JP2016022676A - 積層微多孔性フィルム及びその製造方法、並びに電池用セパレータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】融点TmAを有する第1の樹脂組成物を含む第1の微多孔性フィルムと、
前記融点TmAよりも低い融点TmBを有する第2の樹脂組成物を含む第2の微多孔性フィルムと、を備え、
伸長粘度が、18000〜40000Pa・sであり、
せん断粘度が、5000〜10000Pa・sである、積層微多孔性フィルム。
【選択図】なし
Description
〔1〕
融点TmAを有する第1の樹脂組成物を含む第1の微多孔性フィルムと、
前記融点TmAよりも低い融点TmBを有する第2の樹脂組成物を含む第2の微多孔性フィルムと、を備え、
伸長粘度が、18000〜40000Pa・sであり、
せん断粘度が、5000〜10000Pa・sである、積層微多孔性フィルム。
〔2〕
膜厚が、16μm以下である、前項〔1〕に記載の積層微多孔性フィルム。
〔3〕
透気度が、10〜5000秒/100ccである、前項〔1〕又は〔2〕に記載の積層微多孔性フィルム。
〔4〕
前記第2の樹脂組成物がエチレン系樹脂組成物である、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の積層微多孔性フィルム。
〔5〕
前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の積層微多孔性フィルムを含む、電池用セパレータ。
〔6〕
前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の積層微多孔性フィルムの製造方法であって、
融点TmAを有する第1の樹脂組成物を含む第1の樹脂フィルムと、前記融点TmAよりも低い融点TmBを有する第2の樹脂組成物を含む第2の樹脂フィルムと、を有する積層フィルムを、共押出法により形成する共押出工程と、
前記共押出工程で得られた積層フィルムを、乾式法により、歪速度が0.10〜4.0/秒となるように延伸して、積層微多孔性フィルムを形成する延伸工程と、をこの順で有する、
積層微多孔性フィルムの製造方法。
〔7〕
前記第2の樹脂組成物がエチレン系樹脂組成物である、前項〔6〕に記載の積層微多孔性フィルムの製造方法。
本実施形態の積層微多孔性フィルムは、融点TmAを有する第1の樹脂組成物を含む第1の微多孔性フィルムと、前記融点TmAよりも低い融点TmBを有する第2の樹脂組成物を含む第2の微多孔性フィルムと、を備え、伸長粘度が、18000〜40000Pa・sであり、せん断粘度が、5000〜10000Pa・sである。
第1及び第2の微多孔性フィルムは、後述する第1及び第2の樹脂フィルムを、延伸して多孔化することにより得られるものであることが好ましい。
第1の樹脂組成物としては、特に限定されないが、樹脂、及び必要に応じて添加され得る任意の添加剤を含むものが挙げられる。なお、本明細書において、「樹脂組成物」とは、1種類の樹脂(高分子材料)のみからなるものも含む概念であり、2種類以上の樹脂の混合物であってもよく、さらに任意の添加剤を含有してもよい。
第2の樹脂組成物としては、融点TmAよりも低い融点TmBを有する限り特に限定されないが、例えば、樹脂、及び必要に応じて添加され得る任意の添加剤を含むものが挙げられる。
本実施形態の積層微多孔性フィルムの製造方法としては、例えば、Tダイやサーキュラーダイを用い、共押出法により各樹脂フィルムを積層した積層フィルムを成形した後、その積層フィルムを延伸して多孔化する方法(a);各樹脂フィルムを別々に押出成形した後、ラミネート法により各樹脂フィルムを貼り合せて積層した積層フィルムを形成し、その後、その積層フィルムを延伸して多孔化する方法(b);各樹脂フィルムを別々に押出成形して更に延伸してそれぞれ多孔化した微多孔化フィルムを得た後にそれらの微多孔化フィルムを貼合する方法(c)が挙げられる。これらの中でも、得られる積層微多孔性フィルムに要求される物性やイニシャル/ランニングコストの観点から、共押出法により各樹脂フィルムを積層した積層フィルムを成形した後、その積層フィルムを延伸して多孔化する方法(a)が好ましい。一方、透気性に関しては方法(a)よりは若干劣るものの、積層微多孔性フィルムの熱収縮率を小さくできるという観点からは方法(c)も好ましい。
共押出工程は、融点TmAを有する第1の樹脂組成物を含む第1の樹脂フィルムと、前記融点TmAよりも低い融点TmBを有する第2の樹脂組成物を含む第2の樹脂フィルムと、を有する積層フィルムを、共押出法により形成する工程である。
積層フィルムは、融点TmAを有する第1の樹脂組成物を含む第1の樹脂フィルムと、前記融点TmAよりも低い融点TmBを有する第2の樹脂組成物を含む第2の樹脂フィルムと、を有する。第1の樹脂組成物及び第2の樹脂組成物は、JIS K−7121に準拠した方法で測定した融点(以下、単に「融点」ともいう。)TmA及びTmBが、TmA>TmBを満足するものであれば、その組成は同質であっても異質であってもよい。ここで、TmAは第1の樹脂組成物の融点を示し、TmBは第2の樹脂組成物の融点を示す。
第1の樹脂組成物としては、特に限定されず、上記と同様のものが挙げられる。
第2の樹脂組成物としては、特に限定されず、上記と同様のものが挙げられる。このなかでも、エチレン系樹脂組成物が好ましい。エチレン系樹脂組成物を用いることにより、電池用セパレータに求められる複数の特性をより良好に兼ね備えることができる。
本実施形態の積層微多孔性フィルムの製造方法は、共押出工程の後、延伸工程の前に、得られた積層フィルムに対し、熱処理(アニール)を施す熱処理工程をさらに有することが好ましい。アニール方法としては、特に限定されないが、例えば、積層フィルムを加熱ロール上に接触させる方法;積層フィルムを加熱気相中に曝す方法;積層フィルムを芯体上に巻き取り、加熱気相又は加熱液相中に曝す方法;及びこれらを組み合わせて行う方法等が挙げられる。
延伸工程は、共押出工程で得られた積層フィルムを、乾式法により、歪速度が0.50〜3.0/秒となるように延伸して、積層微多孔性フィルムを形成する工程である。ここで「乾式法」とは、溶剤を用いない延伸開孔方法をいう。
歪速度(/秒)=(V2−V1)/L
V1:延伸開始時の延伸速度(m/秒)
V2:延伸終了時の延伸速度(m/秒)
L :延伸長(m)
方法(a)及び方法(b)において、積層フィルムに対して冷延伸を施す場合、冷延伸工程における延伸温度は、好ましくは−20℃以上(TmB−60)℃以下であり、より好ましくは0℃以上50℃以下であり、さらに好ましくは0℃以上45℃以下である。冷延伸工程における延伸温度が−20℃以上であることにより、破断をより抑制できる傾向にある。また、冷延伸工程における延伸温度が(TmB−60)℃以下であることにより、得られる積層微多孔性フィルムの気孔率及び透気度がより向上する傾向にある。ここで、「冷延伸工程における延伸温度」とは、冷延伸工程におけるフィルムの表面温度を意味する。フィルムの表面温度は、接触式温度計により測定することができる(以下同様)。
本実施形態の積層微多孔性フィルムの製造方法は、冷延伸工程の後に、冷延伸の延伸温度よりも高い温度で第2の延伸を施して積層微多孔性フィルムを得る熱延伸工程を含むことが好ましい。
本実施形態の積層微多孔性フィルムの製造方法は、延伸工程の後に、積層微多孔性フィルムに熱固定を施す熱固定工程を含むことが好ましい。熱固定工程を有することにより、延伸時に作用した応力残留による積層微多孔性フィルムの延伸方向への収縮を抑制できる上、得られる積層微多孔性フィルムの層間剥離強度を向上させることができる傾向にある。この熱固定の方法としては、熱固定後の積層微多孔性フィルムの長さが、熱固定前の長さから3〜50%減少する程度に熱収縮させる方法(以下、この方法を「緩和」という。)、延伸方向の寸法が熱固定前後で変化しないように固定する方法等が挙げられる。
本実施形態の電池用セパレータは、上記積層微多孔性フィルムを含む。本実施形態における積層微多孔性フィルムは、電池用セパレータ、より具体的にはリチウム二次電池用セパレータとして好適に用いられる。また、その他、各種分離膜としても用いられる。
実施例及び比較例における各種特性の評価方法は以下の通りである。
JIS K−7121に準拠した方法により、樹脂組成物の融点を測定した。この測定を少なくとも3回実施し、その平均値を融点の値とした。
JIS K7210に準拠して、ポリプロピレンについては230℃、2.16kgの条件で、ポリエチレンについては190℃、2.16kgの条件でMFR(単位:g/10分)を測定した。この測定を少なくとも3回実施し、その平均値をMFRの値とした。
樹脂組成物における樹脂の分子量分布は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)から求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比Mw/Mnの値として、算出した。具体的には、分子量の校正を、ポリスチレンで行い、ポリスチレン換算分子量でMw及びMnを求め、分子量分布を導出した。GPC測定条件を以下に示す。
GPC装置 :東ソー社製、商品名「HLC−8121GPC/HT」
カラム :東ソー社製、商品名「TSKgel GMHHR−H(20)」(2本)を直列して用いた
移動相 :o−ジクロロベンゼン(o−DCB)
カラム温度 :155℃
流量 :1.0mL/分
試料濃度 :0.5mg/mL(o−DCB)
注入量 :500μL
試料溶解温度:160℃
試料溶解時間:3時間
樹脂組成物の密度(単位:kg/m3)をJIS K7112に準拠して測定した。この測定を少なくとも3回実施し、その平均値を密度の値とした。
積層微多孔性フィルムの伸長粘度・せん断粘度は、流入圧力損失法を用い、Cogswellの理論[Polymer Engineering Science、12、64(1972)]にしたがって測定を行うことにより得た。測定装置として、ロザンド社製のツインキャピラリーレオメーターを用い、オリフィスは、以下に示すロングダイ及びショートダイを用い、温度200℃、伸長歪み速度10s-1の条件で測定を行った。
ロングダイ :長さ16mm、直径1mm、流入角180°
ショートダイ:長さ0.25mm、直径1mm、流入角180°
積層微多孔性フィルムの膜厚を、ダイヤルゲージ(尾崎製作所社製、商品名「PEACOCK No.25」)にて測定した。この測定を少なくとも5回実施し、その平均値を密度の値とした。
積層微多孔性フィルムから10cm×10cm角のサンプルを切り出し、そのサンプルの体積と質量とから下記式を用いて算出した。この測定を少なくとも5回実施し、その平均値を気孔率の値とした。
気孔率(%)=(積層微多孔性フィルムの体積(cm3)−積層微多孔性フィルムの質量(g)/積層微多孔性フィルムを構成する樹脂組成物の密度(g/cm3))/積層微多孔性フィルムの体積(cm3)×100
JIS P−8117に準拠したガーレー式透気度計にて積層微多孔性フィルムの透気度を測定した。なお、膜厚の測定値に基づいて、膜厚20μm当たりの透気度に換算し、上記測定を少なくとも5回実施して、その平均値を透気度の値とした。
積層微多孔性フィルムから12cm×12cm角のサンプルを切り出し、そのサンプルのMD方向に10cm間隔で2つの印を付け、サンプルを紙で挟んだ状態で、100℃のオーブン中に60分間静置した。オーブンからサンプルを取り出し冷却した後、印間の長さ(cm)を測定し、下記式にてMD方向の熱収縮率を算出した。
熱収縮率(%)=(10−加熱後の印間の長さ(cm))/10×100
(株)カトーテック社製のハンディー圧縮試験器「KES−G5型」に、直径1mm、先端の曲率半径0.5mmの針を装着し、温度23±2℃、針の移動速度0.2cm/secで積層微多孔性フィルムの突刺試験を行った。なお、膜厚の測定値に基づいて、膜厚20μm当たりに換算したものを突刺強度とした。すなわち、下記式に基づいて、突刺強度を求めた。この測定を、少なくとも5回実施し、その平均値を突刺強度の値とした。
突刺強度(N)=測定突刺強度×20/膜厚
ポリプロピレン(a−1):プロピレンホモポリマー、プライムポリマー製E111G、融点が165℃、MFRが0.5g/10分
ポリプロピレン(a−2):プロピレンホモポリマー、プライムポリマー製J105G、融点が165℃、MFRが9.0g/10分
ポリプロピレン(a−3):プロピレンホモポリマー、日本ポリプロ製MA4AHB、融点が165℃、MFRが5.9g/10分
ポリエチレン(b−1):東ソー製、融点が136℃、MFRが0.25g/10分
ポリエチレン(b−2):プライムポリマー製、融点が136℃、MFRが0.32g/10分
ポリエチレン(b−3):旭化成ケミカルズ製、融点が136℃、MFRが1.3g/10分
ポリプロピレン(a−1)50質量部とポリプロピレン(a−3)50質量部を混合したポリプロピレン(A−1)を、口径20mm、L/D(L:押出機の原料供給口から排出口までの距離(m)、D:押出機の内径(m)。以下、同じ。)=30、220℃に設定した単軸押出機にフィーダーを介して投入し、ポリエチレン(b−1)を、口径20mm、L/D=30、200℃に設定した単軸押出機にフィーダーを介して投入し、押出機先端に設置したリップ厚3.0mmの共押Tダイから押し出した。その後直ちに、溶融した樹脂に25℃の冷風を当て、95℃に冷却したキャストロールでドロー比200倍、巻き取り速度15m/分の条件で巻き取り、外層が高融点樹脂フィルム、内層が低融点樹脂フィルムの構造を有する3層積層フィルム(Af−1)を成形した(共押出工程)。この積層フィルム(Af−1)に対して130℃に加熱された熱風循環オ−ブン中で6時間アニールを施した(アニール工程)。なお、ポリプロピレン(A−1)の融点は165℃であり、MFRは1.9g/10分であった。
ポリプロピレン(A−1)の代わりに、ポリプロピレン(a−1)70質量部とポリプロピレン(a−2)30質量部を混合したポリプロピレン(A−2)を用い、ポリエチレン(b−1)の代わりに、ポリエチレン(b−2)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法により共押出工程及びアニール工程を行い、外層が高融点樹脂フィルム、内層が低融点樹脂フィルムの構造を有する3層積層フィルム(Af−2)を得た。なお、ポリプロピレン(A−2)の融点は165℃であり、MFRは1.2g/10分であった。
ポリプロピレン(A−1)の代わりに、ポリプロピレン(A−2)を用い、ポリエチレン(b−1)の代わりに、ポリエチレン(b−2)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法により共押出工程及びアニール工程を行い、外層が高融点樹脂フィルム、内層が低融点樹脂フィルムの構造を有する3層積層フィルム(Af−3)を得た。
ポリプロピレン(A−1)の代わりに、ポリプロピレン(a−1)50質量部とポリプロピレン(a−2)50質量部を混合したポリプロピレン(A−3)を用い、ポリエチレン(b−1)の代わりに、ポリエチレン(b−2)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法により共押出工程及びアニール工程を行い、外層が高融点樹脂フィルム、内層が低融点樹脂フィルムの構造を有する3層積層フィルム(Af−4)を得た。なお、ポリプロピレン(A−3)の融点は165℃であり、MFRは2.1g/10分であった。
ポリプロピレン(A−1)の代わりに、ポリプロピレン(A−3)を用い、ポリエチレン(b−1)の代わりに、ポリエチレン(b−3)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法により共押出工程及びアニール工程を行い、外層が高融点樹脂フィルム、内層が低融点樹脂フィルムの構造を有する3層積層フィルム(Af−5)を得た。
Claims (7)
- 融点TmAを有する第1の樹脂組成物を含む第1の微多孔性フィルムと、
前記融点TmAよりも低い融点TmBを有する第2の樹脂組成物を含む第2の微多孔性フィルムと、を備え、
伸長粘度が、18000〜40000Pa・sであり、
せん断粘度が、5000〜10000Pa・sである、積層微多孔性フィルム。 - 膜厚が、16μm以下である、請求項1に記載の積層微多孔性フィルム。
- 透気度が、10〜5000秒/100ccである、請求項1又は2に記載の積層微多孔性フィルム。
- 前記第2の樹脂組成物がエチレン系樹脂組成物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層微多孔性フィルム。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層微多孔性フィルムを含む、電池用セパレータ。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層微多孔性フィルムの製造方法であって、
融点TmAを有する第1の樹脂組成物を含む第1の樹脂フィルムと、前記融点TmAよりも低い融点TmBを有する第2の樹脂組成物を含む第2の樹脂フィルムと、を有する積層フィルムを、共押出法により形成する共押出工程と、
前記共押出工程で得られた積層フィルムを、乾式法により、歪速度が0.10〜4.0/秒となるように延伸して、積層微多孔性フィルムを形成する延伸工程と、をこの順で有する、
積層微多孔性フィルムの製造方法。 - 前記第2の樹脂組成物がエチレン系樹脂組成物である、請求項6に記載の積層微多孔性フィルムの製造方法。
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