(水および触媒)26.33kgとを仕込み、撹拌しながら液温を33℃に調節した。一方、滴下装置に、テトラメトキシシラン12.70kgをメチルアルコール5.59kgに溶解させた溶液を仕込んだ。反応器中の液温を33℃に保持しながら、滴下装置から上記溶液を1時間かけて滴下し、滴下終了後、さらに1時間、液温を上記温度に保持しながら撹拌することにより、テトラメトキシシランの加水分解および縮合を行い、シリカ粒子前駆体を含有する分散液を得た。この分散液を、瞬間真空蒸発装置(ホソカワミクロン(株)社製クラックス・システムCVX−8B型)を用いて加熱管温度175℃、減圧度200torr(27kPa)の条件で気流乾燥させることにより、シリカ粒子a−1を得た。得られたシリカ粒子の平均一次粒径は200nm、粒径の分散度(Cv値):3.5%、ヒドロキシル基量:2.85×10−1、押し込み硬度330MPaであった。
[焼成シリカ粒子b−1の作製]
シリカ粒子a−1 5kgをルツボに入れ、電気炉を用いて900℃で1時間焼成した後、冷却して、次いで粉砕機を用いて粉砕し、分級前焼成シリカ粒子を得た。さらにジェット粉砕分級機(日本ニューマ社製IDS−2型)を用いて解砕および分級を行うことにより焼成シリカ粒子b−1を得た。得られたシリカ粒子の平均一次粒径は180nm、粒径の分散度(Cv値):3.7%、ヒドロキシル基量:9.60×10−2、押し込み硬度400MPaであった。
[焼成シリカ粒子b−2の作製]
上記シリカ粒子a−1 5kgをルツボに入れ、電気炉を用いて1050℃で1時間焼成した後、冷却して、次いで粉砕機を用いて粉砕し、分級前焼成シリカ粒子を得た。さらにジェット粉砕分級機(日本ニューマ社製IDS−2型)を用いて解砕および分級を行うことにより焼成シリカ粒子b−2を得た。得られたシリカ粒子の平均粒径は180nm、粒径の分散度(Cv値):3.8%、ヒドロキシル基量:7.50×10−3、押し込み硬度500MPaであった。
[焼成シリカ粒子b−3の作製]
上記シリカ粒子a−1 5kgをルツボに入れ、電気炉を用いて1050℃で2時間焼成した後、冷却して、次いで粉砕機を用いて粉砕し、分級前焼成シリカ粒子を得た。さらにジェット粉砕分級機(日本ニューマ社製IDS−2型)を用いて解砕および分級を行うことにより焼成シリカ粒子b−3を得た。得られたシリカ粒子の平均粒径は180nm、粒径の分散度(Cv値):3.6%、ヒドロキシル基量:9.60×10−4、押し込み硬度600MPaであった。
なお、粒子表面のヒドロキシル基量及び粒子の押し込み硬度は、以下のようにして測定した。
[粒子表面のヒドロキシル基量の測定]
固体29Si NMRを用いて、次の条件でシグナル強度Q2、Q1を測定し、ヒドロキシル基量(Q1×3+Q2×2)を算出した。
測定法: 29Si CP/MAS
観測周波数: 29Si : 59.63 MHz
スペクトル幅: 22675.74 Hz
積算回数: 2000回
コンタクトタイム: 5ms
90°パルス: 4.8μs
測定待ち時間: 2秒
MAS回転数: 3kHz
化学シフト: Q2は−91〜−94ppm、Q1は−100〜−102ppm
[金属酸化物粒子の押し込み硬度の測定]
各金属酸化物粒子8g、イルガキュア184(BASFジャパン(株)製)0.3g、KAYARAD PET30(日本化薬(株)製)7.7gをエタノール91gに投入し、10分間攪拌後、超音波分散機により10分間分散して15質量%の分散液を得た。この分散液をガラス板にWet塗布量約3ml/mで塗布し、酸素濃度が0.1体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら空冷メタルハライドランプで照射量600mJ/cmの紫外線を照射して硬化した。その後、金属酸化物粒子が2段以上に積み重なっていないことをSEMで観察した。この試料をトライボインデンター(ハイジトロン社製TI−950)を用いて直径1μmのダイヤモンド圧子、押し込み荷重0.05mNの測定条件で金属酸化物粒子の押し込み硬度を測定した。
(反射防止層形成用組成物の調製)
下記表1に記載した各成分をミキシングタンクに投入し、60分間攪拌し、30分間超音波分散機により分散し、孔径5μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して反射防止層形成用組成物(塗布液)を調製した。なお、表1には各成分の固形分としての添加量(質量部)を示した。また、バインダー(a)とバインダー(b)の混合比(質量比)と、混合後のSP値を記載した。
(反射防止物品の作製)
下記表1に示す基材上に、下記表1に記載の反射防止層形成用組成物をグラビアコーターを用いて塗布量が3ml/mとなるように塗布した。溶剤を揮発乾燥させる工程として、80℃で5分乾燥した後、バインダー成分を加熱硬化させる工程として、150℃で2時間加熱し、反射防止物品を作製した。このようにして反射防止物品試料1〜23、及び101〜107を得た。
それぞれ使用した化合物を以下に示す。
<基材>
化学強化ガラス基材(Al−O結合とSi−O結合の両方を含む基材):松浪硝子(株)製化学強化硝子、厚さ0.7mm、表面の圧縮応力650MPa、化学強化層の厚み40μm
サファイアガラス(Al−O結合のみからなる基材):信光社(株)サファイア単結晶基板、厚さ0.7mm、表面の圧縮応力3000MPa、化学強化層無し。
<金属酸化物粒子>
KE−S30:シーホスターKE−S30、平均一次粒径300nmのシリカ粒子(日本触媒(株)製、粒径の分散度(Cv値):3.0%、ヒドロキシル基量:4.4×10−3、押し込み硬度530MPa)
<バインダー(a)、バインダー(b)>
[化合物C]
還流冷却器、温度計を付けたフラスコに信越化学工業製KBE−9007 19.3gとグリセリン1,3−ビスアクリラート3.9g、2−ヒドロキシエチルアクリレート 6.8g ジラウリン酸ジブチル錫0.1g、トルエン70.0gを添加し、室温で12時間撹拌した。撹拌後、メチルハイドロキノン500ppmを加え、減圧留去を行い化合物Cを得た。
化合物C:
X−40−2671G:信越化学工業(株)製
X−40−2671Gは、特開2007−41495号公報に記載の一般式(2)において、Rは水素原子、Yは*−COO−**、Lは、炭素数3の連結基(C)、R、R、R、はメトキシ基、R、及びRはメチル基である化合物であり、重量平均分子量は1500、SP値19.3である。
エチルシリケート28:テトラエトキシシラン(コルコート(株)製、分子量208、SP値16.1)
エチルシリケート40:テトラエトシシラン5量体(コルコート(株)製、重量平均分子量526、SP値16.9)
エチルシリケート48:テトラエトシシラン10量体(コルコート(株)製、重量平均分子量964、SP値17.0)
オルガチックスTA−21:テトラノルマルブチルチタネート(マツモトファインケミカル(株)製、分子量340、SP値17.6)
<酸処理エチルシリケート>
攪拌機を備えた反応器、メチルエチルケトン120質量部、エチルシリケート40 100質量部、塩酸2質量部、イオン交換水2質量部を加え、60℃で1時間反応させたのち、室温まで冷却し、酸処理エチルシリケート40を得た。重量平均分子量は324、SP値41.1であった。
また、エチルシリケート40の代わりにエチルシリケート48を用いて、イオン交換水4質量部を加えた以外は、上記と同様の処理を行うことで、酸処理エチルシリケート48を得た。重量平均分子量は629、SP値41.1であった。
酸処理エチルシリケート40は下記構造式においてm=5である化合物であり、酸処理エチルシリケート48は下記構造式においてm=10である化合物である。

<ゾル液aの調製>
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120質量部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)100質量部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3質量部を加え混合したのち、イオン交換水30質量部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、固形分28質量%のゾル液aを得た。重量平均分子量は1800であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。構造式より算出したSP値は24.1であった。
<触媒>
トリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム(III):Alキレート錯体(東京化成(株)製)
D−25:Tiキレート錯体(信越化学工業(株))
硝酸:特級、和光純薬工業(製)
(反射防止物品の評価)
以下の方法により反射防止物品の諸特性の評価を行った。結果を表2および表3に示す。
<積分反射率>
反射防止物品の裏面(基材側)を黒色インクで処理し、裏面反射をなくした状態で、分光光度計V−550(日本分光(株)製)にアダプターARV−474を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における積分反射率を測定し、平均反射率を算出して反射防止性を評価した。
<モスアイ凹凸、粒子段数、粒子間空隙>
反射防止物品をダイヤモンドカッターで傷をつけた後に、傷に沿って割ることで断面を出し、断面にカーボン蒸着後10分間エッチング処理した。走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて5000倍で20視野観察、撮影した。得られた画像で、空気と試料が作る界面において、隣り合う凸部の頂点間の距離A、隣り合う凸部の頂点間の中心と凹部との距離Bを100点測長し、B/Aの平均値として算出した。
また、上記得られた画像のうちランダムに抽出した5視野の画像に基づき、膜厚方向の粒子の段数(基材表面に直交する方向の粒子の数)及び粒子間の空隙(本明細書における粒子間の空隙とは、粒子の3次元配置により空間的に限定され、粒子もバインダーも存在しない領域のことを指す)の有無を観察した。
<鉛筆硬度試験>
JIS K 5600−5−4(1999)に記載の鉛筆硬度評価を行い、その後消しゴムにて鉛筆跡を除去した。各試料を温度25℃、湿度60%RHで3時間調湿した後、JIS S 6006(2007)に規定する試験用鉛筆を用いて下記の基準で評価した。試験後にあとが見られる試料は、試験あとをSEMで観察し、粒子の脱落有無、粒子のつぶれの有無を観察した。
A:6H試験後に粒子の脱落も粒子のつぶれも観察されない。
B:5H試験後に粒子の脱落も粒子のつぶれも観察されない。
C:4H試験後に粒子の脱落も粒子のつぶれも観察されない。
D:4H試験後に粒子の脱落もしくは粒子のつぶれが観察される。
<ヘイズ>
面の均一性をヘイズ値で評価した。粒子同士が凝集し不均一であるものは、ヘイズが高くなる。JIS−K7136に準じて、得られた反射防止物品の全ヘイズ値(%)を測定した。装置には日本電色工業(株)製ヘーズメーターNDH4000を用いた。
ヘイズ値が2%以下・・・白濁感が無く、面の均一性に優れている。
ヘイズ値が4%以下・・・やや白濁感があるが、外観に問題はない。
ヘイズ値が4%より大きい・・・白濁感が強く、外観を損ねている。
また、反射防止物品の製造過程において、反射防止層の残留溶剤量を5質量%とした時点でのヘイズ(「残留溶剤5%ヘイズ」)も測定し、表2に結果を示した。
<防汚性>
本発明のモスアイ構造を持つ反射防止物品を、25℃60RH%の条件下で反射防止層表面に指紋を付着させ、正面からの目視で指紋汚れがはっきり分かるようにした。キセノンウェザーメーターNX75(スガ試験機製、放射照度100W/m、槽内温度35℃、BP温度63℃、湿度50%RH条件)にて反射防止層側に1時間照射した後に10枚重ねに折り束ねたザヴィーナ(KBセレン製、空隙1μm)で布の束がへこむ程度の荷重で2往復拭き取り、指紋跡の観察状況で防汚性を評価した。
A:指紋汚れが正面から観察できないし斜めからでも観察できない。
B:指紋汚れが正面から観察できないが斜めからでは観察できる。
C:指紋汚れが正面からでも観察できる。
実施例試料1〜23は、積分反射率が低く、鉛筆硬度が高く、ヘイズが低く、優れている。また、実施例試料13及び19では、バインダー樹脂を形成するための化合物としてチタンを含有するものを使用しており、屋外使用下での防汚性にも優れている。
比較例試料101は、粒子の押し込み硬度が低いため、鉛筆硬度が実施例よりも低くなった。
比較例試料102〜107は、モスアイ構造の凹凸におけるB/Aが0.55未満であるため、実施例に対して反射率が高くなった。
1 基材
2 反射防止層
3a 第一の粒子群
3b 第二の粒子群
4 バインダー樹脂
6 未硬化の反射防止層形成用組成物
10 反射防止物品
A 隣り合う凸部の頂点間の距離
B 隣り合う凸部の頂点間の中心と凹部との距離

Claims (12)

  1. 圧縮応力が500MPa以上であり、Al−O結合のみからなる基材、またはAl−O結合とSi−O結合の両方を含む基材と、
    前記基材上に、表面に金属酸化物粒子により形成された凹凸形状からなるモスアイ構造を有する反射防止層とを有する反射防止物品の製造方法であって、
    下記一般式(1)で表される単量体、下記一般式(2)で表される単量体、及び前記2種の単量体のうち少なくとも1種の単量体が縮合反応したものから選ばれる少なくとも1種である、重量平均分子量300以上2000以下のバインダー(a)、
    下記一般式(3)で表される重量平均分子量2000以下のバインダー(b)、
    金属酸化物粒子、
    金属キレート触媒、および
    溶剤
    を含有する反射防止層形成用組成物を前記基材上に塗布し、前記凹凸形状の凸部を形成する金属酸化物粒子からなる第一の粒子群と、前記第一の粒子群と前記基材との間に、金属酸化物粒子からなる第二の粒子群と、を配置させる工程と、
    前記溶剤を揮発乾燥させる工程と、
    前記溶剤を揮発乾燥させる工程の後に、前記バインダー(a)と前記バインダー(b)を加熱硬化させる工程と、を有し、
    前記反射防止層の凹凸形状は、隣り合う凸部の頂点間の距離Aと、該隣り合う凸部の頂点間の中心と凹部との距離Bとの比であるB/Aが0.55以上であり、
    前記金属酸化物粒子の平均一次粒径は150nm以上380nm以下であり、
    前記金属酸化物粒子の表面のヒドロキシル基量は1.00×10−1以下であり、
    前記金属酸化物粒子の押し込み硬度は400MPa以上であり、
    前記反射防止層形成用組成物には、前記バインダー(a)と前記バインダー(b)とが、前記バインダー(a)と前記バインダー(b)との混合後のSP値が20〜24となる配合比で配合されている、反射防止物品の製造方法。
    一般式(1): R n1−Si−X 4−n1
    一般式(2): R n2−Ti−X 4−n2
    一般式(3):

    一般式(1)〜(3)中、R、R、及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基または水酸基を表し、更に置換基を有していてもよい。X、X、及びXはそれぞれ独立に加水分解可能な基または水酸基を表す。n1及びn2はそれぞれ独立に0〜1の整数を表し、mは1〜22の整数を表す。複数のX及び複数のXはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。X、R、R、及びRが複数存在する場合は、複数のX、複数のR、複数のR、及び複数のRはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
  2. 前記Al−O結合とSi−O結合の両方を含む基材は化学強化層を有し、前記基材の厚みが1.8mm以下であり、前記化学強化層の厚みが300μm以下である、請求項1に記載の反射防止物品の製造方法。
  3. 前記Al−O結合のみを含む基材の厚みが1.8mm以下である、請求項1に記載の反射防止物品の製造方法。
  4. 前記金属酸化物粒子が焼成シリカ粒子である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の反射防止物品の製造方法。
  5. 前記金属酸化物粒子の表面のヒドロキシル基量は1.0×10−2以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の反射防止物品の製造方法。
  6. 前記金属キレート触媒が、周期表の第2族、第4族、第5族、及び第13族から選ばれる金属元素と、β−ジケトン、ケトエステル、ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル、アミノアルコール、及びエノール性活性水素化合物の中から選ばれるオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物とから構成される金属錯体である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の反射防止物品の製造方法。
  7. 残存溶剤量を5質量%とした時点での反射防止層のヘイズが1.5%以下であり、残存溶剤量を0.5質量%とした時点での反射防止層のヘイズが2%以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の反射防止物品の製造方法。
  8. 圧縮応力が500MPa以上であり、Al−O結合のみからなる基材、またはAl−O結合とSi−O結合の両方を含む基材と、
    前記基材上に設けられた、バインダー樹脂、金属酸化物粒子、及び金属キレート触媒を含有し、表面に凹凸形状からなるモスアイ構造を有する反射防止層と、
    を有する反射防止物品であって、
    前記反射防止層は、前記凹凸形状の凸部を形成する金属酸化物粒子からなる第一の粒子群と、前記第一の粒子群と前記基材との間に、金属酸化物粒子からなる第二の粒子群と、を有し、
    前記反射防止層の凹凸形状は、隣り合う凸部の頂点間の距離Aと、該隣り合う凸部の頂点間の中心と凹部との距離Bとの比であるB/Aが0.55以上であり、
    前記金属酸化物粒子の平均一次粒径は150nm以上380nm以下であり、
    前記金属酸化物粒子の表面のヒドロキシル基量は1.00×10−1以下であり、
    前記金属酸化物粒子の押し込み硬度は400MPa以上であり、
    前記バインダー樹脂は、
    下記一般式(1)で表される単量体、下記一般式(2)で表される単量体、及び前記2種の単量体のうち少なくとも1種の単量体が縮合反応したものから選ばれる少なくとも1種である、重量平均分子量300以上2000以下のバインダー(a)の硬化物、及び
    下記一般式(3)で表される重量平均分子量2000以下のバインダー(b)の硬化物を含有し、
    前記バインダー(a)の硬化物と前記バインダー(b)の硬化物との配合比が、前記バインダー(a)と前記バインダー(b)との混合後のSP値が20〜24となるものである、反射防止物品。
    一般式(1): R n1−Si−X 4−n1
    一般式(2): R n2−Ti−X 4−n2
    一般式(3):

    一般式(1)〜(3)中、R、R、及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基または水酸基を表し、更に置換基を有していてもよい。X、X、及びXはそれぞれ独立に加水分解可能な基または水酸基を表す。n1及びn2はそれぞれ独立に0〜1の整数を表し、mは1〜22の整数を表す。複数のX及び複数のXはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。X、R、R、及びRが複数存在する場合は、複数のX、複数のR、複数のR、及び複数のRはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
  9. 前記第一の粒子群に含まれる前記基材の表面に直交する方向の粒子数が1個であり、かつ前記第二の粒子群に含まれる前記基材の表面に直交する方向の粒子の数も1個であり、前記金属酸化物粒子と前記バインダー樹脂の質量比率が35/65〜50/50である、請求項8に記載の反射防止物品。
  10. 少なくとも前記第二の粒子群を構成する金属酸化物粒子同士の間、及び前記第一の粒子群と前記第二の粒子群の間にバインダー樹脂が存在する請求項8又は9に記載の反射防止物品。
  11. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の反射防止物品の製造方法で製造された反射防止物品、又は請求項8〜10のいずれか1項に記載の反射防止物品を含んでなるカバーガラス。
  12. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の反射防止物品の製造方法で製造された反射防止物品、請求項8〜10のいずれか1項に記載の反射防止物品、又は請求項11に記載のカバーガラスを有する画像表示装置。
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