以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。
<エンジンの構成>
図1は、本発明に係るオイル供給装置が適用される多気筒エンジン2(以下、単にエンジン2という)を示している。このエンジン2は、第1〜第4気筒が順に図1の紙面に垂直な方向に直列に配置された直列4気筒ガソリンエンジンであって、自動車等の車両に搭載される。
エンジン2は、上下に連結されるカムキャップ3、シリンダヘッド4、シリンダブロック5、クランクケース(図示せず)及びオイルパン6(図3参照)を含む。シリンダブロック5には4つのシリンダボア7が形成され、各シリンダボア7内にそれぞれピストン8が摺動可能に収容され、これらピストン8、シリンダボア7およびシリンダヘッド4によって燃焼室11が気筒毎に形成されている。なお、各ピストン8は、コネクティングロッド10を介して、上記クランクケースに回転自在に支持されたクランク軸9に連結されている。
シリンダヘッド4には、燃焼室11に開口する吸気ポート12及び排気ポート13が設けられ、吸気ポート12及び排気ポート13をそれぞれ開閉する吸気弁14及び排気弁15が、各ポート12,13にそれぞれ装備されている。
吸気弁14及び排気弁15は、それぞれリターンスプリング16,17により各ポート12,13を閉止する方向(図1の上方向)に付勢されており、カムシャフト18,19の外周に設けられたカム部18a,19aによって押下されることで各ポート12,13を開くように構成されている。詳しくは、カムシャフト18,19の回転に伴い、上記カム部18a,19aがスイングアーム20,21の略中央部に設けられたカムフォロア20a,21aを押下することで、スイングアーム20,21がそれらの一端側に設けられた油圧ラッシュアジャスタ24、25(本発明の第2油圧作動部の一つ)のピボット機構の頂部を支点として揺動し、この揺動に伴い、スイングアーム20,21の他端部が上記リターンスプリング16,17の付勢力に抗して吸気弁14及び排気弁15を押下する。これにより各ポート12、13が開く。なお、このエンジン2には、後述する可変バルブタイミング機構32、33が組み込まれており、エンジン2の運転状態に応じて、吸排気弁14、15の開閉時期が変更される。この可変バルブタイミング機構32、33については、後に説明する。
シリンダヘッド4のうち、各4気筒に対応する吸気側及び排気側の部分には、上記HLA24、25の下端部が挿入、装着される装着穴26、27が設けられている。また、シリンダヘッド4には、第1〜第4気筒に亘って気筒配列方向に延びて、吸気側及び排気側のHLA24、25の装着穴26,27にそれぞれ連通するサブギャラリ(油路63、64)が形成されている。サブギャラリは、後に詳述するオイル供給用の通路である。これら油路63、64は、装着穴26、27に装着されたHLA24、25のピボット機構に対してオイル(作動油)を供給するものであり、HLA24、25のピボット機構は、その油圧(作動圧)によりバルブクリアランスを自動的にゼロに調整する。
上記シリンダブロック5のうち、シリンダボア7の両側の側壁内には、気筒配列方向に延びるメインギャラリ(第1連通路52、第3連通路53)が設けられている。メインギャラリは、後に詳述するオイル供給用の通路である。メインギャラリのうち、排気側に位置する第1連通路52の下側近傍の位置であって各ピストン8に対応する位置には、第1連通路52と連通するピストン冷却用のオイルジェット28(本発明の第1油圧作動部の一つ)が設けられている。一方、吸気側に位置する第3連通路53の下側近傍の位置であって各ピストン8に対応する位置には、第3連通路53と連通するピストン潤滑用のオイルジェット29(本発明の第1油圧作動部の一つ)が設けられている。
これらオイルジェット28、29のうち、ピストン冷却用のオイルジェット28は、ピストン8の下側に位置するノズル28aを有しており、このノズル28aからピストン8の裏面の主に中央部に向けてオイル(冷却用オイル)をシャワー状に噴射するように構成されている。一方、ピストン潤滑用のオイルジェット29は、ピストン8の下側に位置するノズル29aを有しており、このノズル29aからピストン8の主にスカート部裏面に向けて、ピストン冷却用のオイルジェット28よりも狭角でオイル(潤滑用オイル)を噴射するように構成されている。ピストン8のスカート部には、オイル案内用の通路が形成されており、ノズル29aから噴射されるオイルは、当該通路を通じてピストン摺動面に案内される。
また、各カムシャフト18,19の上方には、オイル供給部30,31(本発明の第2油圧作動部の一つ)が設けられている。これらオイル供給部30,31は、ノズル30a、31aを有しており、これらノズル30a、31aからその下方に位置するカムシャフト18,19のカム部18a,19a(被潤滑部)や、スイングアーム20,21とカムフォロア20a、21aとの接触部(被潤滑部)にオイル(潤滑用オイル)が滴下されるように構成されている。なお、カムシャフト18,19やスイングアーム20,21は本発明の動弁機構に相当する。
<可変バルブタイミング機構の構成>
エンジン2には、その全気筒において吸気弁14及び排気弁15の弁特性を変更する可変バルブタイミング機構32、33(以下、単にVVT32、33という)が組み込まれている。当例では、これらVVT32、33のうち、排気側のVVT33(本発明の油圧式弁特性可変装置及び第1油圧作動部に相当する)は、油圧作動により弁特性を変更する油圧VVTであり、吸気側のVVT32は、電気作動、具体的には電気モータの作動により弁特性を変更する電動VVTである。このように吸気側と排気側とで異なる作動方式を採用しているのは、吸気側では、エンジン2の始動後、いち早く弁特性を制御することが求められる場合が多いため、電動方式の方が有利だからである。すなわち、油圧VVTはその作動に比較的高い油圧が求められるが、エンジン回転数が低く、また油温も低いエンジン始動直後の運転領域では、十分な作動油圧を確保することが難しく、弁特性を速やかに制御することが難しいためである。
以下、図2(a)を用いて排気側のVVT33の構成について説明した後、吸気側のVVT32の構成について言及することにする。
図2(a)は、排気側のVVT33の概略構成を断面図で示している。VVT33は、略円環状のハウジング331と、該ハウジング331の内部に収容されるロータ332とを有している。ハウジング331は、クランク軸9と同期して回転するカムプーリ333に一体回転可能に連結されており、ロータ332は、排気弁15を開閉させるカムシャフト19に一体回転可能に連結されている。ハウジング331の内部には、ハウジング331の内周面とロータ332に設けられたベーン334とで区画される遅角油圧室335と進角油圧室336とが複数形成されている。これら遅角油圧室335及び進角油圧室336には、方向切替弁34(図3参照)を介して、オイルを供給する後述のオイルポンプ36(図3参照)が接続されている。この方向切替弁34の制御により、遅角油圧室335にオイルが導入されると、油圧によりカムシャフト19がその回転方向(図2(a)の矢印の方向)とは逆向きに回動し、これにより排気弁15の開時期が遅くなり、一方、進角油圧室336にオイルが導入されると、油圧によりカムシャフト19がその回転方向に動くため、排気弁15の開時期が早くなる。
吸気側のVVT32は、電動式である点を除き、その基本構成は排気側のVVT33と共通する。すなわち、図2(a)中に符号のみで示すが、VVT32は、クランク軸9と同期して回転するカムプーリ323に一体回転可能に連結されるハウジング321と、該ハウジング331の内部に収容され、吸気弁14を開閉させるカムシャフト18に一体回転可能に連結されるロータ322と、電気モータ(図示省略)を含みかつハウジング321に対してロータ322を相対的に回転させる駆動機構とを有する。そして、電気モータの作動により、ロータ322がカムシャフト18の回転方向(図2(a)の矢印の方向)とは逆向きに回動駆動されると、これにより吸気弁14の開時期が遅くなり、一方、ロータ322がカムシャフト18の回転方向と同方向に回転駆動されると、カムシャフト18がその回転方向に動くため、吸気弁14の開時期が早くなる。
図2(b)は、吸気弁14及び排気弁15の開弁位相を示しており、図からわかるように、VVT32(及び/又はVVT33)によって、吸気弁14の開弁位相を進角方向(図2(b)の矢印を参照)に変更する(及び/又は、排気弁15の開弁位相を遅角方向に変更する)と、排気弁15の開弁期間と吸気弁14の開弁期間(一点鎖線を参照)とがオーバーラップする。このように吸気弁14及び排気弁15の開弁期間をオーバーラップさせることで、エンジン燃焼時の内部EGR量を増加させることができ、ポンピングロスを低減して燃費性能を向上できる。また、燃焼温度を抑えることもできるため、NOxの発生を抑えて排気浄化を図れる。一方、VVT32(及び/又はVVT33)によって、吸気弁14の開弁位相を遅角方向に変更する(及び/又は、排気弁15の開弁位相を進角方向に変更する)と、吸気弁14の開弁期間(実線を参照)と排気弁15の開弁期間とのバルブオーバーラップ量が減少するために、アイドリング時等のようにエンジン負荷が所定値以下の低負荷時には、安定燃焼性を確保できる。本実施形態では、高負荷時にバルブオーバーラップ量を出来る限り大きくするために、上記低負荷時にも、吸気弁14及び排気弁15の開弁期間をオーバーラップさせるようにしている。
<オイル供給装置1の説明>
次に、図3及び図4を参照しながら、エンジン2の各油圧作動部にオイル(作動油)を供給するためのオイル供給装置1について詳細に説明する。なお、「油圧作動部」とは、オイルの油圧を受けて駆動する装置(すなわちHLA24、25やVVT32等)、又はオイルをその油圧により潤滑用又は冷却用として対象物に供給するオイル供給部(すなわち、オイルジェット28、29やオイル供給部30、31等)を指す。
図示するように、オイル供給装置1は、クランク軸9の回転によって駆動されるオイルポンプ36と、このオイルポンプ36に接続され、当該オイルポンプ36により昇圧されたオイルをエンジン2の各油圧作動部に導く給油路50とを備えている。なお、オイルポンプ36は、エンジン2により駆動される補機である。
本実施形態のオイルポンプ36は、公知の可変容量型のオイルポンプであって、一端側が開口するように形成され、内部に円柱状の空間からなるポンプ収容室を有する断面コ字形状のポンプボディと該ポンプボディの一旦開口を閉塞するカバー部材とからなるハウジング361と、該ハウジング361に回転自在に支持され、ポンプ収容室のほぼ中心部を貫通してクランク軸9によって回転駆動される駆動軸362と、ポンプ収容室内に回転自在に収容されて中心部が駆動軸に結合されたロータ363及び該ロータ363の外周部に放射状に切欠形成された複数のスリット内にそれぞれ出没自在に収容されたベーン364からなるポンプ要素と、該ポンプ要素の外周側にロータ363の回転中心に対して偏心可能に配置され、ロータ363及び隣接するベーン364と共に複数の作動油室であるポンプ室365を画成するカムリング366と、ポンプボディ内に収容され、ロータ363の回転中心に対するカムリング366の偏心量が増大する方向へカムリング366を常時付勢する付勢部材であるスプリング367と、ロータ363の内周側の両側部に摺動自在に配置されたロータ363よりも小径な一対のリング部材368とを備えている。ハウジング361は、内部のポンプ室365にオイルを供給する吸入口361aと、ポンプ室365からオイルを吐出する吐出口361bを備えている。ハウジング361の内部には、該ハウジング361の内周面とカムリング366の外周面により画成された圧力室369が形成されており、該圧力室369に開口する導入孔369aが設けられている。つまり、オイルポンプ36は、導入孔369aから圧力室369にオイルが導入されることで、カムリング366が支点361cに対して揺動して、ロータ363がカムリング366に対して相対的に偏心し、吐出容量が変化するように構成されている。
オイルポンプ36の吸入口361aには、オイルパン6に臨むオイルストレーナ39が連結されている。ポンプ36の吐出口361bに連通する油路51には、上流側から下流側に順にオイルフィルタ37、オイルクーラ38が配置されており、オイルパン6内に貯留されたオイルは、オイルストレーナ39を通じてオイルポンプ36によってくみ上げられ、オイルフィルタ37で濾過され、オイルクーラ38で冷却されてからシリンダブロック5内の後記メインギャラリ(連通路52〜55)に導入される。
なお、オイルポンプ36には、メインギャラリの後記分岐点52bから分岐して当該オイルポンプ36の圧力室369にオイルを導入する油路40が接続されている。この油路40には、リニアソレノイドバルブ41が介設されており、上記圧力室369に導入されるオイル流量(油圧)がこのリニアソレノイドバルブ41により調整されることで、オイルポンプ36の容量が変更される。
上記給油路50は、パイプや、シリンダヘッド4、シリンダブロック5等に形成された通路からなる。給油路50は、シリンダブロック5内にオイルを導入する上記油路51と、導入されたオイルを、主に要求圧力が高い油圧作動部に導くための上流側のメインギャラリ(本発明の上流側油路に相当する)と、このメインギャラリから分岐する通路であって、要求圧力が比較的低い油圧作動部(メインギャラリから直接オイル供給を受ける油圧作動部よりも要求圧力が低い油圧作動部)に対してオイルを導くサブギャラリ(本発明の下流側油路に相当する)とを含む。
メインギャラリは、シリンダブロック5内の分岐点52aで油路51に繋がり、該シリンダブロック5内におけるシリンダボア7の排気側の位置で気筒配列方向に延びる上記第1連通路52と、シリンダボア7の吸気側の位置で該第1連通路52とほぼ平行に気筒配列方向に延びる上記第3連通路53と、第1連通路52と第3連通路53とを繋ぐ第2連通路54と、第1連通路52上の分岐点52cからシリンダヘッド4まで伸びる第4連通路55とを含む。
上記第1連通路52には、各気筒のピストン8の裏面側に冷却用オイルを噴射する上記オイルジェット28、及びクランク軸9を回動自在に支持する第2、第4番メインジャーナルに配置されたメタルベアリング(以下、第2、第4番メタルベアリングという)に対するオイル供給部42(本発明の第1油圧作動部の一つ)が接続されている。このオイル供給部42は、メタルベアリングにオイルを導く通路である。また、上記第3連通路53には、各気筒のピストン8に潤滑用オイルを噴射する上記オイルジェット29等が接続されている。第3連通路53の上流側(第1連通路52側)の端部近傍には、開閉弁35が介設されており、後記コントローラ100による該開閉弁35の制御により、上記オイルジェット29によるオイル噴射がオンオフされる。また、上記第4連通路55の末端部分は、方向切替弁34を介して、上記VVT33の遅角油圧室335及び進角油圧室336に接続されており、コントローラ100による上記方向切替弁34の制御により、遅角油圧室335及び進角油圧室336へのオイル供給が切り替えられるようになっている。
一方、サブギャラリは、シリンダヘッド4内の分岐点55aで上記メインギャラリ(第4連通路55)に繋がる油路61と、この油路61に繋がり、シリンダブロック5まで伸びる油路62と、シリンダヘッド4内の分岐点62aで上記油路62から分岐して、シリンダヘッド4内における吸気側の所定位置を気筒配列方向に延びる上記油路63と、同じく分岐点62aから分岐して、シリンダヘッド4内における排気側の所定位置を上記油路63と平行に気筒配列方向に延びる上記油路64と、分岐点63aで上記油路63から分岐して該油路63と平行に延びる油路65と、分岐点64aで上記油路64から分岐して該記油路64と平行に延びる油路66とを含む。
上記油路62は、シリンダブロック5内における吸気側の位置を気筒配列方向に延びており、この油路62には、クランク軸9を回動自在に支持する第1、第3、第5番メインジャーナルに配置されたメタルベアリング(以下、第1、第3、第5番メタルベアリングという)に対するオイル供給部44(本発明の第2油圧作動部の一つ)や、クランク軸9の駆動力をカムシャフト18、19に伝達するチェーンに対するオイル供給部(図示省略)等が接続されている。なお、オイル供給部44は、メタルベアリングにオイルを導く通路である。
シリンダヘッド4内の吸気側の油路63には、吸気側のカムシャフト18のカムジャーナル潤滑のためのオイル供給部45(図3の白抜き三角△を参照)(本発明の第2油圧作動部の一つ)と、上記HLA24(図3の黒三角▲を参照)とが接続されており、さらに該油路63から分岐する油路65には、吸気側のスイングアーム20に潤滑用オイルを供給する上記オイル供給部30が接続されている。また、排気側の上記油路64には、排気側のカムシャフト19のカムジャーナル潤滑のためのオイル供給部46(図3の白抜き三角△を参照)(本発明の第2油圧作動部の一つ)と、上記HLA25(図3の黒三角▲を参照)とが接続されており、さらに該油路64から分岐する油路66には、排気側のスイングアーム21に潤滑用オイルを供給する上記オイル供給部31が接続されている。なお、サブギャラリ(油路61〜66)に接続される油圧作動部(オイル供給部44〜46及びHLA24、25等)は、メインギャラリ(連通路52〜連通路55)に接続される油圧作動部(VVT33、オイルジェット28、29及びオイル供給部42等)に比べて、必要とされる要求油圧が低いものに限られる。
サブギャラリのうち、その最上流に位置する油路61には、可変オリフィス48(本発明の油圧調整装置に相当する)が介設されている。可変オリフィス48は、オイルの流量を変更する流量調整弁の一つであり、後記コントローラ100の制御によりサブギャラリ(油路61)に導入されるオイル流量を調整する。これによりサブギャラリの油圧を調整することが可能となっている。
なお、上記メインギャラリのうち、第4連通路55の末端近傍、詳しくはVVT33の上記方向切替弁34の近傍位置には、メインギャラリの油圧を検出する第1油圧センサ70が接続されており、上記サブギャラリのうち、油路62の途中部分、詳しくはオイル供給部44の直ぐ上記側の位置には、サブギャラリの油圧を検出する第2油圧センサ71が接続されている。エンジン2の駆動中は、これら油圧センサ70、71により各ギャラリの油圧に応じた信号が後記コントローラ100に出力される。
なお、図示を省略しているが、クランク軸9を回転自在に支持するメタルベアリング及びカムシャフト18,19を回転自在に支持するカムジャーナルや、ピストン8、カムシャフト18,19等に供給される潤滑用および冷却用のオイルは、冷却や潤滑を終えた後、図示しないドレイン油路を通ってオイルパン6内に滴下し、オイルポンプ36により再び環流される。
上記エンジン2の作動は、コントローラ100によって制御される。このコントローラ100は、周知のマイクロコンピュータをベースとする制御装置であって、上記給油路50内の油圧を統括的に制御する。このコントローラ100には、エンジン2の運転状態を検出する各種センサからの検出情報が入力されている。例えばエンジン2には、上記油圧センサ70、71に加え、クランク軸9の回転角度を検出するクランク角センサ72と、エンジン2が吸入する空気量を検出するエアフローセンサ73と、給油路50内の油温を検出する油温センサ74と、カムシャフト18,19の回転位相を検出するカム角センサ75と、エンジン2の冷却水温度を検出する水温センサ76とが設けられており、これらセンサ70〜76からの検出情報がコントローラ100に入力されている。コントローラ100は、上記クランク角センサ72の検出情報に基づきエンジン回転速度を検出し、上記エアフローセンサ73の検出情報に基づきエンジン負荷を検出し、上記カム角センサ75の検出情報に基づきVVT32、33の作動角を検出する。
コントローラ100は、各センサ70〜76からの検出情報に基づき、エンジン2の運転状態を判定し、予め記憶されているマップに基づき目標油圧を設定し、当該目標油圧に基づき上記給油路50内の油圧をフィードバック制御する。具体的には、上記リニアソレノイドバルブ41の操作によりオイルポンプ36のオイル吐出量を制御するとともに、上記可変オリフィス48の操作によりサブギャラリ(油路61)のオイル流量を制御する。すなわち、コントローラ100は、上記各センサ70〜76からの検出信号を入力する信号入力部、各種演算処理を行う演算部、制御対象となる装置(リニアソレノイドバルブ41、可変オリフィス48)に制御信号を出力する信号出力部、制御に必要なプログラムやデータ(後述する油圧制御マップやデューティ比マップ)を記憶する記憶部を備える。
以下、コントローラ100による給油路50の油圧制御について詳しく説明する。
このオイル供給装置1では、一つのオイルポンプ36によって複数の油圧作動部(VVT33、HLA24,25、オイルジェット28,29、オイル供給部30,31,42,44、46等)にオイルを供給しており、各油圧作動部が必要とする要求油圧は、エンジン2の運転状態に応じて変化する。そのため、エンジン2の全ての運転状態において全ての油圧作動部が必要な油圧を得るためには、エンジン2の運転状態ごとに各油圧作動部の要求油圧のうちで最も高い要求油圧以上の油圧を当該エンジン2の運転状態に応じた目標油圧に設定するのが合理的である。そのためには、全ての油圧作動部のうちで要求油圧が比較的高い油圧作動部、当実施形態ではオイルジェット28、29、第2、第4番メタルベアリングに対するオイル供給部42及びVVT33の要求油圧を満たすように目標油圧を設定し、この目標油圧に基づきオイルポンプ36のオイル吐出量を制御すればよい。このように目標油圧を設定すれば、要求油圧が比較的低い他の油圧作動部の要求油圧は当然に満たされることとなる。
図4は、エンジン回転数と油圧作動部の要求油圧との関係を示した油圧制御用のマップであり、(a)は主に低負荷運転時の関係を示したマップであり、(b)は高負荷運転時の関係を示したマップである。
図4(a)に示すように、エンジン2の低負荷運転時において、要求油圧が比較的高い油圧作動部は、VVT33及び第2、第4番メタルベアリングのオイル供給部42である。これら油圧作動部の要求油圧は、エンジン2の運転状態に応じて変化する。例えば、VVT33の要求油圧は、エンジン回転速度がV0以上で略一定である。第2、第4番メタルベアリングのオイル供給部42の要求油圧は、エンジン回転速度が大きくなるにつれて大きくなる。これらの要求油圧をエンジン回転速度ごとに大小を比較すると、エンジン回転速度がV0よりも低いときにはオイル供給部42の要求油圧のみで、エンジン回転速度がV0〜V1では、VVT33の要求油圧が最も高く、エンジン回転速度がV1を超えると、オイル供給部42の要求油圧が最も高くなる。
一方、エンジン2の高負荷運転時において、要求油圧が比較的高い油圧作動部は、VVT33、第2、第4番メタルベアリングのオイル供給部42及びオイルジェット28、29である。低負荷運転の場合と同様に、これら各油圧作動部の要求油圧はエンジン2の運転状態に応じて変化する。VVT33の要求油圧は、エンジン回転速度がV0′以上で略一定であり、第2、第4番メタルベアリングのオイル供給部42の要求油圧は、エンジン回転速度が大きくなるにつれて大きくなる。また、オイルジェット28、29の要求油圧は、エンジン回転速度がV1′(>V0′)以上で略一定である。これらの要求油圧をエンジン回転速度ごとに大小を比較すると、エンジン回転速度がV0′よりも低いときにはオイル供給部42の要求油圧のみで、エンジン回転速度がV0′〜V1′では、VVT33の要求油圧が最も高く、エンジン回転速度がV1′を超えると、オイルジェット28、29の要求油圧が最も高くなる。
当実施形態では、図4(a)、(b)に示すような油圧制御マップがコントローラ100に記憶されており、コントローラ100は、その油圧制御マップからエンジン2の運転状態に応じた最も高い要求油圧、つまり、図4中の実線で示される要求油圧線上の値を読み取り、その読み取った油圧を目標油圧に設定する。そして、コントローラ100は、上記第1油圧センサ70により検出されるメインギャラリ(第4連通路55)の油圧(実油圧)が該目標油圧になるように、オイルポンプ36の吐出量を制御する油圧フィードバック制御を実行する。
この場合、コントローラ100は、リニアソレノイドバルブ41に対し、デューティ比の制御信号を送信し、リニアソレノイドバルブ41を介して、オイルポンプ36の圧力室369へ供給する油圧を制御する。この圧力室369の油圧により、カムリング366の偏心量を制御してポンプ室365の内部容積の変化量を制御することで、オイルポンプ36の流量(吐出量)を制御する。つまり、上記デューティ比によってオイルポンプ36の容量が制御される。ここで、ポンプ36はエンジン2のクランク軸9で駆動するため、図5に示すように、ポンプ36の流量(吐出量)はエンジン回転速度と比例する。デューティ比が1サイクルの時間に対するリニアソレノイドバルブへの通電時間の割合を表す場合、図示するように、デューティ比が大きいほどポンプ36の圧力室369への油圧が増すため、エンジン回転速度に対するポンプ36の流量の傾きが減ることとなる。
なお、図4に示す油圧制御マップでは、エンジン回転速度がV0(V0′)未満の要求油圧線は、エンジン回転速度が大きくなるにつれてVVT33の要求油圧に近づくような一次直線とされているが、これは、エンジン回転速度がV0(V0′)に到達した時点でVVT33の要求油圧が確実に確保されるようにするため、換言すれば要求油圧に達するまでの時間的ロスを無くすためである。
ところで、上記のように目標油圧を設定してオイルポンプ36のオイル吐出量を制御した場合でも、メインギャラリ(連通路52〜55)に接続された油圧作動部の作動状態によっては、その下流側に位置するサブギャラリ(油路61〜66)に接続された油圧作動部の作動油圧に影響が出ることが十分に考えられる。当実施形態では、これを抑制するために、図4に示す油圧制御マップ(以下、第1油圧制御マップと称す)とは別に、図6に示すような、サブギャラリの油圧制御マップ(以下、第2油圧制御マップと称す)が上記コントローラ100に記憶されている。コントローラ100は、この第2油圧制御マップからエンジン2の運転状態に応じた要求油圧を読み取り、メインギャラリの上記目標油圧(以下、第1目標油圧と称す)とは別に、第2油圧制御マップから読み取った油圧をサブギャラリ(油路61〜66)の目標油圧(以下、第2目標油圧と称す)に設定し、上記第2油圧センサ71により検出されるサブギャラリ(油路62)の油圧(実油圧)が該第2目標油圧になるように、可変オリフィス48の開度を制御する油圧フィードバック制御を実行する。
図6は、第2油圧制御マップ、すなわちエンジン回転数とサブギャラリ(通路61〜66)に接続された油圧作動部の要求油圧との関係を示した油圧制御マップである。この第2油圧制御マップは、エンジン2の低負荷運転時のマップである。同図に示すように、サブギャラリに接続された油圧作動部のうち、要求油圧が比較的高い油圧作動部は、HLA24,25、第1、第3、第5番メタルベアリングに対するオイル供給部44及びカムシャフト18,19のカム部18a,19b等の潤滑のためのオイル供給部30,31,45,46であり、これら油圧作動部の要求油圧は、エンジン2の運転状態に応じて変化する。例えば、第1、第3、第5番メタルベアリングに対するオイル供給部44、HLA24,25、及びカムシャフト18,19のカム部18a,19b潤滑のためのオイル供給部30,31の要求油圧は同等であり、エンジン回転速度が大きくなるにつれて大きくなる。また、カムシャフト18,19のカムジャーナル潤滑のためのオイル供給部45,46の要求油圧は、エンジン回転速度が大きくなるにつれて大きくなるが、常に上記HLA24,25等の要求油圧よりも低い。エンジン回転速度がV0′′未満ではHLA24,25等の作動油圧のみが必要であり、カムジャーナル潤滑のためのオイル供給部45,46の作動油圧はエンジン回転速度がV1′′(>V0′′)以上で必要となる。
つまり、第2油圧制御マップの要求油圧線は、同図の実線に示すように、HLA24,25等の要求油圧を示したものであり、コントローラ100は、エンジン2の運転状態に応じた上記要求油圧線上の値を読み取り、その読み取った油圧を第2目標油圧に設定し、この第2目標油圧に基づき可変オリフィス48の開度を制御する。具体的には、可変オリフィス48に対し、デューティ比の制御信号を送信し、油路61の流量を制御する。これによりサブギャラリ(油路61〜66)の油圧を制御する。
なお、第2油圧制御用マップは、エンジン2の低負荷運転時のマップであり、第1油圧制御用マップのような高負荷運転時のマップは含まれていない。すなわち、コントローラ100は、エンジン2の低負荷運転時には、エンジン回転数に拘わらず、可変オリフィス48の開度を予め設定された一定の開度(例えば全開状態)に制御する。これは、エンジン2の高負荷運転時には、メインギャラリの目標油圧(第1目標油圧)が高く設定される傾向があるため、可変オリフィス48を一定の開度(例えば全開)としても、メインギャラリの油圧変動の影響を受け難く、第2油圧制御用マップに示されるような要求油圧線以上の油圧を維持することが可能となるためである。
次に、コントローラ100によるオイルポンプ36の吐出量制御、及び可変オリフィス48の流量制御について、図7、図8のブロック図を用いて説明する。
まず、オイルポンプ36の吐出量制御について説明する。図7に示すように、コントローラ100は、エンジン回転速度及びエンジン負荷に基づき、上記第1油圧制御マップを用いてメインギャラリの目標油圧である第1目標油圧を設定する。この第1目標油圧は、第1油圧センサ70の位置(第4連通路55)での目標油圧であるため、コントローラ100は、オイルポンプ36から第1油圧センサ70までの油圧低下代(予め調べておく)を考慮して目標油圧を修正して(油圧低下代の分を増大して)修正目標油圧を算出する。この修正目標油圧をオイルポンプ36の流量(吐出量)に変換して目標流量(目標吐出量)を得る。
一方、コントローラ100は、排気側のVVT33を作動させる場合の予測作動量(現在の作動角と目標の作動角との差及びエンジン回転速度から求まる)を流量変換して、VVT33の作動時の消費流量を求める。この消費流量を上記目標流量に加えて、上記目標流量を補正する。なお、エンジン2の定常運転時には、VVT33の予測作動量は0であり、よってVVT33の予測作動量に応じた目標流量の補正は行わない。これに対し、エンジン2の過渡運転時には、VVT33の予測作動量に応じて、目標流量を補正する、つまりオイルポンプ36の吐出量を補正制御する。
さらに、VVT33の予測作動量に応じて補正された目標流量は、油圧フィードバック量によって更に補正される。この油圧フィードバック量は、当実施形態では、エンジン2の過渡運転時に、第1油圧センサ70により検出される油圧(実油圧)が第1目標油圧の変化に対してどのように変化するかを予測した予測油圧と検出される実油圧との偏差に応じた油圧フィードバック量である。コントローラ100は、実油圧が予測油圧よりも高いときには、油圧フィードバック量を負の値とし、上記目標流量を減量する一方、実油圧が予測油圧よりも低いときには、油圧フィードバック量を正の値とし、上記目標流量を増量する。実油圧が予測油圧と同じであれば、油圧フィードバック量は0である(油圧フィードバック量による補正はなされない)。なお、この場合、目標油圧がステップ状に変化したときのオイルポンプ36自体の応答遅れや、油圧がオイルポンプ36から油圧センサ70に達するまでの応答遅れ等を考慮して予測油圧が求められる。
このようにして補正した目標流量及びエンジン回転速度から、コントローラ100は、予め記憶されている図外のデューティ比マップに基づき、リニアソレノイドバルブ制御用の上記デューティ比を設定し、その設定したデューティ比の制御信号をリニアソレノイドバルブ41に送信する。
次に、可変オリフィス48の流量制御については、図8に示すように、コントローラ100は、エンジン回転速度及びエンジン負荷に基づき、上記第2油圧制御マップを用いてサブギャラリの目標油圧である第2目標油圧を設定する。この第2目標油圧は、第2油圧センサ71の位置(油路62)での目標油圧であるため、コントローラ100は、オイルポンプ36から第2油圧センサ71までの油圧低下代(予め調べておく)を考慮して目標油圧を修正して(油圧低下代の分を増大して)修正目標油圧を算出する。この修正目標油圧を油路61の流量に変換して目標流量を得る。
また、コントローラ100は、この目標流量を油圧フィードバック量によって補正する。この油圧フィードバック量は、当実施形態では、エンジン2の過渡運転時に、第2油圧センサ71により検出される油圧(実油圧)が第2目標油圧の変化に対してどのように変化するかを予測した予測油圧と検出される実油圧との偏差に応じた油圧フィードバック量である。コントローラ100は、実油圧が予測油圧よりも高いときには、油圧フィードバック量を負の値とし、上記目標流量を減量する一方、実油圧が予測油圧よりも低いときには、油圧フィードバック量を正の値とし、上記目標流量を増量する。実油圧が予測油圧と同じであれば、油圧フィードバック量は0である(油圧フィードバック量による補正はなされない)。
このようにして補正した目標流量及びエンジン回転速度より、コントローラ100は、予め記憶されている図外のデューティ比マップに基づき、可変オリフィス制御用のデューティ比を設定し、その設定したデューティ比の制御信号を可変オリフィス48に送信する。
<オイル供給装置1の作用効果等>
上記オイル供給装置1によれば、エンジン2の運転状態毎に、VVT33、HLA24,25、オイルジェット28,29及びオイル供給部30,31,42〜46等の油圧作動部の要求油圧のうちで最も高い要求油圧が第1目標油圧とされ、メインギャラリに設けられた第1油圧センサ70により検出される油圧(実油圧)が該第1目標油圧になるように、オイルポンプ36の吐出量が制御される。そのため、各油圧作動部の作動油圧(要求油圧)を適切に確保しながら、オイルポンプ36の駆動負荷を必要最小限に保ち、これにより燃費の向上を図ることができる。
しかも、このオイル供給装置1によれば、エンジン2の運転状態毎に、サブギャラリに接続されたHLA24,25及びオイル供給部30,31,44〜46等の油圧作動部の要求油圧のうちで最も高い要求油圧が該第2目標油圧とされ、サブギャラリに設けられた第2油圧センサ71により検出される油圧(実油圧)が該第2目標油圧になるように、可変オリフィス48によりオイルの流量が制御される。そのため、メインギャラリの油圧変動の影響を受けてサブギャラリの油圧が大きく変動するといった現象を効果的に抑制することができ、これにより、サブギャラリの油圧をより適切な油圧に維持することができる。
従って、このオイル供給装置1によれば、オイルポンプ36の駆動損失を抑制しながら、給油路50に接続される全ての油圧作動部に対して、必要な油量、油圧のオイルをより確実にかつ安定的に供給することが可能となる。
特に、このオイル供給装置1では、エンジン2の高負荷運転時には、メインギャラリの目標油圧(第1目標油圧)が比較的高く設定されることを利用し、当該高負荷運転時には、可変オリフィス48を一定の開度(例えば全開)に保ちながら、必要な作動油圧を確保するように構成されている。従って、エンジン2の全ての運転域において可変オリフィス48を制御する場合と比べると、可変オリフィス48の制御負担を軽減した合理的な構成で、上記作用効果を奏することができるという利点がある。
なお、エンジン構成の説明では言及していなかったが、このエンジン2の上記クランク軸9は、第2、第4メインジャーナルのメタルベアリング(本発明の特定のクランクジャーナルの軸受部)に供給されるオイルを、該クランク軸9の内部通路を通じてクランクピンに供給するものである。そのため、上記のオイル供給装置1では、高い油圧が必要となる第2、第4番メタルベアリングに対するオイル供給部42についてはメインギャラリ(第1連通路52)に接続される一方、それ以外のメインジャーナル、すなわち要求油圧が比較的低い第1、第3、第5メタルベアリングに対するオイル供給部44についてはサブギャラリ(油路62)に接続されている。従って、このオイル供給装置1によれば、合理的な構成で、クランク軸9の全てのメタルベアリング、およびクランクピンに対して適量のオイルをより確実にかつ安定的に供給することができるという利点もある。つまり、両方のオイル供給部42、44をメインギャラリに接続するとすれば、第1、第3、第5メタルベアリングに過剰なオイルが供給されることが考えられ、逆に、両方のオイル供給部42、44をサブギャラリに接続すれば、メインギャラリの油圧変動の影響などを受けてクランクピンの潤滑用オイルが不足することが考えられるが、上記オイル供給装置1によれば、このような不都合を回避することが可能となる。
<その他の構成等>
ところで、以上説明したオイル供給装置1は、本発明にかかるエンジンのオイル供給装置の好ましい実施形態の例示であって、その具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、ピストン8に潤滑用オイルを供給する上記オイルジェット29は、エンジン2を高負荷高速運転する場合に特に有用なものであり、エンジン2の用途によっては省略してもよい。この場合には、図9に示すように、オイルジェット29に代えて、ピストン8に冷却用オイルを供給するための上記オイルジェット28を第3連通路53に設け、開閉弁35の制御により該オイルジェット28のオイル噴射をオンオフするようにしてもよい。
また、上記給油路50に接続された上記VVT33、HLA24,25、オイルジェット28,29、オイル供給部30,31,42〜46等は、本発明の油圧作動部の一例であり、油圧作動部の具体的な種類やこれら油圧作動部の上記給油路50における具体的な接続位置等は上記実施形態に限定されるものではない。
また、上記実施形態では、コントローラ100は、第1油圧制御マップに基づき、エンジン回転数からその要求油圧線上の油圧を特定し、その油圧を第1目標油圧に設定しているが、第1目標油圧の設定は、エンジン2の運転状態毎に、全ての油圧作動部の要求油圧のうちで最も高い要求油圧を第1目標油圧に設定できれば、上記実施形態の手法に限定されるものではない。この点は、サブギャラリに接続される油圧作動部の要求油圧に基づき第2目標油圧を設定する場合についても同じである。また、目標油圧は、エンジン負荷及びエンジン回転数以外のパラーメタ(例えば油温など)をさらに考慮して設定するようにしてもよい。
また、上記実施形態のオイル供給装置1において、サブギャラリの下流側で分岐する由路、例えば油路65,66に可変オリフィス及び油圧センサをさらに設け、これら油路65,66に接続されるオイル供給部30,31の要求油圧に基づき第3目標油圧を設定し、油路65,66に設けられる油圧センサにより検出される油圧(実油圧)が該第3目標油圧になるように、該可変オリフィスによりオイルの流量を制御するようにしてもよい。この構成によれば、カムシャフト18,19のカム部18a,19b潤滑のために必要な油量、油圧のオイルをより確実にかつ安定的にオイル供給部30,31に供給することが可能となる。つまり、上記オイル供給装置1においては、サブギャラリの油路の分岐構造に応じて、上流側から段階的に可変オリフィス及び油圧センサを油路に設け、該油路毎にその油圧をフィードバック制御するようにしてもよい。この構成によれば、より下流側における油圧作動部に対し、必要な油量、油圧のオイルをより確実にかつ安定的に供給することが可能となる。なお、上記実施形態では、本発明の油圧調整装置として可変オリフィスが適用されているが、勿論、電磁弁などの一般的な流量調整弁であってもよい。
また、上記実施形態では、オイルポンプ36としてエンジン2により駆動されるポンプが適用されているが、オイルポンプ36は、電気モータにより駆動されるものであってもよい。
また、上記実施形態では、本発明を直列4気筒ガソリンエンジンに適用した例について説明したが、本発明は、これ以外のエンジン、例えばディーゼルエンジンなどについても適用可能である。