JP2016037531A - ゴム/カーボンナノチューブ複合体 - Google Patents

ゴム/カーボンナノチューブ複合体 Download PDF

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Abstract

【課題】カチオン性ポリマを1種のみとして調製に手間がかからず、かつカチオン性ポリマ等の量を少なくしてコスト安価に調製できる上、CNTの分散性に優れたCNT分散液を用いて、当該CNTがゴム中に高濃度でかつ凝集等を生じることなく均一に分散されたゴム部材を簡単かつコスト安価に作製しうる、新規な液状のゴム/カーボンナノチューブ複合体を提供する。【解決手段】分子量10万〜30万のジアリルアミン系カチオン性ポリマ、当該カチオン性ポリマ100質量部あたり30〜45質量部のノニオン系界面活性剤および5〜12質量部のアニオン系界面活性剤を含む水溶液にCNTを分散させたCNT分散液に、長鎖または直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩を乳化剤として含むゴムのラテックスを配合した。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム中にカーボンナノチューブが均一に分散されたゴム/カーボンナノチューブ複合体に関するものである。
電気伝導率の高いカーボンナノチューブ(以下「CNT」と略記する場合がある。)は、凝集力が高いため例えばゴム等のマトリクス中に均一に分散させるのが難しく、均一に分散させないと所期の電気伝導率が得られないという問題がある。
例えばCNTをゴムと複合化するべく、通常通り固形のゴムとCNTとをミキサやロールミル等の混練手段を用いて混錬してゴム組成物を製造しても当該ゴム組成物中にCNTを均一に分散させることはできず、かかるゴム組成物を用いて作製したゴム部材に、CNTを配合したことに見合う高い電気伝導率を付与することはできない。
そのためCNTを、例えば各種の界面活性剤や高分子ラッピング剤等を含む分散媒中に均一に分散させた分散液の状態としてから、例えばゴムのラテックスと混合することが検討されている。
特に近時、環境への負荷をできるだけ軽減すること等を考慮して、分散媒としては有機溶剤でなく水を主体とする水系のものを用いることが求められるようになってきている。
しかし水系の分散媒中にCNTを均一に分散させるのは難しく凝集塊が残りやすいという問題がある。
そこでかかる問題を解消するため特許文献1においては、分子量が1万〜5万のジアリルアミン系カチオン性ポリマ、分子量が10万〜30万のジアリルアミン系カチオン性ポリマ、ノニオン系界面活性剤、およびアニオン系界面活性剤を含む水溶液を分散媒として用いて所定量のCNTを分散させて分散液(以下「CNT分散液」と記載する場合がある。)を調製することが提案されている。
また特許文献1には、上記2種のジアリルアミン系カチオン性ポリマ(以下「カチオン性ポリマ」と略記する場合がある。)の合計100質量部あたり、ノニオン系界面活性剤を50〜200質量部、アニオン系界面活性剤を10〜50質量部の割合で配合するのが好ましいことが記載されている。
特許第5403738号公報
ところが特許文献1に記載されたCNT分散液では、カチオン性ポリマを2種併用しなければならないことから調製に手間がかかる上、製造コストが高くつくという問題がある。
また特許文献1の実施例ではカチオン性ポリマ100質量部あたりノニオン系界面活性剤の配合割合が58.8質量部、アニオン系界面活性剤の配合割合が17.6質量部、水の配合割合が2765質量部、CNTの配合割合が60質量部の1点のみで効果を検証している。
しかし発明者の検討によるとその他の配合割合、特にCNTをゴム中に高濃度で分散させるために水を少なくかつCNTを多くした系のCNT分散液では、たとえ2種の界面活性剤の配合割合が先述した好適範囲であってもCNTの分散性が低下して凝集塊が残りやすいことが判った。
さらに特許文献1の構成では、上記実施例のように凝集塊が残るのを防いでCNTを均一に分散させるために、CNTに対してカチオン性ポリマ等を相対的に多めに配合しなければならず、このことも製造コストが高くつく原因の一つとなっていた。
本発明の目的は、カチオン性ポリマを1種のみとして調製に手間がかからず、かつカチオン性ポリマ等の量を少なくしてコスト安価に調製できる上、CNTの分散性に優れたCNT分散液を用いて、当該CNTがゴム中に高濃度でかつ凝集等を生じることなく均一に分散されたゴム部材を簡単かつコスト安価に作製しうる、新規なゴム/カーボンナノチューブ複合体を提供することにある。
本発明は、
(A) 式(1):
Figure 2016037531
〔式中、R、Rは同一または異なって水素原子、メチル基、またはエチル基を示す。Aはアニオンを示す。〕
で表される繰り返し単位を有する分子量10万以上、30万以下のジアリルアミン系カチオン性ポリマ、前記ジアリルアミン系カチオン性ポリマ100質量部あたり30質量部以上、45質量部以下のノニオン系界面活性剤、および5質量部以上、12質量部以下のアニオン系界面活性剤を含む水溶液からなる分散媒中にカーボンナノチューブを分散させてなるカーボンナノチューブ分散液、ならびに
(B) 長鎖または直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩を乳化剤として含むゴムのラテックス、
を配合してなるゴム/カーボンナノチューブ複合体である。
本発明によれば、上記特定のカチオン性ポリマを1種のみ単独で使用するとともにノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤を所定の割合で配合することにより、特許文献1に記載の従来のものに比べて調製に手間がかからずかつコスト安価に調製できる上、CNTが高濃度でかつ凝集等を生じることなく均一に分散されたCNT分散液を調製できる。
そして、かかるCNT分散液と上記特定の乳化剤を含むゴムのラテックスとを混合したのちろ過、乾燥等によって水分を除去することにより、上記ゴムとCNTが凝固してなり、CNTがゴム中に高濃度でかつ凝集等を生じることなく均一に分散された、新規なゴム/カーボンナノチューブ複合体を得ることができる。
そのため、かかるゴム/カーボンナノチューブ複合体を出発原料として用いることにより、CNTがゴム中に高濃度でかつ凝集等を生じることなく均一に分散されたゴム部材を簡単かつコスト安価に作製することが可能となる。
〈CNT分散液〉
CNT分散液は、式(1):
Figure 2016037531
〔式中、R、Rは同一または異なって水素原子、メチル基、またはエチル基を示す。Aはアニオンを示す。〕
で表される繰り返し単位を有する分子量10万以上、30万以下のカチオン性ポリマ、当該ジアリルアミン系カチオン性ポリマ100質量部あたり30質量部以上、45質量部以下のノニオン系界面活性剤、および5質量部以上、12質量部以下のアニオン系界面活性剤を含む水溶液からなる分散媒中にCNTを分散させて調製される。
かかるCNT分散液においてCNTの分散性が向上するメカニズムとしては下記のことが推測される。
すなわち上記各成分を含む液状の分散媒中では、カチオン性ポリマとアニオン系界面活性剤のイオンとの塩が生成される。
ここにCNTを配合して常法どおり超音波分散させると、超音波の作用によって液中でノニオン系界面活性剤とCNTがミセル化し、このミセル化したCNT間に先のカチオン性ポリマとアニオン系界面活性剤のイオンとの塩が入り込む。
そうするとかかる塩は分子量が大きくて嵩高いためCNTが再凝集するのを防ぐ効果に優れており、結果的にCNTの分散性が向上する。
(カチオン性ポリマ)
カチオン性ポリマとしては、式(1)を満足しなおかつ分子量が10万以上、30万以下の水溶性を有する種々のカチオン性ポリマがいずれも使用可能である。
カチオン性ポリマの分子量がこの範囲に限定されるのは、分子量が10万未満のカチオン性ポリマ、または分子量が30万を超えるカチオン性ポリマを単独で、あるいは2種以上組み合わせて、さらには分子量が10万以上、30万以下であるカチオン性ポリマと組み合わせて使用しても、先に説明したメカニズムによってCNTを高濃度でかつ凝集等を生じることなく均一に分散できないためである。
これに対し分子量が10万以上、30万以下の範囲である式(1)のカチオン性ポリマを1種単独で、所定量のノニオン系界面活性剤およびアニオン系界面活性剤と併用することにより、先に説明したメカニズムによって選択的にCNTの分散性を向上できる。
なおかかる効果をより一層向上することを考慮すると、カチオン性ポリマの分子量は、上記の範囲でも15万以上、特に18万以上であるのが好ましく、25万以下、特に22万以下であるのが好ましい。
カチオン性ポリマの具体的化合物としては、例えばジアリルアンモニウムクロライド、メチルジアリルアンモニウムクロライド、メチルジアリルアミンアミド硫酸塩、メチルジアリルアミン酢酸塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド等の1種または2種以上の重合物が挙げられる。
中でもCNTの分散性を向上する効果に優れたジアリルジメチルアンモニウムクロライド(以下「DADMAC」と略記する場合がある。)の単独重合物が好ましい。
本発明では、式(1)で表されなおかつ分子量が10万以上、30万以下の範囲のカチオン性ポリマを1種単独で使用することと、かかるカチオン性ポリマを所定量のノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤と併用してCNTの分散性を向上してカチオン性ポリマ、ノニオン系界面活性剤、およびアニオン系界面活性剤の量を少なくできることとが相まって、CNT分散液を、手間をかけることなくコスト安価に調製できる。
(ノニオン系界面活性剤)
ノニオン系界面活性剤としては、水溶性を有しかつ両親媒性で、CNTとの間でミセルを形成しうる種々のノニオン系界面活性剤がいずれも使用可能である。
かかるノニオン系界面活性剤としては、例えばソルビタンエステル系界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタンエステル系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル系界面活性剤、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル系界面活性剤等が挙げられる。
中でもCNTとミセルを形成して当該CNTの分散性を向上する効果に優れた炭素数12〜18の飽和または不飽和脂肪酸を含むポリオキシエチレンソルビタンモノアルキレートが好ましい。
かかるポリオキシエチレンソルビタンモノアルキレートの具体的化合物としては、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤は2種以上を併用してもよい。しかしCNT分散液を、手間をかけることなくコスト安価に調製することを考慮すると、ノニオン系界面活性剤としてはいずれか1種を単独で使用するのが好ましい。
ノニオン系界面活性剤の配合割合はカチオン性ポリマ100質量部あたり30質量部以上、45質量部以下である必要がある。
配合割合がこの範囲未満または範囲を超える場合には、このいずれにおいてもCNTの分散性を向上できないためである。
これに対しノニオン系界面活性剤の配合割合が上記の範囲であれば、所定量のカチオン性ポリマおよびアニオン系界面活性剤と併用することにより、選択的にCNTの分散性を向上できる。
(アニオン系界面活性剤)
アニオン系界面活性剤としては、水溶性を有する種々のアニオン系界面活性剤がいずれも使用可能である。
かかるアニオン系界面活性剤としては、例えば炭素数10〜18程度の長鎖または直鎖アルキル硫酸ナトリウム、長鎖または直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
中でもカチオン性ポリマと効率よく塩を形成してCNTの分散性を向上する効果に優れたラウリル硫酸ナトリウム、またはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
アニオン系界面活性剤は2種以上を併用してもよい。しかしCNT分散液を、手間をかけることなくコスト安価に調製することを考慮すると、やはりアニオン系界面活性剤としてはいずれか1種を単独で使用するのが好ましい。
アニオン系界面活性剤の配合割合はカチオン性ポリマ100質量部あたり5質量部以上、12質量部以下である必要がある。
配合割合がこの範囲未満または範囲を超える場合には、このいずれにおいてもCNTの分散性を向上できないためである。
これに対しアニオン系界面活性剤の配合割合が上記の範囲であれば、所定量のカチオン性ポリマおよびノニオン系界面活性剤と併用することにより、選択的にCNTの分散性を向上できる。
(水)
前述した超音波分散では分散設備、超音波照射の強度や時間等の分散条件やあるいは水の量によって、CNTの分散状況が左右されることが知られている。したがってCNTを良好に分散させるための水の量は、厳密には分散条件等に応じて異なる。
ただし通常は、例えばカチオン性ポリマ100質量部あたり70質量部程度のCNTを凝集塊が残らないように均一に分散させるために、およそ18000質量部以上の水を配合すればよい。
水に先に説明した各成分を配合し、例えば超音波洗浄機等を用いて超音波を照射する等して均一に溶解させることで分散媒を調製できる。
なおカチオン性ポリマ、ノニオン系界面活性剤、およびアニオン系界面活性剤としては、それぞれ有効成分を水に溶解した水溶液として供給されるものがあり、かかる水溶液を使用する場合、各成分の配合割合は水溶液中の有効成分の量とし、水溶液を構成する水は水の量に含めることとする。
(CNT)
CNTとしては、例えばアーク放電法、CVD法、レーザー・アブレーション法等の各種の製造方法によって製造され、炭素原子が六角網目状に配列されたグラフェンシートを筒状に巻いた構造を有する単層の、または筒を2層以上重ねた多層の構造を有し、その直径が500nm未満、特に5nm以上、50nm以下程度である種々のカーボンナノチューブが挙げられる。
CNTの配合割合は任意に設定できる。ただしCNTを、CNT分散媒中に凝集塊が残らないように均一に分散させることを考慮すると、当該配合割合は、前述した水18000質量部あたりCNTを70質量部以下であるのが好ましい。
ただしCNTが少なすぎる場合には、ゴム中にCNTが所定の濃度で良好に分散されたゴム部材を作製するのが難しくなったり、作製できたとしても多量のCNT分散液が必要になってコストアップにつながったりするおそれがある。そのためCNTの配合割合は水18000質量部あたり55質量部以上であるのが好ましい。
(CNT分散液の調製)
先に説明した各成分からなる分散媒にCNTを分散させてCNT分散液を調製するためには、従来同様に超音波分散させるのが好ましい。具体的には上記の分散媒に所定量のCNTを配合し、例えば超音波ホモジナイザ等を用いて所定の超音波照射の強度および時間で超音波分散させればよい。
これにより前述したカチオン性ポリマ、ノニオン系界面活性剤、およびアニオン系界面活性剤の作用により、凝集塊を残すことなしにCNTを均一に分散させてCNT分散液を調製できる。
〈ゴムのラテックス〉
ゴムのラテックスとしては、先述したように長鎖または直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩を乳化剤として含む種々のゴムのラテックスがいずれも使用可能である。
ゴムとしてはラテックス化が可能な種々のゴムが使用可能であり、かかるゴムとしては例えばスチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)等の1種または2種以上が挙げられる。
特にスチレンブタジエンゴム(SBR)およびアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)からなる群より選ばれた少なくとも1種の合成ゴムが好ましい。
合成ゴムのラテックスは、乳化剤の存在下、乳化重合法によって合成ゴムを合成した反応液をそのままで、あるいは適宜希釈したり乳化剤を追加して調製できる。また溶液重合法によって合成ゴムを合成した反応液を乳化剤の存在下で水系に転相してラテックスを調製してもよい。
乳化剤としては、例えば炭素数10〜18程度の長鎖または直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩等が挙げられる。中でもナトリウム塩、特にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
〈ゴム/カーボンナノチューブ複合体〉
本発明のゴム/カーボンナノチューブ複合体は、上記CNT分散液とゴムのラテックスとを任意の割合で混合したのち水分を除去して製造される。
具体的には、例えばゴムのラテックスを計量してかく拌しながら所定量のCNT分散液を加えてさらにかく拌したり、逆にCNT分散液を計量してかく拌しながら所定量のゴムのラテックスを加えてさらにかく拌したのちろ過、乾燥等して水分を除去することで本発明のゴム/カーボンナノチューブ複合体が製造される。
(配合割合)
上記本発明のゴム/カーボンナノチューブ複合体におけるゴムとCNTの配合割合は任意に設定できる。
ただしゴム/カーボンナノチューブ複合体を原料として作製するゴム部材に、CNTを配合したことに見合う高い電気伝導率を付与することを考慮すると、CNTの配合割合はゴム100質量部あたり1質量部以上、特に1.5質量部以上であるのが好ましい。
またCNTを、凝集塊を生じないようにゴム中ひいてはゴム部材中に均一に分散させることを考慮すると、当該CNTの配合割合は、上記の範囲でも質量部以下、特に質量部以下であるのが好ましい。
ゴムとCNTの配合割合を上記の範囲に調整するには、CNT分散液中に含まれるCNTの質量部、ラテックス中に含まれるゴムの質量部、ならびにCNT分散液とラテックスの配合割合を個別に調整すればよい。
〈ゴム部材の作製〉
上記本発明のゴム/カーボンナノチューブ複合体を用いてゴム部材を作製するには、かかるゴム/カーボンナノチューブ複合体に、さらにゴムを架橋させるための架橋成分や、ゴム部材の用途に応じた各種の添加剤等を混合し、ゴム部材の所定の形状に成形するとともにゴムを架橋させればよい。
かくして作製されるゴム部材は、ゴム中にCNTが高濃度でかつ凝集等を生じることなく均一に分散されているため当該CNTを配合したことに見合う高い電気伝導率を有している。
(架橋成分)
架橋成分としては例えば架橋剤(加硫剤)、促進剤、促進助剤等が挙げられる。
また架橋剤としては硫黄や有機含硫黄化合物等が挙げられる。特に硫黄が好ましい。架橋剤の配合割合は、ゴム/カーボンナノチューブ複合体中のゴム100質量部あたり0.5質量部以上、3質量部以下であるのが好ましい。
促進剤としては、例えばPX(N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛)、PZ(ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛)、EZ(ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛)、BZ(ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛)、ZTC(ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛)、MZ(2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩)、TT(テトラメチルチウラムジスルフィド)、DM(ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド)等の1種または2種以上が挙げられる。
促進剤の配合割合は、ゴム/カーボンナノチューブ複合体中のゴム100質量部あたり0.5質量部以上、3質量部以下であるのが好ましい。
促進助剤としては、例えば亜鉛華(酸化亜鉛)、および/またはステアリン酸等が挙げられる。促進助剤の配合割合は、ゴム/カーボンナノチューブ複合体中のゴム100質量部あたり0.5質量部以上、3質量部以下であるのが好ましい。
(他の添加剤)
架橋成分以外の他の添加剤としては、例えば熱安定剤、老化防止剤、充填剤、可塑剤、着色剤等が挙げられる。
このうち老化防止剤としては、一般に非汚染性のフェノール類が好適に用いられるがアミン類を使用してもよい。老化防止剤の配合割合は、ゴム/カーボンナノチューブ複合体中のゴム100質量部あたり0.5質量部以上、3質量部以下であるのが好ましい。
充填剤としては、例えばシリカ、カオリンクレー、ハードクレー、炭酸カルシウム、酸化チタン等の1種または2種以上が挙げられる。充填剤の配合割合は、ゴム/カーボンナノチューブ複合体中のゴム100質量部あたり1質量部以上、10質量部以下であるのが好ましい。
着色剤としては各種の顔料が挙げられる。顔料の配合割合は、所望の色味に合わせて任意に設定できる。
〈実施例1〉
(CNT分散液)
カチオン性ポリマとしては、分子量が20万であるDADMACの単独重合物〔センカ(株)製の商品名ユニセンスFPA1000L、有効成分濃度43質量%の水溶液〕を用いた。
またノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート〔日油(株)製のノニオン(登録商標)ST−221〕を用いた。
さらにアニオン系界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム〔花王(株)製のエマール(登録商標)10PT〕を用いた。
これらの成分をビーカー中に計量して蒸留水を加えた状態で、超音波洗浄機中で50℃の水浴に浸して超音波を5分間照射することにより、各成分を蒸留水に溶解させて分散媒を調製した。各成分の配合割合は下記のとおり。
Figure 2016037531
表中、カチオン性ポリマの質量部は、ユニセンスFPA1000L中の有効成分量、水の質量部は、蒸留水にユニセンスFPA1000L中の水分量を加えた水の総量を示す。以下、水溶液を使用する成分は同様とする。
次いで上記分散媒に、当該分散媒中のカチオン性ポリマの有効成分量100質量部あたり70質量部のCNT〔ナノシル(Nanocyl)社製の多層CNT、直径9.5nm、長さ1.5μm〕を配合し、超音波ホモジナイザ〔エマーソン(Emerson)社製のブランソン デジタル ソニファイア(Branson Digital Sonifiers)〕を用いて超音波を照射して分散させてCNT分散液を調製した。照射条件は、強度:100W、時間:5分間とした。
(分散状態の評価)
超音波照射が終了したビーカーを、内容物(CNT分散液)がビーカーの壁面に付くように傾けたのち水平台の上に置いて壁面を流下するCNT分散液を観察し、CNTの凝集塊の有無を評価した。すなわち凝集塊が残っていない場合、CNT分散液はビーカーの壁面をスムースに流下して行くが、凝集塊が残っている場合はその部分で流下が妨げられて、流れに乱れが観察される。
その結果、上記で調製したCNT分散液はビーカーの壁面をスムースに流下して行くことから凝集塊は存在しないことが確認された。
(ゴムのラテックス)
ゴムのラテックスとしては、NBRを43.8質量%、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを1.2質量%の割合で含むNBRラテックス〔日本ゼオン(株)製のNipol(登録商標)LX550L〕を用意した。
(ゴム/カーボンナノチューブ複合体)
上記ゴムのラテックスをビーカーに計量し、650回転で撹拌しながら所定量のCNT分散液を加えてさらに1時間かく拌したのち、ポリエチレン製メッシュシートを用いてろ過して水分を除去し、残った固形分を2回に亘って水洗して水分を絞り、さらにおよそ7mm以下の塊に分けて70℃で16時間乾燥させてゴム/カーボンナノチューブ複合体を製造した。CNTの配合割合は、NBR100質量部あたり2質量部とした。
(ゴム部材)
上記ゴム/カーボンナノチューブ複合体を混練・押出成形評価試験装置〔(株)東洋精機製作所製のラボプラストミル4C150、容量75cc、バンバリ形ブレード〕を用いて120℃、80rpmで5分間、混錬したのちテフロン(登録商標)シートで挟んで130mm角、厚み1mmの型枠内に入れ、160℃で30分間、溶融プレスしたのちさらに10分間、冷却プレスしてシート状に成形した。
そして成形したシートの体積抵抗率を、日本工業規格JIS K6271:2008「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム 体積抵抗率及び表面抵抗率の求め方」に所載の二重リング電極法に則って測定したところ104.8Ω・cmであった。
〈比較例1〉
従来の固形ゴムの混練を再現すべく、ベール状のNBR〔JSR(株)製のN250SL〕と、実施例1でCNT分散液の調製に使用したのと同じ粉末状のCNTとを、CNTの配合割合がNBR100質量部あたり2質量部となるように直接に配合して、実施例1で使用したのと同じ混練・押出成形評価試験装置を用いて120℃、80rpmで5分間、混錬したのちテフロン(登録商標)シートで挟んで130mm角、厚み1mmの型枠内に入れ、160℃で30分間、溶融プレスしたのちさらに10分間、冷却プレスしてシート状に成形した。
そして成形したシートの体積抵抗率を実施例1と同様にして測定したところ、CNTを同量配合しているにも拘らず107.5Ω・cmであって、当該CNTを配合したことに見合う高い電気伝導率が得られていないことが確認された。
〈比較例2〉
カチオン性ポリマとして、分子量が5万であるDADMACの単独重合物〔センカ(株)製の商品名ユニセンスFPA100L、有効成分濃度27質量%の水溶液〕と、分子量が20万であるDADMACの単独重合物〔前出の、センカ(株)製の商品名ユニセンスFPA1000L、有効成分濃度43質量%の水溶液〕とを、有効成分の質量比が80:20、計100質量部となるように併用するとともに、当該カチオン性ポリマ100質量部に対するノニオン系界面活性剤の量を87質量部、アニオン系界面活性剤の量を23質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、特許文献1に記載の分散媒を再現し、さらに実施例1で使用したのと同じCNTを同量配合してCNT分散液を調製した。
かかるCNT分散液について先述した分散状態の評価をしたところ流下が妨げられて流れに乱れが観察されたことから、凝集塊が存在していることが確認された。
またそのためゴム/カーボンナノチューブ複合体の調製は実施しなかった。
以上の結果を表2にまとめた。なお表では、体積抵抗率をlog値で記載している。
Figure 2016037531

Claims (7)

  1. (A) 式(1):
    Figure 2016037531
    〔式中、R、Rは同一または異なって水素原子、メチル基、またはエチル基を示す。Aはアニオンを示す。〕
    で表される繰り返し単位を有する分子量10万以上、30万以下のジアリルアミン系カチオン性ポリマ、前記ジアリルアミン系カチオン性ポリマ100質量部あたり30質量部以上、45質量部以下のノニオン系界面活性剤、および5質量部以上、12質量部以下のアニオン系界面活性剤を含む水溶液からなる分散媒中にカーボンナノチューブを分散させてなるカーボンナノチューブ分散液、ならびに
    (B) 長鎖または直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩を乳化剤として含むゴムのラテックス、
    を配合してなるゴム/カーボンナノチューブ複合体。
  2. 前記ゴム100質量部あたりカーボンナノチューブを1質量部以上の割合で含む請求項1に記載のゴム/カーボンナノチューブ複合体。
  3. 前記ゴムはスチレンブタジエンゴムおよびアクリロニトリルブタジエンゴムからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1または2に記載のゴム/カーボンナノチューブ複合体。
  4. 前記乳化剤はドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである請求項1ないし3のいずれか1項に記載のゴム/カーボンナノチューブ複合体。
  5. 前記ジアリルアミン系カチオン性ポリマは、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドの単独重合物である請求項1ないし4のいずれか1項に記載のゴム/カーボンナノチューブ複合体。
  6. 前記ノニオン系界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノアルキレートである請求項1ないし5のいずれか1項に記載のゴム/カーボンナノチューブ複合体。
  7. 前記アニオン系界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、またはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである請求項1ないし6のいずれか1項に記載のゴム/カーボンナノチューブ複合体。
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