JP2023074970A - 官能基と珪素を含む外殻と、その内側に空洞を有する粒子の分散液及びその製造方法 - Google Patents

官能基と珪素を含む外殻と、その内側に空洞を有する粒子の分散液及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】珪素を含む外殻と、その内側に空洞を有する粒子の表面に有機珪素化合物が精密に担持された、分散媒中あるいは樹脂中で分散性が高い粒子の分散液を提供する。【解決手段】この粒子は、官能基と珪素を含み、画像解析による一次粒子径の平均が20~250nm、炭素を0.5~10質量%含有する。この粒子を含む分散液から、粒子を除いた液中には含まれる有機珪素化合物量は、粒子100質量部に対して、固形分として0.50質量部以下である。この分散液によれば、反射率が低く、基材との密着性に優れ、高い硬度と強度とを有する被膜を作製可能な塗布液が得られる。【選択図】なし

Description

本発明は、官能基と珪素を含む外殻と、その内側に空洞を有する粒子の分散液及びその製造方法に関する。
従来、ガラス、プラスチックシート、プラスチックレンズ等の基材表面の反射を防止するために、その表面に反射防止膜が形成されている。例えば、コート法、蒸着法、CVD法等によって、フッ素樹脂、フッ化マグネシウム等の低屈折率の物質の被膜をガラスやプラスチックの基材表面に形成することが行われている。しかしながら、これらの方法はコスト的に高価である。そこで、シリカ等からなる低屈折率粒子を含む塗布液を基材表面に塗布して、反射防止膜を形成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、珪素を含む外殻と、その内側に空洞を有する粒子の製造方法が知られている(例えば、特許文献2、3参照)。この粒子は屈折率が低く、これを用いて形成された透明被膜は、屈折率が低く反射防止性能に優れている。
更に、基材や表示装置等の鉛筆硬度(硬度)と耐擦傷性(強度)を向上させるために、基材や表示装置等の表面にハードコート機能を有する透明被膜を形成させることが知られている。具体的には、透明性を有する有機樹脂膜或いは無機膜をガラスやプラスチック、表示装置等の表面に形成させている。この時、被膜中に、シリカ等の粒子を配合することによって、基材との密着性、強度等が向上することが知られている。このような粒子を用いる場合、マトリックス成分への分散性を向上させるために、有機珪素化合物で表面処理することが知られている(例えば、特許文献4参照)。
ところで、有機珪素化合物で表面処理された粒子には、粒子表面のOH基と有機珪素化合物とが化学結合している層と、両者が物理吸着している層がある。この化学結合層が存在することで樹脂中の粒子同士の凝集を抑制する効果があること、物理吸着層が存在することで樹脂への相溶性が向上することが知られている(例えば、特許文献5、6参照)。
特開平7-133105号公報 特開2001-233611号公報 特開2013-226539号公報 WO2011/059081号 特開2005-298740号公報 特開2015-189637号公報
内部に空洞を有する粒子を含む被膜付基材は、高い硬度と強度とを要求される。ところで、この粒子に物理吸着している有機珪素化合物がある場合、粒子の樹脂への相溶性向上による硬度及び強度の向上が期待される。ところが、このような表面処理粒子を使用した被膜付基材は、硬度及び強度の向上が不十分である。これは、粒子に対して、物理吸着している有機珪素化合物と、遊離している有機珪素化合物の少なくとも一方が存在していると、粒子と樹脂とが化学結合して三次元的に架橋することを阻害するため、被膜としての緻密性が不十分となるためと思われる。また、このような粒子の分散液を反射防止膜に使用した場合は、緻密化に寄与しない有機珪素化合物の存在によって屈折率が上昇するため、反射防止性能も低下する。そのため、より精密に有機珪素化合物が化学結合された粒子が要求される。また、この粒子には、分散媒中あるいは樹脂中で分散性が高いことが要求される。更に、この粒子を使用した被膜付基材には、粒子の凝集が抑制されていて、十分な硬度と強度とを有することが要求される。
このような課題を解決するため、以下のような粒子の分散液を見出した。この分散液は、官能基と珪素を含む外殻と、その内側に空洞を有する粒子を含む。この粒子の画像解析による一次粒子径の平均(D)は20~250nmである。また、この粒子に含まれる炭素量は0.5~10質量%である。更に、分散液からこの粒子を除いた液中の有機珪素化合物は、粒子に対して、固形分として0.50質量部以下である。
以下、この「官能基と珪素を含む外殻と、その内側に空洞を有する粒子」を単に「粒子」あるいは「分散液中の粒子」ということがある。
この粒子は、高い分散性を有する。また、マトリックス形成成分との重合点を多く有し、かつ、反射防止性能を阻害したり、マトリックス形成成分との重合を阻害したりする「未反応」の有機珪素化合物の量が少ない。ここで、「未反応」とは、粒子に対して有機珪素化合物が「物理吸着しているだけの状態や、遊離している状態」のことを表す。このような粒子を含む塗布液によれば、反射防止性能に優れ、高い硬度と強度とを有する被膜付基材が得られる。
この表面処理粒子を得るために、以下のような製造方法を見出した。
まず、珪素を含む外殻と、その内側に空洞を有する粒子(以下、これを「元の粒子」ということがある)を含む分散液を準備して、これに、下記式(1)で表される有機珪素化合物を加えて、この粒子を表面処理する(第一工程)。次に、この表面処理後の粒子の分散液から、有機珪素化合物を除去する(第二工程)。
-SiX4-n ・・・式(1)
(式中、Rは炭素数1~10の非置換又は置換炭化水素基で、互いに同一であっても異なっていてもよい。置換基としては、例えば、アルキル基、ビニル基、エポキシ基、アクリロイル基、(メタ)アクリロイル基、アルコキシ基、メルカプト基、グリシドキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、フェニル基、フェニルアミノ基が挙げられる。Xは炭素数1~4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、水素原子であり、nは0~4の整数を示す。)
この第二工程で得られた分散液中の表面処理粒子の性状は、前述の分散液中の粒子の性状に準じる。
本発明の粒子の分散液によれば、反射率が低く、基材との密着性に優れ、高い硬度と強度とを有する被膜を作製可能な塗布液が得られる。
[粒子の分散液]
本発明に係る粒子の分散液(以下、これを単に「分散液」ということがある)について説明する。
分散液中の粒子は、粒子の外殻に官能基と珪素とを含む。また、この粒子外殻の内側には空洞を有する。この粒子の画像解析による一次粒子径の平均(D)は20~250nmである。また、この粒子に含まれる炭素量は0.5~10質量%である。更に、分散液からこの粒子を除いた液中の有機珪素化合物の量は、粒子100質量部に対して、固形分として0.50質量部以下である。
粒子外殻に官能基が含まれることで、粒子の分散媒中や被膜形成用塗布液中、あるいは被膜のマトリックス中での分散性が高く、この粒子を使用した被膜付基材には、粒子の凝集が抑制されていて、十分な硬度と強度とを有する。また、粒子外殻に珪素が含まれることにより、低い屈折率の粒子が得られることと、珪素由来の表面OH基の存在により前述の官能基の導入が容易となる。
この粒子外殻に含まれる官能基としては、例えば、アルキル基、ビニル基、エポキシ基、アクリロイル基、(メタ)アクリロイル基、アルコキシ基、メルカプト基、グリシドキシ基、ハロゲン基、アミノ基、フェニル基、及びフェニルアミノ基から選ばれる少なくとも一種が挙げられる。これらの中でも、アクリロイル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基が高い重合能を有する点で好ましい。これら官能基については、粒子の乾燥粉体をフーリエ変換型赤外分光装置(FT-IR)で測定し、解析することで特定できる。
これら官能基は、式(1)で表される有機珪素化合物に由来する官能基であることが好ましい。この有機珪素化合物は、例えば、前述の「元の粒子」を作製するために使用される原料や、粒子の表面処理に使用される表面処理剤、あるいは、その両方として使用することができる。ここで、「元の粒子」を作製するための原料としては、例えば、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、フェニルトリメトキシシランといったアルコキシシラン類が挙げられる。ところで、このような表面処理剤で処理された粒子は、外殻表面に官能基が多く存在するため、塗布液や被膜中での分散性が高く、被膜付基材において十分な硬度及び強度を有するため好ましい。
粒子の画像解析による一次粒子径の平均(D)は、20~250nmである。これは、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて所定の倍率で撮影し、その写真(TEM写真)の任意の300個の粒子について、画像処理を行い粒子の面積を求め、その面積から円相当径を算出したものの平均値である。一次粒子径の平均(D)が、この範囲にあると、分散液中で粒子が凝集したり沈降したりせずに存在できる。また、塗布液中や被膜中でも分散性が良く、高い透明性と反射防止性能及び硬度、強度を持つ被膜が得られる。
ここで、一次粒子径の平均(D)が20nm未満の粒子は、粒子に占める空洞の割合(空隙率)が小さく、屈折率が十分に低くならないため、反射防止性能が不十分となる。逆に、250nmを超えると、光散乱が生じやすく、塗布液中での分散性が低いため、透明な被膜が得られないおそれがある。この一次粒子径の平均(D)は、好ましくは30~250nm、より好ましくは40~120nmである。
粒子の炭素含有量は、炭素硫黄分析装置にて測定できる。例えば、遠心分離処理により粒子に化学結合された有機珪素化合物と、「未反応」の有機珪素化合物とを分離する。そこで、有機珪素化合物が化学結合された粒子のみを取り出し、乾燥を行うことで得られた粒子粉末について測定することで粒子の炭素含有量を求めることができる。
粒子の炭素含有量は0.5~10質量%である。炭素含有量がこの範囲にあると、粒子は凝集したり沈降したりせずに分散液中に存在できる。また、塗布液中や被膜中でも分散性が良く、この粒子を使用すると、高い硬度及び強度を持つ被膜を得ることができる。
ここで、炭素含有量が0.5質量%よりも少ないと、十分な分散性や安定性が得られず、この粒子を被膜に使用した場合、十分な硬度及び強度を持つ被膜が得られないおそれがある。逆に、10質量%を超えても更に分散性や安定性の向上や、被膜の硬度及び強度の向上の効果が得られることはない。むしろ、粒子の屈折率が上昇して、反射防止性能が不十分となる場合がある。この炭素含有量は、好ましくは1.0~7.0質量%、より好ましくは2.0~6.0質量%である。
この炭素含有量は、化学結合された有機珪素化合物の構造や量によって変化する。この炭素含有量は、粒子外殻に含まれる官能基に由来することが好ましい。ここで、例えば、「元の粒子」を作製するために使用される原料が有機珪素化合物に因らずに、式(1)の有機珪素化合物を元の粒子に対して表面処理剤として使用する場合、前述の炭素含有量0.5~10質量%は、元の粒子100質量部に対して、有機珪素化合物を固形分(R-SiO(4-n)/2)として概ね1.0~30質量部、表面処理されていることになる。
ここで、元の粒子100質量部に対して表面処理された量が1.0質量部よりも少ないと、十分な分散性や安定性が得られず、この粒子を被膜に使用した場合、十分な硬度及び強度を持つ被膜が得られないおそれがある。逆に、30質量部を超えても更に分散性や安定性の向上や、被膜の硬度及び強度の向上の効果が得られることはない。むしろ、粒子の屈折率が上昇して、反射防止性能が不十分となる場合がある。この表面処理された量は、好ましくは2.0~25質量部、より好ましくは3.0~20質量部である。ちなみに、「元の粒子」が有機珪素化合物を原料として作製されている場合は、「元の粒子」に炭素が含まれているので、本発明の粒子の目標とする炭素含有量を得るために表面処理される有機珪素化合物の固形分量は、「炭素を含まない元の粒子」に表面処理する場合と比べて、「元の粒子」の炭素含有量に応じて少なくなる。
分散液から粒子を除いた液中の有機珪素化合物の量は、GC-MS測定から算出できる。例えば、遠心操作により、粒子は沈降するのに対し、粒子と反応していない未反応の有機珪素化合物は上澄み液側に抽出される。この上澄み液についてGC-MS測定を行うことで、分散液から粒子を除いた液中の有機珪素化合物を算出できる。
分散液から粒子を除いた液中の有機珪素化合物の量が、粒子100質量部に対して、固形分として0.50質量部以下であることは、未反応の有機珪素化合物が少ないことを表している。ここで、このような有機珪素化合物の量が0.50質量部を超えて存在していると、この粒子を被膜に使用した場合、十分な硬度及び強度を持つ被膜が得られないおそれがある。これは、未反応の有機珪素化合物が存在すると、被膜形成時のマトリックス形成成分の重合度が低下し、緻密な膜が得られないためである。また、緻密化に寄与しない有機珪素化合物が存在すると、屈折率が上昇するため、反射防止性能も低下するおそれがある。この有機珪素化合物の量は、好ましくは0.30質量部以下、より好ましくは0.10質量部以下、更に好ましくは実質的に0質量部である。ここで、「実質的に0質量部」とは、有機珪素化合物が測定機器の定量下限未満であることを意味する。
このように、本発明の粒子及びその分散液は、粒子表面のOH基と化学結合している「官能基を有する有機珪素化合物」を有し、「未反応の有機珪素化合物」の含有量を抑制されていること、すなわち、粒子に、有機珪素化合物の「精密な表面処理」が成されていることが特徴の一つである。
粒子の屈折率は1.08~1.38が好ましい。この範囲にあると、透明で反射防止性能の高い被膜が得られる。ここで、屈折率が1.08未満の粒子は得ることが困難である。逆に、1.38を超えると、基材あるいは下層膜の屈折率にもよるが、反射防止性能が不十分となるおそれがある。この屈折率は、より好ましくは1.08~1.34、更に好ましくは1.08~1.30である。
粒子中の珪素の含有量は、粒子を構成する炭素以外の金属元素の量の合計を酸化物基準で100質量部と表した時、珪素をシリカ(SiO)として98質量部以上含むことが好ましい。SiO含有量が98質量部以上であれば、反射率が低く、高い硬度と強度とを有する被膜が得られやすくなる。このSiO含有量は、より好ましくは99質量部以上、更に好ましくは99.5質量部以上、特に好ましくは100質量部である。
このように、粒子の構成成分は、珪素(Si)を主要元素として含むことが好ましい。ここで、粒子の構成成分としては、次の(a)~(c)に挙げる何れであっても構わない。これらの元素は、粒子を作製する上で好適に使用される材料に由来する。
(a)SiO
(b)Siと、Al、Sn、Sb、Ti、Zr、Zn、Cu,Fe、及びInから選ばれる元素の少なくとも1種と、を含む酸化物。なお、これらの元素を含む酸化物は、混合物でも、複合酸化物でも構わない。
(c)上記(a)と上記(b)との混合物
ところで、上記(b)項のSi以外の元素の粒子中の含有量は、粒子を構成する炭素以外の金属元素の量の合計を酸化物基準で100質量部と表した時、酸化物基準で2質量部未満であることが好ましい。ここで、この含有量が2質量部以上であれば、粒子の屈折率が上昇し、被膜の反射率が高くなるおそれや、着色などにより透明被膜が得られないおそれがある。この含有量は、より好ましくは1質量部未満、更に好ましくは0.5質量部未満、特に好ましくは0質量部である。
また、上述の粒子の屈折率範囲を逸脱しない程度であれば、上記(a)~(c)に挙げる粒子以外に、「外殻とその内側に空洞を有する粒子」や、粒子内部に空洞を有さない、いわゆる「中実粒子」が存在していても構わない。これら、本発明の粒子とは別の粒子の割合は、その粒子を構成する元素の種類や組成比によっても変化する。例えば、本発明の粒子と同様に、珪素をSiOとして98質量部以上含み、同様の平均粒子径を有する「中実粒子」の場合、粒子全体に対する中実粒子の個数割合は10%未満が好ましい。この割合は、例えば、TEM写真の所定の視野における本発明の粒子、及び中実粒子の数を数えることによって求められる。もし、この割合が10%以上であれば、屈折率が所望する範囲よりも高くなり、被膜化した際に望むべき反射防止性能が得られないおそれがある。このような中実粒子の場合の個数割合は、より好ましくは5%未満、更に好ましくは2%未満、特に好ましくは1%未満、最も好ましくは0%である。もし、違う元素種の粒子が存在する場合であれば、例えば、所定の視野の粒子についてエネルギー分散型X線分析(EDS)によるマッピングを行い、本発明の粒子、及び違う元素種の粒子の数をかぞえることによって、本発明の粒子と、それとは別の粒子の割合が求められる。
粒子のメタノール分散液のパルスNMR測定から求められる比表面積(A1)と、粒子の画像解析による一次粒子径の平均(D)から求められる粒子の比表面積(A2)との比(A1/A2)は、0.80以下であることが好ましい。比(A1/A2)がこの範囲にあることは、粒子表面への有機珪素化合物由来の官能基の導入が十分にされていること、かつ分散液中の未反応の有機珪素化合物が少ないことを表している。このような粒子を使用すると、塗布液中や被膜中でも分散性が良く、高い透明性と硬度及び強度を持つ被膜が得られる。
ここで、比(A1/A2)が0.80を超える場合は、粒子表面への有機珪素化合物由来の官能基の導入が不十分であるおそれや、分散液中に未反応の有機珪素化合物が多く存在しているおそれがある。比(A1/A2)の下限は、特に設定されないが、粒子表面のOH基に反応し得る表面処理剤の官能基を考慮すると、例えば0.10である。この比(A1/A2)は、より好ましくは0.55以下、更に好ましくは0.40以下である。
このパルスNMRとは、静磁場内で熱平衡状態にある磁化をパルス状の数十MHzのラジオ波を照射して励起させ、励起された磁化が時間の経過とともに元の熱平衡状態に戻る現象を観測する測定方法である。粒子表面に接触又は吸着している液体分子と、粒子表面と接触していない自由な状態の液体分子とでは、磁場の変化に対する応答が異なる。
一般に、粒子表面に吸着している液体分子の運動は制限を受けるが、粒子表面に吸着していない液体分子は自由に動くことができる。その結果、粒子表面に吸着している液体分子の緩和時間は、それ以外の液体分子の緩和時間よりも短くなる。粒子を分散させた液体で観測される緩和時間は、粒子表面上の液体体積濃度と自由状態の液体体積濃度とを反映した二つの緩和時間の平均値となる。
有機珪素化合物によって表面処理された粒子の分散液中には、粒子と化学結合した有機珪素化合物以外に、粒子と化学結合しなかった未反応の有機珪素化合物が存在することがある。これらの有機珪素化合物は、粒子に比べて非常に小さい分子量であるため、非常に大きな比表面積を有する。また、分散液中の粒子に対して、これら未反応の有機珪素化合物に吸着している液体分子は運動を制限されるため、分散液中に未反応の有機珪素化合物が存在する場合、測定される緩和時間は短くなる、すなわち、緩和時間から算出される比表面積は大きい値となる。
ところで、パルスNMR測定から求められる分散液中の粒子の比表面積(A1)は、分散媒に濡れている部分の粒子の比表面積を示す。有機珪素化合物によって表面処理された粒子は、有機珪素化合物と粒子表面のOH基の反応により、元の粒子よりも粒子表面のOH基が少なくなっているため、親水性の分散媒に濡れている部分の粒子の比表面積は小さい値となる。これに対して、未反応の有機珪素化合物や、有機珪素化合物が物理吸着しているだけの粒子は、OH基が比較的多く残存していることから、これらが分散液中に存在した場合、親水性の分散媒へ濡れている部分の比表面積は大きな値となる。このことから、この比表面積(A1)は、粒子への有機珪素化合物の表面処理(化学結合)の度合や、分散液中の未反応の有機珪素化合物の量によっても値が変化する。なお、比表面積(A1)は、測定時の分散媒の種類によっても値が変化する。
したがって、比(A1/A2)は、粒子表面に導入された有機珪素化合物由来の官能基、及び分散液中の未反応の有機珪素化合物の量の多少についての指標となる。
粒子の比表面積(A1)については、下記式(2)で求められる粒子の体積濃度(Ψp)を用いて、式(3)により得られる。
Ψp=(Sc/Sd)/[(1-Sc)/Td] ・・・式(2)
(ただし、式中、Scは分散液の粒子の固形分濃度(質量%)、Sdは粒子の密度(g/cm)、及びTdは25℃における分散媒の密度(g/cm)を示す。)
ここで、固形分濃度とは、粒子を分散液中の固形分として換算した濃度である(以下同様)。Sdは、粒子の構成成分の密度にその体積割合を乗じた値と、粒子内部の構成成分の密度にその体積割合を乗じた値である。例えば、粒子の構成成分がシリカの場合は2.2、アルミナの場合は3.9、酸化スズの場合は6.9、酸化アンチモン(V)の場合は5.2、チタニア(アナターゼ)の場合は3.9、チタニア(ルチル)の場合は4.3、ジルコニアの場合は6.0、酸化亜鉛の場合は5.6、酸化銅(II)の場合は6.3、酸化鉄(III)の場合は5.2、酸化インジウムの場合は7.2を用いる(単位はg/cm)。なお、粒子が、複合酸化物粒子や、酸化物が混合している粒子、酸化物粒子の混合物といった場合は、Sdは、その酸化物の割合に応じて求めることができる。また、粒子内部の構成成分が空気の場合は0.0g/cm、その他ガスあるいは液体の場合もそれに応じた密度を用いる。例えば、本発明の珪素を含む外殻と、その内側に空洞を有する粒子の場合、空洞部の体積割合として空隙率を用いる。粒子の空隙率は、粒子に占める粒子中の空洞部の割合として定義される。具体的には、まず、粒子のTEM写真を撮影する。この時、粒子の空洞部分は密度が低いため、その部分のコントラストが低くなる。逆に、外殻部分は密度が高いため、その部分のコントラストは高くなる。粒子の空洞部分と外殻部分は、このコントラストの差で確認することができる。より具体的には、TEM写真の任意の300個の粒子について、画像処理を行い、空洞部分の面積を求め、その面積から円相当径を求め、これを空洞部の径の平均とする。この時の粒子の形状を真球と仮定し、一次粒子の平均体積と空洞部の平均体積とを求める。空隙率は、この一次粒子の平均体積に対する空洞部の平均体積の割合で表される。またTdは、例えば、分散媒がメタノールの場合は0.79g/cmを用いる。もし、他の種類の分散媒あるいは分散媒の混合物を使用する場合は、それに応じた密度を用いる。
A1={[(Ra/Rb)-1]×Rb}/(Ka×Ψp) ・・・式(3)
(ただし、式中、A1は粒子の比表面積(m/g)、Raは分散液の測定におけるパルスNMRの緩和時間の逆数、及びRbは分散媒の測定におけるパルスNMRの緩和時間の逆数、Kaは使用する分散媒と粒子による係数を示す。)
係数Kaは、粒子の一次粒子径の平均(D)から得られる比表面積(A2)と、粒子の分散液のパルスNMR測定により得られる比表面積(A3)とが同じ値になるものとして算出される。
粒子の比表面積(A2)については、粒子の一次粒子径の平均(D)を用いて、下記式(4)により比表面積(A2)を求めることができる。
A2=6000/Sd/D ・・・式(4)
(式中、Sdは、粒子の密度(g/cm)を示す。)
粒子の比表面積(A3)については、式(2)で求められる粒子の体積濃度(Ψp)を用いて、式(5)により得られる。
A3={[(Rc/Rd)-1]×Rd}/(Ka×Ψp) ・・・式(5)
(ただし、式中、A3は粒子の比表面積(m/g)、Rcは粒子の分散液の測定におけるパルスNMRの緩和時間の逆数、及びRdは分散媒の測定におけるパルスNMRの緩和時間の逆数、Kaは使用する分散媒と粒子による係数を示す。)
ここで、係数Kaは、比表面積(A2)と比表面積(A3)とが同じ値になるように設定されるので、式(4)及び式(5)より、
Ka={[(Rc/Rd)-1]×Rd}/(Ψp×A2) ・・・式(6)
として求めることができる。
分散液の分散媒及び濃度は、液中で粒子が凝集や沈殿を生じることなく安定して分散していれば特に限定されない。
分散媒としては、例えば、水、アルコール類、エステル類、グリコール類、エーテル類、ケトン類、及び非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
分散液の濃度は、粒子の固形分濃度が1~40質量%であることが好ましい。ここで、固形分濃度が1質量%未満であると、塗布液の製造に際して加工に時間がかかるおそれがある。逆に、40質量%を超えると、分散液の安定性が低下するおそれがある。分散液の濃度は、より好ましくは5~35質量%、更に好ましくは10~30質量%である。
粒子中の不純分であるアルカリ金属及びアルカリ土類金属に属する元素の各々の含有量は、当該元素を酸化物で表した時、粒子に対して500ppm以下が好ましい。これらの含有量が少ないと粒子の合着が少なくなるため、分散液や塗布液の安定性が高い。また、粒子が塗布液中や被膜中で均一に分散され、高い硬度と強度とを有する被膜が得られる。
ここで、含有量が500ppmよりも多いと、粒子同士が合着する割合が増え、十分な分散液や塗布液の安定性が得られないおそれや、十分な被膜の硬度及び強度が得られないおそれがある。含有量は、より好ましくは100ppm以下である。なお、アルカリ金属とは、Li、Na、K、Rb、Cs、及びFrを、アルカリ土類金属とは、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、及びRaを表す。
また、粒子中の不純分であるPd、Ag、Mn、Co、Mo、Ni、及びCrの各々の含有量は100ppm未満、U、及びThの各々の含有量は0.3ppb未満であることが好ましい。これら元素の含有量が多くなると、分散液が着色するおそれや、所望する屈折率の被膜が得られないおそれがある。
また、粒子を高純度が要求される高集積なロジックやメモリー等の半導体回路や光センサー等に使用する場合は、これら、Pd、Ag、Mn、Co、Mo、Ni、及びCrといった元素はもちろん、前述のAl、Sn、Sb、Ti、Zr、Zn、Cu、Fe、及びInといった元素についても、各々の含有量は0.1ppm未満であることが好ましい。これら元素の含有量が0.1ppm以上であると、金属元素が回路の絶縁不良を起こしたり、回路を短絡させたり、光透過率が低下する。これによって、絶縁膜の誘電率低下や、金属配線のインピーダンスの増大、応答速度の遅れ、消費電力の増大等が起こるおそれがある。特に、U、Thの場合は、放射能を発生するため、微量でも存在した場合、放射能による半導体の誤作動を引き起こすため好ましくない。
このような元素の含有量が少ない粒子を得るには、粒子を製造する際の装置の材質をこれらの元素を含まず、かつ耐薬品性が高いものにすることが好ましい。具体的には、テフロン(登録商標)、FRP、カーボンファイバー等のプラスチック、無アルカリガラス等が好ましい。また、使用する原料については、蒸留・イオン交換・フィルター除去で精製することが好ましい。
高純度な粒子を得る方法としては、前述のように、予めこれらの元素の少ない原料を準備したり、粒子製造用の装置からの混入を抑えたりする方法がある。これ以外にも、そのような対策を十分にとらずに製造された粒子からこれらの元素を低減することが可能である。
粒子の形状や空洞の形状は、特に限定されない。例えば、球状、楕球体(ラグビーボール)状、繭状、金平糖状、鎖状、サイコロ状などが挙げられる。中でも、球状粒子は、分散性が高く、被膜中で均一に分散できるため好ましい。
また、外殻内側の空洞は、粒子外形に沿った形状が好ましい。これは、外殻の厚みにもよるが、粒子に対して応力が加わった場合に、外殻が均一な厚みを有することにより、十分な硬度や強度を得ることができる。更には、空洞も球状粒子の形状と相似の球状であることが好ましい。
この空洞は、屈折率を低下させ透明な被膜を得るには実質的に一つの空洞であることが好ましい。ここで、「実質的に一つの空洞である」とは、粒子の中には、粒子の合着等によって「外殻の内側に複数個の空洞が存在する粒子」は含まれ得るが、「外殻の内側の空洞が一つである粒子の割合」が90%以上であることを意味する。「外殻の内側の空洞が一つである粒子の個数割合」は、95%以上が好ましく、98%以上がより好ましく、99%以上が更に好ましく、100%が最も好ましい。
粒子の空隙率は、10~80%が好ましい。ただし、前述の屈折率を満足するものであれば特に制限されない。ここで、10%未満であると屈折率が充分に低くならないため、反射防止性能が不十分となる。逆に、80%を超えると、硬度と強度が低くなるおそれがある。この粒子に占める空洞の割合は、より好ましくは20~70%、更に好ましくは25~60%である。
[粒子の分散液の製造方法]
本発明に係る粒子の分散液の製造方法は、「珪素を含む外殻と、その内側に空洞を有する粒子」(元の粒子)を式(1)で表される有機珪素化合物で表面処理する第一工程と、この第一工程で得られた表面処理された粒子の分散液から、未反応の有機珪素化合物を除去する第二工程とを順に含む。これによって、官能基と珪素を含む外殻と、その内側に空洞を有する粒子の分散液が得られる。
このようにして製造された粒子は、凝集が抑制されていて、被膜に使用された場合、十分な反射防止性能と硬度と強度とを有する。以下に、各工程について述べる。
[第一工程]
本工程で出発物質として「元の粒子」を準備する。ここで、「元の粒子」としては、次の(d)~(f)に挙げる何れの粒子であっても良い。また、このような粒子は、従来公知(例えば、特許文献2、3)の方法で作製しても構わない。
(d)SiOからなる外殻と、その内側に空洞を有する粒子
(e)Siと、Al、Sn、Sb、Ti、Zr、Zn、Cu,Fe、及びInから選ばれる元素の少なくとも1種と、を含む酸化物からなる外殻と、その内側に空洞を有する粒子。これらの元素を含む酸化物は、混合物でも、複合酸化物でも構わない。
(f)上記(d)の粒子と、上記(e)の粒子との混合物
このような「元の粒子」に含まれる珪素含有量は、後述のように有機珪素化合物で表面処理され、最終的に得られる粒子の珪素含有量を満足するものであれば特に限定されない。例えば、粒子を構成する炭素以外の金属元素の量の合計を酸化物基準で100質量部と表した時、珪素をSiOとして、98質量部以上含有することが好ましい。この珪素含有量は、より好ましくは99質量部以上、更に好ましくは99.5質量部以上、特に好ましくは100質量部である。
「元の粒子」の画像解析による一次粒子径の平均(F)については、最終的に得られる粒子の画像解析による一次粒子径の平均(D)を満足するものであれば特に限定されない。
表面処理は、まず、「元の粒子」の分散液を準備する。分散媒としては、メタノール、エタノールといったアルコール類を使用することが好ましい。これに、式(1)で表される有機珪素化合物を所定量加えて、有機珪素化合物を加水分解して行う。この加水分解には、必要に応じて水を添加することも可能である。使用する水のモル数(Mw)と有機珪素化合物のモル数(Mo)との比(Mw/Mo)は、1以上であることが好ましい。ここで、比(Mw/Mo)が1未満の場合は、加水分解が不十分となり、被膜の硬度や強度、透明性、及びヘイズ等が不十分となるおそれがある。比(Mw/Mo)の上限は特に設定されないが、比(Mw/Mo)が200を超えると、加水分解反応が激しくなり、有機珪素化合物同士が重合して、粒子表面への効率的な有機珪素化合物処理ができないおそれがある。この比(Mw/Mo)は、より好ましくは1~100である。
また、この加水分解においては、必要に応じて、加水分解用触媒として酸又はアルカリを使用することも可能である。中でもアンモニアが好ましい。それは、アンモニアを用いると、分散液中に残存しても除去が容易であり、分散液の安定性が維持されやすいためである。使用するアンモニアのモル数(M)と、有機珪素化合物のモル数(Mo)との比(M/Mo)は、0.005~5の範囲にあることが好ましい。ここで、比(M/Mo)が0.005未満の場合は、加水分解が不十分となり、被膜の硬度や強度、透明性、及びヘイズ等が不十分となるおそれがある。この比(M/Mo)が5を超える場合は加水分解反応が激しくなり、有機珪素化合物同士が重合し、粒子表面への効率的な有機珪素化合物処理ができないおそれがある。
表面処理は、均一系で行うことが好ましく、粒子と有機珪素化合物との化学結合を促進させるために、分散媒の沸点未満の温度(例えば、室温~120℃)で0.5~48時間加熱することが好ましい。
この表面処理によって粒子の表面と有機珪素化合物とが化学結合された粒子は、被膜付基材に使用する場合、基材との密着性が高く、高い硬度と強度とを有する。
有機珪素化合物としては、例えば、表1に示すものが挙げられる。これらの有機珪素化合物は、粒子に単独で含まれていても良いし、複数種が含まれていても良い。表面処理においては、これら有機珪素化合物を単独で処理したり、混合して処理したりすることはもちろん、同一の種類、複数の種類を混合したもの、あるいは複数の種類を別々に、段階的に処理することも可能である。
Figure 2023074970000001
[第二工程]
第一工程にて表面処理に使用される有機珪素化合物には、粒子と化学結合しているものの他に、未反応の有機珪素化合物が存在する場合がある。第二工程では、このような、粒子に対して「未反応の有機珪素化合物」を除去することを目的とする。表面処理された粒子から、未反応の有機珪素化合物を除去する方法としては、例えば、限外濾過膜法、遠心分離法、蒸留法等が挙げられる。中でも、除去効率の高さから、限外濾過膜法が好ましい。また、物理吸着しているだけの有機珪素化合物を表面処理された粒子から分離することを目的として、超音波処理を組み合わせても良い。
この「未反応の有機珪素化合物の除去」を効率よく行うためには、第一工程にて表面処理された粒子の分散液の濃度が、固形分として5~40質量%であることが好ましい。ここで、濃度が5質量%未満だと、得られる表面処理された粒子に対して、第二工程で使用する洗浄液の量が多くなり、生産性が悪い。逆に、40質量%を超えると、第二工程中に増粘が生じたり、ゲル化したりするおそれがある。
また、「未反応の有機珪素化合物の除去」に使用する洗浄液の量は、第一工程での表面処理量や、分散液の濃度等にもよるが、第一工程にて表面処理された粒子の分散液の3倍以上が好ましい。ここで、洗浄液量が3倍未満だと「未反応の有機珪素化合物の除去」が不十分となるおそれがある。この洗浄液量については特に上限はないが、10倍以上の洗浄液を使用しても「未反応の有機珪素化合物の除去」が格段に向上するわけでもない。この洗浄液は、第一工程で使用した分散媒と同じ種類のものを使用することが好ましい。
第二工程で最終的に得られる分散液は、式(1)の有機珪素化合物に由来する官能基と珪素を含む外殻と、その内側に空洞を有する粒子を含む。この粒子の画像解析による一次粒子径の平均(D)が20~250nmであり、炭素含有量は0.5~10質量%である。また、分散液から、この粒子を除いた液中の有機珪素化合物は、粒子100質量部に対して、固形分として0.50質量部以下である。
このような製造方法によって、粒子表面のOH基と化学結合している「官能基を有する有機珪素化合物」を有し、性能低下のおそれがある「未反応の有機珪素化合物」の含有量が抑制されているという「精密な表面処理」が実現できる。
表面処理量としては、有機珪素化合物を所望する量だけ粒子表面に化学結合させ、かつ最終的に得られる粒子の炭素含有量の範囲を満足すればよい。この炭素含有量は、化学結合された有機珪素化合物の構造や量によって変化する。ここで、「元の粒子」を作製するために使用される原料が有機珪素化合物に因らずに、式(1)の有機珪素化合物を元の粒子に対して表面処理剤として使用する場合、前述の炭素含有量0.5~10質量%は、元の粒子100質量部に対して、有機珪素化合物を固形分(R-SiO(4-n)/2)として概ね1.0~30質量部、表面処理されていることになる。もちろん、「元の粒子」を作製するにあたって有機珪素化合物を使用し、その炭素が「元の粒子」に存在する場合、その分の炭素も最終的に得られる粒子の炭素含有量として加えられる。そのため、本発明の粒子の目標とする炭素含有量を得るために表面処理される有機珪素化合物の固形分量は、「炭素を含まない元の粒子」に表面処理する場合と比べて、「元の粒子」の炭素含有量に応じて少なくなる。
ところで、その表面処理量の違いに因る場合もあるが、第一工程から第二工程への1回の操作では、前述の「粒子に含まれる、官能基を有する有機珪素化合物量」及び「分散液から粒子を除いた液中の有機珪素化合物量」の2つの範囲を満足することが困難な場合がある。そのため、粒子表面のOH基と有機珪素化合物との反応効率にもよるが、粒子表面のOH基との化学反応を進め、目的の粒子を効率的に得るためには、第一工程から第二工程を行った後、再び第一工程から第二工程を行うことを複数回繰り返すことが好ましい。更には、1回あたりの表面処理量を最終的な目標量よりも少なくして、工程を繰り返した方が、より効率的に「精密な表面処理」が実現できる。
なお、第二工程で最終的に得られる粒子、及びその分散液に係る物性、及びその好ましい範囲は、前述の粒子、及びその分散液と同様である。
[被膜形成用塗布液]
本発明の粒子は、被膜形成用の塗布液に適用できる。この塗布液は、粒子とマトリックス形成成分と分散媒とを含む。この分散媒は、水と有機系分散媒の少なくとも一方を含む。これ以外に、重合開始剤、レベリング剤、界面活性剤等の添加剤を含んでいてもよい。
塗布液中の粒子の濃度は、含まれる粒子やマトリックス形成成分等の固形分の合計量に対して、固形分として5~95質量%が好ましい。ここで、粒子の濃度が5質量%未満であると、被膜の屈折率が十分に低減できないおそれがある。逆に、95質量%より多いと、被膜にクラックが発生するおそれ、基材との密着性が不十分となるおそれ、硬度や強度、透明性、ヘイズ等が悪化するおそれがある。この粒子の濃度は、より好ましくは10~85質量%、更に好ましくは20~70質量%である。
マトリックス形成成分としては、無機系マトリックス形成成分と有機樹脂系マトリックス形成成分がある。例えば、有機珪素化合物の重縮合物、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等のマトリックスを形成する成分が挙げられる。
紫外線硬化性樹脂としては、(メタ)アクリル系樹脂、γ-グリシルオキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ビニル系樹脂等がある。
熱硬化性樹脂としては、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、ブチラール樹脂、反応性シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性アクリル樹脂等がある。
熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーンゴム等がある。
これらの樹脂は、2種以上の共重合体や変性体でもよく、組み合わせて使用してもよい。また、これらの樹脂は、エマルジョン樹脂、水溶性樹脂、親水性樹脂であってもよい。
これらの樹脂を形成する成分は、粒子の分散性、塗膜の容易さから、モノマーやオリゴマーが好ましい。
塗布液中のマトリックス形成成分の濃度は、含まれる粒子やマトリックス形成成分等の固形分の合計量に対して、固形分として5~95質量%が好ましい。ここで、マトリックス形成成分の濃度が5質量%未満であると、被膜化が困難である。また、被膜が得られたとしても、被膜にクラックが発生するおそれ、基材との密着性が不十分となるおそれ、硬度や強度、透明性、ヘイズ等が悪化するおそれがある。逆に、95質量%よりも多いと、粒子の量が少ないため、屈折率が十分に低減できないおそれがある。このマトリックス形成成分の濃度は、より好ましくは15~90質量%、更に好ましくは30~80質量%である。
有機系分散媒としては、粒子を均一に分散でき、マトリックス形成成分や重合開始剤等の添加剤を溶解あるいは分散できるものが用いられる。中でも、親水性の分散媒や極性を有する分散媒が好ましい。表2に示すように、親水性の分散媒としては、例えば、アルコール類、エステル類、グリコール類、エーテル類等が挙げられる。また、極性を有する分散媒としては、例えば、エステル類、ケトン類、非プロトン性等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
Figure 2023074970000002
添加剤としては、被膜形成に従来使用可能なものが任意に使用できる。例えば、マトリックス形成成分の重合促進や造膜性を向上させるために、重合開始剤、レベリング剤等が使用される。
重合開始剤としては、例えば、表3に示すものが挙げられる。
レベリング剤としては、例えば、アクリル系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤、アクリルシリコーン系レベリング剤等が挙げられる。これらのレベリング剤には、強度向上の観点からフッ素基を有するものが好ましく使用される。
これらの添加剤の塗布液中の濃度は、被膜化した際に固形分として含まれるものは、便宜上、マトリックス形成成分として計上し、被膜化後はマトリックスとして計上する。
Figure 2023074970000003
塗布液の固形分濃度(塗布液に対する、粒子の固形分とマトリックス形成成分の固形分とを合計した固形分の割合)は、0.1~60質量%が好ましい。
ここで、塗布液の固形分濃度が0.1質量%未満であると、被膜付基材の製造に際して加工に時間がかかるため、生産性が低下するおそれがある。逆に、60質量%より高いと、塗布液の安定性が低下するおそれがある。また、塗布液の粘度が高くなるため、塗工性が低下するおそれがある。塗布液の固形分濃度は、より好ましくは1~50質量%である。
[被膜付基材]
上述の塗布液を用いて、被膜を基材に形成する。このような被膜付基材は、例えば、透明性が要求される表示装置等に使用される。
具体的には、基材上に塗布液を塗布した後、乾燥及び紫外線照射を行い、基材上に被膜を形成する。塗布液の塗布方法としては、基材に被膜を形成できるものであれば特に制限されない。例えば、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、バーコート法、スリットコーター印刷法、グラビア印刷法、マイクログラビア印刷法等の周知の方法が採用できる。乾燥は、例えば、50~150℃程度に加熱し、分散媒を蒸発させて除去する。その後、紫外線を照射し、樹脂成分の重合を促進させて被膜の硬度化を図る。被膜は、主にマトリックス(樹脂)成分と粒子とで形成される。
被膜では、塗布液中の粒子とマトリックス形成成分の固形分の割合が、そのまま被膜中の粒子成分とマトリックスの割合となる。上述のように、塗布液中の添加剤の内、固形分として残存するものはマトリックスとして計上する。
被膜の膜厚は、用途に応じて適宜選択できる。例えば、透明被膜であれば80~350nmが好ましい。ここで、膜厚が80nmより薄いと、被膜の硬度や強度が不十分となる場合がある。また、被膜が薄すぎて十分な反射防止性能が得られないことがある。逆に、膜厚が350nmより厚いと、被膜にクラックが入りやすくなるために被膜の強度が不十分となる場合があり、また、被膜が厚すぎて反射防止性能が低下する場合がある。この膜厚は、より好ましくは85~220nm、更に好ましくは90~110nmである。
透明被膜の屈折率は1.10~1.45が好ましい。ここで、透明被膜の屈折率が1.10未満のものは得ることが困難であり、屈折率が1.45を越えると基材の屈折率あるいは必要に応じて形成される透明被膜の下層に形成される他の膜の屈折率によっても異なるが反射防止性能が不十分となることがある。透明被膜の屈折率は、より好ましくは1.10~1.40、更に好ましくは1.10~1.35である。
被膜付基材の光透過率は、85.0%以上が好ましい。ここで、光透過率が85.0%未満であると、表示装置等において画像の鮮明度が不十分となるおそれがある。この光透過率は、より好ましくは90.0%以上である。
また、被膜付基材のヘイズは、好ましくは2.0%以下、より好ましくは0.5%以下である。
また、被膜付基材の反射率は、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5%以下、更に好ましくは1.0%以下、特に好ましくは0.7%以下である。
被膜の強度は、#0000のスチールウールを用い、所定荷重/cmの条件にて50回摺動させて評価する。この所定荷重が500gで膜表面に筋状の傷が認められないことが好ましい。この強度は、より好ましくは800gで傷が認められないこと、更に好ましくは1200gで傷が認められないことである。
被膜の硬度は、2H以上が好ましい。ここで、2H未満では、ハードコート膜として硬度が不十分である。この硬度は、より好ましくは3H以上、更に好ましくは4H以上である。
基材は、公知のものが使用可能であるが、透明性や柔軟性、強靭性などの観点から、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタラート、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリメタクリル酸メチル樹脂、シクロオレフィンポリマー等の透明な樹脂基材が好ましい。基材の厚みに特に制限はないが、耐久性やハンドリング性を考慮すると、好ましくは10~100μm、より好ましくは20~80μmである。
被膜と基材との密着性は、被膜付基材の表面にナイフで升目状に傷を付け、これにセロファンテープを接着した後、セロファンテープを剥離して、残存している升目の数が多い程、被膜が剥離せず基材との密着性が高いため好ましい。
また、このような基材上に、他の被膜が形成された被膜付基材を用いこともできる。他の被膜としては、例えば、従来公知のハードコート膜、プライマー膜、高屈折率膜、導電性膜等が挙げられる。
以下、本発明の実施例を説明する。
[実施例1]
〈粒子の分散液の準備〉
シリカ系粒子の水分散液(日揮触媒化成(株)製 USBB-120、平均粒子径25nm、固形分濃度20質量%、固形分中のAl23含有量27質量%)500gに純水99500gを加えた後、濃度1質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを11.0に調整した。その後、98℃に加温して、SiOとしての濃度が1.5質量%の珪酸ナトリウム水溶液18.7kgと、Alとしての濃度が0.5質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液18.7kgとを添加した。その後、遠心沈降法で洗浄を行い、複合酸化物粒子(a1)の分散液を得た。この複合酸化物粒子(a1)の平均粒子径は46nmであった。
この複合酸化物粒子(a1)の分散液を98℃に加温して、SiOとしての濃度が1.5質量%の珪酸ナトリウム水溶液63.1kgと、Alとしての濃度が0.5質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液21.0kgとを添加した。その後、限外濾過膜を用いて洗浄し、固形分濃度を13質量%に調整した。その後、目開き1μmのカプセルフィルターで濾過し、複合酸化物粒子(b1)の分散液を得た。この複合酸化物粒子(b1)の平均粒子径は61nmであった。
この複合酸化物粒子(b1)の分散液5000gに純水11250gを加え、更に濃塩酸(濃度35.5質量%)を滴下してpH1.0とした。これに、pH3の塩酸水溶液10Lと純水5Lを加えながら、限外濾過膜を用いて、溶解したアルミニウム塩を分離・洗浄して、濃度10質量%のシリカ系粒子(c1)を得た。
次に、シリカ系粒子(c1)の分散液500gにアンモニア水を添加して分散液のpHを10.6に調整し、耐圧容器に移した。次に、200℃まで加温して10時間保持した後、常温に冷却した。その後、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製 ダイヤイオンSK1B)800gを用いて3時間イオン交換し、次いで、陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製 ダイヤイオンSA20A)400gを用いて3時間イオン交換した。その後、更に、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製 ダイヤイオンSK1B)400gを用い、80℃で3時間イオン交換して洗浄を行い、「珪素を含む外殻と、その内側に空洞を有する粒子(元の粒子)」(P1)の水分散液を得た。
この粒子(P1)の水分散液を、限外濾過膜を用いて溶媒をメタノールに置換して、固形分濃度20質量%の粒子(P1)のメタノール分散液を調製した。
〈有機珪素化合物による粒子の表面処理(第一工程)〉
この粒子(P1)のメタノール分散液200gに、濃度28質量%のアンモニア水0.4gと純水4.0gを添加し、室温で0.5時間撹拌した。
次に、有機珪素化合物としてγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製 KBM-503)8g(粒子(P1)100質量部に対して、固形分(R-SiX4-n)として20質量部)を添加し、50℃で6時間撹拌して、表面処理粒子(S1)の分散液を得た。
〈有機珪素化合物の除去(第二工程)〉
この粒子(S1)の分散液を室温まで冷却し、メタノール1kg(粒子(S1)のメタノール分散液の5倍量に相当)を用いて、限外濾過膜法により、「未反応の有機珪素化合物」を除去し、粒子としての固形分濃度が20質量%の本発明の粒子(R1)のメタノール分散液を製造した。
粒子、及びその分散液について、以下の方法で測定した。
粒子の各製造工程における特徴、及び粒子及び分散液の性状を表4及び表5に示す(以下の実施例及び比較例も同様)。
(1)粒子外殻に含まれる官能基
粒子外殻に含まれる官能基の有無、及びその種類については、次の方法により求めた。
まず、分散液をエバポレーターにて乾燥させた後、150℃で乾燥させた。その乾燥粉体をフーリエ変換型赤外分光装置(FT-IR)(日本分光(株)製 FT/IR-6100)を使用して、拡散反射法にて、波数領域を700cm-1~4000cm-1、検出器をTGS、分解能を4.0cm-1、積算回数を50回で測定を行い、ピークを検出して、有機化合物のスペクトルデータベースSDBS(https://sdbs.db.aist.go.jp(National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 2021.01))を参照して、官能基を特定した。
(2)炭素含有量
分散液を、小型超遠心機(日立工機(株)製 CS150GXL)を用いて、温度を10℃、回転数を1,370,000rpm(1,000,000G)の条件下で30分間遠心処理した。処理液の沈殿物を回収し、120℃で24時間、真空乾燥することで粒子粉末を得た。この粉末について、炭素硫黄分析装置(LECOジャパン(同)製 CS844)を用いて粒子の炭素含有量を測定した。
(3)分散液から粒子を除いた液中の有機珪素化合物量
分散液を、小型超遠心機(日立工機(株)製 CS150GXL)を用いて、前述と同様に遠心処理した。処理液の上澄み液を回収し、熱抽出ガスクロマトグラフ(アジレント・テクノロジー(株)製 Agilent5977BGC/MSD)を用いて、粒子を除いた液中の有機珪素化合物量を測定し、粒子100質量部に対する値として算出した。
(4)粒子の一次粒子径の平均(D)
粒子の分散液を0.01質量%に希釈した後、電子顕微鏡用銅セルのコロジオン膜上で乾燥させた。次に、これを電界放出型透過電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製 HF5000)にて、所定の倍率で写真撮影した。得られた写真投影図(TEM写真)の任意の300個の粒子について、画像処理から粒子の面積を求め、その面積から円相当径を求めた。その円相当径の平均値を粒子の一次粒子径の平均(D)とした。
(5)粒子形状及び中実粒子の個数割合
前述の粒子の一次粒子径の平均(D)と同様にして、TEM写真から、粒子の形状及び粒子全体に対する中実粒子の個数割合を求めた。
なお、今回製造した粒子の形状は、実施例、比較例ともに球状であった。
(6)屈折率
粒子のメタノール分散液をエバポレーターに採り分散媒を蒸発させた。次に、これを120℃で24時間、真空乾燥することで、粒子粉末を得た。ガラス板上に、屈折率が既知の標準屈折液を2、3滴滴下し、これに上記粉末を混合した。この操作を種々の標準屈折液で行い、混合液が透明になった時の標準屈折液の屈折率を粒子の屈折率とした。
(7)金属元素、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属の含有量
粒子中の金属元素(Si、Al、Sn、Sb、Ti、Zr、Zn、Cu、Fe、及びIn)の含有量、不純分元素として、Pd、Ag、Mn、Co、Mo、Ni、Cr、U、Th、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属の含有量については、粒子をフッ酸で溶解し、加熱してフッ酸を除去した後、必要に応じて純水を加え、得られた溶液についてICP誘導結合プラズマ発光分光質量分析装置((株)島津製作所製 ICPM-8500)を用いて測定した。なお、上記不純分元素以外の金属元素については、粒子に含まれる炭素以外の金属元素の量の合計を酸化物基準で100質量部となるように算出した。
(8)パルスNMRによる比表面積(A1)
パルスNMR(Xigo nanotools製AcornArea)を使用して、分散液及び分散媒について各々の緩和時間を測定し、前述の式(2)及び式(3)より比表面積(A1)を求めた。なお、測定条件は、磁場を0.3T、測定周波数を13MHz、測定核をH NMR、測定方法はCPMGパルスシークエンス法にて、サンプル量を1ml、Ka値を0.000129、温度を25℃で行った。ここで、Ka値は、固形分濃度20質量%、25℃の表面処理粒子のメタノール分散液及びメタノール分散媒についてパルスNMR測定を行い、前述の式(4)~(6)により算出したものを使用した。
(9)粒子の空隙率と密度
前述の粒子の一次粒子径の平均(D)と同様にして、TEM写真から、粒子の空洞部分の面積を求め、その面積から円相当径を算出し、その円相当径の平均値を空洞部径の平均とした。粒子及び空洞部の形状を真球と仮定し、一次粒子の平均体積及び空洞部の平均体積を求め、一次粒子の平均体積に対する空洞部の平均体積の割合として空隙率を算出した。また、得られた空隙率と粒子の構成成分の割合とその密度から、粒子の密度(Sd)を求めた。
(10)比表面積(A2)
粒子の一次粒子径の平均(D)を用いて、下記式(4)により、比表面積(A2)を求めた。
A2=6000/Sd/D ・・・式(4)
(式中、Sdは、粒子の密度(g/cm)を示す。)
(11)官能基を有する有機珪素化合物の固形分量
分散液を、小型超遠心機(日立工機(株)製 CS150GXL)を用いて、温度を10℃、回転数を1,370,000rpm(1,000,000G)の条件下で30分間遠心処理した。処理液の沈殿物を回収し、120℃で24時間、真空乾燥することで粒子粉末を得た。この粉末について、熱重量示差熱分析装置(日立ハイテクサイエンス(株)製 TG/DTA EXSTAR6000 MSD)を用いて、500℃加熱前後の質量減少量を測定し、元の粒子量との差から、有機珪素化合物由来の珪素分量を求めた。次に、これを、表面処理に使用した有機珪素化合物の構造から有機珪素化合物由来の固形分(R-SiO(4-n)/2)量に換算し、官能基を有する有機珪素化合物の固形分量を求めた。
〈反射防止膜形成用の塗布液の製造〉
製造された粒子(R1)のメタノール分散液をエバポレーターにて分散媒をメチルイソブチルケトン(MIBK)に置換し、固形分濃度20.5質量%の粒子(R1)のMIBK分散液を調製した。
この粒子(R1)のMIBK分散液8.05gと、多官能アクリレート樹脂(共栄社化学(株)製 ライトアクリレートDPE-6A)1.07gと、2官能アクリレート樹脂(巴工業(株)製 SR-238F)0.12gと、撥水化材用反応性シリコンオイル(信越化学工業(株)製 KF-2012)0.05gと、シリコーン変性ポリウレタンアクリレート(三菱ケミカル(株)製 紫光UT-4314、固形分濃度30質量%)0.37gと、光重合開始剤(IGM RESINS B.V.製 Оmnirad TPO H)0.09gと、イソプロピルアルコール64.65g、MIBK9.60g、イソプロピルグリコール16.00gを混合して、固形分濃度3.0質量%の反射防止膜形成用塗布液を製造した。
〈被膜付基材の製造〉
ハードコート塗料(日揮触媒化成(株)製 ELCOM HP-1004)を、TACフィルム(富士フイルム(株)製 FT-PB40UL-M、厚さ40μm、屈折率1.51)にバーコーター法(#18)で塗布し、80℃で120秒間乾燥した後、300mJ/cmの紫外線を照射して硬化させ、ハードコート膜付基材を製造した。ハードコート膜の膜厚は8μmであった。このハードコート膜は、全ての実施例及び比較例で共通して使用した。
次いで、このハードコート膜上に、反射防止膜形成用塗布液をバーコーター法(#4)で塗布し、80℃で120秒間乾燥した後、N雰囲気下で600mJ/cmの紫外線を照射して硬化させ、反射防止用透明被膜付基材を製造した。
被膜付基材を以下の項目について測定した。結果を表6に示す(以下の実施例及び比較例も同様)。
(12)ハードコート膜の膜厚
ハードコート膜の膜厚は、デジタルゲージ((株)小野測器製 ゲージスタンドST-0230及びデジタルゲージカウンターDG-5100)により、被膜の任意の5か所を測定した値の平均値とした。
(13)反射防止用透明被膜の膜厚、反射率
被膜の膜厚、波長550nmの反射率は、エリプソメーター(ULVAC社製 EMS-1)により測定した。これを以下の様に分類して反射率を評価した。
評価基準:
0.7%以下 :◎◎
0.7%超え1.0%以下 :◎
1.0%超え1.5%以下 :○
1.5%超え2.0%以下 :△
2.0%超え :×
(14)ヘイズ、及び全光線透過率
被膜付基材のヘイズ、及び全光線透過率は、ヘーズメーター(日本電色工業(株)製 NDH-5000)により測定した。
(15)耐擦傷性の測定
#0000のスチールウールを用い、所定荷重1kg/cmにおいて、50回摺動した。各荷重において被膜の表面を目視観察した。これを以下の様に分類して強度を評価した。
評価基準:
1200g/cm以上 :◎
800g/cm以上1200g/cm未満 :○
500g/cm以上800g/cm未満 :△
500g/cm未満 :×
(16)鉛筆硬度
鉛筆硬度は、JIS K 5400に準じて、鉛筆硬度試験器で測定した。即ち、被膜表面に対して45度の角度に鉛筆をセットし、所定の荷重を負荷して一定速度で引っ張り、傷の有無を観察した。これを以下の様に分類して硬度を評価した。
評価基準:
4H以上:◎
3H :○
2H :△
H以下 :×
(17)反射率と強度及び硬度の総合評価
反射率と耐擦傷性及び鉛筆硬度の評価に対し、以下の様に点数をつけた。
◎◎:5点
◎ :4点
○ :3点
△ :2点
× :1点
これらの点数を用いて、以下の式にて合計点を算出し、3段階に分類することで総合判定を行った。
合計点算出式:(反射率の点数)×(鉛筆硬度の点数)×(耐擦傷性の点数)
総合判定は、下記「◎」又は「○」を合格とした。
36以上 :◎
16以上36未満 :○
16未満 :×
(18)密着性
被膜付基材の表面にナイフで縦横1mmの間隔で11本の平行な傷を付け100個の升目を作り、これにセロファンテープを接着した。次いで、セロファンテープを剥離して、被膜が剥離せず残存している升目の数を数えた。これを以下の様に分類して密着性を評価した。
評価基準:
残存升目の数100個 :○
残存升目の数99個以下:×
[実施例2]
実施例1において、第二工程後に、再び第一工程と第二工程とを順に行って、本発明の粒子(R2)のメタノール分散液を製造した(第一工程と第二工程の繰り返し回数=2回)。
この分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造した。
[実施例3]
γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.8g(粒子(P1)100質量部に対して、固形分(R-SiX4-n)として2質量部)を使用した以外は実施例2と同様にして、本発明の粒子(R3)のメタノール分散液を製造した。
この分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造した。
[実施例4]
γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン20g(粒子(P1)100質量部に対して、固形分(R-SiX4-n)として50質量部)を使用し、第一工程と第二工程とを、順に5回繰り返した以外は実施例1と同様にして、本発明の粒子(R4)のメタノール分散液を製造した。
この分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造した。
[実施例5]
第二工程にて、メタノールを600g(粒子(S1)のメタノール分散液の3倍量に相当)使用した以外は実施例1と同様にして、本発明の粒子(R5)のメタノール分散液を製造した。
この分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造した。
[実施例6]
第二工程にて、メタノールを400g(粒子(S1)のメタノール分散液の2倍量に相当)使用した以外は実施例1と同様にして、本発明の粒子(R6)のメタノール分散液を製造した。
この分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造し、各特性を評価した。
[実施例7]
シリカ系粒子の水分散液(日揮触媒化成(株)製 USBB-120、平均粒子径25nm、固形分濃度20質量%、固形分中のAl23含有量27質量%)120gに純水119880gを加えた後、濃度1質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを11.0に調整した。その後、98℃に加温して、SiOとしての濃度が1.5質量%の珪酸ナトリウム水溶液22.4kgと、Alとしての濃度が0.5質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液22.4kgとを添加した。その後、遠心沈降法で洗浄を行い、複合酸化物粒子(a7)の分散液を得た。この複合酸化物粒子(a7)の平均粒子径は74nmであった。
この複合酸化物粒子(a7)の分散液を98℃に加温して、SiOとしての濃度が1.5質量%の珪酸ナトリウム水溶液60.0kgと、Alとしての濃度が0.5質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液20.0kgとを添加した。その後、限外濾過膜を用いて洗浄し、固形分濃度を13質量%にした。その後、目開き1μmのカプセルフィルターで濾過し、複合酸化物粒子(b7)の分散液を得た。この複合酸化物粒子(b7)の平均粒子径は98nmであった。
複合酸化物粒子(b1)の分散液の代わりに、この複合酸化物粒子(b7)の分散液を使用した以外は実施例2と同様にして、本発明の粒子(R7)のメタノール分散液を製造した。
粒子(R7)のメタノール分散液を実施例1と同様にMIBKに溶媒置換した後、この粒子(R7)のMIBK分散液4.88gと、多官能アクリレート樹脂(共栄社化学(株)製 ライトアクリレートDPE-6A)1.23gと、2官能アクリレート樹脂(巴工業(株)製 SR-238F)0.14gと、撥水化材用反応性シリコンオイル(信越化学工業(株)製 KF-2012)0.04gと、シリコーン変性ポリウレタンアクリレート(三菱ケミカル(株)製 紫光UT-4314、固形分濃度30質量%)0.31gと、光重合開始剤(IGM RESINS B.V.製 Omnirad TPO H)0.09gと、イソプロピルアルコール65.19g、MIBK12.12g、イソプロピルグリコール16.00gを混合して、固形分濃度2.5質量%の塗布液を製造した。この塗布液を使用した以外は実施例1と同様にして、被膜付基材を製造した。
[実施例8]
シリカ系粒子の水分散液(日揮触媒化成(株)製 USBB-120)3000gに純水117.0kgを加えた後、濃度1質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを11.0に調整した。その後、98℃に加温して、SiOとしての濃度が1.5質量%の珪酸ナトリウム水溶液11.6kgと、Alとしての濃度が0.5質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液11.6kgとを添加した。その後、遠心沈降法で洗浄を行い、複合酸化物粒子(a8)の分散液を得た。この複合酸化物粒子(a8)の平均粒子径は27nmであった。
この複合酸化物粒子(a8)の分散液を98℃に加温して、SiOとしての濃度が1.5質量%の珪酸ナトリウム水溶液48.9kgと、Alとしての濃度が0.5質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液16.3kgとを添加した。その後、限外濾過膜を用いて洗浄し、固形分濃度を13質量%にした。その後、目開き1μmのカプセルフィルターで濾過し、複合酸化物粒子(b8)の分散液を得た。この複合酸化物粒子(b8)の平均粒子径は41nmであった。
複合酸化物粒子(b1)の分散液の代わりに、この複合酸化物粒子(b8)の分散液を使用した以外は実施例2と同様にして、本発明の粒子(R8)のメタノール分散液を製造した。
次に、この分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造した。
[実施例9]
シリカ系粒子の水分散液(日揮触媒化成(株)製 USBB-120)750gに純水29250gを加えた後、濃度1質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを11.0に調整した。その後、98℃に加温して、SiOとしての濃度が1.5質量%の珪酸ナトリウム水溶液5.83kgとAlとしての濃度が0.5質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液5.83kgとを添加した。その後、遠心沈降法で洗浄を行い、複合酸化物粒子(a9)の分散液を得た。この複合酸化物粒子(a9)の平均粒子径は225nmであった。
この複合酸化物粒子(a9)の分散液を98℃に加温して、SiOとしての濃度が1.5質量%の珪酸ナトリウム水溶液2.21kgと、Alとしての濃度が0.5質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液0.74kgとを添加した。その後、限外濾過膜を用いて洗浄し、固形分濃度を13質量%にした。その後、目開き1μmのカプセルフィルターで濾過し複合酸化物粒子(b9)の分散液を得た。この複合酸化物粒子(b9)の平均粒子径は242nmであった。
この複合酸化物粒子(b9)の分散液500gに純水1125gを加え、更に濃塩酸(濃度35.5質量%)を滴下してpH1.0とした。これに、pH3の塩酸水溶液10Lと純水5Lを加えながら、限外濾過膜で溶解したアルミニウム塩を分離・洗浄して、濃度5質量%のシリカ系粒子(c9)を得た。
次にシリカ系粒子(c9)の分散液500gに、アンモニア水を添加して分散液のpHを10.5に調整し、耐圧容器に移した。次に、200℃まで加温して10時間保持した後、常温に冷却した。その後、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製 ダイヤイオンSK1B)400gを用いて3時間イオン交換し、次いで、陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製 ダイヤイオンSA20A)200gを用いて3時間イオン交換した。その後、更に、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製 ダイヤイオンSK1B)200gを用い、80℃で3時間イオン交換して洗浄を行い、「珪素を含む外殻と、その内側に空洞を有する粒子(元の粒子)」(P9)の水分散液を得た。
粒子(P1)の分散液の代わりに、この粒子(P9)を使用した以外は実施例2と同様にして、本発明の粒子(R9)のメタノール分散液を製造した。この分散液の固形分濃度は、20質量%であった。
粒子(R9)のメタノール分散液を実施例1と同様にMIBKに溶媒置換した後、この粒子(R9)のMIBK分散液3.22gと、多官能アクリレート樹脂(共栄社化学(株)製 ライトアクリレートDPE-6A)1.09gと、2官能アクリレート樹脂(巴工業(株)製 SR-238F)0.12gと、撥水化材用反応性シリコンオイル(信越化学工業(株)製 KF-2012)0.03gと、シリコーン変性ポリウレタンアクリレート(三菱ケミカル(株)製 紫光UT-4314、固形分濃度30質量%)0.27gと、光重合開始剤(IGM RESINS B.V.製 Omnirad TPO H)0.09gと、イソプロピルアルコール65.74g、MIBK13.44g、イソプロピルグリコール16.00gを混合して、固形分濃度2.0質量%の塗布液を製造した。この塗布液を使用した以外は実施例1と同様にして、被膜付基材を製造し、各特性を評価した。
[実施例10]
シリカ系粒子の水分散液(日揮触媒化成(株)製 カタロイドSI-550、平均粒子径5nm、SiO濃度20質量%)15.0kgに純水85.0kgを加えた後、濃度1質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10.0に調整した。その後、80℃に加温して、SiOとして濃度が1.5質量%の珪酸ナトリウム水溶液6845gと、Alとしての濃度が0.5質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液6845gとを添加した。その後、遠心沈降法で洗浄を行い、複合酸化物粒子(a10)の分散液を得た。この複合酸化物粒子(a10)の平均粒子径は19nmであった。
この複合酸化物粒子(a10)の分散液を85℃に加温してSiOとしての濃度が1.5質量%の珪酸ナトリウム水溶液70.5kgと、Alとしての濃度が0.5質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液23.5kgとを添加した。その後、限外濾過膜を用いて洗浄し、固形分濃度を13質量%に調整した。その後、目開き1μmのカプセルフィルターで濾過し、複合酸化物粒子(b10)の分散液を得た。この複合酸化物粒子(b10)の平均粒子径は29nmであった。
この複合酸化物粒子(b10)の分散液5000gに純水11250gを加え、更に濃塩酸(濃度35.5質量%)を滴下してpH1.0とした。これに、pH3の塩酸水溶液10Lと純水5Lを加えながら、限外濾過膜を用いて、溶解したアルミニウム塩を分離・洗浄して、濃度10質量%のシリカ系粒子(c10)を得た。
次にシリカ系粒子(c5)の分散液500gに、アンモニア水を添加して分散液のpHを10.5に調整し、耐圧容器に移した。次に、100℃まで加温して10時間保持した後、常温に冷却した。その後、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製 ダイヤイオンSK1B)800gを用いて3時間イオン交換し、次いで、陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製 ダイヤイオンSA20A)400gを用いて3時間イオン交換した。その後、更に、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製 ダイヤイオンSK1B)400gを用い、80℃で3時間イオン交換して洗浄を行い、「珪素を含む外殻と、その内側に空洞を有する粒子(元の粒子)」(P10)の水分散液を得た。
この粒子(P10)の水分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造した。
[実施例11]
複合酸化物粒子(b1)の分散液5000gに純水11250gを加え、更に濃塩酸(濃度35.5質量%)を滴下して
pH3.0とした。これに、pH3の塩酸水溶液5Lと純水5Lを加えながら、限外濾過膜を用いて溶解したアルミニウム塩を分離・洗浄して、濃度10質量%の粒子(c11)を得た。この粒子(c11)を使用した以外は実施例2と同様にして、本発明の粒子(R11)のメタノール分散液を製造した。
この分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造した。
[実施例12]
第一工程において、有機珪素化合物として、γ-メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製 KBM-5803)を使用した以外は実施例2と同様にして、本発明の粒子(R12)のメタノール分散液を製造した。
この分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造した。
[比較例1]
第一工程において、有機珪素化合物として、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.2g(粒子(P1)100質量部に対して、固形分(R-SiX4-n)として0.5質量部)を使用した以外は実施例1と同様にして、表面処理粒子(RR1)のメタノール分散液を製造した。なお、この表面処理粒子(RR1)は、工程的には、実施例1で得られた本発明の粒子(R1)に相当する(以下の比較例の粒子(RRナンバー)についても同様)。
この分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造した。
[比較例2]
第二工程を実施せずに、モレキュラーシーブ(関東化学(株)製 3A 1/16)を使用して、第一工程で得られた表面処理粒子(S1)の分散液から、水分及びアンモニアを除去して、固形分濃度を20質量%に調整したこと以外は実施例1同様にして、表面処理粒子(RR2)のメタノール分散液を製造した。
この分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造した。
[比較例3]
第二工程にて、メタノールを200g(粒子(S1)のメタノール分散液の1倍量に相当)使用した以外は実施例1と同様にして、表面処理粒子(RR3)のメタノール分散液を製造した。
この分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造した。
[比較例4]
第一工程と第二工程とを、順に5回繰り返した以外は実施例10と同様にして、表面処理粒子(RR4)のメタノール分散液を製造した。
この分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造した。
[比較例5]
シリカ源としてテトラエトキシシラン(TEOS)を使用し、公知の方法(例えば、特開2008-247664号公報や特許文献3に記載の方法)を参考にポリスチレン粒子をコアとしたコアシェル粒子を作製した、その後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去し、次いで、500℃にて2時間焼成して、ポリスチレンを除去した。その後、メタノールに分散させ、「珪素を含む外殻と、その内側に空洞を有する粒子(元の粒子)」(RP5)のメタノール分散液を作製した。この粒子(RP5)を使用し、第一工程と第二工程を実施しなかったこと以外は実施例1と同様にして、粒子(RR5)のメタノール分散液を製造した。この分散液の固形分濃度は、20質量%であった。
この分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造した。
[比較例6]
実施例1において、シリカ系粒子(c1)の分散液500gに水酸化ナトリウム水溶液を添加して、分散液のpHを10.6に調整し、耐圧容器に移した。次に、200℃まで加温して10時間保持した後、常温に冷却した。その後、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製 ダイヤイオンSK1B)40gを用いて3時間イオン交換し、次いで、陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製 ダイヤイオンSA20A)20gを用いて3時間イオン交換した。その後、更に、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製 ダイヤイオンSK1B)20gを用い、80℃で3時間イオン交換して洗浄を行い、「珪素を含む外殻と、その内側に空洞を有する粒子(元の粒子)」(RP6)の水分散液を得た。この粒子(RP6)の水分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、表面処理粒子(RR6)のメタノール分散液を製造した。この分散液の固形分濃度は、20質量%であった。
この分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、塗布液及び被膜付基材を製造した。
Figure 2023074970000004
Figure 2023074970000005
Figure 2023074970000006

Claims (9)

  1. 官能基と珪素を含む外殻と、その内側に空洞を有する粒子の分散液であって、
    前記粒子の画像解析による一次粒子径の平均(D)が20~250nm、炭素含有量が0.5~10質量%であり、
    前記分散液から前記粒子を除いた液中の有機珪素化合物が、前記粒子100質量部に対して、固形分として0.50質量部以下であることを特徴とする分散液。
  2. 前記官能基が、アクリロイル基、(メタ)クリロイル基、及びエポキシ基から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1記載の分散液。
  3. 前記粒子の屈折率が1.08~1.38であることを特徴とする請求項1記載の分散液。
  4. 前記粒子が、前記粒子を構成する前記炭素以外の金属元素の量の合計を酸化物基準で100質量部と表した時、珪素をSiOとして98質量部以上含むことを特徴とする請求項1記載の分散液。
  5. 前記粒子が、SiOと、
    Siと、Al、Sn、Sb、Ti、Zr、Zn、Cu、Fe、及びInから選ばれる元素の少なくとも1種と、を含む酸化物、
    の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1記載の分散液。
  6. 前記粒子のメタノール分散液のパルスNMR測定から求められる粒子の比表面積(A1)と、前記粒子の画像解析による一次粒子径の平均(D)から求められる粒子の比表面積(A2)との比(A1/A2)が0.80以下であることを特徴とする請求項1記載の分散液の製造方法。
  7. 珪素を含む外殻と、その内側に空洞を有する粒子を含む分散液に、下記式(1)に示す有機珪素化合物を加えて、前記粒子を表面処理する第一工程と、
    前記第一工程で得られた表面処理後の粒子の分散液から、未反応の有機珪素化合物を除去する第二工程と、を順に備える、官能基と珪素を含む外殻と、その内側に空洞を有する粒子の分散液の製造方法であって、
    前記粒子の画像解析による一次粒子径の平均(D)が20~250nm、炭素含有量が0.5~10質量%であり、
    前記分散液から前記粒子を除いた液中の前記未反応の有機珪素化合物が、前記粒子100質量部に対して、固形分として0.50質量部以下であることを特徴とする粒子の分散液の製造方法。
    -SiX4-n (1)
    (式中、Rは炭素数1~10の非置換又は置換炭化水素基で、Xは炭素数1~4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、水素原子であり、nは0~4の整数を示す。)
  8. 前記第二工程で得られた分散液中の粒子が、前記第一工程で表面処理される前の粒子100質量部に対して、官能基を有する有機珪素化合物を固形分として1.0~30質量部含むことを特徴とする請求項7記載の分散液の製造方法。
  9. 前記第二工程の後に、再び前記第一工程と前記第二工程とを順に行うことを特徴とする請求項7記載の分散液の製造方法。
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