JP2004169039A - メタリック塗料組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 平均粒径d50が5〜35μmであり、平均厚みt(μm)に対する平均粒径d50(μm)の比が30〜90であり、かつ、平均表面粗さRaが20nm以下であり、かつ、表面粗さ曲線の凹凸の平均高さRcが80nm以下であるアルミニウム顔料を含むメタリック塗料組成物。
【選択図】 なし
Description
更に詳しくは、本発明は、上記用途において通常の方法により形成した塗膜、印刷又はフィルム等に対し、従来にない高い光の反射率と極めて高いフロップ性、すなわち、光学的異方性を与え得る高輝度高フロップ性アルミニウム顔料を含むメタリック塗料組成物に関する。
近年、自動車ボディ塗装におけるファッション性が重要視されるようになり、自動車の本来的機能と同等以上の価値観で評価されるようになってきた。特にここ数年における自動車ボディ塗装のファッション性の傾向を見ると、従来から根強かった白色やギラギラとした単調なシルバーメタリック調は減少し、光輝度が強く、見る角度によって塗装外観が変化する光学的異方性の強い塗膜の要求が高まってきている。
特許文献1には、高い隠蔽力と高い光の反射率を兼備したアルミニウム顔料が記載されている。また、特許文献2には湿式ボールミル法にてアルミニウム粉の表面を磨き、高い反射率を備えたアルミニウム顔料を得る方法が記載されている。また、特許文献3にはスパークリング効果のすぐれたメタリック塗膜の形成方法などが記載されている。
さらに、特許文献4には、塗膜に強い光輝感及び優れた外観の塗膜を与えるアルミニウム顔料が記載されている。さらにまた、特許文献5には、ほぼ球形の研磨された金属粉末顔料粒子が開示されている。
しかしながら、何れの技術においても、アルミニウム顔料として、現状の望まれる高い光輝度と高いフロップ性を満足させるものではない。
さらに本発明は、平均表面粗さRaが15nm以下である上記アルミニウム顔料を含むメタリック塗料組成物を提供する。
平均粒径d50(μm)は、レーザーミクロンサイザーLMS−24(セイシン企業(株)製)を用いて測定することができ、5〜35μmである。平均粒径d50は、この範囲内で意図する意匠性に合わせて極細目、細目、中目、粗目又は極粗目として選択すればよい。平均粒径が5μm以上のものは、塗膜中で一定方向に配向し易く、また、光の散乱が少なく、望ましい光輝度が発現し易い。また、平均粒径が35μm以下のものは、粒子の大きさが塗膜の膜厚を超えることがないため、粒子の一部が塗膜表面に突出することが少なく、その結果きめ細かいメタリック塗膜を得ることができ実用的である。
t=0.4/WCA
上記した平均厚みの算出方法は、例えば、Aluminium Paint and Powder, J. D. Edwards & R.I.Wray著、第3版、Reinhold Publishing Corp.New York(1955) の第16〜22頁に記載されている。
アルミニウム顔料の表面形態観察法として、原子間力顕微鏡(以下AFMと略記する)TMX-2010(Topometrix 製)を使用する。前処理として、試料のアルミニウム顔料を過剰のメタノール及びクロロホルムで超音波洗浄後、真空乾燥し、再度アセトンに分散後、Siウェハー上に滴下し、自然乾燥を行う。AFMによる表面粗さの定量は、アルミニウム顔料が他のアルミニウム顔料と重なりがないものについて、5μm四方の視野につき表面粗さ曲線(表面凹凸のラインプロファイル)を300スキャンにより測定し、粗さ曲線の算術平均粗さ(基準長さ5μm内での標高の絶対値の算術平均)を求める。基準長さは、平均粒径d50によるが、5μmを基準とする。本願では、算術平均粗さを3視野以上測定し、更に算術平均した値を「平均表面粗さRa(nm)」として定義する。表面粗さの用語については、JIS−B−0660:1998に基づく。
アルミニウム顔料の表面粗さ曲線の凹凸の平均高さRcは、前記で測定した表面粗さ曲線において、表面粗さ曲線の山頂の高さの絶対値の平均値と表面粗さ曲線の谷底の深さの絶対値の平均値の和で表される。具体的には、表面粗さ曲線の算術平均高さを3視野以上測定し、さらにそれらを算術平均した値をいう。
本発明のアルミニウム顔料の平均高さRcは、80nm以下であることが好ましい。平均高さRcが80nm以下であると、極めて優れた高輝度を示すと共にフロップ性も良好であった。
本発明のアルミニウム顔料を得るための好ましい製造方法は、特に、媒体攪拌ミル、又は、ボールミルによって原料となるアトマイズドアルミニウム粉を摩砕して製造される。
このような摩砕ボールの材質としては、上記の比重範囲を満たすものであればよく、特に限定されない。例えば、ガラス球、アルミナ球等が使用できる。経済性及び品質の面からは、ガラス球を使用することが望ましい。摩砕ボールの表面粗さは、玉軸受用鋼球のJIS−B−1501の表面粗さRa(最大)で0.08μm(等級G40)以下のものが好ましい。更に好ましくは、0.04μm(等級G20)以下のものである。
原料となるアトマイズドアルミニウム粉としては、アルミニウム以外の不純物の少ない物が好ましい。アトマイズドアルミウム粉の純度は好ましくは99.5%以上、より好ましくは、99.7%以上で、更に好ましくは、99.8%以上である。
アトマイズドアルミニウム粉の形状としては、球状粉、涙滴状粉のようなものが好ましい。針状粉や不定形粉は、摩砕時のアルミニウム顔料の形状が崩れやすいため好ましくない。
アルミニウム粉の摩砕条件としては、アルミニウム粉のアルミニウムの重量に対する摩砕ボールの重量の比が2〜100であることが好ましく、10〜100がより好ましく、14〜65であることがより好ましい。アルミニウム粉のアルミニウム重量に対する摩砕ボールの重量の比が2以上であると、表面粗さの小さいアルミニウム顔料が得られ、光輝度及びフロップ性が高いものが得られ好ましい。また、上記の比が100以下であると、摩砕時間及び生産性をともに実用的な範囲にとどめることができる。
また、磨砕助剤を使用することもできる。摩砕助剤としては、ノンリーフィング顔料としての特性を示すものであれば、特に限定されるものではないが、通常使用されるオレイン酸、ステアリルアミン等が挙げられ、アルミニウム粉の重量に対し1〜50重量%の量で使用することが好ましい。
本発明のアルミニウム顔料には、マイカや着色顔料等を併用することも可能である。
(1) 平均粒径:d50
レーザーミクロンサイザーLMS−24により測定した。測定溶剤としては、ミネラルスピリットを使用した。試料となるアルミニウム顔料は、前処理として2分間の超音波分散を行った。
(2) 平均厚み:t
まず、アルミニウム顔料1gに、5%ステアリン酸のミネラルスピリット溶液を1〜2ml加えて予備分散した後、石油ベンジン50mlを加えて混合し、40〜45℃で2時間加温後、フィルターで吸引濾過し、パウダー化したもので、水面拡散面積を測定した。この測定値から、下記の式に従って平均厚み:tを算出した。
t(μm)=0.4/WCA(m2 /g)
原子間力顕微鏡(AFM)を用いてアルミニウム顔料の1視野5μm四方のラインプロファイル(300スキャン)を求める。これより算術平均表面粗さを求める。同様の操作を合計3視野以上について行い、それらの算術平均値を求めてRaとした。
(4) 表面粗さ曲線の凹凸の平均高さ:Rc
前記(3) で求めたものと同じラインプロファイルにより、表面粗さ曲線の凹凸の平均高さを求める。同様の操作を合計3視野以上について行い、それらの算術平均を求めてRcとした。
(1)塗料・塗膜の作製
アルミニウム顔料5gにアクリックNo.2000GLシンナー(関西ペイント(株)製)8gを加え、予備分散し、さらに、アクリックNo.2026GLクリアー(関西ペイント(株)製)97gを加え、ペイントシェイカーで10分震蕩した。得られたシルバーメタリック塗料を、アート紙上に、9milのアプリケーターを用いて塗膜を作製後、室温で乾燥した。
塗料の研究、No.117、第67〜72頁(1989年、関西ペイント(株)発行)に記載の方法に従って、レーザー式メタリック感測定装置アルコープLMR−200(関西ペイント(株)製)を用いて評価した。入射角45度にレーザー光源が配置され、受光角0度と−35度に受光器が配置されている光学的条件下で測定した。
レーザーの反射光のうち、塗膜表面で反射する鏡面反射領域の光を除いて、最大光強度が得られる受光角−35度でIV値を求めた。IV値はアルミニウム顔料からの正反射光強度に比例するパラメーターであり、光輝度の大小を表す。
また、観察角度(受光角)が変化した時の反射光強度の変化度合いを平均反射強度で無次元化してFF値を求めた。FF値は、アルミニウム顔料の配向度合いに比例するパラメーターであり、顔料のフロップ性の大小を表す。
内径30cm、長さ35cmのボールミル内に、アトマイズドアルミニウム粉(平均粒径6μm)250g、ミネラルスピリット1.2kg、及び、オレイン酸25gからなる配合物を充填し、直径3mmのガラスビーズ(比重2.6)15kgを用い、60rpmで10時間摩砕した。
磨砕終了後、ミル内のスラリーをミネラルスピリットで洗い出し、400メッシュの振動篩にかけ、通過したスラリーをフィルターで濾過、濃縮し、加熱残分80%のケーキを得た。得られたケーキを縦型ミキサー内に移し、所定量のソルベントナフサを加え、15分混合し、加熱残分75%のアルミニウム顔料を得た。
得られたアルミニウム顔料について、上記(5) にしたがいメタリック塗料組成物を製造した。この塗料組成物から塗膜を作成し、輝度とフロップ性の評価を行った。結果を表1に示す。
原料アトマイズドアルミニウム粉の平均粒径を10μmとし、摩砕15時間とした以外は実施例1と同様の操作を行い、アルミニウム顔料を得た。この顔料について上記(5) にしたがいメタリック塗料組成物を製造した。この塗料組成物から塗膜を作成し、輝度とフロップ性の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
原料アトマイズドアルミニウム分の平均粒径を8μmとし、直径2mmのガラスビーズを用い、表1に示す摩砕ボール、摩砕溶剤及びアルミの重量比で摩砕を60rpmで12時間行った以外は実施例1と同様の操作を行い、アルミニウム顔料を得た。この顔料について上記(5) にしたがいメタリック塗料組成物を製造した。この塗料組成物から塗膜を作成し、輝度とフロップ性の評価を行った。結果を表1に示す。
原料アトマイズドアルミニウム粉の平均粒径を30μmとしたものを原料として用い、内容量4.9lのジャケット付きアトライターを使用した。アトライターの容器内に7mm〜13mmのガラスビーズを9kg、ミネラルスピリット0.9kg、及びステアリルアミン20gを投入した。アジテーターを27rpmで回転させ、その1.5分後に前記アルミニウム原料600gを徐々に投入した。投入完了後5分間そのままの速度にて運転し、以後100rpmにてアジテーターを回転し、5時間粉砕した。その後、アトライター内のスラリーをミネラルスピリットで洗い出し、400メッシュの振動篩にかけ、篩を通過したスラリーをフィルターで濾過、濃縮し、加熱残分78%のケーキを得た。得られたケーキを縦型ミキサー内に移し、所定量のソルベントナフサを加え15分間混合し、加熱残分75%のアルミニウム顔料を得た。
得られたアルミニウム顔料について、上記(5) にしたがいメタリック塗料組成物を製造した。この塗料組成物から塗膜を作成し、輝度とフロップ性の評価を行った。結果を表1に示す。
内径30cm、長さ35cmのボールミル内に、アトマイズドアルミニウム粉(平均粒径20μm)600g、ミネラルスピリット1.2kg、及び、ステアリン酸6gからなる配合物を充填し、直径4.8mmのスチールボール(比重7.8)を18kgを用い、60rpmで5時間摩砕した。
粉砕終了後、ミル内のスラリーをミネラルスピリットで洗い出し、400メッシュの振動篩にかけ、通過したスラリーをフィルターで濾過、濃縮し、加熱残分87%のケーキを得た。得られたケーキを縦型ミキサー内に移し、所定量のソルベントナフサを加え、15分混合し、加熱残分75%のアルミニウム顔料を得た。
得られたアルミニウム顔料について、上記(5) にしたがいメタリック塗料組成物を製造した。この塗料組成物から塗膜を作成し、輝度とフロップ性の評価を行った。結果を表1に示す。
内径30cm、長さ35cmのボールミル内に、球状アトマイズドアルミニウム粉(平均粒径12μm、アスペクト比は約1.5:1〜1:1)250g、オレイン酸250gを充填し、直径3.2mmのスチールボール(比重7.8)1kgを用い、60rpmで5時間粉砕した。
粉砕終了後、ミル内容物をミネラルスピリットで洗い出し、400メッシュの振動篩にかけ、通過したスラリーをフィルターで濾過、濃縮し、加熱残分95%のアルミニウム顔料を得た。得られた粉末状のアルミニウム顔料について、上記の測定を行った。なお、光輝度とフロップ性の評価における塗料の作製では、上記加熱残分95%のアルミニウム顔料を、加熱残分75%に換算した顔料重量にして、上記(5) に従いシルバーメタリック塗料の配合を行った。
また、得られたアルミニウム顔料の形状は、フレーク状ではなく、原料のアトマイズドアルミニウム粉の球状に近いものであり、アスペクト比は約2:1より小さいことが、走査型電子顕微鏡観察により認められた。
形状がフレーク状でないため、水面拡散面積は測定不可能であった。
Claims (3)
- 平均粒径d50が5〜35μmであり、平均厚みt(μm)に対する平均粒径d50(μm)の比が30〜90であり、かつ、平均表面粗さRaが20nm以下であり、かつ、表面粗さ曲線の凹凸の平均高さRcが80nm以下であるアルミニウム顔料を含むメタリック塗料組成物。
- 前記平均表面粗さRaが15nm以下である請求項1記載のアルミニウム顔料を含むメタリック塗料組成物。
- 表面粗さ曲線の凹凸の平均高さRcが、80nm以下である請求項1又は2記載のアルミニウム顔料を含むメタリック塗料組成物。
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