JP2016022676A - 積層微多孔性フィルム及びその製造方法、並びに電池用セパレータ - Google Patents

積層微多孔性フィルム及びその製造方法、並びに電池用セパレータ Download PDF

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Abstract

【課題】延伸による歪速度が大きくても透気性と熱収縮性とのバランスが良好な積層微多孔性フィルム及びその製造方法、並びにそれを用いた電池用セパレータを提供することを目的とする。
【解決手段】融点TmAを有する第1の樹脂組成物を含む第1の微多孔性フィルムと、
前記融点TmAよりも低い融点TmBを有する第2の樹脂組成物を含む第2の微多孔性フィルムと、を備え、
伸長粘度が、18000〜40000Pa・sであり、
せん断粘度が、5000〜10000Pa・sである、積層微多孔性フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、積層微多孔性フィルム及びその製造方法、並びに電池用セパレータに関する。
微多孔性フィルム、特にポリオレフィン系微多孔性フィルムは、精密濾過膜、電池用セパレータ、コンデンサー用セパレータ、及び燃料電池用材料等に用いられており、特にリチウムイオン電池用セパレータとして好適に用いられている。また、近年、リチウムイオン電池は、携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータ等の小型電子機器用途として使用される一方で、ハイブリッド電気自動車等への応用も図られている。
リチウムイオン電池が備える電池用セパレータは、安全性を確保するために、シャットダウン(SD)機能を備えることが必須とされている。SD機能とは、電池内部の温度が過度に上昇した場合に、電池用セパレータの電気抵抗を急激に増大させることにより、電池反応を停止させて、それ以上の温度上昇を防止する機能である。SD機能の発現機構としては、例えば、微多孔性フィルム製の電池用セパレータの場合、所定の温度まで電池内部温度が上昇すると、その多孔質構造を喪失して無孔化し、イオン透過を遮断することが挙げられる。しかし、このように無孔化してイオン透過を遮断しても、温度が更に上昇してフィルム全体が溶融し破膜してしまった場合は、電気的絶縁性を維持できなくなってしまう。このようにフィルムがその形態を保持できなくなり、イオン透過を遮断することができなくなる温度を破膜温度という。破膜温度が高いほど電池用セパレータは耐熱性に優れているといえる。また、SDの開始する温度と破膜温度との差が大きいほど、安全性に優れているといえる。
このような事情に対応可能なセパレータとなる微多孔性フィルムを提供することを目的として、例えば、特許文献1では、従来のポリエチレン微多孔性フィルムにポリプロピレン微多孔性フィルムを積層した積層構造を有する複合微多孔性フィルム(電池用セパレータ)が提案されている。
また、特許文献2では、特定の重量平均分子量を有するポリプロピレンから形成される積層微多孔性フィルムが開示されている。
特許第3003830号公報 特許第3939778号公報
特許文献1に開示されているポリプロピレンは比較的低分子量のものであるため、延伸による歪速度が大きくても熱収縮性は良好だが、透気性とのバランスを考慮すると不十分であることが考えられる。また、特許文献2に開示された微多孔性フィルムについても、同様のことが考えられ、更に改善の余地がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、延伸による歪速度が大きくても透気性と熱収縮性とのバランスが良好な積層微多孔性フィルム及びその製造方法、並びにそれを用いた電池用セパレータを提供することを目的とする。
本発明者らは前述の課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、所定の構成を有する積層微多孔性フィルムであれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕
融点TmAを有する第1の樹脂組成物を含む第1の微多孔性フィルムと、
前記融点TmAよりも低い融点TmBを有する第2の樹脂組成物を含む第2の微多孔性フィルムと、を備え、
伸長粘度が、18000〜40000Pa・sであり、
せん断粘度が、5000〜10000Pa・sである、積層微多孔性フィルム。
〔2〕
膜厚が、16μm以下である、前項〔1〕に記載の積層微多孔性フィルム。
〔3〕
透気度が、10〜5000秒/100ccである、前項〔1〕又は〔2〕に記載の積層微多孔性フィルム。
〔4〕
前記第2の樹脂組成物がエチレン系樹脂組成物である、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の積層微多孔性フィルム。
〔5〕
前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の積層微多孔性フィルムを含む、電池用セパレータ。
〔6〕
前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の積層微多孔性フィルムの製造方法であって、
融点TmAを有する第1の樹脂組成物を含む第1の樹脂フィルムと、前記融点TmAよりも低い融点TmBを有する第2の樹脂組成物を含む第2の樹脂フィルムと、を有する積層フィルムを、共押出法により形成する共押出工程と、
前記共押出工程で得られた積層フィルムを、乾式法により、歪速度が0.10〜4.0/秒となるように延伸して、積層微多孔性フィルムを形成する延伸工程と、をこの順で有する、
積層微多孔性フィルムの製造方法。
〔7〕
前記第2の樹脂組成物がエチレン系樹脂組成物である、前項〔6〕に記載の積層微多孔性フィルムの製造方法。
本発明によると、延伸においての歪速度が大きくても透気性と熱収縮性とのバランスが十分に良好な積層微多孔性フィルム及びその製造方法、並びにそれを用いた電池用セパレータを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
〔積層微多孔性フィルム〕
本実施形態の積層微多孔性フィルムは、融点TmAを有する第1の樹脂組成物を含む第1の微多孔性フィルムと、前記融点TmAよりも低い融点TmBを有する第2の樹脂組成物を含む第2の微多孔性フィルムと、を備え、伸長粘度が、18000〜40000Pa・sであり、せん断粘度が、5000〜10000Pa・sである。
本発明者らは、伸長粘度・せん断粘度を上記範囲内にすることにより、延伸による歪速度が大きくても得られる積層微多孔性フィルムの透気性及び熱収縮率のバランスが良好であることを見出した。この要因としては、せん断粘度に対して伸長粘度をある程度高めることで、積層微多孔性フィルム成形の際に、第1の樹脂組成物中の溶融した樹脂が押し出し方向に配向しやすくなる。その結果、樹脂の結晶配向性が向上し、後述の各延伸工程において、結晶間の開列が均一に発生し、透気性が向上するものと考えられる。もう一つの要因としては、伸長粘度に対してせん断粘度をある程度低くすることで、延伸時の多孔化挙動と収縮緩和挙動とがより良好にバランスするために、結果、延伸においての歪速度を大きくしても得られた微多孔性フィルムの透気性・熱収縮性が向上するものと考えられる。しかし、要因は上記に制限されない。
第1の樹脂組成物及び第2の樹脂組成物は、JIS K−7121に準拠した方法で測定した融点(以下、単に「融点」ともいう。)TmA及びTmBが、TmA>TmBを満足するものであれば、その組成は同質であっても異質であってもよい。ここで、TmAは第1の樹脂組成物の融点、TmBは第2の樹脂組成物の融点を示す。
第1の樹脂組成物の融点TmAと第2の樹脂組成物の融点TmBとの差(TmA−TmB)は、好ましくは5.0℃以上であり、より好ましくは10℃以上であり、さらに好ましくは15℃以上である。融点の差(TmA−TmB)が5.0℃以上であることにより、積層微多孔性フィルムを電池用セパレータとして用いた場合、異常電流により電池の内部温度が上昇した際に、低融点の樹脂層が溶融しても高融点の樹脂層は溶融することなく保持されやすい傾向にある。その結果、電池用セパレータのフィルム形状又はシート形状が保持され、安全性がより向上する傾向にある。一方で、第1の樹脂組成物の融点TmAと第2の樹脂組成物の融点TmBとの差(TmA−TmB)は、好ましくは150℃以下であり、より好ましくは100℃以下であり、さらに好ましくは50℃以下である。融点の差(TmA−TmB)が150℃以下であることにより、積層微多孔性フィルムを電池用セパレータとして用いた場合、異常電流により電池の内部温度が上昇した際に、低融点の樹脂層が溶融しても高融点の樹脂層は溶融することなく保持されやすい傾向にある。その結果、電池用セパレータのフィルム形状又はシート形状が保持され、安全性がより向上する傾向にある。
積層微多孔性フィルムは、第1の微多孔性フィルムと第2の微多孔性フィルムの積層体であるが、それらの積層の態様は特に限定されない。その態様の具体例としては、1つの第1の微多孔性フィルムと1つの第2の微多孔性フィルムとからなる積層微多孔性フィルム(a)、1つの第1の微多孔性フィルムとその両側に積層された第2の微多孔性フィルムとからなる積層微多孔性フィルム(b)、1つの第2の微多孔性フィルムとその両側に積層された第1の微多孔性フィルムとからなる積層微多孔性フィルム(c)、第1の微多孔性フィルム−第2の微多孔性フィルム−第1の微多孔性フィルム−第2の微多孔性フィルムというように、それぞれの樹脂フィルムが交互に配置された積層微多孔性フィルム(d)が挙げられる。このなかでも、本発明の効果をより有効かつ確実に発揮する観点から積層微多孔性フィルム(c)の態様が好ましい。
〔第1及び第2の微多孔性フィルム〕
第1及び第2の微多孔性フィルムは、後述する第1及び第2の樹脂フィルムを、延伸して多孔化することにより得られるものであることが好ましい。
(第1の樹脂組成物)
第1の樹脂組成物としては、特に限定されないが、樹脂、及び必要に応じて添加され得る任意の添加剤を含むものが挙げられる。なお、本明細書において、「樹脂組成物」とは、1種類の樹脂(高分子材料)のみからなるものも含む概念であり、2種類以上の樹脂の混合物であってもよく、さらに任意の添加剤を含有してもよい。
第1の樹脂組成物に含まれる樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン及びエチレン−プロピレン共重合体のようなポリオレフィン;エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等のオレフィン炭化水素を単量体成分として含む重合体が挙げられる。このなかでも、ポリオレフィンが好ましく、ポリプロピレンがより好ましい。このような樹脂を用いることにより、電池用セパレータに求められる複数の特性をより良好に兼ね備えることができる。第1の樹脂組成物に含まれる樹脂は、1種単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。
ポリプロピレンとは、ポリプロピレンを単量体成分として含む重合体であれば特に限定されず、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。コポリマーである場合、ランダムコポリマーであってもよいし、ブロックコポリマーであってもよい。また、コポリマーである場合、共重合成分に限定はなく、例えば、エチレン、ブテン及びヘキセンが挙げられる。共重合成分は、1種単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。ポリプロピレンがコポリマーである場合、ポリプロピレンの共重合割合は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。
ポリプロピレンは、1種単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。また、ポリプロピレンを得る際に用いられる重合触媒としては、特に限定されないが、例えば、チーグラー・ナッタ系の触媒及びメタロセン系の触媒が挙げられる。
また、ポリプロピレンの立体規則性に関しても特に制限はなく、アイソタクチック又はシンジオタクチックのポリプロピレンが用いられる。
ポリプロピレンは、いかなる結晶性や融点を有するものであってもよい。また、得られる微多孔性フィルムの物性や用途に応じて、異なる結晶性や融点を有する2種以上のポリプロピレンを特定の配合比率で配合したものであってもよい。
ポリプロピレンは、特開昭44−15422号公報、特開昭52−30545号公報、特開平6−313078号公報、特開2006−83294号公報に記載されているような公知の変性ポリプロピレンであってもよい。さらに、ポリプロピレンは、上述のポリプロピレンと変性ポリプロピレンとの任意の割合の混合物であってもよい。
第1の樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)(ASTM D1238に準拠し、230℃、2.16kgの荷重下で測定。以下同様。)は、好ましくは0.10〜20g/10分であり、より好ましくは0.10〜10g/10分であり、さらに好ましくは0.1〜5.0g/10分である。MFRが上記範囲内であることにより、積層微多孔性フィルムの成形性がより向上する傾向にある。
第1の樹脂組成物に含まれる樹脂の分子量分布は、好ましくは5.0〜15.0であり、より好ましくは6.0〜12.0であり、さらに好ましくは10.0〜12.0である。分子量分布が5.0以上であることにより、第1の樹脂組成物を成形する際の発熱が抑えられ、樹脂劣化が起こり難くなる傾向にある。また、分子量分布が15.0以下であることにより、高分子量成分由来の未溶融物が少なくなる傾向にある。なお、分子量分布は、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(以下「Mw/Mn」と表記する)である。また、Mw及びMnは、ポリスチレンを標準試料として、微多孔性フィルムのゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下「GPC」と表記する)から求められ、詳細には下記実施例に記載した方法に準じて測定される。
第1の樹脂組成物に含まれる樹脂の含有量は、第1の樹脂組成物の総量に対して、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは100質量%である。
第1の樹脂組成物は、第2の樹脂組成物よりも高い融点を有する。第1の樹脂組成物の融点TmAは、好ましくは150〜280℃であり、より好ましくは150〜250℃であり、さらに好ましくは150〜230℃である。第1の樹脂組成物の融点TmAが上記範囲内であることにより、得られる積層微多孔性フィルムの破膜温度と成膜性のバランスがより良好となる傾向にある。第1の樹脂組成物の融点TmAは、用いる樹脂の種類及び必要に応じて用いる添加剤により調整することができる。
また、第2の樹脂組成物の密度は、好ましくは900〜930kg/m3であり、より好ましくは910〜930kg/m3であり、さらに好ましくは910〜920kg/m3であり、最も好ましくは910〜915kg/m3である。第2の樹脂組成物の密度が900kg/m3以上であることにより、透気性のより良好な積層微多孔性フィルムが得られる傾向にある。また、第2の樹脂組成物の密度が930kg/m3以下であることにより、延伸する際に膜が破断し難くなる傾向にある。
(第2の樹脂組成物)
第2の樹脂組成物としては、融点TmAよりも低い融点TmBを有する限り特に限定されないが、例えば、樹脂、及び必要に応じて添加され得る任意の添加剤を含むものが挙げられる。
第2の樹脂組成物に含まれる樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン炭化水素を単量体成分として含む重合体であるポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の飽和ポリエステルが挙げられる。このなかでも、第2の樹脂組成物は、ポリエチレンを含むエチレン系樹脂組成物であることが好ましく、いわゆる高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンを含む樹脂組成物であることがより好ましく、高密度ポリエチレンを含む樹脂組成物であることがさらに好ましい。このような樹脂組成物であることにより、電池用セパレータに求められる複数の特性をより良好に兼ね備えることができる。第2の樹脂組成物に含まれる樹脂は、1種単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。
なお、「ポリエチレン」とは、そのモノマーの主成分がエチレンであるポリマーをいう。ここで「主成分」とは、エチレンがポリエチレン樹脂のモノマーの全体量に対して50質量%以上を占めることを意味し、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95%以上、更により好ましくは98%以上、特に好ましくは100質量%、すなわち全量を占めることを意味する。
第2の樹脂組成物は、第1の樹脂組成物よりも低い融点を有する。第2の樹脂組成物の融点TmBは、好ましくは100℃〜150℃であり、より好ましくは100〜145℃であり、さらに好ましくは100〜140℃である。第2の樹脂組成物の融点TmBが上記範囲内であることにより、得られる積層微多孔性フィルムを電池用セパレータとして用いた際、電池の安全性が飛躍的に向上する傾向にある。第2の樹脂組成物の融点TmBは、用いる樹脂の種類及び必要に応じて用いる添加剤により調整することができる。
第2の樹脂組成物に含まれる樹脂の含有量は、第1の樹脂組成物の総量に対して、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは100質量%である。
第2の樹脂組成物のMFRは、好ましくは0.010〜10g/10分であり、より好ましくは0.10〜3.0g/10分であり、さらに好ましくは0.10〜2.0g/10分であり、最も好ましくは0.10〜1.0g/10分である。MFRが0.010g/10分以上であることにより、第2の微多孔性フィルムにフィッシュアイが発生し難くなる傾向にある。また、MFRが10g/10分以下であることにより、ドローダウンが起こり難くなり、成膜性が良好となる傾向にある。
また、第2の樹脂組成物の密度は、好ましくは945〜970kg/m3であり、より好ましくは955〜970kg/m3であり、さらに好ましくは960〜967kg/m3であり、最も好ましくは963〜967kg/m3である。第2の樹脂組成物の密度が945kg/m3以上であることにより、透気性のより良好な積層微多孔性フィルムが得られる傾向にある。また、第2の樹脂組成物の密度が970kg/m3以下であることにより、延伸する際に膜が破断し難くなる傾向にある。
第1及び第2の樹脂組成物は、任意の添加剤を含んでもよい。任意の添加剤としては、特に限定されないが、例えば、オレフィン系エラストマー、酸化防止剤、金属不活性化剤、熱安定剤、難燃剤(有機リン酸エステル系化合物、ポリリン酸アンモニウム系化合物、芳香族ハロゲン系難燃剤、シリコーン系難燃剤等)、フッ素系ポリマー、可塑剤(低分子量ポリエチレン、エポキシ化大豆油、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)、三酸化アンチモン等の難燃助剤、耐候(光)性改良剤、ポリオレフィン用造核剤、スリップ剤、無機又は有機充填材及び強化材(ポリアクリロニトリル繊維、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム、導電性金属繊維、導電性カーボンブラック等)、各種着色剤、離型剤等が挙げられる。
積層微多孔性フィルムの気孔率は、好ましくは20%〜70%であり、より好ましくは35%〜65%、さらに好ましくは45%〜60%である。気孔率が20%以上であることにより、積層微多孔性フィルムを電池用セパレータとして用いた場合に、イオン透過性がより向上する傾向にある。一方、気孔率が70%以下であることにより、積層微多孔性フィルムの機械強度がより向上する傾向にある。積層微多孔性フィルムの気孔率は、各層を構成する樹脂組成物の組成、延伸温度、延伸倍率等を適宜設定することにより上述の範囲に調整することができる。積層微多孔性フィルムの気孔率は、実施例に記載の方法により測定することができる。
積層微多孔性フィルムの透気度は、好ましくは10〜5000秒/100ccであり、より好ましくは50〜1000秒/100ccであり、さらに好ましくは100〜500秒/100ccである。透気度が5000秒/100cc以下であることにより、積層微多孔性フィルムのイオン透過性がより向上する傾向にある。一方、透気度が10秒/100cc以上であることにより、積層微多孔性フィルムの欠陥が少なく、品質がより均等になる傾向にある。なお、本実施形態の積層微多孔性フィルムの透気度は、各層を構成する樹脂組成物の組成、延伸温度、延伸倍率等を適宜設定することにより上述の範囲に調整することができる。また、透気度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
積層微多孔性フィルムの膜厚は、好ましくは5.0μm以上であり、より好ましくは10μm以上であり、さらに好ましくは15μm以上である。膜厚が5.0μm以上であることにより、機械的強度がより向上する傾向にある。また、積層微多孔性フィルムの膜厚は、好ましくは16μm以下であり、より好ましくは15μm以下であり、さらに好ましくは12μm以下である。膜厚が16μm以下であることにより、電池の小型化に更に有効となる傾向にある。積層微多孔性フィルムの膜厚は、各樹脂フィルムの厚さ、延伸倍率等を適宜設定することにより上述の範囲に調整することができる。また、積層微多孔性フィルムの膜厚は、実施例に記載の方法により測定することができる。
伸長粘度は、10000〜100000Pa・sであり、好ましくは20000〜80000Pa・sであり、より好ましくは18000〜40000Pa・sである。伸長粘度が10000Pa・s以上であることにより、積層微多孔性フィルムを電池用セパレータとして用いた場合に、イオン透過性がより向上する。また、伸長粘度が100000Pa・s以下であることにより、積層微多孔性フィルムの成膜性がより向上する。なお、伸長粘度は、2種類以上樹脂を混合することなどにより調整することができる。
せん断粘度は、5000〜10000Pa・sであり、好ましくは7000〜8000Pa・sであり、より好ましくは7500〜8000Pa・sである。せん断粘度が5000Pa・s以上であることにより、延伸時の多孔化挙動と収縮緩和挙動とがより良好化する。また、せん断粘度が10000Pa・s以下であることにより、積層微多孔性フィルムの成膜性がより向上する。さらに、せん断粘度が上記好ましい範囲であることにより、積層微多孔性フィルムの熱収縮率がより低下する傾向にある。なお、せん断粘度は、2種類以上樹脂を混合することなどにより調整することができる。
伸長粘度及びせん断粘度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
積層微多孔性フィルムの突刺強度は、好ましくは2.0〜10Nであり、より好ましくは3.0〜10Nであり、さらに好ましくは4.0〜10Nである。突刺強度が上記範囲内であることにより、電極間の短絡による電池不良がより抑制される傾向にある。突刺強度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
〔積層微多孔性フィルムの製造方法〕
本実施形態の積層微多孔性フィルムの製造方法としては、例えば、Tダイやサーキュラーダイを用い、共押出法により各樹脂フィルムを積層した積層フィルムを成形した後、その積層フィルムを延伸して多孔化する方法(a);各樹脂フィルムを別々に押出成形した後、ラミネート法により各樹脂フィルムを貼り合せて積層した積層フィルムを形成し、その後、その積層フィルムを延伸して多孔化する方法(b);各樹脂フィルムを別々に押出成形して更に延伸してそれぞれ多孔化した微多孔化フィルムを得た後にそれらの微多孔化フィルムを貼合する方法(c)が挙げられる。これらの中でも、得られる積層微多孔性フィルムに要求される物性やイニシャル/ランニングコストの観点から、共押出法により各樹脂フィルムを積層した積層フィルムを成形した後、その積層フィルムを延伸して多孔化する方法(a)が好ましい。一方、透気性に関しては方法(a)よりは若干劣るものの、積層微多孔性フィルムの熱収縮率を小さくできるという観点からは方法(c)も好ましい。
以下、方法(a)を中心により詳細に説明する。本実施形態の積層微多孔性フィルムの製造方法は、融点TmAを有する第1の樹脂組成物を含む第1の樹脂フィルムと、前記融点TmAよりも低い融点TmBを有する第2の樹脂組成物を含む第2の樹脂フィルムと、を有する積層フィルムを、共押出法により形成する共押出工程と、前記共押出工程で得られた積層フィルムを、乾式法により、歪速度が0.10〜4.0/秒となるように延伸して、積層微多孔性フィルムを形成する延伸工程と、をこの順で有する。
なお、本明細書において「樹脂フィルム」とは、樹脂組成物をフィルム状に成形したものを示し、これを延伸して多孔化することにより「微多孔性フィルム」を得ることができる。
〔共押出工程〕
共押出工程は、融点TmAを有する第1の樹脂組成物を含む第1の樹脂フィルムと、前記融点TmAよりも低い融点TmBを有する第2の樹脂組成物を含む第2の樹脂フィルムと、を有する積層フィルムを、共押出法により形成する工程である。
方法(a)〜(d)のいずれの製造方法においても、押し出し後のドロー比、すなわち、フィルムの巻取速度(単位:m/分)を樹脂組成物の押出速度(ダイリップを通過する溶融樹脂の流れ方向の線速度。単位:m/分)で除した値は、好ましくは10〜500、より好ましくは100〜400、更に好ましくは150〜350の範囲である。この値が10〜500であることにより、得られる積層微多孔性フィルムの透気性が更に向上する。また、フィルムの巻取速度が、好ましくは2〜400m/分、より好ましくは10〜200m/分になるようにフィルムを巻き取る。巻取速度が2〜400m/分であることにより、得られる積層積層微多孔性フィルムの透気性が更に向上する。
〔積層フィルム〕
積層フィルムは、融点TmAを有する第1の樹脂組成物を含む第1の樹脂フィルムと、前記融点TmAよりも低い融点TmBを有する第2の樹脂組成物を含む第2の樹脂フィルムと、を有する。第1の樹脂組成物及び第2の樹脂組成物は、JIS K−7121に準拠した方法で測定した融点(以下、単に「融点」ともいう。)TmA及びTmBが、TmA>TmBを満足するものであれば、その組成は同質であっても異質であってもよい。ここで、TmAは第1の樹脂組成物の融点を示し、TmBは第2の樹脂組成物の融点を示す。
第1の樹脂組成物の融点TmAと第2の樹脂組成物の融点TmBとの差(TmA−TmB)は、好ましくは5.0℃以上であり、より好ましくは10℃以上であり、さらに好ましくは15℃以上である。融点の差(TmA−TmB)が5.0℃以上であることにより、積層微多孔性フィルムを電池用セパレータとして用いた場合、異常電流により電池の内部温度が上昇した際に、低融点の樹脂層が溶融しても高融点の樹脂層は溶融することなく保持されやすい傾向にある。その結果、電池用セパレータのフィルム形状又はシート形状が保持され、安全性がより向上する傾向にある。一方で、第1の樹脂組成物の融点TmAと第2の樹脂組成物の融点TmBとの差(TmA−TmB)は、好ましくは50℃以下であり、より好ましくは100℃以下であり、さらに好ましくは150℃以下である。融点の差(TmA−TmB)が150℃以下であることにより、積層微多孔性フィルムを電池用セパレータとして用いた場合、異常電流により電池の内部温度が上昇した際に、低融点の樹脂層が溶融しても高融点の樹脂層は溶融することなく保持されやすい傾向にある。その結果、電池用セパレータのフィルム形状又はシート形状が保持され、安全性がより向上する傾向にある。
積層フィルムは、第1の樹脂フィルムと第2の樹脂フィルムの積層体であるが、それらの積層の態様は特に限定されない。その態様の具体例としては、1つの第1の微多孔性フィルムと1つの第2の微多孔性フィルムとからなる積層フィルム(a)、1つの第1の微多孔性フィルムとその両側に積層された第2の微多孔性フィルムとからなる積層フィルム(b)、1つの第2の微多孔性フィルムとその両側に積層された第1の微多孔性フィルムとからなる積層フィルム(c)、第1の微多孔性フィルム−第2の微多孔性フィルム−第1の微多孔性フィルム−第2の微多孔性フィルムというように、それぞれの樹脂フィルムが交互に配置された積層フィルム(d)が挙げられる。このなかでも、本発明の効果をより有効かつ確実に発揮する観点から、上記(c)の態様が好ましい。
(第1の樹脂組成物)
第1の樹脂組成物としては、特に限定されず、上記と同様のものが挙げられる。
(第2の樹脂組成物)
第2の樹脂組成物としては、特に限定されず、上記と同様のものが挙げられる。このなかでも、エチレン系樹脂組成物が好ましい。エチレン系樹脂組成物を用いることにより、電池用セパレータに求められる複数の特性をより良好に兼ね備えることができる。
〔熱処理工程〕
本実施形態の積層微多孔性フィルムの製造方法は、共押出工程の後、延伸工程の前に、得られた積層フィルムに対し、熱処理(アニール)を施す熱処理工程をさらに有することが好ましい。アニール方法としては、特に限定されないが、例えば、積層フィルムを加熱ロール上に接触させる方法;積層フィルムを加熱気相中に曝す方法;積層フィルムを芯体上に巻き取り、加熱気相又は加熱液相中に曝す方法;及びこれらを組み合わせて行う方法等が挙げられる。
方法(a)において、積層フィルムをアニールする場合の加熱温度は、好ましくは(TmB−30)℃以上(TmB−2.0)℃以下であり、より好ましくは(TmB−15)℃以上(TmB−2.0)℃以下であり、さらに好ましくは(TmB−10)℃以上(TmB−2.0)℃以下である。加熱温度が上記範囲内であることにより、得られる積層微多孔性フィルムの気孔率、透気度及び熱収縮率のバランスがより向上する傾向にある。
方法(a)において、積層フィルムをアニールする場合の加熱時間は、好ましくは10秒間〜100時間であり、より好ましくは1分間〜10時間であり、さらに好ましくは1時間〜6時間である。加熱時間が上記範囲内であることにより、得られる積層微多孔性フィルムの気孔率、透気度及び熱収縮率のバランスがより向上する傾向にある。
方法(b)又は(c)において、第1の樹脂組成物から構成される第1の樹脂フィルム(以下、「高融点樹脂フィルム」ともいう。)を単独でアニールする場合の加熱温度は、好ましくは(TmA−50)℃以上(TmA−2.0)℃以下であり、より好ましくは(TmA−40)℃以上(TmA−10)℃以下であり、さらに好ましくは(TmA−40)℃以上(TmB−5.0)℃以下である。加熱温度が上記範囲内であることにより、得られる積層微多孔性フィルムの気孔率、透気度及び熱収縮率のバランスがより向上する傾向にある。なお、加熱時間は適宜決定され、特に限定されない。
一方、方法(b)又は(c)において、第2の樹脂組成物から構成される第2の樹脂フィルム(以下、「低融点樹脂フィルム」ともいう。)を単独でアニールする場合の加熱温度は、好ましくは(TmB−30)℃以上(TmB−2.0)℃以下であり、より好ましくは(TmB−15)℃以上(TmB−2.0)℃以下であり、さらに好ましくは(TmB−10)℃以上(TmB−2.0)℃以下である。加熱温度が上記範囲内であることにより、得られる積層微多孔性フィルムの気孔率、透気度及び熱収縮率のバランスがより向上する傾向にある。なお、加熱時間は適宜決定され、特に限定されない。
なお、上記加熱処理の条件は、積層フィルムを構成する樹脂組成物の組成等により適宜決定することができる。
上記のようにアニールは各樹脂フィルムを積層する前に行ってもよく、積層した後に行ってもよい。積層する前にアニールを施す場合、高融点樹脂フィルム及び低融点樹脂フィルムのそれぞれに適した条件でアニールを施すことができる。これにより、気孔率、透気度及び熱収縮率のバランスが更に良好な積層微多孔性フィルムが得られる傾向にある。一方、積層した後にアニールを施す場合、つまり、積層フィルムにアニールを施す場合、非晶部の比率が高いアニール前の樹脂から構成される樹脂フィルム同士を積層することになるため、樹脂フィルム同士の接着強度が高い積層微多孔性フィルムが得られる傾向にある。なお、樹脂フィルム同士は、例えば熱圧着により積層されてもよい。
〔延伸工程〕
延伸工程は、共押出工程で得られた積層フィルムを、乾式法により、歪速度が0.50〜3.0/秒となるように延伸して、積層微多孔性フィルムを形成する工程である。ここで「乾式法」とは、溶剤を用いない延伸開孔方法をいう。
延伸方法としては、特に限定されないが、例えば、冷延伸、熱延伸が挙げられ、より具体的には、下記熱延伸が挙げられる。延伸工程が、冷延伸工程及び熱延伸工程を含む場合においては、その少なくとも1つの工程が下記歪速度を満たせばよく、このなかでも、熱延伸工程が下記歪速度を満たすことが好ましい。熱延伸工程が下記歪速度を満たすことにより、従来よりトレードオフの関係にある強度と気孔率のバランスがより向上した得られる積層微多孔性フィルムのが得られる傾向にある。
歪速度は、0.10〜4.0/秒であり、好ましくは0.30〜4.0/秒であり、より好ましくは0.50〜3.0/秒である。歪速度が0.10/秒以上であることにより、強度がより向上する。また、歪速度が4.0/秒以下であることにより、気孔率がより向上する。一方で、歪速度が4.0/秒より大きい場合には、得られる積層微多孔性フィルムの強度と気孔率とのバランスが不十分となる。
ここで、「歪速度」は下記式で定義される。なお、ロール式の延伸機の場合、V1、V2はロール周速から導出され、Lはロール間の距離に相当する。
歪速度(/秒)=(V2−V1)/L
V1:延伸開始時の延伸速度(m/秒)
V2:延伸終了時の延伸速度(m/秒)
L :延伸長(m)
延伸工程としては、特に限定されないが、例えば、冷延伸工程及び/又は熱延伸工程を含むことが好ましく、少なくとも熱延伸工程を含むことがより好ましく、冷延伸工程及び熱延伸工程を含むことがさらに好ましい。以下、各工程についてより詳細説明する。
なお、上記方法(a)、方法(b)のように、予め第1の樹脂フィルムと、第2の樹脂フィルムと、を積層した積層フィルムを形成する場合、その積層フィルムに対して第1の延伸を施して延伸積層フィルムを得る冷延伸工程を含むことが好ましい。また、上記方法(c)のように、第1の樹脂フィルムと、第2の樹脂フィルムと、を別々に多孔化した後にそれらを積層する場合、各樹脂フィルムに対して第1の延伸を施して延伸積層フィルムを得る冷延伸工程を含むことが好ましい。
(冷延伸工程)
方法(a)及び方法(b)において、積層フィルムに対して冷延伸を施す場合、冷延伸工程における延伸温度は、好ましくは−20℃以上(TmB−60)℃以下であり、より好ましくは0℃以上50℃以下であり、さらに好ましくは0℃以上45℃以下である。冷延伸工程における延伸温度が−20℃以上であることにより、破断をより抑制できる傾向にある。また、冷延伸工程における延伸温度が(TmB−60)℃以下であることにより、得られる積層微多孔性フィルムの気孔率及び透気度がより向上する傾向にある。ここで、「冷延伸工程における延伸温度」とは、冷延伸工程におけるフィルムの表面温度を意味する。フィルムの表面温度は、接触式温度計により測定することができる(以下同様)。
方法(c)において、高融点樹脂フィルムを単独で冷延伸する場合の延伸温度は、好ましくは−20℃以上90℃以下であり、より好ましくは0℃以上50℃以下であり、さらに好ましくは0℃以上45℃以下である。冷延伸工程における延伸温度が−20℃以上であることにより、破断をより抑制できる傾向にある。また、冷延伸工程における延伸温度が90℃以下であることにより、得られる積層微多孔性フィルムの気孔率及び透気度がより向上する傾向にある。
一方、方法(c)において、低融点樹脂フィルムを単独で冷延伸する場合の延伸温度は、好ましくは(TmB−30)℃以上(TmB−2)℃以下であり、より好ましくは(TmB−25)℃以上(TmB−2)℃以下であり、さらに好ましくは(TmB−15)℃以上(TmB−2)℃以下である。冷延伸工程における延伸温度が上記範囲内であることにより、得られる積層微多孔性フィルムの気孔率、透気度、及び熱収縮率のバランスがより向上する傾向にある。
方法(a)〜(c)において、冷延伸工程における延伸倍率は、好ましくは1.05倍〜2.0倍であり、より好ましくは1.1倍〜2.0倍であり、さらに好ましくは1.1倍〜1.18倍である。冷延伸工程における延伸倍率が上記範囲内であることにより、得られる積層微多孔性フィルムの透気性がより向上する傾向にある。冷延伸は、少なくとも一方向に行い、フィルムの押出し方向(MD)及びフィルムの幅方向(TD)の両方向に行ってもよい。このなかでも、得られる積層微多孔性フィルムの透気性の観点から、フィルムの押出し方向にのみ一軸延伸を行うことが好ましい。
(熱延伸工程)
本実施形態の積層微多孔性フィルムの製造方法は、冷延伸工程の後に、冷延伸の延伸温度よりも高い温度で第2の延伸を施して積層微多孔性フィルムを得る熱延伸工程を含むことが好ましい。
方法(a)及び方法(b)において、積層フィルムに対して熱延伸を施す場合、熱延伸工程における延伸温度は、好ましくは(TmB−60)℃以上(TmB−2.0)℃以下であり、より好ましくは(TmB−45)℃以上(TmB−2.0)℃以下であり、さらに好ましくは(TmB−30)℃以上(TmB−2.0)℃以下である。熱延伸工程における延伸温度が(TmB−60)℃以上であることにより、破断をより抑制できる傾向にある。また、熱延伸工程における延伸温度が(TmB−2.0)℃以下であることにより、得られる積層微多孔性フィルムの気孔率及び透気度がより向上する傾向にある。ここで、「熱延伸工程における延伸温度」とは、熱延伸工程におけるフィルムの表面温度を意味する。
方法(a)及び方法(b)において、熱延伸工程における延伸倍率は、好ましくは1.05倍〜5.0倍であり、より好ましくは1.1倍〜5.0倍であり、さらに好ましくは2.0倍〜5.0倍である。熱延伸工程における延伸倍率が上記範囲内であることにより、得られる積層微多孔性フィルムの透気性がより向上する傾向にある。熱延伸は、少なくとも一方向に対して行い、MD、TD両方向に行ってもよい。このなかでも、得られる積層微多孔性フィルムの透気性の観点から、熱延伸は、冷延伸の延伸方向と同じ方向に行うことが好ましく、冷延伸の延伸方向と同じ方向にのみ一軸延伸を行うことがより好ましい。
方法(c)において、高融点樹脂フィルムを単独で熱延伸する場合、熱延伸工程における延伸温度は、好ましくは90℃以上150℃以下であり、より好ましくは100℃以上150℃以下であり、さらに好ましくは110℃以上150℃以下である。熱延伸工程における延伸温度が上記範囲内であることにより、得られる積層微多孔性フィルムの透気度がより向上する傾向にある。
また、方法(c)において、高融点樹脂フィルムを単独で熱延伸する場合、熱延伸工程における延伸倍率は、好ましくは1.05倍以上5.0倍以下であり、より好ましくは1.1倍以上5.0倍以下であり、さらに好ましくは2.0倍以上5.0倍以下である。熱延伸工程における延伸倍率が上記範囲内であることにより、得られる積層微多孔性フィルムの透気度がより向上する傾向にある。熱延伸は、少なくとも一方向に対して行い、MD、TDの両方向に行ってもよいが、冷延伸の延伸方向と同じ方向に行うことが好ましく、より好ましくは冷延伸の延伸方向と同じ方向にのみ一軸延伸を行うことである。
一方、方法(c)において、低融点樹脂フィルムを単独で熱延伸する場合、熱延伸工程における延伸温度は、好ましくは(TmB−60)℃以上(TmB−2.0)℃以下であり、より好ましくは(TmB−45)℃以上(TmB−2.0)℃以下であり、さらに好ましくは(TmB−30)℃以上(TmB−2.0)℃以下である。熱延伸工程における延伸温度が上記範囲内であることにより、得られる積層微多孔性フィルムの透気度がより向上する傾向にある。
また、方法(c)において、低融点樹脂フィルムを単独で熱延伸する場合、熱延伸工程における延伸倍率は、好ましくは1.05倍以上5.0倍以下であり、より好ましくは1.1倍以上5.0倍以下であり、さらに好ましくは2.0倍以上5.0倍以下である。熱延伸工程における延伸倍率が上記範囲内であることにより、得られる積層微多孔性フィルムの透気度がより向上する傾向にある。熱延伸は、少なくとも一方向に対して行い、MD、TDの両方向に行ってもよいが、冷延伸の延伸方向と同じ方向に行うことが好ましく、より好ましくは冷延伸の延伸方向と同じ方向にのみ一軸延伸を行うことである。
冷延伸工程及び熱延伸工程を行う順番は、特に限定されないが、例えば、冷延伸工程後に熱延伸工程を行う方法、熱延伸工程後に冷延伸工程を行う方法が挙げられる。このなかでも、得られる積層微多孔性フィルムの透気性の観点から、冷延伸工程後に熱延伸工程を行う方法が好ましい。
〔熱固定工程〕
本実施形態の積層微多孔性フィルムの製造方法は、延伸工程の後に、積層微多孔性フィルムに熱固定を施す熱固定工程を含むことが好ましい。熱固定工程を有することにより、延伸時に作用した応力残留による積層微多孔性フィルムの延伸方向への収縮を抑制できる上、得られる積層微多孔性フィルムの層間剥離強度を向上させることができる傾向にある。この熱固定の方法としては、熱固定後の積層微多孔性フィルムの長さが、熱固定前の長さから3〜50%減少する程度に熱収縮させる方法(以下、この方法を「緩和」という。)、延伸方向の寸法が熱固定前後で変化しないように固定する方法等が挙げられる。
方法(a)及び方法(b)において、積層フィルムに対して熱固定を施す場合、熱固定温度は、好ましくは(TmB−30)℃以上(TmB−2.0)℃以下であり、より好ましくは(TmB−25)℃以上(TmB−2.0)℃以下であり、さらに好ましくはTmB−15)℃以上(TmB−2.0)℃以下である。熱固定温度が上記範囲内であることにより、得られる積層微多孔性フィルムの透気度がより向上する傾向にある。ここで、「熱固定温度」とは、熱固定工程におけるフィルムの表面温度を意味する。
方法(c)において、高融点樹脂フィルムを単独で熱固定する場合、熱固定温度は、好ましくは100℃以上160℃以下であり、より好ましくは120℃以上160℃以下であり、さらに好ましくは130℃以上155℃以下である。熱固定温度が上記範囲内であることにより、得られる積層微多孔性フィルムの熱収縮率がより低下する傾向にある。
一方、方法(c)において、低融点樹脂フィルムを単独で熱固定する場合、熱固定温度は、好ましくは(TmB−30)℃以上(TmB−2)℃以下であり、より好ましくは(TmB−25)℃以上(TmB−2)℃以下であり、さらに好ましくは(TmB−15)℃以上(TmB−2)℃以下である。熱固定温度が上記範囲内であることにより、得られる積層微多孔性フィルムの熱収縮率がより低下する傾向にある。
上記冷延伸工程、熱延伸工程、その他の延伸工程及び熱固定工程においては、ロール、テンター、オートグラフ等により、1段階又は2段階以上で、1軸方向及び/又は2軸方向に延伸、熱固定する方法を採用し得る。これらの中でも、本実施形態で得られる積層微多孔性フィルムに要求される物性や用途の観点から、ロールによる2段階以上の1軸延伸、熱固定を施すことが好ましい。
なお、方法(b)においては、積層フィルムにおける各樹脂フィルム間の剥離強度の観点から、高融点樹脂フィルム及び低融点樹脂フィルムを加熱されたロール間に通し、熱圧着することが好ましい。この場合、各樹脂フィルムは、原反ロールスタンドから巻き出され、加熱されたロール間でニップされ圧着されることで積層されてもよい。積層の際は、各樹脂フィルムの熱処理後の弾性回復率が実質的に低下しないように熱圧着するのが好ましい。そのように熱圧着するには、例えば、熱圧着温度を調節すればよい。各樹脂フィルムを別々に押出成形して、更に延伸してそれぞれ多孔化した微多孔化フィルムを得た後にそれらの微多孔化フィルムを貼合する場合も同様である。
方法(b)において、加熱されたロールの温度、換言すると熱圧着温度は、好ましくは120℃以上140℃以下であり、より好ましくは125℃以上135℃以下であり、さらに好ましくは127℃以上132℃以下である。熱圧着温度が120℃以上であることにより、積層フィルムにおける各樹脂フィルム間の剥離強度が高くなり、その後の各延伸工程で剥がれが生じ難くなる傾向にある。また、熱圧着温度が140℃以下であることにより、低融点樹脂フィルムが溶解してその弾性回復率が低下することをより抑制でき、所期の課題を解決し得る積層微多孔性フィルムが、さらに得られやすくなる傾向にある。
方法(b)において、熱圧着におけるニップ圧は、好ましくは1.0〜3.0kg/cm2である。また、巻き出し速度は、好ましくは0.50〜8.0m/分である。さらに、積層フィルムの剥離強度は、好ましくは3.0〜60g/15mmであり、上記から明らかなとおり、熱圧着温度を調整することにより制御することができる。なお、積層フィルムの剥離強度は、積層フィルムの一端を一部剥離したサンプルにおいて、剥離した両フィルムの一端を引張試験機の所定位置にセットし、300mm/分の速度で長さ方向に伸長することによって剥離するときの張力を測定することにより測定することができる。
〔電池用セパレータ〕
本実施形態の電池用セパレータは、上記積層微多孔性フィルムを含む。本実施形態における積層微多孔性フィルムは、電池用セパレータ、より具体的にはリチウム二次電池用セパレータとして好適に用いられる。また、その他、各種分離膜としても用いられる。
なお、本明細書中の各物性は、特に明記しない限り、以下の実施例に記載された方法に準じて測定することができる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施の形態をより具体的に説明するが、本実施形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例における各種特性の評価方法は以下の通りである。
(1)融点
JIS K−7121に準拠した方法により、樹脂組成物の融点を測定した。この測定を少なくとも3回実施し、その平均値を融点の値とした。
(2)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210に準拠して、ポリプロピレンについては230℃、2.16kgの条件で、ポリエチレンについては190℃、2.16kgの条件でMFR(単位:g/10分)を測定した。この測定を少なくとも3回実施し、その平均値をMFRの値とした。
(3)分子量,分子量分布(Mw/Mn)
樹脂組成物における樹脂の分子量分布は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)から求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比Mw/Mnの値として、算出した。具体的には、分子量の校正を、ポリスチレンで行い、ポリスチレン換算分子量でMw及びMnを求め、分子量分布を導出した。GPC測定条件を以下に示す。
GPC装置 :東ソー社製、商品名「HLC−8121GPC/HT」
カラム :東ソー社製、商品名「TSKgel GMHHR−H(20)」(2本)を直列して用いた
移動相 :o−ジクロロベンゼン(o−DCB)
カラム温度 :155℃
流量 :1.0mL/分
試料濃度 :0.5mg/mL(o−DCB)
注入量 :500μL
試料溶解温度:160℃
試料溶解時間:3時間
(4)密度
樹脂組成物の密度(単位:kg/m3)をJIS K7112に準拠して測定した。この測定を少なくとも3回実施し、その平均値を密度の値とした。
(5)伸長粘度、せん断粘度
積層微多孔性フィルムの伸長粘度・せん断粘度は、流入圧力損失法を用い、Cogswellの理論[Polymer Engineering Science、12、64(1972)]にしたがって測定を行うことにより得た。測定装置として、ロザンド社製のツインキャピラリーレオメーターを用い、オリフィスは、以下に示すロングダイ及びショートダイを用い、温度200℃、伸長歪み速度10s-1の条件で測定を行った。
ロングダイ :長さ16mm、直径1mm、流入角180°
ショートダイ:長さ0.25mm、直径1mm、流入角180°
(6)膜厚(μm)
積層微多孔性フィルムの膜厚を、ダイヤルゲージ(尾崎製作所社製、商品名「PEACOCK No.25」)にて測定した。この測定を少なくとも5回実施し、その平均値を密度の値とした。
(7)気孔率(%)
積層微多孔性フィルムから10cm×10cm角のサンプルを切り出し、そのサンプルの体積と質量とから下記式を用いて算出した。この測定を少なくとも5回実施し、その平均値を気孔率の値とした。
気孔率(%)=(積層微多孔性フィルムの体積(cm3)−積層微多孔性フィルムの質量(g)/積層微多孔性フィルムを構成する樹脂組成物の密度(g/cm3))/積層微多孔性フィルムの体積(cm3)×100
(8)透気度(秒/100cc)
JIS P−8117に準拠したガーレー式透気度計にて積層微多孔性フィルムの透気度を測定した。なお、膜厚の測定値に基づいて、膜厚20μm当たりの透気度に換算し、上記測定を少なくとも5回実施して、その平均値を透気度の値とした。
(9)熱収縮率
積層微多孔性フィルムから12cm×12cm角のサンプルを切り出し、そのサンプルのMD方向に10cm間隔で2つの印を付け、サンプルを紙で挟んだ状態で、100℃のオーブン中に60分間静置した。オーブンからサンプルを取り出し冷却した後、印間の長さ(cm)を測定し、下記式にてMD方向の熱収縮率を算出した。
熱収縮率(%)=(10−加熱後の印間の長さ(cm))/10×100
(10)突刺強度(N)
(株)カトーテック社製のハンディー圧縮試験器「KES−G5型」に、直径1mm、先端の曲率半径0.5mmの針を装着し、温度23±2℃、針の移動速度0.2cm/secで積層微多孔性フィルムの突刺試験を行った。なお、膜厚の測定値に基づいて、膜厚20μm当たりに換算したものを突刺強度とした。すなわち、下記式に基づいて、突刺強度を求めた。この測定を、少なくとも5回実施し、その平均値を突刺強度の値とした。
突刺強度(N)=測定突刺強度×20/膜厚
尚、使用した樹脂は以下の通りである。
ポリプロピレン(a−1):プロピレンホモポリマー、プライムポリマー製E111G、融点が165℃、MFRが0.5g/10分
ポリプロピレン(a−2):プロピレンホモポリマー、プライムポリマー製J105G、融点が165℃、MFRが9.0g/10分
ポリプロピレン(a−3):プロピレンホモポリマー、日本ポリプロ製MA4AHB、融点が165℃、MFRが5.9g/10分
ポリエチレン(b−1):東ソー製、融点が136℃、MFRが0.25g/10分
ポリエチレン(b−2):プライムポリマー製、融点が136℃、MFRが0.32g/10分
ポリエチレン(b−3):旭化成ケミカルズ製、融点が136℃、MFRが1.3g/10分
[実施例1]
ポリプロピレン(a−1)50質量部とポリプロピレン(a−3)50質量部を混合したポリプロピレン(A−1)を、口径20mm、L/D(L:押出機の原料供給口から排出口までの距離(m)、D:押出機の内径(m)。以下、同じ。)=30、220℃に設定した単軸押出機にフィーダーを介して投入し、ポリエチレン(b−1)を、口径20mm、L/D=30、200℃に設定した単軸押出機にフィーダーを介して投入し、押出機先端に設置したリップ厚3.0mmの共押Tダイから押し出した。その後直ちに、溶融した樹脂に25℃の冷風を当て、95℃に冷却したキャストロールでドロー比200倍、巻き取り速度15m/分の条件で巻き取り、外層が高融点樹脂フィルム、内層が低融点樹脂フィルムの構造を有する3層積層フィルム(Af−1)を成形した(共押出工程)。この積層フィルム(Af−1)に対して130℃に加熱された熱風循環オ−ブン中で6時間アニールを施した(アニール工程)。なお、ポリプロピレン(A−1)の融点は165℃であり、MFRは1.9g/10分であった。
次に、アニール後の積層フィルムを25℃の温度で縦方向に1.3倍で一軸延伸して、延伸積層フィルムを得た(冷延伸工程)。次いで、延伸積層フィルムを120℃の温度で縦方向に3.0倍で一軸延伸(歪速度:2.0/秒)して積層微多孔性フィルムを得た(熱延伸工程)。その後、130℃の温度で0.8倍に緩和させて熱固定を施し(熱固定工程)、積層微多孔性フィルムを得た。得られた積層微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、熱収縮率、及び突刺強度を測定した。その結果を表1に示す。
[実施例2]
ポリプロピレン(A−1)の代わりに、ポリプロピレン(a−1)70質量部とポリプロピレン(a−2)30質量部を混合したポリプロピレン(A−2)を用い、ポリエチレン(b−1)の代わりに、ポリエチレン(b−2)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法により共押出工程及びアニール工程を行い、外層が高融点樹脂フィルム、内層が低融点樹脂フィルムの構造を有する3層積層フィルム(Af−2)を得た。なお、ポリプロピレン(A−2)の融点は165℃であり、MFRは1.2g/10分であった。
次に、実施例1と同様の方法により、3層積層フィルム(Af−2)に対し、冷延伸工程、熱延伸工程、熱固定工程を行い、積層微多孔性フィルムを得た。得られた積層微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、熱収縮率、及び突刺強度を測定した。その結果を表1に示す。
[比較例1]
ポリプロピレン(A−1)の代わりに、ポリプロピレン(A−2)を用い、ポリエチレン(b−1)の代わりに、ポリエチレン(b−2)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法により共押出工程及びアニール工程を行い、外層が高融点樹脂フィルム、内層が低融点樹脂フィルムの構造を有する3層積層フィルム(Af−3)を得た。
次に、熱固定工程における倍率を0.95倍としたこと以外は、実施例1と同様の方法により、3層積層フィルム(Af−3)に対し、冷延伸工程、熱延伸工程、熱固定工程を行い、積層微多孔性フィルムを得た。得られた積層微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、熱収縮率、及び突刺強度を測定した。その結果を表1に示す。
[比較例2]
ポリプロピレン(A−1)の代わりに、ポリプロピレン(a−1)50質量部とポリプロピレン(a−2)50質量部を混合したポリプロピレン(A−3)を用い、ポリエチレン(b−1)の代わりに、ポリエチレン(b−2)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法により共押出工程及びアニール工程を行い、外層が高融点樹脂フィルム、内層が低融点樹脂フィルムの構造を有する3層積層フィルム(Af−4)を得た。なお、ポリプロピレン(A−3)の融点は165℃であり、MFRは2.1g/10分であった。
次に、実施例1と同様の方法により、3層積層フィルム(Af−4)に対し、冷延伸工程、熱延伸工程、熱固定工程を行い、積層微多孔性フィルムを得た。得られた積層微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、熱収縮率、及び突刺強度を測定した。その結果を表1に示す。
[比較例3]
ポリプロピレン(A−1)の代わりに、ポリプロピレン(A−3)を用い、ポリエチレン(b−1)の代わりに、ポリエチレン(b−3)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法により共押出工程及びアニール工程を行い、外層が高融点樹脂フィルム、内層が低融点樹脂フィルムの構造を有する3層積層フィルム(Af−5)を得た。
次に、実施例1と同様の方法により、3層積層フィルム(Af−4)に対し、冷延伸工程、熱延伸工程、熱固定工程を行い、積層微多孔性フィルムを得た。得られた積層微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、熱収縮率、及び突刺強度を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2016022676
表1に示すように、特定の伸長粘度・せん断粘度を有する実施例1〜2の積層微多孔性フィルムが、透気性・熱収縮性のバランスが良好であり、更に特定の伸長粘度・せん断粘度を有した実施例1の微多孔性フィルムが、熱延伸による歪速度が大きくても透気性・熱収縮性のバランスが良好であることが分かった。
本発明の積層微多孔性フィルムは、電池用セパレータ、特にリチウムイオン二次電池用セパレータとしての産業上利用可能性を有する。

Claims (7)

  1. 融点TmAを有する第1の樹脂組成物を含む第1の微多孔性フィルムと、
    前記融点TmAよりも低い融点TmBを有する第2の樹脂組成物を含む第2の微多孔性フィルムと、を備え、
    伸長粘度が、18000〜40000Pa・sであり、
    せん断粘度が、5000〜10000Pa・sである、積層微多孔性フィルム。
  2. 膜厚が、16μm以下である、請求項1に記載の積層微多孔性フィルム。
  3. 透気度が、10〜5000秒/100ccである、請求項1又は2に記載の積層微多孔性フィルム。
  4. 前記第2の樹脂組成物がエチレン系樹脂組成物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層微多孔性フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層微多孔性フィルムを含む、電池用セパレータ。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層微多孔性フィルムの製造方法であって、
    融点TmAを有する第1の樹脂組成物を含む第1の樹脂フィルムと、前記融点TmAよりも低い融点TmBを有する第2の樹脂組成物を含む第2の樹脂フィルムと、を有する積層フィルムを、共押出法により形成する共押出工程と、
    前記共押出工程で得られた積層フィルムを、乾式法により、歪速度が0.10〜4.0/秒となるように延伸して、積層微多孔性フィルムを形成する延伸工程と、をこの順で有する、
    積層微多孔性フィルムの製造方法。
  7. 前記第2の樹脂組成物がエチレン系樹脂組成物である、請求項6に記載の積層微多孔性フィルムの製造方法。
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