JP2018135460A - リーフィングアルミニウム顔料、リーフィングアルミニウム顔料の製造方法、リーフィングアルミニウム顔料を含む塗料組成物、塗膜、当該塗膜を有する物品、インキ組成物、及び印刷物 - Google Patents

リーフィングアルミニウム顔料、リーフィングアルミニウム顔料の製造方法、リーフィングアルミニウム顔料を含む塗料組成物、塗膜、当該塗膜を有する物品、インキ組成物、及び印刷物 Download PDF

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Abstract

【課題】高い緻密感が得られ、正反射領域での輝度が極めて高く、かつ高い光沢を兼ね備えた、クロム調のメタリック意匠を実現可能な、リーフィングアルミニウム顔料を提供する。【解決手段】粒子の平均粒子径d50が4μm〜15μmであり、かつ、粒子の平面性(最短長さ/粒子断面長さ)が0.95〜1.00である平面粒子を、60%〜100%の個数割合で含有し、JIS K 5906によるリーフィング価が82以上である、リーフィングアルミニウム顔料。【選択図】図1

Description

本発明は、リーフィングアルミニウム顔料、リーフィングアルミニウムの製造方法、リーフィングアルミニウム顔料を含む塗料組成物、塗膜、当該塗膜を有する物品、インキ組成物、及び印刷物に関する。
従来から、アルミニウム顔料は、他の顔料にない独特なメタリック感と、下地に対する優れた隠蔽力を併せ持つ顔料として、各種分野において多用されている。
特にクロム調の意匠が求められる分野においては、リーフィングアルミニウム顔料が好んで使われているが、この分野においても緻密感、輝度、光沢等の意匠の向上を図り、優れた外観特性を実現することが求められている。
上述したような優れた外観特性を実現する方法としては、アルミニウム顔料の粒子の微粒子化が挙げられる。アルミニウム顔料の粒子を微粒子化すると、緻密感の向上に効果があることが知られている。
しかしながら、アルミニウム顔料の粒子を微粒子化すると、塗膜中の粒子の配向性が低下して、輝度低下や散乱光の発生が増加するという問題を有している。
かかる問題を改善する方法として、アルミニウム粒子の薄膜化という方法が挙げられる。
例えば、特許文献1においては、原料アルミニウム粉末の磨砕時間を長くすることにより、アルミニウム粒子を薄膜化し、金属光沢に優れ、メッキ調の外観を実現することができるアルミニウム顔料が開示されている。
また、特許文献2、特許文献3においては、所定の薄膜アルミニウム顔料についての開示がなされており、アルミニウム粒子の厚さ分布(相対的幅Δhの範囲)やアスペクト比を特定することにより、分散性等の作業性の向上を図っている。
また、特許文献4においては、金属蒸着法によるアルミニウム顔料の製造方法についての開示がなされており、当該製造方法においては、粉砕機を用いた機械加工によるアルミニウム顔料とは全く異なる製造方法を採用し、アルミニウム粒子膜厚を薄く、かつ単一厚みに設定し、平滑性についても非常に優れているものが得られ、緻密感、高輝度、高光沢を得ることを可能としている。
特開2003−82258号公報 特開2014−159583号公報 国際公開第2004/087816号パンフレット 特表2002−528639号公報
高級感を求められる工業製品分野、例えば自動車、情報家電、化粧品容器、或いは高反射率が求められるランプ反射板分野においては、リーフィングアルミニウム顔料を用いた緻密かつ高輝度のクロム調の意匠への要求が高まってきている。
また、オフセット印刷、スクリーン印刷等の高級印刷インキ分野においても、緻密かつ高輝度のミラー調のメタリック意匠への要求が高まってきている。
しかしながら、上述した特許文献1〜3に記載されているアルミニウム顔料は、アルミニウム粒子を薄く延ばしたものとすることにより優れた金属光沢を得るものであるが、高い緻密感と、正反射領域での輝度と、散乱光の抑制とを、全て実現させるという観点においては、未だ十分な特性が得られていないという問題を有している。
また、特許文献4に記載のアルミニウム顔料においても、蒸着法で製造することにより高い緻密感と高輝度を有しているが、上記と同様に、高い緻密感と、正反射領域での輝度と、散乱光の抑制とを、全て実現させるという観点においては、未だ十分な特性が得られていないという問題を有している。
上述したように、従来提案されている技術は、いずれにおいても、高い緻密感と正反射領域での輝度と、散乱光の抑制とを全て実現し得るアルミニウム顔料は得られていないという問題を有している。
さらにリーフィングアルミニウム顔料においては、塗膜の上層部にアルミニウム粒子が浮上してアルミ粒子層を形成するという特徴があり、この連続したアルミニウム粒子層が緻密なクロム調の意匠を可能とする。一方で、従来のアルミニウム顔料では塗膜最上層部のアルミニウム粒子の連続層に凹凸が生じてしまい、塗膜の光沢が低下するという問題を有している。
そこで本発明においては、上述した従来技術の問題点に鑑み、高い緻密感が得られ、正反射領域での輝度が極めて高く、かつ高い光沢を兼ね備えた、クロム調のメタリック意匠を実現する、リーフィングアルミニウム顔料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した従来技術の問題点にについて鋭意検討した結果、リーフィングアルミニウム顔料の粒子の断面形状に着目し、塗膜の断面にある粒子の断面形状について、粒子の平面性(最短長さ/粒子断面長さ)が0.95〜1.00の範囲である平面粒子の比率を特定の範囲とし、さらには平均粒子径(d50)を特定の範囲とすることにより、高い緻密感が得られ、正反射領域での輝度が極めて高く、かつ、高い光沢を兼ね備えた、クロム調のメタリック意匠を実現し得る、リーフィングアルミニウム顔料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
粒子の平均粒子径d50が4μm〜15μmであり、かつ、粒子の平面性(最短長さ/粒子断面長さ)が0.95〜1.00である平面粒子を、60%〜100%の個数割合で含有し、JIS K 5906によるリーフィング価が82以上である、リーフィングアルミニウム顔料。
〔2〕
前記粒子の平均厚みtが、0.03μm〜0.12μmである、前記〔1〕に記載のリーフィングアルミニウム顔料。
〔3〕
前記粒子の平均厚みt(μm)に対する平均粒子径d50(μm)の比(d50/t)が、90〜250である、前記〔1〕又は〔2〕に記載のリーフィングアルミニウム顔料。
〔4〕
前記粒子の、表面の平均粗さRaが2〜12nmである、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載のリーフィングアルミニウム顔料。
〔5〕
リーフィング価が86以上である、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のリーフィングアルミニウム顔料。
〔6〕
前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載のリーフィングアルミニウム顔料の製造方法であって、
アトマイズドアルミニウム粉を、ボールミルを具備する磨砕装置により磨砕する工程を有する、リーフィングアルミニウム顔料の製造方法。
〔7〕
前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載のリーフィングアルミニウム顔料を含む塗料組成物。
〔8〕
前記〔7〕に記載の塗料組成物を含有する塗膜。
〔9〕
前記〔8〕に記載の塗膜を有する物品。
〔10〕
前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載のリーフィングアルミニウム顔料を含むインキ組成物。
〔11〕
前記〔10〕に記載のインキ組成物を含む印刷物。
本発明によれば、高い緻密感が得られ、正反射領域での輝度が極めて高く、かつ高い光沢を兼ね備えた、クロム調のメタリック意匠を実現可能な、リーフィングアルミニウム顔料を提供することができる。
アルミニウム顔料の粒子の平面性の評価方法を説明するための、電界放出形のFE−SEM(HITACHI製/S−4700)を使用して得られたアルミニウム顔料の粒子断面のFE−SEM像の写真の一例を示す。 (A)リーフィングアルミニウム顔料の塗膜中の状態の一例の概略図を示す。(B)ノンリーフィングアルミニウム顔料の塗膜中の状態の一例の概略図を示す。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。
以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施できる。
〔リーフィングアルミニウム顔料〕
本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料は、粒子の平均粒子径d50が4μm〜15μmであり、かつ、粒子の平面性(最短長さ/粒子断面長さ)が0.95〜1.00である平面粒子を、60%〜100%の個数割合で含有し、JIS K 5906によるリーフィング価が82以上である。
リーフィングアルミニウム顔料とは、粒子の表面張力によって、塗膜表面に当該粒子が浮くタイプのアルミニウム顔料である。
図2(A)に、リーフィングアルミニウム顔料の塗膜中の状態の一例の概略図を示し、図2(B)に、ノンリーフィングアルミニウム顔料の塗膜中の状態の一例の概略図を示す。
本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料において、粒子の平均粒子径d50、粒子の平面性(最短長さ/粒子断面長さ)、平均厚みt(μm)は、下記のように定義される。
粒子の平均粒子径d50(μm)は、メディアン径であり、当該平均粒子径d50はレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定することができる。
本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料の粒子の平均粒子径d50は4μm〜15μmである。
本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料の粒子の平均粒子径d50は、前記数値範囲内であればよく、最終的に目的とする意匠性に合わせて、微粒子、小粒子を選択すればよい。
粒子の平均粒子径d50が4μm以上であることにより、本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料を用いた塗膜中で粒子が一定方向に配向し、光の散乱を低下させることができ、さらに輝度も高くでき好ましい。
また、平均粒子径が15μm以下であることにより、後述する粒子の平面性(最短長さ/粒子断面長さ)を好ましい範囲に調整しやすく、緻密感があるメタリック塗膜を得ることができ好ましい。
本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料の粒子の平均粒子径(d50)は、好ましくは5μm以上13μm以下であり、より好ましくは6μm以上12μm以下である。
リーフィングアルミニウム顔料の平均粒子径d50は、後述するリーフィングアルミニウム顔料の製造方法において、原料アトマイズドアルミニウム粉を、ボールミルを用いて磨砕する工程で、原料アトマイズドアルミニウム粉の粒子径、磨砕ボールの1個あたりの質量、磨砕装置の回転数を適宜調整することにより制御することができる。
本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料の粒子の平面性(最短長さ/粒子断面長さ)は、本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料を含む塗料組成物により形成した塗膜の断面のFE−SEM像を取得したものを画像解析ソフトにて計測することにより求めることができる。
計測方法について説明する。
前記塗膜の断面のFE−SEM像において、粒子断面の両先端を直線で結んだ計測値を「最短長さ」とする。また、粒子断面の両先端を粒子断面の形状に沿って結んだ線の計測値を「粒子断面長さ」とする。
粒子断面長さに対する最短長さの比(最短長さ/粒子断面長さ)の値を粒子の平面性として定義する。
粒子の平面性は、1.00に近いほど粒子の反り・歪みが小さいことを示す。
前記の定義により100個の粒子の平面性を求める。
粒子の平面性の度合については、区別する閾値を0.95とし、0.95〜1.00の範囲の粒子を平面粒子と定義し、その比率を(%:個数割合)として求める。
塗膜断面の作製、FE−SEM像の取得、画像解析は、後述する実施例に記載する方法により実施することができる。
本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料は、上述した粒子の平面性が0.95〜1.00の範囲の平面粒子を個数割合で60%〜100%含む。
平面粒子の割合が60%以上であることにより、正反射領域での輝度を高くし、散乱光を減少させることができ、好ましい意匠が得られる。
すなわち、本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料においては、粒子の平面性が0.95〜1.00の範囲の粒子を60%〜100%含むことにより、正反射領域での輝度が極めて高く、さらに、散乱光が非常に少ないミラー調のメタリック意匠が得られる。
粒子の平面性が0.95〜1.00の範囲の粒子の含有比率は、好ましくは65%以上98%以下であり、より好ましくは70%以上98%以下である。
平面粒子の割合が100%以下であることにより、本実施形態のアルミニウム顔料を製造するために必要な磨砕時間が極端に長くならず、生産性に優れる。
本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料は、リーフィング価が82以上であり、84以上であることが好ましく、86以上であることがより好ましい。
リーフィング価が82以上であることにより、アルミニウム顔料中の粒子の平面性・平滑性がより良好となり、塗膜最上層部のアルミニウム粒子連続層の凹凸が小さくなり、塗膜の光沢が向上する。
リーフィング価は、JIS K 5906に基づき測定される。具体的には実施例に記載する方法により測定することができる。
粒子のリーフィング価は、摩砕時の摩砕助剤として適切なものを適量用い、かつスラリー温度を50℃以下に維持することにより、82以上に制御することができる。
本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料の粒子の平均厚みt(μm)は、前記の粒子の平面性の測定で適用した塗膜断面のFE−SEM像を用い、かつ画像解析ソフトを用いて計測することにより求めることができる。
具体的には、塗膜断面のFE−SEM像においてランダムに粒子を100個選択し、粒子の断面厚さの自動計測を実施し、100個の算術平均値を算出することにより求めることができる。
本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料の粒子の平均厚みt(μm)は、0.03μm〜0.12μmであることが好ましい。
平均厚みtが0.03μm以上であることにより、上述した粒子の平面性(最短長さ/粒子断面長さ)を0.95〜1.00の範囲に制御することが容易となり、正反射領域での輝度を高く、散乱光を低下でき、好ましい。
粒子の平均厚みtが0.12μm以下であることにより、粒子端部の陰影面積を好適に調整でき、緻密感が得られ、また、散乱光を低下でき、好ましい。
本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料の粒子の平均厚みt(μm)は、より好ましくは0.03μm以上0.10μm以下であり、さらに好ましくは0.04μm以上0.09μm以下である。
リーフィングアルミニウム顔料の平均厚みtは、後述するリーフィングアルミニウム顔料の製造方法において、原料アトマイズドアルミニウム粉を、ボールミルを用いて磨砕する工程で、磨砕ボールの1個あたりの質量、磨砕装置の回転数を適宜調整することにより制御することができる。
本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料の粒子の平均厚みtに対する平均粒子径d50の比(d50/t)は、アルミニウム粒子のアスペクト比であり、本実施形態においては、当該アスペクト比が90〜250であることが好ましい。
アスペクト比が90以上であることにより、正反射領域でのより高い輝度、並びに、より高い隠蔽力が得られ、薄膜塗装に用いた場合に、塗膜においてミラー調で高級感が得られる。
また、アスペクト比が250以下であることにより、粒子の反り、歪み、及びクラックを防止することができ、粒子の破断が生じず、散乱光の発生が非常に少なくすることができる。
本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料の粒子のアスペクト比(d50/t)は、より好ましくは100以上250以下であり、さらに好ましくは130以上250以下である。
本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料の粒子の表面の平均粗さRaは、アルミニウム顔料の粒子の表面の平滑性を示す指標であり、原子間力顕微鏡等を含むSPM(Scanning Probe Microscope)により測定することができる。
本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料においては、粒子の平均粗さRaが2〜12nmであることが好ましい。
平均粗さRaが12nm以下であることにより粒子表面の平滑性が高いために、光の正反射光量が高くなり、より高い輝度感が得られる。また、平均粗さRaが2nm以上であることにより、本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料を製造するために必要な磨砕時間が極端に長くならず、生産性に優れる。
このRaは2〜10nmがより好ましく、2〜8nmがさらに好ましい。
〔リーフィングアルミニウム顔料の製造方法〕
上述した本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料の製造方法について以下説明する。
本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料は、アトマイズドアルミニウム粉を、ボールミルを具備する磨砕装置により磨砕する工程を有する。
原料となるアトマイズドアルミニウム粉の粒径を大きくすること、磨砕ボールの1個当たりの質量を小さくすること、磨砕装置の回転速度を小さくすること、等の条件を適宜調整し、組み合わせることにより、上述した粒子の平面性(最短長さ/粒子断面長さ)が0.95〜1.00である平面粒子の割合を大きくすることができる。
また、磨砕ボールの1個当たりの質量を大きくすること、磨砕装置の回転数を大きくすること、アルミニウム顔料の粒子の平均厚みtを薄くすること、等の条件を適宜調整し、組み合わせることにより、前記平面粒子の割合を小さくすることができる。
前記操作を行うことに加え、平均粒子径(d50)を本実施形態の範囲に調整すること、及び生産性を良好とすることも加味し、磨砕条件を決定する。
本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料において、粒子の平均粒子径d50が4μm〜15μmの範囲であるものとすることを考慮した場合、特に好ましい磨砕条件は、原料として、好ましくは粒径1.5〜5.0μm、より好ましくは粒径1.5〜4.0μmのアトマイズドアルミニウム粉を用い、磨砕装置で使用する磨砕ボールの1個当たりの質量を、好ましくは0.08〜11.00mg、より好ましくは0.08〜9.00mgとし、磨砕装置の回転速度を臨界回転数(Nc)に対して33%〜78%、より好ましくは36%〜57%とする条件を組み合わせる。
上述した方法により磨砕ボールから受けるアルミニウム粒子に加わる衝撃力を調整し、かつアルミニウム粒子の平均厚みt(μm)に対する平均粒子径d50(μm)の比を90〜250の範囲とすることで、粒子の平面性(最短長さ/粒子断面長さ)が0.95〜1.00の範囲の平面粒子を個数割合で60%〜100%含む本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料が得られる。
ボールミル等で使用する磨砕ボールの比重は、前記平面粒子の割合を大きくすることを容易とする観点及びアルミニウム粒子の表面平滑性を高くする観点から、8以下であることが好ましく、7.5以下であることがより好ましく、7以下であることがさらに好ましい。
なお、磨砕ボールの比重は、磨砕溶剤の比重より大きいことが好ましい。磨砕ボールの比重が磨砕溶剤の比重より大きいことにより、磨砕ボールが溶剤に浮いてしまうことが防止でき、磨砕ボール同士のずり応力が十分に得られ、磨砕が十分に進行する傾向にある。
本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料の製造方法で使用する磨砕ボールとしては、ステンレスボール、ジルコニアボール、ガラスボール等の表面平滑性が高いものが、アルミニウム粒子の表面平滑性の調整及び磨砕ボールの耐久性の観点から好ましい。
一方で、表面平滑性の低い、鋼球、アルミナボール等は、アルミニウム粒子の表面平滑性の調整及び磨砕ボールの耐久性の観点から好ましくない。
このため、例えば、ステンレスボールの場合、機械的研磨及び化学的研磨により表面平滑性を高めたものを用いることが好ましい。
磨砕ボールの1個当たりの質量は、上述したように、0.08〜11.00mgであることが好ましい。
質量が0.08mg/個以上の磨砕ボールを用いることにより、磨砕ボールが個々の運動をせず集団又は塊状で運動するために磨砕ボール同士のずり応力が低下して磨砕が進行しなくなる現象、いわゆるグループモーションの発生を防止することができる。
また、質量が11.00mg/個以下の磨砕ボールを用いることにより、アルミニウム粉末に過大な衝撃力が加わることを防止し、反り、歪み、クラック等の発生を防止することができる。
原料となるアトマイズドアルミニウム粉としては、アルミニウム以外の不純物の少ない物が好ましい。
アトマイズドアルミウム粉の純度は、好ましくは99.5%以上であり、より好ましくは99.7%以上であり、さらに好ましくは99.8%以上である。
原料となるアトマイズドアルミニウム粉の平均粒子径は、1.5〜5.0μmが好ましく、1.5〜4.0μmがより好ましい。
アトマイズドアルミニウム粉が1.5μm以上の平均粒子径であることにより、磨砕加工時に粒子に加わるエネルギーが過大とならず、粒子の反り、歪みを防止でき、粒子形状を良好に保つことができ好ましい。
また、アトマイズドアルミニウム粉が5.0μm以下の平均粒子径であることにより、その磨砕加工品の粒子の平均粒子径を15μm以下に調整することができ、本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料を好適に得られる傾向にある。
原料となるアトマイズドアルミニウム粉の形状としては、球状粉、涙滴状粉のようなものが好ましい。これらを用いることにより、磨砕時のアルミニウム顔料の形状が崩れにくくなる傾向がある。一方において、針状粉や不定形粉は、磨砕時のアルミニウム顔料の形状が崩れやすいため好ましくない。
ボールミルを具備する磨砕装置により、本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料を製造する際には、磨砕溶剤を用いることが好ましい。
磨砕溶剤の種類としては、以下に限定されるものではないが、例えば、従来から使用されているミネラルスピリット、ソルベントナフサ等の炭化水素系溶剤や、アルコール系、エーテル系、ケトン系、エステル系等の低粘度の溶剤が挙げられる。
アトマイズドアルミニウム粉の磨砕条件としては、アトマイズドアルミニウム粉のアルミニウムの質量に対する磨砕溶剤の体積が1.5〜16.0倍であることが好ましく、2.0〜12.0倍がより好ましい。アトマイズドアルミニウム粉のアルミニウムの質量に対する磨砕溶剤の体積が1.5倍以上であることで、アトマイズドアルミニウム粉の長時間磨砕に伴う、反り、歪み、クラック等を防止することができ好ましい。
また、アトマイズドアルミニウム粉のアルミニウムの質量に対する磨砕溶剤の体積が、16.0倍以下であることで、磨砕時のミル内の均一性が向上し、アトマイズドアルミニウム粉が磨砕メディアと効率良く接触し、磨砕が好適に進行する傾向にある。
磨砕溶剤の体積に対する磨砕ボールの体積(磨砕ボールの体積/磨砕溶剤の体積)は、0.5〜3.5倍であることが好ましく、0.8〜2.5倍であることがより好ましい。
磨砕溶剤の体積に対する磨砕ボールの体積が0.5倍以上であることにより、磨砕時のミル内の均一性が向上し、磨砕が好適に進行する傾向にある。
また、磨砕溶剤の体積に対する磨砕ボールの体積が3.5倍以下であることにより、ミル内の磨砕ボールの比率が好適な範囲となり、ボールの積層が高くなりすぎないことで、磨砕応力による粒子の反り、歪み、クラック等の形状劣化の問題が防止され、輝度の低下や散乱光が強くなることを防止することができ好ましい。
ボールミルを具備する磨砕装置により本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料を製造する際には、上述した磨砕溶剤に加え、JIS K 5906によるリーフィング価を82以下とするため、磨砕助剤を用いることが好ましい。
磨砕助剤としては、リーフィングアルミニウム顔料としての特性を示すものであればよく、以下に限定されるものではないが、例えばミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸を代表とする高級飽和脂肪酸が好ましい。またこの高級飽和脂肪酸は直鎖状、分岐鎖状のいずれでも使用可能であるが、直鎖状の脂肪酸であることがより好ましい。
また磨砕助剤は、アトマイズドアルミニウム粉の質量に対し、0.5〜15質量%の量で使用することが好ましい。
摩砕助剤の量によりリーフィング価を調整することができる。摩砕助剤の量は、アトマイズドアルミニウム粉の質量に対し、0.5質量%以上とすることにより、十分なリーフィング価が得られ、また15質量%以下とすることにより、過剰な摩砕助剤がアルミニウム顔料中に残存することを防止でき、適切な塗膜を得ることができる。さらに、摩砕時のスラリー温度もリーフィング価に影響を与え、リーフィング価を82以上にするためには、摩砕温度は50℃以下であることが好ましく、40℃以下であればより好ましい。
アトマイズドアルミニウム粉の磨砕に用いるボールミルは、直径が0.6mφ〜2.4mφであることが好ましく、0.8mφ〜2.0mφであればより好ましい。
直径が0.6mφ以上のボールミルを用いることにより、磨砕ボールの積層が低くなりすぎず、磨砕加工時のアルミニウム粒子に加わる圧力が好適な範囲となり、磨砕が好適に進行する傾向にある。
また、直径が2.4mφ以下のボールミルを用いることで、磨砕ボールの積層が高くなりすぎず、ボールの重みによる、粒子の反り、歪み、クラック等の形状劣化の問題が防止され、輝度の低下や散乱光が強くなることを防止することができ好ましい。
アトマイズドアルミニウム粉の磨砕の際のボールミルの回転速度は、上述したように、臨界回転数(Nc)に対して33%〜78%とすることが好ましく、36%〜57%とすることがより好ましい。
回転速度/臨界回転数の比が33%以上であることにより、ボールミル内のアルミスラリーやボール運動の均一性が保たれ好ましい。
また、回転速度/臨界回転数の比が78%以下であることにより、磨砕ボールが掻き上げられたり、自重で落下したりする挙動が防止され、磨砕ボールから受けるアルミニウム粒子に加わる衝撃力が高くなりすぎず、粒子の反り、歪み、クラック等の形状劣化の問題が防止され好ましい。
なお、本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料は、上述したアトマイズドアルミニウム粉を磨砕する工程を有する製造方法以外にも、真空蒸着法によって製造することもできる。
〔塗料組成物〕
本実施形態の塗料組成物は、上述した本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料を含む。
本実施形態の塗料組成物は、リーフィングアルミニウム顔料に加え、マイカや着色顔料等を併用することができる。
また、本実施形態の塗料組成物には、各種樹脂や、酸化防止剤、光安定剤、重合禁止剤、界面活性剤等の各種の添加剤を併用してもよい。
本実施形態の塗料組成物は、リーフィングアルミニウム顔料と、その他必要に応じて各種の材料を混合することにより製造することができる。
本実施形態の塗料組成物は、メタリック塗料として用いることができる。
〔塗膜、当該塗膜を具備する物品〕
本実施形態の塗膜は、上述した本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料を含み、上述した塗料組成物を所定の基材に塗布することにより形成することができる。
前記基材としては各種の物品を選択することができ、当該選択された物品により目的とするものに本実施形態の塗膜を形成することができる。
当該物品としては、以下に限定されるものではないが、例えば、自動車ボディ、自動車内装用部品、家電、携帯電話機、スマートホン、PC、タブレット、カメラ、テレビ等の光学機器等が挙げられる。
塗膜の形成方法としては、特に限定されるものではなく、目的とする物品に応じて適宜従来公知の方法を適用することができる。
〔インキ組成物、印刷物〕
本実施形態のインキ組成物は、上述した本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料を含む。
本実施形態のインキ組成物は、上述したリーフィングアルミニウム顔料に加え、所定の着色顔料、溶剤等を併用することができる。
また、本実施形態のインキ組成物には、各種樹脂や、酸化防止剤、光安定剤、重合禁止剤、界面活性剤等の各種の添加剤を併用してもよい。
本実施形態のインキ組成物は、リーフィングアルミニウム顔料と、その他必要に応じて各種の材料を混合することにより製造することができ、メタリックインキとして用いることができる。
また、本実施形態の印刷物は、上述した本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料を含み、上述したインキ組成物を用いて印刷を行うことにより形成することができる。印刷物としては、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等で塗膜を形成するインキ印刷物が挙げられる。
〔その他の用途〕
その他、本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料は、樹脂等と混練して、耐水性のバインダー、フィラーとして用いることもできる。
以下、実施例及び比較例を示して本実施形態をより詳しく説明する。
本実施形態は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例中で用いた各種物性の測定方法は以下の通りである。
〔(I)粒子の平均厚み:t〕
((1)塗装板の作製)
後述する実施例及び比較例で得られたアルミニウム顔料を使用して、下記の組成でメタリックベース塗料を作製した。
なお、この測定で用いる塗料系は顔料に対する濡れ性が高いために、リーフィングアルミニウム顔料もノンリーフィング挙動を示し、アルミニウム顔料は塗膜内に均一に分散する。
アルミニウム顔料: 2g
シンナー: 50g
(武蔵塗料株式会社製、商品名「プラエースシンナー No.2726」)
アクリル樹脂: 33g
(武蔵塗料株式会社製、商品名「プラエース No.7160」)
次に、エアスプレー装置を用いて前記メタリックベース塗料をABS樹脂板に乾燥膜厚が20μmになるように塗装し、60℃のオーブンで30分乾燥し、メタリックベース塗装板を得た。
前記のメタリックベース塗装板の上に、下記の組成で作製したトップコート塗料を、エアスプレー装置を用いて塗装した。
ヒタロイドワニス3685S (日立化成製): 25g
混合シンナー: 20g
(溶剤混合比率/トルエン:45質量%、酢酸ブチル:30質量%、酢酸エチル:
20質量%、2−アセトキシ−1−メトキシプロパン:5質量%)
デュラネート TPA100 (旭化成製):5g
前記のトップコート塗料を塗装した後、60℃のオーブンで30分乾燥し、評価用の塗装板を得た。
((2)塗膜の断面作製)
前記((1)塗装板の作製)で製造した評価用の塗装板を用いて、下記の手順で塗膜断面を作製した。
ハサミを使い、前記評価用の塗装板を2cm四方の大きさに分断した。
分断した2cm四方の評価用の塗装板を、大型回転式ミクロトーム(大和光機工業製/RV−240)を使用して、塗膜断面を繰り返し切削し、断面に突起したミクロなアルミ・アクリル樹脂を取り除いた。
前記により得られた塗膜断面を、イオンミリング装置(日本電子製/IB−09010CP)を使用して、塗膜断面から20μm離れた部分までイオンビーム照射が可能なよう設定し、イオンミリング処理を行い、後述するFE−SEM像取得用の塗膜断面を作製した。
((3)粒子断面(FE−SEM像)の取得)
前記((2)塗膜の断面作製)で得られたFE−SEM像取得用の塗膜断面(塗装板)を、SEM試料台に平行になるように接着し、電界放出形のFE−SEM(HITACHI製/S−4700)を使用して、前記塗膜断面のFE−SEM像を取得した。
FE−SEM観察・取得の条件は、加速電圧の設定を5.0kVで調整し、像倍率は1万倍又は5千倍とした。粒子の厚みは、高倍率の1万倍で測定を行った。一方、後述する平面性(最短長さ/粒子断面長さ)の測定も高倍率の1万倍が適するが、粒子径が大きく撮影画面からはみ出してしまうものについては5千倍で測定を行った。
また、FE−SEM像を取得(キャプチャー)する前に、電子工学軸アライメント処理を行い、FE−SEM像のアルミニウム粒子とアクリル樹脂の境界線に歪みがでないように実施した。
((4)解析(粒子断面における粒子の平均厚みtの計測))
前記((3)粒子断面(FE−SEM像)の取得)で得られたFE−SEM像を、画像解析ソフトWin Roof version 5.5(MITANI CORPORATION製)を用いて、アルミニウム粒子断面における粒子の平均厚みtの計測を実施した。
計測方法は、ファイルより選択したアルミニウム粒子の断面における粒子の厚み計測を実施するFE−SEM像を画像表示し、ROIラインを選択して画像の5μmスケールにROIラインを合わせ、登録・変更から長さ・単位を入力して設定した。
次に、アルミニウム粒子の断面の厚み計測を実施すべき画像を表示させ、長方形ROIを選択して、粒子の断面に長方形ROIを合わせて2値処理を実施した。
次に、計測の垂直弦長の測定項目を選択させた後、計測実行をさせ、画像解析ソフトによる自動計測値(垂直弦長値)を画像に表示した。
このように、前記の画像解析ソフトWin Roof version 5.5を用いて、後述する〔(IV)平均粒子径:d50〕の、平均粒子径:d50の±50%以内のものを100個選択したアルミニウム粒子の断面における厚みの自動計測を実施し、100個の算術平均値を算出し、粒子の平均厚みtを求めた。
〔(II)粒子の平面性(最短長さ/粒子断面長さ)の評価〕
前記((I)−(3))粒子断面(FE−SEM像)の取得手順で得たSEM像を、前記((I)−(4))解析で使用した画像解析ソフトを用いて、アルミニウム粒子の平面性(最短長さ/粒子断面長さ)の評価を実施した。
粒子の平面性(最短長さ/粒子断面長さ)の評価を行う一例の画像を図1に示す。
前記画像解析ソフトWin Roof version 5.5の直線ツールと曲線ツールを選択し、アルミニウム粒子の断面の両先端を直線で結んだ計測値を最短長さ、両先端をアルミニウム粒子の断面に沿って結んだ線の計測値を粒子断面長さとし、(最短長さ/粒子断面長さ)の値をアルミニウム粒子の平面性とした。
この前記の手順を繰り返し実施し、100個の粒子の平面性の値を求めた。
また、平面性の値を求めるため選択したアルミニウム粒子は、後述する〔IV〕の平均粒子径:d50の±50%以内のものとした。
粒子の平面性の値は、1.00に近いほど、粒子の反り、歪み等の程度が小さいことを示す。
〔(III)平面粒子の個数割合〕
前記の(II)により求めた100個の粒子の平面性(最短長さ/粒子断面長さ)の値から、粒子の平面性の閾値を0.95とし、0.95〜1.00の範囲に収まっているアルミニウム粒子の個数割合を求めた。
本実施形態のリーフィングアルミニウム顔料は、粒子の平面性が0.95〜1.00の範囲の平面粒子の個数割合が60%〜100%である。
〔(IV)平均粒子径:d50〕
アルミニウム顔料の粒子の平均粒子径(d50)を、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(LA−300/株式会社 堀場製作所)により測定した。
測定溶剤としては、ミネラルスピリットを使用した。
測定は機器取扱説明書に従い実施したが、留意事項として、試料となるアルミニウム顔料は、前処理として2分間の超音波分散を行った後、分散槽の中に投入し適正濃度になったのを確認後、測定を開始した。
測定終了後、d50は自動表示された。
〔(V)アスペクト比(d50/t)〕
前記(IV)で測定した平均粒子径:d50値を、前記で解析・算術平均値を求めた粒子の平均厚み:tで割った値(d50/t)をアスペクト比とした。
〔(VI)粒子の表面の平均粗さ:Ra〕
アルミニウム顔料の粒子の表面の平均粗さRaは下記の方法で測定した。
((1)前処理)
後述する実施例、比較例で得られたアルミニウム顔料は、ミネラルスピリットとの混合物のため、洗浄処理を実施した。
Alペースト100mgをスクリュー管に採取し、トルエン5mLを添加した。
ハンドシェイクで数10秒間振盪して分散させ、遠心分離を実施した。
上澄みを除去して再度トルエン5mLを添加して同様に分散及び遠心分離を実施した。
沈殿したAlペースト少量(数mg程度)を採取し、トルエン5mLに分散させ、1cm角のシリコンウエハに滴下し、風乾した。
((2)測定用画像の取得)
粒子の表面の平均粗さRaの測定は、以下の条件で実施した。
4μm角の視野を確保できる粒子を選択して、下記の条件により、測定用の画像を取得した。
装置:Bruker AXS製 Dimension Icon
測定モード:Tapping mode
プローブ:NCH型Si単結晶プローブ(k=040N/m typ)
測定視野:4μm角 / 512pixel
((3)解析及び粒子の表面の平均粗さRaの算出)
解析は装置付属の解析ソフトを使用して実施した。
一次の傾き補正を行った後、粗さ解析機能を用いてRaを算出した。
ソフトウェア:Nanoscope Analysis(装置付属の解析ソフト)
測定後の補正:一次の傾き補正
粗さ計測:Ra(自動算出)
〔(VII)リーフィング価〕
((1)試験用塗料の作製)
下記の溶剤を混合し、混合溶剤370.0gを作製した。
ミネラルスピリット 207g
石油ベンジン 89g
キシロール 74g
試薬瓶にクマロン樹脂(新日鐵化学製:エスクロンv−120)200gと作製した混合溶剤370gを入れ、80℃の恒温水槽上に試薬瓶をつけて溶解温度40℃以下で完全に溶解させた。この液を室温まで放冷してから試験用塗料とした。
((2)測定用塗料の作製)
測定の前日、前記(1)で作製した試験用塗料を駒込ピペットで5mLガラスシリンダーに取り、密栓した。
測定するアルミニウム顔料を含むアルミニウムペースト2.8gを100mLのビーカーに秤量した。
このビーカーに試験用塗料30.7gを駒込ピペットで少量ずつ加え、撹拌混合し、蓋をした。
その後、20℃の室温に30分間放置し、測定用塗料を得た。
((3)リーフィング価の測定)
前記(2)で作製した測定用塗料をスパチェラでゆっくり撹拌し、試験シリンダーの中に112mmの高さまで注入し、コルク栓に装着した鋼片を試験シリンダーの塗料中に浸漬し、1秒間に90°の角度で回転し、1秒毎に方向を逆転する操作を10秒間続けた。
試験シリンダーの壁に濡れないようにして鋼片を6秒で垂直に引き上げてシリンダーから取り出し、直ちに試験用塗料が5mL入ったガラスシリンダー中に垂直にして密栓して固定した。
シリンダーは振動しないようにし、日光を遮断して6分間放置した。
鋼片を取り出し、鋼片表面の鏡面の長さを鏡面の遮断が始まっている点まで測定した。また全浸漬深さも測定した。
測定をn=2で行い、下記の数式の平均値をリーフィング価とした。
リーフィング価 = (鏡面の長さ(mm)/全浸漬深さ(mm))×100
前記リーフィング価の測定方法は、JIS K 5906に準じるものである。
〔(VIII)輝度、緻密感、光沢の評価〕
((1)メタリックベース塗料、塗装板の作製方法)
後述する実施例及び比較例により得られたアルミニウム顔料を使用して、下記の組成でメタリックベース塗料を作製した。
実施例及び比較例のアルミニウム顔料(加熱残分75%):10質量部
アクリル樹脂:80質量部
(アクリディック47−712、大日本インキ(株)製)
メラミン樹脂:20質量部
(スーパーベッカミンJ−820、大日本インキ(株)製)
シンナー:178.5質量部
(溶剤混合比率/トルエン:70質量%、酢酸エチル:20質量%
ブチルセロソルブ:10質量%)
上記塗料を用いて、エアースプレーガン(Wider77/岩田塗装機(株)製)により、エアー圧4kg/cm2で、ベースコートの膜厚が約20μmになるように、2C1B(2コート1ベーク)塗装を行った。焼き付け条件は140℃×30分とした。
((2)輝度、緻密感、光沢の測定)
輝度は、変角測色計(スガ試験機株式会社製)を用いて評価した。
入射角を45度とし、前記評価用の塗装板の塗膜表面で反射する鏡面反射領域の光を除いた、正反射光に近い受光角5度(L5)の設定で測定した。
輝度は、アルミニウム顔料からの正反射光強度に比例するパラメーターであり、測定値が大きいほど正反射光強度が高く、優れていると判断した。
緻密感を示す指標の評価として、Graininessの値を、BYK−mac(BYKガードナー製)を用いて評価した。
測定は、拡散光(−15度、45度、75度)をカメラ検出器(0度)で検出し、明、暗の部分の均一性を数値として表示した。
得られたGraininessの値は、数値が小さいほど緻密感が得られていることを表すものとして判断した。
光沢はスガ試験機(株)製デジタル変角光沢計UGV−50を用いて60°光沢の値を測定した。
〔実施例1〕
内径2m、長さ30cmのボールミル内に、原料アトマイズドアルミニウム粉(平均粒子径:2μm)9.5kg、ミネラルスピリット45.8kg、及び、摩砕助剤としてステアリン酸300gからなる配合物を充填し、直径0.8mmのジルコニアボールを309kg用いて磨砕した。
ジルコニアボールは、ZrO2主成分が94質量%以上含まれ、かつ、円形率が95%以上のものとした。
ボールミルの回転数13rpmにて80時間磨砕を行った。
磨砕終了後、ミル内のスラリーをミネラルスピリットで洗い出し、400メッシュの振動篩にかけ、通過したスラリーをフィルターで濾過、濃縮し、加熱残分76質量%のケーキを得た。
得られたケーキを縦型ミキサー内に移し、所定量のミネラルスピリットを加え、20分間混合し、加熱残分66質量%のアルミニウム顔料を得た。
得られたアルミニウム顔料について、緻密感、輝度、及び光沢の評価を行った。
評価結果を表1に示す。
〔実施例2〕
ステアリン酸の量を100gとした。
その他の条件は、実施例1と同様の操作を行い、アルミニウム顔料を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
〔実施例3〕
ステアリン酸の量を600gとした。
その他の条件は、実施例1と同様の操作を行い、アルミニウム顔料を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
〔実施例4〕
原料アトマイズドアルミニウム粉(平均粒子径を2.2μm)を用い、ボールミル回転数を11rpmとし、150時間摩砕を行った。
その他の条件は実施例1と同様の操作を行い、アルミニウム顔料を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
〔実施例5〕
原料アトマイズドアルミニウム粉(平均粒子径1.7μm)を8.6kg用い、ステアリン酸515gを用い、105時間摩砕を行った。
また、磨砕終了後、加熱残分74質量%のケーキを得た。
その他の条件は、実施例1と同様の操作を行い、アルミニウム顔料を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
〔実施例6〕
直径1.3mmのガラスボール309kgを用いて磨砕を行った。
実施例4と同様の配合物を充填し、ボールミル回転数11rpmにて120時間磨砕を行った。
その他の条件は、実施例1と同様の操作を行い、アルミニウム顔料を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
〔比較例1〕
摩砕助剤としてオレイン酸570gを用いた。
その他の条件は、実施例1と同様の操作を行い、アルミニウム顔料を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
〔比較例2〕
摩砕助剤としてステアリン酸30gを用いた。
その他の条件は、実施例1と同様の操作を行い、アルミニウム顔料を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
〔比較例3〕
摩砕助剤としてカプリル酸300gを用いた。
その他の条件は、実施例1と同様の操作を行い、アルミニウム顔料を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
〔比較例4〕
実施例1と同じ配合物を充填し、ボールミル回転数24rpmにて55時間磨砕を行った。
その他の条件は、実施例1と同様の操作を行い、アルミニウム顔料を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
〔比較例5〕
実施例4と同様の原料アトマイズドアルミニウム粉を用い、かつ実施例4と同様の使用量で充填し、ミネラルスピリット82.0kg、ステアリン酸950g、直径2.0mmのジルコニアボールを309kgを用い、17rpmにて、40時間磨砕を行った。
また、磨砕終了後、加熱残分78質量%のケーキを得た。
その他の条件は、実施例1と同様の操作を行い、アルミニウム顔料を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
本発明のリーフィングアルミニウム顔料は、緻密感、輝度、及び光沢のいずれの評価も優れており、塗膜は優れたクロム調の意匠を示すことが分かった。
本発明のリーフィングアルミニウム顔料は、高級感を求められる工業製品分野、例えば自動車、情報家電、化粧品容器、或いは高反射率が求められるランプ反射板分野、また、オフセット印刷、スクリーン印刷等の高級印刷インキ分野において産業上の利用可能性を有している。

Claims (11)

  1. 粒子の平均粒子径d50が4μm〜15μmであり、かつ、粒子の平面性(最短長さ/粒子断面長さ)が0.95〜1.00である平面粒子を、60%〜100%の個数割合で含有し、JIS K 5906によるリーフィング価が82以上である、リーフィングアルミニウム顔料。
  2. 前記粒子の平均厚みtが、0.03μm〜0.12μmである、請求項1に記載のリーフィングアルミニウム顔料。
  3. 前記粒子の平均厚みt(μm)に対する平均粒子径d50(μm)の比(d50/t)が、90〜250である、請求項1又は2に記載のリーフィングアルミニウム顔料。
  4. 前記粒子の、表面の平均粗さRaが2〜12nmである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のリーフィングアルミニウム顔料。
  5. リーフィング価が86以上である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のリーフィングアルミニウム顔料。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載のリーフィングアルミニウム顔料の製造方法であって、
    アトマイズドアルミニウム粉を、ボールミルを具備する磨砕装置により磨砕する工程を有する、リーフィングアルミニウム顔料の製造方法。
  7. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載のリーフィングアルミニウム顔料を含む塗料組成物。
  8. 請求項7に記載の塗料組成物を含有する塗膜。
  9. 請求項8に記載の塗膜を有する物品。
  10. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載のリーフィングアルミニウム顔料を含むインキ組成物。
  11. 請求項10に記載のインキ組成物を含む印刷物。
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