JP2016020473A - フルオレン骨格を有するフェノキシ樹脂及びその製造方法並びに成形体 - Google Patents

フルオレン骨格を有するフェノキシ樹脂及びその製造方法並びに成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】9,9−ビス縮合多環式アリールフルオレン骨格を有していても、比較的高分子量で、成形性に優れるフェノキシ樹脂を提供する。【解決手段】下記式(A1)で表される化合物を含むエポキシ化合物(A)と、ビスフェノールアセトフェノンなどのフェノール化合物(B)とを反応させる。(式中、環Zは縮合多環式アレーン環、R1は置換基を示し、R2はアルキレン基を示し、R3及びR4は置換基を示し、kは0〜4の整数、mは0以上の整数、nは0〜3の整数、pは0以上の整数である)【選択図】なし

Description

本発明は、フルオレン骨格を有する新規なフェノキシ樹脂、その製造方法及び前記フェノキシ樹脂で形成された成形体に関する。
フェノキシ樹脂は、ポリヒドロキシ樹脂としても知られており、透明性、可撓性、耐衝撃性、密着性、機械的特性などに優れることから、熱可塑性樹脂として、あるいは硬化剤と併用した硬化性樹脂として重要な材料である。
一方、耐熱性などの特性を向上させるためには、ベンゼン骨格等の剛直な骨格を導入すればよいことが知られており、フェノキシ樹脂についても、フルオレン骨格やハイドロキノン骨格を導入する試みがなされている。
例えば、特開平11−279260号公報(特許文献1)には、エポキシ樹脂組成物を構成するフェノキシ樹脂として、ジフェニルメタン骨格や9,9−ビスフェニルフルオレン骨格を有するフェノキシ樹脂が開示されている。
また、特開2008−255308号公報(特許文献2)には、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類や9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類などで構成されたフェノール類を重合成分とするフェノキシ樹脂が開示されている。
特許文献1及び2には、フェノキシ樹脂の製造方法として、(i)二価フェノールとエピクロロヒドリンとの直接反応による方法、(ii)二価フェノールとのジグリシジルエーテルと二価フェノールとの付加重合方法が知られている。また、これらの文献の実施例では、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、又は6,6’−(9−フルオレニリデン)−ジ(2−ナフトール)などの二価フェノールと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂とを反応させた例が開示されている。さらに、特許文献1及び2では、合成上容易であるとの認識があるためか、フルオレン骨格を二価フェノールとしてフェノキシ樹脂に導入されている。
しかし、二価フェノールの中でもフルオレン骨格を有するフェノール類を、フェノールとして用いると、重合が進行し難く、十分に分子量を大きくできなかったり、成形性に乏しいフェノキシ樹脂が得られる場合がある。特に、このような傾向は、フルオレン骨格を有するフェノール類の中でも、9,9−ビス縮合多環式アリールフルオレン骨格を有するフェノール類において顕著である。すなわち、9,9−ビス縮合多環式アリールフルオレン骨格を有するフェノキシ樹脂は、9,9−ビスフェニルフルオレン骨格を有するフェノキシ樹脂などに比べても、より優れた特性(例えば、耐熱性、屈折率など)が期待できるものの、より一層分子量を大きくできず、実用性のある樹脂が得られない。
特開平11−279260号公報(特許請求の範囲、段落[0014]、実施例) 特開2008−255308号公報(特許請求の範囲、段落[0046]、実施例)
従って、本発明の目的は、9,9−ビス縮合多環式アリールフルオレン骨格を有するフェノキシ樹脂を効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、9,9−ビス縮合多環式アリールフルオレン骨格を有していても、分子量が大きく、膜保持性や機械的特性(引張強度や弾性率など)、耐熱性、電気絶縁性などの実用性に優れたフェノキシ樹脂を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、9,9−ビス縮合多環式アリールフルオレン骨格を有するフェノキシ樹脂の自立膜を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、9,9−ビス縮合多環式アリール骨格を有する場合には、二価フェノールとしてではなく、グリシジルエーテル化物として、特定の二価フェノールと反応させると、比較的高分子量(又は高重合度)のフェノキシ樹脂が効率よく得られること、特に、このようなフェノキシ樹脂は、単独で高い膜保持性を有する自立膜を形成できるほど、十分な成形性を有するとともに、ガラス転移温度も高く、耐熱性に優れた樹脂であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の製造方法は、下記式(A1)で表される化合物を含むエポキシ化合物(A)と、下記式(B1)で表される化合物を含むフェノール化合物(B)とを反応させて、フェノキシ樹脂を製造する方法である。
Figure 2016020473
(式中、環Zは縮合多環式アレーン環、Rは置換基を示し、Rはアルキレン基を示し、R及びRは置換基を示し、kは0〜4の整数、mは0以上の整数、nは0〜3の整数、pは0以上の整数である)
Figure 2016020473
(式中、Rは水素原子又は炭化水素基を示し、R及びRは置換基を示し、qは0〜4の整数、rは0〜5の整数を示す)。
前記式(A1)において、Zは、特に、ナフタレン環であってもよい。また、式(A1)において、Rはアルキル基であってもよく、kは0〜1程度であってもよく、RはC2−4アルキレン基であってもよく、mは0〜10程度であってもよい、nは0であってもよく、Rはアルキル基又はアリール基であってもよく、pは0〜4程度であってもよい。
特に、前記式(A1)において、mは0であってもよく、前記式(A1)で表される化合物は、代表的には、9,9−ビス(グリシジルオキシナフチル)フルオレンであってもよい。
エポキシ化合物(A)は、式(A1)で表される化合物を30モル%以上(特に、50モル%以上)の割合で含んでいてもよい。
また、前記式(B1)において、R及びRはアルキル基又はアリール基であってもよく、qは0〜2程度であってもよく、Rはアルキル基であってもよく、rは0〜1程度であってもよい。
前記フェノール化合物(B)は、さらにビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類を含んでいてもよい。
本発明には、前記式(A1)で表される化合物を含むエポキシ化合物(A)と、前記式(B1)で表される化合物を含むフェノール化合物(B)との反応により得られるフェノキシ樹脂(又は前記方法により得られるフェノキシ樹脂)も含まれる。このようなフェノキシ樹脂の重量平均分子量は、例えば15000以上であってもよい。また、フェノキシ樹脂は、高い弾性率を有しており、例えば、動的粘弾性分析(DMA)法で測定される貯蔵弾性率において10MPaとなる温度が、95℃以上であってもよい。さらに、フェノキシ樹脂は、耐熱性に優れており、示差走査熱量計(DSC)によるガラス転移温度が100℃以上であってもよい。
また、本発明には、前記フェノキシ樹脂で形成された成形体も含まれる。本発明のフェノキシ樹脂(又は前記方法により得られるフェノキシ樹脂)は、通常、自立膜を形成できる。そのため、本発明には、前記式(A1)で表される化合物を含むエポキシ化合物(A)と、前記式(B1)で表される化合物を含むフェノール化合物(B)との反応により得られるフェノキシ樹脂で構成された自立膜も含まれる。
本発明の方法では、9,9−ビス縮合多環式アリールフルオレン骨格を有していても、効率よく重合を進行させることができる。そのため、9,9−ビス縮合多環式アリールフルオレン骨格を有するフェノキシ樹脂を効率よく製造できる。また、本発明のフェノキシ樹脂は、9,9−ビス縮合多環式アリールフルオレン骨格を有していても、比較的高分子量であり、成膜も可能であるなど、十分な成形性を有している。特に、本発明のフェノキシ樹脂は、単独で高い膜保持性を有する自立膜を形成できるほど、成膜性又は成形性に優れている。しかも、高耐熱性、高弾性率、高強度、光学的特性(高屈折率など)、電気特性(電気絶縁性など)などの優れた特性を有している。このように本発明のフェノキシ樹脂は、実用性に極めて優れており、有用性も高い。
図1は、実施例1で得られたフェノキシ樹脂の動的粘弾特性の測定結果を示すグラフである。 図2は、実施例2で得られたフェノキシ樹脂の動的粘弾特性の測定結果を示すグラフである。 図3は、実施例3で得られたフェノキシ樹脂の動的粘弾特性の測定結果を示すグラフである。
<フェノキシ樹脂の製造方法>
本発明では、エポキシ化合物(A)と、フェノール化合物(B)とを反応させて、フェノキシ樹脂を製造するにあたり、エポキシ化合物として、特定のエポキシ化合物を使用し、かつフェノール化合物として、特定のビスフェノール化合物を使用する。
[エポキシ化合物(A)]
エポキシ化合物(A)は、下記式(A1)で表される化合物を少なくとも含む。
Figure 2016020473
(式中、環Zは縮合多環式アレーン環、Rは置換基を示し、Rはアルキレン基を示し、Rは置換基を示し、Rは置換基を示し、kは0〜4の整数、mは0以上の整数、nは0〜3の整数、pは0以上の整数である)。
前記式(A1)において、環Zで表される縮合多環式アレーン環としては、縮合二環式アレーン(例えば、ナフタレンなどのC8−20縮合二環式炭化水素、好ましくはC10−16縮合二環式アレーン)環、縮合三環式アレーン(例えば、アントラセン、フェナントレンなど)環などの縮合二乃至四環式アレーン環などが挙げられる。好ましい縮合多環式アレーン環としては、ナフタレン環、アントラセン環などが挙げられ、特にナフタレン環が好ましい。なお、2つの環Zは同一の又は異なる環であってもよく、通常、同一の環であってもよい。
基Rで表される置換基としては、特に限定されないが、通常、非反応性置換基、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基などのC6−10アリール基)など]などである場合が多く、特に、シアノ基又はアルキル基(特にアルキル基)であってもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−6アルキル基(例えば、C1−4アルキル基、特にメチル基)などが例示できる。なお、kが複数(2以上)である場合、基Rは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、フルオレン(又はフルオレン骨格)を構成する2つのベンゼン環に置換する基Rは同一であってもよく、異なっていてもよい。また、フルオレンを構成するベンゼン環に対する基Rの結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換数kは、0〜2、好ましくは0〜1、特に0である。なお、フルオレンを構成する2つのベンゼン環において、置換数kは、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
基Rで表されるアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、1,2−ブタンジイル基、テトラメチレン基などのC2−6アルキレン基、好ましくはC2−4アルキレン基、さらに好ましくはC2−3アルキレン基が挙げられる。なお、mが2以上であるとき、アルキレン基は異なるアルキレン基で構成されていてもよく、通常、同一のアルキレン基で構成されていてもよい。また、2つの環Zにおいて、基Rは同一であっても、異なっていてもよく、通常同一であってもよい。
オキシアルキレン基(OR)の数(付加モル数)mは、用途や所望の性能に応じて、例えば0〜25(例えば0〜20)程度の範囲から選択でき、通常、0〜18(例えば0〜15)、好ましくは0〜12(例えば0〜10)、さらに好ましくは0〜8(例えば0〜7)であってもよい。特に高耐熱性などの観点からは、mは、0〜4、好ましくは0〜2、さらに好ましくは0〜1、特に0であってもよい。
また、2つのmの合計は、例えば0〜30(例えば0〜25)、好ましくは0〜20(例えば0〜18)、さらに好ましくは0〜16(例えば0〜14)であってもよく、特に0〜8程度であってもよい。
なお、2つのmの合計により、種々の特性(屈折率、耐熱性など)がやや変化する。そのため、所望の特性に応じて、2つのmの合計を調整してもよい。例えば、式(A1)において、2つのmの合計を比較的小さく[例えば0〜6、好ましくは0〜5、さらに好ましくは0〜4、特に0〜2(例えば0)程度に]してもよい。
なお、前記式(A1)で表される化合物は、mの値が同一の化合物の集合体であってもよく、mの値が異なる化合物の集合体であってもよい。後者の場合、mの値及び2つのmの合計は、平均値(相加平均又は算術平均)である。
としては、例えば、炭化水素基(前記例示の炭化水素基)などの非反応性置換基が挙げられる。代表的なRには、アルキル基[例えば、メチル基などの前記Rの項で例示の基(例えば、C1−4アルキル基)]が含まれる。
また、Rの置換数nは、0〜3であればよいが、好ましくは0〜1、特に0である。なお、nが2又は3であるとき、複数のRは同一の又は異なる基であってもよい。
また、置換基Rとしては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのC1−12アルキル基、好ましくはC1−8アルキル基、さらに好ましくはC1−6アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロへキシル基などのC5−10シクロアルキル基、好ましくはC5−8シクロアルキル基、さらに好ましくはC5−6シクロアルキル基など)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などのC6−14アリール基、好ましくはC6−10アリール基、さらに好ましくはC6−8アリール基など)などの炭化水素基;アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのC1−12アルコキシ基、好ましくはC1−8アルコキシ基、さらに好ましくはC1−6アルコキシ基など)、シクロアルコキシ基(C5−10シクロアルコキシ基など)、アリールオキシ基(C6−10アリールオキシ基など)などの基−OR[式中、Rは炭化水素基(前記例示の炭化水素基など)を示す];アルキルチオ基(メチルチオ基などのC1−20アルキルチオ基、好ましくはC1−8アルキルチオ基、さらに好ましくはC1−6アルキルチオ基など)などの基−SR(式中、Rは前記と同じ);アシル基(アセチル基などのC1−6アシル基など);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニル基など);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など);ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基;アミノ基;カルバモイル基;置換アミノ基(例えば、ジメチルアミノ基などのジアルキルアミノ基など);スルホニル基;ヒドロキシル基;ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ基(例えば、2−ヒドロキシエトキシ基などのヒドロキシ(ポリ)C2−4アルコキシ基など);メルカプト基;これらの置換基同士が結合した置換基[例えば、アルコキシアリール基(例えば、メトキシフェニル基などのC1−4アルコキシC6−10アリール基)、アルコキシカルボニルアリール基(例えば、メトキシカルボニルフェニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニルC6−10アリール基など)]などが挙げられる。
これらのうち、代表的には、基Rは、非反応性置換基、例えば、炭化水素基、−OR(式中、Rは前記と同じ)、−SR(式中、Rは前記と同じ)、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基などであってもよい。
好ましい基Rとしては、炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、C1−6アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、C5−8シクロアルキル基)、アリール基(例えば、C6−10アリール基)、アラルキル基(例えば、C6−8アリール−C1−2アルキル基)など]、アルコキシ基(C1−4アルコキシ基など)などが挙げられる。特に、Rは、アルキル基[C1−4アルキル基(特にメチル基)など]、アリール基[例えば、C6−10アリール基(特にフェニル基)など]などの炭化水素基(特に、アルキル基)であるのが好ましい。なお、Rは、同一の又は異なる環Zにおいて、同一又は異なる基であってもよい。
なお、基Rの置換数pは、環Zの種類などに応じて適宜選択でき、例えば0〜4(特に0〜3)程度であればよく、好ましくは0〜2、さらに好ましくは0〜1(特に0)程度であってもよい。
なお、エポキシ基(又はエポキシ基含有基)の環Zに対する置換位置は、特に限定されないが、縮合多環式アレーン環Zにおいて、フルオレンの9位に結合した炭化水素環とは別の炭化水素環に置換している場合が多い。例えば、環Zがナフタレン環である場合、エポキシ基の置換位置は、5〜8位である場合が多く、例えば、フルオレンの9位に対して、1,5位、2,6位などの関係(特に2,6位の関係)である場合が多い。
代表的な前記式(A1)で表される化合物としては、例えば、9,9−ビス(グリシジルオキシナフチル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(6−グリシジルオキシ−2−ナフチル)フルオレン、9,9−ビス(5−グリシジルオキシ−1−ナフチル)フルオレン]などの前記式(A1)において、mが0である化合物;9,9−ビス(グリシジルオキシアルコキシナフチル)フルオレン{例えば、9,9−ビス[6−(2−グリシジルオキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[5−(2−グリシジルオキシエトキシ)−1−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−(3−グリシジルオキシプロポキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−(2−グリシジルオキシプロポキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−(4−グリシジルオキシブトキシ)−2−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス[(グリシジルオキシC2−4アルコキシ)ナフチル]フルオレン}、9,9−ビス(グリシジルオキシポリアルコキシナフチル)フルオレン{例えば、9,9−ビス{6−[2−(2−グリシジルオキシエトキシ)エトキシ]−2−ナフチル}フルオレン、9,9−ビス{5−[2−(2−グリシジルオキシエトキシ)エトキシ]−1−ナフチル}フルオレン、9,9−ビス{6−[2−(3−グリシジルオキシプロポキシ)エトキシ]−2−ナフチル}フルオレンなどの9,9−ビス[(グリシジルオキシジ乃至テトラC2−4アルコキシ)ナフチル]フルオレンなど}などの前記式(A1)においてmが1以上(例えば1〜4、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2、特に1)である化合物などが含まれる。
なお、式(A1)で表される化合物は、市販品を用いてもよく、慣用の方法{例えば、式(A1)に対応するヒドロキシル基含有化合物[例えば、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシナフチル)フルオレンなど]と、エピハロヒドリン(例えば、エピクロロヒドリンなど)とを反応させる方法など}により合成した化合物を用いてもよい。
(他のエポキシ化合物)
エポキシ化合物(A)は、式(A1)で表される化合物のみで構成してもよく、必要に応じて他のエポキシ化合物(A2)をさらに含んでいてもよい。
エポキシ化合物(A2)は、特に限定されず、単官能性エポキシ化合物であってもよいが、反応性及びフェノキシ樹脂の分子量を向上できる点から、二官能以上のエポキシ化合物であるのが好ましく、二官能性エポキシ化合物であるのが特に好ましい。
二官能性エポキシ化合物には、グリシジルエステル型化合物、グリシジルエーテル型化合物などが含まれる。
グリシジルエステル型化合物としては、例えば、芳香族ジカルボン酸(フタル酸など)又はその水添物(テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸など)とエピクロロヒドリンとの反応物、ダイマー酸グリシジルエステルなどが挙げられる。
グリシジルエーテル型化合物には、ビスフェノール系エポキシ樹脂(ビスフェノール型エポキシ樹脂又はビスフェノール類を原料とするエポキシ樹脂)、ナフタレン系エポキシ樹脂(ナフタレン型エポキシ樹脂又はジヒドロキシナフタレン類を原料とするエポキシ樹脂)、脂環族ジオール類のジグリシジルエーテル、縮合環骨格を有するジオール類のジグリシジルエーテル、前記式(A1)の範疇に属さないフルオレン骨格を有するジグリシジルエーテル(フルオレン系エポキシ樹脂)などが含まれる。
ビスフェノール系エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール類又はそのアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのC2−4アルキレンオキシド)付加体(例えば、アルキレンオキシドがヒドロキシ基1モルあたり平均1〜10モル、好ましくは1〜6モル、さらに好ましくは1〜4モル程度付加した付加体)のジグリシジルエーテル、これらのジグリシジルエーテルがさらに反応(付加重合)したエポキシ樹脂などが挙げられる。ビスフェノール類としては、後述のフェノール化合物の項で例示されているビスフェノール類[例えば、ビスフェノールAなどのビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類]などが挙げられる。
ナフタレン系エポキシ樹脂としては、例えば、ナフタレンジオール類又はそのアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのC2−4アルキレンオキシド)付加体(例えば、アルキレンオキシドがヒドロキシ基1モルあたり平均1〜10モル、好ましくは1〜6モル、さらに好ましくは1〜4モル程度付加した付加体)のジグリシジルエーテル(例えば、1,5−ジ(グリシジルオキシ)ナフタレン、1,6−ジ(グリシジルオキシ)ナフタレン、2,6−ジ(グリシジルオキシ)ナフタレン、2,7−ジ(グリシジルオキシ)ナフタレン、2,7−ジ(2−メチル−2,3−エポキシプロポキシ)ナフタレンなどのジ(グリシジルオキシ)ナフタレン類;2,2’−ジグリシジルオキシビナフタレン、ビス(2−グリシジルオキシナフチル)メタンなどのビス(グリシジルオキシナフチル)C1−6アルカンなどのビスナフトール類のジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
脂環族ジオール類のジグリシジルエーテルとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
縮合環骨格を有するジオール類のジグリシジルエーテルとしては、例えば、9−フェニル−2,7−ジグリシジルオキシ−1,3,4,5,6,8−ヘキサメチルキサンテンなどが挙げられる。
フルオレン系エポキシ樹脂としては、例えば、前記式(A1)において、環Zがベンゼン環である化合物、例えば、9,9−ビス(グリシジルオキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(アルキル−グリシジルオキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC1−4アルキル−グリシジルオキシフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(アリール−グリシジルオキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC6−10アリール−グリシジルオキシフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(グリシジルオキシアルコキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−(2−グリシジルオキシエトキシ)フェニル)フルオレンなど]などが挙げられる。
これらのエポキシ化合物(A2)は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
エポキシ化合物(A1)とエポキシ化合物(A2)(特に二官能性エポキシ化合物)とを組み合わせる場合、これらの割合は、前者/後者(モル比)=99.9/0.1〜1/99程度の範囲から選択でき、例えば99.5/0.5〜10/90(例えば99/1〜30/70)、好ましくは99/1〜40/60(例えば、98/2〜50/50)、さらに好ましくは95/5〜60/40(特に90/10〜70/30)程度であってもよい。
なお、エポキシ化合物(A)全体に対するエポキシ化合物(A1)の割合は、10モル%以上(例えば20モル%以上)程度の範囲から選択でき、例えば30モル%以上(例えば40モル%以上)、好ましくは50モル%以上(例えば60モル%以上)、さらに好ましくは70モル%以上(特に80モル%以上)であってもよく、90モル%以上(例えば95モル%以上)であってもよい。本発明では、このようにエポキシ化合物(A1)が比較的高い割合で含まれていても、効率よく重合を進行させることができる。
[フェノール化合物(B)]
フェノール化合物(B)は、下記式(B1)で表される化合物を少なくとも含む。
Figure 2016020473
(式中、Rは水素原子又は炭化水素基を示し、R及びRは置換基を示し、qは0〜4の整数、rは0〜5の整数を示す)。
前記式(B1)において、基Rで表される炭化水素基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのC1−12アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロへキシル基などのC5−10シクロアルキル基など)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などのC6−14アリール基など)などの炭化水素基などが挙げられる。
これらの炭化水素基のうち、フェノキシ樹脂の分子量及びガラス転移温度を向上でき、膜保持性(自立性)や耐熱性を向上できる点から、アルキル基(特に、C1−8アルキル基)、アリール基(特にフェニル基)が好ましい。炭化水素基がC1−4アルキル基(特にメチル基などのC1−2アルキル基)であっても、高い耐熱性を保持できる。
ベンゼン環に対するヒドロキシル基の結合位置(置換位置)は特に限定されないが、3〜5位である場合が多く、通常、4位である。
また、ヒドロキシル基が置換したベンゼン環の他の置換基である基Rとしては、前記式(A1)の置換基Rとして例示した置換基を例示できる。前記置換基のうち、基Rとしては、アルキル基(例えば、メチル基などのC1−6アルキル基など)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基などのC5−8シクロアルキル基など)、アリール基(例えば、フェニル基などのC6−10アリール基など)、アラルキル基(例えば、C6−8アリール−C1−2アルキル基)、アルコキシ基(C1−4アルコキシ基など)、ハロゲン原子などが好ましい。
なお、基Rの置換数qは0〜4の整数から選択でき、例えば0〜3、好ましくは0〜2、さらに好ましくは0〜1(特に0)程度であってもよい。
ヒドロキシル基が置換していないベンゼン環の置換基である基Rとしては、前記式(A1)の置換基Rとして例示した置換基を例示できる。前記置換基のうち、基Rとしては、シアノ基、アルキル基(特にC1−6アルキル基)が好ましく、C1−4アルキル基(特にメチル基)が特に好ましい。
なお、基Rの置換数rは0〜5の整数から選択でき、例えば0〜3、好ましくは0〜2、さらに好ましくは0〜1(特に0)程度であってもよい。
代表的な前記式(B1)で表される化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(ビスフェノールアセトフェノン)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルヘキサンなどのビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン(ビスフェノールベンゾフェノン)などのビス(ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン類などが挙げられる。これらの化合物のうち、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(ビスフェノールAP)などのビス(ヒドロキシフェニル)C1−4アルカン類が好ましい。
(他のフェノール化合物)
フェノール化合物(B)は、式(B1)で表される化合物のみで構成してもよく、必要に応じて他のフェノール化合物(B2)をさらに含んでいてもよい。
フェノール化合物(B2)は、特に限定されず、1つのフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物であってもよいが、反応性及びフェノキシ樹脂の分子量を向上できる点から、2以上のフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物が好ましく、2つのフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物が好ましい。このようなフェノール化合物には、ジヒドロキシアレーン、ビスフェノール類などが含まれる。
ジヒドロキシアレーンとしては、例えば、ジヒドロキシベンゼン(ハイドロキノン、レゾルシノールなど)、ジヒドロキシナフタレンなどのジヒドロキシC6−20アレーン(好ましくはジヒドロキシC6−10アレーン)などが挙げられる。
ビスフェノール類(ビスフェノール化合物)には、フルオレン骨格を有さないフェノール化合物(非フルオレン系ビスフェノール類)、フルオレン骨格を有するフェノール化合物(フルオレン系ビスフェノール類)なども含まれる。
非フルオレン系ビスフェノール類としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニルなどのビフェノール類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタンなどのビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類[例えば、ビス(ヒドロキシフェニル)C1−10アルカン];2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,3’−ビフェニリル)プロパンなどのビス(ヒドロキシビフェニリル)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエ−テルなどのビス(ヒドロキシフェニル)エーテル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンなどのビス(ヒドロキシフェニル)スルホン類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシドなどのビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィドなどのビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド類;4,4’−(o,m,p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノールなどのビス(ヒドロキシフェニル−アルキル)アレーン類などが挙げられる。
フルオレン系ビスフェノール類としては、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類{例えば、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC1−4アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC6−10アリール−ヒドロシフェニル)フルオレン]など}、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレン、9,9−ビス(5−ヒドロキシ−1−ナフチル)フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン]などの9,9−ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン類などが挙げられる。
フェノール化合物(B2)は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
これらのフェノール化合物(B2)のうち、反応性に優れ、フェノキシ樹脂の分子量を向上できる点から、非フルオレン系のビスフェノール化合物などのフルオレン骨格を有しないフェノール化合物[詳細には、2つのフェノール性ヒドロキシル基を有し、フルオレン骨格を有しないフェノール化合物(非フルオレン系化合物)]が好ましく、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類(特に、ビスフェノールAなどのビス(ヒドロキシフェニル)C1−6アルカン)が特に好ましい。
フェノール化合物(B1)とフェノール化合物(B2)(特にビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類)とを組み合わせる場合、両者のモル比は、フェノール(B1)/フェノール(B2)=99/1〜1/99程度の範囲から選択でき、例えば95/5〜5/95、好ましくは90/10〜10/90(例えば、70/30〜30/70)、さらに好ましくは60/40〜40/60(特に55/45〜45/55)程度である。
反応において、エポキシ化合物(A)とフェノール化合物(B)との割合は、例えば、前者/後者(モル比)=2/1〜0.5/1、好ましくは1.5/1〜0.7/1、さらに好ましくは1.2/1〜0.8/1(特に1.1/1〜0.9/1)程度であってもよい。
エポキシ化合物(A)とフェノール化合物(B)との反応は、触媒(反応触媒)の存在下で行ってもよい。触媒としては、特に限定されず、例えば、水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ金属塩;水酸化カルシウムなどの水酸化アルカリ土類金属塩)、アミン類[例えば、脂肪族アミン(例えば、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジシクロヘキシルエチルアミン、ジエチルシクロヘキシルアミン、トリベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン、1−メチルピペリジン、1−エチルピペリジン、1,2,2’,6,6’−ペンタメチルピペリジン、1−メチルピロリジン、1−エチルピロリジン、4−メチルモルホリン、4−エチルモルホリン、2,6−ジメチルピペラジンなどの脂肪族第三級アミン)、芳香族アミン(例えば、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンなどの芳香族第3級アミンなど)、複素環式アミン[ピリジン、ルチジン、コリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、4−ピロリジノピリジン、イミダゾール系化合物(イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなど)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセンなど)など]、第4級アンモニウム塩(例えば、テトラメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイドなど)、ホスフィン類(例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィンなど)、ホスホニウム塩(例えば、n−ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイドなど)などが挙げられる。これらの触媒は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
触媒の割合は、触媒の種類にもよるが、例えば、エポキシ化合物(A)及びフェノール化合物(B)の総量100重量部に対して、例えば0.001〜30重量部、好ましくは0.005〜10重量部、さらに好ましくは0.01〜5重量部(例えば、0.02〜3重量部)程度であってもよく、1重量部以下[例えば0.001〜0.9重量部、好ましくは0.003〜0.5重量部、さらに好ましくは0.005〜0.3重量部(特に0.01〜0.1重量部)程度]であってもよい。
また、反応は、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、反応を阻害しない溶媒であれば特に限定されず、例えば、炭化水素類(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルカノール類)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテルなどのジアルキルエーテル類;1,3−ジメトキプロパン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどの(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル類など)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのアルカノン類;シクロヘキサノンなどのシクロアルカノン類)、エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチルなど)、アミド類(例えば、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどのN−モノ又はジC1−4アルキルホルムアミド;N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのN−モノ又はジC1−4アルキルアセトアミド;N−メチルピロリドンなど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリルなど)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシドなど)、スルホン類(例えば、スルホランなどの環状スルホン)などの有機溶媒が挙げられる。なお、溶媒は有機溶媒と無機系溶媒(水など)との混合溶媒であってもよい。また、前記触媒としてのアミンを溶媒として用いてもよい。これらの溶媒は単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
溶媒の割合は、エポキシ化合物(A)及びフェノール化合物(B)の総量100重量部に対して、1〜1000重量部程度の範囲から選択でき、例えば5〜800重量部、好ましくは10〜500重量部、さらに好ましくは50〜300重量部(特に100〜200重量部)程度である。なお、溶媒の量を調整することで、反応系における粘度を効率よく調整したり、副反応(例えば、環状化反応)などを効率よく抑えやすい。
反応は、加温下で行ってもよい。加温下で行う場合、反応温度は、例えば50〜300℃程度、好ましくは100〜250℃、さらに好ましくは150〜200℃程度であってもよい。反応時間は、例えば30分〜24時間、好ましくは1〜18時間、さらに好ましくは2〜12時間程度であってもよい。なお、反応は、空気中又は不活性雰囲気(窒素、希ガスなど)中で行ってもよく、減圧下、常圧下又は加圧下(通常常圧下)で行ってもよい。
なお、生成物(フェノキシ樹脂)は、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製してもよい。
<フェノキシ樹脂>
前述の反応により、本発明のフェノキシ樹脂が得られるが、このようなフェノキシ樹脂は、エポキシ化合物(A)及びフェノール化合物(B)由来の骨格(又は繰り返し単位又は構造単位)を有する樹脂(又はポリマー)である[すなわち、下記式(1)で表される構造単位(又は繰り返し単位)を少なくとも有するポリマーである]。
Figure 2016020473
(式中、Xはフェノール化合物(B)の残基、R3aは水素原子又はRを示し、Z、R、R、R、R、k、m、pは前記と同じ)。
前記式(1)において、Xはフェノール化合物(B)の残基(すなわち、フェノール化合物(B)から2つのフェノール性ヒドロキシル基を除いた基)を示し、例えば、フェノール化合物(B)がビスフェノールアセトフェノンである場合、Xは、下記式で表される基(1,1,1−トリフェニルエタン−4,4’−ジイル基)を示す。
Figure 2016020473
また、式(1)において、R3aは、水素原子又は前記R(又はRに対応する基)であり、特に水素原子である。
本発明のフェノキシ樹脂は、効率よく重合が進行して得られるようであり、9,9−縮合多環式アリール骨格を有しているにもかかわらず、比較的高分子量である。このようなフェノキシ樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)において、ポリスチレン換算で、15000以上(例えば15000〜300000)であってもよく、例えば20000〜300000(例えば25000〜200000)、好ましくは28000〜100000(例えば30000〜50000)、さらに好ましくは31000〜40000(特に32000〜35000)程度である。分子量が小さすぎると、膜保持性が低下する虞がある。
なお、フェノキシ樹脂の末端基は特に限定されず、エポキシ化合物(A)由来の末端基、フェノール化合物(B)由来の末端基などのいずれであってもよい。本発明のフェノキシ樹脂のエポキシ当量は、例えば、500〜300000g/eq程度の範囲から選択でき、例えば1000〜100000g/eq、好ましくは5000〜80000g/eq(例えば、10000〜50000g/eq)、さらに好ましくは15000〜40000g/eq(特に20000〜35000g/eq)程度である。
なお、末端(末端基)がエポキシ化合物(A)由来(又はエポキシ基)であるフェノキシ樹脂は、保存安定性の点や、熱硬化性やエポキシ基を利用した変性(例えば、アクリル酸などと反応させてアクリルロイル基を導入する変性など)、寸法安定性などの点で有利である。
本発明のフェノキシ樹脂のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)によるガラス転移温度で、50℃以上であってもよく、例えば50〜200℃、好ましくは60〜180℃、さらに好ましくは80〜150℃程度であり、特に100℃以上であってもよく、例えば110〜180℃(特に120〜150℃)程度であってもよい。また、動的粘弾性分析(DMA)法によるガラス転移温度で、例えば30〜200℃、好ましくは50〜150℃(例えば90〜130℃)、さらに好ましくは95〜125℃(特に100〜120℃)程度であってもよい。ガラス転移温度が小さすぎると、耐熱性が低下する虞がある。
本発明のフェノキシ樹脂は、電気絶縁性にも優れ、誘電率(比誘電率)(1GHz)が5以下であってもよく、例えば1.5〜5、好ましくは2〜4、さらに好ましくは3〜3.8(特に3.2〜3.6)程度である。さらに、誘電正接(1GHz)は0.05以下であってもよく、例えば0.01〜0.05、好ましくは0.015〜0.04、好ましくは0.02〜0.035(特に0.025〜0.03)程度である。
本発明のフェノキシ樹脂は、耐熱性にも優れ、線膨脹係数(α1及びα2)が100ppm以下であってもよく、例えば10〜100ppm、好ましくは20〜80ppm、さらに好ましくは30〜70ppm(特に40〜65ppm)程度である。
本発明のフェノキシ樹脂は、9,9−ビス縮合多環式アリール骨格を有しているにもかかわらず、成形性に優れ、通常、自立膜を形成(単独で形成)できる。そのため、本発明には、このような自立膜も含まれる。
また、本発明のフェノキシ樹脂(又は自立膜)は、優れた機械的特性(例えば、高弾性率)を有している場合が多い。例えば、本発明のフェノキシ樹脂は、DMA法で測定される貯蔵弾性率が10MPaとなる温度が90℃以上(特に95℃以上)であってもよく、例えば90〜150℃、好ましくは95〜130℃、さらに好ましくは100〜120℃(特に105〜115℃)程度であるフェノキシ樹脂であってもよい。
本発明のフェノキシ樹脂(又は自立膜)は、引張試験における引張強さが50MPa以上であってもよく、例えば50〜300MPa、好ましくは60〜200MPa、さらに好ましくは70〜150MPa(特に80〜100MPa)程度であってもよい。引張弾性率は2000MPa以上であってもよく、例えば2000〜10000MPa、好ましくは2500〜5000MPa、さらに好ましくは3000〜4000MPa(特に3200〜3500MPa)程度であってもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例において、用いた各種成分(及びその略称)は、以下の通りである。
(二官能エポキシ化合物)
エピコート828:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学(株)製、「エピコート828」、エポキシ当量187g/eq
BNFG:9,9−ビス(6−グリシジルオキシ−2−ナフチル)フルオレン[9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製)とエピクロロヒドリンとの反応により合成したもの]
(フェノール化合物)
ビスフェノールA(BisA):東京化成(株)製
ビスフェノールアセトフェノン(BisAP):東京化成(株)製
ビスヒドロキシテトラフェニルメタン(BisTP):東京化成(株)製
BNF:9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレン、大阪ガスケミカル(株)製
(触媒)
2E4MZ:2−エチル−4−メチルイミダゾール:東京化成(株)製
また、実施例において、各種測定は以下のようにして行った。
(分子量)
溶出液にテトラヒドロフランを用い、30℃(流速1.00mL/分)の条件で、2本の連続した線状ポリスチレンゲルカラム(Tosoh TSKgel GMHHR-L)を備えたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(東ソー(株)製「HLC−8120GPC」)により、ポリスチレン標準で測定した。
(ガラス転移温度(DSC))
示差走査熱量計(SII(株)製「DSC 6220」)を用いて、10℃/分の速度で30℃〜220℃の温度範囲で測定した。
(ガラス転移温度(DMA)及び動的粘弾性)
動的粘弾性測定装置((株)ユービーエム製、Rheosol−G5000)を用いて、周波数1Hz、3℃/分の昇温速度で測定した。そして、ガラス転移温度(Tg)は、tanδのピークとした。また、動的粘弾性測定において、貯蔵弾性率10MPaにおける温度を読み取った。
(誘電特性)
PNA−Lネットワークアナライザー(アジレントテクノロジー(株)製「N5230A」)及び空洞共振器((株)関東電子応用開発製「CP431」)を使用し、試験温度23℃、50%RH、周波数1GHzで空洞共振器摂動法(ASTM D 2520準拠)にて測定した。
(線膨脹係数)
熱機械分析装置((株)リガク製「TMA8310」)を使用し、室温〜300℃、5℃/min、窒素気流中、圧縮モード(荷重49mN)にて測定した。
(引張試験による機械的特性)
万能材料試験機(インストロン社製「5528型」)を使用し、JIS K 7162に準拠し、試験片はIBA形で23℃、50%RHで測定した。
(比較例1)
23重量部のエピコート828(フェノール化合物に対して0.9当量)、28重量部のBNF、29重量部のシクロヘキサノン、0.02重量部の2E4MZを混合し、165℃にて攪拌しながら8時間反応させ、反応物を得た。
反応物の重量平均分子量は11000であった。また、反応物を含む反応液(固形分濃度約40%)をセルローストリアセテートフィルム(富士フィルム(株)製「TAC100」)上に塗布し、80℃で10分間乾燥した。乾燥後の膜(厚み20μm)を、セルローストリアセテートフィルムから剥離を試みたが、脆くて細片状に分かれ、明らかに自立膜を形成していなかった。なお、自立膜を形成できなかったため、ガラス転移温度(DMA)及び弾性率の測定はできなかった。
(比較例2)
比較例1において、各成分を、21重量部のBNFG、7重量部のBisA、15重量部のシクロヘキサノン、0.02重量部の2E4MZにしたこと以外は、比較例1と同様にして反応物を得た。
反応物の重量平均分子量は25000であり、反応物のガラス転移温度(DSC)は105℃であり、ガラス転移温度(DMA)は91℃であった。また、反応物を、比較例1と同様にして塗布して乾燥したところ、乾燥後の膜はフィルムからきれいに剥離可能であり、自立膜を形成していることを確認した。また、動的粘弾性測定において、貯蔵弾性率10MPaにおける温度は106℃であった。
(実施例1)
比較例1において、各成分を、30重量部のBNFG、6重量部のBisA、7重量部のBisAP、356重量部のシクロヘキサノン、0.09重量部の2E4MZにしたこと以外は、比較例1と同様にして反応物を得た。
反応物の重量平均分子量は32100であり、反応物のガラス転移温度(DSC)は130℃であり、ガラス転移温度(DMA)は107℃であった。また、反応物を、比較例1と同様にして塗布して乾燥したところ、乾燥後の膜はフィルムからきれいに剥離可能であり、自立膜を形成していることを確認した。また、動的粘弾性測定において、貯蔵弾性率10MPaにおける温度は110℃であった。
(実施例2)
比較例1において、各成分を、30重量部のBNFG、3.4重量部のBisA、9.8重量部のBisAP、65重量部のシクロヘキサノン、0.02重量部の2E4MZにしたこと以外は、比較例1と同様にして反応物を得た。
反応物の重量平均分子量は25100であり、反応物のガラス転移温度(DSC)は106℃であり、ガラス転移温度(DMA)は82℃であった。また、反応物を、比較例1と同様にして塗布して乾燥したところ、乾燥後の膜はフィルムからきれいに剥離可能であり、自立膜を形成していることを確認した。また、動的粘弾性測定において、貯蔵弾性率10MPaにおける温度は101℃であった。
(実施例3)
比較例1において、各成分を、30重量部のBNFG、8重量部のBisA、4.2重量部のBisAP、63重量部のシクロヘキサノン、0.02重量部の2E4MZにしたこと以外は、比較例1と同様にして反応物を得た。
反応物の重量平均分子量は21300であり、反応物のガラス転移温度(DSC)は102℃であり、ガラス転移温度(DMA)は79℃であった。また、反応物を、比較例1と同様にして塗布して乾燥したところ、乾燥後の膜はフィルムからきれいに剥離可能であり、自立膜を形成していることを確認した。また、動的粘弾性測定において、貯蔵弾性率10MPaにおける温度は95℃であった。
(比較例3)
比較例1において、各成分を、40重量部のBNFG、8重量部のBisA、11.3重量部のBisTP、88重量部のシクロヘキサノン、0.02重量部の2E4MZにしたこと以外は、比較例1と同様にして反応物を得た。
反応物の重量平均分子量は17500であった。また、反応物を、比較例1と同様にして塗布して乾燥したところ、乾燥後の膜はフィルムから剥離可能であり、自立膜を形成していたが、膜が脆いため、ガラス転移温度(DMA)及び弾性率の測定はできなかった。
これらの結果を以下の表に示す。
Figure 2016020473
表1の結果から明らかなように、フルオレン骨格をグリシジルエーテル側に導入して反応させることで、より重合が進行した。さらに、フェノール化合物として、ビスフェノールアセトフェノンを用いることにより、重合がさらに進行し、分子量及び耐熱性が向上した。
(比較例4)
比較例1において、各成分を、23重量部のエピコート828、14.5重量部のBisA、56.25重量部のシクロヘキサノン、0.02重量部の2E4MZにしたこと以外は、比較例1と同様にして反応物を得た。また、反応物を、比較例1と同様にして塗布して乾燥したところ、乾燥後の膜はフィルムから剥離可能であり、自立膜を形成していた。
比較例2、実施例1及び比較例4で得られたフィルムについて、誘電特性、引張試験による機械的特性を評価した結果を表2に示す。
Figure 2016020473
表2の結果から明らかなように、実施例1のフィルムは、誘電率が小さく、誘電正接が大きいため、比較例2及び4のフィルムと同様に、優れた電気絶縁性を示した。また、実施例のフィルムは、比較例2及び4よりも線膨脹係数が小さく、優れた耐熱性を示した。さらに、実施例のフィルムは、比較例2及び4よりも引張強さ及び引張弾性率が大きく、優れた機械的特性を示した。
本発明では、9,9−ビス縮合多環式アリール骨格を有しているにもかかわらず、フェノキシ樹脂を効率よく高分子量化できる。そして、このようなフェノキシ樹脂は、成形性に優れ、単独で自立膜を形成することも可能である。
このような本発明のフェノキシ樹脂は、熱可塑性樹脂として使用できる他、硬化剤と組み合わせることにより、熱硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂組成物としても使用できる。
このような樹脂組成物(フェノキシ樹脂組成物)は、他の成分、例えば、他のフェノキシ樹脂、添加剤[例えば、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤など)、難燃剤、難燃助剤、可塑剤、耐衝撃改良剤、充填剤(又は補強剤)、分散剤、帯電防止剤、抗菌剤、滑剤、硬化剤(例えば、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤など)など]などを含んでいてもよい。これらの他の成分は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。なお、硬化剤を含む樹脂組成物は、前記のように、熱硬化性樹脂組成物(熱硬化性フェノキシ樹脂組成物)として使用できる。
このような本発明のフェノキシ樹脂(又はその組成物)又はその成形体は、高耐熱性、高屈折率、高強度及び高弾性、高電気絶縁性などの優れた特性を有しており、種々の用途、例えば、電気用積層板、絶縁ワニスなどの電気・電子分野の成形体、層間絶縁膜、異方性導電膜などの絶縁膜、透明プラスチック基板、光導波路などの光学材料、樹脂改質剤、封止剤、接着剤、フィルムなどとして好適に使用できる。

Claims (13)

  1. 下記式(A1)で表される化合物を含むエポキシ化合物(A)と、下記式(B1)で表される化合物を含むフェノール化合物(B)とを反応させて、フェノキシ樹脂を製造する方法。
    Figure 2016020473
    (式中、環Zは縮合多環式アレーン環、Rは置換基を示し、Rはアルキレン基を示し、Rは置換基を示し、Rは置換基を示し、kは0〜4の整数、mは0以上の整数、nは0〜3の整数、pは0以上の整数である)
    Figure 2016020473
    (式中、Rは水素原子又は炭化水素基を示し、R及びRは置換基を示し、qは0〜4の整数、rは0〜5の整数を示す)
  2. 式(A1)において、Zがナフタレン環である請求項1記載の方法。
  3. 式(A1)において、Rがアルキル基、kが0〜1、RがC2−4アルキレン基、mが0〜10、nが0、Rがアルキル基又はアリール基、pが0〜4である請求項1又は2記載の方法。
  4. 式(A1)において、mが0である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 式(A1)で表される化合物が、9,9−ビス(グリシジルオキシナフチル)フルオレンである請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. エポキシ化合物(A)が、式(A1)で表される化合物を50モル%以上の割合で含む請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 式(B1)において、R及びRがアルキル基又はアリール基、qが0〜2、Rがアルキル基、rが0〜1である請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. ビスフェノール化合物(B)が、さらにビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類を含む請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記式(A1)で表される化合物を含むエポキシ化合物(A)と、前記式(B1)で表される化合物を含むフェノール化合物(B)との反応により得られるフェノキシ樹脂であって、重量平均分子量が15000以上であるフェノキシ樹脂。
  10. 動的粘弾性分析法で測定される貯蔵弾性率において10MPaとなる温度が、95℃以上である請求項9記載のフェノキシ樹脂。
  11. 示差走査熱量計(DSC)によるガラス転移温度が100℃以上である請求項9又は10記載のフェノキシ樹脂。
  12. 請求項9〜11のいずれかに記載のフェノキシ樹脂で形成された成形体。
  13. 自立膜である請求項12記載の成形体。
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