以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る制御装置により制御される多気筒エンジン2(以下、単にエンジン2という)を示す。このエンジン2は、第1気筒乃至第4気筒が順に図1の紙面に垂直な方向に直列に配置された直列4気筒ガソリンエンジンであって、自動車等の車両に搭載される。エンジン2において、カムキャップ3、シリンダヘッド4、シリンダブロック5、クランクケース(図示せず)及びオイルパン6(図4参照)が上下に連結され、シリンダブロック5に形成された4つのシリンダボア7内をそれぞれ摺動可能なピストン8と、上記クランクケースに回転自在に支持されたクランク軸9とがコネクティングロッド10によって連結され、シリンダブロック5のシリンダボア7とピストン8とシリンダヘッド4とによって燃焼室11が気筒毎に形成されている。
シリンダヘッド4には、燃焼室11に開口する吸気ポート12及び排気ポート13が設けられ、吸気ポート12及び排気ポート13をそれぞれ開閉する吸気弁14及び排気弁15が、各ポート12,13にそれぞれ装備されている。これら吸気弁14及び排気弁15は、それぞれリターンスプリング16,17により閉方向(図1上方)に付勢されており、回転するカムシャフト18,19の外周に設けたカム部18a,19aによって、スイングアーム20,21の略中央部に回転自在に設けられたカムフォロア20a,21aが下方に押されて、スイングアーム20,21の一端側に設けられたピボット機構25aの頂部を支点にして該スイングアーム20,21が揺動することで、スイングアーム20,21の他端部で吸気弁14及び排気弁15がリターンスプリング16,17の付勢力に抗して下方に押されて開動するように構成されている。
エンジン2の気筒列方向中央部に位置する第2及び第3気筒のスイングアーム20,21のピボット機構(後述のHLA25のピボット機構25aと同様の構成)として、油圧によりバルブクリアランスを自動的にゼロに調整する周知の油圧ラッシュアジャスタ24(以下、Hydraulic Lash Adjusterの略記を用いてHLA24という)が設けられている。尚、HLA24は、図4にのみ示す。
また、エンジン2の気筒列方向両端部に位置する第1及び第4気筒のスイングアーム20、21に対しては、ピボット機構25aを備える弁停止機構付きHLA25(詳しくは図2参照)が設けられている。この弁停止機構付きHLA25は、HLA24と同様にバルブクリアランスを自動的にゼロに調整可能に構成されていることに加えて、エンジン2における全気筒の一部である第1及び第4気筒(特定気筒に相当)の作動を休止させる減気筒運転時に、第1及び第4気筒の吸排気弁14,15を作動停止(開閉動作を停止)させる一方、全気筒(4気筒)を作動させる全気筒運転時には、第1及び第4気筒の吸排気弁14,15を作動させる(開閉動作させる)ようにするものである。第2及び第3気筒の吸排気弁14,15は、減気筒運転時及び全気筒運転時共に作動している。このため、減気筒運転時には、エンジン2の全気筒のうち第1及び第4気筒のみの吸排気弁14,15が作動停止し、全気筒運転時には、全気筒の吸排気弁14,15が作動することになる。尚、減気筒運転及び全気筒運転は、後述の如く、エンジン2の運転状態に応じて切り替えられる。
シリンダヘッド4における第1及び第4気筒に対応する吸気側及び排気側の部分には、上記弁停止機構付きHLA25の下端部を挿入して装着するための装着穴26,27がそれぞれ設けられている。また、シリンダヘッド4における第2及び第3気筒に対応する吸気側及び排気側の部分には、上記HLA24の下端部を挿入して装着するための、装着穴26,27と同様の装着穴が設けられている。さらに、シリンダヘッド4には、弁停止機構付きHLA25用の装着穴26,27にそれぞれ連通する2つの油路61,63;62,64が穿設されており、弁停止機構付きHLA25が装着穴26,27に嵌合された状態で、油路61,62は、弁停止機構付きHLA25における後述の弁停止機構25b(図2参照)を作動させる油圧(作動圧)を供給し、油路63,64は、弁停止機構付きHLA25のピボット機構25aがバルブクリアランスを自動的にゼロに調整するための油圧を供給するように構成されている。尚、HLA24用の装着穴には、油路63,64のみが連通している。上記油路61〜64については、図4により後に詳述する。
シリンダブロック5には、シリンダボア7の排気側の側壁内を気筒列方向に延びるメインギャラリ54が設けられている。このメインギャラリ54の下側近傍には、このメインギャラリ54と連通するピストン冷却用のオイルジェット28(オイル噴射弁)が各ピストン8毎に設けられている。このオイルジェット28は、ピストン8の下側に配置されたノズル部28aを有しており、このノズル部28aからピストン8の頂部の裏面に向けてエンジンオイル(以下、単にオイルという)を噴射するように構成されている。
各カムシャフト18,19の上方には、パイプで形成されたオイルシャワー29,30が設けられており、該オイルシャワー29,30から潤滑用のオイルを、その下方に位置するカムシャフト18,19のカム部18a,19aと、さらに下方に位置するスイングアーム20,21とカムフォロア20a、21aとの接触部とに滴下するように構成されている。
次に、図2を参照しながら、油圧作動装置の一つである油圧作動式弁停止装置の弁停止機構25bについて説明する。この弁停止機構25bは、エンジン2における全気筒の一部である第1及び第4気筒の吸排気弁14,15のうち少なくとも一方の弁(本実施形態では、両方の弁)をエンジン2の運転状態に応じて油圧作動により作動停止させるものである。これにより、エンジン2の運転状態に応じて減気筒運転に切り替えられたときには、弁停止機構25bによって第1及び第4気筒の吸排気弁14、15の開閉動作が停止させられ、全気筒運転に切り替えられたときには、弁停止機構25bによる弁作動停止がなされなくなり、第1及び第4気筒の吸排気弁14、15の開閉動作が行われる。
本実施形態では、弁停止機構25bは、弁停止機構付きHLA25に設けられている。これにより、弁停止機構付きHLA25は、ピボット機構25aと弁停止機構25bとを備える。ピボット機構25aは、油圧によりバルブクリアランスを自動的にゼロに調整する、周知のHLA24のピボット機構と実質的に同じ構成である。
上記弁停止機構25bは、ピボット機構25aを軸方向に摺動自在に収納する有底の外筒251と、該外筒251の側周面に対向して設けられた2つの貫通孔251aを出入り可能に設けられ、上方に位置する軸方向に摺動自在なピボット機構25aをロック状態又はロック解除状態に切替可能な一対のロックピン252と、これら一対のロックピン252を径方向外側へ付勢するロックスプリング253と、外筒251の内底部とピボット機構25aの底部との間に設けられ、ピボット機構25aを外筒251の上方に押圧して付勢するロストモーションスプリング254とを備えている。
図2(a)に示すように、ロックピン252が外筒251の貫通孔251aに嵌合していてピボット機構25aが上方に突出し固定されたロック状態にあるときには、該ロック状態にあるピボット機構25aの頂部がスイングアーム20,21の揺動の支点となるため、カムシャフト18,19の回転によりカム部18a,19aがカムフォロア20a,21aを下方に押すと、吸排気弁14,15がリターンスプリング16,17の付勢力に抗して下方に押されて開弁する。したがって、第1及び第4気筒について弁停止機構25bをこのロック状態にすることで、全気筒運転を行うことができる。
一方、図2(b)に示すように、作動油圧により両ロックピン252の外側端面を押圧すると、ロックスプリング253の圧縮力に抗して、両ロックピン252は互いに接近するように外筒251の径方向内側に後退して、外筒251の貫通孔251aと嵌合しなくなり、これにより、ロックピン252の上方に位置するピボット機構25aが軸方向に移動可能なロック解除状態となる。
このロック解除状態で、ピボット機構25aがロストモーションスプリング254の付勢力に抗して下方に押圧されると、図2(c)に示すような弁停止状態となる。すなわち、吸排気弁14,15を上方に付勢するリターンスプリング16,17の方がピボット機構25aを上方に付勢するロストモーションスプリング254よりも付勢力が強くなるように構成されているため、上記ロック解除状態でカムシャフト18,19の回転によりカム部18a,19aがカムフォロア20a,21aを下方に押すと、吸排気弁14,15の頂部がスイングアーム20,21の揺動の支点となり、吸排気弁14,15は閉弁されたまま、ピボット機構25aがロストモーションスプリング254の付勢力に抗して下方に押される。したがって、弁停止機構25bをロック解除状態にすることで、減気筒運転を行うことができる。
次に、図3を参照しながら、エンジン2の全気筒において吸気弁14及び排気弁15のうち少なくとも一方(本実施形態では、両方)の弁特性を油圧作動により変更する油圧作動式弁特性変更装置としての可変バルブタイミング機構32,33(以下、単にVVTという。)について説明する。VVT32は吸気側のVVTであり、VVT33は排気側のVVTである。VVT32,33も、油圧作動式弁停止装置と同様に、油圧作動装置である。
VVT32,33は、略円環状のハウジング321,331と、該ハウジング321,331の内部に収容されたロータ324,332とを有しており、ハウジング321,331は、クランクシャフト9と同期して回転するカムプーリ323,333と一体回転可能に連結され、ロータ322,332は、吸排気弁14,15を開閉させるカムシャフト18,19と一体回転可能に連結されている。ハウジング321,331の内部には、ハウジング321,331の内周面とロータ322,332に設けられたベーン324,334とで区画された遅角油圧室325,335と進角油圧室326,336とが複数形成されている。これら遅角油圧室325,335及び進角油圧室326,336には、第1方向切替弁34,35(図4参照)を介して、オイルを供給する後述の可変容量型オイルポンプ36(図4参照)が接続されている。この第1方向切替弁34,35の制御により遅角油圧室325,335にオイルを導くと、油圧によりカムシャフト18,19がその回転方向(図3(a)の矢印の方向)とは逆向きに動くため、吸排気弁14,15の開時期が遅くなり、一方で、進角油圧室326,336にオイルを導くと、油圧によりカムシャフト18,19がその回転方向に動くため、吸排気弁14,15の開時期が早くなる。
図3(b)は、吸気弁14及び排気弁15の開弁位相を示しており、図からわかるように、VVT32(及び/又は33)によって、吸気弁14の開弁位相を進角方向(図3(b)の矢印を参照)に変更する(及び/又は、排気弁15の開弁位相を遅角方向に変更する)と、排気弁15の開弁期間と吸気弁14の開弁期間(一点鎖線を参照)とがオーバーラップする。このように吸気弁14及び排気弁15の開弁期間をオーバーラップさせることで、エンジン燃焼時の内部EGR量を増加させることができ、ポンピングロスを低減して燃費性能を向上できる。また、燃焼温度を抑えることもできるため、NOxの発生を抑えて排気浄化を図れる。一方、VVT32(及び/又は33)によって、吸気弁14の開弁位相を遅角方向に変更する(及び/又は、排気弁15の開弁位相を進角方向に変更する)と、吸気弁14の開弁期間(実線を参照)と排気弁15の開弁期間とのバルブオーバーラップ量が減少するために、アイドリング時等のようにエンジン負荷が所定値以下の低負荷時には、安定燃焼性を確保できる。本実施形態では、高負荷時にバルブオーバーラップ量を出来る限り大きくするために、上記低負荷時にも、吸気弁14及び排気弁15の開弁期間をオーバーラップさせるようにしている。
次に、図4を参照しながら、上述のエンジン2にオイルを供給するためのオイル供給装置1について詳細に説明する。図示するように、オイル供給装置1は、クランク軸9の回転によって駆動される可変容量型オイルポンプ36(以下、オイルポンプ36という。)と、オイルポンプ36に接続され、オイルポンプ36により昇圧されたオイルをエンジン2の潤滑部及び油圧作動装置に導く給油路50(油圧経路)とを備えている。オイルポンプ36は、エンジン2により駆動される補機である。
上記給油路50は、パイプや、シリンダヘッド4、シリンダブロック5等に穿設された通路からなる。給油路50は、オイルポンプ36に連通され、オイルポンプ36(詳細には、後述の吐出口361b)からシリンダブロック5内の分岐点54aまで延びる第1連通路51と、シリンダブロック5内で気筒列方向に延びる上記メインギャラリ54と、該メインギャラリ54上の分岐点54bからシリンダヘッド4まで延びる第2連通路52と、シリンダヘッド4内で吸気側と排気側との間を略水平方向に延びる第3連通路53と、シリンダヘッド4内で第3連通路53から分岐する複数の油路61〜69とを備えている。
上記オイルポンプ36は、該オイルポンプ36の容量を変更してオイルポンプ36のオイル吐出量を可変にする公知の可変容量型オイルポンプであって、一端側が開口するように形成されかつ内部が断面円形状の空間からなるポンプ収容室を有するポンプボディと該ポンプボディの上記一端開口を閉塞するカバー部材とからなるハウジング361と、該ハウジング361に回転自在に支持され、上記ポンプ収容室の略中心部を貫通しかつクランク軸9によって回転駆動される駆動軸362と、上記ポンプ収容室内に回転自在に収容されて中心部が駆動軸362に結合されたロータ363及び該ロータ363の外周部に放射状に切欠形成された複数のスリット内にそれぞれ出没自在に収容されたべーン364からなるポンプ要素と、該ポンプ要素の外周側にロータ363の回転中心に対して偏心可能に配置され、ロータ363及び相隣接するべーン364と共に複数の作動油室であるポンプ室365を画成するカムリング366と、上記ポンプボディ内に収容され、ロータ363の回転中心に対するカムリング366の偏心量が増大する側へカムリング366を常時付勢する付勢部材であるスプリング367と、ロータ363の内周側の両側部に摺動自在に配置された、ロータ363よりも小径の一対のリング部材368とを備えている。ハウジング361は、内部のポンプ室365にオイルを供給する吸入口361aと、ポンプ室365からオイルを吐出する吐出口361bとを備えている。ハウジング361の内部には、該ハウジング361の内周面とカムリング366の外周面により画成された圧力室369が形成されており、該圧力室369に開口する導入孔369aが設けられている。オイルポンプ36は、導入孔369aから圧力室369にオイルを導入することで、カムリング366が支点361cに対して揺動して、ロータ363がカムリング366に対して相対的に偏心し、オイルポンプ36の吐出容量が変化するように構成されている。
オイルポンプ36の吸入口361aには、オイルパン6に臨むオイルストレーナ39が接続されている。オイルポンプ36の吐出口361bに連通する第1連通路51には、上流側から下流側に順に、オイルフィルタ37及びオイルクーラ38が配置されており、オイルパン6内に貯留されたオイルは、オイルストレーナ39を通じてオイルポンプ36によってくみ上げられた後、オイルフィルタ37で濾過されかつオイルクーラ38で冷却されてからシリンダブロック5内のメインギャラリ54に導入される。
メインギャラリ54は、4つのピストン8の背面側に冷却用オイルを噴射するための上記オイルジェット28と、クランク軸9を回動自在に支持する5つのメインジャーナルに配置されたメタルベアリングのオイル供給部41と、4つのコネクティングロッドを回転自在に連結する、クランク軸9のクランクピンに配置されたメタルベアリングのオイル供給部42とに接続されており、このメインギャラリ54にはオイルが常時供給される。
メインギャラリ54上の分岐点54cの下流側には、油圧式チェーンテンショナへオイルを供給するオイル供給部43と、リニアソレノイドバルブ49を介してオイルポンプ36の圧力室369へ導入孔369aからオイルを供給する油路40とが接続されている。
第3連通路53の分岐点53aから分岐する油路68は、排気側第1方向切替弁35を介して、排気弁15の開閉時期を変更するための排気側VVT33の進角油圧室336及び遅角油圧室335に接続されており、第1方向切替弁35を制御することでオイルが供給されるように構成されている。また、分岐点53aから分岐する油路64は、排気側のカムシャフト19のカムジャーナルに配置されたメタルベアリングのオイル供給部45(図4の白抜き三角△を参照)と、HLA24(図4の黒三角▲を参照)と、弁停止機構付きHLA25(図4の白抜き楕円を参照)とに接続されており、この油路64にはオイルが常時供給される。さらに、油路64の分岐点64aから分岐する油路66は、排気側のスイングアーム21に潤滑用オイルを供給するオイルシャワー30に接続されており、この油路66には油が常時供給される。
吸気側についても、排気側と同様であり、第3連通路53の分岐点53cから分岐する油路67は、吸気側第1方向切替弁34を介して、吸気弁14の開閉時期を変更するためのVVT32の進角油圧室326及び遅角油圧室325に接続されている。また、分岐点53dから分岐する油路63は、吸気側のカムシャフト18のカムジャーナルに配置されたメタルベアリングのオイル供給部44(図4の白抜き三角△を参照)と、HLA24(図4の黒三角▲を参照)と、弁停止機構付きHLA25(図4の白抜き楕円を参照)とに接続されている。さらに、油路63の分岐点63aから分岐する油路65は、吸気側のスイングアーム20に潤滑用オイルを供給するオイルシャワー29に接続されている。
また、第3連通路53の分岐点53cから分岐する油路69には、オイルの流れる方向を上流側から下流側への一方向のみに規制する逆止弁48と、逆止弁48と分岐点53cとの間に位置しかつ給油路50(油路69における逆止弁48よりも上流側)における油圧を検出する油圧センサ70とが配設されている。油圧センサ70は、オイルポンプ36によりエンジン2の潤滑部及び油圧作動装置にオイルを供給するための油圧経路(給油路50)における油圧を検出する油圧検出装置を構成する。
上記油路69は、逆止弁48の下流側の分岐点69aで、弁停止機構付きHLA25用の装着穴26,27に連通する上記2つの油路61,62に分岐する。油路61,62は、吸気側及び排気側の第2方向切替弁46,47を介して、吸気側及び排気側の弁停止機構付きHLA25の弁停止機構25bにそれぞれ接続されており、これら第2方向切替弁46,47を制御することで各弁停止機構25bにオイルが供給されるように構成されている。
逆止弁48は、第3連通路53における油圧が、弁停止機構25bの要求油圧以上になると開弁するようにスプリングで付勢され、上流側から下流側への一方向のみにオイル流れを規制する。また、この逆止弁48は、VVT32,33の要求油圧よりも大きい油圧で開弁するものである。弁停止機構25bを作動させる減気筒運転中にVVT32,33が作動すると、第3連通路53の油圧(及び、油圧センサ70により検出される油圧)が低下する可能性があるが、油路69に設けられた逆止弁48によって、弁停止機構25bから、逆止弁48の上流にある第3連通路53へのオイルの流れが遮蔽されるため、逆止弁48の下流側にある弁停止機構25bでの要求油圧が確保される。但し、本実施形態では、後述のように、減気筒運転中にVVT32,33が作動しても、油圧センサ70により検出される油圧や第3連通路53の油圧が低下しないように制御するので、逆止弁48をなくしてもよい。
クランク軸9及びカムシャフト18,19を回転自在に支持するメタルベアリングや、ピストン8、カムシャフト18,19等に供給された潤滑用及び冷却用のオイルは、冷却や潤滑を終えた後、図示しないドレイン油路を通ってオイルパン6内に滴下し、オイルポンプ36により再び環流される。
上記エンジン2の作動は、コントローラ100によって制御される。コントローラ100には、エンジン2の運転状態を検出する各種センサからの検出情報が入力される。コントローラ100は、例えば、クランク角センサ71によりクランク軸9の回転角度を検出し、この検出信号に基づいてエンジン回転速度を検出する。また、エアフローセンサ72により、エンジン2が吸入する空気量を検出し、これに基づいてエンジン負荷を検出する。さらに、油温センサ73及び上記油圧センサ70により上記油圧経路におけるオイルの温度及び圧力をそれぞれ検出する。油温センサ73は、上記油圧経路(本実施形態では、給油路50の第3連通路53)に配設されている。さらに、カムシャフト18,19の近傍に設けられたカム角センサ74により、カムシャフト18,19の回転位相を検出し、このカム角に基づいてVVT32,33の作動角を検出する。また、水温センサ75によって、エンジン2を冷却する冷却水の温度(以下、水温という)を検出する。
コントローラ100は、周知のマイクロコンピュータをベースとする制御装置であって、各種センサ(油圧センサ70、クランクポジションセンサ71、エアフローセンサ72、油温センサ73、カム角センサ74、水温センサ75等)からの検出信号を入力する信号入力部と、制御に係る演算処理を行う演算部と、制御対象となる装置(第1方向切替弁34,35、第2方向切替弁46,47、リニアソレノイドバルブ49等)に制御信号を出力する信号出力部と、制御に必要なプログラムやデータ(後述する油圧制御マップやデューティ比マップ等)を記憶する記憶部とを備えている。
リニアソレノイドバルブ49は、エンジン2の運転状態に応じてオイルポンプ36からの吐出量を制御するための流量(吐出量)制御弁である。リニアソレノイドバルブ49の開弁時にオイルポンプ36の圧力室369にオイルが供給されるようになっているが、リニアソレノイドバルブ49自体の構成は周知であるため説明を省略する。尚、流量(吐出量)制御弁としては、リニアソレノイドバルブ49に限らず、例えば電磁制御弁を用いてもよい。
コントローラ100は、リニアソレノイドバルブ49に対し、後述の如く設定されたデューティ比の制御信号を送信して、リニアソレノイドバルブ49を介して、オイルポンプ36の圧力室369へ供給する油圧を制御する。この圧力室369の油圧により、カムリング366の偏心量を制御してポンプ室365の内部容積の変化量を制御することで、オイルポンプ36の流量(吐出量)を制御する。つまり、上記デューティ比によってオイルポンプ36の容量が制御される。ここで、オイルポンプ36は、エンジン2のクランク軸9で駆動されるため、図5に示すように、オイルポンプ36の流量(吐出量)はエンジン回転速度に比例する。そして、デューティ比が、1サイクルの時間に対するリニアソレノイドバルブ49への通電時間の割合を表す場合、図示するように、デューティ比が大きいほどオイルポンプ36の圧力室369への油圧が増すため、エンジン回転速度に対するオイルポンプ36の流量の傾きが減る。オイルポンプ36の吐出量が増大するに連れて、エンジン2により駆動されるオイルポンプ36の駆動負荷が増大することになり、オイルポンプ36の吐出量の制御は、オイルポンプ36の駆動負荷の制御でもある。
このようにコントローラ100は、オイルポンプ36の容量を変更してオイルポンプ36の吐出量を制御するポンプ制御装置を構成することになる。
次に、図6を参照しながら、エンジン2の減気筒運転について説明する。エンジン2の減気筒運転又は全気筒運転は、エンジン2の運転状態に応じて切り替えられる。すなわち、エンジン回転速度、エンジン負荷及びエンジン2の水温から把握されるエンジン2の運転状態が、図示する減気筒運転領域内にあるときは減気筒運転が実行される。また、図示するように、この減気筒運転領域に隣接して減気筒運転準備領域が設けられており、エンジンの運転状態がこの減気筒運転準備領域内にあるときは減気筒運転を実行するための準備として、油圧を弁停止機構25bの要求油圧に向けて予め昇圧させておく。そして、エンジン2の運転状態がこれら減気筒運転領域及び減気筒運転準備領域の外にあるときは、全気筒運転を実行する。
図6(a)を参照すると、所定のエンジン負荷(L0以下)で加速して、エンジン回転速度が上昇する場合、エンジン回転速度が所定回転速度V1未満では、全気筒運転を行い、エンジン回転速度がV1以上かつV2(>V1)未満になると、減気筒運転の準備に入り、エンジン回転速度がV2以上になると、減気筒運転を行う。また、例えば、所定のエンジン負荷(L0以下)で減速して、エンジン回転速度が下降する場合、エンジン回転速度がV4以上では、全気筒運転を行い、エンジン回転速度がV3(<V4)以上かつV4未満になると、減気筒運転の準備を行い、エンジン回転速度がV3以下になると、減気筒運転を行う。
図6(b)を参照すると、所定のエンジン回転速度(V2以上V3以下)、所定のエンジン負荷(L0以下)で走行し、エンジン2が暖機して水温が上昇する場合、水温がT0未満では全気筒運転を行い、水温がT0以上かつT1未満になると減気筒運転の準備を行い、水温がT1以上になると減気筒運転を行う。
仮に上記減気筒運転準備領域を設けなかった場合、全気筒運転から減気筒運転に切り替える際、エンジン2の運転状態が減気筒運転領域に入ってから油圧を弁停止機構25bの要求油圧まで昇圧させることになるが、油圧が要求油圧に達するまでの時間分、減気筒運転を行う時間が短くなるため、この減気筒運転を行う時間が短くなる分、エンジン2の燃費効率が下がってしまう。
そこで、本実施形態では、エンジン2の燃費効率を最大限上げるため、減気筒運転領域に隣接して減気筒運転準備領域が設けて、この減気筒運転準備領域において油圧を予め昇圧させておき、油圧が要求油圧に達するまでの時間分のロスをなくすように、減気筒運転準備領域での弁停止機構25bの要求油圧(図7(a)参照)を設定しておく。
尚、図6(a)に示すように、減気筒運転領域の高エンジン負荷側に隣接する、一点鎖線で示された領域を減気筒運転準備領域としてもよい。これにより、例えば、所定のエンジン回転速度(V2以上V3以下)においてエンジン負荷が下降する場合、エンジン負荷がL1(>L0)以上では、全気筒運転を行い、エンジン負荷がL0以上かつL1未満になると、減気筒運転の準備に入り、エンジン負荷がL0以下になると、減気筒運転を行うようにしてもよい。
次に、図7を参照しながら、各油圧作動装置(ここでは、弁停止機構25b及びVVT32,33に加えて、オイルジェット28や、クランク軸9のジャーナル等のメタルベアリングも油圧作動装置に含まれるものとする)の要求油圧について説明する。本実施形態におけるオイル供給装置1は、1つのオイルポンプ36によって複数の油圧作動装置にオイルを供給しており、各油圧作動装置が必要とする要求油圧は、エンジン2の運転状態に応じて変化する。そのため、エンジン2の全ての運転状態において全ての油圧作動装置が必要な油圧を得るためには、当該オイルポンプ36は、エンジン2の運転状態ごとに各油圧作動装置の要求油圧のうちで最も高い要求油圧以上の油圧を当該エンジン2の運転状態に応じた目標油圧に設定する必要がある。そのためには、本実施形態においては、全ての油圧作動装置のうちで要求油圧が比較的高い弁停止機構25b、オイルジェット28、クランク軸9のジャーナル等のメタルベアリング及びVVT32,33の要求油圧を満たすように目標油圧を設定すればよい。なぜなら、このように目標油圧を設定すれば、要求油圧が比較的低い他の油圧作動装置は当然に要求油圧が満たされるからである。
図7(a)を参照すると、エンジン2の低負荷運転時において、要求油圧が比較的高い油圧作動装置は、VVT32,33、メタルベアリング及び弁停止機構25bである。これら各油圧作動装置の要求油圧は、エンジン2の運転状態に応じて変化する。例えば、VVT32,33の要求油圧(図7では、「VVT要求油圧」と記載)は、エンジン回転速度がV0(<V1)以上で略一定である。メタルベアリングの要求油圧(図7では、「メタル要求油圧」と記載)は、エンジン回転速度が大きくなるにつれて大きくなる。弁停止機構25bの要求油圧(図7では、「弁停止要求油圧」と記載)は、所定範囲のエンジン回転速度(V2〜V3)においてほぼ一定である。そして、これらの要求油圧をエンジン回転速度ごとに大小を比較すると、エンジン回転速度がV0よりも低いときにはメタル要求油圧しかなく、エンジン回転速度がV0〜V2では、VVT要求油圧が最も高く、エンジン回転速度がV2〜V3では、弁停止要求油圧が最も高く、エンジン回転速度がV3〜V6では、VVT要求油圧が最も高く、エンジン回転速度がV6以上では、メタル要求油圧が最も高い。
ここで、減気筒運転を行うエンジン回転速度(V2〜V3)の前後のエンジン回転速度(V1〜V2、V3〜V4)においては、減気筒運転の準備のために目標油圧が弁停止要求油圧に向けて予め昇圧するように弁停止要求油圧が設定されている。これによれば、図6において説明したように、エンジン回転速度が減気筒運転を行うエンジン回転速度になる際に油圧が弁停止要求油圧に達するまでの時間分のロスをなくして、エンジンの燃費効率を向上できる。
図7(b)を参照すると、エンジン2の高負荷運転時において、要求油圧が比較的高い油圧作動装置は、VVT32,33、メタルベアリング及びオイルジェット28である。低負荷運転の場合と同様に、これら各油圧作動装置の要求油圧はエンジン2の運転状態に応じて変化し、例えば、VVT要求油圧は、エンジン回転速度がV0′以上で略一定であり、メタル要求油圧は、エンジン回転速度が大きくなるにつれて大きくなる。また、オイルジェット28の要求油圧は、エンジン回転速度がV1′未満では0であり、そこから或る回転速度まではエンジン回転速度に応じて高くなり、その回転速度以上では一定である。
本実施形態では、エンジン2の運転状態毎に、VVT32,33、メタルベアリング及びオイルジェット28の要求油圧のうちで最も高い要求油圧に基づいて当該運転状態の仮の目標油圧が予め設定された油圧制御マップが、コントローラ100の記憶部に記憶されている。コントローラ100は、その油圧制御マップからエンジン2の運転状態に応じた仮の目標油圧を読み取り、該読み取った仮の目標油圧と、弁停止機構25bの要求油圧との高い方の油圧を目標油圧に設定する。そして、コントローラ100は、油圧センサ70により検出される油圧(実油圧)が該目標油圧になるように、オイルポンプ36の吐出量を制御する油圧フィードバック制御を実行する。
次に、図8を参照しながら、油圧制御マップについて説明する。図7で示した要求油圧は、エンジン回転速度をパラメータとしたものであるが、さらに、エンジン負荷と油温もパラメータとして仮の目標油圧を3次元グラフに表したのが、図8に示した油圧制御マップである。すなわち、この油圧制御マップは、エンジン2の運転状態(ここでは、エンジン回転速度及びエンジン負荷に加えて、油温も含む)毎に、VVT32,33、メタルベアリング及びオイルジェット28の要求油圧のうちで最も高い要求油圧に基づいて当該運転状態の仮の目標油圧が予め設定されたものである。
図8(a)、図8(b)及び図8(c)は、エンジン2(油温)の高温時、温間時及び冷間時の油圧制御マップをそれぞれ示している。コントローラ100は、オイルの油温に応じてこれらの油圧制御マップを使い分ける。すなわち、エンジン2を始動してエンジン2が冷間状態(油温がT1未満)にあるときは、コントローラ100は、図8(c)に示す冷間時の油圧制御マップに基づいてエンジン2の運転状態(エンジン回転速度、エンジン負荷)に応じた仮の目標油圧を読み取る。エンジン2が暖機してオイルが所定の油温T1以上になると、温間時の油圧制御マップに基づいて仮の目標油圧を読み取る。本実施形態では、温間時の油圧制御マップは、より細かく分けられた温度範囲毎に複数あり、図8(b)の油圧制御マップは、そのうちの1つである。そして、エンジン2が完全に暖機してオイルが所定の油温T2(>T1)以上になると、図8(a)に示す高温時の油圧制御マップに基づいて仮の目標油圧を読み取る。
尚、油温を考慮しないで1つの油圧制御マップのみを用いて仮の目標油圧を読み取ることも可能である。
上記目標油圧が設定されると、コントローラ100は、その油圧をオイル流量(吐出量)に変換して、目標流量(目標吐出量)を得る。そして、コントローラ100は、その目標流量を後述の如く補正した目標流量とエンジン回転速度とから、図5のオイルポンプ36の特性と同様のデューティ比マップを用いて、リニアソレノイドバルブ49を駆動するためのデューティ比を設定し、その設定したデューティ比の制御信号をリニアソレノイドバルブ49に送信する。
図9は、コントローラ100によるオイルポンプ36の吐出量制御の構成を示すブロック図である。
各種センサより検出されたエンジン回転速度、エンジン負荷及び油温より、上記油圧制御マップを用いて仮の目標油圧を読み取り、この仮の目標油圧と弁停止要求油圧との高い方の油圧が目標油圧として設定される。この目標油圧は、油圧センサ70の位置での目標油圧であるため、オイルポンプ36から油圧センサ70までの油圧低下代(予め調べておく)を考慮して目標油圧を修正して(油圧低下代の分を増大して)修正目標油圧を算出する。この修正目標油圧をオイルポンプ36の流量(吐出量)に変換して目標流量(目標吐出量)を得る。
一方、吸気側VVT32を作動させる場合の該吸気側VVT32の予測作動量(現在の作動角と目標の作動角との差及びエンジン回転速度から求まる)を流量変換して、吸気側VVT32の作動時の消費流量を得るとともに、同様に、排気側VVT33を作動させる場合の該排気側VVT33の予測作動量を流量変換して、排気側VVT33の作動時の消費流量を得る。これら両消費流量を上記目標流量に加えて、上記目標流量を補正する。
また、弁停止機構25bを作動させて弁停止させる場合の該弁停止機構25bの予測作動量(ロックピン252の予測作動量)を流量変換して、弁停止機構25bの作動時の消費流量を得る。ロックピン252の予測作動量は一定であるため、弁停止機構25bの作動時の消費流量も一定である。この弁停止機構25bの作動時の消費流量も上記目標流量に加えて、上記目標流量を補正する。
エンジン2の定常運転時には、上記各油圧作動装置(VVT32,33、弁停止機構25b)の予測作動量は0であるので、該油圧作動装置の予測作動量に応じた目標流量の補正はなされない。これに対し、エンジン2の過渡運転時には、作動する油圧作動装置の予測作動量に応じて、目標流量の補正がなされる、つまりオイルポンプ36の吐出量が補正制御されることになる。
さらに、上記油圧作動装置の予測作動量に応じて補正された目標流量は、油圧フィードバック量によって更に補正される。この油圧フィードバック量は、本実施形態では、エンジン2の過渡運転時に、油圧センサ70により検出される油圧(実油圧)が目標油圧の変化に対してどのように変化するかを予測した予測油圧と該検出される実油圧との偏差に応じた油圧フィードバック量である。実油圧が予測油圧よりも高いときには、油圧フィードバック量が負の値となり、上記目標流量を減量する一方、実油圧が予測油圧よりも低いときには、油圧フィードバック量が正の値となり、上記目標流量を増量する。実油圧が予測油圧と同じであれば、油圧フィードバック量は0である(油圧フィードバック量による補正はなされない)。
エンジン2の過渡運転時において、図10に実線で示すように目標油圧がステップ状に変化したとき、オイルポンプ36自体の応答遅れや、油圧がオイルポンプ36から油圧センサ70に達するまでの応答遅れ等を含む、油圧の応答遅れによって、実油圧は目標油圧の変化に対して一点鎖線のように遅れて追従する。このような油圧の応答遅れによる実油圧の変化は、予め実験等によって決められたむだ時間や時定数によって予測することができ、こうして予測した予測油圧を設定する。図10では、便宜上、予測油圧(破線)と実油圧との間に大きな偏差が生じているように描いているが、通常、その偏差はかなり小さい。但し、オイルポンプ36の異常時や劣化時には、上記偏差が大きくなる。尚、エンジン2の定常運転時には、予測油圧は目標油圧と同じになり、目標油圧と実油圧との偏差をフィードバックする油圧フィードバック制御と実質的に同じになる。
このように予測油圧と実油圧との偏差をフィードバックする油圧フィードバック制御によって、エンジン2の過渡運転時に、実油圧の目標油圧に対するオーバーシュートやアンダーシュートが生じ難くなる。すなわち、目標油圧と実油圧との偏差をフィードバックする場合には、油圧の応答遅れによって、目標油圧変化直後の目標油圧と実油圧との偏差が大きくなり過ぎて、実油圧の目標油圧に対するオーバーシュートやアンダーシュートが生じ易くなる。特にオイルポンプ36が劣化すると、上記偏差がより一層大きくなる。これに対し、予測油圧と実油圧との偏差は、通常、小さいので、予測油圧と実油圧との偏差をフィードバックすることで、実油圧が予測油圧に略沿って変化するようになり、実油圧の目標油圧に対するオーバーシュートやアンダーシュートが生じ難くなり、この結果、実油圧を目標油圧にスムーズに一致させるようにすることができるようになる。また、オイルポンプ36が劣化して目標油圧変化直後の予測油圧と実油圧との偏差が或る程度大きくなったとしても、実油圧が予測油圧に略沿って変化するようになり、実油圧の目標油圧に対するオーバーシュートやアンダーシュートは生じ難くなる。尚、エンジン2の過渡運転時においても、定常運転時と同様に、目標油圧と実油圧との偏差をフィードバックする油圧フィードバック制御を行うことも可能である。
上記のようにして補正した目標流量(図9で、「補正目標流量」と記載)及びエンジン回転速度より、上記デューティ比マップを用いて上記デューティ比を設定し、その設定したデューティ比の制御信号をリニアソレノイドバルブ49に送信する。
ここで、コントローラ100によるオイルポンプ36の流量(吐出量)制御動作について、図11のフローチャートに基づいて説明する。
最初のステップS1で、油圧制御マップを読み出して、エンジン回転速度、エンジン負荷及び油温に応じた仮の目標油圧を読み取り、次のステップS2で、その仮の目標油圧と弁停止要求油圧との高い方の油圧を目標油圧として設定する。
次のステップS3では、上記目標油圧に、予め設定した油圧低下代を加算して、修正目標油圧を算出し、次のステップS4で、その修正目標油圧をオイルポンプ36の流量(吐出量)に変換して目標流量(目標吐出量)を得る。
次のステップS5では、上記目標流量に、VVT32,33の作動時の消費流量を加算し、次のステップS6では、更に弁停止機構25bの作動時の消費流量を加算して、油圧作動装置の予測作動量に応じて、上記目標流量を補正する。
次のステップS7では、実油圧が目標油圧の変化に対してどのように変化するかを予測して予測油圧を設定し、次のステップS8で、その予測油圧と実油圧との間に偏差が発生していないか否かを判定する。このステップS8の判定がYESであるとき(偏差が発生していないとき)には、ステップS10に進む(油圧フィードバック量による補正はなされない)一方、ステップS8の判定がNOであるとき(偏差が発生しているとき)には、ステップS9に進んで、上記偏差に応じた油圧フィードバック量を算出して、上記油圧作動装置の予測作動量に応じて補正された目標流量に対して、その油圧フィードバック量による補正を行い、しかる後ステップS10に進む。
上記ステップS10では、デューティ比マップを読み出して、上記補正した目標流量及びエンジン回転速度より、そのデューティ比マップを用いて、リニアソレノイドバルブ49を駆動するためのデューティ比を設定する。
次のステップS11では、その設定したデューティ比の制御信号をリニアソレノイドバルブ49に送信して、該デューティ比でもってリニアソレノイドバルブ49へ通電し、しかる後にリターンする。
上記のように、油圧作動装置(VVT32,33、弁停止機構25b)の予測作動量に応じて上記目標流量を補正するので、油圧作動装置が作動する前にオイルポンプ36の吐出量を増大して、油圧作動装置が作動したときの実油圧の低下を防止することができる。
したがって、本実施形態では、コントローラ100が、実油圧が目標油圧になるようにオイルポンプ36の吐出量を制御するとともに、エンジン2の過渡運転時には、油圧作動装置(VVT32,33、弁停止機構25b)の予測作動量に応じて、オイルポンプ36の吐出量を補正制御する(上記目標油圧を補正する)ので、エンジン2の定常運転時には、油圧作動装置の作動油圧を確保しながら、オイルポンプ36の駆動負荷を適切にして、燃費の向上を図るとともに、エンジン2の過渡運転時において、油圧作動装置の作動応答性を高くすることができる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
例えば、上記実施形態では、油圧制御マップからエンジン2の運転状態に応じた仮の目標油圧を読み取り、該読み取った仮の目標油圧と弁停止機構25bの要求油圧との高い方の油圧を目標油圧に設定するようにしたが、エンジン2の運転状態毎に、各油圧作動装置の要求油圧のうちで最も高い要求油圧を当該運転状態の目標油圧に設定することができるのであれば、どのように目標油圧を設定するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、エンジン2を直列4気筒ガソリンエンジンとしたが、どのようなエンジンであってもよく、例えばディーゼルエンジンであってもよい。
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。