JP2009286939A - ナノ物質含有組成物、ナノ物質含有多孔質体、その製造方法、積層体およびその製造方法 - Google Patents

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【課題】ナノ物質含有多孔質体を簡便な方法で形成できるナノ物質含有組成物;少量のナノ物質の添加でナノ物質の持つ機能を効果的に発現できるナノ物質含有多孔質体;該ナノ物質含有多孔質体を簡便な方法で製造できる製造方法;少量のナノ物質の添加でナノ物質の持つ機能を効果的に発現できるナノ物質含有多孔質体からなる層を有し、該層と基材等との密着性が良好な積層体;該積層体を簡便な方法で製造できる製造方法を提供する。
【解決手段】水およびアルコールを含む混合溶剤(a)と、該混合溶剤(a)に溶解したメタクリル酸エステル系重合体(b)と、ナノ物質(c)とを含むナノ物質含有組成物;ナノ物質含有組成物を用いて形成されたナノ物質含有多孔質体;および、該ナノ物質含有多孔質体からなる層を有する積層体。
【選択図】図1

Description

本発明は、ナノ物質含有組成物、ナノ物質含有多孔質体、その製造方法、ナノ物質含有多孔質体からなる層を有する積層体およびその製造方法に関する。
近年さまざまな産業分野において、ナノメートルサイズを有するいわゆるナノ物質を取り扱うナノテクノロジーが注目されている。ナノ物質を他の複数の材料とナノメートルレベルで複合化させることによって、従来にない新しい優れた機能を持った材料の開発が行われている。
また、基材の表面構造をサブミクロンレベルで制御することによって、1つの層で種々の機能を付与する技術についても開発されている。該技術のなかでも、多孔質構造形成技術、ハニカム構造形成技術は、撥水性、撥油性、防曇性、反射防止性、防汚性等の機能性を付与する技術として注目を集めている。
ナノ物質のなかでも、特にナノ炭素材料や金属微粒子は、物性および機能の点でバルクの物質とは大きく異なる特性を有する。そのため、樹脂等の改質を目指した、ナノ炭素材料や金属微粒子と樹脂等との複合化に関する研究開発も盛んに実施されている。
しかしながら、ナノ物質は、通常、その表面状態が不安定で、樹脂や溶剤との複合化の際に凝集したり、構造体形成時の構造コントロールが十分できていなかったりするために、特有の性能を十分に発揮できていないという問題がある。そのため、ナノ炭素材料や金属微粒子を物理的に処理したり、化学的に表面修飾したりして、溶剤や樹脂に均一に分散または溶解させる試みがなされている。
例えば、ナノ炭素材料の一種であるカーボンナノチューブでは、カーボンナノチューブ、導電性ポリマー、溶剤からなる組成物、およびそれから製造される複合体(特許文献1参照)や、カーボンナノチューブ、特定の(メタ)アクリル系重合体、溶剤からなる組成物、およびそれから製造される複合体(特許文献2、3参照)が提案されている。
特許文献1〜3においては、溶媒は水またはアルコールが単独で使用されているため、(メタ)アクリル系重合体から得られる塗膜は、多孔質構造でなく均一塗膜を形成している。そのためカーボンナノチューブは塗膜中で連続構造を形成せず均一な分散状態を形成しており、導電性発現のためのネットワークが形成されていない。そのため複合体の導電性が十分に発揮されていない。
また、切断カーボンナノチューブとカチオン性脂質とのイオン対形成により有機溶剤中にカーボンナノチューブを分散させ、高湿度下で製膜することによりカーボンナノチューブのハニカム構造を有するフィルムを形成することが報告されている(非特許文献1)。該フィルムは、ガラス、シリコン等様々な基材に形成可能であり、ハニカム構造形成によって、導電性が一桁程度向上するとされている。しかしながら、ハニカム構造形成には、非水系溶剤の使用および高湿度下での製膜が必須であり、汎用的ではない。
国際公開第2004/039893号パンフレット 国際公開第2006/028200号パンフレット 特開2006−225632号公報 藤ヶ谷、外2名、「カーボンナノチューブ・脂質複合体によるハニカム構造形成」、第56回高分子年次大会予稿集、2007年、p.1024
本発明は、ナノ物質含有多孔質体を簡便な方法で形成できるナノ物質含有組成物;少量のナノ物質の添加でナノ物質の持つ機能を効果的に発現できるナノ物質含有多孔質体;該ナノ物質含有多孔質体を簡便な方法で製造できる製造方法;少量のナノ物質の添加でナノ物質の持つ機能を効果的に発現できるナノ物質含有多孔質体からなる層を有し、該層と基材等との密着性が良好な積層体;および、該積層体を簡便な方法で製造できる製造方法を提供する。
本発明者は、上記課題に鑑み、鋭意研究をした結果、水およびアルコールを含む混合溶剤にメタクリル酸エステル系重合体が溶解した組成物から形成される塗膜が、多孔質構造を有すること、さらに、前記組成物にナノ物質を共存させたナノ物質含有組成物から形成される塗膜が、メタクリル酸エステル系重合体の多孔質体中にナノ物質を含むことを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明のナノ物質含有組成物は、水およびアルコールを含む混合溶剤(a)と、該混合溶剤(a)に溶解したメタクリル酸エステル系重合体(b)と、ナノ物質(c)とを含むことを特徴とする。
前記ナノ物質(c)は、ナノ炭素材料(c−1)または無機微粒子(c−2)であることが好ましい。
本発明のナノ物質含有組成物は、さらに、前記ナノ物質(c)を混合溶剤(a)に分散させるための分散剤(d)を含むことが好ましい。
本発明のナノ物質含有多孔質体は、メタクリル酸エステル系重合体(b)から構成される多孔質体中にナノ物質(c)を含むことを特徴とする。
本発明のナノ物質含有多孔質体は、本発明のナノ物質含有組成物を乾燥させて形成されたものが好ましい。
本発明のナノ物質含有多孔質体の製造方法は、本発明のナノ物質含有組成物を乾燥させてナノ物質含有多孔質体を形成することを特徴とする。
本発明の積層体は、基材からなる層と、前記基材の表面に本発明のナノ物質含有組成物を塗工し、乾燥させて形成されたナノ物質含有多孔質体からなる層とを有することを特徴とする。
また、本発明の積層体は、基材からなる層と、前記基材の表面に形成された本発明のナノ物質含有多孔質体からなる層とを有することを特徴とする。
本発明の積層体の製造方法は、基材の表面に、本発明のナノ物質含有組成物を塗工し、乾燥させてナノ物質含有多孔質体を形成することによって、基材からなる層とナノ物質含有多孔質体からなる層とを有する積層体を得ることを特徴とする。
本発明の多孔質体は、水およびアルコールを含む混合溶剤(a)と、該混合溶剤(a)に溶解したメタクリル酸エステル系重合体(b)とを含む組成物を乾燥させて形成されたものであることを特徴とする。
本発明の積層体は、基材からなる層と、前記基材の表面に、水およびアルコールを含む混合溶剤(a)と、該混合溶剤(a)に溶解したメタクリル酸エステル系重合体(b)とを含む組成物を塗工し、乾燥させて形成された多孔質体からなる層とを有することを特徴とする。
本発明のナノ物質含有組成物を用いることによって、ナノ物質含有多孔質体を簡便な方法で形成できる。
本発明のナノ物質含有多孔質体は、少量のナノ物質の添加でナノ物質の持つ機能を効果的に発現できる。
本発明のナノ物質含有多孔質体の製造方法によれば、本発明のナノ物質含有多孔質体を簡便な方法で製造できる。
本発明の積層体は、少量のナノ物質の添加でナノ物質の持つ機能を効果的に発現できるナノ物質含有多孔質体からなる層を有し、該層と基材等との密着性が良好である。
本発明の積層体の製造方法によれば、本発明の積層体を簡便な方法で製造できる。
<ナノ物質含有組成物>
本発明のナノ物質含有組成物は、水およびアルコールを含む混合溶剤(a)と、該混合溶剤(a)に溶解したメタクリル酸エステル系重合体(b)と、ナノ物質(c)とを必須成分とし、必要に応じて、ナノ物質(c)を混合溶剤(a)に分散させるための分散剤(d)、高分子化合物(e)を含む組成物である。
(混合溶剤(a))
混合溶剤(a)は、少なくとも水およびアルコールを含む。
アルコールとしては、水と混合できるアルコールであればよく、例えば、モノアルコール(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、3−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−ペンタノール、n−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチルブチノール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等。)、多価アルコール誘導体(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメトキシエタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、グリセリルモノアセテート等。)等が挙げられる。
アルコールとしては、モノアルコールが好ましく、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、3−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−ペンタノール、n−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノールがより好ましく、エタノールまたはイソプロパノールが特に好ましい。
水とアルコールとの比率(水/アルコール)は、メタクリル酸エステル系重合体(b)が溶解できる割合であればよく、50/50〜5/95(質量比)が好ましく、40/60〜10/90(質量比)がより好ましい。該範囲において、メタクリル酸エステル系重合体(b)の溶解性が良好となり、かつ効率よくナノ物質含有多孔質体が形成される。
混合溶剤(a)は、さらに他の溶剤を含んでいてもよい。
他の溶剤としては、水およびアルコールに混合し、メタクリル酸エステル系重合体(b)が溶解するものであればよく、例えば、エチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
他の溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
他の溶剤の量は、水およびアルコールの合計100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましく、0.05〜10質量部がより好ましい。該範囲内において、メタクリル酸エステル系重合体(b)の溶解性、ナノ物質(c)の分散性が良好となり、かつ良好な多孔質構造を有する多孔質体が得られる。他の溶剤の量が20質量部を超えると、多孔質構造形成を阻害する可能性がある。
(メタクリル酸エステル系重合体(b))
メタクリル酸エステル系重合体(b)は、メタクリル酸エステル単量体を含む単量体成分を重合して得られる重合体である。
メタクリル酸エステル単量体としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸1,4−ブタンジオール等が挙げられる。
メタクリル酸エステル単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
メタクリル酸エステル単量体としては、メタクリル酸エステル系重合体(b)の混合溶剤(a)への溶解性および多孔質構造体の形成の点から、メタクリル酸メチルおよび/またはメタクリル酸エチルが好ましい。
メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸エチルの割合は、単量体成分100質量%中、50〜100質量%が好ましく、70〜100質量%がより好ましい。該範囲において、メタクリル酸エステル系重合体(b)の混合溶剤(a)への溶解性が良好となり、かつ効率よくナノ物質含有多孔質体が形成される。
単量体成分は、メタクリル酸エステル単量体と共重合可能な他の重合性単量体を含んでいてもよい。
他の重合性単量体としては、例えば、アクリル酸エステル(メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等。)、スチレン、メチルスチレン、ブロモスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、酢酸ビニル、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。
他の重合性単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
メタクリル酸エステル系重合体(b)の質量平均分子量は、5000〜3000000が好ましく、10000〜1000000がより好ましい。該範囲において、メタクリル酸エステル系重合体(b)の混合溶剤(a)への溶解性が良好となり、かつ効率よくナノ物質含有多孔質体が形成される。
単量体成分の重合法としては、例えば、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、バルク重合法等の公知の重合法が挙げられる。また、単量体成分の重合法としては、ラジカル重合法、イオン重合法(アニオン重合法、カチオン重合法等。)等が挙げられる。
ラジカル重合法に用いる重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤(アゾ化合物、有機過酸化物等。)等が挙げられる。
アゾ化合物としては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、2,2'−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド}等が挙げられる。
有機過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。
また、過硫酸塩、過ホウ酸塩、過炭酸塩等の水溶性無機化合物の単独、またはこれらと水溶性還元剤とを組み合わせたレドックス系重合開始剤、または過酸化水素やヒドロパーオキサイドと還元剤とを組み合わせたレドックス系重合開始剤も用いることができる。
ラジカル重合法に用いる重合溶剤は、特に限定されない。溶液重合法に用いる重合溶剤としては、メタクリル酸エステル単量体、他の重合性単量体、メタクリル酸エステル系重合体(b)が溶解する溶剤であればよく、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、四塩化炭素、二塩化エチレン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
重合溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アニオン重合法によるメタクリル酸エステル系重合体(b)の製造方法としては、例えば、特公平6−89054号公報、特開平3−263412公報に開示されているようなアニオン重合法、配位アニオン重合法による製造方法が挙げられる。
単量体成分の重合の際には、必要に応じて、分散剤、乳化剤、連鎖移動剤、着色剤(染料、顔料等。)、可塑剤、離型剤、光安定剤(紫外線吸収剤等。)等を添加してもよい。
(ナノ物質(c))
ナノ物質(c)としては、ナノサイズの大きさを有する物質であればよく、例えば、ナノ炭素材料、無機微粒子(金属微粒子、金属酸化物微粒子等。)、高分子ラテックス、高分子ナノスフェア等が挙げられ、ナノ炭素材料(c−1)または無機微粒子(c−2)が好ましい。
ナノ炭素材料(c−1)とは、ナノサイズの大きさを有する炭素材料である。ナノ炭素材料(c−1)としては、フラーレン、金属内包フラーレン、玉葱状フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバー、ピーポッド、カーボンナノ粒子等が挙げられ、実用的な点から、カーボンナノチューブ(c−1−1)が好ましい。
カーボンナノチューブ(c−1−1)は、例えば、厚さ数原子層のグラファイト状炭素原子面を丸めた円筒、または前記円筒が複数個入れ子構造になったものであり、外径がnmオーダーの極めて微小な物質である。
カーボンナノチューブ(c−1−1)としては、通常のカーボンナノチューブ、すなわち、単層カーボンナノチューブ、何層かが同心円状に重なった多層カーボンナノチューブ、これらがコイル状になったコイル状カーボンナノチューブ、底の空いたコップを積み重ねたような形状であるカップスタック型カーボンナノチューブ等が挙げられる。
カーボンナノチューブ(c−1−1)の製造方法としては、二酸化炭素の接触水素還元、アーク放電法、レーザー蒸発法、化学気相成長法(CVD法)、気相成長法、一酸化炭素を高温高圧化で鉄触媒とともに反応させて気相で成長させるHiPco法等が挙げられる。
該製造方法によって得られたカーボンナノチューブ(c−1−1)として、各種機能を十分に発現できる点から、単層カーボンナノチューブまたは多層カーボンナノチューブが好ましい。
カーボンナノチューブ(c−1−1)は、各種精製法(洗浄法、遠心分離法、ろ過法、酸化法、クロマトグラフ法等。)によって、より高純度化されていることが好ましい。
カーボンナノチューブ(c−1−1)は、ボールミル、振動ミル、サンドミル、ロールミル等のボール型混練装置等を用いて粉砕されていてもよく、化学的、物理的処理によって短く切断されていてもよい。
カーボンナノチューブ(c−1−1)の市販品としては、下記のものが挙げられる。
米国カーボンナノテクノロジーズ社製:カーボンナノチューブ、HiPco単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ。
韓国イルジンナノテク社製:SWNT、MWNT。
韓国CNT社製:C−100、C−200。
中国シンセンナノテクポート社製:カーボンナノチューブ。
ベルギーナノシル社製:NC7100、NC1100、NC2100等。
無機微粒子(c−2)とは、ナノサイズの大きさを有する金属粒子または金属酸化物粒子である。
金属粒子としては、Au、Ag、Pd、Pt、Cu、Ni、Co、Fe、Mn、Ru、Rh、Os、Ir等の粒子が挙げられる。
金属酸化物粒子は、M(ただし、Mは金属、Oは酸素、xおよびyは整数を表す。)で表される化合物の粒子であり、例えば、Fe、AgO、TiO、SiO等の粒子が挙げられる。
無機微粒子(c−2)としては、金属酸化物微粒子(c−2−1)が好ましい。
金属酸化物微粒子(c−2−1)としては、例えば、Ti、Al、Zr、Si、Ge、B、Li、Na、Fe、Ga、Mg、P、Sb、Sn、Ta、V、Cu、Be、Sc、Cr、Mn、Co、Zn、As、Y、W、Ce、In等の金属の酸化物の微粒子、または2種以上の金属の酸化物を含有する複合金属酸化物微粒子が挙げられる、複合金属酸化物微粒子(c−2−2)が好ましい。
複合金属酸化物微粒子(c−2−2)としては、例えば、TiO−SiO、TiO−ZrO−SiO、TiO−SnO−ZrO−SiO、TiO−CeO−SiO、TiO−Fe−SiO、TiO−SnO−WO−ZrO−SiO、TiO−WO−ZrO−SiO、TiO−V−SiO、Sb−SiO、TiO−SnO−SiO、TiO−Fe−SiO、TiO−V−SiO、SnO−SiO、ZrO−SiO、SeO−SiO、In−Snが挙げられる。
金属酸化物微粒子(c−2)は、通常、ゾル−ゲル法等の公知の合成法で製造できる。また、金属酸化物微粒子(c−2)は、市販品(粉体、または分散媒に分散されたコロイド状態のもの。)として入手できる。
金属酸化物微粒子(c−2)の分散媒としては、例えば、モノアルコール(メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等。)、多価アルコール(エチレングリコール等。)、多価アルコール誘導体(エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メトキシプロパノール等。)、ケトン化合物(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール等。)、単量体(2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等。)等が挙げられる。
金属酸化物微粒子(c−2)は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
金属酸化物微粒子(c−2)の一次粒子の質量平均粒子径は、1〜300nmが好ましく、1〜150nmがより好ましい。
(分散剤(d))
分散剤(d)は、ナノ物質(c)を混合溶剤(a)に分散させるための成分である。また、分散剤(d)を含むことにより、ナノ物質含有組成物を長期間保存しても、ナノ物質(c)が分離または凝集しにくい。
分散剤(d)としては、例えば、界面活性剤(d−1)、高分子分散剤(d−2)が挙げられる。
界面活性剤(d−1)としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルカルボン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、ジアルキルスルホコハク酸、α−スルホン化脂肪酸、N−メチル−N−オレイルタウリン、石油スルホン酸、アルキル硫酸、硫酸化油脂、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸、アルキルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、これらの塩等が挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、第一〜第三脂肪アミン、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、2−アルキル−1−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N,N−ジアルキルモルホリニウム塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミドおよびその塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミドの尿素縮合物およびその塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミドの尿素縮合物の第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、ベタイン類(N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N,N,N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビスポリオキシエチレンアンモニウム硫酸エステルベタイン、2−アルキル−1−カルボキシメチル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等。)、アミノカルボン酸類(N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸塩等。)等が挙げられる。
非イオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン化ヒマシ油、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸部分エステル、トリアルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルベンゼンスルホン酸、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール等が挙げられる。
界面活性剤(d−1)の例示におけるアルキル基としては、炭素数1〜24のアルキル基が好ましく、炭素数3〜18のアルキル基がより好ましい。
界面活性剤(d−1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
高分子分散剤(d−2)としては、ナノ物質(c)としてカーボンナノチューブ(c−1−1)を用いる場合、例えば、特開2006−225632号公報に記載の式(1)の極性基を含む(メタ)アクリル系重合体、または導電性ポリマーが好ましく、カーボンナノチューブ(c−1−1)の分散性、ナノ物質含有多孔質体の導電性の点から、導電性ポリマー(d−2−1)がより好ましい。
導電性ポリマー(d−2−1)としては、フェニレンビニレン、ビニレン、チエニレン、ピロリレン、フェニレン、イミノフェニレン、イソチアナフテン、フリレン、カルバゾリレン等を繰り返し単位として含むπ共役系高分子が挙げられる。
導電性ポリマー(d−2−1)としては、メタクリル酸エステル系重合体(b)の溶解性の点から、水溶性導電性ポリマーが好ましい。水溶性導電性ポリマーは、π共役系高分子の骨格または該高分子中の窒素原子上に、酸性基もしくは酸性基で置換されたアルキル基、またはエーテル結合を含むアルキル基を有する導電性ポリマーである。
水溶性導電性ポリマーとしては、カーボンナノチューブ(c−1−1)の分散性、ナノ物質含有多孔質体の導電性の点から、スルホン酸基および/またはカルボキシ基を有する水溶性導電性ポリマーが特に好ましい。該水溶性導電性ポリマーは、ナノ物質(c)として複合金属酸化物微粒子(c−2−2)を用いる場合にも好適である。
水溶性導電性ポリマーとして、ポリエチレンジオキシチオフェンポリスチレンスルフェートを用いてもよい。該水溶性導電性ポリマーは、高分子の骨格にスルホン酸基は導入されていないが、ドーパントとしてポリスチレンスルホン酸が付与されている構造を有している。
(高分子化合物(e))
高分子化合物(e)は、ナノ物質含有多孔質体の基材への密着性、ナノ物質含有多孔質体の強度をさらに向上させる成分である。
高分子化合物(e)としては、メタクリル酸エステル系重合体(b)および分散剤(d)以外の高分子化合物であり、かつ水およびアルコールに溶解または分散(エマルション形成)可能であればよく、例えば、ポリビニルアルコール類(ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等。)、ポリ(メタ)アクリル酸類(ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩等。)、ポリアクリルアミド類(ポリアクリルアミド、ポリ(N−t−ブチルアクリルアミド等。)、ポリビニルピロリドン類、ポリスチレンスルホン酸およびそのナトリウム塩類、セルロース、アルキド樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリブタジエン樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、ユリア樹脂、ポリイミド、マレイン酸樹脂、ポリカーボネート、酢酸ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、スチレン樹脂、アクリル/スチレン共重合樹脂、酢酸ビニル/アクリル共重合樹脂、ポリエステル、スチレン/マレイン酸共重合樹脂、フッ素樹脂、これらの共重合体等が挙げられる。
高分子化合物(e)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の割合で併用してもよい。
(他の成分)
本発明のナノ物質含有組成物は、必要に応じて、可塑剤、塗面調整剤、流動性調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、保存安定剤、接着助剤、増粘剤等の公知の添加剤を含んでいてもよい。
また、本発明のナノ物質含有組成物は、ナノ物質含有多孔質体の導電性をさらに向上させるために、導電性物質(ただし、ナノ炭素材料(c−1)、無機微粒子(c−2)および導電性ポリマー(d−2−1)を除く。)を含んでいてもよい。
導電性物質としては、炭素系物質(炭素繊維、導電性カーボンブラック、黒鉛等。)、金属酸化物(SnO、ZnO等。)、金属(銀、ニッケル、銅等。)、対称型または非対称型のインドール誘導体三量体等が挙げられ、インドール誘導体三量体またはそのド−ピング物が好ましい。
(各成分の配合量)
メタクリル酸エステル系重合体(b)の量は、混合溶剤(a)の100質量部に対して、0.05〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。該範囲内において、メタクリル酸エステル系重合体(b)の溶解性が良好となり、かつ良好な多孔質構造を有する多孔質体が得られる。メタクリル酸エステル系重合体(b)の量が0.05質量部未満では、良好な多孔質構造を有する多孔質体を形成できないおそれがある。メタクリル酸エステル系重合体(b)の量が20質量部を超えると、メタクリル酸エステル系重合体(b)の溶解性が低下する、またはナノ物質含有組成物の粘度が高くなり、取り扱い性が低下する。
ナノ炭素材料(c−1)の量は、混合溶剤(a)の100質量部に対して、0.001〜5質量部が好ましく、0.005〜1質量部がより好ましい。該範囲内において、ナノ炭素材料(c−1)の分散性が特に良好となる。ナノ炭素材料(c−1)の量が5質量部を超えても、性能の大きな向上は見られない。
また、ナノ炭素材料(c−1)の量は、メタクリル酸エステル系重合体(b)と分散剤(d)の合計100質量部に対して、0.05〜30質量部が好ましく、1.0〜20質量部がより好ましい。該範囲内において、ナノ物質含有多孔質体の導電性、透明性が特に良好となる。ナノ炭素材料(c−1)の量が30質量部を超えても、性能の大きな向上は見られない。
無機微粒子(c−2)の量は、混合溶剤(a)の100質量部に対して、0.001〜20質量部が好ましく、0.005〜10質量部がより好ましい。該範囲内において、無機微粒子(c−2)の分散性が特に良好となる。無機微粒子(c−2)の量が20質量部を超えても、性能の大きな向上は見られない。
また、無機微粒子(c−2)の量は、メタクリル酸エステル系重合体(b)と分散剤(d)の合計100質量部に対して、0.05〜150質量部が好ましく、1.0〜100質量部がより好ましい。該範囲内において、ナノ物質含有多孔質体の導電性、透明性が特に良好となる。ナノ炭素材料(c−1)の量が150質量部を超えても、性能の大きな向上は見られない。
分散剤(d)の量は、混合溶剤(a)の100質量部に対して、0.05〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。該範囲内において、ナノ物質(c)の分散性、ナノ物質含有多孔質体の導電性、透明性が特に良好となる。分散剤(d)の量が20質量部を超えても、性能の大きな向上は見られない。
高分子化合物(e)の量は、混合溶剤(a)の100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.05〜5質量部がより好ましい。該範囲内において、高分子化合物(e)、メタクリル酸エステル系重合体(b)の溶解性、ナノ物質(c)の分散性が良好となり、かつ良好な多孔質構造を有する多孔質体が得られる。高分子化合物(e)の量が5質量部を超えると、多孔質構造形成を阻害するおそれがある。
(ナノ物質含有組成物の調製方法)
本発明のナノ物質含有組成物の調製方法としては、上述の各成分を一括で混合する方法;混合溶剤(a)中にメタクリル酸エステル系重合体(b)を溶解した溶液と、ナノ物質(c)の分散液とを混合する方法等が挙げられる。
混合溶剤(a)中にメタクリル酸エステル系重合体(b)を溶解させる際には、溶解性向上の点から、35〜100℃に加温することが好ましく、45〜95℃に加温することがより好ましい。
ナノ物質(c)の分散液の調製方法としては、混合溶剤(a)に分散剤(d)を所定量溶解させた後、ナノ物質(c)を加え、撹拌または混練する方法が挙げられる。
撹拌または混練装置としては、超音波発振機、ホモジナイザー、スパイラルミキサー、プラネタリーミキサー、ディスパーサー、ハイブリットミキサー等が挙げられ、超音波照射とホモジナイザーとを併用した装置(超音波ホモジナイザー)が特に好ましい。
超音波照射処理の条件は、特に限定されず、ナノ物質(c)を分散剤(d)の溶解した溶液中に均一に分散または溶解させるだけの十分な超音波の強度および処理時間があればよい。例えば、超音波発振機における定格出力は、超音波発振機の単位底面積当たり0.1〜500ワット/cmが好ましい。発振周波数は、10〜200kHzが好ましく、20〜100kHzがより好ましい。超音波照射処理の時間は、1分〜48時間が好ましく、5分〜48時間がより好ましい。超音波照射処理を行う際のナノ物質(c)の分散液の温度は、分散性向上の点から、60℃以下が好ましく、40℃以下がより好ましい。
超音波照射処理の後、さらにボール型混練装置(ボールミル、振動ミル、サンドミル、ロールミル等。)を用いて分散または溶解を徹底化してもよい。
以上説明した本発明のナノ物質含有組成物にあっては、メタクリル酸エステル系重合体(b)を溶解させる溶剤として、水およびアルコールを含む混合溶剤(a)を用いているため、該ナノ物質含有組成物を乾燥させるだけでナノ物質含有多孔質体(ナノ物質含有多孔質塗膜)を形成できる。
本発明のナノ物質含有組成物が、ナノ物質含有多孔質塗膜となるメカニズムは明確には解明されていないが、メタクリル酸エステル系重合体(b)が混合溶剤(a)に溶解した状態から塗膜化する際に、混合溶剤(a)の一部が揮発し、混合溶剤(a)の組成がメタクリル酸エステル系重合体(b)に対する溶解性が低い組成に変化することにより、メタクリル酸エステル系重合体(b)が析出し、ミクロ相分離により連続構造を形成し、メタクリル酸エステル系重合体(b)の微粒子の凝集力により、連続構造中にナノ物質(c)を取り込むことができると推測している。
<ナノ物質含有多孔質体>
本発明のナノ物質含有多孔質体は、メタクリル酸エステル系重合体(b)から構成される多孔質体中にナノ物質(c)を含むものである。
ナノ物質含有多孔質体としては、多孔質構造を有するものであればよく、例えば、下記の(i)または(ii)の多孔質体が挙げられ、ナノ物質(c)の構造制御の点から、(ii)の多孔質体が好ましい。
(i)メタクリル酸エステル系重合体(b)の塗膜に独立した細孔を形成することにより形成された多孔質体。
(ii)メタクリル酸エステル系重合体(b)の微粒子が数珠状に連結および/または分岐することにより形成された多孔質体。
本発明のナノ物質含有多孔質体の形状は、多孔質構造であればよく、例えば、ハニカム構造のような同一多角形による規則的構造や不均質なマクロ孔を有する連続構造が挙げられる。
ナノ物質含有多孔質体の平均空孔径は、0.01〜50μmが好ましく0.05〜30μmが特に好ましい。平均空孔径が該範囲内であれば、ナノ物質(c)の構造制御による特性向上効果が特に大きく、例えば、ナノ物質(c)としてカーボンナノチューブ(c−1−1)を用いた場合、少量の添加で多孔質体の導電性が向上し、透過率も良好に維持される。
(ii)の多孔質体における、メタクリル酸エステル系重合体(b)の微粒子の平均粒子径は、0.01〜10μmが好ましく、0.05〜1μmが特に好ましい。平均粒子径が該範囲内にあれば、(ii)の多孔質体が均質に形成され、ナノ物質(c)の構造制御による特性向上効果が特に大きく、例えば、ナノ物質(c)としてカーボンナノチューブ(c−1−1)を用いた場合、少量の添加で多孔質体の導電性が向上し、外観も良好に維持される。
(ii)の多孔質体における、微粒子の連結により形成される連続構造部分の幅は、0.02〜20μmが好ましく、0.05〜10μmが特に好ましい。連続構造部分の幅が該範囲内にあれば、(ii)の多孔質体が均質に形成され、ナノ物質(c)の構造制御による特性向上効果が特に大きく、例えば、ナノ物質(c)としてカーボンナノチューブ(c−1−1)を用いた場合、少量の添加で多孔質体の導電性が向上し、外観も良好に維持される。
以上説明した本発明のナノ物質含有多孔質体にあっては、メタクリル酸エステル系重合体(b)から構成される多孔質体な連続構造体中にナノ物質(c)を含むため、ナノ物質(c)の構造制御、連続構造形成が可能となり、少量のナノ物質(c)の添加でナノ物質(c)の持つ機能を効果的に発現できる。
<ナノ物質含有多孔質体の製造方法>
本発明のナノ物質含有多孔質体の製造方法としては、例えば、下記の(I)〜(V)の方法が挙げられ、ナノ物質(c)の構造制御の点から、(I)の方法が好ましい。
(I)高分子化合物溶液の相変化を利用する方法。
(II)非水系溶剤へ溶解した高分子化合物を高湿度下で製膜する方法。
(III)細孔形成のための添加剤を添加し成形後に除去する方法。
(IV)発泡剤を利用して細孔を形成する方法。
(V)中性子線、レーザー等を照射して細孔を形成する方法。
(I)の方法としては、例えば、下記の(I−1)〜(I−2)の方法が挙げられ、ナノ物質(c)の構造制御の点から、(I−1)の方法が好ましい。
(I−1)高分子化合物の相分離により細孔を形成する方法。
(I−2)単量体の重合時に細孔を形成させながら多孔質化する方法。
(I−1)の方法としては、溶剤−ゲル化法と熱溶融−急冷凝固法が挙げられる。(I−1)の方法においては、例えば、高分子化合物濃度、温度、溶剤濃度等を変化させることにより、相分離構造形成を制御できる。
(I−2)の方法としては、単量体から高分子化合物になる重合過程において、高分子化合物濃度の増加により相分離させる方法等が挙げられる。
(I−1)の方法においては、具体的には、ナノ物質(c)の構造制御の点から、本発明のナノ物質含有組成物を用いる方法が特に好ましい。
本発明のナノ物質含有組成物を用いる方法としては、下記(I−1−1)〜(I−1−2)の方法が挙げられる。
(I−1−1)本発明のナノ物質含有組成物を塗工し、常温または加熱により乾燥してナノ物質含有多孔質体(ナノ物質含有多孔質塗膜)を形成する方法。
(I−1−2)本発明のナノ物質含有組成物を冷却し、ナノ物質含有多孔質体を析出させる方法。
(I−1−1)の方法について:
塗工方法としては、例えば、公知の塗布装置(グラビアコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター、スピンコーター、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、ファンテンコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、キャストコーター、スクリーンコーター等。)を用いた塗布方法、公知のスプレー(エアスプレー、エアレススプレー等。)を用いたスプレーコーティング等の噴霧方法、ディップ等の浸漬方法、刷毛塗り等が挙げられる。
塗膜の膜厚は、ナノ物質(c)の特性を十分発揮させる点から、0.01〜50μmが好ましく、0.05μm〜20μmがより好ましい。特に、ナノ物質(c)として、カーボンナノチューブ(c−1−1)を用いる場合、該範囲内の膜厚の塗膜は、十分な透明性を維持し、高い導電性を有する。
塗膜の乾燥方法としては、常温で放置する方法または加熱する方法が挙げられ、下記の理由から加熱する方法が好ましい。
加熱によりナノ物質含有多孔質体の構造を制御することが可能であり、また、残留する混合溶剤(a)の量をより低下できるため、ナノ物質(c)の特性を効率よく発現できる。特にナノ物質(c)として、カーボンナノチューブ(c−1−1)を用いる場合、導電性がさらに向上する。
加熱温度としては、用いる混合溶剤(a)が揮発する温度で、塗工された基材が変化しない範囲であればよく、20〜300℃が好ましく、40〜250℃がより好ましい。加熱温度が300℃を超えると、メタクリル酸エステル系重合体(b)自体が分解するおそれがあり、多孔質体の外観、強度が悪化することがある。
(I−1−2)の方法について:
ナノ物質含有組成物を冷却し、ナノ物質含有多孔質体を析出させた後、混合溶剤(a)を除去する。
冷却温度としては、ナノ物質含有多孔質体が析出するのに十分な低温であればよく、−10〜20℃が好ましく、−5〜10℃がより好ましい。冷却温度が該範囲内であれば、ナノ物質含有多孔質体は規則的な多孔質構造を形成して析出できる。
析出したナノ物質含有多孔質体は、公知の溶剤除去方法により分離され、乾燥される。
溶剤除去方法としては、例えば、ろ過、デカンテーション等が挙げられる。
乾燥温度としては、混合溶剤(a)が揮発する温度であればよく、20〜300℃が好ましく、40〜250℃がより好ましい。乾燥温度が300℃を超えると、メタクリル酸エステル系重合体(b)自体が分解するおそれがあり、多孔質体の構造が破壊され、強度が悪化することがある。
また、本発明のナノ物質含有組成物を減圧乾燥または凍結乾燥することにより、混合溶剤(a)を留去し、溶剤溶液状態から直接、多孔質体を得ることもできる。
乾燥後のナノ物質含有多孔質体は、プレスすることにより、薄膜化できる。薄膜化することにより、ナノ物質含有多孔質体中のナノ物質(c)が接触できるようになり、例えば、ナノ物質(c)として、カーボンナノチューブ(c−1−1)を用いた場合、導電性が向上する。
プレス方法としては、公知のプレス方法が挙げられ、例えば、プレス機器(液圧プレス、機械プレス、ハイドロメカニカルプレス、手動プレス等。)を用いた、ホットプレス、型抜きプレス等が挙げられる。
以上説明した本発明のナノ物質含有多孔質体の製造方法にあっては、本発明のナノ物質含有組成物を乾燥させてナノ物質含有多孔質体を形成しているため、本発明のナノ物質含有多孔質体を簡便な方法で製造できる。
<積層体>
本発明の積層体は、基材からなる層と、前記基材の表面に形成された本発明のナノ物質含有多孔質体(ナノ物質含有多孔質塗膜)からなる層とを有する。必要に応じて、各種機能層を有していてもよい。
基材としては、合成樹脂のフィルム、シート、発泡体、多孔質膜、エラストマー、各種成形体;木材、紙材、セラミックス、繊維、不織布、炭素繊維、炭素繊維紙、ガラス板、ステンレス板;各種機能層を有する積層基材等が挙げられる。
合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアラミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルニトリル、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルホン、ポリサルホン、ポリエーテルイミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタンが挙げられる。合成樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
機能層としては、例えば、反射防止層、ガスバリア層、電磁波シールド層、赤外線カット層、帯電防止層、拡散層、接着層、剥離層、ハードコート層等が挙げられる。
ナノ物質含有多孔質体(ナノ物質含有多孔質塗膜)からなる層の厚さは、ナノ物質(c)の特性を十分発揮させる点から、0.01〜50μmが好ましく、0.05μm〜20μmがより好ましい。特に、ナノ物質(c)として、カーボンナノチューブ(c−1−1)を用いた場合、該範囲内の厚さの層は、十分な透明性を維持し、高い導電性を有し、また、帯電防止層、静電層、電磁波シールド層として機能できる。
以上説明した本発明の積層体にあっては、メタクリル酸エステル系重合体(b)の多孔質体中にナノ物質(c)を含むナノ物質含有多孔質体からなる層を有するため、少量のナノ物質(c)の添加でナノ物質(c)の持つ機能を効果的に発現できる。また、ナノ物質含有多孔質体からなる層がメタクリル酸エステル系重合体(b)を含むため、基材等との密着性が良好である。
<積層体の製造方法>
本発明の積層体の製造方法としては、例えば、下記の(x)〜(z)の方法が挙げられる。
(x)基材の表面に、本発明のナノ物質含有組成物を塗工し、乾燥させてナノ物質含有多孔質体を形成することによって、基材からなる層とナノ物質含有多孔質体からなる層とを有する積層体を得る方法。
(y)本発明のナノ物質含有組成物を冷却し、ナノ物質含有多孔質体を析出させて、分離、乾燥した後、ナノ物質含有多孔質体をプレスして薄膜化し、基材と積層する方法。
(z)転写フィルムまたは型の内面にナノ物質含有多孔質体を形成した後、ナノ物質含有多孔質体の表面に重合性原料または溶融樹脂を接触させ、これを固化させて基材を形成し、基材とともにナノ物質含有多孔質体を転写フィルムまたは型から剥離する方法。
(x)の方法について:
塗工方法としては、上述のナノ物質含有多孔質体の製造方法にて例示した方法が挙げられる。
乾燥方法としては、上述のナノ物質含有多孔質体の製造方法にて例示した方法が挙げられる。
(y)の方法について:
プレスする方法としては、上述のナノ物質含有多孔質体の製造方法にて例示した方法が挙げられる。
(z)の方法について:
型としては、注型重合用の鋳型、成形用型等が挙げられる。鋳型が2枚の表面平滑な板状物からなる場合、表面平滑な板状積層体を得ることができる。この際、硬化膜を一方の鋳型に形成してもよく、両方の鋳型に形成してもよい。
基材の形成方法としては、重合性原料を注型重合用の鋳型に注入して重合させる、いわゆるキャスト重合法が好ましく、連続的キャスト重合法がより好ましい。
キャスト重合法としては、例えば、本発明のナノ物質含有組成物をガラス板からなる注型重合用のガラス型の内面に塗工し、乾燥させた後、ガラス型内に重合性原料を流し込んで重合させる方法が挙げられる。
ガラス型は、例えば、2枚のガラス板の間に、軟質ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等からなるガスケットを挟み込み、これらをクランプ等で固定することにより、組み立てられる。
連続的キャスト重合法としては、例えば、特公昭46−41602号公報に記載されている装置を用い、2枚のスチールベルトの間でメタクリル酸メチル等を重合する方法が挙げられる。該連続的キャスト重合法においては、あらかじめ、スチールベルト表面に、本発明のナノ物質含有組成物を塗工し、乾燥させてナノ物質含有多孔質塗膜を形成する。また、スチールベルト表面にあらかじめ凹凸等の意匠を付与しておけば、表面に意匠性を有するナノ物質含有多孔質塗膜を形成できる。また、表面に凹凸を有し、かつナノ物質含有組成物に溶解または膨潤しないフィルム等をスチールベルトに貼り付け、その凹凸面に本発明のナノ物質含有組成物を塗工し、乾燥させてナノ物質含有多孔質塗膜を形成させてもよい。
重合性原料としては、積層体の透明性の点から、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする単量体混合物、この単量体混合物の一部が重合した重合体と単量体混合物との混合物が好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリルジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
単量体混合物は、スチレン、メチルスチレン、ブロモスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、酢酸ビニル、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン等の他の重合性単量体を含有していてもよい。他の重合性単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
単量体混合物の一部が重合した重合体と単量体混合物との混合物における、単量体の重合率は35質量%以下が好ましい。
重合性原料に連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤としては、炭素数2〜20のアルキルメルカプタン、メルカプト酸、チオフェノール、それらの混合物等のメルカプタン系連鎖移動剤が好ましく、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のアルキル鎖の短いメルカプタンが特に好ましい。
重合性原料を加熱により重合させる場合、熱重合開始剤(アゾ化合物、有機過酸化物、レドックス系重合開始剤等。)を添加してもよい。アゾ化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)等が挙げられる。有機過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。レドックス系重合開始剤としては、有機過酸化物とアミン類との組み合わせ等が挙げられる。
重合性原料を紫外線照射により重合させる場合、光重合開始剤(フェニルケトン系化合物、ベンゾフェノン系化合物等。)を添加してもよい。市販の光重合開始剤としては、「イルガキュア184」(日本チバガイギー(株)製)、「イルガキュア907」(日本チバガイギー(株)製)、「ダロキュア1173」(メルク・ジャパン(株)製)、「エザキュアKIP100F」(日本シーベルヘグナー(株)製)等が挙げられる。
また、重合性原料を紫外線照射により重合させる場合、光増感剤を添加してもよい。光増感剤としては、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロゲキシルフェニルケトン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。また、400nm以下の波長域において増感作用を有する光増感剤を添加してもよい。
(機能層を有する積層体の製造方法)
機能層を有する積層体の製造方法としては、下記の(X)〜(Y)の方法が挙げられる。
(X)基材表面に本発明のナノ物質含有多孔質体を形成した後、その表面に機能層を積層する方法。
(Y)剥離層を有する転写シート表面に、本発明のナノ物質含有多孔質体を形成した後、機能層の表面に転写し、機能層を積層する方法。
(X)の方法について:
機能層の形成方法としては、下記の(X−1)〜(X−2)の方法が挙げられる。
(X−1)溶剤系および/または単量体系のコーティング剤を用いる方法。
(X−2)接着層を有する機能層フィルムを貼着する法。
溶剤系のコーティング剤における溶剤としては、例えば、モノアルコール(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、3−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−ペンタノール、n−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチルブチノール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等。)、多価アルコール誘導体(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメトキシエタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、グリセリルモノアセテート等。)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等。)、エーテル類(ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等。)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等。)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン等。)等が挙げられる。
単量体系のコーティング剤における単量体としては、光または熱で硬化する単量体であればよく、例えば、(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。
(メタ)アクリル酸誘導体としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル類、重合性基を2つ以上有する(メタ)アクリル系化合物、これらの単量体の重合体を含有する重合性単量体溶液が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル類としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フエニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸1,4−ブタンジオール等が挙げられる。
重合性基を2つ以上有する(メタ)アクリル系化合物としては、下記の(α)〜(ζ)の化合物が挙げられる。
(α)多価アルコール1モルに対し2モル以上の(メタ)アクリル酸またはそれらの誘導体を反応して得られるエステル化物。
(β)多価アルコール、多価カルボン酸またはそれの無水物および(メタ)アクリル酸またはそれらの誘導体とから得られる1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する線状のエステル化物。
(γ)ポリイソシアネートの3量化体1モル当たり、活性水素を有するアクリル系単量体を3モル以上反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート。
(δ)ポリ[(メタ)アクリロイルオキシエチル]イソシアヌレート(トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のジあるいはトリ(メタ)アクリレート等。)。
(ε)公知のエポキシポリアクリレート。
(ζ)公知のウレタンポリアクリレート。
(α)の化合物としては、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(β)の化合物における、多価カルボン酸またはそれの無水物/多価アルコール/(メタ)アクリル酸の好ましい組合せとしては、マロン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、コハク酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、フマル酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、フマル酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、フマル酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、フマル酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
(γ)の化合物におけるポリイソシアネートの3量化体は、下記のポリイソシアネートの3量化により得られる。
ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等。
(γ)の化合物における活性水素を有するアクリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、1,2,3−プロパントリオール−1,3−ジ(メタ)アクリレート、3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等。
単量体系のコーティング剤は、(メタ)アクリル酸誘導体以外の他の単量体を含んでいてもよい。
他の単量体としては、スチレン、メチルスチレン、ブロモスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、酢酸ビニル、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。
単量体系のコーティング剤における単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
単量体系のコーティング剤には、熱重合開始剤、光重合開始剤を添加してもよい。
熱重合開始剤としては、アゾ化合物、有機過酸化物等が挙げられる。
光重合開始剤としては、フェニルケトン系化合物、ベンゾフェノン系化合物等が挙げられる。
また、必要に応じて、連鎖移動剤、可塑剤、塗面調整剤、流動性調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、保存安定剤、接着助剤、増粘剤等の公知の各種物質を添加してもよい。
(Y)の方法について:
転写方法としては、下記の(Y−1)〜(Y−2)の方法が挙げられる。
(Y−1)ナノ物質含有多孔質体が形成された転写フィルムと、機能層が形成された基材とをラミネートし、加圧および/または加熱し、転写フィルムを剥離する方法。
(Y−2)ナノ物質含有多孔質体および機能層が形成された転写フィルムと型との間に重合性原料を流し込み、光または加熱により硬化させた後、転写フィルムを剥離する方法。
重合性原料は、光または加熱により硬化できる重合性単量体であればよく、例えば、(z)の方法で例示した(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする単量体混合物、この単量体混合物の一部が重合した重合体と単量体混合物との混合物、(X)の方法で例示した単量体系のコーティング剤が挙げられる。
以上説明した本発明の積層体の製造方法にあっては、本発明のナノ物質含有組成物を乾燥させてナノ物質含有多孔質体からなる層を形成しているため、本発明の積層体を簡便な方法で製造できる。
<多孔質体>
本発明の多孔質体は、水およびアルコールを含む混合溶剤(a)と、該混合溶剤(a)に溶解したメタクリル酸エステル系重合体(b)とを含む組成物を乾燥させて形成されたものである。
多孔質体の形成方法としては、上述のナノ物質含有多孔質体の製造方法と同様の方法が挙げられる。
以上説明した本発明の多孔質体にあっては、メタクリル酸エステル系重合体(b)から構成される多孔質体であるため、少量のナノ物質(c)を添加した場合には、ナノ物質(c)の持つ機能を効果的に発現できる。
<積層体>
本発明の多孔質体は、基材からなる層と、前記基材の表面に、水およびアルコールを含む混合溶剤(a)と、該混合溶剤(a)に溶解したメタクリル酸エステル系重合体(b)とを含む組成物を塗工し、乾燥させて形成された多孔質体からなる層とを有する。
塗工方法としては、上述のナノ物質含有多孔質体の製造方法にて例示した方法が挙げられる。
乾燥方法としては、上述のナノ物質含有多孔質体の製造方法にて例示した方法が挙げられる。
以上説明した本発明の積層体にあっては、メタクリル酸エステル系重合体(b)から構成される多孔質体からなる層を有するため、少量のナノ物質(c)を添加した場合、ナノ物質(c)の持つ機能を効果的に発現できる。また、多孔質体からなる層がメタクリル酸エステル系重合体(b)を含むため、基材等との密着性が良好である。
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
カーボンナノチューブ(c−1−1)としては、多層カーボンナノチューブ(CNT社製、多層カーボンナノチューブ、商品名:C−Tube100)(以下、MWNT(c1)と記す。)を用いた。
(調製例1)
メタクリル酸エステル系重合体(b)溶液:
乳化重合により合成した下記のメタクリル酸エステル系重合体(b1)〜(b3)の3質量部(固形分)をそれぞれ、水の19.4質量部とイソプロピルアルコール(以下、IPAと記す。)の77.6質量部の混合溶剤(a)中で60℃に加温、撹拌し、溶解させて、メタクリル酸エステル系重合体(b1)〜(b3)溶液(以下、重合体溶液(B1)〜(B3)と記す。)を得た。
メタクリル酸エステル系重合体(b1):メタクリル酸メチルの重合体、GPCによる質量平均分子量:280,000。
メタクリル酸エステル系重合体(b2):メタクリル酸メチル/アクリル酸エチル=99/1(質量比)の共重合体、GPCによる質量平均分子量:95,000。
メタクリル酸エステル系重合体(b3):メタクリル酸メチルの重合体、GPCによる質量平均分子量:40,000。
(比較調製例1)
ポリビニルピロリドン溶液:
ポリビニルピロリドン(以下、PVPと記す。)(五協産業(株)製、K−15)の3質量部を、水/IPA=20/80(質量比)の混合溶剤の97質量部中で撹拌し、溶解させて、PVP溶液を得た。
(製造例1)
分散剤(d1)(ポリ(2−スルホ−5−メトキシ−1,4−イミノフェニレン))の合成:
2−アミノアニソール−4−スルホン酸の100mmolを4mol/Lのトリエチルアミン水溶液に加え、25℃で撹拌し、溶解させ、これにパーオキソ二硫酸アンモニウムの100mmolの水溶液を滴下した。滴下終了後、25℃で12時間さらに撹拌した後、反応生成物を濾別し、洗浄した後、乾燥し、分散剤(1)の15gを得た。
(製造例2)
分散剤(d2)(メタクリル酸2−スルホエチルナトリウム/メタクリル酸カリウム/メタクリル酸メチル共重合体)水溶液の合成:
メタクリル酸2−スルホエチルナトリウムの150g、メタクリル酸カリウムの25g、メタクリル酸メチルの30g、脱イオン水の2250gを、コンデンサーを備えた内容積3000mLのセパラブルフラスコ中で窒素雰囲気下に撹拌しながら50℃に昇温し、重合開始剤として2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩の0.2gを添加して60℃に昇温した。重合開始剤を添加したと同時に滴下ポンプを用いて0.6g/分の速度でメタクリル酸メチルの滴下を開始し、75分間連続的に滴下を行った。同温度で6時間撹拌を続けたところ、透明な重合体溶液が得られた。重合中、水溶液は均一に保たれており、メタクリル酸メチルの油滴が懸濁状態で存在することは観測されなかった。固形分8.4質量%の分散剤(d2)水溶液を得た。
(調製例2)
ナノ物質分散液(C1):
分散剤(d1)の2質量部と水の98質量部からなる水溶液に、MWNT(c1)の0.4質量部を室温にて混合して、氷冷下、超音波ホモジナイザー(SONIC社製、vibra cell、20kHz)を用いて1時間処理し、ナノ物質分散液(C1)を得た。
(調製例3)
ナノ物質分散液(C2):
分散剤(d1)の1質量部と水の99質量部からなる水溶液に、MWNT(c1)の0.4質量部を室温にて混合して、氷冷下、超音波ホモジナイザー(SONIC社製、vibra cell、20kHz)を用いて1時間処理し、ナノ物質分散液(C2)を得た。
(調製例4)
ナノ物質分散液(C3):
分散剤(d2)水溶液の23.8質量部と水の76.2質量部からなる水溶液に、MWNT(c1)の0.4質量部を室温にて混合して、氷冷下、超音波ホモジナイザー(SONIC社製、vibra cell、20kHz)を用いて1時間処理し、ナノ物質分散液(C3)を得た。
(調製例5)
分散剤水溶液(D1):
分散剤(d1)の2質量部を水の98質量部に溶解させ、分散剤水溶液(D1)を得た。
(調製例6)
分散剤水溶液(D2):
分散剤(d1)の1質量部を水の99質量部に溶解させ、分散剤水溶液(D2)を得た。
(調製例7)
重合性原料:
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名:NKエステル A−HD−N)の60質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(東亞合成(株)製、商品名:M305)の10質量部、6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学工業(株)製、商品名:NKオリゴ U6HA)の30質量部を混合した後、光重合開始剤(チバスペシャルティケミカルズ製、商品名:イルガキュア184)の1.5質量部を添加、溶解させ、重合性原料を得た。
(実施例1)
表1に示す成分を、20mLのガラス瓶中に計量し、60℃で30分撹拌した後、室温にて冷却してナノ物質含有組成物(1)を得た。
(実施例2〜実施例8)
実施例1と同様に、表1に示す組成で混合し、ナノ物質含有組成物(2)〜(8)を得た。
Figure 2009286939
(比較例1)
表2に示す成分を、20mLのガラス瓶中に計量し、60℃で30分撹拌した後、室温にて冷却してナノ物質含有組成物(9)を得た。
(比較例2〜比較例3)
比較例1と同様に、表2に示す組成で混合し、ナノ物質含有組成物(10)〜(11)を得た。
Figure 2009286939
(積層体1の製造と評価)
すべての実施例および比較例のナノ物質含有組成物で実施:
ナノ物質含有組成物を、基材であるガラス板(厚さ:1mm、幅:5cm、長さ:5cm)の表面に滴下し、バーコーター法(バーコートNo.5、想定膜厚:0.1μm)により塗布し、80℃で2分間乾燥させ、ナノ物質含有多孔質体を形成し、積層体1を得た。得られた積層体1の全光線透過率および表面抵抗値を測定した後、観察した。結果を表3に示す。
(積層体2の製造と評価)
実施例2のナノ物質含有組成物で実施:
基材のガラス板を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムと記す。)(厚さ:188μm、幅:10cmおよび長さ15cm、東洋紡績(株)製)に変更した以外は、積層体1の製造と同様にして、ナノ物質含有多孔質体を形成し、積層体2を得た。得られた積層体2の全光線透過率および表面抵抗値を測定した後、観察した。結果を表3に示す。
(積層体3の製造と評価)
実施例2のナノ物質含有組成物で実施:
積層体2の表面に重合性原料を滴下し、その上に厚さ50μmのPETフィルム(帝人(株)製)を配置し、ゴムロームにてしごき、前記重合性原料の厚さを5μmに設定した。その後、高圧水銀灯(株式会社オーク製作所製、紫外線照射装置、製品名:ハンディーUV−1200、QRU−2161型)にて、約1,000mJ/cmの紫外線を照射し、重合性原料を硬化させ、PETフィルムを剥離することにより、表面に硬化膜を有する積層体3を得た。得られた積層体3の全光線透過率と表面抵抗値を測定した後、観察した。結果を表3に示す。
<評価方法>
(溶液状態の目視観察)
実施例および比較例で得られたナノ物質含有組成物の溶液状態を目視で観察した。
○:溶液状態で目視上均一な組成物。
×:溶液状態で目視上不均一な組成物。
(表面抵抗値)
25℃、50%RHの条件下で表面抵抗値の測定を行った。測定には表面抵抗値が10Ω以上の場合は二重リング法(三菱化学(株)社製、ハイレスタ―UP)を用い、表面抵抗値が10Ω以下の場合は四探針法(三菱化学(株)社製、ロレスタ―GP、各電極間距離:5mm)を用いた。
(全光線透過率)
全光線透過率(%)はHAZEMETER NDH2000(日本電色工業(株)社製)により測定した。
(積層体の観察)
積層体について、共焦点レーザー顕微鏡(カールツァイス社製、LSM5 PASCAL Axioplan2 imaging)を用い、下記条件で1000倍の画像を取得した。該条件での1画像あたりの光学厚さは300nm程度であった。得られた画像の拡張フォーカス像を作成し、多孔質構造を評価した。
(条件)
レンズ:100倍油浸レンズ(開口数1.4、Plan−APOCHROMAT)、
屈折率調整液:屈折率1.518の屈折率調整液(カールツァイス社製、Immersol 518F)、
レーザー:波長458nmのアルゴンレーザー、
垂直方向の走査:表面から基材との界面まで、
画像の大きさ:100μm□、
画像取得厚さ:約3μm、
画像取得ピッチ:0.1μm。
(評価)
○:ナノ物質を含有した多孔質構造が形成されていた。
×:ナノ物質を含有した多孔質構造が形成されていなかった。
Figure 2009286939
また、実施例2の積層体1におけるナノ物質含有多孔質体の顕微鏡画像を図1に示す。また、比較例2の積層体1における塗膜の顕微鏡画像を図2に示す。
実施例1〜8は、比較例1〜3に比べ、同一のナノ物質の添加量で3桁程度導電性が向上している。これは、図1および図2に示す通り、実施例1〜8ではカーボンナノチューブ(c−1−1)を含む多孔質構造により、カーボンナノチューブ(c−1−1)の導電性ネットワークがより少量で効率よく形成され、一方、比較例1〜3では、構造が制御されていないために、導電性ネットワークが形成されていないためである。
本発明のナノ物質含有組成物は、塗布、スプレー、キャスト、ディップ等の簡便な塗工方法により下記の用途に適用できる。
各種帯電防止剤、コンデンサー、電気二重層キャパシタ、電池、燃料電池およびその部材(高分子電解質膜、電極層、触媒層、ガス拡散層、ガス拡散電極層、セパレーター等。)、EMIシールド、化学センサー、表示素子、非線形材料、防食剤、接着剤、繊維、紡糸用材料、帯電防止塗料、防食塗料、電着塗料、メッキプライマー、静電塗装用導電性プライマー、電気防食、電池の蓄電能力向上等。
また、本発明の積層体は、半導体、電器電子部品等の工業用包装材料;半導体製造のクリーンルーム等で用いられる透明導電性樹脂板;オーバーヘッドプロジェクター用フィルム、電子写真記録材料等向けのスライドフィルム等の帯電防止フィルム;透明導電性フィルム;オーディオテープ、ビデオテープ、コンピュータ用テープ、フロッピィディスク等の磁気記録用帯電防止テープ;電子デバイスのLSI配線;フィールド・エミッション・ディスプレイ(FED)の電子銃(源)および電極;水素貯蔵剤;透明タッチパネル、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイの入力または表示デバイス表面のディスプレイ保護板、前面板、帯電防止材、透明電極、透明電極フィルムまたは有機エレクトロルミネッセンス素子を形成する発光材料;バッファ材料、電子輸送材料、正孔輸送材料および蛍光材料;熱転写シート、転写シート、熱転写受像シート、受像シート等として利用可能である。
実施例2の積層体1におけるナノ物質含有多孔質体の顕微鏡画像である。 比較例2の積層体1における塗膜の顕微鏡画像である。

Claims (8)

  1. 水およびアルコールを含む混合溶剤(a)と、
    該混合溶剤(a)に溶解したメタクリル酸エステル系重合体(b)と、
    ナノ物質(c)と
    を含む、ナノ物質含有組成物。
  2. さらに、前記ナノ物質(c)を混合溶剤(a)に分散させるための分散剤(d)を含む、請求項1に記載のナノ物質含有組成物。
  3. メタクリル酸エステル系重合体(b)から構成される多孔質体中にナノ物質(c)を含む、ナノ物質含有多孔質体。
  4. 請求項1または2に記載のナノ物質含有組成物を乾燥させて形成された、ナノ物質含有多孔質体。
  5. 請求項1または2に記載のナノ物質含有組成物を乾燥させてナノ物質含有多孔質体を形成する、ナノ物質含有多孔質体の製造方法。
  6. 基材からなる層と、
    前記基材の表面に、請求項1または2に記載のナノ物質含有組成物を塗工し、乾燥させて形成されたナノ物質含有多孔質体からなる層と
    を有する、積層体。
  7. 基材からなる層と、
    前記基材の表面に形成された、請求項3または4に記載のナノ物質含有多孔質体からなる層と
    を有する、積層体。
  8. 基材の表面に、請求項1または2に記載のナノ物質含有組成物を塗工し、乾燥させてナノ物質含有多孔質体を形成することによって、基材からなる層とナノ物質含有多孔質体からなる層とを有する積層体を得る、積層体の製造方法。
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