JP2016011664A - 鞍乗型車両 - Google Patents
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Abstract
Description
シリンダ軸線(Cc)を大きく前傾させた姿勢のOHC型内燃機関(30)には、内部に機関弁(61,62)に連動する複数のロッカアーム(57,58)が、相互に隣接してロッカアームシャフト(55)に揺動自在に軸支されて配列され、
隣接する前記ロッカアーム(57,58)内に前記ロッカアームシャフト(55)の軸方向に移動自在に嵌合する連結ピン(71)が、隣接する前記ロッカアーム(57,58)を一体に揺動可能に連結する連結位置と互いに独立して揺動可能とする連結解除位置との間を移動可能に設けられ、
前記OHC型内燃機関(30)の外部に配置される押圧力発生源(75)の押圧力を前記連結ピン(71)に伝達して前記連結ピン(71)を車幅方向へ移動させる押圧力伝達部材(74,76)が設けられ、
前記OHC型内燃機関(30)と、ベルト式無段変速機(21)とを有するパワーユニット(20)が、車体フレームに揺動可能に支持される鞍乗型車両において、
前記OHC型内燃機関(30)は、車幅方向を向く側壁(100L,100R)と、上下方向を向く側壁(100U,100S)とで矩形筒状をなす側壁を有し、
前記押圧力発生源(75)が車幅方向を向く前記側壁(100L,100R)のうち一方の側壁に取り付けられ、
前記押圧力発生源(75)の車幅方向外側に、前記車体フレームの一部が設けられることを特徴とする
前記車体フレームは、ヘッドパイプ(2)と、同ヘッドパイプ(2)から下方へ延出するダウンチューブ(3)と、同ダウンチューブ(3)から車体前部(1f)と車体後部(1r)との間に配置されるフロア部(1c)の下方を通って後方へ延びて前記フロア部(1c)の後部で斜め上方に立ち上がって後方に延びる左右一対のフロアパイプ(4)とを備え、
前記押圧力発生源(75)は、側面視で、前記フロアパイプ(4)の後部で斜め上方に立ち上がって後方に延びる部位の前方に位置するようにしてもよい。
前記車体フレームは、ヘッドパイプ(2)と、同ヘッドパイプ(2)から下方へ延出するダウンチューブ(3)と、同ダウンチューブ(3)から車体前部(1f)と車体後部(1r)との間に配置されるフロア部(1c)の下方を通って後方へ延びて前記フロア部(1c)の後部で斜め上方に立ち上がって後方に延びる左右一対のフロアパイプ(4)と、同フロアパイプ(4)に連結されて後方に延びるメインパイプ(5)と、左右一対の前記フロアパイプ(4)の斜め上方に立ち上がって後方に延びる部位から前方に向け突設されて前記メインパイプ(5)と連結する連結パイプ(6)とを備え、
前記押圧力発生源(75)の少なくとも一部は、側面視で、前記連結パイプ(6)の上端よりも下方に位置するようにしてもよい。
前記押圧力発生源(75)を含む車体後部(1r)は、左右側方からボディカバー(29e)によって覆われるようにしてもよい。
前記パワーユニット(20)は、ピボット軸(19)を介して前記車体フレームに揺動可能に支持され、
前記押圧力発生源(75)は、側面視で、前記ピボット軸(19)より前方に位置するようにしてもよい。
前記ロッカアーム(57,58)の作用端部(57vv,58vv)に調整ネジ(57t,58t)が螺着され、
前記連結ピン(71)の軸線(Cp)は、前記調整ネジ(57t,58t)の頭部側端部(57tt,58tt)とロッカーアームシャフト挿通孔(57h,58h)の軸線(Cr)との間にあって、かつ前記ロッカーアームシャフト挿通孔(57h,58h)の軸線(Cr)の上方に配置されるようにしてもよい。
前記ロッカアーム(57,58)を駆動するカムシャフト(54)を備え、
前記OHC型内燃機関(30)の内部には、前記カムシャフト(54)とクランク軸(35)との間に架設されるカムチェーン(51)が通るカムチェーン室(52)が設けられ、
車幅方向を向く前記側壁(100L,100R)のうち、前記押圧力発生源(75)が取り付けられる側壁とは反対側の側壁と、当該側壁の内側の内壁(110)との間に前記カムチェーン室(52)が形成されるようにしてもよい。
前記カムシャフト(54)は、ベアリング(82)を介して前記内壁(110)に軸支され、
前記ベアリング(82)の車幅方向一側方に隣接して前記カムチェーン室(52)が配置され、
前記ベアリング(82)の車幅方向他側方に隣接して設けられる排気カムロブ(54e)に、デコンプ機構(85)が組み込まれるようにしてもよい。
前記押圧力発生源(75)には、前記押圧力伝達部材(76)を摺動自在に軸支するボス部(77bb)が、前記OHC型内燃機関(30)に嵌入させるために突出形成され、
前記押圧力発生源(75)は、前記ボス部(77bb)に設けられるOリング(84)、および前記OHC型内燃機関(30)と前記ボス部(77bb)の端部との間に設けられるシール部材(83)を介装して嵌入されるようにしてもよい。
前記OHC型内燃機関(30)は、水冷式内燃機関であり、車幅方向を向く前記側壁(100L,100R)のうち前記押圧力発生源(75)が取り付けられる側壁とは反対側の側壁に、ウォータポンプ(150)が支持されるようにしてもよい。
図1は、本発明を適用した一実施の形態に係る鞍乗型車両であるスクータ型自動二輪車1の側面図である。
本明細書中において、自動二輪車1の車両を基準に前後左右を決めることとする。
メインパイプ5,5の先端は、連結パイプ6の左右側部にそれぞれ固着されることで、メインパイプ5,5とフロアパイプ4,4と連結パイプ6が相互に連結されて強固に組付けられている(図2参照)。
車体前部1fにおいては、ヘッドパイプ2に軸支されて上方にハンドル11が設けられ、下方にフロントフォーク12が延びてその下端に前輪13が軸支されている。
フロアパイプ4,4の後方立ち上がり部にはブラケット7,7が下方に突設され、同ブラケット7,7にリンク部材16を介してパワーユニット20が揺動可能に連結支持されている。
この減速機構22のあるパワーユニット20の後部に立設されたブラケット20bと前記メインパイプ5の後部に突設されたブラケット5bとの間にリヤクッション15が介装されている。
一方、シリンダヘッド33の下部から下方に延出した排気管28は、後方へ屈曲し右側に偏って後方に延びて後輪21の右側のマフラ(図示せず)に接続される。
内燃機関30は、シリンダブロック32のシリンダライナ38内を往復動するピストン36とクランク軸35のクランクピン35aとをコネクティングロッド37が連結している。
クランクケース31は、左右割りの左クランクケース31Lと右クランクケース31Rとを合体して構成されるもので、右クランクケース31Rは、クランクケース部の半体をなし、左クランクケース31Lは、前部がクランクケース部の半体をなすとともに、後方に膨出して前後に長尺のベルト式無段変速機21を収容する伝動ケースを兼ねる。
この左クランクケース(伝動ケース)31Lの前後長尺の左側開放面は、伝動ケースカバー40により覆われ、内部にベルト式無段変速機21が収納される。
図2を参照して、ベルト式無段変速機21は、駆動プーリ42aと減速機構22の入力軸22aに設けられる被動プーリ42bとにVベルト42cが掛け渡されて動力が伝達されるもので、変速比は機関回転数に応じて移動する遠心ウエイト41により駆動プーリ42aにおけるVベルト42cの巻掛け径が変化し、同時に被動プーリ42bにおける巻掛け径が変化することにより自動的に変更され、無段変速する。
ACジェネレータ44のアウタロータ44rの右側面には複数のラジエタファン45が形成されている。
ラジエタファン45の外周は、シュラウド46により概ね囲繞され、ラジエタファン78の右方にはラジエタ47が近接してシュラウド46に支持されて設けられ、ラジエタ47はルーバ付きのラジエタカバー48で覆われている。
ヘッドカバー34内の動弁機構50に動力伝達を行うカムチェーン51がカムシャフト54とクランク軸35との間に架設されており、そのためのカムチェーン室52が、右クランクケース31R,シリンダブロック32,シリンダヘッド33に連通して設けられている(図5参照)。
一方、シリンダヘッド33においてカムチェーン室52と反対側(左側)から燃焼室33aに向かって点火プラグ49が嵌挿されている(図2,図5参照)。
他方、燃焼室90から下方には左右2本の第1,第2排気ポート95,96が延出し、第1,第2排気ポート95,96は途中合体して1本の下流側排気ポート97として延出しており、下流側排気ポート97は前記排気管28に連結される。
第1,第2吸気弁61,62および第1,第2排気弁63,64は、いずれも燃焼室90に臨む各開口を閉じるように、弁ばね61s,62s,63s,64sにより上方に付勢されている(図6参照)。
図6および図7を参照して、上側の吸気ロッカアームシャフト55には、第1吸気ロッカアーム57と第2吸気側ロッカアーム58が互いに左右に隣接して揺動自在に軸支され、下側の排気ロッカアームシャフト56には、排気ロッカアーム59が揺動自在に軸支される。
第2吸気ロッカアーム58は、軸支部58aの左側に偏った部分から第1吸気ロッカアーム57に沿って下方に延びたカム側アーム部58cの下部に形成されたスリッパ58sがカムシャフト54の第2吸気カムロブ54iiに滑り接触し、軸支部58aから上方に延びた弁側アーム部58vの上端部である作用端部58vvに螺着された調整ネジ58tが弁ばね62sにより上方に付勢された第2吸気弁62のバルブステムの上端に接する。
同様に、排気カムロブ54eは、カムシャフト54の所定の回転角度でカム山が排気ロッカアーム59のローラ59rを前方に移動して排気ロッカアーム59を揺動することで、他端のタペットねじ59t,59ttが排気弁63,64を弁ばね63s,64sに抗して押し、第1,第2排気ポート95,96の燃焼室90に臨む開口を所定のタイミングで開く。
ただし、閉弁休止状態で燃料溜りが生じるのを防止するため、第2吸気カムロブ54iiは、吸気カムロブ54iと同じ回転角度で僅かにカム山を有し、第2吸気弁62をごく僅か開弁させるようにしている。
したがって、本実施の形態で言う閉弁休止状態とは、完全な閉弁休止ではなくて、若干の開弁を伴うものである。
以下、可変動弁装置70について図10に基づいて説明する。
なお、図10は、シリンダヘッド33および可変動弁装置70をヘッドカバー側からシリンダ軸線方向視した要部断面図であり、左右が図面に向いたときの左右と逆になる。
なお、第1ガイド穴57ghと第2ガイド穴58ghは、互いに連通する面と反対側に底壁57g,58gが形成されており、第1ガイド穴57ghの底壁57gは中央に円孔を有する。
連結ピン71は、第1ガイド穴57ghに完全に納まる円柱本体71aと円柱本体71aの左端面の中央から突出し底壁57gの中空孔を貫通するロッド部71bからなり、第1ガイド穴57ghと第2ガイド穴58ghが左右同軸に連なるときは、連結ピン71の円柱本体71aは第2ガイド穴58ghに移動して第1,第2ガイド穴57gh,58ghの双方に跨ることができる。
連結ピン71は、第1吸気ロッカアーム57とともに揺動するが、揺動できる範囲で揺動する連結ピン71のロッド部71bに対して、常にプッシュロッド74の円板部74aは対向できるだけの面積を有している。
なお、押圧力発生源としては、電磁ソレノイド75のほかに液圧シリンダなどが適用できる。
図10および図11に示すように、電磁ソレノイド75の右方に突出する作動ロッド76は、プッシュロッド74が右側から嵌挿されるロッド摺動孔102に左側から嵌挿され、プッシュロッド74の左端と作動ロッド76の右端がロッド摺動孔102の内部で相対向する。
シリンダヘッド33の上側壁100Uには上流側吸気ポート93の開口が形成され、下側壁100Sには下流側排気ポート97の外部に多少延出した開口端が形成される。
そして、シリンダヘッド33の左側壁100Lには、点火プラグ49が装着されるとともに、前記したように電磁ソレノイド75が取り付けられる(図3,図8参照)。
ロッド摺動孔102の外側開口部は、ロッド摺動孔102の内径が2段に亘って拡大した拡大内径部102aが形成されたロッドボス部102bを形成している(図17参照)。
ロッドボス部102bは点火プラグ装着孔101より上側壁100U側にあり、取付ボス部103pは点火プラグ装着孔101より下側壁100S側にあって、ロッドボス部102bと取付ボス部103pをつなぐリブ部103prは中央の点火プラグ装着孔101を合わせ面100t側で跨いで形成されている。
すなわち、ロッドボス部102bから合わせ面100tに沿って互いに反対側にリブ部103pr,103qrが2本延出するとともに、リブ部103pr,103qrと直交する方向にリブ部103rrが1本延出し、その各端部に取付ボス部103p,103q,103rが形成されている。
固定鉄心75sと可動鉄心75dとの間にスプリング79が介装されている。
収容ケース77,78は熱伝導率が良好な金属製である。
この収容ケース77の円筒部77aの開口端に有底円筒状をした収容ケース78が被せられ、可動鉄心75dを覆う。
なお、有底円筒状をした収容ケース78の底面には可動鉄心75dに対向して弾性部材78rが貼付されている。
電磁ソレノイド75の収容ケース77の底壁部77bおよび取付腕部77pr,77qrは、図14に2点鎖線で示すように、シリンダヘッド33のヘッドカバー34との合わせ面104hよりヘッドカバー34側にはみ出している(図8,図14参照)。
しかし、電磁ソレノイド75は、シリンダヘッド33のみに取り付けられる。
シリンダヘッド33の右側壁100Rには大径の円孔105が形成され(図15参照)、ウォータポンプ150の円筒形状をしたウォータポンプボディ151が水密に嵌入されて支持されている(図8参照)。
ウォータポンプボディ151の短尺円筒部151bの外周に4か所ボルト孔が形成され、ウォータポンプカバー152にもウォータポンプボディ151のボルト孔に対応して4か所ボルト孔が形成されている(図4および図15参照)。
なお、ウォータポンプボディ151とウォータポンプカバー152の対応する他の1か所のボルト孔は、シリンダヘッド33のヘッドカバー34との合わせ面100tよりヘッドカバー34側に突出しており、両者はボルト157bにより締結される(図8参照)。
作業孔108,109は、前記吸気ロッカアームシャフト55および排気ロッカアームシャフト56と同軸上にある。
そして、シリンダヘッド33の水出口開口107には分岐接続管161が突設され、分岐接続管161の本管がラジエタ流入ホース162を介してラジエタ47の上流側ラジエタタンク47aに連結され、分岐接続管161の分岐管がバイパスホース164を介してサーモスタット160に連結されている。
シリンダブロック32内のウォータジャケットの水流入開口とウォータポンプ150の水吐出筒部152bとを水吐出ホース165が連結している。
なお、ウォータポンプ150の上方に突設されたエア抜き筒部152cはエア抜きパイプ166を介して上方の分岐接続管161に連結されている。
内壁110には、右側壁100Rに形成された円孔105と同軸で略同径の軸受円孔111が形成されるとともに、右側壁100Rに形成された作業孔108,109と同軸で同径の吸気ロッカアームシャフト支持孔112h,排気ロッカアームシャフト支持孔113hを有する吸気ロッカアームシャフト支持部112,排気ロッカアームシャフト支持部113が形成されている。
シリンダヘッド33の右側壁100Rにウォータポンプ150が取り付けられると、ウォータポンプボディ151の短尺円筒部151bが栓部材65,66を外側から近接した位置で覆う(図4,図7参照)。
したがって、シリンダヘッド33に取り付けられたウォータポンプ150により栓部材65,66の抜け落ちが防止される。
スタッドボルト締結孔115,116にはスタッドボルト180,180が挿通される。
スタッドボルト締結孔125,126にはスタッドボルト180,180が挿通される。
ロッド摺動孔102は、図7に示すように、シリンダ軸線方向視でナット181と重なり、スタッドボルト締結孔125に近接して設けられている。
給油孔130とロッド摺動孔102は、互いの中心軸線が離れて直角に交差するような位置関係にある。
したがって、給油孔130は、シリンダヘッド33の内側空間とロッド摺動孔102とを連通する。
図8を参照して、カムシャフト54は、左端が軸受円穴121に回転自在に嵌挿され、右側部がベアリング82を介して軸受円孔111に軸支される。
なお、カムシャフト54はベアリング82より右方のカムチェーン室52に突出し、その右端に被動カムチェーンスプロケット53が嵌着される。
また、カムシャフト54のベアリング82より左方の排気カムロブ54eとの間にはデコンプ機構85が排気カムロブ54eを利用して組み込まれている。
吸気ロッカアームシャフト支持孔112hに嵌挿される吸気ロッカアームシャフト55には、ピン嵌挿孔112pに対応して直径方向に軸中心を貫通してピン嵌挿孔55pが穿孔され、吸気ロッカアームシャフト支持部112と吸気ロッカアームシャフト55の双方に同軸に形成されたピン嵌挿孔112p,55pにヘッドカバー34側からピン部材142が嵌挿されることで、吸気ロッカアームシャフト支持部112に吸気ロッカアームシャフト55が固定される(図9参照)。
排気ロッカアームシャフト支持穴123hに嵌挿される排気ロッカアームシャフト56には、ピン嵌挿孔123pに対応して直径方向に軸中心を貫通してピン嵌挿孔56pが穿孔され、排気ロッカアームシャフト支持部123と排気ロッカアームシャフト56の双方に同軸に形成されたピン嵌挿孔123p,56pにヘッドカバー34側からピン部材143が嵌挿されることで、排気ロッカアームシャフト支持部123に排気ロッカアームシャフト56が固定される(図8参照)。
なお、左側壁100Lの吸気ロッカアームシャフト支持部122には、端面から吸気ロッカアームシャフト支持穴122hに作業孔127がシリンダ軸線方向に貫通して形成されている。
補強プレート140は、スタッドボルト締結孔115,116の各開口端部の端面および吸気ロッカアームシャフト支持部112,排気ロッカアームシャフト支持部113の端面に当接して、両端部をスタッドボルト180,180によりシリンダヘッド33と共に共締めされる。
図6に示すように、屈曲プレート部140bは、吸気ロッカアームシャフト支持孔112hと排気ロッカアームシャフト支持孔113hの略中心軸間の幅を有して吸気ロッカアームシャフト支持孔112hと排気ロッカアームシャフト支持孔113hの開口を部分的に塞ぎ、円弧上に凹んだ先端部は軸受円孔111の開口を部分的に塞ぐ。
さらに、補強プレート140は、シリンダヘッド33の吸気ロッカアームシャフト支持部112に形成されたピン嵌挿孔112pに対応する位置に同軸にピン嵌挿孔140pが穿孔されている。
補強プレート141は、スタッドボルト締結孔125,126の各開口端部の端面および吸気ロッカアームシャフト支持部122,排気ロッカアームシャフト支持部123の端面に当接して、両端部をスタッドボルト180,180によりシリンダヘッド33と共に共締めされる。
そして、図7に示すように、補強プレート141は、吸気ロッカアームシャフト支持部122の作業孔127を塞ぐとともに、給油孔130の開口を一部覆っている。
また、排気ロッカアームシャフト支持部123と排気ロッカアームシャフト56の双方のピン嵌挿孔123p,56pに嵌挿されるピン部材143は、補強プレート141の凹部141pを貫通して端部を突出させている(図9参照)。
ブリーザプレート145は、シリンダヘッド33のヘッドカバー34側の合わせ面100tと所定間隔を存して平行に張設される。
図9に示すように、補強プレート140,141を貫通して突出する前記ピン部材142,143の端部は、ブリーザプレート145との間に僅かな間隙を存して近接する。
したがって、シリンダヘッド33の左側壁100Lに取り付けられる電磁ソレノイド75にブリーザホース146が干渉することはない。
シリンダヘッド33のスタッドボルト締結孔115は、シリンダブロック32側から供給されるオイルの通路として利用されており、図7および図13を参照して、同スタッドボルト締結孔115の途中から上側壁100Uに向けてオイル通路131が形成され、オイル通路131の端部は屈曲して上側壁100U内を左側壁100Lに向かうオイル通路132に連通し、オイル通路132の端部は屈曲して左側壁100L内を軸受円穴121に向かうオイル通路133に連通する。
噴出孔132a,132bから噴出されたオイルは、第1吸気ロッカアーム57と第2吸気ロッカアーム58の弁側アーム部57v,58vの端部および調整ネジ57t,58tに散布される(図6,図10参照)。
なお、スタッドボルト締結孔125は上下が閉塞される構造である。
オイル通路133と交差する吸気ロッカアームシャフト支持穴122hとオイル通路133との間をオイル枝通路133aが連結している(図9,図18参照)。
したがって、オイル通路133からオイル導入路134を介してカムシャフト54の軸穴54aに導入されたオイルは、左側の導出油路54bが左側壁100Lの軸受円穴121に連通して軸受部を潤滑し、中央の導出油路54cが第2吸気カムロブ54iiの外周面に開口して第2吸気ロッカアーム58のスリッパ58sとの摺接部を潤滑し、右側の導出油路54dがデコンプ機構85に向けて開口してデコンプ機構85を潤滑する。
また、吸気ロッカアームシャフト55は、軸穴55aの右端近傍に該軸穴55aから第2吸気ロッカアーム58の第2ガイド穴58hに向けて導出油路55cが形成されている(図10参照)。
第2吸気ロッカアーム58の弁側アーム部58vには、第2ガイド穴58hの右端側から上方に抜ける調整油路58eが形成されている。
したがって、第2吸気ロッカアーム58の軸穴55aから導出油路55c,導入油路58dを介して第2ガイド穴58h内に導入されたオイルは、連結解除ピストン72の摺動を潤滑するとともに、連結解除ピストン72の摺動に伴い調整油路58eから排出されて調節される。
第1吸気ロッカアーム57の弁側アーム部57vの上端部に散布されたオイルが表面を流れて導入油路57dに入り、連結解除ピストン72の摺動を潤滑し、油路57eを通ったオイルにより第1吸気ロッカアーム57の揺動が潤滑される。
オイル導溝135の下方で給油孔130の下縁に接する位置から左側に水平に延出して合わせ面100tに至るリブ136が設けられており、リブ136の上方に溜まるオイルも給油孔130に入るようにしている。
同図10に示すように、挟内空間80は、一部給油孔130に連通するのみで、閉空間に近い状態にある。
またさらに、図7に示すように、シリンダヘッド33の左側壁100Lにおけるスタッドボルト締結孔125,126の各開口端部間に架設される補強プレート141は、シリンダ軸線方向視で給油孔130の開口を半分程覆っているので、挟内空間80内のオイルの給油孔130からの流出は抑制されている。
それに伴って挟内空間80も右方に移動するので、挟内空間80に対して右方にオフセットしていた給油孔130のオフセット量が小さくなり、挟内空間80内のオイルが給油孔130から徐々に流出しながら挟内空間80が狭くなって、作動ロッド76がプッシュロッド74に近づき、最終的に当接する。
したがって、プッシュロッド74が右方へ移動している状態で、作動ロッド76がプッシュロッド74に追いつくようにして当接するので、当接の衝撃は極めて小さく抑えられる。
作動ロッド76とともにプッシュロッド74と連結ピン71が右方に移動して、連結ピン71が第1,第2吸気ロッカアーム57,58を連結して一体に揺動するようにしており、作動ロッド76の右端はプッシュロッド74の左端に当接して挟内空間80は失われて、その当接部は給油孔130の右側に接する位置にある。
電磁ソレノイド75の非作動時に、挟内空間80に対して給油孔130が大きくプッシュロッド74側(右側)にオフセットしており、プッシュロッド74が給油孔130とロッド摺動孔102との境の連通口を完全に塞いでいる。
すなわち、電磁ソレノイド75が非作動状態のとき、挟内空間80は閉空間をなしている。
電磁ソレノイド75が作動して作動ロッド76が右方に移動するに従って、挟内空間80も移動して給油孔130に連通するので、挟内空間80内のオイルが給油孔130から徐々に流出しながら挟内空間80が狭くなって、作動ロッド76がプッシュロッド74に近づき、最終的に当接する。
したがって、プッシュロッド74が右方へ移動している状態で、作動ロッド76がプッシュロッド74に追いつくようにして当接するので、当接の衝撃は極めて小さく抑えられる。
作動ロッド76の右端とプッシュロッド74の左端の当接部は、給油孔130に臨んでおり、電磁ソレノイド75の作動状態から非作動状態に切り替わると、プッシュロッド74の方が作動ロッド76より先に移動速度が減衰して停止するように構成した場合は、作動ロッド76がプッシュロッド74より速く移動してプッシュロッド74の左端と作動ロッド76の右端との間の挟内空間80が徐々に拡大し、挟内空間80は給油孔130と連通しているときに、挟内空間80に給油孔130からオイルを吸入することができ、結果として作動ロッド76が停止したときには、挟内空間80をオイルで満たすことが可能である。
そのため、特にシリンダヘッド33周りの小型化を要求される鞍乗型車両である本スクータ型自動二輪車1に好適なものにすることができる。
50…動弁機構、51…カムチェーン、52…カムチェーン室、54…カムシャフト、55…吸気ロッカアームシャフト、56…排気ロッカアームシャフト、57…第1吸気ロッカアーム、57t,58t…調整ネジ、58…第2吸気ロッカアーム、59…排気ロッカアーム、61…第1吸気弁、62…第2吸気弁、63…第1排気弁、64…第2排気弁、
70…可変動弁装置、71…連結ピン、72…連結解除ピストン、74…プッシュロッド、75…電磁ソレノイド、76…作動ロッド、77…収容ケース、77a…円筒部、77b…底壁部、77bb…ロッドボス部、82…ベアリング、83…シール部材、84…Oリング、85…デコンプ機構、
100…外周壁、100L…左側壁、100R…右側壁、100U…上側壁、100S…下側壁、110…内壁、
150…ウォータポンプ。
Claims (10)
- シリンダ軸線(Cc)を大きく前傾させた姿勢のOHC型内燃機関(30)には、内部に機関弁(61,62)に連動する複数のロッカアーム(57,58)が、相互に隣接してロッカアームシャフト(55)に揺動自在に軸支されて配列され、
隣接する前記ロッカアーム(57,58)内に前記ロッカアームシャフト(55)の軸方向に移動自在に嵌合する連結ピン(71)が、隣接する前記ロッカアーム(57,58)を一体に揺動可能に連結する連結位置と互いに独立して揺動可能とする連結解除位置との間を移動可能に設けられ、
前記OHC型内燃機関(30)の外部に配置される押圧力発生源(75)の押圧力を前記連結ピン(71)に伝達して前記連結ピン(71)を車幅方向へ移動させる押圧力伝達部材(74,76)が設けられ、
前記OHC型内燃機関(30)と、ベルト式無段変速機(21)とを有するパワーユニット(20)が、車体フレームに揺動可能に支持される鞍乗型車両において、
前記OHC型内燃機関(30)は、車幅方向を向く側壁(100L,100R)と、上下方向を向く側壁(100U,100S)とで矩形筒状をなす側壁を有し、
前記押圧力発生源(75)が車幅方向を向く前記側壁(100L,100R)のうち一方の側壁に取り付けられ、
前記押圧力発生源(75)の車幅方向外側に、前記車体フレームの一部が設けられることを特徴とする鞍乗型車両。 - 前記車体フレームは、ヘッドパイプ(2)と、同ヘッドパイプ(2)から下方へ延出するダウンチューブ(3)と、同ダウンチューブ(3)から車体前部(1f)と車体後部(1r)との間に配置されるフロア部(1c)の下方を通って後方へ延びて前記フロア部(1c)の後部で斜め上方に立ち上がって後方に延びる左右一対のフロアパイプ(4)とを備え、
前記押圧力発生源(75)は、側面視で、前記フロアパイプ(4)の後部で斜め上方に立ち上がって後方に延びる部位の前方に位置することを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両。 - 前記車体フレームは、ヘッドパイプ(2)と、同ヘッドパイプ(2)から下方へ延出するダウンチューブ(3)と、同ダウンチューブ(3)から車体前部(1f)と車体後部(1r)との間に配置されるフロア部(1c)の下方を通って後方へ延びて前記フロア部(1c)の後部で斜め上方に立ち上がって後方に延びる左右一対のフロアパイプ(4)と、同フロアパイプ(4)に連結されて後方に延びるメインパイプ(5)と、左右一対の前記フロアパイプ(4)の斜め上方に立ち上がって後方に延びる部位から前方に向け突設されて前記メインパイプ(5)と連結する連結パイプ(6)とを備え、
前記押圧力発生源(75)の少なくとも一部は、側面視で、前記連結パイプ(6)の上端よりも下方に位置することを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両。 - 前記押圧力発生源(75)を含む車体後部(1r)は、左右側方からボディカバー(29e)によって覆われることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の鞍乗型車両。
- 前記パワーユニット(20)は、ピボット軸(19)を介して前記車体フレームに揺動可能に支持され、
前記押圧力発生源(75)は、側面視で、前記ピボット軸(19)より前方に位置することを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両。 - 前記ロッカアーム(57,58)の作用端部(57vv,58vv)に調整ネジ(57t,58t)が螺着され、
前記連結ピン(71)の軸線(Cp)は、前記調整ネジ(57t,58t)の頭部側端部(57tt,58tt)とロッカーアームシャフト挿通孔(57h,58h)の軸線(Cr)との間にあって、かつ前記ロッカーアームシャフト挿通孔(57h,58h)の軸線(Cr)の上方に配置されることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両。 - 前記ロッカアーム(57,58)を駆動するカムシャフト(54)を備え、
前記OHC型内燃機関(30)の内部には、前記カムシャフト(54)とクランク軸(35)との間に架設されるカムチェーン(51)が通るカムチェーン室(52)が設けられ、
車幅方向を向く前記側壁(100L,100R)のうち、前記押圧力発生源(75)が取り付けられる側壁とは反対側の側壁と、当該側壁の内側の内壁(110)との間に前記カムチェーン室(52)が形成されることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両。 - 前記カムシャフト(54)は、ベアリング(82)を介して前記内壁(110)に軸支され、
前記ベアリング(82)の車幅方向一側方に隣接して前記カムチェーン室(52)が配置され、
前記ベアリング(82)の車幅方向他側方に隣接して設けられる排気カムロブ(54e)に、デコンプ機構(85)が組み込まれることを特徴とする請求項7に記載の鞍乗型車両。 - 前記押圧力発生源(75)には、前記押圧力伝達部材(76)を摺動自在に軸支するボス部(77bb)が、前記OHC型内燃機関(30)に嵌入させるために突出形成され、
前記押圧力発生源(75)は、前記ボス部(77bb)に設けられるOリング(84)、および前記OHC型内燃機関(30)と前記ボス部(77bb)の端部との間に設けられるシール部材(83)を介装して嵌入されることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両。 - 前記OHC型内燃機関(30)は、水冷式内燃機関であり、車幅方向を向く前記側壁(100L,100R)のうち前記押圧力発生源(75)が取り付けられる側壁とは反対側の側壁に、ウォータポンプ(150)が支持されることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両。
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