JP2005299551A - 可変動弁機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】弁の開閉状態を選択的に変えるべく切換機構を設けた動弁機構において、部品の管理を容易にすると共に簡単に組み付けを行う。
【解決手段】2吸気弁及び1排気弁を作動させる各ロッカアーム7〜9にカムにより駆動されるサブロッカアーム11を設け、それぞれの間をシンクロピン13a・13bで結合/分離状態にする。さらに一方の吸気弁とシンクロピン13cを介して結合/分離状態になるサブロッカアーム12を設ける。1本の油路17と各戻しばね14との組み合わせにより各シンクロピンを、全筒/休筒/遅閉じ・1弁休止モードに対応させて移動させる。戻しばねのばね定数を変えることなく、多様な弁開閉状態を実現することができるため、戻しばねの部品管理が容易になり、誤組も防止し得る。
【選択図】図2

Description

本発明は、エンジンの可変動弁機構に関するものである。
従来、内燃機関の動弁機構において、吸気弁あるいは排気弁の開閉を行わせるためのカムを1つの弁に対して異なるカムプロフィールのものを互いに隣接させて複数配設し、それらの間に油圧と圧縮コイルばねを用いた切換機構を設けたものがある。また、カムのカムプロフィールをロッカアームを介して弁に伝える機構において、各切換機構への油路をロッカシャフト内の油路に共通に連通させるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
特公平2−52082号公報(第2−3頁、第4図)
しかしながら、上記構造のものでは、油路が共通であることから油圧が一定のため、高速カムと低速カムとを切り換える場合にはリターンスプリング(圧縮コイルばね)のばね定数を異ならせている。そのため、リターンスプリングの管理が複雑になったり、部品の管理が複雑になったりすることにより組み付け工数が増加して誤組をする虞が生じる、という問題がある。
このような課題を解決して、弁の開閉状態を選択的に変えるべく切換機構を設けた動弁機構において、部品の管理を容易にすると共に簡単に組み付けを行うことを実現するために本発明に於いては、吸気弁(15a・15b)及び排気弁(16)における少なくとも1つの弁の開閉状態を選択的に変えるべく当該弁(16)を作動させる弁駆動部材(9)と、少なくともカム(5)により駆動されるカム被駆動部材(11)と、前記弁駆動部材(9)と前記カム被駆動部材(11)とを結合もしくは分離状態に選択的に切り換える複数の切換機構とを有する内燃機関の動弁装置において、前記切換機構が、前記弁駆動部材(9)と前記カム被駆動部材(11)とのいずれか一方に埋没する位置と両者に係合する位置との2位置間で移動可能にされた切換ピン(13a・13b)と、前記切換ピン(13a・13b)を油圧で駆動するべく油圧供給手段(21・SOL1)から前記切換ピン(13a・13b)に至る共通の油圧供給路(17)とを有し、前記油圧供給路(17)が前記複数の切換機構に対して共通であり、前記複数の切換機構の1つを構成する前記切換ピン(13a)の受圧面積が、前記複数の切換機構の他の1つを構成する前記切換ピン(13b)の受圧面積よりも大きく形成され、前記複数の切換機構の1つを構成する前記切換ピン(13a)の軸線(C1)と前記複数の切換機構の他の1つを構成する前記切換ピン(13b)の軸線(C2)とは、同一方向に延びかつ互いに異なる軸線上に配置され前記複数の切換機構の1つを構成する前記切換ピン(13a)と前記複数の切換機構の他の1つを構成する前記切換ピン(13b)とは、前記軸線(C1・C2)に直交する方向から見て少なくとも一部が重なるものとした。
特に、前記弁駆動部材(9)と前記カム被駆動部材(11)とがシャフト(6)に揺動支持され、前記受圧面積の大きい切換ピン(13a)が、前記シャフト(6)の揺動支持部に対して前記受圧面積の小さい切換ピン(13b)よりも前記カム(5)側に位置していると良い。また、前記弁駆動部材(9)と前記カム被駆動部材(11)とがシャフト(6)に揺動支持され、前記受圧面積の大きい切換ピン(13a)が、前記シャフト(6)の揺動支持部に対して前記受圧面積の小さい切換ピン(13b)よりも前記シャフト(6)の揺動支持部に近いと良い。
このように本発明によれば、請求項1の構成とすることで、任意の弁に対応する弁駆動部材とカム被駆動部材とを切換ピンで結合もしくは分離して、カムによる弁の作動状態を選択的に変更し得るようにした動弁装置を実現し、切換ピンを複数かつ受圧面積の大小異なるものを設けることにより、油圧を変えて各切換ピンを選択的に移動させることができるため、油圧供給路を共通にすることができる。これにより、弁作動状態を複数の状態に切り換えるようにした動弁装置において油圧回路を簡素化し得る。例えば切換ピンを油圧力で移動させて圧縮コイルばねで戻すようにした場合に、小さな油圧で大きな受圧面積の切換ピンのみを移動させ、大きな油圧で小さな受圧面積の切換ピンも移動させることができるため、油圧供給路を1本とすることができる。さらに、同一ばね定数の圧縮コイルばねを用いることができると共に受圧面積すなわち軸径が違う切換ピンを用いることができるため、ばね定数が違うだけでは区別が困難な圧縮コイルばねを取り扱う必要がなく、かつ径違いの切換ピンによりその誤組を防止することができ、圧縮コイルばねひいては切換機構の部品管理が容易になる。そして、各切換ピンの軸線が同一方向に延びかつ互いに異なる軸線上に配置されると共に各切換ピンがそれらの軸線に直交する方向ら見て少なくとも一部が重なることにより、切換ピンの軸線方向に対して小型化し得るため、複数の切換機構を設けた動弁装置を有する内燃機関全体をコンパクト化し得る。
請求項2の構成とすることで、受圧面積の大きい切換ピンがシャフトの揺動支持部に対して受圧面積の小さい切換ピンよりもカム側に位置していることにより、弁駆動部材及びカム被駆動部材における揺動支持部よりカム当接部側の剛性を高めることができる。請求項3の構成とすることで、受圧面積の大きい切換ピンすなわち外形も大きくなる部分が受圧面積の小さい方に対して揺動支持部に近いことにより、弁駆動部材及びカム被駆動部材における慣性重量の増加を抑制することができ、弁駆動部材及びカム被駆動部材の不正運動、例えばバルブジャンピングなどを抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明が適用された2吸気バルブ・1排気バルブ構成の可変動弁機構VTの一例を示す部分破断正面図であり、図2は油圧回路を主として示す説明用上面図である。なお、各図にあっては、要部構成を示すものであり、実際の形状とは異なるものである。
図1において、吸気カムシャフト1には、通常運転用に所定の作動角の2つの吸気カム2と、吸気カム2の閉弁時期よりも遅い閉弁時期に設定した1つの遅閉じカム3とが、2つの吸気カム2が互いに並び、それらの側方に1つの遅閉じカム3が並んだ配置で、互いに隣接して一体形成されている。また、図1では図示していないが、上記吸気弁系と同様であって良い排気弁系にあっては、排気カムシャフト4に上記2つの吸気カム2の間に位置するように通常運転用に合わせた作動角の1つの排気カム5が一体形成されている。
そして吸気カムシャフト1の下方には、カムシャフト1と平行にシャフトとしてのロッカシャフト6が設けられており、そのロッカシャフト6には、吸気弁用の2つのロッカアーム7・8と、それらの間に配置された排気弁用の弁駆動部材としての1つのロッカアーム9とが互いに隣接して揺動自在にかつ相対角変位可能に枢支されている。これらロッカアーム7〜9は、U字形の両腕部をロッカシャフト6により枢支され、かつその両腕部間に配置されたカム被駆動部材としてのサブロッカアーム11と組み合わされている。
また、2つのロッカアーム7・8の片方(8)に隣接して遅閉じ用サブロッカアーム12がロッカシャフト6により枢支されて配設されている。これらロッカアーム7〜9及びサブロッカアーム11と遅閉じ用サブロッカアームとが1気筒分として設けられている。
ロッカアーム7・8及びサブロッカアーム11間には、ロッカシャフト6の軸線方向に軸線が延在しかつ両者を結合もしくは分離するための第1シンクロピン13aが両者の対応部分に形成された孔内に往復動可能に設けられている。
図3に模式的に示すように、排気弁用のロッカアーム9及びサブロッカアーム11間には上記と同様の構造にて、複数(図示例では2つ)の切換機構の1つを構成する切換ピンとしての第1シンクロピン13aが設けられ、さらに複数の切換機構の他の1つを構成する切換ピンとしての第2シンクロピン13bが設けられている。なお、図3は、第1切換ピン13aが油圧により移動した状態を示す。また図3に示されるように、第1シンクロピン13aの軸線C1と第2シンクロピンの軸線C2とが互いに同一方向に延びていると共に、軸線C1は軸線C2と異なる軸線上に配置されている。さらに、第1シンクロピン13aと第2シンクロピン13bとはそれぞれの軸線(C1・C2)に直交する方向(図の矢印A)から見て互いに少なくとも一部が重なるようにされている。これにより、切換ピン13a・13bの軸線方向において動弁装置を小型化できる。
また、ロッカアーム8及び遅閉じ用サブロッカアーム12間には第3シンクロピン13cが同様の構造にて設けられている。各シンクロピン13a〜13cは、有底円筒状もしくは円柱状をなし、それぞれ同軸に配設された有底円筒状のストッパピン18を介して圧縮コイルばね14により軸線方向の一方に常時弾発付勢されている。各シンクロピン13a〜13cの軸線方向長さは、それぞれ対応するサブロッカアーム11・12内に全て埋没し得る長さにされている。また、その埋没状態で各シンクロピン13a〜13cとストッパピン18との接触面が各ロッカアーム7〜9・12とサブロッカアーム11との境界と同一になるように、ストッパピン18の軸線方向長さ及び移動量が設定されている。
ロッカシャフト6内には、本図示例にあってはカムシャフト6の軸線方向に延在する1本の油圧供給路17が設けられており、その油圧供給路17から分岐した各分岐油路17aが各ロッカアーム7〜9内に至るように設けられている。それら各分岐油路17aは、各シンクロピン13a・13b・13cをその軸線方向に挟んでそれぞれ対応する圧縮コイルばね14とは相反する側に設けられた各油圧室19a・19bと連通している。
そして、第1シンクロピン13aにおける軸線方向端面の油圧室19aに臨む面積(受圧面積)が、第2及び第3シンクロピン13b・13cの受圧面積よりも大きくされている。図3に示すように、第1シンクロピン13aを軸線方向に押圧する油圧が作用する受圧面積A1は、油圧室19aの第1シンクロピン13aに臨む開口面積であり、油圧室19bの第2シンクロピン13bに臨む開口面積に対応する第2シンクロピン13bの受圧面積A2に対して大きく設定されている。これにより、共通の油圧供給路17と連通している各油圧室19a・19bに同一の油圧が供給された場合に、第2シンクロピン13bよりも第1シンクロピン13aに大きな軸線方推進力が生じる。なお、他の第1シンクロピン13aにおける受圧面積も図3と同一(A1)であって良く、同様に第3のシンクロピン13cにおける受圧面積も図3と同一(A2)であって良い。また、各圧縮コイルばね14のばね定数は同一であって良い。
各油圧室19a・19bに第1シンクロピン13aを圧縮コイルばね14の弾発付勢力に抗して移動させるだけの油圧が発生していない状態では、図2に示されるように、第1シンクロピン13aは各ロッカアーム7〜9と各対応するサブロッカアーム11同士をそれぞれ結合する位置であり、第2シンクロピン13bはその部分においてロッカアーム9及びサブロッカアーム11とを分離状態とするサブロッカアーム11内への埋没位置であり、第3シンクロピン13cもロッカアーム8及び遅閉じ用サブロッカアーム12を分離状態とする遅閉じ用サブロッカアーム1211内への埋没位置である。
各ロッカアーム7・8のサブロッカアーム11がそれぞれ2つの吸気カム2により駆動されて揺動し、ロッカアーム9のサブロッカアーム11が排気カム5により駆動されて揺動する。また、遅閉じ用サブロッカアーム12が遅閉じカム3により駆動されて揺動する。吸気カム2に対応する2つのロッカアーム7・8にあっては、それらの各遊端に、閉弁方向へ常時ばね付勢された2つの吸気弁15a・15bのステム端がそれぞれ当接しており、各ロッカアーム7・8の揺動運動により吸気弁15a・15bを作動させるようになっている。また、排気カム5に対応するロッカアーム9の遊端に、閉弁方向へ常時ばね付勢された1つの排気弁16のステム端が当接しており、ロッカアーム9の揺動運動により排気弁16を作動させるようになっている。なお、吸気カム2に対応する2つのロッカアーム7・8にあっては、同一または略同一形状であっても良い。
図2に油圧回路図として示されているように、オイルパンから汲み上げた潤滑油を圧送する油圧ポンプ21が制御弁SOL1を介して油圧供給路17に接続されている。図2に示される制御弁SOL1の接続状態側が全筒通常運転状態(全筒運転モード)であり、その全筒運転モードでは、ポンプ油圧が遮断されていると共に油圧供給路17がドレンに接続されている。したがって、全筒運転モードでは、各油圧室19a・19bには油圧ポンプ21による油圧が供給されず、各油圧室19a・19bはドレン圧(略0)である。
本エンジンの運転モードにあっては、上記全筒運転モードの他に任意の気筒を休止させる休筒運転モードと、排気弁16を遅閉じさせると共に一方の吸気弁15bを休止させる遅閉じ・1弁休止運転モードとが設定されており、各モード切換を制御弁SOL1の励磁(ON)もしくは非励磁(OFF)の組み合わせと油圧の高低で行うようにしている。その組み合わせ状態を図4に示す。
まず、全筒運転モードでは、制御弁SOL1を非励磁状態(OFF)にする(図2)。それにより、上記したように油圧供給路17へは油圧が掛からず、図4の全筒運転モードに示されるように、各第1シンクロピン13aが各ロッカアーム7〜9とサブロッカアーム11とを結合する側にばね付勢されて各ロッカアーム7〜9と対応する各サブロッカアーム11とがそれぞれ結合状態になる。この時、図3に示されるように、第2シンクロピン13bはサブロッカアーム11内に埋没状態である。また、第3シンクロピン13cは遅閉じ用サブロッカアーム12内に埋没状態である。この状態により、各対応するカム2・5のカムプロフィールに応じて各ロッカアーム7〜9が揺動し、各吸気弁15a・15bの開弁動作と排気弁16の開弁動作が図5に示されるようになる。
次に休筒運転モードでは、全筒運転モードに対して制御弁SOL1を励磁(ON)すると共に油圧ポンプ21により所定の低油圧を供給する。その低油圧は、受圧面積を大きく設定された第1シンクロピン13aがばね力に抗して移動するのに十分な値であり、受圧面積を小さく設定された第2及び第3シンクロピン13b・13cはばね力に抗して移動できない値とする。これにより図4の休筒運転モードに示されるように、第2及び第3シンクロピン13b・13cが上記分離状態に保持され、第1シンクロピン13aが上記結合状態から分離状態になる。この状態ではロッカアーム7〜9とサブロッカアーム11とが分離されるため、各カム2・5により各サブロッカアーム11が揺動しても、その揺動運動がロッカアーム7〜9に伝わらないため、各弁15a・15b・16が図5の想像線に示されるように閉じた状態のままになって開弁しない。
そして遅閉じ・1弁休止運転モードでは図4に示されるように、全筒運転モードに対して制御弁SOL1を励磁(ON)すると共に油圧ポンプ21により所定の高油圧を供給する。その高油圧は受圧面積を小さく設定された第2及び第3シンクロピン13b・13cがばね力に抗して移動するのに十分な値とする。それにより、排気弁16用のロッカアーム9及びサブロッカアーム11にあっては、休筒運転モードと同じであることから第1シンクロピン13a側では開弁させない状態になるが、第2シンクロピン13bが、ポンプ油圧により図2の状態からロッカアーム9側に押し出されるため、第2シンクロピン13bを介してロッカアーム9とサブロッカアーム11とが結合されて一体化される。したがって、この遅閉じ・1弁休止運転モードでは図6に示されるようになる。
さらにこの遅閉じ・1弁休止運転モードでの排気弁16は、第3シンクロピン13cが一方の吸気弁15b用のロッカアーム8側に押し出されるため、そのロッカアーム8と遅閉じ用サブロッカアーム12とが結合状態になる。これにより、ロッカアーム8が、遅閉じ用サブロッカアーム12の揺動運動すなわち遅閉じカム3のカムプロフィールに合わせて揺動運動するため、その対応する吸気弁15bが図7に示されるように遅く閉じるように開弁動作する。
このように構成された可変動弁機構によれば、2吸気弁及び1排気弁を設けたエンジンにおいて、通常の運転モードとして全弁を所定の作動角で開弁させる全筒運転モードと、多気筒エンジンにおける任意の気筒を休止させる休筒運転モードと、1つの吸気弁(15a)を休止させると共にもう1つの吸気弁(15b)を通常時よりも遅く閉じる作動角で開弁させる遅閉じ・1弁休止運転モードとの各モードを運転状況に応じて選択することができる。
例えばエンジン回転速度をアイドリング側の低速域と、上限側の高速域と、その間の市街地走行時に良く使われる中速域とに分け、低速域と高速域とでは全筒運転モードとし、中速域ではさらにトルクの大小で分け、小トルク側を休筒運転モードとし、大トルク側を遅閉じ・1弁休止運転モードとして設定することができる。これにより運転状態に応じた好適なエンジン制御を行うことができ、高出力型であって高燃費型のエンジンを実現し得る。また、エンジン回転速度に代えて負荷の大きさに応じて分けても良い。
このように、油圧の高低に応じてシンクロピン13a〜13cが選択的に移動してロッカアーム及びサブロッカアーム間の結合もしくは分離状態を実現することができるため、圧縮コイルばね14のばね定数を一定とすることができ、圧縮コイルばね14の誤組を防止することができる。また、シンクロピン13a〜13cの径も異なるため、その誤組も防止される。また、ロッカシャフト6に1本の油路17を設けただけなので、その加工が容易であり、生産コストを低減し得る。
また、各シンクロピン13a〜13cの切換完了までの移動距離を各運転モードに対応させて設定すると良い。例えば、高速回転時に切り換える場合には移動距離を短くして速やかに切換完了するようにすると良い。
また、排気弁用において、受圧面積の大きい切換ピンとしての第1シンクロピン13aの軸線をロッカシャフト6の揺動支持部に対して受圧面積の小さい切換ピンとしての第2シンクロピン13bの軸線よりもカム5側に位置させると良い。このようにすることにより、受圧面積の大小を軸径の大小で対応させた場合に、大径の第1シンクロピン13aを設ける部分の剛性が高いため、ロッカアーム9(サブロッカアーム11)におけるカム5と当接する側の剛性を高めることができる。
あるいは、受圧面積の大きい切換ピンとしての第1シンクロピン13aの軸線をロッカシャフト6の揺動支持部に対して受圧面積の小さい切換ピンとしての第2シンクロピン13bの軸線よりもロッカシャフト6の揺動支持部側に位置させると良い。このようにすることにより、受圧面積の大小を軸径の大小で対応させた場合に、ロッカアームの外形も大きくなる部分が揺動支持部側に位置することになり、慣性重量の増加を抑制することができ、ロッカアームの不正運動、例えばバルブジャンピングなどを抑制することができる。
また、運転モードも上記3モードに限られず、例えば休止・低中速・高速運転モードとしたり、低速・中速・高速運転モードとしたりしても良い。低中速・高速・低速・中速などにあっては、それぞれのエンジン回転速度に応じたカムプロフィールのカムを設け、各運転モード選択に応じて対応するカムにより開弁作動させれば良い。
また本発明によれば上記図示例に限定されるものではなく、図8に第2の例について示す。この第2の例においても、各ロッカアーム7〜9及び各サブロッカアーム11・12や各シンクロピン13a〜13cの配置などは同一であって良く、上記図示例と同様の部分については同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。なお、図8は全筒運転モードの状態を示す。
油圧供給路17には上記図示例と同様に油圧ポンプ21及び制御弁SOL1が接続されていると共に、油圧ポンプ21と並列にモータ31により駆動される油圧ポンプ(電動油圧ポンプ)32が設けられ、それら各ポンプ21・32の吐出圧を検出する油圧センサ33が設けられている。制御弁SOL1・モータ31・油圧センサ33はそれぞれ制御ユニット(ECM)34と電気的に接続されている。なお、制御ユニット34にはエンジンの各センサや車両各所に配設されたセンサからエンジンや車両の運転状態の情報が入力されるようになっている。この第2の例にあっても、上記図示例と同様に全筒運転モードと休筒運転モードと遅閉じ・1弁休止運転モードとの各モードを上記と同様に選択することができる。図では、各シンクロピン13a〜13cにおいて結合状態のものをハッチングにて示している。なお、電動油圧ポンプ32の油圧の高低制御にあっては、モータ31の電圧または電流または回転速度の調整により可能である。
上記図示例では通常の運転時には両ポンプ21・32を駆動させても良く、また機械式(エンジン駆動式)油圧ポンプ21のみを駆動するようにしても良い。また、図示例では油圧ポンプ21と直列に電動油圧ポンプ32を配設しても良い。このようにすることにより、例えば機械式油圧ポンプ21が故障した場合に、電動油圧ポンプ32による油圧提供を行うことができる。上記3モードの切換にあっては、油圧の低い方から全筒、休筒、遅閉じ・1弁休止となるため、休筒運転モードで機械式油圧ポンプ21の故障が生じた時にそのままでは出力低下状態になってしまうのに対して、電動油圧ポンプ32によって油圧を最大にすることにより、少なくとも1弁休止状態の運転が可能である。これにより、休筒運転状態を回避することができる。
また、油圧ポンプ32と圧力センサ33との間に制御弁(SOL1)を設け、全筒運転モードにおいて制御弁を介してドレン接続することにより、油圧ポンプ32を例えば低圧状態または立ち上がりを確保する程度の低速運転状態にしておけば、低圧または高圧切換時に速やかな切換を行うことができる。
また、高低の油圧間で切り換える制御を行う場合に、油圧センサ33の検出信号に基づいて制御ユニット34から油圧切換制御信号を出力することにより、設定された油圧が発生してから切換制御を行うことができる。これにより、各シンクロピン13a〜13cの確実な移動を行わせることができ、高精度かつ高品質な制御を行うことができる。
また、油圧センサ33を設けていることから、必要な油圧が発生しないというような故障検出を容易に行うことができ、故障発生時の対応を速やかに行うことができる。油圧ポンプ32を駆動する際に、制御ユニット34からのポンプ(モータ)駆動制御信号を油圧センサ33からの検出信号に基づいて補正することができ、より一層のきめ細かな制御を行うことができる。
なお、本発明は、クランク軸を鉛直方向とした船外機などのような船舶推進機用エンジンにも適用可能である。
本発明が適用された可変動弁機構の一例を示す部分破断正面図である。 可変動弁機構の模式的要部破断平面図である。 排気弁用切換手段を示す模式図である。 運転モード別の状態を示す表である。 全筒運転モードにおける各弁の作動を示す波形図である。 休筒運転モードにおける各シンクロピンの状態を示す説明図である。 休筒運転モードにおける各弁の作動を示す波形図である。 第2の例における全筒運転モードにおける各シンクロピンの状態を示す説明図である。
符号の説明
5 カム
6 ロッカシャフト
9 ロッカアーム(弁駆動部材)
11 サブロッカアーム(カム被駆動部材)
13a 第1シンクロピン(切換ピン)
13b 第2シンクロピン(切換ピン)
15a・15b 吸気弁
16 排気弁
17 油圧供給路
21 油圧ポンプ(油圧供給手段)
SOL1 制御弁(油圧供給手段)

Claims (3)

  1. 吸気弁及び排気弁における少なくとも1つの弁の開閉状態を選択的に変えるべく当該弁を作動させる弁駆動部材と、少なくともカムにより駆動されるカム被駆動部材と、前記弁駆動部材と前記カム被駆動部材とを結合もしくは分離状態に選択的に切り換える複数の切換機構とを有する内燃機関の動弁装置において、
    前記切換機構が、前記弁駆動部材と前記カム被駆動部材とのいずれか一方に埋没する位置と両者に係合する位置との2位置間で移動可能にされた切換ピンと、前記切換ピンに共通の油圧を供給するべく油圧供給手段から前記切換ピンに至る油圧供給路とを有し、
    前記複数の切換機構の1つを構成する前記切換ピンにおける前記移動のために油圧が作用する受圧面積が、前記複数の切換機構の他の1つを構成する前記切換ピンにおける前記受圧面積よりも大きく形成され、
    前記複数の切換機構の1つを構成する前記切換ピンの軸線と前記複数の切換機構の他の1つを構成する前記切換ピンの軸線とは、同一方向に延びかつ互いに異なる軸線上に配置され、
    前記複数の切換機構の1つを構成する前記切換ピンと前記複数の切換機構の他の1つを構成する前記切換ピンとは、前記軸線に直交する方向から見て少なくとも一部が重なることを特徴とする内燃機関の動弁装置。
  2. 前記弁駆動部材と前記カム被駆動部材とがシャフトに揺動支持され、
    前記受圧面積の大きい切換ピンが、前記シャフトの揺動支持部に対して前記受圧面積の小さい切換ピンよりも前記カム側に位置していることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の動弁装置。
  3. 前記弁駆動部材と前記カム被駆動部材とがシャフトに揺動支持され、
    前記受圧面積の大きい切換ピンが、前記シャフトの揺動支持部に対して前記受圧面積の小さい切換ピンよりも前記シャフトの揺動支持部に近いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関の動弁装置。
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JP2015214985A (ja) * 2015-08-21 2015-12-03 本田技研工業株式会社 鞍乗型車両
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