JP6642996B2 - フルオレン骨格を有するフェノキシ樹脂及びその製造方法並びに成形体 - Google Patents

フルオレン骨格を有するフェノキシ樹脂及びその製造方法並びに成形体 Download PDF

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Description

本発明は、フルオレン骨格を有する新規なフェノキシ樹脂、その製造方法及び前記フェノキシ樹脂で形成された成形体に関する。
フェノキシ樹脂は、ポリヒドロキシ樹脂としても知られており、透明性、可撓性、耐衝撃性、密着性、機械的特性などに優れるため、熱可塑性樹脂や硬化剤と併用した硬化性樹脂として重要な材料である。一方、耐熱性などの特性を向上させるためには、ベンゼン骨格などの剛直な骨格を導入すればよいことが知られており、フェノキシ樹脂についても、フルオレン骨格を導入する試みがなされている。導入方法としては、フルオレン骨格を有するフェノール類をモノマーとして用いる方法が知られているが、高度な耐熱性や屈折率が要求される用途では、9,9−ビス縮合多環式アリールフルオレン骨格を有するフェノール類をモノマーとして用いる方法が知られている。
特開2013−32549号公報(特許文献1)には、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類を重合成分とするフェノキシ樹脂が開示されている。この文献の実施例では、6,6’−(9−フルオレニリデン)−ジ(2−ナフトール)などの二価フェノールと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂とを反応させて、重量平均分子量12610及びガラス転移温度(DSC法)196℃のフェノキシ樹脂が製造されている。
しかし、このフェノキシ樹脂は、重合が進行し難く、分子量が低い上に、成形性も低かった。
特開2014−194008号公報(特許文献2)には、9,9−ビス(グリシジルオキシナフチル)フルオレン類と、2つのフェノール性ヒドロキシル基を有するフェノール化合物とを反応させて得られるフェノキシ樹脂が開示されている。この文献の実施例では、9,9−ビス(6−グリシジルオキシ−2−ナフチル)フルオレンとビスフェノールAとを反応させて、重量平均分子量25000及びガラス転移温度(DMA法)91℃のフェノキシ樹脂が製造されている。
しかし、これらのフェノキシ樹脂では、ガラス転移温度が低く、耐熱性が十分でなかった。
特開2013−32549号公報(特許請求の範囲、実施例3) 特開2014−194008号公報(特許請求の範囲、実施例1)
従って、本発明の目的は、9,9−ビス縮合多環式アリールフルオレン骨格を有していても、分子量が大きく、耐熱性に優れたフェノキシ樹脂及びその製造方法並びに成形体を提供することにある。
本発明の他の目的は、膜保持性や機械的特性(弾性率など)などの実用性に優れたフェノキシ樹脂及びその製造方法並びに成形体を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、9,9−ビス縮合多環式アリールフルオレン骨格を有するビスフェノール化合物及びビスフェノールアセトフェノン類を含むビスフェノール化合物と二官能性エポキシ化合物とを反応させると、比較的高分子量(又は高重合度)であり、ガラス転移温度も高く、耐熱性に優れたフェノキシ樹脂が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のフェノキシ樹脂は、ビスフェノール化合物由来の構成単位(A)と、二官能性エポキシ化合物由来の構成単位(B)とを含むフェノキシ樹脂であって、前記構成単位(A)が、下記式(1)で表されるビスフェノール化合物由来の構成単位(A1)と、下記式(2)で表されるビスフェノール化合物由来の構成単位(A2)とを含む。
Figure 0006642996
(式中、環Zは縮合多環式アレーン環、R及びRは置換基を示し、mは0〜4の整数、nは0以上の整数である)
Figure 0006642996
(式中、Rは水素原子又は炭化水素基を示し、R及びRは置換基を示し、kは0〜4の整数、pは0〜5の整数を示す)。
前記式(1)において、Zがナフタレン環、Rがアルキル基、mが0〜1、Rがアルキル基又はアリール基、nが0〜4であってもよい。前記式(1)で表される化合物は、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレンであってもよい。前記構成単位(A1)と前記構成単位(A2)とのモル比は、前者/後者=90/10〜30/70程度である。前記式(2)において、R及びRがアルキル基又はアリール基、kが0〜2、Rがアルキル基、pが0〜1であってもよい。前記二官能性エポキシ化合物は、フルオレン骨格を有さないビスフェノール系エポキシ樹脂であってもよい。
本発明のフェノキシ樹脂は、比較的高分子量であり、重量平均分子量が20000以上であってもよい。また、高い弾性率を有しており、動的粘弾性分析法で測定される貯蔵弾性率において10MPaとなる温度は100℃以上であってもよい。さらに、耐熱性にも優れており、示差走査熱量計(DSC)によるガラス転移温度は110℃以上であってもよい。
本発明には、式(1)で表されるビスフェノール化合物及び式(2)で表されるビスフェノール化合物を含むビスフェノール化合物と、二官能性エポキシ化合物とを反応させて、前記フェノキシ樹脂を製造する方法も含まれる。この方法では、反応触媒として第3級窒素原子を含むアミンを用いてもよい。
本発明には、前記フェノキシ樹脂で形成された成形体も含まれる。本発明のフェノキシ樹脂は、通常、自立膜を形成できる。
本発明では、9,9−ビス縮合多環式アリールフルオレン骨格を有するビスフェノール化合物及びビスフェノールアセトフェノン類を含むビスフェノール化合物と二官能性エポキシ化合物とを反応させることにより、9,9−ビス縮合多環式アリールフルオレン骨格を有していても、比較的高分子量であり、ガラス転移温度も高く、耐熱性にも優れたフェノキシ樹脂が得られる。このフェノキシ樹脂は、単独で高い膜保持性を有する自立膜を形成できるほど、成膜性又は成形性に優れている。しかも、高弾性率、高強度、光学的特性(高屈折率など)、電気特性(電気絶縁性など)などの優れた特性を有している。このように本発明のフェノキシ樹脂は、実用性に極めて優れており、有用性も高い。
図1は、比較例2で得られたフェノキシ樹脂の動的粘弾特性の測定結果を示すグラフである。 図2は、実施例1で得られたフェノキシ樹脂の動的粘弾特性の測定結果を示すグラフである。 図3は、実施例2で得られたフェノキシ樹脂の動的粘弾特性の測定結果を示すグラフである。 図4は、実施例3で得られたフェノキシ樹脂の動的粘弾特性の測定結果を示すグラフである。
[フェノキシ樹脂]
本発明のフェノキシ樹脂は、ビスフェノール化合物由来の構成単位(A)と、二官能性エポキシ化合物由来の構成単位(B)とを含む。フェノキシ樹脂の全構成単位(全モノマー単位)に対して構成単位(A)及び構成単位(B)の合計割合は、例えば50モル%以上、好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上(特に99モル%以上)であり、実質的に構成単位(A)及び構成単位(B)のみ[特に、構成単位(A)及び構成単位(B)のみ]で形成されていてもよい。構成単位(A)及び構成単位(B)の合計割合が少なすぎると、耐熱性や機械的特性が低下する虞がある。
前記構成単位(A)は、前記式(1)で表されるビスフェノール化合物由来の構成単位(A1)と、前記式(2)で表されるビスフェノール化合物由来の構成単位(A2)とを含む。
(A1)構成単位
構成単位(A1)は、前記式(1)で表されるビスフェノール化合物(モノマー)由来の残基(又はモノマー単位)である。
前記式(1)において、環Zで表される縮合多環式アレーン環としては、縮合二環式アレーン(例えば、ナフタレンなどのC8−20縮合二環式炭化水素、好ましくはC10−16縮合二環式アレーン)環、縮合三環式アレーン(例えば、アントラセン、フェナントレンなど)環などの縮合二乃至四環式アレーン環などが挙げられる。好ましい縮合多環式アレーン環としては、ナフタレン環、アントラセン環などが挙げられ、特にナフタレン環が好ましい。なお、2つの環Zは同一の又は異なる環であってもよく、通常、同一の環であってもよい。
置換基Rとしては、特に限定されないが、通常、非反応性置換基、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基などのC6−10アリール基)など]などである場合が多く、特に、シアノ基又はアルキル基(特にアルキル基)であってもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−6アルキル基(例えば、C1−4アルキル基、特にメチル基)などが例示できる。なお、mが複数(2以上)である場合、基Rは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、フルオレン(又はフルオレン骨格)を構成する2つのベンゼン環に置換する基Rは同一であってもよく、異なっていてもよい。また、フルオレンを構成するベンゼン環に対する基Rの結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換数mは、0〜2、好ましくは0〜1、特に0である。なお、フルオレンを構成する2つのベンゼン環において、置換数mは、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
置換基Rとしては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのC1−12アルキル基、好ましくはC1−8アルキル基、さらに好ましくはC1−6アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロへキシル基などのC5−10シクロアルキル基、好ましくはC5−8シクロアルキル基、さらに好ましくはC5−6シクロアルキル基など)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などのC6−14アリール基、好ましくはC6−10アリール基、さらに好ましくはC6−8アリール基など)などの炭化水素基;アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのC1−12アルコキシ基、好ましくはC1−8アルコキシ基、さらに好ましくはC1−6アルコキシ基など)、シクロアルコキシ基(C5−10シクロアルコキシ基など)、アリールオキシ基(C6−10アリールオキシ基など)などの基−OR[式中、Rは炭化水素基(前記例示の炭化水素基など)を示す];アルキルチオ基(メチルチオ基などのC1−20アルキルチオ基、好ましくはC1−8アルキルチオ基、さらに好ましくはC1−6アルキルチオ基など)などの基−SR(式中、Rは前記と同じ);アシル基(アセチル基などのC1−6アシル基など);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニル基など);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など);ニトロ基;シアノ基;カルバモイル基;置換アミノ基(例えば、ジメチルアミノ基などのジアルキルアミノ基など);スルホニル基;メルカプト基;これらの置換基同士が結合した置換基[例えば、アルコキシアリール基(例えば、メトキシフェニル基などのC1−4アルコキシC6−10アリール基)、アルコキシカルボニルアリール基(例えば、メトキシカルボニルフェニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニルC6−10アリール基など)]などが挙げられる。
これらのうち、代表的には、基Rは、非反応性置換基、例えば、炭化水素基、−OR(式中、Rは前記と同じ)、−SR(式中、Rは前記と同じ)、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基などであってもよい。
好ましい基Rとしては、炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、C1−6アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、C5−8シクロアルキル基)、アリール基(例えば、C6−10アリール基)、アラルキル基(例えば、C6−8アリール−C1−2アルキル基)など]、アルコキシ基(C1−4アルコキシ基など)などが挙げられる。特に、Rは、アルキル基[C1−4アルキル基(特にメチル基)など]、アリール基[例えば、C6−10アリール基(特にフェニル基)など]などの炭化水素基(特に、アルキル基)であるのが好ましい。なお、Rは、同一の又は異なる環Zにおいて、同一又は異なる基であってもよい。
なお、基Rの置換数nは、環Zの種類などに応じて適宜選択でき、例えば0〜4(特に0〜3)程度であればよく、好ましくは0〜2、さらに好ましくは0〜1(特に0)程度であってもよい。
なお、ヒドロキシ基の環Zに対する置換位置は、特に限定されないが、縮合多環式アレーン環Zにおいて、フルオレンの9位に結合した炭化水素環とは別の炭化水素環に置換している場合が多い。例えば、環Zがナフタレン環である場合、ヒドロキシ基の置換位置は、5〜8位である場合が多く、例えば、フルオレンの9位に対して、1,5位、2,6位などの関係(特に2,6位の関係)である場合が多い。
代表的な前記式(1)で表されるビスフェノール化合物としては、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレン[又は6,6’−(9−フルオレニリデン)−ジ(2−ナフトール)]、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−1−ナフチル)フルオレン、9,9−ビス(5−ヒドロキシ−1−ナフチル)フルオレン]などが挙げられる。
(A2)構成単位
構成単位(A2)は、前記式(2)で表されるビスフェノール化合物(モノマー)由来の残基(又はモノマー単位)である。
前記式(2)において、基Rで表される炭化水素基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのC1−12アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロへキシル基などのC5−10シクロアルキル基など)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などのC6−14アリール基など)などの炭化水素基などが挙げられる。
これらの炭化水素基のうち、フェノキシ樹脂の分子量及びガラス転移温度を向上でき、膜保持性(自立性)や耐熱性を向上できる点から、アルキル基(特に、C1−8アルキル基)、アリール基(特にフェニル基)が好ましい。炭化水素基がC1−4アルキル基(特にメチル基などのC1−2アルキル基)であっても、高い耐熱性を保持できる。
ベンゼン環に対するヒドロキシル基の結合位置(置換位置)は特に限定されないが、3〜5位である場合が多く、通常、4位である。
また、ヒドロキシル基が置換したベンゼン環の他の置換基である基Rとしては、前記式(1)の置換基Rとして例示した置換基を例示できる。前記置換基のうち、基Rとしては、アルキル基(例えば、メチル基などのC1−6アルキル基など)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基などのC5−8シクロアルキル基など)、アリール基(例えば、フェニル基などのC6−10アリール基など)、アラルキル基(例えば、C6−8アリール−C1−2アルキル基)、アルコキシ基(C1−4アルコキシ基など)、ハロゲン原子などが汎用され、アルキル基、アリール基が好ましい。
なお、基Rの置換数kは0〜4の整数から選択でき、例えば0〜3、好ましくは0〜2、さらに好ましくは0〜1(特に0)程度であってもよい。
ヒドロキシル基が置換していないベンゼン環の置換基Rとしては、前記式(1)の置換基Rとして例示した置換基を例示できる。前記置換基のうち、基Rとしては、シアノ基、アルキル基(特にC1−6アルキル基)が好ましく、C1−4アルキル基(特にメチル基)が特に好ましい。
なお、基Rの置換数pは0〜5の整数から選択でき、例えば0〜3、好ましくは0〜2、さらに好ましくは0〜1(特に0)程度であってもよい。
代表的な前記式(2)で表されるビスフェノール化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(ビスフェノールアセトフェノン)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルヘキサンなどのビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン(ビスフェノールベンゾフェノン)などのビス(ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン類などが挙げられる。これらの化合物のうち、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(ビスフェノールAP)などのビス(ヒドロキシフェニル)フェニルC1−4アルカン類が好ましい。
構成単位(A1)と構成単位(A2)とのモル比は、例えば、前者/後者=95/5〜20/80、好ましくは90/10〜30/70(例えば80/20〜35/65)、さらに好ましくは60/40〜40/60(特に55/45〜45/55)程度である。構成単位(A1)の割合が多すぎると、分子量が低下する虞があり、逆に少なすぎると、耐熱性が低下する虞がある。
構成単位(A)全体に対して構成単位(A1)及び構成単位(B)の合計割合は、例えば50モル%以上、好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上(特に99モル%以上)であり、実質的に構成単位(A1)及び構成単位(A2)のみ[特に、構成単位(A1)及び構成単位(A2)のみ]で形成されていてもよい。構成単位(A1)及び構成単位(A2)の合計割合が少なすぎると、耐熱性や機械的特性が低下する虞がある。
(A3)他のビスフェノール化合物由来の構成単位
構成単位(A)は、式(1)で表されるビスフェノール化合物及び式(2)で表されるビスフェノール化合物以外のビスフェノール化合物(他のビスフェノール化合物)由来の構成単位(A3)をさらに含んでいてもよい。
他のビスフェノール化合物には、フルオレン骨格を有さないビスフェノール化合物(非フルオレン系ビスフェノール類)、フルオレン骨格を有するビスフェノール化合物(フルオレン系ビスフェノール類)なども含まれる。
非フルオレン系ビスフェノール類としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニルなどのビフェノール類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどのビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類[例えば、ビス(ヒドロキシフェニル)C1−10アルカン];2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,3’−ビフェニリル)プロパンなどのビス(ヒドロキシビフェニリル)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエ−テルなどのビス(ヒドロキシフェニル)エーテル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンなどのビス(ヒドロキシフェニル)スルホン類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシドなどのビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィドなどのビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド類;4,4’−(o,m,p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノールなどのビス(ヒドロキシフェニル−アルキル)アレーン類などが挙げられる。
フルオレン系ビスフェノール類としては、前記式(1)で表されるビスフェノール化合物以外のフルオレン系ビスフェノール化合物、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類などが挙げられる。9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC1−4アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC6−10アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレン]など}などが挙げられる。
構成単位(A3)の割合は、構成単位(A)全体に対して、例えば50モル%未満、好ましくは20モル%未満、さらに好ましくは10モル%未満(例えば0.1モル%以上10モル%未満)であってもよい。
(B)構成単位
構成単位(B)は、二官能性エポキシ化合物(モノマー)由来の残基(又はモノマー単位)である。二官能性エポキシ化合物には、グリシジルエステル型化合物、グリシジルエーテル型化合物などが含まれる。
グリシジルエステル型化合物としては、例えば、芳香族ジカルボン酸(フタル酸など)又はその水添物(テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸など)とエピクロロヒドリンとの反応物、ダイマー酸グリシジルエステルなどが挙げられる。
グリシジルエーテル型化合物には、ビスフェノール系エポキシ樹脂(ビスフェノール型エポキシ樹脂又はビスフェノール類を原料とするエポキシ樹脂)、ナフタレン系エポキシ樹脂(ナフタレン型エポキシ樹脂又はジヒドロキシナフタレン類を原料とするエポキシ樹脂)、脂環族ジオール類のジグリシジルエーテル、縮合環骨格を有するジオール類のジグリシジルエーテルなどが含まれる。
ビスフェノール系エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール類又はそのアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのC2−4アルキレンオキシド)付加体(例えば、アルキレンオキシドがヒドロキシ基1モルあたり平均1〜10モル、好ましくは1〜6モル、さらに好ましくは1〜4モル程度付加した付加体)のジグリシジルエーテル、これらのジグリシジルエーテルがさらに反応(付加重合)したエポキシ樹脂などが挙げられる。ビスフェノール類としては、前記構成単位(A3)の項で例示された他のビスフェノール化合物[例えば、ビスフェノールAなどのビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類]などが挙げられる。
ナフタレン系エポキシ樹脂としては、例えば、ナフタレンジオール類又はそのアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのC2−4アルキレンオキシド)付加体(例えば、アルキレンオキシドがヒドロキシ基1モルあたり平均1〜10モル、好ましくは1〜6モル、さらに好ましくは1〜4モル程度付加した付加体)のジグリシジルエーテル(例えば、1,5−ジ(グリシジルオキシ)ナフタレン、1,6−ジ(グリシジルオキシ)ナフタレン、2,6−ジ(グリシジルオキシ)ナフタレン、2,7−ジ(グリシジルオキシ)ナフタレン、2,7−ジ(2−メチル−2,3−エポキシプロポキシ)ナフタレンなどのジ(グリシジルオキシ)ナフタレン類;2,2’−ジグリシジルオキシビナフタレン、ビス(2−グリシジルオキシナフチル)メタンなどのビス(グリシジルオキシナフチル)C1−6アルカンなどのビスナフトール類のジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
脂環族ジオール類のジグリシジルエーテルとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールA型ジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
縮合環骨格を有するジオール類のジグリシジルエーテルとしては、例えば、9−フェニル−2,7−ジグリシジルオキシ−1,3,4,5,6,8−ヘキサメチルキサンテンなどが挙げられる。
これらの二官能性エポキシ化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの二官能性エポキシ化合物のうち、反応性に優れ、フェノキシ樹脂の分子量を向上できる点から、フルオレン骨格を有さないビスフェノール系エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA系エポキシ樹脂などのビスフェノール系エポキシ樹脂(フルオレン骨格を有さないビスフェノール系エポキシ樹脂)が特に好ましい。
構成単位(A)と構成単位(B)とのモル比は、例えば、前者/後者=70/30〜30/70、好ましくは60/40〜40/60、さらに好ましくは55/45〜45/55程度であり、通常、両単位は略等モルである。
(C)他の構成単位
構成単位(A)及び(B)以外の構成単位(他の構成単位)としては、例えば、ヒドロキシアレーン(例えば、フェノール、ナフトール、クレゾール、t−ブチルフェノールなど)、ジヒドロキシアレーン(例えば、ハイドロキノン、レゾルシノール、ジヒドロキシナフタレンなど)、三以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物(例えば、構成単位(A)の項で例示されたビスフェノール化合物に対応する3以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物など)、単官能性エポキシ化合物(例えば、ブチルグリシジルエーテルなどのアルキルグリシジルエーテルなど)、三官能以上の多官能性エポキシ化合物由来の構成単位(例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂など)、硬化剤(例えば、慣用のアミン系硬化剤など)由来の構成単位などが挙げられる。
これら他の構成単位の割合は、全構成単位に対して、例えば50モル%未満、好ましくは20モル%未満、さらに好ましくは10モル%未満(例えば0.1モル%以上10モル%未満)であってもよい。
(フェノキシ樹脂の特性)
本発明のフェノキシ樹脂は、構成単位(A)と構成単位とを含み、9,9−縮合多環式アリールフルオレン骨格を有しているにもかかわらず、比較的高分子量である。このようなフェノキシ樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)において、ポリスチレン換算で、20000以上(例えば20000〜500000)であってもよく、例えば22000〜100000(例えば23000〜50000)、好ましくは24000〜100000(例えば25000〜30000)、さらに好ましくは26000〜35000(特に28000〜32000)程度である。分子量が小さすぎると、膜保持性や機械的強度が低下する虞がある。
フェノキシ樹脂の末端基は特に限定されず、二官能性エポキシ化合物由来の末端基、ビスフェノール化合物由来の末端基などのいずれであってもよい。本発明のフェノキシ樹脂のエポキシ当量は、例えば500〜300000g/eq程度の範囲から選択でき、例えば1000〜100000g/eq、好ましくは5000〜80000g/eq(例えば、10000〜50000g/eq)、さらに好ましくは15000〜40000g/eq(特に20000〜35000g/eq)程度である。
なお、末端(末端基)がエポキシ化合物由来(又はエポキシ基)であるフェノキシ樹脂は、保存安定性の点や、熱硬化性やエポキシ基を利用した変性(例えば、アクリル酸などと反応させてアクリルロイル基を導入する変性など)、寸法安定性などの点で有利である。
本発明のフェノキシ樹脂のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)によるガラス転移温度で、50℃以上であってもよく、例えば50〜200℃、好ましくは60〜180℃、さらに好ましくは80〜160℃程度であり、特に110℃以上(例えば110〜180℃)であってもよく、例えば130〜170℃(特に140〜160℃)程度であってもよい。また、動的粘弾性分析(DMA)法によるガラス転移温度で、例えば30〜200℃、好ましくは50〜150℃(例えば90〜130℃)、さらに好ましくは93〜120℃(特に94〜110℃)程度であってもよい。ガラス転移温度が小さすぎると、耐熱性が低下する虞がある。
本発明のフェノキシ樹脂は、9,9−ビス縮合多環式アリールフルオレン骨格を有しているにもかかわらず、成形性に優れ、通常、自立膜を形成(単独で形成)できる。そのため、本発明には、このような自立膜(又は成形体)も含まれる。
また、本発明のフェノキシ樹脂(又は自立膜)は、優れた機械的特性(例えば、高弾性率)を有している場合が多い。例えば、本発明のフェノキシ樹脂は、DMA法で測定される貯蔵弾性率が10MPaとなる温度が90℃以上(特に100℃以上)であってもよく、例えば90〜150℃、好ましくは95〜130℃、さらに好ましくは100〜120℃(特に103〜110℃)程度であるフェノキシ樹脂であってもよい。
[フェノキシ樹脂の製造方法]
本発明のフェノキシ樹脂は、前記式(1)で表されるビスフェノール化合物及び前記式(2)で表されるビスフェノール化合物を含むビスフェノール化合物と、二官能性エポキシ化合物とを反応させて得られる。反応において、前記ビスフェノール化合物と前記二官能性エポキシ化合物との割合は、前記構成単位(A)と前記構成単位(B)との割合と同一である。
ビスフェノール化合物と二官能性エポキシ化合物との反応は、触媒(反応触媒)の存在下で行ってもよい。触媒としては、特に限定されず、例えば、水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ金属塩;水酸化カルシウムなどの水酸化アルカリ土類金属塩)、アミン類[例えば、脂肪族アミン(例えば、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジシクロヘキシルエチルアミン、ジエチルシクロヘキシルアミン、トリベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン、1−メチルピペリジン、1−エチルピペリジン、1,2,2’,6,6’−ペンタメチルピペリジン、1−メチルピロリジン、1−エチルピロリジン、4−メチルモルホリン、4−エチルモルホリン、2,6−ジメチルピペラジンなどの脂肪族第三級アミン)、芳香族アミン(例えば、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンなどの芳香族第3級アミンなど)、複素環式アミン[ピリジン、ルチジン、コリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、4−ピロリジノピリジン、イミダゾール系化合物(イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなど)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセンなど)など]、第4級アンモニウム塩(例えば、テトラメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイドなど)、ホスフィン類(例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィンなど)、ホスホニウム塩(例えば、n−ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイドなど)などが挙げられる。
これらの触媒は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。これらの触媒のうち、少量で重合効率を向上できる点から、第三級アミンやイミダゾール類などの第3級窒素原子を含むアミンが好ましく、イミダゾール類が特に好ましい。
イミダゾール類としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾールなどの2−C1−18アルキルイミダゾール;2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−イソプロピル−4−メチルイミダゾールなどの2−C1−18アルキル−4−C1−4アルキルイミダゾール;2−フェニルイミダゾールなどの2−アリールイミダゾール;2−フェニル−4−メチルイミダゾールなどの2−アリール−4−C1−4アルキルイミダゾールなどが挙げられる。これらのイミダゾール類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのイミダゾール類のうち、取り扱い性に優れる点から、アルキルイミダゾール(特に2−エチル−4−メチルイミダゾールなどの2−C2−4アルキル−4−C1−3アルキルイミダゾール)が好ましい。
触媒の割合は、触媒の種類にもよるが、例えば、単量体(前記ビスフェノール化合物、前記二官能性エポキシ化合物など)の合計100重量部に対して、例えば0.001〜30重量部、好ましくは0.005〜10重量部、さらに好ましくは0.01〜5重量部(例えば、0.02〜3重量部)程度であってもよく、1重量部以下[例えば0.001〜0.9重量部、好ましくは0.003〜0.5重量部、さらに好ましくは0.005〜0.3重量部(特に0.01〜0.1重量部)程度]であってもよい。
また、反応は、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、反応を阻害しない溶媒であれば特に限定されず、例えば、炭化水素類(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルカノール類)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテルなどのジアルキルエーテル類;1,3−ジメトキプロパン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどの(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル類など)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのアルカノン類;シクロヘキサノンなどのシクロアルカノン類)、エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチルなど)、アミド類(例えば、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどのN−モノ又はジC1−4アルキルホルムアミド;N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのN−モノ又はジC1−4アルキルアセトアミド;N−メチルピロリドンなど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリルなど)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシドなど)、スルホン類(例えば、スルホランなどの環状スルホン)などの有機溶媒が挙げられる。なお、溶媒は有機溶媒と無機系溶媒(水など)との混合溶媒であってもよい。また、前記触媒としてのアミンを溶媒として用いてもよい。これらの溶媒は単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
溶媒の割合は、単量体の合計100重量部に対して1〜1000重量部程度の範囲から選択でき、例えば5〜800重量部、好ましくは10〜500重量部、さらに好ましくは50〜300重量部(特に100〜200重量部)程度である。なお、溶媒の量を調整することで、反応系における粘度を効率よく調整したり、副反応(例えば、環状化反応)などを効率よく抑えやすい。
反応は、加温下で行ってもよい。加温下で行う場合、反応温度は、例えば50〜300℃程度、好ましくは100〜250℃、さらに好ましくは150〜200℃程度であってもよい。反応時間は、例えば30分〜24時間、好ましくは1〜18時間、さらに好ましくは2〜12時間程度であってもよい。なお、反応は、空気中又は不活性雰囲気(窒素、希ガスなど)中で行ってもよく、減圧下、常圧下又は加圧下(通常常圧下)で行ってもよい。
なお、生成物(フェノキシ樹脂)は、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製してもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例において、用いた各種成分(及びその略称)は、以下の通りである。
(ビスフェノール化合物)
BNF:9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレン、大阪ガスケミカル(株)製
ビスフェノールアセトフェノン(BisAP):東京化成(株)製
(二官能エポキシ化合物)
エピコート828:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学(株)製、「エピコート828」、エポキシ当量187g/eq
(触媒)
2E4MZ:2−エチル−4−メチルイミダゾール:東京化成(株)製
また、実施例において、各種測定は以下のようにして行った。
(重量平均分子量)
溶出液にテトラヒドロフランを用い、30℃(流速1.00mL/分)の条件で、2本の連続した線状ポリスチレンゲルカラム(Tosoh TSKgel GMHHR-L)を備えたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(東ソー(株)製「HLC−8120GPC」)により、ポリスチレン標準で測定した。
(ガラス転移温度(DSC))
示差走査熱量計(SII(株)製「DSC 6220」)を用いて、10℃/分の速度で30℃〜220℃の温度範囲で測定した。
(ガラス転移温度(DMA)及び動的粘弾性)
動的粘弾性測定装置((株)ユービーエム製、Rheosol−G5000)を用いて、周波数1Hz、3℃/分の昇温速度で測定した。そして、ガラス転移温度(Tg)は、tanδのピークとした。また、動的粘弾性測定において、貯蔵弾性率10MPaにおける温度を読み取った。
(比較例1)
28重量部のBNF、23重量部のエピコート828(ビスフェノール化合物に対して0.9当量)、29重量部のシクロヘキサノン、0.02重量部の2E4MZを混合し、165℃にて攪拌しながら8時間反応させ、反応物を得た。
反応物の重量平均分子量は11000であり、反応物のガラス転移温度(DSC)は135℃であった。また、反応物を含む反応液(固形分濃度約40%)をセルローストリアセテートフィルム(富士フイルム(株)製「TAC100」)上に塗布し、80℃で10分間乾燥した。乾燥後の膜(厚み20μm)を、セルローストリアセテートフィルムから剥離を試みたが、脆くて細片状に分かれ、明らかに自立膜を形成していなかった。なお、自立膜を形成できなかったため、ガラス転移温度(DMA)及び弾性率の測定はできなかった。
(比較例2)
比較例1において、各成分を、15.5重量部のBisAP、20重量部のエピコート828、53重量部のシクロヘキサノン、0.02重量部の2E4MZにしたこと以外は、比較例1と同様にして反応物を得た。
反応物の重量平均分子量は19700であり、反応物のガラス転移温度(DSC)は104℃であり、ガラス転移温度(DMA)は82℃であった。また、反応物を、比較例1と同様にして塗布して乾燥したところ、乾燥後の膜はフィルムからきれいに剥離可能であり、自立膜を形成していることを確認した。また、動的粘弾性測定において、貯蔵弾性率10MPaにおける温度は96℃であった。
(実施例1)
比較例1において、各成分を、12重量部のBNF、7.8重量部のBisAP、20重量部のエピコート828、60重量部のシクロヘキサノン、0.02重量部の2E4MZにしたこと以外は、比較例1と同様にして反応物を得た。
反応物の重量平均分子量は28800であり、反応物のガラス転移温度(DSC)は147℃であり、ガラス転移温度(DMA)は94℃であった。また、反応物を、比較例1と同様にして塗布して乾燥したところ、乾燥後の膜はフィルムからきれいに剥離可能であり、自立膜を形成していることを確認した。また、動的粘弾性測定において、貯蔵弾性率10MPaにおける温度は104℃であった。さらに、反応物をH−NMR(CDCl−400MHz)で測定したところ、フェノキシ樹脂に導入されたフェノール成分の50モル%がBNF由来であり、50モル%がBisAPであった。また、エポキシ成分はフェノール成分(BNFとBisAP)の合計と当モルであった。
(実施例2)
比較例1において、各成分を、7.2重量部のBNF、10.9重量部のBisAP、20重量部のエピコート828、57重量部のシクロヘキサノン、0.02重量部の2E4MZにしたこと以外は、比較例1と同様にして反応物を得た。
反応物の重量平均分子量は25000であり、反応物のガラス転移温度(DSC)は112℃であり、ガラス転移温度(DMA)は94℃であった。また、反応物を、比較例1と同様にして塗布して乾燥したところ、乾燥後の膜はフィルムからきれいに剥離可能であり、自立膜を形成していることを確認した。また、動的粘弾性測定において、貯蔵弾性率10MPaにおける温度は100℃であった。さらに、反応物をH−NMR(CDCl−400MHz)で測定したところ、フェノキシ樹脂に導入されたフェノール成分の30モル%がBNF由来であり、70モル%がBisAPであった。また、エポキシ成分はフェノール成分(BNFとBisAP)の合計と当モルであった。
(実施例3)
比較例1において、各成分を、16.8重量部のBNF、4.7重量部のBisAP、20重量部のエピコート828、62重量部のシクロヘキサノン、0.02重量部の2E4MZにしたこと以外は、比較例1と同様にして反応物を得た。
反応物の重量平均分子量は24000であり、反応物のガラス転移温度(DSC)は155℃であり、ガラス転移温度(DMA)は99℃であった。また、反応物を、比較例1と同様にして塗布して乾燥したところ、乾燥後の膜はフィルムからきれいに剥離可能であり、自立膜を形成していることを確認した。また、動的粘弾性測定において、貯蔵弾性率10MPaにおける温度は105℃であった。さらに、反応物をH−NMR(CDCl−400MHz)で測定したところ、フェノキシ樹脂に導入されたフェノール成分の70モル%がBNF由来であり、30モル%がBisAPであった。また、エポキシ成分はフェノール成分(BNFとBisAP)の合計と当モルであった。
これらの結果を以下の表1に示す。
Figure 0006642996
表1の結果から明らかなように、比較例のフェノキシ樹脂に比べて、実施例のフェノキシ樹脂では、より重合が進行し、分子量及び耐熱性が向上した。
本発明では、9,9−ビス縮合多環式アリールフルオレン骨格を有しているにもかかわらず、フェノキシ樹脂を効率よく高分子量化できる。そして、このようなフェノキシ樹脂は、成形性に優れ、単独で自立膜を形成することも可能である。
このような本発明のフェノキシ樹脂は、熱可塑性樹脂として使用できる他、硬化剤と組み合わせることにより、熱硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂組成物としても使用できる。
このような樹脂組成物(フェノキシ樹脂組成物)は、他の成分、例えば、他のフェノキシ樹脂、添加剤[例えば、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤など)、難燃剤、難燃助剤、可塑剤、耐衝撃改良剤、充填剤(又は補強剤)、分散剤、帯電防止剤、抗菌剤、滑剤、硬化剤(例えば、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤など)など]などを含んでいてもよい。これらの他の成分は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。なお、硬化剤を含む樹脂組成物は、前記のように、熱硬化性樹脂組成物(熱硬化性フェノキシ樹脂組成物)として使用できる。
このような本発明のフェノキシ樹脂(又はその組成物)又はその成形体は、高耐熱性、高屈折率、高強度及び高弾性、高電気絶縁性などの優れた特性を有しており、種々の用途、例えば、電気用積層板、絶縁ワニスなどの電気・電子分野の成形体、層間絶縁膜、異方性導電膜などの絶縁膜、透明プラスチック基板、光導波路などの光学材料、樹脂改質剤、封止剤、接着剤、フィルムなどとして好適に使用できる。

Claims (11)

  1. ビスフェノール化合物由来の構成単位(A)と、二官能性エポキシ化合物由来の構成単位(B)とを含むフェノキシ樹脂であって、重量平均分子量が20000以上であり、かつ前記構成単位(A)が、下記式(1)で表されるビスフェノール化合物由来の構成単位(A1)と、下記式(2)で表されるビスフェノール化合物由来の構成単位(A2)とを含むフェノキシ樹脂。
    Figure 0006642996
    (式中、環Zはナフタレン環、Rはシアノ基、ハロゲン原子又は炭化水素基を示し、Rはメチル基を示し、ヒドロキシ基は、フルオレンの9位に結合した炭化水素環とは別の炭化水素に置換し、mは0〜4の整数、nは0〜4の整数である)
    Figure 0006642996
    (式中、Rは水素原子又は炭化水素基を示し、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を示し、Rはシアノ基、ハロゲン原子又は炭化水素基を示し、kは0〜4の整数、pは0〜5の整数を示す)
  2. 式(1)において、Rがアルキル基、mが0〜1である請求項1記載のフェノキシ樹脂。
  3. 式(1)で表される化合物が、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレンである請求項1又は2記載のフェノキシ樹脂。
  4. 構成単位(A1)と構成単位(A2)とのモル比が、前者/後者=90/10〜30/70である請求項1〜3のいずれかに記載のフェノキシ樹脂。
  5. 式(2)において、R及びRがアルキル基又はアリール基、kが0〜2、Rがアルキル基、pが0〜1である請求項1〜4のいずれかに記載のフェノキシ樹脂。
  6. 二官能性エポキシ化合物が、フルオレン骨格を有さないビスフェノール系エポキシ樹脂である請求項1〜5のいずれかに記載のフェノキシ樹脂。
  7. 動的粘弾性分析法で測定される貯蔵弾性率において10MPaとなる温度が、100℃以上である請求項1〜6のいずれかに記載のフェノキシ樹脂。
  8. 示差走査熱量計(DSC)によるガラス転移温度が110℃以上である請求項1〜7のいずれかに記載のフェノキシ樹脂。
  9. 式(1)で表されるビスフェノール化合物及び式(2)で表されるビスフェノール化合物を含むビスフェノール化合物と、二官能性エポキシ化合物とを反応触媒として第3級窒素原子を含むアミンを用いて反応させて、請求項1〜8のいずれかに記載のフェノキシ樹脂を製造する方法。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載のフェノキシ樹脂で形成された成形体。
  11. 自立膜である請求項10記載の成形体。
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