JP2016014477A - 消防ホースの結合金具 - Google Patents
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Abstract
Description
消防ホースと消防車の吐出口、消防ホースと放水ノズル、および消防ホース同士は結合金具によって連結されるものである。消防車からの加圧された水または泡がそれらを通して、放水ノズルに送られ、消火などのために放出される。
日本で販売される結合金具には、差込式、ねじ式、およびツイスト式があるが、差込式の町野式結合金具は構造が簡単で軽量であり、着脱の操作性が優れているため、ほとんどの消防隊で使用している。
結合金具は、受け金具10と差し金具20とからなる。
差し金具20は差し金具本体21と押し輪22とから構成される。差し金具本体21の一方には、受け金具10の受け金具爪17との係止のための環状突部23が設けられ、差し金具本体21の他方には、鋸刃状断面からなる差し金具用ホース接続部24が設けられている。押し輪22は、受け金具爪17を押しよけるための係止解除用円筒部22aと指で押す鍔状操作部22bからなる。係止解除用円筒部22aの外径は、差し金具本体21の環状突部23の外径よりやや大きい。
受け金具締め輪13、爪座14、受け金具爪17、爪ばね15、ゴムバンド16、およびOリング18は、受け金具本体11の一方に配置される。受け金具本体11の他方には、鋸刃状断面からなる受け金具用ホース接続部12が設けられている。
受け金具爪17は円周方向に等間隔で複数設けられ、受け金具10の先端(一方の開口)に向けて斜面を持ち、また、爪座14に沿って径方向にスライドできる。爪ばね15は受け金具爪17を常に中心方向に付勢している。
また、訓練や消火活動中、ホースの圧力を抜かないまま結合金具を解除してしまうヒューマンエラーもあった。
要するに、水や圧縮空気で加圧された消防ホースの結合金具が外部の原因や人の操作ミスで不用意に解除されると、消火活動の支障になるだけでなく、操作者本人や周囲の人に危害を加えることもあるため、それを防ぐことが消防の課題である。
特許文献1は、押し輪22が障害物に引っ掛かることにより結合が不用意に解除されることを防ぐ方法を提示している。つまり、差し金具20と受け金具10の外周に押し輪22の外径よりも大きい外径を持つカバー部材を取り付けることにより、押し輪22が地面や障害物に簡単に接触できない。
また特許文献2や特許文献3では、差し金具20の押し輪22と受け金具10の締め輪との間に押し輪22の動きを制限するロック部材を入れることにより、結合金具の不用意解除を防止する方法を提示している。
また、特許文献2や特許文献3では、ホースの移動中に押し輪が障害物に引っ掛かったことによる結合金具の離脱を防止することができるが、誤操作による不用意の離脱を防ぐことができない。また、ロック部材を取り付けることは、一刻一秒を争う消防活動にとっては、手間の掛かるものであり、ホースの操作性を損なうものである。さらに、ヒューマンエラーとして取り付け忘れることもあり得る。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の消防ホースの結合金具において、前記本体側滑り止め溝又は前記押し輪側滑り止め溝を、三角形、台形、又は波状の断面形状としたことを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の消防ホースの結合金具において、前記本体側滑り止め溝を横断するキー溝を形成し、前記キー溝の両端が前記本体側滑り止め溝の幅を超えるように付設したことを特徴とする。
図1は本実施例による消防ホースの結合金具を離脱させた状態(ただし押し輪を図示せず)の半断面図、図2は同実施例による消防ホースの結合金具を結合させた状態の半断面図、図3は同実施例による消防ホースの結合金具の要部断面図、図4は同実施例による消防ホースの結合金具に用いる押し輪の半断面図、図5は同実施例による消防ホースの結合金具の動作状態を示す要部断面図である。なお、従来例と同一機能部材には、同一符号を付して説明を一部省略する。
差し金具本体21は、一方に環状突部23を、他方に差し金具用ホース接続部24を、環状突部23と差し金具用ホース接続部24との間に摺動円筒部25をそれぞれ設けている。
図4に示す押し輪22は、図1に示す摺動円筒部25でスライド可能に設けている。
受け金具本体11は、一方に受け金具爪17を、他方に受け金具用ホース接続部12をそれぞれ設けている。爪ばね15は、受け金具爪17を受け金具本体11の中心軸線X1の方向に付勢する。
差し金具20と受け金具10との結合の解除は、押し輪22を、摺動円筒部25に沿ってスライドさせて受け金具10に挿入し、受け金具爪17の係止解除用斜面17aに当接させ、押し輪22によって係止解除用斜面17aを押圧することで受け金具爪17を外方に押しよけて、受け金具爪17と環状突部23との係止を解除することで行われる。
本実施例による消防ホースの結合金具は、環状突部23の差し金具用ホース接続部側端面23aには、斜面23bを形成する係止ロック用溝23cを設け、受け金具爪17には、斜面23bと当接する突起17bを設けている。
差し金具本体21の中心軸線X2に対する係止解除用斜面17aの角度をβとした時に、β<αとしている。
受け金具爪17は受け金具10の円周方向に等間隔で3つ設けられ、受け金具10の入口に向けて係止解除用斜面17aを持ち、また、爪座14に沿って半径方向にスライドできる。爪ばね15は受け金具爪17に対して常に中心軸線X2の方向に動く力をかけている。
ホースに圧力が掛からない状態において、結合された金具を解除する時、従来の通り、押し輪22の鍔状操作部22bを指で受け金具10の方向、つまり差し金具本体21の環状突部23の方向に押すと、押し輪22の係止解除用円筒部22aは受け金具爪17に加工された突起17bによる斜面に当り、受け金具爪17を押しよけながら、差し金具20の環状突部23まで進む。よって、受け金具爪17と環状突部23との引っ掛かりが解消され、結合が解除される。
また、ホースの非加圧時における結合金具の離脱対策として、押し輪22の係止解除用円筒部22aの内周面の両端には、微細な溝による押し輪側滑り止め溝22cを加工し、差し金具本体21の摺動円筒部25の外周面には、微細の溝による本体側滑り止め溝25aを加工した。
図6は本実施例による消防ホースの結合金具に用いる差し金具の半断面図であり、押し輪を外した状態を示している。押し輪22及び受け金具10については上記実施例と同一であるので説明を省略する。また、従来例と同一機能部材には、同一符号を付して説明を一部省略する。
本実施例では、複数条の本体側滑り止め溝25aを横断するキー溝25bを形成し、キー溝25bの両端が本体側滑り止め溝25aの幅を超えるように付設している。
キー溝25bに付着した砂や粉塵を除去する場合には、ブラシや布等を溝に押し当てたまま、外周に沿って移動させることで、砂や粉塵を本体側滑り止め溝25aからキー溝25bに追い出し、容易に砂や粉塵を除去することができる。
F2/F1=tan(90−α)・・・(1)
F4/F3=tanβ・・・(2)
同様に、F3=F2’tanβ=a(constant)、よって
F4=aF1tan(90−α)・・・(3)
一方、αが0°になると、tan(90−α)が無限大になり、ホースの内圧に関係なく、係止の解除に必要な力F4は無限大になる。このように、斜面23bの角度αを適切に設定すれば、それに対応する解除力が決まる。最小放射圧における結合金具の解除力(爪ばね力と摩擦力を含む)が人の指の力より大きく設定すれば、誤操作があっても、結合金具が不用意に解除されてしまうことが避けられる。また、ホースが加圧された状態で移動する際、たとえ障害物に引っ掛かっても、金具の結合が簡単に離脱することがない。
人が結合金具を解除する場合、両手の指で押し輪22の鍔状操作部22bを均等に押すことに対して、押し輪22の鍔状操作部22bが障害物に引っ掛かった場合では、鍔状操作部22bの一方側が力を受ける状態となる。押し輪22の係止解除用円筒部22aの内周と差し金具本体21の外周との間にわずかな隙間があるため、一方の受力状態になると、図5のように、係止解除用円筒部22aの先端の一方が浮き上がり、他方が差し金具本体21の外周にくい込むようになる。また、係止解除用円筒部22aの後部も同様な現象が起きる。そこで本体側滑り止め溝25aを形成することで、係止解除用円筒部22aの端面が係止できるが、係止解除用円筒部22aの内周面の両端に押し輪側滑り止め溝22cを形成することで、互いの係止がより確実に行え、一方に加えられた障害物の力は滑り止めの効果をもたらすようになる。よって、障害物による結合金具の不用意の離脱を防ぐことができる。
本発明の有用性を実証するため、45°の係止ロック用溝23cの斜面23bの角度αを有する結合金具を試作し、ホース圧を変化させて解除力を測定した。また、比較のため従来の結合金具の解除力も測定した。ここで解除力とは、差し金具20と受け金具10が結合した状態において、結合金具の係止を解除するために、押し輪22の鍔状操作部22bに加えた力の最大値を指す。ここに示された必要な解除力の測定値は爪ばね15の力と摩擦力および斜面のかみ合いによるロック力の合計値である。
図9に示すように、ホースに圧力がかかっていない状態において、従来品と本実施例の解除力が同等である。一方、ホースの加圧状態において、その圧力の増大につれ、金具の結合解除に必要な力が増える。通常の最低使用圧力の0.3MPaにおいて、本実施例の解除力は従来品の約6倍である。
差し金具20と受け金具10の構造が異なるため、それを解除する時の操作者と結合金具の相対位置、つまり、差し金具20側に立つか、または受け金具10側に立つかによって、指の持ちやすさが変わり、それに伴って力の出し方も変わる。測定は同じ被験者に対して、二つの位置において測定を行った。また、測定対象として、一般人と消防士を分けて、それぞれのグループに対する測定を行った。その結果によると、結合金具を解除するための一般人の指力の最小値、最大値および平均値は、それぞれ140Nと550Nおよび308Nである。また、消防隊員の指力の最小値、最大値および平均値は、それぞれ149Nと680Nおよび398Nである。
その結果より、従来の結合金具を使用する場合、人によっては0.7MPaのホース圧力においても結合金具の結合を解除することが可能である。それに対し、本発明の結合金具を使用する場合、人の指力で結合金具を解除できる限界圧力は約0.11MPaである。消火活動時の通常の最低使用圧力は0.3MPaであるため、本実施例を利用すれば誤操作により結合金具の離脱を防止することができる。
従って、本発明の有用性が実証される。
11 受け金具本体
12 受け金具用ホース接続部
15 爪ばね
17 受け金具爪
17a 係止解除用斜面
17b 突起
20 差し金具
21 差し金具本体
22 押し輪
23 環状突部
23a 差し金具用ホース接続部側端面
23b 斜面
23c 係止ロック用溝
24 差し金具用ホース接続部
25 摺動円筒部
25a 本体側滑り止め溝
25b キー溝
Claims (3)
- 差し金具と受け金具とからなり、
前記差し金具が、
一方に環状突部を、他方に差し金具用ホース接続部を、前記環状突部と前記差し金具用ホース接続部との間に摺動円筒部を、それぞれ設けた差し金具本体と、
前記摺動円筒部でスライド可能な押し輪と
を有し、
前記受け金具が、
一方に受け金具爪を、他方に受け金具用ホース接続部を、それぞれ設けた受け金具本体と、
前記受け金具爪を前記受け金具本体の中心軸線の方向に付勢する爪ばねと
を有し、
前記環状突部を、前記受け金具爪を越える位置まで、前記受け金具本体の一方から挿入することで前記差し金具と前記受け金具を結合し、
前記押し輪を、前記摺動円筒部に沿ってスライドさせて前記受け金具に挿入し、前記受け金具爪の係止解除用斜面に当接させ、前記押し輪によって前記係止解除用斜面を押圧することで前記受け金具爪を外方に押しよけて、前記受け金具爪と前記環状突部との係止を解除することで、前記差し金具と前記受け金具との結合を解除するように構成された消防ホースの結合金具において、
前記摺動円筒部の外周面に本体側滑り止め溝を設け、
前記押し輪の内周面の両端に押し輪側滑り止め溝を設け、
前記押し輪の前記内周面と前記摺動円筒部の前記外周面との間に隙間を設けたことを特徴とする消防ホースの結合金具。 - 前記本体側滑り止め溝又は前記押し輪側滑り止め溝を、三角形、台形、又は波状の断面形状としたことを特徴とする請求項1に記載の消防ホースの結合金具。
- 前記本体側滑り止め溝を横断するキー溝を形成し、前記キー溝の両端が前記本体側滑り止め溝の幅を超えるように付設したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の消防ホースの結合金具。
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