JP4150921B2 - 内燃機関の動弁装置 - Google Patents
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Description
例えば、エンジンの低速回転時に適したカムプロフィルを備えた低速用カムとエンジンの高速回転時に適したカムプロフィルを備えた高速用カムとを有し、これら低速用カムと高速用カムとをエンジンの回転速度状態に応じて選択可能な動弁装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
図6は図5のA−A線に沿う断面図であるが、当該動弁装置では、これら図5、図6に示すように、エンジンの各気筒上方のシリンダヘッド10に、各気筒毎に各々リターンスプリング(図示せず)により常閉とされる2つの吸気弁11,12と2つの排気弁21,22とが備えられており、これら吸気弁11,12、排気弁21,22を駆動するために動弁装置30が備えれられている。
吸気弁駆動用のロッカアーム33〜35のうち中低速ロッカアーム33,34は、一端のアジャストスクリュ33a、34aを吸気弁11,12のステム端部に当接させており、吸気弁11は中低速ロッカアーム33の揺動に応じて開閉し、吸気弁12は中低速ロッカアーム34の揺動に応じて開閉するよう構成されている。
詳しくは、ロッカシリンダ50のうち当該当接突起35aの先端面35dが中低速ロッカアーム33,34と当接する位置には、摺動面の一部が開口してそれぞれ開口部53が形成されており、当接突起35aは、当該開口部53からロッカシリンダ50の内部に挿入可能である。
具体的には、例えばエンジン回転速度Neが所定値以上になると、オイルコントロールバルブ42dの潤滑油供給のための大径通路(図示せず)が連通してロッカシリンダ50内に供給される潤滑油の油圧が高められ、ロッカピストン51は側面51aが開口部53を封鎖するように摺動する。一方、エンジン回転速度Neが所定値より低くなると、図8に示すようにオイルコントロールバルブ42dの潤滑油供給のための小径通路が連通してロッカシリンダ50内に供給される潤滑油の油圧が低められ、ロッカピストン51の側面51aが開口部53を封鎖しないように戻される。
図8に示す如くオイルコントロールバルブ42dの潤滑油供給のための小径通路が連通し、ロッカシリンダ50内の油圧が低められると、ロッカピストン51はスプリング52の付勢力によって側面51aが開口部53を封鎖しないようにロッカシリンダ50内に埋没してロッカシリンダ50の一方の摺動端側に位置し、開口部53からロッカシリンダ50内に向けて空間50aが形成される(図7(a)参照)。このように開口部53からロッカシリンダ50内に向けて空間50aが形成されると、高速ロッカアーム35の揺動時において、図7(a)中に二点鎖線で示すように、高速ロッカアーム35の上記当接突起35aの先端部35cが一切中低速ロッカアーム33,34と当接することなく当該空間50a内に出没することになり、この場合、中低速ロッカアーム33,34は各々対応する中低速用カム31a,31bに倣い揺動して吸気弁11,12を開閉作動する。
一方、オイルコントロールバルブ42dの潤滑油供給のための大径通路(図示せず)が連通し、油圧調整装置42によってロッカシリンダ50内の油圧が高められると、ロッカピストン51はスプリング52の付勢力に抗して側面51aが開口部53を封鎖し当該開口部53を塞ぐように作動する(図7(b)参照)。このようにロッカピストン51が開口部53を塞ぐように作動すると、高速ロッカアーム35の揺動時において、高速ロッカアーム35の上記当接突起35aの先端面35dがロッカピストン51の側面51aと当接することになり、この場合、中低速ロッカアーム33,34のローラ33b,34bは、各々対応する中低速用カム31a,31bから離間し、中低速ロッカアーム33,34は高速ロッカアーム35を介して高速用カム31cに倣い高速ロッカアーム35と一体に揺動して吸気弁11,12を共に開閉作動する。
また、請求項2の内燃機関の動弁装置では、内燃機関は多気筒内燃機関であって、前記第1のロッカアーム及び前記第2のロッカアームを気筒毎に備え、前記ロッカピストン作動手段は、前記各気筒の第2のロッカアームの揺動開始時に前記ロッカピストンが所定の作動状態とならないように該ロッカピストンを作動させることを特徴としている。
例えば、第1のロッカアーム及び第2のロッカアームが吸気弁を作動させるものであって、内燃機関が4サイクル4気筒エンジンやV型6気筒エンジンの片側バンク(3気筒列)である場合、各気筒の第2のロッカアームが全て同時に作動開始することはないため、いずれの気筒の第2のロッカアームも作動開始しない期間に全気筒の全てのロッカピストンを作動させるようにする。
即ち、作動油を媒体としてロッカピストンを作動させるようにすると、一般に油圧調整手段への油圧調整指令から油圧が十分に立ち上がる或いは立ち下がるまでにある程度の時間を要し、ロッカピストンに作動遅れが生じるのであるが、第2のロッカアームが揺動を開始したときにロッカピストンが所定の作動状態とならないように当該作動遅れ期間を考慮して油圧調整手段による油圧の増減開始時期を設定する。
つまり、作動油は、油温に応じて粘度が変化し、低温であるほど粘度が高くなるものであるため、油温に応じて油圧の立ち上がり或いは立ち下がり時間が変化する。故に、油圧の増減開始時期を当該油温に応じて、例えば油温が低温であるほど増減開始時期を早めるよう補正する。
つまり、内燃機関の回転速度が変化すると、それにつれて第2のロッカアームの作動周期も長く或いは短く変化する。故に、油圧の増減開始時期を内燃機関の回転速度の変化率に応じて増減開始時期を補正する。
また、請求項2の内燃機関の動弁装置によれば、多気筒内燃機関の場合、いずれかの気筒の第2のロッカアームが揺動している間にはロッカピストンが所定の作動状態とならないように該ロッカピストンを作動させるようにするので、全気筒において、ロッカピストンが上昇途中或いは下降途中の所定の作動状態であるときに第2のロッカアームが揺動して当接突起の先端部がロッカピストンの側面と当接することがないようにでき、ロッカピストンの作動時期の適正化を図ることができる。
また、請求項4の内燃機関の動弁装置によれば、請求項3において、ロッカピストンの作動遅れ期間を考慮して油圧調整手段による油圧の増減開始時期を設定するようにしたので、作動油を媒体としてロッカピストンを作動させる場合にはロッカピストンに作動遅れが生じるのであるが、当該ロッカピストンの作動遅れに拘わらず、ロッカピストンが上昇途中或いは下降途中の所定の作動状態であるときに第2のロッカアームが揺動して当接突起の先端部がロッカピストンの側面と当接することがないようにでき、やはりロッカピストンの作動時期の適正化を図ることができる。
また、請求項6の内燃機関の動弁装置によれば、請求項4または5において、油圧調整手段による油圧の増減開始時期を内燃機関の回転速度の変化率に基づき補正するようにしたので、内燃機関の回転速度が変化すると、それにつれて第2のロッカアームの作動周期も長く或いは短く変化するのであるが、当該回転速度の変化に拘わらず、ロッカピストンの作動時期をより一層適正なものにできる。
本発明に係る動弁装置は、上記図5〜図9に示した動弁装置を改良したものであり、動弁装置の基本構成は上述した通りであるため説明を省略し、上記図5〜図9をも参照しながら、本発明に係る部分について詳細に説明する。
なお、ここでは、エンジンがV型6気筒エンジンである場合を例に説明し、図5〜図9に示した動弁装置は当該V型6気筒エンジンの片側バンク(右側バンク#1、#3、#5気筒側、或いは左側バンク#2、#4、#6気筒側)のものとして説明する。
同図に示すように、油圧調整装置42のオイルコントロールバルブ(油圧調整手段、以降OCVと略す)42dは、右側バンクの油路42cと左側バンクの油路42cにそれぞれ一つずつ設けられ、共通油路42a、油圧ポンプ46を介してオイルパン47に接続されている。なお、ここでは作動油として潤滑油が兼用されるため、これら油圧ポンプ46やオイルパン47はエンジンの潤滑油供給用のものがそのまま適用される。
また、エンジンには、クランク角センサ62、カム角センサ64、油温センサ66等が設けられており、各油路42cのOCV42d下流側には油圧センサ68が設けられており、ECU60には、これら各センサからの情報が入力されるよう構成されている。即ち、ECU60には、クランク角センサ62からクランク角情報が入力し、カム角センサ64からカムシャフトの回転角情報が入力し、油温センサ66から作動油の温度情報Toilが入力し、油圧センサ68から油圧情報Poilが入力する。そして、ECU60では、クランク角情報に基づきエンジン回転速度Neが演算され、カムシャフトの回転角情報に基づきTDC信号(ピストン上死点信号)が発信される。
例えば、ECU60からOFF信号がOCV42dに供給されると、OCV42dは図示の状態に切り換えられ、OCV42d内に設けられたオリフィスによって油路42cが絞られて小径通路が形成され、同時にOCV42d下流側の油路42cとドレン回路42fとが連通する。これより、ロッカシリンダ50に供給される油量が制限されるとともにロッカシリンダ50内の作動油がドレン回路42fを経てオイルパン47に返戻され、ロッカシリンダ50内の油圧が低下し、ロッカピストン51がスプリング52の付勢力によってロッカシリンダ50の一方の摺動端側(下側)に戻される。つまり、ECU60からの信号がONからOFFに切り換えられると、ロッカピストン51の側面51aが開口部53を封鎖しない(或いは、当接突起35aの揺動軌跡と交差しない)ようにロッカシリンダ50内に埋没することになり、高速ロッカアーム(第2のロッカアーム)35の揺動時において、高速ロッカアーム35の上記当接突起35aの先端部35cが一切中低速ロッカアーム(第1のロッカアーム)33,34と当接することなく当該空間50a内に出没する。即ち、連結切換機構41が非連結状態に切り換えられ、中低速用カム(第1のカム)31a,31bが選択される。
一方、ECU60からON信号がOCV42dに供給されると、OCV42dは図示しない状態、即ち大径通路が連通した状態に切り換えられる。これより、ロッカシリンダ50に十分な量の作動油が供給されてロッカシリンダ50内の油圧が上昇し、ロッカピストン51がスプリング52の付勢力に抗してロッカシリンダ50の他方の摺動端側(上側)に移動する。つまり、ECU60からの信号がOFFからONに切り換えられると、ロッカピストン51の側面51aが開口部53を封鎖する(或いは、当接突起35aの揺動軌跡と交差する)ようにロッカシリンダ50内を摺動することになり、高速ロッカアーム35の揺動時において、高速ロッカアーム35の上記当接突起35aの先端面35dがロッカピストン51の側面51aと当接する。即ち、連結切換機構41が連結状態に切り換えられ、高速用カム(第2のカム)31cが選択される。
図2を参照すると、当該切換制御における本発明に係る油圧増減開始制御の制御ルーチンがフローチャートで示されており、以下同フローチャートに沿い説明する。
先ず、ステップS10では、連結切換機構41の切り換えを行ってもよいか否か、即ち切換可か否かを判別する。ここでは、エンジン回転速度Ne(内燃機関の運転状態)に基づき、中低速用カム31a,31bから高速用カム31cへの切換時には、エンジン回転速度Neが所定回転速度N1(例えば、3000rpm)以上になったか否かを判別し、逆に高速用カム31cから中低速用カム31a,31bへの切換時には、ヒステリシスを設け、エンジン回転速度Neが所定回転速度N2(例えば、2800rpm)以下になったか否かを判別する。
ステップS10の判別結果が偽(No)の場合には、切換不可と判定し、当該ルーチンを抜ける。一方、判別結果が真(Yes)の場合には、次にステップS12に進む。
上述したように、高速用カム31c或いは中低速用カム31a,31bへの切換時、ロッカピストン51が上昇途中或いは下降途中であるときに高速ロッカアーム35が揺動すると、当接突起35aの先端面35dのうちロッカシリンダ50の一方の摺動端側の部分(下端)だけがロッカピストン51の端に引っ掛かった状態となり、ロッカピストン51が弾かれてロッカシリンダ50の一方の摺動端側に戻され、中低速ロッカアーム33,34のローラ33b,34bと中低速用カム31a,31bとが急激に当接し、或いは吸気弁11,12のバルブフェイスとバルブシートとが急激に当接し、大きな衝撃音(異音)が発生する場合がある。
通常、ECU60からOCV42dにON信号或いはOFF信号を供給しても、実際にロッカピストン51が作動を開始するまでには、作動油の油路32aへの充填時間を含むOCV42dの作動遅れや油圧の立ち上がり遅れがあるため、ある程度の時間を必要とする。従って、ここでは、これら作動遅れ時間や油圧の立ち上がり遅れ時間を考慮し、高速ロッカアーム35が揺動を開始したときにロッカピストン51が上昇途中或いは下降途中とならないように油圧増減開始時期S、即ちOCV42dへのON信号或いはOFF信号の供給時期を設定する。
ロッカピストン51の下降時には、エンジン回転速度Neが所定回転速度N2(例えば、2800rpm)で連結切換機構41が切換可となるため、当該所定回転速度N2でOCV42dへのON信号或いはOFF信号の供給が行われる場合には、#1(#2)気筒の高速ロッカアーム35が揺動を開始した時点から#1(#2)気筒の排気TDC信号までの時間t3、時間t4を所定回転速度N2に応じた時間に設定し、これら時間t3、t4とエンジン回転速度Neに拘わらず変化しないOCV42dの作動遅れ時間t1及び油圧の立ち上がり遅れ時間t2とに基づき、上記同様に油圧増減開始時期Sの設定可能範囲を求める。そして、この設定可能範囲で油圧増減開始時期Sを設定するようにする。
従って、次のステップS16では、さらに油温油温Toilに応じて油圧増減開始時期Sを補正する。つまり、油温油温Toilが低いほど遅れ時間t2を長く、高いほど遅れ時間t2を短くして油圧増減開始時期Sの設定可能範囲を変更し、これに応じて油圧増減開始時期Sを補正する。
そして、ステップS18では、上記のように設定した油圧増減開始時期Sに基づき、当該油圧増減開始時期SにおいてOCV42dへのON信号或いはOFF信号の供給を行う。即ち、当該油圧増減開始時期SにおいてOCV42dの切り換えを行う。
以上で本発明に係る内燃機関の動弁装置の実施形態についての説明を終えるが、実施形態は上記実施形態に限られるものではない。
また、上記実施形態では、中低速ロッカアーム33,34にロッカシリンダ50とロッカピストン51とを備える一方、高速ロッカアーム35に当接突起35aを備えた可変動弁機構40を示したが、逆に、中低速ロッカアーム33,34に当接突起を備える一方、高速ロッカアーム35にロッカシリンダとロッカピストンとを備えた可変動弁機構であってもよい。
また、上記実施形態では、V形6気筒エンジンを例に説明したが、これに限られず、エンジンは直列4気筒エンジン等であってもよく、この場合には、油圧調整装置42は一つのOCV42dで構成される。
21,22 排気弁
31a,31b 中低速用カム(第1のカム)
31c 高速用カム(第2のカム)
32 ロッカシャフト
33,34 ロッカアーム(第1のロッカアーム)
40 可変動弁機構
41 連結切換機構
42 油圧調整装置(ロッカピストン作動手段)
42a 共通油路
42b,42c 油路
42d オイルコントロールバルブ(OCV、油圧調整手段)
50 ロッカシリンダ
51 ロッカピストン
51a 側面
52 スプリング
53 開口部
60 ECU
62 クランク角センサ
64 カム角センサ
66 油温センサ
Claims (6)
- カムシャフトの回転に伴い回転する第1のカムに倣い揺動して吸気弁及び排気弁のいずれか一方を開閉作動させる第1のロッカアームと、
前記第1のカムと異なる形状を有して前記カムシャフトの回転に伴い回転する第2のカムに倣い揺動する第2のロッカアームと、
前記第1のロッカアーム及び前記第2のロッカアームのいずれか一方に形成され、摺動面の一部に開口部を有するロッカシリンダと、
前記ロッカシリンダ内に前記摺動面に沿い摺動自在に装着されたロッカピストンと、
内燃機関の運転状態に応じ、前記ロッカピストンの側面が前記開口部を封鎖しない前記ロッカシリンダの一方の摺動端と前記開口部を封鎖する前記ロッカシリンダの他方の摺動端との間で前記ロッカピストンを作動させるロッカピストン作動手段と、
前記第1のロッカアーム及び前記第2のロッカアームのいずれか他方に突設され、前記第2のロッカアームの揺動により、前記ロッカピストンが前記ロッカシリンダの前記一方の摺動端にあるときには先端部が前記開口部から前記ロッカシリンダの内部に挿入される一方、前記ロッカピストンが前記ロッカピストン作動手段の作動により該ロッカピストンの側面が前記開口部を封鎖する位置にあるときには先端部が該側面と当接する当接突起とを備え、
前記ロッカピストン作動手段は、前記第2のロッカアームの揺動開始時に前記ロッカピストンが上昇途中或いは下降途中の所定の作動状態とならないように該ロッカピストンを作動させることを特徴とする内燃機関の動弁装置。 - 内燃機関は多気筒内燃機関であって、前記第1のロッカアーム及び前記第2のロッカアームを気筒毎に備え、
前記ロッカピストン作動手段は、前記各気筒の第2のロッカアームの揺動開始時に前記ロッカピストンが所定の作動状態とならないように該ロッカピストンを作動させることを特徴とする、請求項1記載の内燃機関の動弁装置。 - 前記ロッカピストン作動手段は、油圧源から油路を介して供給される作動油によって前記ロッカピストンを作動させるものであって、前記油路に油圧調整手段を有し、前記第2のロッカアームの揺動開始時に前記ロッカピストンが所定の作動状態とならないように、前記油圧調整手段により油圧を増減して前記ロッカピストンを作動させることを特徴とする、請求項1または2記載の内燃機関の動弁装置。
- 前記ロッカピストン作動手段は、前記第2のロッカアームの揺動開始時に前記ロッカピストンが所定の作動状態とならないように、前記ロッカピストンの作動遅れ期間を考慮して前記油圧調整手段による油圧の増減開始時期を設定することを特徴とする、請求項3記載の内燃機関の動弁装置。
- 前記ロッカピストン作動手段は、前記油圧調整手段による油圧の増減開始時期を油温に基づき補正することを特徴とする、請求項4記載の内燃機関の動弁装置。
- 前記ロッカピストン作動手段は、前記油圧調整手段による油圧の増減開始時期を内燃機関の回転速度の変化率に基づき補正することを特徴とする、請求項4または5記載の内燃機関の動弁装置。
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