JP6607530B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの制御装置に関し、特に複数の気筒のうち一部の気筒の運転を休止する減筒運転を実行可能なエンジンの制御装置に関する。
従来より、燃費向上を目的として、複数の気筒のうち一部の気筒の運転を休止する減筒運転を実行可能なエンジンの制御装置が知られている。このようなエンジンの制御装置は、減筒運転の実行条件成立により休止する気筒の吸排気弁を閉弁する油圧式弁停止機構を制御する。減筒運転の実行条件が成立しなくなると休止気筒の運転を再開して全筒運転に復帰する。減筒運転の実行条件としては、エンジンに要求される要求トルク及びエンジン回転数が所定範囲内であること等が挙げられる。
全筒運転と減筒運転を切り替えると、運転気筒数の変化によりエンジン出力が変化してトルクショックが発生するため、夫々の気筒に吸入される空気量等を調整して、トルクショックの発生を抑えるようにしている。このトルクショックの発生を抑えるための動作に要する切替移行期間が全筒運転と減筒運転の切り替え時に存在する。それ故、減筒運転から全筒運転への切替移行期間中にエンジンに要求されるトルクが減筒運転において出力可能な最大トルクに到達すると、この切り替え完了まで出力されるトルクが頭打ち状態となり、切り替え完了後は全筒運転によりトルクが急激に増加する場合がある。
例えば図11(a)に示すように、要求トルクRに沿ってエンジンがトータルトルクAを出力する。要求トルクR増加により、時刻τ1において要求トルクRが減筒運転の実行条件の上限トルクを規定する基準トルクライン(第1基準トルクラインL1)を超えて全筒運転への切り替えが開始される。しかし、出力されるトータルトルクAは、時刻τ2で減筒運転の最大トルクラインL0に到達し、時刻τ3で全筒運転に切り替わるまでトータルトルクAが増加せず、全筒運転に切り替わるとトータルトルクAが急増する。
このような場合、運転者はエンジンが出力するトルクが不連続に感じられて違和感を覚える虞がある。特に、車両の走行性を重視した走行モードは、通常の走行モードと比べて、アクセル開度に対して出力されるトルクを増加させる、低速ギヤ使用領域を広げるように変速機のシフトアップタイミングを変更する等、運転者の操作を走行に一層反映させることができる走行モードであり、運転者の操作に沿わない挙動は運転者に違和感を与える。
そのため、特許文献1のエンジン及び自動変速機の制御装置は、車両の走行性を重視した手動変速の走行モードにおいて、エンジンの全筒運転と減筒運転の切り替えを禁止して全筒運転に固定している。
特許第3042307号公報
しかし、走行性を重視する走行モードにおいても燃費向上の要求があるため、減筒運転が可能な場合には減筒運転に切り替えることが望まれている。本発明の目的は、エンジンの出力トルクが滑らかに連続するように減筒運転から全筒運転に切り替えることができるエンジンの制御装置を提供することである。
請求項1の発明は、減筒運転の実行条件成立により複数気筒を備えたエンジンの全気筒を作動させる全筒運転から前記複数気筒の一部を休止する減筒運転に切り替えるエンジンの制御装置において、前記減筒運転中に、前記エンジンに要求される要求トルクが第1基準トルクラインを超えた場合に前記全筒運転に切り替えると共に、低速ギヤ使用領域を広げる走行性重視のスポーツモードが設定されているときには前記要求トルクが前記第1基準トルクラインより低い第2基準トルクラインを超えた場合に前記全筒運転に切り替えることを特徴としている。
上記構成により、出力されるトルクが減筒運転の最大トルクに到達する前に全筒運転を開始して、通常の走行モード及び走行性重視のスポーツモードにおいて、滑らかに連続するようにトルクを出力可能にする減筒運転から全筒運転への切り替えを行うことができる。特に、スポーツモードでは要求トルクを出力するために低速ギヤを使用してエンジンの回転数を上昇させる際の回転数上昇が速いため、第1基準トルクラインを超えた場合に全筒運転に切り替えるとその切り替え中に減筒運転の出力可能な最大トルクに到達して頭打ち状態になるところ、第1基準トルクラインよりも低く設定された第2基準トルクラインを超えた場合に全筒運転に切り替えるので、減筒運転の最大トルクラインに到達する前に全筒運転を開始して滑らかに連続するようにトルクを出力することができる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記スポーツモードは車両に設けられた走行モード選択スイッチにより選択されることを特徴としている。
上記構成により、運転者の操作を走行に一層反映させることができる走行性重視のスポーツモードを実現できると共に、スポーツモードにおいても出力されるトルクが滑らかに連続するように減筒運転から全筒運転へ切り替え可能である。
請求項の発明は、請求項1又は2の発明において、前記第1基準トルクラインは、前記減筒運転時に前記エンジンが発生可能な最大トルクライン近傍に設定されることを特徴としている。
上記構成により、減筒運転可能な領域を広く設定することができるので、燃費を向上させることができる。
請求項の発明は、請求項1〜の何れか1項の発明において、前記要求トルクは、少なくともとアクセル開度と車速と変速ギヤ段に基づいて算出されることを特徴としている。
上記構成により、運転者の操作が反映されたアクセル開度と車両の状態に基づいて、適切なエンジンの運転モードを選択可能である。
本発明のエンジンの制御装置によれば、エンジンの出力トルクが滑らかに連続するように減筒運転から全筒運転に切り替えることができる。
エンジンの全体構成を示す概略平面図である。 エンジンの縦断面図である。 弁停止機構を示す断面図であって、(a)はピボット部ロック状態、(b)はピボット部がロック解除状態に移行する前の状態、(c)はピボット部ロック解除状態を示す。 オイル供給装置の構成を示す概略図である。 エンジンの制御系統を示すプロック図である。 全筒運転領域と減筒運転領域とスポーツモード減筒運転領域を設定したマップである。 運転条件判定処理内容を示すフローチャートである。 各パラメータの時間変化を示すタイムチャートである。 実施例1に係るエンジンの制御装置による全筒運転切替制御を示すフローチャートである。 実施例2に係るエンジンの制御装置による全筒運転切替制御を示すフローチャートである。 トータルトルクの時間変化を例示する図であって、(a)は要求トルクの増加に追従できない例、(b)は要求トルクの増加に追従できる例を示す。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
以下の説明は、本発明をエンジンの制御装置に適用したものを例示したものであり、本発明、その適用物、或いは、その用途を制限するものではない。
以下、本発明の実施例1について説明する。
(エンジンの全体構成)
図1,図2に示すように、エンジン1は、例えば、第1気筒から第4気筒が直列状に順次配置された直列4気筒ガソリンエンジンであり、自動車等の車両に搭載されている。エンジン1は、ヘッドカバー2と、シリンダヘッド3と、シリンダブロック4と、クランクケース(図示略)と、オイルパン5(図4参照)とが夫々上下に連結されている。
各シリンダブロック4に形成された4つのシリンダボア9内を夫々摺動可能なピストン6と、クランクケースに回転自在に支持されたクランク軸7とは、コネクティングロッド8によって連結されている。シリンダブロック4のシリンダボア9とピストン6とシリンダヘッド3とによって燃焼室11が各気筒に形成されている。各燃焼室11には、インジェクタ12と点火プラグ13とが夫々設けられ、第1気筒→第3気筒→第4気筒→第2気筒の順に点火が行われる。
エンジン1の吸気系は、燃焼室11に夫々連通する吸気ポート21と、これら吸気ポート21に夫々連通する独立吸気通路22と、これら独立吸気通路22に共通して接続されたサージタンク23と、このサージタンク23から上流側に延びる吸気管24等から構成されている。吸気管24の途中部には、エンジン1にエアダクト(図示略)を介して導入される空気量を調整可能なバタフライ式のスロットルバルブ25が設けられ、その近傍位置にはスロットルバルブ25を駆動するためのアクチュエータ26(電動モータ)が設置されている。
エンジン1の排気系は、燃焼室11に夫々連通する排気ポート31と、これら排気ポート31に夫々連通する独立排気通路32と、これら独立排気通路32が集合した集合部33と、この集合部33から下流側に延びる排気管34等から構成されている。排気管34の途中部には、エンジン1から排出される排気ガス量を調整可能なバタフライ式の排気シャッタ弁35が設けられ、その近傍位置には排気シャッタ弁35を駆動するためのアクチュエータ36(電動モータ)が設置されている。
図2に示すように、吸気ポート21及び排気ポート31には、各々を開閉する吸気弁41及び排気弁51が配設されている。これら吸気弁41及び排気弁51は、各々リターンスプリング42,52により閉弁方向(上方)に付勢され、各々回動するカム軸43,53の外周に設けたカム部43a,53aによって、スイングアーム44,54の略中央部に回転自在に設けられたカムフォロア44a,54aが下方に押圧される。
スイングアーム44,54は、各々の一端側に設けられたピボット機構14a,15aの頂部を支点として揺動することにより、各スイングアーム44,54の他端部において、吸気弁41及び排気弁51がリターンスプリング42,52の付勢力に抗して下方に押し下げられることにより開弁する。
エンジン1の気筒配列方向中央部分に形成された第2,第3気筒のスイングアーム44,54におけるピボット機構15aとして、オイル(作動油)の油圧(以下、単に油圧と省略する)によりバルブクリアランスを自動的に零に調整する公知の油圧ラッシュアジャスタ(Hydraulic Lash Adjuster: 以下、HLAと略す)15が設けられている。ピボット機構15aは、後述するHLA14のピボット機構14aと同様の構成である。
図2に示すように、エンジン1の気筒配列方向両端部分に形成された第1,第4気筒のスイングアーム44,54に対して、ピボット機構14aを有する弁停止機構付きHLA14が夫々設けられている。これら弁停止機構付きHLA14は、HLA15と同様に、油圧によりバルブクリアランスを自動的に零に調整可能に構成されている。
HLA14は、エンジン1の全4気筒の一部である第1,第4気筒の作動を休止させる減筒運転時には、第1,第4気筒の吸気弁41及び排気弁51の開閉動作を停止させる。また、HLA14は、エンジン1の全4気筒を作動させる全筒運転時には、第1,第4気筒の吸気弁41及び排気弁51を開閉動作させる。第2,第3気筒の吸気弁41及び排気弁51は、減筒運転及び全筒運転の双方で作動する。即ち、減筒運転中にはエンジン1の第1〜第4気筒のうち第1,第4気筒の吸排気弁41,51が作動を停止し、全筒運転中には第1〜第4気筒の吸排気弁41,51が作動している。尚、減筒運転及び全筒運転は、後述するように、エンジン1の運転状態に応じて適宜切り替えられる。
シリンダヘッド3の第1,第4気筒に夫々対応する吸気側及び排気側部分には、HLA14の下端部分を挿入して装着するための装着穴45,55が夫々設けられている。また、第2,第3気筒に夫々対応する吸気側及び排気側部分には、HLA15の下端部分を挿入して装着するため、装着穴45,55と同様の装着穴(図示略)が夫々設けられている。
装着穴45には、1対の油路71,73が穿設され、装着穴55には、1対の油路72,74が穿設されている。油路71,72は、HLA14の弁停止機構14bを作動させる油圧を供給し、油路73,74は、HLA14のピボット機構14aを作動させる油圧を供給するように構成されている。尚、HLA15の装着穴には、油路73,74のみが連通されている。
図3(a)に示すように、弁停止機構14bは、ピボット機構14aの動作をロックするロック機構140が設けられている。このロック機構140は、ピボット機構14aを軸方向に摺動自在に収納する有底の外筒141の側周面において径方向に対向する2箇所に形成された貫通孔141aに対して夫々進退可能に形成された1対のロックピン142を備えている。これら1対のロックピン142は、スプリング143によって径方向外側に付勢されている。外筒141の内底部とピボット機構14aの底部との間には、ピボット機構14aを外筒141の上方に押圧して付勢するロストモーションスプリング144が配置されている。
1対のロックピン142が外筒141の貫通孔141aに嵌合している場合、このロックピン142の上方に位置するピボット機構14aが上方に突出した突出位置に固定される。これにより、ピボット機構14aの頂部がスイングアーム44,54の揺動の支点になるため、カム軸43,53の回動によりカム部43a,53aがカムフォロア44a,54aを下方に押すと、吸排気弁41,51がリターンスプリング42,52の付勢力に抗して下方に押されて開弁する。即ち、1対のロックピン142を貫通孔141aに嵌合した状態にすることで、全筒運転が実行される。
図3(b),図3(c)に示すように、黒矢印で示す油圧により1対のロックピン142の外側端部が押圧された場合、スプリング143の付勢力に抗して1対のロックピン142が接近するように外筒141の径方向内側に後退する。これにより、1対のロックピン142が貫通孔141aから抜けて、このロックピン142と共にピボット機構14aが外筒141の軸方向下側に移行して弁停止状態になる。
リターンスプリング42,52の付勢力は、ロストモーションスプリング144の付勢力よりも強くなるように設定されている。それ故、カム軸43,53の回動によりカム部43a,53aがカムフォロア44a,54aを下方に押すと、吸排気弁41,51の頂部がスイングアーム44,54の揺動の支点になるため、吸排気弁41,51は閉弁を維持したまま、ピボット機構14aがロストモーションスプリング144の付勢力に抗して下方に押される。即ち、1対のロックピン142を貫通孔141aに対して非嵌合した状態にすることで、減筒運転が実行される。
(オイル供給回路)
図4に示すように、オイル供給回路は、クランク軸7の回転によって駆動される可変容量型のオイルポンプ16と、このオイルポンプ16に接続されて昇圧されたオイルをエンジン1の各潤滑部及び各油圧作動装置に導く給油路60とを備えている。給油路60は、シリンダヘッド3及びシリンダブロック4等に穿設されたオイル通路である。この給油路60は、第1〜第3連通路61〜63と、メインギャラリ64と、複数の油路71〜79等を備えている。
第1連通路61は、オイルポンプ16と連通され、このオイルポンプ16の吐出口16bからシリンダブロック4内の分岐点64aまで延びている。メインギャラリ64は、シリンダブロック4内で気筒列方向に延びている。第2連通路62は、メインギャラリ64上の分岐点64bからシリンダヘッド3上の分岐部63bまで延びている。第3連通路63は、シリンダヘッド3内で吸気側と排気側との間を略水平方向に延びている。複数の油路71〜79は、シリンダヘッド3内で第3連通路63から分岐している。
オイルポンプ16は、このオイルポンプ16の容量を変更してオイルポンプ16のオイル吐出量を可変にする公知の可変容量型オイルポンプであって、ハウジングと、駆動軸と、ポンプ要素と、カムリングと、スプリングと、リング部材等を有している。ハウジングは、内部のポンプ室161にオイルを供給する吸入口16aと、ポンプ室161からオイルを吐出する吐出口16bとを有している。ハウジングの内部には、このハウジングの内周面とカムリングの外周面とによって画成された圧力室162が形成され、この圧力室162には導入孔16cが設けられている。
オイルポンプ16の吸入口16aには、オイルパン5に臨むオイルストレーナ18が設けられている。オイルポンプ16の吐出口16bと連通する第1連通路61には、上流側から下流側に順に、オイルフィルタ65及びオイルクーラ66が配置されている。オイルパン5内に貯留されたオイルは、オイルポンプ16により、オイルストレーナ18を介して汲み上げられ、その後、オイルフィルタ65で濾過され、オイルクーラ66で冷却された後、シリンダブロック4内のメインギャラリ64に導入される。
メインギャラリ64は、クランク軸7を回動自在に支持する5つのメインジャーナルに配置されたメタルベアリングのオイル供給部81と、4つのコネクティングロッド8を回転自在に連結すると共にクランク軸7のクランクピンに配置されたメタルベアリングのオイル供給部82とに接続されている。メインギャラリ64には、オイルが常時供給される。
メインギャラリ64の分岐点64cの下流側には、タイミングチェーンの油圧式チェーンテンショナ(何れも図示略)にオイルを供給するオイル供給部83と、オイルポンプ16の圧力室162にオイルを供給する油路70とが接続されている。油路70は、メインギャラリ64の分岐点64cからオイルポンプ16の導入孔16cまでを連通し、その途中部にオイルの流量を電気的にデューティ制御可能なリニアソレノイドバルブ89が設けられている。
第3連通路63の分岐点63aから分岐する油路78は、排気側第1方向切替バルブ84と接続されており、この排気側第1方向切替バルブ84の制御により、進角側油路201及び遅角側油路202を介して、後述する排気用のVVT20の進角作動室203及び遅角作動室204にオイルが夫々供給される。また、分岐点63aから分岐する油路74は、オイル供給部(図4の白抜き三角△を参照。)と、HLA15と、HLA14と、燃料ポンプ87と、バキュームポンプ88とに接続されている。油路74の分岐点74aから分岐する油路76は、排気側のスイングアーム54に潤滑用オイルを供給するオイルシャワーに接続され、この油路76にもオイルが常時供給される。
第3連通路63の分岐点63cから分岐する油路77には、この油路77の油圧を検出する油圧センサ90が配設されている。また、分岐点63dから分岐する油路73は、吸気側のカム軸43におけるカムジャーナルのオイル供給部(図4の白抜き三角△を参照。)と、HLA15と、HLA14とに接続されている。また、油路73の分岐点73aから分岐する油路75は、吸気側のスイングアーム44に潤滑用オイルを供給するオイルシャワーに接続されている。
第3連通路63の分岐点63cから分岐する油路79には、オイルが流れる方向を上流側から下流側への一方向のみに規制する逆止バルブが配設されている。この油路79は、逆止バルブの下流側の分岐点79aで、弁停止機構付きHLA14用の装着穴45、55と連通する上記の2つの油路71、72に分岐する。油路71、72は、第2油圧制御バルブとしての吸気側第2方向切替バルブ86及び排気側第2方向切替バルブ85を介して、吸気側及び排気側の各弁停止機構付きHLA14の弁停止機構14bと夫々接続されている。これら吸気側第2方向切替バルブ86及び排気側第2方向切替バルブ85を夫々制御することにより、各弁停止機構14bにオイルが供給されるように構成されている。
(位相制御機構)
エンジン1では、減筒運転切替時、可変バルブタイミング機構(以下、VVTと略す)を用いて吸排気弁41,51の開閉タイミングを遅角側に設定することにより、燃焼ガスを高膨張化してトルクを増加すると共にポンピングロス低減を図っている。吸気用VVT19及び排気用VVT20の各カムプーリは、クランク軸のスプロケット(図示略)により、タイミングチェーンを介して駆動されている。図4に示すように、吸気用VVT19は、電動モータ191と、カム軸43の一端部に形成された変換部(図示略)とから構成されている。電動モータ191が、タイミングチェーンに噛合してクランク軸7と同期回転するギヤプーリと一体形成され、変換部が、カム軸43と一体形成されている。電動モータ191に対して変換部を軸心回りに相対変位させることにより、ギヤプーリ(タイミングチェーン)とカム軸43との位相が変更される。
排気用VVT20は、円環状のハウジングと、このハウジングの内部に収容されたベーン体とを有している(何れも図示略)。ハウジングは、クランク軸7と同期して回転するカムプーリと一体回転可能に連結され、クランク軸7と連動して回転する。ベーン体は、締結ボルトにより排気弁51を開閉するカム軸53と一体回転可能に連結されている。ハウジングの内部には、このハウジングの内周面とベーン体の外周面に設けられた複数のベーンとによって区画された複数の進角作動室203及び遅角作動室204が夫々形成されている。進角作動室203及び遅角作動室204は、図4に示すように、夫々進角側油路201及び遅角側油路202を介して、排気側第1方向切替バルブ84に接続されている。この排気側第1方向切替バルブ84は、可変容量型のオイルポンプ16に接続されている。カム軸53及びベーン体には、これら進角側油路201及び遅角側油路202の一部が夫々形成されている。
図4に示すように、VVT20には、このVVT20の動作をロックするロック機構が設けられている。ロック機構は、カム軸53のクランク軸7に対する位相角を特定の位相で固定するためのロックピン205を有している。進角側油路201を通して供給されたオイルにより、各ベーンがカムプーリ(クランク軸7)に対して進角位置に回動され、遅角側油路202を通して供給されたオイルにより、各ベーンがカムプーリに対して遅角位置に回動される。そして、付勢ばねによって付勢されたロックピン205が、ベーン体のベーンが形成されていない部分に形成された嵌合凹部に嵌合してロック状態になる。これにより、ベーン体がハウジングに固定されて、カム軸53のクランク軸7に対する位相が固定される。
以上の構成により、排気側第1方向切替バルブ84の制御によって、VVT20の進角作動室203及び遅角作動室204へのオイルの供給量を制御することができる。具体的には、排気側第1方向切替バルブ84の制御により、進角作動室203に遅角作動室204よりも多くの供給量(高い油圧)でもってオイルを供給すると、カム軸53がその回転方向に回動して、排気弁51の開時期が早くなり、進角側に設定される。一方、排気側第1方向切替バルブ84の制御により、遅角作動室204に進角作動室203よりも多くの供給量(高い油圧)でもってオイルを供給すると、カム軸53がその回転方向とは逆向きに回動して、排気弁51の開時期が遅くなり、遅角側に設定される。
(制御系統)
エンジン1は、ECU(Electric Control Unit)110によって制御されている。
このECU110は、通常は第1〜第4気筒による全筒運転を実行し、減筒運転の実行条件が成立したとき、第1,第4気筒の作動を休止すると共に第2,第3気筒を作動させる減筒運転を実行している。ECU110は、CPU(Central Processing Unit)と、ROMと、RAMと、イン側インタフェースと、アウト側インタフェース等によって構成されている。図5に示すように、ECU110は、油圧センサ90と、車速センサ91と、アクセル開度センサ92と、ギヤ段センサ93と、インマニ圧センサ94と、吸気量センサ95と、吸気温センサ96と、吸気圧センサ97と、クランク角センサ98と、カム角センサ99と、油温センサ100と、排気温センサ101と、水温センサ102と運転者が選択操作可能なように車両に装備された走行モード選択スイッチ103等に電気的に接続されている。
車速センサ91は、車両の走行速度を検出し、アクセル開度センサ92は、運転者によるアクセルペダル(図示略)の踏込量を検出する。ギヤ段センサ93は、車両に搭載された変速機において現在設定されている変速ギヤ段を検出し、インマニ圧センサ94は、インテークマニホールド内の圧力を検出する。吸気量センサ95は、吸入した吸気量を検出し、吸気温センサ96は、吸入した吸気温度を検出し、吸気圧センサ97は、吸入した吸気圧力を検出する。クランク角センサ98は、クランク軸7の回転角度を検出し、この回転角度に基づきエンジン回転速度を検出する。カム角センサ99は、カム軸43、53の回転角度を検出し、この回転角度に基づきカム軸43、53の回転位相や各VVT19、20の位相角を検出する。油温センサ100は、油路70内を流れる油温を検出する。排気温センサ101は、排気管34を流れる排気ガス温度を検出し、水温センサ102は、エンジン1を循環冷却する冷却水温度を検出する。走行モード選択スイッチ103は、車両の走行モードに対応する値を出力する。これらのセンサ90〜102及び走行モード選択スイッチ103による検出値は、ECU110に出力され、エンジン1の作動が制御される。
このECU110は、一方の運転から他方の運転への切替時、エンジン1から出力されるトータルトルクが滑らかに連続するように、センサ90〜102及び走行モード選択スイッチ103の検出値に基づき、インジェクタ12と、点火プラグ13と、HLA14と、VVT19,20と、スロットルバルブ25と、排気シャッタ弁35を時系列的に協調制御している。図5に示すように、ECU110は、運転条件判定部111と、VVT制御部112と、点火時期制御部113と、燃料制御部114と、スロットルバルブ制御部115と、弁停止機構制御部116と、排気シャッタ弁制御部117等を備えている。
まず、運転条件判定部111について説明する。
運転条件判定部111は、運転状態に基づき、全筒運転と減筒運転の何れの運転を実行するかについて可否判定している。図6に示すように、運転条件判定部111は、全筒運転領域A1と減筒運転領域A2とスポーツモード減筒運転領域A3を設定したマップMを予め記憶しており、このマップMと運転状態とに基づき何れの運転の実行条件が成立したかについて判定している。マップMは、横軸がエンジン回転数、縦軸が目標図示トルクによって規定されている。
スポーツモードでない通常の走行モードの減筒運転領域A2は、エンジン回転数について下限値N1から上限値N2に亙って領域範囲が設定され、その回転数に応じて上がる傾斜状の第1基準トルクラインL1が減筒運転時の最大トルクラインL0近傍に設定されて、目標図示トルクについて零トルクから第1基準トルクラインL1に亙って領域範囲が設定されている。また、第2基準トルクラインL2は、第1基準トルクラインL1に略平行に且つ第1基準トルクラインL1より低く設定されている。スポーツモード減筒運転領域A3は、エンジン回転数について減筒運転領域A2と同じ領域範囲が設定され、目標図示トルクについて零トルクから第2基準トルクラインL2に亙って領域範囲が設定されて、減筒運転領域A2の一部分に重なっている。
目標図示トルクは、車両の目標加速度に基づき演算された基本トルクであり、この基本トルクによってエンジン1の出力や変速機の変速段制御が実行される。具体的には、予め設定されたマップ(図示略)を用いてアクセルペダルの踏込量が反映されたアクセル開度と車速とギヤ段から車両の目標加速度を設定し、この目標加速度に基づきホイールトルクを演算する。このホイールトルクを用いて変速機の出力トルク及び入力トルクを逆算してエンジン1に必要な軸トルクを求めた後、このエンジン軸トルクに補機ロス及びメカロス等の補正用トルクを加算して最終的に目標図示トルクを求めている。即ち、運転者がアクセルペダルを介してエンジン1に要求する要求トルクを、アクセル開度と車両状態に基づいて目標図示トルクとして算出し、目標図示トルクがトータルトルクとして出力されるようにエンジン1を駆動している。
エンジン1の冷却水の水温が高いときは燃焼性が低下し、作動油の油温が高いときは作動油にエアが混入し易いため減筒運転と全筒運転の運転切替操作の応答性や追従性が低下する。また、エンジン1の排気温が高いときは、各種センサやこのセンサに付随するSCU(Sensor Control Unit)等排気通路周辺に配置された排気系部材の信頼性が低下する。そこで、運転条件判定部111は、水温と、油温と、排気温度とによって減筒運転の実行を制限するように構成されている。
この運転条件判定部111は、水温判定温度T1と油温判定温度T2と排気温判定温度T3とを予め記憶しており、水温が水温判定温度T1より高いとき、又は油温が油温判定温度T2より高いとき、又は排気温が排気温判定温度T3より高いときには、エンジン回転数と目標図示トルクにより定まる運転状態が減筒運転領域A2内に存在する場合であっても、減筒運転を規制している。尚、水温判定温度T1は燃焼性に基づき設定され、油温判定温度T2は運転切替操作の応答性や追従性に基づき設定され、排気温判定温度T3はノッキング抑制用遅角制御と切替用遅角制御が重複してもエンジン1が失火しない値に設定されている。
ECU110は、運転条件判定部111によって減筒運転の実行条件成立を判定した場合でも、直ちに第1,第4気筒を停止する減筒運転の実行を行わず、減筒運転を実行するための準備行程を実施するように構成されている。減筒運転では、第1,第4気筒の吸排気弁41,51が夫々閉弁され、VVT19,20が遅角側に設定され、スロットルバルブ25の開度が増加側に設定されている。それ故、準備行程では、第1,第4気筒の吸排気弁41,51の閉弁を維持するためにHLA14に供給される保持油圧よりも高い切替用目標油圧まで油圧を昇圧すると共に、VVT19,20を遅角側に制御し、更に、スロットルバルブ25の開度を増加側に制御する。
ここで、エンジン1から出力されるトータルトルクを滑らかに連続させるため、スロットルバルブ25の開度の増加側制御期間では点火時期を遅角側に制御する点、また、燃費悪化を抑制するため、点火時期の遅角側制御期間を短縮化する点を考慮し、切替用目標油圧昇圧操作及びVVT19,20の遅角操作の終了後にスロットルバルブ25の開度の増加操作を行っている。更に、VVT20の遅角操作による油圧消費量が大きいため、HLA14に供給される油圧の低下或いはオーバーシュートやアンダーシュート等の油圧変動が発生し、運転切替時間が長期化する点を考慮し、VVT20の遅角操作の終了後に切替用目標油圧昇圧操作を行っている。以上により、運転条件判定部111が減筒運転の実行条件成立を判定した際、まず、VVT19,20の遅角操作を開始している。
次に、VVT制御部112について説明する。
VVT制御部112は、全筒運転から減筒運転への運転切替(以下、減筒運転切替という)時、空気充填効率(ce)に基づきVVT19,20の減筒運転用目標位相を夫々設定し、電動モータ191及び排気側第1方向切替バルブ84を遅角操作させている。このVVT制御部112は、減筒運転切替時、全筒運転時の位相から減筒運転用目標位相になるように徐々に遅角側に制御し、減筒運転から全筒運転への運転切替(以下、全筒運転切替という)時、減筒運転用目標位相から全筒運転用目標位相になるように徐々に進角側に制御している。
次に、点火時期制御部113について説明する。
点火時期制御部113は、車両の運転状態に応じて点火時期を決定し、点火プラグ13に点火実行指令を出力している。この点火時期制御部113は、エンジン回転数と、アクセル開度により代用されるエンジン負荷とによって設定された点火時期マップ(図示略)を予め記憶しており、この点火時期マップに基づいて抽出される点火時期と吸気圧センサ97により検出された吸気圧力に基づいて基本点火時期を設定している。点火時期マップは、全筒運転用と減筒運転用の2種類用意されている。
点火時期制御部113は、減筒運転切替時、スロットルバルブ25の開度の増加操作(各気筒の空気充填効率)に応じて目標となる基本点火時期に向けて徐々に遅角側に制御され、全筒運転切替時、スロットルバルブ25の減少操作に応じて目標となる全筒運転時の基本点火時期に向けて徐々に進角側に制御される。減筒運転切替時及び全筒運転切替時における遅角(リタード)量は、各気筒のシリンダボア9内に流入した内部EGR量に反比例するように設定されている。この減筒運転切替時及び全筒運転切替時の点火時期遅角制御は、減筒運転開始後では一旦キャンセルされ、全筒運転切替時、再度キャンセル前の遅角量に戻される。
次に、燃料制御部114及びスロットルバルブ制御部115について説明する。
燃料制御部114は、運転状態に応じて燃料噴射量及びタイミングを決定し、インジェクタ12に噴射実行指令を出力している。この燃料制御部114は、目標図示トルクによって予め設定された燃料噴射マップ(図示略)を記憶しており、このマップに基づき燃料噴射量及びタイミングを設定している。また、燃料制御部114は、全筒運転時には第1〜第4気筒のインジェクタ12を駆動して燃料噴射を実行し、減筒運転時には第1,第4気筒のインジェクタ12の燃料噴射を禁止すると共に第2,第3気筒のインジェクタ12を駆動して燃料噴射を実行している。
スロットルバルブ制御部115は、目標図示トルクを実現するようにアクチュエータ26を作動させてスロットルバルブ25の開度を制御している。このスロットルバルブ制御部115は、減筒運転時に稼動気筒数が減少するので、稼動気筒(第2,第3気筒)の1気筒当りの出力を全筒運転時における1気筒当りの出力よりも増大させるためにスロットルバルブ25の開度を開き側に増加制御している。また、スロットルバルブ制御部115は、減筒運転切替時、VVT20による補正制御の終了後、減筒運転時における目標空気充填効率までのスロットルバルブ25の開度の増加操作を開始し、全筒運転切替時、VVT19,20の進角側への制御開始と同時に全筒運転時における目標空気充填効率までのスロットルバルブ25の開度の減少操作を開始している。
次に、弁停止機構制御部116について説明する。
弁停止機構制御部116は、全筒運転か減筒運転かに応じてリニアソレノイドバルブ89の制御を切り替えている。この弁停止機構制御部116は、全筒運転時、リニアソレノイドバルブ89をオフ状態にして第1〜第4気筒の吸排気弁41,51の開閉動作を可能にする一方、減筒運転時、リニアソレノイドバルブ89をオン状態にしてHLA14に供給される油圧を閉弁状態保持油圧に保持して休止気筒の吸排気弁41,51を閉弁状態に維持している。
弁停止機構制御部116は、減筒運転切替時、各気筒の空気充填効率が減筒運転時における目標空気充填効率に到達した後、排気側第2方向切替バルブ85により油圧を切替用目標油圧まで上昇させて排気弁51を閉弁し、これよりも若干遅れて、吸気側第2方向切替バルブ86により吸気弁41を閉弁する。また、弁停止機構制御部116は、全筒運転切替時、排気側第2方向切替バルブ85により排気弁51を開弁し、これよりも若干遅れて、吸気側第2方向切替バルブ86により吸気弁41を開弁する。
次に、排気シャッタ弁制御部117について説明する。
排気シャッタ弁制御部117は、減筒運転時、排気シャッタ弁35を閉弁側に制御し、全筒運転時、排気シャッタ弁35の上流側の排気圧力が設定圧力(例えば、排気弁51のシール圧)以下になるように排気シャッタ弁35を制御している。この排気シャッタ弁制御部117は、排気シャッタ弁35が全閉位置で所定の排気ガスが流れると共に全開位置で大気圧になるように設定されているため、排気シャッタ弁35の開度に基づき排気圧力を推定可能に構成されている。
次に、図7のフローチャートに基づいて、運転条件判定処理内容について説明する。
尚、Si(i=101,102…)は、各処理のためのステップを示している。
まず、S101において、各センサ90〜102の出力値、各マップ及び各種情報を読み込んでS102に進む。次に、S102において、現在のエンジン回転数が下限値N1以上且つ上限値N2以下か否か判定する。判定がYesの場合はS103に進み、判定がNoの場合はS108に進んで全筒運転の実行条件成立と判定してリターンする。
次にS103において、現在の目標図示トルク(要求トルク)が第1基準トルクラインL1以下か否か判定する。判定がYesの場合は、現在の運転状態が減筒運転領域A2内に存在することになり、S104に進む。次にS104において冷却水温が水温判定温度T1以下か否か判定する。判定がYesの場合はS105に進む。次にS105において油温が油温判定温度T2以下か否か判定する。判定がYesの場合はS106に進む。次にS107において排気温が排気温判定温度T3以下か否か判定する。判定がYesの場合は、減筒運転実行条件成立を判定してリターンする。
一方、S103の判定がNoの場合は現在の目標図示トルクがマップMの減筒運転領域A2内に存在しないため、S108に進んで全筒運転実行条件成立を判定してリターンする。また、S104〜S106の判定の結果がNoの場合は減筒運転に適さない運転状態であるため、S108に進んで全筒運転実行条件成立を判定してリターンする。
運転条件判定部111により減筒運転の実行条件成立(減筒運転条件成立)が判定されると、VVT制御部112、点火時期制御部113、燃料制御部114、スロットルバルブ制御部115、弁停止機構制御部116、排気シャッタ弁制御部117を作動させて減筒運転切替が開始される。図8に示すタイムチャートに基づいて減筒運転切替及びその後の全筒運転切替を説明する。
時刻t1において減筒運転条件成立が判定されると、減筒運転切替の準備行程として吸排気弁41,51についてVVT遅角操作を実行する。時刻t2において排気弁51の位相を減筒運転用目標位相に到達させると共に切替用目標油圧に向けて油圧を昇圧操作する。
時刻t3において油路70の油圧が切替用目標油圧に到達すると、この昇圧操作期間中の運転状態の変化に対応するように排気側第1方向切替バルブ84を更に作動させて減筒運転用目標位相を補正する。時刻t4において減筒運転用補正目標位相に到達すると、目標空気充填効率に向けてスロットルバルブ25の開度を増加するスロットルバルブ増加操作と、点火時期を遅角する点火時期遅角制御の実行を開始する。
時刻t5において空気充填効率が減筒運転時における目標空気充填効率を超えた後、吸排気弁41,51の閉弁操作を実行する。尚、排気弁51の閉弁操作開始タイミングは、吸気弁41の閉弁操作開始タイミングよりも早く開始される。時刻t6において吸排気弁41,51の閉弁後、第1,第4気筒の燃料噴射を禁止すると共に点火時期を元に戻す。また、HLA14に供給される油圧を切替用目標油圧から閉弁保持油圧に向けて調整を開始する。減筒運転は、油圧の追従性により時刻t7から開始される。それ故、時刻t5〜t7間は切替移行期間である。
時刻t8において、全筒運転実行条件の成立が判定されると、全筒運転切替を実行するために時刻t9において第1,第4気筒の燃料噴射禁止を解除すると共に点火時期遅角制御を開始する。全筒運転切替用の点火時期遅角制御は、一旦、減筒運転切替時の点火時期に戻し、減筒運転切替時の点火時期を初期点火時期としている。このとき、第1,第4気筒の吸排気弁41,51の閉弁操作解除が完了していないため、インジェクタ12及び点火プラグ13は作動が開始されない。尚、排気弁51の開弁操作開始タイミングは、吸気弁41の開弁操作開始タイミングよりも早く開始される。
時刻t10においてHLA14に供給される油圧が閉弁保持油圧から全筒運転時の目標油圧まで降下すると第1、第4気筒の吸排気弁41,51の閉弁操作解除が完了し、全筒運転が開始される。それ故、t8〜t10間は切替移行期間である。また、スロットルバルブ増加操作を終了してスロットルバルブ25の開度を徐々に減少し、VVT遅角操作を終了してVVT20の位相を徐々に進角側に制御し、第1,第4気筒の燃料噴射を実行し、点火時期を徐々に進角側に制御する進角制御を実行する。これにより、時刻t11においてスロットルバルブ25の開度が全筒運転における目標空気充填効率に到達し、時刻t12においてVVT20の位相が全筒運転用目標位相に到達する。
例えば減筒運転中に運転者が車両の加速等のためにアクセルペダルを踏み込むと、エンジンに要求される要求トルクが増加する。この要求トルクの増加による全筒運転切替の判定制御について、図9のフローチャートに基づいて説明する。尚、Si(i=201,202,…)は、各処理のためのステップを表す。
まず、S201にて、各センサ90〜102の出力値、各マップ及び各種情報を読み込み、S202に進む。S202において、スポーツモードが選択されているか否か判定する。判定がNoの場合はS203に進んで第1基準トルクラインL1を基準トルクラインLとして設定してS205に進む。判定がYesの場合はS204に進んで第2基準トルクラインL2を基準トルクラインLとして設定してS205に進む。
S205において、エンジン回転数が減筒運転領域A2,スポーツモード減筒運転領域A3の範囲内であるか否か判定する。判定がNoの場合はS211に進んで全筒運転に切り替えてリターンする。判定がYesの場合はS206に進む。
S206において、要求トルクが基準トルクラインL以下か否か判定する。基準トルクラインLは、スポーツモードが選択されている場合は第2基準トルクラインL2であり、スポーツモードが選択されていない場合は第1基準トルクラインL1である。判定がNoの場合はS211に進んで全筒運転に切り替えてリターンする。判定がYesの場合はS207に進む。
S207において、水温が水温判定温度T1以下か否か判定する。判定がNoの場合はS211に進んで全筒運転に切り替えてリターンする。判定がYesの場合はS208に進む。
S208において、油温が油温判定温度T2以下か否か判定する。判定がNoの場合はS211に進んで全筒運転に切り替えてリターンする。判定がYesの場合はS209に進む。
S209において、排気温が排気温判定温度T3以下か否か判定する。判定がNoの場合はS211に進んで全筒運転に切り替えてリターンする。判定がYesの場合はS210に進んで減筒運転を継続させてリターンする。
こうして、図11(b)に示すように、スポーツモードが設定された減筒運転中に要求トルクRが増加したときに、要求トルクRが時刻τ1で第2基準トルクラインL2を超えことにより全筒運転への切り替えを開始する。これにより、時刻τ3においてトータルトルクAが減筒運転の最大トルクラインL0に到達する前に全筒運転が開始される。従って、減筒運転中にスポーツモードが設定されている場合は、スポーツモードが設定されていない場合より早いタイミングで全筒運転への切り替えを開始して、要求トルクRに応じた滑らかに連続するトータルトルクAが出力されるように全筒運転切替を実行できる。
次に、実施例2に係る要求トルクの増加による全筒運転切替の判定制御について、図10のフローチャートに基づいて説明する。尚、Si(j=301,302…)は、各処理のためのステップを表す。
まず、S301にて、各センサ90〜100の出力値、各マップ及び各種情報を読み込み、S302に進む。S302において、要求トルクの増加速度が設定値を超えたか否か判定する。この設定値は、減筒運転時の最大トルクラインL0と第1基準トルクラインL1の差、全筒運転切替の切替移行期間の長さ等によって適宜設定される。判定がNoの場合はS303に進んで、基準トルクラインLを第1基準トルクラインL1に設定してS305に進む。判定がYesの場合はS304に進んで、基準トルクラインLを第2基準トルクラインL2に設定してS305に進む。要求トルクが基準トルクラインL以下であれば減筒運転を継続するように判定し、要求トルクが基準トルクラインLを超えれば全筒運転に切り替える点は実施例1と共通し、S305以降の制御内容は実施例1と同等なので説明を省略する。
こうして、図11(b)に示すように、減筒運転中に要求トルクRが増加したときに、時刻τ0において要求トルクRの増加速度が設定値を超え、時刻τ1で要求トルクRが第2基準トルクラインL2を超えたことにより全筒運転への切り替えを開始する。これにより、時刻τ3においてトータルトルクAが減筒運転の最大トルクラインL0に到達する前に全筒運転が開始される。従って、要求トルクRの増加速度が設定値を超えた場合には、要求トルクRの増加速度が設定値を超えない場合より早いタイミングで全筒運転への切り替えを開始して、要求トルクRに応じた滑らかに連続するトータルトルクAが出力されるように全筒運転切替を実行できる。
次に、上記エンジンの制御装置の作用、効果について説明する。
本エンジンの制御装置によれば、減筒運転中に要求トルクが第1基準トルクラインL1を超えた場合には全筒運転に切り替える。また、スポーツモードが設定されている減筒運転中に、又は減筒運転中に要求トルクの増加速度が設定値を超えたときに、要求トルクが第1基準トルクラインL1より低い第2基準トルクラインL2を超えた場合には全筒運転に切り替える。このとき、エンジンが出力するトータルトルクが滑らかに連続するように全筒運転に切り替えることができるので、運転者に違和感を与える虞がない。また、車両に設けられた走行モード選択スイッチ103によりスポーツモードを判別するので、走行性重視のスポーツモードにおいてもトータルトルクが滑らかに連続するように全筒運転に切り替えることができる。
第1基準トルクラインL1は、減筒運転時にエンジンが発生可能な最大トルクラインL0近傍に設定されるため、減筒運転可能な領域を広く設定することができるので、燃費を向上させることができる。要求トルクは、少なくともアクセル開度と車速と変速ギヤ段に基づいて算出されるため、運転者のアクセルペダル操作と車両の状態に基づいて適切なエンジンの運転モードを選択可能である。
前記実施形態においては、直列4気筒ガソリンエンジンの例を説明したが、例えば、6気筒エンジンやV型エンジン等エンジンの型式に制限されること無く適用することが可能であり、特に直列4気筒ガソリンエンジンに限られるものではない。また、4気筒のうち半数の2気筒を休止させる減筒運転を行うエンジンの例を説明したが、休止気筒の数を任意に設定しても良い。
その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施形態に種々の変更を付加した形態や各実施形態を組み合わせた形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
1 エンジン
91 車速センサ
92 アクセル開度センサ
93 ギヤ段センサ
98 クランク角センサ
100 油温センサ
103 走行モード選択スイッチ
110 ECU
111 運転条件判定部
A1 全筒運転領域
A2 減筒運転領域
A3 スポーツモード減筒運転領域
L 基準トルクライン
L0 最大トルクライン
L1 第1基準トルクライン
L2 第2基準トルクライン
M マップ
T1 水温判定温度
T2 油温判定温度
T3 排気温判定温度

Claims (4)

  1. 減筒運転の実行条件成立により複数気筒を備えたエンジンの全気筒を作動させる全筒運転から前記複数気筒の一部を休止する減筒運転に切り替えるエンジンの制御装置において、
    前記減筒運転中に、前記エンジンに要求される要求トルクが第1基準トルクラインを超えた場合には前記全筒運転に切り替えると共に、低速ギヤ使用領域を広げる走行性重視のスポーツモードが設定されているときには前記要求トルクが前記第1基準トルクラインより低い第2基準トルクラインを超えた場合に前記全筒運転に切り替えることを特徴とするエンジンの制御装置。
  2. 前記スポーツモードは車両に設けられた走行モード選択スイッチにより選択されることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの制御装置。
  3. 前記第1基準トルクラインは、前記減筒運転時に前記エンジンが発生可能な最大トルクライン近傍に設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンの制御装置。
  4. 前記要求トルクは、少なくともアクセル開度と車速と変速ギヤ段に基づいて算出されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。
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